JP2010527725A - 補綴エレメント及びこれに係る製造方法 - Google Patents

Abstract

金属材料で製作されたキャップ（１１）を有する補綴エレメント。このキャップ（１１）の少なくとも一部は、開口し且つ相互に連通している複数の空洞（１８）を呈する格子（１２）からなる。
【選択図】図１

Description

本発明は、セル構造を有する補綴エレメント及びこれに係るその製造方法に関し、好ましくは大腿関節修復のための補綴に利用されるが用途はこれのみに限定されない。

本発明は、骨補綴インプラントや骨代用物の医療分野に適用される。

実質的に球形状を呈し生来の寛骨臼腔の置換或いはその補強を目的として大腿補綴具の頭部を収容する臼蓋カップは公知である。臼蓋カップは通常金属製で、骨盤の骨組織との骨結合プロセスを改善するため、有利には多孔質材料で被覆することができる。

一般に、臼蓋カップを被覆するために汎用される材料は粉末化されたチタンやヒドロキシアパタイトである。これらの材料は通常、プラズマスプレー法や溶接金属ネットの利用、或いは高温下で小ボールを適用することによって臼蓋カップの外面に固着される。

本発明で取り上げるタイプの補綴エレメントは、中実で緻密な内側部分を有する一方、その外部には臼蓋カップを覆う格子を有し、既に知られているものである。格子はカップ外壁上に或いはカップ外壁から離して取り付けられる。

利用できる一方法にＤＭＳＬＳ（直接金属選択的レーザ焼結法）がある。この方法によれば、レーザ光の利用により、所定の厚さを有する粉末金属材料の一連の(successive)各層を凝固するプロセスで金属材料からなる製品やコンポーネントを製作することが出来る。前記層の各々は、製品の三次元モデルの、所定の厚さを有する一水平断面を表す。

別の技法としてはＥＢＭ（電子ビーム溶解法）があるが、これによれば、例えばチタン等からなるコンポーネントを、チタン粉末の浴から出発して高真空条件下で溶解するプロセスと、上述のＤＭＳＬＳ技法と同様に一連の各層を凝固させることによって製作することができる。

これらの技法を利用することで高い精密性を得ることができると共に所望の構造を達成できる。

従って本発明の目的は、公知技法の一、或いはそれと同等の技法を用いて、骨の再成長及び補綴具への良好な固定を促進でき、単一ピースとされた、セル構造を有する補綴エレメントを提供することである。

本出願人は、従来技術の問題点を克服しこれら及びその他の目的と利点とを得るべく、本発明を創出し、試験し且つ具現化した。

本発明は独立請求項において記述され且つ特徴付けられており、一方、従属請求項には本発明のその他の特徴や主たる発明思想の各種変形が記述されている。

上の目的に従い、本発明に係る、セル構造を有する補綴エレメントは、とりわけ、骨盤寛骨臼におけるインプラント手術での骨補綴具のための臼蓋カップとして利用可能であるが、用途はこれに限られるものではない。補綴エレメントは補綴具ヘッドを収容可能であるか、或いは臼蓋カップの為のインサートを収容可能で、後者の場合、この臼蓋カップに大腿補綴具のヘッドが挿入される。

本発明の一特徴によれば、補綴エレメントは、内側に寛骨臼座部(acetabular seating)を備えた、金属材料で製作されたキャップを有する。

キャップは、座部を補強(line)する内壁と、複数の空洞を提供するセル格子からなる外層部とを有し、これら空洞は三次元的に配置されて、開口し互いに連通し且つ連結している。

格子は中実(solid)で、内壁の外側に向いた部分を有する。

本発明によれば、格子の少なくとも一部は、補綴エレメントの本体全体或いはその一部に亘る空間において繰り返される一種以上の型式の複数の幾何学形状メッシュによって連続性を途切らすことなく形成されるが、この格子は、開口した単位セルが連なるセル状形態を有して、空洞領域を区切りつつ空間的に延在し複数の多角形を画定するので、格子は骨結合を促進させることができる。

また、一変形形態においては、内壁は緻密な材料で製作される。

別の一変形形態においては、内壁はセル格子体として製作される。

本発明の一実施形態においては、格子はその下部に基層を有するが、これはリング状であってもなくても良く、緻密なものであってもなくても良く、また、内壁と物理的に連続していてもいなくても良い。また、基層は一例であって、これに限定されるものではない。

一変形態様においては、幾何学形状のメッシュは、格子における配置姿勢は異なるが全て同一の形状とサイズを有する。よって画定される多角形は互いに同じであり、必要に応じ、様々な配向で空間的に繰り返される。

別の実施形態においては、幾何学形状のメッシュは、内壁を作り上げている領域の近傍でより細かい、即ち、小さいサイズを有する。

本発明においては、三次元格子の中にできる空いた空間や空隙は、統計に基づくものであれランダムなものであれ、所望の分布に従って形成されるが、如何なる場合でも、骨の多孔性を再現できなくてはならず、空隙の三次元的連なりを、連続性を破らないように様々な隣接形態で再現する。また、上記空隙は、割れ目や通路、細管、道、その他類似の、内壁と格子外面の間の領域に開く優先的通路(preferential path)を画定するものであってはならない。この構成により、また、求められる目的に従って、個々の場合ごとに設計することが可能であることにより、最適な骨適合性と骨の均一な再成長が約束される。

一変形態様においては、幾何学形状メッシュの各々は、各頂点が共平面上にない多角形の形状を有し、各単位セルの自由開口面積は、直径約０．３ｍｍ〜約１．５ｍｍの範囲の円に相当する。

別の一変形態様においては、幾何学形状メッシュの各々は、各辺が角度付セグメントからなる第一の多角形部分と、角度付セグメントを有する第二及び第三の部分で構成される。

第一の多角形部分は、実質的に四辺形の形状とすることができる。

本発明は、その一実施形態において、角度付セグメントを有する第二及び第三の部分を互いに交わらせ、且つ、第一の部分の上に、一方が当該第一の部分の一辺上に、他方が当該第一の部分の他辺上にくるように重なり合わせたものとすることができ、これによって、空間において各頂点が共平面上にない複数の六角形が画定される。

一変形態様においては、幾何学形状メッシュの各々は、三次元的に配置された４個の六角形を画定する。

別の一変形態様においては、キャップは複数の穴部を有し、通常これらは骨との連結を達成する目的のものであって、緻密な材料の一部分によって周縁に沿う境界が画定されるが、その利点は、骨との連結に鑑み局部構造を強化することである。

補綴エレメントは、ＥＢＭ（電子ビーム溶解）技法やＤＭＳＬＳ（直接金属選択的レーザ焼結）技法、或いはこれらと等価な技法の何れかを利用し、所定の限定された厚さの粉末金属材料の一連の平坦な層を堆積し凝固させることによって得ることができる。層のシーケンスは、電子プロセッサを利用する設計器具によって生成される、本発明に係る補綴エレメントに対応する三次元理論モデルを漸次具現化していき、同時に、所望のセル状格子を作り出す。

本発明の好ましい解決策では、格子は、開口したセルを有するセル状形態を有する。この解決策では、幾何学的形状(geometrical figure)に即して生成される真空は、補綴エレメントの外表面上における骨の結合と再成長に関し最適な条件を保証するように選択される。

これにより、格子は補綴エレメントに対し高レベルの多孔性を保証する。本発明の補綴エレメントは、短期的にも長期的にも通常の生理学的負荷を支えることができ、その剛性は通常の補綴具と比べ全く遜色ない。

一変形態様においては、本発明に係る補綴エレメントは、生体適合性等の特性により、チタン合金その他の合金材料で製作される。

本発明はまた、少なくとも一部が三次元格子からなる本体を有し、好ましくは金属材料で製作されるキャップを含む、開口セル構造を有する補綴エレメントの製造方法にも関する。このように画定された三次元格子は、互いに連通する複数の空隙を提供する。

本発明に係る方法は、少なくとも次の段階を用いる。即ち、電子ビーム溶解法、直接金属選択的レーザ焼結法、或いはこれらと同等な技法で、粉末金属材料の平坦で不連続な層(discontinuous layers)を堆積させ凝固させる。層の各々は、格子の三次元モデル体の（そして同時に補綴エレメントを）断面をとる(sectioning)ことで得られる図形を画定する。

特に、補綴エレメントは、一連の連続する平行で互いに隣接しあう固層によって、座部を補強するキャップ内壁を構成するように、且つ、どの一層も少なくともキャップの外層部の一部と物理的に連続するように構成される。

前記外層部を構成する各層は、所定の最終形状に合わせてコーディネートされるが、ここで複数の層を不連続の形態(discontinuous form)で得て、複数の空洞を作るセルの格子を提供し、これら空洞は三次元的に配置され、開口して連通し互いに連結しており、また格子は、緻密な内壁の外側に向く部分と物理的に連続している。

一実施形態においては、基層は例えばリング形状とされ緻密なセルを有するが、このような形状に限定されない。

別の一実施形態においては、格子は内壁と物理的に連続しており、且つ格子に連続性の途切れた個所はなく、前記補綴エレメントの本体全体或いはその一部に亘る空間において繰り返される一種以上の型式の複数の幾何学形状メッシュを提供し、また、この格子は、開口した単位セルが連なったセル状形態を有し、空洞部を区切りつつ三次元的に配置された複数の多角形を画定するので、格子は骨結合を促進させることができる。

一変形態様においては、格子は、単位セルが開口し各頂点が共平面にない多角体の形状が連なったセル状形態からなる幾何学形状のメッシュを提供するべく、個々の層を製作する段階で、その表面に所望の開口セル構造に従って画定されるが、各単位セルの自由開口面積は、直径約０．３ｍｍ〜約１．５ｍｍの範囲の円に相当する。

本発明のこれら及びその他の特徴は、記載する幾つかの好ましい実施形態から明らかになるであろうが、これら実施形態は限定を意図せずに例として示すものであり、添付の図面を参照しつつ説明される。

本発明に係る補綴エレメントの正面図である。 図１に示す補綴エレメントの一部の拡大断面図である。 図１に示す補綴エレメントの一部の別の拡大断面図である。 図１の補綴エレメントの立体図である。 本発明に係る補綴エレメントの変形例の立体図である。 一型式の幾何学形状メッシュを有する格子の拡大詳細図である。 図４に示す格子の一部の概略立体図である。 図５の平面図である。

好ましい実施形態の詳細な説明

図１において全体を参照番号１０で示す本発明に係る補綴エレメントは、股関節の寛骨臼腔における骨インプラント手術に用いることができる。

以下の記載では回転楕円状の(spheroidal)臼蓋カップを例に挙げるが、本発明は骨の充てん材、インサート、シェル等、他のタイプの補綴エレメントにも適用されうるものであることを了解されたい。

補綴エレメント１０は、内部が空洞の金属製回転楕円状キャップ１１を有し（図１及び２）、補綴具ヘッドが収容される、或いは臼蓋カップへのインサートが収容される、臼蓋カップ１１ａを画定しており、一方、この臼蓋カップ１１ａには大腿補綴具のヘッドが挿入される。

本発明の補綴エレメントの一変形態様においては、キャップ１１は円錐台形状である（図示せず）。

どちらの場合も、キャップ１１は緻密な材料で製作した内壁１６を有し、その変形態様に応じて半回転楕円状キャップ形状及び円錐台形状の二種が挙げられるが、いずれの場合においても寛骨臼座部１１ａの形状と合致するものである。なおこの座部は通常、補綴具ヘッド或いは臼蓋カップへのインサートと接触することになる。

更に、内壁１６（図１ａ）の上にはキャップ１１の外層部も存在し、この外層部は半回転楕円状キャップ形状、円錐台形状、若しくは各種可能な変形態様においては他の形状とすることができ、中実で且つ内壁と共に単一ピースとされる。

キャップ１１の外層部は、図１ｂの断面図に見られるように、セルを有する三次元格子１２で形成され、格子の底部は基層１６ａの所で終わっている。典型的には、基層１６ａは、より密度の高い或いはより緻密なセルを有する材料からなるリング状ストリップであって、内壁１６に直接連結しているか、或いは内壁１６と物理的連続性を有する。

内壁１６と格子１２は、単一構造体を形成する中実固体であって、また、製造方法についての下の記載からわかるように、キャップ１１のこの二個のコンポーネント間の連続性が途切れないようにされている。

この構成により、キャップ１１の中実部分と格子部分との間の機械的連続性が保証される。

実際、格子１２は後付けしたライニングではないので、ポーラス部の剥がれを防止できるほか、インプラントにおける密度を異にする様々な領域間に起こりうるガルバニック作用を防止できる。

三次元格子１２は、予め定められた所望の厚さを有し、また、開口穴を有するセル構造となっている。格子１２は複数の空洞１８を作っており、これら空洞は三次元的に配置されて、開口し互いに連通し且つ連結している。格子１２は更に、必要に応じて補綴エレメント１０の本体全体或いはその一部の上を覆って延在する。

補綴エレメント１０の製作に使用される金属材料はチタン合金である。

好ましい実施態様においては、チタン合金は、生体適合性の点で、Ｔｉ６Ａｌ４Ｖと称されるものである。

一変形態様では、上記金属材料はコバルト系合金である。

本発明の一実施形態においては、補綴エレメント１０は拘束要素１４を含み、これは、ピンやネジで腸骨翼に適切に留めることができる。図３を参照すると、拘束要素１４は一連の金属フィンからなっており、これらは回転楕円状キャップ１１の下端から直径方向外向きに突出している。金属フィンは、補綴エレメント１０の取付けピンやネジ（図示せず）を通すのに適切な一以上の拘束穴１５を備えることが有利である。

拘束穴１７もまた、キャップ１１の格子１２の表面に設けられている。拘束穴１７は緻密な材料からなるリング状周縁部１９によって画定されたものであって、これ以外の部分の格子１２のように空洞１８を有するものではない。緻密な材料で製作されたリング状周縁部１９の機能は、拘束穴１７による取付けを強化しようとするものである。

格子１２は、空間内で所定の厚さに亘って繰り返される複数の多角形の幾何学形状メッシュ１３を特徴とし、このメッシュにおける各頂点は共平面上に存在しない。この形状が、補綴エレメント１０の本体構造において複数の空洞１８を画定する。

特に、骨結合のための有利な型式の一例を示す図４を参照すると、ここには２個のメッシュ１３が示されており、それぞれ連続線と破線で描かれ、連続線で描かれている方は頂点１３ａ、１３ｂ、１３ｃ、１３ｄ、１３ｅ、１３ｆ、１３ｇ、１３ｈ、１３ｉ及び１３ｍを有し、他方は破線で描かれ互いに隣り合っている。

好ましい一実施態様においては、前記幾何学形状メッシュ１３の各メッシュは、単位セル１３からなるセル状形態を有し、これらは開口し連なっており多角形の形状であって、その各頂点は共平面にない。

特に、メッシュ１３の各メッシュは、頂点１３ａ、１３ｃ、１３ｆ、１３ｉを有するほぼ四角形の第一の部分１１３と、頂点１３ｂ、１３ｇ、１３ｈを有する角度付セグメントであって第一の部分１１３を実質的に中線ラインにそって横切るように配置された第二の部分２１３と、頂点１３ｄ、１３ｅ、１３ｍを有する角度付セグメントであって第一の部分１１３を実質的に他方の中線ラインにそって横切るように配置されて第二の部分２１３とクロスする第三の部分３１３と、で形成される。

「角度付セグメント」とは、幾つかの直線セグメントが異なる傾斜角で連なって構成されるセグメントを意味し、例えば、上方と下方に交互に傾斜しているセグメント等が挙げられる。

第一の部分１１３の四辺はそれぞれ一本の角度付セグメントからなり、ここで第一辺１１３ａの中央頂点は、第二の部分２１３の頂点１３ｂと一致しており、第二辺１１３ｂの中央頂点は、第三の部分３１３の頂点１３ｄと一致しており、第三辺１１３ｃの中央頂点は、第二の部分２１３の頂点１３ｈと一致しており、最後に第四辺１１３ｄの中央頂点は、第三の部分３１３の頂点１３ｍと一致している。

メッシュ１３のランダムな空間的繰返しによって六角形の幾何学形状が画定される。図５、６は頂点１３ａ、１３ｍ、１３ｉ、１３ｈ、１３ｇ、１３ｂを有する六角形４１３を例示する。

このように画定された六角形を視覚化するには、頂点１３ａ、１３ｃ、１３ｆ又は１３ｉの何れかからスタートし、第一の部分１１３に沿い中央頂点１３ｍ、１３ｈ、１３ｄ、１３ｂの何れかを通って他の４個の対向中央頂点１３ｉ、１３ｆ、１３ｃ又は１３ａの内の一頂点へ向う。例えば、頂点１３ａから出発する場合は、中央頂点１３ｍを通って頂点１３ｉに向う。

六角形の視覚化においては、上の手続きの後、既に通ったセグメントに沿って逆戻りすることなく頂点１３ｈ、１３ｄ、１３ｂ或いは１３ｍまで進む；例えば頂点１３ｉから頂点１３ｈまでである。

ここから、部分２１３又は３１３の何れかに沿って、常に部分２１３又は３１３の頂点１３ｇか頂点１３ｅの何れかを通り、対向する辺上にある中央頂点１３ｂ、１３ｄ、１３ｈ又は１３ｍへと進む。例えば、頂点１３ｈから、頂点１３ｇを通って対向する頂点１３ｂに進む。六角形は、幾つかの平面に割り付けられる三次元の形状をなし、少なくともその一頂点は他の頂点と同一平面上にない。六角形４１３の場合、三平面で構成され、二個の頂点１３ａと１３ｈは共平面上にない。即ち、互いに反対方向に延びている両端の平面と、これら両端面を横切る中央平面とがある。頂点１３ａ、１３ｍ、１３ｉ、１３ｈ、１３ｇ、１３ｂで決まる六角形４１３では、頂点１３ａ、１３ｂ、１３ｍが乗っている第一の平面と、頂点１３ｍ、１３ｉ、１３ｇ、１３ｂが乗っている横断平面と、頂点１３ｇ、１３ｈ、１３ｉが乗っている第二の平面とが存在する。この場合、第一の平面は上向きで第二の平面は下向きである。

よって、メッシュ１３の各メッシュは、各頂点１３ａ、１３ｃ、１３ｆ、１３ｉについてそれぞれ一個、全体で４個の六角形（便宜上、参照番号４１３で示す）を上述した形態で三次元的に画定する。

メッシュ１３で境界が区切られる連続した単位セルの断面は、直径約０．３ｍｍ〜約１．５ｍｍの範囲の円に相当する面積の平面を有する。表面部のセル構造(peripheral cell structure)の最適サイズを提供する相当直径の値は約０．６ｍｍである。この最適直径は、骨の再成長と補綴具の固定を保証する最小平面面積、及び、患者の骨、特に寛骨のサイズから来るサイズや設計上の制約を鑑みた、格子１２の最適な嵩(bulk)を決定する。

よって、補綴エレメント１０及び格子１２のセル形状と、空洞１８のサイズ・形状との両者が、補綴エレメント１０の表面構造に格別の多孔性特性を付与している。この多孔性は、インプラント手術の後で補綴具の固定を促進すると共に、当該補綴エレメント１０に直接接触する骨組織の再成長も促進し、骨結合を高め且つ加速させる。

本発明において、補綴エレメント１０を製作する方法は、電子プロセッサ用の三次元モデル化プログラムによって補綴エレメント１０のモデルを生成する第一の段階を含む。常にモデル化プログラムを利用することで、このモデルは限定された一定の厚さを有する多くの平面セクションに分割される。これら平面セクションは平面部分の連なりを画定しているが、これは金属材料粉体を順次的に堆積させることを意図したものである。

第二の段階では、電子ビーム溶解法（ＥＢＭ）によって補綴エレメント１０が製作される。好ましい実施態様では、高真空条件下、ＥＢＭに適した装置を用い、光速の１／２の範囲の高速電子ビームによって所望の粒度分布の金属材料粉体の浴を溶解する。所望の粒度分布の粉体金属材料は所望の場所にモデル化段階で規定された所望のシーケンスで、一連の層として堆積され、本発明の補綴エレメント１０、より具体的には内壁１６、格子１２で構成される外壁、及び基層１６ａを備えるキャップ１１、を形成するために融解される。

言い換えれば、前記材料は徐々に融解し内壁１６と格子１２が同時に作り出される。

もしベースから製作を始めるとすると、上へと進むにつれキャップ１１は様々な断面形状をとる。まず最初は緻密な材料で作成されたリング状の層であり、これは基層１６ａを形成する。これに続き、適切な直径を有する他のリング状の各層が上に重なって行くが、これらは緻密な材料の一部分と格子部分とからなり、これらはあたかも単一ピースにも似て、前者は内側に向いて内壁１６を画定し、後者は、外側に向いて格子１２を画定する。

本明細書においては、「部分」という語は便宜上用いたものであることは明白であり、この語を、後で合体される２個の別々の構造体を意味したものと理解してはならない。むしろ反対に、異なる形態特性（即ち、一方の側には緻密な材料、他方の側には格子）を有する部材を有する同一体である。

緻密部分は、高さ方向に付加されていくことで緻密な材料で作られた内壁１６を形成し、一方、格子部分の組合わせはプロセスの最後において外側格子１２を適切に画定する。

内壁１６とこれに連れ添う格子１２の好ましい曲率は、漸次的に作成される各層の前記幾何学的変化によって決定される。

前記第二段階においては、格子１２は、その表面部(periphery)において所望のセル構造が開口した形で画定され、約０．３ｍｍ〜約１．５ｍｍの範囲の直径を有する円筒相当のコンパートメントを複数有する補綴エレメント１０が作成される。好ましい直径の値は約０．６ｍｍである。

前記第二段階において用いられるＥＢＭ法に替え、これと等価な技法、例えばＤＭＳＬＳ（直接金属選択的レーザ焼結法）として知られている技法を利用することができるが、これは、粉体の浴を高出力のレーザ光線で融解するものである。

前記第二段階において用いられる金属粉末は、好ましくは、例えばＴｉ６Ａ１４Ｖ合金等、チタン系或いはチタン合金の中の一種であるか、コバルト系合金である。

本発明に係る上述したセル構造を有する補綴エレメント及びセル構造を有する補綴エレメントの製造方法に関し、本発明の分野と範囲とを逸脱することなく、部材及び／又は段階の修正及び／又は付加を加えうることは自明である。

例えば、基層１６ａは緻密な材料で製作されるか、或いは稠密なセル構造を有する。ここで「緻密な材料」という語は、相当直径が０に近い稠密なセルで形成された材料をも意味するものである。

内壁１６もまた、緻密な材料からなるものであるほか、格子１２に類似した格子構造、或いはセル構造をとることもできる。

別の実施形態においては、キャップ１１のフィン１４の穴１５は、稠密なセルや緻密な材料で製作されたクラウンを有する。

具体例を参照しつつ本発明を説明してきたが、当業者であれば、付帯する請求項に記載した特徴を有し、従ってそれら請求項で定義された保護範囲に入る、セル構造を有する補綴エレメント及びセル構造を有する補綴エレメントの製造方法の、その他多くの等価物に到達できることに疑いないことは明白である。

Claims (33)

1. 内側に寛骨臼座部（１１ａ）を備え、金属材料で製作されたキャップ（１１）を有する補綴エレメントであって、キャップ（１１）は、座部（１１ａ）を補強する内壁（１６）と、複数の空洞（１８）を作っているセルを有する格子（１２）からなる外層部とを有し、これら空洞は三次元的に配置され開口し互いに連通し且つ連結しており、格子（１２）は中実で内壁（１６）の外側に向いている部分を有する補綴エレメントにおいて、前記格子（１２）の少なくとも一部は、補綴エレメントの本体全体或いはその一部に亘る空間において繰り返される一種以上の型式の複数の幾何学形状メッシュ（１３）によって連続性を途切らすことなく形成され、当該格子は、開口した単位セルが連なるセル状形態を有して、空洞領域（１８）を区切りつつ空間的に延在する複数の多角形（４１３）を画定して、格子（１２）が骨結合を促進させることができるようになしたことを特徴とする、補綴エレメント。
2. 内壁（１６）が緻密な材料で製作されていることを特徴とする、請求項１に記載の補綴エレメント。
3. 格子（１２）がその下部に、内壁（１６）と物理的に連続した緻密な基層（１６ａ）を有していることを特徴とする、請求項１又は２に記載の補綴エレメント。
4. 幾何学形状メッシュ（１３）が、格子（１２）における配置姿勢を異にするが全て同一の形状とサイズを有していることを特徴とする、請求項１、２又は３に記載の補綴エレメント。
5. 幾何学形状メッシュ（１３）が、内壁（１６）を構成している領域の近傍でより細かくなっていることを特徴とする、請求項１、２又は３に記載の補綴エレメント。
6. 幾何学形状メッシュ（１３）の各々は、各頂点が共平面上にない多角形の形状を有し、各単位セルの自由開口面積は、相当直径約０．３ｍｍ〜約１．５ｍｍの範囲の円に相当することを特徴とする、先の請求項の何れかに記載の補綴エレメント。
7. 前記相当直径は約０．６ｍｍであることを特徴とする、請求項６に記載の補綴エレメント。
8. 幾何学形状メッシュ（１３）の各々は、角度付セグメントで各辺が形成されている第一の多角形部分（１１３）と、第二（２１３）及び第三（３１３）の部分とで構成され、これら第二及び第三の部分は角度付セグメントの形状であることを特徴とする、先の請求項の何れかに記載の補綴エレメント。
9. 第一の多角形部分（１１３）は、実質的に四辺形であることを特徴とする、請求項８に記載の補綴エレメント。
10. 角度付セグメントを有する第二（２１３）及び第三（３１３）の部分が互いに交わっており、且つ、第一の部分（１１３）の上に、一方が当該第一の部分の一辺上に来て他方が当該第一の部分の他辺（１１３）上に来るように重なり合っていることで、空間において各頂点が共平面上にない複数の六角形（４１３）が画定されていることを特徴とする、請求項８又は９に記載の補綴エレメント。
11. 幾何学形状メッシュ（１３）の各々が三次元的に配置された４個の六角形（４１３）を画定することを特徴とする、請求項１０に記載の補綴エレメント。
12. 前記金属材料がチタン系であることを特徴とする、先の請求項の何れかに記載の補綴エレメント。
13. 前記チタン合金が合金Ｔｉ６Ａ１４Ｖであることを特徴とする、請求項１２に記載の補綴エレメント。
14. 前記金属材料がコバルト合金からなることを特徴とする、請求項１〜１１のいずれかの項に記載の補綴エレメント。
15. 前記キャップ（１１）は回転楕円形状を有することを特徴とする、先の請求項のいずれかに記載の補綴エレメント。
16. 前記キャップ（１１）は円錐台形状を有することを特徴とする、先の請求項のいずれかに記載の補綴エレメント。
17. キャップ（１１）は複数の穴部（１７）を有し、該穴部は緻密な材料で製作された部分（１９）によって周縁に沿う境界が画定されていることを特徴とする、先の請求項のいずれかに記載の補綴エレメント。
18. 内側に寛骨臼座部（１１ａ）を備えたキャップ（１１）を有する補綴エレメントを製作する方法において、補綴エレメントは、一連の連続する平行で互いに隣接しあう固層によって、座部（１１ａ）を補強するキャップ（１１）内壁（１６）を構成するように構成され、且つ、どの一層もキャップ（１１）の外層部の少なくとも一部と物理的に連続するように構成され、外層部を構成する各層は、所定の最終形状に合わせてコーディネートされ、前記複数の層を不連続の形態で得て、複数の空洞（１８）を作るセルの格子（１２）を定め、これら空洞（１８）は三次元的に配置され、開口して連通し互いに連結しており、また格子（１２）は内壁（１６）の外側に向く部分と物理的に連続していることを特徴とする、補綴エレメントの製造方法。
19. 格子（１２）は内壁（１６）と物理的に連続しており、且つ格子に連続性の途切れた個所はなく、補綴エレメントの本体全体或いはその一部に亘る空間において繰り返される一種以上の型式の複数の幾何学形状メッシュ（１３）を提供しており、当該格子は、開口した単位セルが連なったセル状形態を有し、空洞部（１８）を区切りつつ三次元的に配置された複数の多角形（４１３）を画定することで、格子（１２）が骨結合を促進させることができるようになしたことを特徴とする、請求項１８に記載の方法。
20. 内壁（１６）が緻密な材料で製作されていることを特徴とする、請求項１８又は１９に記載の方法。
21. 稠密なセルからなる基層（１６ａ）を得ることを特徴とする、請求項１８、１９又は２０に記載の方法。
22. 一連の層を作る前記段階は、ＥＢＭ（電子ビーム溶解）技法を利用することを特徴とする、請求項１８〜２１の何れかの項に記載の方法。
23. 一連の層を作る前記段階は、ＤＭＳＬＳ（直接金属選択的レーザ焼結）技法を用いることを特徴とする、請求項１８〜２１の何れかの項に記載の方法。
24. 個々の層を作る前記段階において、前記格子（１２）は、開口した多角形の単位セルが連なり各頂点が共平面にないセル状形態からなる幾何学形状メッシュ（１３）を提供するべく、その表面に所望の開口セル状形態で画定され、各単位セルの自由開口面積は直径約０．３ｍｍ〜約１．５ｍｍの範囲の円に相当することを特徴とする、請求項１９に記載の方法。
25. 前記直径は約０．６ｍｍであることを特徴とする、請求項２４に記載の方法。
26. 幾何学形状メッシュ（１３）は、各辺が角度付セグメントである第一の多角形部分（１１３）と、角度付セグメントの形をとる第二（２１３）及び第三（３１３）の部分で構成されることを特徴とする、請求項２４又は２５に記載の方法。
27. 第一の多角形部分（１１３）は実質的に四辺形の形状であることを特徴とする、請求項２６に記載の方法。
28. 角度付セグメントを有する第二（２１３）及び第三（３１３）の部分が互いに交わっており、且つ、第一の部分（１１３）の上に、一方が当該第一の部分の一辺上に来て他方が当該第一の部分の他辺（１１３）上に来るように重なり合っていることで、空間において各頂点が共平面上にない複数の六角形（４１３）が画定されていることを特徴とする、請求項２６又は２７に記載の方法。
29. 幾何学形状メッシュ（１３）の各々が三次元的に配置された４個の六角形（４１３）で画定されていることを特徴とする、請求項２８に記載の方法。
30. 所望の粒度分布の金属粉体を用い、この粉体は所望の場所に所望のシーケンスで一層ずつ固定されて所望の格子（１２）を得ることを特徴とする、請求項１８〜２９の何れかの項に記載の方法。
31. チタン系の粉体を用いることを特徴とする、請求項３０に記載の方法。
32. チタン合金Ｔｉ６Ａ１４Ｖを用いることを特徴とする、請求項３１に記載の方法。
33. コバルト合金を用いることを特徴とする、請求項３０に記載の方法。

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