JP2010525307A - Gdf−15に基づき安定型冠動脈性心疾患に罹患している患者における心臓インターベンションのリスクを評価するための手段及び方法 - Google Patents

Gdf−15に基づき安定型冠動脈性心疾患に罹患している患者における心臓インターベンションのリスクを評価するための手段及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、安定型冠動脈性心疾患に罹患している被験体における経皮的心臓インターベンション(PCI)の成功の有無を診断する方法であって、該方法が、PCI後に得られた該被験体の第一サンプル中のGDF-15の量の測定、及びそのGDF-15の測定量と、PCI前に得られた安定型冠動脈性心疾患に罹患している該患者の第二サンプル中で測定されるGDF-15の参照量との比較による、PCIの成功の有無の診断を含む、前記方法に関する。さらに本発明は、安定型冠動脈性心疾患に罹患している被験体における経皮的心臓インターベンション(PCI)の成功の有無を診断するための診断用組成物の調製のための、GDF-15、好ましくはナトリウム利尿ペプチド及び/又は心筋トロポニンの量を測定するための手段の使用に関する。本発明はまた、安定型冠動脈性心疾患に罹患している被験体における経皮的心臓インターベンション(PCI)の成功の有無を診断するために採用するデバイス及びキットも含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、リスク層別化のための診断の手段及び方法の分野に関する。特に本発明は、安定型冠動脈性心疾患(stable coronary heart disease)に罹患している被験体における経皮的心臓インターベンション(percutaneous cardiac intervention)(PCI)の成功の有無を診断する方法であって、該方法が、PCI後に得られた該被験体の第一サンプル中のGDF-15の量の測定、及びそのGDF-15の測定量と、PCI前に得られた安定型冠動脈性心疾患に罹患している該被験体の第二サンプル中で測定されるGDF-15の参照量との比較による、PCIの成功の有無の診断を含む、前記方法に関する。さらに本発明は、安定型冠動脈性心疾患に罹患している被験体における経皮的心臓インターベンション(PCI)の成功の有無を診断するための診断用組成物を調製するための、GDF-15、好ましくはナトリウム利尿ペプチド及び/又は心筋トロポニンの量を測定するための手段の使用に関する。本発明はまた、安定型冠動脈性心疾患に罹患している被験体における経皮的心臓インターベンション(PCI)の成功の有無を診断するために採用するデバイス及びキットも含む。
増殖分化因子15 (Growth-differentiation factor-15(GDF-15))は心血管合併症の指標となることが示唆されている(米国特許出願公開第2003/0232385号明細書(特許文献1); Kempf 2006, Circ Res 98: 351-360(非特許文献1))。GDF-15は、形質転換増殖因子β(transforming growth factor-β)サイトカインスーパーファミリーのメンバーである。GDF-15はマクロファージ抑制性サイトカイン1(macrophage-inhibitory cytokine-1(MIC-1))として最初に同定され、後に胎盤性形質転換増殖因子β(placental transforming growth factor-β)とも命名された(Bootcov 1997, Proc Natl Acad Sci 94:11514-11519(非特許文献2); Tan 2000, Proc Natl Acad Sci 97:109-114(非特許文献3))。培養心筋細胞が擬似的な虚血再かん流を受けた場合には、一酸化窒素及びニトロソ化ストレス依存的なシグナル経路を介してGDF-15を発現し、分泌することが最近示された。さらに、心筋の虚血再かん流傷害に関するマウスのモデルでは、GDF-15の発現レベルが、冠動脈結紮の後の虚血性領域で急速に増加し、再かん流心筋で数日間上昇したままとなることが観察された(Kempf, 上記引用文献)。
アテローム性動脈硬化症その他の冠状心血管の閉塞性疾患に罹患している患者は通常、経皮的心臓インターベンション等の再かん流治療を必要とする。これらのインターベンションはステント移植治療を含む。ステント移植のためには、ステントデバイスを狭窄側で冠状心血管中に配置する。続いて、そのステントをバルーンの拡張によって血管壁に固定する。しかし、バルーンの拡張によって一時的に血管の閉塞が生じる。ステントを固定した後移植が成功した場合には、バルーンは除去され、再かん流が生じる。万一移植が成功しなかった場合には、移植側で生じうる塞栓症によって、又は血栓塞栓性閉塞症(a thrombo-embolic occlusion)によってさえも、再かん流が消失する。これらは、応急手当てや支持療法を必要とする生命に関わる状態である。
現在のところ、経皮的心臓インターベンションの成功は、血管造影法によって検知される再かん流により決定される。しかし血管造影法自体によって、患者に副作用が生じる可能性もある。さらにこれらの方法は通常、移植プロセス中又は直後に行うことができず、モニタリングには適さない。
米国特許出願公開第2003/0232385号明細書
Kempf 2006, Circ Res 98: 351-360 Bootcov 1997, Proc Natl Acad Sci 94:11514-11519 Tan 2000, Proc Natl Acad Sci 97:109-114
従って、再かん流の効率、そして経皮的心臓インターベンションの成功を決定し、モニタリングするための信頼性のある有効な手段及び方法は、未だ利用されていないが、要望は強い。ステント移植等の経皮的心臓インターベンションを受けた安定型冠動脈性心疾患に罹患している患者において、信頼性のある迅速なリスク層別化を可能にする診断方法又は予測方法が求められている。
本発明における技術的問題は、上記要求に適合する手段及び方法の提供として理解することができる。その技術的問題は、以下の説明及び特許請求の範囲で特徴づけられる実施形態によって解決する。
従って本発明は、安定型冠動脈性心疾患に罹患している被験体において経皮的心臓インターベンション(PCI)の成功の有無を診断する方法であって、該方法が:
a)PCI後に得られた該被験体の第一サンプル中のGDF-15の量の測定;及び
b)工程a)で測定されたGDF-15 の量と、PCI前に得られた安定型冠動脈性心疾患に罹患している該被験体の第二サンプル中で測定されるGDF-15の参照量との比較による、PCIの成功の有無の診断
を含む、前記方法に関する。
本発明の方法は、好ましくはインビトロの方法である。さらに、この方法は上記で明確に言及した工程に加え、他の工程を含む場合もある。例えば別の工程は、サンプルの前処理、又はこの方法によって得られる結果の評価に関する場合もある。本発明の方法は、被験体のモニタリング、確認(confirmation)及び下位分類(subclassification)をするために用いてもよい。この方法は、マニュアルで又は自動で行うことができる。好ましくは、工程(a)及び/又は(b)を、工程(a)での測定又は工程(b)におけるコンピューター実行による比較のために好適なロボット知覚装置等を用いる自動化によって、全体的又は部分的に補助することができる。
本明細書で用いられる用語「診断」は、経皮的心臓インターベンションが成功したかどうかを評価することを意味する。当業者によって理解されるように、そのような評価は通常、詳査される全て(即ち100%)の被験体において正確であることを意図しているわけではない。しかしこの用語は、統計的に有意な被験体の一部を同定できることを要求する(例えばコホート研究のコホート)。一部が統計的に有意かどうかは、当業者に別の手間を要することなく、様々な周知の統計評価ツール、例えば信頼区間の決定、p値の決定、スチューデントのt 検定、マン・ホイットニー検定等を用いて決定することができる。詳細については、Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983中に見られる。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98% 又は少なくとも99 %である。p値は、好ましくは、0.1、0.05、0.01、0.005、又は0.0001である。より好ましくは、母集団のうち少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80% 又は少なくとも90%の被験体を、本発明の方法により適切に評価することができる。
本発明の診断は、評価と共に、モニタリング、確認、下位分類を含む。モニタリングはマーカーの追跡に関し、それによってインターベンション後の異なる時点における成功の再評価が可能となる。確認は、他のインジケーター又はマーカーを用いることによって行われる評価を含む、先の評価を強化又は実証することに関する。下位分類は、様々な成功のサブクラスに従って評価をさらに特定することに関する。
用語「経皮的心臓インターベンション(PCI)」は、心臓血管系、好ましくは心臓に影響を及ぼす外科手術、微細手術その他の侵襲的な治療によるインターベンションを含む、治療計画に関する。好ましくは、本明細書で用いられる経皮的心臓インターベンションは、心臓へ適切に酸素を供給するよう回復させることを目的とする治療計画である。これは、好ましくは、心臓を支える血管、即ち冠状血管全体に、血流を回復させることによって達成される。それらの血管は、例えば血栓性又はアテローム硬化性のプラークのために機性低下する場合がある。従って心臓インターベンションは、好ましくは、必要に応じてそのようなプラークの破壊及び/又は除去及び血管の回復を含むべきである。本発明の好ましい心臓インターベンションは、経皮的冠動脈血管形成術、経皮的経腔冠動脈バルーン血管形成術、レーザー血管形成術、冠動脈ステント移植、バイパス移植、又は血流回復、血管開通、プラークの安定化及び/又は冠状動脈内血栓塊の減少を意図した腔内技術からなる群より選択される。
本発明によれば、PCIは、PCI後(即ち狭窄又は閉塞除去後)冠状血管を通るかん流(即ち血流速度)が、PCI前のかん流と比較して有意に増加すれば、「成功した」とみなされる。かん流の増加が統計的に有意であるかどうかは、例えば本明細書の各所に記載される当業者に周知の技術によって決定することができる。好ましくは、PCI後に観察されるかん流の増加によって、冠動脈性心疾患により以前に影響が及んでいた虚血心組織領域への酸素の供給を回復することができる。従って、その後の心血管イベントを防ぐことができる。好ましくは、PCI後のかん流は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも100%に回復する。
本明細書で用いられる用語「安定型冠動脈性心疾患」は、狭窄、心血管のアテローム性動脈硬化症又は閉塞、例えば心血管系内での血栓塞栓性閉塞を含む冠動脈疾患を包含する。該冠動脈性心疾患は、疾患の兆候が安静時に現れない、好ましくは該疾患に伴う兆候の進行又は悪化がそれに罹患する被験体で観察されないという点において、安定である。より好ましくは、安定型冠動脈性心疾患を示す被験体は、運動後約5〜15分間の虚血の可逆時間を示す。しかし、不安定型冠動脈性心疾患に罹患している被験体は、運動後又は安静時にも不可逆的な虚血を示す。
本明細書で用いられる「被験体」は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに関する。上記方法により言及される被験体は、安定型冠動脈性心疾患に罹患しているか、又はそれに伴う兆候を示し、即ち少なくとも安定型冠動脈性心疾患に罹患している疑いがある。
用語「サンプル」は、体液サンプル、分離細胞サンプル又は組織もしくは臓器由来のサンプルを表す。体液サンプルは、周知の技術によって得ることができ、好ましくは血液、血漿、血清又は尿のサンプル、より好ましくは血液、血漿又は血清のサンプルを含む。組織又は臓器のサンプルは、任意の組織又は臓器から、例えば生検によって得ることができる。分離細胞は体液又は組織もしくは臓器から、遠心分離又はセルソーティング等の分離技術によって得ることができる。好ましくは、細胞、組織又は臓器のサンプルは、本明細書に記載のペプチドを発現又は生成する細胞、組織又は臓器から得られる。
本発明における「第一サンプル」とは、PCI後に、好ましくはPCI直後に得られるサンプルである。PCI直後とは、好ましくは、2〜24時間の時間枠、より好ましくは4〜16時間、4〜12時間、5〜10時間又は6〜8時間の時間枠を意味する。最も好ましくは、6時間後にサンプルを得る。本明細書における「第二サンプル」とは、PCI前に得られるサンプルである。このような第二サンプルは、該安定型冠動脈性心疾患の発症後の任意の時間において、本発明の方法によって精査しなければならない安定型冠動脈性心疾患に罹患している被験体から得ることができる。好ましくは、PCI前の入院時に得られる。
用語「増殖分化因子15(Growth-Differentiation Factor-15(GDF-15))」は、形質転換増殖因子β(transforming growth factor (TGF)-β)サイトカインスーパーファミリーのメンバーであるポリペプチドに関する。ポリペプチド、ペプチド及びタンパク質なる用語は、本明細書を通して互換性がある。GDF-15は、初めはマクロファージ抑制性サイトカイン1としてクローニングされ、後に胎盤形質転換増殖因子β、胎盤骨形成タンパク質、非ステロイド性抗炎症薬活性化遺伝子1(non-steroidal anti-inflammatory drug-activated gene-1)及び前立腺由来因子としても同定された(Bootcov, 上記引用文献 ; Hromas, 1997 Biochim Biophys Acta 1354:40-44; Lawton 1997, Gene 203:17-26; Yokoyama-Kobayashi 1997, J Biochem (Tokyo), 122:622-626; Paralkar 1998, J Biol Chem 273:13760-13767)。他のTGF-β関連のサイトカインと同様に、GDF-15は不活性前駆タンパク質として合成され、ジスルフィド結合したホモ二量体となる。N末端のプロペプチドがタンパク質分解により切断されると、GDF-15は約28キロダルトンの二量体タンパク質として分泌される(Bauskin 2000, Embo J 19:2212-2220)。GDF-15のアミノ酸配列は、国際公開第99/06445号、第00/70051号、第2005/113585号パンフレット, Bottner 1999, Gene 237: 105-111, Bootcov 上記引用文献, Tan 上記引用文献, Baek 2001, Mol Pharmacol 59: 901-908, Hromas上記引用文献, Paralkar上記引用文献, Morrish 1996, Placenta 17:431-441又はYokoyama-Kobayashi上記引用文献に開示されている。本明細書で用いられるGDF-15は、前述した特定のGDF-15ポリペプチドの変異体も含む。このような変異体は、特定のGDF-15ポリペプチドと少なくとも同一の基本的な生物学的及び免疫学的な特性を有する。特にそれらの変異体は、本明細書に記載の同一の特定のアッセイ、例えば該GDF-15ポリペプチドを特異的に認識するポリクローナル又はモノクローナル抗体を用いるELISAアッセイによって検出可能な場合、同一の基本的な生物学的及び免疫学的な特性を共有する。好ましいアッセイは、後述の実施例に記載されている。さらに本発明による変異体が、少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失及び/又は付加によって相違するアミノ酸配列を有し、該変異体のアミノ酸配列がそれでも、好ましくは、特定のGDF-15ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、又は99%同一性であることは理解されるべきである。二つのアミノ酸配列間の同一性の度合いは、当技術分野で周知のアルゴリズムによって決定することができる。好ましくは、同一性の度合いは、比較ウィンドウ(comparison window)で、最適に配列した二つの配列を比較することによって決定することができ、比較ウィンドウ中のアミノ酸配列のフラグメントは、(付加又は欠失を含まない)最適アライメントのための参照配列と比べて、付加又は欠失(例えばギャップ又はオーバーハング)を含んでもよい。その割合は、両方の配列中に同一のアミノ酸残基が存在すること位置の数を決定し、その適合する位置の数を比較ウィンドウ中の位置の総数によって割り、その結果に配列同一性の割合を示すよう100をかけることによって計算することができる。比較のための最適な配列アライメントは、Smith and Waterman Add. APL. Math. 2:482 (1981)に記載の局所的相同性アルゴリズム、Needleman and Wunsch J. Mol. Biol. 48:443 (1970)に記載の相同性アライメントアルゴリズム、Pearson and Lipman Proc. Natl. Acad Sci. (USA) 85: 2444 (1988)に記載の類似法の検索、これらアルゴリズムのコンピューター化された実行(GAP, BESTFIT, BLAST, PASTA, and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group (GCG), 575 Science Dr., Madison, WI)又は目視検査によって行ってもよい。二つの配列が比較のために特定されたら、好ましくは、GAP及びBESTFITを用いて、それらの最適アライメント、そして同一性の度合いを決定する。好ましくは、ギャップウェイト(gap weight)が5.00、ギャップウェイトレングス(gap weight length)が0.30のデフォルト値を用いる。上記の変異体は、対立遺伝子多型又は他のどのような種の特定のホモログ、パラログ又はオルソログであってもよい。さらに、本明細書に記載の変異体は、特定のGDF-15のポリペプチド又は上記変異体のタイプのフラグメントが上述した基本的な免疫学的及び生物学的な特性を有する限り、それらのフラグメントを含む。このようなフラグメントは、例えばGDF-15ポリペプチドの分解産物であってもよい。さらにリン酸化又はミリスチル化等の翻訳後修飾により異なる変異体が含まれる。
本明細書に記載のペプチド又はポリペプチドの量の測定は、その量又は濃度を、好ましくは半定量的又は定量的に測定することに関する。測定は、直接的又は間接的に行うことができる。直接的な測定は、ペプチド又はポリペプチド自体から得られ、その強度がサンプル中に存在するペプチド分子数と直接相関するシグナルに基づいて、ペプチド又はポリペプチドの量又は濃度を測定することに関する。強度シグナルとして本明細書に記載されることもあるそのようなシグナルは、例えばペプチド又はポリペプチドの特定の物理的又は化学的な特性についての強度値を測定することによって得ることができる。間接的な測定は、二次成分(即ちペプチド又はポリペプチドそれ自体ではない成分)又は生物学的な読み出しシステム、例えば測定可能な細胞応答、リガンド、標識又は酵素反応生成物から得られるシグナルの測定を含む。
本発明によると、ペプチド又はポリペプチドの量の測定は、サンプル中のペプチドの量を測定するための周知の方法によって行うことができる。該手段は、サンドイッチ、競合その他様々なアッセイのフォーマットで標識化した分子を利用できる免疫アッセイのデバイス及び方法を含む。該アッセイは、ペプチド又はポリペプチドの存在又は非存在を示すシグナルを生成する。さらにシグナル強度は、好ましくは、サンプル中に存在するポリペプチドの量と直接的に又は間接的に(例えば反比例で)相関することができる。別の好適な方法は、正確な分子量又はNMRスペクトル等のペプチド又はポリペプチドに特有な物理的又は化学的な特性を測定することを含む。該方法は、好ましくは、バイオセンサー、免疫測定と連結した光学装置、バイオチップ、質量分析計、NMR分析器又はクロマトグラフィー装置等の分析装置を含む。さらに方法は、マイクロプレートELISAベース法、完全に自動化又はロボット化した免疫測定法(例えばElecsysTM分析器を利用できる)、CBA(酵素的コバルト結合アッセイ法(enzymatic Cobalt Binding Assay)、例えばRoche-HitachiTM分析器を利用できる)、及びラテックス凝集法(例えばRoche-HitachiTM分析器を利用できる)を含む。
好ましくは、ペプチド又はポリペプチドの量の測定は、(a)細胞応答の強度がペプチド又はポリペプチドの量を示す細胞応答を誘導することができる細胞に、該ペプチド又はポリペプチドを適切な時間接触させ、(b)その細胞応答を測定する工程を含む。細胞応答を測定するためには、好ましくは、サンプル又は処理したサンプルを、培養細胞に加え、内部又は外部の細胞応答を測定する。その細胞応答は、測定可能なレポーター遺伝子の発現、又はペプチド、ポリペプチドもしくは小分子等の物質の分泌を含んでもよい。その発現又は物質は、ペプチド又はポリペプチドの量と相関する強度シグナルを生じる。
また好ましくは、ペプチド又はポリペプチドの量の測定は、サンプル中のペプチド又はポリペプチドから得られる特有な強度シグナルを測定する工程を含む。上記のように、このようなシグナルは、質量スペクトルで観察されるペプチドもしくはポリペプチドに特有な変化量m/z又はペプチドもしくはポリペプチドに特有なNMRスペクトルで観察されるシグナル強度であってもよい。
ペプチド又はポリペプチドの量の測定は、好ましくは、(a)該ペプチドを特定のリガンドに接触させ、(b)(任意に)非結合リガンドを除去し、(c)結合リガンドの量を測定することを含んでもよい。その結合リガンドは、強度シグナルを生じる。本発明の結合は、共有結合及び非共有結合を含む。本発明のリガンドは、任意の化合物、例えば本明細書におけるペプチド又はポリペプチドに結合する、ペプチド、ポリペプチド、核酸又は小分子でありうる。好ましいリガンドは、抗体、核酸、ペプチド又はポリペプチド、例えば、該ペプチド又はポリペプチド及び該ペプチドの結合ドメインを含むそのフラグメントのための受容体又は結合パートナー、及び核酸又はペプチドアプタマー等のアプタマーを含む。このようなリガンドを調製するための方法は、当技術分野で周知である。例えば、好適な抗体又はアプタマーの同定及び生産は、市販の業者からも提供される。当業者は、より高い親和性又は特異性をもつ前記リガンドの誘導体を開発する方法に精通している。例えば、ランダム変異を核酸、ペプチド又はポリペプチドに導入することができる。これらの誘導体は、ファージディスプレイ法等の当技術分野で知られるスクリーニング法により、結合を試験することができる。本明細書における抗体は、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体だけでなく、抗原又はハプテンに結合することができるFv、Fab及びF(ab)2フラグメント等のそのフラグメントも含む。本発明はまた、所望の抗原特異性を示す非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列をヒトアクセプター抗体の配列と組み合わせた1本鎖抗体及びヒト化ハイブリッド抗体も含む。ドナー配列は通常、少なくとも抗体に結合するドナーのアミノ酸残基を含むが、他の構造的及び/又は機能的に関連性のあるドナー抗体のアミノ酸残基も含んでもよい。このようなハイブリッドは、当技術分野で周知の種々の方法により調製することができる。好ましくは、リガンド又は薬剤がペプチド又はポリペプチドに特異的に結合する。本発明による特異的な結合は、そのリガンド又は薬剤が、解析するサンプル中に存在する他のペプチド、ポリペプチド又は物質に、実質的に結合する(「交差反応する」)べきではないことを意味する。好ましくは、特異的に結合するペプチド又はポリペプチドは、関連のある他のどのペプチド又はポリペプチドよりも、少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも10倍、さらに好ましくは少なくとも50倍高い親和性で結合するべきである。非特異的な結合も、例えばウェスタンブロットにおけるそのサイズに従って、又はサンプル中に相対的により多量に存在することによって、明確に区別及び測定できる場合は、許容できる場合がある。リガンドの結合は、当技術分野で知られるあらゆる方法によって測定することができる。好ましくは、該方法は、半定量的又は定量的である。好適な方法は、次に記載される。
初めに、リガンドの結合は、例えばNMR又は表面プラズモン共鳴によって、直接測定することができる。
第二に、リガンドが、対象とするペプチド又はポリペプチドの酵素活性の基質としても働く場合は、酵素反応生成物を測定することができる(例えばプロテアーゼの量は、例えばウェスタンブロットで、切断された基質の量を測定することによって測定することができる)。あるいは、リガンドが酵素特性自体を示す場合があり、「リガンド/ペプチドもしくはポリペプチド」複合体又はペプチドもしくはポリペプチドそれぞれによって結合するリガンドを、強度シグナルの発生によって検出可能となる好適な基質と接触させることができる。酵素反応生成物の測定のために、好ましくは基質の量は飽和している。基質は、反応前に検出可能な標識で標識化してもよい。好ましくは、サンプルを適切な時間、基質と接触させる。適切な時間は、生成する生成物の量が検出可能に、好ましくは測定可能になるために必要な時間を表す。生成物の量を測定する代わりに、特定の(例えば検出可能な)量の生成物が現れるために必要な時間を測定することができる。
第三に、リガンドの検出及び測定を可能とする標識に、リガンドを共有結合的又は非共有結合的に結合させることができる。標識化は、直接的又は間接的な方法により行うことができる。直接的な標識化は、リガンドに標識を直接(共有結合的又は非共有結合的に)結合させることを含む。間接的な標識化は、第一リガンドに第二リガンドが(共有結合的又は非共有結合的に)結合することを含む。第二リガンドは、第一リガンドに特異的に結合するべきである。該第二リガンドは、好適な標識と結合する及び/又はその第二リガンドに結合する第三リガンドの標的となることができる。第二、第三又はより高次のリガンドの使用は、シグナルを増強するために用いられる場合が多い。好適な第二及び高次のリガンドは、抗体、二次抗体、及び周知のストレプトアビジン-ビオチン系(Vector Laboratories, Inc.)を含み得る。リガンド又は基質は、当技術分野で知られる一種以上のタグで「タグ化(tagged)」してもよい。このようなタグは、より高次のリガンドの標的となってもよい。好適なタグは、ビオチン、ジゴキシゲニン、His-Tag、グルタチオン-S-転移酵素、FLAG、GFP、myc-tag、A型インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)、マルトース結合タンパク質等を含む。ペプチド又はポリペプチドの場合は、タグは、好ましくはN末端及び/又はC末端にある。好適な標識は、適切な検出法によって検出可能な全ての標識である。典型的な標識は、金粒子、ラテックスビーズ、アクリダンエステル、ルミノール、ルテニウム、酵素活性標識、放射性標識、磁性標識(例えば、常磁性ビーズ及び超常磁性標識等の「磁性ビーズ」)、及び蛍光標識を含む。酵素活性標識は、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ及びその誘導体を含む。検出のための好適な基質は、ジアミノベンジジン(DAB)、3,3'-5,5'-テトラメチルベンジジン、NBT-BCIP(Roche Diagnosticsの既製のストック溶液として利用できる、4-ニトロブルーテトラゾリウムクロライド及び5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ホスフェート)、CDP-StarTM(Amersham Biosciences)、ECFTM(Amersham Biosciences)を含む。好適な酵素・基質の組み合わせによっては、当技術分野で知られる方法により(例えば、感光膜又は好適なカメラシステムを用いて)測定可能な着色した反応生成物、蛍光又は化学発光が生じる場合がある。酵素反応の測定に関しては、上記で規定した基準を同様に適用する。典型的な蛍光標識は、蛍光タンパク質(例えばGFP及びその誘導体)、Cy3、Cy5、Texas Red、フルオレセイン及びAlexa色素(例えばAlexa 568)を含む。別の蛍光標識は、例えばMolecular Probes(Oregon)から入手できる。蛍光標識として量子ドットも補完的に用いられる。典型的な放射性標識は、35S、125I、32P、33P等を含む。放射性標識は、感光膜又はホスファーイメージャー(phosphor imager)等の適切な周知のどのような方法によっても検出することができる。本発明の好適な測定法には、沈降(特に免疫沈降)、電気化学発光(電気的に生成された化学発光)、RIA(放射免疫測定法)、ELISA(酵素免疫測定法)、サンドイッチ酵素免疫法、電気化学発光サンドイッチ免疫測定法(ECLIA)、解離増感ランタニド蛍光イムノアッセイ(dissociation-enhanced lanthanide fluoro immuno assay (DELFIA))、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、比濁法(turbidimetry)、比ろう法(nephelometry)、ラテックスにより増感される比濁法もしくは比ろう法、又は固相免疫法も含まれる。当技術分野で知られる別の方法(例えばゲル電気泳動、二次元ゲル電気泳動、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE))、ウェスタンブロッティング及びマススペクトロメトリー)は、単独で又は上記の標識化又は他の検出法と組み合わせて用いることができる。
ペプチド又はポリペプチドの量は、好ましくは、次の通り測定してもよい:(a)上記で特定したペプチド又はポリペプチドのためのリガンドを含む固体担体を、ペプチド又はポリペプチドを含むサンプルに接触させ、(b)担体に結合するペプチド又はポリペプチドの量を測定する。好ましくは、核酸、ペプチド、ポリペプチド、抗体及びアプタマーからなる群より選択されるリガンドは、好ましくは固定化形態で固体担体上に存在する。固体担体を製造するための材料は、当技術分野で周知であり、特に、市販のカラム材料、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁性ビーズ、コロイド金属粒子、ガラス並びに/又はシリコンのチップ及び表面、ニトロセルロース片、膜、シート、デュラサイト(duracyte)、反応トレイのウェル及び壁、プラスチックチューブ等が含まれる。リガンド又は薬剤は、多くの様々な担体と結合することができる。周知の担体の例には、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然の及び修飾されたセルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、及びマグネタイトが含まれる。担体の性質は、本発明の目的に応じて、可溶性又は不溶性のいずれかでありうる。前記リガンドを定着/固定化するための好適な方法は周知であり、これに限定されないが、イオン性、疎水性、共有結合性の相互作用等が含まれる。本発明のアレイとして、「懸濁アレイ」を使用することも検討される(Nolan 2002, Trends Biotechnol. 20(1):9-12)。そのような懸濁アレイでは、担体、例えばマイクロビーズ又はマイクロスフェアが懸濁液中に存在する。そのアレイは、おそらく標識され、様々なリガンドを担持する異なるマイクロビーズ又はマイクロスフェアから構成される。そのようなアレイの製造方法は、例えば固相化学及び光解離性保護基に基づくものが、一般的に知られている(米国特許第5,744,305号明細書)。
本明細書で用いられる用語「量」には、ポリペプチド又はペプチドの絶対量、該ポリペプチド又はペプチドの相対量もしくは濃度だけでなく、これに関連する又は由来するあらゆる値又はパラメータが含まれる。そのような値又はパラメータには、直接的な測定によって前記ペプチドから得られる全ての特有の物理的又は化学的な特性に由来する強度シグナル値、例えば、質量スペクトル又はNMRスペクトルにおける強度値が含まれる。さらに、本明細書の各所で特定される間接的な測定により得られる全ての値又はパラメータ、例えば、ペプチドに対する応答として生物学的読み取りシステムで測定される応答レベル又は特異的に結合したリガンドから得られる強度シグナルが含まれる。上記の量又はパラメータと相関する値は、全ての標準的な数学的手法によっても得られることは理解されるべきである。
本明細書で用いられる用語「比較する」は、分析する第一サンプルに含まれるペプチド又はポリペプチドの量を、第二サンプル中の同一の該ペプチド又はポリペプチドの量と比較することを含む。本明細書で用いられる比較するとは、対応するパラメータ又は値の比較を意味し、例えば絶対量は絶対参照量と比較するが、濃度は参照濃度と比較し、あるいは検査サンプルから得られる強度シグナルは参照サンプルの同種の強度シグナルと比較する。本発明の方法の工程(b)に記載の比較は、手動で又はコンピューターの補助によって行うことができる。コンピュータープログラムはさらにその比較結果を評価し、即ち好適なアウトプット形態で、所望の評価を自動的に提供することができる。上記の量の比較に基づき、PCIが成功しているか否かを評価することができる。
好ましくは、第一サンプル中のGDF-15の量が参照量(即ち、第二サンプル中の量)より多い(即ち、それに比べて増加又は増大している)場合は、PCIの成功の指標となる。対照的に、第二サンプルに比べ第一サンプル中のGDF-15の量が上昇していないか又は減少している場合は、PCIが成功しなかったことの指標となり、この場合は本明細書の該当箇所で特定している補助治療が必要であることを示唆する場合がある。本明細書で記載される量の増加は、好ましくは、統計的に有意な増加である。増加が統計的に有意かどうかは、当技術分野で周知の技術によって決定することができ、本明細書の各所に記載されている。より好ましくは、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも250%、少なくとも500%、少なくとも750%又は少なくとも1000%の増加である。
有利なことに、GDF-15はPCIの成功を評価するための好適なマーカーであることが、本発明により見出された。従って、潜在的に深刻な副作用と関連する血管造影法等の高価で時間を必要とするモニタリング技術に代わって、本発明の方法では、インターベンションの成功の検査を、迅速に、信頼性をもって、高い費用効率で、安全に評価することができる。さらに、PCIが成功しない場合には、例えばPCIが行われた血管の近接部分内の塞栓症のために、特に血管の末梢部のかん流が減少することもありうることが理解されるべきである。さらにPCIによって、PCI側での血栓症又は塞栓症と併せて血栓症が生じる場合もあり、それによって、かん流が著しく減少する可能性もある。かん流の減少によって、心臓のネクローシス、またその結果として、さらなる心臓の合併症が生じることになる。従って本発明の方法は、補助治療、好ましくは抗血栓治療又は塞栓症の治療が、PCI後に必要となるかどうかを評価するために適用される。これに関連して、本発明の方法によって示唆されるPCIの不成功は、上記に記載した補助治療の必要性の指標となることは理解されるべきである。
本発明は原則として、安定型冠動脈性心疾患に罹患している被験体における経皮的心臓インターベンション (PCI)の成功の有無を診断するための診断組成物を調製するための、GDF-15の量を測定するための手段、好ましくはナトリウム利尿ペプチド及び/又は心筋トロポニンの量を測定する手段の使用に関する。
上記で規定した用語の定義及び説明は、次の好ましい方法、装置及びキットに準用する。
本発明の方法の好ましい実施形態において、該方法はさらに:
a)該被験体の該第一サンプル中のナトリウム利尿ペプチドの量の測定;及び
b) 工程a)で測定されたナトリウム利尿ペプチドの量と、PCI前に得られた安定型冠動脈性心疾患に罹患している該被験体の第二サンプル中で測定されるナトリウム利尿ペプチドの参照量との比較による、PCIの成功の有無の診断
を含む。
用語「ナトリウム利尿ペプチド」には、心房ナトリウム利尿ペプチド(Atrial Natriuretic Peptide)(ANP)型ペプチド及び脳ナトリウム利尿ペプチド(Brain Natriuretic Peptide) (BNP)型ペプチド、並びに同一の予測可能性を有するそれらの変異体が含まれる。本発明のナトリウム利尿ペプチドには、ANP型ペプチド及びBNP型ペプチド並びにそれらの変異体が含まれる(例えば、Bonow, 1996, Circulation 93: 1946-1950を参照されたい)。ANP型ペプチドには、pre-proANP、proANP、NT-proANP、及びANPが含まれる。BNP型ペプチドには、pre-proBNP、proBNP、NT-proBNP、及びBNPが含まれる。pre-proペプチド(pre-proBNPの場合、134アミノ酸)には、短いシグナルペプチドが含まれ、これは酵素的に切断されて、proペプチド(proBNPの場合、108アミノ酸)が放出される。proペプチドはさらに、N末端proペプチド(NT-proペプチド、NT-proBNPの場合には76アミノ酸)及び活性ホルモン(BNPの場合には32アミノ酸、ANPの場合には28アミノ酸)へ切断される。
本発明の好ましいナトリウム利尿ペプチドは、NT-proANP、ANP、NT-proBNP、BNP、及びそれらの変異体である。ANP及びBNPは活性ホルモンであり、それらのそれぞれの不活性対応型であるNT-proANP及びNT-proBNPよりも短い半減期を有する。BNPは血液中で代謝されるのに対し、NT-proBNPはインタクトな分子として血液中を循環し、そのまま腎臓で排出される。NT-proBNPのインビボにおける半減期は、BNPの半減期である20分間よりも120分間長い(Smith 2000, J Endocrinol. 167: 239-46.)。事前分析論はNT-proBNPに対しより安定であり、サンプルの中央検査室への輸送を容易にする (Mueller 2004, Clin Chem Lab Med 42: 942-4.)。血液サンプルは、数日間室温で保存することができ、又は回復を損失することなしに郵送又は運搬することができる。対照的に、BNPを室温又は4℃で48時間保存すると、少なくとも20%の濃度損失が生じる(Mueller, 上記引用文献; Wu 2004, Clin Chem 50: 867-73.)。従って、目的とする経時変化又は特性にもよるが、ナトリウム利尿ペプチドの活性型又は不活性型のどちらの測定も有利となるうる。
本発明のもっとも好ましいナトリウム利尿ペプチドは、NT-proBNP又はその変異体である。上記で簡潔に検討したように、本発明の上記のヒトNT-proBNPは、好ましくはヒトNT-proBNP分子のN末端部分に対応する76アミノ酸長を含むポリペプチドである。ヒトBNP及びNT-proBNPの構造は、先行技術として例えば、国際公開第02/089657号、第02/083913号パンフレット又はBonow, 上記引用文献で既に詳細に記載されている。好ましくは、本発明で用いられるヒトNT-proBNPは、欧州特許第0648228号明細書に記載のヒトNT-proBNPである。これらの先行技術文献は、それに開示されているNT-proBNP及びその変異体の特定配列について、参照により本明細書に組み込まれる。本発明で言及する上記のNT-proBNPには、上記ヒトNT-proBNPの前記特定配列についての対立遺伝子変異体その他の変異体がさらに含まれる。特に、アミノ酸レベルでヒトNT-proBNPと少なくとも60%同一、より好ましくは少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の変異体ポリペプチドが想定される。診断手段によって、又は各完全長ペプチドに対するリガンドによって認識されるタンパク質分解生成物は実質的に同様であり、これもまた想定される。ヒトNT-proBNPのアミノ酸配列と比べて、アミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有する変異体ポリペプチドも、このポリペプチドがNT-proBNPの特性を有する限り、含まれる。本明細書で上記のNT-proBNPの特性は、免疫学的及び/又は生物学的な特性である。好ましくは、NT-proBNP変異体は、NT-proBNPの免疫学的特性(即ち、エピトープ組成)と同程度のものを有する。従って変異体は、ナトリウム利尿ペプチドの量を測定するために用いられる上記の手段又はリガンドによって認識できる。生物学的及び/又は免疫学的なNT-proBNPの特性は、Karl等の記載(Karl 1999, Scand J Clin Invest 59:177-181)、Yeo等の記載(Yeo 2003, Clinica Chimica Acta 338:107-115)のアッセイにより検出することができる。変異体には、グリコシル化ペプチド等の翻訳後修飾されたペプチドも含まれる。さらに本発明の変異体は、サンプル回収後に、例えば標識、特に放射性標識又は蛍光標識とペプチドとの共有結合や非共有結合によって修飾されたペプチド又はポリペプチドである。
より好ましくは、ナトリウム利尿ペプチドの量が参照量に対して増大していない場合は、PCIが成功したことを示す。
特にPCIが成功した場合には、第一及び第二サンプル中で、ナトリウム利尿ペプチド、特にNT-proBNPの量が持続的である、即ち上昇しない。対照的に、PCIが不成功の場合は、第一サンプル中で測定されるナトリウム利尿ペプチド、好ましくはNT-proBNPが、第二サンプル(即ち、参照量)に対して増加する。
本発明の方法の別の好ましい実施形態では、該方法はさらに、
a)該被験体の該第一サンプル中の心筋トロポニンの量を測定する工程;及び
b)工程a)で測定された心筋トロポニンの量と、PCI前に得られた安定型冠動脈性心疾患に罹患している該被験体の第二サンプル中で測定される心筋トロポニンの参照量との比較により、PCIの成功の有無を診断する工程
を含む。
用語「心筋トロポニン」は、心臓の細胞、好ましくは心内膜下細胞で発現する全てのトロポニンのアイソフォームを意味する。これらのアイソフォームは、例えばAnderson 1995, Circulation Research, vol. 76, no. 4: 681-686及びFerrieres 1998, Clinical Chemistry, 44: 487-493に記載の通り、当技術分野で十分に特徴づけされている。好ましくは、心筋トロポニンは、トロポニンT及び/又はトロポニンIを意味し、最も好ましくは、トロポニンTを意味する。トロポニンのアイソフォームが、本発明の方法で、共に(即ち同時若しくは逐次的に)、又は個別に(即ち他のアイソフォームは全く測定せずに)決定してもよいことは理解されるべきである。ヒトトロポニンT及びヒトトロポニンIのアミノ酸配列は、Anderson, 上記引用文献 及びFerrieres 1998, Clinical Chemistry, 44: 487-493に開示されている。
用語「心筋トロポニン」には、前述した特定のトロポニンの変異体、即ち好ましくは、トロポニンT又はトロポニンIの変異体も含まれる。そのような変異体は、特定の心筋トロポニンと少なくとも同一の基本的な生物学的及び免疫学的な特性を有する。特に、変異体が本明細書記載の同一の特定のアッセイ、例えば前記心筋トロポニンを特異的に認識するポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を用いるELISAアッセイによって検出可能な場合は、変異体は同一の基本的な生物学的及び免疫学的な特性を共有する。さらに、本発明における変異体は、少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失及び/又は付加により異なるアミノ酸配列を有し、その変異体のアミノ酸配列はそれでも、好ましくは、特定のトロポニンのアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、又は99%同一であると理解されるべきである。変異体は、対立遺伝子変異体又は他のどのような特定のホモログ、パラログ、又はオルソログであってもよい。さらに、本明細書における変異体には、特定の心筋トロポニン又は上記変異体型のフラグメントが上記の基本的な免疫学的及び生物学的な特性を有する限り、それらのフラグメントが含まれる。そのようなフラグメントは、例えばトロポニンの分解生成物を含んでもよい。さらに、リン酸化又はミリスチル化等の翻訳後修飾によって生じる異なる変異体が含まれる。
より好ましくは、参照量に対して心筋トロポニンの量が増大しない場合は、PCIが成功したことを示す。
特に、PCIが成功した場合は、第一及び第二サンプル中で、心筋トロポニン、特にトロポニンTの量が持続的である、即ち上昇しないことが見出された。対照的に、PCIが不成功の場合は、第一サンプル中で測定される心筋トロポニン、好ましくはトロポニンTの量が、第二サンプル(即ち、参照量)に対して増加する。
本発明は、安定型冠動脈性心疾患に罹患している被験体における経皮的心臓インターベンション(PCI)の成功の有無を診断するために採用するデバイスであって、該デバイスが:
a)PCI後に得られる該被験体の第一サンプル及びPCI前に得られる第二サンプル中において、好ましくはナトリウム利尿ペプチド及び/又は心筋トロポニンと組み合わせて、GDF-15の量を測定するための手段;及び
b)該第一サンプル及び第二サンプルについてa)の手段によって測定された量を比較して、PCIの成功の有無が診断可能となる手段
を含む、前記デバイスに関する。
本明細書で用いられる用語「デバイス」は、予測を可能とするために、互いが動作可能となるよう連結された少なくとも上記の手段を含む手段からなるシステムに関する。ペプチド又はポリペプチドの量を測定するための好ましい手段だけでなく比較を行うための手段は、本発明の方法に関連して上記に開示されている。動作しうる様式で手段を連結する方法は、デバイスに含まれる手段の種類に応じて変わる。例えば、ペプチドの量を自動的に測定するための手段を適用する場合には、該自動的に作動する手段により得られるデータを、所望の結果を得るために、例えばコンピュータープログラムによって処理することができる。好ましくは、そのような場合、その手段は単一のデバイスによって構成される。従って該デバイスは、加えられたサンプル中のペプチド又はポリペプチドの量の測定について解析するユニット、及び評価のためにその得られたデータを処理するコンピューターユニットを含むことができる。コンピューターユニットは、好ましくは、本明細書の各所に記載のデータベースに記憶された参照量又はその値を含むデータベースだけでなく、ポリペプチドについての測定量とデータベースに記憶された参照量との比較を実行するためのコンピューター実行アルゴリズムを含む。本明細書で用いられるコンピューター実行とは、コンピューターユニットに実際に内蔵されるコンピューター読み取り可能なプログラムコードを意味する。あるいは、テストストリップのような手段をペプチド又はポリペプチドの量を測定するために使用する場合には、比較のための手段は、対照ストリップ、又は測定量を参照量に割り当てる表を含んでもよい。テストストリップは、好ましくは、本発明におけるペプチド又はポリペプチドと特異的に結合するリガンドと組み合わせられる。ストリップ又はデバイスは、好ましくは該ペプチド又はポリペプチドと該リガンドとの結合を検出するための手段を含む。検出のための好ましい手段は、上記の本発明の方法に関する実施形態と関連して開示されている。そのような場合、その手段は動作可能なように連結され、システムの使用者はその量の測定結果と取扱説明書に定められる指示又は解説によりその診断値又は予測値を結びつける。その手段は、かかる実施形態で個々のデバイスとして現れてもよく、好ましくはキットとして共に包装される。当業者は、さらなる苦労をすることなくその手段を連結する方法を理解することができる。好ましいデバイスは、専門の臨床医の特別な知識がなくても適用することができるものであり、例えば、単にサンプルを付加すればよいテストストリップ又は電子デバイスである。結果は、臨床医による解釈を必要とする未加工データのアウトプットとして得ることができる。しかし好ましくは、デバイスのアウトプットは、その解釈にあたり臨床医を必要としないように処理された、即ち評価された未加工データである。さらに好ましいデバイスには、分析ユニット/デバイス(例えば、バイオセンサー、アレイ、ペプチドを特異的に認識するリガンドと結合した固体支持体、表面プラズモン共鳴装置、NMR分析装置、質量分析装置等)及び/又は本発明の方法における上記の評価ユニット/デバイスが含まれる。
最後に、本発明は、本発明の方法を実施するために採用するキットであって、該方法を行うための取扱説明書及び
a)PCI後に得られる該被験体の第一サンプル及びPCI前に得られる第二サンプル中において、好ましくはナトリウム利尿ペプチド及び/又は心筋トロポニンと組み合わせて、GDF-15の量を測定するための手段;及び
b)該第一サンプル及び第二サンプルの、a)の手段によって測定した量を比較し、PCIの成功の有無を診断する手段
を含むキットに関する。
本明細書で用いられる用語「キット」は、好ましくは個別に又は単一の容器内で提供される上記手段の集合を意味する。キットの構成品は、個別のバイアルを含み(即ち、個別部品のキットとして)又は単一のバイアルで提供してもよい。さらに、本発明のキットは、本明細書で上記の方法を実施するために用いることができることは理解されるべきである。好ましくは、全ての構成品は、上記の方法を実施するために、即時使用可能な方法で提供されることが想定される。さらにキットは、好ましくは、該方法を実施するための取扱説明書を含む。取扱説明書は、紙又は電子形態で、ユーザーズマニュアルによって提供される。例えばマニュアルは、本発明のキットを用いて、上記の方法を行う際、得られる結果を解釈するための取扱説明書を含んでいてもよい。
本明細書で引用される全ての参考文献は、それらの全体の開示内容及び本明細書で特別に言及された開示内容について、参照により本明細書に組み入れられる。
以下の実施例は、本発明を例示するにすぎない。何であれ、本発明の範囲を限定するものであると解釈すべきでない。
経皮的インターベンション治療を受けた患者におけるGDF-15、NT-proBNP及びトロポニンTの時間依存的変化の解析
調査では、ステント移植の指示を受けた冠動脈性心疾患に罹患している37人の患者について、移植前後のGDF-15、NT-proBNP及び感受性トロポニンTのレベルを調査した。GDF-15は、Kempf 2007, Clinical Chemistry 53(2):284-91に記載の通りに、血液サンプル中で測定した。NT-proBNP及び感受性トロポニンTは、NT-proBNP用のElecsysTMアッセイ及び感受性トロポニンT用のElecsysTMアッセイ(両方ともRoche Diagnostics, Germany)によって測定した。
5人の患者はGDF-15の上昇を示さなかったのに対し、32人の患者は移植後最初の6時間以内に、GDF-15の測定可能量の増加を示した。6時間後にGDF-15レベルの増加を示した患者は、6時間及び24時間後NT-proBNP及び感受性トロポニンTの増加を示さなかったか、あるいは有意な増加を示さなかった。対照的に、GDF-15が増加していない患者は、6時間及び24時間後感受性トロポニンT及びNT-proBNPの双方の著しい増加を示した。これらの患者は、ステント移植後に再かん流を示さなかったか、あるいは不十分な再かん流を示しただけであった。従って、移植措置は成功ではなく、さらなる補足治療を要した。
結果を次表にまとめた:
表1:PCIによる治療が成功した患者(n=32)
Figure 2010525307
表2:PCIによる治療が成功しなかった患者(n=5)
Figure 2010525307
GDF-15、感受性トロポニンT及びNT-proBNPの濃度は、上表中においてpg/mlで示される。

Claims (15)

  1. 安定型冠動脈性心疾患に罹患している被験体における経皮的心臓インターベンション(PCI)の成功の有無を診断する方法であって、該方法が:
    a)PCI後に得られた該被験体の第一サンプル中のGDF-15の量の測定;及び
    b)工程a)で測定されたGDF-15の量と、PCI前に得られた安定型冠動脈性心疾患に罹患している該被験体の第二サンプル中で測定されるGDF-15の参照量との比較による、PCIの成功の有無の診断
    を含む、前記方法。
  2. 参照量よりも多いGDF-15の量が、PCIの成功の指標となる、請求項1に記載の方法。
  3. 該方法がさらに:
    a)該被験体の該第一サンプル中のナトリウム利尿ペプチドの量の測定;及び
    b)工程a)で測定されたナトリウム利尿ペプチドの量と、PCI前に得られた安定型冠動脈性心疾患に罹患している該被験体の第二サンプル中で測定されるナトリウム利尿ペプチドの参照量との比較による、PCIの成功の有無の診断
    を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 参照量に対して増加していないナトリウム利尿ペプチドの量が、PCIの成功の指標となる、請求項3に記載の方法。
  5. 該方法がさらに、
    a)該被験体の該第一サンプル中の心筋トロポニンの量を測定する工程;及び
    b)工程a)で測定された心筋トロポニンの量を、PCI前に得られた安定型冠動脈性心疾患に罹患している該被験体の第二サンプル中で測定される心筋トロポニンの参照量と比較して、PCIの成功の有無を診断する工程
    を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 参照量に対して増加していない心筋トロポニンの量が、PCIの成功の指標となる、請求項5に記載の方法。
  7. PCI後2〜24時間以内に該第一サンプルを得る、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. PCI後6時間で該第一サンプルを得る、請求項7に記載の方法。
  9. 該ナトリウム利尿ペプチドがBNP型ペプチドである、請求項3〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 該BNP型ペプチドがNT-proBNPである、請求項9に記載の方法。
  11. 該心筋トロポニンがトロポニンTである、請求項5〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 該被験体がヒトである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 安定型冠動脈性心疾患に罹患している被験体における経皮的心臓インターベンション(PCI)の成功の有無を診断するためのデバイスであって、該デバイスが:
    a)PCI後に得られる該被験体の第一サンプル及びPCI前に得られる第二サンプル中において、好ましくはナトリウム利尿ペプチド及び/又は心筋トロポニンと組み合わせて、GDF-15の量を測定するための手段;及び
    b)該第一サンプル及び第二サンプルについてa)の手段によって測定した量を比較して、PCIの成功の有無を診断可能とする手段
    を含む、前記デバイス。
  14. 安定型冠動脈性心疾患に罹患している被験体における経皮的心臓インターベンション(PCI)の成功の有無を診断するための診断用組成物の調製のための、GDF-15の量を測定するための手段、好ましくはナトリウム利尿ペプチド及び/又は心筋トロポニンの量を測定する手段の使用。
  15. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法を行うためのキットであって、該キットが、該方法を行うための取扱説明書並びに
    a)PCI後に得られる該被験体の第一サンプル及びPCI前に得られる第二サンプルにおいて、好ましくはナトリウム利尿ペプチド及び/又は心筋トロポニンと組み合わせて、GDF-15の量を測定するための手段;及び
    b)該第一サンプル及び第二サンプルについてa)の手段によって測定した量を比較して、PCIの成功の有無を診断可能とする手段
    を含む、前記キット。
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