JP2010285719A - 水解性繊維シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(i)所定の繊維を含む材料を湿式抄紙して、繊維ウェッブを製造する工程;そして(ii)上記繊維ウェッブを、ウォータージェット処理し、水解性繊維シートを製造する工程:を含むことを特徴とする、水解性繊維シートの製造方法。
【選択図】なし
Description
すなわち、上述のクリーニングシートは、水解性と、湿潤強度との一見相反する性質を有する必要がある。
叩解度が700cc以上の未叩解パルプ(a)を30〜50質量%;
叩解度が400〜650ccの叩解パルプ(b)を20〜40質量%;
叩解度が700cc以上の再生セルロース(c)を15〜45質量%;及び
叩解度が0〜400ccのフィブリル化した精製セルロース(d)を2〜15質量%、ここで叩解パルプ(b)及びフィブリル化した精製セルロース(d)は、それぞれ、本体部分と当該本体部分から延びるマイクロファイバー部分とを有し、フィブリル化した精製セルロース(d)の本体部分の、重さ加重平均繊維長分布のピークにおける繊維長が1〜7mmの範囲内にあり;そして
(ii)上記繊維ウェッブを、ウォータージェット処理し、水解性繊維シートを製造する工程、ここで、上記水解性繊維シートにおいて、叩解パルプ(b)及びフィブリル化した精製セルロース(d)のマイクロファイバーが、それぞれ、他の繊維と交絡している:
を含むことを特徴とする、水解性繊維シートの製造方法により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[態様1]
(i)次の繊維を含む材料を湿式抄紙して、繊維ウェッブを製造する工程;
叩解度が700cc以上の未叩解パルプ(a)を30〜50質量%;
叩解度が400〜650ccの叩解パルプ(b)を20〜40質量%;
叩解度が700cc以上の再生セルロース(c)を15〜45質量%;及び
叩解度が0〜400ccのフィブリル化した精製セルロース(d)を2〜15質量%、ここで叩解パルプ(b)及びフィブリル化した精製セルロース(d)は、それぞれ、本体部分と当該本体部分から延びるマイクロファイバー部分とを有し、フィブリル化した精製セルロース(d)の本体部分の、重さ加重平均繊維長分布のピークにおける繊維長が1〜7mmの範囲内にあり;そして
(ii)上記繊維ウェッブを、ウォータージェット処理し、水解性繊維シートを製造する工程、ここで、上記水解性繊維シートにおいて、叩解パルプ(b)及びフィブリル化した精製セルロース(d)のマイクロファイバーが、それぞれ、他の繊維と交絡している:
を含むことを特徴とする、水解性繊維シートの製造方法。
工程(ii)の後に、(iii)水解性繊維シートを乾燥する工程をさらに含む、態様1に記載の水解性繊維シートの製造方法。
[態様3]
フィブリル化した精製セルロース(d)のマイクロファイバー部分が、フィブリル化した精製セルロース(d)の乾燥質量の0.1〜65質量%を占める、態様1又は2に記載の水解性繊維シートの製造方法。
再生セルロース(c)の平均繊維長が、3〜13mmの範囲にある、態様1〜3のいずれか1つに記載の水解性繊維シートの製造方法。
再生セルロース(c)が、平均繊維長が3mm以上8mm以下の範囲にある再生セルロース(c−1)と、平均繊維長が8mm超13mm以下の範囲にある再生セルロース(c−2)とを含む、態様1〜4のいずれか1つに記載の水解性繊維シートの製造方法。
上記水解性繊維シートの水解性が600秒以下である、態様1〜5のいずれか1つに記載の水解性繊維シートの製造方法。
上記水解性繊維シートのMDの湿潤強度が、3N/25mm以上であり、CDの湿潤強度が、MDの湿潤強度の70%以上の値を有する、態様1〜6のいずれか1つに記載の水解性繊維シートの製造方法。
また、本発明の方法により製造される水解性繊維シートは、高い湿潤強度を有しつつ、使用後に大量の水に浸されると容易に分散することができるので、トイレ等に流して廃棄することができる。
さらに、本発明の方法により製造される水解性繊維シートは、人体にとって害のないものから構成されているので、人体に直接接触する部分に用いることができる。
未叩解パルプ(a)は、本発明の方法により製造される水解性繊維シートに嵩高性を付与するための成分である。未叩解パルプ(a)としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプ、マニラ麻、リンダーパルプ、竹パルプ、ケナフ等を挙げることができる。未叩解パルプ(a)としては、強度及び水分散性が両立しやすい針葉樹パルプが好ましい。針葉樹パルプとしては、針葉樹晒クラフトパルプを挙げることができる。
なお、本明細書において、平均繊維長における「平均」の用語は、加重平均を意味する。
叩解パルプ(b)は、本発明の方法により製造される水解性繊維シートに強度、すわなち、乾燥強度及び湿潤強度を付与するための成分である。叩解パルプ(b)の素材としては、未叩解パルプ(a)と同様に、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプ、マニラ麻、リンダーパルプ、竹パルプ、ケナフ等を挙げることができる。未叩解パルプ(a)としては、強度及び水分散性が両立しやすい針葉樹パルプが好ましい。針葉樹パルプとしては、針葉樹晒クラフトパルプを挙げることができる。叩解パルプ(b)は、未叩解パルプ(a)と同一の素材であってもよく、又は異なる素材であってもよい。
再生セルロース(c)は、本発明の方法により製造される水解性繊維シートに風合いを付与し且つ湿潤強度を高める成分である。再生セルロース(c)としては、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン等が挙げられる。
フィブリル化した精製セルロース(d)は、本発明の方法により製造される水解性繊維シートに、水解性と、湿潤強度との両方を付与する成分である。フィブリル化した精製セルロース(d)は、精製セルロースの表面が細かくフィブリル化している、すなわち、サブミクロンの太さのマイクロファイバーが繊維(フィブリル化した精製セルロース(d))の本体部分の表面から剥離し、繊維の本体部分の表面からマイクロファイバーが延びている。フィブリル化した精製セルロース(d)の繊維は、フィブリル化された表面を有するので、平滑な表面を有する通常の精製セルロースの繊維とは異なる表面構造を有する。
なお、本明細書において、「粘状叩解」は、繊維長を変化させることなく、繊維の表面をフィブリル化する、すなわち毛羽立たせることを意図する叩解を意味するが、繊維の表面がフィブリル化されるものであれば、繊維長が若干短くなるものも粘状叩解に含まれる。
なお、上記重さ加重平均繊維長分布は、メッツォオートメーション社製カヤーニ繊維長測定器を用いて測定することができる。
本発明の方法により製造される水解性繊維シートは、未叩解パルプ(a)、叩解パルプ(b)、再生セルロース(c)及びフィブリル化した精製セルロース(d)を含む。
未叩解パルプ(a)、叩解パルプ(b)、再生セルロース(c)及びフィブリル化した精製セルロース(d)の量は、それらの合計量を基準として、それぞれ、30〜50質量%、20〜40質量%、15〜45質量%及び2〜15質量%であり、好ましくは、それぞれ、35〜45質量%、15〜25質量%、30〜40質量%及び3〜10質量%である。
フィブリル化した精製セルロース(d)は、本発明の方法により製造される水解性繊維シートに、水解性と、湿潤強度との両方を付与する成分である。ただし、フィブリル化した精製セルロース(d)の量が増加すると、経済的に不利になる傾向がある。
また、本発明の方法により製造される水解性繊維シートを乾燥すると、叩解パルプ(b)及び/又はフィブリル化した精製セルロース(d)の表面のOH基による水素結合により、シートの強度が高くなる。また、フィブリル化の割合を高くする、すなわち、マイクロファイバーの割合を増やすと、繊維の表面積が多くるので、水素結合による結合強度も高くなる。以上のように、上記水素結合力は、高い水解性及び強度、特に乾燥強度に貢献しうる。
水解性繊維シートを、縦10cm×横10cmに切断し、イオン交換水300mLが入った容量300mLのビーカーに投入して、回転子を用いて撹拌する。回転速度は600rpmである。
目視により、水解性繊維シートの分散状態を、経時観察し、水解性繊維シートが細かく分散されるまでの時間を測定する。
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、カナディアン・スタンダード・フリーネス(CSF)=740cc)をミキサーにかけて、叩解度が600ccである叩解パルプ(b)を得た。テンセル(レンチング社(オーストリア)、商品名、平均繊維長3mm、1.7dtex)を、バッチ式離解機(相川鉄工製、パルパー)及び連続式離解機(相川鉄工(株)製、B型トップファイナー)により粘状叩解し、フィブリル化した精製セルロース(d)(重さ加重平均繊維長分布のピークにおける繊維長3mm、マイクロファイバー部分1.54質量%、叩解度212cc)を得た。未叩解パルプ(a)として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、カナディアン・スタンダード・フリーネス(CSF)=740cc)を準備し、再生セルロース(c)−1として、ビスコースレーヨン(オーミケンシ製、平均繊維長7mm、1.1dtex)を準備した。
[未叩解パルプ(a)及び叩解パルプ(b)の量の検討]
表1に示すように、未叩解パルプ(a)、叩解パルプ(b)、再生セルロース(c)−1及びフィブリル化した精製セルロース(d)を配合し、角型シートマシーンを用いて湿式抄紙法により繊維ウェッブを製造した。当該繊維ウェッブを、100メッシュのプラスチックネットに乗せ、下面から水をサクションで吸引しながら、次いでこの繊維ウェッブの上面からノズル(ノズル径92μ、0.5mmピッチ)2本を用いてウォータージェット処理(処理圧80kg/cm2、走行スピード30m/min)し、次いでロータリードライヤーで乾燥して水解性繊維シートを得た。
得られた水解性繊維シートについて、水解性、並びに乾燥時及び湿潤時の強度及び引張破断伸びを、以下の試験方法で評価した。
水解性は、上述のように、JIS P 4501のトイレットペーパーほぐれやすさ試験に準拠して評価した。
水解性繊維シートNo.1〜No.7の乾燥時及び湿潤時の強度及び引張破断伸びを、上述の試験方法に従って測定した。測定は、乾燥時及び湿潤時ともに、MD及びCDの両方に対して行った。結果を、併せて表1に示す。
なお、叩解パルプ(b)の割合が高すぎると、繊維ウェッブ形成時のろ水性が低下し、生成した繊維ウェッブ、ひいては水解性繊維シートの縦横比の差が大きくなり、地合いも悪くなる傾向が見られた。
[再生セルロース(c)及びフィブリル化した精製セルロース(d)の量の検討]
表2に示すように、未叩解パルプ(a)、叩解パルプ(b)、再生セルロース(c)−1、再生セルロース(c)−2(ビスコースレーヨン、オーミケンシ製、平均繊維長10mm、1.1dtex)及びフィブリル化した精製セルロース(d)を用いた以外は、実施例1と同様にして、水解性繊維シートNo.8〜No.10を得た。
また、水解性繊維シートNo.8及びNo.9を比較すると、フィブリル化した精製セルロース(d)の量を増やすことにより、湿潤強度が大きく向上することが分かる。
さらに、水解性繊維シートNo.8及びNo.10を比較すると、平均繊維長の異なる2種の再生セルロース(c)を併用することにより、湿潤強度向上させることできることが分かる。
Claims (7)
- (i)次の繊維を含む材料を湿式抄紙して、繊維ウェッブを製造する工程;
叩解度が700cc以上の未叩解パルプ(a)を30〜50質量%;
叩解度が400〜650ccの叩解パルプ(b)を20〜40質量%;
叩解度が700cc以上の再生セルロース(c)を15〜45質量%;及び
叩解度が0〜400ccのフィブリル化した精製セルロース(d)を2〜15質量%、ここで叩解パルプ(b)及びフィブリル化した精製セルロース(d)は、それぞれ、本体部分と当該本体部分から延びるマイクロファイバー部分とを有し、フィブリル化した精製セルロース(d)の本体部分の、重さ加重平均繊維長分布のピークにおける繊維長が1〜7mmの範囲内にあり;そして
(ii)前記繊維ウェッブを、ウォータージェット処理し、水解性繊維シートを製造する工程、ここで、前記水解性繊維シートにおいて、叩解パルプ(b)及びフィブリル化した精製セルロース(d)のマイクロファイバーが、それぞれ、他の繊維と交絡している:
を含むことを特徴とする、水解性繊維シートの製造方法。 - 工程(ii)の後に、(iii)水解性繊維シートを乾燥する工程をさらに含む、請求項1に記載の水解性繊維シートの製造方法。
- フィブリル化した精製セルロース(d)のマイクロファイバー部分が、フィブリル化した精製セルロース(d)の乾燥質量の0.1〜65質量%を占める、請求項1又は2に記載の水解性繊維シートの製造方法。
- 再生セルロース(c)の平均繊維長が、3〜13mmの範囲にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水解性繊維シートの製造方法。
- 再生セルロース(c)が、平均繊維長が3mm以上8mm以下の範囲にある再生セルロース(c−1)と、平均繊維長が8mm超13mm以下の範囲にある再生セルロース(c−2)とを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水解性繊維シートの製造方法。
- 前記水解性繊維シートの水解性が600秒以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水解性繊維シートの製造方法。
- 前記水解性繊維シートのMDの湿潤強度が、3N/25mm以上であり、CDの湿潤強度が、MDの湿潤強度の70%以上の値を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水解性繊維シートの製造方法。
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