JP2010507690A - ロウ結晶化のオンライン監視方法 - Google Patents

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Abstract

溶剤脱ロウを用いる潤滑油処理に使用されるロウ晶析器の性能を監視するために、ロウ結晶粒子のサイズおよび個体数の測定が用いられる。ロウ結晶粒子のサイズはオンライン測定を用いて監視される。オンライン監視から得られる情報は、続いて、脱ロウユニットの性能を最適化するために、脱ロウ機器における結晶化の制御用として用いられる。
【選択図】図5

Description

本発明は、潤滑油処理用の溶剤脱ロウに用いられるロウ晶析器の性能を監視するためのロウ結晶粒子のサイズおよび個体数の利用に関する。ロウ結晶粒子のサイズがオンライン測定を用いて監視される。オンライン監視から得られる情報は、続いて、脱ロウユニットの性能を最適化するために、脱ロウ機器における結晶化の制御用として用いられる。
潤滑油の基油を調製するための原料油として用いられる高分子量の炭化水素留分は、通常343℃+範囲の初留点を有する。これらの原料油は、その留分が天然原料または合成原料のいずれに由来するかには関係なく、一般的にロウを含んでいる。大抵のロウ含有原料油は、石油、ビチューメン等のような天然資源に由来するが、将来的にはガス転化のような方法によって生成される合成原油または炭化水素留分に由来するものが増えていくであろう。このガス転化においては、天然ガス若しくは主としてメタンを含有するガスが合成ガスに転化され、続いて、これが炭化水素合成用として用いられる。政府の規制基準に適合するための高VI潤滑油への傾向は、原料油におけるロウ含有量の増大をもたらすことになる。自動車オイル用のグループI分類適合基油は通常溶剤法によって調製され、グループIIおよびIIIの基油は通常触媒法を用いる。
自動車、タービン、工作機械等の潤滑油調製用としては、約343〜約566℃またはそれ以上の沸点範囲の原料油が用いられる。潤滑油留分が潤滑油の基油として有用であるためには、ロウを少なくとも部分的にでも除去しなければならない。これは、溶剤脱ロウまたは触媒脱ロウのいずれかによって行われる。グループIの基油の調製に使用されるほとんどの脱ロウ設備はなお溶剤脱ロウを採用している。この溶剤脱ロウにおいては、冷却された脱ロウ溶剤を潤滑油留分と緩速混合し、この混合物を、撹拌しながら所要の曇り点または流動点温度までゆっくりと冷却する。グループIIの基油は通常溶剤法または触媒法のいずれかを用いて調製され、グループIIIおよびそれ以上の基油は脱ロウ用の触媒法によって調製される。
希釈冷却脱ロウの1つの方法はDILCHILL(商標)法である(DILCHILL(商標)はエクソンモービル・リサーチ・アンド・エンジニアリング会社(ExxonMobil Research and Engineering Company)の登録商標である)。DILCHILL(商標)は特許文献1に開示されている。DILCHILLの基本的な概念に対して、多くの改善および修正がなされてきた。例えば、垂直方向に段区分された冷却塔において、各段内部の注入点における溶剤の速度は、混合ブレードの周速度の少なくとも5〜30倍であるべきことが示された。これによって、相対的に高速の溶剤注入がない他の方法で得られるよりも高いろ過速度および高い脱ロウ油収率が得られる。また、希釈冷却と表面掻き取り式冷却との組み合わせが潤滑油の脱ロウに有用であることが示された。他の方法は、ロウ質の油と溶剤とが冷却ゾーンの最終段近くで混和し得ないように、脱ロウ溶剤の組成を調整することを教示している。これによって、塔に供給されるロウ質の油の基材油が相対的に高粘度でかつ高分子量である場合に、すぐれた脱ロウ油収率および高いろ過速度が得られる。更にまた、ロウ質の油が残油またはブライトストックのような比較的重質の原料であるときには、冷却ゾーンに導入する前にその油を部分的に予備希釈することが知られている。しかし、これらすべてのDILCHILL(商標)脱ロウ法において、各段への溶剤の添加速度を、各段における温度低下が同じかまたはほぼ等しくなるように調整するべきであると考えられた。
DILCHILL(商標)法は次のように操作する場合に改善されることが知られている。即ち、ロウ質の潤滑油の基材油を、複数段に分割された垂直の塔の高さに沿う複数の点において、冷却された脱ロウ溶剤の連続的な増分量と接触させることによって溶剤脱ロウする場合である。この接触は、各段において、油と溶剤との混合物を撹拌しながら行って、ロウ質の油と溶剤との実質的に瞬時の混合を実現し、それによって油からロウを沈殿させる。よく知られたショック冷却効果は、冷却された溶剤の各段への添加を次のように調整することによって避けられる。即ち、ロウの沈殿が生起する最初の段の段当たり温度の低下を、ロウの沈殿が生起する最終段または後続段における段当たり温度の低下よりも確実に大きくするように、塔に沿う温度分布曲線を修正する方法で、低温溶剤の各段への添加を行う。
ロウ結晶化の監視用として種々の方法が提案されてきた。1つの方法においては、溶剤冷却機の上流側の高温の脱ロウ溶剤のロウ結晶化温度を決定するのに、ロウの結晶に反射されるレーザ光線を用いる。これは、遠隔制御点からのオンライン法によって自動的に実現される。この方法においては、溶剤のスリップストリームが、大気条件に曝露されることなく、付属の溶剤ループを通してループのサンプルチャンバに送られる。サンプルが冷却されるにつれて、光線の反射が、検知されてロウの結晶化温度を示す。その際、必要であれば、冷却機の汚れを防止する修正手段を講じることができる。別の方法は、ロウの形成に伴う光の伝達或いは反射光の程度または強さを使用する電子分析器を用いる。
米国特許第3,773,650号明細書 米国特許第5,401,383号明細書 米国特許第5,098,684号明細書 米国特許第5,198,203号明細書
米国化学会誌(J.Amer.Chem.Soc.)、1992年、第114巻、p10834
上記の方法は全ロウ含有量の分析を目的としている。しかし、ロウ結晶化の方法そのものの有効性、特に、結晶サイズの分布に関係するものとしての有効性を監視する必要性が依然としてある。
1つの実施態様において、本発明は、潤滑油の製造に用いる溶剤脱ロウ機器で、少なくとも1基の冷却塔を含む溶剤脱ロウ機器におけるロウ結晶の形成をオンライン監視する方法に関する。この方法は、ロウ質の原料油を少なくとも1つの流入口および流出口を有する少なくとも1基の冷却塔に導く工程と、このロウ質の原料油を冷却された脱ロウ溶剤と接触させて溶剤、油およびロウ結晶の混合物を形成する工程と、この混合物を少なくとも1基の冷却塔の流出口からセパレータに導く工程であって、ただし、セパレータへの流入前に混合物中のロウの結晶のロウ結晶サイズ分布をオンラインの粒径分析器によって測定する工程と、ロウの結晶を油および溶剤から分離する工程とを含む。
もう1つの実施態様は、ロウ質の原料油から潤滑油を調製するための溶剤脱ロウ法に関する。この方法は、ロウ質の原料油を少なくとも1つの流入口および流出口を有する少なくとも1基の冷却塔に導く工程と、このロウ質の原料油を、冷却塔における少なくとも1つの冷却ゾーンにおいて混合条件の下で脱ロウ溶剤と接触させてロウ結晶、溶剤および油の混合物を形成する工程と、この混合物を少なくとも1基の冷却塔の流出口からセパレータに導く工程であって、ただし、セパレータへの流入前に混合物中のロウの結晶のロウ結晶サイズ分布をオンラインの粒径分析器によって測定する工程と、ロウの結晶を油および溶剤から分離する工程と、少なくとも1基の冷却塔において条件を必要に応じて調整して、ロウ結晶の分離を改善するためにロウ結晶のサイズを修正する工程とを含む。
塔T−402およびT−403からの結晶サイズ測定用の、チャネル当たりの粒子/結晶カウント数対相対粒径を示すグラフである。 塔T−402およびT−403における正規化された原料ろ過速度(FFR)の時間に対する変化を示すグラフである。 塔T−402およびT−403における正規化された液体対固体比(L/S)の時間に対する変化を示すグラフである。 塔T−402の高温洗浄後の塔T−402およびT−403における結晶サイズ分布を示すグラフである。 全ケトン脱ロウユニット用として計算されたFFRと比較した、塔T−402およびT−403のFFRの時間に対する比較を示すグラフである。
原料油の調製
潤滑油の基油を製造する選択された原油の溶剤精製は、通常、常圧蒸留、減圧蒸留、抽出、脱ロウおよび水素化精製を含む。イソパラフィン含有量が高い基油は良好な粘度指数(VI)特性および適切な低温特性を有するという特徴を備えているので、溶剤精製法に用いられる原油は通常パラフィン基原油である。潤滑油の基油の1つの分類法はアメリカ石油協会(API)による方法である。APIのグループI基油は、潤滑油基油の溶剤精製によって製造され、現在なお世界の潤滑油市場の大きな部分を占めている。APIのグループII基油は、90重量%以上の飽和成分含有量と、0.03重量%以下の硫黄含有量と、80より高いが120より低い粘度指数(VI)とを有する。グループII基油は通常水素処理を含み、更に製造方法の一部として溶剤精製を含むこともある。
溶剤精製においては、常圧蒸留からの高沸点の石油留分が減圧蒸留ユニットに送られ、このユニットからの蒸留留分が溶剤抽出される。脱歴することができる減圧蒸留の残油は他の処理に送られる。溶剤抽出することができる他の原料は脱ロウ油およびフーツ油のようなワキシーストリームを含む。
溶剤抽出法は、芳香族成分をエキストラクト相に選択的に溶解する一方、よりパラフィン質の高い成分をラフィネート相に残す。ナフテンはエキストラクト相およびラフィネート相の間に分布する。溶剤抽出用の代表的な溶剤は、フェノール、フルフラールおよびN−メチルピロリドンである。溶剤対油比と、抽出温度と、被抽出留出物の溶剤との接触方法との制御によって、エキストラクト相およびラフィネート相の間の分離の程度を制御できる。
溶剤抽出からのラフィネートは不十分抽出されたものとすることができる。即ち、抽出を、一方では原料から最低品質の分子のほとんどを除去しながらラフィネート収率が最大化されるような条件の下で行う。ラフィネート収率は、抽出条件の制御、例えば、溶剤対油処理比の低減および/または抽出温度の低下によって最大化することができる。溶剤抽出ユニットからのラフィネートは、通常、そのラフィネートから硬質のロウを除去する溶剤脱ロウ条件の下で溶剤脱ロウされる。
水素化処理
ラフィネート原料油は、多くの場合、潤滑油用としては許容できない量の硫黄および/または窒素の不純物質を含有する。従って、ラフィネート原料油が許容できない量の硫黄および/または窒素の不純物質を含む場合は、このような原料油は、硫黄および/または窒素の不純物質の少なくとも一部を除去して水素化処理された原料油を生成するのに有効な条件の下で、水素化処理触媒と接触させることができる。この場合の使用に適した水素化処理触媒は、少なくとも1つの第6族(第1〜18族のIUPAC周期表に基づく)の金属と少なくとも1つの第8〜10族の金属とを、それらの混合物を含めて含有する触媒である。好ましい金属としては、Ni、W、Mo、Coおよびそれらの混合物が含まれる。これらの金属またはそれらの混合物は、通常、耐火性の金属酸化物担体上の酸化物または硫化物として存在する。また、金属の混合物は、金属の量が触媒を基準にして30重量%以上であるようなバルク金属触媒として存在してもよい。
適切な金属酸化物担体は、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナまたはチタニアのような酸化物、好ましくはアルミナを含む。好ましいアルミナは、ガンマアルミナまたはイータアルミナのような多孔質アルミナである。金属酸化物担体の酸性度は、プロモータおよび/またはドーパントの添加によって、或いは、金属酸化物担体の性質の制御、例えばシリカ−アルミナ担体に組み入れられるシリカの量の調整によって制御できる。プロモータおよび/またはドーパントの例として、ハロゲン特にフッ素、リン、ホウ素、イットリア、希土類酸化物およびマグネシアが含まれる。ハロゲンのようなプロモータは一般的に金属酸化物担体の酸性度を高めるが、イットリアおよびマグネシアのような弱塩基性のドーパントはこのような担体の酸性度を低下させる傾向がある。
バルク触媒は通常担体材料を含まず、金属は酸化物または硫化物として存在するのではなく、金属そのものとして存在することに留意するべきである。これらの触媒は、通常、バルク触媒に関して上記の範囲内の金属と、少なくとも1つの押し出し剤とを含む。担持された水素化処理触媒の金属の量は、個別または混合物のいずれかとして、触媒を基準にして0.5〜35重量%の範囲内である。第6族および第8〜10族の金属の好ましい混合物の場合は、第8〜10族の金属が触媒を基準にして0.5〜5重量%の量で存在し、第6族の金属が5〜30重量%の量で存在する。金属の量は、原子吸光分析法、高周波誘導結合プラズマ原子発光分光分析法、または個別金属用としてASTMに規定される他の方法によって測定することができる。市販の適切な水素化処理触媒の非限定的な例として、RT−721、KF−840、KF848およびSentinel(商標)がある。好ましい触媒は、酸性度が低く金属含有量が高い触媒で、KF848およびRT−721を含む。
水素化処理条件は、圧力を1480〜20786kPa(200〜3000psig)、好ましくは2859〜13891kPa(400〜2000psig)とし、空間速度を0.1〜10LHSV、好ましくは0.1〜5LHSVとし、かつ、水素処理ガス速度を89〜1780m/m(500〜10000scf/B)、好ましくは178〜890m/m(1000〜5000scf/B)として、温度範囲を280℃〜400℃、好ましくは300℃〜380℃とする条件を含む。
水素化処理は、通常、窒素および硫黄の不純物質をそれぞれアンモニアおよび硫化水素に転化することによって、原料油に含まれる窒素および硫黄の不純物質を低減する。これらの気体の不純物質は、ストリッパ、ノックアウトドラム、その他のような従来技術を用いて、水素化処理された原料油から分離することができる。代替方式として、水素化処理装置からの水素化処理された流出物が、後続の脱ロウ段と干渉しない程度の不純物質を含む場合は、水素化処理装置からの気体および液体の全流出物を脱ロウ段に送ることが可能である。
水素化処理反応段は、1つ以上の固定床反応器または反応ゾーンから構成することができ、この反応器または反応ゾーンのそれぞれは、同じ水素化処理触媒の1つ以上の触媒床を含むことができる。他のタイプの触媒床の使用も可能であるが、固定床が望ましい。他のタイプの触媒床としては、流動床、懸濁気泡床、懸濁床および移動床が含まれる。脱硫反応は一般的に発熱反応であるので、反応器または反応ゾーン間における、或いは、同じ反応器または反応ゾーンの触媒床間における中間段冷却または加熱を実施することが可能である。水素化処理の間に発生する熱の一部は回収できる。この熱回収方式を利用できない場合は、冷却水または空気のような冷却ユーティリティによって、或いは水素のクエンチストリームを利用して従来方式の冷却を実施することができる。このような方式で、最適の反応温度を容易に維持できる。
水素化処理においては、VIの増大が、原料油のVIよりも、4未満だけ、好ましくは3未満だけ、更に好ましくは2未満だけ大きい水素化処理原料油を生成するために、原料油の5重量%未満、好ましくは3重量%未満、更に好ましくは2重量%未満が、650°F(343℃)マイナス製品に転化される。
溶剤脱ロウ
溶剤脱ロウは、通常、溶剤抽出ユニットからのラフィネート原料(水素化処理することができる)を冷却された脱ロウ溶剤と混合して油−溶剤溶液を形成する操作を含む。更に冷却して、沈殿したロウを、例えばろ過によって分離する。温度および溶剤は、ロウを沈殿させながら油が冷却された溶剤によって溶解されるように選択される。
特に適切な溶剤脱ロウ法は、溶剤が前冷却され、冷却塔の高さに沿ういくつかの点で増分量として添加される冷却塔の使用を含む。冷却工程の間、油−溶剤混合物は撹拌され、前冷却された溶剤と油との実質的に瞬時の混合を可能にする。前冷却された溶剤は、平均冷却速度を10°F/分(5.6℃/分)以下に維持するように、通常約1〜約5°F/分(0.6〜2.8℃/分)の間に維持するように、冷却塔の長さに沿って増分量として添加される。冷却塔内における油−溶剤/沈殿ロウの混合物の最終温度は、通常、0〜50°F(−17.8〜10℃)になる。この混合物は、続いて、表面掻き取り冷却機に送られて更に冷却され、その後、沈殿したロウを混合物から分離するためにろ過システムに送られる。増分量方式の溶剤希釈冷却に関する更なる詳細は特許文献2に見ることができる。この特許文献2はその全体が本明細書に援用される。
一般的に、添加される溶剤の量は、脱ロウ温度における5/1〜20/1の範囲の液体/固体重量比と、1.5/1〜5/1の間の溶剤/油容積比とを提供するに十分なものとなるであろう。溶剤脱ロウ油は、通常、中間的な流動点、好ましくは約+10℃未満に脱ロウされる。代表的な脱ロウ溶剤は、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンのような3〜6個の炭素原子を有する脂肪族ケトン、プロパンおよびブタンのような低分子量のC〜C炭化水素、および、それらの混合物である。溶剤は、ベンゼン、トルエンまたはキシレンのような他の芳香族溶剤と混合することができる。
混合物が冷却されると、ロウの結晶が析出沈殿して、溶剤および油の低温の混合物内にロウ結晶の懸濁液が形成される。ロウ質油に脱ロウ溶剤を加えることによって、混合物の粘度も低下する。多くの場合、油内へのロウの溶解性を低減し、一方ではロウの分離温度における油の不混和性を回避するために、トルエンのようなロウの溶剤と、通常メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンのようなケトンを含むロウの逆溶剤との混合物が用いられる。ロウは、ろ過によって、例えば回転真空ろ過器または膜ろ過器を用いて、油および溶剤の混合物から分離することが望ましい。遠心分離およびフィルタクロスがロウ分離の他の方法である。油主体のろ液およびロウの沈殿物は、脱ロウ油およびロウから脱ロウ溶剤を分離しかつ回収するために分離用の分留器に送られる。分留器から回収された高温の脱ロウ溶剤は、冷却機(chiller)と呼ばれる間接熱交換器に送られ、その温度を脱ロウに十分な温度に低下させる。この温度は脱ロウ温度よりも低い。
溶剤と共に溶剤回収分留器に同伴される、またはキャリオーバされるロウはしばしば、下流側の脱ロウ溶剤冷却機の汚れの原因になる。この汚れは、冷却機の内部の熱交換表面へのロウの沈殿およびロウ層の形成を含み、これが断熱材として作用する。その結果、冷却機から流出する脱ロウ溶剤の温度が、下流側の脱ロウ操作用としては高くなり過ぎる。そのため、冷却機をラインから外して清浄化しなければならないが、これはプラントの容量を低下させる。冷却された溶剤中のロウを検査する普通の方法は、運転者が冷却機の上流側の高温溶剤のサンプルを採取してそれをゆっくり冷却し、ロウの結晶が形成される温度を視覚的に決定するという方法である。この方法は最適でなく、条件に対する制御が全くない。高温溶剤のサンプル採取は火災の危険性を内包しており、更に、サンプル採取時の溶剤の蒸発によって、人為的に高いロウ結晶化温度が測定される可能性がある。測定をなすためには、サンプルを、測定をなす実験室または他の設備に持って行かなければならない。続いて、高温のサンプルをゆっくりと冷却し、ロウ結晶の形成を注視しながら温度を監視する。ロウ結晶が形成し始める温度が、ロウ結晶化温度として記録される。この方法は、時間が掛かりすぎるため、オンラインまたはリアルタイムの監視用として有用でない。
オンライン監視
本方法は、1つの実施態様において、ロウ結晶の個体数、形成およびサイズを検知し得る、制御された相対的に迅速なオンライン検知技術に関する。これによって、運転者が、脱ロウユニットの性能を最適化し、不必要な冷却または希釈をなくすかまたは低減してエネルギーおよび溶剤のコストを最小化することが可能になる。希釈冷却脱ロウの好ましい方法はDILCHILL(商標)法である。
典型的な溶剤脱ロウ法は、複数基の冷却塔を用いて行われる。冷却塔の最終段から送られてくる沈殿ロウを含む油−溶剤混合物は、ロウ含有混合物からロウを分離する手段に導かれる。この分離用として、ろ過または遠心分離のような任意の適切な手段を用いることができる。一般的に、ろ過が好ましい分離手段であり、油および溶剤からのロウの分離に適した任意のろ過器を用いることができる。ロウ分離手段から出る油−溶剤混合物は、溶剤回収のような更に別の処理に送られる。分離されたロウは続いて付加的な精製および溶剤回収操作にかけられる。
油からのロウの分離に適したろ過器としては、回転ドラムろ過器および膜ろ過器が含まれる。回転ドラムろ過器はよく知られており、典型的な回転ドラムろ過器として好ましいのは、ドラムと、フィルタクロスのようなろ過媒体とを含む回転ドラム真空ろ過器である。ドラムはろ過媒体に圧力および/または真空を加える手段を含んでおり、このろ過媒体を通して油主体のろ液が引き抜かれ、ロウ質のケーキがその上に堆積する。ロウ質のケーキは溶剤で洗浄され、ろ過器から取り除かれる。膜ろ過の1つの例は、エクソンモービル(ExxonMobil)から入手可能なMAX−DEOIL(商標)法である。この方法においては、ロウ質の原料を含む溶剤が冷却され、硬質のロウがろ過器によって除去される。軟質のロウを含むろ液は続いて膜ろ過器に導かれる。膜からの透過液はほとんど溶剤であり、一方、残留物はほとんど軟質のロウである。透過液は溶剤回収工程に送られ、残留物はロウ回収工程に送られる。
本方法においては、少なくとも1基の冷却塔、好ましくはすべての冷却塔に流入するロウ含有流れ、或いは、それからの流出物におけるロウ結晶のサイズを監視するために、プローブが用いられる。結晶サイズ分布を監視するためのこのようなプローブは市販されている。このようなプローブの1つの例は、メトラ・トレド(Mettler Toledo)社が製造しているLasentec(登録商標)FBRM D600計器である。結晶サイズ監視用の他のプローブとして、マルヴァン(Malvern)社のInsitecシリーズ分析器、および、ベックマン・コールター(Beckman Coulter)社のLSシリーズ分析器がある。冷却塔へのまたはそれからのロウ含有流れに挿入されるプローブは、冷却塔の任意の段、または冷却塔の流出口、またはろ過器への流入口に挿入することが可能で、ロウ結晶のサイズを評価するリアルタイムの方法を提供する。プローブに対する好ましい位置は、冷却塔の流出口とろ過器への流入口との間、特に冷却塔の流出口またはその近傍である。一般的に、両者共、続いてろ過において形成されるロウケーキのろ過性に影響するので、ロウ結晶が大きい方が生産性の向上に有利である。
結晶サイズの分布(crystal size distribution:CSD)はオンラインプローブによって測定される。熟練運転者は、生産性を向上させるための冷却塔内部の操作の制御に利用し得るいくつかの可変因子を有しているであろう。可変因子の正確な組み合わせは、塔への供給原料の性質によって変化する可能性がある。可変因子には、次のような項目が含まれる。即ち、
1)温かい溶剤による塔の高温洗浄―これは、塔のトレーにおけるロウの堆積を溶解する方法を提供する。トレーにおけるロウの堆積は、結晶成長に用いられる低温溶剤の混合および分布の低下をもたらす可能性がある。
2)混合羽根速度の増大―これは、低温溶剤の混合度を増大させ、ロウ結晶の核形成および成長の増大を可能にする。但し、この場合、羽根の速度を速くし過ぎると、ロウ結晶のせん断が発生し、ロウ結晶が微小な結晶に破壊されて、ロウのろ過性および塔の生産を低下させるという副作用がある。
3)好ましくは溶剤流量の増大による溶剤流量の調節、或いは、温度の調節―DILCHILL(商標)ユニットの主要な利点は、結晶が核形成しかつ成長するのに十分な時間および空間を可能にするために多量の低温溶剤を用いる点にある。低温溶剤が不十分であるとCSDが低くなる場合がある。
4)塔の下向きの温度分布曲線の変更―塔の下方に進む場合、最適の温度の傾斜が存在する可能性がある。この温度の傾斜によって、塔頂におけるロウ結晶の核形成の最大化と、塔底から出る前に結晶を成長させるに十分な冷却とが可能になる。
ろ過速度および基油の収率はCSDと相関関係を有する。I)処理量を最大化するように、II)収率を最大化するように、或いは、III)エネルギーを低減するようにCSDを変化させることができれば、全体としての利益が改善される。各場合共原料に依存するところが多く、方法の可変因子の解決策の組み合わせは、特殊な状況の組み合わせごとに独自のものになる。
I.処理量を最大化したい場合は、熟練運転者は、状況がろ過律速または冷却律速のいずれであるかを考えるであろう。
Ia)ろ過律速の場合
ろ過律速の場合はろ過速度の増大が目標になる。通常、ブライトストック、600Nおよびいくつかの250Nはろ過律速である可能性がある。プラントがろ過律速である場合は、運転者(または制御システム)は、CSDに関する知識によって、CSDを制御するように冷却機を運転して高いろ過速度を実現できるであろう。好ましいCSDは次のような重要特性を有するであろう。即ち、a)狭いサイズ分布(低い標準偏差/平均値)、b)最大結晶の最高個体数を可能にする大きな平均結晶サイズ、c)球形、および、d)ろ過工程において変形または破壊しないような「硬質の」(軟質でない)結晶―球形結晶がこの性質を高める、という特性を有するであろう。
運転者(または制御システム)が調整し得る重要な可変因子は、
1)前希釈比、
2)スロップ対原料比、
3)塔流入口温度、
4)撹拌機速度、
5)塔希釈比、
6)塔の温度分布曲線、
7)溶剤組成、
8)溶剤の流量分布、
9)溶剤温度、
10)脱ロウ助剤比、
11)脱ロウ助剤速度、
を含むであろう。
これらの可変因子の値は原料のタイプによって変化する。各タイプの原料に対して、異なった独自の組み合わせがあり得る。原料の組成、蒸留曲線の形状および終点は、CSDに影響する変数であって運転パラメータの調整を最適化するように要求する変数の例である。運転者(または制御システム)は、個別の変数の重要性を評価して、状況の特殊な組み合わせに妥当なものとしての調整をなすことになろう。
Ib)冷却律速の場合
軽質グレードは通常ろ過律速であるとは考えられず、むしろ冷却律速であると考えられる。通常この場合の目標は収率の最大化(ロウ中油の最少化)である。平均結晶サイズは大きいであろうが、分布はなお幅広い可能性がある。従って、目標は、上記の可変因子を用いてCSDの形を変化させ、プラントが収率を最適化し得るCSDを生成することになる。上記のように、好ましいCSDは次のような重要特性を有するであろう。即ち、a)狭いサイズ分布(低い標準偏差/平均値)、b)最大結晶の最高個体数を可能にする大きな平均結晶サイズ、c)球形、および、d)ろ過工程において変形または破壊しないような「硬質の」(軟質でない)結晶―球形結晶がこの性質を高める、という特性を有するであろう。
II.収率を最大化したい場合は、この目標は、プラントが設定された速度(最大速度信号ではなく)で運転されているか否かという状況に向けられるであろう。処理量を最大化する場合と同じ上記の方法の可変因子が、しかし異なる目標をもって用いられる。
III.エネルギーの節減は、原則として目標であるが、これは、幾度も繰り返して追求される目標ではなかった。しかし、方法の可変因子は上記のものと同じとすることができる。
ほとんどの溶剤脱ロウプラントにおいて、通常2基以上の冷却塔が設けられている。従って、CSDの測定は各個別の冷却塔の性能に基づいて行うことができ、1)処理量を最大化する、2)収率を最大化する、或いは3)エネルギーを低減するという目標を、対象とする塔の性能に基づいて評価することができる。
オンライン監視は、溶剤脱ロウプラントの全体的な運転に次のように組み込むことができる。上記のように、溶剤脱ロウ用の原料油の調製は、通常、ロウ質の原料油の溶剤抽出を含む。溶剤抽出からのラフィネートが過剰な窒素および硫黄含有不純物質を含む場合は、そのラフィネートを続いて上記のように水素化処理することができる。水素化処理されたラフィネートを含むラフィネートを次に上記のように溶剤脱ロウする。冷却塔の運転には、本発明に従って、ロウ結晶のサイズを測定するオンライン監視が組み込まれる。最終冷却塔からの流出物のロウは油/溶剤から分離される。溶剤は油からストリッピングされ、油は、製品品質の点から必要である場合には水素化精製することができる。
水素化精製
水素化精製は、潤滑油範囲のあらゆるオレフィンおよび残留芳香族の飽和化と、あらゆる残留へテロ原子および発色体の除去とを目的とした緩やかな水素化処理の1つの形態である。一般的に、水素化精製は、約150℃〜350℃、好ましくは180℃〜250℃の温度で行われる。全圧力は、通常、2859〜20786kPa(約400〜3000psig)、液空間速度は、通常、0.1〜5hr−1、好ましくは0.5〜3hr−1であり、水素処理ガス速度は44.5〜1780m/m(250〜10,000scf/B)である。
水素化精製の触媒は、第6族の金属(第1〜18族のIUPAC周期表形式に基づく)と第8〜10族の金属とを、それらの混合物を含めて含有する触媒である。好ましい金属には、強い水素化機能を有する少なくとも1つの貴金属、特に白金、パラジウムおよびそれらの混合物が含まれる。金属の混合物は、金属の量が触媒を基準にして30重量%以上であるようなバルク金属触媒として存在するものでもよい。適切な金属酸化物担体は、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナまたはチタニアのような低酸性度の酸化物、好ましくはアルミナを含む。芳香族飽和用の好ましい水素化精製触媒は、多孔質担体上の比較的強い水素化機能を有する少なくとも1つの金属を含む。典型的な担体材料は、アルミナ、シリカおよびシリカ−アルミナのような無定形または結晶質の酸化物材料を含む。触媒の金属含有量は、多くの場合、非貴金属に対して約20重量パーセントである。貴金属は、通常、約1重量%以下の量で存在する。
好ましい水素化精製触媒は、M41Sクラスまたは群の触媒に属する中間細孔質材料である。M41S群の触媒は、高シリカ含有量を有する中間細孔質の材料であり、その調製法は非特許文献1に詳しく記載されている。例として、MCM−41、MCM−48およびMCM−50が含まれる。中間細孔質とは、15〜100オングストロームの細孔径を有する触媒を指す。このクラスの好ましい銘柄はMCM−41であり、その調製法は特許文献3に記載されている。MCM−41は、一様なサイズの細孔が六角形配置された、無機の、多孔質の非層化相である。MCM−41の物理的な構造は麦わらの束のようになっており、この麦わらの開口(細孔のセル径)は15〜100オングストロームの範囲である。MCM−48は立方対称性を有し、例えば特許文献4に記載されている。これに対してMCM−50はラメラ構造を有する。MCM−41は、中間細孔範囲の異なる細孔径の開口を有するように作製できる。中間細孔質の材料は、少なくとも第8族、第9族または第10族の金属のいずれかである金属の水素化成分を担持することができる。貴金属、特に第10族の貴金属が好ましく、最も好ましいのはPt、Pdまたはこれらの混合物である。
以下の実施例は、本発明による冷却塔の運転の改善された有効性を例示しているが、本発明を決して限定するものではない。
試験は、重質潤滑油グレードの原料油(270N、330Nおよび600N)の懸濁液サンプルについて、Lasentec(登録商標)プローブを用いて行った。原料油は、4基の冷却塔を有するDilchill(商標)法によって溶剤脱ロウした。4基のDilchill(商標)塔晶析器の性能を、この技術によって検証した。この方法の使用からロウ結晶化の詳細を明らかにする発見によって、50%を超えるプラントのろ過速度の改善が600Nについて達成できたことが判明した。これらの重質グレードは、従来型の潤滑油処理においては、通常ろ過律速である。しかし、この方法は、希釈用の溶剤の低減によって通常冷却律速となる軽質グレードにも適用できる。
ケトン脱ロウ法における4基のDilchill(商標)塔の1基が平均よりも低いろ過速度と低い油の収率とを示していたことが、プラントを模擬した実験室の脱ロウ、または薄膜ろ過によって示された。油の収率は、液体と固体との直接比較によって監視されることに留意されたい。液体対固体比(Liquids to Solids:L/S)は、ロウのケーキにおける溶剤+油を乾ロウで除した比を指し、重量基準で計算される。L/Sの低下がプラントにおける高いDWO(dewaxed oil:脱ロウ油)収率をもたらし、従ってL/Sの値が低い方が有利であることを材料収支から示すことができるので、この比は重要な量である。4基の塔にT−400、T−401、T−402およびT−403の符号を付したが、T−402が達成度の低い塔であった。表1は、原料ろ過速度(feed filtration rate:FFR)およびL/Sの対応する値を示す。
Figure 2010507690
別の分析によって、塔の中央段の周りにおける閉塞状態の存在が明らかになった。この閉塞状態は、適切な混合の欠如による領域内における低温溶剤の過度の溜まりによって、この領域内にショック冷却を作り出していた可能性が高い。ショック冷却の影響は、結晶の成長が生起するには最短の時間しかない状態において、多くのロウ結晶が同時に核形成するという点にある。この場合、これらの微小な結晶は、成長の可能性が与えられる緩やかな冷却環境において形成される結晶よりもろ過速度が遅くなる。当初は、この段における低温は、その領域への過剰な低温溶剤流れを惹起する溶剤ノズルの損失によると考えられた。別の仮説として、この閉塞状態は、溶剤の溜まりを作り出す領域内でのロウの堆積の結果、および/または、羽根によるロウ結晶の付加的なせん断の結果とする考え方がある。この付加的なせん断は、微小な、ろ過性の低い結晶の別の潜在的な原因である。
ロウ結晶のサイズのろ過性能に対する影響をよく把握するために、本発明者らは、Lasentec(登録商標)FBRMプローブ・モデルD600Rの粒径および個体数分析器を用いることにした。この計器は、ロウ懸濁液の結晶サイズ分布(CSD)を測定するもので、サイズ幅(チャネル)当たりの粒子数(カウント数)の細分内訳を返してくる。これは、微小から大型の範囲に及ぶ懸濁液中の粒子の量を示すCSDを与える。典型的な出力例を図1に示す。図1においては、チャネル当たりの粒子/結晶カウント数が、左側の微小サイズから右側の大型サイズまでの相対的な粒径に対して示されている。この図は、T−402(丸印)が、微細(微小)結晶を粗大(大型)結晶よりも多量に生成していることを示しており、これは傾向線の左側の僅かな「隆起」によって示される。これを、微細結晶よりも粗大結晶の方が多い逆の状況を示しているT−403(角印)からの出力と比較されたい。これは、性能の劣る塔が、ろ過性能を低下させる微小な結晶を生成しているという考えを裏付けるものである。この図は、また、原料集合ドラムF−6の直後で採取されたサンプルからの出力をも示す。このドラムにおいては、ロウ懸濁液のすべてが、それが生成されたDilchill(商標)の塔には関係なく一緒に混合されている(菱形印)。そのCSDの一般的傾向が、T−402において生成された高い微細結晶数の存在によって大きく影響を受けていることを見ることができる。これは、左から右への増大(角印)の代わりに、グラフに示される変化形状(菱形印)が平坦化していることによって表されている。
この不具合診断を完了した後、T−402に対して、結晶化工程の障害になっていた塔内のロウの堆積を排除するために「高温洗浄」する必要があると決定した。プラントのサンプルは、Dilchill(商標)塔のT−402およびT−403の塔底から採取され、4ヶ月の期間にわたって薄膜ろ過用として実験室に廻された。これらの実験からのデータが、この時間枠にわたって2基の塔の性能を比較するためのFFRおよびL/Sの値を提供した。このデータは、基準としてT−403に見出される当初値に対して正規化され、図2および3に提示されている。図2は、塔T−402およびT−403に対する正規化されたFFRの対時間変化を示し、図3は、塔T−402およびT−403に対する正規化されたL/Sの対時間変化を示す。
T−402の高温洗浄がその性能を大きく改善したことがすぐに明らかである。その改善は、図4に示されるように、T−402が、T−403に見られる結晶に類似のロウ結晶を生成し得るまでに及んでいる。大型で強いロウ結晶が生成されると、ろ過性能は、良好なロウケーキの形成のために向上するであろう。T−403の値の下の約50%の値からほとんど等しい値へのFFRのほぼ100%の飛躍的増大が特に注目される。この改善によって、塔の中央段周りのロウの堆積が観察された性能低下の原因であるという考えが正当化された。
この改善の影響は、商業的なケトン脱ロウユニットの全体としての性能において直接的に見ることができる。図5は、対象としている2基の塔のFFRの時間に対する比較を、全脱ロウユニットに対して計算された値と共に示す。この図は、試験の初期には、T−402(丸印)の性能が低く、その結果、他の3基の塔の性能は良好であった(T−403が角印で示されている)にも拘らず、全ユニットの性能(菱形印)は大幅に低下していたことを示している。これは、全FFRの約60%のFFRの低下が性能の低い塔に起因している一方、他の塔はMEKユニットの全性能の残りの40%を構成しているだけだということを見出した以前の経験と整合している。この現象の背後にある理論は、性能の低い塔が微小なロウ結晶を形成し、その微小なロウ結晶が他の塔の流出物と混合された場合、全ろ過器への供給原料を汚染してしまう可能性があるということである。この微小な結晶が、フィルタクロスを閉塞する効果を有し、それによって、ろ液のろ過媒体透過能力を低減し、FFR値を低下させると共にロウ中により多量の油および溶剤を残留させ、L/S値を上昇させる。T−402の清浄化およびその性能の改善によって、ユニットを汚染する程多数の微小結晶は存在しなくなり、性能は、図5に見られるように、第26日の試験においては、高温洗浄前のその流出物の約50%増大値に急上昇している。
本発明を用いてDilchill(商標)塔を高温洗浄するべき時点を監視しかつ特定する利益を理解するために、容量改善の概略を見ることができる。この試験は600Nのランの間にのみ実施され、かつ、軽質グレードが通常冷却律速であるのに対して重質グレードは通常ろ過律速であるので、「低性能の」塔を高温洗浄する利益は重質グレードのランに対してのみ考えられた。ユニットに対する処理量の15%追加という緩やかな改善を考えるとすれば、これは、ケトン脱ロウユニットに対する5.1kbdの容量追加を意味する。この値は、表2に示される重質グレードに対する近似的な容量に基づいている。この数値は、T−402の高温洗浄によって第2日と第26日との間になされた約50%向上の性能改善を考慮すると17kbdに急上昇する。これらの数値は、相対的な基礎に基づいたものであり、確定的な容量増大として考慮されるべきではないが、しかし達成の可能性がある容量増大と見なされるべきである。軽質グレードは冷却律速ではあるものの、塔の性能を監視して、引き続いてロウが堆積した塔を高温洗浄することによって、軽質グレードの場合にもDWO収率(L/S)の改善がもたらされることに留意するべきである。これは、このグレードについても存在する潜在的な利益を可能にするものである。但し、なんらかの推測をなし得る前にあらゆる可能な容量増大を決定するために、これを明示する必要があるであろう。
Figure 2010507690

Claims (22)

  1. 潤滑油の製造に用いる、少なくとも1基の冷却塔を含む溶剤脱ロウ機器におけるロウ結晶の形成をオンライン監視する方法であって、
    ロウ質の原料油を、少なくとも1つの流入口および流出口を有する前記少なくとも1基の冷却塔に導く工程;
    前記ロウ質の原料油を冷却された脱ロウ溶剤と接触させて、溶剤、油およびロウ結晶の混合物を形成する工程;
    前記混合物を、前記少なくとも1基の冷却塔の流出口からセパレータに導く工程であって、前記セパレータへの流入前に、前記混合物中のロウの結晶のロウ結晶サイズ分布をオンラインの粒径分析器によって測定する工程;および
    ロウの結晶を油および溶剤から分離する工程
    を含むことを特徴とする方法。
  2. ロウ質の原料油から潤滑油を調製するための溶剤脱ロウ法であって、
    前記ロウ質の原料油を、少なくとも1つの流入口および流出口を有する少なくとも1基の冷却塔に導く工程;
    前記ロウ質の原料油を、前記冷却塔における少なくとも1つの冷却ゾーンにおいて、混合条件の下で脱ロウ溶剤と接触させて、ロウ結晶、溶剤および油の混合物を形成する工程;
    前記混合物を、前記少なくとも1基の冷却塔の流出口からセパレータに導く工程であって、前記セパレータへの流入前に、前記混合物中のロウの結晶のロウ結晶サイズ分布をオンラインの粒径分析器によって測定する工程;
    ロウの結晶を油および溶剤から分離する工程;および
    前記少なくとも1基の冷却塔において、条件を必要に応じて調整して、ロウ結晶の分離を改善するためにロウ結晶のサイズを修正する工程
    を含むことを特徴とする方法。
  3. 前記ロウ質の原料油が溶剤抽出されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記ロウ質の原料油が水素化処理されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記ロウ質の原料油を、希釈冷却脱ロウを用いて、冷却された脱ロウ溶剤と接触させることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  6. 前記希釈冷却脱ロウが、DILCHILL(商標)脱ロウ法によるものであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 前記脱ロウ溶剤が、3〜6個の炭素原子を有する脂肪族ケトン、低分子量のC〜C炭化水素および芳香族の溶剤よりなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  8. 前記脂肪族ケトンが、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンの少なくとも1つであり、
    前記低分子量のC〜C炭化水素が、プロパンおよびブタンの少なくとも1つであり、
    前記芳香族の溶剤が、ベンゼン、トルエンまたはキシレンの少なくとも1つである
    ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
  9. 前記セパレータが、回転ドラムろ過器、膜ろ過器、フィルタクロスおよび遠心分離機よりなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  10. 前記オンラインの粒径分析器が、前記少なくとも1基の冷却塔の流出口と、前記セパレータの間に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  11. 前記オンラインの粒子分析器が、前記少なくとも1基の冷却塔の流出口またはその近傍に配置されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 前記冷却塔における条件の調整が、前記冷却塔の高温洗浄、羽根速度の増大、溶剤流量および温度の調節並びに前記冷却塔の下向きの温度分布曲線の変更よりなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  13. 前記溶剤流量の調節が、溶剤流量の増大によるものであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 前記セパレータが、回転ドラムろ過器または膜ろ過器であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  15. 前記セパレータからのろ過速度および基油の収率が、前記ロウ結晶サイズ分布と相関関係を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
  16. 前記ロウ結晶サイズ分布を調整することによって、前記脱ロウ法の全体としての利益が、処理量を最大化し、収率を最大化し、および/またはエネルギーを低減するように改善されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 前記処理量が、ろ過律速または冷却律速のいずれかであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 前記少なくとも1基の冷却塔における前記ロウ結晶サイズ分布を調整することによって、ろ過速度が調整されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  19. 前記ロウ結晶サイズ分布が、
    a)ロウ結晶サイズの狭い分布、
    b)大きな平均結晶サイズ、
    c)球形の結晶形状、および
    d)硬質のロウ結晶
    を含む特性を有することを特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. 前記少なくとも1基の冷却塔における前記ロウ結晶サイズ分布が、
    1)前希釈比、
    2)スロップ対原料比、
    3)塔流入口温度、
    4)撹拌機速度、
    5)塔希釈比、
    6)塔の温度分布曲線、
    7)溶剤組成、
    8)溶剤の流量分布、
    9)溶剤温度、
    10)脱ロウ助剤比、および
    11)脱ロウ助剤速度
    の少なくとも1つを調整することによって調整されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
  21. 前記セパレータからの油および溶剤が、油を製造するために更に分離されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  22. 前記油が水素化精製されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
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