JP2010287860A - 半導体集積回路装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体集積回路装置において、実動作に用いられる信号遅延パスにおける経年劣化の検出を可能とすること。
【解決手段】半導体集積回路装置は、複数の信号遅延パスと、当該複数の信号遅延パスの間の遅延量の大小関係を計測してメモリに格納するとともに、当該複数の信号遅延パスについて計測された遅延量の大小関係と当該メモリに格納された遅延量の大小関係とが一致するか否かを判定し、両者が一致しない場合には、当該複数の信号遅延パスのいずれかにおいて遅延故障が生じた旨を出力する遅延故障検出回路と、を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体集積回路装置に関し、特に高信頼性を要求される製品における経年劣化故障を検出する半導体集積回路装置に関する。
近年、回路規模の増加、動作高速化、及びプロセス微細化に伴い、経年劣化に起因する遅延故障によるシステム誤動作が問題となってきている。
特に、高信頼性を要求される製品やシステムにおいては、半導体集積回路装置自体の安全設計の見地から、経年劣化による故障が顕在化する前に経年劣化に伴う特性の変化を検出することが課題となってきており、市場からも強く望まれている。
図8は、特許文献1の経年劣化故障検出回路の構成を示すブロック図である。図8を参照すると、特許文献1に記載された経年劣化故障検出回路は、複数の信号遅延パス1、2、比較手段3、及び、警報信号生成手段4を有している。2つの信号遅延パス1、2は、遅延の経時変化率が互いに異なるように設定されている。
次に、特許文献1に記載された経年劣化故障検出回路の動作について説明する。図8の信号A、Bとして、寿命を予測したいLSIの使用頻度を代表するような信号(例えば、LSIのクロック信号)が用いられる。信号A、Bが印加されている時間が経過するにつれて、信号遅延パス1、2においてホットキャリア(Hot Carrier、HC)現象による回路特性の劣化が生じる。その結果、信号遅延パス1、2の遅延量が変化する。
図9は、特許文献1の実施例における累積動作時間と信号遅延パスの遅延との関係を示す図である。図9を参照すると、t10は信号遅延パス1の初期遅延であり、t20は信号遅延パス2の初期遅延であり、t10>t20の関係が成り立っている。累積動作時間が増加し、ある時点Yで遅延が等しくなり、さらに時間が経つと遅延の大小関係が逆転する。比較手段3は、信号遅延パス1、2の遅延量の変化、すなわち波形の位相の変化を捉えて比較する。警報信号生成手段4は位相関係が逆転したときに、警報信号として出力Eを出力する。
特許文献1の経年劣化故障検出回路によると、予め位相が逆転する時点YをLSIの寿命よりも若干短い時間に設定しておくことにより、個々のLSIを実使用状態での寿命に近い時点まで使用することができ、LSIに故障が生じる以前に、警報信号によってLSIの劣化の状況を把握することができる。
特開平08−125129号公報
以下の分析は、本発明者によってなされたものである。特許文献1に記載された経年劣化故障検出回路においては、LSIの寿命予測のために、予め遅延の経時変化率が互いに異なるよう設計された2つの信号遅延パスの遅延を比較し、経時劣化率を算定する。したがって、特許文献1に記載された経年劣化故障検出回路によると、実使用回路の経年劣化故障(特に、製造時の不具合による経年劣化故障)を検出することができない。
そこで、半導体集積回路装置において、実動作に用いられる信号遅延パスにおける経年劣化の検出を可能とすることが課題となる。本発明の目的は、かかる課題を解決する半導体集積回路装置を提供することにある。
本発明の第1の視点に係る半導体集積回路装置は、
複数の信号遅延パスと、
当該複数の信号遅延パスの間の遅延量の大小関係を計測してメモリに格納するとともに、当該複数の信号遅延パスについて計測された遅延量の大小関係と当該メモリに格納された遅延量の大小関係とが一致するか否かを判定し、両者が一致しない場合には、当該複数の信号遅延パスのいずれかにおいて遅延故障が生じた旨を出力する遅延故障検出回路と、を有している。
本発明の第2の視点に係る半導体集積回路装置は、
複数の信号遅延パスと、
複数の信号遅延パスから出力された信号のいずれかを選択する第1のセレクタと、
複数の信号遅延パスにおける遅延量を比較し、比較結果をメモリに格納するとともに、前記複数の信号遅延パスの間の遅延量の大小関係とメモリに格納された遅延量の大小関係が一致しているか否かを定期的に判定する遅延故障検出回路と、を有している。
本発明の半導体集積回路装置によると、実動作に用いられる信号遅延パスにおける経年劣化の検出が可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置における遅延故障検出回路の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置の正常時の動作を示すタイミングチャートである。 本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置において、経年劣化による遅延が発生した場合の動作を示すタイミングチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路装置における遅延故障検出回路の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係る半導体集積回路装置の構成を示すブロック図である。 従来の経年劣化故障検出回路の構成を示すブロック図である。 従来の経年劣化故障検出回路における累積遅延時間と信号遅延パスの関係を示す図である。
第1の展開形態の半導体集積回路装置は、上記第1の視点に係る半導体集積回路装置であることが好ましい。
第2の展開形態の半導体集積回路装置は、遅延故障検出回路が、メモリに格納された遅延量の大小関係において、複数の信号遅延パスのうちの第1の信号遅延パスの遅延量が複数の信号遅延パスに含まれる第2の信号遅延パスの遅延量よりも小さく、第1の信号遅延パスについて計測された遅延量が第2の信号遅延パスについて計測された遅延量よりも大きい場合には、第1の信号遅延パスにおいて遅延故障が生じた旨を出力することが好ましい。
第3の展開形態の半導体集積回路装置は、複数の信号遅延パスの間に遅延故障が生じる以前における複数の信号遅延パスの遅延量の最大値よりも大きい遅延量を有する信号遅延パスをさらに有していることが好ましい。
第4の展開形態の半導体集積回路装置は、上記第2の視点に係る半導体集積回路装置であることが好ましい。
第5の展開形態の半導体集積回路装置は、
遅延故障検出回路が、複数の信号遅延パスに対する入力信号と前記第1のセレクタからの出力信号を受信する排他的論理和と、
排他的論理和からの出力信号を積分する積分回路と、
積分回路からの出力信号に応じて発振周波数を制御する電圧制御発振回路と、
電圧制御発振回路からの出力信号をカウントするカウンタと、
カウント値を格納する複数のレジスタと、
複数のレジスタから2つのレジスタ格納値を選択する第2のセレクタと、
第2のセレクタによって選択された2つのレジスタ格納値の比較をする比較器と、
比較結果を記録する不揮発メモリと、
テスト信号により、第1のセレクタ、複数のレジスタ、第2のセレクタ及び不揮発メモリを制御する故障判定制御回路と、を有していてもよい。
第6の展開形態の半導体集積回路装置は、
遅延故障検出回路が、複数の信号遅延パスに対する入力信号と前記第1のセレクタからの出力信号を受信する排他的論理和と、
排他的論理和からの出力信号を積分する積分回路と、
積分回路からの出力信号をデジタル値に変換するAD変換器と、
デジタル値を格納する複数のレジスタと、
複数のレジスタから2つのレジスタ格納値を選択する第2のセレクタと、
第2のセレクタによって選択された2つのレジスタ格納値の比較をする比較器と、
比較結果を記録する不揮発メモリと、
テスト信号により、第1のセレクタ、複数のレジスタ、第2のセレクタ及び前記不揮発メモリを制御する故障判定制御回路と、を有していてもよい。
(実施形態1)
本実施形態の半導体集積回路装置は、製品出荷前に複数の信号遅延パス同士の遅延量を比較した結果を不揮発メモリに格納し、製品出荷後に定期的に信号遅延パス同士の遅延量の大小関係と不揮発メモリに格納された大小関係が一致しているか否かを判定することにより、経年劣化故障の検出を可能とする。
図1は、本発明の経年劣化故障検出回路の第1の実施形態となる全体ブロックを示す。
本実施形態の半導体集積回路装置は、ROSC(Ring−OSCillator、リングオシレータ)5と、信号遅延パス6、7、8と、セレクタ9と、遅延故障検出回路10とを有している。
ROSC5はクロック信号Gを生成し、信号遅延パス6、7、8及び遅延故障検出回路10に出力する。セレクタ9は、信号遅延パス6、7、8のそれぞれの出力信号H、I、Jを受信し、遅延故障検出回路10から出力されるセレクタ制御信号Lに基づいて受信した信号を選択して、テスト対象信号Kとして出力する。遅延故障検出回路10は、クロック信号G、テスト対象信号K及びテスト信号Zを受信し、セレクタ制御信号L及び遅延故障検出信号Mを出力する。
図2は、図1における遅延故障検出回路10の詳細な構成を示すブロック図である。
図2を参照すると、遅延故障検出回路10は、EOR(Exclusive OR、排他的論理和)11、積分回路12、VCO(Voltage Controlled Oscillator、電圧制御発信器)13、カウンタ14、レジスタ15、セレクタ16、比較器17、不揮発メモリ18、故障判定制御回路19及びEOR20を有している。
EOR11は、図1におけるROSC5から出力されるクロック信号Gと、図1におけるセレクタ9で選択されたテスト対象信号Kを受信し、位相比較信号Nを出力する。
積分回路12は、位相比較信号Nを受信し、積分器出力電圧Oを出力する。
VCO13は、積分器出力電圧Oで動作し、VCO出力クロック信号Pを出力する。
カウンタ14は、VCO出力クロック信号Pを受信し、複数ビット幅を持つカウンタ出力値Qを出力する。
レジスタ15は、カウンタ出力値Qとレジスタ制御信号Vを受信し、複数ビット幅を持つレジスタ格納値Rを出力する。
セレクタ16は、レジスタ15の出力である複数のレジスタ格納値Rを受信し、故障判定制御回路19から出力されたセレクタ制御信号Wにより、レジスタ格納値Rのうちの2つの格納値を選択し、セレクタ出力信号Sとして出力する。
比較回路17は、2つのセレクタ出力信号Sを受信し、受信した2つのセレクタ出力信号Sを比較し、比較結果を大小比較信号Tとして、不揮発メモリ18及びEOR20に出力する。
不揮発メモリ18は、故障判定制御回路19から出力された不揮発メモリ制御信号Xにより、大小比較信号Tを格納し、大小比較格納値Uを出力する。
EOR20は、比較回路17から出力された大小比較信号Tと、不揮発メモリ18に格納された大小比較格納値Uを受信し、遅延故障検出信号Mを出力する。
故障判定制御回路19は、テスト信号Zを受信し、セレクタ16に対するセレクタ制御信号W、不揮発メモリ18に対する不揮発メモリ制御信号X、及び、図1のセレクタ9に対するセレクタ制御信号Lを出力する。
図3は、本実施形態の半導体集積回路装置の動作を示すフローチャートである。図3を参照して、本実施形態の半導体集積回路装置の動作について説明する。
図3を参照すると、まず、図1のROSC5が起動され、基準となるクロック信号Gを生成する(ステップS1)。
次に、図1のセレクタ9は、信号遅延パス6、7、8のそれぞれの出力信号H、I、Jのいずれか1つを選択する(ステップS2)。セレクタ9は、選択した信号をテスト対象信号Kとして遅延故障検出回路10に出力する。
さらに、図2に示す遅延故障検出回路10の詳細図を参照して説明する。EOR11は、クロック信号Gとテスト対象信号Kとの位相を比較し、位相比較信号Nを出力する。積分回路12は、位相比較信号Nのハイレベルパルス幅に相当する積分器出力電圧Oを生成する。したがって、テスト対象信号Kは、その遅延時間に応じた電圧に変換される。次に積分器出力電圧Oで動作するVCO13は、積分器出力電圧Oに応じた周波数を有するVCO出力クロック信号Pを出力する。
次に、図2のカウンタ14は、VCO出力クロック信号Pをあらかじめ設定された一定期間に亘って計測し、カウンタ出力値Qをレジスタ15に格納する(ステップS3)。
故障判定制御回路19は、図1の信号遅延パス6、7、8のそれぞれの出力信号H、I、Jが、セレクタ9によってすべて選択されたか否かを判定する(ステップS4)。出力信号H、I、Jのすべての信号の選択が完了するまで(ステップS4のYes)、ステップS2〜S4を繰り返す。出力信号H、I、Jのすべての信号の選択が完了すると(ステップS4のYes)、ステップS5の動作に遷移する。
次に、セレクタ16は、セレクタ制御信号Wにより、レジスタ15に格納されたレジスタ格納値Rのうち、いずれか2つの信号を選択し、セレクタ出力信号Sとして出力する。比較器17は、セレクタ出力信号Sの2つの信号の値を比較した結果である大小比較信号Tを出力する(ステップS5)。
故障判定制御回路19は、出荷検査時であるか否かを判定する(ステップS6)。出荷検査時であることを示すテスト信号Zがアクティブである場合には(ステップS6のYes)、ステップS7に遷移し、出荷検査でない場合(すなわち、テスト信号Zがインアクティブである場合)には(ステップS6のNo)、ステップS8に遷移する。
出荷検査時である場合には(ステップS6のYes)、故障判定制御回路19は、不揮発メモリ18に、大小比較信号Tを正常動作時の期待値として格納させて(ステップS7)、処理を終了する。
出荷検査時でない場合には(ステップS6のNo)、EOR20は、大小比較信号Tと、不揮発メモリ18に格納された大小比較格納値Uとを比較する(ステップS8)。
続いて、大小比較信号Tと、出荷検査時に不揮発メモリ18に格納された大小比較格納値Uとが一致しているか否かを判定する(ステップS9)。一致した場合には(ステップS9のYes)、処理を終了する。一方、不一致と判定された場合には(ステップS9のNo)、遅延故障検出信号Mを出力し(ステップS10)、処理を終了する。
次に、図4及び図5を参照して、経年劣化により遅延故障が発生した場合における、本実施形態の半導体集積回路装置の動作について説明する。
図4は、本実施形態の半導体集積回路装置の正常時における動作を示すタイミングチャートである。図4及び図5においては、動作タイミングの例として、図1の信号遅延パス6、7、8の正常時における遅延量が、(信号遅延パス8の遅延量)>(信号遅延パス6の遅延量)>(信号遅延パス7の遅延量)である場合について説明する。
図5は、本実施形態の半導体集積回路装置において遅延故障が発生したときの動作を示すタイミングチャートである。
図5は、一例として、信号遅延パス6において遅延故障が発生した場合、すなわち、信号遅延パスの遅延量が、(信号遅延パス6の遅延量)>(信号遅延パス8の遅延量)>(信号遅延パス7の遅延量)と変化した場合のタイミングチャートを示す。
図4の期間T1〜T4、及び、図5の期間T11〜T14について説明する。
期間T1及び期間T11は、各信号遅延パスの遅延量に相当するカウンタ出力値Qをレジスタ15に格納する期間であり、図3のステップS2〜S4の繰り返し処理に相当する。
期間T2〜T4及び期間T12〜T14は、信号遅延パス6と信号遅延パス7、信号遅延パス7と信号遅延パス8、及び、信号遅延パス8と信号遅延パス6のそれぞれの組について、レジスタ15に格納されたレジスタ格納値Rを比較した結果である大小比較信号Tと、出荷検査時に不揮発メモリ18に格納された大小比較格納値Uとを比較する期間であり、図3におけるS5からS10のステップに相当する。ここで、比較対象とされる2つの信号遅延パスは、図2のセレクタ制御信号Wに基づいて選択される。
まず、図4を参照して、正常時の期間T1における半導体集積回路装置の動作を説明する。
クロック信号Gは、期間T1に亘って、基準クロックとして、図4の4目盛り分の一定周期でハイレベル及びロウレベルを繰り返す。
テスト対象信号Kは、図3のステップS2で選択された信号遅延パス毎にクロック信号Gに対する遅延量が変化する。図4は、一例として、信号遅延パス6が選択された場合のみを示す。テスト対象信号Kは、クロック信号Gに対して、1目盛り分の遅延をもって動作している。
クロック信号Gとテスト対象信号Kの位相差を示す位相比較信号Nは、基準となるクロック信号Gに対するテスト対象信号Kの遅延量、すなわち1目盛り分の期間、ハイレベルとなる。
積分回路12は位相比較信号Nのハイレベル期間に応じた電圧値を示す積分器出力電圧Oを出力し(非図示)、VCO13の出力するVCO出力クロック信号Pは、積分器出力電圧Oに応じた周期で変化する。即ち、VCO出力クロック信号Pは、位相比較信号Nのハイレベル期間に応じた周期で変化する。
カウンタ出力値Qは、VCO出力クロック信号Pがロウレベルからハイレベルに変化する都度インクリメントされる。
次に、期間T2〜T4において、図2におけるセレクタ制御信号Wにより、比較対象とされる、信号遅延パス6と信号遅延パス7、信号遅延パス7と信号遅延パス8、信号遅延パス8と信号遅延パス6がそれぞれ選択される(非図示)。各期間の大小比較信号T及び大小比較格納値Uは、選択された2つの信号遅延パスに対応するものである。
正常時(すなわち出荷検査時)においては、信号遅延パス6の遅延量は信号遅延パス7の遅延量よりも大きい。したがって、期間T2において、信号遅延パス6と信号遅延パス7の大小比較格納値Uはハイレベルとなる。T1の期間で測定された信号遅延パス6と信号遅延パス7の遅延量の大小関係も、出荷検査時と同様であるため、比較器17から出力される大小比較信号Tもハイレベルとなる。このとき、大小比較格納信号Tと大小比較格納値Uとが一致するため、EOR20から出力される遅延故障検出信号Mはロウレベルとなる。
同様に、期間T3及びT4においても、遅延故障が発生していない正常動作時においては、大小比較信号Tと大小比較格納値Uとが一致するため、遅延故障検出信号Mはロウレベルとなる。
図5は、信号遅延パス6において遅延故障が発生した場合の半導体集積回路装置のタイミングチャートを示す。
まず、期間T11における半導体集積回路装置の動作について説明する。図5に示すテスト対象信号Kは、図4と同様に、一例として信号遅延パス6が選択された場合のみを示す。信号遅延パス6において遅延故障が発生すると、図4に示した正常時と比較して、テスト対象信号Kの遅延が大きくなる。
このとき、クロック信号Gとテスト対象信号Kの位相差が大きくなり、EOR11の出力である位相比較信号Nは、図4に示した正常時のタイミングチャートと比較して、ハイレベル期間が長くなる。
位相比較信号Nのハイレベル期間が長くなると、積分回路12は正常時に比べ高い電圧値を示す積分器出力電圧Oを出力し(非図示)、VCO13の出力するVCO出力クロック信号Pは、図4に示した正常時と比較して短い周期で変化する。
カウンタ14は、VCO出力クロック信号Pを受信する。カウンタ出力値Qは、図4に示した正常時と比較すると、大きい値となる。
次に、期間T12〜T14、すなわち、図3のステップS5〜S10の動作について説明する。期間T12において選択される信号遅延パス6の遅延量と信号遅延パス7の遅延量の大小関係は、正常時における大小関係と同一であり、大小比較格納信号Tと大小比較格納値Uとが一致することから、EOR20から出力される遅延故障検出信号Mはロウレベルとなる。
期間T13において選択される信号遅延パス7の遅延量と信号遅延パス8の遅延量の大小関係も正常時の大小関係と同一であり、大小比較格納信号Tと大小比較格納値Uとが一致することから、EOR20から出力される遅延故障検出信号Mもロウレベルとなる。
正常動作時(すなわち出荷検査時)においては、信号遅延パス6の遅延量よりも信号遅延パス8の遅延量の方が大きい。このとき、大小比較格納値Uはハイレベルとなる。一方、期間T11において測定された信号遅延パス8の遅延量と信号遅延パス6の遅延量の大小関係は、信号遅延パス6において遅延故障が発生したため、正常動作時とは逆転している。このとき、比較器17から出力される大小比較信号Tは、期間T14において、ロウレベルとなる。したがって、大小比較格納信号Tと大小比較格納値Uとが一致しないため、EOR20から出力される遅延故障検出信号Mはハイレベル(すなわちアクティブ)となる。
本実施形態の半導体集積回路装置によると、遅延故障検出信号Mがアクティブに変化することにより、遅延故障の発生を検出することができる。また、期間T14においてアクティブな遅延故障検出信号Mが検出されたことから、遅延故障が発生している信号遅延パスは、信号遅延パス6であることも特定することができる。
図4及び図5においては、正常時における信号遅延パス6、7、8の遅延量の大小関係を、(信号遅延パス8の遅延量)>(信号遅延パス6の遅延量)>(信号遅延パス7の遅延量)とし、信号遅延パス6において遅延故障が発生した場合について説明した。しかしながら、正常時における遅延量の大小関係、及び、遅延故障の発生箇所が、これとは異なっている場合においても、故障検出信号Mが期間T2〜T4(ないしT12〜T14)のいずれの期間においてハイレベルとなるかを識別することによって、遅延故障を特定することができる。
また、比較対象とする信号遅延パスの本数が増大した場合においても、上記と同様の動作(期間T2〜T14(ないし期間T12〜T14))を繰返すことによって、遅延故障の検出、及び、遅延故障が発生した信号遅延パスの特定が可能となる。
特許文献1に記載された経年劣化故障検出回路は、予め異なる遅延の経時変化率を有する複数の信号パスを利用して寿命予測を行うことから、実回路内部の遅延故障を検出することができない。
一方、本実施形態の半導体集積回路装置によると、ユーザー回路内部の信号遅延パスにおける遅延量の大小関係と、出荷検査時における信号遅延パスにおける遅延量の大小関係とが一致しているか否かを判定することにより、遅延故障の検出が可能となる。
また、本実施形態の半導体集積回路装置によると、遅延故障信号がアクティブとなる期間を識別することによって、遅延故障が発生した信号遅延パスを特定することもできる。
(実施形態2)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路装置における遅延故障検出回路10の構成を示すブロック図である。
本実施形態の遅延故障検出回路10は、図2に示した実施形態1におけるVCO13及びカウンタ14の代わりに、ADC(Analog−to−Digital Converter、アナログデジタル変換器)21を有する。ADC21は、積分回路12から出力された積分器出力電圧Oを受信し、レジスタ15にADC出力値QZを出力する。
本実施形態の遅延故障検出回路10におけるその他の構成は、図2に示した第1の実施形態に係る遅延故障検出回路10の構成と同じである。
図6を参照して、本実施形態の半導体集積回路装置の動作について説明する。
本実施形態の半導体集積回路装置においては、ADC21は、カウンタ14から出力されたカウンタ出力値Qの代わりに、積分回路12から出力された積分器出力電圧Oをデジタル変換して得られたADC出力値QZをレジスタ15に格納する(図3のステップS3)。
本実施形態の半導体集積回路装置のその他のステップにおける動作は、実施形態1の半導体集積回路装置の動作(図3)と同様である。
本実施形態の半導体集積回路装置によると、ユーザー回路内にADCが搭載されている製品においては、新にVCO回路及びカウンタを設ける必要がなくなり、本実施形態の半導体集積回路装置を実現するために追加すべき部品点数を削減することができ、回路面積の増大を防ぐことができる。
(実施形態3)
本発明の第3の実施形態に係る半導体集積回路装置について図面を参照して説明する。図7は、本施形態に係る半導体集積回路装置の構成を示すブロック図である。
図7を参照すると、本実施形態の半導体集積回路装置は、第1の実施形態の半導体集積回路装置(図1)に対して、さらに、信号遅延パスの一つとしてダミーパス22を有している。ダミーパス22は、ROSC5から出力されたクロック信号Gを受信し、セレクタ23に信号DPを出力する。
ダミーパス22の遅延量は、他の信号遅延パス6、7、8の遅延量より必ず大きくなるように設計する。
本実施形態の半導体集積回路装置の上記以外の構成は、図1に示した実施形態1の半導体集積回路装置の構成と同様である。
実施形態1においては、3つの信号遅延パス6〜8を対象にしていた。一方、本実施形態においては、さらにダミーパス22が追加されたことにより、ダミーパスを含めた4つの信号遅延パスを対象として動作する。本実施形態の半導体集積回路装置の動作は、繰り返し処理の回数が増える以外については、実施形態1の半導体集積回路装置の動作と同様である。
本実施形態によると、実施形態1の構成に故障検出対象とする信号遅延パスのなかで、故障検出対象とする信号遅延パス6、7、8の遅延量よりも大きい遅延量を持つダミーパスをあらかじめ設けることによって、最大遅延量を持った信号遅延パス(例えば、実施形態1における信号遅延パス8)における遅延故障の検出を可能とする。
(効果)
本発明の第1〜第3の実施形態の半導体集積回路装置によってもたらされる効果について説明する。
特許文献1に記載された経年劣化故障検出回路においては、テスト回路を用いた寿命予測をしていた。一方、本発明の半導体集積回路装置によると、実動作に用いられる信号遅延パスにおける経年劣化の検出が可能となる。ユーザー回路内部の複数の信号遅延パスを対象とし、製品出荷前に複数の信号遅延パス同士の組合せによる相対的な遅延量の比較結果を不揮発メモリに格納し、製品出荷後に定期的に信号遅延パス同士の組合せによる相対的な遅延量の大小関係と不揮発メモリに格納された大小関係が一致しているかを判定する手段を有するからである。
また、特許文献1に記載された経年劣化故障検出回路は、テスト回路を用いた寿命予測を行うことから、経年劣化故障が発生した場合において、故障箇所を特定することができない。一方、本発明の半導体集積回路装置によると、実回路において経年劣化による故障箇所を絞り込むことができる。実回路における複数の信号遅延パスの正常時の位相差比較結果と故障発生時の位相比較結果とが一致するか否かを判定することにより、特別な検査装置(LSIテスタ)を使用することなく、実回路において経年劣化による故障箇所を絞り込むことができるからである。
また、本発明の半導体集積回路装置によると、開発コスト及び開発TATを削減することができる。特許文献1の経年劣化故障検出回路は、テスト回路として、予め異なる遅延の経時変化率を有する複数の信号パスを必要とすることから、経年劣化を検出する機能を設けるために、事前に同一の回路を試作して評価を行う必要がある。一方、本発明の半導体集積回路装置によると、実回路における複数パスの比較によって経年劣化の検出が可能となるため、事前に同一の回路を試作して評価する必要がなくなる。例えば、1回の試作及び評価と本開発の2回の開発を、試作なしの本開発1回のみとした場合には、開発のコスト及びTATを50%程度削減することができる。
以上の記載は実施形態に基づいて行ったが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
1、2、6〜8 信号遅延パス
3 比較手段
4 警報信号生成手段
5 ROSC(リングオシレータ)
9、16、23 セレクタ
10、30 遅延故障検出回路
11、20 EOR(排他的論理和)
12 積分回路
13 VCO(電圧制御発振器)
14 カウンタ
15 レジスタ
17 比較器
18 不揮発メモリ
19 故障判定制御回路
21 ADC(アナログデジタル変換器)
22 ダミーパス
A、B、C、D、E、F 信号
G クロック信号
H、I、J、DP 信号
K テスト対象信号
L セレクタ制御信号
M 遅延故障検出信号
N 位相比較信号
O 積分器出力電圧
P VCO出力クロック信号
Q カウンタ出力値
R レジスタ格納値
S セレクタ出力信号
T 大小比較信号
U 大小比較格納値
V レジスタ制御信号
W セレクタ制御信号
X 不揮発メモリ制御信号
Y 位相が逆転する時点
Z テスト信号
QZ ADC出力値

Claims (6)

  1. 複数の信号遅延パスと、
    前記複数の信号遅延パスの間の遅延量の大小関係を計測してメモリに格納するとともに、前記複数の信号遅延パスについて計測された遅延量の大小関係と該メモリに格納された遅延量の大小関係とが一致するか否かを判定し、両者が一致しない場合には、前記複数の信号遅延パスのいずれかにおいて遅延故障が生じた旨を出力する遅延故障検出回路と、を備えている半導体集積回路装置。
  2. 前記遅延故障検出回路は、前記メモリに格納された遅延量の大小関係において、前記複数の信号遅延パスのうちの第1の信号遅延パスの遅延量が前記複数の信号遅延パスに含まれる第2の信号遅延パスの遅延量よりも小さく、該第1の信号遅延パスについて計測された遅延量が該第2の信号遅延パスについて計測された遅延量よりも大きい場合には、該第1の信号遅延パスにおいて遅延故障が生じた旨を出力する、請求項1に記載の半導体集積回路装置。
  3. 前記複数の信号遅延パスに遅延故障が生じる以前における前記複数の信号遅延パスの遅延量の最大値よりも大きい遅延量を有する信号遅延パスをさらに備えている、請求項1又は2に記載の半導体集積回路装置。
  4. 複数の信号遅延パスと、
    前記複数の信号遅延パスから出力された信号のいずれかを選択する第1のセレクタと、
    前記複数の信号遅延パスにおける遅延量を比較し、比較結果をメモリに格納するとともに、前記複数の信号遅延パスの間の遅延量の大小関係と前記メモリに格納された遅延量の大小関係が一致しているか否かを定期的に判定する遅延故障検出回路と、を備えている半導体集積回路装置。
  5. 前記遅延故障検出回路は、前記複数の信号遅延パスに対する入力信号と前記第1のセレクタからの出力信号を受信する排他的論理和と、
    前記排他的論理和からの出力信号を積分する積分回路と、
    前記積分回路からの出力信号に応じて発振周波数を制御する電圧制御発振回路と、
    前記電圧制御発振回路からの出力信号をカウントするカウンタと、
    前記カウント値を格納する複数のレジスタと、
    前記複数のレジスタから2つのレジスタ格納値を選択する第2のセレクタと、
    前記第2のセレクタによって選択された2つのレジスタ格納値の比較をする比較器と、
    前記比較結果を記録する不揮発メモリと、
    テスト信号により、前記第1のセレクタ、前記複数のレジスタ、前記第2のセレクタ及び前記不揮発メモリを制御する故障判定制御回路と、を備えている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置。
  6. 前記遅延故障検出回路は、前記複数の信号遅延パスに対する入力信号と前記第1のセレクタからの出力信号を受信する排他的論理和と、
    前記排他的論理和からの出力信号を積分する積分回路と、
    前記積分回路からの出力信号をデジタル値に変換するAD変換器と、
    前記デジタル値を格納する複数のレジスタと、
    前記複数のレジスタから2つのレジスタ格納値を選択する第2のセレクタと、
    前記第2のセレクタによって選択された2つのレジスタ格納値の比較をする比較器と、
    前記比較結果を記録する不揮発メモリと、
    テスト信号により、前記第1のセレクタ、前記複数のレジスタ、前記第2のセレクタ及び前記不揮発メモリを制御する故障判定制御回路と、を備えている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置。
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