JP2010530228A - Cho細胞 - Google Patents

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Abstract

本発明は、構成的活性型分裂促進性受容体を発現しているCHO細胞、そのようなCHO細胞を入手する方法、および本発明に係るCHO細胞を使用した異種ポリペプチドの発現のための方法を含む。

Description

本発明は、構成的活性型分裂促進性受容体を保有しているCHO細胞を提供する。この細胞は、タンパク質発現のため有用である。従って、本発明は、哺乳動物細胞工学およびタンパク質発現の領域にある。
発明の背景
組換えポリペプチドの作製のための発現系は、最先端技術において周知であり、例えば、Marino, M. H., Biopharm. 2 (1989) 18-33;Goeddel, D.V., et al., Methods Enzymol. 185 (1990) 3-7(非特許文献1);Wurm, F., and Bernard, A., Curr. Opin. Biotechnol. 10 (1999) 156-159(非特許文献2)により記載されている。そのような発現系は、宿主細胞および適切な発現プラスミドを含む。
発現プラスミドの必須要素は、複製開始点および選択マーカーを含む、例えば大腸菌のための原核生物プラスミド繁殖ユニット、真核生物選択マーカー、ならびにプロモーター、構造遺伝子、およびポリアデニル化シグナルを含む転写ターミネーターを各々含む関心対象の構造遺伝子の発現のための1個または複数個の発現カセットである。哺乳動物細胞における一過性の発現のため、SV40 OriまたはOriPのような哺乳動物複製開始点が含まれることがある。プロモーターとしては、構成性プロモーターまたは誘導可能プロモーターが選択され得る。最適化された転写のため、Kozak配列が5'非翻訳領域に含まれることがある。mRNAプロセシング、特に、mRNAスプライシングおよび転写終了のため、ポリアデニル化シグナルと同様に、構造遺伝子の構造(エキソン/イントロン構造)に依るmRNAスプライシングシグナルが含まれることがある。
薬学的適用において使用するためのポリペプチドは、好ましくは、CHO細胞、NS0細胞、Sp2/0細胞、COS細胞、HEK細胞、BHK細胞、PER.C6(登録商標)細胞等のような哺乳動物細胞において作製される。宿主細胞の発酵のため、従って、関心対象のポリペプチドの発現のため、培養培地が使用される。
今日、CHO細胞は、研究室における小さな規模でも、製造過程における大きな規模でも、薬学的ポリペプチドの発現のために広範に使用されている。広範な普及および使用のため、CHO細胞の特徴的な特性および遺伝的背景は周知である。従って、CHO細胞は、ヒトへの適用のための治療用タンパク質の作製に関して規制当局により承認されている。
しかし、依然として培養培地に関する多くの条件が存在する。動物由来成分の使用により、ウイルスまたはプリオンタンパク質のようなヒトにとって危険な物質の夾雑という潜在的リスクが存在する。高いコストおよび後処理問題に加えて、動物由来成分のもう一つの問題は、一定の生成物の量および品質を入手することを困難にする、天然生成物としてのバッチ間変動によるものである。
これらの条件を克服するためには、培養のためにより少ない動物由来成分を必要とする産生細胞株が必要である。
完全に定義された無タンパク質条件の下で自己分泌増殖が可能なスーパーCHO細胞株が、Pakらにより報告された(Pak, S. C. O., et al., Cytotechnology 22 (1996) 139-146(非特許文献3))。これは、トランスフェリンおよびIGF-Iを発現するCHO-K1(ATCC CCL 61)細胞株である。Morris, A. E.ら(US 2005/0170462(特許文献1))は、IGF-Iシグナリング経路のモジュレーションによる細胞培養における組換えタンパク質作製のための方法を報告している。Belausらは、キメラErbB2V→E/IGF-I受容体をIL-3依存性マウスBaF/3細胞にトランスフェクトした(Belaus, A., et al., J. Steroid. Biochem. Mol. Biol. 85 (2003) 105-115(非特許文献4))。
US 2005/0170462
Marino, M. H., Biopharm. 2 (1989) 18-33;Goeddel, D.V., et al., Methods Enzymol. 185 (1990) 3-7 Wurm, F., and Bernard, A., Curr. Opin. Biotechnol. 10 (1999) 156-159 Pak, S. C. O., et al., Cytotechnology 22 (1996) 139-146 Belaus, A., et al., J. Steroid. Biochem. Mol. Biol. 85 (2003) 105-115
本発明は、構成的活性型分裂促進性受容体を有するCHO細胞、そのようなCHO細胞を入手するための方法、およびそのようなCHO細胞における異種ポリペプチドの組み換え作製のための方法を提供する。
本発明の一つの局面は、構成的活性型分裂促進性受容体を発現しているCHO細胞である。一つの態様において、CHO細胞はCHO-K1細胞である。もう一つの態様において、構成的活性型分裂促進性受容体はキメラErbB2V→E/IGF-I受容体である。
本発明のさらなる局面は、CHO細胞株DSM ACC2851である。
本発明のもう一つの局面は、以下の工程を含む、構成的活性型分裂促進性受容体を有するCHO細胞を入手するための方法である:
(a)(i)2個のloxP部位に隣接している選択可能マーカーをコードする発現カセット、
(ii)構成的活性型分裂促進性受容体の発現のための発現カセット
を含む第一の核酸を、CHO細胞にトランスフェクトする工程、
(b)該第一の核酸をトランスフェクトされたCHO細胞を選択する工程、
(c)CREリコンビナーゼ発現カセットを含む第二の核酸を、工程(b)で選択されたCHO細胞にトランスフェクトする工程、
(d)構成的活性型分裂促進性受容体を有するCHO細胞として、第二の核酸をトランスフェクトされたCHO細胞を選択する工程。
一つの態様において、工程(b)のトランスフェクトされたCHO細胞は構成的活性型分裂促進性受容体を有する。もう一つの態様において、トランスフェクトされたCHO細胞は、第一の核酸に含まれる選択可能マーカーの欠如について工程(d)で選択される。さらにもう一つの態様において、工程(d)で選択されるトランスフェクトされたCHO細胞は、第一の核酸の選択可能マーカーによる選択剤の存在下で増殖していない。さらなる態様において、第一の核酸は、トランスフェリンの発現のための付加的な発現カセットを含む。
本発明のさらなる局面は、構成的活性型分裂促進性受容体を発現している本発明に係るCHO細胞における異種ポリペプチドの組み換え作製のための方法である。一つの態様において、CHO細胞にトランスフェクトされる核酸は、異種ポリペプチドをコードする発現カセットを含む。一つの態様において、異種ポリペプチドはヒトポリペプチドである。もう一つの態様において、異種ポリペプチドは、免疫グロブリン、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン断片、または免疫グロブリンコンジュゲートを含むポリペプチドより選択される。
プラスミド5519-pUCのプラスミド地図。 プラスミド4699-pUC-Hygのプラスミド地図。 プラスミドpMC-CREのプラスミド地図。 懸濁培養に順応させられたCHO-K1、CHO-K1-5519-1B6-18B3、およびCHO-K1-5519-1B6-17C5の培養中の細胞密度;X軸:日数;Y軸:細胞密度(106細胞/ml);黒四角:懸濁増殖に順応させられたCHO-K1、黒丸:CHO-K1-5519-1B6-18B3、黒三角:CHO-K1-5519-1B6-17C5。
発明の詳細な説明
本発明は構成的活性型分裂促進性受容体を発現しているCHO細胞を含む。
本発明を実施するために有用な当業者に公知の方法および技術は、例えば、Ausubel, F.M., ed., Current Protocols in Molecular Biology, Volumes I to III (1997), Wiley and Sons;Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)に記載されている。
「核酸」という用語は、本明細書において使用されるように、個々のヌクレオチドからなる重合体、即ち、ポリヌクレオチドを示す。それは、例えば、組み換え作製され得るポリペプチドをコードする、天然に存在する核酸、または部分的もしくは完全に天然には存在しない核酸をさす。核酸は、化学的な手段により単離または合成されたDNA断片から構築されてもよい。核酸は、例えば、発現プラスミドまたは宿主細胞のゲノム/染色体の中のもう一つの核酸に組み込まれ得る。プラスミドには、シャトルベクターおよび発現ベクターが含まれる。典型的には、プラスミドは、細菌におけるベクターの複製および選択のため、それぞれ、複製開始点(例えば、ColE1複製開始点)および選択可能マーカー(例えば、アンピシリンまたはテトラサイクリンに対する耐性遺伝子)を含む原核生物繁殖ユニットも含むであろう。核酸は、個々のヌクレオチドからなるその配列、またはその核酸分子によりコードされたアミノ酸配列によっても特徴付けられる。
「発現カセット」とは、少なくとも宿主細胞に含有されている構造遺伝子の発現および分泌のために必要な要素を含有している核酸をさす。
「遺伝子」とは、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の発現をもたらすことができる、例えば、染色体上またはプラスミド上のセグメントである核酸を示す。コーディング領域、即ち、構造遺伝子に加えて、遺伝子には、その他の機能要素、例えば、シグナル配列、プロモーター、イントロン、および/またはターミネーターが含まれる。
「構造遺伝子」とは、シグナル配列のない遺伝子の領域、即ち、コーディング領域を示す。
「選択可能マーカー」という用語は、この核酸を保持している細胞が、対応する「選択剤」の存在下で、特異的に選択されるか、または選択排除されることを可能にする核酸を示す。有用な陽性選択可能マーカーは、例えば、抗生物質耐性遺伝子である。選択可能マーカーは、それにより形質転換された細胞が、対応する選択剤の存在下で選択されることを可能にし;非形質転換細胞は、これらの選択培養条件の下で増殖または生存することができない。選択可能マーカーは、陽性、陰性、または二機能性であり得る。陽性選択マーカーは、マーカーを保持している細胞の選択を可能にし、陰性選択マーカーは、マーカーを保持している細胞を選択的に排除することを可能にする。典型的には、選択可能マーカーは、薬物に対する耐性を付与するか、または細胞における代謝もしくは異化の欠陥を補うであろう。真核細胞と共に有用な選択マーカーには、例えば、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(hyg)、ネオマイシン、およびG418 APHのようなアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(APH)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、チミジンキナーゼ(tk)、グルタミンシンテターゼ(GS)、アスパラギンシンテターゼ、トリプトファンシンテターゼ(選択剤インドール)、ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ(選択剤ヒスチジノールD)の遺伝子、ならびにピューロマイシン、ブレオマイシン、フレオマイシン、クロラムフェニコール、Zeocin、およびミコフェノール酸に対する耐性を提供する遺伝子が含まれる。さらなる選択可能マーカーは、例えば、WO 92/08796およびWO 94/28143に記載されている。
「プロモーター」とは、機能的に連結された核酸の転写を制御する核酸、即ち、ポリヌクレオチド配列をさす。プロモーターは、RNAポリメラーゼの結合および転写開始のためのシグナルを含む。使用されるプロモーターは、機能的に連結された核酸の発現が企図される細胞型の宿主細胞において機能可能なものであろう。多様な異なる起源に由来する構成性プロモーター、誘導可能プロモーター、および抑制可能プロモーターを含む多数のプロモーターが、当技術分野において周知である(そして、GenBankのようなデータベースにおいて同定される)。それらは、(例えば、ATCCのような寄託機関、およびその他の商業的または個人的な供給元からの)クローニングされたポリヌクレオチドとして、またはクローニングされたポリヌクレオチドの内部に入手可能である。「プロモーター」は、例えば、機能的に連結された構造遺伝子の転写を指図するヌクレオチド配列を含む。典型的には、プロモーターは、構造遺伝子の転写開始部位に近位の、遺伝子の5'非コーディング領域または5'非翻訳領域(5'UTR)に位置する。転写の開始において機能するプロモーター内の配列要素は、しばしば、コンセンサスヌクレオチド配列を特徴とする。これらの配列要素には、RNAポリメラーゼ結合部位、TATA配列、CAAT配列、分化特異的要素(DSE;McGehee, R.E., et al, Mol. Endocrinol. 7 (1993) 551-560)、サイクリックAMP応答要素(CRE)、血清応答要素(SRE;Treisman, R., Seminars in Cancer Biol. 1 (1990) 47-58)、グルココルチコイド応答要素(GRE)、ならびにCRE/ATF(O'Reilly, M.A., et al., J. Biol. Chem. 267 (1992) 19938-19943)、AP2(Ye, J., et al., J. Biol. Chem. 269 (1994) 25728-25734)、SP1、cAMP応答要素結合タンパク質(CREB;Loeken, M.R., Gene Expr. 3 (1993) 253-264)、およびオクタマー要素(一般に、Watson, J.D., et al., eds., Molecular Biology of the Gene, 4th ed., The Benjamin/Cummings Publishing Company, Inc. (1987);およびLemaigre, F.P. and Rousseau, G. G., Biochem. J. 303 (1994) 1-14を参照のこと)のような他の転写因子の結合部位が含まれる。プロモーターが誘導可能プロモーターである場合には、転写速度が誘導剤に応答して増加する。対照的に、プロモーターが構成性プロモーターである場合、転写の速度は誘導剤によって調節されない。抑制可能プロモーターも公知である。例えば、c-fosプロモーターは、細胞表面上の受容体への成長ホルモンの結合により特異的に活性化される。テトラサイクリン(tet)により調節される発現は、例えば、2個のTetオペレーター部位が後続するCMVプロモーターからなる人工ハイブリッドプロモーターにより達成され得る。Tetリプレッサーが、2個のTetオペレーター部位に結合し、転写を阻止する。誘導剤テトラサイクリンの添加により、Tetオペレーター部位からTetリプレッサーが放出され、転写が進行する(Gossen, M. and Bujard, H., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 (1992) 5547-5551)。メタロチオネインおよび熱ショックプロモーターを含むその他の誘導可能プロモーターに関しては、例えば、Sambrook, et al.(前記)およびGossen, et al., Curr. Opin. Biotech. 5 (1994) 516-520を参照のこと。高レベル発現のための強力なプロモーターとして同定されている真核生物プロモーターには、SV40初期プロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター、マウスメタロチオネイン-Iプロモーター、ラウス肉腫ウイルス末端反復配列、チャイニーズハムスター伸長因子1アルファ(CHEF-1、例えば、US 5,888,809を参照のこと)、ヒトEF-1アルファ、ユビキチン、およびヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(CMV IE)が含まれる。エンハンサー(即ち、転写を増加させるためにプロモーターに作用するシス作用性DNA要素)が、プロモーター単独で入手される発現のレベルを増加させるためプロモーターと共に機能することが必要であるかもしれず、転写調節要素として含まれ得る。しばしば、プロモーターを含有しているポリヌクレオチドセグメントは、エンハンサー配列も含むであろう(例えば、CMVまたはSV40)。
「機能的に連結された」とは、二つ以上の成分の並置をさし、そのように記載された成分は、それらが意図された様式で機能することを許容する関係にある。例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサーは、それが連結されたコーディング配列の転写を制御または調整するようシス作用する場合、そのコーディング配列と機能的に連結されている。必ずしもそうではないが、一般には、「機能的に連結された」DNA配列は連続しており、分泌リーダー/シグナル配列およびポリペプチドのような二つのタンパク質コーディング領域を接合する必要がある場合には、連続しており、かつリーディングフレーム内にある。しかしながら、機能的に連結されたプロモーターは、一般に、コーディング配列の上流に位置するが、必ずしも隣接していなくてもよい。エンハンサーは連続している必要はない。エンハンサーがコーディング配列の転写を増加させる場合、そのエンハンサーはそのコーディング配列に機能的に連結されている。機能的に連結されたエンハンサーは、コーディング配列の上流、内部、または下流、そしてプロモーターからの相当の距離に位置し得る。転写がコーディング配列を通ってポリアデニル化配列へと進行するような方式で、ポリアデニル化部位がコーディング配列の下流末端に位置する場合、そのポリアデニル化部位はそのコーディング配列に機能的に連結されている。連結は、当技術分野において公知の組み換え法により、例えば、PCR方法論を使用して、かつ/または便利な制限部位におけるライゲーションにより、達成される。便利な制限部位が存在しない場合には、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが、従来の実務に従い使用される。
「発現」という用語は、本明細書において使用されるように、細胞内で起こる転写および/または翻訳をさす。宿主細胞における所望の産物の転写のレベルは、細胞中に存在する対応するmRNAの量に基づき決定され得る。例えば、選択された核酸から転写されたmRNAは、PCRにより、またはノーザンハイブリダイゼーションにより定量され得る(Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)を参照のこと)。選択された核酸によりコードされたタンパク質は、様々な方法により、例えば、ELISAにより、タンパク質の生物学的活性についてアッセイすることにより、またはタンパク質を認識し、それに結合する抗体を使用することによる、ウェスタンブロッティングもしくはラジオイムノアッセイのような、そのような活性に依存しないアッセイを使用することにより、定量され得る(Sambrook et al., 1989(前記)を参照のこと)。
「宿主細胞」とは、異種ポリペプチドをコードする核酸が導入される細胞をさす。宿主細胞には、核酸(例えば、プラスミド)の繁殖のために使用される原核細胞、および核酸(例えば、構造遺伝子)によりコードされたポリペプチドの発現のために使用される真核細胞の両方が含まれる。典型的には、真核細胞は哺乳動物細胞である。
「ポリペプチド」とは、天然に作製されたものであってもよいし、または合成的に作製されたものであってもよい、ペプチド結合により接合されたアミノ酸残基の重合体である。約20アミノ酸残基未満のポリペプチドは「ペプチド」と呼ばれることもある。二つ以上のアミノ酸鎖を含むか、または100アミノ酸以上の長さのアミノ酸鎖を含むポリペプチドは、「タンパク質」と呼ばれることもある。「タンパク質」とは、一つまたは複数のアミノ酸鎖を含む高分子であり、単鎖の場合、この鎖は100アミノ酸以上の長さを有する。ポリペプチドまたはタンパク質は、炭水化物基のような非ペプチド成分も含み得る。炭水化物およびその他の非ペプチド置換基は、タンパク質が産生される細胞によりタンパク質に付加され得、細胞の型によって変動し得る。タンパク質およびポリペプチドは、本明細書中、それらのアミノ酸骨格構造に関して定義され;炭水化物基のような付加は、一般に、明示されないが、にも関わらず存在していてもよい。
「異種DNA」または「異種ポリペプチド」とは、所定の宿主細胞内に天然には存在しないDNA分子もしくはポリペプチドまたはDNA分子の集団もしくはポリペプチドの集団をさす。特定の宿主細胞にとって異種のDNA分子は、宿主細胞由来DNAが非宿主細胞由来DNA(即ち、外因性DNA)と組み合わせられている限り、宿主細胞種に由来するDNA(即ち、内因性DNA)を含有していてもよい。例えば、プロモーターを含む宿主DNAセグメントに機能的に連結されたポリペプチドをコードする非宿主DNAセグメントを含有しているDNA分子は、異種DNA分子であると見なされる。反対に、異種DNA分子には、外因性プロモーターと機能的に連結された内因性構造遺伝子が含まれ得る。非宿主DNA分子によりコードされたペプチドまたはポリペプチドは、「異種」ペプチドまたは「異種」ポリペプチドである。
「クローニングプラスミド」とは、宿主細胞における自律複製能を有するベクター、コスミド、ファージミド、または細菌人工染色体(BAC)のような核酸分子である。クローニングプラスミドは、典型的には、例えば、プラスミドの必須の生物学的機能の喪失なしに決定可能な様式での核酸の挿入を可能にする一つまたは少数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含有しており、クローニングプラスミドにより形質転換された細胞の同定および選択において使用するために適した選択可能マーカーを提供するヌクレオチド配列も含有している。選択可能マーカーには、典型的には、テトラサイクリン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、またはアンピシリンに対する耐性を提供する遺伝子が含まれる。
「発現プラスミド」とは、宿主細胞において発現されるポリペプチドをコードする核酸分子である。典型的には、発現プラスミドは、複製開始点および選択可能マーカーを含む、例えば大腸菌のための原核生物プラスミド繁殖ユニット、真核生物選択可能マーカー、ならびにプロモーター、構造遺伝子、およびポリアデニル化シグナルを含む転写ターミネーターを各々含む関心対象の核酸の発現のための一つまたは複数の発現カセットを含む。遺伝子発現は、通常、プロモーターの制御下に置かれており、そのような構造遺伝子はプロモーターに「機能的に連結されている」と言われる。同様に、調節要素がコアプロモーターの活性を調整する場合、その調節要素とそのコアプロモーターは機能的に連結されている。
「免疫グロブリン」という用語は、免疫グロブリン遺伝子により実質的にコードされた一つまたは複数のポリペプチドからなるタンパク質をさす。認識された免疫グロブリン遺伝子は、無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子と共に、異なる定常領域遺伝子を含んでいる。免疫グロブリンは、例えば、Fv、Fab、およびF(ab)2、さらに単鎖(scFv)または二重特異性抗体(diabodies)を含む多様なフォーマットで存在し得る(例えば、Huston, J.S., et al., PNAS USA 85 (1988) 5879-5883;Bird, R.E., et al., Science 242 (1988) 423-426;一般には、Hood, L.E., et al., Immunology, Benjamin N.Y., 2nd edition (1984);およびHunkapiller, T. and Hood, L.E., Nature 323 (1986) 15-16)。
免疫グロブリンは、一般に、二つのいわゆる軽鎖ポリペプチド(軽鎖)および二つのいわゆる重鎖ポリペプチド(重鎖)を含む。重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの各々は、抗原と相互作用することができる結合領域を含む可変ドメイン(可変領域、一般に、ポリペプチド鎖のアミノ末端部分)を含有している。重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの各々は、定常領域(一般に、カルボキシル末端部分)を含む。重鎖の定常領域は、(i)食細胞のようなFcガンマ受容体(FcγR)を保持している細胞または(ii)Brambell受容体としても公知の新生児Fc受容体(FcRn)を保持している細胞への抗体の結合を媒介する。また、それは、成分(C1q)のような古典補体系の因子を含むいくつかの因子との結合も媒介する。
次に、免疫グロブリンの軽鎖または重鎖の可変ドメインは、異なるセグメント、即ち、4個のフレームワーク領域(FR)および3個の超可変部位(CDR)を含む。
「免疫グロブリン断片」とは、免疫グロブリンの重鎖の可変ドメイン、CH1ドメイン、ヒンジ領域、CH2ドメイン、CH3ドメイン、CH4ドメイン、または免疫グロブリンの軽鎖の可変ドメインもしくはCLドメインを含むドメイン群の少なくとも1個のドメインを含むポリペプチドを示す。また、それらの誘導体および変異体も含まれる。さらに、1個または複数個のアミノ酸またはアミノ酸領域が欠失している可変ドメインも存在し得る。
「免疫グロブリンコンジュゲート」とは、ペプチド結合を介してさらなるポリペプチドにコンジュゲートされた免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の少なくとも1個のドメインを含むポリペプチドを示す。さらなるポリペプチドは、ホルモン、増殖受容体、抗膜融合ペプチド等のような非免疫グロブリンペプチドである。
「分裂促進性受容体」とは、活性化または不活化された場合に、細胞分裂、即ち、細胞増殖に正または負の影響を与える受容体である。「細胞分裂に正の影響を与える」という用語は、分裂促進性受容体が細胞分裂を促進することを示す。好ましくは、分裂促進性受容体は、細胞内リン酸化部位を有する膜貫通型受容体である。このリン酸化部位がリン酸化された場合に、受容体は細胞増殖を活性化する。好ましい分裂促進性受容体はキメラErbB2/IGF-I受容体である。
「構成的活性型」という用語は、受容体が、さらなる結合パートナー、即ち、活性化シグナルの必要なしに活性型である、即ち、細胞分裂に正の影響を与えることを示す。これは、例えば、受容体のアミノ酸配列への変異の導入により達成され得る。好ましい構成的活性型分裂促進性受容体はキメラErbB2V→E/IGF-I受容体である。
インスリン様増殖因子I受容体(IGF-IR、EC 2.7.1.112、CD221抗原、IGF-IRとも示される)は、膜貫通型タンパク質チロシンキナーゼのファミリーに属している(LeRoith, D., et al., Endocrin. Rev. 16 (1995) 143-163;Adams, T.E., et al., Cell. Mol. Life Sci. 57 (2000) 1050-1093)。IGF-IRは、インビボで高い親和性でIGF-Iに結合し、このリガンドに対する生理学的応答を開始させる。IGF-IRは、IGF-IIにも結合するが、親和性はわずかに低い。例えば、IGF-I(以後、一般に、エフェクターまたはリガンドとも示される)との結合によるIGF-IRの活性化は、分裂促進効果および代謝効果をもたらす細胞シグナル伝達カスケードを誘発する(例えば、Humbel, R.E., Eur. J. Biochem. 190 (1990) 445-462を参照のこと)。IGF-IRへのエフェクターの結合は、チロシンキナーゼの活性化をもたらす。増殖因子受容体の点変異により、受容体チロシンキナーゼの構成的活性化が達成され得る。例えば、V664E NeuまたはV664Q Neu(Bargmann, C.I., et al., Cell 45 (1986) 649-657)、V922E IGF-IR(Takahashi, K., et al., J. Biol. Chem. 270 (1995) 19041-19045)、L301S CSF-1RまたはY969F CSF-1R(Roussel, M.F., Cell 55 (1988) 979-988)、C332Y FGFR-2(Neilson, K.M. and Friesel, R.E., J. Biol. Chem. 270 (1995) 26037-26040)、V938D IR(Longo, N., J. Biol. Chem. 267 (1992) 12416-12419)、V560G c-KitまたはD814V c-Kit(Furitsa, T., et al., J. Clin. Invest. 92 (1993) 1736-1744)。例えば、IGF-IRのV922E変異は、変異型IGF-IRの構成的に強化されたチロシンキナーゼ活性をもたらす。V922E IGF-IRを発現しているCHO細胞は、有意に刺激されたグルコース取り込みを示したが、IGF-Iの非存在下では分裂促進を促進しなかった。
細胞の分裂促進活性は、例えば、チミジン取り込みアッセイ、またはXTTを用いた細胞増殖アッセイにより決定され得る(例えば、Scudiero, D.A., et al., Cancer Res. 48 (1988) 4827-4833を参照のこと)。
構成的活性型分裂促進性受容体になるための分裂促進性受容体の修飾の部位は、例えば、膜貫通ストレッチ内にあり得る。導入された修飾は、細胞内キナーゼドメインのコンフォメーション変化をもたらし、ドメインの構成的活性化をもたらすかもしれない。この構成的活性化は、修飾された受容体のリガンド非依存性の活性化を提供する。そのような分裂促進性受容体が構成的活性型である場合、それは、それを含む細胞に、増強された増殖能を提供する。この増殖能は、通常分裂促進特性を活性化するであろう未修飾受容体のリガンドの存在とは無関係に、そのような構成的活性型分裂促進性受容体の存在下で存在する。一つの態様において、本発明に係る細胞は、懸濁物中で増殖している。もう一つの態様において、本発明に係る細胞は、無血清培地における増殖に順応している。構成的活性型分裂促進性受容体を提供する細胞は、増殖のため受容体の対応するリガンドに依存しない、即ち、それは、増殖促進リガンドの非存在下ですら増殖することができる。構成的活性型分裂促進性受容体は、細胞外ドメイン、膜貫通ストレッチ、膜貫通ストレッチの直後のチロシンキナーゼドメイン、および親水性細胞内ドメインを保有している。該受容体は、依然として、その活性化リガンドに結合する特性を有する。
本発明の一つの態様は、CHO細胞において発現された変異V659Eを有するErbB2受容体の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン(ErbB2受容体のアミノ酸(AA)1-682、ヒトErbB2受容体についてはSEQ ID NO:9を参照のこと)ならびにIGF-I受容体β-サブユニットの細胞質ドメイン(IGF-I受容体のAA 929-1337、ヒトIGF-I受容体についてはSEQ ID NO:10を参照のこと)を含む融合ポリペプチドである構成的活性型分裂促進性受容体を含む。「AA」という用語は、「アミノ酸の位置」のために使用される。
「アミノ酸」という用語は、本願において使用されるように、直接または前駆体の形態で核酸によりコードされ得るカルボキシα-アミノ酸の群を意味する。アミノ酸の群には、アラニン(三文字記号:ala、一文字記号:A)、アルギニン(arg、R)、アスパラギン(asn、N)、アスパラギン酸(asp、D)、システイン(cys、C)、グルタミン(gln、Q)、グルタミン酸(glu、E)、グリシン(gly、G)、ヒスチジン(his、H)、イソロイシン(ile、I)、ロイシン(leu、L)、リジン(lys、K)、メチオニン(met、M)、フェニルアラニン(phe、F)、プロリン(pro、P)、セリン(ser、S)、トレオニン(thr、T)、トリプトファン(trp、W)、チロシン(tyr、Y)、およびバリン(val、V)が含まれる。
従って、本発明の一つの局面は、構成的活性型分裂促進性受容体を発現しているCHO細胞である。この局面の一つの態様において、CHO細胞は、SEQ ID NO:3に示される、変異V659Eを有するErbB2受容体の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン(アミノ酸(AA)1-682)ならびにアミノ酸配列を有するIGF-I受容体β-サブユニットの細胞質ドメイン(AA 929-1337)をコードする核酸を含んでいる。本発明のもう一つの態様において、CHO細胞は、CHO-K1細胞、CHO-DHFR-細胞(DSMZ ACC 126)、またはCHO DG44細胞、好ましくは、CHO-K1細胞である。
本発明の第二の局面は細胞株CHO-K1 ErbB2V>E/IGF-I DSM ACC2851である。
本発明のもう一つの局面は、以下の工程を含む、構成的活性型分裂促進性受容体を有する本発明に係るCHO細胞を入手するための方法である:
(a)(i)2個のloxP部位(一方は発現カセットの3'位(下流)、他方は5'位(上流))に隣接している選択可能マーカーをコードする核酸を含む発現カセット、
(ii)任意で、トランスフェリンをコードする核酸を含む発現カセット、
(iii)構成的活性型分裂促進性受容体をコードする核酸を含む発現カセット
を含む第一の核酸を、CHO細胞にトランスフェクトする工程、
(b)第一の核酸をトランスフェクトされたCHO細胞を選択する工程、
(c)CREリコンビナーゼ発現カセットを含む第二の核酸を、工程(b)で選択されたCHO細胞にトランスフェクトする工程、
(d)構成的活性型分裂促進性受容体を有するCHO細胞として、第二の核酸をトランスフェクトされたCHO細胞を選択する工程。
本発明を実施するための有用な方法および技術は、例えば、Ausubel, F.M. (ed.), Current Protocols in Molecular Biology, Volumes I to III (1997);Glover, N.D., and Hames, B.D., ed., DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes I and II (1985), Oxford University Press;Freshney, R.I. (ed.), Animal Cell Culture - a practical approach, IRL Press Limited (1986);Watson, J. D., et al., Recombinant DNA, Second Edition, CHSL Press (1992);Winnacker, E.L., From Genes to Clones; N.Y., VCH Publishers (1987);Celis, J., ed., Cell Biology, Second Edition, Academic Press (1998);Freshney, R.I., Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, second edition, Alan R. Liss, Inc., N.Y. (1987)に記載されている。
loxP-CREリコンビナーゼ系は、loxP部位が組み換えの部位を定義し、CREリコンビナーゼが核酸の組み換えを触媒する、部位特異的組み換え系である(Sternberg, N. and Hamilton, D., J. Mol. Biol. 150 (1981) 467-486;Abremski, K. and Hoess, R.E., Gene 25 (1983) 49-58;Hoess, R.E., and Abremski, K., J. Mol. Biol. 181 (1985) 351-362)。
本発明の本局面の一つの態様において、工程(b)のトランスフェクトされたCHO細胞は、構成的活性型分裂促進性受容体を発現する。好ましい態様において、構成的活性型分裂促進性受容体は、変異V659Eを有するErbB2受容体の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン(アミノ酸(AA)1-682)ならびにIGF-I受容体β-サブユニットの細胞質ドメイン(AA 929-1337)を含む。もう一つの好ましい態様において、構成的活性型分裂促進性受容体は、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を有する。
本発明に係るCHO細胞は、構成的活性型分裂促進性受容体を有するCHO細胞であり、もう一つの態様において、トランスフェクトされたCHO細胞は、第一の核酸に含まれる選択可能マーカーの欠如について工程(d)において選択される。さらにもう一つの態様において、工程(d)において選択されるトランスフェクトされたCHO細胞は、第一の核酸の選択可能マーカーによる選択剤、即ち、第一の核酸が耐性を提供する選択剤の存在下で増殖していない。驚くべきことに、構成的活性型キメラErbB2V→E/IGF-I分裂促進性受容体を発現する本発明に係るCHO-K1細胞は、改善された増殖特徴を有することが、本発明において見出された。一つの態様において、該CHO細胞は、培養中、少なくとも5×106細胞/mlの最大細胞密度にまで増殖する。好ましい態様において、該CHO細胞は、培養中、少なくとも8×106細胞/mlの最大細胞密度にまで増殖する。さらなる態様において、該最大細胞密度は60〜70mlの容量で2〜3×105細胞/mlの細胞密度から出発して8〜12世代以内に達成される。もう一つの態様において、該CHO細胞の培養は流加培養である。一つの態様において、該CHO細胞により達成される細胞密度は、少なくとも5世代にわたり、流加培養としての6世代の培養後に達成される細胞密度の95%以上である。もう一つの態様において、該CHO細胞により達成される細胞密度は、少なくとも6世代にわたり、流加培養としての6世代の培養後の細胞密度の75%以上である。さらなる態様において、6世代の培養後の該細胞密度は、60〜70mlの容量で2〜3×105細胞/mlの細胞密度から出発して達成される。細胞密度は実施例において報告されるようなCASYにより決定される。
本発明の第四の局面は、構成的活性型分裂促進性受容体を発現している本発明に係るCHO細胞における異種ポリペプチドの組み換え作製のための方法である。一つの態様において、異種ポリペプチドは生物学的活性を有するポリペプチドである。
「生物学的活性を有するポリペプチド」という用語は、本明細書において使用されるように、細胞株およびウイルスを使用したバイオアッセイのような人工的な生物学的系に投与された場合に、または動物(トリまたはヒトを含む哺乳動物を含むが、これらに限定はされない)にインビボ投与された場合に、生物学的効果を引き起こす有機分子、例えば、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、合成のポリペプチドまたはタンパク質のような生物学的高分子をさす。この生物学的効果は、酵素の阻害または活性化、結合部位またはその周辺における受容体またはリガンドとの結合、シグナル誘発またはシグナル調整であり得るが、これらに限定はされない。生物学的活性を有する分子は、非限定的に、例えば、免疫グロブリン、またはホルモン、またはサイトカイン、または増殖因子、または受容体リガンド、またはアゴニストもしくはアンタゴニスト、または細胞障害剤、または抗ウイルス剤、またはイメージング剤、または酵素阻害剤、酵素活性化剤、もしくはアロステリック物質のような酵素活性調整剤である。一つの態様において、異種ポリペプチドは、免疫グロブリン、免疫グロブリンコンジュゲート、または抗膜融合ペプチドである。
「抗膜融合ペプチド」とは、とりわけ、膜融合による未感染細胞へのウイルス感染の阻害を含む、膜融合に関連した事象、または膜融合事象それ自体を阻害するペプチドである。これらの抗膜融合ペプチドは、好ましくは、直鎖状ペプチドである。例えば、それらは、例えば、DP107、DP178のようなgp41外部ドメインに由来し得る。そのようなペプチドの例は、US 5,464,933、US 5,656,480、US 6,013,263、US 6,017,536、US 6,020,459、US 6,093,794、US 6,060,065、US 6,258,782、US 6,348,568、US 6,479,055、US 6,656,906、WO 1996/19495、WO 1996/40191、WO 1999/59615、WO 2000/69902、およびWO 2005/067960に見出され得る。例えば、そのようなペプチドのアミノ酸配列は、US 5,464,933のSEQ ID NO:1〜10;US 5,656,480のSEQ ID NO:1〜15;US 6,013,263のSEQ ID NO:1〜10および16〜83;US 6,017,536のSEQ ID NO:1〜10、20〜83、および139〜149;US 6,093,794のSEQ ID NO:1〜10、17〜83、および210〜214;US 6,060,065のSEQ ID NO:1〜10、16〜83、および210〜211;US 6,258,782のSEQ ID NO:1286および1310;US 6,348,568のSEQ ID NO:1129、1278〜1309、1311、および1433;US 6,479,055のSEQ ID NO:1〜10および210〜238;US 6,656,906のSEQ ID NO:1〜171、173〜216、218〜219、222〜228、231、233〜366、372〜398、400〜456、458〜498、500〜570、572〜620、622〜651、653〜736、739〜785、787〜811、813〜815、816〜823、825、827〜863、865〜875、877〜883、885、887〜890、892〜981、986〜999、1001〜1003、1006〜1018、1022〜1024、1026〜1028、1030〜1032、1037〜1076、1078〜1079、1082〜1117、1120〜1176、1179〜1213、1218〜1223、1227〜1237、1244〜1245、1256〜1268、1271〜1275、1277、1345〜1348、1350〜1362、1364、1366、1368、1370、1372、1374〜1376、1378〜1379、1381〜1385、1412〜1417、1421〜1426、1428〜1430、1432、1439〜1542、1670〜1682、1684〜1709、1712〜1719、1721〜1753、1755〜1757;またはWO 2005/067960のSEQ ID NO:5〜95を含む。一つの態様において、抗膜融合ペプチドは、5〜100アミノ酸、好ましくは10〜75アミノ酸、より好ましくは15〜50アミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。
もう一つの態様において、異種ポリペプチドは、免疫グロブリン、免疫グロブリン断片、または免疫グロブリンコンジュゲートである。
本発明のこの局面は、本発明に係る細胞における異種ポリペプチドの組み換え作製のための方法を含む。組み換え作製のための細胞は、異種ポリペプチドの発現のための発現カセットを含む第三の核酸を含む。この第三の核酸は、例えば、発現プラスミドに載せられて細胞へ導入され、細胞が異種ポリペプチドの発現に適した条件の下で培養される。従って、本発明のもう一つの局面は、以下の工程を含む、異種ポリペプチドの作製のための方法である:
(a)構成的活性型キメラErbB2V→E/IGF-I分裂促進性受容体を発現しているCHO-K1細胞を準備する工程、
(b)異種ポリペプチドの発現のための発現カセットを含む核酸を該細胞にトランスフェクトする工程、
(c)該異種ポリペプチドを細胞または培養培地から回収する工程。
一つの態様において、該異種ポリペプチドは、免疫グロブリン、免疫グロブリン断片、または免疫グロブリンコンジュゲートである。
免疫グロブリン分子は、五つの異なるクラス:IgA(免疫グロブリンA)、IgD、IgE、IgGおよびIgMに割り当てられる。これらのうちIgGおよびIgEは、薬学的および診断的な適用において、より高頻度に使用されている。これらのクラス内で、免疫グロブリンは全体構造について異なっているが、ビルディングブロックは類似している。全ての免疫グロブリンが、二つの異なるポリペプチド鎖、軽鎖および重鎖から構築されている。
「免疫グロブリン断片」は、免疫グロブリンの軽鎖または重鎖のカルボキシ末端定常ドメインを含む。例えば、それは、免疫グロブリン重鎖のCH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、およびヒンジ領域のいずれかを少なくとも含み、任意で、CH4ドメイン、または免疫グロブリン軽鎖のCLドメインを含む。断片が由来する免疫グロブリンは、天然に存在する免疫グロブリンであってもよいし、または合成の免疫グロブリンであってもよく、げっ歯類免疫グロブリン、またはヒト化免疫グロブリン、またはヒト免疫グロブリンであり得る。本発明の一つの態様において、免疫グロブリン断片は、重鎖または軽鎖の可変ドメインの、またはそれらの変異型の断片をさらに含有している。可変ドメイン断片においては、アミノ酸または領域が欠失している。一つの態様において、可変ドメインの1〜6個のアミノ酸が欠失している。もう一つの態様において、可変ドメインの1〜6個の領域が欠失している。さらなる態様において、可変ドメインが欠失している。一つの態様において、免疫グロブリン断片に含まれる可変ドメインおよび定常ドメインは、同一抗体のものである/同一抗体に由来する、即ち、同一抗体に属する。
発現のため、異種ポリペプチドをコードする核酸は、機能的に連結された形態で本発明に係るCHO細胞における異種ポリペプチドの発現のために必要とされる全ての要素を含む発現プラスミドへ導入される。
一つの態様において、CHO細胞は、異種ポリペプチドをコードする核酸を含む。一つの態様において、異種ポリペプチドはヒトポリペプチドである。もう一つの態様において、ポリペプチドは、免疫グロブリン、または免疫グロブリン重鎖、または免疫グロブリン軽鎖、または免疫グロブリン断片、または免疫グロブリンコンジュゲートより選択される。
本発明に係る好ましい細胞株、細胞株CHO-K1 ErbB2V>E/IGF-Iは、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約の下で、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)(Germany)に、2007年6月13日に、アクセッション番号DSM ACC2851で寄託された。
以下の実施例、配列表、および図面は、本発明の理解を支援するために提供される。本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲に示される。本発明の本旨を逸脱することなく、示された手順に修飾がなされ得ることが理解される。
実施例
本発明に係るCHO細胞株は、懸濁培養物中での増殖に順応させられたCHO-K1細胞株(ATCC CCL-61)である親CHO-K1(W)細胞株から開始して、3回の連続的な完全最適クローン選択作戦により作成された。
実施例1
プラスミド5519-pUCの作成
プラスミド5519-pUCは、構成的活性型分裂促進性受容体(キメラ受容体ErbB2V→E/IGF-IR)のための発現カセット、トランスフェリンの発現のための発現カセット、およびピューロマイシンに対する耐性を付与する選択可能マーカーのための発現カセットを提供する。
詳細には、プラスミド5519-pUCは、以下の要素を含む:
−2個のloxP部位に隣接しているピューロマイシン選択可能マーカーを含む核酸(SEQ ID NO:1);この核酸は以後puro-loxPと表記される。
−大腸菌におけるプラスミドの複製および増殖のためのpUC複製開始点、
−ベータ-ラクタマーゼ遺伝子(β-ラクタマーゼ遺伝子)、
−トランスフェリン構造遺伝子、シグナルペプチド、SV40初期プロモーターおよび開始点、ならびにトランスフェリンオープンリーディングフレームのcDNA配列を含む核酸(Yang, F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81 (1984) 2752-6)(SEQ ID NO:2)、
−SV40初期プロモーター配列および開始点配列、ならびに変異V659Eを有するErbB2受容体の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン(アミノ酸(AA)1-682)ならびにIGF-I受容体β-サブユニットの細胞質ドメイン(AA 929-1337)(SEQ ID NO:3)をコードするcDNA配列を含む核酸(Belaus, A., et al., J. Steroid. Biochem. Mol. Biol. 85 (2003) 105-15)。このキメラ受容体はErbB2V→E/IGF-IRと呼ばれる。
プラスミド5519-pUCの要素を、ベクター4699-pUC-Hygに導入した。プラスミド5519-pUCの注釈付きのプラスミド地図は、図1に示される。
ベクター4699-pUC-Hygは、ベクターpcDNA3.1/Hygro(+)(Cat-No.:V870-20, Invitrogen Corp., USA)のヌクレオチド1731から開始してヌクレオチド5590までの3860bp DNA断片のPCR増幅により入手された。AscI、SgrAI、AscI、SbfI、およびBamHI制限部位を含有しているPCRプライマー(順方向プライマー:
Figure 2010530228
;逆方向プライマー:
Figure 2010530228
により、付加的な56bp核酸断片を導入した。得られたPCR産物の再ライゲーションが、Sse38387I制限部位内で起こり、3916bpを含む環状プラスミド4699-pUC-Hygが得られた。
プラスミド4699-pUC-Hygは以下の要素を含む:
−ハイグロマイシン選択可能マーカー(hyg)を含む核酸
−大腸菌におけるプラスミドの複製および増殖のためのpUC複製開始点、
−ベータ-ラクタマーゼ遺伝子。
プラスミド4699-pUC-Hygの注釈付きのプラスミド地図は、図2に示される。
実施例2
プラスミド5519-pUCのCHO-K1細胞へのトランスフェクション
構成的活性型分裂促進性受容体を有するCHO細胞を入手するため、CHO-K1細胞を無血清培地における増殖に順応させた。基本のCHO-K1細胞株は、American Type Culture Collection(ATCC CCL-61)より入手された。このCHO-K1細胞株の誘導および作出は、Kao, F.T. and Puck, T.T., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 60 (1968) 1275-81;およびPuck, T. T., et al., J. Exp. Med. 108 (1958) 945-56により記載されている。
順応させられた細胞株をCHO-K1(W)と命名した。この細胞株は、外来DNA、例えば、トランスフェクション法により組み込まれた外来DNAを含有しておらず、合成動物性成分不含ProCHO4培地(Cambrex Corp., USA)中での懸濁培養における増殖に順応している。この培地には、8mMグルタミン(Gln)および1×HT(ヒポキサンチン-チミジン)補助剤が補足されており、以後、ProCHO4完全培地と表記される。
トランスフェクション前に、アンピシリン選択可能マーカー(遺伝子)の近位の単一のSspI制限部位を使用して、プラスミド5519-pUCを直鎖化した。2mmギャップの電気穿孔キュベットを有するGene Pulser XCell電気穿孔装置(Bio-Rad Laboratories GmbH, Germany)を使用して、直鎖化DNAをCHO-K1(W)細胞に電気穿孔した。使用された電気穿孔パルスは、全量200μlのダルベッコPBS(Cat No:D8537, Sigma-Aldrich GmbH, Seelze, Germany)中の20μgのプラスミドDNAおよび7.5×106細胞に適用された160V/15msであった。その後、細胞をProCHO4完全培地に再懸濁させ、5000細胞/ウェルで20枚の96穴マルチウェルプレートに播種した。24時間後、増殖培地をProCHO4完全選択培地(5μg/mlピューロマイシンが補足されたProCHO4完全培地)に変更した。
実施例3
細胞株CHO-K1-5519-1B6の作成
実施例2のトランスフェクトされた細胞を、ProCHO4完全選択培地中で2〜4週間培養した。安定的にトランスフェクトされた細胞クローンを入手するため、二つの選択工程を実施した。
(a)第一選択工程:
二つの異なる基準を、繁殖のためのクローンを選び出すために使用した。
視覚的選択
視覚的に優勢に見えるクローンを、24穴マルチウェルプレート(非組織培養処理;Becton Dickinson、表面積:2.0cm2)に移した。
細胞増殖アッセイ
WST-I細胞増殖アッセイ(Roche Diagnostics GmbH, Germany)を、増殖パラメーターによる付加的なクローンの選択のために実施した。最も高い吸光度を有するクローンを選択し、24穴マルチウェルプレートに移した。
クローンの細胞増殖および生存性をWST-I比色定量アッセイにより決定した。アッセイは、細胞の代謝活性と、ミトコンドリアデヒドロゲナーゼによるWST-I試薬の切断により生成するホルマザン色素の蓄積の増加量との直接相関に基づく。
アッセイのため、細胞を複製した。一つのアリコートを96穴マルチウェルプレートのウェルへ100μlの最終容量で10分の1に分割した。24時間の培養時間の後、WST-I細胞増殖試薬10μlを各ウェルに添加した。その後、細胞を37℃/5%CO2でさらに2時間インキュベートした。試料の吸光度を、620nmの参照波長を用いて、450nmで、Tecanリーダ(Spectrafluorplus, Tecan Deutschland GmbH, Germany)を使用して測定した。
(b)第二選択工程
24穴マルチウェルプレート、6穴マルチウェルプレート、そして最後にシェーカーフラスコフォーマットにおけるさらなるクローン選択のため、定義された播種戦略を使用した。従って、3×105細胞/mlをそれぞれの細胞培養容器に播種し、4日後および7〜8日後の細胞密度および生存性をCASY細胞計数器(Scharfe Systems, Reutlingen, Germany)を使用して決定した。37℃で30分間、細胞懸濁物200μlをトリプシン20μlと共にインキュベートすることにより、細胞塊を溶解させた。測定のため、50または100μlの脱凝集した細胞懸濁物を、CASYton緩衝液(Scharfe Systems GmbH, Germany)10mlで希釈し、そのうちの400μl中の全生存可能細胞濃度を、Cell Counter and Analyzer-System CASY(Scharfe System GmbH, Germany)を使用した電子パルス面積分析によりトリプリケートで決定した。150μmキャピラリーを使用した測定の結果は、サイズ分布曲線である。サイズ分布は、三つの型の粒子に分類される:細胞片として3.4〜5μm;死細胞として5〜10μm;生存可能細胞として10〜30μm。
4日後(速い増殖を示す)および7〜8日後に最も高い細胞密度を有する細胞クローンを同定し増幅した。例示的な結果を表1に示す。
(表1)回分培養条件(全容量:ProCHO4完全培地中62.5ml)下での125mlシェーカーフラスコにおける培養のCASY選択の例示的な結果
Figure 2010530228
最適な増殖特性を有するトランスフェクタント混合細胞クローンCHO-K1-5519-1B6を、クローン選択の第一ラウンドの後に選択した。
実施例4
細胞株CHO-K1(PuDL)の作成
フローサイトメトリー(蛍光標示式細胞分取、FACS)による単細胞沈着工程を、細胞株CHO-K1(PuDL)の作成のために使用した。
実施例3において選択された最適な増殖特性を有するトランスフェクタント混合細胞クローンCHO-K1-5519-1B6を、4μg/mlピューロマイシンを含むProCHO4完全培地の中で培養した。対数増殖期の1×107細胞を採集し、細胞塊を排除するために40μmフィルター(BDファルコン;細胞ストレーナー、BD Biosciences, USA)に通すことにより脱凝集させ、遠心分離(300×gで10分)によりペレット化し、培地中の選択剤の存在なしに1〜2×106細胞/mlを含む溶液を入手するために5mlのProCHO4完全培地に再懸濁させた。FACSAriaセルソータ(BD Biosciences, USA)を使用して、細胞条件ProCHO4完全培地50μlおよび選択剤を含まない新鮮ProCHO4完全培地50μlを含有している20枚の96穴マルチウェルプレート(U型、Cellstar, Greiner bio-one, Frickenhausen, Germany)の各ウェルに、単細胞を沈着させた。単細胞沈着工程の2日後、8μg/mlピューロマイシンを含有している二倍濃縮選択ProCHO4完全培地100μlを添加した。82個の最初に出現したサブクローンを、17日後、24穴マルチウェルプレートへと拡張した。
24穴マルチウェルプレート、6穴マルチウェルプレート、およびシェーカーフラスコにおけるさらなるクローン選択のため、既に記載された定義された播種戦略を使用した(実施例3を参照のこと)。4日後および7〜8日後に最も高い細胞密度を有する細胞クローンを、それぞれ、同定し増幅した。ProCHO4完全培地中での流加懸濁培養(125ml Erlenmeyerフラスコ)における増殖の後、その増殖特徴に基づき、クローンCHO-K1-5519-1B6-18B3(以後、CHO-K1(PuDL)と示される)を選択した。
実施例5
CREリコンビナーゼ発現プラスミドの細胞株CHO-K1(PuDL)への一過性トランスフェクション
CREリコンビナーゼ発現プラスミドpMC-CREの構築は、Guら(Gu, H., et al. Cell 73 (1993) 1155-1164)により記載されている。それは、pMC1NeopA由来のプロモーター/エンハンサーおよびpA領域と共にCREコーディング部分を含有している。注釈付きのプラスミド地図については、図3を参照のこと。
トランスフェクションのため、製造業者の指示に従ってGene Pulser XCell電気穿孔装置(Bio-Rad Laboratories Inc., USA)を使用して、実施例4のCHO-K1(PuDL)細胞に環状プラスミドDNAを電気穿孔した。二つのトランスフェクションアプローチをプールし、4×105細胞/mlの密度で37.5mlのProCHO4完全培地に再懸濁させた。
実施例6
細胞株CHO-K1 ErbB2V>E/IGF-Iの選択
フローサイトメトリーによる単細胞沈着工程の前に、選択剤を含まないProCHO4完全培地の中で7世代(24日)にわたり実施例5の細胞を培養した。
この選択のため、細胞条件ProCHO4完全培地50μlおよび新鮮ProCHO4完全培地50μlを含有している20枚の96穴マルチウェルプレート(U型、Cellstar, Greiner Bio-One GmbH, Frickenhausen, Germany)の各ウェルに単細胞を沈着させるため、FACSAriaセルソータ(BD Biosciences)を使用した。単細胞沈着工程の3日後、新鮮ProCHO4完全培地100μlを添加した。15日間の培養の後、127個の最初に出現したサブクローンを、24穴マルチウェルプレートへと拡張した。さらなるクローン選択のため、既に記載された定義された播種戦略を使用した(実施例3)。9日後に最も高い細胞密度を有する31個の細胞クローンを、CASY Cell Counter-Systemを使用して同定した。
ProCHO4完全培地中での125mlの流加懸濁培養における増殖の後、その増殖特徴に基づき、クローンCHO-K1 ErbB2V>E/IGF-Iを選択した。クローンCHO-K1 ErbB2V>E/IGF-Iは、2007年6月13日にDSM ACC2851としてCHO-K1 ErbB2V>E/IGF-IとしてDSMZに寄託された。さらに、クローンCHO-K1 ErbB2V>E/IGF-Iは、選択マーカーピューロマイシン(5μg/ml)に対して感受性であると特徴決定され、それは、CHO-K1 ErbB2V>E/IGF-I細胞のpac-mRNA転写物の欠如を確証するRT-PCR分析により確認された。
細胞増殖アッセイ
上記のようなWST-I比色定量アッセイを、機能性核酸puro-loxPの除去の成功の間接的な決定のために使用した。従って、各サブクローンの細胞を、ピューロマイシンを含有していないProCHO4完全培地または5μg/mlピューロマイシンを含有しているProCHO4完全培地に再懸濁させた。各サブクローンの両方の細胞懸濁物を、5枚の96穴マルチウェルプレートに、3×103細胞/100μlの濃度でトリプリケートで播種した。5日間、10μlのWST-I細胞増殖試薬/ウェルを、5μg/mlピューロマイシンを含有しているかまたは含有してない一つのトリプリケートセットに毎日添加した。細胞を37℃/5%CO2で2時間インキュベートし、吸光度を、620nmの参照波長を用いて、450nmで、Tecanリーダ(Spectrafluorplus)を使用して測定した。ピューロマイシン不含培地と比較されたピューロマイシン含有ProCHO4完全培地における細胞増殖の阻害は、調査されたサブクローン31個中17個がピューロマイシン感受性であることを明らかにした。
RT-PCRによるサブクローンにおけるピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼmRNA分子の検出
選択されたサブクローンにおけるピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼmRNAの検出のため、LightCycler Instrument(Roche Diagnostics GmbH, Germany)を使用したハイブリダイゼーションプローブRT-PCRアッセイを開発した。
RNA単離:
RNeasyミニキット(Qiagen, Hilden, Germany)を使用して、6穴マルチウェルプレートにおいて増殖した細胞から全RNAを単離した。その抽出は製造業者のプロトコルに従って実施された。続いて、製造業者のプロトコルに従って、TURBO DNA-free Kit(Ambion Inc., Austin, TX, USA)を使用して、微量の夾雑DNAを除去した。RNA試料の定量化およびRNAの純度を、UVIKON 931分光光度計(Kontron Instruments, Italy)において260nmおよび280nmで吸光度を測定することにより決定した。
リアルタイムRT-PCRを使用したpac-mRNA検出のためのハイブリダイゼーションプローブアッセイ:
製造業者のプロトコルに従って、one-step-RT-PCR LightCycler RNA Hybprobeキット(Roche Diagnostics GmbH, Germany)を使用して、LightCycler装置において、各細胞クローンの単離された全RNAを逆転写し、続いて増幅した。「二次微分最大値法」を個々の試料についてのクロシングポイント(Cp)を決定するために使用した。利用されたプライマー対は、pac-mRNAの457bp断片を増幅する
Figure 2010530228
であった。Hybprobeプローブは、TIB MOLBIOL(Berlin, Germany)において設計され、フルオレセインまたはLightCycler Red 640で標識された。利用されたHybprobeのセットは、3'末端においてフルオレセインで標識された
Figure 2010530228
および5'末端においてLC Red 640色素で標識された
Figure 2010530228
であった。pacLCオリゴヌクレオチドプローブの遊離の3'-ヒドロキシ基はリン酸によりブロッキングされていた。正確な産物増幅を保証するため、PCRの後、全ての試料を、2%(w/w)アガロースゲル電気泳動により分離した。
反応混合物:20μlの全容量は、RNA Master Hybprobeミックス、各500nMの順方向プライマーおよび逆方向プライマー(pacFおよびpacR)、200nMの各プローブ(pacFLおよびpacLC)、3.25mMのMn(OAc)2、および100ナノグラムの全RNAを含有していた。RT-PCR条件は以下の通りであった:61℃20分および95℃2分のRT、95℃4秒、55℃15秒、および72℃20秒による45サイクルのPCR。
実施例7
ErbB2V→E/IGF-IRタンパク質発現の検出
タンパク質抽出およびイムノブロッティング
Complete Mini Protease Inhibitorカクテル(Roche Diagnostics GmbH, Germany)を含有しているRIPA Lysis and Extraction Buffer(Pierce, Rockford, IL, USA)200μlを使用して、6穴マルチウェルプレートにおいて増殖した実施例6において同定された細胞から、全細胞溶解物を入手した。遠心分離による不溶性断片の除去の後、製造業者のプロトコルに従ってMicro BCA Protein Assay Kit(Pierce Inc., USA)を使用して、タンパク質濃度を定量化した。
全細胞溶解物10μgを、ドデシル硫酸リチウム(LDS)を含有している試料緩衝液および50mM DTTと混合した。試料を10分間煮沸し、その後、10%(w/w)NuPAGE Bis-TRISゲル(Invitrogen Inc., USA)上で還元条件下でのポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。ニトロセルロース膜へのブロッティングを、半乾燥法により実施した。5%(v/v)無脂肪粉乳を含有しているTBS緩衝液(TRIS緩衝生理食塩水)で抗血清を希釈した。以下の洗浄工程を、0.1%Tween(登録商標)20(v/v)を含むTBS緩衝液で実施した。西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートヒツジ抗ウサギ抗血清(5000倍希釈、Roche Diagnostics GmbH, Germany)を、増強化学発光基質(LUMI-Light plus Western Blotting substrate, Roche Diagnostics GmbH, Germany)を用いてそれぞれの一次抗血清を検出するために使用した。以下の一次抗体を使用した:ヒトIGF-I受容体β鎖に対するウサギポリクローナル抗体(1000倍希釈、sc-713;Santa Cruz Biotechnology Inc., USA)。
FACS分析
キメラ受容体の表面発現をフローサイトメトリーにより検出した。1×106細胞を、rhuMab 2C4(Omnitarg(登録商標), F.Hoffmann-La Roche AG, Basle Switzerland)またはアイソタイプ対照としてのヒトIgG(1-4506, Sigma-Aldrich GmbH, Germany)と共にインキュベートした。細胞をフィコエリトリンコンジュゲートヤギ抗ヒトF(ab')2(Caltag Laboratories, Invitrogen Inc., USA)により染色し、FACScan(Becton Dickinson, Mountain View, CA, USA)を使用して発現を決定した。
実施例8
CHO-K1 ErbB2V>E/IGF-I細胞を使用した免疫グロブリンコンジュゲートの組み換え作製
プラスミドp4928
抗CCR5抗体コンジュゲートの発現および作製のため、例えば、WO 2008/019817に報告されたものと類似の軽鎖および重鎖の発現カセットを、単一発現ベクター上に右回りに置いた。発現ベクターは、選択のためのネオマイシン耐性遺伝子を含んでいた。
発現ベクターは、重鎖および軽鎖の発現カセットに加えて以下の要素を含む:
−ネオマイシン選択可能マーカー(neo)を含む核酸、
−大腸菌におけるプラスミドの複製および増殖のためのpUC複製開始点、
−ベータ-ラクタマーゼ遺伝子。
ProCHO4完全培地で培養されたCHO-K1 ErbB2V>E/IGF-I細胞の安定的トランスフェクションにより、組換え免疫グロブリンコンジュゲートを作製した。プラスミドp4928を、アンピシリン選択可能マーカー(遺伝子)内の単一のPvuI制限部位を使用して、トランスフェクション前に直鎖化した。2mmギャップの電気穿孔キュベットを有するGene Pulser XCell(商標)(Bio-Rad Laboratories)電気穿孔装置を使用して、CHO-K1 ErbB2V>E/IGF-I細胞に直鎖化DNAを電気穿孔した。使用された電気穿孔パルスは、200μlの全容量のダルベッコPBS中の20μgのプラスミドDNAおよび7.5×106細胞に適用された160V/15msであった。二つのトランスフェクションアプローチをプールし、4×105細胞/mlの密度で37.5mlのProCHO4完全培地に再懸濁させ、CellStar T75フラスコに移した。24時間後、700μg/mlのG418硫酸塩(Calbiochem, La Jolla, CA, USA)を培地に添加した。4日後に、細胞をシェーカーフラスコフォーマットに移し、フローサイトメトリーによる単細胞沈着工程の前に700μg/ml G418硫酸塩を含むProCHO4完全選択培地で6世代にわたって培養した。この選択のため、細胞条件ProCHO4完全培地50μlおよび新鮮ProCHO4完全培地50μlを含有している20枚の96穴マルチウェルプレートの各ウェルに単細胞を沈着させるために、FACSAriaセルソータを使用した。単細胞沈着工程の2日後、1400μg/ml G418硫酸塩を含む二倍濃縮新鮮ProCHO4完全選択培地100μlを添加した。14日間の培養の後、培養上清中のIgG1抗体濃度を、ワンステップ抗ヒトIgG ELISAでHTSスクリーニングにより分析した。高収率の抗体産生細胞株の選択のため、24穴フォーマットでの増幅の後、ワンステップ抗ヒトIgG ELISAを使用して、IgG1抗体濃度を再び試験した。
最適クローン選択作戦により、分析的プロテインA HPLCにより分析された>100μg/mlの収率を有する細胞クローンCHO-K1 ErbB2V>E/IGF-I 4928-3H6が得られた。細胞培養条件は以下の通りであった:選択剤を含まない全容量30mlのProCH04完全培地、3×105細胞/mlの初期播種細胞密度による振とう回分培養。免疫グロブリンコンジュゲート含有細胞培養上清を10日目に採集し、定量化まで4℃で24時間保存した。軽鎖および重鎖の完全性および分子量を、還元条件下SDS-PAGEにより確証した。
ヒト免疫グロブリンの組み換え発現に関する一般的な情報は、例えば、Meissner, P., et al., Biotechnol. Bioeng. 75 (2001) 197-203に与えられている。
抗ヒトIgG ELISAによる発現された重鎖含有ポリペプチドの定量
細胞培養上清中の免疫グロブリン濃度を、捕獲試薬としてのビオチン化抗ヒトIgG F(ab')2断片、および検出のためのペルオキシダーゼコンジュゲート抗ヒトIgG F(ab')2抗体断片を使用したワンステップサンドイッチELISAにより決定した。
ストレプトアビジンでコーティングされた96穴プレート(Roche Diagnostics GmbH, Germany)を、振とう下での室温(RT)での1時間のインキュベーションにより、希釈緩衝液(希釈緩衝液:0.5%(w/v)ウシ血清アルブミンを含有しているPBS緩衝液)中の2μg/mlビオチン化ヤギポリクローナル抗ヒトIgG F(ab')2抗体断片((F(ab')2<h-Fcγ>Bi;Dianova, Germany, Code No. 109-066-098)捕獲抗体(0.1ml/ウェル)によりコーティングした。その後、プレートを0.3ml超の洗浄緩衝液(洗浄緩衝液:1%(w/v)Tween 20を含有しているPBS)により3回洗浄した。IgG免疫グロブリンコンジュゲートを含有している細胞培養上清(試料)を、希釈緩衝液で2〜10ng/mlの濃度にまで段階(2倍)希釈し、プレートに添加し、振とうしながらRTで1時間インキュベートした。希釈緩衝液中の精製モノクローナル標準抗体(0〜40ng/ml)を、IgGタンパク質標準曲線の作成のために使用した。0.3ml/ウェルの洗浄緩衝液で3回プレートを洗浄した後、ヒトFcガンマに結合した複合体を、ヤギポリクローナル抗ヒトF(ab')2特異的IgGのペルオキシダーゼコンジュゲートF(ab')2断片(F(ab')2<h-Fcγ>POD;Dianova, Code No. 109-036-098)により検出した。0.3ml/ウェルの洗浄緩衝液で3回プレートを洗浄した後、ABTS(登録商標)(2,2'-アジノ-ビス(3-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸)ペルオキシダーゼ基質溶液(Roche Molecular Biochemicals, Code No. 1684302, Roche Diagnostics GmbH, Germany)により、プレートを現像した。10分後、Tecan Spectrafluorplusプレートリーダ(Tecan Deutschland GmbH, Germany)上で、試薬ブランク(インキュベーション緩衝液+ABTS溶液)に対して405nmおよび490nmで吸光度を測定した。バックグラウンド補正のため、式Iに従い、490nmにおける吸光度を、405nmにおける吸光度から差し引いた。全ての試料を少なくともデュプリケートとしてアッセイし、二重または三重の吸光度測定からの値を平均化した。試料のIgG含量を、標準曲線から計算した。
式I:
Figure 2010530228
プロテインAセファロースへの親和性結合による免疫グロブリンポリペプチドの定量化
清浄化された培養上清2mlを、ProCHO4完全培地で3倍希釈した。GE Healthcare製のAkta Explorer 900クロマトグラフィー系を用いた分析的プロテインAクロマトグラフィを使用して、タンパク質濃度の定量化を実施した。プロテインAセファロース(商標)CL-4B(GE Healthcare, Munich, Germany)250μlが充填されたカラムを、2×PBSで平衡化し、2xPBSおよび100mMリン酸緩衝液(pH 5.0)で洗浄し、100mMリン酸緩衝液(pH 2.7)で溶出させた。0.5ml/分の流速および280nmにおけるUV検出を利用した。ProCHO4完全培地で希釈された精製モノクローナル標準抗体を、タンパク質標準曲線の作成のために使用した。
SDS PAGE/クーマシーブルー染色
発現され分泌されたポリペプチドを、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により分離し、クーマシーブルー試薬で染色した。
分泌ポリペプチドを含有している培養ブロスを、細胞および細胞片を除去するために遠心分離した。清浄化された上清のアリコートを、1/4容量(v/v)のNuPAGE(登録商標)-LDS-Sample-Puffer(Invitrogen Corp., USA)および1/10容量(v/v)のNuPAGE(登録商標)-10x Reducing Agent(Invitrogen Corp., USA)と混和した。70℃で10分間、試料をインキュベートし、その後、タンパク質をSDS-PAGEにより分離した。NuPAGE(登録商標)Pre-Castゲル系を製造業者の指示に従って使用した。特に、10%NuPAGE(登録商標)Novex(登録商標)Bis-TRIS Pre-Castゲル(pH 6.4)、およびNuPAGE(登録商標)MOPSランニング緩衝液を、NuPAGE(登録商標)Antioxidantと組み合わせて使用した。
120Vにおける1時間の分離の後、温和に撹拌しながら1時間、クーマシーブルー溶液(30%(v/v)メタノール;10%(v/v)酢酸;0.2%(w/v)Coomassie Brilliant Blue R-250 Dye, Pierce, Rockford, IL, USA)でゲルを染色し、水中で一夜、脱染した。
実施例9
培養中の細胞密度
実施例4において入手された細胞クローンCHO-K1-5519-1B6-18B3およびCHO-K1-5519-1B6-17C5を、160rpmで、125個のシェーカーフラスコにおいて、1×HT補助剤、6mMグルタミン、および4μg/mlピューロマイシンが補足されたProCHO4培地の中で培養した。参照として、無血清懸濁培養に順応させられたCHO-K1も、ピューロマイシンを使用せず、50ng/ml IGF-Iを添加した点を除き同一の条件で培養した。培養物を、62.5mlの全容量でおよそ2〜3×105細胞/mlで接種した。
細胞密度分析のため、毎日、0.5〜1.0mlの試料を培養物から採取した。37℃で30分間、細胞懸濁物200μlをトリプシン20μlと共にインキュベートすることにより、細胞塊を溶解させた。測定のため、脱凝集した細胞懸濁物50または100μlを、CASYton緩衝液(Scharfe Systems GmbH, Germany)10mlで希釈し、そのうちの400μlの中の全生存可能細胞濃度を、Cell Counter and Analyzer-System CASY(Scharfe System GmbH, Germany)を使用した電子パルス面積分析によりトリプリケートで決定した。結果は、表2および図4に示される。
(表2)細胞密度(106細胞/ml)
Figure 2010530228

Claims (26)

  1. 構成的活性型分裂促進性受容体を発現していることを特徴とするCHO細胞。
  2. CHO-K1細胞であることを特徴とする、請求項1記載のCHO細胞。
  3. キメラErbB2/IGF-I受容体を発現していることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項記載のCHO細胞。
  4. キメラErbB2V→E/IGF-I受容体を発現していることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項記載のCHO細胞。
  5. 変異V659Eを有するSEQ ID NO:9のアミノ酸1-682およびSEQ ID NO:10のアミノ酸929-1337を含む融合ポリペプチドである構成的活性型分裂促進性受容体を含むことを特徴とする、請求項4記載のCHO細胞。
  6. SEQ ID NO:3のアミノ酸配列をコードする核酸を含むことを特徴とする、請求項4記載のCHO細胞。
  7. 懸濁物中で増殖していることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載のCHO細胞。
  8. 無血清培地中での増殖に順応していることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載のCHO細胞。
  9. 培養中、少なくとも5×106細胞/mlの最大細胞密度にまで増殖することを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載のCHO細胞。
  10. 培養中、少なくとも8×106細胞/mlの最大細胞密度にまで増殖することを特徴とする、請求項9記載のCHO細胞。
  11. 前記最大細胞密度が、60〜70mlの容量で2×105〜3×105細胞/mlの細胞密度から出発して8〜12世代以内に達成されることを特徴とする、請求項9〜10のいずれか一項記載のCHO細胞。
  12. CHO細胞の培養が流加培養であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一項記載のCHO細胞。
  13. CHO細胞により達成される細胞密度が、少なくとも5世代にわたり、流加培養としての6世代の培養後に達成される細胞密度の95%以上であることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載のCHO細胞。
  14. CHO細胞により達成される細胞密度が、少なくとも6世代にわたり、流加培養としての6世代の培養後の細胞密度の75%以上であることを特徴とする、請求項13記載のCHO細胞。
  15. 6世代の培養後の細胞密度が、60〜70mlの容量で2×105〜3×105細胞/mlの細胞密度から出発して達成されることを特徴とする、請求項13〜14のいずれか一項記載のCHO細胞。
  16. 細胞株DSM ACC2851。
  17. 以下の工程を含むことを特徴とする、構成的活性型分裂促進性受容体を有するCHO細胞を入手するための方法:
    (a)(i)2個のloxP部位に隣接している選択可能マーカーをコードする発現カセット、
    (ii)構成的活性型分裂促進性受容体の発現のための発現カセット
    を含む第一の核酸を、CHO細胞にトランスフェクトする工程、
    (b)該第一の核酸をトランスフェクトされたCHO細胞を選択する工程、
    (c)CREリコンビナーゼ発現カセットを含む第二の核酸を、工程(b)で選択されたCHO細胞にトランスフェクトする工程、
    (d)構成的活性型分裂促進性受容体を有するCHO細胞として、第二の核酸をトランスフェクトされたCHO細胞を選択する工程。
  18. 工程(b)のトランスフェクトされたCHO細胞が、構成的活性型分裂促進性受容体を有することを特徴とする、請求項17記載の方法。
  19. 構成的活性型分裂促進性受容体がSEQ ID NO:3のアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項18記載の方法。
  20. トランスフェクトされたCHO細胞が、第一の核酸に含まれる選択可能マーカーの欠如について工程(d)で選択されることを特徴とする、請求項17記載の方法。
  21. 工程(d)で選択されるトランスフェクトされたCHO細胞が、第一の核酸の選択可能マーカーによる選択剤の存在下で増殖していないことを特徴とする、請求項17記載の方法。
  22. 第一の核酸が、トランスフェリンの発現のための発現カセットを含むことを特徴とする、請求項17記載の方法。
  23. 異種ポリペプチドを発現していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載のCHO細胞。
  24. 以下の工程を含むことを特徴とする、異種ポリペプチドの作製のための方法、
    (a)請求項1記載のCHO細胞を準備する工程:
    (b)(i)該異種ポリペプチドをコードする核酸を含む第一の発現カセット、
    (ii)選択可能マーカーをコードする第二の発現カセット
    を含む核酸を該CHO細胞にトランスフェクトする工程、
    (c)トランスフェクトされたCHO細胞を、該異種ポリペプチドの発現に適した条件の下で培養する工程、
    (d)該発現された異種ポリペプチドを培養培地または細胞から回収する工程。
  25. CHO細胞にトランスフェクトされる核酸が、異種ポリペプチドをコードする発現カセットを含むことを特徴とする、請求項24記載の方法。
  26. 異種ポリペプチドが、免疫グロブリン、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン断片、または免疫グロブリンコンジュゲートより選択されることを特徴とする、請求項25記載の方法。
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