JP2010504384A - 流失抵抗性を有する疎水及び疎油性メラミン樹脂フォーム - Google Patents
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Abstract
連続気泡型メラミン樹脂フォームの気泡形成材料の表面を、フルオロカーボン樹脂及び変性ポリイソシアネートの混合物で全体的又は部分的にコーティングする。本発明はさらにこのフォームの製造方法及び使用方法に関する。
【選択図】なし
【選択図】なし
Description
本発明は、連続気泡メラミン−ホルムアルデヒド樹脂フォーム(略してメラミン樹脂フォーム)の気泡形成部材(気泡足場(cell scaffold))が、疎水化剤及び疎油化剤であるフルオロカーボン樹脂及び変性ポリイソシアネートの混合物によりコーティングされた当該フォームに関する。
メラミン−ホルムアルデヒド重縮合プラスチックから作られた連続気泡フォームは優れた吸音性及び断熱性を有する。これらの発泡したプラスチック即ちプラスチックフォームはまた防火性及び高耐熱性を有することで有名である。その低密度により魅力的な各種性質を完全なものとされる。
従って、このようなメラミン−ホルムアルデヒド重縮合プラスチックから形成された連続気泡型フォーム(略してメラミン樹脂フォーム)は、騒音の減少及び/又は省エネルギーの目的で建築物や輸送に使用されている。
特に、輸送(例えば自動車構造、鉄道車両、造船)での使用においては、メラミン樹脂フォームと液状媒体(例えば潤滑油、雨水又は結露)との接触が起こる。同様に、騒音を軽減するためにメラミン樹脂フォームが使用されているエンジンテストスタンド及び機械のエンクロージャにおいては、液状媒体の汚染が起こり得る。
このフォームの連続気泡構造及び基材であるメラミン樹脂の吸収特性のため、メラミン樹脂フォームは多量の液体を吸収することができる。水との直接接触においては、メラミン樹脂フォームは例えばクリーニングスポンジと同じように飽和する。その水吸収は90容量%を超える。同じことはエンジンオイルに接触した場合にも言えるが、その高粘度性のため吸収は幾分少ない。例えばSAE粘度分類が10Wのエンジンオイルとの直接接触では、オイルの吸収は約80容量%であることがわかった。
液体の吸収により、吸音性と断熱性は変化する。すなわち、吸音性能が低下し、特に1000Hzを超える高周波数において低下する。また断熱性は、吸収された液状媒体の熱伝導率の値の相違により影響を受ける。そしてこれらの性質は通常、非汚染メラミン樹脂フォームの性質より少し劣る。
液体の吸収を減少させるために、発泡したプラスチック即ちプラスチックフォームを撥水・撥油性にするのに適当な化学物質に含浸させることができる。
例えば、連続気泡メラミン樹脂フォームの疎油化は特許文献1(US6607817B1)及び特許文献2(DE10011388A1)に記載されている。規定された疎油化剤はフルオロカーボン樹脂であり、これは疎水性だけでなく撥油効果も有する。
DE10011388A1では、連続気泡メラミン樹脂フォームを撥水、撥油性にするために、Rotta社のDipolit(登録商標)480フルオロカーボン樹脂を利用している。Dipolit480を水で希釈し、湿式含浸により施される。このエマルジョンの固形分含有量を0.1〜20%、好ましくは0.2〜2%とすることにより、優れた撥水撥油効果を達成することができる。
このように、密度が9g/lであるBasotect(登録商標)を、固形分含有量が0.2質量%のDipolit(登録商標)480エマルジョンに含浸させ、20℃より高い温度、好ましくは120〜160℃で乾燥させた後に行った150分以上の浮動試験において、水吸収は約99容量%から約0.07容量%まで減少する。これらの試験は寸法が100×100×20mmのBasotectサンプルを使用し行った。このサンプルをDipolit480エマルジョンに完全に浸漬し、余剰の液体はその後に2ロールスタンドで圧搾除去した。油吸収は上述した含浸効果により約80容量%から約0.1容量%まで減少する。
フルオロカーボンのみでコーティングすることによる重大な不利は、コーティングが水のような液状媒体により容易に流失されることである。特に車両や航空機の構造において、疎水・疎油化されたメラミン樹脂フォームの表面が水飛沫や結露水と接触する場合に、この問題は生じる。例えば、Basotect(登録商標)メラミン樹脂フォームが自動車のエンジンルームの防音に使用され、その場合環境によっては水飛沫にさらされる。メラミン樹脂フォームが客室の耐熱・防音に使用されている航空機の構造についても同じことが言える。同様に、メラミン樹脂フォームが屋内プールや船舶内の吸音材として使用される場合、水飛沫にさらされることが起こり易い。
このフォームへの水の暴露により、通常は疎水・疎油化保護層が流失する。その結果、水の再暴露を止める手段はなくなる。フォームと接触する水は期待される吸音性及び断熱性を崩壊し得る。
加圧水を用いた5分間の洗浄試験(flushing test)により、疎水性の著しい悪化や損失の発生が示されている。上述(固形分含有量が0.2質量%であるという箇所)した方法で、フルオロカーボン樹脂の樹脂分散液で含浸した密度が9〜10g/lのメラミン樹脂サンプルは、水と接触した部分についてはもはや疎水性ではなくなった。乾燥状態に戻した後に行われた水滴試験によれば、含浸処理されていないメラミン樹脂フォームと同様に、水滴が当該フォームに自由に浸透できることが明らかにされている。
本発明の目的は、液状媒体との接触に対して、高い流失抵抗性を有する疎水及び疎油性コーティングを備えたメラミン樹脂フォームを提供することである。
本発明者等は、この目的が、a)フルオロカーボン樹脂及びb)変性ポリイソシアネートからなる疎水及び疎油化混合物を利用することにより達成されることを見出した。
成分bとして有用な変性ポリイソシアネートとしては、例えばb1親水性化ポリイソシアネート及びb2非イオン(nonionogenic)性ポリウレタン(例、特にEvo Gard XL(ダイスター社製;Rotta社のRotal(登録商標)444に相当する))が挙げられる。
有用なポリイソシアネートとしては、特に、トリレン-2,4-ジイソシアネート、トリレン-2,6-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート、さらに他の芳香族又は脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。
変性とは特にイソシアネートの親水化の意味として理解されており、ポリイソシアネートと、ポリエーテル、脂肪酸、シラン、アミノエタンスルホン酸、ウレタン(アロファネート変性)又はポリオール(非イオン性ポリウレタン)との反応により得られる。遊離イソシアネート基を有する変性ポリイソシアネートを得るために、変性ポリイソシアネートは、通常、モル過剰のジイソシアネート用いて製造される。これらの遊離イソシアネート基は少なくとも一部がブロックされていることが好ましい。このイソシアネート基は、酸性水素原子を有する化合物を用いてブロックすることができる。有用なブロック剤としては、ジメチルピラゾール、ジアセチル、カプロラクタムや、置換又は非置換のフェノールが挙げられる。特に好ましいブロック剤として、ケトンオキシム類が挙げられ、具体的にはブタノンオキシム、アセトンオキシム又はメチルイソブチルケトンオキシムが挙げられる。変性ポリイソシアネートの製法は文献に記載されている。
代表的な例はEvo Gard XL(ダイスター社製、Rotta社のRotal(登録商標)444に相当する)である。これはフルオロカーボン樹脂と均一に混合することができ、従来の方式(すなわち噴霧や浸漬による湿式含浸又はフォームへの塗布)を利用することができる。
成分a として有用なフルオロカーボン樹脂として、メタクリル酸、ポリ(メス)アクリル酸、リン酸、又はC1〜C6脂肪酸、あるいはC3〜C6アルカンジカルボン酸の、部分的又は完全にフッ素化したC1〜C10エステルが挙げられる。このエステル及び/又はアルコール成分のアルキル基は全フッ素置換されていることが好ましい。例えば、Evo(登録商標) Gard FCS(DyStar社製、Rotta社のDipolit (登録商標)CS 973802に相当する)やEvo(登録商標) Gard FSU(DyStar社製、Rotta社のDipolit(登録商標) CS 480に相当する)である。
本発明のメラミン樹脂フォームの疎水化及び疎油化については、成分a(0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜2質量%)及び成分b(0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜2質量%)を含む含浸水溶液でこのフォームを含浸することにより実施するのが好ましい。特に好ましくは下記の組成物I(固形分の割合を質量%で表示)の含浸液である。
a)フルオロカーボン樹脂(Evo Gard FCS) 0.5質量%
b)変性ポリイソシアネート(Evo Gard XL) 0.5質量%
水 99.0質量%
a)フルオロカーボン樹脂(Evo Gard FCS) 0.5質量%
b)変性ポリイソシアネート(Evo Gard XL) 0.5質量%
水 99.0質量%
これと同一の又は適宜別の混合比で、同一の又は別の固形分を使用した同様の含浸液を用いてももちろん有効である。ケトン、アルコール又はエステルのような他の溶媒も適当ではあるが、水性含浸液を使用するのが好ましい。溶媒は水との混合物として使用することもできる。また蒸留水として水を使用することもできる。特に、均一な含浸液は蒸留水を用いることで得られることが確認された。
コーティングされた状態のフォームは、コーティング成分a及びbのそれぞれが、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%で構成される。通常、2つの成分a及びbはほぼ等量モルで使用される。質量ベースで成分aの4〜10倍の過剰量でコーティングされたサンプルを用いることで良好な流失抵抗性が得られる。
含浸液Iで含浸されたフォームは、高い流失抵抗性を有することが明らかとなった。
a)フルオロカーボン樹脂(Evo Gard FCS) 0.5質量%
b)変性ポリイソシアネート(Evo Gard XL) 0.5質量%
水 99.0質量%
a)フルオロカーボン樹脂(Evo Gard FCS) 0.5質量%
b)変性ポリイソシアネート(Evo Gard XL) 0.5質量%
水 99.0質量%
エンベロープ密度が6g/lであり、寸法が200×150×20mmの浸漬含浸した超軽量Basotectサンプルを、2ロールスタンドで最初の高さである20mmの5%未満に圧縮し、その後に、質量を一定とするため、循環型空気オーブン内で160℃で乾燥させた。
その後、簡潔な流失試験を行い、サンプルを乾燥させた。そのために、含浸したサンプルを水槽に入れた。その水の深さは10cmである。疎水・疎油性サンプルを水槽の底に沈め、サンプルの中に封じ込めた全ての空気が外に逃げられる程度に圧縮した。水槽から取り出した後に、サンプルから水が滴り落ちなくなるまで、再度機械圧縮した。この洗浄工程を10回連続で行った。後に、サンプルの質量を一定にするため160℃で乾燥状態に戻した。最終の短時間浸漬試験では、水吸収は0.9容量%となり、流失していない参考サンプルの水準に一致した。短時間浸漬試験では、サンプルを金属グリッドを用いて水面下に押した。浸漬の深さは13cmであり、浸漬時間は15分であった。水吸収及び浮力に関連する変化によるサンプルの質量変化を記録するため天秤を用いた。
[比較例]
比較試験において、99質量%の水及び1質量%のEvo Gard FCSからなる含浸液(Evo Gard XLは含まれていない)にフォームを実施例1と同様の方法で含浸した。流失試験及び短時間浸漬試験を実施例1のように行った。比較例2のフォームの水吸収は1.2容量%であった。これは実施例1と比べ33%高い値に相当する。
比較試験において、99質量%の水及び1質量%のEvo Gard FCSからなる含浸液(Evo Gard XLは含まれていない)にフォームを実施例1と同様の方法で含浸した。流失試験及び短時間浸漬試験を実施例1のように行った。比較例2のフォームの水吸収は1.2容量%であった。これは実施例1と比べ33%高い値に相当する。
上述した実施例・比較例で明らかにしたように、コーティングされたメラミン樹脂フォームの流失挙動は、本発明のコーティングによって決定的に改善された。疎水・疎油性メラミン樹脂を関連用途において同様にストレスのかかる状況下で使用すると、安全性、一貫性及び確実性が増大する。
Claims (6)
- メラミン樹脂フォームの気泡形成部材の表面が、
a)フルオロカーボン樹脂と、
b)変性ポリイソシアネート
からなる混合物で全体的又は部分的にコーティングされた当該メラミン樹脂フォーム。 - 前記コーティングされたフォームが、0.01〜10質量%のフルオロカーボン樹脂及び0.01〜10質量%の変性ポリイソシアネートを含む請求項1に記載のメラミン樹脂フォーム。
- 前記変性ポリイソシアネートが非イオン性ポリウレタンである請求項1に記載のメラミン樹脂フォーム。
- 前記フォームを、フルオロカーボン樹脂の及び変性ポリイソシアネートの水性分散液で噴霧又は浸漬し、余剰の液体を圧搾除去し、更に前記フォームを120〜200℃で乾燥させる工程を含む請求項1〜3に記載のフォームの製造方法。
- 前記分散液のフルオロカーボン樹脂及び変性ポリイソシアネートのそれぞれの固形分含有量が0.1〜10質量%である請求項4に記載の方法。
- 自動車、鉄道、船舶及び航空機の製造、並びに航空宇宙産業における、請求項1〜3に記載のフォームの吸音及び断熱のための使用方法。
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