JP2010276347A - 表面検査装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリンダブロック5にボーリング加工により形成され研磨されたボア3の内側表面3Aのデジタル輝度画像70に基づいて該内側表面3Aを検査する表面検査装置9において、前記デジタル輝度画像70に基づいて前記切削加工痕Pの方向と直交する方向の1次元パワースペクトル画像71を前記切削加工痕Pの方向に沿って生成し、これらを並列に並べて評価用画像73を生成する評価用画像生成部55と、前記評価用画像73の各画素の画素値に基づいて、前記ボア3の内側表面3Aの研磨残りQの有無を評価する評価部57と、を備えた。
【選択図】図1
Description
また、ボアの内側表面はピストンの摺動面となるため、摺動抵抗を抑えてエンジンに所望の性能を発揮させるべく、該摺動面を適切な表面粗さ及び面性状に維持する必要がある。そこで、ボーリング加工後には、ボアの内側表面を、オイルピットが残る程度に研磨仕上げするためのホーニング加工が行われる。そして、ホーニング加工後には、摺動抵抗の要因となる研磨残りを検査するために、ボアの内側表面の平滑状態の検査が行われる。
換言すると、2次元パワースペクトル画像解析は、全方向360度に対する周波数成分を、面として統合的に包括的に解析するため、ある目的方向に対する情報や、その目的方向の線分上の位置情報等が欠落してしまう。すなわち、面全体の平滑状態を統合的に評価することには向くが、特定の研磨残りや切削加工痕等の、位置の情報や大きさの情報を得ることができない。そして全方向360度を解析することから、処理すべき情報量が多く処理に時間が掛かっている。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ワークの機械加工が施された表面において深い機械加工痕の有無を検出し、かつ、その位置、大きさを推定可能とし、以って、検査時間を短縮することができる表面検査装置を提供することを目的とする。
なお、画素値とは、輝度画像の信号の強度を表したものであり、すなわち反射光の輝度変化の振幅の激しさを表したものであり、換言すると、輝度の明暗の差の大きさを表したものである。
したがって、評価用画像の画素値に基づいて深い機械加工痕のみならず、浅い加工痕も、ある周期的に生じた加工痕は、そのの有無を容易に検出することができる。また、その機械加工痕の位置が特定し易くなる。さらに、機械加工痕を示す画素値の並列方向への広がりに基づいて、該機械加工痕の大きさ(延びる長さ)を推定することができる。これにより、作業者は目視せずとも深い機械加工痕ないし浅い加工痕の有無を検出でき、その箇所及び大きさを推定することが可能となる。また作業者が実際に目視で確認する場合でも該機械加工痕の箇所が絞り込めるため検査時間を短縮することができる。
したがって、評価用画像の画素値に基づいて、切削加工痕の研磨残りだけを効率よく評価することができ、また、その研磨残りの位置が特定し易くなる。さらに、研磨残りを示す画素値の並列方向への広がりに基づいて、研磨残りの大きさ(延びる長さ)を推定することができる。これにより、作業者は目視せずとも研磨残りを検出し、その箇所及び大きさを推定することが可能となる。また実際に作業者が目視で確認する場合でも該研磨残りの箇所が絞り込めるため検査時間を短縮することができる。
さらに、評価用画像の画素値に基づいて深い機械加工痕ないし浅い加工痕の有無を検出することができ、また、それら加工痕の位置が特定し易くなる。さらに、これら加工痕を示す画素値の並列方向への広がりに基づいて、加工痕の大きさ(延びる長さ)を推定することができる。これにより、作業者は目視せずとも深い機械加工痕ないし浅い加工痕の有無を検出することができ、その箇所及び大きさを推定することが可能となる。また作業者が実際に目視確認する場合でも該機械加工痕の箇所が絞り込めるため検査時間を短縮することができる。
また、シリンダブロックのボアの内側表面を検査する際には、切削加工痕の研磨残りを効率良く判定することができ、また、その位置及びの大きさを推定することができる。
また、1次元パワースペクトル画像を所定方向に沿って順次生成し並列に並べた画像を、該所定方向をデジタル画像に対して所定角度ずつ回転させたそれぞれ生成し、各画像の中からスペクトラム信号を最も多く含む画像を評価用画像に選択する構成とすることで、機械加工方向を取得せずとも、該機械加工方向に直交した1次元パワースペクトル画像から成る画像を評価用画像に選択することができる。
また、評価用画像に対して、画素値が所定画素値を超える画素を、該画素を含んでいた1次元パワースペクトル画像の各画素とともに色分けすることで、深い機械加工痕ないし浅い加工痕が存在する範囲を明確にできる。
図1は、本発明の一実施形態に係るボア内面検査システム1と、検査対象となるボア3が形成されたシリンダブロック5の概略構成を示す図である。
ボア3は、回転軸に設けたボーリングヘッドに切削バイトを径方向に突設し、該ボーリングヘッドを回転させながらワークとしてのシリンダブロック5に対して進退させる、いわゆるボーリング加工により形成される。このボーリング加工により、ボア3の内側表面3Aには、方向性を有する螺旋状の切削加工痕ができる。その後、ボア3の内側表面3Aに対して、オイルピットを残しつつ、エンジンの所望の性能を発揮可能な表面粗さ及び面性状を得るべく、ホーニング用砥石を配設した加工ヘッドを用いてホーニング加工が施されている。
センサヘッド7は、ボア3に進入可能な円筒状に形成され、中心軸線12の回りに回転可能かつ中心軸線12の方向に移動可能に上記駆動機構11に取り付けられている。センサヘッド7は、周面に設けた開口15からレーザ光をボア3の内側表面3Aに向けて照射し、切削加工痕の形状に応じた反射光量を検出して表面検査装置9に出力する。
具体的には、センサヘッド7は、光源としてのLD(レーザダイオード)17、光ファイバ19及び集光光学ユニット21を備え、LED17の光を光ファイバ19で集光光学ユニット21に導き、集光光学ユニット21で集光して開口15からレーザ光を出射する。また、センサヘッド7は、反射光を受光する受光センサ23を備えるとともに、集光光学ユニット21を介して戻ってくる反射光を受光センサ23に導く複数の光ファイバ25が光ファイバ19に隣接して配設されている。
回転駆動機構31は、ハウジング34と、先端に上記センサヘッド7が取り付けられハウジング34を上下に貫通して設けられたシャフト35と、表面検査装置9の制御の下、シャフト35を回転駆動するシャフトモータ37と、シャフト35の回転速度および回転角を検出し表面検査装置9に出力するロータリエンコーダ39とを備えている。
進退機構33は、送りねじ機構であり、ねじが刻設された軸部41と、この軸部41を回転駆動する進退モータ43と、軸部41の回転速度および回転角を検出し表面検査装置9に出力するロータリエンコーダ45とを備える。軸部41は、ハウジング34のナット部36に螺合されており、進退モータ43を駆動することにより軸部41が回転し、回転駆動機構31を進退させる。
デジタル輝度画像70は、図2(A)に示すように、ボア3内の各検査位置でセンサヘッド7により得られる反射光強度を該検査位置と対応させて画像化したものであり、本実施形態では、センサヘッド7の高さ位置とセンサヘッド7の回転角をそれぞれ縦軸及び横軸として画像化している。なお、同図のデジタル輝度画像70における破線は、ボーリング加工時の切削加工痕Pを模式的に示している。
評価部57は、評価用画像73の各画素の輝度値に基づいてボア3の内側表面3Aの研磨残りを評価する。
評価用画像生成部55には、デジタル輝度画像70において1次元パワースペクトル処理を施す領域を規定する窓として、幅Wが1ピクセルであり、高さLが数ピクセル(例えば200ピクセル)の抽出窓(列)75が予め設定されている。抽出窓75の高さ方向が1次元パワースペクトルの一元方向である。
評価用画像生成部55は、図2(A)に示すように、デジタル輝度画像70において抽出窓75を、高さ方向が切削加工痕Pの方向に直交するように配置し、図3(A)に示すように、この抽出窓75に対応した範囲のデジタル輝度画像、すなわち幅Wが1ピクセルの1次元デジタル輝度画像70Aを抽出する。なお、図3(A)には、ホーニング処理による研磨が足りない切削加工痕Pを研磨残りQとして模式的に示している。
詳述すると、図4(A)に示すように、1次元デジタル輝度画像70Aにおいて、白黒が1ピクセルごとに変化している場合、各ピクセルの輝度値は図4(B)のようになり、これを、1次元方向の輝度変化で表すと図4(C)のような波形が得られる。一方、パワースペクトルで表した場合には、2ピクセルごとに黒と白が入れ替わることから、図4(D)に示すように、2ピクセル/サイクルに対応した周波数成分の信号が現れる。すなわち、ボーリング加工においては、切削加工痕Pが略一定ピッチの螺旋状となるから、1次元パワースペクトルにおいては、切削加工痕Pが螺旋のピッチに対応した周波数成分の信号として現れることとなる。このとき、切削加工痕Pに照射され、その反射した光の明暗の差が大きいほど、信号の強度は大きくなる。通常、切削加工痕Pが深いと、反射した光の明暗の差が大きくなる場合が多く、すなわち、信号の強度は大きくなる。なお、ボア3の内側表面3Aに切削加工痕Pの他に打痕などにより凹凸がある場合には、この凹凸の明暗に応じた強度の信号が他の周波数成分として出現することになる。
そして、評価部57は、図2(D)に示すように、2値化処理で残った各画素に対し、それらの画素を抽出した抽出窓75(すなわち、該画素を含んでいた1次元パワースペクトル画像71)を当てはめ該抽出窓75に対応するエリアを着色により色分けした研磨残り抽出画像79を生成する。これにより、この研磨残り抽出画像79においては、研磨残りQが存在する範囲Rが色分けして明示されることとなる。
検査対象のボア3が形成されたシリンダブロック5を駆動機構11の直下の所定位置にセットした後、位置制御部51によりセンサヘッド7をボア3に進入させ、回転させながら進退させることでボア3の内側表面3Aを検査範囲Kに亘って走査し、この走査によって得られた信号に基づいて画像化部53により検査範囲Kのデジタル輝度画像70を生成する(ステップS1)。次いで、評価用画像生成部55の1次元パワースペクトル処理部63により、デジタル輝度画像70に切削加工痕Pに対して直交する方向に延びた抽出窓75を設定し該抽出窓75の範囲から1次元デジタル輝度画像70Aを抽出する(ステップS2)。そして、1次元パワースペクトル処理部63により、この1次元デジタル輝度画像70Aから1次元パワースペクトル画像71を生成する(ステップS3)。検査範囲Kの全てについて1次元パワースペクトル画像71が生成されるまでの間(ステップS4がNoの間)、デジタル輝度画像70において抽出窓75を切削加工痕Pに沿って移動させ(ステップS5)、1次元パワースペクトル画像71の生成を繰り返し行う。次いで、1次元パワースペクトル処理部63により、これらの1次元パワースペクトル画像71を並列に並べて評価用画像73を生成する(ステップS6)。
また、この1次元パワースペクトル画像71を並列に並べることで、並列方向が切削加工痕Pの方向に対応させた画像が評価用画像73として得られる。
これにより、評価用画像73の画素値に基づいて、切削加工痕Pの研磨残りQの有無だけを効率よく評価することができるとともに、その研磨残りQが存在する範囲Rを特定することができる。さらに、この範囲Rの並列方向への広がりに基づいて、研磨残りQの大きさ(延びる長さ)を推定することができる。
したがって、作業者は目視せずとも研磨残りQの有無、その箇所及び大きさを推定することが可能となり、ボア3の良否の判断が容易となる。また作業者が実際に目視で確認する場合でも該研磨残りQの箇所が絞り込めるため検査時間を短縮することができる。
例えば、実施形態では、ボア3の内側表面3Aを検査する装置について例示したが、本発明は、ボア3のような穴の機械加工面を検査する装置に限らない。すなわち、図6に示すように、ワーク90の平面な表面に略等ピッチで同一方向に切削加工が施された機械加工面を検査する装置にも適用可能である。この場合、機械加工面が平面であるため、機械加工面のデジタル輝度画像70をカメラ91で全体を1度で撮影することで得ることができる。
そして、図6に示すように、このようにして機械加工方向を判定する加工方向判定部92を備えて表面検査システム100の表面検査装置109を構成することで、切削加工痕Pの方向が予め分かっていないワーク90についても機械加工面を評価可能な表面検査装置109を構成することができる。
3 ボア
3A 内側表面
5 シリンダブロック
7 センサヘッド
9、109 表面検査装置
51 位置制御部
55 評価用画像生成部
57 評価部
63 1次元パワースペクトル処理部
70 デジタル輝度画像
70A 1次元デジタル輝度画像
71 1次元パワースペクトル画像
73 評価用画像
75 抽出窓
78 2値化画像
79 研磨残り抽出画像
90 ワーク
91 カメラ
92 加工方向判定部
100 表面検査システム
P 切削加工痕
Q 研磨残り
Claims (4)
- ワークの機械加工が施された表面のデジタル画像に基づいて該表面を検査する表面検査装置において、
前記デジタル画像に基づいて前記機械加工の方向と直交する方向の1次元パワースペクトル画像を前記機械加工の方向に沿って生成し、これらを並列に並べて評価用画像を生成する評価用画像生成手段と、
前記評価用画像の各画素の画素値に基づいて、前記表面を評価する評価手段と、
を備えることを特徴とする表面検査装置。 - シリンダブロックに切削加工により形成され研磨されたボアの内側表面のデジタル画像に基づいて該内側表面を検査する表面検査装置において、
前記デジタル画像に基づいて切削加工の方向と直交する方向の1次元パワースペクトル画像を前記切削加工の方向に沿って生成し、これらを並列に並べて評価用画像を生成する評価用画像生成手段と、
前記評価用画像の各画素の画素値に基づいて、前記ボアの内側表面の研磨残りを評価する評価手段と、
を備えることを特徴とする表面検査装置。 - ワークの機械加工が施された表面のデジタル画像に基づいて該表面を検査する表面検査装置において、
前記デジタル画像に基づいて1次元パワースペクトル画像を所定方向に沿って順次生成し並列に並べた画像を生成するとともに、前記所定方向を前記デジタル画像に対して所定角度ずつ回転させ、それぞれの回転角度で前記画像を生成し、各画像の中からスペクトラム信号を最も多く含む画像を評価用画像に選択する評価用画像生成手段と、
前記評価用画像生成手段により選択された評価用画像の各画素の画素値に基づいて表面を評価する評価手段と、
を備えることを特徴とする表面検査装置。 - 前記評価用画像に対して、画素値が所定画素値を超える画素を、該画素を含んでいた前記1次元パワースペクトル画像の各画素とともに色分けすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表面検査装置。
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