JP2010284765A - ワイヤ放電加工装置 - Google Patents

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正毅 淵山
Naoki Yoshikawa
直樹 吉川
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Tomohisa Kato
智久 加藤
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Abstract

【課題】ワイヤ放電加工装置においてワイヤ張力の偏差を低減する。
【解決手段】複数のプーリに巻掛けられたワイヤ15でワーク28を加工するワイヤ放電加工装置100であって、ワイヤ15の送り速度を規定する速度プーリ16と、速度プーリ16との間に巻掛けられたワイヤ15に主張力を印加する張力プーリ18と、速度プーリ16と張力プーリ18との間に間隔をおいて配設され、その長手方向に間隔をあけてワイヤ15が複数回巻き掛けられ、ワーク加工領域26を規定する複数のガイドローラ24A〜24Dと、を含み、複数のガイドローラ24A〜24Dの内、ワーク加工領域26と張力プーリ18との間に配置されたガイドローラ24Dは、複数回巻き掛けられたワイヤに15副張力を印加すること、を特徴とするワイヤ放電加工装置100。
【選択図】図2

Description

本発明は、ワイヤ放電加工装置の構造及びワイヤ放電加工装置のワイヤ送り制御に関する。
従来、シリコン等の円柱状インゴットからウェハを切り出す場合における切断手段として、砥粒を用いたワイヤソーが知られている。このワイヤソーは、複数のガイドローラ間に巻回された切断用ワイヤをその長手方向に高速駆動しながら、ワイヤに対してワークを切断送りすることにより、ワークから多数枚の薄片を同時に切り出すものである。
しかし、このようなワイヤソーでは、ガイドローラ間に形成された複数本の切断ワイヤ部分に対し、加工用砥粒が混合された加工液(スラリー)を同時供給する必要があり、その取扱いは容易でない。また、ワイヤがワークに直接接触することによる断線を抑制するために比較的太いワイヤを使用する必要があり、切断加工代が大きくなってしまうという問題があった。さらに、従来のワイヤソーは、インゴットからウェハを切り出すのに長時間を要する場合もあり、加工時間短縮のニーズが高まっている。
一方、近年、シリコンカーバイドが半導体の材料として注目されている。しかし、このシリコンカーバイドは硬質材料であるため、従来のワイヤソーでは、シリコンのインゴットを切断する以上の時間がかかってしまうという問題があった。
このため、導電性を有する硬質材料のワークを効率良く切断する手段として、当該ワークとワイヤとの間に電圧を断続的に印加し、各切断ワイヤ部分によってワークを放電加工の原理で切断する放電式ワイヤソーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された放電式ワイヤソーは、複数本のワイヤをそれぞれガイドローラ間に2から3回巻き掛けすることにより、1本のワイヤについて2から3の切断ワイヤ部分を形成し、これらの切断ワイヤ部分に対してワークを切断送りするとともに、各切断用ワイヤ部分に個別に接触子を接触させて電圧を印加するようにしたものである。この放電式ワイヤソーは、一度に多くのウェハの切断を行うために複数本のワイヤを使用しており、装置が複雑になってしまうという問題があった。
そこで、ワイヤの巻き掛け回数を多くして、一本のワイヤで多数の切断ワイヤ部分を構成し、構造を簡素化したワイヤ放電加工装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−248719号公報 特開2000−94221号公報
ところで、ワイヤ放電加工装置においては、放電加工中のワイヤの振れを抑制して切断加工代を小さくするためにワイヤに所定の張力を掛けている。特許文献2に記載された従来技術のワイヤ放電加工装置では、切断ワイヤ部分に巻きかけられたワイヤの上流側と下流側とにそれぞれ張力調整装置が設けられ、この張力調整装置でワイヤに掛ける張力を調整するようにしている。ところが、複数のガイドローラに多条にワイヤを巻きかけた場合、ガイドローラとワイヤとの間の微小な滑りによって、ワイヤ送り方向の上流側にあるワイヤとワイヤの送り方向の下流側にあるワイヤとの間に張力の分布が発生し、張力が高くなる側を所定の張力となるように張力を調整した場合、張力の低くなる側ではワイヤの張力が不足し、ワイヤが振れて切断加工代が大きくなってしまうという問題があった。逆にワイヤの張力が低くなる側の張力を所定の張力に調整した場合には、ワイヤの張力が高くなる側ではワイヤの張力が高くなりすぎ、運転中のワイヤの断線が多くなる場合があるという問題があった。
また、ワイヤ放電加工装置では、加工効率を上げるためにワイヤの送り速度を増減させる場合がある。この場合、特許文献2に記載されているように、ワイヤの送り機構と張力調整機構とがそれぞれ独立して動作する場合には、ワイヤの送り速度を急速に変化させた場合に張力の調整が遅れ、ワイヤの張力が大きく変動してしまう場合があった。このため、ワイヤの送り速度の急変によってワイヤに大きな張力が掛かってワイヤの断線が発生したり、ワイヤに弛みが発生してワークの切断面が不均一となってしまったりするとうという問題があった。
本発明は、ワイヤ放電加工装置においてワイヤ張力の偏差を低減することを目的とする。
本発明のワイヤ放電加工装置は、複数のプーリに巻掛けられたワイヤでワークを加工するワイヤ放電加工装置であって、ワイヤの送り速度を規定する速度プーリと、そのプーリと速度プーリとの間に巻掛けられたワイヤに主張力を印加する張力プーリと、速度プーリと張力プーリとの間に間隔をおいて配設され、その長手方向に間隔をあけてワイヤが複数回巻き掛けられ、ワーク加工領域を規定する複数のガイドローラと、を含み、複数のガイドローラの内、ワーク加工領域と張力プーリとの間に配置された一のガイドローラは、複数回巻き掛けられたワイヤに副張力を印加すること、を特徴とする。
本発明のワイヤ放電加工装置において、一のガイドローラの周速は、速度プーリの周速と異なること、としても好適である。
本発明のワイヤ放電加工装置において、速度プーリと、ワーク加工領域と、一のガイドローラと、張力プーリとは、ワイヤの送り方向に上流側から、速度プーリ、ワーク加工領域、一のガイドローラ、張力プーリの順に配置され、一のガイドローラの周速は、速度プーリの周速よりも早いこと、としても好適であるし、速度プーリと、ワーク加工領域と、一のガイドローラと、張力プーリとは、ワイヤの送り方向に上流側から、張力プーリ、一のガイドローラ、ワーク加工領域、速度プーリの順に配置され、一のガイドローラの周速は、速度プーリの周速よりも遅いこと、としても好適である。
本発明のワイヤ放電加工装置において、速度プーリを駆動する速度モータと、張力プーリを駆動するトルクモータと、一のガイドローラを駆動するドローモータと、速度プーリと一のガイドローラとの間に設けられた第1のワイヤ張力センサと、張力プーリと一のガイドローラとの間に設けられた第2のワイヤ張力センサと、速度モータとドローモータとの回転速度及びトルクモータの出力トルクを変化させる制御部と、を備え、制御部は、ワイヤの送り速度の増減を行う際には、速度モータの回転速度を増減させ、第2のワイヤ張力センサによって取得した第2のワイヤ張力が所定の張力となる様にトルクモータの出力トルクを増減し、第1のワイヤ張力センサによって取得した第1のワイヤ張力と第2のワイヤ張力センサによって取得した第2のワイヤ張力との差が所定の閾値以下となるようにドローモータの回転数を増減すること、としても好適である。
本発明のワイヤ放電加工装置において、速度プーリを駆動する速度モータと、張力プーリを駆動するトルクモータと、一のガイドローラを駆動するドローモータと、速度プーリと一のガイドローラとの間に設けられた第1のワイヤ張力センサと、速度モータとドローモータとの回転速度及びトルクモータの出力トルクを変化させる制御部と、を備え、制御部は、一のガイドローラの周速と速度プーリの周速とが所定の速度比となるようにドローモータと速度モータとを回転させ、ワイヤの送り速度の増減を行う際には、該所定の速度比を保持するように速度モータとドローモータとを増減速させ、第1のワイヤ張力センサによって取得した張力の変動に応じてトルクモータの出力トルクを変化させること、を特徴とする。
本発明は、ワイヤ放電加工装置においてワイヤ張力の偏差を低減することが出来るという効果を奏する。
本発明の実施形態におけるワイヤ放電加工装置の構成を示す系統図である。 本発明の実施形態におけるワイヤ放電加工装置のワイヤ送り系統と、ワイヤ送り速度とプーリ、ガイドローラの速度を示す説明図である。 本発明の実施形態におけるワイヤ放電加工装置のワイヤ張力の変化を示す説明図である。 本発明の実施形態におけるワイヤ放電加工装置のワークの切断を示す斜視図である。 本発明の実施形態におけるワイヤ放電加工装置の動作を示すフローチャートである。 ワイヤ張力に対するトルクモータの目標出力を示すマップである。 ダンサロールの位置と送り出しモータの回転数を示すマップである。 本発明の実施形態におけるワイヤ放電加工装置のワイヤ送り速度を増加させた際のワイヤ張力とダンサロール位置の時間変化を示すグラフである。 本発明の他の実施形態におけるワイヤ放電加工装置のワイヤ送り系統と、ワイヤ送り速度とプーリ、ガイドローラの速度を示すグラフである 本発明の実施形態におけるワイヤ放電加工装置の他の動作によるワイヤ張力の変化を示す説明図である。 本発明の実施形態におけるワイヤ放電加工装置の他の動作を示すフローチャート 本発明の実施形態におけるワイヤ放電加工装置の他の動作で、ワイヤ送り速度を増加させた際のトルクモータの出力とドローモータの回転数とワイヤ張力とダンサロール位置の時間変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、ワイヤ放電加工装置100は、送り出しボビン10Aと、巻取りボビン10Bと、プーリ11A〜11Iと、ダンサロール12と、速度プーリ16と、第1のワイヤ張力センサ13A、第2のワイヤ張力センサ13Bと、張力プーリ18と、ワイヤ整列ユニット21と、ガイドローラ24A〜24Dと、電源29と、給電子41と、ワーク送りユニット27と、制御部50とを備えている。
送り出しボビン10Aは放電加工に用いられるワイヤ15を送り出すものであり、送り出しモータ25Aによって回転駆動される。巻取りボビン10Bは、放電加工に用いられたワイヤ15を巻き取るもので、滑りクラッチ22を介して取り付けられた巻き取りモータ25Hによって駆動される。ダンサロール12は、その位置を上下に移動させることによって送り出しボビン10Aから速度プーリ16までのワイヤ15の走行長さを調整し、送り出しボビン10Aと速度プーリ16との間のワイヤ15の送りを安定させるものである。速度プーリ16は、ワイヤ15が巻き掛けられる面にゴム製の滑り止め部材が設けられ、速度モータ25Bによって駆動され、ワイヤ15の送り速度を規定するものである。速度プーリ16は、位置決めモータ25Fによって水平方向に駆動されるガイド17によってその水平方向位置が規定される。第1、第2のワイヤ張力センサ13A、13Bは、内部に複数のガイドローラを備え、そのローラの位置によってワイヤ15の張力を測定するものである。張力プーリ18は、速度プーリ16と同様、ワイヤ15が巻き掛けられている面にゴム製の滑り止め部材が取り付けられており、対向して設けられたクランプユニット19のクランプローラ19aとの間にワイヤ15を挟みこんで送り方向に引っ張り、ワイヤ15に主張力を掛けることが出来るよう構成されている。張力プーリ18は出力トルクを調整することができるトルクモータ25Dによって駆動されている。ワイヤ整列ユニット21は、位置決めモータ25Gによって軸方向に移動し、巻き取りボビン10Bに向うワイヤ15の巻き取りボビン10Bの軸方向の位置を調整する。
ガイドローラ24A〜24Dには、ワイヤ15が各ガイドローラ24A〜24Dの軸方向にピッチPの間隔で複数回巻き掛けられており、ガイドローラ24A、24Bの間はワーク加工領域26となっており、4つのガイドローラ24Aから24Dはワーク領域を規定するガイドローラである。一のガイドローラであるガイドローラ24Dはドローモータ25Cによって回転駆動される。ワーク送りユニット27はステッピングモータ25Eによって駆動されるよう構成されている。また、ワイヤ放電加工装置100は、ダンサロール12の位置を検出する位置センサ31と、ワイヤの断線を検出する断線検出センサ32とを備えている。送り出しモータ25A、速度モータ25B、ドローモータ25C、トルクモータ25D、巻き取りモータ25Hは、ロータリーエンコーダを内蔵しており、その回転数を出力することができるモータである。また、各位置決めモータ25F,25Gは、内部の回転子の回転角度を検出することができ、回転子の回転角度からガイド17、ワイヤ整列ユニット21の位置を検出することができるよう構成されている。
繰出しボビン10Aから図1に示す矢印の方向に繰出されたワイヤ15は、プーリ11A、ダンサロール12、プーリ11B,11C、速度プーリ16、プーリ11D、第1のワイヤ張力センサ13A、プーリ11E、11Fの順に巻き掛けられ、プーリ11Fを出たワイヤ15は、多数のガイド溝をもつガイドローラ24Aから24Dの外側にガイドローラ24A,24B,24C,24Dの順に巻きかけられる。ガイドローラ24Dを出たワイヤ15は最初にガイドローラ24Aに巻きかけられているワイヤ15の部分とガイドローラ24Aの軸方向にピッチPだけ離れた位置から再びガイドローラ24Aから24Dに巻きかけられていく。最初に巻きかけられたワイヤ15の部分と、次に巻き掛けられたワイヤ15の部分との各ガイドローラ24Aから24Dの軸方向の間隔はいずれの場所でもピッチPとなっている。このようにワイヤ15はガイドローラ24Aから24Dに複数回巻き掛けられる。
図1に示すように本実施形態では、ワイヤ15はガイドローラ24Aから24Dに5回巻き掛けられている。ここで、巻き掛け回数は、ワーク加工領域26を規定するガイドローラ24A及び24Bに巻き掛けられている回数である。従って、ワイヤ15の最後の巻き掛けのようにワイヤ15がガイドローラ24Dからガイドローラ24Aに戻らずプーリ11Gに向って延びてもガイドローラ24A及び25Bに巻きかけられているので、巻き掛け回数は1回と数える。つまり、巻き掛けの回数はガイドローラ24Aとガイドローラ24Bとの間に張られているワイヤ15の条数となる。
ワイヤ15はガイドローラ24Aから24Dに複数回巻き掛けされた後、プーリ11G、第2のワイヤ張力センサ13B、プーリ11H、張力プーリ18、プーリ11I、ワイヤ整列ユニット21を通り、巻取りボビン10Bに巻き取られている。ワイヤ15は黄銅等の金属線である。
図1に示すように、給電子41はガイドローラ24Aとガイドローラ24Bとの間のワーク加工領域26に張られたワイヤ15のガイドローラ24A側とガイドローラ24B側とにそれぞれ設けられている。各給電子41はワイヤ15の各条に接して各条のワイヤ15に電源29のからの電力を給電する複数の導電ブロック41Aと各導電ブロック41Aの間を絶縁する絶縁ブロック41Bとが軸方向に交互に並べて配置されたもので、各ブロック41A,41Bは図示しない通しボルトとナットによって一体に締め付けられているものである。
ワーク送りユニット27は、各給電子41の間でワイヤ15の送り方向と直交する方向に向かってワーク28を移動させることができるよう配置され、ステッピングモータ25Eによって駆動されるよう構成されている。ステッピングモータ25Eは内部の回転子の回転角度を検出することができ、回転子の回転角度からワーク28の位置を検出することができるよう構成されている。
本実施形態では、各給電子41は電源29のマイナス側あるいはグランド側と導電線30によって接続され、ワーク28は電源のプラス側と導電線30によって接続されている。電源29は、例えば数10KHzの直流パルス電流を各給電子41とワーク28との間に流し、ワーク28とワーク加工領域26のワイヤ15との間に断続的な放電を発生させる。放電によって発生される熱によってワーク28は切断加工される。ワーク28と給電子41に接続される極性は相互に異なっていればよく、ワーク28をマイナス側とし、ワイヤ15をプラス側としてもよい。
本実施形態のワイヤ放電加工装置100では、ワーク28及び給電子41は電気伝導率が調整された純水または油系の加工液に浸漬されており、ワーク加工領域26のワイヤ15とワーク28の間の放電は水中で行われ、加工中にワーク28全体の温度の上昇を抑えることができるよう構成されている。ワーク28と給電子41の間に加工液を吹きかけるように構成することとしてもよい。
送り出しボビン10A、巻き取りボビン10Bを回転させる送り出しモータ25A、巻き取りモータ25Hと、速度プーリ16を回転させる速度モータ25Bと、ガイドローラ24Dを回転させるドローモータ25Cと、張力プーリ18を回転させるトルクモータ25Dと、ステッピングモータ25Eと、位置決めモータ25F、25Gと、電源29とは制御部50に接続され、制御部50の指令によって動作するよう構成されている。また、第1、第2のワイヤ張力センサ13A、13Bと、ダンサロール12の位置を検出する位置センサ31と、ワイヤ15の断線を検出する断線検出センサ32と、は制御部50に接続され、各検出信号は制御部50に入力されるよう構成されている。制御部50は、内部の信号処理用のCPUと制御用のプログラムやデータを格納するメモリを備えるコンピュータである。制御部50は断線検出センサ32によってワイヤ15の断線が検出された場合には、ワイヤ放電加工装置100の動作を停止する。また、速度プーリ16の水平方向位置は、加工条件などによって位置決めモータ25Fを駆動して変更されるが、放電加工中は速度プーリ16の水平方向の位置は固定されている。
以上のように構成されたワイヤ放電加工装置100の動作について図2から図4を参照しながら説明する。ワイヤ放電加工装置100が始動されると制御部50は、各モータ25A〜25D,25Hを始動して各ボビン10A,10B、速度プーリ16、ガイドローラ24D、張力プーリ18を回転させる。これによってワイヤ15は送り出しボビン10Aから巻き取りボビン10Bに向って図1の矢印で示す方向に向かって送られる。制御部50は、速度プーリ16を回転させる速度モータ25Bの回転数を内蔵されたロータリーエンコーダから取得し、回転数を変更することによって速度プーリ16の周速、つまりワイヤ15の送り速度が速度V1になるようにフィードバック制御する。ワイヤ15の送り速度は速度モータ25Bの回転数によって規定される。送り出しボビン10Aを回転させる送り出しモータ25Aはワイヤ15の送り速度が速度V1となるような従動速度で回転している。また、巻き取りボビン10Bを回転させる巻取りモータ25Hは、ワイヤ15の速度が送り速度V1に対応する回転数よりも大きな回転数の一定速度で回転し、ワイヤ15の送り速度V1に対応する回転数との速度差は滑りクラッチ22によって吸収される。
張力プーリ18は、その周速がワイヤ15の送り速度V1或いは速度プーリ16の周速と略同一の速度で回転し、トルクモータ25Dのトルク出力によってクランプローラ19aと張力プーリ18との間に挟み込んだワイヤ15を送り方向に引っ張る。速度プーリ16は表面に滑り止め部材が設けられ、ワイヤ15と速度プーリ16との間での滑りはほとんど発生しないことから、ワイヤ15には速度プーリ16と張力プーリ18との間に張力が掛かる。図2に示すように、制御部50は、速度プーリ16とワーク加工領域26との間に設けられている第1のワイヤ張力センサ13Aによって取得したワイヤ15の張力が目標張力T1となるようにトルクモータ25Dのトルク出力を調整する。張力プーリ18によってワイヤに付加される張力は主張力である。
図3の線a1に示すように、ワイヤ15が送り速度V1によって送られ、第1のワイヤ張力センサ13Aによって取得するワイヤ張力が目標張力T1となり、各ガイドローラ24Aから24Dが巻きかけられたワイヤ15によって回転させられている場合には、ワイヤ15には各ガイドローラ24Aから24Dとの間の摩擦力により、張力プーリ18によって付加される主張力を減衰させる方向の力が掛かる。このため、速度プーリ16側のワイヤ15の張力は、張力プーリ18側よりも小さくなる。逆に言うと、張力プーリ18側のワイヤ15の張力は、速度プーリ16側よりも大きくなる。本実施形態では、制御部50は、第1のワイヤ張力センサ13Aの位置のワイヤ15の張力が目標張力T1となるようトルクモータ25Dのトルク出力を調整しているため、張力プーリ18側のワイヤ15に掛かる張力は、目標張力T1にワイヤがガイドローラ24Aから24Dを一周する際に発生する摩擦張力ΔTfに巻き掛け回数の5回を掛けた合計摩擦張力5×ΔTfだけ大きい張力T2となる。このため、図3の線a1に示すように、ガイドローラ24Aから24Dに巻き掛けられているワイヤ15の張力には偏差が生じている。
次に制御部50は、ドローモータ25Cを回転させ、ガイドローラ24Dの周速がワイヤ15の送り速度V1の所定の速度比、例えば1.2〜1.3倍の速度V2となるような回転数とする。すると、ガイドローラ24Dの表面ではワイヤ15との間に速度差による滑りが発生し、ガイドローラ24Dは、ワイヤ15との接触力と滑り摩擦係数を掛けた力によりワイヤ15を送り方向に引っ張る。本実施形態では、ワイヤ15はガイドローラ24Dに5回巻きかけられており、ワイヤ15は、図3の点線b1に示すように、図3で符号24D−1から24D−5で示すガイドローラ24Dと接する位置に来るたびにガイドローラ24DによってΔT0´の副張力が印加される。従ってワイヤ15に付加される全副張力は5×ΔT0´となる。これによって、ガイドローラ24Aから24Dよりも速度プーリ16側のワイヤ15に掛かる張力は5×ΔT0´だけ増加する。
本実施形態では、制御部50は、ガイドローラ24Dによってワイヤ15に付加される合計副張力5×ΔT0´が合計摩擦張力5×ΔTfよりも大きくなる様にガイドローラ24D回転数を制御しているので、ワイヤ15の速度プーリ16側に掛かるワイヤ張力は張力プーリ18側のワイヤ15に掛かる張力T2よりも大きいT3となる。ガイドローラ24Aから24Cの摩擦による摩擦張力ΔTfはガイドローラ24Aからガイドローラ24Dを一周する毎にワイヤ15に掛かることから、図3の点線b1に示すように、ガイドローラ24Aから24Dの巻き掛けられている領域のワイヤ15に掛かる張力はガイドローラ24Aから24Dに巻き掛けられている領域のワイヤ15には各周の最初となるガイドローラ24Aの位置ではワイヤ張力が張力T3で、各周の最後になるガイドローラ24Dの位置では目標張力T1に副張力ΔT0´と摩擦張力ΔTfとの差(ΔT0´−ΔTf)が加わったT3+(ΔT0´−ΔTf)となる鋸状の張力分布となる。そして、ガイドローラ24Aから24Dの同じ巻き掛け位置にあるワイヤ15に掛かる張力は略均等となる。このため、ワーク加工領域26の各条のワイヤ15に掛かる張力は略均等となる。
次に制御部50は、第1のワイヤ張力センサ13Aによって取得したワイヤ張力が張力T3から合計副張力5×ΔT0´だけ小さい目標張力T1となるように、トルクモータ25Dのトルク出力を低減する。そして、図2の二点鎖線c1に示すように、速度プーリ16側のワイヤ15に掛かる張力が目標張力T1になると、ガイドローラ24Aから24Dに巻き掛けられている領域のワイヤ15には各周の最初となるガイドローラ24Aの位置ではワイヤ張力が目標張力T1で、各周の最後になるガイドローラ24Dの位置では目標張力T1に副張力ΔT0´と摩擦張力ΔTfとの差(ΔT0´−ΔTf)が加わったT1+(ΔT0´−ΔTf)となる鋸状の張力分布となる。そして、ガイドローラ24Dよりも張力プーリ18側のワイヤ15の張力は張力T2から合計副張力5×ΔT0´だけ低い張力T4となる。目標張力T1と張力T2との差は合計摩擦張力5×ΔTfであるから、張力プーリ18側のワイヤ15の張力T4は目標張力T1から5×(ΔT0´−ΔTf)だけ小さくなる。
このように、ワイヤ15が多数回巻き掛けられているガイドローラ24Dによって各条のワイヤ15にそれぞれ同様の副張力ΔT0´を付加することができることから、ガイドローラ24Aとガイドローラ24Bとの間のワーク加工領域26の各条のワイヤ15の張力の偏差を抑制することができる。
以上説明した実施形態では、本実施形態では、制御部50は、ガイドローラ24Dによってワイヤ15に付加される合計副張力5×ΔT0´が合計摩擦張力5×ΔTfより大きくなるようにガイドローラ24Dの回転数を調整することとして説明したが、ガイドローラ24Dによってワイヤ15に付加される副張力ΔT0´が摩擦張力ΔTfに等しくなる様にすることもできる。この場合には、ガイドローラ24Dによって副張力が付加されると、速度プーリ16側のワイヤ15に掛かる張力は、図3の一点鎖線b1´に示すように、目標張力T1より合計摩擦張力5×ΔTfだけ大きくなり、張力プーリ18側のワイヤ15に掛かる張力T2と同じ大きさとなる。そして、第1のワイヤ張力センサ13Aによって取得した張力を目標張力T1になるようにトルクモータ25Dの出力を低減すると、図3の線c1´に示すように、張力プーリ18側のワイヤ15の張力も目標張力T1とすることができる。
以上のような動作によって、ワイヤ15が速度V1で送られ、ワーク加工領域26の各条のワイヤ15に略目標張力T1が付加された状態となったら、制御部50は各給電子41とワーク28との間に放電加工用の電流を印加する。そして、電流が所定の電流A1に達したら、制御部50はステッピングモータ25Eによってワーク28をワイヤ15に向かって送り始め、放電加工動作を開始する。
図4に示すように、各条のワイヤ15に向かって円柱状のワーク28が送られると、ワイヤ15とワーク28との間に放電が発生し、その熱によって円柱状のワーク28は次第に切断されていく。図4に示すように、各条のワイヤ15には略目標張力T1が付加されており、ワイヤ15は送り速度V1で送られている。図4に示すように、1本のワイヤ15はガイドローラ24Aとガイドローラ24Bとの間では5条となっており、ワイヤ15の各条に給電子41から給電されて、ワーク28のガイドローラ24A側の点aから点eとガイドローラ24B側の点a´から点e´の間でそれぞれワーク28との間で放電を行う。点aから点eと点a´から点e´の間の各長さLはワイヤ15とワーク28との間の放電区間の長さでありワーク28の加工長さである。図4に示すように、円柱形のワーク28を円板状にスライスする場合には、各条のワーク加工長さLは同一長さとなっている。
以上、説明した本実施形態のワイヤ放電加工装置100でワイヤ15の送り速度を増減する際の制御について図5から図8を参照しながら説明する。図5のステップS101並びに図8の時間t1に示すように、制御部50はワイヤ15の送り速度を増速する指令が入力されると、図5のステップS102に示すように、所定の速度比で回転している速度モータ25Bとドローモータ24Dの速度比を保ったまま共に増速する。速度モータ25Bとドローモータ25Cの回転数は、その速度比が一定に保持されるように増速されることから、増速と共に速度モータ25Bによって回転される速度プーリ16の周速とガイドローラ24Dの周速の間の速度差は大きくなっていく。このため、ワイヤ15とガイドローラ24Dとの間の摩擦力が大きくなり、ガイドローラ24Dからワイヤ15に付加される副張力ΔT0´、合計副張力5×ΔT0´が増大する。ガイドローラ24Dはワイヤ15が複数回巻き掛けられているので各条のワイヤ15に付加される副張力ΔT0´は略均等に増加し、速度プーリ16の周速とガイドローラ24Dとの間のワイヤ15に印加される合計副張力5×ΔT0´も増加する。
すると、図8の時間t1からt2に示すように、ガイドローラ24Dのワイヤ送り上流側にある第1のワイヤ張力センサ13Aによって検出されるワイヤ張力が目標張力T1よりも大きくなってくる。制御部50は、図5のステップS103に示すように第1のワイヤ張力センサ13Aによってワイヤ張力を取得し、取得したワイヤ張力と内部のメモリに格納している図6に示すワイヤ張力に対するトルクモータ25Dの目標出力のマップを参照し、図5のステップS104に示すようにトルクモータ25Dの目標トルクを取得する。そして、制御部50は図5のステップS105に示すように、トルクモータ25Dの出力トルクを変更する。ワイヤ送り速度を増速させる場合には、先に説明したように、ワイヤ15に掛かる張力は増加することから、制御部50は図8の時間t2からt3に示すようにトルクモータ25Dの出力トルクを低減し、ワイヤ15に掛かる主張力を低減して当初の目標張力T1に戻すよう制御する。制御部50は、図5のステップS106に示すように、第1のワイヤ張力センサ13Aによってワイヤ15の張力を監視し、図8の時間t3に示すように、その張力が目標聴力T1に戻ったら、変更したトルクモータ25Dの出力を維持する。
また、速度プーリ16とガイドローラ24Dとを増速させてワイヤ15の送り速度を増加させると、送り出しボビン10Aから送り出されるワイヤ15の速度と速度プーリ16の周速との間に速度差ができる。このため、送り出しボビン10Aと速度プーリ16との間にあるワイヤ15は速度プーリ16の側に引っ張られ、ダンサロール12の位置が上昇する。制御部50は、図5のステップS108に示すように、位置センサ31によってダンサロール12の位置を取得し、メモリに格納した図7に示すダンサロール12の位置と送り出しモータ25Aの回転数との関係を示すマップを参照し、図5のステップS109に示すように送り出しモータ25Aの目標回転数を取得する。そして、図5のステップS110に示すように、送り出しモータ25Aの回転数を変更する。先に説明したように、ワイヤ送り速度を増加する場合には、ダンサロール12の位置が一端上昇することから、制御部50は送り出しモータ25Aの回転数を上昇させる。そして、制御部50は位置センサ31からダンサロール12の位置を取得し、図5のステップS111に示すように、中立位置に戻ったかどうかを確認する。そして、ダンサロール12の位置が中立位置に戻ったら、図5のステップS112に示すように、制御部50は変更した送り出しモータ25Aの回転数を維持する。
この様に、本実施形態では、ガイドローラ24Dと速度プーリ16を同時に増速しているので、ワーク加工領域26の各条のワイヤ15に略均等に張力を掛けながらワイヤ速度を急速に変化させることが出来る。また、ダンサロール12によって送り出しボビン10Aと速度プーリ16との速度差によって速度プーリ16の回転速度が影響を受けないようにしていることから、ワイヤ15の送り速度を変更した場合のワイヤ15に掛かる張力の変動を抑制することができる。
以上、ワイヤ送り速度を増加する場合について説明したが、ワイヤ送り速度を減少させる場合も制御部50は同様の制御を行う。ただし、ワイヤ15の送り速度を減少させる場合には、速度モータ25Bとドローモータ25Cは速度比が一定に保持されるように減速されることから、減速と共に速度モータ25Bによって回転される速度プーリ16の周速とガイドローラ24Dの周速の間の速度差が小さくなり、ワイヤ15とガイドローラ24Dとの間の摩擦力が小さくなる。このため、ガイドローラ24Dからワイヤ15に付加される副張力ΔT0´が減少する。従って、制御部50は図6のマップに従ってトルクモータ25Dの出力を増大させる。また、ワイヤ15の送り速度を減少させると、一時的に速度プーリ16の周速が送り出しボビン10Aの周速よりも遅くなることから、ワイヤ15が弛まないようにダンサロール12は下に移動する。制御部50は図7に示すマップに基づいて送り出しモータ25Aの回転数を低下させる。
以上説明した実施形態では、ドローモータ25Cによってその周速がワイヤ15の送り速度V1以上となるようにガイドローラ24Dを回転させてワイヤ15に副張力ΔT0´を印加することとして説明したが、ドローモータ25Cによって回転駆動されるガイドローラはガイドローラ24Dに限らず、ワーク加工領域26と張力プーリ18との間にあるガイドローラであればよく、ガイドローラ24C、ガイドローラ24Bをドローモータ25Cによって駆動するように構成してもよい。また、本実施形態では、ワーク加工領域26を規定するガイドローラは4つとして説明したが、ワーク加工領域26と同じ条数だけワイヤ15が巻き掛けられているガイドローラはワーク加工領域26を規定するガイドローラであり、その本数は4本に限られず複数本数であればよい。また、本実施形態のように各ガイドローラへのワイヤ15の巻き掛け方向が同一方向となっているものに限らず、その一部にワイヤ15の巻き掛け方向が他のガイドローラと反対になっているものを含んでいてもよい。
図9を参照しながら、本発明の他の実施形態について説明する。先に説明した実施形態と同様の部分には同様の符号を付して説明は省略する。図9に示すように、本実施形態は、図2を参照して説明した実施形態の速度プーリ16と張力プーリ18の位置を入れ替え、ワーク加工領域26の送り方向上流側にあるガイドローラ24Aをドローモータ25Cで駆動するようにしたものである。
本実施形態では、制御部50はガイドローラ24Aの周速V3がいずれも略等しいワイヤ15の送り速度V1或いは速度プーリ16、張力プーリ18の周速よりも遅く、例えば、ガイドローラ24Aの周速V3がワイヤ送り速度V1の0.8倍となるようにドローモータ25Cの回転数を調整する。先に説明した実施形態と同様にワイヤ15には速度プーリ16と張力プーリ18との間で主張力が印加される。ガイドローラ24Aの周速はワイヤ15の送り速度よりも遅いことから、ワイヤ15とガイドローラ24Aとの間には滑りが生じ、この滑りによってガイドローラ24Aはワイヤ15を送り方向と反対方向に引っ張る。そして、この滑りによって発生する副張力−ΔT0´のため、速度プーリ16とガイドローラ24Aとの間のワイヤの合計張力は増加し、逆に張力プーリ18とガイドローラ24Aとの間のワイヤ15合計張力は減少する。本実施形態も、先に説明した実施形態と同様、ワイヤ15が多数回巻き掛けられているガイドローラ24Aによって各条のワイヤ15にそれぞれ同様の副張力−ΔT0´を付加することができることから、ガイドローラ24Aとガイドローラ24Bとの間のワーク加工領域26の各条のワイヤ15の張力の偏差を抑制することができる。本実施形態では、ワーク加工領域26のワイヤ張力は、第2のワイヤ張力センサ13Bによって検出し、その信号に基づいてトルクモータ25Dの出力を調整することによって所定の目標張力T1に制御する。
本実施形態のワイヤ放電加工装置100でワイヤ15の送り速度を増減する場合の動作は先に説明した実施形態と同様で、速度プーリ16とガイドローラ24Aとを速度比を保ったまま増速し、第2のワイヤ張力センサ13Bで取得したワイヤ張力と制御部50のメモリに格納しているマップとに基づいてトルクモータ25Dの出力を増減し、ワイヤ15の主張力の変動を抑制するよう制御する。また、ワイヤ送り速度の増減によってダンサロール12の位置が変化するとその位置に応じて送り出しモータ25Aの回転速度を増減する。本実施形態は先に説明した実施形態と同様の効果を奏する。
図10を参照しながら図1から図3を参照して説明したワイヤ放電加工装置100の他の動作について説明する。ワイヤ放電加工装置100が始動されると制御部50は、各モータ25A〜25D,25Hを始動して各ボビン10A,10B、速度プーリ16、ガイドローラ24D、張力プーリ18を回転させる。これによってワイヤ15は送り出しボビン10Aから巻き取りボビン10Bに向って図1の矢印で示す方向に向かって送られる。制御部50は、速度プーリ16を回転させる速度モータ25Bの回転数を内蔵されたロータリーエンコーダから取得し、回転数を変更することによって速度プーリ16の周速、つまりワイヤ15の送り速度が速度V1になるようにフィードバック制御する。ワイヤ15の送り速度は速度モータ25Bの回転数によって規定される。送り出しボビン10Aを回転させる送り出しモータ25Aはワイヤ15の送り速度が速度V1となるような従動速度で回転している。また、巻き取りボビン10Bを回転させる巻取りモータ25Hは、ワイヤ15の速度が送り速度V1に対応する回転数よりも大きな回転数の一定速度で回転し、ワイヤ15の送り速度V1に対応する回転数との速度差は滑りクラッチ22によって吸収される。
張力プーリ18は、その周速がワイヤ15の送り速度V1或いは速度プーリ16の周速と略同一の速度で回転し、トルクモータ25Dのトルク出力によってクランプローラ19aと張力プーリ18との間に挟み込んだワイヤ15を送り方向に引っ張る。速度プーリ16は表面に滑り止め部材が設けられ、ワイヤ15と速度プーリ16との間での滑りはほとんど発生しないことから、ワイヤ15には速度プーリ16と張力プーリ18との間に張力が掛かる。図10に示すように、制御部50は、張力プーリ18とワーク加工領域26との間に設けられている第2のワイヤ張力センサ13Bによって取得したワイヤ15の張力が目標張力T1となるようにトルクモータ25Dのトルク出力を調整する。張力プーリ18によってワイヤに付加される張力は主張力である。
図10の線a2に示すように、ワイヤ15が送り速度V1によって送られ、第2のワイヤ張力センサ13Bによって取得するワイヤ張力がT1となり、各ガイドローラ24Aから24Dが巻きかけられたワイヤ15によって回転させられている場合には、ワイヤ15には各ガイドローラ24Aから24Dとの間の摩擦力により、張力プーリ18によって付加される主張力を減衰させる方向の力が掛かる。このため、速度プーリ16側のワイヤ15の張力は、張力プーリ18側よりも小さくなる。逆に言うと、張力プーリ18側のワイヤ15の張力は、速度プーリ16側よりも大きくなる。本実施形態では、制御部50は、第2のワイヤ張力センサ13Bの位置のワイヤ15の張力が目標張力T1となるようトルクモータ25Dのトルク出力を調整しているため、速度プーリ16側のワイヤ15に掛かる張力は、目標張力T1にワイヤがガイドローラ24Aから24Dを一周する際に発生する摩擦張力ΔTfに巻き掛け回数の5回を掛けた合計摩擦張力5×ΔTfだけ小さい張力T4となる。このため、図10の線a2に示すように、ガイドローラ24Aから24Dに巻き掛けられているワイヤ15の張力には偏差が生じている。
次に制御部50は、ガイドローラ24Dの周速がワイヤ15の送り速度V1よりも速くなるようにドローモータ25Cを回転させる。すると、ガイドローラ24Dの表面ではワイヤ15との間に速度差による滑りが発生し、ガイドローラ24Dは、ワイヤ15との接触力と滑り摩擦係数を掛けた力によりワイヤ15を送り方向に引っ張る。本実施形態では、ワイヤ15はガイドローラ24Dに5回巻きかけられており、ワイヤ15は、図10の一点鎖線c2に示すように、図10で符号24D−1から24D−5で示すガイドローラ24と接位置に来るたびにガイドローラ24Dによって副張力ΔT0´が印加される。また、制御部50は、速度プーリ16側に配置されている第1のワイヤ張力センサ13Aによって速度プーリ16側のワイヤ15の張力を取得し、その張力を第2のワイヤ張力センサ13Bから取得したワイヤ15の張力と比較し、各張力の差が所定の閾値以下となるように、トルクモータ25Dのトルク出力を増減する。
そして、その張力の差が所定の閾値以下となった場合には、制御部50はドローモータ25Cの速度を保持する。この様に、第1のワイヤ張力センサ13Aによって取得したワイヤ張力と第2のワイヤ張力センサ13Bによって取得したワイヤ張力とが略等しくなると、ガイドローラ24Dがワイヤ15に付加する副張力ΔT0´は、摩擦張力ΔTfに等しく、合計副張力5×ΔT0´も合計摩擦張力5×ΔTfに等しくなっている状態である。
そして、図10の二点鎖線c2に示すように、速度プーリ16側のワイヤ15に掛かる張力が目標張力T1になると、ガイドローラ24Aから24Dに巻き掛けられている領域のワイヤ15には各周の最初となるガイドローラ24Aの位置ではワイヤ張力が目標張力T1で、各周の最後になるガイドローラ24Dの位置では目標張力T1に副張力ΔT0´が加わったT1+ΔT0´となる鋸状の張力分布となる。そして、ワーク加工領域26の各条のワイヤ15に掛かる張力は略均等となる。
このように、本実施形態は、先に説明した実施形態と同様、ワイヤ15が多数回巻き掛けられているガイドローラ24Dによって各条のワイヤ15にそれぞれ同様の副張力ΔT0´を付加することができることから、ガイドローラ24Aとガイドローラ24Bとの間のワーク加工領域26の各条のワイヤ15の張力の偏差を抑制することができる。
以上、説明した本実施形態のワイヤ放電加工装置100でワイヤ15の送り速度を増減する際の制御について図11から図12を参照しながら説明する。図11のステップS201並びに図12の時間t11に示すように、制御部50はワイヤ15の送り速度を増速する指令が入力されると、図11のステップS202に示すように、速度モータ25Bの回転数を増加させる。速度モータ25Bの回転数が増加すると、図12の時間t11からt12に示すようにワイヤ15の張力が低下し、速度プーリ16側に配置された第1のワイヤ張力センサ13Aによって取得したワイヤ張力、張力プーリ18側に配置された第2のワイヤ張力センサ13Bによって取得したワイヤ15の張力は共に低下してくる。制御部50は、図11のステップS203に示すように、第2のワイヤ張力センサ13Bによってワイヤ張力を取得し、図11のステップS204に示すように、所定の張力、例えば、目標張力T1と比較する。そして、ワイヤ15の張力が目標張力T1よりも低い状態である場合には、図11のステップS205に示すようにトルクモータ25Dのトルク出力を増加させる。
すると、図12の時間t12からt13に示すように、第1、第2のワイヤ張力センサで所得したワイヤ張力が増加してくる。そして、図12の時間t13に、第2の張力センサ13Bによって取得したワイヤ15の張力が目標張力T1となった場合には、制御部50は、図11のステップS206に示すように、トルクモータ25Dのトルク出力を保持する。この状態では、図12に示すように、ワイヤ15の送り速度V1はV1´に増加しているが、ドローモータ25Cの回転数はまだ変化していない。このため、ガイドローラ24Dの周速とワイヤ15の送り速度の差が小さくなり、ガイドローラ24Dからワイヤ15に付加される副張力ΔT0´が小さくなってきている。このため、図12に示すように、第1のワイヤ張力センサ13Aによって取得される速度プーリ16側のワイヤ張力は、当初の目標張力T1より少し低下している。
次に、制御部50は、図11のステップS207に示すように、第1のワイヤ張力センサ13Aからワイヤ張力を取得し、図11のステップS208に示すように、第1のワイヤ張力センサ13Aから取得したワイヤ張力と第2のワイヤ張力センサ13Bから取得したワイヤ張力との差が所定の閾値、例えば、3%以内になっていない場合には、図12の時間t13から時間t14及び、図11のステップS209に示すように、ドローモータ25Cの回転数を増加させる。そして、図2のステップS208で、各ワイヤ張力センサ13A,13Bで取得したワイヤ張力の差が所定の閾値、例えば、3%以内になった場合には、図11のステップS210に示すように、ドローモータ25Cの回転数を保持する。このとき、図12の時間t14に示すように、速度プーリ16側のワイヤ15の張力も目標張力T1となっている。そして、図12の時間t14のワイヤ15の張力の分布は図10に示す一点鎖線c2のようになっている。
また、制御部50は、先に図5を参照して説明した実施形態と同様、図11のステップS211からステップS215の処理を行い、送り出しモータ25Aの回転数とダンサロール12の位置とを調整する。
この様に、本実施形態では、ドローモータ25Cの回転数を増減して、速度プーリ16側とガイドローラ24Aから24Dの領域のワイヤ15の張力を目標張力T1にしているので、先に図2から図5を参照して説明した実施形態よりも制御ステップが少なく、より簡便にワイヤ15の張力の変動を抑制することができる。
以上、ワイヤの送り速度を増加させる場合の制御について説明したが、ワイヤの送り速度を減少させる場合には、ワイヤの張力が増加するので、制御部50は第1、第2のワイヤ張力センサ13A、13Bの信号によって、トルクモータ25Dのトルク出力を低減し、ドローモータ25Cの回転数を低減するように制御する。制御の方法はワイヤ送り速度を増加させる場合と同様である。
また、以上説明した動作及びワイヤ送り速度の増減制御は、先に図9を説明した実施形態にも適用することができる。
10A 送り出しボビン、10B 巻き取りボビン、11A〜11I プーリ、12 ダンサロール、13A 第1のワイヤ張力センサ,13B 第2のワイヤ張力センサ、15 ワイヤ、16 速度プーリ、17 ガイド、18 張力プーリ、19 クランプユニット、19a クランプローラ、21 ワイヤ整列ユニット、22 滑りクラッチ、24A,24B,24C,24D ガイドローラ、25A 送り出しモータ、25B 速度モータ、25C ドローモータ、25D トルクモータ、25E ステッピングモータ、25F,25G 位置決めモータ、25H 巻取りモータ、26 ワーク加工領域、27 ワーク送りユニット、28 ワーク、29 電源、30 導電線、31 位置センサ、32 断線検出センサ、41 給電子、41A 導電ブロック、41B 絶縁ブロック、50 制御部、100 ワイヤ放電加工装置。

Claims (6)

  1. 複数のプーリに巻掛けられたワイヤでワークを加工するワイヤ放電加工装置であって、
    ワイヤの送り速度を規定する速度プーリと、
    そのプーリと速度プーリとの間に巻掛けられたワイヤに主張力を印加する張力プーリと、
    速度プーリと張力プーリとの間に間隔をおいて配設され、その長手方向に間隔をあけてワイヤが複数回巻き掛けられ、ワーク加工領域を規定する複数のガイドローラと、を含み、
    複数のガイドローラの内、ワーク加工領域と張力プーリとの間に配置された一のガイドローラは、複数回巻き掛けられたワイヤに副張力を印加すること、
    を特徴とするワイヤ放電加工装置。
  2. 請求項1に記載のワイヤ放電加工装置であって、
    一のガイドローラの周速は、速度プーリの周速と異なること、
    を特徴とするワイヤ放電加工装置。
  3. 請求項2に記載のワイヤ放電加工装置であって、
    速度プーリと、ワーク加工領域と、一のガイドローラと、張力プーリとは、ワイヤの送り方向に上流側から、速度プーリ、ワーク加工領域、一のガイドローラ、張力プーリの順に配置され、
    一のガイドローラの周速は、速度プーリの周速よりも早いこと、
    を特徴とするワイヤ放電加工装置。
  4. 請求項2に記載のワイヤ放電加工装置であって、
    速度プーリと、ワーク加工領域と、一のガイドローラと、張力プーリとは、ワイヤの送り方向に上流側から、張力プーリ、一のガイドローラ、ワーク加工領域、速度プーリの順に配置され、
    一のガイドローラの周速は、速度プーリの周速よりも遅いこと、
    を特徴とするワイヤ放電加工装置。
  5. 請求項2から4のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工装置であって、
    速度プーリを駆動する速度モータと、
    張力プーリを駆動するトルクモータと、
    一のガイドローラを駆動するドローモータと、
    速度プーリと一のガイドローラとの間に設けられた第1のワイヤ張力センサと、
    張力プーリと一のガイドローラとの間に設けられた第2のワイヤ張力センサと、
    速度モータとドローモータとの回転速度及びトルクモータの出力トルクを変化させる制御部と、を備え、
    制御部は、
    ワイヤの送り速度の増減を行う際には、速度モータの回転速度を増減させ、
    第2のワイヤ張力センサによって取得した第2のワイヤ張力が所定の張力となる様にトルクモータの出力トルクを増減し、
    第1のワイヤ張力センサによって取得した第1のワイヤ張力と第2のワイヤ張力センサによって取得した第2のワイヤ張力との差が所定の閾値以下となるようにドローモータの回転数を増減すること、
    を特徴とするワイヤ放電加工装置。
  6. 請求項2から4のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工装置であって、
    速度プーリを駆動する速度モータと、
    張力プーリを駆動するトルクモータと、
    一のガイドローラを駆動するドローモータと、
    速度プーリと一のガイドローラとの間に設けられた第1のワイヤ張力センサと、
    速度モータとドローモータとの回転速度及びトルクモータの出力トルクを変化させる制御部と、を備え、
    制御部は、
    一のガイドローラの周速と速度プーリの周速とが所定の速度比となるようにドローモータと速度モータとを回転させ、
    ワイヤの送り速度の増減を行う際には、該所定の速度比を保持するように速度モータとドローモータとを増減速させ、第1のワイヤ張力センサによって取得した張力の変動に応じてトルクモータの出力トルクを変化させること、
    を特徴とするワイヤ放電加工装置。
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