したがって、最適化された効率およびコスト効果で、未許可の海賊版コピーを検出し追跡するためにディジタルシネマにマーク付けするための効率的かつ効果的なシステムおよび方法が、非常に望ましいであろう。
本原理の様々な実施形態による方法、装置、およびシステムは、フォレンジック識別および分析、ならびにフィルムの場所や上映映画館などの追跡の目的で、フィルムおよびその何らかのコピーを迅速かつ容易かつ簡単に識別可能にするために、ディジタルシネマにフォレンジック情報を組み込むためのシステムおよび方法を提供することによって、従来技術の欠陥に対処する。
ディジタルシネマの規格を使用して、本原理の一態様により追加の制御が提供され、それにより、普通の観察者には目立たないながらも、訓練された視聴者/調査官には詳細なフォレンジック情報(例えば映画館の場所、映画が取り込まれた日時など)を即座かつ効果的に提供するようにして、ディジタルシネマ(DC)映画コンテンツにアンチカムコーダフォーディジタルシネマ(ACDC、Anti−Camcorder for Digital Cinema)データを組み込むことが可能になる。有利なことに、違法コピーを迅速に識別および追跡するのが容易になり、さらなる著作権侵害を素早く低コストで削減することができる。
ACDCフォレンジック情報を標準的なDCコンテンツに組み込む/追加することは、サービスプロバイダ(例えば映画スタジオ、ポストプロダクションハウスなど)によって実施することができる。有利なことに、各スタジオは、追加されることになるフォレンジック情報の量、レート、タイプ、ならびに、フォレンジック情報をスクリーン上に配置するために望まれる技法を、制御およびカスタマイズすることができる。
本原理の一態様によれば、ACDCフォレンジック情報は、各映画を表示するのに使用される特定の個別映写デバイスに関するリアルタイム情報を含むことができる。映画が映画館で上映されようと、カムコーダなどで録画された海賊版コピーであろうと、追加されたACDC情報は、完全に可視でありながらも映画の観察者には目立たない。しかし、訓練されたフォレンジック調査官には、ACDCコンテンツはすぐに検出可能であり、映画館の場所ならびに映画が取り込まれた日時を含めた価値あるフォレンジックデータを明らかにする。
したがって、本原理の一態様によるシステムおよび方法は、目立たないながらも容易に分析され有用である、視聴者にとって完全に可視のフォレンジック情報を、映画/ビデオ画像中で直接に表示することによって、著作権侵害の検出および制御の効率を高める。本原理の一態様により適用される可視のフォレンジック情報に加えて、隠されたフォレンジックコンテンツ(例えば、普通の視聴者にはほぼ不可視/検出不可能であるように意図された特殊な点や記号などでマーク付けすることを伴う技法を利用するもの)を組み込んでもよいことに留意されたい。
映画中のいつどこでACDC情報が表示されることになるかに関係する場所/時間は、補助ストリームとして、例えば、別言語の字幕として、サブピクチャコンテンツ中で、または一定時に作動するテキスト中で導入することができ、オーバレイによって映画ピクチャコンテンツ上にレンダリングすることができる。時間、フォント、色、および位置は、例えば標準的な補助情報技法を利用して、例えばアルファチャネルデータパスによって制御することができる。表示される実際のどんなテキストも、ディジタルシネマコンテンツによって、かつ/または、映写デバイス内部の場所/データ設定によって提供することができる。
加えて、本原理の一態様によるフォレンジックコンテンツに関して、映画場面中の実際のオブジェクトを利用/修正することを企図することもできる。例えば、本原理によるフォレンジックデータアルゴリズムを介して、例えばオブジェクトの特定の色、形状、明るさ、パターン、または場所の変化を用いて、フォレンジックコーディング/情報を含むようにランプ(lamp)などのオブジェクトを構成することができ、フォレンジックコーディングは、目立たないながらも、フォレンジック分析官には、特殊化された機器またはフォレンジック分析技法を必要とせずに即座に検出可能であり解読可能であるようにして、別々の映画上映ごとに改変することができる。しかし、フォレンジック情報は観客の気を逸らさないように適用されるので、「ゴールデンアイ」として知られる映画品質専門家を含めた視聴者/観客に対する高品質なピクチャが維持されることになる。すなわち、観客は、映画の別々の上映ごとにいくつかの場面が変化するのに気付くことすらないであろう。
例えばスクリーン上で特定の場所/時点で特別なビデオを送達するために、サービスプロバイダ(例えばスタジオまたはポストプロダクションハウス)はさらに、本原理によるACDCアルゴリズムまたは可視のフォレンジックアルゴリズムを分析および最適化するためのサービスを提供することができる。このようなデータは、この場合、送達可能なディジタルシネマコンテンツパッケージの一部としてアルファチャネル中に追加することができる。コンテンツが映画館に送達されると、地元の映画館にあるソフトウェアは、例えばスタジオとのライセンス契約に応じて、情報を使用するかまたは廃棄することができる。種々のレベルのコンテンツ保護のために、種々のレベルのフォレンジックコンテンツをライセンス付与することができる。例えば、映画の審査または封切りには、高レベルのフォレンジック保護を与えることができ、より古い映画については、保護を縮小するかさらにはオフにすることもできる。
一態様では、ディジタルシネマコンテンツに関するフォレンジック情報を提供する方法が提供される。この方法は、前記ディジタルシネマコンテンツと共に表示されるように構成されたカスタマイズされるフォレンジックコンテンツを生成するステップを含み、フォレンジックコンテンツは、可視の画像データとテキストデータとのうちの少なくとも一方を含む。この方法はまた、フォレンジックコンテンツを前記ディジタルシネマコンテンツに組み込むための場所と時間とのうちの少なくとも一方を決定するためにディジタルシネマコンテンツを分析するステップと、フォレンジックコンテンツにリアルタイム情報を組み込むステップとを含む。
別の態様では、ディジタルシネマコンテンツに関するフォレンジック情報を生成するためのシステムが提供される。このシステムは、カスタマイズされるフォレンジックコンテンツを生成するためにディジタルシネマコンテンツを分析するように構成されたアナライザモジュールを備え、前記カスタマイズされるフォレンジックコンテンツは、ディジタルシネマコンテンツと共に目立たず表示されるように構成された、可視の画像データとテキストデータとのうちの少なくとも一方を含む。このシステムはまた、前記フォレンジックコンテンツを暗号化するように構成されたローカル暗号化モジュールと、前記暗号化されたフォレンジックコンテンツを補助データストリームとしてフォーマットするように構成されたフォーマットモジュールとを備える。
さらに別の態様では、ディジタルシネマコンテンツに関するフォレンジック情報を処理するためのシステムが提供される。このシステムは、少なくともディジタルシネマコンテンツおよびカスタマイズされるフォレンジックコンテンツを処理および表示するように構成された映写デバイスを備える。映写デバイスはさらに、ディジタルシネマコンテンツおよびカスタマイズされるフォレンジックコンテンツを復号し検証するためのセキュリティ復号モジュールと、カスタマイズされるフォレンジックコンテンツを抽出するように構成された抽出モジュールと、カスタマイズされるフォレンジックコンテンツを復号するためのローカル復号モジュールと、カスタマイズされるフォレンジックコンテンツにリアルタイム情報を組み込むためのオーバレイコントローラと、リアルタイム情報を含むカスタマイズされるフォレンジックコンテンツをディジタルシネマコンテンツに混合するための混合モジュールとを備える。
さらに別の態様では、ディジタルシネマコンテンツに関するフォレンジック情報を生成および処理するためのシステムが提供される。このシステムは、カスタマイズされるフォレンジックコンテンツを生成するためにディジタルシネマコンテンツを分析するように構成されたアナライザモジュールを備え、カスタマイズされるフォレンジックコンテンツは、可視の画像データとテキストデータとのうちの少なくとも一方を含む。少なくともディジタルシネマコンテンツおよび前記カスタマイズされるフォレンジックコンテンツを処理および表示するように構成された映写デバイスが提供され、映写デバイスはさらに、ディジタルシネマコンテンツおよびカスタマイズされるフォレンジックコンテンツを復号し検証するためのセキュリティ復号モジュールと、カスタマイズされるフォレンジックコンテンツにリアルタイム情報を組み込むためのオーバレイコントローラとを備える。
本発明のこれらおよび他の態様、特徴、利点は、添付の図面と共に読むべき以下の好ましい実施形態の詳細な説明から、述べられるかまたは明らかになるであろう。
図面では、各図を通して、同じ参照番号は同様の要素を示す。
図面は本発明の概念を説明するためのものであり、本発明を説明するための唯一の可能な構成とは限らないことを理解されたい。
図に示す要素は、様々な形のハードウェア、ソフトウェア、またはその組合せにおいて実現できることを理解されたい。これらの要素は、プロセッサとメモリと入出力インタフェースとを備えることのできる1つまたは複数の適切にプログラムされた汎用デバイス上で、ハードウェアとソフトウェアの組合せにおいて実現されることが好ましい。
本記述は、本発明の原理を説明するものである。したがって、本明細書に明示的に記述または図示されてはいないが、本発明の原理を組み入れており本発明の趣旨および範囲に含まれる様々な構成を、当業者なら考案できるであろうことは理解されるであろう。
本明細書に述べる全ての例および条件言語は、本発明の原理と、発明者により当技術分野の推進に寄与される概念とを、読者が理解するのを助けるための教授目的に向けられており、このような具体的に述べる例および条件に限定されないものと解釈されるべきである。
さらに、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにその具体例を述べる本明細書における全ての言明は、その構造上と機能上との両方の均等物を包含するものとする。加えて、このような均等物は、現在公知である均等物と将来開発される均等物との両方、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を実施する任意の開発された要素を含むものとする。
したがって例えば、本明細書に提示するブロック図が、本発明の原理を組み入れた例示的なシステムコンポーネントおよび/または回路の概念図を表すことは、当業者には理解されるであろう。同様に、フローチャート、流れ図、状態遷移図、擬似コードなどはどれも、コンピュータ可読媒体中でほぼ表すことができコンピュータまたはプロセッサによって(そうしたコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず)そのように実行することができる様々なプロセスを表すことは、理解されるであろう。
図に示す様々な要素の機能は、専用ハードウェアを使用して、ならびに、適切なソフトウェアと共同でソフトウェアを実行することのできるハードウェアを使用して、提供することができる。プロセッサによって提供されるときは、これらの機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、または複数の個別プロセッサ(いくつかは共有される場合もある)によって提供することができる。さらに、用語「プロセッサ」または「コントローラ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することのできるハードウェアのみを指すものと解釈すべきではなく、ディジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ソフトウェア記憶用の読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性記憶装置(これらに限定しない)を暗黙的に含む場合がある。
従来型および/またはカスタムの、その他のハードウェアを含めることもできる。これらのハードウェアの機能は、プログラムロジックの動作を介して、または専用ロジックを介して、またはプログラム制御と専用ロジックとの対話を介して、さらには手動でも実施することができ、特定の技法は、コンテキストからより具体的に理解されるように実施者が選択可能である。
本明細書の特許請求の範囲では、指定の機能を実施する手段として表現される要素はどれも、その機能を実施するためのどんな方法をも包含するものとする。例えば、a)その機能を実施する回路要素の組合せ、または、b)任意の形のソフトウェア、したがってそのソフトウェアを実行してその機能を実施するための適切な回路と組み合わせられたファームウェアやマイクロコードなどを含めたソフトウェア、を含む。このような特許請求の範囲によって定義される本発明は、列挙される様々な手段によって提供される機能が、請求項が要求するようにして組み合わせられまとめられることにある。したがって、これらの機能を提供することのできる手段はどれも、本明細書に示す手段と等価であるとみなされる。
有利なことに、本原理の一態様によれば、観客に見えながらも目立たず、すなわちディジタルシネマコンテンツの一部であるかのように現れ、容易に解読可能であるフォレンジックコンテンツを生成してディジタルシネマに追加することが、前述のようにもたらされる。ディジタルシネマ規格と共に制御を提供し使用して、フォレンジックコンテンツをロードし、フォレンジック情報が例えばいつどこで、どんな形で映画画像コンテンツに組み込まれるかを決定するための情報を供給することができる。容易かつ効率的に検出可能および復号可能であって、主要映画コンテンツとうまく混合するが、それでもなお海賊版コピーから除去するのが非常に困難な、フォレンジックデータを組み込むことができる。
ディジタルシネマは、例えばサブピクチャ、アルファチャネルデータ、メタデータ、一定時に作動するテキスト、および制御情報の形で、追加のデータパスを含む。本原理の一態様によれば、追加のデータパスを使用して通常のディジタルシネマピクチャコンテンツを修正して、例えばカスタマイズでき各映画およびその上映に固有であるリアルタイムのフォレンジック情報を、映画に追加することができる。「リアルタイム」とは、ディジタルシネマコンテンツが許可を得て表示されるほぼその時に生成されるデータを示すものとすることができる。このような追加されたフォレンジックコンテンツは、視聴者/観客に見えるかもしれないが、主要映画コンテンツを混乱させたり妨害したりしないように、コンテンツ/コンテキスト中で微細なままである。本原理の一態様により生成され組み込まれたフォレンジックコンテンツ(ACDC情報)は、観客に見える可能性があるが同時に目立たず、例えば、映画場面中の道路標識中に慎重に配置されたテキスト内容、または特定場面中の壁に追加された時計やカレンダーなどの画像情報を含むことができる。道路標識、時計、およびカレンダーは、例えば、映画が映画館で上映されていた実際の場所および日時、何らかの単純なコーディングをコンテンツに追加するオフセット時間、ならびに/または、データを伝えるようにコーディングすることのできる任意の1組の番号/文字を表示するように構成することができる。
ここで図を参照すると、本原理の実施形態による例示的なシステムコンポーネントおよびその例示的なレイアウトが、図1および図2に示されている。図1に関して本明細書に述べるシステムコンポーネントは、ディジタルシネマ(DC)処理システムのコンポーネントを含むことができる。図2のシステムコンポーネントは、ディジタル映写システムのコンポーネントを含むことができる。図3および図4は、それぞれ図1および図2に対する例示的な方法フローであり、図1および図2に関連して述べる。
DC処理環境102(例えば、スタジオやポストプロセッシングハウスなどフォレンジックサービスプロバイダにおける)は、ディジタルシネマコンテンツ101を受領、処理、およびエンコードするための安全な環境を含み、プロセッサ103、セキュリティ暗号化モジュール105、およびディジタルシネマ鍵107を備えることができる。モジュールシステム104が提供されるが、モジュールシステム104は、好ましくは通常のDC処理(例えば主要DCコンテンツに対する)に加えて、本原理の一態様によるフォレンジックフォーマットおよび処理を実施するように構成される。モジュールシステム104は、アンチカムコーダディジタルシネマ(ACDC)メッセージコンテンツ(すなわちカスタマイズされるフォレンジックコンテンツ)を挿入/追加するための場所、時間、およびテキスト特性を決定するためにDCコンテンツ101の分析を実施するためのアナライザモジュール109を備える。本明細書における用語「アンチカムコーダディジタルシネマコンテンツ」は、著作権侵害がカムコーダを介して行われようと他のいずれかのサンプリング/録画デバイスを介して行われようと、著作権侵害を抑止/追跡するためにディジタルシネマと共に使用されるように/ディジタルシネマに組み込まれるように向けられた任意のコンテンツを指す。
ローカル暗号化モジュール111が、DCコンテンツに組み込まれることになるACDCデータのローカル暗号化を実施し、暗号化されたACDCコンテンツ112は、フォーマットモジュール113に提供される。図1および図3に示す一実施形態では、タイムスタンプ110は暗号化されず、直接にフォーマットモジュール113に送られる。しかし、セキュリティ強化のためには、タイムスタンプの暗号化も企図することができる。別法として、大量の空白データを他のタイムスタンプにおいて追加して、例えば、追加されたフォレンジックデータの場所を隠蔽する助けとすることもできる。
フォーマットモジュール113は、得られた暗号化済みフォレンジックデータ/タイムスタンプを、補助データストリーム中で/補助データストリームとして、例えば字幕、サブピクチャ、一定時に作動するテキスト(例えばタイムスタンプを使用してアクティブかつ可視となるテキスト)、クローズドキャプションストリームなどとしてフォーマットし、対応するACDC復号鍵115がこれに対して作成される。例えば、ACDCコンテンツはアルファチャネル上で搬送することができ、アルファチャネルは、字幕および/またはオープンキャプションをディジタルシネマストリームの主要画像(1つまたは複数)にキー入力するのに使用されるオーバレイモジュールである。したがって、アルファチャネルは、実際の中核的なDC映画コンテンツに加えてデータ(例えばフォレンジックデータ)を搬送するのに使用することのできる例示的なデータパスの1つである。時間、フォント、色、位置などは、例えば標準的な補助情報技法を用いて、アルファチャネルによって制御することができる。
ACDC鍵は、本原理の一態様により提供されるフォレンジックデータ/サービスのために確立される復号鍵である。ACDC鍵は、フォレンジックコンテンツ(ACDCコンテンツ)、および/または、フォレンジックコンテンツを生成/処理するシステム(例えばディジタルプロジェクタ)を保護するために生成されることが好ましい。
フォーマット済みフォレンジックコンテンツはプロセッサ103に送られ、プロセッサ103は、セキュリティ暗号化モジュール105を介して、主要ディジタルシネマコンテンツおよびフォレンジックコンテンツを圧縮/暗号化する。ディジタルシネマ復号鍵107が主要DCコンテンツに対して作成されるが、これは、各プロジェクト/映画に固有であることが好ましい。ディジタルシネマ鍵107は、映画スタジオのコンテンツを保護し、DC映画コンテンツに使用される主要な復号鍵である。出力117は、追加された暗号化済みACDCフォレンジックコンテンツを含む暗号化済みディジタルシネマコンテンツ、ならびに対応する復号鍵(例えばDC鍵およびACDC鍵)を含むことができる。
図3に、図1のシステムに対応する、カスタマイズされるフォレンジックコンテンツを生成するための例示的な方法ステップを示す。すなわち、DCコンテンツの入力(ステップ301)およびその処理(ステップ303)を示すが、この処理は、例えば、本原理の一態様によりDCコンテンツに組み込まれることになるACDCメッセージコンテンツに対して、いつどこで、どんなタイプの特性が望まれるかを決定およびカスタマイズするためにDCコンテンツを分析すること(ステップ309)を含む。例えば、カスタマイズされるフォレンジックコンテンツは、可視の画像データとテキストデータとのうちの少なくとも一方を含むことができる。
ここでの例示的な描写では、ACDCデータ304のみが暗号化され(ステップ311)、タイムスタンプ302は暗号化されない形のままとされる。暗号化済みACDCデータは、例えば字幕、サブピクチャ、クローズドキャプションストリームなどとしてフォーマットすることができ(ステップ313)、処理(ステップ303)に向けて送ることができる。この例では、タイムスタンプ302は、例えばユーザが全てのトラック/データを最初に復号する必要なしにビデオストリーム中の場所を決定できるようにするのに好都合なように、直接にフォーマットに向けて送られる。処理されたDCデータならびにACDCデータは、例えばアドバンストエンクリプションスタンダード(AES、Advanced Encryption Standard)プロトコルに従って暗号化することができ(ステップ307)、本原理の一態様によるACDCフォレンジックコンテンツが組み込まれたディジタルシネマを出力することができる(ステップ315)。
図2は、ディジタルシネマに関する暗号化済みフォレンジックデータを処理するように構成された例示的なシステム図である。図4は、本原理の一態様によりフォレンジックデータを表示に向けて処理するための例示的な方法の流れ図である。
例示的な一実施形態では、ディジタル映写デバイス202が提供され、ディジタル映写デバイス202は、暗号化済みディジタルシネマ/ACDCコンテンツ201およびDC復号鍵203を受領、復号、処理するように構成された処理モジュール207およびセキュリティ復号モジュール205を備える。例えば、コンテンツ201および鍵203は、サービスプロバイダから、例えばDC/カスタマイズされるACDCコンテンツを生成したスタジオ/ポストプロセッシングハウスから、受け取ることができる。プロジェクタ202はACDC処理モジュール204を備えることができ、ACDC処理モジュール204は、抽出モジュール209、ローカル復号モジュール211、混合モジュール213、コントローラ215、およびACDC復号鍵219を有し、これらは全て、コンテンツ201中の少なくともいずれかのフォレンジックデータを処理するように構成され、図4を参照して以下にさらに述べる。
映写デバイス202は、例えばディジタルプロジェクタを構成することができ、このディジタルプロジェクタは、少なくともセキュリティ復号モジュール205とACDC処理モジュール204(例えばコントローラ215において)とに動作可能に接続された、データベース217を備える。データベース217は、記憶済みローカルデータ、例えばプロジェクタ内部の場所/識別設定などを含む。例えば、プロジェクタデータベース217は、上映日時、スクリーン/映画館の番号またはコードなど、この特定の映写デバイスおよびその場所に関係する「リアルタイム」情報を含むことができる。
図4を参照すると、ディジタルシネマコンテンツおよび対応するDC復号鍵がプロジェクタに入力され(ステップ401、402)、入力されたDCコンテンツの場所および時間を復号し検証することを含むセキュリティ管理手順が実施される(ステップ403)。ステップ403では、プロジェクタのローカルデータベースからのリアルタイム情報を利用することができ(ステップ404)、したがって、場所および時間の検証は、特定の映写デバイスのリアルタイム情報(例えば各映画上映の実際の日時)を含めることおよび組み込むことができる。本原理の一態様によるリアルタイムの映写デバイス情報を組み込んで、入力されたDCコンテンツの処理(ステップ405)が実施される。この処理は、以下にさらに述べる追加のプロジェクタ処理ステップ(ステップ409、411、413、および415)を含む。
ステップ409および411で、いずれかのフォレンジックコンテンツ(例えば追加の字幕、サブピクチャ、クローズドキャプションストリームデータなど)を抽出して復号することができる。上に論じたように、フォレンジックコンテンツは、アルファチャネルなどのデータパス上で提供することができる。復号は、フォレンジックコンテンツサービスプロバイダから提供することのできるACDC復号鍵408を使用して実施される。
ステップ413で、フォレンジックコンテンツをDCコンテンツに組み込み、混合することができる(ステップ415)。プロジェクタ情報(データベース404からの)をステップ413で入力して、リアルタイムの映写デバイス情報をフォレンジックコンテンツに組み込むことができる。本原理の一態様によるシステムに設けられる映写デバイスは、複数の画像を混合するための機能/アルゴリズムを備えることが好ましい。すなわち、追加フレームメモリ上に画像をレンダリングして、画像をフレームメモリ間で混合するまたは重ね合わせることにより、サブピクチャ、クローズドキャプション、透かしなどをオーバレイすることができる。
ステップ417で、ACDCフォレンジックコンテンツが組み込まれた主要DC画像コンテンツが、表示に向けて出力される。例えば映画館のスクリーンに表示されている間、フォレンジックコンテンツは、見ている観客に対して、また画像を録画できるいずれかの録画デバイス(例えばカムコーダ)に対しても可視とすることができるが、それでもなお、好ましくは、本質的な映画画像コンテンツに悪影響を及ぼすかまたはそれを妨害することのないように、目立たない。しかし、本原理の一態様による組み込まれたフォレンジックデータは、訓練された観察者/調査官にはすぐに検出可能であり、包括的なフォレンジック分析を実施して、単純に例えば映画を見ることによって、高コストで複雑なフォレンジック回復およびデータ分析手順を必要とすることなく、映画に関する詳細情報(例えば、映画が違法に録画された映画館の場所、映画館のスクリーンの番号、日付、および時刻)を収集することができる。有利なことに、特定の映画館に対してすぐに措置を講じて、何日または何週間もの遅延およびさらなる著作権侵害を回避することができる。
図5〜図7に、追加されたACDCコンテンツ503、603、703を含む画像501、601、701の例示的な描写を示す。図5〜図7は、フォレンジックコンテンツがピクチャ/テキストの形で組み込まれた一連の例示的な場面を構成し、それにより、本発明の一態様によるシステムの一般的効果と、時間の経過に伴って、追加されたフォレンジックコンテンツの例えばタイプ、サイズ、および形状などをどのように変化させて、映画の上映時刻やプロジェクタIDなどに関する完全かつ包括的かつ最新の情報を送達および伝達することができるかとを示す。フォレンジックコンテンツは、微細であるかまたは非常に目立つものとすることができるが、それでもなお、全ての場合において実際の映画コンテンツに対して最小限に目立たない。
図5では、オブジェクト(時計)503が場面501の壁に追加されており、例えば映画が上映されている時刻と一致するであろう特定の時刻を表示するようになっている。本原理の一態様による、フォレンジックコンテンツを生成するためのシステムは、フォレンジックコンテンツを組み込む/含めるために映画場面中の既存のオブジェクトを選択し使用する能力を、スタジオ/ユーザに提供することができる。追加でまたは別法として、本原理によるシステムは、所望のフォレンジックデータを含むように希望に応じて相応に改変/修正してからディジタルシネマコンテンツに組み込むことのできる、事前定義済みオブジェクトを提供することもできる。フォレンジックデータはさらに、特定の各映画を表示するのに使用される個別の映写デバイスからのリアルタイムのローカルデータを反映するように修正/更新することもできる。
図6では、場面601中の既存のオブジェクト603(自動車上のナンバープレート)が、フォレンジック情報、例えば一連の番号「530−8106」を含むように修正されており、この番号は、上映日時(06年8月1日の午後5時30分)を示すことができる。他の例(図示せず)では、道路上の道路標識を修正して、道路の住所(例えば実際の映画館の住所に対応する)を含むようにすることができ、あるいは、道路場面中の塗装/広告を修正して、コード(例えばプロジェクタIDコード)を伝えるようにすることができる。図7では、場面701の背景が修正されて、フォレンジックデータを示すことのできるテキスト「Indy Systems 6703」が追加されている。任意の場面または一連の場面を、修正されるように選択して、フォレンジック情報を追加することができる。
フォレンジックACDCメッセージ用の文字や単語などを生成するには、十分なピクセル精度を好ましくは提供する任意のカムコーダ対策技法を用いることができる。例示的なACDCコンテンツは、任意の文字、単語、マーキング、記号、場面オブジェクトなどを含むことができ、これらはさらに、フェードインおよびフェードアウトさせたり、点滅させたり、色を変化させたり、スクリーン上で動き回らせたり、非常に微細としたり、太く目立つものとしたり、暗号的としたりすることができる。本原理の一態様により組み込まれるACDCコンテンツは、有利なことに、例えばすぐにはっきりと見えるにもかかわらず、本質的な映画コンテンツを妨害することなく、価値あるフォレンジックデータを伝える。すなわち、フォレンジック情報は、視聴者/観客への映画提示の品質に対して悪影響または顕著な影響を有することなく、組み込まれる。
フォレンジック情報をエンコードした、隠されたカムコーダ対策マーキング(例えばサンプリングシステムだけにしか見えないコンテンツ)を、可視のACDCコンテンツを有する画像に組み込むこともできる。例えば、編集されるのを阻むために、このような隠されたマーキングは、いずれかの可視ACDCマーキングが配置されている場所以外の画像領域(1つまたは複数)に組み込まれることが好ましい。これにより、隠されていようと可視であろうと、少なくともいくつかのフォレンジックマーキングは、海賊版ビデオ中で行われるどんな編集をも生き延びる可能性が高くなることが保証される。
ディジタルシネマイニシアティブ(DCI、Digital Cinema Initiative)仕様によれば、映画が上映できるようになる前に、映画はディジタル権利管理を通らなければならないことが必要とされる。このディジタル権利管理では、各映画は、例えばその映画がどこで上映されるか(「許可された会館」)、いつ上映されるか(「エンゲージメントプレイアウトウィンドウ(Engagement Playout Window)」、これは時間/データウィンドウである)、どのデバイス上で上映されるか(「セキュリティマネージャが鍵送達の前に機器を認証する」)、およびどの特定ファイルが上映されるか(「セキュリティマネージャがコンポジションプレイリスト(Composition Play List)に対して映画をチェックおよびログする」)を「知る」必要がある。本原理の一態様によるACDCアルゴリズムを使用すると、これらのパラメータは全て、例えば映画中の慎重に選択された場面に挿入されたテキストとして、スクリーン上で可視でありながらも目立たないようにして提供することができる。
さらに、本原理の別の態様によれば、特別な上映(例えば審査など)は、上映の具体的な状況を示す/定義するためにスクリーン上に直接に書かれるテキストを例えば含むACDCコンテンツを含むようにすることができる。
加えて、本原理によるシステムおよび方法を利用して、観客に対して目立たないかまたは明らかでないようにして、元の映画/ビデオコンテンツに対してマスキング部分/コンテンツを生成して提供することもできる。これは、映画のレーティングを素早く効率的に変更するのに利用することができる。例えば、場面の前景にオブジェクトを追加して、背景の様々な身体部分をブロックすることができ、こうして例えば、R指定の映画をPG−13レーティングに変更することができる。これは特に、例えば3次元ビデオで用いたときに非常に効果的な可能性がある。
本発明の教示を組み込んだ実施形態について本明細書に詳細に図示および記述したが、当業者なら、これらの教示をやはり組み込んだ多くの他の様々な実施形態を容易に考案することができる。著作権侵害防止の目的で(これは例示であり限定ではないものとする)フォレンジック情報を生成してディジタルシネマコンテンツに組み込むためのシステムおよび方法に関する好ましい実施形態について述べたが、上記の教示に鑑みて当業者により修正および変形を行うことができることに留意されたい。したがって、開示した本発明の特定の実施形態に変更を加えることができ、それらの変更は、添付の特許請求の範囲によって概説する本発明の範囲および趣旨の内にあることを理解されたい。以上、特許法によって必要とされるように詳細かつ具体的に本発明を述べたが、特許請求すると共に特許状による保護を望むものについては、添付の特許請求の範囲に示す。