JP2010522772A - 腫瘍微小環境の調整 - Google Patents

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Abstract

CD80発現細胞または調節性T細胞機能が関連病態の一因となるかまたは悪化させる疾患または障害の治療のために、CD80標的治療薬を含む組成物ならびにこれらの組成物の使用方法が提供される。本発明の別の態様では、非悪性CD80発現細胞が悪性疾患の一因となるかまたは悪化させる悪性および非悪性細胞の腫瘍微小環境を含む悪性疾患を有する被験者を治療するための方法であって、治療的有効量のCD80標的治療薬を被験者に投与することを包含する方法が提供される。

Description

(関連出願)
米国特許仮出願第60/908,645号(2007年3月28日提出)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)からの優先権を主張する。
本発明は一般的に、腫瘍微小環境中の免疫細胞の調整に基づいた癌療法に関する。さらに特定的には、本発明は、腫瘍増殖および生存を促す非悪性細胞の機能を標的にするかまたは変更する治療薬に関する。
自然免疫系および適応免疫系の細胞は、組織損傷および/または病原性感染に対して迅速に応答する態勢を整える。免疫の休止および活性化と炎症応答との間の均衡は、抗病原体および抗腫瘍免疫応答を制御する高度調節平衡である。細胞表面および分泌タンパク質は、有害結果を最小限にしながら、適度に迅速な応答を保証するよう意図された正および負のフィードバック機構の両方によりこの平衡を調節する。
癌の状況において、腫瘍の一因となる独特の非生理学的組織微小環境は、悪性および非悪性細胞の両方で構成される。悪性細胞における形質転換または発癌性変更は明らかに非調節性増殖および腫瘍進行を引き起こすが、一方、悪性および非悪性細胞の近位から生じる非悪性細胞および腫瘍微小環境は腫瘍開始において重要な役割を果たす。非悪性細胞および腫瘍微小環境は腫瘍進行に関しても重要であり、さらなる遺伝的不安定および突然変異頻度増大を支持する状態を保持する(例えば非特許文献1参照)。特に、炎症および免疫応答を支持するよう普通に機能する非悪性細胞は、ある種の環境においては、例えば、腫瘍内の悪性細胞の増殖および成育可能性を直接または間接的に支持する媒介物質を産生することにより、あるいは悪性細胞の増殖および成育可能性を直接または間接的に抑制する媒介物質を産生することにより、あるいはそうでなければ腫瘍進行を妨げる応答を抑制することにより、腫瘍進行の一因となり得る腫瘍微小環境内に存在する。腫瘍微小環境は、腫瘍部位での薬剤代謝または薬物動態を変更することによりおよび/または薬剤耐性の発現の一助となることにより、治療的介入への腫瘍の接触性にも影響を及ぼす。
腫瘍微小環境の重要性が理解されつつあるにもかかわらず、この生物学を対象とする治療戦略は依然として限定されている。一例として、多発性骨髄腫を有する患者は、骨髄間質を標的にしてそれにより骨転移を低減するプロテアソーム阻害薬で治療されてきた(非特許文献2参照)。さらなる例としては、血管新生、低酸素症およびケモカインを調整する薬剤および候補治療薬が挙げられる(例えば非特許文献3;非特許文献4参照)。
抗癌療法に対する必要性は依然として存在することを考慮して、本発明は、腫瘍微小環境中に存在する非悪性細胞の機能を調整し、それにより腫瘍の増殖および生存を支持する状態を崩壊する方法を提供する。特に、開示される方法は、CD80標的治療薬を投与して、例えば腫瘍微小環境内に存在する抗原提示細胞(例えば、マクロファージ、樹状細胞、B細胞)または骨髄由来サプレッサー細胞のような免疫調節または炎症細胞の枯渇、ならびに腫瘍進行を支持するよう機能するT細胞サブ瀬って(例えば、調節性T細胞およびTh2ヘルパー細胞)の抑制を含めた免疫調整作用を引き出すことを包含する。開示される方法は、調節性T細胞抑制が病理学的状態の悪化の一因となるさらなる障害の治療にも関連する。
Reynoldsら、CancerRes.、1996、56(24):5754−5757 Rajkumarら、J.Clin. Oncol.、2005、20;23(3):630−399 Nagasawaら、Biol.Pharm.Bull.、2006、29(12):2335−2342 Gilesら、Curr.Cancer Drug Targets、2006、6(8):659−670
本発明は、腫瘍微小環境中の非悪性細胞を調整し、それにより腫瘍進行を抑制する方法を提供する。例えば、本発明は、調節性T細胞機能が悪性疾患の一因となるかまたは悪化させる悪性および非悪性細胞の腫瘍微小環境を含む悪性疾患を有する被験者の治療方法であって、治療的有効量のCD80標的治療薬を被験者に投与することを包含する方法を提供する。本発明の別の態様では、非悪性CD80発現細胞が悪性疾患の一因となるかまたは悪化させる悪性および非悪性細胞の腫瘍微小環境を含む悪性疾患を有する被験者を治療するための方法であって、治療的有効量のCD80標的治療薬を被験者に投与することを包含する方法が提供される。本明細書中に記載されるようなCD80標的治療薬は、被験者の腫瘍微小環境中の1つまたは複数の炎症性サイトカインの産生を抑制するためにも、および/または被験者の腫瘍微小環境中の非悪性CD80発現細胞を枯渇させるためにも用いられ得る。
図1Aは、非処置(対照、菱形)、CTLA−4Ig(三角形)、抗CD86抗体(灰色丸)、抗CD80抗体(ガリキシマブ、白丸)、または抗CD86および抗CD80抗体の組合せ(黒丸)の存在下で照射SBリンパ腫細胞と共培養した場合に増殖するCD4+CD25−T細胞のパーセンテージを示す。図1Bは、処置(対照、菱形)、CTLA−4Ig(三角形)、抗CD86抗体(灰色丸)、抗CD80抗体(ガリキシマブ、白丸)、または抗CD86および抗CD80抗体の組合せ(黒丸)の存在下でLPS刺激成熟樹状細胞と共培養した場合に増殖するCD4+CD25−T細胞のパーセンテージを示す。 図2Aは、非処置(対照、菱形)、CTLA−4Ig(三角形)、抗CD86抗体(灰色丸)、抗CD80抗体(ガリキシマブ、白丸)、または抗CD86および抗CD80抗体の組合せ(黒丸)の存在下でLPS刺激成熟樹状細胞と共培養した場合のCD4+CD25−T細胞によるIFN−γの産生を示す。図2Bは、非処置(対照、菱形)、CTLA−4Ig(三角形)、抗CD86抗体(灰色丸)、抗CD80抗体(ガリキシマブ、白丸)、または抗CD86および抗CD80抗体の組合せ(黒丸)の存在下でLPS刺激成熟樹状細胞と共培養した場合のCD4+CD25−T細胞によるインターロイキン−2の産生を示す。 図3Aは、非処置(対照、菱形)、ヒトIgG1(アイソタイプ対照、正方形)、CTLA−4Ig(三角形)、抗CD86抗体(×)、抗CD80抗体(ガリキシマブ、白丸)、ならびに抗CD86および抗CD80抗体の組合せ(黒丸)の存在下で、1:120のSB:T比で照射SBリンパ腫細胞と共培養した場合のドナー202のCD4+CD25+T細胞の調節性T細胞誘導のパーセンテージを示す。1:10のSB:T比で照射SBリンパ腫細胞と共培養した場合(正符号)、ならびに非共培養、すなわちCD4+CD25+T細胞単独の培養(矩形)の場合のドナー202のCD4+CD25+T細胞の調節性T細胞誘導のパーセンテージも示されている。図3Bは、非処置(対照、菱形)、ヒトIgG1(アイソタイプ対照、正方形)、CTLA−4Ig(三角形)、抗CD86抗体(×)、抗CD80抗体(ガリキシマブ、白丸)、ならびに抗CD86および抗CD80抗体の組合せ(黒丸)の存在下で、1:160のSB:T比で照射SBリンパ腫細胞と共培養した場合のドナー133のCD4+CD25+T細胞の調節性T細胞誘導のパーセンテージを示す。1:10のSB:T比で照射SBリンパ腫細胞と共培養した(正符号)場合、ならびに非共培養、すなわちCD4+CD25+T細胞単独の培養(矩形)の場合のドナー202のCD4+CD25+T細胞の調節性T細胞誘導のパーセンテージも示されている。 図4A〜4Fは、精製ヒト血清骨髄腫IgG1(アイソタイプ対照)、抗CD80抗体(ガリキシマブ)またはCTLA−4Igの存在下で、CD14+単球(白棒)、ラージリンパ腫細胞と共培養したCD14+単球(灰色棒)、CD14+単球と共培養したCD4+T細胞(線影棒)、ならびにCD14+単球およびRajiリンパ腫細胞と共培養したCD4+T細胞(黒棒)によるインターロイキン−8(図4A、4Cおよび4E)およびインターロイキン−6(図4B、4Dおよび4F)産生を示す。細胞集団を、ドナーA(図4A〜4B)、ドナーB(図4C〜4D)およびドナーC(図4E〜4F)から単離した。 図4A〜4Fは、精製ヒト血清骨髄腫IgG1(アイソタイプ対照)、抗CD80抗体(ガリキシマブ)またはCTLA−4Igの存在下で、CD14+単球(白棒)、ラージリンパ腫細胞と共培養したCD14+単球(灰色棒)、CD14+単球と共培養したCD4+T細胞(線影棒)、ならびにCD14+単球およびRajiリンパ腫細胞と共培養したCD4+T細胞(黒棒)によるインターロイキン−8(図4A、4Cおよび4E)およびインターロイキン−6(図4B、4Dおよび4F)産生を示す。細胞集団を、ドナーA(図4A〜4B)、ドナーB(図4C〜4D)およびドナーC(図4E〜4F)から単離した。
(発明の詳細な説明)
本発明は、炎症ならびに自然および適応免疫を調節するよう普通は機能し、そして腫瘍進行を直接または間接的に支持する腫瘍微小環境内の非悪性細胞の調整のための方法を提供する。開示される方法は、癌免疫、すなわち癌反応性T細胞の抗癌活性を促進するためにも有用である。開示される方法は、T細胞機能または恒常性のCD80媒介性調節を遮断するに際して、および/または腫瘍増殖、移動および/または血管新生を支持するCD80発現非悪性細胞の枯渇により有効であるCD80標的治療薬を用いる。本発明の一態様において、治療的有効量のCD80標的治療薬を被験者に投与することにより調節性T細胞機能が疾患病態の一因となる疾患または障害を有する被験者を治療するための方法が提供される。代表的適応症としては、癌、例えば、血液学的ならびに非血液学的悪性疾患の両方が挙げられる。本発明の別の態様では、腫瘍微小環境中に存在する免疫細胞を調整することにより、例えば、腫瘍微小環境内に存在する免疫調節または炎症細胞、例えば抗原提示細胞(例えば、マクロファージ、樹状細胞、B細胞)または骨髄由来サプレッサー細胞(例えば、骨髄由来単球およびtie−2発現単球)の数を低減し、腫瘍進行を支持するよう機能するT細胞サブセット(例えば、調節性T細胞およびTh2ヘルパーT細胞)を抑制し、および/または腫瘍微小環境中の1つまたは複数の炎症性サイトカインの産生を抑止することにより、被験者における癌免疫を増強するかあるいは免疫または腫瘍進行の炎症性支持を低減するためにCD80標的治療薬を使用するための方法が提供される。
I. 腫瘍微小環境
本発明は、調節性T細胞機能が疾患の一因となる疾患の病因または進行/存続の直接または間接的な一因となる細胞の調整に基づいている。本発明の一態様では、腫瘍微小環境の非悪性細胞は、それらの細胞が腫瘍進行の直接的一因となることを抑制し、そして調節性T細胞機能を支持するに際してのそれらの細胞の機能も抑制されるよう、調整される。
腫瘍微小環境の細胞は、悪性細胞を、それらの増殖および生存を支持する非悪性細胞とともに含む。非悪性細胞(間質細胞とも呼ばれる)は、悪性細胞と同一細胞空間、あるいは腫瘍細胞増殖または生存を調整する悪性細胞に隣接するかまたは近位の細胞空間を占めるかまたはその中に蓄積する。腫瘍微小環境の非悪性細胞としては、繊維芽細胞、筋繊維芽細胞、神経膠細胞、上皮細胞、脂肪細胞、脈管細胞(例えば血管およびリンパ管内皮細胞および周皮細胞)、常在および/または動員性炎症および免疫細胞(例えばマクロファージ、樹状細胞、骨髄サプレッサー細胞、顆粒球、リンパ球等)、上記非悪性細胞のいずれかを生じ得るかまたはそれらに分化し得る常在および/または動員性幹細胞、ならびに当技術分野で知られているような上記細胞の任意の機能的に異なる亜型が挙げられる。これらの細胞は、腫瘍細胞増殖および転移に能動的に関与する。
本明細書中に開示される方法を実施するに際して、腫瘍微小環境は以下の判定基準のうちの1つまたは複数を用いて同定される:(a)同一生理学的環境を共有するかまたは悪性細胞に直接的に隣接する非悪性細胞を含む領域;(b)拡大腫瘍領域;(c)腫瘍の周囲または近位の炎症の区域;(d)調節性T細胞の増殖の数または速度が増大される区域;ならびに(e)マクロファージ、樹状細胞または骨髄由来サプレッサー細胞が増大される区域。非固形腫瘍型の情況内では、腫瘍微小環境は、悪性細胞間および悪性細胞と任意の隣接または近接非悪性細胞との間の局所的細胞−細胞相互作用によっても確定され得る。このような相互作用としては、例えば腫瘍微小環境中での細胞接着事象、および/またはある細胞(悪性または非悪性)により産生される可溶性媒介物質の別の細胞(悪性または非悪性)への傍分泌作用が挙げられる。
上記判定基準のうちのいずれか1つのレベル、例えば炎症のレベルまたは調節性T細胞の数を査定する場合、レベルは、適当な対照レベルに比して査定される。例えば関連対照は、腫瘍保有被験者から、ならびに被験者の反対側の同一組織および類似領域から採取された試料を含み得る。別の対照として、試料は、腫瘍を欠く同様の状態に置かれた(年齢、性別、全体的健康等)被験者からの同一組織および類似領域から採取され得る。処置依存性応答の査定の場合、処置後作用は前処置対照試料の平行分析によっても確かめられ得る。
腫瘍微小環境を限定するために上記判定基準のいずれかのレベルを定量する場合、対照レベルに比して査定される場合の差は、対照レベルより少なくとも約2倍大きいかまたは小さい、あるいは対照レベルより少なくとも約5倍大きいかまたは小さい、あるいは対照レベルより少なくとも約10倍大きいかまたは小さい、あるいは対照レベルより少なくとも約20倍大きいかまたは小さい、対照レベルより少なくとも50倍大きいかまたは小さい、対照レベルより少なくとも100倍大きいかまたは小さい差として同定される。対照レベルに比して査定される場合の上記判定基準における差は、対照レベルと比較して少なくとも20%、例えば少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%のまたはそれより大きい差としても観察され得る。例えば調節性T細胞数増大は、腫瘍を欠いている患者における調節性T細胞の既知の生理学的レベルに比して査定され得る。上述事項に基づいて、当業者(腫瘍学における臨床医)は、上記判定基準ならびに適切な対照の選定を用いて、患者における腫瘍微小環境を構成する領域を用意に同定し得る。被験者は、その各々が識別可能な腫瘍と関連した1つまたは複数の腫瘍微小環境も有し得る。腫瘍微小環境の特質は、腫瘍の組織部位、腫瘍の等級、腫瘍の段階、腫瘍の形態学的または分子表現型等に関して変わり得る。腫瘍微小環境は、腫瘍進行の場合も変化し得る。
腫瘍微小環境の非悪性細胞の1つは調節性T細胞であり、これは多数の腫瘍において、例えばホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(Shiら、Ai Zheng.、2004、23(5):597−601(要約のみ))、悪性黒色腫(Viguierら、J. Immunol.、2004、173(2):1444−53;Javiaら、J. Immunother.、2003、26(1):85−93)、ならびに卵巣(Wooら、Cancer Res.、2001、61(12):4766−72)、消化管(Ichiharaら、Clin Cancer Res.、2003、9(12):4404−4408;Sasadaら、Cancer、2003、98(5):1089−1099)、乳房(Liyanageら、J Immunol.、2002、169(5):2756−2761)、肺(Wooら、Cancer Res.、2001、61(12):4766−72)、および膵臓(Liyanageら、J Immunol.、2002、169(5):2756−2761)の癌において高頻度で観察される。調節性T細胞は、腫瘍細胞により分泌されるケモカインに応答して腫瘍部位に動員される(例えば、Curielら、Nat.Med.、2004、10:942−949参照)。調節性T細胞の数の増大は、不十分な予後とも相関し得る(Curielら、Nat.Med.、2004、10:942−949;Sasadaら、Cancer、2003、98:1089−1099)。逆に、調節性T細胞は化学療法後に低減することが観察されている(Beyerら、Blood、2005、106:2018−2025)。
腫瘍関連マクロファージの存在も、腫瘍、例えば乳房、卵巣、前立腺、子宮頚部および肺の腫瘍における不十分な予後および生存と相関することが示されている(Pollard、Nat.Rev.Cancer、2004、4:71−77)。同様の相関は、濾胞性リンパ腫を有する患者に関して観察された(Farinhaら、Blood、2005、15:2169−2174)。同様に、骨髄由来サプレッサー細胞は、免疫細胞媒介性応答を調節するに際してある役割を果たしていることが示唆されている。
開示される方法は、治療的介入のための好機としての腫瘍微小環境の非悪性免疫細胞を標的にする。本発明の一態様において、調節性T細胞およびTh2ヘルパーT細胞機能を抑制するための方法が提供される。このような抑制は、T細胞の数の減少および/または抗腫瘍応答を抑制するT細胞の機能的能力の崩壊からなる。例えば、調節性T細胞の関連機能としては、前炎症性サイトカイン、例えばインターロイキン−2、インターロイキン−4、インターロイキン−10、インターロイキン−12、形質転換成長因子βおよびインターフェロン−γの産生が挙げられる(例えばMocellinら、J.Immunother.、2001、24(5):3920407参照)。その結果生じる炎症性腫瘍微小環境はマクロファージを引きつけ、これが順次、悪性細胞に栄養または生存シグナルを提供し、血管新生を促し、抗原提示細胞および樹状細胞の表現型および機能を変更し、調節性T細胞を増幅して、これが総合的に免疫抑制性細胞環境を生じる。Th2ヘルパー細胞の関連機能としては、同様に、関連悪性細胞の生存を促すシグナル、例えばCD40/CD40Lシグナル伝達、インターロイキン−1またはインターロイキン−6の産生が挙げられる。Th2ヘルパー細胞は、マクロファージを含む抗原提示細胞を動員するケモカインの分泌による炎症性腫瘍微小環境の一因でもある。
調節性T細胞は、CD4CD25high集団内に濃化されるとして同定され得るし、そして細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4)、糖質コルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体ファミリー関連遺伝子(GITR)、CCケモカイン受容体4(CCR4)、フォークヘッド・ボックスp3(FOXP3)、CCケモカイン受容体6(CCR6)および/またはCD30によりさらに特性化され得る。さらに、調節性T細胞は、CD62Lhi、CD45RBlo、CD45ROhiおよび/またはCD45RAであり得る(McHughら、J.Allergy Clin. Immunol.、2002、110:693−701;Horiら、Science、2003、299:1057−1061;Iellemら、J. Exp.Med.、2001、194:847−853;米国特許出願公告第2006/0063256号参照)。
ヘルパーT細胞としては、CD4CD25 Th1細胞およびTh2細胞が挙げられる。Th1細胞は、細胞免疫、すなわち抗原特異的CD8細胞傷害性T細胞の誘導を促す。Th2ヘルパーT細胞は、例えば、Th1細胞によるインターフェロン−γ産生を抑制するサイトカインを分泌することにより、Th1細胞媒介性細胞免疫を抑制し得る(Fiorentinoら、J.Exp.、Med.、1989、170:2081−2095)。
CD80−CD28シグナル伝達は、調節性T細胞およびTh2ヘルパー細胞分化および維持のための主要同時調節経路であり、T細胞はCD80同時刺激の非存在下で劇的に低減する(Zhengら、J.Immunol.、2004、172:2778−2784;Liangら、J.Exp.Med.、2005、201:127−137;およびTangら、J.Immunol.、Immunol.、2003、171:3348−3352参照)。本明細書中に記載されるように、有用なCD80標的治療薬は、CD80/CD28シグナル伝達を遮断し、それにより調節性T細胞およびTh2ヘルパーT細胞の免疫抑制作用を弱め、これが次に腫瘍反応性T細胞に抗腫瘍活性を媒介させる分子を包含する。すなわちCD80/CTLA4シグナル伝達の遮断の非存在下でのCD80/CD28シグナル伝達の選択的遮断は、CD80/CTLA4シグナル伝達による免疫応答の負の調整が崩壊されないとすると、治療効能改善を提供し得る。
調節性T細胞およびTh2ヘルパー細胞の活性化は、マクロファージを引きつける炎症性腫瘍微小環境を作り出す。マクロファージは、IL−1およびIL−6のようなサイトカインを分泌することにより、悪性細胞の生存を促す。マクロファージは、腫瘍微小環境へのさらなる免疫エフェクター細胞の動員のためのケモカイン、例えば、IL‐8(好中球を引きつける)およびMIP−1α(白血球を引きつける)も分泌する。マクロファージはさらに、腫瘍の血管新生化の一因となる血管新生因子を分泌する。
CD80標的治療薬はさらにまた、腫瘍微小環境の抗原提示細胞上に発現されるCD80と直接結合し得る。したがってそれらは、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害性および/またはアポトーシスの誘導により枯渇され得る。これらの活性を査定するための関連方法は、当技術分野でよく知られている。
腫瘍微小環境の非悪性免疫細胞における変化を査定するための代表的方法は、治療的有効用量の確定に関して以下の本明細書中に、および実施例に記載される。
II. CD80標的治療薬
本発明のCD80標的治療薬は、調節性T細胞およびTh2ヘルパー細胞の活性化を遮断し、および/または腫瘍微小環境中のCD80発現細胞を枯渇させる分子を包含する。枯渇は、細胞は会を誘導するための任意の機構、例えば、アポトーシスの誘導、細胞増殖の抑制または低減、および/または抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)により起こり得る。したがって、CD80標的治療薬としては、CD80アンタゴニスト、ならびに細胞傷害薬に接合されるCD80結合分子が挙げられる。本発明において有用なCD80標的治療薬は、上記特性を有する任意の合成、組換えまたは天然生成物または組成物を包含する。代表的作用物質としては、ペプチド、タンパク質、核酸(例えばアプタマー)、小分子(例えば、化学化合物)、抗体および核酸−タンパク質融合物が挙げられるが、これらに限定されない。
CD80結合接合物に関して、細胞傷害性作用物質は、直接的にまたは間接的に、例えばリンカー分子あるいは生物学的または合成マトリックスを用いて、CD80結合分子に会合されるかまたは結合され得る。細胞傷害性作用物質は、ヘテロ二官能性架橋試薬の使用といったような当技術分野で周知の技法により、CD80結合分子と共有的に結合され得る。リンカー分子は、細胞中の細胞傷害性薬剤の放出を助長する切断可能なリンカーであり得る。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド含有リンカーが用いられ得る。
有用な細胞傷害性作用物質は当技術分野で知られており、例としては、CD80標的治療薬との組合せでさらに有用であると以下の本明細書中に記載される作用物質のいずれか、例えば放射性同位体、化学療法薬、ならびに毒素、例えば、細菌、真菌、植物または動物起源の小分子毒素または酵素的活性毒素あるいはその断片が挙げられる。さらなる代表的細胞傷害性作用物質としては、細胞増殖抑制剤、アルキル化剤、抗代謝剤、抗増殖剤、チューブリン結合剤、ホルモンおよびホルモンアンタゴニスト等が挙げられる。さらなる代表的細胞毒素としては、抗腫瘍抗生物質のエンジイン・ファミリーのメンバーまたは誘導体、例えば、カリケアマイシン、エスペラマイシンまたはダイネマイシンが挙げられる。
II.A. 抗CD80抗体
本発明のCD80標的治療薬としては、抗CD80抗体またはそのCD80結合断片が挙げられる。天然抗体は、各々が約23,000ダルトンの分子量を有する2つの同一軽鎖ポリペプチド、ならびに各々が53,000〜70,000ダルトンの分子量を有する2つの同一重鎖を含む。4つの鎖は会合して、可撓性ヒンジ領域により接合される3つの球状ドメインを形成する。軽(V)および重(V)鎖の両方の可変ドメインは、抗原認識および特異性を決定する。軽鎖(C)および重鎖(C1、C2またはC3)の定常ドメインは、生物学的特性、例えばFc受容体結合、補体結合等を付与する。本発明において有用な抗CD80抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、ヒト化またはキメラ抗体、PRIMATIZED(商標)抗体(ヒト定常領域および霊長類(カニクイザル)可変領域を含有する)、ヒトモノクローナル抗体、1本鎖抗体、Fab断片、F(ab‘)断片、Fab発現ライブラリーにより産生される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、ならびに上記のいずれかのエピトープ結合断片が挙げられる。このような抗体は、天然抗体、その多価形態またはその断片の構造を有し得る。
特定抗原に対する抗体の均質集団であるモノクローナル抗体は、培養中の連続細胞株による抗体分子の産生を提供する任意の技法により得られる。これらの例としては、Kohler and Milstein、Nature、1975、256:495−497および米国特許第4,376,110号のハイブリドーマ技法、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kosborら、Immunology Today、1983、4:72;Coteら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1983、80:2026−2030)、ならびにEBV−ハイブリドーマ技法(Coleら、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy、1995、Alan R. Liss, Inc.、 New York、pp.77−96)が挙げられるが、これらに限定されない。このような抗体は、任意の免疫グロブリンクラス、例えばIgG、IgM、IgE、IgA、IgDおよびその任意のサブクラスのものであり得る。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、in vitroまたはin vivoで培養され得る。
キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物種に由来する分子、例えば、ネズミmAb由来の可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域を有するものである。キメラ抗体は、適切な抗原特異性を有するマウス抗体分子からの遺伝子を適切な生物学的活性を有するヒト抗体分子からの遺伝子と一緒にスプライシングすることにより産生され得る(Morrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1984、81:6851−6855;Takedaら、Nature、1985、314:452−454)。
ヒト化抗体はキメラ抗体の一型であって、この場合、抗原結合に関与する可変領域残基(すなわち、相補性決定領域の残基および抗原結合に加わる任意の他の残基)はヒト種に由来するが、一方、残りの可変領域残基(すなわち、フレームワーク領域の残基)および定常領域は、少なくとも一部が、ヒト抗体配列に由来する。ヒト化抗体の可変領域および定常領域の残基は、非ヒト供給源にも由来し得る。ヒト化抗体の可変領域は、ヒト化(すなわち、ヒト化軽または重鎖可変領域)とも記載される。非ヒト種は、典型的には抗原による免疫感作のために用いられるもの、例えばマウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類またはその他の非ヒト哺乳類種である。ヒト化抗体は、種々の方法、例えば化粧張り、相補性決定領域(CDR)のグラフティング、簡易CDRのグラフティング、特異性決定領域(SDR)のグラフティング、ならびにフランケンシュタイン・アセンブリー(下記)のうちのいずれか1つを用いて調製され得る。これらの一般的アプローチは、標準突然変異誘発および合成技法と組合せて、任意の所望の配列のCD80抗体を産生し得る。
本発明の抗体は、SCID−huマウスまたはヒト抗体を産生し得るその他の非ヒト動物によるヒトモノクローナル抗体、例えば、不死化ヒト細胞により産生されるものでもあり得る。ヒト抗体は、例えばMarksら、J. Mol. Biol.、1991、222:581−597に記載されるような抗体ファージライブラリーからも単離され得る。抗体多様性増大を示すファージライブラリー、例えば増大された結合親和性を有する抗体を含むライブラリーを産生するために、鎖シャッフリングおよび組換え技法が用いられ得る(Marksら、Biotechnology、1992、10:779−783およびWaterhouseら、Nuc. Acids Res.、1993、21:2265−2266参照)。
本発明の抗体は、典型的にはアミノ酸架橋を解してFv領域の重鎖および軽鎖断片を連結して、1本鎖ポリペプチドを生じることにより形成される1本鎖抗体も含み得る(例えば、米国特許第4,946,778号;Bird、Science、1988、242:423−426;Hustonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1988、85:5879−83;およびWardら、Nature、1989、334:544−546参照)。
本発明において有用な抗体は、非フコシル化抗体も包含する。このような抗体としては、Fc領域、ならびにFc領域に結合される複合N−グルコシド−連結糖鎖が挙げられるが、この場合、Fc領域に結合される全体的複合N−グルコシド−連結糖鎖の間で、フコースが糖鎖中の還元末端のN−アセチルグルコサミンに結合されない糖鎖の割合は少なくとも20%である。非フコシル化抗体は、対照フコシル化抗体と比較した場合、Fc受容体結合増強ならびにエフェクター機能増強を示す(米国特許仮出願第60/908,643号(2007年3月28日提出)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)参照)。非フコシル化抗体の産生のための代表的方法は、実施例1に記述される(米国特許公告第2004/0093621号、米国特許第6,946,292号、PCT国際公開番号WO 2006/089232および欧州特許公開出願第1176195号(これらの記載内容は各々参照により本明細書中で援用される)も参照)。
本明細書中に記載されるような特異的抗原または表面受容体を認識する抗体断片は、既知の技法により生成され得る。例えばこのような断片としては、F(ab’)断片または抗体分子のペプシン消化により産生され得るFc領域、ならびにF(ab’)断片のジスルフィド架橋を還元することにより生成され得るFab断片が挙げられる。代替的には、Fab発現ライブラリーが構築されて(Huseら、Science、1989、246:1275−1281)、所望の特異性を有するモノクローナルFab断片の迅速且つ容易な同定を可能にする。
抗体または抗体断片と本明細書中に記載される抗原との特異的結合は、多数の異なる抗原を含む不均質試料中の抗原との抗体の好ましい結合を指す。結合の実質的欠如は、対照タンパク質または試料との抗体の結合のレベル、すなわち、非特異的またはバックグラウンド結合として特性化される結合のレベルを説明する。抗体と抗原との結合は、結合親和性が少なくとも約10−7M以上の場合、例えば約10−8M以上の、例えば約10−9M以上の、少なくとも約10−11M以上の、または少なくとも約10−12M以上の場合、特異的である。
本発明において有用な代表的抗CD80抗体はガリキシマブであり、これは、代替的には、PRIMATIZED(商標)16C10、IDEC−114またはPRIMATIZED(商標)抗体と呼ばれ、アメリカ培養細胞コレクション(ATCC)寄託番号HB−12119のハイブリドーマにより産生される抗体により産生される可変領域を有する。HB−12119ハイブリドーマは、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の条項(「ブダペスト条約」)下で、米国バージニア州20110−2209、マナサス10801所在のブルーバード大学に現在は設置されているATCCに、1996年5月29日に寄託された。ガリキシマブは、ヒト定常領域および霊長類(カニクイザル)可変領域を有するPRIMATIZED(商標)抗CD80免疫グロブリン(Ig)G1ラムダ・モノクローナル抗体である。本発明において有用なガリキシマブおよびその他の抗CD80抗体のアミノ酸および核酸配列は、米国特許第6,113,898号(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に開示されている。
さらなる代表的抗CD80抗体またはそのCD80結合断片としては、結合抑制検定においてCD80との結合に関して16C10またはガリキシマブと競合する抗体およびそのCD80結合断片が挙げられる。このような結合抑制検定は、当業者に良く知られている。本発明は、16C10またはガリキシマブと同一のCD80エピトープと結合し得る抗CD80抗体およびCD80結合断片も包含する。CD80との結合に関してガリキシマブまたはその他の抗CD80抗体、例えば、ガリキシマブと同一のエピトープと結合し得る抗体と競合する抗CD80抗体は、米国特許第7,153,508号(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に開示されている。抗体の結合特異性を確定するための方法は、当業者に良く知られているように、免疫沈降により、あるいはin vitro検定、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着検定(ELISA)により、確定され得る。
本発明はさらに、例えば1つまたは複数のアミノ酸付加、置換またはその他の突然変異の導入により、ガリキシマブの可変領域またはガリキシマブ可変領域由来の可変領域を含む抗CD80抗体またはそのCD80結合断片を包含する。本発明において有用なさらなる抗CD80抗体およびCD80結合断片は、ガリキシマブの抗原結合ドメイン、すなわち、ガリキシマブの相補性決定領域を含む残基を有する抗体を包含する。
本発明において有用な抗体は、標準技法を用いて組換え的に調製され得る(例えば、Harlow&Lane、Antibodies:A Laboratory Manual、 1988、 Cold Spring Harbor Laboratory Press、 Cold Spring Harbor、 New Yorkおよび米国特許第4,196,265号;第4,946,778号;第5,091,513号;第5,132,405号;第5,260,203号;第5,658,570号;第5,677,427号;第5,892,019号;第5,985,279号;第6,054,561号参照)。16C10可変領域を含む抗体を産生するための代表的方法は、米国特許第6,113,898号に記載されている(米国特許出願公告第20030103971号および第20030180290号も参照)。
2つの無傷四量体抗体(例えばホモ二量体およびヘテロ二量体)を含む四価抗体(H)が、例えばPCT国際公開番号WO 02/096948に記載されているように調製され得る。抗体二量体は、ヘテロ二官能価架橋剤を用いて(Wolffら、Cancer Res.、1993、53:2560−2565)、または二重定常領域を含めるための組換え産生により(Stevensonら、Anticancer Drug Des.、1989、3:219−230)、鎖間ジスルフィド結合形成を促進する抗体定常領域中のシステイン残基(単数または複数)の導入によっても調製され得る。
II.B.小分子
本発明は、CD80標的治療薬として用いられ得る小分子も提供する。これらの分子としては、以下にそして米国特許出願第11/539,153号に記載されるような式(I)の複素環式化合物が挙げられる。このような化合物は、調節性T細胞およびTh2ヘルパー細胞活性化に必要とされるようなCD80およびCD28間の相互作用を抑制する。本発明の方法に用いられ得る複素環式化合物の例としては、式(I)の化合物またはその製薬上許容可能な塩が挙げられる。式(I)のこれらの複素環式化合物は、本質的には米国特許第7,081,456号(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されたように調製される。式(I)は、以下のように表される:
Figure 2010522772
(式中、RおよびRは、独立して、H;F;Cl;Br;−NO;−CN;FまたはClにより任意に置換されたC〜Cアルキル;またはFまたはClにより任意に置換されたC〜Cアルコキシを表し;
は、H、あるいは任意に置換されたC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキルまたは任意に置換されたフェニルを表し;
Yは、−O−、−S−、N−オキシドまたはN(R)−(ここで、RはHまたはC〜Cアルキルを表す)を表し;
Xは、単結合または二価C〜Cアルキレンラジカルを表し;
は、−C(=O)NR(ここで、Rは式−(Alk)−Q(ここで、bは1であり、そしてAlkは任意に置換された二価直鎖または分枝鎖C〜C12アルキレン、C〜C12アルケニレンまたはC〜C12アルキニレン・ラジカル(1つまたは複数の非隣接−O−、−S−またはN(R)−ラジカル(ここで、RはHあるいはC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜CアルキニルまたはC〜Cシクロアルキルを表す)により遮断され得る)である)のラジカルを表す)を表し;そして
Qは、H;−CF;−OH;−SH;−NR(ここでRは各々、同一であるかまたは異なり得るし;エステル基;あるいは任意に置換されたフェニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルケニルまたは5〜8つの環原子を有する複素環式環である)を表し;そして
は、HまたはC〜Cアルキルを表すか;あるいはそれらが結合される単数または複数原子と一緒になってRおよびRは5〜8つの環原子を有する任意に置換された複素環式環を形成する)。
式(I)の代表的分子としては、以下の構造式AおよびBを有する縮合ピラゾロンが挙げられる:
Figure 2010522772
III.治療的用途
本明細書中に記載されるように、CD80標的治療薬は、調節性T細胞および/またはTh2ヘルパー細胞機能により悪化される病理学的状態と関連したT細胞の調整のために用いられ得る。CD80標的治療薬は、腫瘍微小環境中の炎症調節および炎症性細胞(例えば抗原提示細胞および骨髄由来サプレッサー細胞)の枯渇のためにも用いられ、この細胞は腫瘍増殖、移動、血管新生等を支持する。したがって、本明細書中に記載されるようなCD80標的治療薬は、適応免疫応答、例えば、調節性T細胞の抑圧機能を増強するよう作用する。CD80標的治療薬は、単独で、または以下でさらに記載されるようなさらなる治療薬と組合せて用いられ得る。被験者は、最前線の療法として、あるいは再発性または難治性症状の治療のために、CD80標的治療薬を摂取し得る。
III.A.適応症
本発明の一態様において、CD80標的治療薬は、腫瘍微小環境の非悪性細胞をターゲッティングすることにより血液学的または非血液学的悪性疾患の治療のために用いられ得る。CD80標的治療薬は、非悪性増殖性障害、例えば過形成、化生、または最も特定的には、異形成の細胞の増殖を抑制するために同様に有用である(このような異常増殖症状の再検討に関しては、DeVita, Jr.ら、Cancer:Principles and Practice、6th edition、2001、Lippincott Williams&Wilkins参照)。
例えば、本明細書中に記載されるようなCD80標的治療薬は、B細胞悪性疾患、例えば、白血病およびリンパ腫、例えば無痛性、攻撃性、軽度、中等度または重度白血病またはリンパ腫を治療するために用いられ得る。代表的B細胞悪性疾患としては、ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病(B−CLL)、赤血球無色症様リンパ腫(LPL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、瀰漫性大細胞性リンパ腫(DLCL)、バーキットリンパ腫(BL)、エイズ関連リンパ腫、単球性B細胞リンパ腫、血管免疫芽細胞性リンパ節症、小リンパ球性、濾胞性、瀰漫性大細胞性;瀰漫性小分割細胞;大細胞型免疫芽リンパ芽球腫;小非分割、バーキット及び非バーキット、濾胞性、優性に小分割した細胞;ならびに濾胞性、混合小分割および大細胞リンパ腫が挙げられる。上記B細胞悪性疾患のいずれかを有する被験者としては、再発性被験者、あるいは従来治療に対して難治性である被験者が挙げられる。
開示されたCD80標的治療薬を用いて治療され得るさらなる癌としては、乳房、結腸、直腸、肺、中咽頭、下咽頭、食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢、胆管、小腸、尿路、例えば腎臓、膀胱および尿路上皮、雌性生殖路、子宮頚部、子宮、卵巣、雄性生殖路、前立腺、精嚢、精巣、内分泌腺、甲状腺、副腎、脳下垂体、皮膚、骨、柔組織、血管、脳、神経、眼、髄膜における原発性および転移性腫瘍が挙げられる。その他の関連固形腫瘍としては、B細胞関与を有するものが挙げられる。
III.B.用量および投与
本発明のCD80標的治療薬は、悪性疾患並びに調節性T細胞機能によって病理的常態が悪化する他の疾患および障害を、その治療の必要な被験体に治療有効量を投与することによって治療するために使用され得る。治療有効量とは、疾患の症状の寛解をもたらすのに十分かまたは治療作用を示すのに十分な、本明細書中に記載されるようなCD80標的治療薬の量のことを指す。
悪性疾患を治療する場合、治療作用は、臨床成績(例えば、腫瘍塊の縮小および/または血液学的悪性疾患に関する結節の数の減少、異常に大きい脾臓または肝臓の縮小、転移の減少または消失、ならびに進行せずに生存すること)を用いて測定され得る。治療作用のさらなる指標としては、悪性細胞の数の減少、または悪性細胞の増殖の減少もしくは遅延が挙げられる。CD80標的治療薬の治療作用はまた、抗癌作用をもたらす、腫瘍微小環境における調節性T細胞および/もしくはTh2ヘルパー細胞の減少、腫瘍微小環境における調節性T細胞および/もしくはTh2ヘルパー細胞の活性化の抑制、または調節性T細胞機能の抑制としても評価され得る。例えば、調節性T細胞機能の抑制は、炎症性サイトカイン(例えば、インターロイキン−2、インターロイキン−4、インターロイキン−10、インターロイキン−12、トランスフォーミング成長因子β(TGF−β)およびインターフェロン−γ(IFN−γ))の産生または分泌の減少、Th1ヘルパー細胞媒介性免疫の脱抑制;Th2ヘルパー細胞抗体産生の脱抑制;およびCD8+細胞傷害性Tリンパ球の脱抑制として観察され得る。抗癌活性を示す、腫瘍微小環境におけるさらに関連する変化としては、ナチュラルキラー細胞の活性の増強、血管新生の減少、およびマクロファージもしくは樹状細胞などの抗原提示細胞の枯渇または骨髄由来サプレッサー細胞などの他のCD80発現細胞の枯渇が挙げられる。抗腫瘍効能のなおさらなる指標としては、Daveら、N.Engl.J.Med.、2004、351(21):2159−2169に記載されているような、非悪性細胞による免疫応答1および免疫応答2シグニチャー(signature)遺伝子発現プロファイルへの遺伝子発現の移行が挙げられる。
本明細書中で特定される適応症を治療するとき、治療作用は、上で述べた測定結果のいずれかの変化として観察され得る。その変化は、対照レベルまたは対照サンプル、例えば、CD80標的治療薬の投与前の被験体において観察される治療指数のレベルと比べて評価されるか、または調節性T細胞機能によって病理学的常態が悪化する疾患もしくは障害に罹患していない被験体において観察される作用と比べて評価される。例えば、上で述べた指標のいずれかの変化は、対照レベルよりも少なくとも約2倍高いかもしくは低い、または対照レベルより少なくとも約5倍高いかもしくは低い、または対照レベルよりも少なくとも約10倍高いかもしくは低い、対照レベルよりも少なくとも約50倍高いかもしくは低い、または対照レベルより少なくとも約100倍高いかもしくは低い変化であり得る。上で述べた指標の変化は、対照レベルと比較して少なくとも20%(例えば、少なくとも30%または少なくとも40%または少なくとも50%または少なくとも60%または少なくとも70%または少なくとも80%または少なくとも90%または少なくとも100%またはそれ以上)の変化としても観察され得る。
CD80標的治療薬の毒性および治療効能は、細胞培養物または実験動物において、例えば、LD50(集団の50%に対する致死量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な量)を決定するために、標準的な製薬上の手順によって判定され得る。毒性作用と治療作用との用量比が、治療指数であり、LD50/ED50比として表され得る。毒性の副作用を示す組成物が使用され得る場合、非感染細胞への損傷の可能性を最小にするため、およびそれにより副作用を低下させるために、そのような組成物を罹患組織の部位に標的化する送達系を設計するように注意を払う。
細胞ベースの検定、ならびに通常は齧歯類、ウサギ、イヌ、ブタおよび/または霊長類における動物試験から得られるデータは、ヒトにおける使用のための一連の投与量を処方するのに用いられ得る。動物モデルは、適切な濃度範囲および投与経路を確定するためにも用いられ得る。このような情報は次に、ヒトにおける有用な用量および投与経路を確定するために用いられ得る。典型的には、最小用量が投与され、そして用量は、用量限定細胞傷害性の非存在下で増大される。有効量または用量の確定および調整、ならびにこのような調整をいつそして如何に為すかについての評価は、医療の当業者に知られている。
このような化合物の投与量は、好ましくは、毒性をほとんどまたは全く伴わないED50を含む一連の循環濃度内にある。投与量は、用いられる剤形および利用される投与経路によって、この範囲内で変わり得る。本発明の方法に用いられる任意の本発明のCD80標的治療用組成物に関して、治療的有効量は最初に細胞培養検定から概算され得る。用量は、細胞培養で確定されるようなIC50(すなわち、症候の半最大抑制を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度を達成するために動物モデルで処方され得る。このような情報は、ヒトにおける有用な用量をより精確に確定するために用いられ得る。血漿中レベルは、例えば、高性能液体クロマトグラフィーにより測定され得る。
抗CD80抗体、例えばガリキシマブの有効用量としては、100mg/m〜600mg/mの範囲の週1回の用量、例えば125mg/m、250mg/m、375mg/mまたは500mg/mの用量でのガリキシマブの4つの週1回注入が挙げられる。抗CD80抗体は、より低いかまたはより高い用量、例えばガリキシマブに関する上記用量の約90%、または約80%、または約70%、または約60%、または約50%、または約40%、または約30%、または約20%、または約10%またはそれ未満である用量でも投与され得る。例えば、有効用量としては、10mg/m、12.5mg/m、25mg/m、37.5mg/mまたは50mg/mの週1回用量が挙げられ得る。特に、ADCC活性の増強またはその他の抗腫瘍活性の増強を示す非フコシル化抗CD80抗体は、フコース残基を特異的に除去しない方法で調製される同一抗体と比較した場合、低減された用量で有効であり得る。抗CD80抗体の用量は、ガリキシマブに関する上記用量の約110%、または約120%、または約130%、または約140%、または約150%、または約160%、または約170%、または約180%、または約190%またはそれより以上の用量も包含し得る。
本発明に従って用いるための製剤組成物は、1つまたは複数の生理学的に許容可能な担体または賦形剤を用いて、慣用的方法で処方され得る。したがって、組成物ならびにそれらの生理学的に許容可能な塩および溶媒和物は、吸入または吹送(口または鼻を通して)あるいは経口、頬、非経口、局所、皮下、腹腔内、静脈内、胸膜内、眼内、動脈内、直腸投与により、あるいは埋込み物、例えばマトリックス、例えばコラーゲン繊維またはタンパク質ポリマー(細胞照射により、浸透圧ポンプで)、適切に形質転換された細胞を含む移植片等の内/上の投与のために処方され得る。固形腫瘍の治療に関しては、本発明のCD80標的治療薬は、腫瘍部位に直接投与され得る。CNS悪性疾患の治療に関しては、CD80標的治療薬は、例えばくも膜下または脳室内投与により、CNSに直接投与され得る。さらに、CNS血管系内皮細胞間の接着接触を一次的に開放する薬剤、ならびにこのような細胞を通した転位を促す化合物を、外科的手術による破壊または注射を含めて血液脳関門を横切るCD80標的治療薬の移入を促進するために、種々の技法が利用可能である。
経口投与に関しては、製剤組成物は、製薬上許容可能な賦形剤、例えば、結合剤(例えばアルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微晶質セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);あるいは湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)を用いて慣用的手段により調製される、例えば、錠剤またはカプセルの形態をとり得る。錠剤は、当技術分野で周知の方法により被覆され得る。経口投与のための液体調製物は、例えば、溶液、シロップまたは懸濁液の形態をとり得るし、あるいはそれらは、使用前に水またはその他の適切なビヒクルを用いた構成のための乾燥生成物として提示され得る。このような液体調製物は、製薬上許容可能な添加剤、例えば沈殿防止剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性ビヒクル(例えばアーモンド油、油状エステル、エチルアルコールまたは分留植物油);ならびに防腐剤(例えば、メチルまたはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)を用いて、慣用的手段により調製され得る。調製物は、適切な場合、緩衝塩、風味剤、着色剤および甘味剤も含有し得る。
製剤組成物は、薬学的活性を安定化するために、種々の緩衝剤(例えばトリス、酢酸塩、リン酸塩)、可溶化剤(例えばTWEEN(商標)、ポリソルベート)、担体、例えば、ヒト血清アルブミン、防腐剤(チメロサール、ベンジルアルコール)、ならびに酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸も包含し得る。安定化剤は、洗剤、例えばTWEEN(商標)20、TWEEN(商標)80、NP−40またはTRITON−X(商標)−100であり得る。EBPも、長時間に亘る患者への制御送達のために、高分子化合物の粒状調製物中に組入れられ得る。製剤組成物中の構成成分のより広範な調査は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、1990、18th ed.、A.R.Gennaroら、Mack Publishing Easton、Pennsylvaniaに見出される。
前に記載された処方物のほかに、化合物は、デポ製剤としても処方され得る。このような長時間作用処方物は、埋め込み(例えば、皮下にまたは筋肉内に)により、あるいは筋肉内注射により投与され得る。したがって、例えば化合物は、適切な高分子または疎水性物質(例えば許容可能な油中の乳濁液として)、あるいはイオン交換樹脂を用いて、あるいは節約型可溶性誘導体として、例えば節約型可溶性塩として処方され得る。
組成物は、所望により、活性成分を含有する1つまたは複数の剤形を含入し得る包装または分配装置中に提示され得る。包装は、例えば、金属またはプラスチック箔、例えばブリスター包装を含み得る。包装または分配装置は、投与のための使用説明書を添付され得る。
CD80標的治療薬を1つまたは複数のさらなる治療薬とともに投与することを包含する組合せ療法に関しては、投与は、意図される療法の実施に適した任意の時間枠内で実施され得る。例えば、単一作用物質CD80標的治療薬および任意のさらなる作用物質は、実質的に同時に(すなわち、単一処方物として、または数分または数時間以内に)、あるいは任意の順序で連続的に投与され得る。連続投与に関しては、単一作用物質は、約10、8、6、4または2ヶ月の介在期間を伴って、あるいは4、3、2または1週間(単数または複数)の介在期間で、あるいは約5、4、3、2または1日(単数または複数)の介在期間で投与される。
1つまたは複数のさらなる治療薬と組合せて用いられる場合、CD80標的治療薬および1つまたは複数のさらなる作用物質が投与され得るし、あるいはそうでなければ、いずれかの順序で同時的にまたは逐次的に細胞と接触される。開示される組合せ療法は、相乗的治療作用、すなわち、それらの個々の作用の合計より以上の作用を引き出し得る。測定可能な治療作用は、本明細書中に上記されている。例えば相乗的治療作用は、単一作用物質により引き指される治療作用の、または所定の組合せの単一作用物質により引き出される治療作用の合計の少なくとも約2倍の作用であり得るし、あるいは少なくとも約5倍以上、または少なくとも約10倍以上、または少なくとも約20倍以上、または少なくとも約50倍以上、または少なくとも約100倍以上であり得る。相乗的治療作用は、単一作用物質により引き出される治療作用、または所定の組合せの単一作用物質により引き出される治療作用の合計と比較して、少なくとも10%の、あるいは少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%またはそれ以上の治療作用の増大としても観察され得る。
処方物、用量、投与レジメンおよび測定可能な治療結果に関するさらなる指針に関しては、Berkowら、The Merck Manual of Medical Information、2000、Merck&Co.,Inc.、Whitehouses Station、New Jersey;Ebadi、CRC Desk Reference of Clinical Pharmacology、1998、CRC Press、Boca Raton、Florida;Gennaro、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、2000、Lippincott、Williams&Wilkins、Philadelphia、Pennsylvania;Katzung、Basic&Clinical Pharmacology、2001、Lange Medical Books/McGraw−Hill Medical Pub.Div.、New York;Hardmanら、Goodman&Gilman’s the Pharmacological Basis of Therapeutics、2001、The McGraw−Hill Companies、Columbus、Ohio;Speight&Holford、Avery’s Drug Treatment:A Guide to the Properties、Choices、Therapeutic Use and Economic Value of Drugs in Disease Managemant、1997、Lippincott、Williams,&Wilkins、Philadelphia,Pennsylvaniaを参照されたい。
II.C.組合せ療法
本明細書中に記載されるようなCD80標的治療薬は、他の治療薬または他の療法(例えば外科的切除、放射線等)と組合せて用いられ、それにより治療作用増強を引き出し、および/またはいくつかの治療薬の肝細胞傷害性を低減し得る。1つまたは複数のさらなる治療薬と組合せて用いられる場合、CD80標的治療薬および1つまたは複数のさらなる作用物質は、同時にまたはいずれかの順序で逐次的に、投与され得るし、そうでなければ細胞と接触され得る。開示される組合せ療法は、相乗的治療作用、すなわち、それらの個々の作用の合計より以上の作用を引き出し得る。測定可能な治療作用は、本明細書中に上記されている。例えば、相乗的治療作用は、単一作用物質により引き指される治療作用の、または所定の組合せの単一作用物質により引き出される治療作用の合計の少なくとも約2倍の作用であり得るし、あるいは少なくとも約5倍以上、または少なくとも約10倍以上、または少なくとも約20倍以上、または少なくとも約50倍以上、または少なくとも約100倍以上であり得る。相乗的治療作用は、単一作用物質により引き出される治療作用、または所定の組合せの単一作用物質により引き出される治療作用の合計と比較して、少なくとも10%の、あるいは少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%またはそれ以上の治療作用の増大としても観察され得る。
悪性疾患の治療に関して、組合せ療法のために有用な代表的作用物質としては、細胞毒素、放射性同位体、化学療法薬、免疫調整または免疫調節薬、抗血管新生薬、抗増殖薬、プロアポトーシス薬、細胞増殖抑制および細胞溶解酵素(例えばRNアーゼ)、酵素阻害薬(例えばプロテアソーム阻害薬)、ならびに腫瘍ワクチンが挙げられる。さらなる作用物質としては、治療用核酸、例えば、免疫調整薬、抗血管新生薬、抗増殖薬またはプロアポトーシス薬をコードする遺伝子が挙げられる。これらの薬剤記述語は相互排他的でなく、したがって、治療薬は上記用語のうちの1つまたは複数を用いて記述され得る。本発明のCD80標的治療薬は、調節性T細胞を枯渇するか、または調節性T細胞機能を遮断し、抑制し、そうでなければ下方制御する作用物質と組合せても用いられ得る。
細胞毒素という用語は、一般的には、細胞の機能を抑制するかまたは防止し、および/または細胞の破壊を生じる作用物質を指す。代表的細胞毒素としては、抗生物質、チューブリン重合の阻害剤、DNAと結合しそして崩壊させるアルキル化剤、ならびにタンパク質合成または必須細胞性タンパク質、例えばプロテインキナーゼ、ホスファターゼ、トポイソメラーゼ、酵素およびサイクリンの機能を崩壊させる作用物質が挙げられる。代表的細胞毒素としては、ドキソルビシン、ダウロルビシン、イダルビシン、アクラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン、エピルビシン、カルビシン、ノガラマイシン、メノガリル、ピタルビシン、バルルビシン、シタラビン、ゲンシタビン、トリフルリジン、アンシタビン、エノシタビン、アザシチジン、ドキシフルリジン、ペントスタチン、ブロクスウリジン、カペシタビン、クラドリビン、デシタビン、フルオクスウリジン、フルダラビン、ゴウゲロチン、プロマイシン、テガフル、チアゾフリン、アドリアマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、メクロレタミン、プレドニソン、プロカルバジン、メトトレキセート、フルロウラシル、エトポシド、タキソール、タキソール類似体、プラチン、例えばシスプラチンおよびカルボプラチン、マイトマイシン、チオテパ、タキサン、ビンクリスチン、ダウロルビシン、エピルビシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、タモキシフェン、イダルビシン、ドラスタチン/アウリスタチン、ヘミアステルリン、ヘミアステルリン、エスペラミシンおよびマイタンシノイドが挙げられるが、これらに限定されない。
放射線療法に適した放射性同位体としては、α−エミッター、β−エミッターおよびオージェ電子が挙げられるが、これらに限定されない。これらの放射性同位体は、典型的には、疾患細胞への送達のためにターゲッティング抗体に接合される。例えば放射能標識抗体としては、放射性同位体、例えば18フッ素、64銅、65銅、67ガリウム、68ガリウム、77臭素、80m臭素、95ルテニウム、97ルテニウム、103ルテニウム、105ルテニウム、99mテクネチウム、107水銀、203水銀、123ヨウ素、124ヨウ素、125ヨウ素、126ヨウ素、131ヨウ素、133ヨウ素、111インジウム、113インジウム、99mレニウム、105レニウム、101レニウム、186レニウム、188レニウム、121テルル、99テクネチウム、122mテルル、125mテルル、165ツリウム、167ツリウム、168ツリウム、90イットリウム、アルファ・エミッター、例えば213ビスマス、213鉛および225アクチニウム、ならびにそれから得られる窒化物または酸化物形態が挙げられる。
免疫調整または免疫調節薬は、免疫応答、例えば、体液性免疫応答(例えば、抗原特異的抗体の産生)、ならびに細胞媒介性免疫応答(例えば、リンパ球増殖)を引き出す組成物である。代表的免疫調整薬としては、サイトカイン、キサンチン、インターロイキン、インターフェロンおよび成長因子(例えばTNF、CSF、GM−CSFおよびG−CSF)、ならびにホルモン、例えばエストロゲン(ジエチルスチルベストロール、エストラジオール)、アンドロゲン(テストステロン、HALOTESTIN(商標)(フルオキシメステロン))、プロゲスチン(MEGACE(商標)(酢酸メゲストロール)、PROVERA(商標)(酢酸メドロキシプロゲステロン))およびコルチコステロイド(プレドニソン、デキサメタソン、ヒドロコルチゾン)が挙げられる。
本発明において有用な免疫調整薬としては、腫瘍に及ぼすホルモン作用を遮断する抗ホルモン、ならびにサイトカイン産生を抑制し、自己抗原発現を下方制御するか、またはMHC抗原を遮蔽する免疫抑制薬も挙げられる。代表的抗ホルモンとしては、抗エストロゲン、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ抑制性4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケトキシフェン、LY 117018、オナプストン(onapnstone)およびトレミフェン;ならびに抗アンドロゲン、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリドおよびゴセレリン;ならびに抗副腎製剤が挙げられる。代表的免疫抑制薬としては、2−アミノ−6−アリール−5−置換ピリミジン、アザチオプリン、シクロホスファミド、ブロモクリプチン、ダナゾール、ダプソン、グルタルアルデヒド、MHC抗原およびMHC断片に対する抗イディオタイプ抗体、シクロスポリンA、ステロイド、例えば、糖質コルチコステロイド、サイトカインまたはサイトカイン受容体アンタゴニスト(例えば、抗インターフェロン抗体、抗IL−10抗体、抗TNFα抗体、抗IL−2抗体)、ストレプトキナーゼ、TGFβ、ラパマイシン、T細胞受容体、T細胞受容体断片およびT細胞受容体抗体が挙げられる。
本発明において有用なさらなる薬剤としては、血管形成を抑制する抗血管新生薬、例えばファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬、COX−2阻害薬、VEGF阻害薬、bFGF阻害薬、ステロイドスルファターゼ阻害薬(例えば、2−メトキシエストラジオール・ビススルファメート(2−MeOE2ビスMATE))、インターロイキン−24、トロンボスポンジン、メタロスポンジンタンパク質、クラスIインターフェロン、インターロイキン 12、プロタミン、アンギオスタチン、ラミニン、エンドスタチンおよびプロラクチン断片が挙げられる。
抗増殖薬およびプロアポトーシス薬としては、PPAR−γの活性薬(例えば、シクロペンテノン プロスタグランジン(cyPG))、レチノイド、トリテルピノイド(例えば、シクロアルタン、ルパン、ウルサン、オレアナン、フリエデラン、ダンマラン、ククルビタシンおよびリモノイド トリテルペノイド)、EGF受容体の阻害薬(例えばHER4)、ラムパマイシン、CALCITRIOL(商標)(1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール(ビタミンD))、アロマターゼ阻害薬(FEMARA(商標)(レトロゾン))、テロメラーゼ阻害薬、鉄キレート化剤(例えば、3−アミノピリジン−2−カルボキサルデヒド チオセミカルバゾン(トリアピン))、アポプチン(ニワトリ貧血ウイルス由来のウイルスタンパク質3−VP3)、Bcl−2およびBcl−X(L)の阻害薬、TNF−α、FASリガンド、TNF関連アポトーシス誘導性リガンド(TRAIL/Apo2L)、TNF−α/FASリガンド/TNF関連アポトーシス誘導性リガンド(TRAIL/Apo2L)シグナル伝達の活性薬、ならびにPI3K−Akt生存経路シグナル伝達の阻害薬(例えば、UCN−01およびゲルダナマイシン)が挙げられる。
CD80アンタゴニストと組合せて用いられ得るさらなる作用物質としては、Bリンパ球刺激薬(BLyS)とその受容体のうちの1つまたは複数との相互作用を遮断する作用物質、B細胞活性化因子受容体(BAFF−R)、膜貫通活性薬およびカルシウムモジュレーターおよびシクロフィリンリガンド・インタラクター(TACI)、またはB細胞成熟抗体(BCMA)が挙げられる。例えば有用な作用物質としては、BLySリガンドを特異的に結合する抗体、あるいはその受容体のうちの1つまたは複数を特異的に結合する抗体、例えば本明細書中に記載される抗体方のいずれかが挙げられる。BLySとその受容体のうちの1つまたは複数との相互作用の小分子阻害薬も用いられ得る。
本発明のCD80標的治療薬は、他の抗癌治療用抗体ならびに抗体/薬剤接合物と組合せても用いられ得る。非標識/非接合形態でまたは抗体/薬剤接合物として用いられ得る代表的抗体としては、抗CD19抗体、抗CD20抗体(例えば、RITUXAN(商標)、ZEVALIN(商標)、BEXXA(商標))、抗CD22抗体、抗CD33抗体(例えば、MYLOTARG(商標))、抗CD33抗体/薬剤接合物、抗ルイスY抗体(例えば、Hu3S193、Mthu3S193、AGmthu3S193)、抗HER−2抗体(例えば、HERCEPTIN(商標)(トラツズマブ)、MDX−210、OMNITARG(商標)(ペルツズマブ、rhuMAb 2C4))、抗CD52抗体(例えば、CAMPATH(商標))、抗EGFR抗体(例えば、ERBITUX(商標)(セツキシマブ)、ABX−EGF(パニツムマブ))、抗VEGF抗体(例えば、AVASTIN(商標)(ベバシズマブ))、抗DNA/ヒストン複合体抗体(例えば、ch−TNT−1/b)、抗CEA抗体(例えば、CEA−Cide、YMB−1003)hLM609、抗CD47抗体(例えば、6H9)、抗VEGFR2(またはキナーゼ挿入ドメイン含有受容体、KDR)抗体(例えば、IMC−1C11)、抗Ep−CAM抗体(例えば、ING−1)、抗FAP抗体(例えば、シブロツズマブ)、抗DR4抗体(例えば、TRAIL−R)、抗プロゲステロン受容体抗体(例えば、2C5)、抗CA19.9抗体(例えば、GIVAREX(商標))および抗フィブリン抗体(例えば、MH−1)が挙げられる。
本発明のCD80標的治療薬は、全身性抗癌薬、例えば、エピチロン(BMS−247550、Epo−906)、タキサンの再処方物(アブラキサン、キシオタクス)、ミクロチューブリン阻害薬(MST−997、TTI−237)等と組合せても用いられ得る。
他の組合せ療法において、CD80標的治療薬は、化学療法薬、例えばアルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロホスファミド;アルキルスルホネート、例えばブスルファン、イムプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メチュアドーパおよびウレドーパ;エチレンイミンおよびメチルメラミン、例えば、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチルオロメラミン;窒素マスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ナベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード;ニトロスウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、プロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;抗代謝薬、例えば、メトトレキセートおよび5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フルオキシウリジン、5−EU;アンドロゲン、例えば、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎製剤、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補液、例えば、フロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミド グリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルニチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサトロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テニュアゾン酸;トリアジコン;2,2‘,2’−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(TAXOL(商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology of Princeton、New Jersey)およびドキセタキセル(TAXOTERE(商標)、Rhone−Poulenc Rorer of Antony、France);クロランブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;プラチナ類似体、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP−16);イフォスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ;イバンドロナート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害薬RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン、ならびに治療薬の組合せ、例えば、ABVD(アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、ダカルバジン)のうちの1つまたは複数の組合せと一緒に投与され得る。
ホジキン病の治療に関しては、本発明のCD80標的治療薬は、ホジキン・リード・スタンベルグ(HRS)細胞またはHRS細胞周囲の浸潤物の細胞上に発現される抗原と結合する抗体と組合せて用いられ得る。HRS細胞のターゲッティングのために有用であるこのような抗原としては、CD30、CD40、RANK、TRAIL、Notch、LMP、IL−13、CD20、CD52およびCCR4が挙げられる。ホジキン病を治療するための組合せ療法に有用なその他の作用物質としては、プロテオソーム阻害薬(例えば、ボルテゾミブ(PS−341;Millennium Pharmaceuticals)およびMG−132(Tokyo、Metroplitan Institute of Medical Science))、ヒストンデアセチラーゼ阻害薬(例えばデプシペプチド(FK228;Gloucester Pharmaceuticals)、およびスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA;Aton Pharma))、ならびにHRS細胞のアポトーシスを誘導するために用いられ得る小分子およびペプチド、例えば、トリテルペノイド、例えばCDD(RTA401、Reata Discovery)および17−アリルアミノ−17−デメトキシ−グレダナマイシン(例えば、Kamalら、Trends. Mol. Med.、2004、10、283−290参照)、N−アセチル−ロイシニル−ロイシニル−ノルロイシナル、N−アセチル−ロイシニル−ロイシニル−メチオナル、カルボベンゾキシル−ロイシニル−ロイシニル−ノルバリナル、カルボベンゾキシル−ロイシニル−ロイシニル−ロイシナル、β−ラクトン、バクタシスチン、ボロン酸ペプチド、ユビキチンリガーゼ阻害薬、シクロスポリンA、およびデオキシスペルグアリンが挙げられる。
本発明のCD80標的治療薬は、抗腫瘍免疫、例えば、腫瘍ワクチンを促す作用物質との組合せでも用いられ得る。多数のこのようなワクチン、例えば、腫瘍特異的細胞傷害性エピトープならびにヘルパーエピトープを組入れるワクチンが、当技術分野で知られている。さらなる作用物質は、CD8細胞傷害性Tリンパ球アネルギーを防止し得る。
さらに、本発明のCD80標的治療薬は、免疫活性を増強する作用物質、例えば抗CTLA4抗体、CTLA4を遮断する他の作用物質、抗PD1抗体、ならびにT細胞活性化および増殖に関して抑制性制御を放出するさらなる作用物質との組合せにおいても用いられ得る。
この出願全体を通して、種々の出版物、特許および公開特許出願は、確認に役立つ引用により参照される。本出願において参照されるこれらの出版物、特許および公開特許明細書の開示は、これにより、本発明が関する当技術分野の状態をより十分に記述するために参照により本明細書中で援用される。
以下の実施例は、本発明の方式を説明するために含まれる。以下の実施例のある態様は、本発明の実行において良好に働くよう本発明の共同発明者により見出されるかまたは意図された技術および手順に関して記載される。本発明の開示ならびに当業者の一般的レベルにかんがみて、以下の実施例は、例示であるに過ぎず、本発明の範囲を逸脱しない限り多数の変更、修正および改変が用いられ得る、と当業者は理解する。
(実施例1)
難治性または再発のホジキンリンパ腫の治療用ガリキシマブ
古典的ホジキンリンパ腫が組織学的に認められる成人患者(18歳以上)を選出して、抗CD80抗体であるガリキシマブで治療する。ガリキシマブは、抗CD80モノクローナルIgG1λ抗体であって、免疫原性を低下させるために、PRIMATIZED(登録商標)抗体技術を使用して開発された。この抗体の可変領域はカニクイザル由来、定常領域はヒト由来である。ガリキシマブを、静脈内注射用の無菌製剤として150mmol/L塩化ナトリウムおよび0.02%ポリソルベート80を含むpH6.5の10mmol/Lクエン酸ナトリウム中に調製する。
患者は、測定可能な疾患(例えば、少なくとも1か所の病変が10mm以上)を有し、かつ適切な血液、腎臓、および肝臓機能を有する患者を、ガリキシマブで1ヵ月間治療する。患者には、注入ポンプおよび0.22ミクロンのタンパク質低結合性フィルターを使用する静脈内注入(IV)、または経口投与によってジフェンヒドラミン50mgを、かつ経口投与によってアセトアミノフェン650mgを前投薬した後に、ガリキシマブを静脈内注入する。患者には、500mg/mのガリキシマブを1週間間隔で4回投与する。ガリキシマブの投与は、外来で1時間以上かけて行う。ガリキシマブの注入完了後、少1時間は患者の状態を監視する。150mL〜250mLの生理食塩水に用量の抗体を希釈調製する。グレード1以上の何らかの注入反応(例えば、発熱、悪寒、呼吸困難)が生じた場合には、ガリキシマブの注入を停止する。症状の回復後には、注入速度を2分の1にして再注入することができる。注入による何らかの有害事象がさらに患者に生じて、その日に再注入が行われなかった場合には、ガリキシマブの注入を中止する。
上記のような導入療法による投与後、ガリキシマブ療法を患者の疾患が進行するまで月1回を基準として継続する。500mg/m用量のガリキシマブを、4週間に1回、注入ポンプと0.22ミクロンのタンパク質低結合性フィルターを使用して1時間以上かけて患者に投与する。注入による毒性が患者に生じた場合には、この注入時間を延長する。ガリキシマブに反応性を示す患者には、治療を続けることができる。患者の経過を、8週目に、その後、ガリキシマブ治療3回後ごとに(すなわち、12週間ごとに1回)、疾患が進行するまで検査する。48か月間の治験終了時に生存しているすべての患者および終了以前に治験から除外されたすべての患者の反応の継続性、他のリンパ腫療法の開始、生存状況、あるいは死因を、6か月間隔で監視する。ガリキシマブ治療の結果、腫瘍微小環境中に腫瘍免疫を促進する変化が生じる。これには、例えば、調節性T細胞の抑圧阻害、腫瘍微小環境中の免疫調節性細胞および/または炎症細胞の減少、腫瘍進行を補助するサイトカインおよび他の因子の下方制御、腫瘍細胞の増殖および/または移動の減少、腫瘍血管新生の減少などによる適応免疫応答の増強が含まれる。
総合的な精密検査(コンピューター断層撮影、磁気共鳴画像、およびX線)ならびに身体診察による疾患の評価を、ベースライン(治験登録時)、ガリキシマブ治療完了の1か月後(50日目)、それ以降の1、2年目は3か月ごと、そして3、4年目は6か月ごとに行う。非ホジキンリンパ腫の国際ワークショップ判定基準(IWRC)で規定されるように、臨床試験のためのアウトカム評価基準(完全奏効、不確定完全奏効、部分奏効、変化なし、および疾患進行)を使用して、治療に対する反応性を検討する。関連するエンドポイントには、全奏効率、完全寛解率、不確定完全寛解率、部分寛解率、奏効期間、および進行までの期間が含まれる。関連する有効性指標にはさらに、実施例3で評価するような腫瘍微小環境中の変化も含まれる。
(実施例2)
ガリキシマブの薬物動態解析
ガリキシマブ注入前と注入完了後10分以内(1、8、15、および22日目)、8週目の注入前、ならびにそれ以降の12週間ごとに、患者の治験が終了するまで、血清および/または生検試料を採取する。薬物動態解析には、血清中、腫瘍塊内、腫瘍結節内、および/または腫瘍を排出しているリンパ節内のガリキシマブ濃度;観察される最高濃度(Cmax);最高濃度に達するまでの時間;半減期;ならびに濃度時間曲線下面積(AUC)が含まれる。試験の定量下限値(250ng/mL)を超える濃度のガリキシマブを含む、治験1日目以降に採取したすべての試料からのデータを、ノンコンパートメント線形回帰法を用いて解析して、抗体の半減期を決定する。AUCは、線形/対数台形法を用いて算出し、時間を無限まで外挿して決定する。
(実施例3)
腫瘍微小環境中の免疫機能に対するガリキシマブの効果
ガリキシマブ療法中の患者の血清および/または生検試料を採取する。これは、1日目の治療前、4週目(導入完了)、8週目、およびそれ以降の12週間ごとに、患者の治験が終了するまで行う。腫瘍塊、腫瘍結節、および/または腫瘍を排出しているリンパ節から生検試料を採取することもできる。これらの試料中の免疫細胞の機能を、当技術分野で知られている方法によって検討する。サイトカインのレベルは、目的のサイトカインに特異的に結合する抗体を使用して測定する。調節性T細胞、Th2細胞、およびマクロファージの定量化は、当技術分野で知られており本明細書にも記載のような適切な分子マーカーを使用して、フローサイトメトリー解析によって行う。腫瘍微小環境の解析にあたっては、まず、腫瘍関連抗原を特異的に結合する抗体を使用して、悪性細胞を試料から枯渇させる。当業者は、治療中の悪性細胞の適切な腫瘍関連抗原を容易に特定することができる。調節性T細胞の含量は、CD4、CD25hi細胞の一集団を識別することによって評価する。このとき、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4)、グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体関連遺伝子(GITR)、CCケモカイン受容体4(CCR4)、フォークヘッドボックスp3(FOXP3)、CCケモカイン受容体6(CCR6)、CD30、CD62Lhi、CD45RBlo、CD45ROhiおよび/またはCD45RAの1つ以上と組み合わせて行う場合もある。Th2細胞は、TCR(T細胞受容体)CD4、CD25細胞で識別され得る。マクロファージの定量化は、TLR5、FCGR1A、SEPT10、LGMNおよび/またはC3AR1を含むバイオマーカーを使用して行う。マクロファージの定量化には、例えば、Farinhaら、Blood、2005、106(16):2169−2174に記載のように、リンパ腫関連マクロファージ(LAM)の量を算出するためのバイオマーカーを使用することもできる。調節T細胞の増殖試験は、カルボキシフルオレセインジアセテート(CFSE)のような生体染色色素の存在下で、細胞を培養することによって行う。
(実施例4)
T細胞活性化に対するガリキシマブの効果
異なるドナーから採取したSBリンパ腫細胞または成熟樹状細胞をCD4+CD25−T細胞と共に培養することによって、正常ヒト末梢血T細胞の活性化に対するガリキシマブの効果を測定した。SBリンパ腫細胞または成熟樹状細胞のいずれの場合においても、これらの細胞で発現した同種異系の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)タンパク質によってT細胞活性化刺激が得られた。MHCミスマッチの程度に関しては、これ以上解析を行っていない。
標準的なFicoll−paque法を用いた密度勾配遠心によって、末梢血単核球(PBMC)を分離した。このPBMCの細胞集団から、CD4発現のないすべての細胞間の接磁気標識化、およびCD4+T Cellllアイソレーションキット(Miltenyi Biotec、カリフォルニア州オーバーン市)を使用して磁気細胞分離により、CD4+CD25−Tリンパ球をネガティブセレクションした。CD8、CD14、CD16、CD19、CD36、CD56、CD123、TCRγ/δ、およびCD235a(グリコホリンA)を発現している細胞を枯渇させた結果、CD4発現陽性の細胞が95%を超えるCD4+T細胞集団が得られた。このCD4+Tリンパ球の集団から、CD25マイクロビーズII(Miltenyi Biotec、カリフォルニア州オーバーン市)を使用してネガティブセレクションを行い、CD25を発現している細胞をさらに枯渇させた。濃縮した細胞集団の均一性を確認するために、分離したすべての細胞集団の特性をフローサイトメトリーによって解析した。次いで、CD4+CD25−T細胞を、細胞浸透性蛍光色素カルボキシフルオレセインサクシニミジルエステル(CFSE)で標識した。成熟樹状細胞は、PBMCを2μg/mLのリポポリサッカリド存在下で一晩培養することによって得られた。次いで、この成熟樹状細胞を、5回洗浄し、外部からガンマ線(2000rad)を照射することによって、非増殖性にした。CFSEで標識したCD4+CD25−T細胞を、SBリンパ腫細胞または成熟樹状細胞と共に5日間培養した。これらの培養物中に、ガリキシマブを様々な濃度で添加した。さらに、CD86の阻止抗体およびCTLA4−Igの効果も、比較のために測定した。CD4+CD25−T細胞の分裂増殖は、CFSE蛍光色素の強度をフローサイトメトリーで定量化することによって測定した。この色素は細胞分裂と同時に娘細胞間に分配されるため、細胞の分裂回数が増加するにつれて細胞の蛍光強度が低下していく。
SBリンパ腫細胞または同種異系の樹状細胞によって誘導されるCD4+CD25−T細胞の分裂増殖は、細胞培養物中にガリキシマブを添加することによって有意に阻害された(図1A〜1B)。T細胞の分裂増殖のガリキシマブによる阻害は、抗CD86抗体またはCTLA4−Igによる阻害より一貫して低かった。これは、CD80とCD86が、T細胞活性化を補助する共刺激分子として相対的に寄与していることと矛盾しない。T細胞の分裂増殖の阻害から明らかであるように、これらの結果により、強いT細胞活性化シグナル(すなわち同種異系の刺激)が存在する状況の中では、ガリキシマブによって、未感作のCD4+CD25−Tリンパ球の活性化が部分的に阻害されることが示される。Tリンパ球が腫瘍微小環境中に存在する特有な細胞構成の形成に貢献している限りにおいては、これらの結果により、ガリキシマブによってT細胞の機能を調整することができ、かつそれによって腫瘍微小環境形成におけるTリンパ球の寄与が変化することが示唆される。
(実施例5)
活性化T細胞のサイトカイン産生に対するガリキシマブの効果
CD4+CD25−T細胞の分離および培養を、実施例4に記載のように行った。多重サイトメトリービーズアレイ検定(BD Biosciences、カリフォルニア州サンノゼ市)を使用して、T細胞が活性化したときに産生されるインターフェロンγおよびインターロイキン2のレベルを測定した。簡単に説明すると、実施例4に記載のように確立した培養物から3日目に培養液上清を回収して、複数の希釈系列で試験を行った。濃度の測定は、並行して(メーカーの使用説明書に従って)作成した標準曲線からの内挿によって行った。CD4+CD25−Tリンパ球を同種異系の成熟樹状細胞と培養することによって誘導されるインターフェロンγおよびインターロイキン2の産生は、ガリキシマブによって有意に阻害された(図2A〜2B)。インターフェロンγの産生は、ガリキシマブおよび抗CD86抗体それぞれによって、約50%阻害された(図2A)。ガリキシマブと抗CD86抗体との組合せによる結果では、インターフェロンγの産生は完全に近いところまで阻害された(図2A)。インターフェロンγの産生は、CTLA4−Igによってもほぼ完全に阻害された(図2A)。CTLA4−IgがCD80およびCD86の両方と結合してこれらを遮断することと考えあわせると、この結果は、ガリキシマブと抗CD86抗体との相加効果に矛盾しない。インターロイキン2の産生に対しても、ガリキシマブ、抗CD86抗体、CTLA4−Ig、およびガリキシマブと抗CD86抗体との組合せによって、同様の傾向の阻害が示された(図2B)。インターフェロンγおよびインターロイキン2の産生阻害から明らかであるように、これらの結果により、強いT細胞活性化シグナル(すなわち同種異系の刺激)が存在する状況の中では、ガリキシマブによって、未感作のCD4+CD25−Tリンパ球の活性化が部分的に阻害されることが示される。T細胞が腫瘍微小環境中の特有なサイトカイン構成の形成に貢献している限りにおいては、これらの結果により、ガリキシマブによってT細胞の機能を調整することができ、かつそれによって腫瘍微小環境形成におけるT細胞の寄与が変化することが示唆される。
(実施例6)
調節性T細胞の発生に対するガリキシマブの効果
CD4+CD25+Tリンパ球を同種異系のSBリンパ腫細胞と共に3日間培養した生体外共培養系において、調節性T細胞の発生に対するガリキシマブの効果を試験した。簡単に説明すると、実施例4に記載するように、PBMCを分離して、実施例4に記載のネガティブセレクションによってCD4+細胞をさらに純化した。CD25マイクロビーズII(Miltenyi Biotec、カリフォルニア州オーバーン市)を使用したポジティブセレクションによって、CD4+CD25+細胞をさらに濃縮した。調節性T細胞の測定は、高レベルのCD25、すなわちCD25hiを発現しているCD4+CD45RA+CD127−T細胞の割合をフローサイトメトリーで測定することによって行う。この細胞集団が調節性T細胞サブセットを規定するFOXP3陽性の細胞であることを確認した。
2名の異なるドナーからのPBMCを用いた試験において、SBリンパ腫細胞とCD4+CD25+T細胞とを、SB:Tの比率を1:10にして培養した結果、調節性T細胞の誘導が最高となり、そのレベルはCD4+CD45RA+CD127−T細胞のうち(CD25hiが)約37%および約62%であった(図3Aおよび3B)。SB:T比を1:120および1:160にした結果、それぞれ約16%および約48%の調節性T細胞が誘導された(図3Aおよび3B)。いずれの比においても、T細胞を単独で培養した結果では、誘導された調節性T細胞は5%未満であった(図3Aおよび3B)。1名のドナー(202)では、ガリキシマブによって、アイソタイプが適合したヒトIgG1対照抗体と比較して有意な、調節性T細胞の誘導阻害が示された(図3A)。この場合、ガリキシマブによる調節性T細胞の誘導阻害は、抗CD86抗体より効力が高く、CTLA4−Ig、またはガリキシマブと抗CD86抗体との組合せでみられたレベルにより近かった。別のドナーでは、CTLA4−Igによる調節性T細胞の誘導阻害は示されたが、ガリキシマブによる誘導阻害は示されなかった(図3B)。これらの結果より、ガリキシマブによって調節性T細胞の誘導を阻害できることが示唆される。
(実施例7)
腫瘍微小環境中のサイトカイン産生に対するガリキシマブの効果
腫瘍微小環境中におけるガリキシマブの潜在的な効果をさらに調査するために、様々な範囲で複雑な腫瘍微小環境の確立の一因となる複数の細胞型の寄与をモデル化するための共培養解析法を確立した。
標準的なFicoll−paque法を用いた密度勾配遠心によって、PBMCを分離した。このPBMC集団から、すべての非CD4+細胞またはすべての非CD14+細胞を間接磁気標識および磁気細胞分離により、CD4+Tリンパ球またはCD14+単球のいずれかから構成される特定の細胞サブセットをネガティブセレクションした。CD4+ T Cellアイソレーションキット(Miltenyi Biotec、カリフォルニア州オーバーン市)を使用して、CD8、CD14、CD16、CD19、CD36、CD56、CD123、TCRγ/δ、およびCD235a(グリコホリンA)を発現している細胞を枯渇させることによって、CD4の均一性が95%を超えるCD4+Tリンパ球を分離した。Monocyteアイソレーションキット(Miltenyi Biotec、カリフォルニア州オーバーン市)を使用して、CD3、CD7、CD16、CD19、CD56、CD123、およびCD235a(グリコホリンA)を発現している細胞を枯渇させることによって、CD14の均一性が90%を超えるCD14+単球を分離した。濃縮した細胞集団の均一性を確認するために、分離したすべての細胞集団の特性をフローサイトメトリーによって解析した。純化したCD4+Tリンパ球およびCD14+単球をそれぞれ、96ウェルの平底マイクロタイタープレート中の10%FBSを含むRPMI1640培地(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド市)中で、1ウェルあたり200,000個の細胞で培養した。Rajiリンパ腫細胞株は、1ウェルあたり20,000個の細胞で培養した。培養を4日間維持し、4日目に培養液上清を回収した。多重サイトメトリービーズアレイ検定(BD Biosciences、カリフォルニア州サンノゼ市)を使用して、培養液上清中に存在するインターロイキン12(p70)、TNFα、インターロイキン10、インターロイキン6、インターロイキン1β、およびインターロイキン8の濃度を測定した。ガリキシマブのアイソタイプ対照として、精製ヒト血清骨髄腫IgG1κ(Southern Biotech、アラバマ州バーミングハム市)を使用した。(CD80およびCD86の)完全な遮断とガリキシマブを介したCD80の特異的な遮断とを比較する対照として、改変したCHOの産生細胞株から精製したCTLA4−Igを使用した。末梢血単球活性化の陽性対照として、リポポリサッカリド(Sigma、ミズーリ州セントルイス市)を使用した。
図4A〜4Dに示すように、単独培養したCD14+単球によって、インターロイキン8およびインターロイキン6の自発的または構成的な産生が示された。CD4+T細胞またはRaji細胞との共培養を行った結果、インターロイキン8およびインターロイキン6の産生は減少した(図4A〜4D)。CD14+単球単独による、あるいはCD14+単球とCD4+T細胞(1:1の比)またはRaji細胞(10:1の比)との共培養による、インターロイキン8およびインターロイキン6の産生はいずれも、ガリキシマブならびにCTLA4−Igによって阻害された(図4A〜4D)。CD4+T細胞、CD14+単球、およびRajiリンパ腫細胞の3種の共培養(10:10:1の比)では、3種すべての細胞型の存在に依存して、明らかに異なる生物活性が示された。すなわち、3種すべての細胞型を共培養したときには、いかなる細胞型の単独または2種の組合せからなる培養物と比較しても、インターロイキン8およびインターロイキン6の両方の産生に顕著な相乗促進効果が示された。この3種の共培養において促進されたインターロイキン8およびインターロイキン6の産生は、ガリキシマブによって有意に阻害された(図4A〜4D)。1名のドナー(ドナーA)からの結果により、この3種の共培養におけるインターロイキン8およびインターロイキン6の産生が、ガリキシマブによってCTLA4−Igと同等の効力で阻害されることが示された(図4A〜4B)。別のドナー(ドナーB)からの結果では、CTLA4−Igによって、より高い効力が示された。ドナーBでは、インターロイキン8およびインターロイキン6の両方の産生が、ガリキシマブによって50%以上阻害された。ドナーBでは、CD14+単球単独による、あるいはCD14+単球とCD4+T細胞またはRaji細胞との組合せによるサイトカインの産生はいずれも、ガリキシマブによってCTLA4−Igと比較して同等の効力で阻害された(図4C〜4D)。ドナーBの結果においてCTLA4−Igによるより高い効力が明らかであったのは、このように、インターロイキン8およびインターロイキン6の産生を有意に増加させた、3種の共培養条件下においてのみであった。
さらに別のドナー(ドナーC)から採取した細胞を用いて共培養分析システムで試験した結果は、これらとは異なるものであった(図4E〜4F)。ドナーCの場合には、インターロイキン8およびインターロイキン6の産生に対して、ガリキシマブによる効果もCTLA4−Igによる効果も全くみられなかった。しかし、表1にまとめたように、CD14+単球によって自発的に産生されるインターロイキン8およびインターロイキン6のレベルが、ドナーAまたはドナーBから採取した細胞を用いて行った試験でみられたレベルより1桁以上高かった(図4A〜4D)。さらに、ドナーCからの細胞を用いた3種の共培養の結果では、インターロイキン6の産生にはドナーAおよびBからの細胞でみられたような相乗的促進効果が示されたにもかかわらず、インターロイキン8の産生にはそのような相乗的な増加は生じなかった。これらの結果は、腫瘍微小環境中で発現して直接的および間接的に腫瘍進行を補助するサイトカインのスペクトルに、ガリキシマブによって有意に強い影響を与え得ることを示している。
Figure 2010522772

Claims (111)

  1. 調節性T細胞機能が悪性疾患の一因となるかまたは悪化させる悪性および非悪性細胞の腫瘍微小環境を含む悪性疾患を有する被験者の治療方法であって、治療的有効量のCD80標的治療薬を被験者に投与することを包含する方法。
  2. 前記疾患が血液学的悪性疾患または非血液学的悪性疾患である請求項1記載の方法。
  3. 悪性疾患が血液学的悪性疾患である請求項2記載の方法。
  4. 血液学的悪性疾患がリンパ腫である請求項3記載の方法。
  5. リンパ腫がB細胞リンパ腫である請求項4記載の方法。
  6. B細胞リンパ腫がホジキン病である請求項5記載の方法。
  7. 悪性疾患が非血液学的悪性疾患である請求項2記載の方法。
  8. 非血液学的悪性疾患が乳房、結腸、直腸、肺、中咽頭、下咽頭、食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢、胆管、小腸、尿路、例えば、腎臓、膀胱および尿路上皮、雌性生殖路、子宮頚部、子宮、卵巣、雄性生殖路、前立腺、精嚢、精巣、内分泌腺、甲状腺、副腎、脳下垂体、皮膚、骨、柔組織、血管、脳、神経、眼、髄膜の癌である請求項7記載の方法。
  9. CD80標的治療薬が抗CD80抗体またはそのCD80結合断片である請求項1記載の方法。
  10. 抗CD80抗体またはそのCD80結合断片がキメラ、ヒト化またはヒト抗体である請求項9記載の方法。
  11. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体により結合されたCD80エピトープを結合する請求項9記載の方法。
  12. 抗CD80抗体またはその断片がCD80との結合に関してATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体と競合する請求項9記載の方法。
  13. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体の可変領域由来の可変領域を含む請求項9記載の方法。
  14. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体の可変領域を含む請求項13記載の方法。
  15. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体の相補性決定領域(CDR)を含む請求項9記載の方法。
  16. 抗CD80抗体がガリキシマブである請求項9記載の方法。
  17. 調節性T細胞、Th2ヘルパー細胞または調節性T細胞とTh2細胞の両方の活性化が抑制される請求項1記載の方法。
  18. 調節性T細胞、Th2ヘルパー細胞または調節性T細胞とTh2細胞の両方の増殖が抑制される請求項1記載の方法。
  19. CD80標的治療薬がCD80/CTLA4シグナル伝達を遮断することなくCD80/CD28シグナル伝達を遮断する請求項1記載の方法。
  20. 腫瘍微小環境中の1つまたは複数の炎症性サイトカインの産生が低減される請求項2記載の方法。
  21. 1つまたは複数の炎症性サイトカインがインターロイキン−2、インターロイキン−4、インターロイキン−10、インターロイキン−12、形質転換成長因子βおよびインターフェロン−γからなる群から選択される請求項20記載の方法。
  22. 腫瘍微小環境中の非悪性CD80発現細胞が低減される請求項2記載の方法。
  23. CD80発現細胞が抗原提示細胞、骨髄由来単球またはTie−2発現単球である請求項22記載の方法。
  24. 腫瘍微小環境の非悪性細胞による1つまたは複数の悪性細胞生存シグナルの生成が低減される請求項2記載の方法。
  25. 1つまたは複数の生存シグナルがCD40/CD40Lシグナル伝達、インターロイキン−1またはインターロイキン−6からなる群から選択される請求項24記載の方法。
  26. 前記悪性疾患に対する免疫が被験者において増強される請求項2記載の方法。
  27. 抗癌薬を被験者に投与することをさらに包含する請求項2記載の方法であって、CD80標的治療薬および抗癌薬が同時にまたはいずれかの順序で連続して投与される方法。
  28. 二次治療薬が細胞毒素、放射性同位体、化学療法薬、免疫調整または免疫調節薬、抗血管新生薬、抗増殖薬、プロアポトーシス薬、細胞増殖抑制および細胞溶解酵素(例えばRNアーゼ)、酵素阻害薬(例えば、プロテアソーム阻害薬)、ならびに腫瘍ワクチンからなる群から選択される請求項27記載の方法。
  29. 被験者における癌免疫の増強方法であって、治療的有効量のCD80標的治療薬を被験者に投与することを包含する方法。
  30. 被験者の腫瘍微小環境中の調節性T細胞およびTh2ヘルパー細胞活性化の抑制方法であって、治療的有効量のCD80標的治療薬を被験者に投与することを包含する方法。
  31. 腫瘍微小環境が血液学的または非血液学的悪性疾患の悪性細胞を含む請求項30記載の方法。
  32. 悪性細胞が血液学的悪性疾患の細胞である請求項31記載の方法。
  33. 血液学的悪性疾患がリンパ腫である請求項32記載の方法。
  34. リンパ腫がB細胞リンパ腫である請求項33記載の方法。
  35. B細胞リンパ腫がホジキン病である請求項34記載の方法。
  36. 悪性細胞が非血液学的悪性疾患の細胞である請求項30記載の方法。
  37. 非血液学的悪性疾患が乳房、結腸、直腸、肺、中咽頭、下咽頭、食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢、胆管、小腸、尿路、例えば、腎臓、膀胱および尿路上皮、雌性生殖路、子宮頚部、子宮、卵巣、雄性生殖路、前立腺、精嚢、精巣、内分泌腺、甲状腺、副腎、脳下垂体、皮膚、骨、柔組織、血管、脳、神経、眼、髄膜の癌である請求項36記載の方法。
  38. CD80標的治療薬が抗CD80抗体またはそのCD80結合断片である請求項30記載の方法。
  39. 抗CD80抗体またはそのCD80結合断片がキメラ、ヒト化またはヒト抗体である請求項38記載の方法。
  40. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体により結合されたCD80エピトープを結合する請求項38記載の方法。
  41. 抗CD80抗体またはその断片がCD80との結合に関してATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体と競合する請求項38記載の方法。
  42. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体の可変領域由来の可変領域を含む請求項38記載の方法。
  43. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体の可変領域を含む請求項42記載の方法。
  44. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体の相補性決定領域(CDR)を含む請求項38記載の方法。
  45. 抗CD80抗体がガリキシマブである請求項44記載の方法。
  46. 腫瘍微小環境中の1つまたは複数の炎症性サイトカインの産生が低減される請求項30記載の方法。
  47. 1つまたは複数の炎症性サイトカインがインターロイキン−2、インターロイキン−4、インターロイキン−10、インターロイキン−12、形質転換成長因子βおよびインターフェロン−γからなる群から選択される請求項46記載の方法。
  48. 調節性T細胞およびTh2ヘルパー細胞の増殖が低減される請求項30記載の方法。
  49. 被験者の腫瘍微小環境中の1つまたは複数の炎症性サイトカインの産生の抑制方法であって、治療的有効量のCD80標的治療薬を被験者に投与することを包含する方法。
  50. 1つまたは複数の炎症性サイトカインがインターロイキン−2、インターロイキン−4、インターロイキン−10、インターロイキン−12、形質転換成長因子βおよびインターフェロン−γからなる群から選択される請求項49記載の方法。
  51. 腫瘍微小環境が血液学的または非血液学的悪性疾患の悪性細胞を含む請求項49記載の方法。
  52. 悪性細胞が血液学的悪性疾患の細胞である請求項51記載の方法。
  53. 血液学的悪性疾患がリンパ腫である請求項52記載の方法。
  54. リンパ腫がB細胞リンパ腫である請求項53記載の方法。
  55. B細胞リンパ腫がホジキン病である請求項54記載の方法。
  56. 悪性細胞が非血液学的悪性疾患の細胞である請求項52記載の方法。
  57. 非血液学的悪性疾患が乳房、結腸、直腸、肺、中咽頭、下咽頭、食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢、胆管、小腸、尿路、例えば、腎臓、膀胱および尿路上皮、雌性生殖路、子宮頚部、子宮、卵巣、雄性生殖路、前立腺、精嚢、精巣、内分泌腺、甲状腺、副腎、脳下垂体、皮膚、骨、柔組織、血管、脳、神経、眼、髄膜の癌である請求項56記載の方法。
  58. CD80標的治療薬が抗CD80抗体またはそのCD80結合断片である請求項49記載の方法。
  59. 抗CD80抗体またはそのCD80結合断片がキメラ、ヒト化またはヒト抗体である請求項58記載の方法。
  60. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体により結合されたCD80エピトープを結合する請求項58記載の方法。
  61. 抗CD80抗体またはその断片がCD80との結合に関してATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体と競合する請求項58記載の方法。
  62. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体の可変領域由来の可変領域を含む請求項58記載の方法。
  63. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体の可変領域を含む請求項62記載の方法。
  64. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体の相補性決定領域(CDR)を含む請求項58記載の方法。
  65. 抗CD80抗体がガリキシマブである請求項64記載の方法。
  66. 腫瘍微小環境中の非悪性CD80発現細胞が低減される請求項49記載の方法。
  67. CD80発現細胞が抗原提示細胞、骨髄由来単球またはTie−2発現単球である請求項49記載の方法。
  68. 被験者の腫瘍微小環境中の非悪性CD80発現細胞を枯渇させる方法であって、治療的有効量のCD80標的治療薬を被験者に投与することを包含する方法。
  69. CD80発現細胞が抗原提示細胞、骨髄由来単球またはTie−2発現単球である請求項68記載の方法。
  70. 腫瘍微小環境が血液学的または非血液学的悪性疾患の悪性細胞を含む請求項68記載の方法。
  71. 悪性細胞が血液学的悪性疾患の細胞である請求項70記載の方法。
  72. 血液学的悪性疾患がリンパ腫である請求項71記載の方法。
  73. リンパ腫がB細胞リンパ腫である請求項72記載の方法。
  74. B細胞リンパ腫がホジキン病である請求項73記載の方法。
  75. 悪性細胞が非血液学的悪性疾患の細胞である請求項68記載の方法。
  76. 非血液学的悪性疾患が乳房、結腸、直腸、肺、中咽頭、下咽頭、食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢、胆管、小腸、尿路、例えば、腎臓、膀胱および尿路上皮、雌性生殖路、子宮頚部、子宮、卵巣、雄性生殖路、前立腺、精嚢、精巣、内分泌腺、甲状腺、副腎、脳下垂体、皮膚、骨、柔組織、血管、脳、神経、眼、髄膜の癌である請求項75記載の方法。
  77. CD80標的治療薬が抗CD80抗体またはそのCD80結合断片である請求項68記載の方法。
  78. 抗CD80抗体またはそのCD80結合断片がキメラ、ヒト化またはヒト抗体である請求項77記載の方法。
  79. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体により結合されたCD80エピトープを結合する請求項77記載の方法。
  80. 抗CD80抗体またはその断片がCD80との結合に関してATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体と競合する請求項77記載の方法。
  81. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体の可変領域由来の可変領域を含む請求項77記載の方法。
  82. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体の可変領域を含む請求項81記載の方法。
  83. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体の相補性決定領域(CDR)を含む請求項77記載の方法。
  84. 抗CD80抗体がガリキシマブである請求項83記載の方法。
  85. 腫瘍微小環境の非悪性細胞による1つまたは複数の悪性細胞生存シグナルの生成が低減される請求項68記載の方法。
  86. 1つまたは複数の生存シグナルがCD40/CD40Lシグナル伝達、インターロイキン−1またはインターロイキン−6からなる群から選択される請求項85記載の方法。
  87. 非悪性CD80発現細胞が悪性疾患の一因となるかまたは悪化させる悪性および非悪性細胞の腫瘍微小環境を含む悪性疾患を有する被験者の治療方法であって、治療的有効量のCD80標的治療薬を被験者に投与することを包含する方法。
  88. 悪性疾患が血液学的悪性疾患または非血液学的悪性疾患である請求項87記載の方法。
  89. 悪性疾患が血液学的悪性疾患である請求項88記載の方法。
  90. 血液学的悪性疾患がリンパ腫である請求項89記載の方法。
  91. リンパ腫がB細胞リンパ腫である請求項90記載の方法。
  92. B細胞リンパ腫がホジキン病である請求項91記載の方法。
  93. 悪性疾患が非血液学的悪性疾患である請求項88記載の方法。
  94. 非血液学的悪性疾患が乳房、結腸、直腸、肺、中咽頭、下咽頭、食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢、胆管、小腸、尿路、例えば、腎臓、膀胱および尿路上皮、雌性生殖路、子宮頚部、子宮、卵巣、雄性生殖路、前立腺、精嚢、精巣、内分泌腺、甲状腺、副腎、脳下垂体、皮膚、骨、柔組織、血管、脳、神経、眼、髄膜の癌である請求項93記載の方法。
  95. CD80発現細胞がマクロファージ、樹状細胞または骨髄由来サプレッサー細胞である請求項87記載の方法。
  96. CD80標的治療薬が抗CD80抗体またはそのCD80結合断片である請求項87記載の方法。
  97. 抗CD80抗体またはそのCD80結合断片がキメラ、ヒト化またはヒト抗体である請求項96記載の方法。
  98. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体により結合されたCD80エピトープを結合する請求項96記載の方法。
  99. 抗CD80抗体またはその断片がCD80との結合に関してATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体と競合する請求項96記載の方法。
  100. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体の可変領域由来の可変領域を含む請求項96記載の方法。
  101. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体の可変領域を含む請求項100記載の方法。
  102. 抗CD80抗体がATCC寄託番号HB−12119により産生される抗体の相補性決定領域(CDR)を含む請求項96記載の方法。
  103. 抗CD80抗体がガリキシマブである請求項96記載の方法。
  104. 腫瘍微小環境中の1つまたは複数の炎症性サイトカインの産生が低減される請求項87記載の方法。
  105. 1つまたは複数の炎症性サイトカインがインターロイキン−2、インターロイキン−4、インターロイキン−10、インターロイキン−12、形質転換成長因子βおよびインターフェロン−γからなる群から選択される請求項104記載の方法。
  106. 腫瘍微小環境中のCD80発現細胞が低減される請求項87記載の方法。
  107. 腫瘍微小環境の非悪性細胞による1つまたは複数の悪性細胞生存シグナルの生成が低減される請求項87記載の方法。
  108. 1つまたは複数の生存シグナルがCD40/CD40Lシグナル伝達、インターロイキン−1またはインターロイキン−6からなる群から選択される請求項107記載の方法。
  109. 前記悪性疾患に対する免疫が被験者において増強される請求項87記載の方法。
  110. 抗癌薬を被験者に投与することをさらに包含する請求項87記載の方法であって、CD80標的治療薬および抗癌薬が同時にまたはいずれかの順序で連続して投与される方法。
  111. 二次治療薬が細胞毒素、放射性同位体、化学療法薬、免疫調整または免疫調節薬、抗血管新生薬、抗増殖薬、プロアポトーシス薬、細胞増殖抑制および細胞溶解酵素(例えばRNアーゼ)、酵素阻害薬(例えば、プロテアソーム阻害薬)、ならびに腫瘍ワクチンからなる群から選択される請求項110記載の方法。
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