JP2010522780A - 結合型電荷移動ナノチューブドーパント - Google Patents

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Abstract

カーボンナノチューブの安定な電荷移動ドーピングがドーパント含有ポリマー(DCP)を用いて達成され、ここに、DCPは、ポリマーに連結したナノチューブに電子を供与するか、または該ナノチューブから電子を受容することのできる複数のドーパント部分を有する。DCPは、ポリマーに連結した十分数のドーパント部分を有し、その結果、特定のドーパント部分およびナノチューブ間の電荷移動平衡が解離状態または脱ドープ状態にある場合、ドーパント部分は、連結部分によってポリマーに拘束されたままであり、ポリマーは、DCPの少なくとも1つ結合型ドーパントによって、ナノチューブに結合したままなので、ナノチューブの周辺に残存する。連結基は、ポリマー骨格によって妨げられず、電荷移動ドーピングを受けることができる方法で、ドーパント部分をナノチューブに提供することが可能になるように選択される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国出願番号第60/890,704号(2007年2月20日出願)の利益を主張し、出典明示により、挿入図、表または図面を含め、全体として本願明細書の一部とされる。
発明の分野
本発明は、ポリマー骨格に多様に結合する電荷移動部分(moiety)、およびそれによりドープされるカーボンナノチューブのドープピングに関する。
背景
単層カーボンナノチューブは、幅広く、その電子輸送特性を活用しようとする多数の応用のための研究下にある。なかでも、ナノチューブに大きな期待を吹き込む特徴は、電気伝導性を化学的な電荷移動ドーピングによって調節する能力である。半導体ナノチューブの場合、n−mが3で割り切れないカイラル指数(n,m)のものを電荷移動電子ドナーでドーピングすると、ドーピング濃度に比例してn−型キャリア密度の増加がもたらされる。該ドーピングは、ドーピングしていないナノチューブの伝導性よりも大きな桁にナノチューブの伝導性を増加させることができる。同様に、電荷移動電子アクセプターでのドーピングは、その伝導性を大いに増加させることができ、ドーピング濃度依存性のp−型キャリア密度をもたらす。原則として、キャリア密度のドーピング濃度に対する依存性は、半導体ナノチューブの伝導度およびキャリアタイプの両方に、精細に整調可能な制御を提供する。かかる化学的電荷移動ドーピングは、単層ナノチューブおよびナノチューブネットワークに基づく電界効果トランジスタ(FET)の両方において活用されて、n−型またはp−型FETを得、それらが作動するゲート電圧を修飾する。重要なことに、両方のFET型が現代のデジタル論理ファミリーの実行に必要とされる。
電荷移動ドーピングは、また、カイラル指数n−m=0,mod 3の金属ナノチューブの伝導性における制御手段を提供する。ドーピングしていない金属ナノチューブのキャリア密度は、ゼロではないが、比較的小さい。該ナノチューブを十分に電荷移動ドーピングすることにより、そのフェルミ準位がvan Hove特異点の下になるようシフトし、そのキャリア密度は実質的に増加し、それにより、その伝導性を増加させる。
薄いナノチューブフィルムは、現在、透明伝導体を必要とする種々の応用において、例えば、発光ダイオードにおける電荷注入電極のために、光起電デバイスにおける電荷収集電極のために、および柔軟な透明タッチスクリーンにおける導体パッドのために活用されている。電荷移動ドーピングは、かかるフィルムの伝導力を2種類の方法、すなわち、フィルムを構成している個々のナノチューブのキャリア密度における直接的な制御によって、およびフィルム内でのチューブ−チューブ接合点を横切る電気インピーダンスに影響を及ぼすチューブ−チューブ接触点にて発生するショットキー障壁の修飾によって制御する。また、ナノチューブフィルムにおけるフェルミ準位の電荷移動に基づく同調性(tunability)は、フィルムと、無機または有機のいずれかの半導体との間のフェルミ準位ラインアップにおいて、多くの金属半導体接触を悩ますフェルミ準位ピニングを伴うことなく、制御手段を提供する。これにより、接触障壁の高さをデバイス機能を最適化するよう合理的に調整可能にする。
単層ナノチューブ(SWNT)は、グラフェンと非常に類似した原子構造を有する。ナノチューブの適当な電荷移動ドーパントを見出すために、研究者がグラファイト電荷移動複合体(グラファイト層間化合物(GIC)とも呼ばれる)における広大な研究に注視するのは当然のことであった。また、試験されたグラファイトの既知のドーパントは全て、ナノチューブをドーピングする。
大量に電荷移動ドーピングした高度に黒鉛化されたカーボンファイバーは、金属の電気伝導性に近似する。例えば動力伝達ラインにおいて、金属を強力な軽量カーボンファイバーで置換する可能性が動機となって、グラファイトの最も安定なドーパントを見出すため多大な努力がされている。不運にも、多くの文献が「安定な」ドーピングを要求するにもかかわらず、高度にドーピングされたGICは全て、時間と共にそのドーピングの相当な部分を失う。このことは、GIC塩が大気中の水蒸気と反応するn−型ドーパント、すなわち、ドナードーパントだけでなく、空気/水に安定なp−型ドーパント、すなわち、アクセプタードーパントにも当てはまる。不安定性の問題は、ナノチューブにとって都合が悪い。グラファイトをドーピングするためのタイムスケールは、むしろ長い。ドーパントは、最初は0.34nm離れているグラフェンシート間に侵入しなければならず、二次元の限定空間において遠くに拡散する。すでに侵入しているドーパントは、内部へ移動して、端で侵入するさらなるドーパントのための場所を空けなければならない。この制限もまた、脱ドーピングを非常に遅らせ、ここに、ドーパントは、蒸発または他のプロセスによって端から失われる。グラファイトの場合、典型的なドーピング/脱ドーピングのタイムスケールは、数日から数週間の長さがある。ナノチューブの場合、ドーピングおよび脱ドーピングのタイムスケールは、どちらも非常に速い。個々のナノチューブの場合、ドーパントは、それらが拡散してエスケープする必要のない表面に存在する。ナノチューブ束の場合、束の軸に対して垂直方向への内部から外部への拡散は、多くとも、束の直径の半分の距離、10nmのオーダーの距離を横切る拡散のみを必要とする。典型的に不規則なナノチューブフィルムおよびネットワークの場合、ナノチューブ束間の空きスペース(そこからドーパントが流出できる)は、数十ナノメーターの特徴的な線寸法のオープンボリュームを有する。これらは、ナノチューブの内部および外部への拡散を、たった数分〜数時間だけかかる、より迅速なプロセスにする。
カーボンナノチューブの電荷移動ドーピングは、その多くの潜在的応用に重要であるが、該ナノチューブの経時的な自発的脱ドーピングによる電荷移動ドーピングの不安定性は、多くの応用の商業的実現化を妨げている。多くの電子的または電子光学的応用を実現するために必要な条件は、ドーピングの程度、すなわち、ナノチューブからまたはナノチューブへ移動されるナノチューブ長の単位あたりの特定数の電子を、デバイス機能に必要なある程度の許容範囲内に調節すること、および特定のドーピング程度の長時間の安定性、すなわち、ナノチューブ長の単位あたりの特定数の移動される電子が、デバイスの寿命の間、ある程度の許容範囲内で一定のままでなければならないことである。
したがって、ドーピングの程度が制御されるよう設計され、かつ、長時間安定であるドープしたカーボンナノチューブ組成物という目標は、未だ果たされていない。
発明の概要
本発明は、ドーパント結合型ポリマー(DCP)およびこれらのDCPとの安定なカーボンナノチューブ電荷移動複合体に向けられている。DCPは、カーボンナノチューブ表面に電子を供与する、またはカーボンナノチューブ表面から電子を受け取ることのできる多数のドーパント部分を含有するポリマーであり、ここに、連結部分がドーパント部分をポリマーに連結している。該ポリマーは、直線状、分枝状、超分枝状、樹状または星状の構造を有するホモポリマーまたはコポリマーであることができ、網状組織に変換することのできる構造であることができる。ポリマー骨格は、安定かつ制御されたドーピングが可能な方法で電荷移動ドーパントをナノチューブに与えることのほかに、構成物に特異的な特性を提供することができるので、該ポリマー骨格は、コンジュゲートされていない、部分的にコンジュゲートされている、または完全にコンジュゲートされていることができる。
ドーパント部分は、電子受容単位、例えば、TCNQ、ハロゲン化TCNQ、1,1−ジシアノビニレン、1,1,2−トリシアノビニレン、ベンゾキノン、ペンタフルオロフェノール、ジシアノフルオレノン、シアノ−フルオロアルキルスルホニル−フルオレノン、ピリジン、ピラジン、トリアジン、テトラジン、ピリドピラジン、ベンゾチアジアゾール、ヘテロサイクリックチアジアゾール、ポルフィリン、フタロシアニン、または電子受容有機金属複合体から由来するものであることができる。ドーパント部分は、電子供与単位、例えば、テトラチアフルバレン(TTF)、ビス−エチレンジチオロ−TTF(BEDT−TTF)、アミン、ポリアミン、テトラセレナフルバレン、縮合複素環、ヘテロサイクリックオリゴマー、および電子供与有機金属複合体から由来するものであることができる。
多数のドーパント部分は、DCP上の全てのドーパント部分が同時に複合体を形成していない状態にある確率が、かかる状態が事実上起こらない程十分に小さくなるように、十分数のドーパント部分を有する。ポリマー鎖あたりのドーパント部分の数は、電荷移動複合体の強度および他の因子に依存して変化することができるが、一般に、少なくとも5つのドーパント部分がポリマーに連結している場合、十分な安定性が生じる。ポリマー鎖あたりのドーパント部分の数およびポリマー骨格におけるその配置は、カーボンナノチューブと混合した時に電荷移動結合の量が飽和状態未満に制限されるように変化することができる。このように、ナノチューブの電子特性は、ナノチューブと複合体を形成するDCPの選択された構造によって調整することができる。
連結部分は、ポリマー骨格の一部であることができるが、一般に、ドーパント部分を骨格に連結して、カーボンナノチューブに対するドーパント部分の最適な配向を可能にするものである。連結部分は、非コンジュゲート鎖であることができ、ここに、高度に柔軟性のある配座自由度のあるポリマー骨格の場合、1の原子が用いられ、必要ならば、ポリマー骨格からドーパント部分の配座自由度を分離するために、50原子以上もの多くの原子が用いられる。約4〜20個の原子を非コンジュゲート鎖において有する連結基は、一般に、ナノチューブと混合した時、ポリマー骨格からドーパント部分の配向を分離するのに十分である。いくつかの場合、より堅く、より配座自由度のないポリマーおよび連結基、例えば、コンジュゲートされたポリマーおよび連結基を用いることができる。これらの場合、これらのポリマーおよび連結基によって想定されるコンホメーションは、カーボンナノチューブの表面に相補的であり、その結果、複数のドーパント部分は、容易に、電荷移動ドーピングの促進のために、ナノチューブ表面に対して配向することができる。
本発明の具体例は、連結部分を介してポリマーに連結された複数のドーパント部分を有する少なくとも1つのポリマーおよび少なくとも1つのカーボンナノチューブを提供し、混合する、カーボンナノチューブをドーピングするための方法である。該ポリマーは、予め形成されたポリマーとして、モノポリマーとして、またはナノチューブの存在下でDCPが形成されるドーパント部分を欠くポリマーとして提供することができる。さらに、該方法は、一般に平衡ドーパント状態が架橋前に達成された後、ポリマーネットワークがカーボンナノチューブの周囲に形成されるように、架橋工程を含むことができる。DCP、またはナノチューブの周囲にDCPを形成するための構成要素は、液体として、または溶液中に提供されることができる。ドーピングの程度は、ポリマーの構造およびDCPをカーボンナノチューブと混合する方法に基づいて飽和未満であることができる。該方法は、飽和ドーピングが起こるように競合的にナノチューブと複合体を形成するモノマードーパントを提供する工程、および該モノマードーパントを除去する次工程であって、実質的にDCPだけをドーパントとして飽和未満の状態で残し、ナノチューブの所望の電子特性をもたらす工程を含むことができる。
本発明の別の具体例は、少なくとも1つのカーボンナノチューブ、カーボンナノチューブ表面から電子を供与または受容することのできる連結部分を介してポリマーに連結した複数のドーパント部分を含有する少なくとも1つのポリマーからなるドープしたナノチューブ組成物である。DCPの構造およびナノチューブとのその組み合わせの様式によって予め決定することのできるナノチューブの質量 対 ポリマーの質量の比率は、該組成物に比導電率を提供する。
詳細な記載
化学的結合エネルギーは、ファン・デル・ワールス力<イオン結合<共有結合の順であり、推定上互いの「弱い」ファン・デル・ワールス相互作用に対してナノチューブの束を解くこと(debundling)は困難であることが知られているが、電荷移動ドーパントの比較的「強い」イオン結合は容易に崩壊して、グラファイトおよびナノチューブを脱ドーピングする。この明らかな例外は、上記で順序付けたような相対的結合エネルギーが特定の結合エネルギーであるため、すなわち、孤立した原子対によるものであるために生じる。2つのナノチューブのファン・デル・ワールス結合は、数千もの原子対結合相互作用を含むが、対照的に、ホストおよび電荷移動ドーパント間のイオン結合は、単一のドーパント分子およびホスト間で移動した単一分数電荷のクーロン引力を含む。多くのファン・デル・ワールス結合の凝集した相互作用は、孤立したイオン結合の相互作用を大きく上回る。
さらに、電荷移動反応は、一般に、分数電荷のみを含むものとして記載される。分数電荷を有理化するための手段は、電荷が基本単位eにおいて量子化されているにもかかわらず、移動した電子が、単位時間あたりの、その時間の対応する割合をホストと結合して過ごすものとみなすことである(ドナードーピング)。この当然の結果、電子は、その時間の残りの割合をドーパントへ逆移動して過ごす。かかる逆移動の間、事実上、イオン結合は存在せず、ドーパントは自由に脱着できる。かくして、単一の部分の電荷移動ドーピングおよび脱ドーピングは、平衡プロセスであり、またその寿命は、ドーパントの揮発性に依存する。
したがって、ファン・デル・ワールス結合は、弱いけれども、協力して作用して強力な相互作用を安定化することができるので、本発明は、制御可能にナノチューブをドーピングする方法、およびナノチューブとの安定な電荷移動複合体を形成するためのドーパント結合型ポリマー(ここに、ドーパント部分は、ポリマー中、共有結合によって互いに結合している)に向けられている。このように、1のドーピング部分およびナノチューブ間に起こる電荷逆移動は、ドーパント部分への電荷逆移動の寿命の間、ドーパント結合型ポリマーの他の電荷移動結合部分によって定位置に保持されるので、ナノチューブから自由に脱着できない。逆移動寿命を(1−t)と表す場合(ここに、tは移動した分数電荷である)、単一ドーパントの脱着の確率は、P=A(1−t)として表すことができる(ここに、Aは他の特徴的因子、例えば、ファン・デル・ワールス相互作用および温度熱変動を説明する係数である)。したがって、互いに共有結合しているn個のドーパントが同時に脱着状態にある確率は、P(n)=A(1−t)の関係によって与えられる。t=0.7およびn=20の場合、P(20) 対 P(1)の比率は〜1x10−10であり、これは、ドーピングが有効に永続することができるほど小さい。A因子およびドナー−アクセプター複合体の強度が大きければ大きいほど、所望の安定性を達成するために必要とされる結合したドーパント鎖の単位長あたりのドーパント部分の数が小さくなる。結合した(combined)ドーパント部分の多重度は、約3〜50個になり、一般に、鎖あたりの結合したドーパント部分は、約5〜20個またはそれ以上である。
ナノチューブおよびドーパント部分間の移動した電荷量、したがって、上記2つの間の相互作用の強度もまた、ナノチューブの仕事関数と、アクセプタードーピングのための最低空分子軌道(LUMO)エネルギーまたはドナードーピングのための最高被占分子軌道(HOMO)エネルギーとの間のエネルギー差に依存する。重要なことに、ナノチューブの仕事関数は、移動した総電荷量によってシフトするので、ナノチューブおよびドーパント部分間の相互作用強度は、ドーピング濃度依存性であり、ここに、個々の相互作用の強度は、ドーピングの程度の増加と共に減少する。個々のドーピング部分のこのドーピング依存性の程度のために、非結合型ドーパント部分を用いる脱ドーピングが最初、高ドーピング濃度で迅速になる。したがって、結合型鎖長の単位あたりの結合型ドーパント部分の数は、ドーピング濃度に依存する。新規なDCPは、所望のドーピングの程度およびドーピング安定性が確実に達成されるように設計されている。新規なDCPによって提供されるドーピングの安定性は、特に、デバイス製造の溶液加工工程(さもなければ、弱く結合した種の分解が起こることがある)の間に有利であり、また、弱く結合した鎖の配座再配列が起こることができる高い操作温度で有利である。
新規なDCPは、DCP内のドーパント部分の安定な電荷移動ドーピングを保証するために、比較的大きい共有結合分子において、十分な回数繰り返された電荷移動ドーパント部分を有する。本発明の種々の具体例において、DCPは、ポリマー骨格に共有結合した側基として、または該骨格内にあり、かつ、側基に結合した部分の組み合わせとして、ポリマー骨格中に電荷移動部分を含有することができる。一般に、ドーパント部分は、連結部分によってポリマー骨格に結合し、ここに、該連結部分およびドーパント部分は、ポリマー骨格の一部ではない。このように、連結部分は、電荷移動ドーピングに適当な配向でナノチューブ表面により容易に存在することができるように、少なくとも部分的に、ドーパント部分の配座自由度をポリマー骨格から分離する。
電荷移動反応の程度の制御、したがって、ドーピングレベルの制御は、電子的および電子光学的デバイスにおけるドープしたナノチューブの合理的な応用に必要な条件である。新規なDCPの設計は、ポリマーの単位長あたりの組み込まれたドーピング部分の数によって、ドーピングの程度の制御を提供し、その結果、ドーピングの高い安定性をもたらす。DCPによる特定の程度のナノチューブドーピング(すなわち、ナノチューブの単位長あたりのナノチューブへ、またはナノチューブから移動した電荷)は、ドーパント部分およびナノチューブ間の電荷移動を促進するナノチューブ表面に相対的な有効な配向でナノチューブに提供されうるように、使用される特定の電荷移動部分、ポリマー骨格の単位長あたりの電荷移動部分の密度、ポリマー骨格の配座自由度、およびドーパント部分の配座自由度を包含する因子に依存する。DCPに関するナノチューブドーピングの可能な程度は、DCP構造に対する複合体形成の詳細なモデリングによって決定でき、またはドーピングの程度が十分で、かつ、ポリマー骨格の単位長あたりの組み込まれた電荷移動部分の密度によって達成されるように、実験的に決定することができる。各密度についてのドーピングの程度は、分光的に、ナノチューブ吸収帯の積分強度をモニタリングすることによって、または電子輸送測定(ここに、ドープしたナノチューブのフィルムの抵抗性がモニターされる)によって決定することができる。電荷移動部分の3つの異なる密度は、典型的に、ポリマー骨格長あたりの電荷移動部分の密度の関数としてドーピングの程度を表す単調関数を得るのに十分である。一旦かかるキャリブレーションをDCPナノチューブ複合体について決定すると、ポリマー中、特定の密度の電荷移動部分を有するDCPを用いて、具体的に所望される最終的なドーピングレベルを達成することができる。
新規なDCPは、安定な予め規定された方法で電子特性が修飾されることができるように、ドナーまたはアクセプターとしてカーボンナノチューブと電荷移動複合体形成可能な制御された量のドーパント部分を有する。これらの部分は、十分な配座自由度および移動性を有しているので、ポリマーおよびそのドーパント部分のナノチューブ表面からの自由拡散を阻害するように未だ共有結合している各部分とナノチューブとの最適な相互作用が可能であり、これにより、個々の非結合型ドーパント部分を用いてナノチューブをドープした時に観察される、脱ドーピングの傾向に起因する重大な制限、または比較的堅いポリマー骨格中に固定されたドーパントに関して起きることがあるドーピングの阻害を克服する。該配座自由度は、最も強力で最も安定な複合体形成を可能にし、その結果、別法では非結合型部分の脱着および喪失が可能な環境において、該複合体を維持することができる。
本発明の具体例において、多くのドーパントが単一ポリマー中で互いに結合しており、ここに、ドーピング部分の局所移動性は阻害されず、ナノチューブを用いる電荷移動ドーピングの安定性を保証する。このように、電荷逆移動が1のドーピング部分に起こる場合、ナノチューブ表面からのその拡散は、同じポリマー鎖に結合した他のドーピング部分の相互作用のために、少量に限られる。このような共有結合によって互いに結合された多数の電荷移動相互作用は、ドーパントの高い有効モル濃度を維持して、ドーピングの程度の制御を最大限にする。ナノチューブからのドーパント部分の長距離拡散は、DCPに結合しているので阻害されるが、短距離拡散は起こることがあり、それにより、ドーピングおよびドーピングの安定性を最適化するようにドーパントおよびポリマーが再編成することが可能になる。
本発明の一の具体例において、ドナーまたはアクセプタードーパント部分は、柔軟なリンカーを介してポリマー骨格に連結される。該アプローチは、Reynoldらの2007年10月11日出願のPCT/US2007/081121(出典明示により本明細書の一部とされる)に開示されるように、伝導性ポリマー骨格を用いて、非電荷移動部分についてよく開発されている。p−型ドーパントの場合、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)由来の部分を用いて、TCNQ単位がナノチューブから電子を抽出する個々の電荷移動相互作用を達成することができる。他の既知のp−型ドーパントは、ポリマー鎖に連結するように修飾することができる。これらのp−型ドーパントは、誘導体化したTCNQ(例えば、ハロゲン化TCNQ)、1,1−ジシアノビニレン、1,1,2−トリシアノビニレン、ベンゾキノン、ペンタフルオロフェノール、ジシアノフルオレノン、シアノ−フルオロアルキルスルホニル−フルオレノン、ピリジン、ピラジン、トリアジン、テトラジン、ピリドピラジン、ベンゾチアジアゾール、ヘテロサイクリックチアジアゾール、ポルフィリン、フタロシアニン、および電子受容有機金属複合体を包含する。使用することができるn−型ドーパント部分は、テトラチアフルバレン(TTF)またはその密接に関連する類似体ビス−エチレンジチオロ−TTF(BEDT−TTF)から由来し、ここに、これらのn−型部分はナノチューブに電子を供与する。本発明の組成物および方法においてドナー部分として使用するために修飾することができる他の既知のn−型ドーパントは、アミンおよびポリアミン、他の官能化TTF誘導体、テトラセレナフルバレン(しばしば、有機超電導体において用いられる)、縮合複素環、ヘテロサイクリックオリゴマー、および電子供与有機金属複合体を包含する。
本発明の具体例において、電子移動ドーパント部分はポリマー骨格の側鎖を介してポリマー骨格に連結しているが、該側鎖は、一般に、ポリマーの骨格からドーパント部分の短距離移動を分離するのに必要な柔軟性を提供するように選択される。該側鎖は、一般的に、非コンジュゲート鎖であり、約50原子未満、例えば、20、18、16、14、12、8、6、5、4または3個の原子がポリマー骨格およびドーパント部分間に一緒に直線状に連結している。該側鎖は、1以上のヘテロ原子、例えば、O、SまたはNを包含することができる直鎖、分枝鎖または環状炭化水素、直鎖、分枝鎖または環状シロキサン、または特に、該骨格が伝導性ポリマーである場合、1以上のヘテロ原子、例えば、O、SまたはNを包含することができるコンジュゲートした直鎖または環状炭化水素であることができる。数個のドーパント部分は、数個のドーパント部分が連結基によって直鎖状側鎖に連結するように、規則的または不規則に側鎖上に位置することができる。別法では、該側鎖は、各分枝を終結させるドーパント部分を有する分枝鎖であることができる。複数の側鎖をポリマー骨格のいずれかの所定の繰り返し単位に結合させることができる。
構造式1は、メチルメタクリレート繰り返し単位およびDCP官能化メタクリレート繰り返し単位を組み込んでいるDCPの特定の具体例を示す。スペーサー単位のDCP含有単位に対する供給率は、y/xとして定義され、ここに、y=n−xである。これは、ポリマー骨格長の単位あたりのドーパント部分の平均数を決定する。DCP官能化繰り返し単位は、ペンタメチレン結合を含有し、それにより、ドーパント部分に過剰な度合いの配座自由度を与えて、その動きをポリマー骨格の動きから分離することができる。ドーパント部分は、2−(4−(シアノメチリデニル)−2,3,5,6−テトラフルオロシクロヘキサ−2,5−ジエニリデン)マロノニトリルである。
Figure 2010522780
構造式1
本発明の別の具体例において、ドーパント部分を直接、ポリマーの骨格中に組み込むことができるが、但し、該骨格は、最も近接の隣接ドーパント部分が電荷移動反応を介してナノチューブに結合することができるのに十分な配座柔軟性を有するように設計されている。該結合の結果、ナノチューブの安定な電荷移動ドーピングがもたらされる。ドーピング密度の微細な制御は、所定のポリマー骨格に結合した該骨格の単位長あたりのドーパント数を、使用されるドーパント部分の電子供与または受容(イオン化ポテンシャルまたは電子親和力)の強さと共に調整することによって達成される。
最大ドーピングが必要とされる本発明の具体例において、ポリマーは、ポリマーの繰り返し単位毎に結合したドーパント部分を有する。別の具体例において、ドーパント部分は、ポリマーの繰り返し単位のほんの一部に結合している。該コポリマーの具体例は、ポリマー/ナノチューブ集合体(assembly)を調製する目的となる応用にドーパント含有ポリマーを合わせることを可能にし、それにより、集合性の最適化、コストの最少化、および/または所望のプロセス方法の使用が可能になる。使用されるナノチューブの表面特性に関してポリマー骨格の好ましい配座およびドーパント部分のスペーシングに基づいて、かかるコポリマーは、ナノチューブに対するドーパント部分の所望の供給が達成されるように統計学的または周期的であることができる。必要とされる分子量は、所望の数の結合したドーパント部分が所定のポリマー鎖中に含まれることが可能となるのに十分であればよい。該ポリマーまたはコポリマーは、狭い通常または高度に分散した分子量分布を示すことができる。ポリマーあたりの結合したドーパント部分の数が小さい、約5〜約10個であるとき、狭い分子量分布を有することが有益であり、コポリマーが使用される場合、該コポリマーは、ポリマーの大部分が鎖あたり2個以上のドーパント部分を含有することを確実にするために、ランダムとは対照的に周期的であることが有益である。
連結部分を介してドーパント部分を結合するのに使用されるポリマーは、ナノチューブ−ポリマー集合体に意図される使用に基づいて、相当に変化することができる。ポリマーの骨格は、コンジュゲート、部分的コンジュゲート、または非コンジュゲートであることができる。ポリマーは、コンジュゲートセグメントおよび非コンジュゲートセグメントを有するコポリマーであることができる。ポリマーは、周囲温度よりも低いガラス転移温度を有することができ、粘性液体として振る舞い、所望により、本発明の具体例において、次いで、ナノチューブと複合体形成した後、ゴムに架橋することができる。ポリマーは、周囲温度よりも高いガラス転移温度を示してもよく、ここに、それは溶融物として、または溶液中で加工されることができる。ドーパント部分は、冷却時の本質的に非交換性の状態において、または溶媒の除去において、ナノチューブに固定されることができる。特定の応用の場合、全ての必要な電気接触が容易に形成されるように、ポリマーの化学的および物理的状態は、電子デバイスの製造が行われることができるものであることが好ましい。したがって、いくつかの具体例において、ナノチューブ表面と別の伝導性材料とのいずれかの所望の接触を可能にするために、要求に応じて、ポリマーの架橋または融合を行うことができる。他の具体例において、ドーパント結合型ポリマーは、デバイスの電極または半導体成分へのナノチューブの結合を増加する設計のものであることができる。これらの具体例は、安定なドーパントによって設計されたナノチューブの修飾を可能にし、次いで、該集合体をデバイス中に容易に組み込まれるような状態にする。
該ポリマーは、いずれかのステップ成長または鎖成長重合技術によって調製されたいずれかのポリマーまたはコポリマーであることができる。ステップ成長ポリマーは、連結したドーパント部分を含有する二官能性または多官能性モノマーを必要とする。本発明の実施において使用されることのできるステップ成長ポリマーには、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリカーボネート、ポリアリールエーテルケトン、およびポリアリールスルホンが包含される。鎖成長ポリマーには、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリアルカジエン、およびポリビニルエーテルが包含される。非有機性骨格、例えば、ポリシロキサンは、本発明の実施に用いることができる。天然ポリマー、例えば、ポリペプチドおよび多糖類は、ドーパント部分を含むように人工的に修飾または重合することができる。なかでも、本発明の実施に使用することができるコンジュゲートされたポリマーは、ポリフルオレン、ポリ(p−フェニレン)、PPV、ポリチオフェン、ポリジオキシチオフェン、ポリピロール、ポリジオキシピロール、ポリフラン、ポリジオキシフラン、ポリアセチレン、およびポリカルバゾールである。該ポリマーの構造は、直鎖、分枝鎖、超分枝鎖、星状、および樹状であることができる。ドーパント部分の配置は、コポリマーにおいて、ランダムまたは規則的であることができる。例えば、直鎖状ポリマーは、根本的に、ドーパント含有部分およびビニルコモノマーの反応性比がドーパント含有単位の単離、改変または特定の平均配列長を促進するビニル付加重合によって形成されることができる。コポリマーの末端またはコポリマー内の1以上の特定のブロックに位置するドーパント含有単位の特定長配列を有するように、リビング共重合を行うことができる。ドーパント含有単位は、専らデンドリマーの近辺に存在することができる。ドーパント単位は、分枝鎖、超分枝鎖、または星状コポリマーの1個、2〜3個、または全ての分枝に拘束されることができる。
本発明は、ナノチューブ長あたりのドーピング密度の制御を可能にする。本発明の1の具体例は、ナノチューブを曝露するDCPの量を制御することであり、電荷移動部分およびナノチューブ中の炭素原子数の間の化学量論量を制限し、それにより、所望のドーピング密度の達成を可能にし、かつ、該複合体から電子特性を得る。該具体例において、特定のDCP量は、特定のDCPについて達成できる飽和レベルより小さい。かかる不飽和ドーピングは、所望の化学量論量を予め決定し、複合体の有効な均一性を伴って堆積(deposition)が生じる方法で達成することを要する。
本発明の別の具体例において、ドーピング密度の制御は、DCPの構造によって達成される。該具体例において、DCPの単位長あたりのドーピング部分の密度は、特定のDCPを有するナノチューブ間の飽和ドーピングレベルを決定し、ここに、十分なポリマーがナノチューブに付加されるが、飽和レベルは、ポリマー単位長あたりのドーピング部分の密度が高いDCPを用いて達成可能なレベルよりも小さい。例えば、DCPがコポリマーである場合、たとえ、ナノチューブが、付加的なドーパント部分が表面に拡散できる非ドーパント繰り返し単位の容量を欠いた付加的なドーパント分子を受容するとしても、ドーパントの割合は、個々のポリマー鎖上の非ドーパント繰り返し単位の容量が同一または他のDCP由来のドーパント部分の結合を阻害することができるように制御されることができる。
ナノチューブおよびDCP間の安定なDCPナノチューブ複合体の量の制御のための別の具体例は、ナノチューブおよびDCP上のドーパント間に所望の割合のドーピングがあるが、ナノチューブ上の全ての可能な部位がドープされるように、ポリマーをモノマードーパントと競合的に複合体形成させることを含む。次いで、モノマードーパントの脱着を促進して、不飽和状態のDCPと複合体形成したナノチューブだけを残すことができる。DCPの全てがドーピングによってナノチューブに結合し、かつ、モノマードーパントの全てがナノチューブに結合するという組み合わせで、DCPはモノマードーパントと共に包含されることができ、その後、モノマードーパントを脱ドーピングし、除去する。DCPの全てが結合しているが、過剰なモノマードーパントが用いられるという組み合わせで、DCPはモノマードーパントと共に包含されることができ、過剰なモノマードーパントは、脱ドープしたモノマードーパントと共に除去される。DCPおよびモノマードーパントの両方の過剰量を用いるという組み合わせで、DCPはモノマードーパントと共に包含されることがき、過剰なDCPおよびモノマードーパントを除去した後に、ナノチューブに結合したモノマードーパントを脱ドーピングし、除去する。
これらのポリマーに結合したドーパント部分は、溶液中にそれらを分散させ、次いで、濾過および洗浄して、存在しうるいずれもの過剰なポリマーを除去することによって、個々のナノチューブまたはナノチューブ束と結合させることができる。別法では、予め製造されたナノチューブネットワークまたはフィルムの場合、ドーパント含有ポリマーを有する溶媒を該フィルムまたはネットワークに注ぎ、十分なインキュベーション時間後に溶媒を蒸発させることができる。別法では、予め製造したナノチューブネットワークまたはフィルムの場合、ドーパント含有ポリマーを有する溶媒を該フィルムまたはネットワークに注ぐことができ、その際、ドーパントポリマーのナノチューブネットワークへの自発的結合が起こり、それは、十分なインキュベーション時間後に安定化する。ドーパントを有する該フィルムを溶液から取り出し、ブランク溶媒に浸漬して残留する非吸着ポリマーを除去し、次いで、該フィルムを乾燥させることができる。上記のように、これらのドーパント含有ポリマーは、ナノチューブをドーピングし、ナノチューブを電気活性材料に結合させるという多機能的役割を果たすことができる。ドーパント含有ポリマーの性質は、スピン・コーティング法、スプレーコーティング法、プリンティング法または他の加工方法によって堆積される電極材料(蒸着金属、伝導性ペースト、伝導性ポリマー)または他のポリマーもしくはフィルム(例えば、発光ポリマー、光起電性ポリマー、エレクトロミックポリマー)への、フィルムとしてのナノチューブの接着を改善するのに適合した表面を提供するように変化させることができる。
1以上の重合可能な基に連結した部分を結合する電荷移動ドーパントモノマーをナノチューブ上に堆積させて、分子コーティングを作成し、次いで、該基の重合を行うことができる。in situ重合は、化学的、熱的、光分解的またはそのいずれかの組み合わせで誘導することができる。フォトリソグラフィー技術を用いる具体例を用いて、p−型ドーパントを有するSWNTネットワークフィルム上の領域を形成することができ、同時に、隣接領域がn−型ドーパントを含有する。これらの領域が接触する場合、p−n接合点が形成されて、電気的整流接合点を領域間に提供する。かかるp−n接合点は、また、別個のSWNTフィルム領域を適当なフォトリソグラフィーマスキングし、マスクされていない部分をp−型またはn−型DCPに曝露し、マスク除去後、新たにマスクされていないSWNTフィルムを相補的なn−型またはp−型DCPに曝露することによって、形成することもできる。
粘着性ドーパント(Sticky Dopant)/ナノチューブ相互作用の非共有結合的性質のために、ポリマーの脱離は、該系の化学平衡を非複合体状態の方へシフトするのに適当な動電気的、化学的、または光化学的刺激を与えることによって促進することができ、それにより、要求に応じてドーパント放出を可能にする。このように、ドーパント含有ポリマーは、化学物質または薬物放出剤として用いることができ、ここに、放出は、ナノチューブからの誘導脱離によって起こる。かかる薬物または化学物質は、ドーパント含有ポリマーによってカプセルに包まれるか、または該ポリマーの一部を形成することができる。
なかでも、ナノチューブドーパント含有ポリマー複合物から部分的に、または全体が製造されることができる電子デバイスは、太陽電池および光起電デバイス;発光ダイオード;コンデンサー、バッテリーおよびスーパーコンデンサー;燃料電池、トランジスター、レーザー、化学および生物学的センサー;および光リミッター、モジュレーター、トランスデューサー、および非線形光学素子である。当業者は、さらに、本発明の複合物を用いることのできる他のデバイスを同定することができる。

Claims (21)

  1. ポリマー、
    カーボンナノチューブ表面から電子を供与または受容することのできる複数のドーパント部分、および
    該ポリマーに該ドーパント部分を連結する連結部分
    を含むドーパント結合型ポリマー(DCP)。
  2. ポリマーが直線状、分枝状、超分枝状、樹状、星状構造を有するか、またはネットワークとしてのホモポリマーまたはコポリマーを含む、請求項1記載のDCP。
  3. ポリマーが非コンジュゲート骨格を有する、請求項1記載のDCP。
  4. ポリマーが部分的または完全にコンジュゲートされた骨格を有する、請求項1記載のDCP。
  5. ドーパント部分が電子受容性電荷移動単位を含む、請求項1記載のDCP。
  6. ドーパント部分が独立して、TCNQ、ハロゲン化TCNQ、1,1−ジシアノビニレン、1,1,2−トリシアノビニレン、ベンゾキノン、ペンタフルオロフェノール、ジシアノフルオレノン、シアノ−フルオロアルキルスルホニル−フルオレノン、ピリジン、ピラジン、トリアジン、テトラジン、ピリドピラジン、ベンゾチアジアゾール、ヘテロサイクリックチアジアゾール、ポルフィリン、フラロシアニン、または電子受容有機金属複合体の誘導体を含む、請求項5記載のDCP。
  7. ドーパント部分が電子供与性電荷移動単位を含む、請求項1記載のDCP。
  8. ドーパント部分が独立して、テトラチアフルバレン(TTF)、ビス−エチレンジチオロ−TTF(BEDT−TTF)、アミン、ポリアミン、テトラセレナフルバレン、縮合複素環、ヘテロサイクリックオリゴマー、および電子供与有機金属複合体の誘導体を含む、請求項7記載のDCP。
  9. 複数のドーパント部分が少なくとも5個のドーパント部分を含む、請求項1記載のDCP。
  10. 連結部分が、1〜約50個の原子がポリマーおよびドーパント部分間に一緒に直鎖状に連結されている非コンジュゲート鎖を含む、請求項1記載のDCP。
  11. 連結合部分が、4〜約20個の原子がポリマーおよびドーパント部分間に一緒に直鎖状に連結されている非コンジュゲート鎖を含む、請求項1記載のDCP。
  12. 連結部分が、O、SおよびNからなる群から選択されるヘテロ原子を有するか、または有しない直鎖、分枝鎖または環状炭化水素、あるいは直鎖、分枝鎖または環状シロキサンを含む、請求項1記載のDCP。
  13. 連結部分が、1〜約50個の原子がポリマーおよびドーパント部分間に一緒に直鎖状に連結されているコンジュゲート鎖を含む、請求項1記載のDCP。
  14. さらに複数のカーボンナノチューブを含む請求項1記載のDCPであって、複数のドーパント部分が該カーボンナノチューブの表面に電荷移動複合体を形成しているところの、DCP。
  15. 連結部分を介してポリマーに連結した複数のドーパント部分を有する少なくとも1つのポリマーからなるDCPを提供する工程、
    少なくとも1つのカーボンナノチューブを提供する工程、および
    該ポリマーを該ナノチューブと混合する工程
    を含む、カーボンナノチューブをドープする方法。
  16. DCPを提供する工程がDCPを液体として提供することを含む、請求項15記載の方法。
  17. DCPを提供する工程がDCPを溶液中で提供することを含む、請求項15記載の方法。
  18. DCPを提供する工程が、少なくとも1つのモノマーおよび該モノマーを該DCP中に重合する手段を提供することを含む、請求項15記載の方法。
  19. さらに、ナノチューブの存在下にDCPを架橋する工程を含む、請求項15記載の方法。
  20. さらに、ナノチューブをドーピングすることのできるモノマードーパントを提供する工程、および該モノマードーパントを除去する工程を含む請求項15記載の方法であって、ドープしたナノチューブのドーピングレベルが飽和未満であるところの、方法。
  21. 少なくとも1つのカーボンナノチューブ、および
    該カーボンナノチューブの表面から電子を供与または受容することのできる、連結部分を介してポリマーに連結された複数のドーパント部分を含有するポリマーを含む少なくとも1つのDCP
    を含むドープしたナノチューブ組成物であって、ここに、ナノチューブの質量 対 DCPの質量の比率が比導電率を組成物に提供するところの、組成物。
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