JP2010505594A - インプラントの設置/締付け用のデュアルオプション歯科矯正インプラントドライバ - Google Patents
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Abstract
本発明は、歯科矯正インプラントに損傷を与える危険を最小限に抑えながら該歯科矯正インプラントを打ち込むための装置および方法を具体化する。より具体的には、デュアルオプションドライバ(10)が、インプラントのヘッド部分の基部(38)と最上部(36)との両方を使用して歯科矯正インプラント(42)を打ち込むように適合される。ドライバ(10)が、インプラントヘッド(36)の基部(38)に係合するときには、インプラントヘッド(36)の最上部と対合する保持クリップ(48)により、インプラントとの摩擦嵌めが生じる。打込みのための主要な力は、基部を通じてネジへと伝えられる。これは、インプラントヘッドのネック部(40)を大きなトルク力から保護する。さらに、保持クリップ(48)によって、臨床医が片手だけを使用してインプラント(42)を取り上げることができるようになるので、臨床医は、インプラントに触れる必要がない。設置された後には、ドライバ(10)は、インプラント(42)のヘッド部分(36)の最上部に係合することによって、該インプラント(42)を調節することができる。
Description
本願は、2006年10月10日出願の米国仮特許出願第60/850624号、名称「Orthodontic Devices, Implants and Related Apparatus」の優先権を主張し、その開示全体を参照により明示的に本願に援用する。
本発明は、一般に、歯科矯正の分野に関し、より詳細には、歯科矯正インプラント処置で使用される装置および方法に関する。
歯科インプラントは、一般に歯科業で使用されており、より詳細には、歯科矯正、口腔外科、歯周病学、および修復歯科の分科または専門で使用される。より具体的には、矯正歯科医は、歯科矯正インプラントを使用して、不整合歯すなわち不揃いな歯を整列させるまたはまっすぐにする際に使用するためのワイヤ、バネ、および類似の周辺デバイスをそこから取り付けるための、強固なアンカレッジ(anchorage)を提供することができる。そのようなインプラントの使用は、患者コンプライアンスを必要とするヘッドギアまたはゴムを使用するよりも、より予測可能で安定なスケルタルアンカレッジを可能にする。スケルタルアンカレッジは、また、他の歯をアンカーとして使用する必要をなくす。これが、1本の歯が別の歯を動かすためのアンカーとして使用されるときに、不揃いな歯すなわち不整合歯が動く間に程度は小さいにせよアンカー歯もまた動くことになる場合の、これらのアンカー歯の望ましくない動きをなくす。要約すれば、歯科矯正インプラントは、有利には、歯科矯正処置で歯の動きを制御するために使用することができる。
現在使用されているほとんどの歯科矯正インプラントは、作用するネジ山部分と、ヘッド部分とを備えた本体を有する。ヘッド部分は、基部と、細いネック部と、最上部とから成る。細いネック部は、基部と最上部との間に、バネやワイヤなどの周辺デバイスを取り付けるために主に使用される適合アイレットを捕らえるまたは配置するための領域を提供しており、それらの周辺デバイスは、次にはブラケットなどの他の歯科矯正デバイスに取り付けられる。第2に、歯科矯正インプラントのヘッド部分は、工具と係合するプラットフォーム、または工具を駆動する境界面の役割を果たす。工具およびドライバは、トルクを加え、インプラントを骨内に打ち込むために、ヘッドの基部または最上部と対合する。
しかし、従来のドライバでインプラントネジを設置することには、固有の特定の危険または欠点がある。例えば、ドライバがインプラントのヘッド部分の最上部に係合する場合、インプラントを患者の骨に螺入するために必要なトルクは、ネック部が曲がるまたは壊れるほどのものとなるおそれがある。さらに、インプラントのヘッド部分の基部と対合するように設計されたドライバは、周辺デバイスがインプラントに取り付けられた後で使用するのは効果がないことがある。最後に、ドライバと小さなインプラントネジとを対合させるには、一般に臨床医が2本の手を使用してインプラントに触れる必要があり、ゆえに、処置がより面倒なものとなり、インプラントのネジ山部分の汚染および患者の感染の危険が高まる。
したがって、インプラントを破壊または汚染する危険なしに歯科矯正インプラントデバイスを打ち込んでねじるための方法および装置が必要である。また、インプラントが付属品(attachments)を有するかどうかに関わらず、臨床医が同じドライバを使用して片手でインプラントを回すことができることも必要である。
本発明の目的は、インプラントに損傷を与える危険を最小限に抑えながら、歯科矯正インプラントデバイスを打ち込んでねじるための装置および方法を提供することである。本発明の目的は、また、インプラントの挿入前にそのインプラントを汚染する危険を最小限に抑えることである。また、インプラントに周辺装置が取り付けられているかどうかに関わらず、臨床医が同じドライバを使用してそのインプラントを回すことができるようにすることも目的である。また、臨床医がドライバを使用して片手だけでインプラントを挿入して回すことができるようにすることも、本発明の目的である。
本発明は、インプラントのヘッド部分の基部部分と最上部との両方を使用して歯科矯正インプラントを打ち込むように構成された、デュアルオプションドライバである。本発明のドライバとともに使用するのに適した歯科矯正インプラントは、2007年10月10日出願の同時係属中のPCT国際出願第PCT/US2007/080927号、名称「Orthodontic Implants」に開示されており、その全体を参照により明示的に本願に援用する。ドライバがインプラントヘッドの基部に係合するときには、インプラントヘッドの最上部と対合する保持クリップにより、インプラントとの摩擦嵌めが生じる。クリップは、また、エラストマーOリングの形態をとることもでき、または締まり嵌めをもたらすようにインプラントヘッド自体よりもわずかに小さくサイズ設定することもできる。ただし、打込みのための主要な力は、ヘッドの最も強い部分であるヘッドの基部を通じて、インプラントネジへと伝えられる。これが、加えられたトルクによる大きな力からインプラントヘッドのネック部を保護する。さらに、ドライバとインプラントとの間の摩擦嵌め境界面によって、片手だけを使用して工具に係合できるようになる。臨床医は、インプラントのネジ山に触れることもそのネジ山を汚染することもなく、ドライバを使用して包装から直接インプラントを取り上げることができる。デュアルオプションドライバは、また、ネジを骨内に打ち込む間インプラントが前後にぐらつかないようにすることによって、臨床医がインプラントを挿入する間の安定性を提供する。
さらに、デュアルオプションドライバがインプラントヘッドの最上部に係合するときには、インプラントとの摩擦嵌めは生じない。ヘッドの最上部の目的は、ネジが既に所定の位置にあるときに医師がそのネジを締めるまたは緩めることができるようにすることである。デュアルオプションドライバは、付属品が所定の位置にある場合でも、インプラントの最上部に接近することができる。また、摩擦嵌めがないことによって、初めにインプラントを打ち込むために施術者がヘッドの最上部を使用することが防止される。これによって、挿入時のネック部での破損からインプラントが保護される。
本発明の前述および他の目的ならびに利点は、添付図面およびその簡単な説明から明らかになる。
本明細書に組み込まれ本明細書の一部を成す添付図面は、本発明の少なくとも1つの実施形態を示しており、前述した本発明の概説および後述する(1つもしくは複数の)実施形態の詳細な説明と相まって、本発明の原理を説明するのに役立つ。
諸図、特に図1を参照すると、本発明の一実施形態の分解された斜視図が示されている。ここに示されるように、ドライバ10は、一端部14のところで広がった、全体的に細長い円筒状の本体またはハンドル12を有する。広がった端部14は、突き出た環状リング20を備えたレッジ18から構成される低速度ラッチ16を有する。低速度ラッチ16によって、ドライバ10は、ドライバチップ22と摩擦対合することができる。あるいは、当業者に公知のいずれか適切な結合方法によって、ドライバ10とドライバチップ22とを互いに取り付けることもできる。
環状リング20は、さらに、ドライバ10内に全体的に円筒状の孔部またはキャビティ24を画定する。ここに示されるように、孔部24は、リング20から遠位に位置決めされた端部26では円錐形をしている。代替的な諸実施形態では、ドライバ10の内部キャビティ24は、本発明の原理を損なうことなく他の形状に形成することができる。
ドライバチップ22は、全体的に、中空の内部区画28を備えた円筒形である。前述のように、ドライバチップ22の一端30は、低速度ラッチ16によってドライバ10と対合するように適合される。ドライバ10から遠位に位置決めされたドライバチップ22の端部32は、インプラント42のヘッド部分40の最上部36または基部38と対合するようにサイズ設定かつ構成された、孔部または開口部34を有する。例えば、端部32は、レッジ37と接触してポジティブストップを形成することができる。ドライバチップ22の内壁44は、保持クリップ48を保持するために使用されるレッジ46を有する。ここに示されるように、保持クリップまたはバネクリップ48は、レッジ46とドライバ10の環状リング20との間で挟持される。保持クリップ48は、金属クリップとすることもでき、またはエラストマーOリングの形態もしくは他の何らかの形態とすることもでき、その周囲長は、一般に、インプラント42のヘッド40の最上部36の周囲長よりもわずかに小さい。
操作に際しては、臨床医は、ドライバ10を使用して、包装またはトレイから直接インプラント42を取り上げることができる。図2Aに示されるように、ドライバ10は、インプラント42を、患者へのその挿入前にしっかり掴持することができる。より具体的には、図3Aに示されるように、設置のためにインプラント42が初めに取り上げられるとき、また該インプラント42が患者に打ち込まれている間、インプラント42のヘッド40の最上部36は、インプラント42が抜け落ちないように保持クリップ48によってドライバ10/ドライバチップ22アセンブリ内で固定される。換言すれば、保持クリップ48によって、決してインプラント42に触れることなしに、またインプラント42とドライバ10との両方を掴持するために2本の手を使用する必要なしに、臨床医がインプラント42を選択し、それをドライバ10によって確実に取り上げ、患者に挿入できるようになる。これによって、臨床医の片手が自由に他の作業を行えるので、臨床医は、インプラント処置をより有利に実施できるようになる。インプラント42を植え込む前に、臨床医は、2007年10月10日出願の同時係属中のPCT国際出願第PCT/US2007/080889号、名称「Drill for Orthodontic Implants」に開示されているタイプのデバイスを使用して、小さなパイロット穴またはスタータホールド(starter hold)を穿設することができ、その国際出願の全体を参照により明示的に本願に援用する。
図3Aに示されるように、ヘッド40の最上部36が保持クリップ48によって保持されるように該最上部36がドライバ10に挿入されるときには、ヘッド40の基部38は、ドライバチップ22の開口部34に係合する。これは、ドライバ本体12に加わるトルクがインプラント42へと伝えられる地点である。したがって、保持クリップ48がドライバ10からのインプラント42の抜落ちを防ぐ間、インプラント42を患者の骨内に打ち込むために加えられる主要な力は、開口部34がインプラント42のヘッド部分40の基部38に係合する地点でインプラント42へと伝えられる。これによって、インプラント42を折る(snapping)ことも、曲げることも、または他の何らかの形で損傷を与えることもなしに、該インプラント42を患者の骨に螺入できるようになる。さらに、インプラント42が適正かつ完全にドライバ10に挿入された場合、保持クリップ48はインプラント42を固定(secure)するにすぎないので、該保持クリップ48は、例えば、インプラント42のヘッド40の最上部36だけを使用してインプラント42を患者の骨内に打ち込もうとすることによる、インプラント42への起こり得る損傷を防ぐ。換言すれば、臨床医は、ドライバチップ22の開口部34を通じてインプラント42をドライバチップ22の中空の内部28へと挿入しなければ、該インプラント42を取り上げて掴持することができない。インプラント42がドライバ10内に最後まで挿入されない場合、インプラント42は、単に抜け落ちることになる。
図3Bに示されるようにインプラント42が患者の骨格構造に挿入された後には、臨床医がデュアルオプションドライバ10を使用してインプラント42を調節することができる。通常、この進行段階でインプラント42を螺脱させるまたは他の何らかの形で調節するために必要とされるトルクが小さいので、ドライバ10を使用して、インプラント42のヘッド40の最上部36を掴むことができる。このことは、アイレット54を通じてインプラント42のヘッド40のネック部52に取り付けられることのあるバネやワイヤなどの周辺デバイス50を、臨床医が分解するまたは他の何らかの形で切り離す必要がないので、有利である。さらに、臨床医は、インプラント42を設置するために自身が使用したのと同じ工具を使用することができ、ゆえに、インプラント処置を実施するために必要な工具の数を削減することによって機器コストを節約することができる。
本発明を1つもしくは複数の実施形態の記述によって示し、これらの実施形態についてかなり詳細に説明したが、特許請求の範囲をそのような詳細だけに制限することや、どのような形であれ限定することは、本出願人の意図ではない。さらなる利点および修正形態が、当業者には容易に思いつくであろう。したがって、本発明は、そのより広い態様では、本明細書で示され記載された、具体的な詳細、代表的なシステム、装置、および方法、ならびに説明に役立つ例だけに限定されない。したがって、本出願人の包括的な発明概念の趣旨または範囲から逸脱することなく、そのような詳細からの発展が可能である。
10 ドライバ、12 ハンドル、14 広がった端部、16 低速度ラッチ、18 レッジ、20 環状リング、22 ドライバチップ、24 孔部,キャビティ,内部キャビティ、26 端部、28 内部区画、30 端部、32 端部、34 孔部,開口部、36 最上部、37 レッジ38 基部、40 ヘッド部分、42 インプラント、44 内壁、46 レッジ、48 保持クリップ、50 周辺デバイス、52 ネック部、54 アイレット
Claims (14)
- 歯科矯正インプラントドライバデバイスであって、
ドライバ本体と、
前記ドライバ本体に取り付けられたドライバチップであって、当該ドライバチップが前記ドライバ本体から遠位に位置決めされた一端に非円形開口部を有するドライバチップと、
を備え、
前記非円形開口部が、歯科矯正インプラントデバイスのヘッド部分の非円形基部に係合するように適合される歯科矯正インプラントドライバデバイス。 - 前記ドライバ本体が全体的に円筒状である、請求項1に記載の歯科矯正インプラントドライバデバイス。
- 前記ドライバ本体が、前記ドライバチップに連結するように構成された、広がった第1の端部を有する、請求項1に記載の歯科矯正インプラントドライバデバイス。
- 前記ドライバ本体が、前記ドライバチップを摩擦によって前記ドライバ本体に取り付けるように構成された低速度ラッチを有する、請求項1に記載の歯科矯正インプラントドライバデバイス。
- 前記ドライバチップの外側が全体的に円筒状である、請求項1に記載の歯科矯正インプラントドライバデバイス。
- 前記歯科矯正インプラントヘッドを摩擦によって前記ドライバ内で固定するように構成された内部要素をさらに含む、請求項1に記載の歯科矯正インプラントドライバデバイス。
- 前記内部要素がバネ保持クリップである、請求項6に記載の歯科矯正インプラントドライバデバイス。
- 前記内部要素がエラストマーOリングである、請求項6に記載の歯科矯正インプラントドライバデバイス。
- 前記内部要素が周囲長を有しており、
前記内部要素の前記周囲長が前記インプラントのヘッド部分の前記最上部の周囲長よりも短い、請求項6に記載の歯科矯正インプラントドライバデバイス。 - 前記内部要素が前記ドライバ本体と前記ドライバチップとの間で挟持される、請求項6に記載の歯科矯正インプラントドライバデバイス。
- 前記ドライバチップが、前記ドライバチップと前記ドライバ本体との間で前記内部要素を固定するように構成されたレッジを有する、請求項6に記載の歯科矯正インプラントドライバデバイス。
- 歯科矯正インプラントドライバデバイスであって、
全体的に円筒状の細長いドライバハンドルであって、当該ハンドルが広がった端部を有しており、前記広がった端部が低速度ラッチを有するハンドルと、
ドライバ本体の前記低速度ラッチに摩擦によって取り付けられた全体的に円筒状のドライバチップであって、当該ドライバチップが、前記ドライバ本体から遠位に位置決めされた一端に非円形開口部を有しており、前記開口部が、歯科矯正インプラントの非円形ヘッド部分に係合するようにサイズ設定されているドライバチップと、
前記ドライバハンドルの前記広がった端部と前記ドライバチップとの間に挟持された保持クリップであって、当該クリップが、前記ドライバ本体から遠位に位置決めされた前記端部のところの前記ドライバチップの前記開口部が前記歯科矯正インプラントの前記ヘッド部分の他の部分に係合するときに、前記歯科矯正インプラントの前記ヘッド部分の少なくとも一部分を固定するように構成される保持クリップと、
を備える、歯科矯正インプラントドライバデバイス。 - 前記保持クリップがバネである、請求項12に記載の歯科矯正インプラントドライバデバイス。
- 前記保持クリップが周囲長を有しており、
前記保持クリップの前記周囲長が前記歯科矯正インプラントの前記ヘッド部分の周囲長よりも短い、請求項12に記載の歯科矯正インプラントドライバデバイス。
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