JP2010515856A - ターボ機械のためのダイヤフラム及び製造の方法 - Google Patents

ターボ機械のためのダイヤフラム及び製造の方法 Download PDF

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Abstract

タービンダイヤフラム(10)は、複数の静翼から成る環と、複数の静翼から成る環を包囲しかつ外側プラットフォーム(32)に溶接された外側ダイヤフラムリング(33)とを有する。各静翼は、内側プラットフォーム(31)と、翼(30)と、外側プラットフォーム(32)とを有している。内側プラットフォーム(31)は内側ダイヤフラムリングの機能を果たし、これにより材料及び製造費用を減じる。さらに、内側プラットフォーム(31)の対面する縁部(83(i))は互いに締りばめを有しており、翼(30)は、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間においてねじれ応力の状態にある。後者の2つの特徴はダイヤフラムの動的特性を改良する。

Description

発明の分野
本発明は、軸流ターボ機械において使用されるタイプのダイヤフラムのための新規な構成に関する。特に、ただし排他的にではなく、蒸気タービンダイヤフラムに関する。
発明の背景
本発明は、ダイヤフラム構造のいわゆる"プラットフォーム"タイプに関し、図1A及び図1Bが参照される。図1Aは、静翼の斜視図であり、図1Bは、静翼を含む、製造中のダイヤフラムの半径方向断面における図である。このタイプのダイヤフラムにおいて、翼1の端部は半径方向内側及び外側の"プラットフォーム"2,3と一体的であり、翼及びプラットフォームは固体から機械加工されている。図1Aにおいて、隣接する翼形状が破線で示されており、静翼の完全な環が、連続的に組み合わされた翼/プラットフォーム構成部材4を環状の配列に内側及び外側ダイヤフラムリング5,6の間に組み立て、プラットフォームをダイヤフラムリングに溶接することによって組み立てられる。内側及び外側のリング及びプラットフォームは更に、タービンシーリング部材を収容しかつ隣接するタービン部材を取り付けるために適切に機械加工される。組立てが完了すると、内側及び外側のプラットフォーム2,3はダイヤフラムの内側及び外側のポート壁部を形成する。
プラットフォーム構造を採用するHP及びIP蒸気タービンのための現在の実用は、羽根を内側ダイヤフラムリングに組み付け、次いで外側ダイヤフラムを羽根に収縮させることである。現在の設計において、内側ダイヤフラムリングは、静翼を支持し、タービンの組立て及び運転中にダイヤフラムを歪める傾向のある力に対する剛性をダイヤフラムに提供することが要求される。
発明の概要
本発明によれば、タービンダイヤフラムに、
環状の静翼が設けられており、各静翼が、内側プラットフォームと、翼と、外側プラットフォームとを有しており、
環状の静翼を包囲しかつ外側プラットフォームに溶接された外側ダイヤフラムが設けられており、
内側プラットフォームが内側ダイヤフラムリングの機能を果たし、内側プラットフォームの対面する縁部が、互いに締まりばめを形成しており、翼が、内側及び外側プラットフォームの間のねじり応力の状態にある。
内側プラットフォームの間の干渉は、完成したダイヤフラムの内径に沿った剛性の帯を形成し、これは好適にはダイヤフラムの動作に影響する。
本発明は、従来の内側ダイヤフラムリングと、内側ダイヤフラムリングを羽根内側プラットフォームに取り付ける溶接部とを排除するので、ダイヤフラムのための材料及び製造要求を低減する。さらに、内側プラットフォームが封止しなければならないタービンロータの半径の付随する増大ととともに、内側ダイヤフラムリングの排除は、ダイヤフラムに対するタービン作動流体の合計圧力荷重を低減する。
ダイヤフラムリングの内径と外側プラットフォームの外形との間にはテーパした境界面が設けられていてよい。
翼におけるねじれ応力は、ダイヤフラムの組立て中に、
まず、隣接する内側プラットフォームの選択された対面する縁部が互いに接触する一方で、隣接する外側プラットフォームの全ての対面する縁部がこれらの縁部の間に間隙を有するように、環状の羽根を組み立て、
隣接する外側プラットフォームの選択された対面する縁部の間の間隙が閉じられて、隣接する内側プラットフォームの選択された対面する縁部の間の接触が締まりばめになり、弾性ねじれ応力が翼に組み込まれるように、外側ダイヤフラムリングの内面と外側プラットフォームの外面との間の強制接触によって、外側ダイヤフラムリングを備えた環状の羽根を所定の最終直径にまで半径方向で圧縮する、ことによって達成される。
ダイヤフラムアセンブリのこの予荷重は、羽根動的挙動に好適に影響する。
ダイヤフラムアセンブリにおける全ねじれ荷重が羽根環に制限され、羽根環からの半径方向外方の荷重がダイヤフラムリングによって受け取られることを保証するために、隣接する外側プラットフォームの選択された対面する縁部の間において、ダイヤフラムリングが外側プラットフォームに押し付けられた時に接触が生じ、この部分が、軸方向に整合させられた縁部と、周方向に関して傾斜させられた縁部とを有している。
上述の特徴は、従来技術と比較して減じられた溶接及び材料要求を有するダイヤフラムを生じるが、等しい静的強度及び運転中の動的挙動の良好な予測可能性を有する。
発明の別の態様は以下の説明及び請求項を読むことから明らかになるであろう。
発明の典型的な実施形態はここで、添付の図面を参照して説明される。
タービンダイヤフラム構成の従来の"プラットフォーム"タイプを示しており、図1Aは、静翼の斜視図である。 タービンダイヤフラム構成の従来の"プラットフォーム"タイプを示しており、製造プロセス中のダイヤフラムの半径方向区分における部分図である。 2つの移動するタービン羽根列と、移動する羽根列の間に配置された本発明による完全に組み立てられたタービンダイヤフラムとの、部分的な半径方向断面図である。 図2に示されたものと同様のダイヤフラムからの1つの静翼の等大斜視図であり、図3Aは、羽根翼の凹面(圧力)側における図であり、図3Bは、羽根翼の凸面(吸込み)側における図である。 本発明による、金属板から多数のダイヤフラムリング半部を切断する工程を示している。 2つのダイヤフラムリング半部からの完全なダイヤフラムリングの構成を示している。 本発明によるタービンダイヤフラムアセンブリの半径方向外側部分の半径方向断面図である。 本発明によるタービンダイヤフラムを組み立てる工程の一部を示している。 本発明によるタービンダイヤフラムを組み立てる工程の一部を示している。 従来のタービンダイヤフラム構成のプラットフォームタイプにおけるプラットフォーム間の間隙及び接触を比較している。 本発明の構成によるタービンダイヤフラム構成におけるプラットフォームの間の間隙及び接触を示している。 本発明による溶接工程の間のタービンダイヤフラムの外側部分の概略的な半径方向断面図である。 溶接されたダイヤフラムをさらなる機械加工のための2つの半部に分割するために、機械加工工程が図9の溶接部において行われた後の、ダイヤフラム半部の端部の等大斜視図である。
好適な実施形態の詳細な説明
図2は、発明の実施形態の部分的な半径方向の断面図であり、蒸気タービンにおいて動翼12,13の連続的な環状の列の間に配置された、完全に組み立てられたダイヤフラム10を示している。それぞれの動翼には、ロータドラム18の縁部に機械加工された対応するスロット16,17内に配置された、半径方向内側のT字形の根元部14,15が設けられている。動翼には、取り囲んだ、円弧に分割されたリング21,22に対して封止する半径方向外側シュラウド19,20も設けられている。図示のように、シュラウド19,20とリング21,22との間の封止は、リング21,22に機械加工された溝に封入されたフィン23,24によって行われている。
ダイヤフラム10は、静翼の環状の列を有しており、それぞれの静翼は翼30を有しており、この翼30の半径方向内側及び外側の端部は、それぞれ半径方向内側及び外側のプラットフォーム31,32と一体的に形成されている。図3A及び図3Bは、静翼がダイヤフラムに組み立てられる前の静翼の両側の斜視図であり、内側及び外側プラットフォーム31,32の形状を示している。製造中、プラットフォーム32の半径方向外側の面は、大きな外側ダイヤフラムリング33の内径に溶接され、この外側ダイヤフラムリングは、ダイヤフラムを剛性化し、タービンの運転中のプラットフォームの熱膨張及び熱収縮を制御する。しかしながら、従来技術とは異なり、大きな内側ダイヤフラムリングは設けられていない。その代わり、内側プラットフォーム31は、浮動するラビリンスシール31A又は同様のものを収容するように十分に厚く形成されており、ラビリンスシール31Aは、ダイヤフラム10とロータドラム18との間を封止する。
本発明の別の特徴は、内側及び外側プラットフォーム31,32の形状及び相対的な寸法と、以下に説明するようなダイヤフラム10のための組立て工程とにより、翼は、翼の半径方向の内側端部と外側端部との間で所定のねじれを受ける。すなわち、ダイヤフラムへの組立て前の条件と比較して、組立て工程は内側プラットフォーム31を外側プラットフォームに対して、それぞれの羽根を概して半径方向に通って延びるねじれ軸線を中心として僅かに回転させる。このことは、羽根に予荷重をかけ、この予負荷が、荷重をかけられた羽根の動的挙動に好適な影響をもたらす。
図8Aは、完成した従来技術の構成における隣接するプラットフォームの間の接触及び間隙を示しており、図8Bは、本発明の完成した構成のための接触及び間隙を示している。図において、プラットフォーム31,32に関して翼30の近接部分は、破線で示されている。予想されるように、内側プラットフォームは外側プラットフォームよりも周方向で狭い。図8Aにおける内側及び外側プラットフォームは同じ軸線方向幅を有している。図8Bにおいて、外側プラットフォームの軸方向幅は、内側プラットフォームの軸方向幅よりも大きく示されているが、同じ幅であることもできる。図8A及び図8Bにおいて隣接する内側及び外側プラットフォームは、平面図で見るとプラットフォームの境界面に沿って相互に噛み合うジグザグの若しくは折れ曲がった形状を有している。内側プラットフォームは、タービン通路を通る蒸気流に関して、周方向に延びた前縁L(i)及び後縁T(i)を有しており、蒸気流の方向は矢印によって示されている。同様に、外側プラットフォーム32の周方向に延びた前縁及び後縁はそれぞれL(o)及びT(o)で示されている。
平面図に示されているように、図8Aにおける内側プラットフォームの間の境界面の折れ曲がった形状は、隣接するプラットフォームの互いに対面した縁部80(i)が、第1及び第2の、それぞれより短い及びより長い、軸方向に整合した縁部81(i)及び82(i)を有しており、これらの縁部が、周方向で互いにずれており、これにより、折れ曲がり形状の、第1及び第2の軸方向に延びたアームを形成している。それぞれの内側プラットフォームの後縁T(i)から前縁L(i)までの連続において、第1の軸方向に整合した縁部81(i)の後に、傾斜した縁部83(i)が続いており、この傾斜した縁部は、折れ曲がった形状の傾斜したアームを形成しており、第1の軸方向に整合した縁部81(i)を軸方向に整合した第2の縁部82(i)に結合している。周方向が、基準点から時計回り方向に進む円弧の度数が正で表わされ、基準点から逆時計回り方向に進む円弧の角度の度数が負で表わされるならば、縁部83(i)は、周方向に対して角度−βで傾斜させられている。この例において、βは約25°であるが、設計者の裁量において、これよりも大きくても小さくてもよい。同様に、図8Aにおける隣接する外側プラットフォームの相互に対面する縁部80(o)はそれぞれ、傾斜した縁部83(o)によって結合された、第1及び第2の、軸方向に整合した、周方向でずれた縁部81(o)及び82(o)を有している。
ここで、本発明による特徴を示す図8Bと、同じ特徴を有する羽根の図である図3Aおよび図3Bが参照される。まず、内側プラットフォーム31は、図8Aに関して上述したような同じ基本形状を有しており、対面したプラットフォーム縁部の間の境界面の折れ曲がった形状を形成した対面した縁部は、したがって、同様に符号で示されている。しかしながら、外側プラットフォーム32は、対面するプラットフォーム縁部80(o)1が二重の折れ曲がった形状を形成しているという点において異なる。これは、プラットフォーム縁部80(o)1はそれぞれ、軸方向に整合した第1、第2及び第3の縁部81(o),84(o)及び85(o)を有していることによって達成されている。これらの縁部は、周方向で互いにずれており、これにより、折れ曲がった形状の第1、第2及び第3の軸方向に延びたアームを形成している。第1の軸方向に整合した縁部81(o)は第2の軸方向に整合した縁部(o)よりも短く、第3の軸方向に整合した縁部85(o)は第1の軸方向に整合した縁部81(o)よりも短い。それぞれの外側プラットフォームの後縁T(o)から前縁L(o)までの連続において、第1の軸方向に整合した縁部81(o)の後には、折れ曲がり形状の第1の傾斜したアームを形成しかつ第1の軸方向に整合した縁部81(o)を第2の軸方向に整合した縁部84(o)に結合する第1の傾斜した縁部83(o)が設けられている。縁部84(o)の後には、折れ曲がり形状の第2の傾斜したアームを形成しかつ第2の軸方向に整合した縁部84(o)を第3の軸方向に整合した縁部85(o)に結合する第2の傾斜した縁部86(o)が設けられている。内側プラットフォームの場合と同様に、縁部83(o)は周方向に対して角度−βで傾斜させられている。しかしながら、縁部86(o)は、周方向に対して異なる角度+φで傾斜させられている。この例において、φは約45度であるが、設計者の裁量において、これによりも大きくても小さくてもよい。
図8Bにおいて、対面する内側及び外側プラットフォーム縁部80(i)及び80(o)の上述の異なる部分の間の接触及び間隙は、以下に説明するように組立て中の外側プラットフォーム32に対する内側プラットフォーム31の上述のねじれによって生じる。
図8Aにおいては、ダイヤフラムの組立ての間に翼にはねじれ力が加えられず、内側プラットフォームは、完全に組み立てられた状態において:
・軸方向に整合した、互いに対面した第1の縁部81(i)の間に間隙が存在する
・傾斜した、相互に対面した縁部83(i)の間に間隙が存在する
・軸方向に整合した、互いに対面した第2の縁部82(i)の間に接触が存在する
ように、寸法決めされている。
質的に、図8Aにおける外側プラットフォームは、内側プラットフォームと同じ接触及び間隙特性を有しているが、間隙は正確な寸法の観点から異なっていてよい。
これに対して、図8Bは、内側プラットフォームが、完全に組み立てられた状態において:
・軸方向に整合した、互いに対面した第1の縁部81(i)の間に間隙が存在する
・軸方向に整合した、互いに対面した第2の縁部82(i)の間に間隙が存在する
・傾斜した、相互に対面した縁部83(i)の間に干渉接触が存在し、この干渉は、図8Aの従来技術に対して、傾斜した縁部を大きくすることによって得られる
ように、寸法決めされていることが示されている。
さらに、図8Bにおける外側プラットフォームは、完全に組み立てられた状態において:
・軸方向に整合した、互いに対面した第1の縁部81(o)の間に間隙が存在する
・第1の傾斜した、相互に対面した縁部83(o)の間に間隙が存在する
・軸方向に整合した、互いに対面した第3の縁部85(o)の間に間隙が存在する
・軸方向に整合した、互いに対面した第2の縁部84(o)の間に接触が存在する
・第2の傾斜した、互いに対面した縁部86(o)の間に接触が存在する
ように、寸法決めされている。
ダイヤフラム10の製造における最初の工程が、ダイヤフラムリング33及び静翼の製造であり、静翼は、内側及び外側プラットフォーム31,32と一体的に形成された翼30を含む。
ダイヤフラムリング33の公知の製造方法において、ダイヤフラムリングは、大きなゲージの(heavy gauge)鋼板から完全なリングとして切り取られ、所望の断面形状に機械加工され、次いで、内径内での羽根の組立て及び分解を可能にするために2つの半円形の部品に直径に沿って切断される。しかしながら、本発明のための好適な方法は、ダイヤフラムリングを2つの半部33A,33Bに形成し、それぞれの半リングを別個に板材料から切断することによって開始することである。図4に示されているように、これは、板材料のより効率的な使用を許容し、材料費を低減する。なぜならば、板34から切り取るための半リング33A,33Bの形状は、部分的に互いに嵌合されることができるからである。
図5に示されているように、半リング33A,33Bを、溶接ランド39を有する所望の初期の所望の断面形状に機械加工した後、半リングの向き合った端部にボルト穴が設けられ、それぞれのボルト穴は、トルク締付けスタッド及びスペーサ配列36を収容する。一方の端部が閉鎖されたねじ穴37が、底部半リング33Bの直径方向で向きった端部に穿孔され、凹所38Aを備えたねじ穴38が、上部半リング33Aの直径方向で向き合った端部に穿孔される。完全なダイヤグラムリング33を形成するために、2つの半リング33A,33Bの直面した端部101は、ねじ穴37,38にねじ山付きスタッド36Aを挿入し、スタッド36Aが半リング33Aにおけるねじ穴38の上方に突出している凹所38Aにおけるスタッド36Aの端部上にスペーサ36B及びワッシャ36Aを配置し、所定のトルク値が得られるまでスペーサ36Bに抗してスタッド上でナット36Dを締め付けることによって、互いに干渉接触するように引き寄せられる。
図6をも参照すると、実線は、ダイヤフラムへの初期機械加工及び組立ての後でかつ最終機械加工の前の、外側プラットフォーム32及びダイヤフラムリング33の概略を示している。一点鎖線は、完全なダイヤフラムとして成形するための最終機械加工の後の概略を示している。既述のように、半リング33A,33Bの基本形状が大きなゲージの(heavy gauge)板から切り取られた後に、突出したランド39を形成するために半リングの内周が機械加工され、これは、外側プラットフォーム32への、組み立てられたダイヤフラムリングのレーザ溶接を容易にする。組立ての準備において、半リングにおけるランド39の内面と、外側プラットフォーム32の外面32Aとは、ランド39がテーパ角αを有するように機械加工されている。この特定の例において、テーパ角αは、タービンロータの回転軸線に対して平行な平面Pに対して約5°である。しかしながら、角度αは、採用されるべきダイヤフラム組立て技術(以下参照)、外側プラットフォームのあらゆる軸方向テーパ、及びタービン段の流体の動的要求を考慮して、設計者の裁量で、これよりも大きくても小さくてもよい。例えば、外側プラットフォームの厚さが、軸方向で上流又は下流へテーパされていてよく、したがってランド39のために必要なテーパ角αを低減又は増大する。さらに、軸方向で均一な外側プラットフォーム厚さを仮定すると、テーパ角αは、タービン通路の外壁の拡開角度に依存し、これは、外壁が、下流方向にタービンロータの回転軸線に向かって集束する又はこの回転軸線から離反する角度である。蒸気タービンにおいて、高圧蒸気入口の近傍において高圧(HP)タービン段が、負の拡開を有することができる、すなわち、高圧タービン段は、局所的な集束角度を有していてよい。したがって、テーパ角αは、このようなタービン段のためには負であることもできる。
準備としての機械加工の後にダイヤフラム10の組立てを開始するために、翼30と、内側プラットフォーム31と、外側プラットフォーム32とを含む静翼のリングが、図7Aの断面図に示されているように、水平な組立てテーブル41上の配置板40上に組み立てられる。図3B及び図8Bをも参照すると、羽根は、隣接する内側プラットフォーム31の傾斜した縁部83(i)が互いに接触し、他方の互いに対面した縁部81(i)及び82(i)の間に間隙が存在するように、最初は配置される。外側プラットフォーム32に関して、外側プラットフォーム32は、最終直径よりも大きな直径を有しており、したがって、図7Aは、配置板40の円周と、外側プラットフォーム32の縁部における配置段部を形成したリップ32Bとの間に、半径方向間隙Xが存在していることを示している。したがって、隣接する外側プラットフォームの対面する縁部80(o)1の間には間隙が存在している。
この実施形態の組立てを継続するために、ダイヤフラムリング33は、水平にかつ静翼のリングに対して同心に保持され、次いで、溶接ランド39の内面が外側プラットフォーム32の外面32Aに均一に摺動するように下降させられる。次いで、ダイヤフラムリング33は外側プラットフォーム32へさらに下降させられ、これにより、第2の傾斜した、互いに対面した縁部86(o)と、隣接する外側プラットフォームの、第2の軸方向に延びた、互いに対面した縁部84(o)とを接触させる。しかしながら、互いに対面した縁部81(o)及び83(o)の間には小さな間隙が維持されている。この実施例において、ダイヤフラム33の最終位置は、図7Bに示されているように、上面が外側プラットフォーム32の前縁L(o)と一直線(又は極めて同様)であり、間隙Xは小さな公称値にまで閉鎖されている。
ダイヤフラムリング33は、ダイヤフラムリングの円周に沿って均等に配置されておりかつテーブル41とダイヤフラムリングとの間で圧縮可能に作用するクランプ(図示せず)の配列によって、図7Bに示された位置へ下降させられることができる。隣接する外側プラットフォームの対面する縁部84(o),86(o)の間の間隙を閉鎖するとともに、半径方向の圧縮は、羽根の隣接する内側プラットフォームにおける、最初に接触する縁部83(i)の間の締まりばめを生ぜしめ、これにより、翼に所要の程度のねじれをもたらす。羽根のこのプレストレスは、好適には、ダイヤフラムにおける羽根の動的挙動に影響する。さらに、内側プラットフォームにおける縁部83(i)の間の締まりばめは、完成したダイヤフラムの内径に沿った剛性の帯を生ぜしめ、これにより、ダイヤフラムの動的挙動に好適に影響する。
隣接する外側プラットフォームの対面する縁部84(o)及び86(o)の間の間隙を閉鎖する択一的な方法は、組み立てられたダイヤフラムリング33を加熱し(かつ選択的に羽根のリングを冷却し)、ダイヤフラムリングを羽根のリング上に配置し、次いで、ダイヤフラムリングが冷却しながらダイヤフラムリングを外側プラットフォーム上に収縮させることである。同じ目的を達成する別の択一的な方法は、半リング33A,33Bを、1つの羽根のリングのそれぞれの側に1つずつ配置し、ボルト及びスペーサ等36A〜36Dを挿入し、半リングの対面する端部面101が当接するまで半リングを徐々に引き合わせ、半リングの間の適切な干渉が、ボルトを所定のトルク値まで締め付けることによって達成される。
要約すると、ダイヤフラム10の組立ての間の内側及び外側プラットフォームの間の翼のねじれは、羽根のプレストレスを生じる。このねじれは、
・内側プラットフォーム31における傾斜した縁部83(i)を(図8Aの従来技術と比較して)拡大する
・隣接する内側プラットフォーム31の傾斜した対面する縁部83(i)が互いに接触する一方で、隣接する外側プラットフォーム32の対面する縁部80(o)がこれらの間に間隙を有するように、羽根の環を最初に組み立てる
・隣接する外側プラットフォーム32の対面する縁部84(o)及び86(o)の間の間隙が閉鎖され、隣接する内側プラットフォーム31の対面する縁部83(i)の間の接触が締まりばめになり、弾性ねじれ応力が翼30に組み込まれるように、ダイヤフラムリングの内面と外側プラットフォームの外面32Aとの間の強制接触によって、ダイヤフラムリング33の羽根リングを所定の最終直径にまで半径方向に圧縮する
ことによって達成される。
外側プラットフォームの二重接触設計、すなわち、周方向に関してそれぞれ90°及び45°の異なる角度を形成する、組み立てられた条件における対面する縁部84(o),86(o)の間の接触にも注目すべきである。この二重接触は、組立て工程の間の外側プラットフォームの回転を防止し、ダイヤフラムリング33が半径方向外向きの荷重のみを受けるように、全体的なねじれ荷重が羽根アセンブリに組み込まれることを保証する。
図7A及び図7Bに関して説明された組立て工程が実施されると、羽根プラットフォームの前縁上に第2の位置板42(図9参照)が配置され、第2の位置板は、外側プラットフォームの前縁L(o)の内径に重なるのに十分な直径を有している。次いで、第2の位置板は、内側プラットフォームの内径内の等しい角度で間隔を置かれた位置において両方の位置板を貫通する多数のナット及びボルト配列によって、第1の位置板40に締め付けられる。第2の位置板42に取り付けられたより小さなクランプは、さらなる処理のためにテーパに抗して正しい位置にダイヤフラムリング33を保持する。
羽根が正しい位置にあることを確認した後、三角形の溶接ビード90が位置板をプラットフォーム縁部に接合して示されている図9に示されているように、両位置板40,42が羽根の外側プラットフォームに溶接される。これは、主溶接プロセスの間、アセンブリに十分な支持を提供し、この主溶接プロセスにおいては、図9に示されているように、ダイヤフラムリング33は、ダイヤフラムリングと外側プラットフォームとの間の環状空間91に溶接92を充填することによって外側プラットフォーム32に溶接される。環状空間91は軸方向に深いので、溶接91は2回以上の溶接パスにおいて生ぜしめられてよく、空間90は、それぞれの溶接パスの間に部分的に充填される。図9は、4回の溶接パスのうちの3回の後の状況を示しており、2回のパスが、アセンブリのプラットフォーム前縁側において完了しており、1回のパスが、アセンブリのプラットフォーム後縁側において完了している。
上の溶接工程は、ダイヤフラムアセンブリに応力を生ぜしめるので、この段階において、ダイヤフラムアセンブリは、応力を解放するために熱処理されるべきである。次いで、位置板はアセンブリから機械加工により除去される。
内側及び外側プラットフォーム31,32並びにダイヤフラムリング33の最終機械加工を容易にし、これにより図2及び図6に示された最終形状を得るために、ダイヤフラムを2つの部分に分割する必要がある。これは、タービンの組立て及び分解のためにも必要である。図10に示されているように溶接されたダイヤフラムを2つの半ダイヤフラムに分割することは、ダイヤフラムリング33と外側プラットフォーム32との間に予め生ぜしめられた深い溶接92にポケット100を機械加工することによって行われることができ、これにより、ダイヤフラムの両側において溶接92の短い周方向に延びた長さに亘って、溶接材料が完全に除去される。外側プラットフォーム32の直径方向で向き合った対の対面する縁部80(o)1は、ダイヤフラムリングの2つの半部33A及び33Bの端面101に対して正確に位置決めされ、機械加工されたポケット100の周方向範囲が、隣接する外側プラットフォームの対面する縁部80(o)1の周方向範囲よりも大きいならば、ダイヤフラムは、スタッド及びスペーサ配列36が除去されると、2つの部分に分割される。
本発明は、純粋に例として上述されており、発明の範囲内で変更が行われることができる。発明は、ここに記載された又は暗示された又は図面に示された又は暗示されたあらゆる個々の特徴、又はあらゆるこのような特徴の組み合わせ又はあらゆるこのような特徴又は組み合わせのあらゆる一般化にもあり、その均等物にまで拡大する。したがって、本発明の広さ及び範囲は、上述の典型的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではない、図面を含む明細書に開示されたそれぞれの特徴は、そうでないことが明らかに述べられない限り、同じ、均等な又は類似の目的を果たす択一的な特徴によって置き換えられてよい。
明細書を通じて従来技術のあらゆる議論は、このような従来技術が広く知られている又は技術分野における共通の一般的な知識の一部を形成することを認めるものではない。
文脈が明細書を通じてそうでないことを明らかに要求しない限り、「含む」という文言は、排他的な意味ではなく、包括的な意味、つまり、「含むが、制限されない」という意味に解釈されるべきである。
1 翼、 2,3 プラットフォーム、 4 翼/プラットフォーム構成部材、 5,6 ダイヤフラムリング、 10 ダイヤフラム、 12,13 動翼、 14,15 根元部、 16,17 スロット、 18 ロータドラム、 19,20 シュラウド、 21,22 リング、 30 翼、 31,32 プラットフォーム、 31A ラビリンスシール、 33 ダイヤフラムリング、 33A,33B 半リング、 34 板、 36 トルク締付けスタッド及びスペーサ配列、 36A スタッド、 36B スペーサ、 36D ナット、 37,38 ねじ穴、 39 ランド、 40 配置板、 41 組立てテーブル、 80,81,82,83,84,85,86 縁部

Claims (18)

  1. タービンダイヤフラム(10)において、
    複数の静翼から成る環が設けられており、各静翼が、内側プラットフォーム(31)と、翼(30)と、外側プラットフォーム(32)とを有しており、
    静翼の環を包囲しかつ外側プラットフォーム(32)に溶接された外側ダイヤフラムリング(33)が設けられており、
    内側プラットフォーム(31)が内側ダイヤフラムリングの機能を果たすようになっており、内側プラットフォームの対面する縁部(83(i))が互いに締まりばめされており、翼(30)が、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間においてねじれ応力が加えられた状態にあることを特徴とする、タービンダイヤフラム。
  2. ダイヤフラムリングの内径と外側プラットフォームの外径との間にテーパした境界面が設けられている、請求項1記載のタービンダイヤフラム。
  3. 隣接する内側プラットフォーム及び外側プラットフォームの互いに対面した縁部が、平面図で見た場合に、連結する折れ曲がった形状を有する、請求項1又は2記載のタービンダイヤフラム。
  4. 隣接する内側プラットフォーム(31)の相互に対面する縁部が、各内側プラットフォームの後縁(T(i))から前縁(L(i))に向かって順に、
    (a)軸方向に整合した、第1の縁部(81(i))と、
    (b)軸方向(83(i))に対して傾斜された縁部と、
    (c)軸方向に整合した、第2の縁部(82(i))と、を有しており、
    軸方向で整合した縁部(81(i),82(i))が周方向に互いにずれており、これにより、折れ曲がった形状の、軸方向に延びた、第1のアーム及び第2のアームを形成しており、傾斜した縁部(83(i))が、軸方向で整合した第1の縁部と第2の縁部とを結合しており、これにより、折れ曲がった形状の傾斜したアームを形成している、請求項3記載のタービンダイヤフラム。
  5. 軸方向に整合した第1の縁部及び第2の縁部が、互いに異なる長さを有する、請求項4記載のタービンダイヤフラム。
  6. 軸方向に整合した第1の縁部が、軸方向に整合した第2の縁部よりも短い、請求項5記載のタービンダイヤフラム。
  7. 傾斜した縁部(83(i))が周方向に対して負の角度(−β)で傾斜させられており、負の方向が、周方向から逆時計回りに離れる円弧の角度として表わされる、請求項4から6までのいずれか1項記載のタービンダイヤフラム。
  8. 外側プラットフォームの対面する縁部が、平面図で見た場合に、連結する二回折れ曲がった形状を有する、請求項3から7までのいずれか1項記載のタービンダイヤフラム。
  9. 隣接する外側プラットフォーム(32)の互いに対面する縁部が、各外側プラットフォームの後縁(T(o))から前縁(L(o))に向かって順に、
    (a)軸方向に整合した、第1の縁部(81(o))と、
    (b)軸方向に対して傾斜した第1の縁部(83(o))と、
    (c)軸方向に整合した、第2の縁部(84(o))と、
    (d)軸方向(86(o))に対して傾斜した第2の縁部と、
    (e)軸方向に整合した、第3の縁部(85(o))と、を有しており、
    軸方向に整合した、第1の縁部と、第2の縁部と、第3の縁部とが、周方向で互いにずれており、これにより、折れ曲がり形状の、軸方向に延びた、第1のアームと、第2のアームと、第3のアームとを形成しており、第1の傾斜した縁部(83(o))が、軸方向で整合した第1の縁部(81(o))と第2の縁部(84(o))とを結合しており、第2の傾斜した縁部(86(o))が、軸方向に整合した第2の縁部(84(o))と第3の縁部(85(o))とを結合しており、これにより、第1の傾斜した縁部と第2の傾斜した縁部とが、折れ曲がり形状の第1の傾斜したアームと第2の傾斜したアームとを形成している、請求項8記載のタービンダイヤフラム。
  10. 軸方向に整合した、第1の縁部と、第2の縁部と、第3の縁部とが、互いに異なる長さを有する、請求項9記載のタービンダイヤフラム。
  11. 軸方向に整合した第1の縁部(81(o))が、軸方向に整合した第2の縁部(84(o)よりも短く、軸方向に整合した第3の縁部(85(o))が、軸方向に整合した第1の縁部(81(o))よりも短い、請求項10記載のタービンダイヤフラム。
  12. 第1の傾斜した縁部(81(o))が周方向に対して負の角度(−β)で傾斜させられており、逆時計回りに周方向から離れる円弧の度数が負として表わされ、第2の傾斜した縁部(84(o))が周方向に対して正の角度(+φ)で傾斜させられており、時計回りに周方向から離れる円弧の度数が正として表わされる、請求項9から11までのいずれか1項記載のタービンダイヤフラム。
  13. (a)内側プラットフォームの、軸方向に整合した対面する第1の縁部(81(i))の間に間隙が設けられており、
    (b)内側プラットフォームの、軸方向に整合した対面する第2の縁部(82(i))の間に間隙が設けられており、
    (c)内側プラットフォームの、傾斜した対面する縁部(83(i))の間に干渉接触が設けられている、請求項7に係る請求項12に記載のタービンダイヤフラム。
  14. (a)外側プラットフォームの、軸方向に整合した対面する第1の縁部(81(o))の間に間隙が設けられており、
    (b)外側プラットフォームの、傾斜した対面する第1の縁部(83(o))の間に間隙が設けられており、
    (c)外側プラットフォームの、軸方向に整合した対面する縁部(85(o))の間に間隙が設けられており、
    (d)外側プラットフォームの、軸方向に整合した対面する第2の縁部(84(o))の間に接触が存在し、
    (e)外側プラットフォームの、傾斜した対面する第2の縁部(86(o))の間に接触が存在する、請求項13記載のタービンダイヤフラム。
  15. タービンダイヤフラム(10)を製造する方法であって、タービンダイヤフラムが、外側ダイヤフラムリング(33)と、翼(30)と一体的に形成された半径方向で内側及び外側のプラットフォーム(31,32)を有する複数の翼羽根から成る環とを有しており、隣接する内側及び外側のプラットフォームが、平面図で見た場合に、連結する折れ曲がり形状を形成する相互に対面する縁部(80(i),80(o))を有しており、前記方法が、
    (a)隣接する外側プラットフォームの全ての対面する縁部が該縁部の間に間隙を有しながら、隣接する内側プラットフォーム(31)の選択された対面する縁部(83(i))が互いに接触するように、羽根の環をまず組み立てるステップと、
    (b)隣接する外側プラットフォームの選択された対面する縁部(85(o),86(o))の間の間隙が閉鎖され、隣接する内側プラットフォームの選択された対面する縁部(83(i))が締まりばめとなり、弾性ねじれ応力が翼に組み込まれるように、外側ダイヤフラムリングの内面(39)と外側プラットフォーム(32)の外面(32A)との間の強制接触によって、外側ダイヤフラムリング(33)を備えた羽根の環を所定の最終直径に半径方向で圧縮するステップとを有することを特徴とする、タービンダイヤフラムを製造する方法。
  16. さらに、ダイヤフラムリング(33)を外側プラットフォーム(32)に溶接することを含む、請求項15記載のタービンダイヤフラムを製造する方法。
  17. さらに、ダイヤフラムの最終機械加工及びタービンへのダイヤフラムの組立てを容易にするために、溶接されたアセンブリを直径に沿って2つの部分に分割することを含む、請求項16記載のタービンダイヤフラムを製造する方法。
  18. さらに、隣接する外側プラットフォームの選択された対面する縁部(85(o),86(o))を、該縁部が、軸方向に整合した縁部(85(o))と、周方向に関して傾斜した縁部(86(o))とを有するように予備成形し、これにより、ダイヤフラムアセンブリにおけるねじれ荷重全体が、羽根の環に制限され、該羽根の環からの半径方向外向きの荷重のみがダイヤフラムリング(33)によって受け取られる、請求項15から17までのいずれか1項記載のタービンダイヤフラムを製造する方法。
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