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ジョイントユニット
本発明は、自動車のシャーシリンクを支承するためのジョイントユニットであって、リンク側のハウジングが設けられていて、該ハウジング内にジョイントピンが、これに固定されたジョイントボールの回転楕円面の軸受面を用いて旋回可能に受容されており、ジョイントユニットが、ハウジングとジョイントピンとの分離を阻止する固定ユニットを有している形式のものに関する。
自動車におけるホイールサスペンションは、機能における必要に応じて、種々様々な軸受もしくはジョイントを有している。ジョイントは例えば、2つの構成部材の相対運動を複数の自由度において可能にするために働く。さらに、自動車のホイールを介して導入される振動に対して特別な緩衝特性を有するジョイントユニットも公知である。
シャーシ構成部材において使用されるジョイントユニットは、大多数が高負荷される固定部材であり、このような固定部材は、通常、セーフライブ原理に基づいて、つまり数倍の安全性をもって、自動車の全耐用寿命に対して運転確実に設計される。それにもかかわらず、通常使用されるジョイントユニットの完全な故障を惹起するような結果又は極めて不都合な因果関係も考えられる。
例えば、このようなジョイントユニットの使用されるシールシステムの故障もしくは破損によって、ジョイント内部に汚れや水が侵入することに基づいて生じ得る、軸受シェル又はジョイントピンの特別な摩耗が、考えられる。ジョイントユニットのこのような故障の最悪の結果として、損傷したジョイントユニットのハウジングとジョイントピンとの結合が完全に解離してしまう。主要なジョイント構成部材がこのように分離してしまうことは、安全性の理由から絶対に回避されねばならない。
このような不都合を回避するために、従来技術に基づいて公知の固定ユニットは、ハウジングとジョイントピンとの完全な分離を阻止するようになっており、その結果このように損傷したジョイントには少なくともなおエマージェンシ機能が設けられており、このエマージェンシ機能は所属の車両に対して、当該車両を最も近い修理工場まで移送できる可能性を提供している。
例えばDE102004055961A1に基づいて公知の、冒頭に述べた形式のジョイントユニットは、拘束装置と呼ばれる固定ユニットを備えており、この固定ユニットでは少なくとも1つのフレキシブルな拘束ベルト又は少なくとも1つの固定ベルトが切欠きを備えていて、この切欠き内に通常運転時にはハウジングの拘束ピンが無接触式に進入している。このような拘束装置は確かにハウジングとジョイントピンとの分離を阻止することができるが、しかしながら構造上の理由に基づく構造寸法によって、常に強制的に、ジョイントユニットの外側領域に配置されている。しかしながら、客観的に望ましくかつ必要な固定システムが視覚的存在することは、使用者にとっては主観的に、その特別な構成に基づいて、外からは見えない余分な固定ユニットを備えたジョイントユニットの安全性を場合によっては信じさせないジョイントユニットが存在していることになる。
ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式のジョイントユニットを改良して、一方では、ハウジングとジョイントピンとがたとえ完全に分離した場合でも、ジョイントユニットのエマージェンシ機能が引き続き保証されており、かつ他方では、相応にそのために使用される固定ユニットがその構造寸法に関して、ジョイントユニットの目立つ構成をもたらさないようにすることである。
この課題を解決するために本発明の構成では、請求項1の特徴部に記載のように、すなわちジョイントユニットのハウジングとジョイントピンとの分離を防止する固定ユニットが固定ピンと、ハウジング内の軸方向の端部に形成された固定受容部とを有しており、固定ピンがジョイントピン内に、該ジョイントピンの長手方向中心軸線に対してほぼ平行に配置されていて、ジョイントボールの側の自由端部にロックエレメントを備えこのロックエレメントが、ジョイントユニットの組み立てられた状態で、非接触ではあるがバヨネット式に固定受容部に係合し、固定ピンが、ジョイントボールとは反対側の端部で、ジョイントピンに固定されているようにした。
従来技術に基づいて公知の固定ユニットのすべての解決策とは異なり、本発明のように構成されていると、ジョイントユニットの汎用の構造寸法内に完全に収まる構造的な解決策が得られる。しかも、付加的な固定ユニットを備えたこのようなジョイントユニットの特別な構成は、もはや外から見えないので、使用者及び車両所有者に好ましくない条件が課せられることもない。
本発明の別の有利な構成は、請求項2以下に記載されている。
本発明の別の構成では、ロックエレメントが、固定ピンの横断面を越えて対称的に突出する少なくとも2つの突出部を有している。この場合突出部は固定ピンの自由端部に端部ウェブとして形成されていることができる。固定ピンは全体として、所属のハウジング又はジョイントピンに、ねじ結合によって固定される。さらにもちろん他の固定形式も可能である。固定ピンの縦長の構成との関連におけるロックエレメントの構成によって、固定ピンの自由端部に、固定受容部と共働しかつ単純な構成を有する容易に製造可能な端部部材を得ることが、容易に可能になる。
固定受容部は、固定ピンの特別な構成との関連において、ジョイントユニットの内側に向けられた制限面を有していて、該制限面は上に述べたロックエレメントに係合している。固定受容部はこの場合補足的に、ジョイントユニットの内側に向けられた導入開口を固定ピンのために有しており、この場合導入開口の横断面はほぼ方形に形成されており、導入開口の大きい方の辺寸法は、導入開口を通しての固定ピンのロックエレメントの貫通を可能にし、横断面の他方の辺寸法は、ロックエレメントの突出部の幅寸法よりも小さく設定されている。このような構成によって、いわゆるバヨネット結合部が得られ、この場合固定ピンは固定受容部の導入開口を貫通した後で、例えば90°回転させられ、これによって、固定受容部の内部に存在する制限面によってピンの軸方向運動が阻止され、その結果ハウジングと、ジョイントピンに固定された固定ピンとが離れることも阻止される。
本発明の別の有利な構成では、ハウジングが鋳造部品として形成されていて、該ハウジングもしくは鋳造部品内に、固定受容部が完全に切欠きもしくは凹部として成形されている。通常運転において、固定ピンのロックエレメントは、接触することなしに又はほとんど接触することなしに、ハウジングの固定受容部内に位置しているので、完成した鋳造部品の内部に存在する、ハウジング内の切欠きもしくは凹部は、相応な鋳造精度が維持されている限りは、さらなる加工を必要としない。
さらに、特殊な仕様例のために有利な本発明の構成では、ハウジングが鋳造部品として形成されていて、固定受容部が切欠きもしくは凹部として成形されており、制限面が、固定ピンのロックエレメントと共働するように、別体の金属薄板エレメントとしてハウジングの切欠きもしくは凹部内に挿入されている。このような構成は、特定の条件下において、ジョイントユニットの安価な製造を可能にする。
ジョイントユニットはしばしば、通常の目視による監視が困難な自動車のシャーシもしくはステアリングの領域において使用されるので、本発明の別の有利な構成では、ハウジングとジョイントピンとの間に、ハウジングとジョイントピンとの分離を監視しかつ表示する電子式のセンサエレメントが配置されている。
確かに本発明による構成によって、ジョイントユニットが離れ離れになることは阻止される。しかしながらこのようなジョイントユニットはいずれにせよ損傷しているので、可能な限り迅速な交換が実施されねばならない。このことは、センサユニットを備えたジョイントユニットの構成によって、損傷発生後に可及的速やかに行うことができる。この場合自動車使用者には、通常設けられている車両監視装置のコンピュータ診断の枠内において、できるだけ早く故障を直すために修理工場に車両を運ぶという、相応な指示が与えられる。
なお電子式のセンサエレメントの構成のためには、種々様々な実施形態のものを使用することができる。
次に図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
本発明によるジョイントユニットの第1実施例を示す断面図である。 図1に示されたジョイントユニットをB−B線で断面して示す平面図である。 本発明によるジョイントユニットの別の変化実施形態を示す断面図である。
図1に示された、本発明によるジョイントユニットの1実施例を参照しながら、本発明の主要な特徴について説明をすることができるが、これらの特徴又は図3の変化実施形態は、具体的に示された対象への制限を意味するものではない。個々の図において、同一の部材又は構成グループが使用されている場合には、同一符号が使用される。
図1に示されたジョイントユニットはハウジング1を有しており、このハウジング1には、自動車用の三角形リンクのリンク対7,8の接続領域が一体成形されている。
ハウジング1は図示の構造形式では、片側において開放した構成として内部の中空室を有しており、この中空室には軸受シェル6が挿入されている。軸受シェルはジョイントユニットの内部に、振動減衰作用を有しかつ同時に滑り特性を有している支承機能を可能にする。軸受シェル6はそのジョイント内側に向かって見て、ジョイントボール3.1の軸受面3を収容している。ジョイントボール3.1はジョイントピン2に固定されている。軸受シェル6がハウジング1の開口から外に軸方向で移動することを防止するためには、固定リング11が働く。
ジョイントピン2は受容部4の構成部分であり、受容部4の構成部分の1つは接続フランジ5であり、この接続フランジ5を用いてジョイントユニットは通常、軸側の保持体にねじ結合される。
本発明によれば、図示のジョイントユニットの内部に固定ユニットが設けられており、この固定ユニットは主として、ジョイントピン2の孔10内に受容されている固定ピン9と、固定受容部13とから成っている。固定ピン9は、軸側の受容部4を含めてジョイントピン2全体を貫通していて、ハウジング1に向けられた上側の自由端部に、ロックエレメント12を有している。このロックエレメント12はこの場合、ハウジング1の内部に位置しいている固定受容部13に係合している。固定受容部13はハウジング1の上側部分の構成部分であり、ジョイントピン2に向けられた下側に図示の実施例では、固定受容部内に進入する突起として形成された2つの制限面14a,14bを有している。これによって制限エレメント14a,14bと、室状に形成された固定受容部13の上側とは、間隙を形成しており、この間隙には、上下方向における固定ピン9の運動が阻止されるように、ロックエレメント12が係合している。そのためにロックエレメント12は有利な構成では、固定ピン9の横断面を越えて対称的に突出する少なくとも2つの突出部15a,15bを備えている。両突出部15a,15bはこの場合、特に図2の平面図から明らかなように、端部ウェブ16の形状を成している。
一端に端部ウェブ16を備えた固定ピン9は原理的には、六角ボルト17から構成されており、この六角ボルト17の、ねじヘッドとは反対側の上端部において、ロックエレメント12は六角ボルトのねじ山に装着されてねじ結合されている。これによって固定ピン9はジョイントピン2の内部において固定されている。
図1及び図3から明らかなように、ロックエレメント12を備えた固定ピンと、ロックエレメント12と共働する固定受容部13との構造上の特別な構成によって、例えばジョイントボール3.1又は軸受シェル6の摩耗増大に基づく、ジョイントピン2からのハウジング1の分離は、つまりジョイントピン2からハウジング1が持ち上がることは、確実に回避される。ジョイントユニットの通常の運転状態において、固定受容部13内に受容されているロックエレメント12の寸法は次のように、すなわち、隣接し合う部材が互いに接触することなく、かつジョイントユニットが許すすべての運動方向が、ジョイントピン2とハウジングとの間において回転楕円面の軸受面3を介して軸受シェル6との関連で得られるように、設定されている。
図2からさらに明らかなように、固定受容部13はジョイントユニットの内側に向けられた側において制限エレメント14a,14bの領域に、固定ピン9のための導入開口18を有している。この導入開口18はほぼ方形の横断面を有しており、この場合横断面の大きな辺寸法は、ロックエレメント12もしくは、このロックエレメント12を形成する端部ウェブ16が相応に適正に回転させられた位置において導入開口18を貫通できるように、選択されている。端部ウェブ16が導入開口18を貫通すると、固定ピン9は90°回転させられ、これにより突出部15a,15bの下側は制限エレメント14a,14bの上に位置することになる。ロックエレメント12のこの位置において、ジョイントピン2の軸方向運動は完全に阻止されるか、もしくは突出部15a,15bと制限面14a,14bの上側との間の間隔においてしか可能でない。図示の実施形態は、上側におけるハウジング1の閉鎖された形状を可能にし、かつ同時に固定ピン9の相応な組付けを容易にする。
図3に示された本発明によるジョイントユニットの変化実施例は、図1に示された実施例に対して制限エレメント14a,14bの構成に関して異なっている。図1ハウジング1は鋳造部品として形成されており、この場合固定受容部13の一部である制限エレメント14a,14bはハウジング1と一体的に形成されており、その結果固定受容部13は完全にハウジング内に切欠きもしくは凹部として成形されている。
図3の構成ではハウジング1は同様に鋳造部品として形成されており、この場合固定受容部は同様にハウジング内に切欠きもしくは凹部として成形されている。しかしながら制限エレメント14a,14bはこの構成では、ハウジングの内部において突出部と固定リング19との間でクランプされている別体の金属薄板エレメントの構成部材である。
固定ユニットによって確かにハウジング1とジョイントピン2とが離れることを防止されている軸受ユニットをそれにもかかわらず欠陥品であると、車両使用者が認識できるようにするために、図1に示されているように、ハウジング1とジョイントピン2との間には電子式のセンサエレメント20が配置されていてもよい。このセンサエレメント20は図1においていわゆるブラックボックスとして示されており、この場合センサエレメント20は、ハウジング1とジョイントピン2との間における僅かな軸方向運動をも検出するピックアップもしくはセンサから構成されていることができ、この場合同時に相応な評価電子機器が今日の自動車の搭載電子機器全体に配属されていることができる。車両使用者はいずれにせよこの付加構成によって、ジョイントユニットの故障の確認、ひいては相応な故障した部材の交換を可及的速やかに実施することが可能である。
1 ハウジング
2 ジョイントピン
3 回転楕円面の軸受面
3.1 ジョイントボール
4 受容部
5 接続フランジ
6 軸受シェル
7 リンクアーム
8 リンクアーム
9 固定ピン
10 孔
11 固定リング
12 ロックエレメント
13 固定受容部
14a 制限エレメント
14b 制限エレメント
15a 突出部
15b 突出部
16 端部ウェブ
17 六角ボルト
18 導入開口
19 固定リング
20 センサエレメント

Claims (9)

  1. 自動車のシャーシリンクを支承するためのジョイントユニットであって、リンク側のハウジング(1)が設けられていて、該ハウジング(1)内にジョイントピン(2)が、これに固定されたジョイントボール(3.1)の回転楕円面の軸受面(3)を用いて旋回可能に受容されており、ジョイントユニットが、ハウジング(1)とジョイントピン(2)との分離を阻止する固定ユニットを有している形式のものにおいて、
    固定ユニットが固定ピン(9)と、ハウジング(1)内の軸方向の端部に形成された固定受容部(13)とを有しており、固定ピン(9)がジョイントピン(2)内に、該ジョイントピン(2)の長手方向中心軸線に対してほぼ平行に配置されていて、ジョイントボール(3.1)の側の自由端部にロックエレメント(12)を備えこのロックエレメント(12)が、ジョイントユニットの組み立てられた状態で、非接触ではあるがバヨネット式に固定受容部(13)に係合し、固定ピン(9)が、ジョイントボール(3.1)とは反対側の端部で、ジョイントピン(2)に固定されていることを特徴とするジョイントユニット。
  2. ロックエレメント(12)が、固定ピン(9)の横断面を越えて対称的に突出する少なくとも2つの突出部(15a,15b)を有している、請求項1記載のジョイントユニット。
  3. 突出部(15a,15b)が、固定ピン(9)の自由端部に端部ウェブ(16)として形成されている、請求項2記載のジョイントユニット。
  4. 固定ピン(9)が六角ボルト(17)として形成されていて、該六角ボルト(17)の、ねじヘッドとは反対側の自由端部に、ロックエレメント(12)を備えたアタッチメントが固定されている、請求項1又は2記載のジョイントユニット。
  5. 固定受容部(13)が、ジョイントユニットの内側に向けられた制限エレメント(14a,14b)を有していて、該制限エレメント(14a,14b)がロックエレメント(12)に係合している、請求項1から4までのいずれか1項記載のジョイントユニット。
  6. 固定受容部(13)が、ジョイントユニットの内側に向けられた導入開口(18)を固定ピン(8)のために有しており、該導入開口(18)の横断面がほぼ方形に形成されており、導入開口(18)の大きい方の辺寸法が、固定ピン(9)のロックエレメント(12)の貫通を可能にし、横断面の他方の辺寸法が、ロックエレメント(2)の突出部(15a,15b)の幅寸法よりも小さく設定されている、請求項2から5までのいずれか1項記載のジョイントユニット。
  7. ハウジング(1)が鋳造部品として形成されていて、該ハウジング(1)もしくは鋳造部品内に、固定受容部(13)が完全に切欠きもしくは凹部として成形されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のジョイントユニット。
  8. ハウジング(1)が鋳造部品として形成されていて、固定受容部(13)が切欠きもしくは凹部として成形されており、制限面(14a,14b)が、ハウジング(1)の切欠きもしくは凹部内に挿入された別体の金属薄板エレメントの構成部材である、請求項5又は6記載のジョイントユニット。
  9. ハウジング(1)とジョイントピン(2)との間に、ハウジング(1)とジョイントピン(2)との分離を監視しかつ伝える電子式のセンサエレメント(20)が配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のジョイントユニット。
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