JP2010284638A - 電気式脱イオン水製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電気式脱イオン水製造装置の濃縮室に、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する直径4〜40μmの多数の粒子体又は該有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4〜40μmの多数の突起体との複合構造体であって、水湿潤状態で孔の平均直径10〜150μm、全細孔容積0.5〜5ml/gであり、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量0.2mg当量/ml以上であるモノリス状有機多孔質イオン交換体を充填する。
【選択図】なし
Description
複合モノリスイオン交換体は、複合モノリスにイオン交換基を導入することで得られるものであり、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する直径4〜40μmの多数の粒子体との複合構造体であるか、又は連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4〜40μmの多数の突起体との複合構造体であって、水湿潤状態で孔の平均直径10〜150μm、全細孔容積0.5〜5ml/gであり、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量0.2mg当量/ml以上であり、イオン交換基が該複合構造体中に均一に分布している。なお、本明細書中、「粒子体」及び「突起体」を併せて「粒子体等」と言うことがある。
(1)III工程における重合温度が、重合開始剤の10時間半減温度より、少なくとも5℃低い温度である;
(2)II工程で用いる第2架橋剤のモル%が、I工程で用いる第1架橋剤のモル%の2倍以上である;
(3)II工程で用いるビニルモノマーが、I工程で用いた油溶性モノマーとは異なる構造のビニルモノマーである;
(4)II工程で用いる有機溶媒が、分子量200以上のポリエーテルである;
(5)II工程で用いるビニルモノマーの濃度が、II工程の混合物中、30重量%以下である;の条件のうち、少なくとも一つを満たす条件下でII工程又はIII工程を行うことにより得られる。
本発明のモノリスの製造方法において、I工程は、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する第1架橋剤、界面活性剤及び水の混合物を撹拌することにより油中水滴型エマルジョンを調製し、次いで油中水滴型エマルジョンを重合させて全細孔容積が5〜30ml/gの連続マクロポア構造のモノリス中間体を得る工程である。このモノリス中間体を得るI工程は、特開2002−306976号公報記載の方法に準拠して行なえばよい。
II工程は、ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する第2架橋剤、ビニルモノマーや第2架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒及び重合開始剤からなる混合物を調製する工程である。なお、I工程とII工程の順序はなく、I工程後にII工程を行ってもよく、II工程後にI工程を行ってもよい。
(2)II工程で用いる第2架橋剤のモル%が、I工程で用いる第1架橋剤のモル%の2倍以上である。
(3)II工程で用いるビニルモノマーが、I工程で用いた油溶性モノマーとは異なる構造のビニルモノマーである。
(4)II工程で用いる有機溶媒が、分子量200以上のポリエーテルである。
(5)II工程で用いるビニルモノマーの濃度が、II工程の混合物中、30重量%以下である。
10時間半減温度は重合開始剤の特性値であり、使用する重合開始剤が決まれば10時間半減温度を知ることができる。また、所望の10時間半減温度があれば、それに該当する重合開始剤を選択することができる。III工程において、重合温度を低下させることで、重合速度が低下し、骨格相の表面に粒子体等を形成させることができる。その理由は、モノリス中間体の骨格相の内部でのモノマー濃度低下が緩やかとなり、液相部からモノリス中間体へのモノマー分配速度が低下するため、余剰のモノマーがモノリス中間体の骨格層の表面近傍で濃縮され、その場で重合したためと考えられる。
II工程で用いる第2架橋剤のモル%を、I工程で用いる第1架橋剤のモル%の2倍以上に設定して重合すると、本発明の複合モノリスが得られる。その理由は、モノリス中間体と含浸重合によって生成したポリマーとの相溶性が低下し相分離が進行するため、含浸重合によって生成したポリマーはモノリス中間体の骨格相の表面近傍に排除され、骨格相表面に粒子体等の凹凸を形成したものと考えられる。なお、架橋剤のモル%は、架橋密度モル%であって、ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対する架橋剤量(モル%)を言う。
II工程で用いるビニルモノマーが、I工程で用いた油溶性モノマーとは異なる構造のビニルモノマーであると、本発明の複合モノリスが得られる。例えば、スチレンとビニルベンジルクロライドのように、ビニルモノマーの構造が僅かでも異なると、骨格相表面に粒子体等が形成された複合モノリスが生成する。一般に、僅かでも構造が異なる二種類のモノマーから得られる二種類のホモポリマーは互いに相溶しない。したがって、I工程で用いたモノリス中間体形成に用いたモノマーとは異なる構造のモノマー、すなわち、I工程で用いたモノリス中間体形成に用いたモノマー以外のモノマーをII工程で用いてIII工程で重合を行うと、II工程で用いたモノマーはモノリス中間体に均一に分配や含浸がされるものの、重合が進行してポリマーが生成すると、生成したポリマーはモノリス中間体とは相溶しないため、相分離が進行し、生成したポリマーはモノリス中間体の骨格相の表面近傍に排除され、骨格相の表面に粒子体等の凹凸を形成したものと考えられる。
II工程で用いる有機溶媒が、分子量200以上のポリエーテルであると、本発明の複合モノリスが得られる。ポリエーテルはモノリス中間体との親和性が比較的高く、特に低分子量の環状ポリエーテルはポリスチレンの良溶媒、低分子量の鎖状ポリエーテルは良溶媒ではないがかなりの親和性を有している。しかし、ポリエーテルの分子量が大きくなると、モノリス中間体との親和性は劇的に低下し、モノリス中間体とほとんど親和性を示さなくなる。このような親和性に乏しい溶媒を有機溶媒に用いると、モノマーのモノリス中間体の骨格内部への拡散が阻害され、その結果、モノマーはモノリス中間体の骨格の表面近傍のみで重合するため、骨格相表面に粒子体等が形成され骨格表面に凹凸を形成したものと考えられる。
II工程で用いるビニルモノマーの濃度が、II工程中の混合物中、30重量%以下であると、本発明の複合モノリスが得られる。II工程でモノマー濃度を低下させることで、重合速度が低下し、前記(1)と同様の理由で、骨格相表面に粒子体等が形成でき、骨格相表面に凹凸を形成されることができる。モノマー濃度の下限値は特に限定されないが、モノマー濃度が低下するほど重合速度が低下し、重合時間が実用上許容できないほど長くなってしまうため、モノマー濃度は10〜30重量%に設定することが好ましい。
次に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって本発明を制限するものではない。
(I工程;モノリス中間体の製造)
スチレン9.28g、ジビニルベンゼン0.19g、ソルビタンモノオレエート(以下SMOと略す)0.50gおよび2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.26gを混合し、均一に溶解させた。次に,当該スチレン/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)混合物を180gの純水に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて5〜20℃の温度範囲において減圧下撹拌して、油中水滴型エマルションを得た。このエマルションを反応容器に速やかに移し、密封後静置下で60℃、24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、イソプロパノールで抽出した後、減圧乾燥して、連続マクロポア構造を有するモノリス中間体を製造した。水銀圧入法により測定した該モノリス中間体のマクロポアとマクロポアが重なる部分の開口(メソポア)の平均直径は40μm、全細孔容積は15.8ml/gであった。
次いで、スチレン36.0g、ジビニルベンゼン4.0g、1-デカノール60g、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.4gを混合し、均一に溶解させた(II工程)。重合開始剤として用いた2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)の10時間半減温度は、51℃であった。モノリス中間体の架橋密度1.3モル%に対して、II工程で用いたスチレンとジビニルベンゼンの合計量に対するジビニルベンゼンの使用量は6.6モル%であり、架橋密度比は5.1倍であった。次に上記モノリス中間体を外径70mm、厚さ約20mmの円盤状に切断して、3.2g分取した。分取したモノリス中間体を内径73mmの反応容器に入れ、当該スチレン/ジビニルベンゼン/1-
デカノール/2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)混合物に浸漬させ、減圧チャンバー中で脱泡した後、反応容器を密封し、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、厚さ約30mmのモノリス状の内容物を取り出し、アセトンでソックスレー抽出した後、85℃で一夜減圧乾燥した(III工程)。
上記の方法で製造した複合モノリスを、外径70mm、厚み約15mmの円盤状に切断した。モノリスの重量は19.6gであった。これにジクロロメタン1500mlを加え、35℃で1時間加熱した後、10℃以下まで冷却し、クロロ硫酸98.9gを徐々に加え、昇温して35℃で24時間反応させた。その後、メタノールを加え、残存するクロロ硫酸をクエンチした後、メタノールで洗浄してジクロロメタンを除き、更に純水で洗浄して複合モノリスカチオン交換体を得た。
(複合モノリスの製造)
ビニルモノマーの使用量、架橋剤の使用量、有機溶媒の種類と使用量、III工程で重合時に共存させるモノリス中間体の多孔構造、架橋密度と使用量及び重合温度を表1に示す配合量に変更した以外は、参考例1と同様の方法でモノリスを製造した。その結果を表1及び表2に示す。また、複合モノリス(乾燥体)の内部構造を、SEMにより観察した結果を図6〜図13に示す。図6〜図8は参考例2、図9及び図10は参考例3、図11は参考例4、図12及び図13は参考例5のものである。なお、参考例2については架橋密度比(2.5倍)、参考例3については有機溶媒の種類(PEG;分子量400)、参考例4についてはビニルモノマー濃度(28.0%)、参考例5については重合温度(40℃;重合開始剤の10時間半減温度より11℃低い)について、本発明の製造条件を満たす条件で製造した。図6〜図13から参考例3〜5の複合モノリスの骨格表面に付着しているものは粒子体というよりは突起体であった。突起体の「粒子平均径」は突起体の大きさ(最大径)の平均径である。図6〜図13及び表2から、参考例2〜6のモノリス骨格表面に付着している粒子の平均径は3〜8μm、全粒子体等による骨格表面の粒子被覆率は50〜95%であった。また、参考例2が粒径3〜6μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は80%、参考例3が粒径3〜10μmの突起体が全体の粒子体に占める割合は80%、参考例4が粒径3〜5μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は90%、参考例5が粒径3〜7μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は90%であった。
上記の方法で製造した複合モノリスを、それぞれ参考例1と同様の方法でクロロ硫酸と反応させ、複合モノリスカチオン交換体を製造した。その結果を表2に示す。参考例2〜5における複合モノリスカチオン交換体の連続細孔の平均直径は21〜52μmであり、骨格表面に付着している粒子体等の平均径は5〜13μm、全粒子体等による骨格表面の粒子被覆率も50〜95%と高く、差圧係数も0.010〜0.057MPa/m・LVと小さい上に、イオン交換帯長さも8〜12mmと著しく小さな値であった。また、粒径5〜10μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は90%であった。
(複合モノリスの製造)
ビニルモノマーの種類とその使用量、架橋剤の使用量、有機溶媒の種類と使用量、III工程で重合時に共存させるモノリス中間体の多孔構造、架橋密度および使用量を表1に示す配合量に変更した以外は、参考例1と同様の方法でモノリスを製造した。その結果を表1及び表2に示す。また、複合モノリス(乾燥体)の内部構造を、SEMにより観察した結果を図14〜図16に示す。参考例6の複合モノリスの骨格表面に付着しているものは突起体であった。参考例6のモノリスは、表面に形成された突起体の最大径の平均径が10μmであり、全粒子体等による骨格表面の粒子被覆率は100%であった。また、粒径6〜12μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は80%であった。
上記の方法で製造した複合モノリスを、外径70mm、厚み約15mmの円盤状に切断した。複合モノリスの重量は17.9gであった。これにテトラヒドロフラン1500mlを加え、40℃で1時間加熱した後、10℃以下まで冷却し、トリメチルアミン30%水溶液114.5gを徐々に加え、昇温して40℃で24時間反応させた。反応終了後、メタノールで洗浄してテトラヒドロフランを除き、更に純水で洗浄してモノリスアニオン交換体を得た。
(モノリス中間体の製造)
参考例1と同様の方法で行いモノリス中間体を得た。
スチレン38.0g、ジビニルベンゼン2.0g、1-デカノール60g、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.4gを混合し、均一に溶解させた(II工程)。重合開始剤として用いた2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)の10時間半減温度は、51℃であった。モノリス中間体の架橋密度1.3モル%に対して、II工程で用いたスチレンとジビニルベンゼンの合計量に対するジビニルベンゼンの使用量は3.3モル%であり、架橋密度比は2.5倍であった。次に上記モノリス中間体を直径70mm、厚さ約30mmの円盤状に切断して3.3gを分取した。分取したモノリス中間体を内径73mmの反応容器に入れ、当該スチレン/ジビニルベンゼン/1-デカノール/2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)混合物に浸漬させ、減圧チャンバー中で脱泡した後、反応容器を密封し、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、厚さ約30mmのモノリス状の内容物を取り出し、アセトンでソックスレー抽出した後、85℃で一夜減圧乾燥した(III工程)。
上記の方法で製造したモノリスを、直径70mm、厚み約15mmの円盤状に切断した。これにジメトキシメタン1400ml、四塩化スズ20mlを加え、氷冷下クロロ硫酸560mlを滴下した。滴下終了後、昇温して35℃で5時間反応させ、クロロメチル基を導入した。反応終了後、母液をサイフォンで抜き出し、THF/水=2/1の混合溶媒で洗浄した後、更にTHFで洗浄した。このクロロメチル化モノリスにTHF1000mlとトリメチルアミン30%水溶液600mlを加え、60℃、6時間反応させた。反応終了後、生成物をメタノール/水混合溶媒で洗浄し、次いで純水で洗浄して単離した。
(モノリスの製造)
ビニルモノマーの使用量、架橋剤の使用量、有機溶媒の種類と使用量、III工程で重合時に共存させるモノリス中間体の使用量を表1に示す配合量に変更した以外は、実施例1と同様の方法でモノリスを製造した。その結果を表1及び表2に示す。なお、不図示のSEM写真から骨格表面には粒子体や突起体の形成は全く認められなかった。表1及び表2から、本発明の特定の製造条件と逸脱する条件、すなわち、上記(1)〜(5)の要件から逸脱した条件下でモノリスを製造すると、モノリス骨格表面での粒子生成が認められないことがわかる。
上記の方法で製造したモノリスを、参考例1と同様の方法でクロロ硫酸と反応させ、モノリスカチオン交換体を製造した。結果を表2に示す。得られたモノリスカチオン交換体のイオン交換帯長さは26mmであり、参考例1〜7と比較して大きな値であった。
(モノリスの製造)
ビニルモノマーの使用量、架橋剤の使用量、有機溶媒の種類と使用量、III工程で重合時に共存させるモノリス中間体の多孔構造、架橋密度および使用量を表1に示す配合量に変更した以外は、参考例1と同様の方法でモノリスを製造した。その結果を表1及び表2に示す。なお、参考例9については架橋密度比(0.2倍)、参考例10については有機溶媒の種類(2-(2-メトキシエトキシ)エタノール;分子量120)、参考例11については重合温度(50℃;重合開始剤の10時間半減温度より1℃低い)について、本発明の製造条件を満たさない条件で製造した。結果を表2に示す。参考例9、11のモノリスについては骨格表面での粒子生成はなかった。また、参考例10では単離した生成物は透明であり、多孔構造が崩壊、消失していた。
参考例10を除き、上記の方法で製造した有機多孔質体を、参考例8と同様の方法でクロロ硫酸と反応させ、モノリスカチオン交換体を製造した。その結果を表2に示す。得られたモノリスカチオン交換体のイオン交換帯長さは23〜26mmであり、参考例1〜7と比較して大きな値であった。
(モノリスの製造)
ビニルモノマーの使用量、架橋剤の使用量、有機溶媒の使用量、III工程で重合時に共存させるモノリス中間体の多孔構造および使用量を表1に示す配合量に変更した以外は、参考例8と同様の方法でモノリスを製造した。その結果を表1及び表2に示すが、本発明の特定の製造条件を逸脱してモノリスを製造すると、モノリス骨格表面での粒子生成が認められないことがわかる。
上記の方法で製造したモノリスを、直径70mm、厚み約15mmの円盤状に切断した。これにジメトキシメタン1400ml、四塩化スズ20mlを加え、氷冷下クロロ硫酸560mlを滴下した。滴下終了後、昇温して35℃で5時間反応させ、クロロメチル基を導入した。反応終了後、母液をサイフォンで抜き出し、THF/水=2/1の混合溶媒で洗浄した後、更にTHFで洗浄した。このクロロメチル化モノリスにTHF1000mlとトリメチルアミン30%水溶液600mlを加え、60℃、6時間反応させた。反応終了後、生成物をメタノール/水混合溶媒で洗浄し、次いで純水で洗浄して単離した。結果を表2に示が、得られたモノリスアニオン交換体のイオン交換帯長さは47mmであり、参考例1〜7と比較して大きな値であった。表1及び2中、メソポア直径及び細孔の値はそれぞれ平均値を示す。
(多孔質カチオン交換体(公知)の製造)
スチレン27.7g、ジビニルベンゼン6.9g、アゾビスイソブチロニトリル0.14g及びソルビタンモノオレエート3.8gを混合し、均一に溶解させた。次に、当該スチレン/ジビニルベンゼン/アゾビスイソブチロニトリル/ソルビタンモノオレエート混合物を450mlの純水に添加し、ホモジナイザーを用いて2万回転/分で2分間攪拌し、油中水滴型エマルジョンを得た。乳化終了後、油中水滴型エマルジョンをステンレス製のオートクレーブに移し、窒素で十分置換した後密封し、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、イソプロパノールで18時間ソックスレー抽出し、未反応モノマーとソルビタンモノオレエートを除去した後、40℃で一昼夜減圧乾燥した。このようにして得られたスチレン/ジビニルベンゼン共重合体よりなる架橋成分を14モル%含有した多孔質体5gを分取し、テトラクロロエタン500gを加え、60℃で30分加熱した後、室温まで冷却し、クロロ硫酸25gを徐々に加え、室温で24時間反応させた。その後、酢酸を加え、多量の水中に反応物を投入し、水洗、乾燥して多孔質カチオン交換体を得た。この多孔質体のイオン交換容量は、乾燥多孔質体換算で4.0mg当量/gであり、EPMAを用いた硫黄原子のマッピングにより、スルホン酸基が多孔質体に均一に導入されていることを確認した。また、不図示のSEM観察の結果、この多孔質体の内部構造は、連続気泡構造を有しており、平均径30μmのマクロポアの大部分が重なり合い、マクロポアとマクロポアの重なりで形成されるメソポアの直径の平均値は5μm、全細孔容積は、10.1ml/gであった。また、上記多孔質体を10mmの厚みに切り出し、水透過速度を測定したところ、14,000l/分・m2・MPaであった。
(多孔質アニオン交換体(公知)の製造)
スチレン27.7gの代わりに、p- クロロメチルスチレン18.0gを用い、ジビニルベンゼン17.3g、アゾビスイソブチロニトリル0.26gとした以外、実施例1と同様の油中水滴型エマルジョンの重合を行い、p−クロロメチルスチレン/ジビニルベンゼン共重合体よりなる架橋成分を50モル%含有した多孔質体を製造した。この多孔質体5gを分取し、ジオキサン500gを加え80℃で30分加熱した後、室温まで冷却し、トリメチルアミン(30%)水溶液65gを徐々に加え、50℃で3時間反応させた後、室温で一昼夜放置した。反応終了後、多孔質体を取り出し、アセトンで洗浄後水洗し、乾燥して多孔質アニオン交換体を得た。この多孔質体のイオン交換容量は、乾燥多孔質体換算で2.5mg当量/gであり、SIMSにより、トリメチルアンモニウム基が多孔質体に均一に導入されていることを確認した。また、SEM観察の結果、この多孔質体の内部構造は、連続気泡構造を有しており、平均径30μmのマクロポアの大部分が重なり合い、マクロポアとマクロポアの重なりで形成されるメソポアの直径の平均値は4μm、全細孔容積は9.9ml/gであった。また、上記多孔質体を10mmの厚みに切り出し、水透過速度を測定したところ、12,000l/分・m2・MPaであった。
・電気式脱イオン水製造装置;試作EDI
・脱塩室;幅300mm、高さ300mm、厚さ3mm
・脱塩室に充填したイオン交換樹脂;アニオン交換樹脂(A)とカチオン交換樹脂(C)の混合イオン交換樹脂(混合比は体積比でA:C=1:1)
・濃縮室;幅300mm、高さ300mm、厚さ5mm
・濃縮室充填イオン交換体;参考例7の有機多孔質陰イオン交換体単床と参考例2の有機多孔質陽イオン交換体単床を濃縮水の流出入方向に沿って交互に積層した4床
・装置全体の流量;0.5m3/h
・濃縮室全体の流量:50L/h
・電気式脱イオン水製造装置;試作EDI
・中間イオン交換膜;アニオン交換膜
・第1小脱塩室;幅300mm、高さ300mm、厚さ3mm
・第1小脱塩室に充填したイオン交換樹脂;アニオン交換樹脂(A)とカチオン交換樹脂(C)の混合イオン交換樹脂(混合比は体積比でA:C=1:1)
・第2小脱塩室;幅300mm、高さ300mm、厚さ8mm
・第2小脱塩室充填イオン交換樹脂;アニオン交換樹脂
・濃縮室;幅300mm、高さ300mm、厚さ5mm
・濃縮室充填イオン交換体;参考例7の有機多孔質陰イオン交換体単床と参考例2の有機多孔質陽イオン交換体単床を濃縮水の流出入方向に沿って交互に積層した4床
・装置全体の流量;0.5m3/h
・濃縮室全体の流量:50L/h
参考例7の有機多孔質陰イオン交換体に代えて、参考例14の有機多孔質陰イオン交換体としたこと、参考例2の有機多孔質陽イオン交換体単床に代えて、参考例13の有機多孔質陽イオン交換体としたこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。その結果を表3に示す。
参考例7の有機多孔質陰イオン交換体に代えて、参考例14の有機多孔質陰イオン交換体としたこと、参考例2の有機多孔質陽イオン交換体単床に代えて、参考例13の有機多孔質陽イオン交換体としたこと以外は、実施例2と同様の方法で行った。その結果を表3に示す。
d1、d3 、d5 、d77 第1小脱塩室
d2、d4 、d6 、d8 第2小脱塩室
1、105 濃縮室
2 電極室
3、101 カチオン膜
4、102 アニオン膜
5 中間イオン交換膜
6、109 陰極
7、110 陽極
8、103 イオン交換体
8a 有機多孔質カチオン交換体単床と有機多孔質アニオン交換体単床の積層床
10、100 電気式脱イオン水製造装置
11、111 被処理水流入ライン
12 第2小脱塩室の処理水流出ライン
13 第1小脱塩室の被処理水流入ライン
14、114 脱イオン水流出ライン
15、115 濃縮水流入ライン
16、116 濃縮水流出ライン
17a、17b、117 電極水流入ライン
18a、18b、118 電極水流出ライン
20 脱イオンモジュール
101 炭酸イオンが濃縮水中に初めて移動する点
102 カルシウムイオンが濃縮水中に初めて移動する点
Claims (7)
- 一側のカチオン交換膜、及び他側のアニオン交換膜で区画される室に、イオン交換体を充填して脱塩室を構成し、前記カチオン交換膜、アニオン交換膜を介して脱塩室の両側に濃縮室を設け、これらの脱塩室及び濃縮室を、陽極を備えた陽極室と陰極を備えた陰極室の間に配置してなる電気式脱イオン水製造装置において、前記濃縮室は、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する直径4〜40μmの多数の粒子体又は該有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4〜40μmの多数の突起体との複合構造体であって、水湿潤状態で孔の平均直径10〜150μm、全細孔容積0.5〜5ml/gであり、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量0.2mg当量/ml以上であるモノリス状有機多孔質イオン交換体を充填して形成されることを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
- 一側のカチオン交換膜、他側のアニオン交換膜、及び当該カチオン交換膜と当該アニオン交換膜の間に位置する中間イオン交換膜で区画される2つの小脱塩室にイオン交換体を充填して脱塩室を構成し、前記カチオン交換膜、アニオン交換膜を介して脱塩室の両側に濃縮室を設け、これらの脱塩室及び濃縮室を、陽極を備えた陽極室と陰極を備えた陰極室の間に配置してなる電気式脱イオン水製造装置において、前記濃縮室は、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する直径4〜40μmの多数の粒子体又は該有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4〜40μmの多数の突起体との複合構造体であって、水湿潤状態で孔の平均直径10〜150μm、全細孔容積0.5〜5ml/gであり、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量0.2mg当量/ml以上であるモノリス状有機多孔質イオン交換体を充填して形成されることを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
- 前記中間イオン交換膜と、前記他側のアニオン交換膜で区画される一方の小脱塩室に充填されるイオン交換体は、アニオン交換体であり、前記一側のカチオン交換膜と前記中間イオン交換膜で区画される他方の小脱塩室に充填されるイオン交換体は、カチオン交換体とアニオン交換体の混合体であることを特徴とする請求項2記載の電気式脱イオン水製造装置。
- 前記有機多孔質体が、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が水湿潤状態で平均直径30〜150μmの開口となる連続マクロポア構造体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気式脱イオン水製造装置。
- 前記有機多孔質体が、水湿潤状態で平均の太さが1〜60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が水湿潤状態で10〜100μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気式脱イオン水製造装置。
- 前記モノリス状有機多孔質イオン交換体は、有機多孔質陽イオン交換体と有機多孔質陰イオン交換体の積層体であり、該有機多孔質陽イオン交換体と該有機多孔質陰イオン交換体が濃縮水の流出入方向に対して、交互に積層充填して形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気式脱イオン水製造装置。
- 前記モノリス状有機多孔質イオン交換体は、前記連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体構造とは異なる別途に形成される流路を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気式脱イオン水製造装置。
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