JP2010524468A - Δ9エロンガーゼおよび多価不飽和脂肪酸の作成におけるそれらの使用 - Google Patents

Δ9エロンガーゼおよび多価不飽和脂肪酸の作成におけるそれらの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、リノール酸(LA;18:2 ω−6)をエイコサジエン酸(EDA;20:2 ω−6)に、および/またはα−リノレン酸(ALA;18:3 ω−3)をエイコサトリエン酸(ETrA;20:3 ω−3)に変換する能力を有するΔ9エロンガーゼに関する。Δ9エロンガーゼをコードする単離された核酸断片およびこのような断片を含んでなる組み換えコンストラクトが、油性酵母中でこれらのΔ9エロンガーゼを使用して長鎖多価不飽和脂肪酸(PUFA)を作成する方法と共に開示される。

Description

関連出願の相互参照
本明細書は、その内容全体を参照によって本明細書に援用する、2007年4月16日に出願された米国仮特許出願第60/911,925号明細書の優先権を主張する。
本発明は生物工学の分野にある。より具体的には、本発明は、Δ9脂肪酸エロンガーゼをコードするポリヌクレオチド配列の同定、および長鎖多価不飽和脂肪酸(PUFA)の製造におけるこれらのエロンガーゼの使用に関する。
今日、商業的PUFA生産の手段として、植物、藻類、真菌、ストラメノパイル、および酵母をはじめとする多様な異なる宿主が調査されている。遺伝子操作では、いくつかの宿主の天然の能力(天然ではリノール酸(LA;18:2 ω−6)またはα−リノレン酸(ALA;18:3 ω−3)脂肪酸生成に限定されるものでさえ)を実質的に改変して、様々な長鎖ω−3/ω−6PUFAの高レベル生成をもたらすことができると実証されている。これが天然の能力であるかまたは組み換え技術の結果であるかに関わらず、アラキドン酸(ARA;20:4 ω−6)、エイコサペンタエン酸(EPA;20:5 ω−3)、およびドコサヘキサエン酸(DHA;22:6 ω−3)の生成はΔ9エロンガーゼの発現を必要とするかもしれない。
これまでに同定されたほとんどのΔ9エロンガーゼ酵素は、LAをエイコサジエン酸(EDA;20:2 ω−6)に、ALAをエイコサトリエン酸(ETrA;20:3 ω−3)に変換する双方の能力を有する(Δ8デサチュラーゼとの反応に続いて、ジホモ−γ−リノレン酸(DGLA;20:3 ω−6)およびエイコサテトラエン酸(ETA;20:4 ω−3)がEDAおよびETrAからそれぞれ引き続いて合成され、Δ5デサチュラーゼとの反応に続いて、ARAおよびEPAがDGLAおよびETAからそれぞれ引き続いて合成され、DHA合成は追加的C20/22エロンガーゼおよびΔ4デサチュラーゼの引き続く発現を必要とする)。
ARA、EPA、およびDHAを生成する新しい方法に対する必要性にもかかわらず、わずかなΔ9エロンガーゼ酵素のみが同定されている。イソクリシス・ガルバナ(Isochrysis galbana)からのΔ9エロンガーゼは公的に入手可能である(Genbank登録番号AAL37626、ならびに特許文献1、2、3、および4で述べられている)。特許文献5および6(出願人らの譲受人の同時係属出願)は、ミドリムシ(Euglena gracilis)およびユートレプチエラ(Eutreptiella)種CCMP389からのΔ9エロンガーゼ、ならびにΔ9エロンガーゼモチーフを開示する。
国際公開第02/077213号パンフレット 国際公開第2005/083093号パンフレット 国際公開第2005/012316号パンフレット 国際公開第2004/057001号パンフレット 国際公開第2007/061845号パンフレット 国際公開第2007/061742号パンフレット
したがってω−3/ω−6脂肪酸の生成で使用するための多様な宿主生物中での異種性発現に適したΔ9エロンガーゼをコードする追加的遺伝子を同定および単離する必要性がある。
出願人らは、ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)からΔ9脂肪酸エロンガーゼをコードする遺伝子を単離することで既述の問題を解決した。
本発明は、Δ9エロンガーゼ活性を有するポリペプチドをコードする新しい遺伝子コンストラクト、およびPUFAを生成するための、藻類、細菌、酵母、ユーグレナ属、ストラメノパイル、および真菌におけるそれらの使用に関する。したがって本発明は、
(a)Δ9エロンガーゼ活性を有して、配列番号13または配列番号14に記載のアミノ酸配列と比較すると、アラインメントのClustal V法に基づいて少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
(b)Δ9エロンガーゼ活性を有するポリペプチドをコードして、配列番号11、配列番号12または配列番号26に記載のヌクレオチド配列と比較すると、アラインメントのBLASTN法に基づいて少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、
(c)Δ9エロンガーゼ活性を有するポリペプチドをコードして、配列番号11、配列番号12または配列番号26に記載のヌクレオチド配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列、または
(d)(a)、(b)または(c)のヌクレオチド配列の相補体
を含んでなり、相補体およびヌクレオチド配列が同数のヌクレオチドからなって100%相補的である、単離されたポリヌクレオチドを含んでなる微生物宿主細胞を提供する。
他の実施態様では本発明は、
a)(i)Δ9エロンガーゼポリペプチドをコードして、配列番号13または配列番号14に記載のアミノ酸配列と比較すると、アラインメントのClustal V法に基づいて少なくとも80%のアミノ酸同一性を有する組み換えヌクレオチド分子、および
(ii)リノール酸源
を含んでなる微生物宿主細胞を提供するステップと、
b)Δ9エロンガーゼポリペプチドをコードする核酸断片が発現されて、リノール酸がエイコサジエン酸に変換される条件下でステップ(a)の微生物宿主細胞を成長させるステップと、
c)場合によりステップ(b)のエイコサジエン酸を回収するステップと
を含んでなる、エイコサジエン酸を生成する方法を提供する。
追加的な実施態様では、本発明は、
a)(i)Δ9エロンガーゼポリペプチドをコードして、配列番号13または配列番号14に記載のアミノ酸配列と比較すると、アラインメントのClustal V法に基づいて少なくとも80%のアミノ酸同一性を有する組み換えヌクレオチド分子、および
(ii)α−リノレン酸源
を含んでなる微生物宿主細胞を提供するステップと、
b)Δ9エロンガーゼポリペプチドをコードする核酸断片が発現されて、α−リノレン酸がエイコサトリエン酸に変換される条件下で、ステップ(a)の微生物宿主細胞を成長させるステップと、
c)場合によりステップ(b)のエイコサトリエン酸を回収するステップと
を含んでなる、エイコサトリエン酸を生成する方法を提供する。
他の実施態様では、本発明は配列番号26に記載のΔ9エロンガーゼをコードして、少なくとも98個のコドンがヤロウィア(Yarrowia)種中での発現についてコドン最適化されている、単離された核酸分子を提供する。
様々な中間体を通じてミリスチン酸のDHAへの変換をもたらす、代表的なω−3およびω−6脂肪酸生合成経路である。 実施例で述べられるユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)細胞抽出物の脂質プロフィールのクロマトグラムを示す。 (A)pY115(配列番号19)、(B)pY159(配列番号23)、(C)pY173(配列番号24)および(D)pY174(配列番号25)のプラスミドマップを提供する。 EaD9Elo(配列番号11)とEaD9ES(配列番号26)のヌクレオチド配列の比較を示す。 EaD9Elo(配列番号11)とEaD9ES(配列番号26)のヌクレオチド配列の比較を示す。 (A)pEaD9ES(配列番号28)および(B)pZUFmEaD9eS(配列番号29)のプラスミドマップを提供する。
本発明は、本明細書の一部を形成する以下の詳細な説明および添付の配列説明からより完全に理解できる。
次の配列は、37C.F.R.1.§821〜1.825(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列開示を含む特許出願の要件−配列規則」)を満たし、世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(1998年)、およびEPOおよびPCTの配列表要件(規則5.2および49.5(aの2)、および実施細則第208号および附属書C)に一致する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データのために使用される記号および型式は、37C.F.R.§1.822で述べられる規則に従う。
配列番号1〜4、9〜19、および22〜29は、表1のように同定されるORFをコードする遺伝子またはタンパク質(またはその部分)、またはプラスミドである。
Figure 2010524468
配列番号5および6は、ミドリムシ(Euglena gracilis)Δ9エロンガーゼの増幅のために使用されるオリゴヌクレオチドoEugEL1−1およびoEugEL1−2にそれぞれ対応する。
配列番号7および8は、ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)DNA挿入断片の末端配列決定のために使用されるM13FユニバーサルプライマーおよびプライマーM13−28Revにそれぞれ対応する。
配列番号20および21は、プラスミドpY115からのFBAINmプロモーターを増幅するのに使用されるプライマーoYFBA1およびoYFBA1−6にそれぞれ対応する。
健康に良いPUFAの生成のため生化学的経路を操作するために使用してもよい、新しいユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)Δ9エロンガーゼ酵素および同酵素をコードする遺伝子が、ここで開示される。
PUFAまたはその誘導体は、静脈内栄養補給を受ける患者のために、または栄養失調を予防または治療するために、食餌代用物、または栄養補給剤、特に乳児用調製粉乳として使用される。代案としては、通常の使用において受容者が所望量の食事補給を受け入れるように調合された、料理用油、脂肪またはマーガリン中に、純化されたPUFA(またはその誘導体)を組み込んでもよい。PUFAはまた、乳児用調製粉乳、栄養補給剤またはその他の食品中に組み込んでもよく、抗炎症薬またはコレステロール低下剤としての用途があるかもしれない。場合により組成物は、製薬用途(ヒトまたは獣医)のために使用してもよい。
定義
本開示の文脈で、いくつかの用語および略語が使用される。以下の定義が提供される。
「読み取り枠」はORFと略記される。
「ポリメラーゼ連鎖反応」はPCRと略記される。
「米国微生物系統保存機関」はATCCと略記される。
「多価不飽和脂肪酸」はPUFAと略記される。
「トリアシルグリセロール」はTAGと略記される。
「発明」または「本発明」という用語は、ここでの用法では本発明の特定の実施態様のどれか1つへの限定を意図せず、特許請求の範囲および明細書で述べられるように、一般に本発明のあらゆる全ての実施態様に当てはまる。
ここでのおよび添付の特許請求の範囲の用法では、単数形「a」、「an」、および「the」は、特に断りのない限り複数の言及を含む。したがって例えば「植物(a plant)」への言及は複数のこのような植物を含み、「細胞(a cell)」への言及は1つ以上の細胞および当業者に知られているその同等物等を含む。
「脂肪酸」という用語は、(より長い、およびより短い鎖長の酸の双方も知られているが)約C12〜C22の様々な鎖長の長鎖脂肪族酸(アルカン酸)を指す。優勢な鎖長はC16〜C22の間である。「飽和脂肪酸」対「不飽和脂肪酸」、「一価不飽和脂肪酸」対「多価不飽和脂肪酸」(または「PUFA」)、および「オメガ−6脂肪酸」(ω−6またはn−6)」対「オメガ−3脂肪酸」(ω−3またはn−3)の違いについて、さらに詳しくは米国特許第7,238,482号明細書で規定される。
脂肪酸は単純な表記体系「X:Y」によってここで記述され、Xは特定の脂肪酸の炭素(C)原子の総数であり、Yは二重結合の数である。脂肪酸名に続く番号は、脂肪酸のカルボキシル末端からの二重結合の位置を示し、接辞「c」は二重結合のcis配置を示す(例えばパルミチン酸(16:0)、ステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1、9c)、ペトロセリン酸(18:1、6c)、LA(18:2、9c,12c)、GLA(18:3、6c,9c,12c)、およびALA(18:3、9c,12c,15c))。特に断りのない限り、18:1、18:2、および18:3は、オレイン酸、LA、およびALA脂肪酸をそれぞれ指す。特に断りのない限り、二重結合はcis配置にあると見なされる。例えば18:2(9,12)中の二重結合はcis配置にあると見なされる。
本開示においてPUFAを既述するのに使用される命名法を下の表2に示す。「略記法」と題された欄では、オメガ−参照システムが使用されて炭素数、二重結合数、およびオメガ炭素(この目的では番号1)から数えて、オメガ炭素に最も近い二重結合の位置を示唆する。表の残りは、ω−3およびω−6脂肪酸およびそれらの前駆物質の一般名、本明細書全体で使用される残りの略語、および各化合物の化学名を要約する。
Figure 2010524468
「トリアシルグリセロール」、「油」、および「TAG」という用語は、グリセロール分子とエステル化する3個の脂肪酸アシル残基から構成される中性脂質を指す(そしてこのような用語は、本開示の全体を通して区別なく使用される)。このような油は、長鎖PUFA、ならびにより短い飽和および不飽和脂肪酸、および鎖長のより長い飽和脂肪酸を含有できる。したがって「油生合成」は、一般に細胞中でのTAG合成を指す。
「総脂質および油画分中のパーセント(%)PUFA」とは、これらの画分中の全脂肪酸に対するPUFAのパーセントを指す。「全脂質画分」または「脂質画分」という用語は、どちらも油性生物中の全脂質(すなわち中性および極性)の合計を指すので、ホスファチジルコリン(PC)画分、ホスファチジルエタノールアミン(PE)画分、およびトリアシルグリセロール(TAGまたは油)画分内に位置する脂質を含む。しかし「脂質」および「油」という用語は、本明細書全体で同義的に使用される。
代謝経路または生合成経路は、生化学的意味において、細胞内で起きて酵素によって触媒され、細胞によって使用されまたは保存される代謝産物の形成、または別の代謝経路の開始(流束発生ステップと称される)のどちらかを達成する一連の化学反応と見なすことができる。これらの経路の多くは複雑であり、開始物質を所望の正確な化学構造を有する生成物に成形する段階を追った改変を伴う。
「PUFA生合成経路」という用語は、オレイン酸をLA、EDA、GLA、DGLA、ARA、DRA、DTA、およびDPAn−6などのω−6脂肪酸と、ALA、STA、ETrA、ETA、EPA、DPA、およびDHAなどのω−3脂肪酸とに変換する代謝過程を指す。この過程は、文献で詳しく述べられる(例えば国際公開第2006/052870号パンフレットを参照されたい)。簡単に述べると、この過程は、小胞体膜中に存在する一連の特別な不飽和化酵素および延長酵素(すなわち「PUFA生合成経路酵素」)による、炭素原子の添加を通じた炭素鎖延長、および二重結合付加を通じた分子不飽和化を伴う。より具体的には「PUFA生合成経路酵素」とは、Δ9エロンガーゼ、C14/16エロンガーゼ、C16/18エロンガーゼ、C18/20エロンガーゼ、C20/22エロンガーゼ、Δ4デサチュラーゼ、Δ5デサチュラーゼ、Δ6デサチュラーゼ、Δ12デサチュラーゼ、Δ15デサチュラーゼ、Δ17デサチュラーゼ、Δ9デサチュラーゼおよび/またはΔ8デサチュラーゼをはじめとする、PUFA生合成と関連付けられている酵素(および前記酵素をコードする遺伝子)のいずれかを指す。
「ω−3/ω−6脂肪酸生合成経路」という用語は、適切な条件下で発現すると、ω−3およびω−6脂肪酸の片方または双方の生成を触媒する酵素をコードする一組の遺伝子を指す。典型的にω−3/ω−6脂肪酸生合成経路に関与する遺伝子は、PUFA生合成経路酵素をコードする。代表的な経路を図1に示し、様々な中間体を経由するミリスチン酸のDHAへの変換を提供して、ω−3およびω−6脂肪酸の双方が共通の原料からどのように生成できるかを実証する。経路は自然に2つの部分に別れ、1つの部分はω−3脂肪酸、別の部分はω−6脂肪酸を発生させる。
「機能性」という用語は、ここでω−3/ω−6脂肪酸生合成経路に関する文脈で、経路中の遺伝子のいくつか(または全て)が、活性酵素を発現し、生体内触媒作用または基質変換をもたらすことを意味する。いくつかの脂肪酸産物はこの経路の遺伝子のサブセットの発現のみを必要とするので、「ω−3/ω−6脂肪酸生合成経路」または「機能性ω−3/ω−6脂肪酸生合成経路」は、全てのPUFA生合成経路酵素遺伝子が要求されることを暗示しないものと理解される。
「Δ6デサチュラーゼ/Δ6エロンガーゼ経路」という用語は、少なくとも1つのΔ6デサチュラーゼおよび少なくとも1つのC18/20エロンガーゼ(Δ6エロンガーゼとも称される)を最低限含み、それによってGLAおよび/またはSTAを中間体脂肪酸として、それぞれLAおよびALAからDGLAおよび/またはETAを生合成できるようにするPUFA生合成経路を指す。その他のデサチュラーゼおよびエロンガーゼの発現があれば、ARA、EPA、DPA、およびDHAもまた合成されるかもしれない。
「Δ9エロンガーゼ/Δ8デサチュラーゼ経路」という用語は、少なくとも1つのΔ9エロンガーゼおよび少なくとも1つのΔ8デサチュラーゼを最低限含み、それによってEDAおよび/またはETrAを中間体脂肪酸として、それぞれLAおよびALAからDGLAおよび/またはETAを生合成できるようにするPUFA生合成経路を指す。その他のデサチュラーゼおよびエロンガーゼの発現があれば、ARA、EPA、DPA、およびDHAもまた合成されるかもしれない。
「中間体脂肪酸」という用語は、脂肪酸代謝経路においてその他の代謝経路酵素の作用によって、意図される生成物脂肪酸にさらに変換できる、この経路内で生成されるあらゆる脂肪酸を指す。例えばΔ9エロンガーゼ/Δ8デサチュラーゼ経路を使用してEPAが生成される場合、EDA、ETrA、DGLA、ETA、およびARAが生成され、これらの脂肪酸は、その他の代謝経路酵素の作用を通じてEPAにさらに変換できるので、「中間体脂肪酸」と見なすことができる。
「副産物脂肪酸」という用語は、経路の意図される脂肪酸生成物でなく、また経路の「中間体脂肪酸」でもない、脂肪酸代謝経路内で生成されるあらゆる脂肪酸を指す。例えばΔ9エロンガーゼ/Δ8デサチュラーゼ経路を使用してEPAが生成される場合、それぞれEDAまたはETrAのどちらかに対するΔ5デサチュラーゼの作用によって、シアドン酸(SCI)およびジュニペロン酸(JUP)もまた生成され得る。それらはどちらもその他の代謝経路酵素の作用によってEPAにさらに変換されないので、「副産物脂肪酸」と見なされる。
「デサチュラーゼ」という用語は、不飽和化できる、すなわち1個もしくはそれ以上の脂肪酸に二重結合を導入して、対象とする脂肪酸または前駆物質を生じさせるポリペプチドを指す。特定の脂肪酸を指すために、本明細書全体を通じたω参照システムの使用にもかかわらず、デルタシステムを使用して基質のカルボキシル末端から数えることで、デサチュラーゼの活性を示す方が都合よい。対象のデサチュラーゼは、例えば(1)EDAからDGLAへの、および/またはETrAからETAへの変換を触媒できる、分子のカルボキシル末端から数えて8番目と9番目の炭素原子間で脂肪酸を不飽和化するΔ8デサチュラーゼ、(2)DGLAからARAおよび/またはETAからEPAへの変換を触媒するΔ5デサチュラーゼ、(3)LAからGLAおよび/またはALAからSTAへの変換を触媒するΔ6デサチュラーゼ、(4)DPAからDHAおよび/またはDTAからDPAn−6への変換を触媒するΔ4デサチュラーゼ、(5)オレイン酸からLAへの変換を触媒するΔ12デサチュラーゼ、(6)LAからALAおよび/またはGLAからSTAへの変換を触媒するΔ15デサチュラーゼ、(7)ARAからEPAおよび/またはDGLAからETAへの変換を触媒するΔ17デサチュラーゼ、および(8)パルミチン酸からパルミトレイン酸(16:1)および/またはステアリン酸からオレイン酸(18:1)への変換を触媒するΔ9デサチュラーゼが挙げられる。当該技術分野では、Δ15およびΔ17デサチュラーゼはまた、ω−6脂肪酸をそれらのω−3対応物に変換するそれらの能力(例えばそれぞれLAからALAへ、およびARAからEPAへの変換)に基づいて、時に「オメガ3デサチュラーゼ」、「w−3デサチュラーゼ」および/または「ω−3デサチュラーゼ」とも称される。いくつかの実施態様では、脂肪酸デサチュラーゼの遺伝子によって適切な宿主を形質転換し、宿主の脂肪酸プロフィールに対するその影響を判定することで、特定の脂肪酸デサチュラーゼの特異性を経験的に判定することが最も望ましいかもしれない。
ここでの目的のために、第1の縮合反応(すなわちマロニル−CoAおよび長鎖アシル−CoAからβ−ケトアシル−CoAへの変換)を触媒する酵素を「エロンガーゼ」と総称する。一般にエロンガーゼの基質選択性はいくらか広いが、鎖長および不飽和度の双方によって差別される。したがってエロンガーゼは異なる特異性を有することができる。例えばC14/16エロンガーゼはC14基質(例えばミリスチン酸)を利用し、C16/18エロンガーゼはC16基質(例えばパルミチン酸)を利用し、C18/20エロンガーゼ(同義的に使用できる用語としてΔ6エロンガーゼとしてもまた知られている)はC18基質(例えばGLA、STA)を利用し、C20/22エロンガーゼはC20基質(例えばARA、EPA)を利用する。同様にして、ここで特に興味深いことには、「Δ9エロンガーゼ」はLAからEDAおよび/またはALAからETrAへの変換を触媒する。いくつかのエロンガーゼが広い特異性を有し、したがって単一酵素がいくつかのエロンガーゼ反応を触媒できるかもしれないことに留意することは重要である。したがって例えばΔ9エロンガーゼはまた、C16/18エロンガーゼ、C18/20エロンガーゼおよび/またはC20/22エロンガーゼとして機能するかもしれず、好ましくはないが、EPAおよび/またはGLAなどのΔ5およびΔ6脂肪酸に対する代案の各特異性を有するかもしれない。好ましい実施態様では、適切な宿主を脂肪酸エロンガーゼ遺伝子で形質転換して、宿主の脂肪酸プロフィールに対するその影響を判定することで、脂肪酸エロンガーゼの特異性を経験的に判定することが望ましいかもしれない。エロンガーゼ系は一般に、エロンガーゼ系が作用する脂肪酸基質よりも炭素2個分長い脂肪酸を生成する脂肪酸炭素鎖の延長の役割を担う4つの酵素を含んでなる。より具体的には延長プロセスは、CoAがアシルキャリアである脂肪酸シンターゼとの関連で起きる(Lassnerら、Plant Cell,8:281〜292(1996年))。基質特異的であり律速でもあることが分かっている第1のステップでは、マロニル−CoAが長鎖アシル−CoAと縮合して、二酸化炭素(CO)および(アシル部分が炭素原子2個分延長された)β−ケトアシル−CoAを生じる。引き続く反応は、β−ヒドロキシアシル−CoAへの還元、エノイル−CoAへの脱水、および延長されたアシル−CoAが生じる第2の還元を含む。エロンガーゼ系によって触媒される反応の例は、GLAからDGLAへ、STAからETAへ、LAからEDAへ、ALAからETrAへ、ARAからDTAへ、およびEPAからDPAへの変換である。
ここでの目的では、「EaD9Elo1」という用語は、ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)から単離され、ここで配列番号11によってコードされるΔ9エロンガーゼ酵素(配列番号13)を指す。「EaD9Elo2」という用語は、E.アナベナ(anabaena)から単離され、ここで配列番号12によってコードされるΔ9エロンガーゼ酵素(配列番号14)を指す。同様に、「EaD9eS」という用語は、E.アナベナ(anabaena)に由来して、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された合成Δ9エロンガーゼを指す(すなわち配列番号26および27)。
「変換効率」および「%基質変換」という用語は、特定の酵素(例えばエロンガーゼ)が基質を生成物に変換できる効率を指す。変換効率は、次の式に従って測定される。([生成物]/[基質+生成物])100、式中「生成物」は、即時生成物およびそれに由来する経路中の全ての生成物を含む。
「油性」と言う用語は、それらのエネルギー源を脂質の形態で保存する傾向がある生物を指す(Weete、「Fungal Lipid Biochemistry」、第2版、Plenum、1980年)。油性微生物内では、細胞性油またはTAG含量は一般にS字形曲線に従って、脂質濃度は対数後期または静止増殖期初期でそれが最大に達するまで増大し、次に静止後期および死滅期において徐々に減少する(YongmanitchaiおよびWard,Appl.Environ.Microbiol.,57:419〜25(1991年))。油性微生物がそれらの乾燥細胞重量の約25%超を油として蓄積することは珍しくない。
「油性酵母」という用語は、油を作る酵母に分類される微生物を指す。油性酵母の例としては、ヤロウィア(Yarrowia)、カンジダ(Candida)、ロドトルラ(Rhodotorula)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)、およびリポマイセス(Lipomyces)属が挙げられるが、これにどのようにも限定されるものではない。
「ミドリムシ綱(Euglenophyceae)」という用語は、淡水、海洋、土壌、および寄生性環境に生息する一群の単細胞無色のまたは光合成鞭毛虫(「ユーグレナ属」)を指す。本綱は単生の単細胞によって特徴づけられ、ほとんどは自由遊泳性であり、レザバーとして知られる前部陥入から生える2本の鞭毛を有する(その1つは非出現性であってもよい)。光合成ユーグレナ属は1個から多数の葉緑体を含有し、それは微小円盤から幅広いプレートまたはリボン状と多様である。無色のユーグレナ属は、栄養素同化作用のために浸透栄養または摂食栄養に依存する。約1000種について記載されており、約40の属と6つの目に分類される。ミドリムシ綱(Euglenophyceae)の例としては、ユーグレナ(Euglena)、ユートレプチエラ(Eutreptiella)、およびテトルエトレプチア(Tetruetreptia)属が挙げられるが、これに限定されるものではない。
ここでの用法では、「核酸」はポリヌクレオチドを意味し、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド塩基の一本鎖または二本鎖ポリマーを含む。核酸はまた、断片および修飾ヌクレオチドを含んでもよい。したがって「ポリヌクレオチド」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」または「核酸断片」という用語は同義的に使用され、一本鎖または二本鎖であり、場合により合成、非天然または改変ヌクレオチド塩基を含有する、RNAまたはDNAのポリマーを指す。DNAポリマーの形態のポリヌクレオチドは、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、またはそれらの混合物の1つ以上のセグメントを含んでなってもよい。ヌクレオチド(通常それらの5’一リン酸塩形態で見られる)は、次のようなそれらの一文字名によって言及される。「A」はアデニル酸またはデオキシアデニル酸(それぞれRNAまたはDNAについて)、「C」はシチジル酸またはデオキシシチジル酸、「G」はグアニル酸またはデオキシグアニル酸、「U」はウリジル酸、「T」はデオキシチミジル酸、「R」はプリン(AまたはG)、「Y」はピリミジン(CまたはT)、「K」はGまたはT、「H」はAまたはCまたはT、「I」はイノシン、および「N」はあらゆるヌクレオチド。
「保存ドメイン」または「モチーフ」という用語は、進化的に関連したタンパク質の整合配列に沿って、特定位置で保存されたアミノ酸のセットを意味する。その他の位置のアミノ酸は相同的なタンパク質の間で変動できるが、特定の位置で高度に保存されたアミノ酸は、タンパク質の構造、安定性、または活性において必須のアミノ酸を示唆する。それらはタンパク質相同体ファミリーの整合配列中のそれらの高度な保存の程度によって識別されるので、それらを識別子または「シグネチャー」として使用して、新たに判定された配列のタンパク質が、以前同定されたタンパク質ファミリーに属するかどうかを判定できる。国際公開第2007/061845号パンフレットおよび国際公開第2007/061742号パンフレットは、Δ9エロンガーゼと関連付けられている特徴的なモチーフについて述べている。
「相同性」、「相同的」、「実質的に類似」、および「実質的に一致」という用語はここで同義的に使用される。それらは1つ以上のヌクレオチド塩基における変化が、核酸断片が遺伝子発現を仲介し、または特定の表現型を生じる能力に影響しない核酸断片を指す。これらの用語はまた、最初の未変性断片と比べて、得られる核酸断片の機能特性を実質的に変化させない、1個もしくはそれ以上のヌクレオチドの欠失または挿入などの本発明の核酸断片の変更も指す。したがって当業者によって理解されるように、本発明は具体的な例示的配列を超えるものを包含する。
さらに当業者は、本発明に包含される実質的に類似した核酸配列が、ここで例示する配列と、またはここで開示される核酸配列のいずれかと機能的に同等であるここで開示されるヌクレオチド配列のあらゆる部分と、(例えば0.5×SSC、0.1%SDS、60℃などの中程度にストリンジェントな条件下で)ハイブリダイズするそれらの能力によってもまた定義されることを認識する。ストリンジェンシー条件を調節して、遠縁の生物からの相同配列などの中程度に類似した断片や、近縁関係にある生物からの機能的酵素を複製する遺伝子などの類似性の高い断片をスクリーンできる。ハイブリダイゼーション後洗浄が、ストリンジェンシー条件を決定する。
「選択的にハイブリダイズする」という用語は、その非標的核酸配列へのハイブリダイゼーションよりも検出できる程度により大きい(例えばバックグラウンドの少なくとも2倍)、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下における核酸配列の規定の核酸標的配列へのハイブリダイゼーション、および非標的核酸の実質的な排除への言及を含む。選択的にハイブリダイズする配列は、互いに典型的に少なくとも約80%の配列同一性、または90%の配列同一性、および100%までの配列同一性(すなわち完全に相補的)を有する。
「ストリンジェントな条件」または「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という用語は、その下でプローブがその標的配列と選択的にハイブリダイズする条件への言及を含む。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、異なる状況では異なる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーおよび/または洗浄条件を調製することで、プローブと100%相補的な標的配列を同定できる(相同的プロービング)。代案としては、ストリンジェンシー条件を調節して、より低い程度の類似性が検出されるように配列中のいくらかのミスマッチを可能にできる(異種性プロービング)。一般にプローブは、長さが約1000ヌクレオチド未満であり、場合により長さは500ヌクレオチド未満である。
典型的にストリンジェントな条件は、その中でpH7.0〜8.3において、塩濃度が約1.5MのNaイオン未満、典型的に約0.01〜1.0MのNaイオン濃度(またはその他の塩)のものであり、温度は短いプローブ(例えば10〜50ヌクレオチド)では少なくとも約30℃、および長いプローブ(例えば50ヌクレオチドを超える)では少なくとも約60℃である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によって達成されてもよい。例示的な低ストリンジェンシー条件としては、37℃における30〜35%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝液溶液によるハイブリダイゼーション、および50〜55℃における1×〜2×SSC(20×SSC=3.0M NaCl/0.3Mクエン酸三ナトリウム)中での洗浄が挙げられる。例示的な中程度のストリンジェンシー条件としては、37℃における40〜45%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS中でのハイブリダイゼーション、および55〜60℃における0.5×〜1×SSCによる洗浄が挙げられる。例示的な高ストリンジェンシー条件としては、37℃における50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS中でのハイブリダイゼーション、および60〜65℃における0.1×SSCによる洗浄が挙げられる。
特異性は典型的にハイブリダイゼーション後洗浄の関数であり、重要な要因は最終洗浄溶液のイオン強度および温度である。DNA−DNAハイブリッドでは、TはMeinkothら、Anal.Biochem.,138:267〜284(1984年)の式、T=81.5℃+16.6(logM)+0.41(%GC)−0.61(%form)−500/L(式中Mは一価のカチオンのモル濃度であり、%GCはDNA中のグアノシンおよびシトシンヌクレオチドの百分率であり、%formはハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドの百分率であり、Lは塩基対中のハイブリッド長である)から近似することができる。Tは(規定のイオン強度およびpH下で)50%の相補的標的配列が、完全にマッチするプローブとハイブリダイズする温度である。Tはそれぞれ1%のミスマッチ毎に約1℃低下する。したがってT、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件を調節して、所望の同一性の配列にハイブリダイズすることができる。例えば90%同一性の配列が求められる場合、Tを10℃低下させることができる。一般にストリンジェントな条件は、規定のイオン強度およびpHにおいて、特定の配列とその相補体の熱融点(T)よりも約5℃低くなるように選択される。しかし厳しくストリンジェントな条件は、熱融点(T)よりも1、2、3、または4℃低いハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用でき、中程度にストリンジェントな条件は、熱融点(T)よりも6、7、8、9、または10℃低いハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用でき、低いストリンジェンシー条件は熱融点(T)よりも11、12、13、14、15、または20℃低いハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用できる。式、ハイブリダイゼーションおよび洗浄組成物、および所望のTを使用して、当業者は、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄溶液のストリンジェンシーのバリエーションについて、本質的に述べられていることを理解するであろう。所望のミスマッチ度が45℃(水溶液)または32℃(ホルムアミド溶液)未満のTをもたらすようであれば、より高い温度が使用できるようにSSC濃度を増大させることが好ましい。核酸ハイブリダイゼーションの詳しいガイドは、Tijssen,Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes,Part I,Chapter 2「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays」,Elsevier,New York(1993年);およびCurrent Protocols in Molecular Biology,Chapter 2,Ausubelら編,Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York(1995年)にある。ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件は、少なくとも10、30、60、90、120または240分間適用できる。
核酸またはポリペプチド配列の文脈における「配列同一性」または「同一性」とは、規定の比較ウィンドウ上の最大一致について整列させると同一である、2つの配列内の核酸塩基またはアミノ酸残基を指す。
したがって「配列同一性」百分率とは、比較ウィンドウ上で2つの最適に整合した配列を比較して判定された値を指し、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の一部は、2つの配列の最適アラインメントのための参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して、付加または欠失(すなわちギャップ)を含んでなってもよい。百分率は、双方の配列中に同一の核酸塩基またはアミノ酸残基がある位置の数を判定して整合位置数を求め、比較ウィンドウ内の整合位置数を位置総数で除して、配列同一性百分率を得るために結果に100を乗じて計算される。配列同一性百分率の有用な例は、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%、または50%〜100%のあらゆる整数百分率が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの同一性は、ここで述べられるプログラムのいずれかを使用して判定できる。
配列アラインメントおよび%同一性または類似性の計算は、DNASTAR Inc.(Madison,WI)からのLASERGENEバイオインフォマティクス演算スイートのMegAlignTMプログラムをはじめとするが、これに限定されるものではない、相同的な配列を検出するようにデザインされた多様な比較法を使用して判定されてもよい。本明細書の文脈では、分析のために配列分析ソフトウェアが使用される場合、特に断りのない限り、分析結果は言及されるプログラムの「デフォルト値」を基準にするものと理解される。ここでの用法では「デフォルト値」とは、最初に初期化した際に、ソフトウェアと共に当初ロードされるあらゆる値またはパラメーターのセットを意味する。
「アラインメントのClustal V法」は、Clustal Vと標識されるアラインメント法(HigginsおよびSharp,CABIOS,5:151〜153(1989年);Higgins,D.G.ら、Comput.Appl.Biosci.,8:189〜191(1992年))で述べられている)に対応し、LASERGENEバイオインフォマティクス演算スイートのMegAlignTMプログラム(前出)にある。多重アラインメントでは、デフォルト値はGAP PENALTY=10およびGAP LENGTH PENALTY=10に対応する。Clustal V法を使用した、タンパク質配列のペアワイズアラインメントおよび%同一性の計算のデフォルトパラメーターは、KTUPLE=1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5、およびDIAGONALS SAVED=5である。核酸では、これらのパラメーターはKTUPLE=2、GAP PENALTY=5、WINDOW=4、およびDIAGONALS SAVED=4である。Clustal Vプログラムを使用した配列アラインメント後、同一プログラム中の「配列距離」表を見ることで「%同一性」を得ることができる。
「アラインメントのBLASTN法」は、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)によって提供される、デフォルトパラメーターを使用してヌクレオチド配列を比較するためのアルゴリズムである。
当業者は、同一または類似機能または活性を有するその他の種からのポリペプチドを同定するのに、多くのレベルの配列同一性が有用であることを良く理解するであろう。有用な%同一性の例としては、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%、または50%〜100%のあらゆる整数百分率が挙げられるが、これに限定されるものではない。実際、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%など、50%〜100%のあらゆる整数のアミノ酸同一性が、本発明について述べるのに有用かもしれない。またこの単離されたヌクレオチド断片のあらゆる全長または部分的相補体も興味深い。
「コドン縮重」とは、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列に影響しないヌクレオチド配列の変動を可能にする遺伝子コードの性質を指す。したがって本発明は、配列番号13および配列番号14に記載の本ユーグレナ属ポリペプチドをコードするアミノ酸配列の全て、またはかなりの部分をコードするあらゆる核酸断片に関する。当業者は、特定のアミノ酸を特定化するヌクレオチドコドンの使用における、特定の宿主細胞によって示される「コドンバイアス」についてよく知っている。したがって宿主細胞中の改善された発現のために遺伝子を合成する場合、そのコドン使用頻度が、宿主細胞の好むコドン使用頻度に近くなるように遺伝子をデザインすることが望ましい。
「合成遺伝子」は、当業者に公知の手順を使用して化学的に合成されるオリゴヌクレオチド構成単位からアセンブルできる。これらの構成単位をライゲーションしアニールして遺伝子セグメントを形成し、次にそれを酵素的にアセンブルして遺伝子全体を構築する。したがって遺伝子をヌクレオチド配列の最適化に基づいて、最適な遺伝子発現のために個別に調整し、宿主細胞のコドンバイアスを反映させることができる。当業者は、コドン利用が宿主によって好まれるコドンに偏っている場合の遺伝子発現成功の可能性を理解する。好ましいコドンの判定は、配列情報が利用できる宿主細胞由来の遺伝子の調査に基づくことができる。
「遺伝子」とは特定のタンパク質を発現する核酸断片を指し、それはコード領域のみを指してもよく、またはコード配列に先行する(5’非コード配列)およびそれに続く(3’非コード配列)制御配列を含んでもよい。「天然遺伝子」とは、自然界にそれ自体の制御配列と共に見られる遺伝子を指す。「キメラ遺伝子」とは、自然界に共に見られない制御およびコード配列を含んでなる天然遺伝子でないあらゆる遺伝子を指す。したがってキメラ遺伝子は、異なる起源由来の制御配列およびコード配列、あるいは同一起源由来であるが、自然界に見られるのとは異なる様式で配列される制御配列およびコード配列を含んでなってもよい。「内在性遺伝子」とは、生物ゲノム中のその天然位置にある天然遺伝子を指す。「外来性」遺伝子とは、宿主生物中に常態では見られないが、遺伝子移入によって宿主生物に導入された遺伝子を指す。外来遺伝子は非天然生物中に挿入された天然遺伝子、またはキメラ遺伝子を含んでなることができる。「導入遺伝子」とは、形質転換によってゲノム中に導入された遺伝子である。「コドン最適化遺伝子」とは、そのコドン使用頻度が宿主細胞の好むコドン使用頻度を模倣するようにデザインされた遺伝子である。
「コード配列」とは、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を指す。「制御配列」とは、コード配列の上流(5’非コード配列)、その中、または下流(3’非コード配列)に位置し、関連したコード配列の転写、RNAプロセシングまたは安定性、または翻訳に影響を与えるヌクレオチド配列を指す。制御配列としては、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、およびステムループ構造が挙げられるが、これに限定されるものではない。
「プロモーター」とは、コード配列または機能性RNAの発現を調節できるDNA配列を指す。一般にコード配列はプロモーター配列に対して3’に位置する。プロモーターはその全体が天然遺伝子に由来しても良く、あるいは自然界に見られる異なるプロモーター由来の異なる要素からなっても良く、あるいは合成DNAセグメントを含んでなってさえ良い。異なるプロモーターが、異なる組織または細胞タイプ中で、あるいは異なる発育段階で、あるいは異なる環境条件に呼応して、遺伝子の発現を導いても良いことが当業者には理解される。ほぼすべての発育段階で遺伝子の発現を引き起こすプロモーターは、一般に「構造プロモーター」と称される。ほとんどの場合、制御配列の正確な境界、特に5’末端は完全に画定されていないので、いくつかのバリエーションのDNA断片が、同一プロモーター活性を有してもよいこともさらに認識される。
プロモーター配列は、近位およびより遠位の上流要素からなってもよく、後者の要素はエンハンサーおよび/またはサイレンサーと称されることが多い。したがって「エンハンサー」はプロモーター活性を刺激できるDNA配列であり、プロモーターの固有要素であっても、またはプロモーターのレベルまたは段階特異的活性を増強するために挿入された異種要素であってもよい。「サイレンサー」はプロモーター活性を抑制できるDNA配列であり、プロモーターの生得要素であっても、またはプロモーターのレベルまたは段階特異的活性を抑制するために挿入された異種の要素であってもよい。
「翻訳リーダー配列」とは、遺伝子の転写開始部位とコード配列との間に位置するポリヌクレオチド配列を指す。翻訳リーダー配列は、翻訳開始配列上流の完全に加工されたmRNAに存在する。翻訳リーダー配列は一次転写物のmRNAへのプロセッシング、mRNAの安定性または翻訳効率に影響を与えるかもしれない。翻訳リーダー配列の例については述べられている(Turner,R.およびFoster,G.D.,Mol.Biotechnol.,3:225〜236(1995年))。
「3’非翻訳配列」、「終結配列」および「転写ターミネーター」という用語は、コード配列下流に位置するDNA配列を指す。これには、mRNAプロセッシングまたは遺伝子発現に影響できる調節シグナルをコードするポリアデニル化認識配列、およびその他の配列が含まれる。ポリアデニル化シグナルは、通常、mRNA前駆物質の3’末端へのポリアデニル酸トラクトの付加に影響することで特徴づけられる。3’領域は、関連したコード配列の転写、RNAプロセシングまたは安定性、または翻訳に影響できる。
「RNA転写物」とは、RNAポリメラーゼが触媒するDNA配列転写から得られる生成物を指す。「RNA転写物」がDNA配列の完全な相補的コピーである場合、それは一次転写物と称される。RNA転写物が一次転写物の転写後プロセッシングに由来するRNA配列である場合、それは成熟RNAと称される。「メッセンジャーRNA」または「mRNA」とは、イントロンがなく細胞がタンパク質に翻訳できるRNAを指す。「cDNA」とは、mRNAテンプレートに相補的であり、逆転写酵素を使用してそれから合成されるDNAを指す。cDNAは一本鎖であることができ、またはDNAポリメラーゼIのクレノウ(Klenow)断片を使用して二本鎖形態に変換できる。「センス」RNAとは、mRNAを含み細胞内または生体外でタンパク質に翻訳できるRNA転写物を指す。「アンチセンスRNA」とは、標的一次転写物またはmRNAの全部または一部に相補的で、標的遺伝子の発現を阻止するRNA転写物を指す(米国特許第5,107,065号明細書)。アンチセンスRNAの相補性は、特定の遺伝子転写物のあらゆる部分、すなわち5’非コード配列、3’非コード配列、イントロン、またはコード配列との相補性であってもよい。「機能性RNA」とは、翻訳されないかもしれないがなおも細胞プロセスに影響を与える、アンチセンスRNA、リボザイムRNA、またはその他のRNAを指す。「相補体」および「逆相補体」という用語は、ここでmRNA転写物に関して同義的に使用され、メッセージのアンチセンスRNAを定義することが意図される。
「作動的に結合した」という用語は、1つの機能が他方の機能による影響を受けるような、単一核酸断片上の核酸配列のつながりを指す。例えばプロモーターがコード配列の発現に影響を及ぼすことができる(すなわちコード配列がプロモーターの転写調節下にある)場合、それはそのコード配列と作動的に結合する。コード配列は、センスまたはアンチセンス方向で制御配列に作動的に結合できる。
「組み換え」という用語は、例えば化学合成による、または遺伝子操作技術を通じた核酸の単離セグメントの操作による、2つのさもなければ別々の配列セグメントの人為的組み合わせを指す。
「発現」という用語は、ここでの用法では、本発明の核酸断片由来のセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写と安定した蓄積を指す。発現はまた、mRNAのタンパク質(前駆または成熟のいずれか)への翻訳も指す。
「成熟」タンパク質とは、翻訳後処理されたポリペプチド、すなわち一次翻訳生成物中に存在するあらゆるプレまたはプロペプチドがそれから除去されたものを指す。「前駆」タンパク質とは、mRNAの翻訳の一次生成物、すなわちプレまたはプロペプチドが依然として存在するものを指す。プレまたはプロペプチドは、細胞内局在化シグナルであってもよい(が、これに限定されるものではない)。
「プラスミド」および「ベクター」という用語は、細胞の中央代謝の一部でない遺伝子を保有することが多く、通常は環状二本鎖DNA断片の形態である染色体外要素を指す。このような要素は、あらゆる起源に由来する一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAの直線または環状、自己複製配列、ゲノム組み込み配列、ファージまたはヌクレオチド配列であってもよく、その中ではいくつかのヌクレオチド配列が結合または組み換えされて、細胞に発現カセットを導入できるユニークな構造になる。
「発現カセット」という用語は、選択された遺伝子のコード配列と、選択された遺伝子産物の発現に必要である、コード配列に先行する(5’非コード配列)およびそれに続く(3’非コード配列)制御配列とを含んでなるDNA断片を指す。したがって発現カセットは、典型的に(1)プロモーター配列、(2)コード配列(すなわちORF)、および(3)真核生物では通常はポリアデニル化部位を含有する3’非翻訳領域(すなわちターミネーター)から構成される。発現カセットは通常はベクターに含まれて、クローニングおよび形質転換を容易にする。各宿主に対して妥当な制御配列を使用さえすれば、異なる発現カセットを細菌、酵母、植物、および哺乳類細胞をはじめとする異なる生物に形質転換できる。
「組み換えDNAコンストラクト」(ここで同義的に「発現コンストラクト」および「コンストラクト」とも称される)は、例えば自然界に一緒には見られない制御およびコード配列などの核酸断片の人為的組み合わせを含んでなる。例えば組み換えDNAコンストラクトは、異なる起源に由来する制御配列およびコード配列、または同一起源に由来するが自然界見られるのとは異なる様式で配列する制御配列およびコード配列を含んでなってもよい。このようなコンストラクトは単独で使用してもよく、またはベクターと併せて使用してもよい。ベクターを使用する場合、当業者に良く知られているように、ベクターの選択は宿主細胞を形質転換するのに使用される方法に依存する。例えばプラスミドベクターが使用できる。当業者は、本発明の単離された核酸断片のいずれかを含んでなる宿主細胞を成功裏に形質転換、選択、および増殖するために、ベクター上に存在しなくてはならない遺伝的要素を十分承知している。当業者は、異なる独立した形質転換事象が、異なる発現レベルおよびパターンをもたらすであろうこと(Jonesら、EMBOJ.,4:2411〜2418(1985年);De Almeidaら、Mol.Gen.Genetics,218:78〜86(1989年))、したがって所望の発現レベルとパターンを示す系統を得るためには、複数の事象をスクリーンしなくてはならないこともまた認識するであろう。このようなスクリーニングは、特にDNAのサザン分析、mRNA発現のノーザン分析、タンパク質発現の免疫ブロット分析、または表現型分析によって達成されてもよい。
「導入される」という用語は、細胞に核酸(例えば発現カセット)またはタンパク質を提供することを意味する。導入されるとは、真核または原核細胞への核酸の組み込みへの言及を含み、核酸は細胞のゲノム中に組み込まれてもよく、細胞への核酸またはタンパク質の一時的提供への言及を含む。導入されるとは、安定したまたは一時的形質転換法、ならびに有性交雑への言及を含む。したがって細胞中への核酸断片(例えば組み換えDNAコンストラクトまたは発現カセット)挿入の文脈において「導入される」とは、「形質移入」または「形質転換」または「形質導入」を意味し、真核または原核細胞中への核酸断片の組み込みへの言及を含み、核酸断片は、細胞(例えば染色体、プラスミド、色素体またはミトコンドリアDNA)のゲノム中に組み込まれても、自律性レプリコンに変換されても、または一時的に発現されてもよい(例えば形質移入mRNA)。
ここでの用法では、「遺伝子導入」とは、そのゲノム中に異種のポリヌクレオチドを含んでなる細胞を指す。好ましくは異種のポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが次に続く世代に受け継がれるようにゲノム中に安定して組み込まれる。異種のポリヌクレオチドを単独でまたは発現カセットの一部として、ゲノム中に組み込んでもよい。遺伝子導入は、最初からそのように改変された遺伝子導入、ならびに異種の交配型と交配して最初の遺伝子導入から作り出されたものをはじめとする、その遺伝子型が異種の核酸の存在によって改変されているあらゆる細胞または細胞系を含めてここで使用される。「遺伝子導入」という用語は、ここでの用法では、ランダム他家受精、非組み換えウィルス感染、非組み換え細菌形質転換、非組み換え遺伝子転位、または自然突然変異などの天然事象によるゲノム(染色体または染色体外)の改変を包含しない。
ここで使用される標準組み換えDNAおよび分子クローニング技術については、当該技術分野でよく知られており、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.およびManiatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,NY(1989年);Silhavy,T.J.,Bennan,M.L.およびEnquist,L.W.,Experiments with Gene Fusions,Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,NY(1984年);およびAusubel,F.M.ら、Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience,Hoboken,NJ(1987年)でより詳しく述べられている。形質転換法については当業者に良く知られており、下のAn Overview: Microbial Biosynthesis Of Fatty Acids And Triacylglycerolsで述べられている。
一般に油性微生物中の脂質蓄積は、増殖培地中に存在する全体的な炭素対窒素比に応じて始動する。油性微生物中での遊離パルミチン酸(16:0)の新規合成につながるこの過程は、米国特許第7,238,482号明細書で詳細に述べられている。パルミチン酸は、エロンガーゼとデサチュラーゼの作用を通じて形成される、より鎖長の長い飽和および不飽和脂肪酸誘導体の前駆物質である(図1)。
TAG(脂肪酸の主要な貯蔵単位)は、以下が関与する一連の反応によって形成される。1.)アシルトランスフェラーゼによる1分子のアシル−CoAのグリセロール−3−リン酸塩へのエステル化がリゾホスファチジン酸を生じ、2.)アシルトランスフェラーゼによる第2のアシル−CoA分子のエステル化が1,2−ジアシルグリセロールリン酸塩(一般にホスファチジン酸として同定される)を生じ、3.)ホスファチジン酸ホスファターゼによるリン酸塩の除去が1,2−ジアシルグリセロール(DAG)を生じ、4.)アシルトランスフェラーゼの作用による第3の脂肪酸の付加がTAGを形成する。飽和および不飽和脂肪酸および短鎖および長鎖脂肪酸をはじめとする、幅広い脂肪酸をTAGに組み込むことができる。
オメガ脂肪酸の生合成
オレイン酸がω−3/ω−6脂肪酸に変換される代謝プロセスは、炭素原子付加を通じた炭素鎖の延長、および二重結合添加を通じた分子の不飽和化を伴う。これは、小胞体膜内に存在する一連の特別な不飽和化酵素および延長酵素を必要とする。しかし図1に示され下で述べられるように、特定ω−3/ω−6脂肪酸生成のための複数の代案の経路があることが多い。
具体的には全ての経路は、Δ12デサチュラーゼによる、オレイン酸から第1のω−6脂肪酸であるLAへの最初の変換を必要とする。次に「Δ9エロンガーゼ/Δ8デサチュラーゼ経路」および基質としてLAを使用して、長鎖ω−6脂肪酸が次のように形成される。(1)LAがΔ9エロンガーゼによってEDAに変換され、(2)EDAがΔ8デサチュラーゼによってDGLAに変換され、(3)DGLAがΔ5デサチュラーゼによってARAに変換され、(4)ARAがC20/22エロンガーゼによってDTAに変換され、(5)DTAがΔ4デサチュラーゼによってDPAn−6に変換される。代案としては「Δ9エロンガーゼ/Δ8デサチュラーゼ経路」は、基質としてALAを使用して、次のように長鎖ω−3脂肪酸を生成できる。(1)LAがΔ15デサチュラーゼによって第1のω−3脂肪酸であるALAに変換され、(2)ALAがΔ9エロンガーゼによってETrAに変換され、(3)ETrAがΔ8デサチュラーゼによってETAに変換され、(4)ETAがΔ5デサチュラーゼによってEPAに変換され、(5)EPAがC20/22エロンガーゼによってDPAに変換され、(6)DPAがΔ4デサチュラーゼによってDHAに変換される。場合によりω−6脂肪酸がω−3脂肪酸に変換されてもよく、例えばALAがΔ15デサチュラーゼ活性によってLAから生成され、ETAおよびEPAがΔ17デサチュラーゼ活性によってDGLAおよびARAからそれぞれ生成される。
ω−3/ω−6脂肪酸を生合成するための代案の経路は、Δ6デサチュラーゼおよびC18/20エロンガーゼ(すなわち「Δ6デサチュラーゼ/Δ6エロンガーゼ経路」)を利用する。より具体的にはLAおよびALAがΔ6デサチュラーゼによってそれぞれGLAおよびSTAに変換されてもよく、次にC18/20エロンガーゼがGLAをDGLAにおよび/またはSTAをETAに変換する。下流PUFAは、引き続いて上述のように形成される。
ω−3/ω−6脂肪酸の生成のために特定の宿主生物中に導入することが必要とされる特定の機能性は、宿主細胞(およびその天然PUFAプロフィールおよび/またはデサチュラーゼ/エロンガーゼプロフィール)、基質の可用性、および所望の最終産物に左右されることが考察される。前者の経路によって生成されるPUFAはGLAおよび/またはSTAを欠くので、例えば実施態様によっては、Δ6デサチュラーゼ/Δ6エロンガーゼ経路の発現とは対照的に、Δ9エロンガーゼ/Δ8デサチュラーゼ経路の発現が好ましいかもしれない。
当業者は、ω−3/ω−6脂肪酸生合成のために所望される各酵素をコードする、様々な候補遺伝子を同定できるであろう。有用なデサチュラーゼおよびエロンガーゼ配列はあらゆる供給源に由来してもよく、例えば天然供給源(細菌、藻類、真菌、植物、動物など)から単離され、半合成経路によって生成され、または新規(de novo)合成される。宿主中に導入されるデサチュラーゼおよびエロンガーゼ遺伝子の特定の供給源は重大でないが、デサチュラーゼまたはエロンガーゼ活性を有する特異的ポリペプチド選択のための考慮事項としては以下が挙げられる。1.)ポリペプチドの基質特異性、2.)ポリペプチドまたはその構成要素が律速酵素であるかどうか、3.)デサチュラーゼまたはエロンガーゼが所望のPUFA合成に必須であるかどうか、4.)ポリペプチドが必要とする補助因子、および/または、5.)ポリペプチドが、その生成後に修飾されたかどうか(例えば、キナーゼまたはプレニルトランスフェラーゼによって)。発現したポリペプチドは、好ましくは宿主細胞中のその位置の生化学的環境に適合したパラメーターを有する(さらなる詳細は、米国特許第7,238,482号明細書を参照されたい)。
さらなる実施態様では、特定の各デサチュラーゼおよび/またはエロンガーゼの変換効率を考慮することもまた有用であろう。さらに具体的には、各酵素は、基質を生成物に変換するのに100%効率では滅多に機能しないので、宿主細胞中で生成される非精製油の最終脂質プロフィールは、典型的に、所望のω−3/ω−6脂肪酸、ならびに様々な上流中間PUFAからなる様々なPUFAの混合物になるであろう。したがって所望の脂肪酸の生合成を最適化するにあたって、各酵素の変換効率もまた考慮すべき変数である。
上の各考察を念頭に置いて、公的に入手可能な文献(例えばGenBank)、特許文献、およびPUFA生成能力を有する生物の実験的分析に従って、適切なデサチュラーゼおよびエロンガーゼ活性(例えばΔ6デサチュラーゼ、C18/20エロンガーゼ、Δ5デサチュラーゼ、Δ17デサチュラーゼ、Δ15デサチュラーゼ、Δ9デサチュラーゼ、Δ12デサチュラーゼ、C14/16エロンガーゼ、C16/18エロンガーゼ、Δ9エロンガーゼ、Δ8デサチュラーゼ、Δ4デサチュラーゼ、およびC20/22エロンガーゼ)を有する候補遺伝子を同定できる。これらの遺伝子は生物のPUFA合成を可能にし、または増強するために、特定の宿主生物に導入するのに適するであろう。
新しいΔ9エロンガーゼの配列同定
本発明では、下の表3で要約するようにΔ9エロンガーゼをコードするヌクレオチド配列が、ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)から単離されている。
Figure 2010524468
したがって本発明は、
(a)Δ9エロンガーゼ活性を有して、配列番号13または配列番号14に記載のアミノ酸配列と比較すると、アラインメントのClustal V法に基づいて少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
(b)Δ9エロンガーゼ活性を有するポリペプチドをコードして、配列番号11、配列番号12または配列番号26に記載のヌクレオチド配列と比較すると、アラインメントのBLASTN法に基づいて少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、または
(c)(a)または(b)のヌクレオチド配列の相補体
を含んでなり、相補体およびヌクレオチド配列が同数のヌクレオチドからなって100%相補的である、単離されたポリヌクレオチドに関する。
なおも別の態様では、本発明は、Δ9エロンガーゼ活性を有するポリペプチドをコードして、配列番号11、配列番号12または配列番号26に記載のヌクレオチド配列と比較すると、アラインメントのBLASTN法に基づいて少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる単離されたポリヌクレオチドに関する。
少なくとも約80%〜90%同一のより好ましいアミノ酸断片が特に適切であり、少なくとも約90%〜95%同一の配列が最も好ましい。同様に本ORFに対応する核酸配列をコードする好ましいΔ9エロンガーゼは、活性タンパク質をコードして少なくとも約80%〜90%同一のものであり、少なくとも約90%〜95%同一の配列が最も好ましい。
代案の実施態様では、本EaD9Elo1および/またはEaD9Elo2の配列を特定の宿主生物中での発現のためにコドン最適化できる。当該技術分野でよく知られているように、宿主が好むコドンの使用はポリペプチドをコードする外来遺伝子発現を実質的に増強できるので、これは代案の宿主中での酵素発現をさらに最適化するのに有用な手段である。一般に宿主が好むコドンは、対象とする特定の宿主種中で、タンパク質(好ましくは最大量で発現するもの)中のコドン使用頻度を調べ、どのコドンが最高頻度で使用されるかを判定することで判定できる。次に宿主種中で好まれるコドンを使用して、例えばエロンガーゼ活性を有する対象とするポリペプチドのコード配列が、全体的にまたは部分的に合成できる。全ての(または一部の)DNAを合成して、転写されたmRNA中に存在する二次構造のあらゆる不安定化配列または領域を除去することもできる。全ての(または一部の)DNAを合成して、所望の宿主細胞中で塩基組成物をより好ましいものに改変することもできる。
本発明の一実施態様では、EaD9Elo1(配列番号11)がヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された。これは、Y.リポリティカ(lipolytica)コドン使用頻度プロフィールの以前の判定、好ましいコドンの同定、および「ATG」開始コドン周辺の共通配列の判定に基づいて可能であった(米国特許第7,238,482号明細書および米国特許第7,125,672号明細書を参照されたい)。得られた合成遺伝子はEaD9ES(配列番号26)と称される。コドン最適化されたΔ9エロンガーゼ遺伝子(すなわち配列番号27)によってコードされるタンパク質配列は、野生型タンパク質配列(すなわち配列番号13)と同一である。類似の技術を利用して、Y.リポリティカ(lipolytica)中での発現のためにEaD9Elo2(配列番号12)に由来する合成Δ9エロンガーゼを生成できる。
当業者はここでの教示を使用して、野生型EaD9Elo1および/またはEaD9Elo2配列に基づいて、代案の(すなわちヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)以外の)宿主中での最適発現に適した、様々なその他のコドン最適化されたΔ9エロンガーゼタンパク質を作り出すことができるであろう。したがって本発明は、野生型ヌクレオチド配列EaD9Elo1(配列番号11)またはEaD9Elo2(配列番号12)に由来する、あらゆるコドン最適化されたΔ9エロンガーゼタンパク質に関する。これとしては、合成Δ9エロンガーゼタンパク質(すなわちEaD9eS)をコードして、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された配列番号26に記載のヌクレオチド配列が挙げられるが、これに限定されるものではない。代案の実施態様では、EaD9Elo1および/またはEaD9Elo2をコードするコドンの部分を修飾して、植物または植物部分、藻類、細菌、代案の酵母、ユーグレナ属、ストラメノパイルまたは真菌をはじめとするが、これに限定されるものではない、宿主生物中の遺伝子発現を増強することが望ましいかもしれない。
相同体の同定および単離
本エロンガーゼ配列(すなわちEaD9Elo1、EaD9Elo2、またはEaD9eS)またはその部分のいずれかを使用して、同一または別の細菌、藻類、真菌、ユーグレナ属のまたは植物種中で、配列分析ソフトウェアを使用してΔ9エロンガーゼ相同体を検索してもよい。一般にこのようなコンピュータソフトウェアは、様々な置換、欠失、およびその他の修正に相同性の程度を割り当てることで、類似配列をマッチさせる。
代案としてはΔ9エロンガーゼ相同体の同定のために、本エロンガーゼ配列またはその部分のいずれかをハイブリダイゼーション試薬として用いてもよい。核酸ハイブリダイゼーション試験の基本的構成要素には、プローブ、対象とする遺伝子または遺伝子断片を含有することが疑われるサンプル、および特定のハイブリダイゼーション法が含まれる。本発明のプローブは、典型的に、検出される核酸配列に相補的な一本鎖核酸配列である。プローブは、検出される核酸配列と「ハイブリダイズ可能」である。プローブの長さは、5個の塩基から数万個の塩基の間で変動してもよいが、典型的に約15個の塩基から約30個の塩基のプローブ長が適切である。プローブ分子の一部のみが、検出される核酸配列に相補的であればよい。さらにプローブと標的配列との間の相補性は完璧でなくてもよい。ハイブリダイゼーションは不完全に相補的な分子間でも生じ、その結果、ハイブリダイズした領域の特定塩基の一部は、適切な相補的塩基と対合形成しない。
ハイブリダイゼーション法については、良く定義されている。典型的には、プローブおよびサンプルは、核酸ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で混合されなくてはならない。これは適切な濃度および温度条件下において、無機または有機塩存在下で、プローブとサンプルを接触させることを伴う。プローブとサンプル核酸の間であらゆる可能なハイブリダイゼーションが起きるように、プローブおよびサンプル核酸は、十分長い時間接触しなくてはならない。混合物中のプローブまたは標的濃度が、ハイブリダイゼーションが生じるのに必要な時間を決定する。プローブまたは標的濃度が高いほど、必要なハイブリダイゼーションインキュベーション時間は短くなる。場合により、カオトロピック剤を添加してもよい(塩化グアニジニウム、グアニジニウムチオシアネート、ナトリウムチオシアネート、テトラクロロ酢酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、テトラクロロ酢酸ルビジウム、ヨウ化カリウム、およびトリフルオロ酢酸セシウム)。所望するならば、ハイブリダイゼーション混合物にホルムアミドを典型的に30〜50%(v/v)添加できる。
様々なハイブリダイゼーション溶液を用いることができる。それらは典型的に約20〜60容量%、好ましくは30容量%の極性有機溶剤からなる。一般的なハイブリダイゼーション溶液は、約30〜50%v/vのホルムアミドと、約0.15〜1Mの塩化ナトリウムと、(例えばクエン酸ナトリウム、トリス−HCl、PIPESまたはHEPES(pH範囲約6〜9)などの)約0.05〜0.1Mの緩衝液と、(例えばドデシル硫酸ナトリウムなどの)約0.05〜0.2%の洗剤、または0.5〜20mMのEDTA、ファーマシア(Pharmacia Inc.)からのFICOLL(約300〜500kdal)、ポリビニルピロリドン(約250〜500kdal)、および血清アルブミンを用いる。また典型的なハイブリダイゼーション溶液には、約0.1〜5mg/mLの非標識の担体核酸、(例えば仔ウシ胸腺またはサケ精子DNA、または酵母菌RNAなどの)核酸DNA断片、および場合により約0.5〜2%重量/体積のグリシンも含まれる。様々な(例えばポリエチレングリコールなどの)極性水溶性または水性膨張剤、(例えばポリアクリレートまたはポリメチルアクリレートなどの)陰イオンポリマー、(例えば硫酸デキストランなどの)陰イオン糖類ポリマーをはじめとする体積排除剤などのその他の添加剤を含めてもよい。
核酸ハイブリダイゼーションは多様なアッセイ型式に適合できる。最も適切なもの1つは、サンドイッチアッセイ型式である。サンドイッチアッセイは、特に非変性条件下でのハイブリダイゼーションに適合できる。サンドイッチタイプのアッセイの主要構成要素は、固体担体である。固体担体は、未標識で配列の一部と相補的である固定化核酸プローブをそれに吸着し、またはそれと共有結合する。
さらに別の実施態様では、ここで述べられるΔ9エロンガーゼ核酸断片(または同定されたそのあらゆる相同体)のいずれかを使用して、同一または別の細菌、藻類、真菌、ユーグレナ属または植物種から、相同的なタンパク質をコードする遺伝子を単離してもよい。配列依存プロトコールを使用した相同的遺伝子の単離は、当該技術分野で周知である。配列依存プロトコールの例としては以下が挙げられるが、これに限定されるものではない。1.)核酸ハイブリダイゼーション法、2.)核酸増幅技術の様々な使用で例示されるようなDNAおよびRNA増幅法[例えばMullisらに付与された米国特許第4,683,202号明細書のポリメラーゼ連鎖反)(PCR);Tabor,S.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、82、1074(1985年)のリガーゼ連鎖反応(LCR);または(Walkerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、89、392(1992年)の連鎖置換増幅(SDA)]、および3.)相補性によるライブラリー構築およびスクリーニング法。
例えば当業者に良く知られている方法を使用して、ライブラリーをスクリーンするためのDNAハイブリダイゼーションプローブとして本核酸断片の全てまたは一部を使用して、例えばあらゆる所望の酵母または真菌(EDAおよび/またはETrAを生成する生物が好ましい)から、ここで述べられるΔ9エロンガーゼに類似したタンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子を直接単離できる。本核酸配列に基づく特異的オリゴヌクレオチドプローブは、当該技術分野で既知の方法によってデザインおよび合成できる(Maniatis、前出)。さらに当業者に既知の方法(例えばランダムプライマーDNA標識、ニック翻訳または末端標識技術)によって、配列全体を直接使用してDNAプローブを合成でき、または利用できる生体外転写システムを使用してRNAプローブを合成できる。さらに特異的プライマーをデザインして使用し、本配列の一部(または全長)を増幅できる。得られた増幅生成物を増幅反応中に直接標識し、または増幅反応後に標識して、適切なストリンジェンシー条件下でプローブとして使用し、完全長DNA断片を単離できる。
典型的にPCR−タイプ増幅技術では、プライマーは異なる配列を有し、互いに相補的でない。所望の試験条件次第で、プライマーの配列は、標的核酸の効率的かつ忠実な複製を提供するようにデザインされるべきである。PCRプライマーデザインの方法は当該技術分野で一般的であり、よく知られている。(K.E.Davis編、「Human Genetic Diseases:A Practical Approach」よりTheinおよびWallace、「The use of oligonucleotide as specific hybridization probes in the Diagnosis of Genetic Disorders」(1986年)33〜50、IRL:Herndon,VA;およびWhite,B.A.編、「Methods in Molecular Biology」よりRychlik,W.、「PCR Protocols:Current Methods and Applications」(1993年)第15巻、31〜39、Humana:Totowa,NJ)。
一般に本配列の2本の短い断片をPCRプロトコールで使用して、DNAまたはRNAからの相同遺伝子をコードするより長い核酸断片を増幅してもよい。またクローンされた核酸断片ライブラリーに対して、1つのプライマーの配列が本核酸断片に由来し、別のプライマーの配列が真核生物の遺伝子をコードするmRNA前駆物質の3’末端のポリアデニル酸トラクトの存在を利用する、PCRを実施してもよい。
代案としては第2のプライマー配列は、クローニングベクターに由来する配列に基づいてもよい。例えば当業者は、RACEプロトコール(Frohmanら、Proc.Acad.Sci.U.S.A.、85:8998(1988年))に従って、PCRを使用して転写物の一点と3’または5’末端との間の領域のコピーを増幅し、cDNAを作り出すことができる。3’および5’方向を向いたプライマーは、本配列からデザインできる。Gibco/BRL(Gaithersburg,MD)から市販される3’RACEまたは5’RACEシステムを使用して、特定の3’または5’cDNA断片を単離できる(Oharaら、Proc.Acad.Sci.U.S.A.、86:5673(1989年);Lohら、Science 243:217(1989年))。
別の実施態様では、新しい改善された脂肪酸エロンガーゼを作り出すために、ここで述べられるいずれのΔ9エロンガーゼ核酸断片(または同定されるそのいずれの相同体)を使用してもよい。当該技術分野でよく知られているように、生体外変異誘発および選択、化学的突然変異誘発、「遺伝子シャフリング」法またはその他の手段を用いて、天然エロンガーゼ遺伝子の変異を得ることができる(このような変異としては、欠失、挿入、および点突然変異、またはそれらの組み合わせが挙げられる)。これによって、生体内で、宿主細胞中における機能について、所望のPUFAのより長い半減期またはより高い生成速度などのより望ましい物理学的および動態学的パラメーターがそれぞれあるエロンガーゼ活性を有するポリペプチドの生成が可能になる。または所望ならば、通例の変異誘発、得られた変異ポリペプチドの発現、およびそれらの活性の定量を通じて、酵素活性に重要である関心のあるポリペプチド(すなわちΔ9エロンガーゼ)の領域を判定できる。これらの技術の概要については米国特許第7,238,482号明細書で述べられている。EaD9Elo1、EaD9Elo2およびEaD9eSに由来するこのような全ての変異タンパク質およびそれらをコードするヌクレオチド配列は、本発明の範囲内である。
代案としては、ドメイン交換によって改善された脂肪酸を合成してもよく、ここで述べられるΔ9エロンガーゼ核酸断片のいずれかからの機能ドメインが代案のエロンガーゼ遺伝子中の機能ドメインと交換され、それによって新しいタンパク質がもたらされる。ここでの用法では「ドメイン」または「機能ドメイン」とは、微生物中において生物学的反応を引き起こすことができる核酸配列を指す。
様々なオメガ3および/またはオメガ6脂肪酸を生成する方法
適切なプロモーター制御下における、ここで述べられるΔ9エロンガーゼをコードするキメラ遺伝子(すなわちEaD9Elo1、EaD9Elo2、EaD9eSまたはその他の変異酵素、コドン最適化された酵素またはそれらの相同体)の導入は、形質転換宿主生物中でのEDAおよび/またはETrA生成増大をそれぞれもたらすであろうことが予期される。したがって本発明は、基質が所望の脂肪酸生成物(すなわちそれぞれEDAおよび/またはETrA)に変換されるように、脂肪酸基質(すなわちLAおよび/またはALA)をここで述べられるエロンガーゼ酵素(例えばEaD9Elo1、EaD9Elo2またはEaD9eS)に曝露するステップを含んでなる、PUFAを直接生成する方法を包含する。
より具体的には、微生物宿主細胞(例えば酵母、藻類、細菌、ユーグレナ属、ストラメノパイル、および真菌)中でEDAを生成する方法を提供することが本発明の目的であり、微生物宿主細胞は、
(a)配列番号13または配列番号14に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較すると、アラインメントのClustal V法に基づいて少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するΔ9エロンガーゼポリペプチドをコードする組み換えヌクレオチド分子、および
(b)LA源
を含んでなり、微生物宿主細胞は、Δ9エロンガーゼをコードする核酸断片が発現されて、LAがEDAに変換されるような条件下で成長させ、EDAは場合により回収される。
本発明の代案の実施態様では、Δ9エロンガーゼをALAからETrAへの変換のために使用してもよい。したがって本発明はETrAを生成する方法を提供し、微生物宿主細胞は、
(a)配列番号13または配列番号14に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較すると、アラインメントのClustal V法に基づいて少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するΔ9エロンガーゼポリペプチドをコードする組み換えヌクレオチド分子、および
(b)ALA源
を含んでなり、微生物宿主細胞は、Δ9エロンガーゼをコードする核酸断片が発現されて、ALAがETrAに変換されるような条件下で成長させ、ETrAは場合により回収される。
代案としては、様々なω−6およびω−3PUFAを製造するために、ここで述べられる各Δ9エロンガーゼ遺伝子およびその対応する酵素生成物を間接的に使用できる(図1および米国特許第7,238,482号明細書を参照されたい)。ω−3/ω−6PUFAの間接的生成は、脂肪酸基質が所望の脂肪酸生成物に間接的に変換される中間ステップまたは経路中間体の手段を通じて起きる。したがってPUFA生合成経路の酵素(例えばΔ6デサチュラーゼ、C18/20エロンガーゼ、Δ17デサチュラーゼ、Δ8デサチュラーゼ、Δ15デサチュラーゼ、Δ9デサチュラーゼ、Δ12デサチュラーゼ、C14/16エロンガーゼ、C16/18エロンガーゼ、Δ9エロンガーゼ、Δ5デサチュラーゼ、Δ4デサチュラーゼ、C20/22エロンガーゼ)をコードする追加的遺伝子と併せて、ここで述べられるΔ9エロンガーゼ(すなわちEaD9Elo1、EaD9Elo2、EaD9eSまたはその他の変異酵素、コドン最適化された酵素またはそれらの相同体)を発現させて、より鎖長の長いω−3/ω−6脂肪酸(例えばARA、EPA、DTA、DPAn−6、DPAおよび/またはDHA)のより高レベルの生成をもたらしてもよいことが考察される。
好ましい実施態様では、本発明のΔ9エロンガーゼは、(例えばミドリムシ(Euglena gracilis)からの[Wallisら、Arch.Biochem.and Biophys.,365(2):307〜316(1999年5月);国際公開第2000/34439号パンフレット;米国特許第6,825,017号明細書;国際公開第2004/057001号パンフレット、国際公開第2006/012325号パンフレット、米国特許第7,256,033号明細書、米国特許出願第11/635258号明細書];アカントアメーバ・カステラーニ(Acanthamoeba castellanii)からの[Sayanovaら、FEBSLett.,580:1946〜1952(2006年)];パブロバ・サリナ(Pavlova salina)からの[国際公開第2005/103253号パンフレット];パブロバ・ルセリ(Pavlova lutheri)からの[国際公開第2007/127381号パンフレット];テトルエトレプチア・ポムクテンシス(Tetruetreptia pomquetensis)CCMP1491からの[米国特許出願第11/876115号明細書];ユートレプチエラ(Eutreptiella)種CCMP389からの[米国特許出願第11/876115号明細書];ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594からの[米国特許出願第11/876115号明細書];およびユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)からの[同時係属米国特許出願第12/099799号明細書および米国特許出願第12/099811号明細書で述べられる])Δ8デサチュラーゼと併せて、最小限で発現されるであろう。しかし特定の発現カセット内に含まれる特定の遺伝子は、宿主細胞(およびそのPUFAプロフィールおよび/またはデサチュラーゼ/エロンガーゼプロフィール)、基質可用性、および所望の最終産物に左右されるであろう。
代案の実施態様では、ここで述べられる完全な配列、これらの完全な配列の相補体、これらの配列のかなりの部分、それらに由来するコドン最適化されたエロンガーゼ、およびそれらと実質的に相同的な配列に基づいて、宿主生物の天然Δ9エロンガーゼを破壊することが有用かもしれない。
微生物の発現系、カセット、およびベクター
ここで述べられるΔ9エロンガーゼ遺伝子および遺伝子産物(すなわちEaD9Elo1、EaD9Elo2、EaD9eSまたはその他の変異酵素、コドン最適化された酵素またはそれらの相同体)は、異種の微生物宿主細胞中、特に油性酵母(例えばヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica))細胞中で発現されてもよい。
外来タンパク質の高レベル発現を導く制御配列を含有する、微生物発現システムおよび発現ベクターは、当業者によく知られている。これらのいずれも本配列の遺伝子生成物のいずれかを生成するためのキメラ遺伝子を構築するのに使用できる。次に形質転換を通じてこれらのキメラ遺伝子を適切な微生物に導入して、コードされた酵素の高レベル発現を提供できる。
適切な微生物宿主細胞の形質転換のために有用なベクター(例えばコンストラクト、プラスミド)およびDNA発現カセットについては、当該技術分野でよく知られている。コンストラクト中に存在する配列の特定の選択は、所望の発現産物(前出)、宿主細胞の性質、および形質転換細胞と非形質転換細胞とを分離するのに提案される手段に左右される。しかし典型的にベクターは、少なくとも1つの発現カセット、選択可能なマーカー、および自律複製または染色体組み込みを可能にする配列を含有する。適切な発現カセットは、転写を制御する遺伝子(例えばプロモーター)の5’領域、遺伝子コード配列、および転写終結を制御するDNA断片の3’領域(すなわちターミネーター)を含んでなる。双方の制御領域が、形質転換された微生物宿主細胞からの遺伝子に由来することが最も好ましいが、このような制御領域は、生成宿主として選択された特定種に天然の遺伝子に必ずしも由来しないと理解される。
所望の微生物宿主細胞中において、本Δ9エロンガーゼORFの発現を推進する有用な転写制御領域(開始制御領域またはプロモーターとも)は多数あり、当業者によく知られている。選択された宿主細胞中において、これらの遺伝子の発現を誘導できる実質的にあらゆるプロモーター(すなわち天然、合成、またはキメラ)が本発明に適するが、宿主種からの転写および翻訳領域が特に有用である。微生物宿主細胞中での発現は、誘導性または構成的な様式で達成できる。誘導性発現は関心のある遺伝子と作動的に連結する制御可能プロモーターの活性を誘導することで達成できるのに対し、構成的な発現は関心のある遺伝子と作動的に連結する構成的プロモーターを使用することで達成できる。例として宿主細胞が酵母である場合、特に宿主種からの酵母細胞中で機能する転写および翻訳領域が提供される(例えばヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)で使用される好ましい転写開始調節領域については、米国特許出願公開第2006−0115881−A1号明細書を参照されたい)。構成的または誘導的転写が所望されるかどうか、対象とするORFを発現する上でのプロモーター効率、構築の容易さなど次第で、いくつかの調節配列のいずれか1つを使用できる。
翻訳開始コドン「ATG」周辺のヌクレオチド配列は、酵母細胞中での発現に影響を与えることが分かった。所望のポリペプチドが酵母中で不十分に発現される場合、外来性遺伝子のヌクレオチド配列を修飾して効率的な酵母翻訳開始配列を含めて、最適遺伝子発現を得ることができる。酵母中での発現では、これは好ましくは高度に発現される遺伝子である内在性酵母遺伝子に非効率的発現遺伝子をインフレームで融合させることにより、それを部位特異的に変異誘発して実施できる。代案としては、宿主中でコンセンサス翻訳開始配列を判定し、関心のある宿主中でのそれらの最適発現のためにこの配列を異種の遺伝子に導入できる。
終結領域は、それから開始領域が得られた遺伝子の3’領域に、または異なる遺伝子に由来することができる。多数の終結領域が知られており、(それらが由来するのと同一および異なる属および種の双方で使用した際に)多様な宿主において満足に機能する。終結領域は、通常特定の特性のためと言うよりも便宜的に選択される。終結制御領域もまた、好ましい宿主に天然の様々な遺伝子に由来してもよい。代案の実施態様では、当業者は入手できる情報を利用して転写ターミネーターとして機能する3’領域配列をデザインおよび合成できるので、3’領域はまた合成することもできる。場合により終結部位は不必要かもしれないが、含まれることが最も好ましい。
当業者は認識しているように、遺伝子をクローニングベクターに単に挿入するだけでは、それが必要なレベルで成功裏に発現することは確証されない。高発現率の必要性に答えて、転写、翻訳、タンパク質安定性、酸素限界、および微生物宿主細胞からの分泌の側面を制御するいくつかの異なる遺伝的要素を操作することで、多くの特殊化した発現ベクターが作り出されている。より具体的には、遺伝子発現を制御するために操作される分子の特徴のいくつかとしては、関連する転写プロモーターおよびターミネーター配列の性質;クローンされる遺伝子のコピー数(追加的コピーを単一発現コンストラクト中にクローンしてもよく、および/またはプラスミドコピー数を増大させることで、またはクローン遺伝子のゲノム中への複数組み込みによって、追加的コピーを宿主細胞中に導入してもよい);遺伝子がプラスミド媒介性であるかまたは宿主細胞ゲノム中に組み込まれるかどうか;合成された外来性タンパク質の最終細胞内所在;宿主生物中の翻訳効率およびタンパク質の正確な折りたたみ;宿主細胞中のクローン遺伝子のmRNAおよびタンパク質の固有の安定性;およびその頻度が宿主細胞の好ましいコドン使用頻度近づくようなクローン遺伝子中のコドン使用頻度が挙げられる。これらの各タイプの改変は、ここで述べられるΔ9エロンガーゼの発現をさらに最適化する手段として本発明に包含される。
微生物宿主細胞の形質転換
ひとたび適切な微生物宿主細胞中での発現に適したDNAカセット(例えばプロモーター、ORF、およびターミネーターを含んでなるキメラ遺伝子)が得られたら、それを宿主細胞中で自律複製できるプラスミドベクターに入れ、またはそれを宿主細胞のゲノムに直接組み込む。発現カセットの組み込みは、宿主ゲノム中で無作為に起きることができ、または宿主遺伝子座での遺伝子組み換えを標的とするのに十分な宿主ゲノムとの相同性領域を含有するコンストラクトの使用を通じて、標的を定めることができる。コンストラクトが内在性遺伝子座に標的を定めれば、全てまたはいくつかの転写および翻訳調節領域を内在性遺伝子座によって提供できる。
別々の複製ベクターから2つ以上の遺伝子が発現する場合、各ベクターは異なる選択手段を有することが望ましく、他のコンストラクトに対する相同性を欠いて、安定した発現を維持し、コンストラクト中の要素の再集合を防止すべきである。調節領域、選択手段、および導入コンストラクト増殖方法の思慮深い選択は、全ての導入された遺伝子が必要なレベルで発現して、所望の生成物の合成を提供するように実験的に判定できる。
関心のある遺伝子を含んでなるコンストラクトは、あらゆる標準技術によって微生物宿主細胞中に導入されてもよい。これらの技術としては、形質転換(例えば酢酸リチウム形質転換[Methods in Enzymology,194:186〜187(1991年)])、プロトプラスト形質転換、弾道衝撃、電気穿孔、微量注入、または関心のある遺伝子を宿主細胞に導入するあらゆるその他の方法が挙げられる。
便宜上、DNA配列(例えば発現カセット)を取り込ませるあらゆる方法で操作された宿主細胞は、ここで「形質転換された」、「形質転換体」または「組み換え」と称される。したがって、「形質転換された」および「組み換え」という用語はここで同義的に使用される。形質転換宿主は少なくとも1つの発現コンストラクトのコピーを有し、発現カセットがゲノムに組み込まれるのか、または複数コピー数を有する染色体外要素上に存在するのかどうかによって、2つ以上を有してもよい。
形質転換宿主細胞は、米国特許第7,238,482号明細書および米国特許第7,259,255号明細書、および国際公開第2006/052870号パンフレットで述べられるような様々な選択技術によって同定できる。
形質転換に続いて、本Δ9エロンガーゼ(そして場合により、宿主細胞内で同時発現するその他のPUFA酵素)に適した基質が、宿主によって自然にまたは遺伝子導入的に生成されてもよく、またはそれらは外来性に提供されてもよい。
組み換え発現のための好ましい微生物宿主
本遺伝子および核酸断片発現のための微生物宿主細胞としては、広範な温度とpH値にわたり、単純または複合糖質、脂肪酸、有機酸、油、グリセロール、およびアルコール、および/または炭化水素をはじめとする多様な原材料上で成長する宿主が挙げられる。出願人らの譲受人の要件に基づいて、本発明で述べられている遺伝子は油性酵母(特にヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica))中で発現されているが、転写、翻訳、およびタンパク質生合成装置は高度に保存されているので、あらゆる細菌、酵母、藻類、ユーグレナ属、ストラメノパイルおよび/または真菌が、本核酸断片の発現に適した微生物宿主であることが考察される。
しかしながら、好ましい微生物宿主は油性酵母などの油性生物である。これらの生物は天然に油を合成および蓄積でき、油は細胞乾燥重量の約25%を超え、より好ましくは細胞乾燥重量の約30%を超え、最も好ましくは細胞乾燥重量の約40%を超えて構成できる。油性酵母として典型的に同定された属としては、ヤロウィア(Yarrowia)、カンジダ(Candida)、ロドトルラ(Rhodotorula)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)、およびリポマイセス(Lipomyces)が挙げられるが、これに限定されるものではない。より具体的には、例示的な油合成酵母として、ロドスポリジウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)、リポマイセス・スターケイ(Lipomyces starkeyii)、L.リポフェラス(lipoferus)、カンジダ・レブカウフィ(Candida revkaufi)、C.プリケリーマ(pulcherrima)、C.トロピカリス(tropicalis)、C.ユチリス(utilis)、トリコスポロン・プランズ(Trichosporon pullans)、T.クタネウム(cutaneum)、ロドトルラ・グルチヌス(Rhodotorula glutinus)、R.グラミニス(graminis)、およびヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)(以前はカンジダ・リポリチカ(Candida lipolytica)に分類された)が挙げられる。代案の実施態様では、微生物宿主細胞(例えば酵母)が細胞乾燥重量の25%を超える油を生成でき、その結果油性と見なされるように油生合成を遺伝子改変してもよい。
最も好ましいのは油性酵母ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)であり、さらに別の実施態様では最も好ましいのはATCC#20362、ATCC#8862、ATCC#18944、ATCC#76982および/またはLGAM S(7)1と称されるY.リポリティカ(lipolytica)株である。(Papanikolaou S.,およびAggelis G.,Bioresour.Technol.,82(1):43〜9(2002年))。
歴史的に、イソクエン酸リアーゼ、リパーゼ、ポリヒドロキシアルカノアート、クエン酸、エリトリトール、2−オキソグルタル酸、γ−デカラクトン、γ−ドデカラトン、およびピルビン酸の製造および生成のために、Y.リポリティカ(lipolytica)の様々な株が使用されている。油性酵母(すなわちヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica))の形質転換に適用できる特定の教示としては、米国特許第4,880,741号明細書、米国特許第5,071,764号明細書、およびChen,D.C.ら(Appl.Microbiol.Biotechnol.、48(2):232〜235(1997年))が挙げられる。Y.リポリティカ(lipolytica)中のARA、EPA、およびDHA生成の操作に適用できる特定の教示は、それぞれ米国特許出願第11/264784号明細書、米国特許出願第11/265761号明細書、および米国特許出願第11/264737号明細書で提供される。この酵母中で遺伝子を発現する好ましい方法は、宿主のゲノム中への線状DNAの組み込みによる。ゲノム中の複数位置への組み込みは、遺伝子の高レベル発現が所望される場合に特に有用であることができる[例えばUra3遺伝子座(GenBank登録番号AJ306421)、Leu2遺伝子座(GenBank登録番号AF260230)、Lys5遺伝子座(GenBank登録番号M34929)、Aco2遺伝子座(GenBank登録番号AJ001300)、Pox3遺伝子座(Pox3:GenBank登録番号XP_503244;またはAco3:GenBank登録番号AJ001301)、Δ12デサチュラーゼ遺伝子座(米国特許第7,214,491号明細書)、Lip1遺伝子座(GenBank登録番号Z50020)、Lip2遺伝子座(GenBank登録番号AJ012632)、SCP2遺伝子座(GenBank登録番号AJ431362)および/またはPex10遺伝子座(GenBank登録番号CAG81606)中への]。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)において使用される好ましい選択方法は、カナマイシン、ハイグロマイシン、およびアミノグリコシドG418に対する抵抗性、ならびにウラシル、ロイシン、リジン、トリプトファンまたはヒスチジンを欠く培地に生育する能力である。代案の実施態様では、5−フルオロオロト酸(5−フルオロウラシル−6−カルボン酸一水和物、「5−FOA」)が、酵母Ura突然変異体の選択のために使用され得る。化合物はオロチジン5’−一リン酸デカルボキシラーゼ(OMPデカルボキシラーゼ)をコードする機能性URA3遺伝子を有する酵母細胞に対して有毒であり、したがってこの毒性に基づいて、5−FOAはUra突然変異酵母株の選択および同定のために特に有用である(Bartel,P.L.およびFields,S.、「Yeast 2−Hybrid System」、Oxford University:New York、第7巻、109〜147、1997年;ヤロウィア(Yarrowia)における5−FOAの使用について国際公開第2006/052870号パンフレットもまた参照されたい)。
ヤロウィア(Yarrowia)中で使用される代案の好ましい選択法は、スルホニル尿素(「E.I.duPont de Nemours & Co.,Inc.(Wilmington,DE)」からのクロリムロンエチル)抵抗性に基づく、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の顕性非抗生物質マーカーに依存する。より具体的にはマーカー遺伝子は、スルホニル尿素除草剤抵抗性を与える単一アミノ酸変化(W497L)を有する天然アセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHASまたはアセト乳酸シンターゼ;E.C.4.1.3.18)である(国際公開第2006/052870号パンフレット)。AHASは分枝鎖アミノ酸(すなわちバリン、ロイシン、イソロイシン)生合成経路内の最初の共通酵素であり、スルホニル尿素およびイミダゾリノン除草剤の標的である。
その他の好ましい微生物宿主としては、油性の細菌、藻類、ユーグレナ属、ストラメノパイル、およびその他の真菌が挙げられ、この広範な微生物宿主群の中で特に興味深いのは、ω−3/ω−6脂肪酸を合成する微生物(またはこの目的のために遺伝子改変できるもの[例えばサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)などのその他の酵母])である。したがって例えば誘導性プロモーターまたは調節プロモーターの制御下で、本Δ9エロンガーゼ遺伝子のいずれかによって、(ARA生成のために商業的に使用される)モルティエラ・アルピナ(Mortierella alpina)を形質転換することで、大量のEDAを合成できる形質転換生物を得ることができ、Δ8デサチュラーゼ遺伝子が同時発現されれば、これは大量のDGLAに変換することもできる。M.アルピナ(alpina)の形質転換の方法は、Mackenzieら(Appl.Environ.Microbiol.,66:4655(2000年))によって述べられている。同様にヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)微生物(例えばスラウストキトリウム(Thraustochytrium)、シゾキトリウム(Schizochytrium))の形質転換の方法は、米国特許第7,001,772号明細書で開示されている。
ここで述べられるΔ9エロンガーゼ発現のために選択される宿主に関わりなく、複数の形質転換体をスクリーンして、所望の発現レベルおよびパターンを示す株を得ることが必要かもしれない。このようなスクリーニングは、DNAブロットのサザン分析(Southern,J.Mol.Biol.,98:503(1975年))、mRNA発現のノーザン分析(Kroczek,J.Chromatogr.Biomed.Appl.,618(1〜2):133〜145(1993年))、タンパク質発現のウェスタンおよび/またはElisa分析、PUFA産物の表現型分析またはGC分析によって達成されてもよい。
上述の教示に基づいて、一実施態様では、本発明は、
(a)i)Δ9エロンガーゼポリペプチドをコードして少なくとも1つの制御配列と作動的に連結する第1の組み換えヌクレオチド分子、および
(ii)それぞれLAおよび/またはALAからなるエロンガーゼ基質源
を含んでなる油性酵母(例えばヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica))を提供するステップと、
(b)適切な発酵性炭素源の存在下でステップ(a)の酵母を成長させて、Δ9エロンガーゼポリペプチドをコードする遺伝子が発現されて、LAがEDAに変換され、および/またはALAがETrAに変換されるステップと、
(c)ステップ(b)のEDAおよび/またはETrAを場合によりそれぞれ回収するステップと
を含んでなる、EDAまたはETrAのどちらかをそれぞれ生成する方法に関するものである。
基質の供給が必要かもしれない。
Δ9エロンガーゼをコードする遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号11および配列番号12からなる群から選択されてもよい。代案の実施態様では、Δ9エロンガーゼポリペプチドをコードする遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号26で記載される(配列番号11と比較して、少なくとも98個のコドンがヤロウィア(Yarrowia)中での発現のために最適化されている)。
油性酵母中で天然に生成されるPUFAは、18:2脂肪酸(すなわちLA)と、一般的ではないが18:3脂肪酸(すなわちALA)とに限定されているので、油性酵母を遺伝子改変して、ここで述べられるΔ9エロンガーゼに加えて、長鎖PUFA生合成に必要な複数の酵素を発現させる(それによって例えばARA、EPA、DPA、およびDHAの生成を可能にする)。
具体的には一実施態様では、本発明は、
(a)Δ9エロンガーゼポリペプチドをコードして少なくとも1つの制御配列と作動的に連結する単離されたポリヌクレオチドを含んでなる、第1の組み換えDNAコンストラクト、および
(b)Δ4デサチュラーゼ、Δ5デサチュラーゼ、Δ6デサチュラーゼ、Δ9デサチュラーゼ、Δ12デサチュラーゼ、Δ15デサチュラーゼ、Δ17デサチュラーゼ、Δ8デサチュラーゼ、C14/16エロンガーゼ、C16/18エロンガーゼ、C18/20エロンガーゼ、およびC20/22エロンガーゼからなる群から選択されるポリペプチドをコードして少なくとも1つの制御配列と作動的に連結する単離されたポリヌクレオチドを含んでなる、少なくとも1つの追加的組み換えDNAコンストラクト
を含んでなる油性酵母に関する。
特に好ましい実施態様では、少なくとも1つの追加的組み換えDNAコンストラクトが、Δ8デサチュラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする。
微生物中におけるオメガ3および/またはオメガ6脂肪酸生合成の代謝エンジニアリング
本Δ9エロンガーゼの配列知識は、様々な宿主細胞中でω−3および/またはω−6脂肪酸生合成を操作するのに有用であろう。生化学的経路を操作する方法は当業者によく知られており、油性酵母中で、特にヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中で、ω−3および/またはω−6脂肪酸生合成を最大化するのに多数の操作が可能なことが予期される。この操作は、直接にPUFA生合成経路内の代謝エンジニアリング、または炭素からPUFAへの生合成経路に寄与する経路の追加的操作を必要とするかもしれない。望ましい生化学的経路をアップレギュレートして、望ましくない生化学的経路をダウンレギュレートする有用な方法は当業者によく知られている。
例えばエネルギーまたは炭素についてω−3および/またはω−6脂肪酸生合成経路と競合する生化学的経路、または特定のPUFA最終産物の生成を妨げる天然PUFA生合成経路酵素を遺伝子破壊によって排除し、またはその他の手段(例えばアンチセンスmRNA)によってダウンレギュレートしてもよい。
ARA、EPAまたはDHAを増大させる手段としてのPUFA生合成経路内の操作の詳細な考察(およびその関連技術)は、それぞれ米国特許出願公開第2006−0094092−A1号明細書、米国特許出願公開第2006−0115881−A1号明細書、および米国特許出願公開第2006−0110806−A1号明細書にあり、TAG生合成経路およびTAG分解経路内の望ましい操作(およびその関連技術)についても同様である。
本発明の文脈で、上述の戦略のいずれか1つによって脂肪酸生合成経路の発現を調節することが有用かもしれない。例えば本発明は、ω−3および/またはω−6脂肪酸生成のために、Δ9エロンガーゼ/Δ8デサチュラーゼ生合成経路内の鍵酵素をコードする遺伝子を油性酵母中に導入する方法を提供する。宿主生物の代謝エンジニアリングのための様々な手段を使用して、ω−3および/またはω−6脂肪酸生合成経路を天然に有さない油性酵母中で本Δ9エロンガーゼ遺伝子を発現させて、これらの遺伝子の発現を調整し、好ましいPUFA産物の生成を最大化させることは特に有用であろう。
PUFA生成のための微生物の発酵過程
形質転換された微生物宿主細胞は、キメラデサチュラーゼおよびエロンガーゼ
遺伝子の発現を最適化する条件下で成長させて、最大かつ最も経済的な所望のPUFA収率を生じさせる。一般に、最適化されてもよい培地条件としては、炭素源のタイプおよび量、窒素源のタイプおよび量、炭素−対−窒素比、異なる無機イオンの量、酸素レベル、生育温度、pH、バイオマス生成相の長さ、油蓄積相の長さ、および細胞収穫時間および方法が挙げられる。油性酵母のような、対象の微生物(例えば、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)は、一般に複合培地(例えば酵母菌抽出物−ペプトン−デキストロース液体培地(YPD))で、または生育に必要な構成要素が欠如することで所望の発現カセットの選択を強要する合成最少培地(例えばDIFCO Laboratories(Detroit,MI)からの酵母菌窒素ベース)上で成長させる。
本発明における発酵培地は適切な炭素源を含有しなくてはならない。適切な炭素源については、米国特許第7,238,482号明細書で教示されている。本発明で利用される炭素源は多種多様な炭素含有源を包含してもよいことが考察されるが、好ましい炭素源は糖(例えばグルコース)、グリセロール、および/または脂肪酸である。
窒素は、無機(例えば(NHSO)または有機(例えば尿素またはグルタミン酸)源から供給されてもよい。適切な炭素および窒素源に加えて、発酵培地はまた、適切なミネラル、塩、補助因子、緩衝液、ビタミン、および油性宿主の生育と、PUFA生成に必須の酵素的経路の促進とに適した、当業者に既知であるその他の構成要素を含有しなくてはならない。脂質およびPUFAの合成を促進するいくつかの金属イオン(例えばFe+2、Cu+2、Mn+2、Co+2、Zn+2、Mg+2)が注目されている(D.J.KyleおよびR.Colin編、「Ind.Appl.Single Cell Oil」より、Nakahara,T.ら、61〜97(1992年)。
本発明における好ましい増殖培地は、DIFCO Laboratories(Detroit,MI)からの酵母菌窒素ベースなどの一般的な市販の調製培地である。その他の合成または人工増殖培地もまた使用されてもよく、形質転換宿主細胞の生育に適する培地は、微生物学または発酵科学の当業者に知られている。発酵に適したpH範囲は、典型的に約pH4.0〜pH8.0の間であり、pH5.5〜pH7.5が初期生育条件の範囲として好ましい。発酵は好気性または好気性条件下で実施されてもよく、微好気条件が好ましい。
典型的に油性酵母菌細胞中のPUFAの高レベルの蓄積は、代謝状態が生育と脂肪合成/貯蔵との間で「平衡状態」でなくてはならないので、二段階過程を必要とする。したがって最も好ましくは、油性酵母(例えばヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica))におけるPUFA生成には、二段階発酵過程が必要である。このアプローチについては米国特許第7,238,482号明細書で述べられ、様々な適切な発酵過程デザイン(すなわちバッチ、供給バッチ、および連続)および成長中の考察事項についても同様に述べられる。
PUFA油の精製および処理
PUFAは、宿主微生物中に遊離脂肪酸として、またはアシルグリセロール、リン脂質、スルホ脂質または糖脂質などのエステル化形態で含まれるかもしれず、当該技術分野で良く知られている多様な手段を通じて宿主細胞から抽出されてもよい。酵母脂質の抽出技術、品質分析、および許容基準に関する総説は、Z.Jacobs(Critical Reviews in Biotechnology,12(5/6):463〜491(1992年))によるものである。A.SinghおよびO.Ward(Adv.Appl.Microbiol.,45:271〜312(1997年))による後処理プロセスの短いレビューもまた入手できる。
一般にPUFAを精製する手段は、有機溶剤による抽出(例えば米国特許第6,797,303号明細書および米国特許第5,648,564号明細書)、超音波処理、(例えば二酸化炭素を使用した)超臨界流体抽出、鹸化、およびプレスなどの物理的手段、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。さらに詳しくは米国特許第7,238,482号明細書の教示を参照されたい。
食材、健康食品、医薬品、および動物飼料で使用するためのPUFA含有油
市場は、目下ω−3および/またはω−6脂肪酸(例えば特にALA、GLA、ARA、EPA、DPA、およびDHA)を組み込んだ多岐にわたる食物および飼料製品をサポートする。長鎖PUFAを含んでなる微生物由来資源、PUFAを含んでなる部分的に精製された微生物由来資源、PUFAを含んでなる精製された微生物油、および/または精製されたPUFAは、食物および飼料製品中で機能して本調合物の健康上の利点を与えるであろうことが考察される。より具体的にはω−3および/またはω−6脂肪酸を含有する本発明の油は、類似食品、肉製品、穀物製品、ベークド食品、スナック食品、および乳製品をはじめとするが、これに限定されるものではない多様な食物および飼料製品中で使用するのに適する(詳細については米国特許出願公開第2006/0094092号明細書を参照されたい)。
さらに本組成物を調合物中で使用して、医療栄養物、栄養補助食品、乳児用調製粉乳ならびに医薬品をはじめとするメディカルフードに健康上の利点を与えてもよい。食物加工および食物調合の当業者は、どのように食物または飼料製品に本油の量および組成物を添加してもよいかを理解するであろう。このような量はここで「効果的」量と称され、食物または飼料製品、製品が栄養補給することが意図される食餌またはメディカルフード、または医療栄養物が矯正または治療することが意図される疾患に左右される。
特に断りのない限り、部および百分率は重量を基準とし、温度は摂氏である、次の実施例中で本発明をさらに定義する。これらの実施例は、発明の好ましい実施態様を示しながら、あくまで例示のために提供されるものとする。上の考察およびこれらの実施例から、当業者は本発明の必須特性を把握でき、その趣旨と範囲を逸脱することなく、本発明の様々な変更および改変を行って、それを様々な使用法および条件に適合できる。したがってここで提示され述べられるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明白であろう。このような修正もまた、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。
一般方法
実施例で使用する標準組み換えDNAおよび分子クローニング技術は、当該技術分野でよく知られており、1.)Sambrook,J.、Fritsch,E.F.およびManiatis,T.、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,NY(1989年)(Maniatis);2.)T.J.Silhavy、M.L.Bennan、およびL.W.Enquist、「Experiments with Gene Fusions」、Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,NY(1984年);および3.)Ausubel,F.M.ら、「Current Protocols in Molecular Biology」、Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscienceによる出版(1987年)で述べられる。
微生物培養の維持および生育に適した材料および方法は、当該技術分野でよく知られている。以下の実施例で使用するのに適した技術については、次で述べられている。Phillipp Gerhardt、R.G.E.Murray、Ralph N.Costilow、Eugene W.Nester、Willis A.Wood、Noel R.Krieg、およびG.Briggs Phillips編、「Manual of Methods for General Bacteriology」、American Society for Microbiology、Washington,D.C.(1994年)、またはThomas,D.Brock、「Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology」、第2版、Sinauer Associates:Sunderland,MA(1989年)。微生物細胞の生育および維持のために使用される全ての試薬制限酵素および材料は、特に断りのない限り、Aldrich Chemicals(Milwaukee,WI)、DIFCO Laboratories(Detroit,MI)、GIBCO/BRL(Gaithersburg,MD)、またはSigma Chemical Company(St.Louis,MO)から得た。大腸菌(E.coli)(XL1−Blue)コンピテント細胞は、Stratagene Company(San Diego,CA)から購入した。大腸菌(E.coli)株は、典型的にルリア・ベルターニ(Luria Bertani)(LB)プレート上で37℃で成長させた。
一般分子クローニングは、標準法に従って実施した(Sambrookら、前出)。DNA配列は、ベクターとインサート特異的プライマーとの組み合わせを使用して、染料ターミネーター技術(米国特許第5,366,860号明細書、欧州特許第272,007号明細書)を使用して、ABI自動シーケンサー上で生成した。配列編集を「Gene Codes Corporation(Ann Arbor,MI)」からのSequencher中で実施した。全ての配列は、両方向で少なくとも2回のカバレッジを表す。遺伝子配列の比較はDNASTAR Inc.(Madison,WI)からのDNASTARソフトウェアを使用して達成された。
略語の意味は以下の通り。「sec」は秒を意味し、「min」は分を意味し、「h」または「hr」は時間を意味し、「d」は日を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「μM」はマイクロモル濃度を意味し、「mM」はミリモル濃度を意味し、「M」はモル濃度を意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「μmole」はマイクロモルを意味し、「g」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「ng」はナノグラムを意味し、「U」は単位を意味し、「bp」は塩基対を意味し、「kB」はキロベースを意味する。
発現カセット命名法:
発現カセット構造は、「X::Y::Z」の簡便表記体系によって表され、Xはプロモーター断片を示し、Yは遺伝子断片を示し、Zはターミネーター断片を示して、全て互いに作動的に連結する。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の形質転換および培養:
ATCC登録番号#20362、#76982、および#90812のヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)株は、米国微生物系統保存機関(Rockville,MD)から購入した。ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)株は、典型的に下に示す処方に従っていくつかの培地内で28〜30℃で成長させた。標準法に従って各液体培地に20g/Lの寒天を添加して、寒天プレートを必要に応じて調製した。
YPD寒天培地(1Lあたり):10gの酵母抽出物[Difco]、20gのBactoペプトン[Difco]、および20gのグルコース。
基礎最少培地(MM)(1Lあたり):20gのグルコース、1.7gのアミノ酸非含有酵母窒素ベース、1.0gのプロリン、pH6.1(調節なし)。
最少培地+5−フルオロオロト酸(MM+5−FOA)(1Lあたり):20gのグルコース、6.7gの酵母窒素ベース、75mgのウラシル、75mgのウリジン、および(供給元から受領された各バッチ内にバリエーションがあるため)100mg/Lから1000mg/Lまでの一連の濃度に対して試験されたFOA活性に基づく適量のZymo Research Corp.(Orange,CA)からのFOA。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の形質転換は、特に断りのない限りChen,D.C.ら(Appl.Microbiol.Biotechnol.,48(2):232〜235(1997年))の方法に従って実施した。簡単に述べると、ヤロウィア(Yarrowia)をYPDプレート上に画線培養し、30℃でおよそ18時間成長させた。いくつかの山盛り白金耳量の細胞をプレートから掻き取って、以下を含んでなる1mLの形質転換緩衝液に再懸濁した。2.25mLの50%PEG、平均MW3350;0.125mLの2M酢酸リチウム、pH6.0;0.125mLの2MDTT;および(場合により)50μgの剪断サケ精子DNA。次におよそ500ngの(好ましくは少なくとも1つのキメラ遺伝子を含んでなる)線状DNA(または100ngの環状プラスミド)を100μLの再懸濁された細胞中でインキュベートし、15分間隔でボルテックス混合しながら39℃に1時間保った。細胞を選択培地プレートに播種して、30℃に2〜3日間保った。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の脂肪酸分析
脂肪酸分析のために、Bligh,E.G.およびDyer,W.J.、Can.J.Biochem.Physiol.37:911〜917(1959年)で述べられるように、細胞を遠心分離して収集し、脂質を抽出した。ナトリウムメトキシドでの脂質抽出物のエステル交換反応によって、脂肪酸メチルエステルを調製し(Roughan,G.およびNishida,I.、Arch Biochem Biophys.276(1):38〜46(1990年))、引き続きHewlett−Packardからの30m×0.25mm(内径)HP−INNOWAXカラムを装着したHewlett−Packard 6890 GCで分析した。オーブン温度は3.5℃/分で、170℃(25分間保持)から185℃であった。
直接塩基エステル交換のために、ヤロウィア(Yarrowia)培養物(3mL)を収集し、蒸留水で1回洗浄し、スピードバック(Speed−Vac)内で真空下において5〜10分乾燥させた。ナトリウムメトキシド(100μLの1%)をサンプルに添加して、次にサンプルをボルテックスし20分間振盪した。3滴の1M NaClおよび400μLのヘキサンを添加した後、サンプルをボルテックスして遠心分離した。上層を除去して上述のようにGCで分析した。
実施例1
ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)UTEX 373からのcDNAライブラリーの合成
本例はユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)UTEX 373からのcDNAライブラリーの合成について述べる。この作業は、RNAの調製、cDNAの合成、およびcDNAライブラリーの作成を含んだ。
ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)UTEX 373の生育およびRNAの調製
ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)UTEX 373は、ミシガン州立大学(East Lansing,MI)のRichard Triemer博士の研究室から入手した。およそ2mLの培養物を脂質分析のために除去し、1,800×gで5分間遠心分離した。ペレットを水で1回洗浄し、再度遠心分離した。得られたペレットを真空下で5分間乾燥させ、100μLの水酸化トリメチルスルホニウム(TMSH)に再懸濁して、振盪しながら室温で15分間インキュベートした。インキュベーションの後0.5mLのヘキサンを添加して、バイアルを振盪しながら室温で15分間さらにインキュベートした。脂肪酸メチルエステル(ヘキサン層から5μLを注入)を分離させ、Omegawax 320溶融石英キャピラリーカラム(Supelco Inc.、カタログ番号24152)を装着したHewlett−Packard 6890ガスクロマトグラフを使用して定量化した。オーブン温度をプログラムして170℃に1.0分間保ち、5℃/分で240℃に上昇させ、次にさらに1.0分間保った。キャリアガスはWhatman水素発生装置によって供給された。滞留時間を市販される標準メチルエステル(Nu−Chek Prep,Inc.、カタログ番号U−99−A))と比較して、得られたクロマトグラムを図2に示す。脂肪酸プロフィール中のEDA、ETrA、EPA、およびDHAの存在は、GLAおよびSTAの不在と共に、ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)が長鎖(LC)PUFA生合成のためにΔ9エロンガーゼ/Δ8デサチュラーゼ経路を使用すること、およびΔ9エロンガーゼなどをはじめとするが、これに限定されるものではない、LC−PUFA生合成遺伝子の良好な起源になり得ることを示唆した。
残る5mLの活発に成長する培養物を125mLガラスフラスコ内の25mLのAF−6培地(Watanabe & Hiroki,NIES−Collection List of Strains,第5版,National Institute for Environmental Studies,Tsukuba,127pp(2004年))中に移した。ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)培養物を非常に穏やかに撹拌しながら、16時間の明期と8時間の暗期のサイクルで22℃で2週間成長させた。
2週間後、培養物(25mL)を500mLガラス瓶内の100mLのAF−6培地に移し、上述のように培養物を1ヶ月間成長させた。この期間後、2つの50mLのアリコートを250mLのAF−6培地を含有する2つの別個の500mLガラス瓶内に移し、上述のように培養物を2ヶ月間成長させた(合計約600mLの培養物を得た)。次に培養物を1,800×gで10分間遠心分離してペレット化し、水で1回洗浄して再度遠心分離した。TEL−TEST,Inc.(Friendswood,TX)からのRNA STAT−60TM試薬を使用し、提供された製造業者のプロトコール(5mLの試薬を使用してRNAを0.5mLの水に溶解する)に従って、得られたペレットの1つから全RNAを抽出した。このようにして340μgの全RNA(680μg/mL)がペレットから得られた。残りのペレットを液体窒素内で凍結し−80℃に保存した。(Amersham Biosciences(Piscataway,NJ)からのmRNA精製キットを使用して提供された製造業者のプロトコールに従って、340μgの全RNAの全てからmRNAを単離した。このようにして9.0μgのmRNAを得た。
ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)cDNAの調製およびcDNAライブラリーeug1cの作成
Invitrogen Corporation(Carlsbad,CA)からのCloneminerTM cDNAライブラリー構築キット(カタログ番号18249−029)を使用し、提供された製造業者のプロトコール(バージョンB、25−0608)に従ってcDNAライブラリーを作成した。非放射標識法を使用して、5.12μgの(上述の)mRNAから、ビオチン−attB2−オリゴ(dT)プライマーを使用してcDNAを合成した。第1および第2のストランドの合成後、attB1アダプターを添加してライゲートし、カラムクロマトグラフィーを使用してcDNAをサイズ分画した。画分からのDNAを濃縮し、pDONRTM222に遺伝子組み換えして、大腸菌(E.coli)ElectroMAXTM DH10BTM T1ファージ−抵抗性細胞(Invitrogen Corporation)に形質転換した。ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)ライブラリーをeug1cと命名した。
cDNAライブラリーeug1cをLB+カナマイシンプレート上に播種して(およそ100,000個のコロニー)、コロニーを掻き取りQiagen Inc.(Valencia,CA)からのQIAprep(登録商標Spin Miniprepキットを使用し製造業者のプロトコールに従ってDNAを単離した。このようにしてeug1cからのプラスミドDNA下位ライブラリーを得た。
実施例2
ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)UTEX 373からの全長Δ9エロンガーゼの単離
本実施例は、ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)UTEX 373からのΔ9エロンガーゼをコードするcDNA(配列番号1および2)の同定について述べている。この研究はミドリムシ(Euglena gracilis)Δ9エロンガーゼ(EgD9e;配列番号3)に由来するプローブの作成、およびユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)UTEX 373からのΔ9エロンガーゼ相同体を同定するためのプローブとcDNAライブラリーeug1cとのハイブリダイゼーションを含んだ。
ミドリムシ(Euglena gracilis)Δ9エロンガーゼ(EgD9e)
New England Biolabs Inc.(Beverly,MA)からのVentR(登録商標)DNAポリメラーゼ(カタログ番号M0254S)使用し製造業者のプロトコールに従って、ミドリムシ(Euglena gracilis)Δ9エロンガーゼ(EgD9e;配列番号3;米国特許出願第11/601,563号明細書で述べられている)を含有してeeg1c.pk001.n5fと称されるユーグレナ(Euglena)cDNAライブラリーからのクローン(eeg1c)をテンプレートとして使用して、EgD9eをオリゴヌクレオチドプライマーoEugEL1−1(配列番号5)およびoEugEL1−2(配列番号6)によって増幅した。得られたDNA断片をZero Blunt(登録商標)PCRクローニングキット(Invitrogen Corporation)を使用し製造業者のプロトコールに従って、pCR−Blunt(登録商標)クローニングベクターにクローンしてpKR906(配列番号15)を生成した。
コロニーのリフト
LB+50μg/mLカナマイシン寒天培地をそれぞれ含有するCorning(Corning,NY)からの3個の大型正方形(24cm×24cm)ペトリ皿に、ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)cDNAライブラリーeug1cのおよそ17,000個のクローンを播種した。細胞を37℃で一晩成長させ、次にプレートを室温に冷却した。
Pall Corporation(Pensacola,FL)からのBiodyne B 0.45μm膜(カタログ番号60207)をおよそ22cm×22cmに裁断し、膜を寒天上に気泡を避けて注意深く載せた。室温で2分間のインキュベーション後、膜の方向性を標識してピンセットで持ち上げ、0.5M水酸化ナトリウムと1.5M塩化ナトリウムに浸した濾紙にコロニー面を上にして載せた。4分間の変性後、0.5M Tris−HCL(pH7.5)と1.5M塩化ナトリウムに4分間浸した濾紙に膜を載せて、水酸化ナトリウムを中和した。ステップを繰り返し、2×SSC緩衝液(20×SSCは3M塩化ナトリウム、0.3Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)中で膜を手早くすすぎ、濾紙上で風乾した。
ハイブリダイゼーション
膜を200mLハイブリダイゼーション溶液中で、65℃で2時間プレハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション溶液は、6×SSPE(20×SSPEは3M塩化ナトリウム、0.2Mリン酸ナトリウム、20mM EDTA、pH7.4)、5×デンハルト試薬(100×デンハルト試薬は2%(w/v)Ficoll、2%(w/v)ポリビニルピロリドン、2%(w/v)アセチル化ウシ血清アルブミン)、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、100μg/mL剪断サケ精子DNA、および5%硫酸デキストランを含有した。
Invitrogen(Carlsbad,CA)からのRadPrime DNA標識システム(カタログ番号18428−011)を使用し製造業者の使用説明書に従って、Δ9エロンガーゼ遺伝子を含有するアガロースゲル精製NcoI/NotIDNA断片を使用して、P32dCTPで標識したpKR906(配列番号15)からミドリムシ(Euglena gracilis)DNAプローブを作成した。Amersham Biosciences(Piscataway,NJ)からのNICKカラム(カタログ番号17−0855−02)を使用し製造業者の使用説明書に従って、取り込まれなかったP32dCTPを分離した。プローブを100℃で5分間変性させ氷の上に3分間載せて、半分をハイブリダイゼーション溶液に添加した。
穏やかに振盪しながら、膜をプローブと65℃で一晩ハイブリダイズし、次に翌日0.5%のSDSを含有する2×SSCで2回(各5分間)、0.1%のSDSを含有する0.2×SSCで2回(各15分間)洗浄した。洗浄後、Amersham Biosciences(Piscataway,NJ)からのhyperfilm(カタログ番号RPN30K)を−80℃で一晩、膜に曝露した。
曝露されたhyperfilmとプレートのアラインメントに基づいて、パスツールピペットの平滑末端を使用して陽性コロニーを1mLの水中に拾い上げ、ボルテックスした。希釈を何回か行って50μg/mLカナマイシン添加LB培地を含有する小型円形ペトリ皿(82mm)上に播種し、単一プレート上に約100個の良好に単離されたコロニーを得た。Schleicher & Schuell(Keene,NH)からのNytranNメンブランサークル(カタログ番号10416116)を使用したこと以外は上述のようにして持ち上げて、残りの放射標識プローブを使用して100mL中でハイブリダイゼーションを実施した。このようにして陽性のクローンを確認した。
個々の陽性クローンをLB+50μg/mLカナマイシン液体培地中で37℃で成長させ、QIAprep(登録商標)Spin Miniprepキット(Qiagen Inc.)を使用し製造業者のプロトコールに従ってプラスミドを精製した。
ABI BigDyeバージョン3 Prism配列決定キットを用いて、ベクターで予め刺激されたM13Fユニバーサルプライマー(配列番号7)、M13rev−28プライマー(配列番号8)、およびpoly(A)tailで予め刺激されたWobbleTオリゴヌクレオチドを使用して、DNA挿入断片を384ウェルプレート内で末端配列決定した。配列決定反応のために、100〜200ngのテンプレートおよび6.4pmolのプライマーを使用して、以下の反応条件を25回繰り返した。96℃で10秒間、50℃で5秒間、および60℃で4分間。エタノールベースの精製後、Perkin−ElmerABI 3700自動化配列決定装置上でサイクル配列決定反応生成物を解析して検出した。WobbleTプライマーは、cDNAクローンの3’末端の配列決定のために使用される21mer poly(T)A、poly(T)C、およびpoly(T)Gの等モルの混合物である。
Gene Codes Corporation(AnnArbor、MI)からのSequencherTM(バージョン4.2)を使用して配列を整列させて比較することで、クローンを挿入断片配列に基づいて2つの異なる群(EaD9Elo1およびEaD9Elo2と称する)の1つに分類できた。各配列クラスについてcDNAを含有する代表的なクローンをさらなる研究のために選択し、代表的な各プラスミドの配列(すなわちpLF121−1およびpLF121−2)をそれぞれ配列番号9および配列番号10によって示す。NNNNの文字列によって示される配列は、配列決定されなかったpolyA tailの領域に相当する。EaD9Elo1およびEaD9Elo2のコード配列をそれぞれ配列番号11および配列番号12で示す。EaD9Elo1およびEaD9Elo2に対応するアミノ酸配列をそれぞれ配列番号13および配列番号14で示す。
実施例3
ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)UTEX 373(EaD9Elo1およびEaD9Elo2)のΔ9エロンガーゼ配列の一次配列分析およびその他の公開されたΔ9エロンガーゼ配列との比較
DNASTAR Inc.(Madison,WI)からのLASERGENEバイオインフォマティクス演算スイートMegAlignTMv6.1プログラムをペアワイズアラインメントのためのデフォルトパラメーター(KTUPLE=1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5およびDIAGONALS SAVED=5およびGAP LENGTH PENALTY=10)で使用して、Clustal V法(Higgins,D.G.およびSharp,P.M.、Comput.Appl.Biosci.,5:151〜153(1989年);Higginsら、Comput.Appl.Biosci.,8:189〜191(1992年))を使用して、EaD9Elo1(配列番号13)およびEaD9Elo2(配列番号14)のアミノ酸配列を比較した。
EaD9Elo1(配列番号13)と比較して、EaD9Elo2(配列番号14)は1個のアミノ酸置換(すなわちR254Q;EaD9Elo1の番号付けを基準にして)を有する。EaD9Elo1(配列番号11)およびEaD9Elo2(配列番号12)のヌクレオチド配列は、774bpの全長に対して6個の塩基対が異なる。
BLAST「nr」データベース(全ての非重複性GenBank CDS翻訳と、三次元構造Brookhavenタンパク質データバンク、SWISS−PROTタンパク質配列データベースの最新メジャーリリース、EMBLおよびDDBJデータベースに由来する配列とを含んでなる)に含有される配列との類似性を検索するBLASTP(Basic Local Alignmant Search Tool);Altschulら、J.Mol.Biol.,215:403〜410(1993年))によってデフォルトパラメーターを使用してフィルターをオフにして、EaD9Elo1(配列番号13)およびEaD9Elo2(配列番号14)のアミノ酸配列を評価した。便宜上、BLASTによる計算で、cDNA配列と検索されるデータベース中に含有される配列とのマッチが単なる偶然で観察されるP値(確率)をここで報告されるP値の対数の負数に相当する「pLog」値として報告する。したがってpLog値が大きいほど、cDNA配列およびBLAST「hit」が相同的なタンパク質を表す可能性が大きい。
「nr」データベースと比較すると、どちらの配列もイソクリシス・ガルバナ(Isochrysis galbana)長鎖多価不飽和脂肪酸延長酵素(IgD9e;配列番号16)(NCBI登録番号AAL37626(GI17226123)、遺伝子座AAL37626、CDSAF390174;Qiら、FEBS Lett.,510:159〜165(2002年))に対して38.70のpLog値(2e−39のP値)をもたらした。BLASTスコアおよび確率は、本核酸断片がユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)Δ9脂肪酸エロンガーゼ全体をコードすることを示唆する。
配列比較のBlastP、Clustal VおよびJotun Hein法を使用して、EaD9Elo1(配列番号13)およびEaD9Elo2(配列番号14)のアミノ酸配列をIgD9e(配列番号16)およびミドリムシ(Euglena gracilis)Δ9エロンガーゼアミノ酸配列(EgD9e;配列番号4;国際公開第2007/061845号パンフレット)と比較した。各方法を使用したIgD9eおよびEgD9eに対する%同一性を表4および表5にそれぞれ示す。
上述のようにBlastPおよびClustal V法によって、配列%同一性の計算を実施した。Jotun Hein法(Hein,J.J.,Meth.Enz,183:626〜645(1990年))によって実施された配列%同一性計算は、DNASTAR Inc.(Madison,WI)からのLASERGENEバイオインフォマティクス演算スイートのMegAlignTMv6.1プログラムをペアワイズアラインメントのためのデフォルトパラメーター(KTUPLE=2)で使用して行った。
Figure 2010524468
Figure 2010524468
実施例4
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中におけるユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)UTEX 373Δ9エロンガーゼの機能解析
本実施例は、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中におけるEaD9Elo1(配列番号13)およびEaD9Elo2(配列番号14)の機能解析について述べる。この研究は、(1)Gateway(登録商標)適合性ヤロウィア(Yarrowia)発現ベクターpY159を構築するステップと(2)EaD9Elo1およびEaD9Elo2をpY159に転移してpY173およびpY174を生成するステップと、(3)pY173およびpY174を含んでなる形質転換生物内の脂質プロフィールを比較するステップとを含む。
Gateway(登録商標)適合性ヤロウィア(Yarrowia)発現ベクターpY159の構築
プラスミドpY5−30(米国特許第7,259,255号明細書ですでに述べられている)は、大腸菌(E.coli)およびヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の双方の中で複製できるシャトルプラスミドである。プラスミドpY5−30は、ヤロウィア(Yarrowia)自律複製配列(ARS18)、ColE1プラスミド複製起点、大腸菌(E.coli)中における選択のためのアンピシリン抵抗性遺伝子(Amp)、ヤロウィア(Yarrowia)中における選択のためのヤロウィア(Yarrowia)LEU2遺伝子、およびキメラTEF::GUS::XPR遺伝子を含有する。当業者によく知られている技術を使用して、TEFプロモーターをヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)FBAINmプロモーター(米国特許第7,202,356号明細書)で置換して、プラスミドpDMW263(配列番号17)をpY5−30から作り出した。簡単に述べるとこのプロモーターは、fba1遺伝子によってコードされる果糖−ビスホスフェートアルドラーゼ酵素(E.C.4.1.2.13)の「ATG」翻訳開始コドン前の5’上流非翻訳領域に位置して発現に必要な修飾プロモーターと、イントロンを有する5’コード領域の部分とを指し、FBAINmは、FBAINプロモーターのATG翻訳開始コドンおよびイントロン間の52bpの欠失(その結果N−末端の22個のアミノ酸のみを含む)と、イントロン後の新しい翻訳コンセンサスモチーフとを有する。表6はpDMW263(配列番号17)の構成要素を要約する。
Figure 2010524468
イソクリシス・ガルバナ(Isochrysis galbana)に由来してヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された合成Δ9エロンガーゼ遺伝子(IgD9eS)を含有し、(その内容を参照によって本明細書に援用する)国際公開第2006/012325号パンフレットで以前述べられているpDMW237(配列番号18)のNcoI/SalIDNA断片に、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)FBAINmプロモーターを含有するpDMW263(配列番号17)からのNcoI/SalIDNA断片をクローンして、pY115(配列番号19;図3A)を生成した。図3Aでは修飾FBAINmプロモーターはFBA1+イントロンと標識されるのに対し、図3B、3C、および3Dでは、YAR FBA1 PRO+イントロンと標識される。
オリゴヌクレオチドプライマーoYFBA1(配列番号20)およびoYFBA1−6(配列番号21)を用いたPCRを使用して、プラスミドpY115(配列番号19)からFBAINmプロモーターを増幅した。プライマーoYFBA1(配列番号20)はプロモーター5’末端にBglII部位を導入するようにデザインされ、プライマーoYFBA1−6(配列番号21)はNcoI部位、ひいてはATG開始コドンを除去しながらプロモーターの3’末端にNotI部位を導入するようにデザインされた。得られたPCR断片をBglIIおよびNotIで消化して、ベクター主鎖を含有するpY115のBglII/NotI断片にクローンして、pY158(配列番号22)を形成した。
プラスミドpY158(配列番号22)をNotIで消化して、得られたDNA末端を充填した。充填して平滑末端を形成した後、DNA断片を仔ウシ腸管アルカリホスファターゼで処理して、アガロースゲル電気泳動法を使用して分離した。ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)FBAINmプロモーターを含有する6992bpの断片をアガロースゲルから切除し、Qiagen Inc.(Valencia,CA)からのQIAquick(登録商標)ゲル抽出キットを使用し製造業者のプロトコールに従って精製した。精製された6992bpの断片をGatewayベクター変換システム(カタログ番号11823−029、Invitrogen Corporation)を使用し製造業者のプロトコールに従って、カセットrfAとライゲートし、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Gateway(登録商標)目的ベクターpY159(配列番号23;図3B)を形成した。
ヤロウィア(Yarrowia)発現ベクターpY173およびpY174の構築
Gateway(登録商標)LR ClonaseTMII酵素ミックス(カタログ番号11791−020、Invitrogen Corporation)を使用し製造業者のプロトコールに従って、pLF121−1(配列番号9;実施例2)およびpLF121−2(配列番号10;実施例2)からのcDNA挿入断片をpY159(配列番号23)に転移して、pY173(配列番号24;図3C)およびpY174(配列番号25;図3D)をそれぞれ形成した。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y2224株中におけるEaD9Elo1およびEaD9Elo2の機能解析
Y2224株を次の様にして単離した。250mg/Lの5−FOA(Zymo Research)を含有するMMプレート(各75mg/Lのウラシルおよびウリジン、硫酸アンモニア添加6.7g/L YNB、アミノ酸非含有、20g/Lグルコース)上に、YPD寒天プレート(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%グルコース、2%寒天)からのヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ATCC#20362細胞を画線培養した。プレートを28℃でインキュベートし、得られたコロニーの内4つを200mg/mLの5−FOAを含有するMMプレートと、ウラシルおよびウリジンを欠くMMプレート上とに別々にパッチ培養して、ウラシルUra3栄養要求性を確認した。
一般方法で述べられるようにして、Y2224株をpY173(配列番号24;図3C)およびpY174(配列番号25;図3D)で形質転換した。
pY173およびpY174を含有する形質転換ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の単一コロニーをウラシルを欠く3mLのMM中で30℃で16時間成長させ、その後細胞を250rpmで遠心分離してペレット化した。細胞を水で1回洗浄し、遠心分離によってペレット化し風乾した。500μLの1%ナトリウムメトキシドを用いて50℃で30分間ペレットをエステル交換し(Roughan,G.およびNishida,I.,Arch.Biochem.Biophys.,276(1):38〜46(1990年))、その後500μLの1M塩化ナトリウムおよび100μLのヘプタンを添加した。完全な混合および遠心分離後、脂肪酸メチルエステル(FAME)をGCによって分析した。FAME(ヘキサン層から5μLを注入)を分離させ、Omegawax 320溶融石英キャピラリーカラム(カタログ番号24152、Supelco Inc.)を装着したHewlett−Packard 6890ガスクロマトグラフを使用して定量化した。オーブン温度をプログラムして、220℃に2.6分間保ち、20℃/分で240℃に上昇させ、次にさらに2.4分間保った。キャリアガスはWhatman水素発生装置によって供給された。滞留時間を市販される標準メチルエステル(Nu−Chek Prep,Inc.)と比較した。
pY173およびpY174を発現するヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の脂肪酸プロフィールを表7に示す。脂肪酸は16:0、16:1、18:0、18:1(オレイン酸)、LA、20:0、20:1(11)、EDA、22:0、24:0、および24:1と同定された。%Δ9延長(Δ9%Elong)は、EDAの重量部(重量%)をEDAとLAの重量%の和で除して、%として表すために100を乗じて計算した。平均はAve.で表される。
Figure 2010524468
実施例5
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)のためにコドン最適化されたΔ9エロンガーゼ遺伝子(EaD9ES)の合成
国際公開第2004/101753号パンフレットおよび米国特許第7,125,672号明細書で述べられているのと類似した方法で、ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)のΔ9エロンガーゼ遺伝子(EaD9Elo1)のコドン使用頻度をヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のために最適化した。具体的には、コドン最適化されたΔ9エロンガーゼ遺伝子(「EaD9ES」と称される;配列番号26)をEaD9Elo1(配列番号11)のコード配列に基づいて、ヤロウィア(Yarrowia)コドン使用頻度パターン(国際公開第2004/101753号パンフレット)、「ATG」翻訳開始コドン周辺の共通配列、およびRNA安定性の原則(Guhaniyogi,G.およびJ.Brewer,Gene,265(1〜2):11〜23(2001年))に従ってデザインした。翻訳開始部位の修飾に加えて、774bpコード領域の106bp(13.7%)を修飾し、98個のコドン(38.0%)を最適化した。GC含量(52.1%)は、野性型遺伝子(すなわちEaD9Elo1)と合成遺伝子(すなわちEaD9ES)の間でほぼ同一であった。NcoI部位およびNotI部位を翻訳開始コドン周辺、およびEaD9ES(配列番号26)の停止コドン後にそれぞれ組み込んだ。図4Aおよび4Bは、EaD9Elo1(配列番号11)とEaD9ES(配列番号26)のヌクレオチド配列の比較を示す。コドン最適化された遺伝子によってコードされるタンパク質配列(すなわち配列番号27)は、野生型タンパク質配列(すなわち配列番号13)と同一である。デザインされたEaD9ES遺伝子は、GenScript Corporation(Piscataway,NJ)によって合成されpUC57(Genbank登録番号Y14837)にクローンされて、pEaD9ES(配列番号28;図5A)が作り出された。
実施例6
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された(ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)に由来する)合成Δ9エロンガーゼ遺伝子(EaD9ES)を含んでなるヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)発現ベクターpZUFmEaD9ESの構築および機能解析
本実施例は、キメラFBAINm::EaD9ES::Pex20遺伝子を含んでなる、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ベクターpZUFmEaD9ESの機能発現について述べており、EaD9ESはユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)に由来して、ヤロウィア(Yarrowia)中での発現のためにコドン最適化された合成Δ9エロンガーゼである。プラスミドpZUFmEaD9ES(図5B)は以下の構成要素を含有した。
Figure 2010524468
pZUFmEaD9ESを含んでなるヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)形質転換体の機能解析
一般方法で述べられるようにして、プラスミドpZUFmEaD9ESをY2224株(野生型ヤロウィア(Yarrowia)ATCC#20362株のUra3遺伝子の自律性突然変異からのFOA抵抗性変異体)に形質転換した。形質転換体を上MMプレートで選択した。30℃で2日間の生育後、形質転換体を拾って新鮮なMMプレート上に再度画線培養した。ひとたび成長したら、これらの株を個々に3mLの液体MMに30℃で接種して、250rpm/分で2日間振盪した。細胞を遠心分離により収集して脂質を抽出し、エステル交換によって脂肪酸メチルエステルを調製し、引き続いてHewlett−Packard 6890 GCで分析した。
GC分析は、5つの形質転換体全てにおいて総脂質の約2.2%のC20:2(EDA)および15.3%のC18:2(LA)が生成したことを示し、これらの5株中でのC18:2からC20:2への変換効率は約13%と判定された。したがってこの実験データは、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された合成ユーグレナ・アナベナ(Euglena anabaena)Δ9エロンガーゼ(すなわち配列番号26および27に記載されるEaD9ES)が、能動的にLAをEDAに延長することを実証した。

Claims (12)

  1. (a)Δ9エロンガーゼ活性を有して、配列番号13または配列番号14に記載のアミノ酸配列と比較すると、アラインメントのクラスタルV法に基づいて少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
    (b)Δ9エロンガーゼ活性を有するポリペプチドをコードして、配列番号11、配列番号12または配列番号26に記載のヌクレオチド配列と比較すると、アラインメントのブラストN法に基づいて少なくとも80%の配列同一性を有する、ヌクレオチド配列、
    (c)Δ9エロンガーゼ活性を有するポリペプチドをコードして、配列番号11、配列番号12または配列番号26に記載のヌクレオチド配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列、または
    (d)(a)、(b)または(c)のヌクレオチド配列の相補体
    を含み、相補体およびヌクレオチド配列が同数のヌクレオチドからなって100%相補的である、単離されたポリヌクレオチドを含む、微生物宿主細胞。
  2. 単離されたポリヌクレオチドが、配列番号13または配列番号14に記載のアミノ酸配列をコードする、請求項1に記載の微生物宿主細胞。
  3. 酵母、藻類、細菌、ユーグレナ類、ストラメノパイル、および真菌からなる群から選択される、請求項1に記載の微生物宿主細胞。
  4. 細胞がクサレケカビ属の真菌である、請求項3に記載の微生物宿主細胞。
  5. 細胞がヤブレツボカビ種およびシゾキトリウム種からなる群から選択されるストラメノパイルである、請求項3に記載の微生物宿主細胞。
  6. 酵母が油性酵母である、請求項3に記載の微生物宿主細胞。
  7. 油性酵母が、ヤロウィア、カンジダ、ロドトルラ、ロドスポリジウム、クリプトコッカス、トリコスポロン、およびリポマイセスからなる群から選択される、請求項6に記載の微生物宿主細胞。
  8. a)(i)Δ9エロンガーゼポリペプチドをコードして、配列番号13または配列番号14に記載のアミノ酸配列と比較すると、アラインメントのクラスタルV法に基づいて少なくとも80%のアミノ酸同一性を有する組み換えヌクレオチド分子、および
    (ii)リノール酸源
    を含む微生物宿主細胞を備えるステップと、
    b)Δ9エロンガーゼポリペプチドをコードする核酸断片を発現して、リノール酸をエイコサジエン酸に変換する条件下でステップ(a)の微生物宿主細胞を増殖させるステップと、
    c)場合によりステップ(b)のエイコサジエン酸を回収するステップと
    を含む、エイコサジエン酸を生産する方法。
  9. a)(i)Δ9エロンガーゼポリペプチドをコードして、配列番号13または配列番号14に記載のアミノ酸配列と比較すると、アラインメントのクラスタルV法に基づいて少なくとも80%のアミノ酸同一性を有する組み換えヌクレオチド分子、および
    (ii)α−リノレン酸源
    を含む微生物宿主細胞を備えるステップと、
    b)Δ9エロンガーゼポリペプチドをコードする核酸断片を発現して、α−リノレン酸をエイコサトリエン酸に変換する条件下で、ステップ(a)の微生物宿主細胞を増殖させるステップと、
    c)場合によりステップ(b)のエイコサトリエン酸を回収するステップと
    を含む、エイコサトリエン酸を生産する方法。
  10. 微生物宿主細胞が、配列番号26に記載のΔ9エロンガーゼポリペプチドをコードする組み換えヌクレオチド分子を含むヤロウィア種であり、組み換えヌクレオチド分子がヤロウィア中での発現のために最適化された少なくとも98個のコドンを含む、請求項8または9に記載の方法。
  11. a.)組み換え核酸分子が、配列番号11、配列番号12または配列番号26からなる群から選択される核酸配列を有し、
    b.)宿主細胞がヤロウィア・リポリティカである、
    請求項8または9に記載の方法。
  12. 配列番号26に記載のΔ9エロンガーゼをコードして、少なくとも98個のコドンがヤロウィア種中での発現のためにコドン最適化されている、単離された核酸分子。
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