JP2010503306A - 遮蔽デバイス用アンテナ - Google Patents

Abstract

導電性ケーシング及びこのケーシング内に収納された無線デバイスを有する器具。１対の電線が無線デバイスからケーシングに設けられた開口部まで延びており、電線のうち少なくとも一本は、信号を無線デバイスに送受する。１対の電線は、開口部を通って延び、ケーシングの内部では伝送線路として機能し、ケーシングの外部ではアンテナの状態に形成されるよう構成されている。一実施形態では、電線のうち一方は、接地線であり、他方は、信号線であり、接地線は、ケーシングの外部で終端し、信号線は、モノポールアンテナを形成するよう延びている。別の実施形態では、両方の電線は、信号を送り、平衡伝送線路として機能し、ケーシングの外部では、電線は、互いに分離されてダイポールアンテナを形成している。

Description

本発明は、遮蔽デバイス、即ち導電性ケーシング内に設けられた無線デバイス用のアンテナの提供に関する。導電性ケーシングは、ケーシングの内部を電磁線から遮蔽し、したがって、ケーシング内に設けられた無線デバイスによる効率的な送信又は受信のためのアンテナをどのように提供するかが問題である。

自動車の内部に設置されたテレビジョン受信機又は送信機用のディジタルセットトップボックスの内部に無線送信及び（又は）受信デバイスが設けられている場合のある器具の多くの例が存在し、なお、この場合、金属製の車体それ自体は、遮蔽ケーシングとしての役目を果たす。しかしながら、１つの特定の例は、照明器具（light fitting）、特に照明装置（luminaire）である。例えばオフィス環境で用いられている照明装置は、一般に、蛍光管を保持する金属ケーシングを有し、更に、蛍光管の後ろから又はその前の光を、仕事環境に快適な照明を提供するよう設計された仕方で反射する反射要素として配置された多数の他の金属要素を有する。

かかる照明装置用ワイヤレス照明制御システムが、目下、開発途上にある。かかるシステムは、ワイヤレス・パーソナル・エリア・ネットワーク（ＷＰＡＮ）による建物内の照明のコンピュータ制御を見込んでいる。１つの適当なかかるネットワークは、ＺｉｇＢｅｅネットワークである。このネットワークは、ＩＥＥ８０２．１５．４規格に準拠した微弱な低出力ディジタル無線を利用し、欧州では８６８ＭＨｚ、米国では９１５ＭＨｚ、そして大抵の管轄のワールドワイドでは２．４ＧＨｚのＩＳＭ無線帯域で動作する。ＺｉｇＢｅｅ技術は、ＷＰＡＮ、例えばBluetoothよりも単純且つ安価である。

無線モジュールは、安全上の規則及び商業上の関わりによる拘束を受けるので、照明装置の内部に、典型的には、ランプの後ろ、回路安定器の後ろ、更に恐らくは反射器の後ろで金属ケーシング内に納められなければならない。典型的には、無線デバイスは、単純なモノポール型ワイヤアンテナ（展張アンテナ）を有するが、金属ケージ内に封入されると、これらアンテナは、正しくは機能しない。考えられる一解決策は、無線デバイスからの無線信号をケージの外部に位置するアンテナに送る同軸ケーブルを用いることである。しかしながら、この対策は、同軸ケーブル及び関連のＲＦコネクタ並びに別個の外部アンテナのコストに起因してコスト高である場合がある。もう１つの対策は、わざと金属ケーシングにスロット又は孔を開けてワイヤアンテナが孔を介して通信を行うことができるようにすることである。しかしながら、これには、照明装置それ自体の製造を変更する必要があり、このことは、必ずしも商業的に実行可能であるというわけではなく、更に、このオプションを阻む安全上の規則が存在する場合がある。

簡単な解決策は、電線の長さを延ばしてこれが小さな穴、好ましくは既存の穴を経てケーシングから突き出るようにすることである。これは、商業的に許容可能である場合があるが、ワイヤアンテナは、依然として、効率的に機能することがない場合がある。アンテナは、共振デバイスであり、これらの共振周波数に対して選択的に働き、この共振周波数は、アンテナの或る特定の物理的寸法に依存している。ワイヤアンテナに関し、これは、主として電線長さを意味している。互いに異なる長さは、互いに異なる入力インピーダンスを有する。インピーダンスが整合される（所与の長さに合わせて整合される）場合、アンテナは、無線信号を受信する。もしそうでなく他の長さの場合、アンテナは、不整合状態にあり、無線信号は、拒絶される。延長した電線長さがたまたまアンテナ共振長さであったとしても、放射及び受信は、依然として遮蔽デバイスの内部で起こり、しかも、アンテナの整合を行わせ、他のコンポーネントとの干渉を生じさせる場合のある強力な空洞共振器モードを生じさせる場合がある。単一のアンテナ電線は又、これを突き出すために挿通させる孔に対して非常に敏感であり、電線（信号線）と孔のエッジ（アース）との間に強力な電界を生じさせる。

本発明の器具は、
導電性ケーシングと、
ケーシング内に収納された無線デバイスと、
無線デバイスからケーシングに設けられた開口部まで延びる１対の電線とを有し、電線のうち少なくとも一本は、信号を無線デバイスに送受し、１対の電線は、開口部を通って延び、電線がケーシングの内部ではＲＦ伝送線路として機能し、ケーシングの外部ではアンテナの状態に形成されるよう構成されている。

したがって、本発明は、無線デバイスからの無線信号をケーシングに送るＲＦ伝送線路として機能するただ１対の電線を用いている。かくして、ケーシング内部では、放射又は受信が生じない。電線は、いったんケーシングの外部に出ると、アンテナの状態になり、したがって、このアンテナがケーシングによっては遮蔽されていないケーシングの外部で通信及び（又は）受信が起こるようになる。ただ１対の電線は、同軸ケーブルよりも安価であり、電線はケーシングの外部でアンテナの状態に形成されるので、電線とアンテナとの間に特定のコネクタは不要であり、電線は、ケーシングにあらかじめ設けられている穴を通って容易に延びることができる。

好ましくは、１対の電線は、各々が導電性電線コア及び周りの絶縁体を有する絶縁電線から成り、２本の電線（２線又はツインワイヤ）の絶縁体は、電線を実質的に一定の離隔状態に維持するよう接合されている。かかるツインワイヤ又はリボンケーブルは、照明回路に一般的に用いられており、かくして、安価であり且つ容易に入手できる。

一実施形態では、電線の一方は、無線信号を送る信号線であり、他方の電線は、アースに接続されている。好ましくは、接地線は、ケーシングの外部で終端し、信号線は、モノポールアンテナを形成している。好ましくは、信号線は、接地線の端部を越えて１／４波長にわたって延びている。

この実施形態では、ケーシング内部のツインワイヤは、非平衡伝送線路として機能する。無線デバイスは、プリント回路板上に形成されるのが良く、接地線は、プリント回路板のアースに単に接続されるのが良い。

この実施形態は、遮蔽ケーシングが小形であり、それ故に伝送線路部分が短い器具に最適である。大きなケーシングを有する器具の場合、変形実施形態が好ましい。

この変形実施形態では、電線の両方は、無線信号を送ると共に平衡伝送線路として機能し、ケーシングの外部では、電線は、ダイポールアンテナを形成するよう互いに分離されている。バランが、平衡伝送線路として機能するために、無線デバイスと電線との間に接続された状態で無線デバイスに設けられる。好ましくは、電線は、Ｖ字形１／２波長ダイポールアンテナ又は折り曲げＶ字形ダイポールアンテナを形成するよう互いに分離される。

アンテナのパラメータ、例えばＶ字形角度、ダイポール長さ、折り曲げ空間及び導電性ケーシングの外部の金属包囲体に対する位置を調節し、それにより、アンテナ入力インピーダンスを伝送線路のインピーダンスに直接整合させるよう調節するのが良い。

好ましくは、導電性ケーシングは、照明器具の一部を構成する。好ましくは、ケーシングは、金属である。

好ましくは、無線デバイスは、ワイヤレス・パーソナル・エリア・ネットワーク（ＷＰＡＮ）に用いられるよう構成された無線デバイスである。好ましくは、無線デバイスは、ＺｉｇＢｅｅデバイスである。

次に、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。

典型的な照明装置の構造を示す図である。 モノポールアンテナを有する無線制御安定器を示す図である。 モノポールアンテナを有する無線制御安定器を示す図である。 照明装置内に設置された図２Ａ及び図２Ｂの安定器を示す図である。 ダイポールアンテナを有する無線デバイスを示す図である。 折り曲げダイポールアンテナを示す図である。 照明装置内に設置された図４Ｂの無線デバイスを示す図である。

本発明は、導電性ケーシング内に設けられた無線デバイス用のアンテナを提供することに関しており、次に、導電性ケーシングが照明装置１である本発明の２つの実施形態について説明する。図１は、典型的な照明装置の構造を示している。照明装置１は、金属製外側ケーシング２及び外側ケーシング２を複数のセルに細分した前側光反射器３を有している。前側光反射器３は、典型的には、これ又金属で作られている。外側ケーシング２の裏には、安定器カバー４が設けられている。無線制御安定器５は、安定器カバー４の後ろに配置されている。安定器５は、蛍光灯（ランプ）（図１には示されていない）への電流を制御するのに必要な回路である。

図２Ａ及び図２Ｂは、本発明の第１の実施形態に従って２線（ツインワイヤ）で作られたアンテナを有する無線制御安定器を示している。図２Ａに示されているように、無線制御安定器は、図２Ｂに示されているように回路が収納されたケーシングを有する。アンテナ６は、ケーシングから突き出た２線から成る。２線は、接地線７及び信号線８から成る。接地線７は、無線制御安定器５の内部の回路のアース端子に接続され、信号線８は、回路の一部を形成する無線送信／受信デバイスに接続されている。接地線７及び信号線８は、互いに平行に維持され、２本の線が絶縁体の一部分によって互いに接合された照明器具内に通常用いられる形式の２線で形成されている。これら線は、ツイストペアであっても良い。接地線７は、信号線８より短く、この信号線は、１／４波長分だけ接地線７の端を越えて延びている。

使用にあたり、接地線７と信号線８が互いに平行な２線の部分は、非平衡伝送線路として働き、放射を行わない。しかしながら、接地線７の端を越えて延びている信号線８の部分は、モノポールアンテナとして機能する。

図３は、照明装置１内に設けられた図２Ａ及び図２Ｂの無線制御安定器５を示している。安定器５が、安定器カバー４の後ろに固定されており、２線は、これが安定器カバー４に設けられた穴９を通って突き出ている。代表的には、これら穴は、既存の「非常時用穴」（例えば、非常時用照明灯のための穴）であり、電線に合うような形の穴を有する単純な固定器具又はプラグ１０が、電線７，８を定位置に保持するよう穴９内に設けられている。図３で理解できるように、接地線７は、穴９を通って非常に短い距離、好ましくは、１センチメートルしか突き出ておらず、この場合、モノポールアンテナとして機能する信号線８の部分は、安定器カバー４から延び出ている。かくして、非放射伝送線路として機能する２線の部分は、照明装置１の金属ケーシングの内部に位置するが、送信／受信アンテナ部分は、金属ケーシングの外部に位置している。かくして、アンテナは、導電性ケーシングの遮蔽効果がない状態で、導電性ケーシングの外部で送信し又は受信する。

図４Ａ、図４Ｂ及び図５は、本発明の第２及び第３の実施形態を示している。これら実施形態では、無線デバイスは、印刷回路基板１１上に形成されている。無線信号は、平衡伝送線路として機能する２線１２によってプリント回路板１１に送受される。用いられる電線は、照明回路で一般的に用いられ、絶縁体によって包囲された１対の導電性の電線である形式のものであり、この場合、絶縁体は、第１の実施形態の場合のように、ワイヤが平行に維持されるよう接続されている。２線１２が平衡伝送線路として機能するようにするために、更にバランがプリント回路板１１上に形成されている。その目的は、無線デバイスのインピーダンスを伝送線路のインピーダンスに整合させるためである。１対の電線１２は、信号を無線デバイスから送り、これら電線１２は、端部のところで分離され、図４Ａに示すようなＶ字形ダイポールアンテナ１３又はランプキャップ１４の後ろに位置決めされた図４Ｂに示すようなＶ字形折り曲げダイポール１３を形成するよう互いに逆向きに曲げられている。ダイポールは、代表的には、１／２波長の長さを有するであろう。

図５は、照明装置１内に設けられた図４Ｂの無線デバイスを示している。プリント回路板１１は、無線制御安定器内に通常通り納められた状態で光反射器の後ろで照明装置１内に設けられている。電線１２は、信号を照明装置のケーシング２に送り、その端部のところに設けられ、照明用電線のために用いられる隙間を通って延び、次に、ケーシング２の外部でＶ字形ダイポールアンテナ１３を形成するよう互いに分離されている。

２つの実施形態に関し、２線がモノポールアンテナの状態に形成された第１の実施形態或いは２線が平衡伝送線路として用いられ、ダイポールアンテナの状態に形成された第２又は第３の実施形態のうちの一方を利用するかどうかの選択は、照明装置の形態で決まる。無線デバイスとケーシングとの間の距離が短い場合、第１の実施形態がより適している場合がある。これは、この距離が増大すると、接地線７を、両端のところで、即ち、無線制御安定器５の内部に位置した端と電線がケーシングの穴９を通って突き出た端のところでアースに接続することが必要な場合があるからである。したがって、その距離が長い場合、第２又は第３の実施形態では２線が平衡伝送線路として働くことができるようにするためにバランを用いることが必要であるとしても、第２又は第３の実施形態が好ましい。

Claims (11)

1. 導電性ケーシングと、
   前記ケーシング内に収納された無線デバイスと、
   前記無線デバイスから前記ケーシングに設けられた開口部まで延びる１対の電線とを有する器具であって、前記電線のうち少なくとも一本は、信号を前記無線デバイスに送受し、前記１対の電線は、前記開口部を通って延び、前記電線が前記ケーシングの内部ではＲＦ伝送線路として機能し、ケーシングの外部ではアンテナの状態に形成される、
   ことを特徴とする器具。
2. 前記１対の電線は、各々が導電性電線コア及び周りの絶縁体を有する絶縁電線から成り、２本の前記電線の前記絶縁体は、前記電線を実質的に一定の離隔状態に維持するよう接合されている、
   請求項１記載の器具。
3. 前記電線の一方は、無線信号を送る信号線であり、他方の電線は、アースに接続されている、
   請求項１又は２記載の器具。
4. 前記接地線は、前記ケーシングの外部で終端し、前記信号線は、モノポールアンテナを形成している、
   請求項３記載の器具。
5. 前記信号線は、前記接地線の端部を越えて１／４波長にわたって延びている、
   請求項４記載の器具。
6. 前記電線の両方は、無線信号を送ると共に平衡伝送線路として機能し、前記ケーシングの外部では、前記電線は、ダイポールアンテナを形成するよう互いに分離されている、
   請求項１又は２記載の器具。
7. 前記無線デバイスと前記電線との間に設けられたバランを有する、
   請求項６記載の器具。
8. 前記ケーシングは、照明器具の一部を構成している、
   請求項１ないし７のいずれか１項に記載の器具。
9. 前記ケーシングは、金属である、
   請求項１ないし８のいずれか１項に記載の器具。
10. 前記無線デバイスは、ワイヤレス・パーソナル・エリア・ネットワーク（ＷＰＡＮ）に用いられるよう構成された無線デバイスである、
    請求項１ないし９のいずれか１項に記載の器具。
11. 前記無線デバイスは、ＺｉｇＢｅｅデバイスである、
    請求項１０記載の器具。

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