JP2010284729A - ヤトイおよびレンズ保持具 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヤトイの交換時にレンズの取外し、固定作業を必要とせず、装置取付部の形状が異なる各種装置に対して使用することができるヤトイおよびレンズ保持具を提供する。
【解決手段】レンズ保持具10は、アロイ3とヤトイ11とで構成されている。ヤトイ11は、レンズ4の被加工面4aとは反対側の面4bがアロイ3を介して固定されるヤトイ本体11Aと、装置取付部に固定される固定基部11Bとで構成されている。また、固定基部11Bは、各種装置の取付部形状にそれぞれ適合する嵌合部12Bを有する複数種の固定基部からなり、ヤトイ本体11Aに対して固定手段13により着脱自在に取り付けられる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、眼鏡レンズ等の光学レンズの加工処理に用いられるヤトイおよびレンズ保持具に関する。
従来、光学レンズ、特に眼鏡用プラスチックレンズを仕上げ寸法よりも肉厚の厚いレンズ素材(例えば、セミフィニッシュレンズ)から製造する方法としては、NC(数値)制御による切削機(以下、カーブジェネレータという)によってレンズ素材を切削することにより、砂かけ代や研磨代を見込んだ仕上げ寸法よりも肉厚の僅かに厚いレンズを製作し、このレンズを研磨装置によって所定の面形状に研磨することにより製作している。
レンズの切削工程や研磨工程において、レンズはレンズ保持具に保持されて加工装置に取り付けられる。レンズ保持具は、ヤトイと低融点合金(以下、アロイともいう)とで構成されている(特許文献1参照)。
図13に特許文献1に開示されている従来のレンズ保持具を示す。このレンズ保持具1は、ヤトイ2と低融点合金(以下、アロイともいう)3とからなり、例えば、一般に市販されているLOH社製のレイアウトブロッカーと呼ばれるレンズ用ブロック装置によってレンズ4の取り付けを行なっている。レンズ4をレンズ保持具1に取り付けるには、予めレンズ4の被加工面4aとは反対側の面(加工済み面で、例えば凸面)4bに傷防止用の保護フィルム5を貼着しておく。次に、レイアウトブロッカーの取付部6にヤトイ2とブロッキングリング7を固定し、このリング7の上にレンズ4を保護フィルム5が貼着された凸面4bを下にして載置する。これにより、ブロッキングリング7は上面側内周縁によってレンズ4の凸面4bの外周部を支持する。そして、レンズ4、ヤトイ2、ブロッキングリング7および取付部6によって囲まれた空間内に溶融したアロイ3を流し込んで固化させることにより、レンズ4をヤトイ2に固定する。レンズ4は、ブロッキングリング7をアロイ3から分離した後、ヤトイ2とともに加工装置に装着され、被加工面4aの切削または研磨加工が行われる。
特開2003−334748号公報
しかしながら、上記した従来のレンズ保持具1は、ヤトイ2が単一部品からなるため、以下のような問題があった。すなわち、近年、装置の入れ替え、新機能を搭載した装置の導入等で様々な機種の加工装置やレイアウトブロッカー(以下、これらを総称して呼ぶときは、単に装置または各種装置という)を導入したり、さらに既存の機種と併用するといった機会が増えてきている。その場合、レイアウトブロッカーのヤトイ2が取り付けられる取付部6の形状と、加工装置の取付部の形状が一致していれば、従来からのヤトイ2を共通部品としてそのまま使用することができる。しかし、実際には各種装置、機種、メーカー等によって取付部形状が異なっているため、装置を替える場合や、連続工程で取付部の形状が異なった装置を用いる必要がある場合等では、その都度ヤトイ2を装置の取付部に適合する別のヤトイに変更しなければならず、ヤトイの種類が増加するという問題があった。具体的には、レイアウトブロッカーの場合は、アロイ3を流し込む必要性があることから図13に示すように取付部6に環状の凹陥部6aを設けているため、この凹陥部6aに適合する凸状の嵌合部8を有する専用のヤトイ2を用いる必要がある。一方、各種加工装置は、一般に取付部をスクロールチャック、インデペンデントチャック、コレットチャック、マグネットチャック、ドリルチャック等のメカニカルチャックで構成しているので、例えばスクロールチャックに対してヤトイ2を適合させることができず、このためヤトイ2自体を別の適合可能なヤトイに交換するか、または交換しない場合は、ヤトイ2が適合する取付部を備えた加工装置を使用する必要がある。
さらに連続工程で使用する必要がある場合は、加工装置毎にヤトイ2を変更しなければならないため、その都度レンズ4をヤトイ2から外した後、上述したように別のヤトイをレイアウトブロッカーに装着して再度アロイ3を流し込みレンズ4を固定しなければならならず、ヤトイの交換作業工程が煩雑で、時間が掛かり、生産性を低下させるという問題があった。
本発明は上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ヤトイの交換時にレンズの取外し、固定作業を必要とせず、装置取付部の形状が異なる各種装置に対して使用することができるヤトイおよびレンズ保持具を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、レンズを低融点合金を介して固定するヤトイにおいて、前記レンズの被加工面とは反対側の面が前記低融点合金を介して固定されるヤトイ本体と、装置取付部に固定される固定基部とを備え、前記固定基部が、各種装置の取付部形状にそれぞれ適合する嵌合部を有する複数種の固定基部からなり、前記ヤトイ本体に対して選択的に着脱自在に取り付けられるものである。
また、本発明は、上記発明において、前記固定基部を前記ヤトイ本体に着脱可能に固定する固定手段をさらに備えているものである。
また、本発明は、上記発明において、前記固定手段がねじまたはピンからなるものである。
また、本発明は、ヤトイおよび低融点合金からなる保持具であって、前記ヤトイ、レンズ、ブロッキングリングおよび装置取付部間に形成された空間内に溶融した低融点合金を流し込んで固化させることによって前記レンズを前記ヤトイに固定するレンズ保持具において、前記ヤトイは、前記レンズの被加工面とは反対側の面が前記低融点合金を介して固定されるヤトイ本体と、前記装置取付部に固定される固定基部とを備え、前記固定基部は、各種装置の取付部形状にそれぞれ適合する嵌合部を有する複数種の固定基部からなり、前記ヤトイ本体に対して選択的に着脱自在に取り付けられるものである。
本発明においては、固定基部が、各種装置の取付部形状にそれぞれ適合する嵌合部を有する複数種の固定基部からなるため、装置取付部に適合する嵌合部を有する固定基部を選択して使用することにより、各種装置に対して使用することができる。一方、ヤトイ本体は一種類でよく、共通部品として使用することができる。また、固定基部を交換するときレンズをヤトイ本体から取り外す必要がなく、ヤトイの交換作業を容易かつ迅速に行なうことができる。固定手段はねじまたはピンからなり、固定基部をヤトイ本体に対して容易に固定することができる。さらに、レンズをヤトイ本体から取り外すことがないため、ヤトイを交換した際も改めて軸出しをする必要がなく次工程に進むことが可能である。
本発明に係るレンズ保持具の一実施の形態を示す断面図である。 ヤトイの分解斜視図である。 ヤトイの結合状態を示す斜視図である。 ヤトイの側面図である。 ヤトイの底面図である。 他の固定基部を用いたヤトイの分解斜視図である。 ヤトイの結合状態を示す斜視図である。 ヤトイの側面図である。 ヤトイの底面図である。 ヤトイをスクロールチャックに装着した状態を示す断面図である。 他のレンズ保持具の実施の形態を示す断面図である。 固定基部の側面図である。 従来のレンズ保持具にレンズを固定するときの様子を示す断面図である。
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて説明する。
図1〜図5は、レンズの凸面をブロックするレンズ保持具に適用した例を示す。図1において、レンズ保持具10は、アロイ3とヤトイ11とからなり、図13に示した従来のヤトイ2とアロイ3とからなるレンズ保持具1と基本的に同じ構成ではあるが、ヤトイ11が軸線方向に分割された2部材で構成されている点で従来のヤトイ2と異なっている。このため、ヤトイ11は、ヤトイ本体11Aと、固定基部11Bとからなり、これら両部材は止めねじ13によって着脱可能に結合されている。
図2〜図5において、前記ヤトイ本体11Aは、SUS303等によってレンズ4の外径より小さい直径と適宜な板厚を有する円板状に形成され、上面が平坦なレンズ取付面14を形成し、下面が前記固定基部11Bの取付面15を形成している。また、ヤトイ本体11Aのレンズ取付面14には、アロイ3とヤトイ本体11Aとの結合強度を増大させアロイ3の回転、剥離または脱落を防止するために機能する穴16が形成されている。穴16は、不貫通穴からなり、ヤトイ本体11Aの周方向に等間隔おいて例えば4つ形成されている。一方、ヤトイ本体11Aの取付面15には、止めねじ13がねじ込まれるねじ孔17が同じく周方向に等間隔おいて2つ形成されている。
ここでは、固定基部11Bをヤトイ本体11Aに固定する固定手段として止めねじ13を用いた例を示したが、これに限らずピンであってもよく、その場合は、固定基部11B側に複数本のピンを突設し、ヤトイ本体11Aの取付面15にピンが挿入されるピン用穴を形成するか、または反対にヤトイ本体11A側にピンを突設し、固定基部11B側にピン用穴を形成すればよい。なお、本実施の形態においては、図2に示すように取付面15にそれぞれ2つのねじ穴17とピン用穴18を並設した例を示している。
前記固定基部11Bは、各種装置の取付部に固定される部分で、ヤトイ本体11Aと同一の金属材料によってカップ状に形成されることにより、円板部12Aと、円板部12Aの下面外周部に一体に突設された断面台形状の環状突起からなる嵌合部12Bとで構成されることにより、下面中央に嵌合部12Bによって囲まれた逆台形の凹陥部19を有している。円板部12Aは、ヤトイ本体11Aと同一の外径で、前記凹陥部19と連通する中心孔20を有し、上面21が平坦面に形成されている。嵌合部12Bの先端面には、嵌合部12Bの外周壁と内周壁を連通させる2つの位置決め用凹部22と、前記止めねじ13が挿通される貫通穴からなる2つのねじ取付用穴23が形成されている。
このようなヤトイ11は、レンズ4を取り付けるとき、ヤトイ本体11Aと固定基部11Bを互いに重ね合わせてその外周面に表示した位置決め線25a、25bを一致させ、止めねじ13によって一体的に結合した後、図13に示すレイアウトブロッカーの取付部6に装着される。このとき、固定基部11Bの嵌合部12Bは取付部6の凹陥部6aに嵌合し、この凹陥部6aの内側突起部27が固定基部11Bの凹陥部19に嵌合する。また、前記凹陥部6aの溝底には固定基部11Bの位置決め用凹部22が嵌合する2つの位置決め用突起部(図示せず)が一体に突設されており、これによって固定基部11Bの回転を防止している。
次に、レイアウトブロッカーの取付部6にブロッキングリング7を固定する。ブロッキングリング7は、同じくSUS303等によって形成された内径がレンズ4の外径より若干小さいリングからなり、2つの位置決め用穴28を取付部6に突設した位置決めピン29に嵌合することにより位置決めされ、さらに固定具30によって固定される。
次に、加工すべきレンズ4を凸面4b側を下にしてその外周部をブロッキングリング7の上面に載置して中心を一致させた後、レンズ4を適宜な押圧部材によってブロッキングリング7に押し付ける。そして、この状態でアロイ3を流入口よりレンズ4、取付部6、ヤトイ11およびブロッキングリング7によって囲まれた空間内に流入させて固化させることにより、レンズ4をヤトイ11のレンズ取付面14にアロイ3を介して固定する。図1はこの状態を示す。
レンズ4のヤトイ11への取り付けが終了したら、ヤトイ11を取付部6から取り外し、さらにブロッキングリング7をアロイ3から外した後、ヤトイ11をレンズ4の凹面4aを加工する切削装置の取付部に装着する。そして、切削装置によってレンズ4の凹面4aを切削加工し、所定の仕上げ寸法より研磨代だけ厚肉のレンズを製作する。切削加工が終了した後、ヤトイ11は、切削装置から取り外され、研磨装置の取付部に装着される。研磨装置は、レンズ4の凹面4aを研磨し所定の面形状の光学面に仕上げる。
ここで、ヤトイ11を切削装置や研磨装置の取付部に装着するとき、これら装置の取付部がレイアウトブロッカーの取付部6と異なる形状の場合、具体的には例えばスクロールチャックを用いている場合はヤトイ11の固定基部11Bをスクロールチャックに固定することができなくなる。
そこで、本発明に係るレンズ保持具10は、上記したヤトイ本体11A、固定基部11Bに加えて、スクロールチャック43(図10)に適合する、言い換えれば装着可能な別の固定基部31Bを備えている。すなわち、レンズ保持具10は、異なった2つの固定基部11B、31Bを備え、これらをヤトイ本体11Aに対して選択的に着脱可能に取り付けることにより、レイアウトブロッカーの取付部6と、切削装置や研磨装置の取付部に用いられているスクロールチャック43への取付けを可能にするものである。
図6〜図10はスクロールチャックに装着される固定基部を備えたヤトイを示すもので、図1〜図5と同一構成部品、部分については同一符号をもって示し、その説明を適宜省略する。
スクロールチャック用の固定基部31Bは、ヤトイ本体11Aと同径で略同厚の円板状に形成され、上面40にヤトイ本体11Aの位置決め用穴18に嵌合する固定手段としての2つのピン41が突設され、下面42側に図10に示すスクロールチャック43の3つの爪44がスライド自在に嵌合する3つの溝(嵌合部)45が形成されている。これらの溝45は、固定基部31Bの中心から外側に向かって放射状に形成され、その外端が固定基部31Bの外周面に開放している。固定基部11Bを固定基部31Bに交換するときは、止めねじ13(図1、図5)を外して固定基部11Bをヤトイ本体11Aから取り外した後、ピン41と位置決め用穴18との嵌合によって固定基部31Bをヤトイ本体11Aに取り付ける。このとき、レンズ4はヤトイ本体11Aから外す必要はない。スクロールチャック43は、3つの爪44を連動して開閉するカム機構を内蔵しているため、レンズ保持具10の芯出しが容易である。
このように本発明においては、図1〜図5に示す固定基部11Bをヤトイ本体11Aから外して図6〜図10に示す固定基部31Bをヤトイ本体11Aに取り付けることにより、スクロールチャック43に適合するヤトイ11を備えたレンズ保持具10として使用することができる。したがって、固定基部11Bと31Bの交換時にレンズ4をヤトイ本体11Aから取り外す必要がなく、固定基部11B、31Bの交換作業を迅速かつ容易に行なうことができる。
ここで、本実施の形態は、レイアウトブロッカーの取付部6とスクロールチャック43に適合する2種類の固定基部11B、31Bを備えたヤトイ11について示したが、他の型式のチャックを備えた切削装置、研磨装置等の各種加工装置に用いる場合は、そのチャックに適合する固定基部を予め用意しておけばよい。すなわち、本発明は、各種装置の取付部形状に適合する複数の異なった固定基部11B、31B、・・・を備えることにより、ヤトイ本体11Aは共通部品として使用し、固定基部の交換時におけるレンズ4の取外し作業を不要にするものである。
なお、セミフィニッシュレンズ4は、大きさによって分類すると、例えば80、75、70、65mmの4種類があるため、各レンズの大きさに対応した4種類のヤトイ本体11Aを用意しておけば、全てのレンズに対して適用することができる。
図11および図12は、レンズ4の凹面4aをブロックするレンズ保持具50に適用した例を示す。なお、図1〜図10と同一構成部品、部分については同一符号をもって示し、適宜その説明を省略する。レンズ保持具50は、ヤトイ51とアロイ3とで構成されている。ヤトイ51は、レンズ4がアロイ3を介して固定されるヤトイ本体51Aと、2種類の固定基部11B、31Bを備えている。固定基部11B、31Bは、上記した実施の形態のレンズ保持具10に用いられる固定基部11B、31Bと全く同一である。
ヤトイ本体51Aは、上面52がレンズ4の凹面4aに近似した凸面に形成されている点で、上記したヤトイ本体11Aと異なり、その他の構成は略同一である。
このような構造からなるレンズ保持具50においても、レンズ4の凸面4bの加工に用いて好適であり、上記したレンズ保持具10と同様な効果が得られることは明らかであろう。
3…アロイ、4…レンズ、7…ブロッキングリング、10…レンズ保持具、11…ヤトイ、11A…ヤトイ本体、11B…固定基部、12B…嵌合部、13…止めねじ、18…位置決め用穴、31B…固定基部、41…ピン、45…溝(嵌合部)、50…レンズ保持具、51A…ヤトイ本体。

Claims (6)

  1. レンズを低融点合金を介して固定するヤトイにおいて、
    前記レンズの被加工面とは反対側の面が前記低融点合金を介して固定されるヤトイ本体と、
    装置取付部に固定される固定基部とを備え、
    前記固定基部は、各種装置の取付部形状にそれぞれ適合する嵌合部を有する複数種の固定基部からなり、前記ヤトイ本体に対して選択的に着脱自在に取り付けられるヤトイ。
  2. 請求項1記載のヤトイにおいて、
    前記固定基部を前記ヤトイ本体に着脱可能に固定する固定手段をさらに備えているヤトイ。
  3. 請求項2記載のヤトイにおいて、
    前記固定手段がねじまたはピンであるヤトイ。
  4. ヤトイおよび低融点合金からなる保持具であって、前記ヤトイ、レンズ、ブロッキングリングおよび装置取付部間に形成された空間内に溶融した低融点合金を流し込んで固化させることによって前記レンズを前記ヤトイに固定するレンズ保持具において、
    前記ヤトイは、前記レンズの被加工面とは反対側の面が前記低融点合金を介して固定されるヤトイ本体と、
    前記装置取付部に固定される固定基部とを備え、
    前記固定基部は、各種装置の取付部形状にそれぞれ適合する嵌合部を有する複数種の固定基部からなり、前記ヤトイ本体に対して選択的に着脱自在に取り付けられるレンズ保持具。
  5. 請求項4記載のヤトイにおいて、
    前記固定基部を前記ヤトイ本体に着脱可能に固定する固定手段をさらに備えているレンズ保持具。
  6. 請求項5記載のヤトイにおいて、
    前記固定手段がねじまたはピンであるレンズ保持具。
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