JP2010508067A - 中心線脊柱支持体を有する患者傾斜装置 - Google Patents

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Abstract

患者傾斜装置が提供される。患者傾斜装置は、傾斜路と、ベース部材上に位置付けた中心線脊柱支持体とを含み、傾斜路が、患者の上半身と頭部とをベース部材に関して高い位置に挙上させるように支持する。中心線脊柱支持体は傾斜路に隣り合って位置付けられ、患者の背中の、脊柱に隣り合って位置付けられる中央部分と接触し、この部分を挙上させる。1実施例において、中心線脊柱支持体の幅は、患者の両腕と各体側部とを受けて患者の胸壁を横断方向に伸展させるための、中心線脊柱支持体の各側部に沿って横断方向空間を画定するよう、傾斜路の幅未満とされる。

Description

本件出願は2006年11月1日に提出された米国仮特許出願第60/855,874号、同年同月20日に提出された米国仮特許出願第60/860,044号、2007年4月3日に提出された米国非仮特許出願第11/732,184号の優先権を主張するものである。前記各特許文献は全て、ここに引用することにより本明細書に含まれるものとする。
本発明は、一般に患者傾斜装置に関し、詳しくは、肥満患者に使用するようになっている患者傾斜装置に関する。
患者の頭部や上半身を脚部に関して挙上させる傾斜装置が知られている。患者は、そのように傾斜されることで、仰向けで横になっているときよりも呼吸が楽になり、周囲の物事に対する観察や交流を深めるための動作がし易くなる。患者傾斜装置の特殊用途の1つは、患者の気道内に気管内挿入管を挿通する挿管法に際して、患者の頭部や頸部をより望ましい位置に配置することである。被挿管法患者の気管が開放される望ましい姿勢は、“匂嗅姿勢(sniffing position)”と称されることがある。
米国特許公報第2005/0193496号に記載されるように、仰向け状態で長い間寝たままでいると健康不良を来たす患者、特には病的肥満患者の頭位を傾斜装置で挙上させるために傾斜装置を使用することも知られている。病的肥満患者の場合、胸壁部位の過剰な脂肪組織が肺を圧迫して呼吸がしにくくなり、呼吸がしにくくなることでその他の健康状態、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)や心不全(CHF)が悪化する恐れがある。
呼吸仕事量(以下、“WOB”とも称する)には、肺の内方収縮及び胸壁の外方収縮により主に影響される弾性成分が含まれる。呼吸時における弾性に対する仕事は、主に呼気中に、肺と胸壁とが拡張されて肺に気体を移動させる圧力勾配が創出される際に行なわれる。弾性呼吸仕事量に寄与する因子には、肺組織のスチフネス(即ち、伸展性の度合い)と、胸壁の収縮圧と、腹腔による抵抗とが含まれる。
病的肥満、骨又は肺疾患、妊娠、又は胸壁の重傷熱傷、によって呼吸運動(即ち、呼気時の胸壁の外方移動)が不十分になると、胸郭内容積が圧迫されて胸壁のコンプライアンスが低下する。胸壁のコンプライアンスが低下すると、機能的残気量や適正な一回呼吸量を維持するために必要なWOBが激増し、結局は、換気血流比(V/Q)の不均等化、無気肺、換気過少、を発症する。また、特に病的肥満患者の場合、腹部に大量に蓄積した脂肪組織によって高くなった腹腔内圧が胸壁のコンプライアンスを低下させるので、マスク換気をするのも容易ではない。
スロープ状の傾斜路を患者の頭部や上半身に接触させる従来型の傾斜装置で患者を傾斜させる場合、患者の脊柱の曲線上部の如き長さ部分に沿った支持が充分に与えられない(即ち、側湾または“猫背”の姿勢で立っている人のようになる)。脊柱がそのように湾曲していると患者の胸壁部位は収縮しがちである。そうした脊柱の所望されざる不整合のせいで、特に肥満患者を傾斜させる場合の呼気上の利益は十分には得られていない。更には、脊柱を支持されないまま長期間傾斜された患者は睡眠時無呼吸症状が悪化する恐れがある。
米国仮特許出願第60/855,874号明細書 米国仮特許出願第60/860,044号明細書 米国非仮特許出願第11/732,184号明細書 米国特許公報第2005/0193496号明細書
従来問題を解決する、中心線脊柱支持体を有する患者傾斜装置を提供することである。
本発明によれば、傾斜路と、脊柱支持体とを含む患者傾斜装置が提供される。傾斜路は患者の頭部を含む上方部分を、患者の脚部を含む下方部分に関して挙上させる。脊柱支持体は、傾斜路によって頭部を挙上させた患者の背中と接触し、背中の、脊柱に隣接する中央部分を患者の体側部や腕よりも高い位置で支える。傾斜装置には頭部支持枕も含まれ得る。
脊柱支持体により脊柱を支持することで脊柱の湾曲が制限されるので脊柱整合が促進される。患者の外方に位置付けられる体側部や腕に関して脊柱を挙上させることで、患者の中心線から遠い位置にある体質量が、脊柱支持体の各側部に沿って画定される空間内に再配分されるので胸壁が外側方向に望ましく伸展し、かくして肺機能が促進される。
本発明の1実施例では、傾斜装置の傾斜路と脊柱支持体とは何れも膨張性のものである。本装置には、傾斜路を膨張させるために傾斜路に連結した入口と、脊柱支持体を膨張させるための、傾斜路と脊柱支持体との間の孔とを含む。あるいは、傾斜路と脊柱支持体とは個別のチャンバを画定し、装置が、傾斜路と脊柱支持体との各々用の入口を含む。1実施例において、装置は入口を有する頭部支持枕を別個に含む。1実施例において、傾斜路は静止型(即ち非膨張性)であり、内部に緩衝材を含む。
傾斜路と脊柱支持体とは、下方支持部材の上面上に位置付けるのが好ましい。傾斜路と脊柱支持体とは、下方支持部材に着脱自在に取り付ける、または固定することができる。1実施例において、装置は、傾斜路と脊柱支持体とをその上側に位置付ける上面を有するベース部材を含む。ベース部材は下方支持部材に取り付け得るようになっている。1実施例において、装置は、ベース部材をその上側に位置付ける支持パッドをも含む。支持パッドは下方支持部材に取り付け得るようになっている。
1実施例において、患者傾斜装置は移行装置を含む。移行装置は孔付きの底部シートを有する膨張性プレナムを含み、孔から排気することで、下側の表面上を摺動し易くするための負荷支持用クッションを移行装置の下方に創出する。移行装置は、この移行装置に引張力を付加するための側方引張ストラップを含むことが好ましい。
本発明の脊柱支持体により患者の背中に提供される支持によって、鎖骨部位や鎖骨下脈管がより膨隆されるようになり、中心静脈へのアクセスがし易くなるので、病院リネン材またはタオルを使用した伝統的な患者整位を行なう必要がなくなる。本発明の1実施例において、患者傾斜装置には、傾斜路の各側に位置付けた鎖骨支持体も含まれる。鎖骨支持体は、傾斜路に関して個別に膨張する別個の内側部を画定し、または、傾斜路における、共通膨張する、一体の延長内側部を画定する。
1実施例において、患者傾斜装置の膨張自在チャンバの1つ以上に空気パルスを送って皮膚保全と患者の快適さを促進する脈動圧力システムが設けられる。1実施例において、この脈動圧力システムには、空気供給体(例えばポンプ)や、この空気供給体からの空気を受ける調節器が含まれる。調節器は、患者傾斜装置における相互に分離された複数のチャンバに空気を送るようになっていることが好ましい。調節器は、この調節器の出口に連結したチャンバの各々に、脈動化した空気かまたは非脈動空気の何れかを調節器の出口を介して送るようになっていることが好ましい。1実施例において、調節器は4つまでのチャンバに空気を送るようになっている。脈動圧力システムは、その出口を介して送られる脈動空気と非脈動空気とを切り換えるための、調節器の各出口と関連付けしたボタンを有するコントローラーを含むことが好ましい。このようにして、任意の組み合わせにおける各チャンバを脈動圧力システムによって脈動させることができる。
1実施例において、空気供給体は、加圧空気源と、この加圧空気の温度を上昇させるための加熱装置とを含み得る。加熱装置は、加圧空気源にライン内様式下において連結されると共に、空気供給体から加熱空気または非加熱空気を送るためにオペレーターによってスイッチオン/オフされ得ることが好ましい。1実施例において、空気供給体は加圧空気供給源と、加熱装置と、脈動圧力システムとを含み、あるいは患者傾斜装置は、患者を加温する代わりに、患者傾斜装置の膨張性部分の、患者を受ける上面に換気用開口を設けることで患者を冷却するようにしても良い。この換気用開口を通して患者に非加熱空気を送ることにより患者に冷却用通気を提供することが好ましい。本発明に従う膨張性コンポーネントは、例えば、傾斜路のような通気用開口、中心線支持体、ベース部材、を含むことが好ましい。
本発明の1様相によれば、システムは通気ガスを患者及び患者傾斜装置に送るベンチレーターを含む。患者に送る通気ガス量を制御システムによって監視し、監視された患者の呼吸量の変化に応じて患者傾斜装置の1つ以上の膨張性チャンバの膨張量を調節する。制御システムは制御下に膨張性チャンバを膨張及び収縮させる。1実施例において、傾斜路の膨張量は患者に合わせて変化される。
図1は、傾斜路と、頭部支持枕と、ベース部材に着脱自在に取り付けた中心線脊柱支持体と、を含む、本発明の実施例の第1実施例に従う膨張性の患者傾斜装置の斜視図である。 図2は、静止型の傾斜路と、ベース部材に固定した膨張性の中心線脊椎支持体とを含む、本発明の第2実施例に従う患者傾斜装置の斜視図である。 図3は、傾斜路と、頭部支持枕と、パッドに固定した中心線脊柱支持体と、を含む、本発明の第3実施例に従う患者傾斜装置の斜視図である。 図4は、傾斜路と、頭部支持枕と、中心線脊柱支持体と、ベース部材と、パッドと、膨張性の移行装置とを含む、本発明の第4実施例に従う患者傾斜装置の斜視図である。 図5は、本発明の中心線脊柱支持体によって支持された患者に提供される効果を例示する、患者傾斜装置上に支持された患者の端部方向からの側面図である。 図6は、本発明の中心線脊柱支持体によって支持された患者に提供される効果を例示する、患者傾斜装置上に支持された患者の端部方向からの側面図である。 図7は、本発明の中心線脊柱支持体によって支持された患者に提供される効果を例示する、患者傾斜装置上に支持された患者の側面図である。 図8は、本発明の中心線脊柱支持体によって支持された患者に提供される効果を例示する、患者傾斜装置上に支持された患者の側面図である。 図9は、傾斜路と、頭部支持枕と、中心線脊柱支持体と、傾斜路の各側に位置付けた鎖骨部位支持体と、を含む本発明の第5実施例に従う患者傾斜装置の斜視図である。 図10は、傾斜路の一体延長部として傾斜路の角河に位置付けた鎖骨部位支持部分を有する傾斜路を含む本発明の第6実施例に従う患者傾斜装置の斜視図である。 図11は、脈動圧力制御システムの概略図である。 図12は、加圧空気源とライン内は位置した加熱装置を含む空気供給システムの略図である。 図13は、加圧空気源と、加熱装置と、脈動圧力システムと、を含む空気供給システムの概略図である。 図14は、通気システムと、患者傾斜システムと、通気システムから患者に送られる通気ガスの変化に応じて患者傾斜システムの運転を制御するようになっているコントローラーと、を含む、通気/膨張システムの概略図である。
同じ要素を同じ番号で参照する図面を参照するに、図1には本発明の1実施例に従う本発明の患者傾斜装置10が示され、傾斜路12と、ベース部材16の上面18上に位置付けた中心線脊柱支持体14と、を含んでいる。以下に詳しく説明するように、中心線脊柱支持体14は患者の背中の、脊柱に隣り合い且つ肩よりも下方の中央部分と接触してこの背中中央部分をベース部材16よりも高い位置に支持するようになっている。背中の中央部分を高い位置で支持することにより、肥満患者である場合は特に、脊柱が正しく支持され、患者の体質量が脊柱支持体の各側で横断方向に再配分される。患者の体質量が再配分されると胸壁は、中心線脊柱支持体14が無い状態で傾斜させた場合の比較的潰れた状態とはならず、むしろ横断方向に伸張される。胸壁が横断方向に伸張すると肺機能が促進される。
患者傾斜装置10はベース部材16上で患者傾斜装置10の前方端または頭側端部20に隣り合って位置付けられ、患者の上方部分(例えば頭、首、上半身)を、下方部分(例えば脚部、足)に対してある角度で挙上されるように上方部分と接触するように構成される。傾斜路12は、実質的に平坦な底部22と、上面24とを含み、上面24は傾斜路12の後側端部28に向けて前方端26(即ち、傾斜路12の、患者傾斜装置10の頭側端部20に隣り合って位置付けられた端部)から下方に傾斜される。傾斜路12の上面24の傾斜は傾斜路の長さの大部分に沿って実質的に一定とされ、その結果、傾斜路12の断面は、患者の上方部分を先に述べたようにある角度で挙上させるところの、全体に三角形状となっている。
患者傾斜装置10の中心線脊柱支持体14は、実質的に平坦な底部30と、上面32とを有し、その垂直方向の厚さは後側端部34方向に沿って(即ち、患者傾斜装置10の頭側端部20から離れ且つ図示しない足側端部方向にかけて)減少している。中心線脊柱支持体14の上面32は一定角度で傾斜されず、その長さ方向の大部分に沿って湾曲した輪郭を画定する。従って、中心線脊柱支持体14は、その断面が全体に三角形状である傾斜路12とは異なり、丸形の輪郭を画定する。中心線脊柱支持体14はベース部材16上で傾斜路12の後方に位置付けられ、好ましくは傾斜路12のすぐ隣で且つ傾斜路12の一部分と接触する状態で位置付けられる。図示されるように、中心線脊柱支持体14は前方端36を含み、この前方端36は実質的にその全体が傾斜路12と接触するように底部30に関して斜めに角度付けされることが好ましい。中心線脊柱支持体14はこのようにして傾斜路12の直ぐ後方に位置決めされ、患者傾斜装置10上に受けられて装置10の傾斜路12によって挙上させる患者の背中と接触するべく構成される。
中心線脊柱支持体14は幅Wcを有し、この幅は傾斜ランプ12の幅Wrに関して減少される。図示されるように、中心線脊柱支持体14は、隣接する傾斜路12に関して実質的に同心様式下に位置付けられる。傾斜路12に関してこのように中心に位置付けた中心線脊柱支持体14は、患者の背中の、脊柱付近の中央部分と接触するようになっている。中心線脊柱支持体14の幅Wcが上述したように減少することから、中央部分14の横断方向の各側の各々に沿って空間38が画定される。各空間38は患者の腕と、肥満患者の場合は恐らくは横断方向のその他の部分を受けるようになっている。
上述したように、中心線脊柱支持体14は傾斜路12の直ぐ後方に位置付けられるので、脊柱を支えるようにして患者の背中の脊柱と接触するように配置されることになる。中心線脊柱支持体14が脊柱を支えることで、中心線脊柱支持体14なしで患者を傾斜させた場合に生じるはずの脊柱の湾曲が制限される。上述した中心線脊柱支持体14の上面32は、その長さの大部分に沿って凸状に湾曲して全体に丸形の輪郭を画定するが、必ずしもそうでなくとも良い。中心線脊柱支持体14の上面32は任意の特定形状には限定されず、例えば、その長さの大半に沿って実質的に一定に傾斜して全体に三角形断面を画定するものが含まれる。
やはり先に説明したように、患者の横断方向に位置付けられる、腕の一部を含む患者の各部分は、中心線脊柱支持体14の横断方向の各側に沿って画定される、ベース部材16の上面18上に支持するための空間38内に位置付けられる。従って、患者の背中の、脊柱に隣り合う中央部分は、患者の、空間38内の、横断方向の各体側部よりも高い位置で支持(即ち、挙上)される。このように患者の各部分に関して脊柱部分を挙上させることで患者の体質量が外方に再配分され、この再配分に関連して胸壁が横断方向に伸延する。肥満患者の場合、そうでなければ胸壁部分を圧迫するはずの、大量に蓄積した脂肪分に作用する重力が、それらの蓄積脂肪分をベース部材16上の、中心線脊柱支持体14に近い空間内に引き寄せるようになる。患者傾斜装置10上で支持される患者は、立っている状態で背を反らし、腕を後ろに引いて胸を前方に突き出した状態に幾分似た状態となる。
現在好ましい1実施例によれば、ベース部材16は任意の好適な治療材料で作製した可撓性シートを含むが、必ずしも可撓性シートでなくとも良い。実質的に剛性構造のベース部材を含むその他のベース部材を使用できる。図示されるように、傾斜路12及び中心線脊柱支持体14は、これらの傾斜路12及び中心線脊柱支持体14に夫々結合した周囲タブ42及び44上に担持した好適な締め具40によってベース部材16に取付けられる。締め具40は説明したような弾発部材を含むことが好ましいが、そうした弾発部材に代わる任意の取付け手段を使用しても良い。
ベース部材16と、傾斜路12と、中心線脊柱支持体14との間に締め具によって取付ける代わりに、傾斜路12及び中心線脊柱支持体14を、説明したベース部材16に代わる任意の好適な下方支持部材に取り付け得る。傾斜路12と中心線脊柱支持体14とは説明したように着脱自在である必要はなく、別態様としては、下方支持部材(例えば、シート、膨張自在のまたは静止型のパッド、膨張自在の移行装置等)と一体化した、非可動様式下に組み込むこともできる。更には、中心線脊柱支持体14と傾斜路12とは、中心線脊柱支持体14無しで傾斜路12を使えるように相互分離式にしても良い。
説明した患者傾斜装置10は、患者の頭部を支持するための頭部支持枕46を含む。図示したように、頭部支持枕46の一部は、傾斜路12の、患者傾斜装置10の頭側端部20に隣り合う上面24上に位置付けられる。頭部支持枕46は、傾斜路12の横断方向の各側の間で、実質的に中心線脊柱支持体14と整列するようにして中心位置に位置付けることが好ましい。
患者傾斜装置10の傾斜路12と、中心線脊柱支持体14と、頭部支持枕46とは、各々膨張自在である。患者傾斜装置10は、傾斜路によって画定される内側チャンバ内に空気のようなガスを導入(例えば、入口48にポンプを取り付ける等によって)するための、傾斜路12に結合した入口48を含む。図示するように、患者傾斜装置10は、傾斜路12及び中心線脊柱支持体14の間を連通して、傾斜路12から中心線脊柱支持体14に空気を移行させて中心線脊柱支持体14を膨張させるような開口50を含む。傾斜路12と中心線脊柱支持体14とは何れも、このようにして入口48を介して傾斜路12に導入した空気によって膨張される。
患者傾斜装置10は、頭部支持枕46を膨張させる(例えば、入口52に取り付けた空気ポンプによる等して)ための、この頭部支持枕46に結合した第2入口52を含む。頭部支持枕46の内側を、傾斜路12の内側から離間させ、頭部支持枕46と傾斜路12とを別個に膨張させることが好ましい。このように、傾斜路12は、例えば頭部支持枕46無しで使用するために別個に膨張させ得る。
図2を参照するに、本発明の第2実施例に従う患者傾斜装置54が示される。図1の患者傾斜装置10と同様に、患者傾斜装置54は、患者の上方部分を挙上させるための傾斜路56と、中心線脊椎支持体58とを含み、中心線脊柱支持体58は、装置10の中心線脊柱支持体14と同様に、背中の脊柱部位を正しく支え且つ脊柱部位を患者の各体側部に関して挙上させるために、傾斜路56の後方に位置付けられる。傾斜路56と中心線脊柱支持体58とはベース部材60の上面62上に位置付けられる。
中心線脊柱支持体58は、装置10の中心線脊柱支持体14と同様に膨張自在である。中心線脊柱支持体58には、空気のようなガスをその内部に導入するための入口64が結合される。然し乍ら患者傾斜装置54の傾斜路56は非膨張性であることが好ましい。傾斜路56の内部を充填するための好適な緩衝材には、フォーム材、詰綿材、またはゲル材が含まれる。このように膨張自在の中心線脊柱支持体58を含む構成とした患者傾斜装置54は、中心線脊柱支持体58によって提供される追加的な支持を伴い、またはそうした支持無しで、患者傾斜装置54の静止型の(即ち非膨張性の)傾斜路56上で患者を望ましい傾斜状態下に支持する。然し乍ら、中心線脊柱支持体58は、フォーム材、詰綿材、またはゲル材のような緩衝用充填材をその内部に含ませることで、非膨張性の傾斜路56のように非膨張自在のものとすることもできる。
患者傾斜装置54の傾斜路56と中心線脊柱支持体58とをベース部材60の上面62に固定し、かくして、患者傾斜装置10に関して先に説明したようにベース部材60から取り外せないようにすることが好ましい。
図示されるように、患者傾斜装置54の傾斜路56と中心線脊柱支持体58とは、患者傾斜装置10のそれらと同様に、中心線脊柱支持体58の横断方向の各側に沿ってベース部材60の上面62の上方に空間が画定されるように構成される。患者傾斜装置10に関して先に説明したように、そうした空間は、患者、特に肥満患者の脊柱を中心線脊柱支持体58上で支持する場合に、患者の体側部を受けるようになっている。
図3を参照するに、本発明の第3実施例に従う患者傾斜装置66が示され、傾斜路68と、ベースパッド72の上面74上に位置付けた中心線脊柱支持体70とを含んでいる。患者傾斜装置66もまた、傾斜路68上で装置66の頭側端部に隣り合って位置付けた頭部支持枕76を含む。傾斜路68と、中心線脊柱支持体70と、頭部支持枕76とは各々が膨張自在であることが好ましい。図1の患者傾斜装置10と同様に、患者傾斜装置66は、傾斜路68及び頭部支持枕76を膨張させるための各入口78及び80を含み、傾斜路68と中心線脊柱支持体70との間にはこの中心線脊柱支持体70を膨張させるための孔82を含む。ベースパッド72は膨張自在のチャンバを画定し得、あるいはベースパッドの内側の任意の好適な支持材(例えばフォーム材、ゲル材、綿等)を含み得る。
患者傾斜装置10、54に関して先に説明したと同様に、患者傾斜装置66の傾斜路68と中心線脊柱支持体70とは、中心線脊柱支持体70の横断方向の各側の各々に沿ってベースパッド72の上面74上に空間を画定するように相対寸法付けされる。先に説明したように、こうした空間は、中心線脊柱支持体70によってその脊柱を支持するところの患者、特に肥満患者の各体側部を受けるようになっている。
患者傾斜装置66は、ベースパッド72に沿って且つベースパッドの底面に隣り合う位置でベースパッドに結合したタブ86上に位置付けた締め具84を含む。このように構成した締め具84により、患者傾斜装置66を下方の支持部材に着脱自在に取り付けることができる。
図4を参照するに、本発明の第4実施例に従う膨張性の患者傾斜装置88が示され、傾斜路90と、ベース部材94の上面96上に位置付けた中心線脊柱支持体92を含んでいる。患者傾斜装置88は、傾斜路90上で装置88の頭側端部に隣り合って位置付けた頭部支持枕98をも含む。傾斜路90と、中心線脊柱支持体92と、頭部支持枕98とは夫々が膨張自在であることが好ましい。患者傾斜装置66と同様に、患者傾斜装置88は傾斜路90及び頭部支持枕98を各々膨張させるための入口100及び102を含む。然し乍ら、患者傾斜装置66とは異なり、患者傾斜装置88は傾斜路90と中心線脊柱支持体92との間に膨張用の孔を含まず、その代わり、中心線脊柱支持体92を膨張させるための別個の入口104を含む。図示されるように、入口104は傾斜路90の内側部分を貫いて中心線脊柱支持体92まで伸びるように細長くされており、供給源(例えば空気ポンプ)からのガス(例えば空気)を受けるために傾斜路90の側面から伸延される。この構成により、入口104の外側部分は中心線脊柱支持体92の横断方向の各側から離間する位置に望ましく位置付けられるので、中心線脊柱支持体92の横断方向の各側に沿って画定される空間内での患者と入口104との間の接触が制限される。
患者傾斜装置88はパッド106を含む。装置66のベースパッド72と同様に、パッド106は膨張自在のチャンバを含み得、あるいは、パッド106の内部に任意の好適な支持材を含み得る。パッド106の上面上にはベース部材94が配置される。好ましい1実施例によれば、ベース部材94は可撓性のシートを含むが、必ずしもそうでなくとも良く、実質的に剛性構造のものであっても良い。患者傾斜装置88は、ベース部材94の周囲に沿ってタブ110に取り付けた締め具108を含む。締め具108はパッド106の周囲に沿って配置したタブに取り付けた協動する締め具に取り付けられる。この構成により、患者傾斜装置88のベース部材94とパッド106との間における釈放自在の取付けが提供される。
患者傾斜装置88は、患者移行装置112をも含む。患者移行装置112はよく知られたものであり、膨張性のプレナムと、患者移行装置112の下方に空気を逃出させて荷重支持用のクッションを創出して患者移行装置の摺動を容易化するために底面に設けた孔と、を有する。患者傾斜装置88のパッド106は、患者移行装置112の上面上に位置付けられる。患者傾斜装置88は、パッド106の周囲に沿って位置付けたタブ116上に取り付けた締め具114を含み、この締め具は、患者移行装置112の首位に沿って位置付けたタブに取り付けた協動する締め具に釈放自在に取り付けられるようになっている。締め具108と同様に、締め具114はパッド106と患者移行装置112との間に釈放自在の取り付けを提供する。下方の表面に沿っての患者傾斜装置88の摺動移動を容易化するために、患者傾斜装置は患者移行装置112上に設けた引張ストラップ118を含む。図示されるように、引張ストラップ118は患者移行装置112の横断方向の各側部に沿って位置付けられ、患者移行装置112の各側部への引張力付加を容易化する。
図5〜図8を参照するに、上述した本発明の中心脊柱支持体によって提供される横胸壁の断方向への伸展状況と脊柱支持体とが例示されている。図5を参照するに、患者の上半身を挙上させる傾斜路124と、患者の頭部128を支持するために患者傾斜装置122の頭側端部位置に位置付けた頭部支持枕126とを有する患者傾斜装置122上で肥満患者120が仰臥している。しかしながら、患者傾斜装置122は、本発明に従う中心線脊柱支持体を持たないものであるか、あるいは収縮状態とした脊柱支持体を含むものである。図示されるように、脊柱を上昇させる脊柱支持の無い状態で傾斜路124により患者120の上方部分を挙上させると、患者120の胸壁130は患者120の横断方向の各体側部132に関して潰れるようになる。
図6を参照するに、患者傾斜装置122には中心線脊柱支持体、または、予め収縮させておいたものを膨張させた脊柱支持体を有している。先に説明したように、本発明の中心線脊柱支持体は、背中の脊柱部分と接触し且つこれを支え、脊柱の湾曲を制限すると共に、脊柱を患者120の各側の体側部132に関して脊柱を挙上させる。挙上された各体側部は中心線脊柱支持体の各側部に確定される空間内で支持される。これにより、患者傾斜装置122に接近した各空間内で患者の体質量が上述したように再配分され、かくして、図6に示す患者120の胸壁130は、図5に示す胸壁130の状況と比較して横断方向外方に伸展されている。
図7及び図8を参照するに、本発明の中心線脊柱支持体の効果が患者134を側方から見た状態で例示される。図7を参照するに、患者134は、傾斜路138と、頭部支持枕140とを有する患者傾斜装置136上に命令された状態で示される。図7に示す患者傾斜装置136は、中心線脊柱支持体を含まないか、または収縮させた中心線脊柱支持体を含むものである。
図8を参照するに、上述した様式下に中心線脊柱支持体による患者134の位置変化状況が例示される。図8では患者134の輪郭は、患者を支える脊柱支持体の無い状態が実線142で、また脊柱支持体のある場合が点線144で夫々示される。先に議論したように、本発明の中心線脊柱支持体は、患者の背中の、肩よりも下方の中心部分と接触してこの中心部分を患者傾斜装置のベース部分よりも高い位置で支えるようになっている。患者の背中の中心部分を中心線脊柱支持体により挙上させ且つ支持する状況が図8に点線146で示される。図示されるように、中心線脊柱支持体で支持された患者の中央部分の位置(即ち、点線146で表す支持高さ)の変化量は、患者の輪郭上の変化量(即ち、線142及び144間の垂直方向距離)よりも比較的大きい。これは、患者の体質量が先に説明したように再配分されることによるものである。脊柱部位は中心線脊柱支持体によって点線146で表す所望の状況に挙上される一方、患者の、胸壁部位にあった体質量は中心線脊柱支持体の側を伸延する横断方向各側の空間内に横断方向において再配分され、かくして、患者の輪郭全体の上昇高さは、患者の脊柱部位における垂直方向変化量と比較して僅かなものとなる。
本発明の中心線脊柱支持体により胸壁が横断方向外方に伸展されることで横隔膜の位置異常及び上気道抵抗が低減され、かくして肺機能が改善される。機能的残気量、肺活量、最大吸気量、分時換気量、予備呼気量、の全てが改善される。しかも、胸壁のコンプライアンスが改善されることにより、麻酔導入中の前酸素処置後の安全無呼吸期間が望ましく延長される。
本発明に従う中心線脊柱支持体を備える患者傾斜装置は、特にARDS(急性呼吸促進症候群)を持つ患者に対して有益である。ARDS患者は、肥大した心臓その他の腹部の重さが加わるので、肺に流体が溜まったり下葉が外的圧迫されることによる炎症を起こしやすい。
図9を参照するに、本発明の第5実施例に従う患者傾斜装置148が示される。患者傾斜装置148は傾斜路150とベース部材154の上面156上に位置付けた中心線脊柱支持体152とを含み、患者傾斜装置148の頭側端部に隣り合う傾斜路150上に位置付けた頭部支持枕158をも含んでいる。傾斜路150と、中心線脊柱支持体152と、頭部支持枕158とは各々が膨張自在のものであることが好ましい。図1の患者傾斜装置10と同様に、患者傾斜装置148も、傾斜路150及び頭部支持枕158を各々膨張させるための入口160及び162と、傾斜路150と中心線脊柱支持体152との間の、この中心線脊柱支持体152を膨張させるための孔164とを有する。
図9に示す患者傾斜装置148は、患者傾斜装置148の傾斜路150を使用して挙上させる患者の鎖骨部位と接触し且つ支持するための、傾斜路150の各側に夫々も受けた鎖骨部位支持体166を含む。鎖骨部位支持体166は膨張自在であり且つ、患者傾斜装置148の傾斜路150の内側とは別個の内側部分にして、この鎖骨部位支持体166無しで患者傾斜装置148を使用するための内側部分を有していることが好ましい。装置には、傾斜路150、中心線脊柱支持体152、頭部支持枕158、鎖骨部位支持体166、をベース部材154に釈放自在に取り付けるための、ストラップ172における締め具168と、タブ174とを含む。
先に説明したように、本発明の中心線脊柱支持体152は脊柱を正しい位置に挙上させるとともに、患者の体質量を、患者の胸壁が外側に伸展されるようにして再配分する。中心線脊柱支持体152上で患者を支持することにより患者の体質量を再配分することにより、患者の鎖骨部位や下脈管が、中心線脊柱支持体152を用いずに患者を傾斜させる場合よりも一層膨隆されるようになる利益も得られる。これにより、患者の鎖骨部位領域の中心静脈へのアクセスがし易くなるので、病院リネン材またはタオルを使用した伝統的な患者整位を行なう必要がなくなる。鎖骨部位支持体166によって患者の肩部位を支えることで、特に肥満患者の場合にこの部位に加わるはずの応力が望ましく取り除かれ、かくして脈管の保全と患者の快適さとが促進される。
図10を参照するに、本発明の第6実施例に従う患者傾斜装置174が示され、傾斜路176と、ベース部材180の上面182上に位置付けた中心線脊柱支持体178とを含んでいる。患者傾斜装置174もまた、傾斜路176上で装置174の頭側端部に隣り合って位置付けた頭部支持枕184を含む。傾斜路176と、中心線脊柱支持体178と、頭部支持枕184とは、何れも膨張自在のものであることが好ましい。図1の患者傾斜装置10と同様に、患者傾斜装置174は、傾斜路176及び頭部支持枕184を各々膨張させるための入口186及び188と、傾斜路176と中心線脊柱支持体178との間の、この中心線脊柱支持体178を膨張させるための孔190とを有する。
患者傾斜装置174の傾斜路176は、傾斜路176の各側部上で外方に伸延する鎖骨部位支持部分192を含む。鎖骨部位支持部分192は全体的に、患者傾斜装置148の鎖骨部位支持体166と同じように寸法形状付けされ且つ患者の肩部分を同じように支持することが好ましい。しかしながら、鎖骨部位支持部分192は傾斜路176の内側部分から分離する内側部分を含まず、その代わり、傾斜路176の内側の一体延長部を確定する。
図11を参照するに、図4の患者傾斜装置88のごとき膨張式の患者傾斜装置と共に使用するようになっている、脈動圧力システム196が例示される。脈動圧力システム196は空気供給源198を含み、この空気供給源198は空気ポンプを含むことが好ましい。しかしながら、その他の任意の好適な空気供給源を使用できる。脈動圧力システム196は、空気供給源198からの空気を受けるための、空気供給源198に連結した調節器200を含む。脈動圧力システム196の調節器200は膨張自在の空気チャンバに空気のパルスを送るようになっている。このようにして膨張自在のチャンバに空気のパルスを送ることにより、そうしたチャンバ上に支持した患者には、皮膚保全と患者の快適さが促進されることによる、治療上の望ましい利益が提供される。患者傾斜装置の膨張自在のチャンバに空気パルスを送ることに関連する治療上の利益はよく知られているのでここでは詳しく説明されない。
図示される脈動圧力システム196の調節器200は、空気供給源198からの空気を、患者傾斜装置の第1、第2、第3、第4の各空気チャンバに夫々送るための4つの出口202、204、206、208を含む。図では4つの出口を示したが、本発明は出口が4つのものに限定されるものではなく、4つ以上(または以下)の出口を持つように消耗に応じて改変することができる。調節器200は、各出口202、204、206、208にパルス化したまたはパルス化しない空気を送り、関連する膨張性のコンポーネントを膨張させる、またはこれらの出口から空気を抜いてそうしたコンポーネントを収縮させるようになっていることが好ましい。調節器200に連結した複数のチャンバにこのように送る空気を、任意のチャンバ組み合わせにおいて脈動させ得る。例えば、脈動圧力システム196は、図4の膨張式の患者傾斜装置88に対し、傾斜路90、中心線脊柱支持体92、頭部支持枕98、パッド106、によって夫々確定される別個のチャンバが任意の組み合わせにおいて脈動圧力システム196によって脈動されるように取り付けることができる。脈動圧力システム196は、例えば図4の患者移行装置112の様な追加的なチャンバに空気を送るための1つ以上の追加の出口を含むようにもできる。
脈動圧力システム196は、出口202、204、206、208に送る空気配分を制御するための、調節器200に連結した制御ユニット210を含む。制御ユニット210は、各出口202、204、206、208を夫々識別するための、1〜4番を付記したボタン212を含む。各ボタン212は、関連するチャンバへの空気パルスの送付及びその停止を交互に可能にする態様下にオンオフ作動することが好ましい。制御ユニット210の、各ボタン212の隣には、関連する出口が開(“オン”)または閉(“オフ”)の状態であることを表示する光源214(例えばLED)を設ける。ユーザーは、各光源214により、どのチャンバが脈動圧力システム196からの空気パルスを受けているかを容易に識別できる。
図12を参照するに、上述した任意の患者傾斜装置のような、膨張式の患者傾斜装置を膨張させるための空気供給システム216が示され、上述した患者傾斜装置の1つにおける膨張自在のチャンバに送る加圧空気を提供するようになっている空気供給源(例えばポンプ)218を含んでいる。空気供給システム216は加熱装置220も含む。図示されるように、加熱装置220は空気ライン(または導管)222を介し、空気供給源218から加圧空気を受け、この加圧空気を加熱してその温度を上昇させるようになっている。加熱された空気の温度は、通常の体温よりも若干高い温度であることが好ましい(例えば、約37.8〜40.6℃(約100〜105°F))。体温よりも若干高温のそうした空気により、患者、例えば、医療(例えば肥満)処置を受けている間に患者傾斜装置上で支持される患者から移行する熱量が制限されるので、患者の快適性が助長する。しかしながら、加熱された空気の実際の温度は臨界的なものではなく、上記範囲から変化させることが可能である。図示されるように、加熱装置220は空気供給システム216内でライン内装置として構成され、加熱された空気は、上述した患者傾斜装置のような膨張式の装置に送るための空気ライン224を介して加熱装置220から放出される。供給される空気を別々のラインに分けて多数の膨張自在のチャンバに送るようにするマニホルドシステムを、加熱装置220の下流側で放出ライン224に連結することができる。
加熱装置220は、加熱装置220を選択的にオンオフするためのボタン(またはスイッチ)226を含むことが好ましい。そうしたボタンにより、介護者その他のオペレーターは空気供給システム216から加熱空気かまたは非加熱空気の何れかを任意に送ることができるようになる。
あるいは本発明の患者傾斜装置は、支持される患者を冷やすようにもすることができる。患者を冷やす効果は、患者傾斜装置の、患者を受ける1つ以上の上面に設けた通気用小孔により促進され得る。膨張式の患者傾斜装置の上面に設けた通気用小孔はよく知られたものであり、その詳細はここでは説明されない。本発明に従う患者傾斜装置の膨張式のコンポーネントは、例えば、傾斜路、中心線脊柱支持体、ベースパッドのような上面における通気幼少高を含むようにしたものであり得る。通気用小孔に関する冷却機能はこの通気用小孔から患者に送る空気の流れによって生じるものであり、空気を冷却する必要は無い。
図13を参照するに、別の実施例に従う空気供給システム228が示され、空気供給システム216と同様に、先に説明したような患者傾斜装置のような膨張式の装置に加圧空気の供給源を提供するための、空気供給源(例えばポンプ)230を含んでいる。空気供給システム228は、入口によってライン内様式下に空気供給源230に連結した加熱装置232と、放出空気ライン234、236とをも含む。加熱装置232は、空気供給システム216の加熱装置220と同様に、通常の体温よりも若干高い温度に加温した加圧空気を送り、かくして、膨張式の患者傾斜装置上に支持した患者から失われる体温を制限することにより、患者の快適性を促進することが好ましい。
空気供給システム228は、加熱装置232からの加圧空気を受けるための放出空気ライン236に連結した脈動圧力システム238を含む。上述した脈動圧力システム196と同様に、脈動圧力システム238はライン244を介して、脈動する加圧空気を選択的に送るための、調節器240及びコントローラー242を含む。
図14を参照するに、本発明に従う患者通気/傾斜システム246が略示され、通気ガス(例えば酸素)の供給源を提供する通気装置ユニット250と、調節器252とを有している。調節器252は、患者の必要に応じて通気装置ユニット250から患者に通気ガスの送り量(例えば通気装置マスクを介しての)を制御するようになっている。患者に送る通気ガス量の要求時調節を提供するそうした通気装置はよく知られているのでここでは説明されない。
患者通気/傾斜システム246は患者傾斜システム254を含み、患者傾斜システム254は患者傾斜装置256と空気供給源258とを含む。患者傾斜装置256は上述した患者傾斜装置の1つであり得るがそれには限定されない。例えば、患者傾斜装置は米国公開特許第2005/0193496号の図8に示すようなものであり得る。当該公開特許に記載されるように、患者傾斜装置は傾斜路と、頭部支持枕と、傾斜路とにおける膨張を別個に制御するようになっている膨張制御システムとを含む。膨張をそのように別個に制御することにより、患者の頭部や上半身を望ましく微調整することが可能となり、例えば、挿管法を容易化する最適な“匂嗅姿勢”を実現させ得る。米国公開特許第2005/0193496号はここに参照することにより本明細書に含まれるものとする。
患者通気/傾斜システム246は、通気装置248の操作に応じて患者傾斜装置256の1つ以上の膨張自在のチャンバの膨張を制御するためのコントローラー262を含む。図示されるように、コントローラー262は通気装置248の調節器252に連結される。コントローラー262は、調節器252からの、通気装置248から患者に送られる通気ガス量を表す信号を受けることで、患者の呼吸量を監視するようになっている。図示されるように、コントローラー262は患者傾斜システム254にも連結される。コントローラー262は、好ましくはコントローラー262のアルゴリズムに基づいて患者傾斜システム254を指図し、監視された患者の呼吸の変化に応じて患者の位置を調節させる。
例えば、通気装置248から通気ガスを受ける肥満患者は先ず、患者傾斜装置256上に、実質的に平らな姿勢で仰向け寝かせられる。時間が経つと、患者は完全に仰向けの姿勢のままでは呼吸が苦しくなってくる。コントローラー262は、患者傾斜システム254の空気供給源258に、患者傾斜装置の傾斜ランプの膨張量を変化さえて患者の位置を変更し、それによって患者を完全に仰向けになった姿勢から上半身を起こすようにする命令を出すようにプログラムされることが好ましい。先に議論したように、特に肥満患者の場合は、完全な仰向け状態から傾斜させることで呼吸が楽になる。
患者傾斜システム254は、コントローラー262からの制御信号に基づいた、患者傾斜装置256の膨張及び収縮の制御を提供するようになっていることが好ましい。このように、制御システム260のコントローラー262は、例えば、先に説明したように装置の膨張を制御するのに加えて、患者傾斜装置256を収縮(または部分収縮)させる命令を出すことができる。コントローラー262は、監視している患者の呼吸量が予め設定したレベル以下に落ちたときは、患者傾斜システム254に指示を出して患者傾斜装置256を収縮させ、患者を完全に仰向けの姿勢に戻すようにプログラムすることができる。
1つの用途において、通気/傾斜システム246は睡眠時無呼吸症を持つ患者に対して使用される。制御システム260は、監視している呼吸量がプリセットレベルを超えた場合に患者傾斜システム254を使用して患者を傾斜させ、呼吸量がプリセットレベルからもっと普通の(即ち、苦しくない)レベルに低下したときは患者を戻す(即ち、傾斜を戻す)サイクル形式での傾斜制御を提供するようにもできる。
本発明の制御システムは完全に仰向けの姿勢と傾斜した姿勢との間で患者を調整する用途に限定されるものではない。制御システムは、監視される患者の呼吸量の変化に応じて患者の傾斜位置を徐々に調節するようにもできる。制御システムは、傾斜路の膨張量を調節する目的での膨張量制御に限定されるものではなく、例えば、上述した中心脊柱支持体によって提供される脊柱指示のようなその他の膨張自在の機能構造部を制御するためにも使用できる。例えば、中心線脊柱支持体の膨張量を制御して患者に対する支持量を調節することが望ましい。
制御システム260のコントローラー262が、図14に示すように、通気システム248及び患者傾斜システム254に対して配線されていることは本発明の要件ではない。例えば、その他の手段(例えば無線、赤外線等)を使用してコントローラー262と通気システム248や傾斜システム254との間で信号を送ることが可能である。
以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。
10 患者傾斜装置
12 傾斜路
14 中心線脊柱支持体
16 ベース部材
18 上面
20 頭側端部
22 底部
24 上面
28 後側端部
30 底部
32 上面
34 後側端部
36 前方端
38 空間
40 締め具
42 周囲タブ
44 周囲タブ
46 頭部支持枕
48 入口
54 患者傾斜装置
56 傾斜路
58 中心線脊椎支持体
60 ベース部材
62 上面
66 患者傾斜装置
68 傾斜路
70 中心線脊柱支持体
72 ベースパッド
74 上面
76 頭部支持枕
78 入口
80 入口
82 孔
84 締め具
88 患者傾斜装置
90 傾斜路
92 中心線脊柱支持体
94 ベース部材
94 傾斜路
96 上面
98 頭部支持枕
100 入口
102 入口
106 パッド
108 締め具
110 タブ
112 患者移行装置
114 締め具
116 タブ
118 引張ストラップ
120 肥満患者
122 患者傾斜装置
124 傾斜路
126 頭部支持枕
128 頭部
130 胸壁
132 体側部
134 患者
136 患者傾斜装置
138 傾斜路
140 頭部支持枕
148 患者傾斜装置
150 傾斜路
152 中心線脊柱支持体
154 ベース部材
156 上面
158 頭部支持枕
160 入口
162 入口
164 孔
166 鎖骨部位支持体
168 締め具
172 ストラップ
174 タブ
174 患者傾斜装置
176 傾斜路
178 中心線脊柱支持体
180 ベース部材
182 上面
184 頭部支持枕
186 入口
188 入口
190 孔
192 鎖骨部位支持部分
196 脈動圧力システム
198 空気供給源
200 調節器
202 出口
204 出口
206 出口
208 出口
210 制御ユニット
212 ボタン
214 光源
216 空気供給システム
218 空気供給源
220 加熱装置
222 空気ライン
224 空気ライン
228 空気供給システム
230 空気供給源
232 加熱装置
234 放出空気ライン
236 放出空気ライン
238 脈動圧力システム
240 調節器
242 コントローラー
244 ライン
246 通気/傾斜システム
250 患者通気装置ユニット
252 調節器
254 患者傾斜システム
256 患者傾斜装置
258 空気供給源
262 コントローラー

Claims (21)

  1. 患者傾斜装置であって、
    ベース部材と、
    ベース部材の上面に位置付けられ、患者の上半身をベース部材に関して挙上させ且つ患者の脊柱が傾斜方向において傾斜路の中心線と整列するように患者を支持するようになっている傾斜路と、
    傾斜路の中心線と整合され且つ傾斜路の後方に位置付けられ、傾斜路の下方部分に重なる脊柱支持体にして、患者の背中の、脊柱を含む中央部分と接触し、患者の背中の中央をベース部材よりも上方に挙上させて支持するようになっている脊柱支持体と、
    を含む患者傾斜装置。
  2. 中心線脊柱支持体の幅が傾斜路の幅未満であり、かくして、傾斜路の、中心線脊柱支持体の各側に沿って、患者の腕及び体側部を受け、かくして患者の胸壁を横断方向に伸展させる横断方向の空間が画定される請求項1の患者傾斜装置。
  3. 中心線脊柱支持体が膨張自在のチャンバを含む請求項1の患者傾斜装置。
  4. 傾斜路が膨張自在のチャンバを含む請求項3の患者傾斜装置。
  5. 傾斜路が、該傾斜路を膨張させるための入口と、中心線脊柱支持体を膨張させるために傾斜路のチャンバと中心線脊柱支持体のチャンバとの間を連通する少なくとも1つの開口と、を更に含む請求項4の患者傾斜装置。
  6. 患者の頭部を支持するための膨張自在の頭部支持枕を傾斜路上に更に位置付けた請求項1の患者傾斜装置。
  7. 傾斜路が緩衝材を含む請求項1の患者傾斜装置。
  8. ベース部材が可撓性のシートを含む請求項1の患者傾斜装置。
  9. 傾斜路と中心線脊柱支持体とをベース部材に着脱自在に取り付けた請求項1の患者傾斜装置。
  10. ベース部材が膨張自在のパッドを含む請求項1の患者傾斜装置。
  11. 底面に複数の孔を有する膨張自在の移行装置にして、孔から移行装置の下方に空気を逃出させることによって荷重を受けるクッションを創出し、下方の支持面上での該移行装置の摺動を容易化し、該移行装置の上面には患者傾斜装置のベース部材を位置付けた移行装置と組み合わせた請求項1の患者傾斜装置。
  12. 少なくとも1つの膨張自在のチャンバと、患者傾斜装置の画定する上面における複数の通気用開口にして、前記膨張自在のチャンバから空気を排出して患者を冷却するための複数の通気用開口と、を含む請求項1の患者傾斜装置。
  13. 中心線脊柱支持体が凸状に湾曲した上面を画定する請求項1の患者傾斜装置。
  14. 患者の肩部を支持するための鎖骨支持体を傾斜路の各側に各々位置付けた請求項1の患者傾斜装置。
  15. 各鎖骨支持体が膨張自在のチャンバを画定する請求項14の患者傾斜装置。
  16. 少なくとも1つの膨張自在のチャンバにして、該膨張自在のチャンバを膨張させるための空気供給源と組み合わせた膨張自在のチャンバを含む請求項1の患者傾斜装置。
  17. 加圧空気源から加圧空気を受け、受けた加圧空気を加熱するようになっている加熱装置とを含む請求項16の患者傾斜装置。
  18. 空気供給源が、膨張自在のチャンバに空気パルスを送るための脈動圧力システムを含む請求項16の患者傾斜装置。
  19. 患者傾斜装置の膨張を調整し且つ患者の支持位置を変化させるための弁コントローラーを使用する膨張制御システムを更に含む請求項16の患者傾斜装置。
  20. 弁コントローラーがオペレーターからの手動入力に応答する請求項19の患者傾斜装置。
  21. 弁コントローラーが患者の呼吸量の変化に自動応答する請求項19の患者傾斜装置。
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