JP2010517722A - Mriに適合する、放射線不透過の医療機器用合金 - Google Patents
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Abstract
主要な構成元素が、相対的に高い体積率のチタンと、相対的に低い体積率の添加元素または概して遷移元素から選択される元素(水銀、カドニウム、オスミウムおよび銅を除く)とからなる金属合金。合金から形成される医療機器は、MRIによる画像化のもとで可視可能であり、また当該医療機器は、X線の蛍光透視法によって観察する上で十分な放射線不透過性を有している。合金を、多数の医療機器に組み込むことができる。
Description
本出願は、2007年2月13日に出願された米国仮出願第60/901,568号を優先権の基礎とする出願であり、従って、当該米国仮出願の内容は参照によりその全体が本明細書に包含される。
本発明は、人体内で用いる医療機器に係る。とりわけ、本発明は、制限はされないが、人体を治療し、または回復させるためのクリップ、腹部大動脈瘤(AAA)接合、および、金属ステントなどの吻合機器を含む医療機器であって、蛍光透視法(X線)、コンピュータトモグラフィー(X線ベース)、および磁気共鳴画像化(MRI)により効果的に観察され得る医療機器に関する。
現在、X線(蛍光透視法、コンピュータトモグラフィー(CT)および電子ビームトモグラフィー(EBT))は、心臓血管に関する介入性の処置、例えばステントの送りおよび据付などの処置のための好ましい画像診断方法である。医者(interventionalist)が、分析によって機器の送りを追跡し、そして、ステントを目標位置に正確に配置することができるよう、ステントの配置(据付)は、リアルタイムでの可視化を必要とする。蛍光透視法によりステントを可視化し追跡することは、可視化のための最も普及力のある診断方法であり、ステントの固有のX線吸収によって、または、ステント上に放射線不透過性のマーカーを配置することによって達成される。同様に、蛍光透視法は、(経過観察中の)吻合クリップおよび(配置および経過観察中の)AAA接合を観察するための好ましい画像診断方法である。
現在、蛍光透視法に匹敵する時間的または空間的な分解能を有している可視化方法はない。それでもやはり、蛍光透視法は、患者および臨床医にとっての欠点を有している。例えば、高濃度にヨウ素化された対照剤を患者の冠状動脈内またはその他の管内に直接に注入するためのカテーテル処置が必要とされている。対照剤を全身に投与することは、服用量が非常に多くなるため現実的ではない。その上、ヨウ素化された対照剤は、短期間の腎不全の発生を少ないがある程度伴うものであり、腎臓に有害なものである。また対照剤は、所定の患者にとって禁忌として作用するアレルギー反応を伴うものである。加えて、蛍光透視法は、電離X線放射線を用い、このため、放射の実施に含まれる付随する危険をも伴う。このことは、長引いたまたは繰り返しの介入の間、患者にとっての問題であり、また、患者の放射線量を監視し、そして処置のときに鉛の遮蔽物を着用しなければならない医療職員にとっての毎日の問題である。さらに、蛍光透視法は、本来的に、3次元構造物の2次元投影画像を生成することに限られる。従って、複雑な脈管構造を評価するためには、複数の観察が必要とされる。
その他の画像診断方法であって、医療機器の画像診断において役に立つようになる可能性を有する方法が、磁気共鳴画像化(MRI)またはこの画像化形式の一派である磁気共鳴血管造影(MRA)である。MRIは、現在、診断用途において用いられているが、しかし、介入性のMRIも積極的に研究されている分野である。機器をMRIにより観察するためには、機器がMRIに“適合性のある”ものでなければならない。診断または介入処置の状況において、このことは、医療機器を正確に画像化する能力を意味している。MRIによって機器を画像化する機構は、能動的または受動的なものに分類される。能動的な画像化においては、機器に電気回路が導入されるが、しかしながら、このことは現在のところ、吻合クリップ、AAA接合、またはステントなどの小さな、固定されずに据え付けられる機器にとって、容易に実施される解決方法ではない。受動的な画像化においては、可視性が、金属製の医療機器における磁気感受性に依存する。MRIの可視性はまた、機器のデザインに依存する。
MRI技術は、蛍光透視法に対していくつかの明瞭な利点を示している。例えばMRIは、電離放射線を用いず、また脈間構造を画像化する上でカテーテル挿入を必要としない。その上、MRIの対照剤は、それは最適な分解能のためには必要なものであるが、ヨウ素化された蛍光透視法の対照剤よりも腎臓への有害性が低く、また、静脈を通して行われるときに効果的となるものである。MRIのさらなる利点は、画像化された組織の一連の3次元データを生成する断層撮影画像化技術であるという点である。従って、一連のデータを、様々な画像化平面および部分厚さを示すよう処理することができる。これによって、高品質の横断の、冠状の、および矢状面の画像を直接に得ることができる。さらに、MRIは、コンピュータトモグラフィー(CT)または血管造影などのその他のX線を基礎とする画像診断方法よりも優れた柔組織のコントラストおよび組織識別力を有している。
MRIの技術は、所定の原子核(磁気双極子を所有するもの)を磁場を利用して検出すること、および、ラジオ周波数(RF)を放射することを包含している。それは、人体組織の断面表示を提供する上で、柔組織の細部の分解能が優れているということに関してのみ、X線により算出されたトモグラフィーにいくつかの点で類似している。その現在の使用において、画像は、器官および組織における水素原子核、すなわち陽子の分布図を構成しており、また、器官および組織におけるそれらの特性を構成している。しかしながら、X線により算出されたトモグラフィーとは異なり、MRIは電離放射線を使用しない。使用される磁場および無線周波数の場のレベルに関連する既知の有害なものが基本的に欠けているということにより、繰り返しのスキャンが可能となる。加えて、横断の、冠状の、および矢状面の任意のスキャン平面が容易に選択され得る。MRIは、従って、医療における画像化のための、安全で、健康な組織を害さない技術である。
MRI技術を使用することによる医療機器に関連する利点は多々あるが、しかしながら、その利用に関連するいくつかの課題および起こりうる不利益もある。なぜなら、医療機器は典型的には電気伝導材料から構成されているからであり、電気伝導材料は、それらがMRIにより画像化されるとき、ファラデーケージ効果として知られているもののために不利になり得るからである。一般に、ファラデーケージとは、その中身を電磁放射線から遮蔽するための電気伝導材料の箱、ケージ、または配列である。ファラデーケージの有効性は、放射線の波長、ケージの網の寸法、ケージ材料の導電率、その厚さ、およびその他の属性に依存する。ステントは、例えば、それが、MRI走査装置により起こりうるRFパルスから脈管内腔を遮蔽するファラデーケージとして働く。これにより、脈管内腔における水分子のプロトンスピンが反転させられまたは励起させられるのが防がれる。従って、脈管内腔からの所望の信号がこの励磁の縮小により低減される。その上さらに、ステントによるファラデーケージは、内腔においてどのような信号が生成されようとも、その流出(escape)を遅らせようとする。MRIによって金属機器を画像化する上でのその他の重要な課題は、機器の磁気感受性の効果である。例えば、ステントの金属の磁気感受性が、周囲組織の磁気感受性と大きく異なっている場合、インプラントの近傍における磁場が乱されるであろう。このことは、その近傍において陽子の共鳴状況を変化させ、これによって、信号損失を伴う内部ボクセル(intravoxel)の位相ずれ(dephasing)が発生する。現在の金属製、大抵はステンレス鋼からなるステントの正味の結果は、MRI画像における信号欠落となっている。その他のニチノールなどの金属製ステントも、ファラデーケージ効果と磁気感受性の効果の結合により、脈管内腔における著しい信号欠落を有している。その他の医療機器において、同様の結果が、機器の寸法、使用される特定の金属、インプラント内の金属の量、機器の形状およびデザイン、およびMRI装置により使用される走査パラメータに依存する画像化アーティファクト(artifact)の寸法に関連して発生している。
蛍光透視法およびMRIによる画像化はともに、医療機器の可視化技術において多大な進歩をもたらしている。どちらの技術も、付随する利点および不利な点を有している。蛍光透視法を用いて可視化され得る医療機器には、広く認められている必要性があるため、蛍光透視法は、少なくとも近い将来までは、そのような機器のための画像化方法の選択肢であり続けるであろう。しかしながら、MRIも現在、脈管構造の様々な領域を、健康な組織を冒すことなく画像化するために用いられている。例えば、包括的な心臓のMRI検査は、全体的な心臓の機能、心筋壁の動き、および心筋の灌流の領域における臨床的な実用性を証明してきており、このことは、MRIが心臓病の標準的な診断ツールとなり得ることを示している。さらに、脈管系を含む人体のその他の部分におけるMRI検査は、決まりきった仕事になってきている。そのような分野で使用される医療機器にとって、金属は好ましい材料である。残念ながら、大抵の金属製の医療機器、とりわけステンレス鋼からなる医療機器は、その近傍において組織のMRI画像を消し、そして画像において周囲の組織を見えなくする。医療機器における金属の量を低減すること、適切な組み合わせの金属を合金化すること、または医療機器の構造およびパターンを変えることにより、ファラデーケージ効果および磁気感受性の効果を低減することができ、そして、可視性の限界に取り組むことができる。
従って、画像化技術における利点という点から見て、適切な方法によりMRIによって有意義に画像化されるとともに、蛍光透視法を用いて観察するのに十分な放射線不透過性を有する医療機器が極めて有利である。加えて、そのような機器を製造するのに用いられる合金は、生体親和性のものであるとともに、腐食に対して十分に抵抗を有するものである必要があり、一方、当該合金は、特定の用途に適した、必要不可欠な機械的および構造的特性を有している必要がある。
本発明は、MRIおよび蛍光透視法による画像化技術を用いての適切な可視性のための固有の放射線不透過性およびMRI適合性を有するとともに、機械的特性および生体親和性を維持している合金を提供する。
本発明は、十分な程度の放射線不透過性とMRI適合性とを有する合金から形成されている医療機器であって、X線(蛍光透視法、CTおよびEBT)およびMRI画像化技術を用いて観察可能な医療機器を提供する。この2つの役割を提供する合金群は、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、銀、インジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、イリジウム、プラチナおよび金となっている。これらの元素群は、元素の磁気感受性に基づいて選択されている。全ての合金は蛍光透視法に適合しており、高い原子量を有する元素に関しては、蛍光透視法においてより放射線不透過となり、一方、アルミニウムおよびチタンなどの低い原子量を有する元素は、蛍光透視法における所望の可視化を達成するため、より大きな原子量を有する元素との結合を必要とする。
本発明の合金の特有の組成は、金属性の合金からなる医療機器における、蛍光透視法およびMRIに対する可視性、生体親和性、構造的特徴、および柔軟性を含む要素に依存して、様々であることができる。従って、いくつかの3元および4元合金は、本発明に適した合金である。例えば、ニオブを主材料とするいくつかの合金は、Nb−10Ta−10W−0.1Y,Nb−10Hf−1Ti,Nb−28Ta−10W−1ZrおよびNb−30Ti−20Wを含んでいる。同様に、チタンを主材料とするいくつかの合金は、Ti−29Nb−13Ta−4.6Zr,Ti−35Nb−7Zr−5Ta,Ti−16Nb−13Ta−4Mo,Ti−29Nb−13Ta,Ti−15Nb−6Hf−6Mo,Ti−38Nb−12Al,およびTi−13Zr−13Nbを含んでいる。
一例として、1つの形態において、純チタンからなるステントは、優れたMRI適合性および生体親和性を有しているが、しかしながら、このようなステントは、蛍光透視法における観察のための十分な放射線不透過性を有しておらず、また、チタンは、ステンレス鋼に匹敵する延性および伸びを有しておらず、このため、歪を殆ど負わせないようにステントパターンを変形させることが必要とされる。そのような変形は、ステントがより開放的なパターンを有すること、またはステントが所定の寸法よりも大きく拡張されないことを必要としており、この2つの要求がその臨床の機能性を弱めている。本発明の合金組成により、ステントは、管の内腔における拡張および配置の後、低い送り断面を維持するとともに、ステントとしての機能に付随する機械的および構造的要求の全てを満たすことができる。しかしながら、合金組成はまた、従来のステント合金に対して以下のような利点を有するステントを提供する。すなわち、十分に放射線不透過であり、かつMRIに適合しており、このため、筋交いの厚さを大きくすること、または放射線不透過性またはMRIに適合する材料からなる追加層またはマーカーを追加することを必要とすることなく、蛍光透視法およびMRIのもとで、ステントを良好に画像化することができるという利点を有するステントを提供する。さらに、蛍光透視法のもとでの放射線不透過性およびMRIアーティファクトは、周辺組織または管の内腔をステントが配置されている中へ覆い隠すほど大きくはない。同時に、結果として生じる合金は、優れた生体親和性を維持している。チタンまたはニオブの1つの形態において、体積率に基づいて最も大きい元素成分はチタンまたはニオブであり、チタンまたはニオブは、タンタル、ジルコニウム、および/またはハフニウムなどの元素とともに合金化される。添加元素が、モリブデン、アルミニウム、タングステン、イリジウム、白金、金、パラジウム、および/または銀、または元素の周期表の遷移金属のうち水銀、カドニウム、オスミウムおよび銅を除いたものであることも意図されている。結果として生じる合金は、二元合金であってもよく、この場合、チタンまたはニオブは、上述のグループのうちの1つの添加元素とともに合金化される。または、結果として生じる合金は、上述の添加元素の様々な組合せから構成されていてもよく、または、上述の添加元素を全て組み合わせて構成されていてもよい。
合金における主成分をチタンまたはニオブとすることにより、合金に、MRI画像化のもとでの可視性のためのMRI適合性がもたらされ、また、患者の脈管構造の中に長期間配置する計画の多様性のために要求される生体親和性が提供される。しかしながら、上記の添加元素がチタンまたはニオブを有する合金形態内に結合されるとき、新たに形成される合金はまた、腐食に対するより大きな抵抗を有し、また、より良い機械的特性を有しており、かつ、純チタンまたは純ニオブが用いられている場合よりも、純チタンまたは純ニオブの放射線不透過性から放射線不透過性を変える。この結果、合金は、ステント、吻合クリップ、AAA接合、および、冠状動脈、神経性の伏在静脈、腎臓の、腸骨の、食道の、胆のうの、大動脈の、またはその他の体の領域における用途で使用されるその他の医療機器を形成するのにとりわけ非常に適している。
本発明におけるこれらのおよびその他の特徴および利点は、本発明の原理を例示的に説明する、付随する図とともに、以下の詳細な説明を考慮することにより明らかとなる。
本発明は、蛍光透視法およびMRI画像化技術を用いて可視可能となるよう十分な程度の放射線不透過性およびMRI適合性を提供する金属合金に関する。金属合金は、限定はされないが、血管内のステント、吻合クリップおよびAAA接合を含む医療機器にとりわけ適している。比較例として、316Lステンレス鋼から形成された医療機器は蛍光透視法のもとでのいくらかの放射線不透過性を有しているが、しかしながら、MRI結像のもとで観察されるとき、当該医療機器は、金属機器の周りで“black hole”という画像化アーティファクトを発生させる。本発明の合金は、蛍光透視法およびMRI画像化に適合する本発明の合金から形成された機器を提供することにより、従来技術の課題を解決する。
蛍光透視法およびMRI画像化のもとで十分な放射線不透過性をもたらす金属合金群は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、インジウム(In)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、および金(Au)を含んでいる。これらの合金群は、元素の磁気感受性に基づいて選択されている。これらの合金群の全ては、蛍光透視法のもとで可視可能であり、また、より大きな原子量を有する金属元素はより可視可能であり、より小さな原子量を有するAlやTiなどの元素は、蛍光透視法のもとで十分な可視性および放射線不透過性をもたらすため、より大きな原子量を有する元素と結合することを必要とする。
表1からわかるように、本発明の合金を含む金属の体積磁気感受性は、概ね316Lステンレス鋼の体積磁気感受性よりも低い。従って、医療機器の中に組み込まれるとき、それらの合金はMRIでの画像化により適合するようになっている。
2元合金
本発明の所定の2元合金もまた低い磁気感受性を示し、一方、蛍光透視法のもとで可視可能ともなっている。例えば、(純Tiから純Taに)任意の分量でTiとTaとを結合することは、医療機器と同様に、航空宇宙および原子力産業において現在用いられている合金に適用されている。タンタルは、例えば、低い磁気感受性を有するインプラント用材料として知られている。以下の表2において、蛍光透視法のための良好な放射線不透過性およびMRI画像化における適合性をともに有している所定の2元合金が、焼きなまされた316Lステンレス鋼と比較されている。
本発明の所定の2元合金もまた低い磁気感受性を示し、一方、蛍光透視法のもとで可視可能ともなっている。例えば、(純Tiから純Taに)任意の分量でTiとTaとを結合することは、医療機器と同様に、航空宇宙および原子力産業において現在用いられている合金に適用されている。タンタルは、例えば、低い磁気感受性を有するインプラント用材料として知られている。以下の表2において、蛍光透視法のための良好な放射線不透過性およびMRI画像化における適合性をともに有している所定の2元合金が、焼きなまされた316Lステンレス鋼と比較されている。
表2に示す2元合金の引っ張り強度、降伏強度および%伸びは、焼きなまされた316Lステンレス鋼のそれに好ましく匹敵する一方で、放射線透視法のもとでの放射線不透過性およびMRI画像化への適合性は、概ね316Lステンレス鋼のそれよりも優れている。これらの2元合金から形成される医療機器は、蛍光透視法のもとで可視可能となるための十分な放射線不透過性に加えて、低い磁気感受性を示すであろう。
3元および4元合金
所定の3元および4元合金もまた、MRI画像化のための低い磁気感受性を示し、同様に蛍光透視法による画像化のための十分な放射線不透過性を提供する。例えば、医療機器を形成するのに用いられるニオブベースの合金は、Nb−10Ta−10W−0.1Y,Nb−10HF−1Ti,Nb−28Ta−10W−1Zr,およびNb−30Ti−20Wを含んでいる。さらに、医療機器を形成するのに用いられる所定のチタンベースの合金は、Ti−29Nb−13Ta−4.6Zr,Ti−35Nb−7Zr−5Ta,Ti−16Nb−13Ta−4Mo,Ti−29Nb−13Ta,Ti−15Nb−6Hf−6Mo,Ti−38Nb−12Al,Ti−13Zr−13Nb,Ti−9Mo−9Hf,Ti−7Mo−7Nb−7Hf,およびTi−15Zr−5Nb−4Ta−0.2Pdを含んでいる。これらの3元および4元合金のいくつかの機械的特性が、焼きなまされた316Lステンレス鋼との比較において以下の表3に示されている。
所定の3元および4元合金もまた、MRI画像化のための低い磁気感受性を示し、同様に蛍光透視法による画像化のための十分な放射線不透過性を提供する。例えば、医療機器を形成するのに用いられるニオブベースの合金は、Nb−10Ta−10W−0.1Y,Nb−10HF−1Ti,Nb−28Ta−10W−1Zr,およびNb−30Ti−20Wを含んでいる。さらに、医療機器を形成するのに用いられる所定のチタンベースの合金は、Ti−29Nb−13Ta−4.6Zr,Ti−35Nb−7Zr−5Ta,Ti−16Nb−13Ta−4Mo,Ti−29Nb−13Ta,Ti−15Nb−6Hf−6Mo,Ti−38Nb−12Al,Ti−13Zr−13Nb,Ti−9Mo−9Hf,Ti−7Mo−7Nb−7Hf,およびTi−15Zr−5Nb−4Ta−0.2Pdを含んでいる。これらの3元および4元合金のいくつかの機械的特性が、焼きなまされた316Lステンレス鋼との比較において以下の表3に示されている。
本発明の合金は、血管内のステントにおいて用いるのにとりわけ有用である。現在のところ、本発明の合金から利益を受けるであろう商業上利用可能な数多くのステントがある。例えば、本発明の合金は、商品名マルチリンク(MultiLink)(アドバンスカーディオバスキュラーシステムズ、サンタクララ、カリフォルニアにより製造されているステントの群)、NIRおよびExpress(Boston Scientific Corporation、ナティック、マサチューセッツにより市販されている)、BX Velosity(Cordis Corp.、マイアミレイク、フロリダにより市販されている)、S670およびS7(AVE/Medtronic、サンタローザ、カリフォルニアにより市販されている)を含む商業上利用可能なステントを作るのに用いられ得る。本発明の合金はまた、以下に開示されているステントパターンを益する。例えば、米国特許公報Nos.4,733,665(Palmaz);4,739,762(Palmaz);5,102,417(Palmaz);5,292,331(Boneau);5,653,727(Wiktor);5,195,984(Schatz);4,580,568(Gianturco);5,421,955(Lau);5,514,154(Lau);5,733,303(Israel);および6,190,403(Fischell)に開示されているステントパターンである。これらのステントパターンは、これらを参照することにより本願に組み込まれている。
ステントの例
本発明の1つの例示的な合金をステントに適用することにより、ステントは、MRI画像化に適合するとともにX線(蛍光透視法、CTおよびEBT)による画像化のための十分な放射線不透過性を有する所定のチタンまたはニオブ合金の特性を有している。これらの合金から製造されるステントは、ステントが可視化されるよう十分に放射線不透過およびMRI適合性を有する上で有益な、特別に適合された合金組成を用いて構成されている。しかしながら、ステントの放射線不透過性およびMRIアーティファクトは、周辺にある人体組織または内腔の可視化と干渉するほど大きくはない。
本発明の1つの例示的な合金をステントに適用することにより、ステントは、MRI画像化に適合するとともにX線(蛍光透視法、CTおよびEBT)による画像化のための十分な放射線不透過性を有する所定のチタンまたはニオブ合金の特性を有している。これらの合金から製造されるステントは、ステントが可視化されるよう十分に放射線不透過およびMRI適合性を有する上で有益な、特別に適合された合金組成を用いて構成されている。しかしながら、ステントの放射線不透過性およびMRIアーティファクトは、周辺にある人体組織または内腔の可視化と干渉するほど大きくはない。
ステントは、実質的には、それがはめ込まれる血管内腔に適合する様々な形態を有することができる。典型的には、ステントは、円筒状のリングと結合リンクとが入り組んだ幾何学的なパターンからなる。これらの要素は、一般には、筋交いとして参照される。一般に、ステントは、血管の内腔壁に接触するとともに、容器の開通性を維持するようデザインされたパターンの中に配置される。特定のデザイン目標を実現するための多数の筋交いパターンが、上述の先行文献において既知である。ステントにおけるいくつかの重要なデザイン特徴は、半径方向の強度またはフープ強度、膨張比または適用区域、および長さ方向の柔軟性である。所定の筋交いのパターンが、特定の用途において重要となるパラメータを最適化するよう他の特徴から選択されてもよい。
現在のステントの市場は、主に、ステンレス鋼、ニッケル−チタン、およびチタンから形成されるステントからなる。またステントは、一般に、それ自体で膨張するものであってもよく、または、バルーン付きカテーテルに添付されるバルーンなどの外部手段によって膨張することができるものであってもよい。ステントは、一般に膨張できる必要がある。なぜなら、ステントは、最適には、経皮的なアクセスが達成された後、患者の曲がりくねった脈管構造を通って狭窄した領域に送られるからである。ステントがカテーテルの上にかしめられ、これによって、脈管構造を通る搬送の間、ステントが収縮した状態、または目立たない存在であることが好ましい。このことにより、医者が、前もって膨張させることなく直接的に配置することを容易にし、また、血管壁へ外傷を与えること、および搬送・配置の間に血流を中断することを最小化することができる。しかしながら、ステントを配置場所に正確に配置し、ステントが通る血管への外傷が最小となるよう脈管構造を通してステントを送り、そして配置の後に患者をモニターして画像診断する医者にとって、患者の身体の内側でステントを十分に可視化させることができる必要がある。
本発明は、当面の用途に応じた様々な技術によって画像化される、実質的に用途の広いステントを医者に提供する。例えば、医者は、搬送および配置の間にステントを可視化する蛍光透視法を用いるとき、ステントの放射線不透過性を当てにすることができる。一方、その後、患者に対する次の画像診断およびモニター視察の間、MRIによる可視化のためのステントのMRI適合性を当てにすることができる。これによって、MRIの非侵入性という利点を得ることができる。この多用性は、とりわけ、MRIの利用が増加している分野、標準的な画像診断ツールになる可能性を有している包括的な心臓のMRI試験に関して有益である。結果として、蛍光透視法のもとでステントを配置し、次に、MRIにより達成される診断画像化が行われることが、近い将来に現れるであろう、明白に可能な医療手順となっている。MRI画像化のもとで心臓病の治療処置が発達することも可能である。
チタン合金、とりわけニッケル−チタンまたはニチノールは、自己膨張性ステントを構成する上で利用するためによく知られている。これらの合金は、実用的な放射線不透過性と、非常に良好なMRI適合性とをもたらす。チタンはまた、バルーン膨張性のステントを構成するのに使用する上でのいくつかの好ましい特性を有している。例えば、純チタンは、MRI適合性を有し、また、最も生体親和性を有する金属の1つとみなされている。
しかしながら、チタンはまた、バルーン膨張性のステントの分野における使用に関連したいくつかの不利な点を有している。チタンは、例えばステンレス鋼よりも低い引っ張り強度および伸び率を有している。さらに重要なこととして、チタンは低密度の元素であり、従って、蛍光透視法によって視認するための十分な放射線不透過性を有していない。この欠陥は、筋交いの厚さを増加させることにより克服される。なぜなら、より大きな筋交い厚さは、ステントに、より大きな放射線不透過性を与えるからである。例えば、ステンレス鋼のステントにおける良好な放射線不透過性が、筋交い厚さが約0.0058インチ(0.1473mm)の場合に得られ、一方、チタンのステントにおける良好な放射線不透過性が、筋交い厚さが約0.0159インチ(0.4039mm)の場合に得られるということが試験から明らかになっている。言い換えれば、ステンレス鋼は、チタンよりもほぼ3倍の放射線不透過性を有している。ステントの筋交いの厚さを増加させることによりチタンの放射線不透過性を増加させることが可能であるが、しかしながら、このことは望ましくない。なぜなら、このことはステントの断面を著しく増加させ、これによって、ステントの柔軟性を減少させるかもしれないからである。従って、チタンと、相当レベルの他の元素、一般にはより高密度の遷移金属とを合金化することが好ましい。このような他の元素が、十分な放射線不透過性を有するステントを製造するための十分な放射線不透過性を合金に与える。
1つの形態において、チタンまたはニオブと合金化される元素は、タンタル、ジルコニウム、およびハフニウム(および、チタンが主要元素である場合はニオブ、また、ニオブが主要元素である場合はチタン)となっている。さらに、チタンまたはニオブに、モリブデン、アルミニウム、タングステン、イリジウム、白金、金、パラジウムおよび銀を合金化することによっても、本発明の利点が得られると考えられる。合金を作るうえで用いられる金属の組み合わせは、二元系であってもよく、この場合、チタンまたはニオブは、1つの添加元素と組み合わされる。または、チタンまたはニオブと、様々な数の添加元素またはすべての添加元素とを組み合わせてもよい。それぞれの場合において、そのような合金を製造する目的は、生体親和性およびMRI適合性を維持しながら、元々の元素における放射線不透過性および機械的特性を改善することである。また、結果として生じる合金が、腐食に対しての強化された抵抗をもたらすことが望ましい。従って、本発明によりもたらされる利点は、これらの属性に関連して議論される。
純チタンおよびタンタルは、その優れた生体親和性および腐食抵抗により、恒久的に移植される医療機器において使用されるものとしてよく知られている。チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウムおよびハフニウムは全て、非常に電気的に陽性の元素であって、これらは極めて安定な酸化膜をその表面に形成する。結果として、これらの元素を含む合金から構成されるステントは、本発明の場合と同様に、腐食への優れた抵抗、不活性、および生体親和性を維持している。チタン、ニオブおよびタンタルは、その特性のため、整形外科における用途のために広く研究されてきた。アルミニウムおよびモリブデンなど、それ自体では通常は生体親和性を有していない元素であっても、チタンと合金化されると十分に隔離され、このため、腐食はほとんど発生せず、これらの元素の放出と関連する負の生体効果は確認されていない。このことは、腰のインプラントを構成する上で用いられる大抵の一般的な合金がTIVANIUN(登録商標)、Ti−6Al−4Vとなっているという事実から立証されている。
本発明の合金は、同様に腐食への抵抗を有している。ジルコニウムは、HCl,NaOH,HNO3,および純H2SO4に対して優れた腐食抵抗を有している。とりわけ、HCl溶液は316Lステンレス鋼を迅速に溶かすが、ジルコニウムは、沸騰しているHClに耐える。また、沸騰している濃縮HClにおいて、タンタルは、測定可能な腐食を示さない。このことは、著しく腐食する中膜(Media)を扱うことができるということを示している。ニオブの腐食特性は、タンタルの腐食特性に似ているが、しかし、人体の温度よりも高い温度においては、腐食特性はさほど良くない。ハフニウムは、その供給不足のためほとんど使われないが、原子炉の制御棒として使用されており、従って、極限状況下におけるその腐食抵抗は自明である。従って、チタンおよび本発明の添加元素から構成される合金は、とりわけ表面の電解研磨後において、腐食に対する高い抵抗を有していることが期待される。
本発明にとってとりわけ重要なことであるが、チタンをベースとする合金は、MRI適合性を有するステントを製造する。MRI画像化におけるステントの“適合性”とは、十分なコントラストおよび分解能でステントを可視化する能力を指している。本発明の合金によるステントは、MRI画像化において画像化アーティファクト(imaging artifact)を形成することにより観察され、画像化アーティファクトの源は、磁気感受性および電気伝導性またはファラデーケージ効果を含んでいる。周辺の組織とは異なる磁気感受性を有する全ての金属は、感受性アーティファクトを生成する。アーティファクトの大きさは、その感受性が組織の感受性とどの程度異なるかに依存している。これらのアーティファクトは、通常は、画像上の信号欠落またはダークスポットとなっている。MRIスキャナー内において電気伝導的な金属はまた、MRI内で無線周波数パルスによって誘起される電流を有している。ステントにおいて、これによって、内腔を、無線周波数の励起信号から遮蔽するステントが導かれる。本発明の構成物からなるステントは、最も大きいMRI適合性を有するものであるが、一方、先行文献のステンレス鋼のステントは、MRI適合性が最も小さいものである。
ステントと周辺組織との間の磁気感受性の差が大きいほど、より大きなアーティファクトが生じる。大きなアーティファクトは、ステントが配置されるのを容易にする。しかし、アーティファクトはステントを超えて広がり、血管全体を覆って、そして内腔を覆い隠し、これによって、ステントの配置または膨張の程度を正確に決定することを困難にするかもしれない。小さなアーティファクトは、ステントの寸法および内腔の正確な評価を可能とする。この場合、ステントそれ自体は、配置されるのが当初はいくらか困難である。しかしながら、見つけられるとき、近傍にある組織は良好に可視化される。本発明によって製造されるステントは、金属ステントの電気伝導性によって形成されるとともにMRI画像化においてRF信号がステント内腔に進入するのを防ぐファラデーケージ効果から固有的にもたらされる関係により圧迫されるということに注意すべきである。しかしながら、これらの関係は、すべての金属ステントの用途において存在するものであり、またこれらの関係は、MRIパルス系列およびRFパルスパワーを適切に選択することによって克服され得る。
ステントの磁気感受性が血液の磁気感受性と近いほど、適切なコントラストおよび分解能のMRI画像を生成するアーティファクトが小さくなる。ニチロールまたは316Lステンレス鋼からなるステントと比較すると、ステントにおいて最も一般的な合金であるチタン、および本形態の4つの添加元素であるタンタル、ニオブ、ジルコニウムおよびハフニウムは全て、血液に近い磁気感受性を各々有している。また、チタンはMRI適合性を有していることが知られている。従って、本発明のチタンおよびニオブ合金は、純チタンからなるステントと同等のMRI適合性を有していると言える。
さらに、本形態の添加元素とチタンとを合金化することは、純チタンにはない放射線不透過性を製造業者にもたらすことができる。ステントのデザインにおいて、材料の密度と放射線不透過性との間には高い正の相関がある。従って、材料の密度が大きくなるほど、蛍光透視法のもとでの材料の放射線不透過性も大きくなる。チタンは、その低い密度のため、非常に効果的な希釈剤として作用し、これによって、チタンがベース元素となっている合金の密度を下げる。この効果は、例えば、航空宇宙の用途において望ましいが、しかしながらこの効果は、患者の脈管構造の内側の医療機器などの可視化が必須であり、また、蛍光透視法のもとで視認されるようステントが十分に放射線不透過性を有することを要求するステント用途にとっては望ましくない。ステントの用途に関しては、従って、実用上、ステントを製造するのに使用される材料は、少なくとも、316Lステンレス鋼と同程度の放射線不透過性を有している必要がある。そうでない場合は、その他の元素を合金化することにより材料の密度を増加させる必要がある。
変形例において、ステントの材料が十分に放射線不透過性を有していない場合、ステント自体の筋交いの厚さまたは幅を増加させることにより、さらなる放射線不透過性が得られる。言い換えれば、ステントにおいて単により多くの金属を使用することにより、さらなる放射線不透過性が得られる。一般に、材料の厚さと放射線不透過性との間には線形関係がある。従って、同一のパターンおよび材料からなり、しかしながら異なる筋交い厚さを有する2つのステントにおいて、より大きな筋交い厚さを有するステントは、比例的により大きな放射線不透過性を有している。しかしながら、筋交いの寸法を増加させることは望ましいことではない。なぜなら、ステントの断面は、柔軟性と搬送性に関して折り合っているからである。ステントの断面が大きくなるほど、搬送および配置の間、脈管構造を通してステントを導くことがより困難となる。従って、ステントの用途において、ステントを構成する上で、放射線不透過性を有する合金を用いることによって材料の放射線不透過性を増加させることが望ましく、一方、筋交いの寸法を増加させるとしても、最終的な筋交いの寸法を最小限に増加させることが望ましい。
ステントが過剰に放射線不透過性を有することも起こりうる。このことは、ステントの内腔が蛍光透視法によって十分に画像化されないため、望ましくない。とりわけ、移植のあと、内腔は、ステントを通る対照剤の通過によって画像化されず、このため、現行の蛍光透視法技術を用いてステント内での再狭窄または血栓形成の決定を行うのが非常に困難となる。結果として、本発明のチタンベース合金に添加される元素は、最終的なステントの筋交いの密度を増加させるよう選択され、これによって、蛍光透視法のもとでの可視性を可能とするために十分に放射線不透過となる放射線不透過性の範囲内に合金があるのを確実にする。しかし、可視性からステントの内腔および周囲組織を覆い隠すほどには放射線不透過性を有さない。
本発明の目的のため、望ましい、または有用な合金の放射線不透過性の範囲が計算される。この範囲により、製造業者は、当面の用途に基づいて、最終的なステントの密度または筋交い厚さを調整することができる。316Lステンレス鋼からなるステントであって、約0.0022インチ(0.0559mm)の筋交い厚さを有するステントが、ほぼ下限の放射線不透過性を示すために決定されている。すなわちこのステントよりも放射線不透過性が小さいステントは、放射線不透過性が不十分であり観察されない。同様に316Lステンレス鋼のステントであって、約0.0009インチ(0.2286mm)の筋交い厚さを有するステントが、ほぼ上限の放射線不透過性を示している。すなわちこのステントよりも放射線不透過性が小さいステントは、その光沢が大きくなりすぎ、このため内腔の可視化ができなくなる。316Lステンレス鋼における容認可能な放射線不透過性は、約0.0058インチ(0.1473mm)の筋交い厚さを有するステントによって実現される。
ステントの半径方向の強度またはフープ強度は、一般に、筋交いの厚さの三乗(t3)の関数として変化する。このため、同一のステントパターンを使い、概して同一の半径方向の強度で設計されているステントは、材料の降伏応力における明らかに小さな差の結果として、筋交いの厚さにおける比較的に大きな違いを有している。合金の機械的強度が、実用上の最小の筋交い厚さを決定する一方で、合理的な下限は、316Lステンレス鋼に基づく0.002インチ(0.0508mm)となっている。また、冠状動脈の、および末梢の用途において、筋交い厚さの合理的な上限は約0.009インチ(0.2286mm)となっている。このことを念頭において、合金についての有用な放射線不透過性の範囲が、筋交い厚さに基づいて画定される。この範囲が表4に要約されており、この表4は、有用な合金の放射線不透過性の範囲が筋交いの厚さに影響されることを示している。
表4における合金の放射線不透過性の座標を画定するためには、放射線不透過性を決定するための計算的なモデルの使用が必要とされる。放射線不透過性は、特定の元素の内殻電子によって吸収されるX線エネルギーの量に関係しているので、そのようなモデルは、補正された質量吸収係数に基づいて可能となる。介入性の心臓病学において用いられている全ての蛍光透視法の画像化システムは、タングステン源を有するX線管を使用している。従って、特徴的なタングステンX線のスペクトルが、各元素について補正された質量吸収係数を決定するのに用いられる。これらの補正された値は、それぞれ合金化された元素の相対的な放射線不透過性に関係している。合金の相対的な放射線不透過性を決定するため、元素の相対的な放射線不透過性との組み合わせにおいて、合金元素のボリュームパーセントが用いられる。所定の合金における元素のX線吸収率は互いに独立となっているので、その個々の寄与が単純に加算される。また、X線の吸収は、線形的に厚さが増加するにつれて急激に増加するので、相対的な放射線不透過性の値は、材料の厚さと組み合わされ、これによって、吸収されるX線エネルギーの割合のための所定値が決定される。
上述の計算的なモデル、実験、研究、および観察に基づいて、本発明で意図されるステントのための最大および最小の許容可能なX線吸収の範囲が、1.4%と5.6%の境界の間で決定されてきた。従って、例えば、好ましい添加元素を含む合金のX線吸収の合計が、本発明の許容可能な範囲の内側にあるかどうかを計算するため、以下の計算が用いられる。
この式は、筋交いの厚さが0.002と0.009インチ(0.0508mmと0.2286mm)の間となっているときに、放射線不透過性を有するチタン合金のためのX線吸収の合計が、1.4%から5.6%の範囲内となるべきであることを表している。
式中の記号(Ti),(Zr),(Nb),(Hf),(Ta),などは、合金中における各元素の体積率(体積%/100)となっている。放射線不透過性はX線の経路長に影響されるので、体積率が用いられている。式中の記号C1,C2,C3,C4,C5,などは、各元素のX線吸収係数となっている。上の式が、示されている元素に限定されると考えるべきではない。本発明のチタンおよびニオブベースの合金は、この式が、好ましい組であるタンタル、ニオブ、ジルコニウム、およびハフニウム、および/またはさらに意図されている元素であるモリブデン、アルミニウム、タングステン、イリジウム、白金、金、パラジウム、および銀の中の添加元素のいくつかを含むまたは除外するよう修正されてもよいことを意図している。また、本発明の合金および上述のモデルが、周期表の第2および第3列の遷移金属、例えばイットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウムおよびレニウムなどの全ての他の元素を含むことも意図されている。合金を製造するのに使用される金属の組み合わせは、二元となっていてもよく、この場合、チタンまたはニオブは、1つの添加元素と組み合わされる。または、チタンまたはニオブは、上述の元素のいくつかと、または全てと組み合わされる。
材料の密度、筋交いの厚さ、および放射線不透過性の間の上述の関係は、現実には、非常に単純化される。しかしながら、上述の関係は、バルーン膨張ステントにおいて用いるために、チタンに上述の添加元素を合金化する利点を説明する上では十分であるが、とりわけ、最終的なステントの放射線不透過性を増加させ、かつそのMRI適合性を維持するために用いる上で有利である。
比較のため、焼きなまされた316Lステンレス鋼のステントが基準として用いられる。そのようなステントは、当初の搬送および膨張した直径における広い範囲に関してステントとして十分に機能するための十分な半径方向の強度を有することが実証されてきており、また、多様な一般的なステントパターンに関しても十分に機能する。ステンレス鋼のステントは、X線のもとで可視可能となっているが、可視性の範囲は、筋交い寸法およびステントパターンなどの要因に依存して大きく変わる。しかしながら、本発明のために評価されて実施された試験の間、先にリストに示された添加元素とチタンまたはニオブとを合金化することが、316Lステンレス鋼に匹敵する機械的特性(引張強度および降伏強度など)を有するとともに、蛍光透視法およびMRIのもとでの画像化のための十分な放射線不透過性およびMRI適合性を有するステントを生成するということが示された。
例えば、チタンおよびタンタルの二元合金の1つにおいて、22重量%(Ti−22Ta)から80重量%(Ti−80Ta)までのいずれかのタンタルを含み、かつ筋交いの厚さが0.002から0.009インチ(0.0508から0.2286mm)の間となっていることにより、ステントを可視化するために必要とされる許容可能な放射線不透過性およびMRI適合性がもたらされ、さらに強度および柔軟性に関する十分な機械的特性がもたらされることが示された。タンタルの割合が増加するにつれて、理想的な放射線不透過性を維持するために筋交い厚さが減少する。Ti−Ta合金などが先行文献において知られており、この合金は、航空宇宙および原子力産業において用いられてきた。本発明の好ましい二元合金のその他の代表的な例において、チタンはニオブと組み合わされる。そのような合金が知られており、またこの合金は、超伝導ワイヤおよび航空宇宙のリベットにおいて用いられている。そのような合金の1つと、316Lステンレス鋼との機械的特性の比較が、表5にまとめられている。
表5に示されているように、強化された放射線不透過性およびMRI適合性において、本発明の著しい利点がみられる、降伏強度または引張強度の評価可能な低減、または、筋交いの寸法の著しい増加を伴うことなく、その利点がもたらされている。現実的な範囲の筋交い厚さを有するTi−Nb合金のステントにおいて、理想的な放射線不透過性は、純ニオブから23重量%ニオブ(Ti−23Nb)までのいずれかとなっていることが決定された。
また、本発明が、チタンと、特定の添加元素との組み合わせであって、二元合金を示さないものを含んでもよいことが意図されている。例えば、表6において強調されているように、等しく効果的な結果を有する三元、四元などの合金が製造されてもよい。
本発明のチタンまたはニオブ合金によって製造されるステントは、従来のステントに対する著しい進歩を示し、介入者、医者、製造者、およびステントが配置されている患者に対して著しい利点を提供する。合金は、生体親和性および腐食への抵抗を有し、かつ、MRI画像化および蛍光透視法の双方のもとで可視可能となっている。
これらの利点を実現するために、示された添加元素の適切な割合をチタンまたはニオブの適切な割合と結合する上で、ステントの放射線不透過性のレベルは、2つの方法のうちの1つにおいて細かく調整される。第1に、ステントの放射線不透過性は、その形状に依存している。ステントの筋交いの厚さは、最適な放射線不透過性を得るよう調整される。このとき、ステントの筋交いの厚さが、ステントの最適な幾何学的デザインを得るよう調整されてもよい。第2に、合金の放射線不透過性が十分でない場合、そのような最適な放射線不透過性を得るため、チタンがより高密度の金属と合金化されてもよい。
本発明の1つの形態において、合金におけるチタンまたはニオブおよび添加元素の体積は、ステントを形成して製造するうえで、連続して一様に分散される。しかしながら、当面のステントの用途のために、本発明の合金が非一様に分散されることが所望の可視性要求によって決定される場合、本発明の合金が、その他の材料を用いて構成されるステント本体の至る所に非一様に分散されてもよい。例えば、本発明の合金は、均等に分散した環状の、ステントを取り囲む帯の中に集められてもよく、または、ステント本体に沿って長さ方向に延びる帯の中に集められてもよい。さらに、本発明の合金が、その他の材料から形成されたステントを覆うコーティングとして用いられることも意図されている。下にある材料がMRI適合性を有している場合、これによって、蛍光透視法およびMRIのもとでの可視性が付与される。
AAA機器の例
腹部大動脈瘤(AAA)によって苦しむ患者は、ますますAAA接合によって治療されている。典型的には、そのようなAAA接合は、ダクロン(Dacron、登録商標)(ポリエチレンテレフタレート)またはゴアテックス(Gortex、登録商標)(W.L.Goreにより造られた)などの材料から製造される管状の部分と、管状の部分を大動脈に取り付けるのを補助する金属ファスナーとを有している。取り扱われる多くのAAA接合のデザインがあり、例えば、米国特許6,221,102(Baker);6,214,038(Piplani);6,210,434(Quiachon);6,203,568(Lombardi);6,273,909(Kugler);6,187,036(Shaolian);6,168,610(Marin);6,102,940(Robichon);6,162,246(Barone);5,662,700(Lazarus)などが挙げられ、これらは参照によりその全体が本明細書に包含される。
腹部大動脈瘤(AAA)によって苦しむ患者は、ますますAAA接合によって治療されている。典型的には、そのようなAAA接合は、ダクロン(Dacron、登録商標)(ポリエチレンテレフタレート)またはゴアテックス(Gortex、登録商標)(W.L.Goreにより造られた)などの材料から製造される管状の部分と、管状の部分を大動脈に取り付けるのを補助する金属ファスナーとを有している。取り扱われる多くのAAA接合のデザインがあり、例えば、米国特許6,221,102(Baker);6,214,038(Piplani);6,210,434(Quiachon);6,203,568(Lombardi);6,273,909(Kugler);6,187,036(Shaolian);6,168,610(Marin);6,102,940(Robichon);6,162,246(Barone);5,662,700(Lazarus)などが挙げられ、これらは参照によりその全体が本明細書に包含される。
健康な組織を冒す手術接合という選択肢に対して、AAA接合を移植するために最小限度に健康な組織を冒す処置は、生命を救い、患者の回復時間を劇的に削減するものである。接合を有する患者は、動脈瘤の経過を追跡するための、健康な組織を冒さない処置を用いる規則的な基礎に基づいて経過観察される。これらの患者は、蛍光透視法またはCT(X線ベース)処置、超音波処置および/またはMRI処置を経験するかもしれない。エルギロイ(Elgiloy)取り付け機器を有する患者が蛍光透視法の処置を経験する場合、機器は、付加された可視性および接合の長さに沿って動くPtマーカーによって与えられるツイスト表示を有しながら、X線のもとで可視可能に現れる。同一の患者がMRI処置を経験する場合、現状のエルギロイ要素は、“ブラックホール”または信号欠落アーティファクトをこれらの要素の周りに生じさせ、一方、Ptマーカーはより小さなアーティファクトを生成するであろう。また、現在はステンレス鋼などのMRIに親和的でない合金から製造される搬送システムの側面により、様々な画像化物理療法を有する介入および追跡がX線画像化により可能となることも示されるであろう。介入および追跡は、様々な画像化物理療法から得られる情報を犠牲にすることなく行われる。この材料は、搬送システム、接合取り付けシステム(フレームおよび/またはホック)、接合添え木システム(内部のステントまたは縫いこまれたステント)および/または接合ツイストマーカーのために使用され得る。
上述のように、本発明の合金は、ステントに使用するのにとりわけ適している。また、AAA接合に使用するのにも同様に適している。従って、ステントの例による上記の開示は、金属合金からなるAAA接合の部分(取り付けシステム、フレーム、ホックおよびマーカー)に同様に適用される。
吻合クリップの例
吻合機器、とりわけクリップの使用方法は、心臓のバイパス手術において使用するための手術機器として人気を得ている。そのような手術からの典型的な血管接合は、約10年持ちこたえる。ますます、バイパス接合を有する患者は、急な激痛およびその他の心臓に関する課題のための画像診断手順を経験する。これらの患者は、蛍光透視法の処置を経験するかもしれず、および/または、MRI処置を経験するかもしれない。316Lステンレス鋼のクリップを有する患者が蛍光透視法の処置を経験する場合、クリップはX線のもとで可視可能である。同一の患者がMRI処置を経験する場合、クリップは、移植物に含まれる金属の周辺に、“ブラックホール”画像化アーティファクトを生成する。生体親和性を有し、MRIに適合するとともに、蛍光透視法のもとでの十分な放射線不透過性を有する材料を用いることにより、様々な処置から得られる情報を犠牲にすることなく、これらの処置を行うことができる。
吻合機器、とりわけクリップの使用方法は、心臓のバイパス手術において使用するための手術機器として人気を得ている。そのような手術からの典型的な血管接合は、約10年持ちこたえる。ますます、バイパス接合を有する患者は、急な激痛およびその他の心臓に関する課題のための画像診断手順を経験する。これらの患者は、蛍光透視法の処置を経験するかもしれず、および/または、MRI処置を経験するかもしれない。316Lステンレス鋼のクリップを有する患者が蛍光透視法の処置を経験する場合、クリップはX線のもとで可視可能である。同一の患者がMRI処置を経験する場合、クリップは、移植物に含まれる金属の周辺に、“ブラックホール”画像化アーティファクトを生成する。生体親和性を有し、MRIに適合するとともに、蛍光透視法のもとでの十分な放射線不透過性を有する材料を用いることにより、様々な処置から得られる情報を犠牲にすることなく、これらの処置を行うことができる。
吻合クリップのいくつかの例が、例として以下の文献に示されている。6,206,913(Yencho);6,113,612(Swanson);米国特許出願2002/0022853A1号公報(Swanson);米国特許出願第2002/0013591A1号公報(Fleischman);米国特許出願第2001/0047180Al(Grundem)号公報。これらの文献の内容は参照によりその全体が本明細書に包含される。
現状において好ましい形態のみが詳細に記載されているが、ここに開示されている合金に対して、本発明の範囲を逸脱することなく変形および改善をおこなうことが可能であることは、当業者にとって明らかである。従って、従属請求項以外によって本発明が限定されることはない。
Claims (52)
- 磁気共鳴による画像化およびX線による画像化を用いることによって可視化される人体内腔において使用するための金属製医療機器において、
構造体を形成するよう相互に連結される筋交いパターンを備え、
少なくとも筋交いの一部は、内腔の内壁に接触し、
筋交いは、相対的に高い体積率のチタンと、相対的に低い体積率の添加元素とを有する二元合金からなることを特徴とする医療機器。 - 添加元素は、タンタル、ニオブ、ジルコニウムおよびハフニウムからなるグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の医療機器。
- 添加元素は、モリブデン、アルミニウム、タングステン、イリジウム、白金、金、パラジウムおよび銀からなるグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の医療機器。
- 添加元素は、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウムおよびレニウムからなるグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の医療機器。
- 添加元素は、水銀、カドニウム、オスミウムおよび銅を除く遷移元素からなるグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の医療機器。
- 磁気共鳴による画像化および蛍光透視法による画像化を用いることによって可視化される人体内腔において使用するための金属製医療機器において、
血管の開通性を維持するために内腔の内壁に接触する構造体を形成するよう相互に連結される筋交いパターンを備え、
筋交いは、相対的に高い体積率のチタンと、相対的に低い体積率の複数の添加元素とを有する合金からなることを特徴とする医療機器。 - 添加元素は、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、アルミニウム、タングステン、イリジウム、白金、金、パラジウム、銀、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウムおよびレニウムからなるグループから選択されることを特徴とする請求項6に記載の医療機器。
- 添加元素は、水銀、カドニウム、オスミウムおよび銅を除く遷移元素からなるグループから選択されることを特徴とする請求項6に記載の医療機器。
- 合金は、チタンと、所定割合の1つの添加元素とを備えた二元合金からなり、
1つの添加元素は、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、アルミニウム、タングステン、イリジウム、白金、金、パラジウム、銀、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウムおよびレニウムからなるグループから選択されることを特徴とする請求項6に記載の医療機器。 - 人体内腔において使用するための医療機器において、
構造体を形成するよう相互に連結される筋交いパターンを備え、
少なくとも筋交いの一部は、人体内腔の内壁に接触し
筋交いは、MRI適合性を有する構造を有し、
筋交いは、相対的に高い体積率のチタンと、相対的に低い体積率の複数の添加元素とを有する合金により被覆され、
被覆が、医療機器に、放射線不透過性と、磁気共鳴による画像化への適合性とを与えることを特徴とする医療機器。 - 添加元素は、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、アルミニウム、タングステン、イリジウム、白金、金、パラジウム、銀、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウムおよびレニウムからなるグループから選択されることを特徴とする請求項10に記載の医療機器。
- 添加元素は、水銀、カドニウム、オスミウムおよび銅を除く遷移元素からなるグループから選択されることを特徴とする請求項11に記載の医療機器。
- 合金は、チタンと、所定割合の1つの添加元素とを備えた二元合金からなり、
1つの添加元素は、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、アルミニウム、タングステン、イリジウム、白金、金、パラジウム、銀、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウムおよびレニウムからなるグループから選択されることを特徴とする請求項11に記載の医療機器。 - 人体内腔の中の医療機器を搬送および可視化する方法において、
チタンをベースとする合金から形成された医療機器であって、相対的に高い体積率のチタンと、相対的に低い体積率の複数の添加元素とを有する医療機器を提供する工程と、
医療機器を人体内腔の中に送る工程と、
磁気共鳴による画像化および/またはX線による画像化によって医療機器を可視化する工程と、を備えたことを特徴とする方法。 - 添加元素は、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、アルミニウム、タングステン、イリジウム、白金、金、パラジウム、銀、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウムおよびレニウムからなるグループから選択されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 添加元素は、水銀、カドニウム、オスミウムおよび銅を除く遷移元素からなるグループから選択されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、53.4重量%のチタンと、29重量%のニオブと、13重量%のタンタルと、4.6重量%のジルコニウムとを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、53重量%のチタンと、35重量%のニオブと、7重量%のジルコニウムと、5重量%のタンタルとを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、67重量%のチタンと、16重量%のニオブと、13重量%のタンタルと、4重量%のモリブデンとを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、58重量%のチタンと、29重量%のニオブと、13重量%のタンタルとを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、73重量%のチタンと、15重量%のニオブと、6重量%のハフニウムと、6重量%のモリブデンとを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、50重量%のチタンと、38重量%のニオブと、12重量%のアルミニウムとを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、74重量%のチタンと、13重量%のニオブと、13重量%のジルコニウムとを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、55重量%のチタンと、45重量%のニオブとを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、65重量%のチタンと、35重量%のニオブとを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、40〜70重量%のチタンと、30〜60重量%のニオブとを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、82重量%のチタンと、9重量%のモリブデンと、9重量%のハフニウムとを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、79重量%のチタンと、7重量%のニオブと、7重量%のハフニウムと、7重量%のモリブデンとを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、55重量%のチタンと、35重量%のニオブと、10重量%のジルコニウムとを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、75.8重量%のチタンと、15重量%のジルコニウムと、5重量%のニオブと、4重量%のタンタルと、0.2重量%のパラジウムとを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 磁気共鳴による画像化およびX線による画像化を用いることによって可視化される人体内腔において使用するための金属製医療機器において、
構造体を形成するよう相互に連結される筋交いパターンを備え、
少なくとも筋交いの一部は、内腔の内壁に接触し、
筋交いは、相対的に高い体積率のニオブと、相対的に低い体積率の1つの添加元素とを有する二元合金からなることを特徴とする医療機器。 - 添加元素は、タンタル、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなるグループから選択されることを特徴とする請求項31に記載の医療機器。
- 添加元素は、モリブデン、アルミニウム、タングステン、イリジウム、白金、金、パラジウムおよび銀からなるグループから選択されることを特徴とする請求項31に記載の医療機器。
- 添加元素は、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウムおよびレニウムからなるグループから選択されることを特徴とする請求項31に記載の医療機器。
- 添加元素は、水銀、カドニウム、オスミウムおよび銅を除く遷移元素からなるグループから選択されることを特徴とする請求項31に記載の医療機器。
- 磁気共鳴による画像化および蛍光透視法による画像化を用いることによって可視化される人体内腔において使用するための金属製医療機器において、
血管の開通性を維持するために内腔の内壁に接触する構造体を形成するよう相互に連結される筋交いパターンを備え、
筋交いは、相対的に高い体積率のニオブと、相対的に低い体積率の複数の添加元素とを有する合金からなることを特徴とする医療機器。 - 添加元素は、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、アルミニウム、タングステン、イリジウム、白金、金、パラジウム、銀、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウムおよびレニウムからなるグループから選択されることを特徴とする請求項36に記載の医療機器。
- 添加元素は、水銀、カドニウム、オスミウムおよび銅を除く遷移元素からなるグループから選択されることを特徴とする請求項36に記載の医療機器。
- 合金は、ニオブと、所定割合の1つの添加元素とを備えた二元合金からなり、
1つの添加元素は、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、アルミニウム、タングステン、イリジウム、白金、金、パラジウム、銀、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウムおよびレニウムからなるグループから選択されることを特徴とする請求項36に記載の医療機器。 - 人体内腔において使用するための医療機器において、
構造体を形成するよう相互に連結される筋交いパターンを備え、
少なくとも筋交いの一部は、人体内腔の内壁に接触し
筋交いは、相対的に高い体積率のニオブと、相対的に低い体積率の複数の添加元素とを有する合金により被覆され、
被覆が、医療機器に、放射線不透過性と、磁気共鳴による画像化への適合性とを与えることを特徴とする医療機器。 - 添加元素は、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、アルミニウム、タングステン、イリジウム、白金、金、パラジウム、銀、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウムおよびレニウムからなるグループから選択されることを特徴とする請求項40に記載の医療機器。
- 添加元素は、水銀、カドニウム、オスミウムおよび銅を除く遷移元素からなるグループから選択されることを特徴とする請求項41に記載の医療機器。
- 合金は、ニオブと、所定割合の1つの添加元素とを備えた二元合金からなり、
1つの添加元素は、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、アルミニウム、タングステン、イリジウム、白金、金、パラジウム、銀、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウムおよびレニウムからなるグループから選択されることを特徴とする請求項41に記載の医療機器。 - 人体内腔の中の医療機器を搬送および可視化する方法において、
ニオブをベースとする合金から形成された医療機器であって、相対的に高い体積率のニオブと、相対的に低い体積率の複数の添加元素とを有する医療機器を提供する工程と、
医療機器を人体内腔の中に送る工程と、
磁気共鳴による画像化および/またはX線による画像化によって医療機器を可視化する工程と、を備えたことを特徴とする方法。 - 添加元素は、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、アルミニウム、タングステン、イリジウム、白金、金、バナジウム、パラジウム、銀、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウムおよびレニウムからなるグループから選択されることを特徴とする請求項44に記載の方法。
- 添加元素は、水銀、カドニウム、オスミウムおよび銅を除く遷移元素からなるグループから選択されることを特徴とする請求項44に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、96重量%のニオブと、4重量%のバナジウムとを有することを特徴とする請求項45に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、92.5重量%のニオブと、7.5重量%のタンタルとを有することを特徴とする請求項45に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、53重量%のニオブと、47重量%のチタンとを有することを特徴とする請求項45に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、79.9重量%のニオブと、10重量%のタンタルと、10重量%のタングステンと、0.1重量%のイットリウムとを有することを特徴とする請求項45に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、61重量%のニオブと、28重量%のタンタルと、10重量%のタングステンと、1重量%のジルコニウムとを有することを特徴とする請求項45に記載の方法。
- 合金が、公称重量パーセントとして、89重量%のニオブと、10重量%のハフニウムと、1重量%のチタンとを有することを特徴とする請求項45に記載の方法。
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