JP2010286267A - 対象物検出装置及び対象物検出方法 - Google Patents

対象物検出装置及び対象物検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】周辺の状況や観測機器による影響を抑え、対象物を正確に検出することのできる対象物検出装置を得る。
【解決手段】射影装置2は、記憶装置1に記憶されている3次元の座標値をもつ点群データを平面に射影した射影パターンを生成する。平滑化装置3は、対象物に対し平滑化した射影パターン上でピークを生成するよう射影パターンを平滑化する。照合装置4は、平滑化した射影パターンとテンプレートパターンとを照合し、対象物が存在した地点の平滑化した射影パターンと一致あるいは近似するテンプレートパターンとの相関が高い平滑化した射影パターン上の位置を対象物の存在位置として検出する。
【選択図】図1

Description

この発明は、レーザ計測などによって得た街路等の3次元の点群データから、電柱等の円筒形対象物を検出する対象物検出装置及び対象物検出方法に関するものである。
車両など移動体を走行させながら、周囲の対象空間の3次元形状を取得する三次元形状計測システムであるモービルマッピングシステムが開発されている。このようなモービルマッピングシステムでは、車両にGPS(Global Positioning System)とジャイロスコープ等の慣性航法装置とレーザスキャナを搭載して、点群データを取得する。GPSと慣性航法装置によって自車両の位置と姿勢を正確に計測し、これにレーザスキャナによって対象物までの変位を計測、加算することによって、レーザパルスが照射された地点の3次元座標を取得する。レーザスキャナは、距離計測方向であるレーザパルスの照射方向をその回転面内で回転させながら順次照射し、照射方向にある物体までの距離を計測していく。1周期の回転で1断面上の点群が得られ、更に車両を進行させることにより、対象空間にわたる点群データを取得していくことができる。
ところで、その結果を設備管理に利用するためには、その点群の中から、例えば電柱といったように目的の設備を検出しなければならない。このような点から、電柱に代表される円筒形形状の対象物を検出することが求められている。
このような、従来の対象物検出装置として、鉄道車両を走行させながら取得した3次元の点群データから、電柱を検出する技術があった(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載された装置では、鉄道車両にGPSとジャイロスコープ等の慣性航法装置とレーザスキャナを搭載して、点群データを取得している。また、この装置では、レーザパルスの回転軸を車両の進行方向に一致させ、更に回転面を鉛直にして点群を取得している。レーザスキャナの回転周期は短いため、例えば対象空間に電柱が存在した場合、レーザパルスは電柱の表面上、鉛直方向に順次照射される。従って、計測される点群は電柱を反映して鉛直に並んだものとなる。レーザスキャナの1観測周期の連続する鉛直方向の観測において点群が計測され、更に、鉄道車両の進行による前後の観測周期、つまり、前後に平行移動した地点の観測にて、レーザスキャナの観測有効距離範囲内に物体がなくて計測結果が存在しない場合には、そこに細い鉛直の物体が存在することになる。このような点群観測パターンとなる地点を電柱として検出している。
また、従来、距離画像という形で得られている3次元の点群から円筒形状の抽出を行う技術があった(例えば、特許文献2参照)。これは、各点についてそれと近接する点で構成される面の曲率を算出し、その値によって点が円筒面上にあるかどうかを判定する。このようにして抽出した円筒面上の点について、中心軸と断面形状を求めることによって円筒形状を抽出する。
特開2005−70840号公報(9頁4〜11行、図10) 特開2004−294234号公報
しかしながら、特許文献1に示す対象物検出装置では、レーザスキャナの観測周期で連続に点群が計測され、その前後の観測周期では点群が計測されない地点を電柱とするため、電柱に他の地物が隣接している場合や、電柱のすぐ後方に広い壁面が存在する場合は、前後の観測周期においても点群が観測されるため、電柱として検出できないという問題点があった。また、連続する観測結果および前後の観測周期での観測結果を参照するため、それがわかるように、点群データは計測順序あるいは時刻、更にその観測周期を表す属性データを有していなければならないことになる。しかしながら、点群データは、一般にこのような情報を有しているとは限らず、その場合には電柱検出ができないという問題点があった。更に、レーザスキャナの回転面が鉛直になるように設置されていない場合には、取得された点群データからは電柱が検出できないという問題点があった。
また、特許文献2に示す対象物検出装置は、密に点が取得されている距離画像に対して用いられる。レーザスキャナで街路の3次元点群を取得する場合、例えば、スキャナの照射角度の間隔が1度である場合、スキャナから電柱までが5mあったとすると電柱上での計測点の間隔は約9cmである。電柱の直径を30cmとすれば、4個程度観測点が並ぶのみとなる。このような粗さでは電柱表面の正確な曲率が得られず、従って、電柱の抽出に対しては適用が難しいという問題点があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、周辺の状況や観測機器による影響を抑え、電柱といった対象物を正確に検出することのできる対象物検出装置及び対象物検出方法を得ることを目的とする。
この発明に係る対象物検出装置は、3次元の座標値をもつ点群データを水平面に射影し射影パターンを生成する射影手段と、射影パターンを入力とし、所定のフィルタ関数で平滑化した平滑化射影パターンを生成する平滑化手段と、平滑化射影パターンと所定のテンプレートパターンとを照合し、テンプレートパターンとの相関が高い平滑化射影パターン上の位置を対象物の存在位置として検出する照合手段とを備えたものである。
この発明の対象物検出装置は、点群データを水平面に射影した射影パターンを生成すると共に、射影パターンを所定のフィルタ関数で平滑化した平滑化射影パターンとテンプレートパターンとを照合して対象物の位置を検出するようにしたので、周辺の状況や観測機器による影響を抑え、対象物を正確に検出することができる。
本発明の実施の形態1による対象物検出装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置の点群データを示す説明図である。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置が対象とする点群を示す説明図である。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置の円筒形物における射影面への射影状態を示す説明図である。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置の射影面への射影状態を拡大して示す説明図である。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置のx軸上での断面波形を示す説明図である。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置の正規分布の波形を示す説明図である。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置の射影パターンの生成を示す説明図である。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置の円筒形物と点群を示す説明図である。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置が生成する射影パターンを説明する説明図である。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置が生成する平滑射影パターンを説明する説明図である。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置のテンプレートパターンを説明する説明図である。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置が検出した対象物の検出座標データを示す説明図である。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置の点群データの一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置の射影パターンの一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置の平滑化射影パターンの一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態1による対象物検出装置のテンプレートパターンの一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態2による対象物検出装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2による対象物検出装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2による対象物検出装置の動作を示す説明図である。 本発明の実施の形態3による対象物検出装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3による対象物検出装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3による対象物検出装置の動作を示す説明図である。 本発明の実施の形態4による対象物検出装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態4による対象物検出装置の動作を示すフローチャートである。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による対象物検出装置の構成を示すブロック図である。
図示の対象物検出装置は、記憶手段である記憶装置1と、射影手段である射影装置2と、平滑化手段である平滑化装置3と、照合手段である照合装置4とを備えている。
記憶装置1は、3次元の座標値をもつ点群データを記憶する装置である。射影装置2は、記憶装置1に記憶されている点群データを水平面に射影した射影パターンを生成する装置である。平滑化装置3は、対象物に対し平滑化した射影パターン上でピークを生成するよう射影装置2で生成された射影パターンを平滑化する装置である。照合装置4は、平滑化装置3で平滑化した射影パターンと、予め設けたテンプレートパターンとを照合し、対象物が存在した地点の平滑化した射影パターンと一致あるいは近似するテンプレートパターンとの相関が高い平滑化した射影パターン上の位置を対象物の存在位置として検出する装置である。
尚、対象物検出装置はコンピュータを用いて実現され、記憶装置1は、半導体メモリやハードディスク装置からなるものである。また、射影装置2〜照合装置4は、それぞれの機能に対応したソフトウェアと、これらのソフトウェアを実行するためのCPUやメモリといったハードウェアから構成されている。あるいは射影装置2〜照合装置4を専用のハードウェアで構成してもよい。
次に、実施の形態1の対象物検出装置の動作について説明する。
全体としての動作は次の通りである。即ち、記憶装置1に記憶された3次元の座標値からなる図2に示すような点群データ5を、射影装置2により水平面である射影面100(例えば図10参照)に射影した射影パターン12(例えば図11参照)を生成する。次に、平滑化装置3にて電柱の半径によって決まるパラメータを用いて平滑化を行うことで平滑化射影パターン13(例えば図12参照)を生成する。更に、照合装置4によって記憶装置1に格納されている電柱パターン(テンプレートパターン14(例えば図13参照))に合致する部分を平滑化射影パターン13から検出し、その検出された位置を円筒形物7の位置10として記憶装置1に格納する(円筒形物7と位置10は例えば図10参照)。
図2は、点群データ5を示す説明図である。
図3は、点群データ5の内容を示す説明図である。
図4は、円筒形物7における射影面への射影状態を示す説明図である。
点群データ5は、例えば、図2に示すような形式にて記憶装置1に格納されている。
図3において、各点6は(x,y,z)の3次元座標値を有している。点6はK個あるとし、そのk番目の点Pkの座標値を(xk,yk,zk)で表す。x,y,zは平面直角座標系であってもよいし、適宜原点をとって例えば東向きにx、北向きにyをとった座標系でもよい。単位は例えばmとする。以下、x,y,zは右手系としてz軸を高さ方向、鉛直上向きとして説明する。3次元空間中の点6群中から、電柱等を表す鉛直な円筒形物7の形状を検出する。特に、円筒形形状上の点を8と表す。
点6群は車両等に搭載されたレーザスキャナ(図示せず)によって計測され、電柱等の円筒形物7があった場合、その表面上に点8が取得される。通常、レーザスキャナは広い角度にレーザパルスを照射して計測を行うため、電柱においてもその表面に広く点8が取得されることになる。その場合、電柱は鉛直であるため、水平面に射影すれば電柱設置地点の位置10のxy座標値近傍に射影点11が集中し、電柱の輪郭を表す円9上に載ることになる。
そこで、本実施の形態では、点群をxy平面上に射影して所望の半径をもつ円上に多くの点が射影されている部分、即ち、電柱部分を検出する。更に、テンプレートパターン14とのマッチングを行うことにより、円筒形以外の地点、例えば、壁面などによって直線上に射影点が集中する箇所や樹木の枝や葉の重なりによって比較的一様に射影点が並ぶ箇所との判別を行う。
以下、円筒形物7の検出の詳細について説明する。点群の水平面(射影面100)への射影パターンをf(x,y)とする。図4のように、鉛直な円筒形物7が存在する場合、その表面上の計測点群(点8群)は、xy平面上、円筒形の半径Rを半径とする円9上に射影される。点が集中する部分101が円筒形物7の候補となる。ただし、ノイズや円筒形の傾斜、また、レーザパルスの照射具合により、必ずしも明確な円を構成するとは限らず、様々な射影パターンを示す。更に、建築物の壁面など円筒形以外でも、点が集中して射影される。
そこで、射影パターン12から円筒形部分を的確に検出するため、平滑化装置3によってフィルタ処理を行う。これは、円筒形物7が存在した場合、その位置10にてパターンが極大であるピーク値をとるように変換する処理である。更に、円筒形以外の部分の誤検出を防ぐため、変換後のパターンについて、照合装置4が円筒形の理想的な変換後のパターンと照合する。
ここでは標準偏差をσとする等方的な2次元のガウス関数、
Figure 2010286267
を考え、これによって重みを変化させたガウシアンフィルタを構成し、これを畳み込むフィルタ処理を行う。このフィルタ処理は、円筒形物7が存在した場合に、射影パターン上でその円筒形物7に対応したピーク値をなすようにするものである。このような作用が確認できれば、他のフィルタによって構成してもよい。
ガウシアンフィルタを採用した場合に、射影パターン上にピーク値ができることを、以下に確認する。
まず、原点を通りxy平面に垂直な中心軸をもつ半径Rの円筒形物7があるとする。円筒形表面上で一様に点8が計測されているとすれば、その点8により生成される射影パターンf(x,y)は、ディラックのデルタ関数を用いて、
Figure 2010286267
とモデル化できる。ここで、図5に示すように、sは円9上の(R,0)からxy平面上反時計回りに測った円周上の長さである。また、θ=s/Rである。aは射影の強度を表す変数で、円筒形物7の高さが高く、多くの点8が円9上に射影される場合は、大きな値となる。つまり、円9の円周上に限り、円筒形物7の高さに比例した強度を有するパターンを表す。
このときのガウシアンフィルタによる平滑化した平滑化射影パターン13であるF(x,y)は、
Figure 2010286267
となる。
このF(x,y)の形状を調べる。このパターンは等方的であるのでx軸上で考えることにする。y=0に限定して、
Figure 2010286267
とする。xに対する変化率を調べると、Fx(x)の導関数F’x(x)は、
Figure 2010286267
であり、これはx=0でF’x(0)=0となる。よって、F(x,y)は原点で極値をとる。更に、F’x(x)の微分、
Figure 2010286267
を用いて、F(x,y)の原点での極値が極大値となる条件を調べる。
Figure 2010286267
であるから、極大値となるには、F”x(0)<0でなければならず、これを満たす条件は、
Figure 2010286267
である。つまり、半径Rがσの√2倍未満であれば、その円9の中心で平滑射影パターンF(x,y)がピーク値をとる。波形は等方性をもつので、ピークを探索することにより円9を検出できることになる。f(x,y)では、一つの円筒形物7に対して円周上に値の高い位置が並ぶことになるが、これを、F(x,y)上で、一つの円筒形物7を円pの中心に生じる一つのピークに対応させている。
このとき、円の中心でのピークの値は、
Figure 2010286267
である。これはaを係数に有しており、円9への射影点11が多いほど、つまり、円筒形物7が高くてその表面の点8群が多いほどこの値は大きくなる。
また、このF(0,0)をRの関数とみると、R=σで最大値(a/σ)exp(−1/2)をとる。つまり、検出所望の円筒形物7の半径Rをσとしてフィルタを構成すれば、その半径Rの円筒形物7に対する感度が最も高くなり、更に、半径がその√2倍までの円筒形物7で中心にピークを構成し、検出することができる。電柱等においては、いくつか半径の規格がある。また、ノイズや傾きの影響により、射影面上では実際の半径と異なって表されることもある。本実施の形態では、それら全てを検出することを可能とすることができる。R=σとしたときのx軸上での断面の波形16であるF(x,0)を図6に示す。
このように、平滑化射影パターン13上で、ピーク値をとり、かつ、それが大きな値であれば、高さが高く半径がRに近い円筒形物7が存在することになる。
ガウシアンフィルタによる影響は、点からσの2倍程度で小さくなり3倍程度の範囲に収まるとみなすことができる。従って、円筒形物7の表面に十分な点8群が得られていれば、周囲に他の地物があったとしてもその影響は小さい。
さて、このようにピークを検出することで、円筒形物7はピークを構成するが、この他にも、例えば壁面や樹木、その他の地物によっても平滑化パターン上、ピークとなることがある。そこで、これらピークから円筒形物7の形状によるピークを判別しなければならない。ここでは、円筒形物7の形状によりピーク近傍での理想的なパターンを表すテンプレートパターン14と照合することでこれを実行する。
テンプレートパターン14は、例えば、以下のような考え方で生成する。円筒形物7が存在したときの、F(x,y)の値を度数とみて、その平均と標準偏差からなる正規分布を考え、その形状をテンプレートパターン14とする。F(x,y)の平均は等方性より原点である。
以下、標準偏差σFについて説明する。これも、やはり等方性があるのでx軸上で考えることができ、
Figure 2010286267
である。分子は、
Figure 2010286267
この式でかっこ内は、中心がRcosθであるガウス関数を重みとするxの二乗和である。
これをガウス関数の平均Rcosθと分散σ2で表すと、
Figure 2010286267
よって分子は、
Figure 2010286267
分母も同様に、
Figure 2010286267
よって、分散は、
Figure 2010286267
である。2個の定積分は台形公式等により求める。
所望の円筒形物7の半径Rをσとした場合は、
Figure 2010286267
と得られる。これより、
Figure 2010286267
と決定できる。あるいは、定積分の分子分母で表されるものは、cosθの二乗についてのexp{−Rsinθ×Rsinθ/(2σ×σ)}による重み付き平均であるので、これをcosθの二乗の平均0.5で近似して、
Figure 2010286267
としてもよい。このように標準偏差σFを定める。
以上より、テンプレートパターン14は、正規分布、つまりガウス関数、
Figure 2010286267
とする。ピーク位置に対してこのテンプレートパターンとの一致度を計算し、一致度が高い場合に円筒形が存在すると判定する。例えば、壁面では壁方向に尾根状に高い値が続くとともに、明確なピークが構成されない。樹木などでは枝ぶりや葉の広がりによってより平坦なパターンとなる。このように壁面や樹木ではテンプレートパターンとの一致度が低くなるため、これにより判別できる。
電柱が傾きをもつ場合は、高さで輪切りにして考えれば、各高さ位置の微小な円筒形物7上の点8群は、射影、平滑化されると、上記F(x,y)を傾き方向に高さに応じてずらしたパターンを生成する。つまり、傾いた電柱では、F(x,y)を順次ずらして合算したパターンとなり、傾いた方向に分散が大きくなる。10mの電柱が1度傾いている場合、射影位置のずれは、最大10sin1度≒0.17mである。標準偏差σFのパターンが、射影位置が0から0.17までずれて重なることになる。ずれ方向の分散は、各微小円筒形によるパターンの、射影ずれの中点0.085m地点からの差の二乗平均の更にパターン間での平均で表され、σFの二乗にずれの最大値である0.17mの二乗を12で除したものを加えた値となる。半径Rが0.15mでσをRに等しくしている場合で考えると、σFは1.250×Rより0.1875であるのに対し、傾き方向の標準偏差は、わずかではあるが、0.194に広がる。標準偏差の変化はわずかにとどまっており、平滑化射影パターン13上でもピークを生じ、同じようなパターンを保つ。そこで、標準偏差が一方の軸がσFで他方がこの広がった標準偏差値である異方性の正規分布パターンを考え、これとテンプレートパターン14との一致度を求める。この一致度を円筒形と判定するようにしきい値を設定することで、電柱など円筒形物7が傾いている場合でも、その円筒形物7を検出することができる。あるいは、微小な円筒形に対する上記F(x,y)をずらして重ね合わせ、テンプレートパターン14の一致度を求めてしきい値を設定してもよい。
また、計測時の車両の経路や遮蔽物により、点8が円筒形物7の表面上くまなく計測されず、射影点11が円9の一部に偏る、あるいは、一部が欠ける場合がある。このような場合は、逆に、欠けた部分の向きに対してピークが狭まり、その方向には分散が小さくなる。円筒形物7の南側半分のみ点8群が取得されている場合、平滑化射影パターン13の標準偏差は、東西方向にはσFであるが、南北方向はこれに満たない。しかし、平滑化を行っているためσ以上に保たれる。標準偏差が小さくなるので、計測された側によるものの、平滑化射影パターン13上でピークが失われることはなく、また、σ以上に保たれるので、大きくパターンが変化することはない。そこで、標準偏差が一方の軸がσで他方がσFである異方性の正規分布パターンを考え、これとテンプレートパターン14との一致度を求める。あるいは、この場合も片側のみ点8群が得られた場合の平滑化射影パターン13を生成してテンプレートパターン14との一致度を求めてもよい。これら一致度を円筒形と判定するようにしきい値を設定することで、片側のみ点8群が得られている場合でも、円筒形物7を検出することができる。
このように、傾いた円筒形や片側だけが計測されたような円筒形においても、テンプレートパターンとの一致度の判定しきい値を適切に設定することにより、これらを検出することが可能である。
更に、円筒形物7近傍に壁面などの他の鉛直な面があったとしても、平滑化による影響は距離とともに小さくなるので、円筒形物7による平滑化射影パターン13上のピークに大きな影響を及ぼすことはなく、円筒形物7を検出することができる。
もちろん、上記の半径Rの円9が存在したときのF(x,y)をそのままテンプレートパターン14としてもよい。その波形16は、図7にx軸上の断面を示す通り正規分布T(x,y)の波形17に近い。所望のRに対するテンプレートパターンの生成は正規分布パターンとすることで、これを容易に近似して得ることができる。尚、図でこれらの波形は正規化してプロットしている。
また、平滑化装置3が実行するフィルタがガウシアンフィルタでない場合は、それに合わせたテンプレートパターン14が必要になる。この場合も、上記と同様な考え方で、円筒形物7が存在した場合の平滑射影パターンを近似する正規分布を求め、これをテンプレートパターン14とする。
以上によって、点群からの円筒形形状の検出が可能となる。
以下、図8のフローチャートによって対象物検出装置の動作を説明する。
ステップST1では、射影装置2が記憶装置1から点群データ5を読み出す。これは、点群データ5を構成する点6群全てでもよいし、範囲を区切って検出を行う場合には、あるx,yの範囲に入る一部分のみでもよい。
ステップST2では、射影装置2は射影パターン12を初期化する。射影パターン12は離散化している。xk,ykそれぞれの最小値をxmin,ymin、最大値をxmax,ymaxとする。また、射影パターン12のx,y軸の離散化の幅をΔλ、例えばΔλ=5cmとする。射影パターン12をfdとすれば、fdのサイズはガウス記号[]を用いて、{[(xmax−xmin)/Δλ]+1}×{[(ymax−ymin)/Δλ]+1}となる。以上より、射影パターン12を、fd(n,m),0≦n≦[(xmax−xmin)/Δλ],0≦m≦[(ymax−ymin)/Δλ]と表す。更に、その値を全て0にする。
ステップST3では、図9に示すように、射影装置2は点6群を射影面であるxy平面に射影し射影パターン12を生成していく。射影点11(xk,yk)に対し、対応するfd([(xk−xmin)/Δλ],[(yk−ymin)/Δλ])を決定し、その値に1加算する。これはつまり、それぞれのΔλ×Δλの離散化領域に入る点数を表すことになる。円筒形物7が存在する場合、その値が大きくなる。図10のような円筒形物7の形状がある場合、図11のような射影パターン12が得られる。
ステップST4では、平滑化装置3にて射影パターンfdを平滑化し、評価パターンを生成する。平滑化には、ガウスフィルタG(x,y)をΔλによって離散化して用いる。σ=Rとして、
Figure 2010286267
によりフィルタを得る。尚、ここで−U≦n≦U、−U≦m≦U、Uは3σを超える最小の整数とする。このときGd(n,m)のサイズは(2U+1)×(2U+1)となる。また、便宜上、Gd(n,m)は、その中央をGd(0,0)で表す。射影パターンfd(n,m)を平滑化して、図12に示すような平滑射影パターンFd(n,m)を得る。このとき、円筒形物7の位置10にてピーク値をとるようになる。
Figure 2010286267
フィルタパターンのGd(n,m)は、予め作成して記憶装置1に記憶されているものとする。あるいは、平滑化装置3にて作成するように構成してもよい。
ステップST5では、照合装置4が、記憶装置1に格納されているテンプレートパターン14を呼び出して平滑化射影パターン13との照合を行い、平滑化射影パターン13中に存在するテンプレートパターン14を検出する。これには、テンプレートマッチングを実行する。テンプレートパターン14は、半径Rの円筒形物7が存在したときに、その射影と平滑化によって出現するパターンを模擬したものである。平滑化射影パターン13中にこのテンプレートパターン14が現れれば、そこに円筒形物7が存在すると判定できる。テンプレートパターン14は、図13に示すような、正規分布関数であるT(x,y)をΔλで離散化した、
Figure 2010286267
であり、予め作成して記憶装置1に記憶されているものとする。あるいは、照合装置4にて作成するように構成してもよい。テンプレートの領域は、例えば、−S≦n≦S、−S≦m≦S、Sは3σFを超える最小の整数とする。このときTd(n,m)のサイズは(2S+1)×(2S+1)となる。尚、便宜上、Td(n,m)は、その中央をTd(0,0)で表す。
テンプレートマッチングでは、平滑射影パターンの(n,m)における評価値を、例えば、相関係数とする。この相関係数は、
Figure 2010286267
のように計算する。Fd(n,m)がピーク値を取り、E(n,m)の値が予め定めたしきい値E0以上のときに、(n,m)に円筒形が存在するとして、その座標値(n,m)を記憶装置1に格納する。このしきい値E0は、例えば、0.8のように設定する。あるいは、既知の円筒形存在箇所での評価値のうち、最小となる値を設定してもよい。
尚、評価値には、他の評価尺度、例えば、テンプレートに入る範囲の値の和が1になるように正規化した後、対応するパターン値の差の絶対値和やパターン値の差の二乗和を求めてこの値を用いてもよい。ただし、この場合は、小さいほうが一致度が高くなるので、予め定めたしきい値E0以下のときに、(n,m)に円筒形が存在するとする。
ステップST6では、評価パターンE上の円筒形検出座標値(n,m)をxy座標値に変換して格納する。これは、例えば、(n,m)に対しては、その離散化領域の中心点((n+0.5)Δλ+xmin,(m+0.5)Δλ+ymin)でよく、あるいは、E(n,m)近傍のパターンを2次方物面で近似して、その極大値を与える位置(nmax,mmax)を求め、これを変換してもよい。このようにして得た円筒形位置のxy座標値を図14に示すように円筒形検出データ15として記憶装置1に格納する。尚、検出された位置はJ個で、そのj番目の位置Qjのx、y座標を(Xj,Yj)と表している。
以上の動作により、点群データ5から円筒形物7の存在する位置を検出することができる。
次に、実際の点群データ5を用いて実行した例を示す。電柱である円筒形物7で図15のように得られている点6群に対し、円筒形物7の近傍にて図16のような射影パターン12が得られ、σ=R=18cmとして図17のような平滑化射影パターン13が生成される。円筒形物7の部分では、その平滑化射影パターン13は、図18に示すσF=1.25Rとしたテンプレートパターン14と同様なパターンとなる。この例では、相関係数Eが0.96となり両者はよく一致している。このように、点6群からの円筒形物7の検出が可能である。尚、これらの図では、パターンを見やすくするため、パターン値のスケールは、それぞれ異なるものにして表している。
尚、上記実施の形態では、点群の全ての点6を射影パターン12に射影するとして説明したが、電柱等は地面からある程度の高さまで至っており、高さであるz座標値が大きいもののみを射影パターンに射影させるように動作させてもよい。この場合、処理時間が節約される他、地面上の点や低木などの影響をなくすことができ、より正確に円筒形を検出できるようになる。
また、上記実施の形態では、半径Rに対する一つのテンプレートパターン14を用いるように構成したが、電柱等の規格により、複数の半径の円筒形を検出したい場合には、それぞれの半径Rに対する複数のテンプレートパターン14を用いるように構成してもよい。σの値によって、平滑化射影パターン13において各半径Rの円筒形物7がピークを生成するならば、平滑化射影パターン13と、それらテンプレートパターン14との照合を順次行うように構成し、最も合致するテンプレートパターン14の半径の円筒形物7が存在するとして検出する。
この構成によれば、近傍の他の地物による影響を受けずに、電柱等の円筒形対象物を検出できるようになる。また、計測順序あるいは時刻、観測周期を表す属性データを有していない点群データに対しても、3次元の座標値のみを有していれば、電柱等の円筒形形状を検出することができる。更に、点群データ計測の際のレーザスキャナの回転面が鉛直ではなくとも、円筒形形状を検出することができる。更に、街路上、レーザスキャナにて計測された粗さの点群データに対して円筒形形状を検出することができるようになる。
以上のように、実施の形態1の対象物検出装置によれば、3次元の座標値をもつ点群データを水平面に射影し射影パターンを生成する射影手段と、射影パターンを入力とし、所定のフィルタ関数で平滑化した平滑化射影パターンを生成する平滑化手段と、平滑化射影パターンと所定のテンプレートパターンとを照合し、テンプレートパターンとの相関が高い平滑化射影パターン上の位置を対象物の存在位置として検出する照合手段とを備えたので、レーザスキャナ等を用いて計測された街路等の点群中から、近傍の形状の影響を受けずに、また、レーザスキャナ等の回転軸方向に制限を設けずに、電柱等の対象物を検出することができる。
また、実施の形態1の対象物検出装置によれば、検出する対象物が円筒形状であり、平滑化手段が行う平滑化で使用するフィルタ関数が、標準偏差が対象物の底面の半径であるガウス関数で与えられるガウシアンフィルタとしたので、電柱等の円筒形対象物を壁面や樹木と判別して、適切に検出することができる。
また、実施の形態1の対象物検出装置によれば、検出する対象物が円筒形状であり、テンプレートパターンを、標準偏差が対象物の底面の半径の1.25倍程度であるガウス関数によって形成されるテンプレートパターンとしたので、平滑化した射影パターン中の円筒形対象物が存在する地点のパターンを近似するテンプレートパターンを容易に構成することができる。
また、実施の形態1の対象物検出方法によれば、3次元の座標値をもつ点群データから対象物の存在位置を検出する対象物検出方法において、点群データを水平面に射影し射影パターンを生成する射影工程と、射影パターンを入力とし、所定のフィルタ関数で平滑化した平滑化射影パターンを生成する平滑化工程と、平滑化射影パターンと所定のテンプレートパターンとを照合し、対象物が存在した地点の平滑化した射影パターンと一致あるいは近似するテンプレートパターンとの相関が高い平滑化射影パターン上の位置を対象物の存在位置として検出する照合工程とを備えたので、レーザスキャナ等を用いて計測された街路等の点群中から、近傍の形状の影響を受けずに、また、レーザスキャナ等の回転軸方向に制限を設けずに、電柱等の対象物を検出することができる。
実施の形態2.
図19は、本発明の実施の形態2による対象物検出装置の構成を示すブロック図である。実施の形態2の対象物検出装置は、記憶装置1、射影装置2、平滑化装置3および標準偏差評価装置18からなる。標準偏差評価装置18は標準偏差評価手段を構成するものであり、平滑化射影パターン13上で山状になる領域のピークを検出してピークのある位置のまわりの標準偏差を算出し、標準偏差が所定の値をとる位置を対象物の存在位置として検出する手段である。尚、記憶装置1〜平滑化装置3は、実施の形態1の構成と同様であるため、ここでの説明は省略する。
以下、本発明の実施の形態2による対象物検出装置の動作を図20のフローチャートによって説明する。図中、実施の形態1の動作とは異なる動作をステップST21〜ST23として示している。ステップST1〜ST4,ST6の処理は実施の形態1と同様であるため、その説明は省略する。
ステップST21では、標準偏差評価装置18が、先ず平滑化射影パターン13のピーク値を検出する。図21は、平滑化射影パターン13上のピーク値の説明図である。ここで、ピーク値とは平滑射影パターンFd(n,m)において、Fd(n,m)>Fd(n−1,m),Fd(n,m)>Fd(n+1,m),Fd(n,m)>Fd(n,m−1),Fd(n,m)>Fd(n,m+1)となる点である。更に、あるしきい値Fd0を設定して、Fd(n,m)>Fd0となる条件を付加してもよい。Fd0は、例えば、既知の円筒形存在部分についてFd(n,m)の値を調べ、その最小値とする。ここで得られたピーク位置201について、P個得られたとしてそのp番目を(np,mp)と表す。
ステップST22では、引き続き標準偏差評価装置18が、各ピーク位置について、標準偏差を求め、その値から円筒形物7が存在した場合の半径を算出する。これには、p番目のピーク位置(np,mp)については、平滑化射影パターン13の(np,mp)を中心に、図21に示すように、例えば、np‐3σF/Δλ≦n≦np+3σF/Δλ、mp‐3σF/Δλ≦m≦mp+3σF/Δλの範囲202にてFd(n,m)の値を分布度数とみて標準偏差σp
Figure 2010286267
を求める。なお、範囲202をΩと表記した。
p番目のピーク位置に半径Rpの円筒形物7が存在すれば、その半径Rpは、上記式(15)、あるいは式(18)にてσFをσpと置き換えて表現できる。式(18)によれば、
Figure 2010286267
のように円筒形物7の半径を求める。
ステップST23では、引き続き標準偏差評価装置18が、各ピーク位置について、円筒形物7が存在するかどうかを判定する。これには、p番目のピーク位置(np,mp)における標準偏差σpについて、式(25)で算出される半径Rpが、例えば所望の半径Rに一致するかどうかで行う。Rとの差が予め定めた±ΔR以内であれば、(np,mp)に半径Rの円筒形物7が存在するとしてxy座標値に変換ののち円筒形検出データ15として記憶装置1に格納する。
あるいは、Rpが、例えば電柱の規格に定められている半径の一つに一致するかどうかを調べる。これも、同様に差が一定値以内であれば、一致する半径の円筒形物7が存在すると判定する。
あるいは、標準偏差ではなく、共分散行列を求め、標準偏差の他、パターンの等方性も用いて判定するようにしてもよい。
以上のように、実施の形態2の対象物検出装置によれば、3次元の座標値をもつ点群データを水平面に射影し射影パターンを生成する射影手段と、射影パターンを入力とし、所定のフィルタ関数で平滑化した平滑化射影パターンを生成する平滑化手段と、平滑化射影パターン上で山状になる領域のピークを検出してピークのある位置のまわりの標準偏差を算出し、標準偏差が所定の値をとる位置を対象物の存在位置として検出する標準偏差評価手段とを備えたので、テンプレートパターンを保持することなく、対象物を検出することができる。また、対象物として、例えば異なる半径の円筒形が混在するといった場合でも、的確に検出することができる。
実施の形態3.
図22は、本発明の実施の形態3による対象物検出装置の構成を示すブロック図である。実施の形態3の対象物検出装置は、記憶装置1、照合装置4およびパターン射影装置19を備えている。パターン射影装置19はパターン射影手段を構成しており、2次元パターンを射影するものであり、点群1点に対して、射影パターン12上にフィルタパターン301(図24参照)を加算していくよう構成されている。即ち、パターン射影装置19は、3次元の座標値をもつ点群データ各々の平面への射影位置に、所定の2次元パターンを射影して、評価用射影パターンを生成するパターン射影手段である。また、照合装置4は、基本的な構成は実施の形態1の照合装置4と同様であり、パターン射影装置19から出力された評価用射影パターンとテンプレートパターン14とを照合するよう構成されている。更に、記憶装置1は実施の形態1の記憶装置1と同様である。
次に、実施の形態3による対象物検出装置の動作を図23のフローチャートと図24によって説明する。尚、図23のフローチャートにおいて、ステップST31以外の処理は実施の形態1におけるステップST1,ST2,ST5,ST6と同様であるため、同一ステップ番号を付してその説明を省略する。
ステップST31では、パターン射影装置19は点6群に対し、その点のみが実施の形態1における平滑化装置3による平滑化を受けた場合のパターンを射影する。平滑化後のパターンは、Gd(n,m)そのものであり、これを射影するフィルタパターン301とする。このGd(n,m)は、例えば実施の形態1と同様にσ=Rとして式(20)で与えられるものとする。点Pk(xk,yk,zk)に対しfd(n,m)上の射影点11は([(xk−xmin)/Δλ],[(yk−ymin)/Δλ])であり、これを(nk,mk)と表す。射影パターン12をfd(n,m)とすれば、−U≦i≦U、−U≦j≦Uに対して、
Figure 2010286267
と加算していく。図24は、点Pk(xk,yk,zk)に対してフィルタパターン301を射影した結果を表している。全ての点6群に対して射影を行った場合、射影パターンfd(n,m)は実施の形態1で得られるFd(n,m)と同一となる。以下のステップST5以降では、fd(n,m)を平滑化パターンFd(n,m)として処理を行う。
この構成によれば、各点毎に平滑化処理を行うことになる。例えば広範な街路中、地面からある程度の高さをもった点群が少なく、そのような点のみを射影した場合、射影パターン12中、点群が何も射影されない領域が圧倒的になる。このような場合、射影されていない離散化領域に対する平滑化処理を省くことができ、高速に処理を実行することができる。
以上のように、実施の形態3の対象物検出装置によれば、3次元の座標値をもつ点群データ各々の平面への射影位置に、所定の2次元パターンを射影して、評価用射影パターンを生成するパターン射影手段と、評価用射影パターンと所定のテンプレートパターンとを照合し、テンプレートパターンとの相関が高い評価用射影パターン上の位置を対象物の存在位置として検出する照合手段とを備えたので、点群が粗く偏在して分布するような場合に、検出を短時間で行うことができる。
また、実施の形態3の対象物検出装置によれば、検出する対象物が円筒形状であり、射影手段が射影する2次元パターンが、標準偏差が対象物の底面の半径であるガウス関数で与えられるパターンとしたので、電柱等の検出対象の円筒形対象物が存在した場合、その底面の中心にて射影パターンがピークをとるようにすることができ、容易に円筒形対象物の位置を検出できる。
実施の形態4.
図25は、本発明の実施の形態4による対象物検出装置の構成を示すブロック図である。実施の形態4の対象物検出装置は、記憶装置1、射影装置2、フィルタ装置20、判定装置21を備えている。記憶装置1及び射影装置2は、実施の形態1と同様であるため、ここでの説明は省略する。フィルタ装置20はフィルタ手段を構成するもので、射影パターン12に対して、平滑化射影パターン13の値と、平滑化射影パターン13とテンプレートパターン14との相関係数との積を与えるようなフィルタ処理を行う手段である。即ち、フィルタ装置20は、射影パターンを入力とし、所定のフィルタを射影パターンに作用させるフィルタ手段である。また、判定装置21は判定手段を構成するもので、フィルタ装置20におけるフィルタ処理の結果から円筒形物7の存在を判定する手段である。
以下、本発明の実施の形態4による対象物検出装置の動作を図26のフローチャートによって説明する。尚、ステップST41〜ST43が実施の形態4の特徴的な処理であり、ステップST1〜ST3は、実施の形態1と同様の処理であるため、同一ステップ番号を付してその説明を省略する。
実施の形態1では、円筒形物7の位置にてピークを形成するため、平滑化装置3にて射影パターン12に対してガウシアンフィルタを適用し、更に、照合装置4においては、平滑化射影パターン13とテンプレートパターン14との相関係数を計算した。この相関係数は、相互相関をそれぞれのパターンの二乗和で除したものとなる。実施の形態1のようにテンプレートパターン14をガウス関数で与えた場合、その対称性より、この相互相関はガウス関数による畳み込み積分、つまりガウシアンフィルタを作用させた結果と一致する。従って、この相互相関は、射影パターンに対し、平滑化に用いた標準偏差σとテンプレートパターンに採用した標準偏差σFの2つのガウシアンフィルタを作用させた結果となる。本実施の形態では、この2つのガウシアンフィルタを合成して得られる円筒形検出フィルタを作用させることにより、円筒形物7の検出を行う。
これより、平滑化射影パターン13とテンプレートパターン14との相互相関をH(x,y)とおけば、
Figure 2010286267
ここで、合成したガウス関数G’(x,y)は、
Figure 2010286267
である。以上より、H(x,y)=G’(x,y)*f(x,y)である。
よって、合成したガウス関数G’(x,y)の、S’=3√(σ2+σF2)として、−S’≦x≦S’、−S’≦y≦S’の範囲を離散化して円筒形検出フィルタGd’(n,m)を構成する。これを射影パターン12に作用させればよい。このときの円筒形検出フィルタを作用させた射影パターンFd’(n,m)と相関係数E(n,m)は、それぞれ、
Figure 2010286267
である。更に、評価値E’(n,m)を以下のように定義する。
Figure 2010286267
これは、相関係数E(n,m)と平滑化射影パターン13のテンプレート領域内の二乗和の平方根との積となる。後者は、テンプレート領域内に射影される射影点11数に関係し、鉛直な地物が存在する場合は大きくなる。従って、前者はテンプレート形状との相関であるから円筒形との一致度、後者は射影点数に関係して鉛直面らしさの指標となり、その積で円筒形物7の評価値としている。
特に、テンプレートパターン14の二乗和は、
Figure 2010286267
である。G’(x,y)をこの値の平方根倍し、
Figure 2010286267
とする。
このG”(x,y)を離散化して円筒形検出フィルタGd’(n,m)として用いれば、
Figure 2010286267
より、
Figure 2010286267
となる。E’(n,m)を計算する際に、テンプレートパターンの二乗和の平方根の算出と乗算が省かれ、フィルタを作用させた射影パターンFd’(n,m)をそのまま評価パターンとすることができる。
上記のように、σ=R、σF=1.25Rとした場合は、
Figure 2010286267
となる。つまり、このガウス関数G”(x,y)の標準偏差はRの1.6倍、係数はRの−3乗の0.014倍の値となる。
ステップST41では、フィルタ装置20にて射影パターンfdに円筒形検出フィルタGd’(n,m)を作用させる。円筒形検出フィルタは、予め作成して記憶装置1に記憶されているものとする。あるいは、フィルタ装置20にて作成するように構成してもよい。また、σは、例えば上記のように所望の円筒形半径Rに、σFは1.25Rに設定する。このとき、Gd’(n,m)を与えるガウス関数の標準偏差は1.6Rである。
ステップST42では、判定装置21は、E’(n,m)がピーク値を取り、E’(n,m)の値が予め定めたしきい値E’0以上のときに、(n,m)に円筒形が存在するとして、その座標値(n,m)を記憶装置1に格納する。このしきい値E’0は、例えば、0.8に円筒形物7上に計測が期待される点群数の最小の値を乗じたものとする。あるいは、既知の円筒形存在箇所での評価値のうち、最小となる値を設定してもよい。
ステップST43では、評価パターンE’上の円筒形検出座標値(n,m)をxy座標値に変換する。この動作は上記ステップST6の動作と同様である。
以上のように、実施の形態4の対象物検出装置によれば、3次元の座標値をもつ点群データを水平面に射影した射影パターンを生成する射影手段と、射影パターンを入力とし、所定のフィルタを射影パターンに作用させるフィルタ手段と、フィルタを作用させた射影パターン上で山状になる領域のピークとなる位置を円筒形の対象物の存在位置として検出する判定手段とを備えたので、各ピーク点におけるテンプレートパターンとの相関係数演算を省いて、フィルタ処理一度で評価値を求めることができ、高速に処理を実行することができる。
また、実施の形態4の対象物検出装置によれば、フィルタ手段が作用させるフィルタを、標準偏差が円筒形対象物の底面の半径の1.6倍程度であるガウス関数で与えられるガウシアンフィルタとしたので、フィルタを作用させた射影パターンは、その値が半径Rの円筒形対象物にてピークを構成する平滑化射影パターンの値と平滑化射影パターンと半径Rの円筒形対象物が存在する場合の平滑化射影パターンを表すテンプレートパターンとの相関係数の積を因数としてもつようになり、その値をそのまま円筒形対象物の存在評価尺度とすることができる。
また、実施の形態4の対象物検出装置によれば、ガウシアンフィルタを与えるガウス関数の係数が、円筒形対象物の底面の半径の−3乗の0.014倍程度であるガウス関数としたので、フィルタを作用させた射影パターンは、その値が平滑化射影パターンの値と平滑化射影パターンとテンプレートパターンとの相関係数の積になり、その値をそのまま円筒形対象物の存在評価尺度とすることができる。
尚、上記実施の形態1,3では、照合装置4は平滑化射影パターン13にて円筒形物7の存在位置を検出したが、更に、点群データ5を用いて、円筒形の詳細判定を行うように構成してもよい。例えば、検出した円筒形の位置10の近傍、例えば、±3σF以内に射影される点6を円筒形物7上の点8とみなし、それらの慣性主軸を中心軸とし、底面の円は最小二乗法にて復元、中心軸方向や底面の半径にて誤検出を判定する。あるいは、円筒形物7上とみなした点8についてz座標値の範囲や最大値を求め、それが電柱等の高さに比べて適切かどうかにより、誤検出を判定するように構成してもよい。上記実施の形態2の標準偏差評価装置18、上記実施の形態4の判定装置21の動作についても同様である。
また、上記各実施の形態では、対象物として電柱等の円筒形状としたが、円筒形状だけでなく断面正n角形の柱状物に適用することができる。柱状物の断面が正n角形である場合、その外接円(半径をRnとする)と辺上の点との距離は最大でRn{1−cos(π/n)}である。これは、例えば断面が正方形で外接円の半径が15cmであった場合、4.4cmとなり、点群を得たときのGPSの計測誤差と同程度、nが5以上では更に小さくなる。このため、誤差を含む実際の円筒形の点群によってしきい値を調整すると、nが4以上の正n角形の断面をもつ柱状物も同様に検出することができる。同様に、柱状物の断面が楕円であっても、長半径と短半径との差がこの程度に収まるものであれば検出することができる。さらに、断面が一般の形状であっても外接円との距離がこの程度に収まれば同様に検出することができる。
さらに、上記各実施の形態では、点6群は三次元形状計測システムであるモービルマッピングシステムで計測されたものとしたが、これに限るものではなく、例えば、地上型の三次元レーザスキャナを用いた計測や、航空機レーザ測量、写真測量による点群、あるいは、トータルステーションなどの測量機器によって計測された点群であっても同様に実施することができる。
1 記憶装置、2 射影装置、3 平滑化装置、4 照合装置、5 点群データ、6 点、7 円筒形物、8 円筒形形状上の点、9 円、10 位置、11 射影点、12 射影パターン、13 平滑化射影パターン、14 テンプレートパターン、15 円筒形検出データ、16 波形、17 正規分布の波形、18 標準偏差評価装置、19 パターン射影装置、20 フィルタ装置、21 判定装置、100 射影面、101 点が集中する部分、201 ピーク位置、202 範囲、301 フィルタパターン。

Claims (10)

  1. 3次元の座標値をもつ点群データを水平面に射影し射影パターンを生成する射影手段と、
    前記射影パターンを入力とし、所定のフィルタ関数で平滑化した平滑化射影パターンを生成する平滑化手段と、
    前記平滑化射影パターンと所定のテンプレートパターンとを照合し、前記テンプレートパターンとの相関が高い前記平滑化射影パターン上の位置を対象物の存在位置として検出する照合手段とを備えた対象物検出装置。
  2. 3次元の座標値をもつ点群データを水平面に射影し射影パターンを生成する射影手段と、
    前記射影パターンを入力とし、所定のフィルタ関数で平滑化した平滑化射影パターンを生成する平滑化手段と、
    前記平滑化射影パターン上で山状になる領域のピークを検出して当該ピークのある位置のまわりの標準偏差を算出し、前記標準偏差が所定の値をとる位置を対象物の存在位置として検出する標準偏差評価手段とを備えた対象物検出装置。
  3. 検出する対象物が円筒形状であり、平滑化手段が行う平滑化で使用するフィルタ関数が、標準偏差が前記対象物の底面の半径であるガウス関数で与えられるガウシアンフィルタであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の対象物検出装置。
  4. 3次元の座標値をもつ点群データ各々の平面への射影位置に、所定の2次元パターンを射影して、評価用射影パターンを生成するパターン射影手段と、
    前記評価用射影パターンと所定のテンプレートパターンとを照合し、前記テンプレートパターンとの相関が高い前記評価用射影パターン上の位置を対象物の存在位置として検出する照合手段とを備えた対象物検出装置。
  5. 検出する対象物が円筒形状であり、射影手段が射影する2次元パターンが、標準偏差が前記対象物の底面の半径であるガウス関数で与えられるパターンであることを特徴とする請求項4記載の対象物検出装置。
  6. 検出する対象物が円筒形状であり、テンプレートパターンが、標準偏差が前記対象物の底面の半径の1.25倍程度であるガウス関数によって形成されるテンプレートパターンであることを特徴とする請求項1または請求項4記載の対象物検出装置。
  7. 3次元の座標値をもつ点群データを水平面に射影した射影パターンを生成する射影手段と、
    前記射影パターンを入力とし、所定のフィルタを前記射影パターンに作用させるフィルタ手段と、
    前記フィルタを作用させた射影パターン上で山状になる領域のピークとなる位置を円筒形の対象物の存在位置として検出する判定手段とを備えた対象物検出装置。
  8. フィルタ手段が作用させるフィルタが、標準偏差が円筒形対象物の底面の半径の1.6倍程度であるガウス関数で与えられるガウシアンフィルタであることを特徴とする請求項7記載の対象物検出装置。
  9. ガウシアンフィルタを与えるガウス関数の係数が、円筒形対象物の底面の半径の−3乗の0.014倍程度であるガウス関数であることを特徴とする請求項8記載の対象物検出装置。
  10. 3次元の座標値をもつ点群データから対象物の存在位置を検出する対象物検出方法において、
    前記点群データを水平面に射影し射影パターンを生成する射影工程と、
    前記射影パターンを入力とし、所定のフィルタ関数で平滑化した平滑化射影パターンを生成する平滑化工程と、
    前記平滑化射影パターンと所定のテンプレートパターンとを照合し、前記対象物が存在した地点の平滑化した射影パターンと一致あるいは近似するテンプレートパターンとの相関が高い前記平滑化射影パターン上の位置を前記対象物の存在位置として検出する照合工程とを備えた対象物検出方法。
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