JP2010272413A - 電池システムおよび電池の充電制御方法 - Google Patents

電池システムおよび電池の充電制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】充電時に、電池の温度が上昇し過ぎるのを防ぐ。
【解決手段】電池システムは、導電性材料と高分子材料とで構成される樹脂層であって、電池の上限電圧に応じた所定電圧以上で酸化反応に伴う酸化電流が流れる樹脂層を含む集電体を有する電池10と、少なくとも電池10の充電時に、酸化電流を検出する電流検出部1と、電流検出部1で検出された酸化電流が所定の電流値以上になると、電池10の充電を停止させる充電停止部3とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、電池の充電制御技術に関する。
従来、温度上昇と共に抵抗値が増加する正温度係数抵抗体の機能を有する結晶性熱可塑性樹脂と導電性フィラーで構成される導電層で集電体を被覆し、電池の温度が所定温度を超えると、集電体部の抵抗が増大して、充電電流を遮断する二次電池が知られている(特許文献1参照)。
特開2001−357854号公報
しかしながら、従来の技術では、集電体部の抵抗の増大に伴う発熱により、結晶性熱可塑性樹脂と導電性フィラーで形成される構造が壊れるため、電池性能が低下するという問題があった。
本発明は、電池性能を劣化させることなく、充電時に電池の温度が上昇し過ぎるのを防ぐ技術を提供することを目的とする。
本発明による電池システムは、導電性材料と高分子材料とで構成される樹脂層であって、電池の上限電圧に応じた所定電圧以上で酸化反応に伴う酸化電流が流れる樹脂層を含む集電体を有する電池と、少なくとも電池の充電時に、酸化電流を検出する電流検出部と、電流検出部で検出された酸化電流が所定の電流値以上になると、電池の充電を停止させる充電停止部と、を備えることを特徴とする。
本発明による電池の充電制御方法は、導電性材料と高分子材料とで構成され、電池の上限電圧近傍で酸化反応に伴う酸化電流が流れる樹脂層を含む集電体を有する電池の充電制御方法であって、少なくとも電池の充電時に酸化電流を検出し、検出した酸化電流が所定の電流値以上になると、電池の充電を停止させることを特徴とする。
本発明によれば、充電時に電池の過度な温度上昇を防いで、電池の劣化を防ぐことができる。
一実施の形態における電池システムの全体構成を示す図である。 双極型リチウムイオン二次電池の全体構造を模式的に表した断面概略図である。 集電体を模式的に表した断面概略図である。 双極型電池の代表的な実施形態である積層型の扁平な双極型のリチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。 組電池の代表的な実施形態の外観図であって、図5(a)は、組電池の平面図であり、図5(b)は、組電池の正面図であり、図5(c)は、組電池の側面図である。 組電池を搭載した車両の概念図である。 充電時における電池の電圧および電流の時間変化を示す図である。 条件1〜3によって異なる構成の導電性フィルムを作製して、充電時の電圧と酸化電流との関係を調べた実験結果の一例を示す図である。 コントローラによって行われる処理内容を示すフローチャートである。
以下では、電池システムを構成する電池として、双極型リチウムイオン電池を例に挙げて説明するが、双極型リチウムイオン電池以外の双極型電池であってもよいし、双曲型電池以外の電池であってもよい。また、電池の構造は、積層型(扁平型)であってもよいし、巻回型(円筒型)であってもよい。
図1は、一実施の形態における電池システムの全体構成を示す図である。電池システムは、双極型リチウムイオン二次電池10と、電流センサ1と、充電装置2と、コントローラ3とを有する。
電流センサ1は、双極型リチウムイオン二次電池10に流れる充電電流、および、後述する酸化電流を検出する。充電装置2は、コントローラ3からの指示に基づいて、双極型リチウムイオン二次電池10の充電を行う。コントローラ3は、充電装置2の充電を制御する。特に、コントローラ3は、双極型リチウムイオン二次電池10の充電時に、電流センサ1によって検出される電流値が所定の電流値以上になると、充電を停止させる指令を充電装置2に出す。充電を停止させる指令に基づいて、充電装置2は、充電を停止する。
図2は、双極型リチウムイオン二次電池10の全体構造を模式的に表した断面概略図である。図2に示す双極型リチウムイオン二次電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が電池外装材であるラミネートフィルム29の内部に封止された構造を有する。
図2に示すように、双極型リチウムイオン二次電池10の発電要素21は、集電体11の一方の面に電気的に結合した正極活物質層13が形成され、集電体11の反対側の面に電気的に結合した負極活物質層15が形成された複数の双極型電極23を有する。各双極型電極23は、電解質層17を介して積層されて発電要素21を形成する。
なお、電解質層17は、基材としてのセパレータの面方向中央部に電解質が保持されてなる構成を有する。この際、一の双極型電極23の正極活物質層13と一の双極型電極23に隣接する他の双極型電極23の負極活物質層15とが電解質層17を介して向き合うように、各双極型電極23および電解質層17が交互に積層されている。すなわち、一の双極型電極23の正極活物質層13と、一の双極型電極23に隣接する他の双極型電極23の負極活物質層15との間に電解質層17が挟まれて配置されている。
隣接する正極活物質層13、電解質層17、および、負極活物質層15は、一つの単電池層19を構成する。従って、双極型リチウムイオン二次電池10は、単電池層19が積層されてなる構成を有するとも言える。また、電解質層17からの電解液の漏れによる液絡を防止する目的で、単電池層19の外周部にはシール部(絶縁層)31が配置されている。
なお、発電要素21の最外層に位置する正極側の最外層集電体11aには、片面のみに正極活物質層13が形成されている。また、発電要素21の最外層に位置する負極側の最外層集電体11bには、片面のみに負極活物質層15が形成されている。ただし、正極側の最外層集電体11aの両面に正極活物質層13が形成されてもよい。同様に、負極側の最外層集電体11bの両面に負極活物質層15が形成されてもよい。
図2に示す双極型リチウムイオン二次電池10では、正極側の最外層集電体11aに隣接するように正極集電板25が配置され、これが延長されて電池外装材であるラミネートフィルム29から導出している。一方、負極側の最外層集電体11bに隣接するように負極集電板27が配置され、同様にこれが延長されて電池の外装であるラミネートフィルム29から導出している。
図2に示す双極型リチウムイオン二次電池10では、通常、各単電池層19の周囲に絶縁部31が設けられる。この絶縁部31は、電池内で隣り合う集電体11同士が接触したり、発電要素21における単電池層19の端部の僅かな不揃い等に起因する短絡が起こったりするのを防止する目的で設けられる。絶縁部31の設置により、長期間の信頼性および安全性が確保され、高品質の双極型リチウムイオン二次電池10が提供されうる。
なお、単電池層19の積層回数は、所望する電圧に応じて調節する。また、双極型リチウムイオン二次電池10では、電池の厚みを極力薄くしても十分な出力が確保できれば、単電池層19の積層回数を少なくしてもよい。双極型リチウムイオン二次電池10でも、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、発電要素21を電池外装材であるラミネートフィルム29に減圧封入し、正極集電板25および負極集電板27をラミネートフィルム29の外部に取り出した構造とするのがよい。以下、双極型リチウムイオン二次電池の主な構成要素について説明する。
図3は、集電体11を模式的に表した断面概略図である。図3に示すように、集電体11は、樹脂基材111と、樹脂基材111に分散された導電性フィラー112とを含む。
樹脂基材111は、非導電性の高分子材料によって構成されている。非導電性の高分子材料とは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、アクリル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エラストマー材料のうちの1種類の材料、または、2種類以上の複合材料である。樹脂基材111をこれらの材料で構成することにより、後述する酸化電流が電池の上限電位以上で流れるように設計することができ、充電時に過充電に至る状況を確実に検出することができる。
導電性フィラー112は、例えば、カーボンブラック、カーボン繊維、金属繊維、金属粉末、金属メッキした樹脂繊維、酸化スズ、酸化チタン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンのうちの1種類の材料、または、2種類以上の複合材料により構成されている。導電性フィラー112をこれらの材料で構成することにより、樹脂基材111と導電性フィラー112との界面の量を適切な量に調整することが可能となり、後述する酸化電流の大きさを適切な大きさに調整することが可能となる。これにより、充電時に過充電に至る状況を確実に検出することができる。
なお、図3では、導電性フィラーの形状(形態)を粒子形態として示しているが、粒子形態に限定されることはなく、粒子形態以外の形態であってもよい。
導電性フィラー112を、例えば、金属メッキしたカーボンブラックや樹脂ビーズ、ガラスビーズのうちの1種類の材料、または、2種類以上の複合材料により構成するようにしてもよい。この場合、導電性フィラーがリチウムを吸収しないため、充放電容量の低下を抑制することができ、また、金属製フィラーよりも軽量化することができる。
集電体11の製造方法について説明する。まず、樹脂基材111と導電性フィラー112を溶融混練した後、インフレーション法やTダイ成形法、カレンダー成形法などの一般的なフィルム試作工法を用いて、樹脂基材111および導電性フィラー112からなる導電性フィルムを成形する。そして、導電性フィラー112が集電体11の表面に十分に露出するように、成形した導電性フィルムに対して熱プレスを行う。導電性フィラー112と樹脂基材111と電解液の接する界面の量をプレスにより制御することができるので、後述する酸化電流の大きさを適切な大きさに制御することが可能となり、充電時に過充電に至る状況を確実に検出することができる。なお、集電体11を構成する導電性フィルムは、フィルム単体で用いてもよいし、金属箔などに張り合わせて用いてもよい。
活物質層13、15は、活物質を含み、必要に応じてその他の添加剤をさらに含む。
正極活物質層13は、正極活物質を含む。正極活物質としては、例えば、LiMn24、LiCoO2、LiNiO2、Li(Ni−Co−Mn)O2、およびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物が正極活物質として用いられる。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことはもちろんである。
負極活物質層15は、負極活物質を含む。負極活物質としては、例えば、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、リチウム−遷移金属複合酸化物(例えば、Li4Ti512)、金属材料、リチウム合金系負極材料などが挙げられる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、炭素材料またはリチウム−遷移金属複合酸化物が負極活物質として用いられる。なお、上記以外の負極活物質が用いられてもよいことはもちろんである。
各活物質層13、15に含まれるそれぞれの活物質の平均粒子径は特に制限されないが、高出力化の観点からは、好ましくは1〜20μmである。
正極活物質層13および負極活物質層15に含まれうる添加剤としては、例えば、バインダ、導電助剤、電解質塩(リチウム塩)、イオン伝導性ポリマー等がある。
電解質層17を構成する電解質としては、液体電解質またはポリマー電解質が用いられうる。
液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられうる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiBETI等の電極の活物質層に添加されうる化合物が同様に採用されうる。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない真性ポリマー電解質に分類される。
ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。マトリックスポリマーとして用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、および、これらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系ポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
なお、電解質層が液体電解質やゲル電解質から構成される場合には、電解質層にセパレータを用いてもよい。セパレータの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜が挙げられる。
真性ポリマー電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。従って、電解質層が真性ポリマー電解質から構成される場合には、電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上する。
ゲル電解質や真性ポリマー電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して、熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
最外層集電体の材質としては、例えば、金属や導電性高分子が採用されうる。電気の取り出しやすさの観点からは、好適には金属材料が用いられる。具体的には、例えば、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、銅などの金属材料が挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性、電池作動電位という観点からは、アルミニウム、銅が好ましい。
電池外部に電流を取り出す目的で、タブを用いてもよい。タブは最外層集電体や集電板に電気的に接続され、電池外装材であるラミネートシートの外部に取り出される。
タブを構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用のタブとして従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。タブの構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましく、より好ましくは軽量、耐食性、高導電性の観点からアルミニウム、銅などが好ましい。なお、正極タブと負極タブとでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。
正極端子リードおよび負極端子リードに関しても、必要に応じて使用する。正極端子リードおよび負極端子リードの材料は、公知のリチウムイオン二次電池で用いられる端子リードを用いることができる。なお、電池外装材29から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
電池外装材29としては、公知の金属缶ケースを用いることができるほか、発電要素(電池要素)を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた袋状のケースが用いられうる。ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点から、ラミネートフィルムが望ましい。
絶縁部31は、電解質層17からの電解液の漏れによる液絡を防止する。また、絶縁部31は、電池内で隣り合う集電体どうしが接触したり、発電要素21における単電池層19の端部の僅かな不揃いなどに起因する短絡が起こったりするのを防止する目的で設けられる。
絶縁部31を構成する材料としては、絶縁性、固体電解質の脱落に対するシール性や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよい。例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴムなどが用いられうる。なかでも、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性などの観点から、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂が絶縁部31の構成材料として好ましく用いられる。
なお、上記の双極型電池は、従来公知の製造方法により製造することができる。
図4は、双極型電池の代表的な実施形態である積層型の扁平な双極型のリチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
図4に示すように、積層型の扁平なリチウムイオン二次電池40では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極タブ48、負極タブ49が引き出されている。発電要素(電池要素)47は、リチウムイオン二次電池40の電池外装材42によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素(電池要素)47は、正極タブ48および負極タブ49を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、発電要素(電池要素)47は、先に説明した図2に示す双極型リチウムイオン二次電池10の発電要素(電池要素)21に相当するものであり、正極(正極活物質層)13、電解質層17および負極(負極活物質層)15で構成される単電池層(単セル)19が複数積層されたものである。
なお、上記リチウムイオン電池は、積層型の扁平な形状のものに制限されるものではなく、巻回型のリチウムイオン電池では、円筒型形状のものであってもよいし、こうした円筒型形状のものを変形させて、長方形状の扁平な形状にしたようなものであってもよく、形状に特に制限されるものではない。上記円筒型の形状のものでは、その外装材に、ラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。好ましくは、発電要素(電池要素)がアルミニウムラミネートフィルムで外装される。当該形態により、軽量化が達成される。
また、図4に示すタブ48、49の取り出しに関しても、特に制限されるものではなく、正極タブ48と負極タブ49とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極タブ48と負極タブ49をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出すようにしてもよいなど、図4に示すものに制限されるものではない。また、巻回型のリチウムイオン電池では、タブに代えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
上記リチウムイオン電池は、電気自動車やハイブリッド電気自動車、また、燃料電池車やハイブリッド燃料電池自動車などの大容量電源として、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
組電池は、上記双極型電池を複数個接続して構成したものである。詳しくは、少なくとも2つ以上用いて、直列化あるいは並列化あるいは、その両方で構成されるものである。直列、並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。
図5は、組電池の代表的な実施形態の外観図であって、図5(a)は、組電池の平面図であり、図5(b)は、組電池の正面図であり、図5(c)は、組電池の側面図である。
図5に示すように、組電池300は、双極型電池を複数、直列または並列に接続して装脱着可能な小型の組電池250を形成し、この装脱着可能な小型の組電池250をさらに複数、直列または並列に接続して、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つ組電池300を形成する。図5(a)は、組電池の平面図、図5(b)は正面図、図5(c)は側面図を示しているが、作成した装脱着可能な小型の組電池250は、バスバーのような電気的な接続手段を用いて相互に接続し、この組電池250は接続治具310を用いて複数段積層される。何個の双極型電池を接続して組電池250を作成するか、また、何段の組電池250を積層して組電池300を作成するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
図6は、上述した組電池を搭載した車両の概念図である。上述した組電池は、長期信頼性および出力特性に優れた高寿命の電池であるから、EV走行距離の長いプラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自動車を構成できる。言い換えれば、双極型電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を、例えば、自動車ならばハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車(いずれも、四輪車(乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車など)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)に用いることにより、高寿命で信頼性の高い自動車となるからである。ただし、用途が自動車に限定されるわけではなく、例えば、他の車両、電車などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
図6に示すように、組電池300を電気自動車400のような車両に搭載するには、電気自動車400の車体中央部の座席下に搭載する。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、組電池300を搭載する場所は、座席下に限らず、後部トランクルームの下部でもよいし、車両前方のエンジンルームでもよい。以上のような組電池300を用いた電気自動車400は高い耐久性を有し、長期間使用しても十分な出力を提供しうる。さらに、燃費、走行性能に優れた電気自動車、ハイブリッド自動車を提供できる。
ここで、樹脂基材111および導電性フィラー112から構成される導電性フィルムを含む集電体11は、電圧上昇時に、電池の上限電圧近傍で酸化反応に伴う酸化電流(分解電流)が流れる。すなわち、樹脂基材111は非導電性であるため、電位による影響は受けないが、導電性フィラー112と接している樹脂基材111は、導電性フィラー112との界面において、導電性フィラー112の電位の影響を受けて、酸化反応が起こり、酸化電流が流れる。この酸化電流は、電圧の上昇に伴って急激に増大し、電池の充電電流よりも大きくなる。なお、電池の上限電圧とは、満充電時の電池の電圧(電位)である。また、「上限電圧近傍」は、「電池の上限電圧に応じた所定電圧以上」と言い換えることもできる。
電池の充電は、定電流で充電した後、定電圧で充電を行う。図7は、充電時における電池の電圧および電流の時間変化を示す図である。図7に示すように、定電流充電時には、一定の電流が流れ、定電圧充電時には、電流が徐々に小さくなる。
電池の充電時には、電池の正極で酸化反応が起こる。充電時における電極の酸化反応による電流の向きは、導電性フィルムの酸化に伴う酸化電流の向きと同じである。充電時に、導電性フィルムの酸化に伴う酸化電流が流れると、定電流充電時の一定電流よりも大きい電流が流れる。
一実施の形態における電池システムでは、少なくとも充電中に電流センサ1によって電流値を検出し、検出した電流値が所定の電流値以上になると、導電性フィルムの酸化に伴う酸化電流が流れたと判断して、充電を停止する。所定の電流値は、定電流充電時の一定電流よりも大きい値に設定する。これにより、電池の過充電を防ぐとともに、電池の過大な温度上昇を防いで、電池の劣化を抑制することができる。
酸化電流の大きさは、導電性フィルムを構成する樹脂基材111の種類や導電性フィラー112の種類および量によって変わってくる。図8は、下記の条件1〜3によって異なる構成の導電性フィルムを作製して、充電時の電圧と酸化電流との関係を調べた実験結果の一例を示す図である。作製した導電性フィルムは、ビーカーセル試験法で評価を行った。参照極および対極にリチウム金属を、また電解液にはリチウム電解液を用いた。
(1)条件1:ポリエチレンとポリプロピレンの共重合体を樹脂基材とし、導電性フィラーとしてケッチェンブラックを30重量%加えたものを200℃で溶融混練した後、造粒機でペレットを作り、作ったペレットを平面型のホットプレス装置を用いてプレスすることで、導電性フィルムを作製した。
(2)条件2:条件1に対して、ケッチェンブラックを30重量%ではなく、40重量%加えた。
(3)条件3:樹脂基材として、ポリプロピレンとエラストマーを用いた。
図8に示すように、導電性フィラーの量を変更する、または、樹脂基材の構成を変更することにより、同一の電圧値でも、酸化電流の大きさが変わってくる。図8に示す例では、条件1〜3のうち、条件3の場合が最も早く酸化電流が増大し始めるため、電流センサ1による電流検出値が最も早く所定の電流値以上となって、充電を停止させることができる。
一実施の形態における電池システムでは、電池の上限電圧近傍で流れる酸化電流が充電時の充電電流よりも十分に大きくなるように、樹脂基材111と導電性フィラー112との界面の大きさを調整する。特に、酸化電流が充電時の充電電流よりも十分に大きくなるように、樹脂基材111の素材および導電性フィラー112の素材、量を調整するので、酸化電流を確実に検出して、充電を停止させることにより、電池の劣化を防ぐことができる。
図9は、コントローラ3によって行われる処理内容を示すフローチャートである。コントローラ3は、少なくとも双極型リチウムイオン二次電池10の充電時にフローチャートの処理を繰り返し行うが、常時行うようにしてもよい。コントローラ3には、電流センサ1から、検出電流が所定時間毎に入力される。ステップS10では、電流センサ1の検出電流が所定の電流値以上であるか否かを判定する。検出電流が所定の電流値未満であると判定すると、ステップS10に戻り、所定の電流値以上であると判定すると、ステップS20に進む。
ステップS20では、充電を停止させる指令を充電装置2に出す。充電装置2は、この指令に基づいて、充電を停止する。
一実施の形態における電池システムによれば、導電性材料と高分子材料とで構成され、電池の上限電圧に応じた所定電圧以上で酸化反応に伴う酸化電流が流れる樹脂層を含む集電体を有する電池の充電時に酸化電流を検出し、検出した酸化電流が所定の電流値以上になると、電池の充電を停止させる。これにより、電池の過充電を防いで、過充電等に起因する電池の過大な発熱を防ぐことができる。従って、集電体の劣化を防いで、電池機能を維持することができる。
また、酸化電流が充電時の充電電流よりも大きくなるように、導電性材料と高分子材料との界面の大きさを決定したので、酸化電流を確実に検出して、電池が過充電となる前に、充電を確実に停止させることができる。
本発明は、上述した一実施の形態に限定されることはない。上述した一実施の形態では、双極型リチウムイオン電池を例に挙げて説明したが、本発明は、双極型リチウムイオン電池以外の双極型電池に適用することもできるし、双曲型電池以外の電池に適用することもできる。また、電池システムを車両に搭載して使用する例を挙げて説明したが、車両以外のシステムに適用することもできる。
上述した一実施の形態では、電流センサ1の検出電流が所定の電流値以上になると、コントローラ3は、充電を停止させる指令を充電装置2に出して、充電装置2による充電を停止させたが、例えば、充電回路を遮断することによって、充電を停止させることもできる。
1…電流センサ(電流検出部)
2…充電装置
3…コントローラ(充電停止部)
10…双極型リチウムイオン二次電池
11…集電体
13…正極活物質層
15…負極活物質層
17…電解質層
19…単電池層
21…発電要素
23…双極型電極
25…正極集電板
27…負極集電板
111…樹脂基材
112…導電性フィラー
300…組電池
400…電気自動車

Claims (6)

  1. 導電性材料と高分子材料とで構成される樹脂層であって、電池の上限電圧に応じた所定電圧以上で酸化反応に伴う酸化電流が流れる樹脂層を含む集電体を有する電池と、
    少なくとも前記電池の充電時に、前記酸化電流を検出する電流検出部と、
    前記電流検出部で検出された酸化電流が所定の電流値以上になると、前記電池の充電を停止させる充電停止部と、
    を備えることを特徴とする電池システム。
  2. 前記酸化電流が充電時の充電電流よりも大きくなるように、前記導電性材料と前記高分子材料との界面の大きさを決定したことを特徴とする請求項1に記載の電池システム。
  3. 前記高分子材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、アクリル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エラストマー材料からなる群より選択される1種類の材料、または、2種類以上の複合材料であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池システム。
  4. 前記導電性フィラーは、金属メッキしたカーボンブラック、樹脂ビーズ、ガラスビーズからなる群から選択される1種類の材料、または、2種類以上の複合材料であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電池システム。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電池システムを搭載した車両。
  6. 導電性材料と高分子材料とで構成され、電池の上限電圧近傍で酸化反応に伴う酸化電流が流れる樹脂層を含む集電体を有する電池の充電制御方法であって、
    少なくとも前記電池の充電時に前記酸化電流を検出し、
    前記検出した酸化電流が所定の電流値以上になると、前記電池の充電を停止させる、
    ことを特徴とする電池の充電制御方法。
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