JP2010284680A - 厚鋼板の冷却設備およびその冷却方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚鋼板の下面に冷却水を供給する場合において、冷却水を効率よく使用して、高冷却速度で均一に冷却する技術を提供することを目的とする。
【解決手段】厚鋼板の熱間圧延ラインに設置される厚鋼板の冷却設備であって、テーブルロール間に設置され厚鋼板の下面に冷却水を供給するヘッダと、該ヘッダから突出して設けられ厚鋼板の下面に向けて棒状冷却水を噴射する冷却水噴射ノズル群とを備え、前記冷却水噴射ノズル群は厚鋼板の搬送方向に複数のノズル列を形成するとともに、前記複数のノズル列のうち最上流の列を含む1以上のノズル列からなる上流側ノズル列群を構成する各ノズル列内の厚鋼板幅方向のノズルピッチを、その下流側の複数のノズル列からなる下流側ノズル列群を構成する各ノズル列内の幅方向のノズルピッチよりも短くすることを特徴とする厚鋼板の冷却設備。
【選択図】図1

Description

本発明は、厚鋼板の冷却設備およびその冷却方法に関するものである。
熱間圧延によって厚鋼板を製造するプロセスでは、例えば図5に示すような設備において、熱間粗圧延、仕上圧延を行った後、水冷または空冷を行って組織を制御している。水冷によって比較的低い温度、例えば450〜650℃程度に冷却すると、微細なフェライトやベイナイト組織が得られ、強度を確保できるので、スプレー冷却水やラミナー冷却水などによって厚鋼板を冷却する技術が一般的である。また近年では、高い冷却速度を得て組織をより微細化し、厚鋼板の強度を上げる技術の開発が盛んである。
例えば、大量の棒状冷却水を供給して鋼板下面を冷却する技術として特許文献1の技術がある。これは、水槽中の円管内に棒状冷却水を噴射して、円管内の水を随伴させて、みかけ上の冷却水量を多くすることによって、高い冷却速度を得ることができ、材料特性に優れた製品を製造出来るとされている。
また、冷却水を供給して熱鋼板を冷却する他の技術として、特許文献2の技術がある。これは、エプロンを兼ねた冷却ヘッダの上面に多数の小孔を空けて冷却水を噴射し、鋼板下面を冷却する構造であり、冷却の効率が高く、かつ均一性のよい冷却ができるとされている。
特開2001−1027号公報 特公平05−86298号公報
しかしながら、従来の技術は、冷却能力や冷却均一性の確保に問題があった。
特許文献1の技術では、ノズルの幅方向ピッチは長手方向に並ぶノズル列で一定である実施例が示されている。
しかしながら、厚鋼板下面全体を効率よく冷却するためには、以下のような理由で最適なノズル配置ではなかった。図6は従来の下面冷却水噴射ノズルの配置および下面冷却水の流れを模式的に示す上面図および側面図であるが、厚鋼板の冷却が進行するにつれて、厚鋼板下面の表面温度は徐々に低下するので、厚鋼板表面の濡れ性がよくなり、噴水状に噴射した冷却水が厚鋼板下面を伝って拡がる円形の面積(図6に示す周辺冷却部)は、厚鋼板下流側ほど広くなる。特に、厚鋼板を低速で搬送する場合は、その差が歴然とする。したがって、ノズルの幅方向ピッチが一定であると、厚鋼板下面を伝って拡がる冷却水が到達しない部分の面積が、厚鋼板下面の表面温度が低い下流側に対して温度が高い上流側で広いため、厚鋼板下面を効率よく冷却することができない。
また、冷却均一性の確保には以下のような理由で最適なノズル配置ではなかった。例えば、ノズルを千鳥配置として厚鋼板を低速(0.1m/s程度)で搬送して冷却する場合、第1列目のノズル位置を通過する際に、ノズル直上を通過する部分(図6のAの位置)の表面は高い冷却速度が得られるが、ノズル直上の中間を通る部分(図6のBの位置)についても、高い冷却速度で冷却された部分(図6のAの位置)に熱拡散することによってある程度冷やされてしまう。
したがって、第1列目のノズル直上の中間を通る部分(図6のBの位置が)第2列目のノズル直上を通過する際には既に温度が低下しているため、(図6のAの位置が)第1列目を通過した時のような高い冷却速度は得られない。このような場合、初期の冷却速度が変わるので、幅方向で硬度むらが発生してしまう。それゆえ、耐摩耗鋼のように厚鋼板の上下全表面で高い硬度が要求される厚鋼板を製造することが困難であった。
特許文献2の技術は、エプロンを兼ねた冷却ヘッダの上面に多数の孔をあけるだけの構造であるから、鋼板下面に供給した棒状冷却水が落下すると、エプロン上で滞留水となり、後続で噴射する冷却水の障害となる。
本発明は、上記に鑑み、厚鋼板、特に搬送速度0.5m/s以下の低速で搬送される厚鋼板の下面に冷却水を供給する場合において、冷却水を効率よく使用して、高冷却速度で均一に厚鋼板を冷却する技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
第一の発明は、厚鋼板の熱間圧延ラインに設置される厚鋼板の冷却設備であって、テーブルロール間に設置され厚鋼板の下面に冷却水を供給するヘッダと、該ヘッダから突出して設けられ厚鋼板の下面に向けて棒状冷却水を噴射する冷却水噴射ノズル群とを備え、前記冷却水噴射ノズル群は厚鋼板の搬送方向に複数のノズル列を形成するとともに、前記複数のノズル列のうち最上流の列を含む1以上のノズル列からなる上流側ノズル列群を構成する各ノズル列内の厚鋼板幅方向のノズルピッチを、その下流側の複数のノズル列からなる下流側ノズル列群を構成する各ノズル列内の幅方向のノズルピッチよりも短くすることを特徴とする厚鋼板の冷却設備である。
第二の発明は、前記上流側ノズル列群に含まれる各ノズル列内の厚鋼板幅方向のノズルピッチを30〜90mmとすることを特徴とする第一の発明に記載の厚鋼板の冷却設備である。
第三の発明は、前記上流側ノズル列群が厚鋼板の搬送方向50mmの範囲内にある2以上のノズル列により構成され、前記上流側ノズル列群に含まれる全てのノズルが幅方向に15〜30mmの等ピッチで並んでいることを特徴とする第一または第二の発明に記載の厚鋼板の冷却設備である。
第四の発明は、前記冷却水噴射ノズルの内径を5〜12mm、前記冷却水噴射ノズルから噴射される冷却水の流速を2〜20m/sとし、前記冷却水噴射ノズル群から噴射される冷却水の前記テーブルロール間の平均水量密度を1.5〜4.0m/m・minとすることを特徴とする第一乃至第三の発明のいずれかに記載の厚鋼板の冷却設備である。
第五の発明は、テーブルロール間に設置されるヘッダに設けられた冷却水噴射ノズル群から厚鋼板の下面に向けて棒状冷却水を噴射する、厚鋼板の熱間圧延ラインにおける厚鋼板の冷却方法であって、前記棒状冷却水が厚鋼板下面に衝突する着水部が厚鋼板の搬送方向に複数の着水部列を形成するとともに、前記複数の着水部列のうち最上流の列を含む1以上の着水部列からなる上流側着水部列群を構成する各着水部列内の厚鋼板幅方向の着水部間隔が、その下流側の複数の着水部列からなる下流側着水部列群を構成する各着水部列内の幅方向の着水部間隔よりも短くなるように、前記棒状冷却水を噴射することを特徴とする厚鋼板の冷却方法である。
第六の発明は、前記上流側着水部列群に含まれる各着水部列内の厚鋼板幅方向の着水部間隔を30〜90mmとすることを特徴とする第五の発明に記載の厚鋼板の冷却方法である。
第七の発明は、前記上流側着水部列群が厚鋼板の搬送方向50mmの範囲内にある2以上の着水部列により構成され、前記上流側着水部列群に含まれる全ての着水部が幅方向に15〜30mmの等間隔で並んでいることを特徴とする第五または第六の発明に記載の厚鋼板の冷却方法である。
第八の発明は、前記棒状冷却水を噴射する冷却水噴射ノズルの内径を5〜12mm、前記棒状冷却水の流速を2〜20m/sとし、前記棒状冷却水の前記テーブルロール間の平均水量密度を1.5〜4.0m/m・minとすることを特徴とする第五乃至第七の発明のいずれかに記載の厚鋼板の冷却方法である。
本発明の厚鋼板の冷却設備を用いることにより、冷却水を効率よく使い、高い冷却速度が得られ、厚鋼板を目標温度まで早く冷却できるので、生産性向上に寄与できる。また、厚鋼板下面の冷却を、厚鋼板幅方向に温度むらがなく、均一に行うことができるので、特に幅方向の硬度分布が均一な品質の高い厚鋼板を製造することができる。
本発明の一実施の形態に係る上下面冷却設備の配置を示す側面図である。 下面冷却水の流れを示す模式図である。 下冷却水噴射ノズルの配置を示す上面および側面図である。 下面表面温度と板厚平均温度との鋼板搬送方向の温度履歴を示す図である。 本発明が用いられる厚板圧延ラインの概略を説明する図である。 従来技術の下冷却水噴射ノズルの配置を示す上面および側面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図5は、本発明が用いられる厚板圧延ラインの一例を示す概略図である。
加熱炉から抽出されたスラブは、圧延機によって粗圧延と仕上圧延が施され、所定の仕上温度、仕上板厚とされた後、オンラインにて加速冷却設備に搬送される。冷却前にプリレベラを通して厚鋼板の形状を整えてから加速冷却を行うのが均一な材質を得るには好適である。加速冷却設備では、上面冷却設備と下面冷却設備とから噴射される冷却水によって厚鋼板は所定温度まで冷却される。
そして、図1は本発明の一実施の形態に係る上下面冷却設備の配置を示す側面図である。上面冷却設備は厚鋼板12の上面に冷却水を供給する上ヘッダ1と、該上ヘッダ1から懸垂した上冷却水噴射ノズル3とを備えており、上冷却水噴射ノズル3は棒状の冷却水を噴射する円管ノズル3からなる。上面冷却は、上部ヘッダ1に設けた円管ノズル3から厚鋼板上面に対して垂直に、高速で冷却水を供給して行う。冷却水は、滞留水膜を破って厚鋼板上面に到達し、高い冷却能力を得ることができる。
一方、下面冷却設備は、テーブルロール11間に設置され、厚鋼板12の下面に冷却水を供給する下ヘッダ2と、該下ヘッダ2から突出して設けられ、鉛直方向上向きに冷却水を噴射する下冷却水噴射ノズル4とを備えており、下冷却水噴射ノズル4は棒状冷却水を噴射する円管ノズル4からなる。そして、これらの下冷却水噴射ノズル4は厚鋼板搬送方向に複数のノズル列を形成するとともに、最上流の列を含む1以上のノズル列からなる上流側ノズル列群41と、その下流側の複数のノズル列からなる下流側ノズル列群42を構成している。下面冷却は、下面ヘッダに設けた下冷却水噴射ノズル4から厚鋼板下面に対して垂直に、冷却水を供給して行う。なお、厚鋼板下面側の冷却では、噴射された冷却水は厚鋼板に衝突した後に自然落下する。
ここで、本発明における棒状冷却水とは、円形状(楕円や多角の形状も含む)のノズル噴出口からある程度加圧された状態で噴射される冷却水であって、ノズル噴出口からの冷却水の噴射速度が2m/s以上であり、ノズル噴出口から噴射された水流の断面がほぼ円形に保たれた連続性と直進性のある水流の冷却水のことをいう。すなわち、円管ラミナーノズルからの自由落下流や、スプレーのような液滴状態で噴射されるものとは異なる。
次に、厚鋼板下面側の冷却水の流れを詳細に検討する。
図2は下面冷却水6の流れを示す模式図であり、図3は下冷却水噴射ノズル4の配置および下面冷却水の流れを模式的に示す上面図および側面図である。下冷却水噴射ノズル4より棒状に噴射された冷却水は、厚鋼板12(図中、着水部21とよぶ部分)に衝突した後、厚鋼板下面に沿って水平方向に流れ、周辺冷却部22とよぶ部分を冷却し、厚鋼板下面から離脱・落下する。着水部21と周辺冷却部22は、冷却水が厚鋼板下面と直接接触する部分であり、冷却設備が高い冷却能力を持つためには、この2つの部分が占める面積をなるべく広くするようなノズルレイアウトとすることが重要である。
ところで、表面温度が低いほど厚鋼板表面での濡れ性がよくなるので、冷却水が厚鋼板下面に沿って拡がりやすくなる。したがって、図3のノズル列A1とノズル列B1(上流側ノズル列群41)での円形の冷却部分(着水部21と周辺冷却部22とを合わせた部分)よりもノズル列A2とノズル列B2(下流側ノズル列群42)での冷却部分(着水部21と周辺冷却部22とを合わせた部分)の方が広くなる。
上述したことを具体的試験結果に基づいて説明すると、厚鋼板温度を800℃、厚鋼板搬送速度を0.2m/sとした時、内径5mmの下冷却水噴射ノズル4から冷却水を噴射すると、ノズル列A1とノズル列B1の冷却部分(着水部21と周辺冷却部22とを合わせた部分)の直径は20mm程度、ノズル列A2とノズル列B2の冷却部分(着水部21と周辺冷却部22とを合わせた部分)の直径は40mm程度であった。
この時の厚鋼板12の下面側表面温度と板厚平均温度との鋼板搬送方向の温度履歴を図4に示す。図3中のAの位置の厚鋼板下面側表面温度がAs、板厚平均温度がAm、同じく、図3のBの位置の厚鋼板下面側表面温度がBs、板厚平均温度がBmである。図4に示すように、Aの位置とBの位置とでは、これらの温度履歴はほぼ等しく、厚鋼板幅方向に硬度むらは発生しない。しかし、ノズル列A1からノズル列B1までの搬送時間が長い場合、Bの位置ではノズル列A1からの熱拡散の影響によってノズル列B1の位置に達する前に厚鋼板下面側表面温度が低下し始め、図4のBs’のような温度履歴となる。この場合は、Ar変態開始温度からの冷却速度が低くなるために、この部分で高い強度が得られなくなる。
このような冷却の不均一を生じさせないためには、ノズル列A1とノズル列B1の通過時間差が0.5sec以内であることが必要である。厚鋼板の搬送速度は、最も遅いもので0.1m/s程度であるから、ノズル列A1とノズル列B1の距離L1は50mm以内であることが望ましい。
なお、ノズル列A1とノズル列B1(上流側ノズル列群41)の冷却部分(着水部21と周辺冷却部22とを合わせた部分)の直径は、ノズルの内径や噴射速度、厚鋼板表面温度などによって変化するが、一般的な条件では15〜30mmである。したがって、例えば、冷却部分の直径が20mmである条件では、ノズル列A1とノズル列B1それぞれのノズル列内での厚鋼板幅方向のノズルピッチS1はその2倍の40mmとすればよい。また、上流側ノズル列群41として、搬送方向50mmの範囲に3つのノズル列(A1,B1,C1)を搬送方向に25mm間隔で配してもよく、その場合は、それぞれのノズル列内での厚鋼板幅方向のノズルピッチS1をその3倍の60mmとすればよい。
すなわち、上流側ノズル列群41は、最上流のノズル列A1から搬送方向50mmの範囲内にある2以上のノズル列により構成することが好ましく、また、そのノズル列内の厚鋼板幅方向のノズルピッチS1は、冷却部分(着水部21と周辺冷却部22とを合わせた部分)の大きさや上流側ノズル列群のノズル列数などに応じて適宜設定すればよいが、30mm(冷却部分直径15mmで2列の場合)〜90mm(冷却部分直径30mmで3列の場合)の範囲が好適である。ノズルは工具で取り付けなければならないから、厚鋼板幅方向のピッチを30mm未満にすることは難しい。幅方向のピッチが90mmを超えるとノズル列を4列以上設けなければならないが、それよりも幅方向のピッチを短く、ノズル列を少なくして水冷開始の時間差を短くする方がよい。
また、前述したように、上流側ノズル列群41の冷却部分(着水部21と周辺冷却部22とを合わせた部分)の直径は、ノズルの内径や噴射速度、厚鋼板表面温度などによって変わるが、一般的な条件では15〜30mmである。したがって、厚鋼板幅方向の全ての部分が、上流側ノズル列群41の冷却部分(着水部21と周辺冷却部22とを合わせた部分)を通過するように、上流側のノズル列群41に含まれる全てのノズルの幅方向間隔(S2)が15〜30mmの等ピッチで並んでいることが好ましい。
例えば、上流側ノズル列群41のノズル列が2列である場合には、図3に示すように、ノズル列A1とノズル列B1の幅方向ノズル位置を、幅方向ノズルピッチの1/2だけずらして設置することが好ましい。同様に、上流側ノズル列群41のノズル列が3列である場合には、ノズル列内のノズルピッチの1/3だけ、幅方向のノズル位置をノズル列間でずらして設置すればよい。
さらに、厚鋼板を効率よく冷却するためには、下冷却水噴射ノズル4の内径、冷却水の噴射速度やノズル距離も最適にする必要がある。
即ち、下冷却水噴射ノズル4の内径は5〜12mmが好適である。5mm未満ではノズルから噴射する水の束が細くなり、厚鋼板下面に衝突した後の冷却水の拡がりが小さいからである。一方、下冷却水噴射ノズル4のノズル径が12mmを超えると流速が遅くなり、厚鋼板下面に衝突した後の冷却水の拡がりが小さくなる。また、冷却水が厚鋼板下面に直接あたる点の数を減らすと冷却能力が低下するので、ノズル径を12mm以下としてノズルの設置密度を高くする方が、厚鋼板下面を効率よく冷却することができる。
下冷却水噴射ノズル4の噴射速度は、2m/s以上が好ましい。2m/s未満では、噴水の高さが200mm以下となってしまい、冷却水の厚鋼板下面への当たり方にばらつきが生じ、幅方向の温度むらが発生しやすくなるからである。また、20m/s以下が好ましい。流速が速すぎると、ポンプの送水圧を上げなくては成らなくなり、設備コストが高くなる。そのうえ、必要な水量密度とするためのノズル設置密度が低くなり、厚鋼板下面を効率よく冷却できなくなる。
テーブルロール間の平均水量密度は、1.5〜4.0m/m・minとするのが望ましい。1.5m/m・min未満だと、冷却の初期で十分な冷却速度が得られず、耐摩耗鋼のように表面が硬い厚鋼板を製造することができない。4.0m/m・minを超える場合でも、本発明の技術を用いることは有効であるが、設備コストが高くなって、水量を効率的に使用して冷却する観点からは好ましくない。
本発明は、最初に冷却されるタイミングを幅方向の位置によって大きくずれないようにするとともに、高い冷却効率を得ようとするものである。したがって、図1では、下冷却水噴射ノズル4の向きを垂直方向としたが、ノズルの着水部21が上述のノズル配置の関係を満たしていれば、ノズルの向きは垂直でなくてもよく、例えばノズルをテーブルロールの方に傾けて噴射するなどしてもよい。
すなわち、複数の着水部列のうち最上流の列を含む1以上の着水部列からなる上流側着水部列群を構成する各着水部列内の厚鋼板幅方向の着水部間隔が、その下流側の複数の着水部列からなる下流側着水部列群を構成する各着水部列内の幅方向の着水部間隔よりも短くなるように、棒状冷却水を噴射することにより、上述のノズル配置からなる図1に示す実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、以上の説明では、主に下面冷却設備と下面冷却水の流れを詳述したが、本発明では、上面冷却については特に規定しない。すなわち、図1では、上面冷却設備についても下面冷却設備と同様の冷却設備として描かれているが、これに限定されるものではない。水冷中に厚鋼板の上下で温度差が生じると厚鋼板が反ってしまうので、本発明の下面冷却技術を用いる場合でも、上下で均等な冷却を行うことが好ましいが、上面冷却は、下面冷却とつりあう冷却能力を持たせればよく、公知の技術を用いればよい。
以下、本発明の一実施例として、厚板圧延のプロセスにおいて、鋼板の冷却を行う場合について、図面に基づいて説明する。
図5に概略を示す厚板熱間圧延設備において、加熱炉から抽出されたスラブを圧延機によって、成形、幅出し圧延を行った後、粗圧延、仕上圧延を行った。仕上圧延直後に測定した厚鋼板表面温度、すなわち仕上温度は820℃であった。この後に、ホットレベラを通して、加速冷却設備において加速冷却を行った。
搬送速度を0.2m/sとして、冷却開始温度800℃から冷却終了温度(加速冷却設備出側で復熱後の温度を測定した値)200℃まで冷却を行い、表層硬度(ブリネル硬度;荷重3000kgf、10mm鋼球)400HBクラス、板厚60mm、板幅3.0mの耐摩耗鋼板を製造した。
本発明例として、上述した実施形態に示した冷却設備を用いた。冷却水噴射ノズルの内径5mm、外径9mmとし、冷却水噴射速度は上面冷却を11.5m/s、下面冷却を16.8〜18.3m/sとした。上面冷却の厚鋼板幅方向のノズルピッチは、60mmとして、下面ノズルのレイアウトを変更して、冷却の効率を比較した。
テーブルロール間距離0.9mのゾーン内で厚鋼板の搬送方向に並ぶノズル列は、発明例1と比較例では6列、発明例2では9列とした。
図3に示す、円形の水冷部分の直径は、最初の冷却を行う上流側ノズル列群41(ノズル列A1、ノズル列B1、ノズル列C1)では20mm程度、第2の冷却を行う下流側ノズル列群42(ノズル列A2、ノズル列B2、ノズル列C2)では40mm程度であると仮定し、以下のノズル配列を決定した。
発明例1では、搬送方向最上流の50mm内にノズル列A1、ノズル列B1の2列を配し、列内での厚鋼板幅方向のノズルピッチ(S1)を40mmとし、ノズル列A1とノズル列B1とで、幅方向のノズル位置のずれ(S2)が20mmとなるように設置した。ノズル列A1、ノズル列B1よりも下流にあるノズル列A2、ノズル列B2でのノズルピッチは、厚鋼板の搬送方向で80mm、列内での厚鋼板幅方向で80mmとした。冷却水が厚鋼板下面と接触する円形の冷却部分(着水部21と周辺冷却部22とを合わせた部分)が最適に分散された結果、高い冷却能力が得られた。
上面冷却の水量密度1.5m/m・minと冷却能力がつりあう下面水量密度は2.2m/m・minであった。冷却の厚鋼板の幅方向均一性は良好で、耐摩耗鋼板の幅方向の表層硬度はHB390〜400の範囲におさまった。
発明例2では、搬送方向最上流の50mm内にノズル列A1、ノズル列B1、ノズル列C1の3列を配し、列内での厚鋼板幅方向のノズルピッチ(S1)を60mmとし、ノズル列A1、ノズル列B1、ノズル列C1とで、幅方向のノズル位置のずれ(S2)がそれぞれ20mmとなるように設置した。ノズル列A1、ノズル列B1、ノズル列C1よりも下流にあるノズル列A2、ノズル列B2、ノズル列C2でのノズルピッチは、厚鋼板の搬送方向で50mm、列内での厚鋼板幅方向で120mmとした。冷却水が鋼板下面と接触する円形の冷却部分(着水部21と周辺冷却部22とを合わせた部分)が最適に分散された結果、高い冷却能力が得られた。
上面冷却の水量密度1.5m/m・minと冷却能力がつりあう下面水量密度は2.2m/m・minであった。冷却の厚鋼板の幅方向均一性は良好で、耐摩耗鋼板の幅方向の表層硬度はHB390〜420の範囲におさまった。
これに対し、比較例では、冷却水噴射ノズルのピッチを厚鋼板の搬送方向で70mm、列内での厚鋼板幅方向で60mm一定とした。冷却水が厚鋼板下面と接触する円形の冷却部分の面積は、搬送方向上流で狭く、下流で広くなって偏ってしまい、同じ水量密度での冷却能力は発明例1、2に比べて若干低かった。上面冷却の水量密度1.5m/m・minと冷却能力がつりあう下面水量密度は2.4m/m・minであり、ランニングコストが余計にかかった。初期の冷却において幅方向に強弱があったので、冷却の厚鋼板の幅方向均一性は発明例1、2よりは劣り、耐摩耗鋼板の幅方向の表層硬度はHB340〜420の範囲でばらついた。
1 上ヘッダ
2 下ヘッダ
3 上冷却水噴射ノズル
4 下冷却水噴射ノズル
41 上流側ノズル列群
42 下流側ノズル列群
5 上面冷却水
6 下面冷却水
7 落下水
8 滞留水膜
10 水切ロール
11 テーブルロール
12 厚鋼板
21 着水部
22 周辺冷却部
23 直射領域

Claims (8)

  1. 厚鋼板の熱間圧延ラインに設置される厚鋼板の冷却設備であって、テーブルロール間に設置され厚鋼板の下面に冷却水を供給するヘッダと、該ヘッダから突出して設けられ厚鋼板の下面に向けて棒状冷却水を噴射する冷却水噴射ノズル群とを備え、前記冷却水噴射ノズル群は厚鋼板の搬送方向に複数のノズル列を形成するとともに、前記複数のノズル列のうち最上流の列を含む1以上のノズル列からなる上流側ノズル列群を構成する各ノズル列内の厚鋼板幅方向のノズルピッチを、その下流側の複数のノズル列からなる下流側ノズル列群を構成する各ノズル列内の幅方向のノズルピッチよりも短くすることを特徴とする厚鋼板の冷却設備。
  2. 前記上流側ノズル列群に含まれる各ノズル列内の厚鋼板幅方向のノズルピッチを30〜90mmとすることを特徴とする請求項1に記載の厚鋼板の冷却設備。
  3. 前記上流側ノズル列群が厚鋼板の搬送方向50mmの範囲内にある2以上のノズル列により構成され、前記上流側ノズル列群に含まれる全てのノズルが幅方向に15〜30mmの等ピッチで並んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の厚鋼板の冷却設備。
  4. 前記冷却水噴射ノズルの内径を5〜12mm、前記冷却水噴射ノズルから噴射される冷却水の流速を2〜20m/sとし、前記冷却水噴射ノズル群から噴射される冷却水の前記テーブルロール間の平均水量密度を1.5〜4.0m/m・minとすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の厚鋼板の冷却設備。
  5. テーブルロール間に設置されるヘッダに設けられた冷却水噴射ノズル群から厚鋼板の下面に向けて棒状冷却水を噴射する、厚鋼板の熱間圧延ラインにおける厚鋼板の冷却方法であって、前記棒状冷却水が厚鋼板下面に衝突する着水部が厚鋼板の搬送方向に複数の着水部列を形成するとともに、前記複数の着水部列のうち最上流の列を含む1以上の着水部列からなる上流側着水部列群を構成する各着水部列内の厚鋼板幅方向の着水部間隔が、その下流側の複数の着水部列からなる下流側着水部列群を構成する各着水部列内の幅方向の着水部間隔よりも短くなるように、前記棒状冷却水を噴射することを特徴とする厚鋼板の冷却方法。
  6. 前記上流側着水部列群に含まれる各着水部列内の厚鋼板幅方向の着水部間隔を30〜90mmとすることを特徴とする請求項5に記載の厚鋼板の冷却方法。
  7. 前記上流側着水部列群が厚鋼板の搬送方向50mmの範囲内にある2以上の着水部列により構成され、前記上流側着水部列群に含まれる全ての着水部が幅方向に15〜30mmの等間隔で並んでいることを特徴とする請求項5または6に記載の厚鋼板の冷却方法。
  8. 前記棒状冷却水を噴射する冷却水噴射ノズルの内径を5〜12mm、前記棒状冷却水の流速を2〜20m/sとし、前記棒状冷却水の前記テーブルロール間の平均水量密度を1.5〜4.0m/m・minとすることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の厚鋼板の冷却方法。
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