以下に本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採り得ることができ、各実施例に記載された内容の相違部分を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
図1は、本実施例のパチンコ機の遊技盤8の正面図である。なお、このパチンコ機の全体的な構成は公知技術に従っているので図示及び説明は省略する。
遊技盤8には公知のガイドレール25a、25bによって囲まれた略円形の遊技領域26が設けられ、多数の遊技釘27が植設されている。遊技領域26の略中央には、窓部28aを有する液晶枠飾り28が設けられており、演出図柄表示装置54b(図2参照)のLCD画面が遊技者から視認可能に構成され、図示しない公知のワープ入口、ワープ通路、ステージ等も設けられている。
また、窓部28aの上方左には、7セグメントLED等の発光部材により構成される第1特別図柄表示装置29、上方右には上方左と同一部材の第2特別図柄表示装置30と、中央には4個の発光部材で構成される第2特別図柄保留数表示装置30aが設けられており、窓部28a下には同様に4個の発光部材で構成される第1特別図柄保留数表示装置29aが設けられている。
液晶枠飾り28の左右両側又は左側には後述する普通図柄作動スイッチ42a(図2参照)を備える普通図柄作動ゲート42が設けられており、下側には第1始動口31と更にその下には第2始動口32として作動時(開放時)のみ入球可能となるチューリップ式の普通電動役物40が設けられ、該普通電動役物40には7セグメントLED等の発光部材により構成される普通図柄表示装置41が配置されている。普通電動役物40の下方には、アタッカー式の大入賞口33aを備える大入賞口ユニット33が配置され、該大入賞口ユニット33の下方にはアウト口34が設けられている。大入賞口33aの左側には4個のLEDで構成される普通図柄(普図)保留数表示装置41aが設けられている。また、大入賞口ユニット33の左右両側には、後述する一般入賞口スイッチ35b(図2参照)を備える一般入賞口35aが複数備えられる入賞口ユニット35が設けられている。
上記のように遊技盤8を構成することによって、普通図柄作動ゲート42に入球(普通図柄作動スイッチ42a(図2参照)にて遊技球を検出)すると、普通図柄表示装置41で普通図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普通図柄の態様に応じて、後述する普通電役ソレノイド40b(図2参照)を駆動させる。普通電役ソレノイド40bが駆動すると、ほぼ同期して普通電動役物40の羽根部材が駆動して、普通電動役物40への入球(第2特別図柄始動スイッチ32a(図2参照)での検出)が可能となるように構成されている。尚、本実施形態におけるパチンコ機では、普通電動役物40の部材が駆動する開放時間は、通常遊技状態では0.5秒(1回)、時短状態及び確率変動状態では開放延長機能が作動し2.0秒(3回)となる。
第1始動口31に遊技球が入球(第1特別図柄始動スイッチ31a(図2参照)にて遊技球を検出)すると、第1特別図柄表示装置29において第1特別図柄が変動を開始し、所定時間後に停止する。また、第2始動口32である普通電動役物40に入球(第2特別図柄始動スイッチ32a(図2参照)にて遊技球を検出)すると、第2特別図柄表示装置30において第2特別図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止する。
第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中に第1始動口31及び第2始動口32(普通電動役物40)に遊技球が入球すると、それぞれの始動口に対応した第1特別図柄保留数表示装置29a又は第2特別図柄表示装置30が増加点灯を行うと同時に、演出図柄表示装置54bの特別図柄保留記憶表示領域にいずれかの保留記憶と入球順が認識可能に表示される。
第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、窓部28aに配置された演出図柄表示装置54bにおいて各々の特別図柄の変動に連動した演出態様を表示する。また、第1特別図柄と第2特別図柄は、第1始動口と第2始動口への入球順に変動表示を実施する。
第1特別図柄及び第2特別図柄の変動表示後の態様(表示結果)に応じて後述する大入賞口ソレノイド33c(図2参照)を駆動させる。大入賞口ソレノイド33cを駆動させると、ほぼ同期して大入賞口ユニット33の扉部材が駆動して、大入賞口33aへの入球(カウントスイッチ33b(図2参照)での検出)が可能となるように構成されている。
尚、本実施形態におけるパチンコ機は確率変動機として構成されている。具体的には、本実施形態のパチンコ機による遊技は、大入賞口33aを閉鎖した遊技と大入賞口33aを開放する大当たり遊技とに大別され、大入賞口33aを閉鎖した遊技には、大きく分類して、通常確率状態(以下、通常状態)と、該通常状態に比べて遊技者にとって有利な状態(大当りとなる確率が甘く、大当りし易い)となる高確率状態(以下、確率変動状態)とが存在する。
第1特別図柄及び第2特別図柄は、確率変動図柄及び非確率変動図柄とからなり、確率変動状態は確率変動図柄での大当たり遊技終了後に移行可能に設定され、通常状態、確率変動状態のうち、いずれの遊技状態でも確率変動図柄で大当りすれば、該大当り遊技終了後、確率変動状態に移行する。同様に通常状態は、非確率変動図柄での大当たり遊技終了後に移行可能に設定され、通常状態、確率変動状態のうち、いずれの遊技状態でも非確率変動図柄で大当たりすれば、該大当たり遊技終了後、通常状態に移行する。
通常状態に移行後は、規定回数(例えば、100回)だけ第1特別図柄、第2特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、かつ第2始動口32である普通電動役物40の開放延長機能が作動する時短状態となる。第1特別図柄、第2特別図柄及び普通図柄の変動時間(変動開始から結果が表示されるまでの時間)が短縮されると、一定時間内に変動表示が行なわれる回数が増大される。
具体的には、本実施形態の時短状態では、第1特別図柄及び第2特別図柄の変動時間の短縮とともに、普通図柄表示装置41に表示される普通図柄の時間短縮も行われるが、この普通図柄の変動表示を短縮させることで、一定時間内で多数回普通図柄の確定表示を行う。従って、一定時間内での普通図柄が当りとなる回数が増大し、これにより第2始動口32である普通電動役物40の作動回数も増大する。また、普通電動役物40の開放時間が長くなるように設定されている(開放延長機能)ので、多数の遊技球が入賞し易くなる。このように多数の遊技球が入賞し易くなることにより、第2特別図柄の変動表示回数が更に増大されるとともに、普通電動役物40入賞による賞球により遊技者の持ち玉が減り難くなり、有利な遊技を行うことができる。
尚、確率変動状態では、時短状態と同様に、第1特別図柄、第2特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、第2始動口32である普通電動役物40の開放延長機能が作動する。各種図柄の短縮と普通電動役物40開放延長機能に関わる設定は時短状態と同一であるが、確率変動状態は時短状態に加えて第1特別図柄及び第2特別図柄の大当り確率が高くなり(大当りし易い状態)更に遊技者にとっては有利な状態といえる。また、本実施例では第1特別図柄が大当りとなった場合の大当り遊技における大入賞口33aの開放回数は10回。第2特別図柄が大当りとなった場合の大当り遊技における大入賞口33aの開放回数は12回となり、特別図柄の種類によって有利度が異なる構成となっている。
続いて、図2に本実施例におけるパチンコ機の電気配線を示すブロック図を示し説明する。図2には煩雑になる電源の供給系統に関する記載は行わないが、電源が必要な制御装置若しくはアクチュエータ類には、電源装置(図示せず)から直接的又は間接的に供給される構成となっている。尚、遊技盤8を装着するパチンコ機本体に関する部品は図示を省略している。
図2に示す通り、主制御装置50の入力端には、遊技盤中継端子板62を介して第1始動口31に入球した遊技球を検出する第1特別図柄始動スイッチ31aと第2始動口32である普通電動役物40に入球した遊技球を検出する第2特別図柄始動スイッチ32aと、普通図柄作動ゲート42に入球した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ42aと、大入賞口33aに入球した遊技球を検出するカウントスイッチ33bと、一般入賞口35aに入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ35bとが接続されており、裏配線中継端子板63を介して前面枠が閉鎖していることを検出する前面枠閉鎖スイッチ38と、意匠枠が閉鎖していることを検出する意匠枠閉鎖スイッチ39a、39bと、が接続されている。
主制御装置50の出力端には、遊技盤中継端子板62を介して大入賞口33aの扉部材を駆動する大入賞口ソレノイド33cと、普通電動役物40のチューリップ式役物の羽根部材を駆動する普通電役ソレノイド40bとが接続されており、図柄表示装置中継端子板64を介して第1特別図柄を表示する第1特別図柄表示装置29と、第1特別図柄の保留数を表示する第1特図保留数表示装置29aと、第2特別図柄を表示する第2特別図柄表示装置30と、第2特別図柄の保留数を表示する第2特図保留数表示装置30aと、普通図柄を表示する普通図柄表示装置41と、普通図柄の保留数を表示する普図保留数表示装置41aとが接続されており、裏配線中継端子板63及び外部接続端子板61を介してホールコンピュータ70と、が接続されている。
主制御装置50はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種コマンド等を生成し、払出制御装置51及びサブ統合制御装置53に出力する。ここで、主制御装置50と払出制御装置51とは双方向通信回路として構成され、主制御装置50とサブ統合制御装置53とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置50からサブ統合制御装置53への一方向通信回路として構成されている。
払出制御装置51の入力端には、裏配線中継端子板63を介して球タンク(図示せず)又はタンクレール(図示せず)内の遊技球が不足していることを検出する球切れスイッチ22a又は23aと、裏配線中継端子板63及び払出中継端子板66を介して払い出した遊技球を検出する払出スイッチ24bと、各種端子板を介することなく下皿への経路に遊技球が多数あることを検出する満杯スイッチ13aと、が接続されている。払出制御装置51の出力端には、裏配線中継端子板63及び払出中継端子板66を介して遊技球を上皿へと払い出す払出モータ24aが接続されている。
払出制御装置51はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号ならびに主制御装置50から入力されるコマンドに基づいて遊技球の払い出しに関わる各種コマンド等を生成し、主制御装置50及び発射制御装置52に出力する。
ここで、払出制御装置51と主制御装置50とは双方向通信回路として構成され、払出制御装置51と発射制御装置52とは払出制御装置51から発射制御装置52への一方向通信回路として構成されている。
また、払出制御装置51は、外部接続端子板61を介して賞球に関する情報などをホールコンピュータ70に送信するほか、発射制御装置52に対して発射停止信号を送信する。発射制御装置52は発射モータ36を制御して、遊技球を遊技領域26に遊技球を発射させる。なお、発射制御装置52には払出制御装置51以外に発射ハンドル18からの回動量信号、タッチスイッチ20aからのタッチ信号、発射停止スイッチ19aから発射停止スイッチ信号が入力される。回動量信号は、遊技者が発射ハンドル18を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル18を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ19aを押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置51に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル18を触っていても遊技球は発射出来ないようになっている。
サブ統合制御装置53の入力端には、遊技者により操作可能な遊技スイッチ14aが接続されている。サブ統合制御装置53の出力端には、図示しない意匠枠及び遊技盤8に備えられる各種LED・ランプ37と、前面枠及びスピーカユニットに備えられるスピーカ10と、が接続されている。
尚、サブ統合制御装置53と主制御装置50とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置50からサブ統合制御装置53への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置53と演出図柄制御装置54aとはサブ統合制御装置53から演出図柄制御装置54aへの一方向通信回路として構成されている。
サブ統合制御装置53はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される遊技スイッチ14aの入力ならびに主制御装置50から入力されるコマンドに基づいて演出に関わる各種コマンド等を生成し、演出図柄ユニット54の演出図柄制御装置54aに出力する。
また、サブ統合制御装置53には、音量を調節する音量調節スイッチ10aが備えられ、音量調節スイッチ10aの状態(位置)を検出し、その検出結果とスピーカ10へ送信する内容とを判断し、スピーカ10から出力する音量をソフト的に制御するように構成されている。
演出図柄制御装置54aは、サブ統合制御装置53から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置50から送信されてきたものとサブ統合制御装置53が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置54bを制御して、疑似図柄等の演出画像を窓部28aに表示させる。
次に図3を用いて、主制御装置50の主制御CPUの起動処理を説明する。図示しないセキュリティーチェックが終了した後、主制御CPUは先ず電源投入時処理を実行する。ここでは、RAM初期設定処理(S10)を行ってから、RAMクリア信号が入力されたか否か、すなわちRAM消去か否かを判定する(S11)。肯定判断ならば(S11:YES)、RAM消去を行い(S17)、サブ統合制御装置53へ初期画面指定コマンドを送信する(S18)。
S11が否定判定なら(S11:NO)、RAM保証値が1か否かを判定する(S12)。肯定判定なら(S12:YES)、SUM値作成処理を行い(S13)、SUM値が0か否かを判定する(S14)。肯定判定なら(S14:YES)、機種情報コマンド送信処理を行い(S15)、電源復帰処理を行う(S16)。S12、S14が否定判定なら(S12:NO、S14:NO)、S11の肯定判定時と同様にS17、S18の処理を行う。
機種情報コマンドによって識別可能となる機種情報とは、1つのモチーフに対して性能を異ならせた機種を数種類製作する時に、演出内容としては同じデータを使用するためサブ統合制御装置53、演出図柄表示装置54bは、機種毎に応じた演出内容の発生率が振り分けられた演出内容決定用抽選テーブルや、ある機種だけ用いる専用演出データなどを予め全て保有しておき、全ての機種に1つのサブ統合制御装置53、演出図柄表示装置54bで対応できるようにしておき、性能の値を司る主制御装置50だけを変更すれば良い構成とする。その際に主制御装置50は自己がどの機種に対応しているのかを報せるために出力されるのが機種情報であり、機種情報を受信することによりサブ統合制御装置53、演出図柄表示装置54bは機種情報に対応するデータの使用や所定の機種であることを条件として実施する処理を行い、主制御装置50との整合性を計ることができるようになる。
なお、電源復帰処理で復帰した場合は、初期画面指定コマンドは送信せず、待機画面を表示させる構成となる。本実施例ではS18またはS16の実行で電源投入時処理が終了し、残余処理が始まる。
続いて残余処理では、割り込みを禁止し(S19)、NMIフラグが0か否かを判定する(S20)。肯定判定なら(S20:YES)、初期値乱数更新処理1(S21)、初期値乱数更新処理2(S22)、初期値乱数更新処理3(S23)を実行して、割り込み禁止を解除する(S24)。なお、初期値乱数更新処理は、当りとなるか否かの判定に使用する乱数カウンタの周期性を排除するために、乱数カウンタの初期値を更新する処理である。この残余処理中にINT割り込みがあると、割り込み禁止が解除(S24)された後に割り込み(INT)処理にジャンプして本処理を行う。
S20が否定判定なら(S20:NO)バックアップ処理に移行してSUM値の作成処理を行い(S25)、RAM保証値に1をセットし(S26)、RAMライトプロテクト処理を実施して(S27)RAMの書き込みを禁止する。このようにバックアップ処理が行われた後に復電すれば、電源投入時処理が行われるが、ここではRAM保証値が1であるから(S12:YES)、上述のS13、S14が実行され、またSUM値が0ではないから(S14:YES)機種情報コマンド送信処理(S15)とともに電源復帰処理(S16)を行う。
電源投入時処理後に実行される残余処理中にINT割り込みがあると、割り込み禁止が解除(S24)された後に割り込み(INT)処理にジャンプして本処理を行うので、電源投入時処理の終了後に各種入賞口への入賞があった場合には、即座に払い出しはできないものの、入賞があったことを検出して主制御装置50が記憶することができる。その検出した入賞に関しては、払出制御装置51の賞球制御CPUの立ち上がりに要する時間を経過した後に、賞球コマンドが主制御装置50から払出制御装置51に送信されるので、賞球コマンドを払出制御装置51が取りこぼすことがない。よって、遊技者は、入賞したのに賞球が払い出されないという不利益を被らない。尚、メインルーチンとして行われる各処理は従来技術と何ら変わりないため説明は割愛する。
次に図4を用いて、主制御装置50が実行する特図始動口入賞処理を説明する。この処理は、遊技球が始動口入賞時に取得する各種乱数値を主制御装置50の保留記憶領域に格納する処理に加え、各始動口入賞時に更新された保留記憶数を示すコマンド(本願発明の第1保留記憶指示コマンド、第2保留記憶指示コマンドに該当)と保留記憶した順番を示すコマンド(本願発明の第3保留記憶指示コマンドに該当)を、サブ統合制御装置53に送信する処理を含み、これは、本願発明における、第3保留記憶指示コマンドは、第1始動口又は第2始動口への遊技球入球時に送信されるに該当する処理となる。
特図始動口入賞処理を開始すると、第1始動口31に遊技球が入球したか否か(第1特図始動スイッチ31aが遊技球を検出したか否か)判定する(S40)。肯定判定なら(S40:YES)、第1特別図柄の保留記憶数が上限値(=4個)未満か否か判定し(S41)、肯定判定なら(S41:YES)、遊技球が第1始動口31に入球した際に抽出した複数の乱数値(大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数)を、特別図柄保留記憶用の記憶領域(第1、第2保留記憶共用)に格納し(S42)、第1特図保留数表示装置29aに現在の保留記憶数を点灯させると共に、サブ統合制御装置53に現在の第1保留記憶数を示す第1保留記憶指示コマンドを送信する(S43)。S43の処理に続いては、後述する保留位置記憶領域を参照して第3保留記憶指示コマンドを生成し(S44)、サブ統合制御装置53に現在の第1保留記憶と第2保留記憶の記憶順を示す第3保留記憶指示コマンドを送信する(S45)。
S45の処理の後、又はS40、S41が否定判定なら(S40:NO、S41:NO)第2始動口32に遊技球が入球したか否か(第2特図始動スイッチ32aが遊技球を検出したか否か)判定する(S46)。肯定判定なら(S46:YES)、第2特別図柄の保留記憶数が上限値(=4個)未満か否か判定し(S47)、肯定判定なら(S47:YES)、遊技球が第2始動口32に入球した際に抽出した複数の乱数値(大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数)を、特別図柄保留記憶用の記憶領域(第1、第2保留記憶共用)に格納し(S48)、保留位置記憶領域の更新処理を行う(S49)。
保留位置記憶領域は、第1保留記憶と第2保留記憶の保留記憶された順番を記憶する領域であり、図6に示すように8ビットで構成され、枠内の数字は記憶した順番を示し、数字が大きくなるほど新しく記憶されたものとなる。初期値は8個のビット全て0がセットされており、第2保留記憶の格納処理(図4、S48)が実施されると、該格納処理後の第1保留記憶の数と第2保留記憶の数を加算した値に対応した保留位置記憶領域の位置に1をセットする処理が行われる(図4、S49保留位置記憶領域更新処理)。
例えば、第2保留記憶の格納時に第2保留記憶の記憶数が2個になり、その時点での第1保留記憶の記憶数が3個ならば更新処理を行う位置は2+3=5となり、図に示す(5)のビット位置に1をセットする。また、後述する第1又は第2保留記憶の当否判定処理(抽選処理)が行われると、記憶位置も1ビットづつ前にシフトする処理が行われる。
従って、保留位置記憶領域でフラグの立っている位置(1がセットされている位置)が、現在保留記憶されている第1、第2保留記憶を合わせた保留記憶の中で第2保留記憶が記憶された順番、言い換えれば第2保留記憶の抽選が行われる順番を示すことになる。
また、保留位置記憶領域は8ビットで構成されていることにより第1保留記憶と第2保留記憶が共に上限値まで保留記憶を実施している場合でも、それぞれの保留記憶の位置を1ビット毎に対応して記憶することが可能となっている。尚、第1保留記憶の数と第2保留記憶の数をそれぞれ把握していれば、7個の連続した記憶位置がわかれば最大8個の保留記憶の順番を判断することは可能なため、保留位置記憶領域を7ビットとする構成も考えられる。一般的に主制御装置からサブ統合制御装置へ送信されるコマンドは、上位バイト(MODE)、下位バイト(EVENT)の各1バイト(8ビット)構成で送られ、各々の1ビットは上位バイトであるか、下位バイトであるかを示すための領域として使用されている。そのため、この構成の場合は最大でも7ビットしか用いることしかできないが、最後の位置(保留8個目)については7個目までにどちらの保留個数が4個まで入っているか(つまり上限数)で自ずとわかることから問題ない。本構成は説明を行いやすいように8ビットを全て保留位置を指定する構成で説明を行う。また、それぞれの保留記憶数の上限値を4とせず、第1保留記憶の数と第2保留記憶の数を加算した値を上限値(8個)とする構成も考えられる。
図4のフローチャートに戻り、S49の処理の後、第2特図保留数表示装置30aに現在の保留記憶数を点灯させると共に、サブ統合制御装置53に現在の第2保留記憶数を示す第2保留記憶指示コマンドを送信し(S50)、保留位置記憶領域を参照して第3保留記憶指示コマンドを生成し(S51)、サブ統合制御装置53に現在の第1保留記憶と第2保留記憶の記憶順を示す第3保留記憶指示コマンドを送信する(S52)。S52の処理の後、又はS46、S47が否定判定なら(S46:NO、S47:NO)
リターンに抜ける。
以上が主制御装置50が実行する特図始動口入賞処理となる。主制御装置50に格納されている第1、第2保留記憶の数は、それぞれ図1と図2で示した第1特図保留数表示装置29a、第2特図保留数表示装置30aと、後述する演出図柄表示装置54bに表示され、遊技者がその数を常時認識可能となっている(演出図柄表示装置54bでは、保留記憶した順番即ち抽選が実施される順番も認識可能に表示される。)。第1又は第2保留記憶が無い状態で第1始動口31又は第2始動口32に遊技球が入球した場合、取得した乱数を一時的に保留記憶として主制御装置50に格納するが、後述する特図当否判定処理の実行に移るため、第1特図保留数表示装置29a、第2特図保留数表示装置30a、及び演出図柄表示装置54bにその数を表示することはない。
次に第1、第2、第3保留記憶指示コマンドの具体的な内容と、S44、S51で示した第3保留記憶指示コマンド生成処理について説明する。図5に示す図表は第1保留記憶指示コマンドと第2保留記憶指示コマンドの具体的な内容を示す図表である。
第1保留記憶指示コマンドは、上位バイトをコマンドの種類を示す1種類の動作番号A1(H)とし、下位バイトを保留記憶数を示す4種類の識別番号とし、これにより4種類の2バイトコマンドを構成している。詳しくは、保留記憶数が1個のときの第1保留記憶指示コマンドはA101(H)、保留記憶数が2個のときは、A102(H)、保留記憶数が3個のときは、A103(H)、保留記憶数が4個のときは、A104(H)となる。
第2保留記憶指示コマンドは、上位バイトをコマンドの種類を示す1種類の動作番号A2(H)とし、下位バイトを保留記憶数を示す4種類の識別番号とし、これにより4種類の2バイトコマンドを構成している。詳しくは、保留記憶数が1個のときの第2保留記憶指示コマンドはA201(H)、保留記憶数が2個のときは、A202(H)、保留記憶数が3個のときは、A203(H)、保留記憶数が4個のときは、A204(H)となる。
次にS44、S51で示した第3保留記憶指示コマンド生成処理を図7を用いて説明する。第3保留記憶指示コマンドも上位バイトはコマンドの種類を示す1種類の動作番号A3(H)とし、下位バイトは、保留位置記憶領域の8ビットが示す2進数を16進数に変換した値を保留記憶の順番を示す識別番号とする。これにより163種類の2バイトコマンド構成している。この構成は本願発明における、第3保留記憶指示であることを示す上位バイトと、前記第2保留記憶の記憶された順番が設定される下位バイトにより構成された2バイトコマンドとしたことに該当する。
第2保留記憶の記憶順(記憶位置)と第3保留記憶指示コマンドの内容の関係は、例えば、第2保留記憶が1、3、5、7の順番で古い順に記憶されている場合(2、4、6は第1保留記憶が存在し、8の有無については第1保留記憶指示コマンドの値で判断できる)、保留位置記憶領域が示す2進数は10101010(b)で、16進数に変換すると55(H)となる。従って、この場合の第3保留記憶指示コマンドは、A355(H)となる(図7の例3)。
このように最大8個の保留記憶の位置を示す第3保留記憶指示コマンドも、既存のコマンド形態とすることが可能となる。最大8個の保留記憶を8ビットを用いて記憶しているため、コマンド数は163個(8ビット中第2保留記憶が設定されるのは最大4ビット分)となるが、7ビットにすることによってコマンド数を減少させる構成も考えられる(最も新しい保留記憶は第1、第2保留記憶指示コマンドが示す数によってサブ統合制御装置53が判断する)。
次に図8を用いて主制御装置50が実行する特図当否判定処理を説明する。この処理は、保留記憶された乱数値の抽選を実施し、該抽選の結果に応じて特別図柄の変動表示内容を選択する処理に加え、該選択内容を示す変動開始コマンドと、機種情報コマンドと、抽選に用いた保留記憶に対応する第1又は第2保留記憶指示コマンドと、第3保留記憶指示コマンドをサブ統合制御装置53に送信する処理を含む。この処理は、本願発明における、第3保留記憶指示コマンドは、第1始動口又は第2始動口への遊技球の入球に基づく図柄の変動開始時に送信される、に該当する。
図8に示す特図当否判定処理では、主制御装置50はまず条件装置が未作動中か否か大当りフラグに基づいて判断する(S40)。この大当りフラグとは、特別図柄の抽選で当選した場合(取得した大当り判定用乱数の値が予め定められた所定の値と一致していた場合)に立つフラグである。条件装置が未作動中ならば(S40:YES)、特別図柄が変動停止中であるか(S41)、確定図柄の未表示中であるか(S42)の判定が行われる。S41の判断及びS42の判断は、第1特別図柄、第2特別図柄の両方について判断される。つまり、第1特別図柄、第2特別図柄のいずれかでも変動中あるいは確定表示であれば、このS41の判定、S42の判定では否定判定が行われる。これは、本実施例の構成が片方の特別図柄が変動中であった場合にはもう一方の特別図柄は変動しないようにしているためである。
S41、S42の両方が肯定判定なら(S41:YES、S42:YES)、第1、第2共用の保留記憶の記憶領域に保留記憶が存在するか否か(記憶されているか否か)の判定を行う(S43)、S43が肯定判定なら、第1保留記憶か第2保留記憶かに拘らず、最も古い保留記憶を読出し、読出し後に保留記憶が残っている場合は記憶領域のシフト処理を行う(S44)。続いて確変フラグが0か否か(現在の遊技状態が通常遊技態か否か)判定し(S45)、肯定判定(通常遊技状態)なら(S45:YES)、読出した大当り判定用乱数の値を通常確率判定用テーブルで抽選し(S46)、否定判定(高確率遊技状態)なら(S45:NO)、高確率判定用テーブルで抽選を行う(S47)。
S46又はS47の判定処理で予め定められた当り値(大当り判定用の当り値)と一致していた場合には(S48:YES)、読み出した大当り図柄決定用乱数の値に基づいて大当り図柄を決定し(S49)、読み出した変動パターン決定用乱数の値及び現在の遊技状態(高確率遊技状態、時間短縮状態、通常状態)によって変動パターン(変動時間)を決定する(S50)。
S48が否定判定なら(S48:NO)、小当り判定用の当り値と一致していたか否かを判断し(S51)、一致していた場合には(S51:YES)、読出した小当り図柄決定用乱数の値に基づいて小当り図柄を決定し(S52)、読出した小当り図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数の値及び現在の遊技状態(高確率遊技状態、時間短縮状態、通常状態)によって変動パターン(変動時間)を決定する(S53)。S51が否定判定なら(S51:NO)、ハズレ図柄を決定し(S54)、読出したリーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数の値及び現在の遊技状態(高確率遊技状態、時間短縮状態、通常状態)によって変動パターン(変動時間)を決定する(S55)。なお、小当りとなる確率は、遊技状態に拘らず一定である。
このように本実施例では、第1特別図柄、第2特別図柄の両方の特別図柄の保留記憶が行われていた場合には、第1、第2に拘らず記憶してから最も時間が経過している保留記憶から抽選を行う構成となっている。
S50、S53、S55の処理に続いては、上述の抽選結果を示すデータ(大当り遊技の種類、小当りの有り無し、ハズレの種類(リーチの有り無し)、変動時間など)を含んだ変動開始コマンドをサブ統合制御装置53に出力するとともに、抽選した方の特別図柄(第1又は第2)の変動表示を、特別図柄に対応する特別図柄表示装置(第1特別図柄表示装置29又は第2特別図柄表示装置30)で行う(S56)。
S56に続いては、図3のS15と同じ機種情報コマンドをサブ統合制御装置53に送信し(S57)、抽選した特別図柄の保留記憶数(入賞時の保留記憶数から−1したもの)を示す第1又は第2保留記憶指示コマンドをサブ統合制御装置53に送信し(S58)、抽選処理後の第1及び第2保留記憶の記憶順を示す第3保留記憶指示コマンドを生成しサブ統合制御装置53に送信する(S59)。従って、S58、S59の送信により、サブ統合制御装置53は、特別図柄の新たな変動表示を開始する毎に、第1又は第2保留記憶数と第1、第2保留記憶の記憶順を把握可能となる。
また、変動開始コマンドを受信したサブ統合制御装置53は特別図柄(第1、第2)の確定図柄(当り図柄、ハズレ図柄)、変動時間に応じて擬似図柄の種類、変動演出の種類を決定し、該決定結果を演出図柄制御装置54aに送信し、演出図柄制御装置54aはサブ統合制御装置53の決定に従って演出図柄表示装置54bにて擬似図柄の変動表示を行わせる。なお、サブ統合制御装置53による擬似図柄の決定は、特別図柄(第1、第2)が大当りを示す図柄であった場合には、大当り図柄(特別図柄)に対応した擬似図柄(大当り図柄)を選択するようになっており、ハズレを示す図柄であった場合には、ランダムに擬似図柄を選択する構成になっている(なお、ランダムと言っても、リーチになる変動であった場合には同じ種類の擬似図柄を2個選択するようになっているほか、同じ種類の擬似図柄を3個選択しないように制御されている)。本実施例ではサブ統合制御装置53が擬似図柄及び変動演出を決定する構成になっているが同じサブ制御装置である演出図柄制御装置54aにて擬似図柄及び変動演出を決定する構成にしてもよい。
図8に戻り、S59の処理の後、又はS40、S43が否定判定なら(S40:NO、S43:NO)、公知の特別遊技処理に移行する。特別遊技処理については、説明を割愛する。S41が否定判定なら(S41:NO)、つまり、第1特別図柄又は第2特別図柄が変動中であった場合には、図9に示すように図柄変動時間(S50又はS53又はS55の変動パターンに基づく)を経過したか否かを判定する(S61)。肯定判定であれば(S61:YES)、図柄停止コマンドをサブ統合制御装置53に出力し、特別図柄表示装置(第1又は第2)を制御してS49又はS52又はS54にて決定した確定図柄を確定表示させる(S62)。図柄停止コマンドを受信したサブ統合制御装置53は演出図柄制御装置54aに予め決めておいた擬似図柄にて確定表示させる命令を出力し、演出図柄制御装置54aは、その信号により演出図柄表示装置54bを制御して擬似図柄を確定表示させる。これにより、特別図柄(第1又は第2)と擬似図柄の変動の開始と終了が同じタイミングになる(同期する)。
S62の処理後は、確定表示させた特別図柄(第1又は第2)が大当りを示すものであるか否かを判断し(S63)、大当りを示すものであった場合には(S63:YES)、確定図柄の表示設定処理(確定図柄で表示させておく時間の設定)を行い(S64)、条件装置の作動を開始させる(大当りフラグを立てる)(S65)。
S65の処理後は確変フラグが立っているか否か(現在が高確率遊技状態であるか否か)を判定し(S66)、確変フラグが立っていたなら(S66:YES)、確変フラグと時短フラグ(時間短縮状態にする(しておく)ためのフラグ)を落す(S67)。S66が否定判定なら(S66:NO)、時短フラグが立っているか否かを判定し(S68)肯定判定なら(S68:YES)、時短フラグに0をセットする(S69)。S67の処理、S68の否定判定(S68:NO)、S69の処理後は特別遊技処理に移行する。
一方、S63が否定判定なら(S63:NO)、つまり確定表示させた特別図柄(第1又は第2)が大当りを示すものでなかった場合には、確定図柄の表示設定処理(確定図柄で表示させておく時間の設定)を行い(S70)、時短フラグのみ立っているか否かを判定し(S71)、肯定判定なら(S71:YES)、記憶されている時短回数から−1を行い(S72)、−1を行った値が0か否かを判定し(S73)、0であった場合には(S73:YES)、時短フラグに0をセットする(S74)(時短フラグを終了させると開放延長機能も終了する)。なお、S71の時短フラグのみ立っているか否かの判定は、確変フラグと時短フラグが立っていれば否定判定になり時短フラグのみ立っていた場合には肯定判定になる判定処理である。S74の処理後、又はS71又はS73が否定判定なら(S71:NO、S73:NO)、確定表示された特別図柄が小当り図柄を示すものか否かを判定し(S75)、肯定判定なら(S75:YES)、小当り遊技作動役物の作動開始処理を行ない(S76)、S76の処理後、又はS75が否定判定なら(S75:NO)、特別遊技処理に移行する。
図8のS42が否定判定なら(S42:NO)、つまり、第1特別図柄又は第2特別図柄が確定表示中であった場合には、図10に示すようにS64又はS70で設定された確定表示時間が終了したか否かを判断し(S80)、肯定判定なら(S80:YES)、確定図柄表示終了処理(S81)により特別図柄表示装置(第1又は第2)を制御して特別図柄の確定表示を終了させ、また、音サブ統合制御装置53経由で演出図柄制御装置54aに指示して、疑似図柄の確定表示を終了させる。S81の処理後、又はS80が否定判定なら(S80:NO)特別遊技処理に移行する。
次にサブ統合制御装置53が実行する保留記憶コマンド受信処理を図11を用いて説明する。この処理は、主制御装置50から受信した保留記憶に関するコマンド(第1保留記憶指示コマンド、第2保留記憶指示コマンド、第3保留記憶指示コマンド)を基に、演出図柄制御装置54aを介して演出図柄表示装置54bに、保留記憶の種類と記憶順(抽選待機順)を示す保留図柄を表示させる指示を行う処理である。
保留記憶コマンド受信処理を開始すると、第1保留記憶指示コマンドを受信したか否か判定する(S90)。肯定判定なら(S90:YES)、第1保留記憶の数を記憶する第1保留個数設定処理を行い(S91)、第1保留記憶指示コマンドとほぼ同時に受信する第3第保留記憶指示コマンドを参照し、表示位置の設定処理を行う(S92)。この表示位置設定処理は、主制御装置50が保留位置記憶領域を参照してコマンドを生成した処理の逆の処理となる(8ビットの2進数に変換しフラグ位置(第2保留記憶の位置)を設定)。次に、上記で設定した内容を基に、第1保留記憶の数が更新されたことを示す保留図柄の表示を行うことを指示する信号を演出図柄制御装置54aに送信する(S93)。
S93の処理後、又はS90が否定判定なら(S90:NO)、第2保留記憶指示コマンドを受信したか否か判定する(S94)。肯定判定なら(S94:YES)、第2保留記憶の数を記憶する第2保留個数設定処理を行い(S95)、第2保留記憶指示コマンドとほぼ同時に受信する第3第保留記憶指示コマンドを参照し、表示位置の設定処理を行い(S96)、設定した内容を基に、第2保留記憶の数が更新されたことを示す保留図柄の表示を行うことを指示する信号を演出図柄制御装置54aに送信する(S97)。
以上がサブ統合制御装置53が実行する保留記憶コマンド受信処理だが、ここまでの主制御装置50とサブ統合制御装置53の処理によって演出図柄表示装置54bにどのような形態で第1保留記憶と第2保留記憶の数が表示されるかの表示例を図13を用いて説明する。
図13の左上に示した図は演出図柄表示装置54b全体の略図であり、下部の破線で示した部分が第1保留記憶の数と第2保留記憶の数と保留記憶した順番を表示する特別図柄保留記憶表示領域となる。破線内の保留図柄○は1個の第1保留記憶を示し、保留図柄●は1個の第2保留記憶を示している。また、左端から順に増加表示を行うため、左に表示されているほど、記憶してからの時間が長く経過している。左端の保留記憶の変動表示を開始すると、同時に左端の保留図柄が消え、残りの保留図柄の表示がある場合は、全体が1つ左に移動して表示する。
表示例では、○が3個、●が3個表示されているため第1保留記憶を3個、第2保留記憶を3個記憶した状態にあることを示し、加えて左端からの並び順が記憶した順番を示すため、それらは第1、第2、第2、第1、第1、第2の順に記憶されたものとなる。
一番新しい保留図柄Aは第2保留記憶を示すものであるが、この保留図柄を表示するにあたってサブ統合制御装置53が主制御装置50から受信した第2保留記憶指示コマンドの内容と、第3保留記憶指示コマンドの内容を、一例として説明する。
第2保留記憶指示コマンドは、その時点で主制御装置50が記憶する第2保留記憶の数が3個となるため動作番号は第2保留記憶指示コマンドを示すA2(H)で、保留記憶数を示す識別番号は03(H)となる(A203(H))。
第3保留記憶指示コマンドは、第2保留記憶の記憶となる保留位置記憶領域のフラグ位置を示す内容が識別番号となる。保留図柄Aに対応する第2保留記憶を記憶した時点では、第2保留記憶は、記憶した古い順に2個目、3個目、6個目に記憶されており、保留位置記憶領域となる1から8の各ビットには記憶が古い順に0、1、1、0、0、1、0、0がセットされている。従って、これを16進に変換した26(H)が、その時点で受信した第3保留記憶指示コマンドの識別番号となる。
次に主制御装置50が第1保留記憶指示コマンド、第2保留記憶指示コマンド、第3保留記憶指示コマンドをサブ統合制御装置53に送信するタイミングを、図12を用いて説明する。
保留記憶の無い状態で、第1、第2のいずれかの始動口に遊技球が入球すると(図の左端上部の作動契機成立)、記憶数1個を示す第1又は第2保留記憶指示コマンドと第3保留記憶指示コマンドが送信される。このときの第3保留記憶指示コマンドの内容は、第1始動口への入球ならば、A300(H)、第2始動口への入球ならばA301(H)となる。保留記憶が無い状態なため始動口入賞に対応した特別図柄の変動処理が開始され、入賞時に送信した第1又は第2保留記憶指示コマンドが示した保留記憶個数から−1した値の第1又は第2保留記憶指示コマンドが送信される。同時に送信する第3保留記憶指示コマンドは、第1、第2どちらの場合でもA300(H)となる。
特別図柄の変動表示中に始動口に遊技球が入球すると、入球した始動口に応じて第1又は第2保留記憶指示コマンドと第3保留記憶指示コマンドが送信され、変動表示開始時に、変動表示を開始する特別図柄に対応した保留記憶数(変動開始によってー1されたもの)と、変動開始によってシフト処理された後の保留位置記憶領域を示す第3保留記憶指示コマンドが送信される。
従って、何らかの不測の事態によってサブ統合制御装置53のみがリセットされ、それまでの遊技状況に応じて記憶していた第1保留記憶の数と、第2保留記憶の数と、第2保留記憶の記憶順を基にした第1、第2保留記憶に対応した保留図柄の並び順との記憶が消去した場合、リセットされた時点では、表示内容を全く把握できていないため、図15の上に示す表示例のように擬似図柄と保留図柄についてはエラー表示となることが一般的である。主制御装置50に保留記憶があれば、変動開始時に保留記憶の数を示すコマンドが送信されるが、従来の機種であれば送信される内容はその時点の記憶個数までに留まり、サブ統合制御装置53は保留記憶数は把握できても入賞順がわからないため、図15の下の示す図のような表示を行わざるを得ない状態となり、正常な状態に戻すには、遊技機自体の電源を再投入しなければならない。
しかしながら本願発明に於いては、主制御装置50からサブ統合制御装置53に保留記憶に係るコマンドを送信する際には、保留記憶された順番を把握可能とする第3保留記憶指示コマンドがセットで送信されるため、サブ統合制御装置53は、保留記憶数と同時にそれぞれの保留記憶に対応した保留図柄の表示位置の把握が可能となり、遊技機自体の電源を再投入する必要なく迅速に正常な遊技を再開することが可能となっている。
次に図11に示して説明した保留記憶コマンド受信処理の変形例となる保留記憶コマンド受信処理2を図14を用いて説明する。この処理は保留記憶コマンド受信処理と同様に、主制御装置50から受信した保留記憶に関するコマンドを基に、演出図柄制御装置54aを介して演出図柄表示装置54bに、保留記憶の種類と記憶順(抽選待機順)を示す保留図柄を表示させる指示を行う処理であるが、通常時の第1、第2保留記憶の記憶順はサブ統合制御装置53自身が判断し、リセット等により記憶順の記憶が消去された場合のみ第3保留記憶指示コマンドの内容を参照する構成となる。
保留記憶コマンド受信処理2を開始すると、第1保留記憶指示コマンドを受信したか否か判定する(S101)。肯定判定なら(S101:YES)、第1保留記憶の数を記憶する第1保留個数設定処理を行い(S102)、表示位置設定記憶があるか否か判定する(S103)。この表示位置設定は、主制御装置50から受信した第1又は第2保留記憶指示コマンドの違いに応じてサブ統合制御装置53自身が設定処理を行い記憶するものである。
S103が否定判定なら(S103:NO)、第1保留記憶指示コマンドとほぼ同時に受信している第3保留記憶指示コマンドを参照し(S104)、表示位置を記憶する処理を行う(S105)。S103の肯定判定(S103:YES)、又はS105の処理に続いては、表示位置設定処理を行い(S106)、S102とS106の設定内容を基にして演出図柄制御装置54aに保留図柄の表示指示信号を送信する。
S107の処理、又はS101が否定判定なら(S101:NO)、第2保留記憶指示コマンドを受信したか否か判定する(S108)。肯定判定なら(S108:YES)、第2保留記憶の数を記憶する第2保留個数設定処理を行い(S109)、表示位置設定記憶があるか否か判定する(S110)。S110が否定判定なら(S110:NO)、第2保留記憶指示コマンドとほぼ同時に受信している第3保留記憶指示コマンドを参照し(S111)、表示位置を記憶する処理を行う(S112)。S110の肯定判定(S110:YES)、又はS112の処理に続いては、表示位置設定処理を行い(S113)、S109とS113の設定内容を基にして演出図柄制御装置54aに保留図柄の表示指示信号を送信する。
以上が保留記憶コマンド受信処理2となるが、S103(S110)が否定判定ということは、サブ統合制御装置53に何らかの不測の事態が発生し、遊技の進行に合わせて記憶されていた内容がリセットされた状況が想定される。S103(S110)の否定判定からS104、S105(S111、S112)にかけての処理は、そういった場合のみ、第1(又は第2)保留記憶指示コマンドとほぼ同時に主制御装置50から受信する第3保留記憶指示コマンドを基に、保留図柄の表示位置を設定し、遊技機自体の電源を落とすことなく正常な保留図柄表示を行うことを可能としている。
以上が実施例1の説明となる。上記構成とすることにより、ノイズ等の不測の事態によりサブ統合制御装置53がリセットされるようなことが起こっても、第1始動口31又は第2始動口32入賞時、及び第1(第2)特別図柄変動開始時に、第3保留記憶指示コマンドとして各始動口の入賞順が受信できるため、遊技機自体の電源を落とさなくても次の第1又は第2始動口への入賞時か第1又は第2特別図柄の変動開始時には正常な保留図柄の表示に復帰することが可能となっている。
次に実施例3について説明する。本実施例に於いて遊技機を構成する部品とその電気的接続は実施例1と共通となる。従って、重複する部分の説明は割愛する。
本実施例は、保留記憶の数を示す第1保留記憶指示コマンド又は第2保留記憶指示コマンドに、第2保留記憶の記憶順を示す第3保留記憶指示コマンドを合成し、1つの保留記憶指示コマンドで、第1又は第2いずれかの保留記憶数と、第2保留記憶の記憶順と、の二つの情報が識別可能な構成である。また、それによりコマンドの送(受)信回数を抑えた構成となる。
第3保留記憶指示コマンドの内容となる、第2保留記憶の記憶順の情報を合成した、第1保留記憶指示コマンドと第2保留記憶指示コマンドの具体的な構成を、図16を用いて説明する。
上図は、第2保留記憶の記憶順の情報を含む第1保留記憶指示コマンドの構成を示す表である。本実施例における第1保留記憶指示コマンドも上位バイトと下位バイトの2バイトで構成された既存のコマンド形態であり、上位バイトでは、保留記憶の種類(C)と、保留記憶数(1、2、3、4)を識別可能としている。
詳しくは、第1保留記憶の数が1個の場合の動作番号はC1(H)、第1保留記憶の数が2個の場合の動作番号はC2(H)、第1保留記憶の数が3個の場合の動作番号はC3(H)、第1保留記憶の数が4個の場合の動作番号はC4(H)となり、下位バイトとなる識別番号は、それぞれの動作番号に対して実施例1で説明した第3保留記憶指示コマンドの識別番号と同じ内容が組み合わされる。従って、1つの動作番号に対して識別番号を組み合わせたコマンド数は163個となり、第1保留記憶指示コマンドは、全体を652個のコマンド数で構成する。
次に下図は、第2保留記憶の記憶順の情報を含む第2保留記憶指示コマンドの構成を示す表である。本実施例における第2保留記憶指示コマンドも上位バイトと下位バイトの2バイトで構成された既存のコマンド形態であり、上位バイトでは、保留記憶の種類(D)と、保留記憶数(1、2、3、4)を識別可能としている。
詳しくは、第2保留記憶の数が1個の場合の動作番号はD1(H)、第2保留記憶の数が2個の場合の動作番号はD2(H)、第2保留記憶の数が3個の場合の動作番号はD3(H)、第2保留記憶の数が4個の場合の動作番号はD4(H)となり、下位バイトとなる識別番号は、動作番号で示した保留記憶数で実施可能な記憶順を示す内容となっている。
具体的には、動作番号がD1(H)で第2保留記憶の数が1個の場合、識別番号は01(H)から80(H)までの8個の値をとり、動作番号がD2(H)で第2保留記憶の数が2個の場合、識別番号は03(H)からC0(H)までの28個の値をとり、動作番号がD3(H)で第2保留記憶の数が3個の場合、識別番号は07(H)からE0(H)までの56個の値をとり、動作番号がD4(H)で第2保留記憶の数が4個の場合、識別番号は0F(H)からF0(H)までの70個の値をとる。
従って、動作番号毎に組み合わされる識別番号の個数は異なるものとなり、各々の動作番号に対する識別番号の個数を加算した値は、163個になる。これは本実施例における第2保留記憶指示コマンドの全体の個数と、実施例1で説明した第3保留記憶指示コマンドの全体の個数が同数になることを示している。
以上が、本実施例における保留記憶の数と第2保留記憶の記憶順を合成した1つのコマンドの説明となる。このようなコマンド構成は、主制御装置50が記憶する複数種類の保留記憶の1つの種類と該1つの種類に対応する保留記憶の記憶数を示す上位バイトと、該1つの種類の保留記憶が記憶された順番に応じて複数種類に設定される下位バイトにより構成された2バイトコマンドとなる。
次に、合成したコマンドの主制御装置50からサブ統合制御装置53への送信タイミングについて説明する。本実施例における、第1保留記憶指示(合成)コマンドと、第2保留記憶指示(合成)コマンドの主制御装置50からの送信タイミングは、実施例1と同様に第1始動口31又は第2始動口32入賞時(詳しくは第1始動口31又は第2始動口32への遊技球の入球によって取得した乱数値を主制御装置50の記憶領域に格納した時)と、第1特別図柄または第2特別図柄の変動開始時となるが、二つのコマンドを合成して一つのコマンドとしたため、それぞれの処理で2回必要としていたコマンド送信タイミングが1回で行える構成としている。
図17に示した特図始動口入賞処理2は、実施例1で図4を用いて説明した特図始動口入賞処理と基本構成を同じとするが、破線で囲んだ処理部がコマンドを合成したことにより異なる箇所となる。従って、異なる破線部のみ説明し他は援用とする。
第1始動口31への遊技球入球に応じて、抽出乱数保留記憶処理を行うと(S122)、8ビットで構成された保留位置記憶領域を参照し、第1保留記憶数と参照した第2保留記憶の記憶順を基に、前述した第1保留記憶指示(合成)コマンドを生成し(S123)、生成した第1保留記憶指示(合成)コマンドをサブ統合制御装置53に送信する(124)。
第2始動口32に係る処理では、第2始動口32への遊技球入球に応じて、抽出乱数保留記憶処理を行うと(S127)、8ビットで構成された保留位置記憶領域を参照し、第2保留記憶数と参照した第2保留記憶の記憶順を基に、前述した第2保留記憶指示(合成)コマンドを生成し(S128)、生成した第2保留記憶指示(合成)コマンドをサブ統合制御装置53に送信する(129)。
以上が本実施例における特図始動口入賞処理2であるが、実施例1で説明した図4のS43、S45(S50、S52)の2回のコマンド送信処理が、本実施例ではS124(S129)の1回のコマンド送信で事足りる構成となっている。
次にもう1つのコマンド送信タイミングを含む特図当否判定処理2について図18を用いて説明する。特図当否判定処理2は、実施例1で図8を用いて説明した特図当否判定処理と基本構成を同じとするが、破線で囲んだ処理部がコマンドを合成したことにより異なる箇所となる。従って、異なる破線部のみ説明し他は援用とする。
S150、S153、S155のいずれかで変動パターン決定処理が行われ、変動開始コマンドの送信と(S156)、機種情報コマンドの送信が行われると(S157)、8ビットで構成された保留位置記憶領域を参照し、当否判定(抽選)を実施したことにより−1された第1又は第2保留記憶数と、参照した第2保留記憶の記憶順を基に、前述した第1(2)保留記憶指示(合成)コマンドを生成し(S158)、生成した第1(2)保留記憶指示(合成)コマンドをサブ統合制御装置53に送信する(159)。
以上が本実施例における特図当否判定処理2であるが、実施例1で説明した図8のS58、S59の2回のコマンド送信処理が、本実施例ではS159の1回のコマンド送信で事足りる構成となっている。
以上が実施例3の説明となる。本実施例では、実施例1で行った保留記憶に係る2回のコマンド送信が1回で済む。これは、コマンド送(受)信回数が減ることにより、コマンド送信にようする時間を短縮し、処理の重畳によって主制御装置50、サブ統合制御装置53が暴走する可能性を低下させる効果を発揮する。