JP2010286314A - 薄型で耐ノイズ性にすぐれた静電式近接センサの電極システム、および静電式近接センサ - Google Patents

薄型で耐ノイズ性にすぐれた静電式近接センサの電極システム、および静電式近接センサ Download PDF

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Abstract

【課題】薄型で容易に装着できるとともに、至近距離の被検出物体を満遍なく検出でき、さらに、激しい降雨や凍結、泥や融雪剤等の付着があっても、安定に動作できる高い耐環境性を備えた静電式近接センサの電極システム、および静電式近接センサを提供する。
【解決手段】絶縁ベース上に第1シールド電極膜Ssaと第2シールド電極膜Ssbが互いに絶縁隔離された状態で面方向に並んで設置され、Ssa上には第1検出電極膜Aが、Ssb上には第2検出電極膜Bが、それぞれ絶縁膜31を介して設置され、両検出電極膜A,Bは共に絶縁膜で被覆され、SsaはAが配置された部分の周囲を取り囲むようにはみ出して広がり、電極膜SsbはAが配置された部分の周囲を取り囲むようにはみ出して広がり、電極膜A,Bはそれぞれ周期的に変化する電圧で充放電されるとともに、SsaとA間、SsbとB間はそれぞれ同じ電位が印加される。
【選択図】 図1

Description

この発明は、湾曲した被装着面にも装着可能な薄型で耐ノイズ性にすぐれた静電式近接センサの電極システムおよびこの電極システムを用いた近接センサに関し、たとえば自動車バンパーの表面に装着してそのバンパーに近接する人体等を検出するのに利用して有効である。
静電式近接センサについては、たとえば、特開2003−202383号公報(特許文献1)やJPWO2004/059343号公報(特許文献2)にそれぞれ開示されている。
特許文献1には、物体検出領域に配置される平板状に形成された金属板からなる電極と、直流電源を有する充電系と、電流検出手段を有する放電系と、上記電極に対して上記充電系と上記放電系とを所定の切換周波数で交互に切り換えるスイッチとを含み、被検出物体と上記電極との間の静電容量を上記放電系に流れる電流として検出する近接スイッチが開示されている。
さらに、その特許文献1には、接近する物体を高感度に検出するため、ともに平板状に形成された同一サイズの金属板からなり、物体検出領域内でほぼ同一平面上に並設される第1および第2電極と、直流電源を有する充電系と、電流検出手段を有する放電系と、上記第1および第2電極をともに所定の切換周波数で上記充電系と上記放電系とに交互に切り換えるスイッチ手段とを備えた構成も開示されている。
特許文献2には、U字断面のレール状に形成されたシールド電極(遮蔽電極)のU字溝内に、共に帯板状の第1検出電極と第2検出電極が電極面の高さを違えた状態で収容された電極システムと、この電極システムを用いた近接センサが開示されている。このセンサは、シールド電極のU字溝の開口方向が検出領域となり、それ以外の方向はシールド電極でU字状に囲まれて非検出領域となる。
被検出体が2つの検出電極から十分な距離で離れている場合、その被検出体によって2つの検出電極にそれぞれ生じる静電容量はそれほど大きくなく、また距離による変化も緩慢であるが、距離がある程度以下になると、そこから急に増大するようになる。この急増大は被検出体に近い方の検出電極にて先に生じる。これより、2つの静電容量間の差が急激に拡大する。
したがって、その2つの静電容量をそれぞれに測定してその差出力を取り出せば、その差出力のレベル状態は、被検出体がある程度のところまで近接したところで大きく変化(急増大)する。この急増大によって被検出体の接近を検出することができる。
上述した近接センサは、ワゴン車などの車両等に取付けられている引き戸式または扉式の自動開閉ドアにおいて指挟み込みを自動的に防止させるためのセンサとして使用される。
特開2003−202383号公報 JPWO2004/059343号公報
たとえば自動車においては、運転者からの死角となる車両の前後至近距離に対する安全確認がとくに求められている。このために、たとえば車両の前後至近距離での映像を撮影して表示させるモニターカメラが提供されている。しかし、そのモニターカメラにも死角があって、たとえばバンパーの下方の狭い空間に屈んでいる幼児の存在を高い確度で発見することは困難であった。モニターカメラの死角は撮影レンズの広角化によりある程度縮小可能であるが、過度の広角化は映像の歪みを大きくして視認性を低下させるため、この種の安全確認用途には不適である。
車両の前後至近距離に存在する幼児等の障害物を確実に検出する候補手段としては、たとえば特許文献2に開示されているレール状の近接センサの利用が考えられる。この近接センサをバンパーの横幅に沿って装着すれば、バンパー下方の死角空間に隠れている幼児の存在も高い確度で検出可能になるであろう。
しかし、特許文献2の近接センサは、U字溝をなすシールド電極内に第1検出電極と第2検出電極体を、高さを違えた状態で収納するという立体構造を有する。この立体構造は検出領域外からの誘導ノイズを遮蔽するために必要な構造であるが、このような立体構造の近接センサをたとえば自動車のバンパーに装着することは、バンパーのデザインを大きく阻害し、また表面塗装の支障にもなってしまうという問題が生じる。
また、自動車のバンパー付近は風雨等の自然環境や路面状況等にもっとも過酷に曝される部分であって、この部分に装着されるセンサには、とくに高い耐環境性が要求される。特許文献1,2には、これらの問題の解決に有効な手段が開示されていなかった。
この発明は以上のような問題を鑑みたものであって、その目的は、たとえば自動車バンパー等の湾曲した被装着面にも、そのデザインを阻害することなく、また表面塗装等の支障になることもなく、薄型で容易に装着できるとともに、至近距離の被検出物体を満遍なく検出でき、さらに、激しい降雨や凍結、泥や融雪剤等の付着があっても、安定に動作できる高い耐環境性を備えた静電式近接センサの電極システムおよびこの電極システムを用いた近接センサを提供することにある。
本発明による静電式近接センサの電極システムは、次の(11)〜(14)により特定されるものである。
(11)誘電体である絶縁ベース上に第1シールド電極膜と第2シールド電極膜が互いに絶縁隔離された状態で面方向に並んで設置されていること
(12)第1シールド電極膜上には第1検出電極膜が、第2シールド電極膜上には第2検出電極膜が、それぞれ誘電体である絶縁膜を介して設置されていること
(13)第1検出電極膜および第2検出電極膜の表面は共に誘電体である絶縁膜で被覆されていること
(14)第1シールド電極膜は第1検出電極膜が配置された部分の周囲を取り囲むようにはみ出して広がり、第2シールド電極膜は第2検出電極膜が配置された部分の周囲を取り囲むようにはみ出して広がっていること
本発明による静電式近接センサは、次の(21)〜(28)により特定されるものである。
(21)電極システムと、回路システムを備えた静電式近接センサであること
(22)電極システムは、誘電体である絶縁ベース上に第1シールド電極膜と第2シールド電極膜が互いに絶縁隔離された状態で面方向に並んで設置されていること
(23)第1シールド電極膜上には第1検出電極膜が、第2シールド電極膜上には第2検出電極膜が、それぞれ誘電体である絶縁膜を介して設置されていること
(24)第1検出電極膜および第2検出電極膜の表面は共に誘電体である絶縁膜で被覆されていること
(25)第1シールド電極膜は第1検出電極膜が配置された部分の周囲を取り囲むようにはみ出して広がり、第2シールド電極膜は第2検出電極膜が配置された部分の周囲を取り囲むようにはみ出して広がっていること
(26)回路システムは、電圧印加手段と、差検出手段を備えていること
(27)電圧印加手段は、第1電圧印加手段と、第2電圧印加手段を備え、第1電圧印加手段は、第1シールド電極膜と第1検出電極膜にほぼ等しい電圧を印加するとともに、その印加電圧を繰り返し変化させ、第2電圧印加手段は、第2シールド電極膜と第2検出電極膜にほぼ等しい電圧を印加するとともに、その印加電圧を第1電圧印加手段の印加電圧に対して逆相で繰り返し変化させること
(28)差検出手段は、第1検出電極膜の蓄積電荷量と第2検出電極膜の蓄積電荷量の差分に対応した電圧信号を出力すること
たとえば自動車バンパー等の湾曲した被装着面にも、そのデザインを阻害することなく、また表面塗装等の支障になることもなく、薄型で容易に装着できるとともに、至近距離の被検出物体を満遍なく検出でき、さらに、激しい降雨や凍結、泥や融雪剤等の付着があっても、安定に動作できる高い耐環境性を備えた静電式近接センサの電極システム、および静電式近接センサを実現できる。
この発明に係る静電式近接センサの電極システムの第1実施形態を示す平面図およびその断面図である。 この発明の電極システムを用いた静電式近接センサ回路システムの実施形態を示す回路図および要部波形図である。 この発明に係る静電式近接センサの電極システムの第2実施形態を示す断面図である。 この発明に係る静電式近接センサの電極システムの第3〜5実施形態を示す断面図である。
===この発明に係る静電式近接センサの電極システムの第1実施形態===
図1は、この発明に係る静電式近接センサの電極システムの第1実施形態を平面図と厚みを誇張した断面図によって示す。
同図に示す静電式近接センサの電極システム20は、たとえば自動車のバンパーやハッチバックドアあるいは建造物の自動ドア等の被装着面11に装着されて使用されるものであって、その被装着面11と反対側面上の空間領域を検出領域とする。装着は接着剤や粘着剤等を使って行われるが、電極システム20全体を薄型の可撓構成とすることにより、自動車バンパー等の湾曲した被装着面11に沿って面状に装着させることが簡単にできる。これにより、被装着面11であるバンパー等のデザインを阻害することなく、また塗装等を阻害する突起を形成することなく、近接センサの電極システム20を装着させることができる。
この近接センサの電極システム20は、第1シールド電極膜Ssa、第1検出電極膜A、第2シールド電極膜Ssb、第2検出電極膜B、および各電極膜A,B,Ssa,Ssb間を互いに絶縁隔離するとともに、被装着体からも絶縁隔離する絶縁ベース30および絶縁膜31により構成される。絶縁ベース30および絶縁膜31は誘電体であって、フィルム添着、塗布、印刷等により積層形成される。
第1シールド電極膜Ssaと第2シールド電極膜Ssbは、絶縁ベース30上で互いに絶縁隔離された状態で配置されている。第1検出電極膜Aと第2検出電極膜Bは、長さと幅がほぼ同じ帯状であって、互いに面方向に並んだ状態で平行に近接するように配置されている。
第1シールド電極膜Ssaは、第1検出電極膜Aが配置された部分の周囲を取り囲むべく、はみ出して広がるように形成される。この第1シールド電極膜Ssaは絶縁ベース30上に形成されていて、自動車バンパー等の被装着体(被装着面11)から絶縁される。
同様に、第2シールド電極膜Ssbも、第2検出電極膜Bが配置された部分の周囲を取り囲むべく、はみ出して広がるように形成される。この第2シールド電極膜Ssbも絶縁ベース30上に形成されていて、自動車バンパー等の被装着体(被装着面11)から絶縁される。
第1および第2シールド電極膜Ssa,Ssbの上面と、第1および第2検出電極膜A,Bの上面はそれぞれ、誘電体である絶縁膜31で覆われている。第1シールド電極膜Ssaと第1検出電極膜A間、およびは第2シールド電極膜Ssbと第2検出電極膜B間も、誘電体である絶縁膜31で絶縁隔離されている。各絶縁膜31はそれぞれ絶縁フィルムの添着あるいは絶縁材の塗布もしくは印刷等により積層形成される。
第1シールド電極膜Ssaは、その周縁部が第1検出電極膜Aの外縁を面方向から取り囲む。同様に、第2シールド電極膜Ssbも、その周縁部が第2検出電極膜Bの外縁を面方向から取り囲む。この際、第1および第2検出電極膜A,Bの外縁からシールド電極膜Ssa,Ssbの外縁までの間には、ある程度以上の沿面距離(はみ出し幅)dが確保されている。
さらに、図1に示した近接センサの電極システム20では、第1および第2検出電極膜A,Bをそれぞれに同一面上で面方向から取り囲む環状シールド電極膜24が設けられている。この環状シールド電極膜24は、第1および第2検出電極膜A,Bに対して同一層面に形成されるとともに、その下側に位置するシールド電極膜Ssa,Ssbにビア25を介して導電接続されている。この環状シールド電極膜24の上側面は、第1および第2検出電極膜A,Bと共に、誘電体である絶縁膜31で覆われている。
===静電式近接センサの回路システムの実施形態===
図2は、図1に示した電極システム20を用いる静電式近接センサの回路システムをその要部波形図とともに示す。
同図において、Scaは第1検出電極膜Aの接続端子、Scbは第2検出電極膜Bの接続端子をそれぞれ示す。また、Caは被検出体の近接により第1検出電極膜Aに形成される静電容量、Cbはその被検出体の近接により第2検出電極膜Bに形成される静電容量をそれぞれ示す。
近接センサ電極システム20の検出領域に被検出体が近接すると、その被検出体により、第1および第2検出電極膜A,Bにそれぞれ静電容量Ca,Cbが生じる。この静電容量Ca,Cbは被検出体が検出電極膜A,Bに接近するにしたがって増大する。この接近したときの静電容量Ca,Cbは、第1検出電極膜Aと第2検出電極膜Bがほぼ同じ長さと幅に形成されて電極面積がほぼ同じであることにより、ほぼ同じように変化する。
一方、回路システムは、スイッチング回路Ss1,Sta,Ss2,Stbを用いた電圧印加手段と、演算増幅器(オペアンプ)51〜53を用いた差検出手段を備えている。
電圧印加手段は、スイッチング回路Ss1,Staによる第1電圧印加手段と、スイッチング回路Ss2,Stbによる第2電圧印加手段とにより構成される。スイッチング回路Ss1,StaとSs2,Stbは互いに逆相で周期的にオン/オフさせられ、それぞれに互いに異なる第1電位Vs1と第2電位Vs2(Vs1>Vs2)を切換選択する。
第1電圧印加手段をなすスイッチング回路Ss1,Staは、第1シールド電極膜Ssaと第1検出電極膜Aの接続端子Scaに、電位Vs1とVs2を周期的に切り換えながら印加する。同様に、第2電圧印加手段をなすスイッチング回路Ss2,Stbは、第2シールド電極膜Ssbと第1検出電極膜Bの接続端子Scbに、電位Vs1とVs2を周期的に切り換えながら印加する。
このとき、第1シールド電極膜Ssaと第1検出電極膜A間、第2シールド電極膜Ssbと第2検出電極膜B間にはそれぞれ、同電位が印加されるが、第1シールド電極膜Ssaおよび第1検出電極膜Aの電位と、第2シールド電極膜Ssbおよび第2検出電極膜Bの電位は、互いに極性が逆になるように印加される。
差検出手段は、第1および第2の電荷電圧変換回路と差動回路により構成される。第1電荷電圧変換回路は、演算増幅器51、負帰還容量素子Cfa、放電リセット用スイッチング回路Sraを用いて構成され、第1検出電極膜Aが形成する静電容量Caの蓄積電荷を電圧Vaに変換する。第2電荷電圧変換回路は、演算増幅器52、負帰還容量素子Cfb、放電リセット用スイッチング回路Srbを用いて構成され、第2検出電極膜Bが形成する静電容量Cbの蓄積電荷を電圧Vbに変換する。差動回路は、演算増幅器53と抵抗R1a,R1b,R2a,R2bを用いて構成され、第1および第2の電荷電圧変換回路の各出力電圧Va,Vbの差Vd(=Va−Vb)を出力する。この差出力Vdは、サンプリング用スイッチング回路Sshにより周期的に抽出される。この抽出された差出力Voを、レベル弁別などの処理を行うことにより、被検出物の接近の有無を判定することができる。
===検出動作====
上述した電極システム20と回路システムによる被検出物の接近検出動作について説明する。
図1および図2において、まず、第1シールド電極膜Ssaと第1検出電極膜A間は、共に同電位(Vs1またはVs2)が印加されることにより電荷の充放電が行われない。これにより、第1シールド電極膜Ssaは、第1検出電極膜Aを被装着体から静電遮蔽しながらも、その第1検出電極膜Aとの間に形成される静電容量は等価的にゼロとなる。つまり、第1シールド電極膜Ssaは、第1検出電極膜Aの静電挙動に干渉することなく、その第1検出電極膜Aを被装着体から静電シールドする。
同様に、第2シールド電極膜Ssbと第2検出電極膜B間も、共に同電位(Vs2またはVs1)が印加されることにより、等価的な静電容量がゼロとなる。これにより、第2シールド電極膜Ssbも、第2検出電極膜Bの検出電極の静電挙動に干渉することなく、その第2検出電極膜Bを被装着体から静電シールドする。
被装着体は、たとえば自動車のバンパー等であったりするが、これらは一般に、電気的に不完全に浮遊していて、たとえば電位は接地電位などの特定の基準電位に固定されず、さらに種々のノイズ源を内蔵あるいは搭載している場合が多い。また、被装着体自体がノイズを拾うことがある。
このような被装着体に静電式近接センサの電極システムを装着した場合、その被装着体からのノイズがもっとも懸念されるところであるが、上述した電極システムと回路システムを用いた本発明に係る静電式近接センサでは、センサ部分をなす第1検出電極膜Aと第2検出電極膜Bがそれぞれ、シールド電極膜Ssa,Ssbにより被装着体から静電シールドされることにより、その被装着体からのノイズの影響を効果的に抑圧あるいは低減させることができる。これにより、従来は静電式近接センサの弱点とされていた耐ノイズ性を改善し、むしろ、その耐ノイズ性を高めることができる。
電極システム20の検出領域に被検出物体が接近すると、この被検出物体と第1検出電極膜Aおよび第2検出電極膜Bの間にそれぞれ静電容量Ca,Cbが形成される。この静電容量Ca,Cbは、被検出物体と検出電極膜A,B間の距離が短くなるにしたがい、ほぼその距離の逆数に比例して増大する。
各検出電極膜A,Bにはそれぞれ、周期的に変化する電位(Vs1,Vs2)が印加されることにより、その印加電位の差と検出電極膜A,Bが形成する静電容量Ca,Cbの積に相当する電荷が充放電される。このとき、第1検出電極膜Aと第2検出電極膜Bには互いに逆相の電位が印加されるため、第1検出電極膜Aの静電容量Caと第2検出電極膜Bの静電容量Cbには、互いに逆極性の電荷が蓄積される。
このため、第1および第2の電荷電圧変換回路の出力電圧Va,Vbは、被検出物体の接近によりその絶対値は共に増加するが、その極性は反対となる。この極性が反対の変換出力電圧Va,Vbを差動回路に入力させると、両出力電圧Va,Vbの絶対値の総和(Va+Vb)が差出力Voとして出力される。この差出力Voを、フィルタリング処理(図示省略)などを行ってから、所定のしきい値でレベル弁別することにより、被検出物体の接近の有無を判別させることができる。
===耐ノイズ性について===
上述した検出動作において、シールド電極膜Ssa,Ssb上にて互いに面方向に並んで設置されている第1検出電極膜Aと第2検出電極膜Bにそれぞれ、カー無線等の環境電磁波ノイズが誘導されると、この誘導ノイズは第1検出電極膜Aと第2検出電極膜Bに同相で現れてそれぞれに電圧変換される。このため、第1および第2の電荷電圧変換回路の出力電圧Va,Vbにはその誘導ノイズ成分も含まれているが、このノイズ成分はほぼ同相であることにより、演算増幅器53による差動回路にて差動相殺される。これにより、耐ノイズ性が高められる。
この場合、第1検出電極膜Aと第2検出電極膜Bを、その長さと幅がほぼ同じの帯状とするとともに、互いに平行に近接するように配置することにより、ノイズの同相除去効率を高めて、耐ノイズ性をさらに高めることができる。
===耐環境性について===
この発明に係る近接センサの電極システム20の主要な利用形態としては、たとえば自動車バンパーに装着して使用することが想定されている。しかし、自動車のバンパー付近は風雨等の自然環境や路面状況等にもっとも過酷に曝される部分であって、この部分に装着されるセンサには、とくに高い耐環境性が要求される。上述した近接センサ電極システム20をバンパーに装着した場合、激しい降雨や凍結、泥や融雪剤等の付着が予想される。
このため、この発明の近接センサ電極システム20では、図1に示すように、各電極膜Ssa,Ssb,A,Bの表面をそれぞれ誘電体である絶縁膜31で覆い、さらに、第1検出電極膜Aの外縁から第1シールド電極膜Ssa外縁までの間、第2検出電極膜Bの外縁から第2シールド電極膜Sabの外縁までの間にそれぞれ、ある程度以上の沿面距離(はみ出し幅)dを確保している。
まず、各電極膜Ssa,Ssb,A,Bの表面を誘電体である絶縁膜31で覆うことにより、雨水、泥、融雪剤などが電極A,Bに直接接触して浸食するのを防ぐことができる。また、シールド電極膜Ssa,Ssbについては、その下面が誘電体である絶縁ベース30により、被装着体から絶縁隔離および保護されている。
次に、検出電極膜A,Bの外縁からシールド電極膜Ssa,Ssbの外縁までの間にある程度以上の沿面距離dを確保することにより、検出電極膜A,Bによる検出動作が抵抗導電性の水膜によって阻害されるのを回避させることができる。
検出電極膜A,Bの表面は絶縁膜31によって保護されるが、その絶縁膜31の表面が雨水や融雪剤を含んだ水などで濡れて水膜ができると、この水膜は抵抗性導電膜として検出電極膜A,Bに覆い被さる。
この抵抗性導電膜は電極システム20と被装着体に跨って覆い被さるため、検出電極膜A,Bが、被装着体に導電接続している導電膜で覆われてしまったのと同じような作用を受け、正常な検出動作が阻害されてしまう。
しかし、この発明の電極システム20では、検出電極膜A,Bの外縁からシールド電極膜Ssa,Ssbの外縁までの間にある程度以上の沿面距離dを確保することにより、検出電極膜A,Bに覆い被さる抵抗性導電膜を、その沿面距離d部分にて被装着体から交流的に分離させることができる。これにより、その抵抗性導電膜による検出動作への影響を回避させることができる。
雨水や融雪剤を含んだ水などの水膜は、1cm平方あたり数百Kオーム〜数Mオームの抵抗性導電膜を形成するが、シールド電極膜Ssa,Ssbに覆い被さる部分の抵抗性導電膜は、そのシールド電極膜Ssa,Ssbとの間で絶縁膜31を介して分布容量を形成する。この分布容量がある程度以上の沿面距離dにわたって形成されることにより、検出電極膜A,Bを囲む環状部分の内側と外側を交流的に遮断するローパス・フィルタの分離帯が分布形成される。これにより、激しい降雨や凍結、泥や融雪剤等の付着があっても、感度低下が小さく安定に動作できる高い耐環境性を得ることができる。
===沿面距離(はみ出し幅)dについて===
沿面距離dは、雨水や融雪剤を含んだ水などの水膜が形成する抵抗性導電膜の抵抗率、検出電極膜A,Bの充放電駆動周波数、沿面距離d部分にてシールド電極膜Ssa,Ssbを覆う絶縁体の厚さと誘電率等によって決めることができる。具体的には、検出電極膜A,Bの充放電駆動周波数よりも低いカットオフ周波数を持つローパス・フィルタが分布形成されるように沿面距離dを設定すればよい。一般的構造では、沿面距離dは1cm以上さらに好ましくは2cm以上確保されていることが望ましい。
===近接センサ電極システムの第2実施形態===
図3は、この発明に係る静電式近接センサの電極システムの第2実施形態を示す。同図に示す電極システム20では、シールド電極膜Ssa,Ssbの上に絶縁膜31を介して検出電極膜A,Bを設けるとともに、各検出電極膜A,Bは、その下に位置するシールド電極膜Ssa,Ssbの周縁部によってほぼ面方向から環状に囲繞されている。
===近接センサ電極システムの第3〜5実施形態===
図4は、この発明に係る静電式近接センサの電極システムの第3〜5実施形態を示す。
同図の(a)に示す電極システム20では、検出電極膜A,Bの外縁を面方向から取り囲むシールド電極膜Ssa,Ssbの周縁部に沿って、高抵抗の導電性被覆26が環状に設けられている。導電性被覆26は上面が露出されているとともに、シールド電極膜Ssa,Ssbに接続されている。この導電性被覆26は、雨水等による抵抗性導電膜が形成される場合に、検出電極膜A,Bと被装着体間を一層確実に分離させるのに有効である。
同図の(b)に示す電極システム20では、検出電極膜A,Bの外縁を面方向から取り囲むシールド電極膜Ssa,Ssb周縁部の幅の一部を露出させている。
同図の(c)に示す電極システム20では、検出電極膜A,Bの外縁を面方向から取り囲むシールド電極膜Ssa,Ssbの周縁部の幅の全部を露出させている。
上記のように、シールド電極膜Ssa,Ssbのはみだし部分上の誘電体層を削除すること、あるいはその厚さを薄くすることは、検出電極膜A,Bと被装着体間の交流的分離を一層確実にする上で有効であり、これにより、そのはみ出し部分の幅(沿面距離d)を縮小させることができる。
11 電極システムの被装着面
20 電極システム
A 第1検出電極膜
B 第2検出電極膜
Ssa 第1シールド電極膜
Ssa 第2シールド電極膜
24 環状シールド電極膜
25 ビア
26 高抵抗の導電性被覆
30 絶縁ベース
31 絶縁膜
51 第1電荷電圧変換回路を構成する演算増幅器
52 第2電荷電圧変換回路を構成する演算増幅器
53 差動回路を構成する演算増幅器
d 沿面距離(はみ出し幅)
Sca 第1検出電極膜Aの接続端子
Scb 第2検出電極膜Bの接続端子
Ca 第1検出電極膜Aに形成される静電容量
Cb 第2検出電極膜Bに形成される静電容量
Cfa,Cfb 負帰還容量素子
Sra,Srb 放電リセット用スイッチング回路
Vs1,Vs2 印加電位(Vs1>Vs2)
Sta,Stb,Ss1,Ss2 電位Vs1,Vs2を切り換えるスイッチング回路
Vd 差出力
Vo サンプリング抽出された差出力

Claims (5)

  1. 誘電体である絶縁ベース上に第1シールド電極膜と第2シールド電極膜が互いに絶縁隔離された状態で面方向に並んで設置され、
    第1シールド電極膜上には第1検出電極膜が、第2シールド電極膜上には第2検出電極膜が、それぞれ誘電体である絶縁膜を介して設置され、
    第1検出電極膜および第2検出電極膜の表面は共に誘電体である絶縁膜で被覆され、
    第1シールド電極膜は第1検出電極膜が配置された部分の周囲を取り囲むようにはみ出して広がり、第2シールド電極膜は第2検出電極膜が配置された部分の周囲を取り囲むようにはみ出して広がっている、
    静電式近接センサの電極システム。
  2. 請求項1において、第1検出電極膜と第2検出電極膜は、長さと幅がほぼ同じの帯状であって、互いに平行に近接するように配置されていることを特徴とする静電式近接センサの電極システム。
  3. 請求項1または2において、第1検出電極膜を同一面上で面方向から取り囲む第1環状シールド電極膜と、第2検出電極膜を同一面上で面方向から取り囲む第2環状シールド電極膜が設けられ、各環状シールド電極膜はそれぞれ、第1および第2検出電極膜に対して同一層面に形成されるとともに、その下側に位置するシールド電極膜に導電接続され、その上側面が第1および第2検出電極膜と共に、誘電体である絶縁膜で覆われていることを特徴とする静電式近接センサの電極システム。
  4. 電極システムと、回路システムを備えた静電式近接センサであって、
    電極システムは、誘電体である絶縁ベース上に第1シールド電極膜と第2シールド電極膜が互いに絶縁隔離された状態で面方向に並んで設置され、
    第1シールド電極膜上には第1検出電極膜が、第2シールド電極膜上には第2検出電極膜が、それぞれ誘電体である絶縁膜を介して設置され、
    第1検出電極膜および第2検出電極膜の表面は共に誘電体である絶縁膜で被覆され、
    第1シールド電極膜は第1検出電極膜が配置された部分の周囲を取り囲むようにはみ出して広がり、第2シールド電極膜は第2検出電極膜が配置された部分の周囲を取り囲むようにはみ出して広がっており、
    回路システムは、電圧印加手段と、差検出手段を備え、
    電圧印加手段は、第1電圧印加手段と、第2電圧印加手段を備え、第1電圧印加手段は、第1シールド電極膜と第1検出電極膜にほぼ等しい電圧を印加するとともに、その印加電圧を繰り返し変化させ、第2電圧印加手段は、第2シールド電極膜と第2検出電極膜にほぼ等しい電圧を印加するとともに、その印加電圧を第1電圧印加手段の印加電圧に対して逆相で繰り返し変化させ、
    差検出手段は、第1検出電極膜の蓄積電荷量と第2検出電極膜の蓄積電荷量の差分に対応した電圧信号を出力する
    静電式近接センサ。
  5. 請求項4において、差検出手段は、第1検出電極膜の蓄積電荷量を電圧変換する第1の電荷電圧変換回路と、第2検出電極膜の蓄積電荷量を電圧変換する第2の電荷電圧変換回路と、第1および第2の電荷電圧変換回路の各出力電圧の差を出力する差動回路とを備えていることを特徴とする静電式静電式近接センサ。
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