JP2010504741A - ガラクトース転移酵素 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ガラクトース転移酵素をコードするDNA 分子、機能不全のガラクトース転移酵素遺伝子を含む、組換え宿主細胞、組織または生物、導入された機能性のガラクトース転移酵素遺伝子を含む組換え宿主細胞、組織または生物、それによるタンパク質の生産方法、ガラクトース転移酵素の生産方法およびベクターおよびその使用を開示する。

Description

本発明は、糖転移酵素をコードするポリヌクレオチドに関する。さらに、本発明は、その部分的ポリヌクレオチド、ならびに、その発現または遺伝子破壊の目的のためのかかるポリヌクレオチドを含むベクター、ポリヌクレオチドまたはその部分またはそれらに由来するDNAによりトランスフェクトされた組換え宿主細胞、組織または生物、ならびにかかる宿主細胞、組織または生物において生産された糖タンパク質に関する。さらに、本発明は、インビトロならびにインビボでのその発現産物の使用に関する。
過去においては、異種タンパク質は、様々な形質転換細胞系、例えば、細菌、真菌、例えば、酵母、昆虫、植物または哺乳類細胞株由来のものを用いて生産されていた。
原核生物において産生されるタンパク質は、真核系において産生される真核タンパク質と同様の様式で翻訳後修飾を受けることが出来ず、例えばそれらは、特定のアミノ酸残基、例えば、アスパラギン酸 (N) 残基での適当な糖によるグリコシル化(N-結合型グリコシル化) を受けることが出来ない。さらに、細菌により産生された真核タンパク質のフォールディングは、例えば、細菌がシステインジスルフィド架橋を形成できないことにより、不適切であることがあり得る。さらに、細菌により産生された組換えタンパク質はしばしば凝集し、不溶性のインクルージョンボディーとして蓄積する。
真核細胞系は、様々な真核生物、例えば、ヒトにおいてみられるグリコシル化されたタンパク質の産生により適している。というのは、かかる細胞系は産生されたタンパク質の翻訳後修飾、例えば、N-グリコシル化を行うことが出来るからである。しかし、例えば、医薬品として使用される予定であるタンパク質配列の産生に適した異種遺伝子により形質転換された真核細胞系において遭遇する問題は、かかるタンパク質上のグリコシル化パターンはしばしばネイティブなパターン、即ちタンパク質がそのなかで産生される真核細胞系のパターンを獲得することである:非動物のグリコシル化パターンを含むグリコシル化されたタンパク質が産生され、これらはヒトを含む動物において適用されると免疫原性および/またはアレルゲン性となりうる。植物においてはこの制限は、植物において一般的にN-グリカンのコア構造に結合している植物特異的糖残基である 1,2-キシロースおよびα1,3-フコースの排除によって克服されている(Lerouge et al. 1998 Plant Mol. Biol. 38, 31-48; Rayon et al. 1998 J. Experimental Bot. 49, 1463-1472)。シロイヌナズナの場合 (Strasser et al. 2004 FEBS Lett. 561、132-136)およびコケ植物であるニセツリガネゴケの場合(Physcomitrella patens)(EP1431394 ; Koprivova et al. 2004 Plant Biotechnol. J. 2, 517-523)、コアα1,3-フコースおよび1,2-キシロース残基を完全に欠くN-グリカンパターンを示す突然変異体が作成された。驚くべきことに、複雑なタイプのN-グリカンのパターンの修飾にも関わらず、これらの突然変異体において形態学的変化または生存度における変化は観察されなかった。
上記の2つの植物特異的残基の付加は別にすると、ERおよびシスゴルジにおける糖タンパク質成熟の工程は、GlcNAc-転移酵素 I、GlcNAc-転移酵素 IIおよびゴルジ a-マンノシダーゼの作用に至るまで植物および哺乳類において同一である(Lerouge et al. 1998 Plant Mol. Biol. 38, 31-48)。さらなるN-グリカン伸長はこの2つの界において異なる様式で行われる。哺乳類においては、末端 GlcNAc 残基はβ1,4- (あるいはまれにはβ1,3-)- ガラクトース転移酵素 -の作用によりすぐに遮蔽され(この工程が部分的にのみ起こるIgG は注目すべき例外であるが)、- 植物における伸長はもっぱらβ1,3-ガラクトシル化によるが、様々な構造のタイプが比較的豊富であることから推定されうるように、グリカンの非常にわずかな部分のみがこの修飾を受けるようである。哺乳類におけるガラクトース-残基はシアル酸によりキャップされ得、非常に稀な場合にのみフコースによって置換される。この場合も、植物は異なっており、それらはシアル酸付加を受けず、末端 1,3-結合型ガラクトース残基が結合された場合、それらは実質的に常に最後から2番目の GlcNAc 残基をフコシル化し、それによりルイスA (Lewis a、LeA) 決定基を形成する。明らかに、β1,3-ガラクトース転移酵素は律速酵素であり、一方、ほとんどの植物細胞は、Galを含むアンテナが確実にフコシル化されるようにα1,4-Fuc-転移酵素の十分な活性を含む。LeA 構造はヒトの血液型決定基である。健康な成人においてはそれ自体は稀であるが、シアリル-ルイスA (sLeA)のように、それは悪性組織、例えば、大腸癌において多くみられる。
いずれにせよ、LeAを含む糖タンパク質が植物から単離されることは稀であり、ニセツリガネゴケの場合、野生型植物から、またはコアフコースおよびキシロースを欠く糖が操作された突然変異体から単離されたものであるかに拘わらず、それらは完全に可溶性の糖タンパク質の5%までの量しか存在しない(Koprivova et al. 2003 Plant Biol. 5, 582-591; Koprivova et al. 2004 Plant Biotechnol. J. 2, 517-523)。
植物におけるルイスA型グリカン構造の生成に関与するα1,4-フコシル転移酵素に関するいくらかの研究が行われているが(Joly et al. 2002 J. Experimental Bot. 53, 1429-1436; Bakker et al. 2001 FEBS Lett. 507, 307-312)、植物におけるN-グリカン構造の伸長に関与する特定のβ1,3 ガラクトース転移酵素に関する入手可能な情報は存在しない。
真核生物において、β1,3-ガラクトース転移酵素は広範囲のアクセプター特異性ならびに組織発現の異なるパターンを示す(Hennet 2002 Cell. Mol. Life Sci. 59, 1081-1095; Amado et al. 1998 J. Biol. Chem. 21, 12770-12778)。ヒトのβ1,3-ガラクトース転移酵素ファミリーの様々なメンバーの中で、β1,3-ガラクトース転移酵素 2について、インビトロでこの酵素は、ガラクトース 残基のGlcNAcβへの、複雑なタイプのN-グリカン構造を示す卵白アルブミンをアクセプター基質とする転移に対して活性であったことが示されている(Amado et al. 1998 J. Biol. Chem. 21、12770-12778)。
ヒトにおける相同的なβ1,3-ガラクトース転移酵素のファミリーの存在によって、 データベース分析により、様々な植物種、例えば、シロイヌナズナおよびイネにおいてβ1,3-ガラクトース転移酵素遺伝子の同様の大きな遺伝子ファミリーが存在することが明らかになった。これらβ1,3-ガラクトース転移酵素遺伝子のメンバーのいずれもインビトロにおいてもインビボにおいても、ガラクトースをUDP-ガラクトースから末端非還元 GlcNAc 残基を有するアクセプター基質へ、例えば複雑なタイプのN-グリカンの非還元末端残基へと転移する能力を含む酵素をコードするものとして記載されていない。
本発明の目的は、植物 β1,3ガラクトース転移酵素をコードする1以上の遺伝子(対応する非コードゲノム配列を含む)を同定し、クローニングし、配列決定すること、および、遺伝子、そのDNA 断片または変化したDNAまたはそれに由来するDNAまたはその欠失を含むDNAを含むベクターを調製することである。さらなる目的は、ルイスA型 N-グリカン構造を完全に欠く糖タンパク質を生産するために1以上のかかるベクターを含む宿主細胞、組織または生物を作成することである。さらなる目的は、改良されたルイスA型 N-グリカン構造を有する糖タンパク質を産生するために1以上のかかるベクターを含む宿主細胞、組織または生物を作成することである。さらなる目的は、酵素を後期ゴルジ槽(late Golgi cisternae)に標的化するための膜ドメインをコードするヌクレオチド配列を提供することである。
したがって、本発明は以下を提供する:
i)塩基対 513 から塩基対 2417のオープンリーディングフレームを有する配列番号1の配列または上記配列と少なくとも 50%の同一性を有する配列または遺伝暗号により上記DNA配列と縮重している配列であって、β1,3-ガラクトース転移酵素活性を有する植物タンパク質をコードする配列またはそれに相補的な配列を含むDNA 分子、
ii)塩基対 1 から塩基対 1902のオープンリーディングフレームを有する配列番号2の配列または上記配列と少なくとも 50%の同一性を有する配列または遺伝暗号により上記DNA配列と縮重している配列であって、β1,3-ガラクトース転移酵素活性を有する植物タンパク質をコードする配列またはそれに相補的な配列を含むDNA 分子、
iii)塩基対 321 から塩基対 2387のオープンリーディングフレームを有する配列番号24の配列または上記配列と少なくとも 50%の同一性を有する配列または遺伝暗号により上記DNA配列と縮重している配列であって、β1,3-ガラクトース転移酵素活性を有する植物タンパク質をコードする配列またはそれに相補的な配列を含むDNA 分子、
iv)塩基対 1 から塩基対 2052のオープンリーディングフレームを有する配列番号25の配列または上記配列と少なくとも 50%の同一性を有する配列または遺伝暗号により上記DNA配列と縮重している配列であって、β1,3-ガラクトース転移酵素活性を有する植物タンパク質をコードする配列またはそれに相補的な配列を含むDNA 分子、
v)ゲノム 配列を有するノックアウトコンストラクトの作成を可能にする配列番号1に対応する、イントロン 配列およびエキソン配列を含む、塩基対 1 から塩基対 6187のゲノム DNA 構造 を表す配列番号3の配列を含むDNA 分子、
vi) ゲノム 配列を有するノックアウトコンストラクトの作成を可能にする配列番号2に対応する、イントロン 配列およびエキソン配列を含む、塩基対 1 から塩基対 4087のゲノム DNA 構造 を表す配列番号4の配列を含むDNA 分子。
糖転移酵素のファミリーは非常に多岐にわたり(図1)、保存領域 (図1において太字)のみが非常に類似しているので、本発明はまた、配列番号1、配列番号2、配列番号24または配列番号25のいずれかの配列に対して少なくとも 20%の総同一性(overall identity)を有し、かつ、以下をコードする配列番号1または配列番号2の7つの保存されたドメインの配列に対して少なくとも 80%の同一性を有する配列:配列番号19または配列番号20のタンパク質のアミノ酸387-392 (DLFIGIまたはELFVGI)、402-409 (RMAVRKTW)、425-428 (FVAL)、455-465 (DRYDIVVLKTV)、479-489 (YIMKCDDDTFV または HVMKCDDDTFV)、536-548 (YPIYANGPGYILSまたはYPTYANGPGYILS) および570-576 (EDVSVGI) または、遺伝暗号により上記配列と縮重している配列であって、β1,3-ガラクトース転移酵素活性を有する植物タンパク質をコードする配列またはそれに相補的な配列を含むDNA 分子を提供する。さらに、配列番号1、配列番号2、配列番号24または配列番号25のいずれかの配列に対して少なくとも 20%の総同一性を有し、以下をコードする配列を含むDNA分子:配列番号19または配列番号20のタンパク質のアミノ酸 388 (L)、402 (R)、404 (A)、406 (R)、408 (T)、409 (W)、425 (F)、455 (D)、457 (Y)、463 (K)、464 (T)、481 (M)、482 (K)、484 (D)、486 (D)、488 (F)、489 (V)、536 (Y)、537 (P)、542 (G)、544 (G)、545 (Y)、548 (S)、570 (E)、571 (D)、572 (V)、575 (G)および576 (I)から選択される配列番号1または配列番号2の7つの保存されたドメインの保存されたアミノ酸の少なくとも 95%、好ましくは全部:または遺伝暗号により上記配列と縮重している配列であって、β1,3-ガラクトース転移酵素活性を有する植物タンパク質をコードする配列またはそれに相補的な配列を含むDNA 分子を提供する。好ましくは総配列同一性は、少なくとも 25%、少なくとも 30%、少なくとも 35%、少なくとも 40%または少なくとも 45%である。さらに好ましい態様において、保存ドメインについての配列同一性は、少なくとも 90%、少なくとも 95%または100%である。
配列番号1を有する配列のオープンリーディングフレームは、634 アミノ酸のタンパク質をコードする(図2、配列番号19)。配列番号1によってコードされるタンパク質はLeu20とLeu39との間の領域に膜貫通ドメインを含み、ヒト β1,3-ガラクトース転移酵素に存在する7つの保存されたドメインを含み(Hennet (2002 Cell. Mol. Life Sci. 59、1081-1095、図2)に記載)そして、 Amado et al. (1998 J. Biol. Chem. 21、12770-12778、図2)に記載されるようにC-末端に位置する保存されたアミノ酸のほとんどを含む。
配列番号2を有する配列のオープンリーディングフレームは、633アミノ酸のタンパク質をコードする(図3、配列番号20)。配列番号2によってコードされるタンパク質はLeu20とLeu39との間の領域に膜貫通ドメインを含み、ヒト β1,3-ガラクトース転移酵素に存在する7つの保存されたドメインを含み(Hennet (2002 Cell. Mol. Life Sci. 59、1081-1095、図2)に記載)そして、 Amado et al. (1998 J. Biol. Chem. 21、12770-12778、図2)に記載されるようにC-末端に位置する保存されたアミノ酸のほとんどを含む。
配列番号24を有する配列のオープンリーディングフレームは688 アミノ酸のタンパク質をコードし(図4; 配列番号26)、これは、配列番号1のタンパク質の選択的スプライシングバリアントである。
配列番号25を有する配列のオープンリーディングフレームは683アミノ酸のタンパク質をコードし(図5、配列番号27)、これは、配列番号2のタンパク質の選択的スプライシングバリアントである。
本発明はまた、配列番号3または4に示されるこの遺伝子のゲノム配列、そしてもちろん、単離された形態の本発明によるすべてのその他のDNA 分子またはタンパク質に関する(明示的に断りの無い限り)。
植物 β1,3-ガラクトース転移酵素の活性は様々なアプローチによって分析することが出来る。
Amado et al. (1998 J. Biol. Chem. 21、12770-12778)によると、β1,3-ガラクトース転移酵素の膜貫通ドメインを欠く可溶性分泌形態をコードするコンストラクトを、例えば、バキュロウイルスのトランスフェクションに適当な発現ベクターにクローニングし、Sf9 細胞にて増幅させることができる; その結果得られた発現産物を精製し、次いでβ1,3-ガラクトース転移酵素活性についてアッセイすることが出来る。
比活性の分析による別のアプローチは、例えばニセツリガネゴケのような適当な 宿主におけるβ1,3-ガラクトース転移酵素の過剰発現であり得、これは、本発明によるβ1,3-ガラクトース転移酵素の全長オープンリーディングフレームをコードするよう設計された発現 コンストラクトの調製、および、本発明によるβ1,3-ガラクトース転移酵素遺伝子の少なくとも1つについてトランスジェニックであるニセツリガネゴケ系統の作成による。作成されたトランスジェニック系統は、ガラクトシル化された N-グリカンの含量の改善を示す。ニセツリガネゴケからのN-グリカン パターンは、Koprivova et al. (2003 Plant Biol. 5, 582-591) およびKoprivova et al. (2004 Plant Biotechnol. J. 2, 517-523)により記載されているように単離および分析することができる。
本発明によるβ1,3-ガラクトース転移酵素活性は、適当な宿主、例えば、ニセツリガネゴケにおける原因遺伝子の標的化破壊によって間接的にアッセイすることができ、標的化破壊の結果、ガラクトースのUDP-ガラクトースからN-グリカン上の非還元末端 GlcNAc 残基への転移に関してβ1,3-ガラクトース転移酵素活性が阻害され、それゆえ、末端ガラクトシル化が欠失する。ここでも、ニセツリガネゴケからのN-グリカン パターンはKoprivova et al. (2003 Plant Biol. 5, 582-591)およびKoprivova et al. (2004 Plant Biotechnol. J. 2, 517-523)によって記載されているように単離および分析することができる。好ましくは、本発明によるβ1,3-ガラクトース転移酵素はGlcNAc-β1,3-ガラクトース転移酵素である。
あるいは、β1,3-ガラクトース転移酵素活性の低下は、この種の目的のために一般に用いられている方法によって達成することが出来、かかる方法としては、例えば、周知の アンチセンス戦略、センス戦略、リボザイム 技術、PNA 技術またはRNA干渉戦略が挙げられる。
本発明によると、宿主細胞、組織または生物は、機能性の β1,3-ガラクトース転移酵素をコードする配列番号1、配列番号2、配列番号24または配列番号25の配列を少なくとも含むヌクレオチド配列によってトランスフェクトされる。本発明の好ましい態様において、コード配列は、β1,3-ガラクトース転移酵素遺伝子の発現を可能とする、調節配列、例えば、プロモーターおよび終結配列に連結しており、その結果、β1,3-ガラクトース転移酵素活性を示す発現産物が得られる。宿主細胞、組織または生物に関して、β1,3-ガラクトース転移酵素 コード配列に作動可能に連結した調節配列は異種でありうる。別の態様において、β1,3-ガラクトース転移酵素 コード配列に作動可能に連結した調節配列は、使用される宿主によって相同的であり得る。β1,3-ガラクトース転移酵素コード配列に作動可能に連結した調節配列は、トランスフェクションに用いられるベクターによって提供され得、あるいは、標的化組込み、例えば、相同的組換えによって適当な座位へとβ1,3-ガラクトース転移酵素コード配列を導入することによってインビボで確立され得、その結果、宿主細胞、組織または生物の内在性調節配列を有するβ1,3-ガラクトース転移酵素コード配列の作動可能に機能性のアセンブリーが得られる。
本発明の好ましい態様において、発現産物またはその部分、例えば、β1,3-ガラクトース転移酵素を含む膜貫通ドメインを欠く可溶性形態は、インビトロまたはインビボでの糖脂質または糖タンパク質上でのN-グリカンの伸長のために用いることが出来る。さらなる態様において、その結果得られた末端 1,3 結合ガラクトース 残基を含むN-グリカンはさらに、インビトロまたはインビボにてさらなる糖残基、例えば、フコース、ガラクトースまたはシアル酸残基により伸長されうる。したがって、本発明は、末端糖残基、例えば、ガラクトース、さらなるフコース、シアル酸またはそれらの組合せを含む複雑な型の N-グリカンを含むN-グリカン糖構造を有する新規な糖タンパク質に関する。より好ましい態様において、これら糖タンパク質は、複雑な型の N-グリカンを細胞の外部環境に提示する表面タンパク質であり、例えば、タンパク質/タンパク質接触(例えば、抗体、その他の細胞等との接触)を可能とするものであり、あるいは、分泌タンパク質、例えば、抗体 またはエリスロポエチンである。本発明によって産生されるかかる糖タンパク質は、インビトロおよびインビボの両方での特にヒトへのワクチン投与に非常に好適である。
本発明の別の態様において、後期(late)ゴルジ槽に異種タンパク質をターゲティングするための膜貫通ドメインをコードする配列番号1、配列番号2、配列番号24または配列番号25によるヌクレオチド 配列が提供される。好ましい態様において、N-グリカンの伸長についての活性を示すβ1,4-ガラクトース転移酵素またはシアリル転移酵素が後期ゴルジ 槽に、ネイティブな 膜貫通ドメインと本発明によるβ1,3-ガラクトース転移酵素のものとの交換によりターゲティングされる。
本発明によると、少なくとも1つの機能不全のβ1,3-ガラクトース転移酵素ヌクレオチド配列を含む形質転換宿主細胞が提供される。
本発明の好ましい態様において、宿主細胞は、植物、例えば、 ウキクサ(Lemna)種、ミジンコウキクサ(Wolffia)種、イネ、ニンジン、トウモロコシ(corn、maize)およびタバコ種から選択される。本発明のより好ましい態様において、宿主細胞は、ニセツリガネゴケ、ヒョウタンゴケ、ミズゴケ、ヤノウエノアカゴケ、ゼニゴケおよびダンゴゴケ(Sphaerocarpos)属からの種の蘚類および苔類を含むコケ植物から選択される。コケ植物細胞は好ましくはニセツリガネゴケからのものである。
本発明による好ましい宿主は、コケ植物、特に一倍体非維管束陸生植物であるニセツリガネゴケであり、糖が操作された組換えタンパク質の産生に利用できるものである (WO 01/25456)。ニセツリガネゴケおよびその他の植物において、ルイスA型 構造が検出されている(Koprivova et al. 2003 Plant Biol. 5, 582-591; Koprivova et al. 2004 Plant Biotechnol. J. 2, 517-523)。植物からはN-グリカン構造の伸長において特定の活性を示すβ1,3-ガラクトース転移酵素は同定されていないが、ニセツリガネゴケをこの未知の種類の糖転移酵素の潜在的な源として選択した。
コケの生活環は光独立栄養配偶体世代が大半を占める。生活環は高等植物とは完全に異なり、高等植物では胞子体が優勢な世代であり、高等植物およびコケ植物の間には注目すべき相違が多く観察される。
蘚類を含むコケ植物の配偶体は2つの顕著な発達段階を特徴とする。頂端生長を介して発達する糸状体が生育して、2つのみの細胞タイプ(クロロネマおよびカウロネマ細胞)の糸状ネットワークとなる。茎葉体と称される第2段階では、簡便な頂端システムからコーリナリー生育(caulinary growth)によって識別される。両方の段階が光独立栄養的に活性である。より複雑な茎葉体へと分化しない糸状体の培養が、フラスコでの懸濁培養およびバイオリアクターカルチャーについて示されている (WO 01/25456)。数タイプのみの細胞を含む完全に分化した光独立栄養的に活性の多細胞組織の培養は高等植物については記載されていない。コケ細胞系の遺伝的安定性は、植物細胞培養よりも重要な利益を提供する。
コケ植物(非維管束植物)と高等植物 (維管束植物)との間には生化学的レベルでのいくつかの重要な相違がある。ニセツリガネゴケにおける硫酸同化作用は、高等植物におけるものと顕著に異なっている。高等植物における硫酸同化作用の鍵となる酵素は、アデノシン 5'-ホスホ硫酸レダクターゼである。ニセツリガネゴケにおいては、ホスホアデノシン 5'-ホスホ硫酸 レダクターゼを介する代替的経路が共存する(Koprivova et al. (2002) J. Biol. Chem. 277,32195-32201)。この経路は高等植物においては特徴決定されていない。
さらに、コケ植物、藻類 およびシダ類のファミリーの多くのメンバーは、広範な多価不飽和脂肪酸を産生する (Dembitsky (1993) Prog. Lipid Res. 32、281-356)。例えば、アラキドン酸およびエイコサペンタエン酸は、下等植物のみによって産生され、高等植物によっては産生されないと考えられている。多価不飽和脂肪酸代謝のいくつかの酵素、(デルタ 6-アシル基 不飽和化酵素) (Girke et al. (1998)、Plant J、15、39-48) およびデルタ 6 伸長酵素の成分 (Zank et al. (2002) Plant J 31、255-268)が、ニセツリガネゴケからクローニングされている。高等植物においては対応する遺伝子は見いだされていない。この事実は、生化学的レベルにて高等植物と下等植物との間に存在する重要な相違を確認するようである。
さらに、コケ植物はその核 DNAにおいて高度に効率的な相同的組換えを示し、それは植物についての特有の特徴であり、指向性遺伝子破壊を可能とし(Girke et al. (1998) Plant J、15、39-48; Strepp et al. (1998) Proc Natl Acad Sci USA 95,4368-4373; Koprivova (2002) J. Biol. Chem.277、32195-32201; reviewed by Reski (1999) Planta 208、301-309; Schaefer and Zryd (2001) Plant Phys 127、1430-1438; Schaefer (2002) Annu. Rev. Plant Biol.53、477-501; Koprivova et al. 2004 Plant Biotechnol. J. 2、517-523; Brucker et al. 2005 Planta 220、864-874)、これはさらに高等植物との根本的な相違を例示する。しかし、場合によってはグリコシル化パターンを変化させるこの機構の使用には、本明細書の実施例において示すように問題があることが判明している。ニセツリガネゴケにおけるN-アセチルグルコサミニル転移酵素 I (GNT1)の破壊の結果、特定の転写産物が欠損するが、N-グリコシル化 パターンにおいてはわずかな相違しか起こらない。これらの結果は、von Schaewen et al. (1993) Plant Physiol 102、1109-1118)により観察されたGNT1を欠く突然変異体 シロイヌナズナ 植物におけるゴルジ体にて修飾された複雑なグリカンの欠損と正反対であった。したがって、ニセツリガネゴケにおけるノックアウトは、N-グリコシル化 パターンの予測される改変をもたらさなかった。
ノックアウト 戦略は糖転移酵素 GNT1については成功しなかったが、β1,2-キシロシル転移酵素およびα1,3-ガラクトース転移酵素をコードする遺伝子の破壊に関して、ニセツリガネゴケにおけるノックアウトの実施は成功した。
さらに二重ノックアウト ニセツリガネゴケ 植物のゲノムへのヒト β1,4-ガラクトース転移酵素の組込みの結果、植物特異的 フコシルおよびキシロシル 残基を有さず、哺乳類-様末端 1,4 ガラクトシル残基を有する哺乳類-様 N-結合型グリコシル化 パターンが得られた。ガラクトース転移酵素は活性であることが判明した。
コケ植物細胞、例えば、ニセツリガネゴケ細胞は、本明細書に記載する本発明の方法による形質転換に好適ないずれの細胞であってもよく、コケプロトプラスト細胞、糸状体組織にみられる細胞またはその他のタイプの細胞であってよい。実際、当業者であれば、本発明による形質転換コケ植物細胞の集団を含むコケ 植物組織、例えば、 形質転換糸状体組織も本発明の側面を形成することを理解している。
本明細書において用いる場合「機能不全」とは、β1,3-ガラクトース転移酵素 (β1,3-GalT)の指定された転移酵素のヌクレオチド配列が、1,3 結合型末端 ガラクトース残基を有する植物 N-結合型グリカンを修飾することが出来る機能性の β1,3-GalT タンパク質をコードするmRNAを実質的にコードすることができないことを意味する。好ましくは、機能不全の β1,3-GalT 植物転移酵素のヌクレオチド配列は、外来性 ヌクレオチド 配列の、核コケ植物ゲノム (それが真のネイティブなコケ植物 ゲノム、即ち人間によりその他の核酸配列により以前に形質転換されていないコケ植物 細胞におけるものであるか、所望の核酸配列の核酸配列挿入が以前になされている形質転換核 コケ植物 ゲノムであるかを問わない)に含まれる内在性、即ちゲノムのネイティブな β1,3-GalT 遺伝子への標的化された挿入を含み、それは、機能性の β1,3-GalT 活性をコードするmRNAの転写を実質的に阻害または抑制する。
本発明のさらなる側面は、上記の DNA 分子または少なくとも 20 塩基対を有する様々な長さのその部分の1つを含む生物学的に機能性の ベクターに関する。宿主細胞へのトランスフェクションのために、増幅することができる独立のベクターが必須であり、 ここで、宿主細胞に依存して、トランスフェクション機構、DNA 分子の役割およびサイズ、好適なベクターを利用できる。多数の異なるベクターが知られているのでそれを列挙することは、本出願の限界を超えるため本明細書に列挙しない。特にベクターは当業者に非常に周知されているためである (ベクターならびに当業者に知られた本明細書に用いられるすべての技術および用語については、Sambrook Maniatisを参照されたい)。理想的には、ベクターは低分子量であり、細胞において容易に認識できる表現型を導くよう選択可能遺伝子を含むべきであり、それによってベクター含有細胞およびベクター非含有宿主細胞の容易な選択が可能となる。高収率のDNAおよび対応する遺伝子産物を得るためには、ベクターは強力なプロモーター、ならびに、エンハンサー、遺伝子増幅シグナルおよび調節配列を含むべきである。ベクターの自己複製のためには、さらに、複製起点が重要である。ポリアデニル化部位は mRNAの正しいプロセシングに必要であり、スプライスシグナルはRNA 転写産物のために必要である。ファージの場合は、ウイルスまたはウイルス粒子がベクターとして用いられ、パッケージングシグナルがベクター DNAのパッケージングを制御する。例えば、植物における転写のためには、Ti プラスミドが好適であり、昆虫細胞における転写のためには、バキュロウイルスが好適であり、昆虫においては、それぞれ、トランスポゾン、例えば、 Pエレメントが好適である。
上記の本発明のベクターが植物 または植物細胞に挿入されると、内在性 β1,3ガラクトース転移酵素遺伝子の遺伝子発現の転写後抑制が、それに相同的な導入遺伝子またはその部分のセンス方向での転写により達成される。このセンス技術については、さらに、Baucombe 1996、Plant. Mol. Biol.、9:373-382、およびBrigneti et al.、1998、EMBO J. 17:6739-6746による刊行物を参照されたい。この「遺伝子サイレンシング」の戦略は、β1,3ガラクトース転移酵素遺伝子の発現抑制の有効な手段であり、Waterhouse et al.、1998、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、95:13959-13964も参照されたい。
さらに、本発明は、上記の態様の1つによるDNA 分子、または様々な長さのその部分をプロモーターに対して逆方向にて含む生物学的に機能性の ベクターに関する。このベクターが宿主細胞にトランスフェクトされると、β1,3ガラクトース転移酵素のmRNAに相補的でありそれと複合体を形成する「アンチセンス mRNA」が読み出される。この結合は正しいプロセシング、輸送、安定性を邪魔するかまたは、リボソームアニーリングを妨げることによって、それは翻訳を邪魔し、それによって、β1,3ガラクトース転移酵素の正常な遺伝子発現が妨げられる。
DNA 分子の完全な配列をベクターに挿入することもできるが、その部分配列もそのより小さいサイズによって特定の目的に有益であり得る。アンチセンスの側面に関すると、例えば、DNA 分子は、転移酵素 mRNAに結合するのに十分に大きなアンチセンス mRNAを形成するのに十分に大きいことが重要である。好適なアンチセンス RNA 分子は、例えば、50〜 200 ヌクレオチドを含む。というのは、多くの既知の天然のアンチセンス RNA 分子はおよそ 100 ヌクレオチドを含むからである。
活性の β1,3ガラクトース転移酵素の発現の特に有効な阻害のために、センス 技術とアンチセンス 技術との組合せが好適である (Waterhouse et al.、1998、Proc. Natl. Acad. Sci.、USA、95:13959-13964)。
有利なことには、迅速にハイブリダイズする RNA 分子が使用される。50 ヌクレオチドを超えるサイズを有するアンチセンス RNA 分子の有効性は インビトロでのアニーリング 動力学に依存する。したがって、例えば、迅速にアニーリングするアンチセンス RNA 分子は、ゆっくりとハイブリダイズするRNA 分子よりもタンパク質 発現のより大きな阻害を示す(Wagner et al.、1994、Annu. Rev. Microbiol.、48:713-742; Rittner et al.、1993、Nucl. Acids Res.、21:1381-1387)。かかる迅速にハイブリダイズするアンチセンス RNA 分子は特に、多数の外側の塩基(遊離の末端および連結する配列)、多数の構造的サブドメイン (成分)を含み、ループの程度が低い(Patzel et al. 1998; Nature Biotechnology、16; 64-68)。アンチセンス RNA 分子の仮定上の二次構造は、例えば、好適なアンチセンス RNA DNA 配列がそれによって選択されるコンピュータープログラムの助けによって決定されうる。
DNA 分子の様々な配列領域がベクターに挿入されうる。1つの可能性は、例えば、リボソーム アニーリングに必要な部分のみベクターに挿入することである。 mRNAのこの領域の阻害は、翻訳全体を終結させるために十分である。特に高効率のアンチセンス分子はまた、遺伝子の5'-および3'-非翻訳領域についての結果である。
好ましくは、本発明によるDNA 分子は、欠失、挿入 および/または 置換 突然変異を含む配列を含む。突然変異体ヌクレオチドの数は変動し得、1つのみから数個のヌクレオチドが欠失、挿入または置換される。突然変異によってリーディングフレームがシフトする可能性もある。かかる「ノックアウト遺伝子」において、β1,3ガラクトース転移酵素の発現が妨げられ、活性の機能性の酵素の形成が妨げられることのみが重要である。これを行う際に、突然変異の部位は、酵素的に活性のタンパク質の発現が妨げられる限り変動しうる。好ましくは、C-末端領域に位置する酵素 の触媒領域における突然変異である。DNA 配列において突然変異を挿入する方法は当業者に周知であり、それゆえ突然変異誘発の様々な可能性は本明細書において詳細に議論する必要はない。同時の突然変異誘発、ならびに特に、指向型突然変異誘発、例えば、部位指向型突然変異誘発、オリゴヌクレオチド-制御型突然変異誘発または制限酵素の助けによる突然変異誘発がこの場合に使用されうる。
あるいは、リボザイムまたはsiRNA 技術を野生型 β1,3-GalT 活性を有する細胞におけるβ1,3-GaltT 活性の低減または排除に適用することが出来る。本発明のsiRNA 技術の適応 は、直接当該技術分野において既存の技術に基づく(例えば、Nat.Reviews: RNA interference collection (October 2005))。
本発明はさらに、それぞれ少なくとも 10〜15 塩基対の2つの配列部分を含むリボザイムをコードするDNA 分子を提供し、2つの配列部分は上記の本発明の DNA 分子の配列部分に相補的であり、したがって、リボザイムが天然 β1,3ガラクトース転移酵素 DNA 分子から転写されるmRNAと複合体を形成し、それを切断する。リボザイムはmRNAとの相補的 塩基対形成によりβ1,3ガラクトース転移酵素のmRNAを認識する。その結果、リボザイムは酵素が翻訳される前に、配列特異的にRNAを切断および破壊する。切断された基質から解離した後、リボザイムは繰り返しRNA 分子とハイブリダイズし、特異的エンドヌクレアーゼとして作用する。一般に、リボザイムは、タンパク質をコードするDNA 配列の全体が知られていなくても、特定のmRNA の不活性化のために特異的に生産されうる。リボザイムは、リボソームがゆっくりとmRNAに沿って移動する場合に特に有効である。かかる場合には、リボザイムはmRNA上のリボソーム非含有部位をより容易に見つけることが出来る。このために、ゆっくりとしたリボソーム突然変異体も、リボザイムのための系として好適である(J. Burke、1997、Nature Biotechnology; 15、414-415)。このDNA 分子は、植物 β1,3ガラクトース転移酵素の発現のそれぞれ下方制御および阻害に特に有益である。
1つの可能な方法はまた、改変形態のリボザイム、即ちミニザイムの使用である。ミニザイムはより大きいmRNA 分子の切断に特に有効である。ミニザイムはステム/ループ IIの代わりに短いオリゴヌクレオチド リンカーを有するハンマーヘッド リボザイムである。ダイマー-ミニザイムが特に有効である(Kuwabara et al.、1998、Nature Biotechnology、16; 961-965)。
したがって、本発明はまた、前記2つのDNA 分子 (突然変異またはリボザイム-DNA 分子)の1つを含む生物学的に機能性の ベクターに関する。ベクターに関して述べたことはこの場合にもあてはまる。かかるベクターは、例えば、微生物に挿入されてもよく、高濃度の上記の DNA 分子の生産に利用できる。さらに、かかるベクターは特に、植物生物におけるβ1,3ガラクトース転移酵素産生の下方制御または完全阻害のために植物生物に特定のDNA 分子を挿入するために良好である。上記のすべてのベクターはβ1,3-GalT 遺伝子のゲノム 配列、例えば、 配列番号3または4を用いて作ることが出来る。
本発明のコケ植物細胞またはその祖先は本明細書に記載する哺乳類 グリコシル化 パターンによりグリコシル化される目的タンパク質の一次配列をコードする目的異種遺伝子により以前に形質転換されたいずれのものでもよい。好ましくは、グリコシル化 パターンはヒト型である。あるいは、コケ植物細胞は本明細書に記載する本発明の方法にしたがってその上に哺乳類 グリコシル化 パターンが置かれることを必要とする少なくとも1つの目的の一次タンパク質配列、典型的にはヒトまたは哺乳類、例えば、家畜種、例えば、 ウシ、ヒツジ、ウマおよびブタ 種に使用するための少なくとも1つの医薬品目的のタンパク質配列をコードするヌクレオチド 配列によって同時にまたはある期間にわたって複数により形質転換されうる。ヒトを含む哺乳類に使用するためのかかる医薬品糖タンパク質としては、これらに限定されないが、タンパク質、例えば、VEGF、インターフェロン、例えば、 α-インターフェロン、β-インターフェロン、ガンマ-インターフェロン、因子 VII、VIII、IX、X、XI、およびXIIから選択される血液凝固因子、生殖ホルモン、例えば、黄体ホルモン、卵胞刺激ホルモン、増殖因子、例えば、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、顆粒球コロニー刺激因子等、プロラクチン、オキシトシン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、ソマトスタチン、エリスロポエチン (EPO)、酵素、例えば、β-グルコセレブロシダーゼ、ヘモグロビン、コラーゲン、融合タンパク質、例えば、TNF α受容体リガンド結合ドメインとIgGのFc部分との融合 タンパク質等が挙げられる。 さらに、本発明の方法は、免疫グロブリン、例えば、 抗体、例えば、 特異的モノクローナル抗体またはその活性の断片の生産に利用できる。
本発明での使用に好適なコケ、例えば、 ナシゴケおよびムラサキミズゴケのバイオリアクター中での培養についての詳細な情報は、従来技術において知られている(例えば、E. Wilbert, "Biotechnological studies concerning the mass culture of mosses with particular consideration of the arachidonic acid metabolism", Ph.D. thesis, University of Mainz (1991); H. Rudolph and S. Rasmussen, Studies on secondary metabolism of Sphagnum cultivated in bioreactors, Crypt. Bot., 3, pp. 67-73 (1992)を参照)。本発明の目的のために特に好ましいのは、ニセツリガネゴケの使用である。というのは、分子生物学技術はこの生物について習熟しているからである(概説として、R. Reski、Development、genetics and molecular biology of mosses、Bot. Acta、111、pp. 1-15 (1998)を参照)。
好適な形質転換系が、異種タンパク質の生産のためのニセツリガネゴケのバイオテクノロジーの開拓のために開発されてきた。例えば、パーティクルガンを用いる糸状体組織への直接のDNA 転移によってなされる形質転換が成功している。コケプロトプラストへのPEG-媒介DNA 転移も成功している。PEG-媒介形質転換方法はニセツリガネゴケについて何回も記載されており、一過性および安定な形質転換体の両方が得られている(例えば、K. Reutter and R. Reski、Production of a heterologous protein in bioreactor cultures of fully differentiated moss plants, Pl. Tissue culture and Biotech., 2, pp. 142-147 (1996)を参照)。
本発明のさらなる態様において、β-1,3-GalT 活性が実質的に低減された少なくとも1つのコケ植物細胞を生産する方法が提供され、この方法は、該細胞に以下を導入することを含む: i)配列番号1の内在性 β1,3をコードするヌクレオチド配列に特異的に標的化された第一の核酸配列、および、ii)配列番号2の内在性 β1,3をコードするヌクレオチド 配列に特異的に標的化された第二の核酸配列。
当業者であれば、該第一および第二の転移酵素核酸配列をコケ植物細胞に導入する順序は重要ではないことを理解するであろう:それはいずれに順番で行ってもよい。第一および第二の核酸配列は、その特定の制限酵素部位によって規定されるコケ植物細胞の核 ゲノム に位置する内在性のネイティブな β1,3-GalT遺伝子の特定の部分に標的化され得、例えば、本明細書に提供する実施例にしたがうように行われる。ネイティブな β1,3-GalT遺伝子配列を、目的の標的のネイティブな転移酵素遺伝子と特異的に統合するヌクレオチド配列により特異的に標的化することにより、該配列の発現は完全に破壊されないとしても実質的に抑えられる。
好ましくは上記のすべてのグリコシル化された哺乳類タンパク質はヒト型のものである。本発明における生産が意図されるその他のタンパク質としては獣医医療における使用のためのタンパク質が含まれ、本明細書に記載するヒトタンパク質の動物ホモログに対応しうる。
外来性プロモーターは、目的の核酸配列の前に導入され、それと作動可能に連結されるプロモーターを指すものである。したがって、外来性プロモーターは本明細書に規定する選択された核酸成分の前に設置されるものであり、野生型状況においてみられるように目的の核酸成分と通常関係する天然またはネイティブなプロモーターを構成しない。したがって、プロモーターは目的のコケ植物 細胞に対してネイティブなものであり得るが、野生型コケ植物細胞において目的の核酸の前に作動可能に連結し得ない。典型的には、外来性プロモーターは、宿主細胞とは異なる起源から宿主 コケ植物 細胞に転移されたものである。
β1,3-ガラクトシル化が改善されたN-グリカン構造の生産に関して、本明細書に記載するグリコシル化された哺乳類タンパク質であるβ-1,3-GalT タンパク質をコードするcDNA はコケ植物 細胞において作動可能な少なくとも 1つのタイプのプロモーターを含み、それは、例えば、β-1,3-GalT 核酸配列 および/または本明細書において規定し本発明によって提供されるグリコシル化された哺乳類 タンパク質についての第二の核酸配列に作動可能に連結した誘導性または構成的 プロモーターである。議論したように、これは遺伝子発現の制御を可能とする。
プロモーターについて適用される「誘導性」という用語は当業者によく理解されている。要するに、誘導性 プロモーターの制御下での発現は適用された刺激(それは細胞内で生成したものでも外部から提供されたものでもよい)に応答して「スイッチオン」即ち上昇する。刺激の性質は、プロモーターによって異なる。いくつかの誘導性プロモーターは、適当な刺激の非存在下ではわずかなまたは検出不可能な発現レベル(または非発現)をもたらす。他の誘導性プロモーターは刺激の非存在下でも検出可能な構成的発現をもたらす。刺激の非存在下での発現レベルの程度にかかわらず、誘導性 プロモーターからの発現は正しい刺激の存在下では上昇する。好ましい状況は、発現レベルが、表現型の特徴を変更させるのに有効な量にて適切な刺激の適用の際に上昇する状況である。したがって誘導性 (または「スイッチ可能」) プロモーターは、刺激の非存在下での基底の発現レベル、即ち所望の表現型をもたらすには低すぎるレベル(実際ゼロであり得る)をもたらすものが使用されうる。刺激が適用されると、発現は所望の表現型をもたらすレベルにまで上昇(またはスイッチオン)される。
本明細書に記載するように、コケ植物発現系は当業者に知られている。コケ植物 プロモーター、特に、ニセツリガネゴケ プロモーターは、宿主 DNA-依存的 RNA ポリメラーゼに結合し、コード配列 (例えば、構造遺伝子)の下流(3')の mRNAへの転写を開始させることが出来るあらゆるDNA 配列である。プロモーターは転写開始領域を有し、これは通常コード配列の5'末端の近くに位置する。この転写開始領域は通常、 RNA ポリメラーゼ 結合部位 (「TATA Box」)および転写開始部位を含む。コケ植物プロモーターは、上流活性化配列 (UAS)と称される第二のドメインを有することもあり、これは存在するとすれば、通常構造遺伝子から遠い。UASは制御された(誘導性) 発現を可能とする。構成的発現はUASの非存在下で起こる。制御された発現は正または負のいずれでもよく、それにより転写が促進または低減される。
当業者は、コケ植物 代謝経路における酵素をコードするコケ植物 プロモーター 配列が特に有用なプロモーター配列を提供しうることを理解するであろう。
さらに、天然にはみられない合成 プロモーターもコケ植物 プロモーターとして機能しうる。例えば、1つのコケ植物 プロモーターのUAS 配列を別のコケ植物 プロモーターの転写 活性化 領域と一緒にして、合成ハイブリッドプロモーターを作ることが出来る。好適なプロモーターの一例は、Zeidler et al. (1996) Plant. Mol. Biol. 30、199-205によるニセツリガネゴケのためのTOP 10 発現系において用いられたものである。さらに、コケ植物 プロモーターは、コケ植物 DNA-依存的 RNA ポリメラーゼに結合し、転写を開始させる能力を有する非コケ植物起源の天然 プロモーターを含みうる。かかるプロモーターの例としては、上記のものが含まれ、とりわけ、イネ P-アクチン 1 プロモーターおよび クラミドモナス RbcS プロモーター ((Zeidler et al. (1999) J. Plant Physiol. 154、641-650)、Cohen et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、77: 1078、1980; Henikoff et al.、Nature、283: 835、1981; Hollenberg et al.、Curr. Topics Microbiol. Immunol.、96: 119、198 1; Hollenberg et al.、"The Expression of Bacterial Antibiotic Registance Genes in the Yeast Saccharomyces cerevisiae"、in: Plasmids of Medical、Environmental and Commercial Importance (eds. K. N. Timms and A. Puhler)、1979; Mercerau-Puigalon et al.、Gene、l l: 163、1980; Panthier et al.、Curr. Genet.、2: 109、1980)が挙げられる。
本発明によるDNA 分子は、コケ植物において細胞内で発現しうる。プロモーター 配列はDNA 分子に直接連結していてもよく、その場合、組換え タンパク質のN-末端 における第一のアミノ酸は常にメチオニンであり、それはmRNA上のAUG 開始コドンによってコードされる。所望の場合、N-末端 のメチオニンは、インビトロでの臭化シアンとのインキュベーションによりタンパク質から切断してもよい。
あるいは、外来タンパク質は、コケ植物細胞内または外での外来タンパク質の分泌を提供するリーダー配列断片から構成される融合タンパク質をコードするキメラ DNA 分子を作成することによってコケ植物細胞から培地へと分泌されうる。好ましくは、インビボまたはインビトロで切断されうるリーダー 断片と外来遺伝子との間にコードされるプロセシング 部位が存在する。リーダー配列断片は通常、タンパク質の細胞からの分泌を導く疎水性 アミノ酸から構成されるシグナル ペプチドをコードする。
好適なシグナル配列をコードするDNA は、分泌されるコケ植物タンパク質に対する遺伝子由来であってもよく、例えば、非コケ植物起源のリーダー、例えば、VEGF リーダーもコケ植物細胞における分泌を提供しうる。
コケ植物細胞によって認識され、コケ植物細胞において機能性の転写終結配列は、翻訳終止コドンに対して3'に位置する調節領域であって、したがってプロモーターとともに、コード配列を挟むものである。これら配列はDNAによってコードされるポリペプチドへと翻訳されうるmRNAの転写をもたらす。ニセツリガネゴケにおいて作動する好適な 終結 配列の一例は、カリフラワーモザイク ウイルスの終結領域である。
典型的には、プロモーター、リーダー (所望の場合)、目的のコード配列、および転写終結配列を含む成分は、本発明の発現 コンストラクト中に一緒にされる。発現コンストラクトはしばしば、宿主、例えば、細菌における安定な維持が可能な染色体外要素であるDNA プラスミドに維持される。DNA プラスミドは、2つの複製起点を有し得、従って、例えば、発現のためにコケ植物、そして、クローニングおよび増幅のために原核宿主に維持されることが可能となる。一般的に言えば、プラスミドは原核宿主細胞におけるクローニングおよび増幅のためには1つの複製起点を有していれば充分である。さらに、DNA プラスミドは、高いまたは低いコピー数のプラスミドのいずれであってもよい。高コピー数のプラスミドは一般に、コピー数の範囲が約 5〜約 200であり、通常は約 10〜約 150である。高コピー数のプラスミドを含む宿主は、好ましくは少なくとも約 10、より好ましくは 少なくとも約 20を有する。高いまたは低いコピー数のベクターのいずれを選択してもよく、ベクターの効率および宿主上の外来タンパク質に依存する (例えば、Brake et al.、前掲参照)。
あるいは、発現コンストラクトは、組み込みベクターによりコケ植物 ゲノムに組み込んでもよい。組み込みベクターは通常は、コケ植物染色体に相同的な少なくとも1つの配列を含み、これによりベクターの組み込みが可能となるが、好ましくは、発現コンストラクトに隣接する2つの相同的配列を含む。組み込みベクターは、本明細書に記載し、例証するように、ベクターに含まれるために適当な相同的配列を選択することによりコケにおける特異的な座位に向けてもよい。1以上の発現コンストラクトを組み込みうる。ベクターに含まれる染色体配列はベクター中に単一のセグメントとして存在してもよく、その結果ベクター全体の組込みが起こるか、または、染色体における隣接するセグメントに相同的であり、ベクターにおける発現 コンストラクトに隣接する2つのセグメントとして存在してもよく、それにより発現コンストラクトのみの安定な 組込みが導かれうる。
通常は、染色体外である組み込み発現コンストラクトは、形質転換されたコケ植物細胞の選択を可能とする選択マーカーを含んでいてもよい。
選択マーカーは、コケ宿主において発現されうる生合成遺伝子を含んでいてもよく、例えば、コケ植物細胞においてそれぞれG418およびハイグロマイシンBに対する耐性を付与する、G418またはハイグロマイシンB 耐性遺伝子が挙げられる。さらに、好適な選択マーカーは、毒性化合物、例えば、金属の存在下で生育する能力を有するコケ植物細胞を提供しうる。
あるいは、上記の成分のいくつかを形質転換ベクター中に一緒にしてもよい。形質転換ベクターは通常は、DNA プラスミドに維持されるか、または上記のように組み込みベクターへと発展される選択マーカーから構成される。
あるいは、ニセツリガネゴケにおいて観察されるような高収率の形質転換事象を達成することにより、形質転換事象の選択のためのマーカーの使用を避けることが出来る。
外来性 DNAをコケ植物細胞に導入する方法は当該技術分野において周知であり、とりわけ、Schaefer D. G. "Principles and Protocols for the moss Physcomitrella patens"、(May 2001) Institute of Ecology、Laboratory of Plant Cell Genetics、University of Lausanne; Reutter K. and Reski R.、Plant Tissue Culture and Biotechnology September 1996、Vol.2、No.3; Zeidler M et al.、(1996)、Plant Molecular Biology 30:199-205によって記載されている。
当業者は、ベクターを構築することおよび上記のように組換え核酸配列または遺伝子発現のためのプロトコールを設計することが可能である。適当な調節配列、例えば、プロモーター配列、ターミネーター断片、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子およびその他の適当な配列を含む好適なベクターを選択または構築することが出来る。さらなる詳細については、例えば、Molecular Cloning: a Laboratory Manual: 2nd edition、Sambrook et al、l989、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。例えば、核酸コンストラクトの調製、突然変異誘発、配列決定、DNAの細胞への導入および遺伝子発現、ならびにタンパク質の分析における、核酸の操作のための多くの既知の技術およびプロトコールは、 Current Protocols in Molecular Biology、Second Edition、Ausubel et al. eds.、John Wiley & Sons、1992において詳細に記載されている。Sambrook et al.およびAusubel et al.の開示は引用により本明細書に含める。
上記のように、選択可能遺伝子マーカーはトランスジェニック コケ植物細胞の選択を促進することができ、それらは、本明細書に記載するように選択可能な表現型を付与するキメラ遺伝子からなりうる。
選択された糖転移酵素をコードする核酸配列および糖転移酵素活性を含むポリペプチド配列をコケ植物細胞に導入する場合、特定の考慮を考えなければならず、それは当業者に周知である。挿入すべき核酸は転写を駆動する有効な調節要素を含むコンストラクトのなかでアセンブリーされなければならない。コンストラクトを細胞へと輸送する方法が利用できなければならない。いったんコンストラクトが細胞膜へ入ると、内在性染色体物質への組込みが起こる場合と起こらない場合がある。
本発明はさらに、上記のようなベクターまたはコンストラクトで形質転換された宿主細胞、特に、コケ植物または微生物細胞を包含する。したがって、本発明のヌクレオチド配列を含む本明細書に記載されたような宿主細胞、例えば、コケ植物細胞が提供される。細胞のなかで、ヌクレオチド配列は染色体内に取り込まれうる。
本発明によると、そのゲノムに、本明細書に記載するように発現の制御のために調節配列の作動可能な制御の下で本発明によって提供されるような、少なくとも1つのヌクレオチド配列、特に 異種 ヌクレオチド配列が取り込まれたコケ植物細胞が提供される。コード配列は、本発明に用いられる核酸配列に対して異種または外来であり得る1以上の調節配列に作動可能に連結していてよく、例えば、その発現のために核酸配列に天然には関係していないものが挙げられる。本発明によるヌクレオチド配列は、外部から誘導可能なプロモーターの制御下においてもよく、それにより発現をユーザーの制御下におくことができる。本発明のさらなる側面は、かかるコケ植物細胞、特にニセツリガネゴケ細胞を作る方法を提供し、かかる方法には、本発明における使用が考えられる核酸配列または本発明における使用が考えられる配列を含む少なくとも1つの好適なベクターのコケ植物細胞への導入、および、ベクターおよびコケ植物細胞ゲノムの間の組換えをもたらすかまたは可能にし、該配列をゲノムに導入することが含まれる。本発明は、GalT ヌクレオチド および/または哺乳類 グリコシル化 パターンのそれに対する付加が予定されるポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列の祖先細胞への導入の結果として本発明における使用に好適なコケ植物細胞、特に ニセツリガネゴケ 細胞に及ぶ。
「異種」という用語は、遺伝子操作を用いて、即ち、ヒトの介入により、問題の遺伝子/ヌクレオチド配列がコケ植物細胞またはその祖先に導入されたことをいうために用いられ得る。トランスジェニックコケ植物細胞、即ち、問題のヌクレオチド配列についてのトランスジェニックが提供されうる。導入遺伝子はゲノム外でベクターの上にあってもよいし、好ましくは安定に、ゲノムに取り込まれていてもよい。異種遺伝子は、通常は同じまたは類似の機能を果たす内在性の相当する遺伝子を置換してもよいし、あるいは挿入された配列は内在性遺伝子またはその他の配列に対して付加的であってもよい。異種遺伝子の導入の利点は、好みに応じて発現に影響を与えることを可能にするために、選択したプロモーターの制御下に配列の発現をおく能力である。コケ植物細胞に対して異種、または外来性または外来のヌクレオチド配列は、そのタイプの細胞、株または種において非天然であり得る。したがって、ヌクレオチド配列は、異なるタイプまたは種のコケ植物細胞の環境に置かれている特定のタイプのコケ植物細胞、例えば、ニセツリガネゴケ細胞のまたはそれに由来のコード配列を含みうる。さらなる可能性はそれまたはホモログが天然にみられるが、ヌクレオチド配列が、細胞、またはそのタイプの細胞または種または株には天然にみられない核酸に連結および/または隣接している、例えば、1以上の調節配列、例えば、プロモーター配列に発現の制御のために作動可能に連結している、コケ植物細胞のなかにヌクレオチド配列がおかれることである。コケ植物またはその他の宿主細胞のなかにある配列は、同定可能に異種、外来性または外来であり得る。
本発明はまた、本明細書に開示するようなまたは本明細書の情報および示唆にしたがって取得可能な、本発明による核酸 分子の組合せの所望のポリペプチド 発現産物を含む。それをコードするヌクレオチド配列から、好適な宿主細胞、例えば、大腸菌において好適な条件下での発現によりかかる発現産物を作る方法も提供される。当業者であれば、ベクターを設計することが出来るし、組換え遺伝子発現の産物の発現および回収のためのプロトコールおよびシステムを設計することが出来る。
本発明によるポリペプチドは、本明細書において言及するポリペプチドの対立遺伝子、変異体、断片、誘導体、突然変異体またはホモログでありうる。対立遺伝子、変異体、断片、誘導体、突然変異体またはホモログは、本明細書に示すように上記のポリペプチドと実質的に同じ機能を有し得、または機能性のその突然変異体であり得る。ヒトにおける使用のための本明細書に記載する医薬品タンパク質の関係においては、当業者はかかるタンパク質の一次配列およびそれらのグリコシル化パターンはヒトにおいてみられるものを模倣するかまたは好ましくはそれと同一であることを理解している。
本発明の核酸配列またはアミノ酸配列に関しての「同一性」は、配列全体またはその必須の部分の同一性をいうのに用いられ得る。上記のように、高レベルのアミノ酸同一性は、機能的に重要なドメインまたは領域、例えば、本明細書において同定するドメインのいずれかに制限されうる。
具体的には、本明細書において提供される特定のコケ植物由来ポリペプチド配列のホモログが、本発明により提供され、かかるホモログの突然変異体、変異体、断片および誘導体も提供される。したがって本発明はまた、本明細書において規定するよう機能し、本明細書において提供される配列情報を用いて取得可能なβ1,3-ガラクトース転移酵素を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドにも及ぶ。本発明によるβ1,3-ガラクトース転移酵素は、本明細書において開示される配列の、特にPpGalT1、PpGalT2、PpGalT1as またはPpGalT2as (図2-5)のアミノ酸配列とアミノ酸レベルで少なくとも約 50%、または少なくとも 55%、または少なくとも約 60%、または少なくとも約 65%、または少なくとも約 70%、または少なくとも約 75%の同一性、または少なくとも約 80%の同一性、または少なくとも約 85 %、または少なくとも約 88%の同一性、または少なくとも約 90%の同一性およびもっとも好ましくは 少なくとも約 95%またはそれを超える同一性を有しうるが、ただし、かかるタンパク質は本発明の文脈に適合するβ1,3-ガラクトース転移酵素活性を有するものである。上記%の同一性は好ましくは問題の配列を、例えば、 PpGalT1、PpGalT2、PpGalT1as またはPpGalT2asと比較した場合に、図1(当業者に明らかであるように適当な「-」を含む)に示す7つの保存されたドメインを含む領域において与えられるべきである。
特定の態様において、特定の配列の対立遺伝子、変異体、誘導体、突然変異体 誘導体、突然変異体またはホモログは特定の配列に対してわずかな総同一性、例えば、少なくとも 20%、または少なくとも 25%、または少なくとも 30%、または少なくとも 35%、または少なくとも 40% または少なくとも 45% (即ち、約 20%、または約 25%、または約 30%、または約 35%、または約 40%、または約 45% (即ち、例えば20%以上))を示しうる。しかし、機能的に重要なドメインまたは領域においては、アミノ酸同一性はより高い可能性がある。推定の機能的に重要なドメインまたは領域は、バイオインフォマティクスのプロセス、例えば、ホモログの配列の比較を用いて同定することが出来る。本発明による好ましい β1,3-GalT タンパク質は、図1による7つの保存されたドメイン(太字で示すアミノ酸残基)において、80%を超える、特に90%を超える同一性を示し、特に保存されたアミノ酸のなかで好ましいものは (図1 において「*」(星印)で示す)完全に (または少なくとも95%の程度)存在する。本発明によるβ1,3-GalTの特に好ましい変異体は図1に示す保存されたアミノ酸の80%を超える、好ましくは90%を超える、特に 100%を含む。
様々なポリペプチドの機能的に重要なドメインまたは領域が融合タンパク質としてコードする核酸からの発現のために一緒にされうる。例えば、様々なホモログの特に有益または望ましい性質がハイブリッド タンパク質において組み合わされ得、その結果得られるβ1,3-ガラクトース転移酵素 機能を有する発現産物は、適当であれば、様々な親タンパク質の断片を含みうる。
同一性は、アラインされた配列(判断力のある「-」を含む)の% 値として容易に計算されうる。アミノ酸配列の類似性は、当該技術分野において標準的に使用されているAltschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-10のTBLASTN プログラムによって規定および決定されうる。具体的には、TBLASTN 2.0は、Matrix BLOSUM62およびGAP ペナルティ: 存在: 11、伸長: 1とともに用いられ得る。使用されうる別の標準的プログラムは BestFitであり、これはWisconsin Package、Version 8、September 1994、(Genetics Computer Group、575 Science Drive、Madison、Wisconsin、USA、Wisconsin 53711)の一部である。 BestFitは、2つの配列の間の類似性の最高のセグメントの至適アラインメントを作る。至適アラインメントは、Smith and Waterman (Adv. Appl. Math. (1981) 2: 482-489)のローカル同一性アルゴリズムを用いて一致の数を最大とするようにギャップを挿入することによって見いだされる。その他のアルゴリズムとしてはGAPが挙げられ、これは一致の数を最大にし、かつギャップの数を最小にする2つの完全な配列をアラインするNeedleman and Wunsch アルゴリズムを用いる。いずれのアルゴリズムにおいても、一般にデフォールトパラメーターが用いられ、GAPについてはギャップ生成ペナルティー = 12 およびギャップ伸長ペナルティー = 4である。あるいは、ギャップ生成ペナルティー3およびギャップ伸長ペナルティー0.1が使用されうる。 (Pearson and Lipman (1988) PNAS USA 85: 2444-2448の方法を用いる)アルゴリズム FASTA はさらなる選択肢である。
組換え宿主細胞、具体的には 植物細胞または植物を作る有益な方法は、それぞれ、本発明によるDNA 分子、特に不活性化突然変異を含むものを、非突然変異体相同的配列のかわりにそれぞれ宿主細胞または植物のゲノムに挿入することである(Schaefer et al.、1997、Plant J.; 11(6):1195-1206)。この方法はしたがって ベクターによっては機能せず、純粋なDNA 分子によって行う。本発明によるDNA 分子は宿主に、例えば、3例のみを挙げるが、遺伝子銃、マイクロインジェクションまたはPEG-媒介直接 DNA 転移によって挿入される。このDNA 分子は宿主のゲノムにおける相同的配列に結合し、その結果、相同的 組換えおよびそれぞれ欠失、挿入または置換突然変異のゲノム中への受入が起こる:β1,3-ガラクトース転移酵素の発現は、 例えばそれぞれ抑制または完全に阻止されうる。
本発明のさらなる側面は、それぞれ そのβ1,3ガラクトース転移酵素活性が 天然 植物または植物細胞にあるβ1,3ガラクトース転移酵素活性の50%未満、具体的には20%未満、特に 好ましくは0%である植物、植物組織または植物細胞に関する。かかる植物または植物細胞の利点は、それぞれ、それらによって生産される糖タンパク質が、β1,3-結合型ガラクトースをまったくまたはほどんど含まないことである。かかる植物の生産物が、それぞれ、ヒトまたは脊椎動物体に取り込まれても、β1,3 結合型ガラクトース エピトープに対する免疫反応が起こらない。
好ましくは、組換え植物または植物細胞は、それぞれ、上記の方法により調製されたものであって、それぞれそのβ1,3-ガラクトース転移酵素産生が抑制または完全に阻止されたものが提供される。
本発明はまた、本発明によるDNA 分子の配列に相補的な塩基配列を含むPNA 分子およびその部分配列にも関する。PNA (ペプチド核酸)はDNA-様配列であり、ヌクレオ塩基が偽-ペプチド バックボーンに結合している。PNAは一般に、相補的 DNA-、RNA-またはPNA-オリゴマーと、ワトソンクリック塩基対形成 およびヘリックス 形成によってハイブリダイズする。ペプチド バックボーンは酵素による分解に対するより高い耐性を確実にする。PNA 分子はしたがって改良されたアンチセンス剤である。ヌクレアーゼもプロテアーゼも PNA 分子を攻撃することが出来ない。PNA 分子の安定性は、相補的配列に結合していれば、DNAおよびRNA ポリメラーゼ、逆転写酵素、テロメラーゼおよびリボソームの十分な立体的ブロックを構成する。
PNA 分子が上記配列を含めば、それはβ1,3ガラクトース転移酵素 をコードするDNAまたはDNAの部位にそれぞれ結合し、それによりこの酵素の転写を阻害することができる。それは転写も翻訳もされないので、PNA 分子は合成により、例えばt-Boc 技術の助けにより調製される。
有利なことに、本発明の DNA 分子の配列およびその部分配列に対応する塩基配列を含むPNA 分子が提供される。このPNA 分子はβ1,3-ガラクトース転移酵素のmRNAまたはmRNAの部位と複合体形成し、それにより酵素の翻訳が阻害される。アンチセンス RNA について行ったものと同様の議論がこの場合もあてはまる。したがって、例えば、特に有効な複合体形成領域は、mRNAの翻訳開始領域または5'-非翻訳領域である。
本発明のさらなる側面は、それぞれ植物、組織または細胞を調製する方法に関し、具体的には、それぞれ転写または翻訳レベルにてβ1,3ガラクトース転移酵素の発現が阻止された植物細胞は、本発明の PNA 分子が細胞に挿入されていることを特徴とする。1または複数のPNA 分子を、それぞれ細胞に挿入するためには、常套の方法、例えば、エレクトロポレーションまたはマイクロインジェクションが用いられる。特に有効なのは PNA オリゴマーが細胞貫通ペプチド、例えば、transportanまたは pAntpに結合している場合の挿入である(Pooga et al.、1998、Nature Biotechnology、16; 857-861)。
本発明は以下を特徴とする組換え糖タンパク質の調製方法を提供する:本発明の、β1,3-ガラクトース転移酵素産生が抑制または完全に阻止されているそれぞれ組換え植物または植物細胞、またはそれぞれ、本発明による方法によりPNA 分子が挿入されたそれぞれ植物、または組織、または細胞は、組換え糖タンパク質が発現されるように糖タンパク質を発現する遺伝子によりトランスフェクトされている。そこで、既に上記したように、所望のタンパク質についての遺伝子を含むベクターが既に上記されているようにそれぞれ宿主または宿主細胞にトランスフェクトされる。トランスフェクトされた植物細胞は、所望のタンパク質を発現し、それらは、β1,3-結合型ガラクトースをまったくまたはほとんど有さない。したがって、それらはヒトまたは脊椎動物体において上記した免疫反応をトリガーしない。あらゆるタンパク質がかかるシステムにおいて産生されうる。
有利なことに、それぞれ、β1,3-ガラクトース転移酵素産生が抑制または完全に阻止された組換え植物または植物細胞、または、本発明の方法によってPNA 分子が挿入されたそれぞれ植物、または組織、または細胞が、組換え糖タンパク質が発現されるように糖タンパク質を発現する遺伝子によってトランスフェクトされていることを特徴とする組換えヒト糖タンパク質の調製方法が提供される。この方法によって、人体に取り込まれた場合に、β1,3-結合型ガラカターゼ(galacatase)残基に対する免疫反応をトリガーしないヒト タンパク質の植物 (植物細胞)における産生が可能となる。ここで、食糧として作用する組換え糖タンパク質を産生する植物のタイプ、例えば、バナナ、ジャガイモ および/または トマトを利用することが可能である。この植物の組織は組換え糖タンパク質を含み、したがって、例えば、組織から組換え糖タンパク質を抽出し、次いで投与すること、または植物組織を食べることによって直接、それぞれ、組換え糖タンパク質が人体に取り込まれる。好ましくは、医学的用途のための組換え ヒト 糖タンパク質の調製方法が提供され、ここで、本発明の、それぞれ、β1,3-ガラクトース転移酵素産生が抑制または完全に阻止された組換え植物または植物細胞、あるいは、それぞれ、本発明の方法にしたがってPNA 分子が挿入された植物、または組織、または細胞が、組換え糖タンパク質が発現されるよう糖タンパク質を発現する遺伝子によってトランスフェクトされる。これを行うに際して、医学的に興味のもたれるあらゆるタンパク質を利用することが出来る。
さらに、本発明は上記の方法による組換え糖タンパク質に関し、ここでそれらは、植物系において調製されたものであり、それらのペプチド配列は、ガラクトース転移酵素が低減されていない植物系において発現されるタンパク質において起こるβ1,3-結合型ガラクトース 残基の50%未満、具体的には20%未満、特に 好ましくは 0%を含む。通常は、β1,3-結合型ガラクトース 残基を含まない糖タンパク質が好ましい。 β1,3-結合型ガラクトースの量は、上記のβ1,3-ガラクトース転移酵素の抑制の程度に依存する。
好ましくは、本発明は、上記の方法によって植物系において産生され、そのペプチド配列が、ガラクトース転移酵素が低減されていない植物または系において発現したタンパク質に起こるβ1,3-結合型ガラクトース 残基の50%未満、具体的には 20%未満、特に 好ましくは 0%を含む組換え ヒト 糖タンパク質に関する。
特に好ましい態様は、上記の方法によって植物系において調製され、そのペプチド配列がガラクトース転移酵素が低減していない植物系において発現したタンパク質において起こるβ1,3-結合型ガラクトース 残基の50%未満、具体的には 20%未満、特に 好ましくは0%を含む、医学的用途のための組換え ヒト 糖タンパク質に関する。
さらなる側面は、本発明による糖タンパク質を含む医薬組成物を含む。本発明の糖タンパク質に加えて、医薬組成物は、かかる組成物にとって一般的なさらなる添加剤を含む。それらは、例えば、様々なバッファー(例えば、Tris-HCl、酢酸塩、リン酸塩、pHおよびイオン強度)を含む好適な希釈剤、添加剤、例えば、界面活性剤(tensides)および可溶化剤(例えば、Tween 80、ポリソルベート 80)、保存料(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール)、アジュバント、抗酸化剤 (例えば、アスコルビン酸、二亜硫酸ナトリウム)、乳化剤、充填剤(例えば、ラクトース、マンニトール)、ポリマー、例えば、 ポリエチレングリコールのタンパク質に対する共有結合、ポリマー化合物、例えば、 ポリ乳酸、ポリグリコール酸等の粒状組成物またはリポソームにおける物質の組込み、それぞれの処置に好適な補助剤および/または担体物質である。かかる組成物は本発明の糖タンパク質の、物理的状態、安定性、インビボ 遊離速度およびインビボ 排出速度に影響を与える。
本発明はまた、サンプル中におけるβ1,3-ガラクトース転移酵素をコードするDNA 分子を選択する方法を提供し、ここで、β1,3-ガラクトース転移酵素をコードするDNA 分子と結合する本発明の標識化DNA 分子がサンプルと混合される。ハイブリダイズした DNA 分子は、検出、定量および選択されうる。標識化DNA 分子が ハイブリダイズしうる一本鎖 DNAを含むサンプルについては、サンプルは例えば加熱により変性される。
アッセイすべきDNAをおそらくはエンドヌクレアーゼの添加の後に分離する1つの可能な方法は、アガロースゲルでのゲル電気泳動による。ニトロセルロース膜にトランスファーされた後、対応する 相同的 DNA 分子にハイブリダイズする本発明の標識化DNA 分子が混合される(「サザンブロッティング」)。
もう1つの可能な方法は、本発明によるDNA 分子の配列に由来する特異的および/または 縮重プライマーを用いてPCRに依存する方法によってその他の種から相同的遺伝子をみいだすことにある。
好ましくは、上記の本発明の方法のためのサンプルは植物生物のゲノム DNAを含む。この方法により、多数の植物が非常に迅速且つ効率的に、β1,3-ガラクトース転移酵素遺伝子の存在についてアッセイされる。このようにして、それぞれ、この遺伝子を含まない植物を選択することが可能であり、または、この遺伝子を含む植物におけるβ1,3-ガラクトース転移酵素の発現を、本発明の上記の 方法によってそれぞれ抑制または完全に阻止することが可能であり、その結果、それらは(ヒト) 糖タンパク質のトランスフェクションおよび産生に利用することが出来る。
本発明はまた、2つの上記の方法にしたがって選択され、次いでサンプルから単離されたβ1,3-ガラクトース転移酵素をコードするDNA 分子にも関する。これら分子はさらなるアッセイのために利用できる。それらは配列決定され得、そして、β1,3-ガラクトース転移酵素を見いだすためのDNA プローブとしてまた利用できる。それらが単離された生物に関連する標識化DNA 分子は、本発明のDNA 分子よりもプローブとしてより有効に生物のために機能する。
本発明はまた、ヒトおよびその他の脊椎動物の糖タンパク質の「植物化された(plantified)」炭水化物単位を調製する方法にも関し、ここでフコース 単位および上記の DNA 分子によってコードされるβ1,3ガラクトース転移酵素が、それぞれ炭水化物単位または糖タンパク質を含むサンプルに混合され、β1,3-位置におけるガラクトースは、β1,3ガラクトース転移酵素によって炭水化物単位または糖タンパク質にそれぞれ結合される。β1,3ガラクトース転移酵素をクローニングするための本発明の方法によって、大量の精製酵素を産生することが可能である。完全に活性の転移酵素を得るための、好適な反応条件が提供される。
本発明をさらに詳細に以下の実施例および図面によって説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
図1は、β1,3-GalTのアミノ酸 アラインメントを示す。β1,3-ガラクトース転移酵素の7つの保存されたドメインは太字で示す。保存されたアミノ酸残基は星印で示す。ヒトからの参照配列(CAA75344、ヒトからのβ1,3-ガラクトース転移酵素)による類似性は以下のように予測される: BAD17812 (イネからの推定 β1,3-ガラクトース転移酵素) = 17%; NP 174003 (シロイヌナズナからの推定 β1,3-ガラクトース転移酵素) = 16%; PpGalT1 (ニセツリガネゴケからのβ1,3-ガラクトース転移酵素 1) = 15%; PpGalT2 (ニセツリガネゴケからのβ1,3-ガラクトース転移酵素 2) = 16%; 図2は、ニセツリガネゴケからのβ1,3-ガラクトース転移酵素 1 遺伝子のコードDNA 配列から予測されるタンパク質 配列を示す。膜貫通ドメインは太字で示す;および、 図3は、ニセツリガネゴケからのβ1,3-ガラクトース転移酵素 2 遺伝子のコードDNA 配列から予測されるタンパク質 配列を示す。膜貫通ドメインは太字で示す。 図4は、ニセツリガネゴケからのβ1,3-ガラクトース転移酵素 1 遺伝子の選択的スプライシングバリアントのタンパク質 配列を示す。追加の55 アミノ酸のスプライスインサートは太字で示す。 図5は、ニセツリガネゴケ(P. patens)からのβ1,3-ガラクトース転移酵素 2 遺伝子の選択的スプライシングバリアントのタンパク質 配列を示す。追加の50 アミノ酸のスプライスインサートは太字で示す。
実施例
方法および材料
植物材料
N-グリカンのコア構造においてフコースおよびキシロース残基を欠くニセツリガネゴケの糖が操作された二重ノックアウト株を用いた(Koprivova et al. 2004 Plant Biotechnol. J. 2、517-523)。
標準的培養条件
植物を単純無機液体 改変Knop培地(1000 mg/l Ca(NO3)2 x 4H2O 250 mg/l KCl、250 mg/l KH2PO4、250 mg/l MgSO4 x 7 H2Oおよび12.5 mg/l FeSO4 X 7 H2O; pH 5.8)中で無菌条件下で無菌状態で培養した (Reski and Abel (1985) Planta 165、354-358)。植物を、200 mlの培地を含む500 mlの三角フラスコで培養し、フラスコを120 rpm に設定したCertomat R 振盪機 (B.Braun Biotech International、Germany)で振盪した。グロースチャンバー中の条件は、25 +/- 3℃であり、明暗レジメンは16:8 hであった。フラスコを上部から2つの蛍光灯(Osram L 58 W / 25)で照射した(35 μmols-1m-2)。培養を週に一回、Ultra-Turrax ホモジナイザー (IKA、Staufen、Germany)を用いて分散させ、100 mlの新鮮なKnop培地を含む新しい500 mlの三角フラスコに接種することにより継代培養した。
プロトプラスト単離
ろ過の後、コケ糸状体を0.5 M マンニトール中でプレインキュベートした。30分後、4 % Driselase (Sigma、Deisenhofen、Germany)を懸濁液に添加した。Driselaseを0.5 M マンニトール (pH 5.6-5.8)に溶解し、3600 rpmで10分遠心分離し、0.22 μmフィルター (Millex GP、Millipore Corporation、USA)を通すことにより滅菌した。1% Driselase (終濃度)を含む懸濁液を、暗黒下でRTでインキュベートし、穏やかに撹拌した(プロトプラストの最高収量は、2 時間のインキュベーションの後に達成された) (Schaefer、"Principles and protocols for the moss Physcomitrella patens"、(May 2001) Institute of Ecology、Laboratory of Plant Cell Genetics、University of Lausanne)。懸濁液をポアサイズが100 μmおよび50 μmの篩 (Wilson、CLF、Germany)にかけた。懸濁液を無菌遠心管で遠心分離し、プロトプラストを、RTで10分、 55 g (加速、3; 減速 、3; Multifuge 3 S-R、Kendro、Germany) (Schaefer、前掲)で沈降させた。プロトプラストを3M 培地(15 mM MgCl2 x 2H2O; 0.1 % MES; 0.48 M マンニトール; pH 5.6; 540 mOsm; 無菌ろ過したもの、Schaefer et al. (1991) Mol Gen Genet 226、418-424)に穏やかに再懸濁した。懸濁液を再びRTで10分、55 g (加速、3; 減速、3; Multifuge 3 S-R、Kendro、Germany)で遠心分離した。プロトプラストを、3M 培地 (15 mM MgCl2 x 2H2O; 0.1 % MES; 0.48 M マンニトール; pH 5.6; 540 mOsm; 無菌ろ過したもの、Schaefer et al. (1991) Mol Gen Genet 226、418-424)に穏やかに 再懸濁した。プロトプラストの計数のために、小容量の懸濁液をFuchs-Rosenthal-チャンバーに移した。
形質転換プロトコール
形質転換のために、プロトプラストを氷上で 暗黒下で30分インキュベートした。次いで、プロトプラストを、RTで10分、 55 g (加速、3; 減速、3; Multifuge 3 S-R、Kendro)で遠心分離することにより沈降させた。プロトプラストを3M 培地 (15 mM MgCl2 x 2H2O; 0.1 % MES; 0.48 M マンニトール; pH 5.6; 540 mOsm; 無菌ろ過したもの、Schaefer et al. (1991) Mol Gen Genet 226、418-424) に1.2 x 106 プロトプラスト/ ml の濃度(Reutter and Reski (1996) Production of a heterologous protein in bioreactor cultures of fully differentiated moss plants, Pl. Tissue culture and Biotech., 2, pp. 142-147)にて再懸濁した。25 μl のこのプロトプラスト 懸濁液を新しい無菌遠心管に分配し、5 μlのDNA 溶液 (H2O 中のカラムで精製したDNA (Qiagen、Hilden、Germany); 10-100 μl; 最適 DNA 量6 μg)を添加し、最後に25 μlのPEG-溶液 (40% PEG 4000; 0.4 M マンニトール; 0.1 M Ca(NO3)2; オートクレーブの後pH 6)を添加した。懸濁液をすみやかに、しかし穏やかに混合し、時折穏やかに混合しながら6 分、RTでインキュベートした。懸濁液を、1、2、3 および4 mlの3M 培地を添加することにより連続的に希釈した。懸濁液を 20℃で10分、 55 g (加速、3; 減速、3; Multifuge 3 S-R、Kendro)で遠心分離した。ペレットを3 mlの再生培地 (改変Knop培地; 5% グルコース; 3% マンニトール; 540 mOsm; pH 5.6-5.8)に再懸濁した。再生は、Strepp et al. (1998) Proc Natl Acad Sci USA 95,4368-4373に記載されているようにして行った。トランスジェニッククローンを分子スクリーニングにより同定した。
コケグリカンのMALDI-Tof MS
植物材料を液体培養にて培養し、ろ過により単離し、液体窒素で凍結させ、-80 ℃で保存した。材料をドライアイス下で輸送した。MALDI-TOF MS 分析は、Prof. Dr. F. Altmann、Glycobiology Division、Institut fuer Chemie、Universitaet fuer Bodenkultur、Vienna、Austriaの研究室で行った。
0.2〜0.5 gの 新鮮重のトランスジェニックニセツリガネゴケ材料をペプシンで消化した。N-グリカンを Wilson et al. (2001)に記載のように消化産物から得た。実質的には、グリカンをペプチド:N-グリコシダーゼ Aでの処理により遊離させ、DYNAMO (Thermo BioAnalysis、Santa Fe、NM)でのMALDI-TOF 質量分析により分析した。
1.β1,3-ガラクトース転移酵素をコードする遺伝子の同定
N-グリカン構造の伸長に関するヒトからの生物学的機能性の β1,3-ガラクトース転移酵素(β-1,3galT)は記載されていないが、ヒトのβ-1,3galT 2 (Acc.No: CAA75344)の配列を出発配列として選択した。Hennet (2002 Cell. Mol. Life Sci. 59、1081-1095)により記載されている7つの保存されたドメインおよびAmado et al. (1998 J. Biol. Chem. 273、12770-12778)により記載されている保存されたアミノ酸の組合せに基づいて、データベーススクリーニングを行った。この戦略により、推定 β1,3-ガラクトース転移酵素として記載されているシロイヌナズナからの1つの配列(Acc.No: NP174003) およびイネからの1つの配列(Acc.No: BAD17812) が同定された。両方の種について非常に多数の推定 β1,3-ガラクトース転移酵素のタンパク質 配列が公共のデータベースに挙げられていたが、これら2つのみが、一方で7つの保存されたドメインに対して、そして他方で高度に保存された追加のアミノ酸のいくつかに対して類似性を示した。 しかし、CAA75344と比較した場合、両方について総同一性は非常に低く、NP174003の場合16%であり、BAD17812 の場合17% であった(図1)。
3つのすべてのタンパク質配列を、ニセツリガネゴケの非公表の「発現遺伝子配列断片」(EST) データベースのスクリーニングに用いた。β1,3-ガラクトース転位酵素の7つの保存されたドメインとのいくらかの類似性を含んでいたペプチド配列をコードする発現遺伝子配列断片を同定した。この ESTを、クローニングの目的およびニセツリガネゴケのゲノム配列を含むデータベースのベータ 1,3-ガラクトース転移酵素遺伝子ファミリーに関するさらなるスクリーニングのためのプライマーの設計に用いた。
その結果得られた配列は、イントロンおよびエキソン 配列および遺伝子構造 (配列番号1および配列番号3に対応するβ-1,3galT 1および配列番号2 および配列番号4に対応するβ-1,3galT 2)を含む2つの推定 β1,3-ガラクトース転移酵素遺伝子を含んでいた。オープンリーディングフレーム(β1,3-GalT 1 (図2)およびβ1,3-GalT 2 (図3))から予測された タンパク質 配列は、膜貫通ドメイン、7つの保存されたドメインおよび多数の保存されたアミノ酸を含んでいた(図1)。
1.1ニセツリガネゴケからのβ1,3-ガラクトース転移酵素 1 遺伝子のコード配列のクローニング
ニセツリガネゴケからのβ1,3-ガラクトース転移酵素 をコードするヌクレオチド配列の増幅(配列番号1:
Figure 2010504741
Figure 2010504741
Figure 2010504741

開始および終止コドンは太字で示す)を、cDNAおよびプライマーMOB1251、(配列番号5: 5´- CTGAATATCCGTGGCCAA -3´)およびプライマー MOB 1410 (配列番号6: 5´- TTCGAGCTCATGAAGAGGGGGTCGAGACT -3’)を用いてPCRによって行った。増幅産物をSac IおよびMsc Iで消化し、Sac I/Sma Iで消化したベクター pRT101 (Toepfer et al. 1987 NAR 15、5890)にクローニングした。クローニングした配列を配列決定により確証した。
1.2 ニセツリガネゴケからのβ1,3-ガラクトース転移酵素 2 遺伝子のコード配列のクローニング
ニセツリガネゴケからのβ1,3-ガラクトース転移酵素をコードするヌクレオチド配列の増幅(配列番号2:
Figure 2010504741
Figure 2010504741
開始および終止コドンを太字で示す)をcDNAおよびプライマー Ppβ1-3 GalT2 for (配列番号7: 5´- TACGAGCTCATGAAGAGGGGTGTGAGACC -3´)およびプライマー Ppβ1-3GalT2 rev (配列番号8: 5´- GTAGAGCTCTCACAAGGTGCAGCACTTG -3’)を用いてPCRによって行った。増幅産物をSac Iで消化し、Sac I消化したベクター pRT101 (Toepfer et al. 1987 NAR 15、5890)にクローニングした。クローニングした配列を配列決定により確証した。
2.1ニセツリガネゴケからのβ1,3-ガラクトース転移酵素 1 遺伝子のノックアウトコンストラクトの作成
ニセツリガネゴケのβ1,3-ガラクトース転移酵素 1 遺伝子の標的化遺伝子破壊のためのノックアウトコンストラクトを、ニセツリガネゴケからのゲノム DNAを用いるPCRによって作成した。1つのPCRにおいて、プライマー MOB1336 (配列番号9: 5´- TACGGATCCAACTTCGAGTTCGTGTCTGTA -3´)およびプライマー MOB1333 (配列番号10: 5´- ACACTAAGCTTCTAATCAATGTCCGGAAGTGAG -3´)を用いてノックアウトコンストラクトの5’部分を増幅した。第2のPCRにおいて、プライマー MOB1334 (配列番号11: 5´- TTAGAAGCTTAGTGTACGCTGAGTGTCTACATTG -3´)およびプライマー MOB1335 (配列番号12: 5´- CATTGTCGACCCTACACAGCTCTTAACGTCTAC -3´)を用いてノックアウトコンストラクトの3’部分を増幅した。両方の増幅したコンストラクトをHin dIII (制限部位をプライマー 配列MOB1333およびMOB1334 において下線で示す)で消化し、T4 DNAリガーゼを用いる次のライゲーション反応においてライゲーションした。その結果得られたライゲーションされ精製されたDNA 配列をプライマー MOB1336およびMOB1335を用いるさらなるPCRのための鋳型として用いた。その結果得られた 増幅産物 β1-3GalT1ko (配列番号13:
Figure 2010504741
Figure 2010504741

Hin dIII 制限部位を太字で示す)は、ニセツリガネゴケのβ1,3-ガラクトース転移酵素遺伝子 1 のゲノム 配列に関して270 bpの欠失を含んでおり、さらに対応する cDNAの初期の5’部分における終止コドンをもたらす。したがって、その結果、ニセツリガネゴケのゲノムへと相同的 組換えによって組み込まれた場合に機能不全の β1,3-ガラクトース転移酵素遺伝子が得られる。このノックアウトコンストラクトを単独でまたはノックアウトコンストラクト β1-3GalT2ko (2.2参照) と組合せてニセツリガネゴケの形質転換に用いた。
推定される形質転換植物のスクリーニングを適当なプライマーの組合せを用いるPCRによって行った。
2.2ニセツリガネゴケからのβ1,3-ガラクトース転移酵素 2 遺伝子のノックアウトコンストラクトの作成
ニセツリガネゴケのβ1,3-ガラクトース転移酵素 2 遺伝子の標的化遺伝子破壊のためのノックアウトコンストラクトを、ニセツリガネゴケからのゲノム DNAを用いるPCRによって作成した。1つのPCRにおいて、プライマー MOB1339 (配列番号14: 5´- TGGCACGATACAGTGGCATGA -3´)およびプライマー MOB1337 (配列番号15: 5´- TGGAATTCATTCAAGAAACGGTGGGATGA -3´)を用いてノックアウトコンストラクトの5’部分を増幅した。第2のPCRにおいて、プライマー MOB1338 (配列番号16: 5´- TGAATTCCATAACGAAGACACCGTCTA -3´) およびプライマー MOB1313 (配列番号17: 5´- CAAGCAGCGGAGACCTTGCAATGC -3´)を用いてノックアウトコンストラクトの3’部分を増幅した。両方の増幅したコンストラクトをEco RI (制限部位をプライマー 配列 MOB1337 およびMOB1338において 下線で示す)で消化し、T4 DNAリガーゼを用いる次のライゲーション反応においてライゲーションした。その結果得られたラーゲーションされ、精製されたDNA 配列を、プライマー MOB1339 および MOB1313を用いるさらなるPCRのための鋳型として用いた。その結果得られた増幅産物 β1-3GalT2ko (配列番号18:
Figure 2010504741
Figure 2010504741
Eco RI 制限部位を太字で示す)は、ニセツリガネゴケのβ1,3-ガラクトース転移酵素 2 遺伝子のゲノム 配列 に関して148 bpの欠失を含んでおり、対応する cDNAの初期5’部分においてさらなる終止コドンをもたらした。したがって、ニセツリガネゴケのゲノムに相同的 組換えを介して組み込まれた場合に機能不全の β1,3-ガラクトース転移酵素遺伝子が得られた。このノックアウトコンストラクトを単独でまたはノックアウトコンストラクト β1-3GalT1ko (2.1参照)と組合せてニセツリガネゴケの形質転換に用いた。
推定される形質転換植物のスクリーニングを適当な プライマー 組合せを用いるPCRによって行った。
3. MALDI-TOF 質量分析
植物特異的 コア α1,3 フコース およびβ1,2 キシロース 残基を欠く糖が操作された ニセツリガネゴケ系統のN-グリカン(本実施例において対照として用いた)は、Koprivova et al. 2004 Plant Biotechnol. J. 2、517-523に記載のようにこれらの系統においてプロセシングされた植物 N-グリカンの典型的な構造的特徴を示す;即ち、Asn-結合GlcNAcに対するα1,3-結合におけるフコースの非存在、および、βマンノシル残基、非還元末端要素としてのルイスA エピトープ(GlcNAcに結合するα1,4-フコシルおよびβ1,3-ガラクトシル 残基) に対するβ1,2-結合におけるキシロースの非存在(表1)。一方、ルイスA エピトープ(GlcNAcに結合したα1,4-フコシルおよびβ1,3-ガラクトシル 残基)は、β1,3-ガラクトース転移酵素 1およびβ1,3-ガラクトース転移酵素 2 遺伝子の両方の標的化遺伝子破壊をさらに含む糖が操作された ニセツリガネゴケ系統から単離されたN-グリカンにおいて検出されなかった。
Figure 2010504741
表1:二重ノックアウトおよび四重ノックアウト ニセツリガネゴケ系統のN-グリカン構造。N-グリカンを同じ条件で生育させた植物材料から単離した(100 ml フラスコ、Knop 培地) 残基、GF = フコース およびガラクトース (β1,3-結合)を含むルイスA 構造、Gn = N-アセチルグルコサミン、M/Man = マンノース
配列番号1
cDNA β1-3GalT1
Figure 2010504741
Figure 2010504741
配列番号2
cDNA Ppβ1-3GalT2
Figure 2010504741
Figure 2010504741
配列番号3
ゲノム DNA β1-3GalT1
Figure 2010504741
Figure 2010504741
Figure 2010504741
配列番号4
ゲノム DNA Ppβ1-3GalT2
Figure 2010504741
Figure 2010504741
Figure 2010504741
配列番号24
cDNA β1,3-GalT1 選択的スプライシングバリアント
165 ヌクレオチド スプライスインサートは太字で示す(nt471-635)
Figure 2010504741
Figure 2010504741
配列番号25
cDNA β1,3-GalT2 選択的スプライシングバリアント
150 ヌクレオチド スプライスインサートは太字で示す (nt151-300)
Figure 2010504741
Figure 2010504741

Claims (32)

  1. 以下を含むことを特徴とするDNA 分子
    塩基対 513 から塩基対 2417のオープンリーディングフレームを有する配列番号1の配列、
    塩基対 1 から塩基対 1902のオープンリーディングフレームを有する配列番号2の配列、
    塩基対 321 から塩基対 2387のオープンリーディングフレームを有する配列番号24の配列、または、
    塩基対 1から2052のオープンリーディングフレームを有する配列番号25の配列、または
    上記配列の少なくとも1つと少なくとも 50%の同一性を有する配列、または、遺伝暗号により上記配列と縮重している配列であって、β1,3-ガラクトース転移酵素活性 (β1,3-GalT 活性) を有する植物タンパク質をコードしている配列、または、
    それらに相補的な配列。
  2. 配列番号1、配列番号2、配列番号24または配列番号25のいずれかの配列 と少なくとも 20%の総同一性を有し、かつ、以下をコードする配列番号1または配列番号2の7つの保存されたドメインの配列と少なくとも 80%の同一性を有する配列を含むDNA 分子:
    配列番号19または配列番号20のタンパク質のアミノ酸387-392 (DLFIGIまたはELFVGI)、402-409 (RMAVRKTW)、425-428 (FVAL)、455-465 (DRYDIVVLKTV)、479-489 (YIMKCDDDTFVまたはHVMKCDDDTFV)、536-548 (YPIYANGPGYILS またはYPTYANGPGYILS) および570-576 (EDVSVGI)、または
    遺伝暗号により上記配列と縮重している配列であって、β1,3-ガラクトース転移酵素活性を有する植物タンパク質をコードする配列またはそれに相補的な配列を含むDNA 分子。
  3. 配列番号1、配列番号2、配列番号24または配列番号25のいずれかの配列 と少なくとも 20%の総同一性を有する配列であって、かつ、以下から選択される配列番号1または配列番号2の7つの保存されたドメインの保存されたアミノ酸の少なくとも 95%をコードする配列を含むDNA 分子:配列番号19または配列番号20のタンパク質のアミノ酸 388 (L)、402 (R)、404 (A)、406 (R)、408 (T)、409 (W)、425 (F)、455 (D)、457 (Y)、463 (K)、464 (T)、481 (M)、482 (K)、484 (D)、486 (D)、488 (F)、489 (V)、536 (Y)、537 (P)、542 (G)、544 (G)、545 (Y)、548 (S)、570 (E)、571 (D)、572 (V)、575 (G) および576 (I)、または、
    遺伝暗号により上記配列と縮重している配列であって、β1,3-ガラクトース転移酵素活性を有する植物タンパク質をコードする配列またはそれに相補的な配列を含むDNA 分子。
  4. GlcNAc-β1,3-ガラクトース転移酵素活性を有するタンパク質をコードすることを特徴とする請求項1から3のいずれかのDNA 分子。
  5. ガラクトースのUDP-ガラクトースから非還元 GlcNAc 残基への転移に関する活性を有するタンパク質をコードすることを特徴とする請求項1から4のいずれかのDNA 分子。
  6. ガラクトースのUDP-ガラクトースからタンパク質に結合したN-グリカン構造の非還元 GlcNAc 残基への転移に関する活性を有するタンパク質をコードすることを特徴とする請求項1から5のいずれかのDNA 分子。
  7. 配列番号1、配列番号2、配列番号24または配列番号25のいずれかの配列の1つと少なくとも 70%、好ましくは 少なくとも 80%、特に 少なくとも 90%の同一性を有するか、または遺伝暗号によりそれと縮重しているか、またはそれと相補的であることを特徴とする、請求項1から 6のいずれかのDNA 分子。
  8. 塩基対 513 から塩基対 2417のオープンリーディングフレームを有する配列番号1の配列、または、塩基対 1 から塩基対 1902のオープンリーディングフレームを有する配列番号2の配列を含むか、または上記配列の少なくとも1つと少なくとも 50%の同一性を有するか、または遺伝暗号により上記配列と縮重している配列を含む、請求項1から7のいずれかのDNA 分子であって、該配列がβ1,3-ガラクトース転移酵素活性 (β1,3-GalT 活性)を有する植物タンパク質をコードするかまたはそれに相補的であるDNA 分子。
  9. 請求項1から8のいずれかのDNA 分子の部分配列を含み、かつ、配列番号1、配列番号2、配列番号24または配列番号25のいずれかの配列と少なくとも 80%の同一性を有するDNA 分子またはそれに相補的なDNA 分子であって、15から300、好ましくは 20から50 塩基対のサイズを有するDNA 分子。
  10. 検出可能マーカー物質と共有結合していることを特徴とする請求項1から9のいずれかのDNA 分子。
  11. 請求項1から10のいずれかのDNA 分子を含むことを特徴とする発現ベクター。
  12. プロモーターと逆に方向づけられている請求項1から10のいずれかのDNA 分子を含むことを特徴とする発現ベクター。
  13. リボザイムをコードするDNA 分子であって、2つの配列部分を有し、そのそれぞれが少なくとも 10から15 塩基対の長さであり、請求項1から10のいずれかのDNA 分子の配列部分と相補的であり、それにより該リボザイムが、天然 β1,3-GalT 分子によって転写されたmRNAと複合体を形成し、それを切断することを特徴とするDNA 分子。
  14. 請求項 13のDNA 分子を含むことを特徴とする生物学的に機能性の ベクター。
  15. β1,3-ガラクトース転移酵素をクローニングする方法であって、請求項1から8のいずれかのDNA 分子がベクターへとクローニングされ、次いで宿主細胞、宿主組織 または宿主にトランスフェクトされ、細胞株が トランスフェクトされた宿主細胞の選択および増幅により得られ、その細胞株が活性の β1,3ガラクトース転移酵素を発現することを特徴とする方法。
  16. β1,3-ガラクトース転移酵素をクローニングする方法であって、請求項1から8のいずれかのDNA 分子であるが、少なくとも膜貫通コード配列を欠くDNA 分子がベクターにクローニングされ、次いで宿主細胞、宿主組織 または宿主にトランスフェクトされ、細胞株がトランスフェクトされた宿主細胞の選択および増幅により得られ、該細胞株が活性の β1,3ガラクトース転移酵素を発現することを特徴とする方法。
  17. 請求項 15または16の方法によって発現されたタンパク質であって、β1,3-ガラクトース転移酵素に関して活性であり、糖タンパク質のN-グリカンの インビトロまたはインビボでの伸長に用いられることを特徴とするタンパク質。
  18. 請求項1 から8のいずれかの配列の膜貫通ドメインをコードするDNA 配列であって、コードされる膜貫通ドメインが、異種タンパク質、特に 好ましくは酵素、より特に好まくはタンパク質の翻訳後修飾に関与する酵素に作動可能に連結していることを特徴とするDNA 配列。
  19. 配列番号3または配列番号4の核酸配列を有する分子を含むDNA ベクター。
  20. それぞれβ1,3-ガラクトース転移酵素の産生が抑制されているかまたは完全に停止されている組換え宿主細胞、特に 植物細胞または植物を、それぞれ調製する方法であって、、請求項11、12、14または19のベクターの少なくとも1つ、または、請求項1から 7のいずれかのDNA 分子を含むベクターが、該宿主細胞または植物にそれぞれ挿入され、該 DNA 分子が欠失、挿入および/または置換 突然変異を含むことを特徴とする方法。
  21. 組換え宿主細胞、特に 植物細胞または植物をそれぞれ調製する方法であって、請求項1から10のいずれかのDNA 分子が、該宿主細胞または植物のゲノムに、それぞれ、非突然変異、相同的配列の位置にて挿入され、該 DNA 分子が欠失、挿入および/または置換 突然変異を含むことを特徴とする方法。
  22. 請求項 11、12、14または19のベクターの少なくとも1つ、または、請求項1から10のいずれかのDNA 分子を含むベクターをそれぞれ含む組換え植物または植物細胞であって、該 DNA 分子が欠失、挿入および/または置換 突然変異を含み、その内在性 β1,3-ガラクトース転移酵素産生がそれぞれ抑制または完全に停止されていることを特徴とする、組換え植物または植物細胞。
  23. 請求項1から10のいずれかのDNA 分子を含む組換え植物または植物細胞であって、該 DNA 分子が細胞または植物のゲノムにおいて、それぞれ非突然変異、相同的配列の部位において欠失、挿入および/または置換 突然変異を含み、その内在性 β1,3-ガラクトース転移酵素産生がそれぞれ抑制または完全に停止されていることを特徴とする、組換え植物または植物細胞。
  24. β1,3-ガラクトース転移酵素をコードする請求項1から 9のいずれかのDNA 分子の配列に相補的な塩基配列を含むことを特徴とするペプチド核酸 (PNA) 分子。
  25. β1,3-ガラクトース転移酵素をコードする請求項1から 9のいずれかのDNA 分子の配列に対応する塩基配列を含むことを特徴とするペプチド核酸 (PNA) 分子。
  26. 転写または翻訳レベルにて、それぞれβ1,3-ガラクトース転移酵素の発現が阻止されている植物または細胞、特に 植物細胞をそれぞれ生産する方法であって、請求項 24または25のPNA 分子が細胞に挿入されることを特徴とする方法。
  27. 転写または翻訳レベルにて、それぞれβ1,3-ガラクトース転移酵素の発現が阻止されている、 請求項 22または 23のそれぞれ組換え植物、植物細胞または植物組織、または、請求項 24または25 のPNA 分子がそれぞれ挿入された植物、植物組織または細胞が、糖タンパク質をコードする遺伝子によりトランスフェクトされ、それにより組換え糖タンパク質が発現されることを特徴とする組換え糖タンパク質の生産方法。
  28. 組換えヒト糖タンパク質を生産する方法であって、それぞれ転写または翻訳レベルにてβ1,3-ガラクトース転移酵素の発現が阻止されているそれぞれ請求項 22または23の組換え植物、植物細胞または植物組織、またはそれぞれ請求項 24または25のPNA 分子が 挿入された植物、植物組織または細胞を、糖タンパク質をコードする遺伝子によりトランスフェクトし、それにより組換え糖タンパク質を発現させることを特徴とする方法。
  29. 医学的用途のための組換え ヒト 糖タンパク質の生産方法であって、転写または翻訳レベルにてβ1,3-ガラクトース転移酵素の発現が阻止されている、それぞれ請求項 22 または23の組換え植物、植物細胞または植物組織または 、請求項 24または25のPNA 分子 がそれぞれ挿入されている植物、植物組織または細胞を、糖タンパク質をコードする遺伝子によりトランスフェクトし、それにより組換え糖タンパク質を発現させることを特徴とする方法。
  30. 請求項 15 または16によってクローニングされた活性の β1,3-ガラクトース転移酵素を用いて糖タンパク質のN-グリカンをインビトロまたはインビボで伸長させることを含む、N-グリカンを有する糖タンパク質の生産方法。
  31. サンプルにおけるβ1,3-ガラクトース転移酵素をコードするDNA 分子を選択する方法であって、請求項 10のDNA 分子が該 サンプルに添加され、該分子が β1,3-ガラクトース転移酵素をコードするDNA 分子に結合することを特徴とする方法。
  32. 該 サンプルが植物生物のゲノム DNAを含むことを特徴とする請求項 31の方法。
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