JP2010282951A - メタルハライドランプ - Google Patents

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有岐也 金澤
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Abstract

【課題】内管の熱が、外管内のガスを介してランプ筐体側に伝達するのを抑制することにより、点灯回路が過熱するのを防止できるメタルハライドランプを提供する。
【解決手段】メタルハライドランプ10は、ランプ筐体12と、口金部14と、二重管構造体42と、外管16と、ランプ筐体12の内部に収納された点灯回路ユニット18とを備えている。二重管構造体42は、一対の電極90,92を有する発光管44と、発光管44を気密封止する内管46とで構成されている。
外管16の頂部16Bから、一対の電極90,92のうち頂部16B側の電極90の先端までの距離をL[mm]、外管16の最大外径の寸法をDMAX[mm]、定格ランプ電力をP[W]とした場合に、
30≦P≦420
45≦DMAX≦165.3
の範囲内において、
4400P+9100≦DMAX ×L≦9100P+48000
の関係を満たすように設定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、メタルハライドランプに関し、特に水銀灯代替光源として好適なメタルハライドランプに関する。
道路、広場、競技場などの屋外照明、体育館や工場などの高天井の屋内照明には、従来、主として水銀灯が用いられているが、水銀灯は比較的効率が低いため、近年の省エネルギーの要請を背景として、当該水銀灯を、効率の高い、セラミック製の発光管を備えたメタルハライドランプへ置き換えることが推奨されている。
しかし、水銀灯用の既存の照明施設には安定器が設けられているため、当該水銀灯用の照明器具にメタルハライドランプをそのまま装着して水銀灯と同等の明るさを得るためには、前記安定器をメタルハライドランプ用の安定器に取り替える必要があり、このことが、メタルハライドランプへの置き換えの阻害要因の一つとなっている。
そこで、水銀灯用の安定器はそのまま残存させた状態で、当該水銀灯と同等の明るさが得られるメタルハライドランプとして、安定器を含む点灯回路をランプ筐体の内部に収納した所謂回路内蔵型のメタルハライドランプへの要望が高まっている。
回路内蔵型のランプとしては、従来、電球形蛍光ランプや水槽用ランプのような低ワットタイプのもので検討されているが、水銀灯の代替品となる高ワットタイプのランプでは、耐熱性などの観点から課題が多く、あまり検討されていない。上記要望に応えるべく発明者らにより、回路内蔵型の高ワットタイプのランプが検討されている。
なお、メタルハライドランプを水銀灯の代替光源とするには、配光特性等を揃えるため水銀灯と同様の形状をした外管を備える必要がある。外管は、発光管と当該発光管を気密封止する内管からなる二重管構造体に被せられ、その開口端部が前記ランプ筐体の開口部に固定されるものである。
特開2005−116218号公報 特開2004−158361号公報
水銀灯代替用となるメタルハライドランプは、発光管で発生する熱量が大きく、ランプの定常点灯中、発光管で発生する熱により内管が400[℃]を超える高温状態となる。この内管の熱が、外管内のガスに伝わり、当該ガスの対流によってランプ筐体側に伝達される。このため、ランプ筐体の温度が上昇し、当該ランプ筐体内の雰囲気温度の上昇に伴って点灯回路を構成する素子が加熱されることにより、当該素子の寿命が短くなってしまうことが懸念される。その結果、既存の水銀灯よりも寿命が短くなってしまったのでは、代替の利点が半減してしまう。
本発明は、上記した課題に鑑み、内管の熱が、外管内のガスを介してランプ筐体側に伝達するのを抑制することにより、点灯回路が過熱するのを防止できるメタルハライドランプを提供することを目的とする。
本発明に係るメタルハライドランプは、先端が互いに対向する一対の電極を有しかつ発光物質としてハロゲン化金属が封入された発光管および当該発光管を気密封止する内管を有する二重管構造体と、前記内管の長手方向一端部を保持するホルダおよび一方の開口側端部に前記ホルダが取り付けられたケースを有するランプ筐体と、前記ケースの他方の開口側端部に取り付けられた口金と、前記ランプ筐体の内部に収納された、前記発光管を点灯する点灯回路と、前記二重管構造体を内包した状態で前記ランプ筐体に取り付けられた外管と、を備え、前記外管の頂部から、前記発光管の一対の電極のうち当該頂部に近い側にある電極の先端までの距離をL[mm]とし、前記外管の最大外径の寸法をDMAX[mm]、定格ランプ電力をP[W]とした場合に、
30≦P≦420
45≦DMAX≦165.3
の範囲内において、前記最大外径DMAXおよび前記距離Lが、
4400P+9100≦DMAX ×L≦9100P+48000
の関係を満たすことを特徴とする。
上記構成のメタルハライドランプは、外管の最大外径DMAXと距離Lとを用いて算出される仮容積(DMAX ×L)を、4400P+9100以上とすることにより、内管の熱によって外管内のガスの温度が上昇するのを抑制し、対流熱伝達によるランプ筐体の温度上昇を抑えることができる。その結果、ランプ筐体に収納された点灯回路が過熱するのを防止することができる。具体的な根拠については後述する。
なお、仮容積(DMAX ×L)を大きくすれば、外管内におけるガスの温度上昇をより抑制でき、点灯回路が過熱するのをより防止できるが、仮容積(DMAX ×L)を大きくし過ぎた場合には、外管が大きくなり過ぎて、既存の照明器具にランプを取り付けることができなくなる虞がある。
そこで、上記構成のメタルハライドランプは、定格ランプ電力に応じて、仮容積(DMAX ×L)の上限を定め、外管の大きさを制限することによって、既存の照明器具に取り付け可能な大きさとしている。特に、仮容積(DMAX ×L)を9100P+48000以下とすることにより、既存の照明器具に取り付け可能であることが判明した。
本発明に係るメタルハライドランプの別の一態様では、先端が互いに対向する一対の電極を有しかつ発光物質としてハロゲン化金属が封入されたセラミック発光管および当該セラミック発光管を気密封止する内管からなる二重管構造体と、前記内管の長手方向一端部を保持するホルダおよび一方の開口側端部に前記ホルダが取り付けられたケースを有するランプ筐体と、前記ケースの他方の開口側端部に取り付けられた口金と、前記ランプ筐体の内部に収納された、前記セラミック発光管を点灯する点灯回路と、前記二重管構造体を内包した状態で前記ランプ筐体に取り付けられた外管と、を備え、前記外管の最大外径の寸法をDMAX[mm]、前記セラミック発光管における前記一対の電極間の中心を通る径の外径寸法をD1[mm]、前記内管における前記一対の電極間の中心を通る径の外径寸法をD2[mm]、定格ランプ電力をP[W]とした場合に、
30≦P≦420
MAX≦165.3
の範囲内において、前記最大外径DMAXおよび前記各外径寸法D1,D2が、
0.21P+26≦DMAX−D2
0.013P+1.9≦D2−D1
の関係を満たすことを特徴とする。
上記構成のメタルハライドランプは、外管の最大外径DMAXを165.3[mm]以下とし、かつ最大外径DMAXと内管の外径寸法D2との寸法差(DMAX−D2)を0.21P+26以上としている。このように、定格ランプ電力に応じて、当該寸法差(DMAX−D2)を設定することにより、内管の熱によって外管内のガスの温度が上昇するのを抑制し、対流熱伝達によるランプ筐体の温度上昇を抑えることができる。その結果、ランプ筐体に収納された点灯回路が過熱するのを防止することができる。なお、具体的な根拠については後述する。
なお、内管の外径寸法D2を小さくし過ぎた場合には、内管と発光管とが近接しすぎて、発光管内の温度を過度に上昇させることになる。そのため、発光管内のハロゲン原子と金属原子が、管壁付近においても、結合せず解離したままの状態となる場合がある。この場合、金属原子が、発光管を形成するセラミックと化学反応を起こすことから、ハロゲン原子がアーク放電中の電子と結合して、ランプの立消えが発生し易くなるという問題がある。
そこで、上記構成のメタルハライドランプは、内管の外径寸法D2と発光管の外径寸法D1との寸法差(D2−D1)を0.013P+1.9以上とすることにより、発光管に対し内管が近接し過ぎるのを抑制して、発光管の温度が過度に上昇するのを抑制し、ランプの立消えが発生するのを防止することができる。
第1の実施形態に係るメタルハライドランプを示す模式斜視図である。 第1の実施形態に係るメタルハライドランプの概略構成を示す縦断面図である。 第1の実施形態に係るタルハライドランプの回路構成を例示する回路図である。 仮容積(DMAX ×L)の下限を求めた実験の結果を示す図である。 仮容積(DMAX ×L)の上限を示す図である。 仮容積(DMAX ×L)と、定格ランプ電力Pとの関係を説明するための図である。 第2の実施形態に係るメタルハライドランプの要部を示す縦断面図である。 寸法差(D3MAX−D2)の下限を求めた実験の結果を示す図である。 寸法差(D3MAX−D2)と、定格ランプ電力Pとの関係を説明するための図である。 寸法差(D2−D1)の下限を求めた実験の結果を示す図である。 寸法差(D2−D1)と、定格ランプ電力Pとの関係を説明するための図である。 二重管構造体の高さの下限を求めた実験の結果を示す図である。 二重管構造体の高さと、定格ランプ電力Pとの関係を説明するための図である。 外管を示す縦断面図である。 外管を示す縦断面図である。 外管を示す縦断面図である。 外管を示す縦断面図である。 外管を示す縦断面図である。
本発明を実施するための形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施形態]
<ランプ構造>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るメタルハライドランプ10を示す模式斜視図であり、図2は、図1のメタルハライドランプ10の概略構成を示す縦断面図である。
図1に示すメタルハライドランプ10は、有底筒状からなるランプ筐体12と、ランプ筐体12の開口側端部に接合された口金部14と、ランプ筐体12の底部に取り付けられた二重管構造体42と、二重管構造体42を内包した状態でランプ筐体12に取り付けられた外管16と、ランプ筐体12の内部に収納された点灯回路ユニット18とを備えている。二重管構造体42は、一対の電極を有しかつハロゲン化金属が封入された発光管44と、発光管44を気密封止する内管46とで構成されている。
このメタルハライドランプ10は、水銀灯代替光源として使用でき、既存の水銀灯用照明器具に装着することができるものである。
(ランプ筐体)
図2に示すように、ランプ筐体12は、筒状を有しかつ一端に口金部14が接合されたケース部12Aと、ケース部12Aの他端の開口を塞ぐように取り付けられホルダ12Bとを有している。ケース材料としては、金属アルミ,鉄、それらを含む合金、アルミナなどのセラミック、およびPPS,PBTのような樹脂材料、硬質ガラスや軟質ガラスなどを適宜使用して良い。
ホルダ12Bは、アルミニウム製の円板部材からなり、その中央部に形成された軸方向に貫通する長孔12Cと、軸方向の口金部14側とは反対側の面に形成された、外縁部に沿う環状の挿入溝84と有している。長孔12Cに、二重管構造体42の一端部が挿入固定されている。また、ホルダ材料としては、アルミニウムに限定されることはなく、例えば、SUS304のようなステンレス鋼、鉄、白金、アルミナ、ジルコニア、石英ガラス、ステアタイト、硬質ガラス、軟質ガラス、PPS、PBI、PBT等が挙げられる。加工性、耐熱性、および部材としたときの軽量化という点を考慮しながら、適宜選択すれば良い。
(点灯回路ユニット)
点灯回路ユニット18は、ケース部12Aの内壁面に固定されたプリント配線板20と、複数個の電子部品22とを有している。複数個の電子部品22は、インダクタンス素子、スイッチング素子、ダイオード、およびコンデンサなどで構成されている。そして、プリント配線板20および複数の電子部品22が、図3に示すように、発光管44を点灯させる点灯回路24を構成している。
図3を参照しながら、点灯回路24について説明する。
点灯回路24は、AC/DC変換部24A、DC調整部24B、およびDC/AC変換部24Cを有する。
AC/DC変換部24Aは、口金部14を介して供給された交流電力を所定電圧の直流電力に変換する。AC/DC変換部24Aは、整流回路DBと、整流回路DBから出力される直流電圧を昇圧する昇圧回路とを備える。昇圧回路は、チョッパー方式の昇圧回路であり、インダクタンス素子L101、スイッチング素子Q101、ダイオードD101、およびコンデンサC101を備えている。
DC調整部24Bは、AC/DC変換部24Aから出力される直流電圧を所定の電圧に調整する。DC調整部24Bは、チョッパー方式の降圧回路からなる。当該降圧回路は、スイッチング素子Q102、ダイオードD102、インダクタンス素子L102、およびコンデンサC102を備えている。本例において、インダクタンス素子L101,L102にはチョークコイルが、スイッチング素子Q101,Q102にはトランジスタが、コンデンサC101,C102には電解コンデンサがそれぞれ使用されている。
DC/AC変換部24Cは、DC調整部24Bから出力される直流電力を交流電力に変換して、発光管44に給電する。DC/AC変換部24Cは、直流電力を交流電力に変換する変換回路と、発光管44に流れる電流を制御し放電を安定させる安定器L103とを備えている。変換回路は、フルブリッジ回路であり、4つのスイッチング素子Q103,Q104,Q105,Q106を備えている。また、安定器L103には、例えば、チョークコイルが使用されている。
図2に戻り、点灯回路ユニット18は、口金部14から第1リード線26および第2リード線28を介して供給される交流電力を、発光管44を点灯させるための電力に変換して、発光管44に供給する。なお、第1リード線26、第2リード線28は、いずれも被覆線であり被覆が両端部部分において、導線が露出してなるものである。
(口金部)
口金部14は、略円筒状をし、耐熱性の合成樹脂材料からなる第1絶縁体部30を有している。この第1絶縁体部30が、ケース部12Aの開口端部に接合されている。
口金部14は、また、筒状胴部とも称されるシェル32と円形皿状をしたアイレット34とを有する。シェル32とアイレット34とは、ガラス材料からなる第2絶縁体部36を介して一体となっている。この一体となったものが、第1絶縁体部30に嵌め込まれている。
第1絶縁体部30には、貫通孔30Aが開設されており、貫通孔30Aを介して第1リード線26が第1絶縁体部30内から外部に導出されている。
第1リード線26の一端部の導線部分は、シェル32の内周面と第1絶縁体部30階周面との間に挟持されている。これにより、第1リード線26とシェル32とは電気的に接続されている。
アイレット34は、中央部に開設された貫通孔34Aを有している。第2リード線28の導線部がこの貫通孔34Aから外部へ導出され、アイレット34の外面に半田付けにより接合されている。
(二重管構造体)
二重管構造体42を構成する発光管44は、本管部48と本管部48の管軸方向両側に形成された細管部50,52とからなる放電容器54を有している。放電容器54は、透光性セラミックで形成されている。透光性セラミックには、例えば、アルミナセラミックを用いることができる。
本管部48の内側には、一対の電極90,92の各先端90A,92Aが互いに対向して配置され、金属ハロゲン化金属、希ガス、および水銀がそれぞれ所定量封入されている。金属ハロゲン化金属としては、ヨウ化ナトリウムやヨウ化ジスプロシウム等が用いられている。
細管部50,52の各々には、先端部に前記各電極が接合された給電体56,58が挿入されている。給電体56,58は、それぞれの細管部50,52における、本管部48とは反対側の端部部分に流し込まれたフリットからなるシール材60,62によって封着されている。なお、図1に現れているシール材60,62部分は、細管部50,52端部からはみ出た部分である。
給電体56における電極90とは反対側の端部が、電力供給線64に電気的に接続され、給電体58における電極92とは反対側の端部が、電力供給線66に電気的に接続されている。
電力供給線64,66はそれぞれ、金属箔68,70を介して、外部リード線72,74に電気的に接続されている。なお、一方の電力供給線64において、少なくとも他方の電力供給線66やこれに接続された給電体58と対向する部分は、例えば石英ガラスからなるスリーブ76で被覆されている。
外部リード線72,74は、プリント配線板20に接続されている。
上記した発光管44等は、筒状、例えば円筒状をした内管46内に収納されている。
内管46は、例えば石英ガラスからなり、金属箔68,70に存する側の一端部部分は、いわゆるピンチシール法によって圧潰され金属箔68,70に相当部分において気密封止されている。したがって、内管46は、片封止型の気密容器であるといえる。ここで、内管46において前記圧潰封止されてなる部分をピンチシール部78と称することとする。ピンチシール部78の横断面は、略長方形をしている。
内管46の他端部部分の凸部80は、内管46内を真空引きする際に用いた排気管の残部であるチップオフ部である。内管46内を真空にするのは、ランプ点灯時に高温にさらされる給電体56,58、電力供給線64,66等の金属部材の酸化を防止するためである。酸化防止の観点から、内管46の内部は、真空にするのではなく、不活性ガスを充満させることとしても構わない。
上記構成からなる二重管構造体42は、ピンチシール部78がホルダ12Bの長孔12Cに挿入され、ピンチシール部78と長孔12Cの間隙に充填された無機接着剤82によってホルダ12Bに接合されている。無機接着剤82は、シリカおよびアルミナを主成分とするものであり、1000[℃]の耐熱温度を有する。
本実施形態において、発光管44は、当該発光管44の管軸を内管46の管軸に一致した状態で内管46内に固定されている。ここで、「一致した状態」とは、完全に一致した状態のほか、製造誤差程度のずれを生じた状態も含んでいる。製造誤差程度とは、両者の管軸のずれは3°以下としている。
(外管)
外管16は、卵形であり、長軸方向一端の開口端縁部16Aと、他端の頂部16Bとを有している。頂部16Bは、外管16において口金部14から最も離れた最遠部分である。開口端縁部16Aが、ホルダ12Bの挿入溝84に挿入され、無機接着剤82と同様の無機接着剤(図示せず)によって接合されている。ここで、「卵形の外管」とは、卵の形状はもちろんのこと、楕円球状、長球状などの形状も含み、長軸方向の一端部が切り取られた形状からなる外管を意味している。なお、外管16とホルダ12Bとの間には空気が存在している。
外管16における最大外径箇所16Cは、当該管軸方向における一対の電極90,92間に相当する領域R(図1参照)に設けられている。図1には、最大外径箇所16Cの外径寸法がDMAX[mm](以下、最大外径DMAXという)、開口端縁部16Aの外径寸法がD[mm]で示されている。なお、本実施形態において、外管は卵形に限定されず、外管内の対流熱伝達を考慮するほか、外管温度、発光管破損時の耐衝撃性を確保できる機能を有していればよく、外管の形状は直線と曲線を含んだ閉塞体であればよい。例えば、本実施の形態に係る外管16は、図14(a)に示すような卵形であったが、図15(a)に示すような、頂部が半球状の円筒形状であっても良いし、図16(a)に示すような、外側にやや膨らんだ円形の端面を頂部側に有する円筒形状であっても良いし、図17(a)に示すような、外周面全体に僅かに膨らみをもたせた円筒形状であっても良いし、図18(a)に示すような、ランプ軸方向中間部に大径部が設けられた円筒形状であっても良い。また、図14(b)、図15(b)、図16(b)、図17(b)及び図18(b)に示すように、外管70の頂部に凹入部が設けられていても良いし、図14(c)、図15(c)、図16(c)、図17(c)及び図18(c)に示すように、外管16の頂部に突出部が設けられていても良い。
次に、外管16の寸法設定について、詳しく説明する。
外管16の最大外径DMAXは、次の条件を満たす。
45≦DMAX≦165.3 ・・・(条件1)
また、外管16の頂部16Bの外側端面から、発光管44における一対の電極90,92のうち頂部16B側にある電極90の先端90Aまでの距離をL[mm]とし、定格ランプ電力をPとした場合に、最大外径DMAXおよび距離Lを用いて算出される仮容積(DMAX ×L)が、次の条件を満たす。
4400P+9100≦DMAX ×L ・・・(条件2)
MAX ×L≦9100P+48000 ・・・(条件3)
この仮容積(DMAX ×L)は、図1および図2において、2点鎖線で描かれていて、かつYで示されている。また、仮容積Yの一部を構成する外管16の頂部16B側の空間が16Dで示されている。仮容積Yは、頂部側空間16Dの容積と相関関係があり、最大外径DMAXまたは距離Lを大きくして仮容積Yを大きくしたときには、頂部側空間16Dも大きくなる。逆に、仮容積Yを小さくしたときには、頂部側空間16Dも小さくなる。このような相関関係を有することと、頂部側空間16Dの容積を測定するのに比べて測定が容易なことから、仮容積Yを、頂部側空間16Dの大きさを指標するパラメータとして用いている。
したがって、仮容積Yが小さいと、頂部側空間16Dの容積も小さいので、外管16内の空気による放熱効果が得られず、対流熱伝達によるランプ筐体12の温度上昇を抑制することができない。このため、点灯回路24を構成する各電子部品22が加熱され、各電子部品22の寿命の短命化を招くおそれがある。発明者らは、後述する実験により、条件2を満たせば、各電子部品22が過熱するのを防止して、各電子部品22の設計寿命を確保できることを見出した。
一方、仮容積Yが大きくなると、頂部側空間16Dの容積も大きくなるので、外管16内の空気による放熱効果を高めることはできるが、メタルハライドランプ10を既存の照明器具に取り付けることができなくなるという弊害が出てくる。発明者らは、後述する実験により、既存の照明器具に取り付け可能とするための条件3を見出した。
本実施形態において、外管16は、耐熱性や加工性を考慮して硬質ガラス材料または、軟質ガラス材料で形成され、内面には、光拡散を行うための蛍光膜が塗布されている。硬質ガラスの熱膨張係数は、30×10−7[/℃]〜60×10−7[/℃]、熱伝導率は1.0[W/(m・K)]、軟質ガラスの熱膨張係数は、80×10−7[/℃]〜100×10−7[/℃]、熱伝導率は0.74[W/(m・K)]である。
また、開口端縁部16Aの外径寸法Dと外管16の厚みt[mm]とは、次の条件を満たすように設定されている。
MAX×0.33≦D≦DMAX×1.00 ・・・(条件4)
0.5≦t≦3.0 ・・・(条件5)
上記構成のメタルハライドランプ10は、定格ランプ電力30〜420[W]で点灯される。ここで、定格ランプ電力とは、回路込みのランプにおいて光源で消費される電力をいう。具体的な定格ランプ電力としては、例えば、30[W]、70[W]、100[W]、150[W]、200[W]、290[W]および420[W]等が挙げられる。
一般に、メタルハライドランプは、水銀灯と比較して効率[lm/W]が良いため、水銀灯の代替品として使用する場合は水銀灯よりも低いランプ電力で同等の明るさが得られる。例えば、30[W]のメタルハライドランプは、80[W]の水銀灯と同等の明るさが得られ、80[W]の水銀灯の代替品となり得る。同様に、70[W]のメタルハライドランプは100[W]の水銀灯と同等、100[W]のメタルハライドランプは200[W]の水銀灯と同等、150[W]のメタルハライドランプは300[W]の水銀灯と同等、200[W]のメタルハライドランプは400[W]の水銀灯と同等、290[W]のメタルハライドランプは700[W]の水銀灯と同等、420[W]のメタルハライドランプは700[W]の水銀灯と同等の明るさが得られ、それぞれ水銀灯の代替品となり得る。ただし、代替対象となる水銀灯のワットレンジは、使用環境および用途などによって、代替条件として重視する特性(全光束、照度、省エネ効果等)が異なる場合があるので、代替対象となるワットレンジは、上記範囲に限定されず、適宜選択可能である。
<条件1について>
条件1における下限(DMAX=45)は、外管16の耐衝撃性の実験より求められている。この耐衝撃性の実験では、定格ランプ電力30〜420[W]のうち最も小さい30[W]において、最大外径DMAXが43[mm]、45[mm]および47[mm]の3種の外管16を用意し、それぞれの外管16内の発光管を破損させた場合に、外管16に割れが発生するか否かを確認した。
実験に用いた発光管の仕様は、Hg量2.5[mg]、ヨウ化物総量4.0[mg]、ヨウ化ナトリウム:ヨウ化ジスプロシウム(wt%)=88.5:11.5、発光管内アルゴンガス圧20[kPa]である。
実験の結果、最大外径DMAXが45[mm]および47[mm]の場合には、外管16が割れることはなかったが、最大外径DMAXが43[mm]の場合には、外管16に割れが発生した。これらより、最大外径DMAXが43[mm]の外管16は、耐衝撃性が低いと判断でき、最大外径DMAXが45[mm]および47[mm]の外管16は、耐衝撃性が高いと判断できる。したがって、メタルハライドランプ10の安全性を考慮し、発光管が破損した場合でも外管が割れることがない、耐衝撃性に優れた最大外径DMAX45[mm]以上の外管16が好ましいことが分かった。
また、ランプの安全性の観点から言えば、定常点灯時における外管温度も考慮する必要がある。定常点灯時の温度について調べたところ、最大外径DMAXが43[mm]、45[mm]および47[mm]の外管16において、それぞれ150[℃]、155[℃]および161[℃]であり、放電ランプの安全規定(JIS C 7624)の基準を満たしていたため、何れも問題は無いことが分かった。
一方、上限(DMAX=165.3)は、外管16が大きくなり過ぎて、メタルハライドランプ10が既存の照明器具に取り付けることができなくなるのを防止するために設けられている。本実施形態では、定格ランプ電力の最も大きい420[W]のメタルハライドランプ10が700[W]の水銀灯の代替品となり得ることから、700[W]の水銀灯用の照明器具に取り付け可能な外管16の大きさを上限とすることができる。具体的には、パナソニック電工株式会社製の高天井用照明器具(ホルダ(品番:YB16575ZH)とセード(品番:YK36330)の組合せ)に取り付けることができる外管16の最大外径DMAXを上限としている。
<条件2を求めた実験>
次に、条件2を求めた実験について説明する。
本実験では、本実施形態に係るメタルハライドランプ10をベースにして、30[W]、70[W]、100[W]、150[W]、200[W]、290[W]および420[W]の定格ランプ電力毎に、外管16の最大外径DMAXを固定し、距離Lを異ならせることにより仮容積Yが異なる複数のランプを作製し、それらランプを点灯させて、点灯回路が熱破壊されるまでの時間を測定した。
具体的には、まず、定格ランプ電力毎に、3つの実施例および1つの比較例のランプを用意し、各ランプに対してエージングを実施し、点灯回路が熱破壊するまでの総点灯時間(回路寿命時間)を測定した。ここで、エージングは定格ランプ電力で裸点灯、口金が上側の点灯姿勢で5.5[h]点灯、0.5[h]消灯の点灯サイクルで評価を実施した。
図4は、条件2を求めた実験の結果を示す図である。
図4には、各実施例および各比較例における、外管16の最大外径DMAX、距離L、仮容積Y、回路温度[℃]、回路寿命時間[h]および判定結果が示されている。当該測定温度は、点灯開始後、回路温度が安定する3[h]経過時での温度を、熱電対を用いて測定した値である。
本実験において、回路寿命時間が24000[h]以上の場合は、所望の定格寿命に対してバラツキを考慮した寿命信頼性を確保する良好「○」なランプと判定し、回路寿命時間が24000[h]未満の場合は、所望の定格寿命に対してバラツキを考慮した寿命信頼性を確保できない不良「×」のランプと判定した。なお、ランプが不点になり、かつ、点灯回路以外の箇所に故障が見られなかった場合に、点灯回路が過熱することにより短命化し、破壊したとみなした。
回路寿命時間24000[h]を境にして、良好または不良と判定した理由としては、メタルハライドランプ10は、水銀灯の代替光源としての位置付けから、当該水銀灯と同等かそれ以上の寿命を実現する必要がある。水銀灯の寿命は12000[h]であるため、その代替光源としては、少なくとも12000[h]、好ましくは15000[h]の寿命を確保する必要があり、回路設計上の電子部品における品質のバラツキやランプの使用環境までも考慮するとその2倍の寿命、すなわち24000[h]、好ましくは30000[h]を設計寿命とすることが好ましいからである。
実験結果を見ると、図4に示すように、定格ランプ電力30[W]のランプは、最大外径DMAXが50.9[mm]に設定されている。
そして、実施例11−1は、L=54.5[mm]、Y=141199[mm]、回路温度=63[℃]、回路寿命時間=35900[h]であり、判定が「○」である。
同様に、実施例11−2は、L=55.5[mm]、Y=143790[mm]、回路温度=62[℃]、回路寿命時間=39200[h]、判定「○」であり、実施例11−3は、L=57[mm]、Y=147676[mm]、回路寿命時間=41500[h]、判定「○」である。
なお、実施例11−3の回路温度が無いのは、実施例11−3の仮容積Yは、実施例11−1,11−2と比べて大きく、実施例11−1,11−2よりも回路温度が下がることが予測できることから、回路温度の測定を行っていないためである。実施例12−3,13−3,14−3,15−3,16−3および17−3においても、同様の理由により、回路温度を測定していないため、回路温度の記載が無い。
一方、比較例11は、L=52.5[mm]、Y=136018[mm]、回路温度=79[℃]、回路寿命時間=11900[h]であり、判定が「×」である。
また、図4に示す、定格ランプ電力70〜420[W]のランプにおける実施例12−1〜17−3および比較例12〜17おいても、上記と同様に判定された結果が示されている。このような結果が得られた理由として、仮容積Yが大きい場合は、頂部側空間16Dの容積もまた大きくなるので、外管16内の空気による放熱効果が得られることから、対流熱伝達によるケース12の温度上昇が抑制されると考えられ、最終的に、点灯回路24を構成する各電子部品22が過度に加熱されるのを抑制でき、各電子部品22の寿命の短命化が防ぐことができると考えられる。
図6は、縦軸を仮容積Y、横軸を定格ランプ電力Pとし、図4に示す実施例および比較例をプロットした図であり、判定「○」の各実施例が○印で、判定「×」の各比較例が×印で示されている。
また、図6において、定格ランプ電力P毎の、判定「○」の仮容積Yの値と、判定「×」の仮容積Yの値との間を通過し、かつ判定「○」の仮容積Yの値に近接した下限線101が引かれている。この下限線101は、各判定「○」の仮容積Yの値を含む領域の下限を示す線であり、次の関係式で表すことができる。
4400P+9100=DMAX ×L
図4および図6より、条件2を満たす実施例11−1〜17−3のランプでは、いずれも回路寿命時間が24000[h]以上であり目標値を超えている。一方、条件2を満たさない比較例11〜17のランプでは、いずれも回路寿命時間が24000[h]どころか、水銀灯の寿命である12000[h]にも満たない。
また、実施例11−1〜17−3のランプは、いずれも回路温度が70[℃]を超えることがなかった。一方、比較例11〜17のランプは、70[℃]を超えている。一般に、点灯回路の中で最も熱に弱い素子は電解コンデンサであると考えられるが、バラつきを考慮しても所望の定格寿命に対する寿命信頼性を確保できる電解コンデンサの温度は70[℃]程度であるため、この温度を超えている比較例11〜17のランプは短寿命化したと考えられる。
なお、本明細書において、「回路温度」とは、点灯を開始してから3[h]経過後、点灯回路ユニットが収納されたランプ筐体80の内部空間の温度が安定した状態の際に、熱電対を用いてランプ筐体80内の雰囲気温度を、全空間を網羅する領域においてランダムに16点測定したうち、最低の測定温度を意味する。
以上の実験の結果より、メタルハライドランプ10は、条件2を満たした場合に、点灯回路ユニット18が過熱するのを防止できることが分かった。
このように、点灯回路ユニット18の過熱を防止できるのは、定格ランプ電力に応じて仮容積Yを設定することにより、外管16内の空気による放熱効果を効果的に高めることができ、内管46の熱が外管16内の空気を介してランプ筐体12側に熱伝達するのを抑制できるためであると考えられる。その結果として、メタルハライドランプ10は、ランプ筐体12の温度上昇を抑制することができ、点灯回路ユニット18が過熱するのを防止することができる。
なお、本実験では、外管16の最大外径DMAXを固定し、距離Lが異なる実施例および比較例を用いているが、距離Lを固定し、最大外径DMAXが異なる実施例および比較例としてもよい。仮容積Yの値が同じである限り、同様の結果を得ることができる。
以上より、メタルハライドランプ10が、30〜420[W]の高Wタイプとした場合であっても、外管の容積が十分に確保されるため、回路温度を低減することでき、回路に対する信頼性を確保することができる。
<条件3を求めた実験>
次に、条件3を求めた実験について説明する。
本実験では、30[W]、70[W]、100[W]、150[W]、200[W]、290[W]および420[W]の定格ランプ電力毎に、代替対象の水銀灯よりもガラス球径およびランプ全長が大きいメタルハライドランプ10を作製し、それぞれのメタルハライドランプ10が、既存の照明器具に取り付けることができるか否かを確認した。
ここで、「代替対象の水銀灯」とは、例えば、30[W]のメタルハライドランプであれば80[W]の水銀灯のことであり、メタルハライドランプが同等の明るさを有する水銀灯のことを意味している。
具体的には、定格ランプ電力毎に、外管16の最大外径DMAXを、代替対象の水銀灯のガラス球径よりも大きく、かつ距離Lを、代替対象の水銀灯におけるランプ全長と光中心距離との寸法差よりも大きい実施例を1つずつ用意した。
また、各定格ランプ電力のメタルハライドランプ10を取り付ける既存の照明器具として、次のパナソニック電工株式会社製の照明器具を用意した。
(1)30[W]のメタルハライドランプ:高天井用照明器具(水銀灯用)
(ホルダ(品番:YB12854)とセード(品番:YK32150)の組合せ)
(2)70[W]のメタルハライドランプ:高天井用照明器具(水銀灯用)
(ホルダ(品番:YB12854)とセード(品番:YK32150)の組合せ)
(3)100[W]のメタルハライドランプ:高天井用照明器具(水銀灯用)
(ホルダ(品番:YB15820H)とセード(品番:YK34330)の組合せ)
(4)150[W]のメタルハライドランプ:高天井用照明器具(水銀灯用)
(ホルダ(品番:YB15830H)とセード(品番:YK34330)の組合せ)
(5)200[W]のメタルハライドランプ:高天井用照明器具(水銀灯用) (ホルダ(品番:YB15840H)とセード(品番:YK34330)の組合せ)
(6)290[W]のメタルハライドランプ:高天井用照明器具(水銀灯用)
(ホルダ(品番:YB16575ZH)とセード(品番:YK36330)の組合せ)(7)420[W]のメタルハライドランプ:高天井用照明器具(水銀灯用)
(ホルダ(品番:YB16575ZH)とセード(品番:YK36330)の組合せ)
図5は、条件3を求めた実験の結果を示す図である。
図5には、定格ランプ電力毎に、最大外径DMAX、距離L、仮容積Yおよび判定結果が示されている。
ここでの判定基準は、メタルハライドランプを既存の照明器具に取り付けることができた場合に良好「○」、取り付けることができない場合に不良「×」である。また、ここでの「照明器具に取り付けることができた場合」とは、ランプを照明器具に物理的に取り付けることができただけでなく、照明器具の開口部からランプが突出しない状態で、ランプを照明器具に取り付けることができた場合を意味している。
実験結果を見ると、定格ランプ電力30〜420[W]の全ての実施例11−4〜17−4において、良好「○」な判定結果が示されている。
図6には、これら実施例11−4〜17−4の各仮容積Yの値が、図4に示す実験結果と同様、プロットされている。そして、実施例11−4〜17−4の各仮容積Yの値を通過する上限線102が引かれている。
この上限線102は、仮容積Yの上限を示す線であり、次の関係式で表すことができる。
MAX ×L=9100P+48000
したがって、仮容積Yが、上限線102以下であれば、既存の照明器具に取り付け可能であるといえる。
図5および図6より、メタルハライドランプ10は、条件3を満たした場合に、既存の照明器具に取り付け可能なことが分かった。
[第2の実施形態]
<ランプ構造>
図7は、本発明の第2の実施形態に係るメタルハライドランプ110の要部を示す縦断面図である。
先ず、図7に示すメタルハライドランプ110と、上記第1の実施形態に係るメタルハライドランプ10との違いについて説明する。
図7に示すメタルハライドランプ110は、外管116内の空気の放熱効果を高めることにより、内管46の熱が、外管116内の空気を介してランプ筐体12側に伝達するのを抑制し、点灯回路が過熱するのを防止している点では、図1のメタルハライドランプ10と同じである。
一方、図7に示すメタルハライドランプ110は、定格ランプ電力に応じて、外管116の最大外径D3MAXと内管46の外径寸法D2との寸法差を設定することにより、外管16内の空気の放熱効果を効果的に高めている点が、図1のメタルハライドランプ10とは異なっている。
また、メタルハライドランプ110は、内管46の外径寸法D2が小さくなり過ぎて、発光管44の温度を過度に上昇させることがないように、内管46の外径寸法D2と発光管の外径寸法D1との寸法差についても規定を設けている。
なお、図7では、メタルハライドランプ110におけるランプ筐体および口金部が省略されている。これらランプ筐体および口金部は、図1に示すメタルハライドランプ10のランプ筐体12および口金部14と同じ構成である。本実施形態において、図1に示すメタルハライドランプ10と同じ構成要素については、簡単のため、同じ符号で示し、その説明を省略する。
(二重管構造体)
二重管構造体42は、図1に示す二重管構造体42と同じ構成である。
図7には、発光管44における一対の電極90,92間の中心を通る径の外径寸法がD1[mm]、内管46における一対の電極90,92間の中心を通る径の外径寸法がD2[mm]で示されている。また、ホルダ12Bのからの二重管構造体42の高さがHで示されている。
なお、本実施形態において、発光管44の内部には、金属ハロゲン化金属として、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化ジスプロシウム等が封入されている。
(外管)
外管116は、図1に示す外管16と同等の形状からなり、長軸方向一端の開口端縁部116Aと、他端の頂部116Bとを有している。また、最大外径箇所116Cが、一対の電極90,92間に相当する領域R2に設けられている。図7には、最大外径箇所116Cの外径寸法がD3MAX[mm](以下、最大外径D3MAXという)で示されている。
次に、外管116の寸法設定について、詳しく説明する。
外管116の最大外径D3MAXは、次の条件を満たす。
D3MAX≦165.3[mm] ・・・(条件6)
また、外管116の最大外径D3MAXと内管46の外径寸法D2との寸法差(D3MAX−D2)、および内管46の外径寸法D2と発光管の外径寸法D1との寸法差(D2−D1)が、次の条件を満たす。
0.21P+26≦D3MAX−D2 ・・・(条件7)
0.013P+1.9≦D2−D1 ・・・(条件8)
寸法差(D3MAX−D2)が小さいと、外管16内の空気による放熱効果が得られず、対流熱伝達によるランプ筐体12の温度上昇を抑制することができない。このため、点灯回路24を構成する各電子部品22が加熱され、各電子部品22の寿命の短命化を招くおそれがある。発明者らは、後述する実験により、条件7を満たせば、各電子部品22が過熱するのを防止して、各電子部品22の設計寿命を確保できることを見出した。
一方、寸法差(D3MAX−D2)を大きくすると、外管16内の空気による放熱効果を高めることはできるが、寸法差(D3MAX−D2)を大きくすることにより寸法差(D2−D1)が小さくなった場合には、内管46が発光管44に近接して内管46による保温効果が強まり、発光管44の温度を上昇させてしまう。発光管44の温度が過度に上昇すると、ランプの立消えが発生するという弊害が出てくる。発明者らは、後述する実験により、条件8を満たせば、発光管44の温度が過度に上昇するのを抑制でき、ランプの立消えが発生するのを防止できることを見出した。
<条件6について>
条件6は、外管116が大きくなり過ぎて、メタルハライドランプ110が既存の照明器具に取り付けることができなくなるのを防止するために設けられている。本実施形態でも、定格ランプ電力の最も大きい420[W]のメタルハライドランプ110が700[W]の水銀灯の代替品となり得ることから、700[W]の水銀灯用の照明器具に取り付け可能な外管116の大きさを上限とすることができる。具体的には、パナソニック電工株式会社製の高天井用照明器具(ホルダ(品番:YB16575ZH)とセード(品番:YK36330)の組合せ)に取り付けることができる外管116の最大外径DMAXを上限としている。
<条件7を求めた実験>
先ず、条件7を求めた実験について説明する。
本実験では、本実施形態に係るメタルハライドランプ110をベースにして、30[W]、70[W]、100[W]、150[W]、200[W]、290[W]および420[W]の定格ランプ電力毎に、外管116の最大外径D3MAXを固定し、内管46の外径寸法D2を異ならせることにより寸法差(D3MAX−D2)が異なる複数の複数のランプを作製し、それらランプを点灯させて、点灯回路が過熱して熱破壊されるまでの時間を測定した。
具体的には、上記第1の実施形態における実験と同様、定格ランプ電力毎に、3つの実施例および1つの比較例のランプを用意し、各ランプに対してエージングを実施し、点灯回路が熱破壊するまでの総点灯時間(回路寿命時間)を測定した。
図8は、条件7を求めた実験の結果を示す図である。
図8には、各実施例および各比較例における、外管116の最大外径D3MAX、内管46の外径寸法D2、寸法差(D3MAX−D2)、回路温度[℃]、回路寿命時間[h]および判定結果が示されている。
なお、本実験においても、回路寿命時間24000[h]を境にして、良好または不良と判定している。
実験結果を見ると、図8に示すように、定格ランプ電力30[W]のランプは、最大外径D3MAXが55[mm]に設定されている。
そして、実施例21−1は、D2=22[mm]、D3MAX−D2=33[mm]、回路温度=61[℃]、回路寿命時間=42100[h]であり、判定が「○」である。
同様に、実施例21−2は、D2=17[mm]、D3MAX−D2=38[mm]、回路温度=60[℃]、回路寿命時間=44900[h]、判定「○」であり、実施例21−3は、D2=11[mm]、D3MAX−D2=44[mm]、回路寿命時間=46200[h]、判定「○」である。
なお、実施例21−3の回路温度が無いのは、実施例21−3における寸法差(D3MAX−D2)は、実施例21−1,21−2と比べて大きく、実施例21−1,21−2よりも回路温度が下がることが予測できることから、回路温度の測定を行っていないためである。実施例22−3,23−3,24−3,25−3,26−3および27−3においても、同様の理由により、回路温度を測定していないため、回路温度の記載が無い。
一方、比較例21は、D2=23[mm]、D3MAX−D2=32[mm]、回路温度=77[℃]、回路寿命時間=13900[h]であり、判定が「×」である。
また、図8に示す、定格ランプ電力70〜420[W]のランプにおける実施例22−1〜27−3および比較例22−1〜27−1おいても、上記と同様に判定された結果が示されている。これは、寸法差(D3max−D2)が大きければ、外管内の空気による放熱効果が得られるから、対流熱伝達によるケースの温度上昇が抑制されるため、結果として、各電子部品の短寿命化が抑制されるものと考えられる。
図9は、縦軸を寸法差(D3MAX−D2)、横軸を定格ランプ電力Pとし、図8に示す実施例および比較例をプロットした図であり、判定「○」の各実施例が丸印で示され、判定「×」の各比較例が×印で示されている。
図9において、定格ランプ電力P毎の、判定「○」の寸法差(D3MAX−D2)の値と、判定「×」の寸法差(D3MAX−D2)との値の間を通過し、かつ判定「○」の寸法差(D3MAX−D2)の値に近接した下限線103が引かれている。この下限線103は、各判定「○」の寸法差(D3MAX−D2)の値を含む領域の下限を示す線であり、次の関係式で表すことができる。
0.21P+26=D3MAX−D2
図8および図9より、条件7を満たす実施例21−1〜27−3のランプでは、いずれも回路寿命時間が24000[h]以上であり目標値を超えている。一方、条件7を満たさない比較例21−1〜27−1のランプでは、いずれも回路寿命時間が24000[h]に満たない。
また、実施例21−1〜27−3のランプは、いずれも回路温度が70[℃]を超えることがなかった。一方、比較例21−1〜27−1のランプは、70[℃]を超えている。
以上の実験の結果より、メタルハライドランプ110は、条件7を満たした場合に、点灯回路ユニット18が過熱するのを防止できることが分かった。
このように、点灯回路ユニット18の過熱を防止できるのは、定格ランプ電力に応じて寸法差(D3MAX−D2)を設定することにより、外管116内の空気による放熱効果を効果的に高めることができ、内管46の熱が外管116内の空気を介してランプ筐体12側に熱伝達するのを抑制できるためであると考えられる。その結果として、メタルハライドランプ110は、ランプ筐体12の温度上昇を抑制することができ、点灯回路ユニット18が過熱するのを防止することができる。
なお、本実験では、外管116の最大外径D3MAXを固定し、内管46の外径寸法D2が異なる実施例および比較例を用いているが、外径寸法D2を固定し、最大外径D3MAXが異なる実施例および比較例としてもよい。寸法差(D3MAX−D2)が同じである限り、同様の結果を得ることができる。
<条件8を求めた実験>
次に、条件8を求めた実験について説明する。
本実験では、本実施形態に係るメタルハライドランプ110をベースにして、30[W]、70[W]、100[W]、150[W]、200[W]、290[W]および420[W]の定格ランプ電力毎に、発光管44の外径寸法D1を固定し、内管46の外径寸法D2を異ならせることにより寸法差(D2−D1)が異なる複数のランプを作製し、それらランプを点灯させて、ランプの立消えが発生するか否かを確認した。
具体的には、定格ランプ電力毎に、2つの実施例および1つの比較例のランプを、それぞれ10個用意し、各ランプに対して9000[h]のエージングを実施して、実施例および比較例毎に用意した10個のランプにおけるランプの立消えの発生数を調べた。
ここで、エージングは、ランプの口金が上側となる点灯姿勢を保持し、定格ランプ電力において裸点灯させながら、5.5[h]点灯させた後に0.5[h]消灯させるという点灯サイクルを採用し、評価を行った。
また、ランプの立消えは、ランプ電圧の上昇傾向により判断した。すなわち、ランプ個々の寿命特性のバラツキを考慮すると、通常、9000[h]まで評価した場合には、12000[h]もしくは15000[h]での寿命達成の可否が見極められることから、総点灯時間9000[h]を境にして、立消えが「良好」または「不良」と判定した。
図10は、条件8を求めた実験の結果を示す図である。
図10には、各実施例および各比較例における、内管46の外径寸法D2、発光管44の外径寸法D1、寸法差(D2−D1)、立消えの発生数および判定結果が示されている。
本実験において、総点灯時間9000[h]において、実施例および比較例毎に用意した10個のランプが何れも不点とならない場合は、立消えし難い良好「○」なランプと判定し、当該10個のランプ中、1個のランプでも不点となる場合は、立消えし易い不良「×」のランプと判定した。
実験結果を見ると、図10に示すように、定格ランプ電力30[W]のランプは、発光管44の外径寸法D1が8.7[mm]に設定されている。
そして、実施例21−3は、D2=11[mm]、D2−D1=2.3[mm]、立消え発生数が10件中0件であり、判定「○」である。
同様に、実施例21−4は、D2=13[mm]、D2−D1=4.3[mm]、立消え発生件数が10件中0件、判定「○」である。
一方、比較例21−2は、D2=10[mm]、D2−D1=1.3[mm]、立消え発生件数が10件中3件、判定「×」である。
なお、実施例21−3は、図8に示す同じ番号となる実施例のランプと同じ構成のものである。
なお、実施例21−3は、図7に示す実施例21−3のランプと同じ構成のものである。また、図9に示す他の実施例において、図7に同じ番号の実施例が存在するものについては、当該実施例のランプの構成と同じである。
また、図10に示す、定格ランプ電力70[W]〜420[W]のランプにおける各実施例および各比較例おいても、上記と同様に判定された結果が示されている。
図11は、縦軸を寸法差(D2−D1)、横軸を定格ランプ電力Pとし、図10に示す実施例および比較例をプロットした図であり、判定「○」の各実施例が丸印で示され、判定「×」の各比較例が×印で示されている。
図11において、定格ランプ電力P毎の、判定「○」の寸法差(D2−D1)の値と、判定「×」の寸法差(D2−D1)との値の間を通過し、かつ判定「○」の寸法差(D2−D1)の値に近接した下限線104が引かれている。この下限線104は、各判定「○」の寸法差(D2−D1)の値を含む領域の下限を示す線であり、次の関係式で表すことができる。
0.013P+1.9=D2−D1
図10および図11より、条件8を満たす各実施例のランプでは、総点灯時間9000[h]で不点となるランプがない。一方、条件8を満たさない各比較例のランプでは、10個中数個のランプが不点となった。
以上の実験の結果より、メタルハライドランプ110は、条件8を満たした場合に、ランプの立消えが発生するのを防止できることが分かった。
このように、ランプの立消えが発生するのを防止できるのは、定格ランプ電力に応じて寸法差(D2−D1)を設定することにより、内管46が発光管44に近接し過ぎるのを抑制し、発光管44の温度が過度に上昇するのを抑制しているからである。これによって、ランプの立消えが発生するのを防止している。
なお、本実験では、発光管44の外径寸法D1を固定し、内管46の外径寸法D2が異なる実施例および比較例を用いているが、外径寸法D2を固定し、外径寸法D1が異なる実施例および比較例としてもよい。寸法差(D2−D1)が同じである限り、同様の結果を得ることができる。
本実施形態における実験により、寸法差(D3MAX−D2)を大きくすれば、外管116内の空気による放熱効果が高めることができ、点灯回路ユニット18が過熱するのを防止できることが分かった。しかしながら、既存の照明器具に取り付け可能な大きさとするため、最大外径D3MAXが165.3[mm]以下に制限され、寸法差(D3MAX−D2)の大きさに限界がある。
したがって、寸法差(D3MAX−D2)の設定により、点灯回路ユニット18が過熱するのを防止し、回路寿命時間を24000[h]以上確保することはできるが、寸法差(D3MAX−D2)の設定だけで、回路寿命時間[h]を延長(改善)するには限界がある。発明者らは、メタルハライドランプの回路寿命時間[h]を効果的に延長するため、鋭意検討した結果、二重管構造体42の高さHを高くすることが有効であり、次の条件を満たせば回路寿命を、改善できることを見出した。
0.1×P+31≦H ・・・(条件9)
<条件9を求めた実験>
次に、条件7を求めた実験について説明する。
本実験では、図8に示す実施例のうち、30[W]〜420[W]の定格ランプ電力毎に、選択した実施例のランプに対する回路寿命時間の改善効果を確認するため、当該選択した実施例のランプの構成に、二重管構造体42の高さHのみ異なるランプを作製し、それらランプを点灯させて、点灯回路が過熱して熱破壊されるまでの時間を測定した。
具体的には、定格ランプ電力毎に、図9に示す下限線103に最も近接する実施例を選択した。そして、本実験の実施例の二重管構造体42の高さHを、当該選択した実施例よりも高くして、本実験の各実施例のランプに対してエージングを実施し、点灯回路が熱破壊するまでの総点灯時間(回路寿命時間)を測定した。
図12は、条件9を求めた実験の結果を示す図である。
図12には、各実施例における、二重管構造体42の高さH、回路温度[℃]、回路寿命時間[h]、改善時間[h]および改善率「%」が示されている。また、比較対象であり、選択された実施例のランプにおける二重管構造体42の高さH、回路温度[℃]、回路寿命時間[h]が示されている。
実験結果を見ると、図12に示すように、定格ランプ電力30[W]における実施例21−5のランプは、実施例21−1のランプ構成に高さHがのみ変えられたものである。実施例21−5では、高さH=34[mm]、回路温度=60[℃]、回路寿命時間=45100[h]であり、実施例21−1と比べた場合に、回路寿命の改善時間が3000[h]、改善率が7.1[%]である。
また、図12に示す、定格ランプ電力70〜420[W]のランプにおける実施例22−5〜27−5においても、上記と同様、回路寿命時間が改善されている。
図13は、縦軸を二重管構造体42の高さH、横軸を定格ランプ電力Pとし、図12に示す実施例をプロットした図である。そして、改善率が6.1「%」以上である実施例21−5〜27−5を通過する下限線105が引かれている。
この下限線105は、二重管構造体42の高さHの下限を示す線であり、次の関係式で表すことができる。
0.1×P+31=H
ここで、回路寿命の目標改善率を、6.1「%」以上とした理由を述べる。メタルハライドランプは、水銀灯の代替光源としての位置づけから、当該水銀灯と同等かそれ以上の寿命を確保する必要がある。通常、水銀灯の定格寿命は12000[h]であるため、その代替光源としては、少なくとも12000[h]、好ましくは15000[h]以上の寿命を確保する必要があるが、回路設計上は、電子部品における品質のバラツキおよびランプの使用環境を考慮し、2倍の寿命、すなわち30000[h]を設計寿命とすることが好ましい。そのため、30[W]から420[W]すべてのワットレンジに対して30000[h]以上確保することが望ましいという観点から、目標改善率を6.1「%」以上とした。
図12および図13より、条件9を満たす実施例21−5〜27−5のランプは、条件9を満たさない実施例21−1〜27−1(図13に示す比較対象)と比べて、回路寿命時間を6.1「%」以上改善することができることが分かった。
以上、本発明に係るメタルハライドランプについて、実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られない。
<変形例>
例えば、上記実験1〜4において、30[W]、70[W]、100[W]、150[W]、200[W]、290[W]および420[W]の各定格ランプ電力のメタルハライドランプを用いたが、これらとは異なる定格ランプ電力のメタルハライドランプを用いたとしても同様の実験結果を得ることができる。
また、上記第2の実施形態において、発光管44の内部に、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化ジスプロシウム等が封入された構成を示したが、メタルハライドランプの仕様または用途に合わせて、ハロゲン化金属を適宜変更することができる。
上記実施形態では、外管内に空気が存する構成を示したが、外管を密閉して、窒素等の不活性ガスを封入した構成としても良い。
上記実施形態では、外管の内面に蛍光膜が塗布された構成を示したが、蛍光膜を有しない構成であってもよい。
また、ランプ筐体に内蔵された点灯回路の構成は、ランプおよびランプを取り付ける照明器具の仕様または用途に合わせて適宜変更することができる。例えば、イグナイタを有する点灯回路の構成とすることができる。また、安定器を有しない点灯回路の構成であってもよい。
上記実施形態に係るメタルハライドランプは、銅鉄式のような安定器を含む照明器具にも適用することができる。
このように上記実施形態に係るメタルハライドランプの取替え対象となる既存の水銀灯用照明器具が安定器を含んでいる場合、上記実施形態に係るメタルハライドランプに内蔵している点灯回路を保護するという観点からは、点灯回路の入力部にパルス保護回路を付設することが好ましい。なぜならば、例えば、点灯中のランプが立ち消えるなどして回路への入力電流が急激に遮断された場合には、インダクタンス成分を含む安定器から高電圧のパルスが発生することがあり、このパルス電圧により回路素子が破損するおそれがあるが、上記のようにパルス保護回路を付設すると、パルス電圧による回路素子の破損を抑えることができるためである。また、ランプが立消えたりなどした場合であっても、回路への入力電流が急激に遮断されることなく、緩やかに減少させるための保護回路を設けることによって、安定器からのパルス電圧を低下させることもできる。
また、上記実施形態に係るメタルハライドランプにおいては、点灯回路の入力部にACフィルタまたはアクティブフィルタ回路を付設させてもよい。一般的に、水銀灯用に使用される安定器はインダクタであるため、点灯回路への入力電流が高調波成分を多く含む場合、本来の入力電流波形を歪ませることがある。その点、これらの回路を付設することにより、点灯回路への入力電流の高調波成分を低減することが出来るため、安定器によって電流波形を歪ませられることなく、ランプに対して適正な電流を安定して供給することができるので、ちらつきなどの問題が回避できる。
ところで、上記実施形態に係るメタルハライドランプを取り付ける対象となる既存の水銀灯用照明器具は、既に数十年という長期にわたって使用されている場合が多く、コイル劣化などが懸念される。また、上記実施形態に係るメタルハライドランプはセラミック発光管を使用し、水銀灯の2倍程度の効率を得ることが出来るので、既存の水銀灯と同等の光束(光量)を得るのであれば、およそ半分の電力/電流にすることが出来る。このため
、既存の安定器が長期間にわたって使用されていても、上記実施形態に係るメタルハライドランプに交換した後は、安定器の電流負荷を低減することができるため、コイル劣化を抑制させる効果や発煙などの不具合を抑制することが出来る。さらに、水銀灯を使用している際、コイル劣化により安定器が短絡状態になった場合は水銀灯の発光管が破損することがあるが、上記実施形態に係るメタルハライドランプであれば内蔵された回路により電流が制限されているため、発光管が破損するなどの心配もない。また、上記実施形態に係るメタルハライドランプを既存の水銀灯用照明器具に適用する場合には、既存の水銀灯よりも低電力タイプのものを選択することが好ましい。このように低電力タイプを選択すると、既存の照明器具に水銀灯を取り付けて使用するよりも回路に対する電流負荷が低いので、既存の安定器が長期間にわたって使用されていても、コイル劣化等が生じている場合でも発煙などの不具合を抑制することができる。
本発明に係るメタルハライドランプは、点灯回路を内蔵しているにも関わらず、高ワットタイプとした場合であっても、外管内の容積を適量に確保することによって、回路温度の上昇を抑制し、回路の寿命信頼性を確保することができるとともに、発光管の寿命特性も確保することができる。よって、既存の水銀灯用照明器具にそのまま装着して用いる水銀灯代替品として好適に利用可能である。
10 メタルハライドランプ
12 ランプ筐体
12A ケース部
12B ホルダ
12C 長孔
14 口金部
16 外管
16A 開口端縁部
16B 頂部
16C 最大外径箇所
16D 頂部側空間
18 点灯回路ユニット
20 プリント配線板
22 電子部品
24 点灯回路
24A AC/DC変換部
24B DC調整部
24C DC/AC変換部
26 リード線
28 リード線
30 絶縁体部
30A 貫通孔
32 シェル
34 アイレット
34A 貫通孔
36 絶縁体部
42 内管
42 二重管構造体
44 発光管
44 発光管
46 内管
48 本管部
50,52 細管部
54 放電容器
56,58 給電体
60,62 シール材
64,66 電力供給線
68,70 金属箔
72,74 外部リード線
76 スリーブ
78 ピンチシール部
80 凸部
82 無機接着剤
84 挿入溝
90 先端
90 電極
90,92 電極
101 下限線
102 上限線
103 下限線
104 下限線
105 直線
110 メタルハライドランプ
116 外管
116A 開口端縁部
116B 最大外径箇所
116C 頂部
D1 発光管の外径
D2 内管の外径
MAX 外管の最大外径
D3MAX 外管の最大外径
DO 外管の開口側端部の外径
H 二重管構造体の高さ
L 距離
R 領域
C101,C102 コンデンサ
D101〜103 ダイオード
L101,L102 インダクタンス素子
L103 安定器
Q101〜106 スイッチング素子

Claims (4)

  1. 先端が互いに対向する一対の電極を有しかつ発光物質としてハロゲン化金属が封入された発光管および当該発光管を気密封止する内管を有する二重管構造体と、
    前記内管の長手方向一端部を保持するホルダおよび一方の開口側端部に前記ホルダが取り付けられたケースを有するランプ筐体と、
    前記ケースの他方の開口側端部に取り付けられた口金と、
    前記ランプ筐体の内部に収納された、前記発光管を点灯する点灯回路と、
    前記二重管構造体を内包した状態で前記ランプ筐体に取り付けられた外管と、
    を備えたメタルハライドランプであって、
    前記外管の頂部から、前記発光管の一対の電極のうち当該頂部に近い側にある電極の先端までの距離をL[mm]とし、前記外管の最大外径の寸法をDMAX[mm]、定格ランプ電力をP[W]とした場合に、
    30≦P≦420
    45≦DMAX≦165.3
    の範囲内において、前記最大外径DMAXおよび前記距離Lが、
    4400P+9100≦DMAX ×L≦9100P+48000
    の関係を満たすことを特徴とするメタルハライドランプ。
  2. 前記外管の開口側の端部の外径寸法をD[mm]とした場合に、
    この外径寸法Dが、
    MAX×0.33≦D≦DMAX×1.00
    の範囲内である
    ことを特徴とする請求項1に記載のメタルハライドランプ。
  3. 先端が互いに対向する一対の電極を有しかつ発光物質としてハロゲン化金属が封入されたセラミック発光管および当該セラミック発光管を気密封止する内管からなる二重管構造体と、
    前記内管の長手方向一端部を保持するホルダおよび一方の開口側端部に前記ホルダが取り付けられたケースを有するランプ筐体と、
    前記ケースの他方の開口側端部に取り付けられた口金と、
    前記ランプ筐体の内部に収納された、前記セラミック発光管を点灯する点灯回路と、
    前記二重管構造体を内包した状態で前記ランプ筐体に取り付けられた外管と、
    を備えたメタルハライドランプであって、
    前記外管の最大外径の寸法をDMAX[mm]、前記セラミック発光管における前記一対の電極間の中心を通る径の外径寸法をD1[mm]、前記内管における前記一対の電極間の中心を通る径の外径寸法をD2[mm]、定格ランプ電力をP[W]とした場合に、
    30≦P≦420
    MAX≦165.3
    の範囲内において、前記最大外径DMAXおよび前記各外径寸法D1,D2が、
    0.21P+26≦DMAX−D2
    0.013P+1.9≦D2−D1
    の関係を満たすことを特徴とするメタルハライドランプ。
  4. 前記二重管構造体の前記ランプ筐体からの高さをH[mm]とした場合に、
    この高さHが、
    0.1×P+31≦H
    を満たすことを特徴とする請求項3に記載のメタルハライドランプ。
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