JP2010271794A - 運転行動誘導システム - Google Patents
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Abstract
【課題】外部環境を考慮しながらドライバそれぞれの個人特性に応じた最適な運転行動へと誘導を行う。
【解決手段】外部環境認識部2で認識した車両周囲の外部環境、ドライバ状態推定部3で推定したドライバが把握している外部環境、運転評価部4で評価したドライバの運転評価情報、運転操作情報に基づいて、ドライバ誘導部6が、ドライバに提示する誘導刺激の候補群を選定し、選定した候補群の中から現在の運転状態に合致した誘導刺激を選択して出力する。これにより、外部環境を考慮しながらドライバそれぞれの個人特性に応じた最適な運転行動へと誘導を行い、運転の適切性を向上することができる。
【選択図】図1
【解決手段】外部環境認識部2で認識した車両周囲の外部環境、ドライバ状態推定部3で推定したドライバが把握している外部環境、運転評価部4で評価したドライバの運転評価情報、運転操作情報に基づいて、ドライバ誘導部6が、ドライバに提示する誘導刺激の候補群を選定し、選定した候補群の中から現在の運転状態に合致した誘導刺激を選択して出力する。これにより、外部環境を考慮しながらドライバそれぞれの個人特性に応じた最適な運転行動へと誘導を行い、運転の適切性を向上することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、ドライバの運転行動がより適切な方向に変化するように誘導を行う運転行動誘導システムに関する。
自動車等の移動体においては、円滑な移動や事故の未然防止、燃費低減等を目的として、ドライバの運転技術や安全状態等を積極的に向上させようとする技術が開発されており、これらの技術に関して各種提案がなされている。
例えば、特許文献1(特開2002−55598号公報)では、ある時点での運転状況をもとに、予め定められた規範となる運転操作計画を読み出した上で、ドライバに運転操作の指示を与える技術が提案されている。
同様の技術は、特許文献2(特開2008−58459号公報)においても提案されている。特許文献2では、ドライバの運転操作と模範運転操作との比較によってアドバイスを生成する手法を採用している。
また、特許文献3(特開2008−77502号公報)では、出発地から目的地までの車両運動データから算出した危険運転の程度を過去のデータと比較することで、今回の運転の方が安全運転と判断される場合には、その旨をドライバに教示する技術が提案されている。
さらに、特許文献4(特開2008−102777号公報)では、ドライバの安全運転度の変化をモニタすることで、個々のドライバにとって有効な警告方法を選択する技術が提案されている。
しかしながら、特許文献1に開示されているような規範となる運転操作は、比較的自分の運転スタイルが確立されていない初心運転者に対する一つの方針として示すのには適している場合もあるが、一般的なドライバの場合、各個人が自分の運転個性を有しているのが普通である。
このため、特許文献1のように規範ではあっても画一的な運転操作を指示されると、ドライバが違和感を感じて指示に従うことに抵抗を覚え、その効果が減じてしまう虞がある。特許文献2もまた、画一的な模範運転との比較であるが故に、特許文献1と同様の問題が生じる虞がある。
また、特許文献3の技術では、教示が目的地に着いた後に行われるため、運転中にドライバをリアルタイムに安全方向に誘導することは困難である。
さらに、特許文献4の技術では、安全度の評価にはドライバの状態を検出した情報のみを用いており、車外の走行環境とドライバの関連性は考慮されていない。そのため、特許文献4の技術では、ドライバを常に最大限の安全状態に誘導することを暗に示しているが、実際の運転では、走行環境中の注意すべき場所に注意すべきタイミングで適切な注意を向けることが安全状態である。従って、外部環境を考慮しない安全度の向上は、ドライバに過度の負担を強いることになり、現実的な解決策とはいえない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、外部環境を考慮しながらドライバそれぞれの個人特性に応じた最適な運転行動へと誘導を行う運転行動誘導システムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明による運転行動誘導システムは、移動体を運転するドライバの状態を推定して該ドライバの運転行動に対する誘導を行う運転行動誘導システムであって、上記移動体の外部環境をセンシングして外部環境を認識する外部環境認識部と、ドライバの外部環境認識状態をドライバの内部状態として推定するドライバ状態推定部と、上記ドライバの内部状態の推定結果と上記外部環境の認識結果と上記移動体の運転操作情報とに基づいて、ドライバに与える誘導刺激の候補群を選定する誘導刺激候補群選定部と、上記誘導刺激の候補群の中から、上記移動体の運転状態をトリガとしてドライバに提示すべき誘導刺激を選択的に出力するタイミングトリガ部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、外部環境を考慮しながらドライバそれぞれの個人特性に応じた最適な運転行動へと誘導を行うことができる。例えば、ドライバを安全運転へと誘導した場合、本運転行動誘導システムにより予防安全性を向上することができる。また、ドライバをより燃料消費率の少ない運転へと誘導した場合、本運転行動誘導システムにより燃料消費の効率性を向上することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明による運転行動誘導システムは、自動車等の移動体を運転する際に、外部環境を考慮しながらドライバそれぞれの個人特性に応じた最適な運転行動へ変化するよう、誘導刺激を与えるシステムである。ドライバの運転行動をより適切な方向へ誘導するための誘導刺激は、ドライバの聴覚、視覚、嗅覚、触覚のうちの少なくとも一つの感覚器官を対象として提示する。
本発明による運転行動誘導システムは、自動車等の移動体を運転する際に、外部環境を考慮しながらドライバそれぞれの個人特性に応じた最適な運転行動へ変化するよう、誘導刺激を与えるシステムである。ドライバの運転行動をより適切な方向へ誘導するための誘導刺激は、ドライバの聴覚、視覚、嗅覚、触覚のうちの少なくとも一つの感覚器官を対象として提示する。
例えば、円滑な移動や事故の未然防止を目的として本システムを用いる場合には、ドライバの運転技術や安全状態等を積極的に向上させるような誘導刺激を与えることにより、予防安全性を向上することが可能となる。また、燃料消費率の低減を目的として本システムを用いる場合には、ドライバをより燃料消費率の少ない運転へと誘導する誘導刺激を与えることにより、燃料消費の効率性を向上することが可能となる。
このような運転行動誘導システムは、単一のコンピュータシステム或いはネットワーク等を介して接続された複数のコンピュータシステムで構成されている。コンピュータによって実現される運転行動誘導システムの機能は、図1に示される。
すなわち、運転行動誘導システム1は、カメラやレーダー等のセンシングデバイスによる外界情報と自車の車両情報とに基づいて、車両周囲の外部環境を認識する外部環境認識部2、ドライバの運転操作と認識した外部環境との対応関係から、ドライバが把握している外部環境に対して通常最も行う確率が高い運転行動をモデルパラメータとして学習し、学習されたモデルと現在の操作データ・車外環境との関連性からドライバの内部状態(外部環境の把握状態)を推定するドライバ状態推定部3、ドライバの内部状態(ドライバが把握している外部環境)と運転操作、ドライバ挙動、外部環境情報を入力として、ドライバの運転行動の適切度を評価し、その評価結果を運転評価情報として出力する運転評価部4、外部環境情報、ドライバの内部状態、運転操作情報、運転評価情報に基づいて、ドライバに対する誘導刺激(音声・音響・香り・振動・その他)を決定し、誘導刺激提示装置7に出力するドライバ誘導部6を主要機能部として備えている。
ドライバ誘導部6は、更に、図2に示すように、ドライバに提示する誘導刺激の種類や内容等の候補群を、ドライバの内部状態(ドライバが把握している外部環境)、外部環境情報、運転操作情報、運転評価情報に基づいて選定する誘導刺激候補群選定部6a、誘導刺激候補群の中から現在の運転状態に合致した誘導刺激を選択して出力するタイミングトリガ部6b、誘導刺激の種類・内容・強度・質・出力タイミング、パターン等を決定するためのパラメータ(誘導パラメータ)を、ドライバの運転評価情報に基づいてより適切な運転行動に誘導できるように更新する誘導パラメータ更新部6cを備えている。
誘導刺激提示装置7は、ドライバの運転行動を適切な方向に変化させるための誘導刺激を生成する各種提示デバイスを備えている。これらの提示デバイスとしては、音声や警報音等の聴覚刺激を生成・出力する聴覚提示部7a、画像・文字による表示や警告灯等の視覚刺激を生成・出力する視覚提示部7b、覚醒作用や緊張緩和作用のある芳香等の嗅覚刺激を生成・出力する嗅覚提示部7c、振動や風等の触覚刺激を生成・出力する触覚提示部7dが備えられている。誘導刺激提示装置7は、ドライバ誘導部6からの指示により各提示部7a〜7dが単独或いは複数で動作し、適切な運転行動への誘導刺激をドライバに与える。
尚、ドライバ誘導部6には、ドライバの手動入力により、特定の誘導刺激の禁止・制限・強化を選択的に行うことが可能なように、操作スイッチ等からなる操作部6dが備えられている。この操作部6dは、ドライバの手動入力によって特定の刺激の禁止・制限・強化を行う余地を残しておくためのものである。予めドライバの意思によって刺激をカスタマイズすることが可能となる他、耳の不自由な方がドライバの場合等には、聴覚への刺激を禁止し、視覚・嗅覚・触覚の刺激を予め強化する等の設定が可能となる。
以下では、本運転行動誘導システム1を、移動体としての自動車を運転する際に、個々のドライバの運転行動がより安全方向に変化するように誘導する安全運転誘導システムとして適用する例について説明する。すなわち、安全運転誘導システムとしての運転行動誘導システム1は、事故に繋がる虞のある危険の度合いや人・車・構造物に対する危険情報等の車両周囲の外部環境に含まれるリスク(外部環境リスク)を認識すると共に、この外部環境リスクに対するドライバの運転特性を学習・評価し、ドライバの運転行動がより安全方向に変化するように誘導刺激を与える。
ドライバに提示する誘導刺激は、本実施の形態においては誘導刺激提示装置7の聴覚提示部7aで合成処理した合成音(発話音声及び通常の警報音を含む合成音)による聴覚情報であり、主として発話音声をドライバに提示することにより、ドライバを安全運転行動へと誘導する。以下、運転行動誘導システム1の各部の機能について、外部環境認識部2による[外部環境リスクの認識処理]、ドライバ状態推定部3による[ドライバ内部状態の推定処理]、運転評価部4による[安全運転度の評価処理]、ドライバ誘導部6による[発話処理]に項目分けして説明する。
[外部環境リスクの認識処理]
先ず、外部環境認識部2は、車載カメラから得られる画像の特徴量と、そのときのリスクレベルとの関連性を学習することにより、車外環境の状態を単一のスカラ値(若しくはベクトル)へ縮退変換し、外部環境のリスクレベルを認識する。
先ず、外部環境認識部2は、車載カメラから得られる画像の特徴量と、そのときのリスクレベルとの関連性を学習することにより、車外環境の状態を単一のスカラ値(若しくはベクトル)へ縮退変換し、外部環境のリスクレベルを認識する。
この画像特徴量からのリスクレベルの認識は、例えば、本出願人による特開2008−238831号において提案されたオンラインリスク学習システムの技術を採用することができる。この技術は、特開2008−238831号に詳述されているように、アクセルの急激な戻し操作やブレーキ踏込みといったイベントにより、N次元ベクトルの画像特徴量(エッジ情報、動き情報、色情報等)を1次元の状態に変換する。この1次元の状態と車両情報(ドライバの操作情報)から作成された教師情報との相関関係から環境に含まれるリスクを学習・認識するものである。
尚、本実施の形態では、画像特徴量から抽出したリスクレベルを用いる例について説明するが、リスクレベルとしては、これに限定されるものではない。例えば、車間距離等からリスクレベルを抽出するようにしても良い。この場合、車間距離が大きいほどリスクレベルが低くなるように設定する。逆に、車間距離が小さくなるほどリスクレベルが高くなるように設定する。
[ドライバ内部状態の推定処理]
ドライバ状態推定部3は、センサからのデータ或いは車内ネットワーク(図示せず)を介して取得したアクセル・ブレーキ・ステアリング等のドライバの操作データを、その測定頻度の特徴に応じて量子化する。そして、量子化した操作特徴量とリスクレベルとの関連性を学習によって獲得することで、ドライバの内部状態を推定する。
ドライバ状態推定部3は、センサからのデータ或いは車内ネットワーク(図示せず)を介して取得したアクセル・ブレーキ・ステアリング等のドライバの操作データを、その測定頻度の特徴に応じて量子化する。そして、量子化した操作特徴量とリスクレベルとの関連性を学習によって獲得することで、ドライバの内部状態を推定する。
すなわち、運転操作データは、そのままでは情報量が非常に多く、リスクとの関連を学習するには扱いが困難である。このため、観測されるデータの分布(出現傾向)を考慮して適切に量子化を行う。これにより、データに含まれる情報量が失われることを防止しつつ、特徴を学習するための統計的処理を可能とする。
観測データの量子化は、閾値を用いたデータ分割やデータ縮退によって行うことができる。例えば、自己組織化マップ(SOM;Self-Organizing Maps)を用いて運転操作データを量子化することができる。SOMは、生物の大脳皮質のうち視覚野等をモデル化したニューラルネットワークの一種であり、M次元に並べられたユニットが、それぞれベクトル値(通常入力との結線の重みと呼ばれる)を持ち、入力に対して勝者ユニットをベクトルの距離を基準として決定する。
そして、勝者ユニット及びその周辺のユニットの参照ベクトル値を、入力ベクトルに近づくように更新してゆく。これを繰り返すことで、全体が入力データの分布を最適に表現できるように競合学習する。この競合学習に基づいて入力情報の次元を圧縮すると共に、データの特徴に応じてクラスタリングや可視化を行うことができる。
尚、入力データの縮退は、S0Mを用いた教師無し競合学習の他、教師有り競合学習であるベクトル量子化(LVQ;Learning Vector Quantization)モデルを用いることも可能である。
更に、ドライバ状態推定部3は、操作特徴量とリスクレベルとの関連性をモデル学習によって獲得する。その上で、ドライバの内部状態を、確率的計算を用いて推定する。人間の行動は、図3(a)に示すように、安心、緊張、不安、焦り、怒りといった心的状態と、その遷移に応じて変化する。この変化は必ずしも確定的ではなく、確率的な行動として表現することができる。同様に、ドライバの運転行動は、図3(b)に示すように、先行車への追従、追越、駐車、車線変更、合流といったシーンと、その遷移に対して、確率的な操作出力となって現れる。
従って、モデル学習においては、人間行動の確率的振る舞いを表すための規範モデルとして、確率的状態遷移モデルの一種である隠れマルコフモデル(HMM;Hidden Markov Model)を用いてドライバの内部状態をモデル化する。HMMは、対象の内部状態(ステート)が確率的な条件分岐によって遷移することと、遷移したステートによって異なる確率で外部に信号が出力されることを想定したモデルである。
HMMを用いたモデルでは、ドライバが意識しているリスクレベルを推定するタスクにおいては、図3(c)に示すように、現在意識しているリスクレベルがHMMのステートに相当し、そのときに観測される運転操作データが外部に出力される信号に相当する。図3(c)においては、便宜上リスクレベルを5段階として各ステートに1〜5の番号を付与した場合を例示している。番号1は、ドライバが外部環境のリスクが最も低いと認識している状態を示している。番号5は、ドライバが外部環境のリスクが最も高いと認識している状態を示している。
このように、運転操作データを離散化してデータの出現傾向を求め、ドライバの内部状態を確率的モデルとして近似することで、実際の運転における操作データのように、外部環境から確定的に導出することのできない情報の扱いを適切に行うことが可能となる。但し、推定時に観測される操作データがどのステートから出力されたのかを推定するためには、状態遷移確率と操作出力確率の2つの確率計算を行う必要がある。
このため、モデル学習の際には、先ず外部環境認識部2から伝達されたスカラ値を基に、統計的手法によって状態遷移確率を計算する。次に、量子化された操作特徴量データを基に、ステート毎の操作特徴量の観測確率分布(操作出力確率)を計算する。例えば、舵角・アクセル開度・ブレーキ圧力、更に、操作の反映である速度・ヨーレート・加速度等をそれぞれ適宜離散化し、各離散値毎の観測回数をカウントして統計的に確率を計算する。
<状態遷移確率の計算>
一般に、自動車の運転を想定する場合、車を運転する度に故意ではないにも拘わらず必ず事故を起こしてしまうドライバが存在するとは考えにくい。言い換えれば、巨視的にはドライバは適宜走行環境のリスクレベルに対応した運転操作を行っていると見なすことができる。このような前提の元に、ある程度長い時間範囲のデータを集めて統計的に処理した場合、HMMにおけるドライバの内部状態の遷移は、走行環境のリスクレベルの遷移に依存していると仮定することができる。
一般に、自動車の運転を想定する場合、車を運転する度に故意ではないにも拘わらず必ず事故を起こしてしまうドライバが存在するとは考えにくい。言い換えれば、巨視的にはドライバは適宜走行環境のリスクレベルに対応した運転操作を行っていると見なすことができる。このような前提の元に、ある程度長い時間範囲のデータを集めて統計的に処理した場合、HMMにおけるドライバの内部状態の遷移は、走行環境のリスクレベルの遷移に依存していると仮定することができる。
従って、遷移確率の計算は、以下の(1−1)〜(1−5)の手順に従って実施し、学習時のリスクレベルの遷移確率を求めることで、ドライバ内部状態の遷移確率を算出する。
(1−1)状態遷移モデルの駆動周波数を定義(例えば、3Hz)
(1−2)内部状態のステート数を定義(例えば、10ステート)
(1−3)リスクレベルをステート数分に離散化
(1−4)各ステート間の遷移回数をカウント
(1−5)各ステート間の統計的な遷移確率を計算
(1−1)状態遷移モデルの駆動周波数を定義(例えば、3Hz)
(1−2)内部状態のステート数を定義(例えば、10ステート)
(1−3)リスクレベルをステート数分に離散化
(1−4)各ステート間の遷移回数をカウント
(1−5)各ステート間の統計的な遷移確率を計算
尚、単純な例では、ステート遷移の時間ステップを一定値に固定し、ドライバの内部状態は環境状態の遷移に同期して遷移するとすれば、計算が簡便になる。或いは、特定のスカラ値範囲に停留する時間長に応じてステートを別途定義することも可能である。
<出力信号確率の計算>
あるステートに遷移した状態における、操作データ特徴の出力確率の学習には、前述したSOMを用いる。計測された操作データをSOMユニット番号に次元圧縮並びに量子化する。そして各ユニット番号が観測される回数をカウントする。これにより、統計的な出力信号確率を算出する。ステート毎に得られる各ユニットの出力確率が異なることは、リスクレベルによって操作傾向が変わることをモデル化している。これにより、ステート別の出力確率を得ることができる。
あるステートに遷移した状態における、操作データ特徴の出力確率の学習には、前述したSOMを用いる。計測された操作データをSOMユニット番号に次元圧縮並びに量子化する。そして各ユニット番号が観測される回数をカウントする。これにより、統計的な出力信号確率を算出する。ステート毎に得られる各ユニットの出力確率が異なることは、リスクレベルによって操作傾向が変わることをモデル化している。これにより、ステート別の出力確率を得ることができる。
<内部状態の推定>
以上の状態遷移確率と出力確率が学習によって獲得されると、次に、両者の情報を用いてドライバの内部状態を推定する。この内部状態は、最尤系列推定による手法や、イベントと各ステートとのトレリス上を前向きに辿る前向きアルゴリズム(forward algorithm)を用いた手法で推定することができる。最尤系列推定による手法では、ドライバの内部状態は離散的な数値で表現されるステート番号で出力される。前向きアルゴリズムでは、ドライバの内部状態はステート番号を連続的な数値で緻密に表現した期待値で出力される。本実施の形態においては、オンラインでの適用を考慮し、前向きアルゴリズムを用いて内部状態を推定する。
以上の状態遷移確率と出力確率が学習によって獲得されると、次に、両者の情報を用いてドライバの内部状態を推定する。この内部状態は、最尤系列推定による手法や、イベントと各ステートとのトレリス上を前向きに辿る前向きアルゴリズム(forward algorithm)を用いた手法で推定することができる。最尤系列推定による手法では、ドライバの内部状態は離散的な数値で表現されるステート番号で出力される。前向きアルゴリズムでは、ドライバの内部状態はステート番号を連続的な数値で緻密に表現した期待値で出力される。本実施の形態においては、オンラインでの適用を考慮し、前向きアルゴリズムを用いて内部状態を推定する。
詳細には、以下の(2−1),(2−2)のステップに従って逐次計算を行うことで、前向き確率(状態存在確率)αを計算する。尚、以下の式中において、π:事前確率、a:状態遷移確率、b:出力信号確率、o:計測されたデータとし、各変数の添字1は初期値であることを示す。
(2−1)各状態i=1,…,Nに対して、前向き確率の初期化を行う。
α1(i)=π1b1(o1)
(2−2)各時刻t=1,…,T−1、各状態j=1,…,Nについて、前向き確率を再帰的に計算する。尚、再帰計算におけるΣはj=1〜Nについての総和である。
αt+1(j)=[Σαt(i)aij]bj(ot+1)
(2−1)各状態i=1,…,Nに対して、前向き確率の初期化を行う。
α1(i)=π1b1(o1)
(2−2)各時刻t=1,…,T−1、各状態j=1,…,Nについて、前向き確率を再帰的に計算する。尚、再帰計算におけるΣはj=1〜Nについての総和である。
αt+1(j)=[Σαt(i)aij]bj(ot+1)
この前向きアルゴリズムによる状態推定は、時刻t=0,1,2,3,4,…の各ステップにおいて全ての遷移確率を計算している。これは存在確率の低いステートも考慮した状態推定であることから、高精細な内部状態の推定が可能となる。尚、確率計算の始めのステップでは、HMMの状態遷移確率から求められる事前確率を、各ステートへの存在確率として用いる。
逐次計算によって求められた各ステートへの状態存在確率αからは、以下に示すように期待値μが計算される。この期待値μがステート番号を離散的な値でなく連続的な数値で緻密に表現したドライバ内部状態として出力される。この期待値μがドライバの意識している(把握している)リスクレベルとなる。尚、xは確率変数の値(ここではステート番号)であり、Σはi=1〜Nの総和である。
μ=Σxiαi
μ=Σxiαi
<ドライバの意識しているリスクレベルの出力>
ドライバ状態推定部3でドライバの内部状態として各ステートへの存在確率から計算されたステートの番号(或いは期待値)は、一次ローパスフィルタ(例えば、カットオフ周波数0.3Hz)でフィルタリングされて出力される。この出力値がドライバの意識しているリスクレベルに相当する。運転評価部4、ドライバ誘導部6にこの出力値がドライバ把握リスクとして出力される。
ドライバ状態推定部3でドライバの内部状態として各ステートへの存在確率から計算されたステートの番号(或いは期待値)は、一次ローパスフィルタ(例えば、カットオフ周波数0.3Hz)でフィルタリングされて出力される。この出力値がドライバの意識しているリスクレベルに相当する。運転評価部4、ドライバ誘導部6にこの出力値がドライバ把握リスクとして出力される。
[安全運転度の評価処理]
運転評価部4は、ドライバ状態推定部3から出力されるドライバ把握リスクと運転操作、ドライバ挙動、外部環境認識部2から出力される外部環境リスクに基づいて、ドライバの安全運転度を評価する。この運転評価部4の評価結果は、ドライバ誘導部6で参照される。
運転評価部4は、ドライバ状態推定部3から出力されるドライバ把握リスクと運転操作、ドライバ挙動、外部環境認識部2から出力される外部環境リスクに基づいて、ドライバの安全運転度を評価する。この運転評価部4の評価結果は、ドライバ誘導部6で参照される。
ドライバの安全運転度は、ドライバ状態推定部3で推定されたステートと、外部環境認識部2から現在得られているスカラ値の属するステートとの対応関係で評価することができる。ドライバ状態推定部3で推定されたステートが外部環境認識部2から現在得られているスカラ値の属するステートと同じであれば、ドライバは環境を適切に認識した上で正常な運転操作を行っていると判断することができる。
また、ドライバ状態推定部3で推定されたステートが外部環境認識部2から現在得られているスカラ値の属するステートと異なる場合もある。推定されるステートのリスクレベルの方が外部環境認識部2から得られるリスクレベルより高い場合には、ドライバが緊張状態にあると判断することができる。逆に推定されるステートのリスクレベルの方が外部環境認識部2から得られるリスクレベルより低い場合には、ドライバの危険認識度が低い、すなわち安全性が損なわれる可能性の高い運転状態であると判断することができる。
具体的な評価手法としては、予め以下の(3−1)〜(3−5)に示す5段階の状態を領域分けして各領域毎に安全運転点数を定義する。
(3−1)領域R1(安全運転点数=100点)
システムが認識しているリスク(外部環境リスク)とドライバが認識しているリスク(ドライバ把握リスク)との対応状態が良好であり、ドライバがリスクを適切に把握して運転している状態
(3−2)領域R2(安全運転点数=80点)
外部環境リスクよりもドライバ把握リスクの方がやや高く、ドライバが若干の安全過多で運転している状態
(3−3)領域R3(安全運転点数=50点)
外部環境リスクの方がドライバ把握リスクよりもやや高く、ドライバが覚醒度の低下等により、やや不安全の運転をしている状態
(3−4)領域R4(安全運転点数=30点)
外部環境リスクよりドライバ把握リスクの方が異常に高く、ドライバが見間違いや勘違いをしたり、過度に緊張している状態
(3−5)領域R5(安全運転点数=0点)
外部環境リスクの方がドライバ把握リスクよりも異常に高く、ドライバが見落としやよそ見をしたり、居眠りをしている状態
(3−1)領域R1(安全運転点数=100点)
システムが認識しているリスク(外部環境リスク)とドライバが認識しているリスク(ドライバ把握リスク)との対応状態が良好であり、ドライバがリスクを適切に把握して運転している状態
(3−2)領域R2(安全運転点数=80点)
外部環境リスクよりもドライバ把握リスクの方がやや高く、ドライバが若干の安全過多で運転している状態
(3−3)領域R3(安全運転点数=50点)
外部環境リスクの方がドライバ把握リスクよりもやや高く、ドライバが覚醒度の低下等により、やや不安全の運転をしている状態
(3−4)領域R4(安全運転点数=30点)
外部環境リスクよりドライバ把握リスクの方が異常に高く、ドライバが見間違いや勘違いをしたり、過度に緊張している状態
(3−5)領域R5(安全運転点数=0点)
外部環境リスクの方がドライバ把握リスクよりも異常に高く、ドライバが見落としやよそ見をしたり、居眠りをしている状態
これらの領域は一定期間毎に評価され、以下に示すように、期間内に観測される各領域の点数の期待値が安全運転度として出力される。尚、期間内にドライバの急操作が観測された場合には、安全運転度を減点する。例えば、急ハンドル、急アクセル、急ブレーキが観測された場合、このような操作は無条件に不安全であると判定し、サンプリング周期毎に予め定めた点数(例:1点)を減点する。例えば、急アクセルが5サンプリング周期にわたって観測されたときは、領域R1〜R5にかかわらず5点減点する。
[安全運転度]=100×[領域R1の観測確率]+80×[領域R2の観測確率]+50×[領域R3の観測確率]+30×[領域R4の観測確率]+0×[領域R5の観測確率]−(急操作による減点)
[安全運転度]=100×[領域R1の観測確率]+80×[領域R2の観測確率]+50×[領域R3の観測確率]+30×[領域R4の観測確率]+0×[領域R5の観測確率]−(急操作による減点)
以上の安全運転度の評価は、図4のフローチャートに示すプログラム処理によって実施される。ここで、安全運転度評価のプログラム処理について説明する。
この安全運転度評価のプログラム処理では、先ず、最初のステップS11において、領域カウンタを初期化する。図5に示すように、ドライバ把握リスク値から外部環境リスク値を減算したリスク差をMとする。そして、このリスク差Mを横軸とする範囲を閾値±A,±Bで区切って上述の領域R1〜R5を定義する。これは、それぞれの領域の出現頻度をカウントするためのものであり、領域R1〜R5のそれぞれにカウンタが設けられている。
尚、各領域は、M=0を原点とする−A〜+Aの範囲が領域R1、+A〜+Bの範囲が領域R2、−A〜−Bの範囲が領域R3、+B以上の範囲が領域R4、−B以下の範囲が領域R5に該当する。
先ず、領域R1〜R5カウンタを初期化する。次いで、ステップS12へ進んで現在のリスク差Mから領域を判断する。そして、ステップS13〜S17の該当するステップで領域カウンタをカウントアップする。次いで、ステップS18へ進み、評価期間が終了したか否かを調べる。評価期間内の場合にはステップS12へ戻る。評価期間を終了した場合、ステップS19へ進んで評価期間内での各領域の観測確率を計算し、ステップS20で、各領域における安全運転点数の期待値を計算する。
その後、ステップS21へ進み、評価期間内に、ドライバの急ハンドル・急ブレーキ・急アクセル等の急操作が観測されたか否かを調べる。急操作が観測されていない場合には、ステップS23へ進み、各領域R1〜R5で観測確率に基づいて安全運転度を計算・出力し、急操作が観測されている場合、ステップS22で安全運転点数を例えば所定の一定点数だけ減点する等して減点処理した後、安全運転度を出力する。
[発話処理]
次に、ドライバ誘導部6は、誘導刺激候補群選定部6aにてドライバに提示する発話語句の候補群を選定し、タイミングトリガ部6bでドライバの運転操作に合致した発話語句を特定して出力する。概略的に、先ず、走行環境リスクとドライバ把握リスクと安全運転度の評価結果に基づいて、予めシステムに登録された複数の発話語句の中から所定の数の語句をセットとして、発話候補群を選定する。
次に、ドライバ誘導部6は、誘導刺激候補群選定部6aにてドライバに提示する発話語句の候補群を選定し、タイミングトリガ部6bでドライバの運転操作に合致した発話語句を特定して出力する。概略的に、先ず、走行環境リスクとドライバ把握リスクと安全運転度の評価結果に基づいて、予めシステムに登録された複数の発話語句の中から所定の数の語句をセットとして、発話候補群を選定する。
この発話候補群を選定した時点では、音声は出力されず、或る程度明確な運転操作(車両停止を含む)を検出したとき、それをトリガとして発話候補群の中から現在の運転状態に合致した語句を特定し、音声出力する。これは、ドライバの運転操作に合わせて一つの語句を決定し、リアルタイムに発話出力を行っても、ドライバが運転中の状況変化に気づいていない場合には、何についての発話なのか、なぜ今のタイミングなのか等が分からず、ドライバが混乱する虞があるためである。
また、ドライバの受容度が低い状態(システムからの発話を受け入れる余裕がない状態)に対して、決定された語句出力を一義的に延期し、信号停止など受容度が上がったときに出力すると、場合によっては発話語句の決定から出力まで長時間経ってしまうことがあり、そのような場合、発話語句が決定されたときの状況と音声が出力されたときの状況の食い違いなどから、ドライバが音声を聞いても理解できなかったり、誤解を招いたりすることがある。これに対して、本システムでは、語句の選定から音声出力までの時間が或る程度あったとしても、音声出力時点の状況に合致した語句を出力するため、発話語句が決定されたときの状況と音声が出力されたときの状況との食い違いによる誤解を生じさせることはない。
発話候補群は、例えば、走行環境リスクとドライバ把握リスクが適切に合致している状況では、誘導刺激候補群選定部6aにおいて、例えば、以下のような複数の語句がセットで選定される。
(適切なアクセル操作です)
(ブレーキ操作、良いですね)
(慎重な運転で良いですね)
(周囲にあった良い運転です)
(良いハンドル操作ですね)
(適切なアクセル操作です)
(ブレーキ操作、良いですね)
(慎重な運転で良いですね)
(周囲にあった良い運転です)
(良いハンドル操作ですね)
その後、タイミングトリガ部6bは、ドライバの運転操作の中から、アクセルONや右左折操舵等の、ある程度明確な運転操作を検出した時点で、その操作に相応しい語句を発話候補群から検索し、聴覚提示部7aを介して音声を出力する。
<発話候補群の選定>
発話候補群の選定は、図6のフローチャートに示すプログラム処理によって実施される。次に、発話候補群選定のプログラム処理について説明する。
発話候補群の選定は、図6のフローチャートに示すプログラム処理によって実施される。次に、発話候補群選定のプログラム処理について説明する。
この発話候補群選定処理では、最初のステップS31において、外部環境のリスク情報(シーンリスク)、ドライバの把握リスク情報、ドライバの安全運転度情報(安全運転度を指数化した安全運転指数)を入力し、現在の運転状態が発話候補選択条件に該当するか否かを判断する。発話候補選択条件は、シーンリスクに対するドライバの運転状態から発話対象となる複数の語句を選択するための条件であり、例えば、以下に示すような条件が予め設定されている。
◇発話候補選択条件
・シーンリスク高 :(車両の外部環境の危険度が高い)
・シーンリスク低 :(車両の外部環境の危険度が低い)
・把握リスク高 :(ドライバが把握している危険度が高い)
・把握リスク低 :(ドライバが把握している危険度が低い)
・リスク余裕マイナス:(シーンリスクより把握リスクが低い)
・リスク余裕プラス :(シーンリスクより把握リスクが高い)
・リスク余裕ゼロ :(シーンリスクと把握リスクがほぼ同じ)
・指数90以上 :(安全運転指数が90以上)
・指数80以上 :(安全運転指数が80以上)
・指数60以下 :(安全運転指数が60以下)
・指数50以下 :(安全運転指数が50以下)
・標語S :(安全運転標語がSランク)
・標語A :(安全運転標語がAランク)
・長時間運転 :(運転継続時間が長い)
・ランクアップ :(安全運転標語があとすこしでランクアップする)
・シーンリスク高 :(車両の外部環境の危険度が高い)
・シーンリスク低 :(車両の外部環境の危険度が低い)
・把握リスク高 :(ドライバが把握している危険度が高い)
・把握リスク低 :(ドライバが把握している危険度が低い)
・リスク余裕マイナス:(シーンリスクより把握リスクが低い)
・リスク余裕プラス :(シーンリスクより把握リスクが高い)
・リスク余裕ゼロ :(シーンリスクと把握リスクがほぼ同じ)
・指数90以上 :(安全運転指数が90以上)
・指数80以上 :(安全運転指数が80以上)
・指数60以下 :(安全運転指数が60以下)
・指数50以下 :(安全運転指数が50以下)
・標語S :(安全運転標語がSランク)
・標語A :(安全運転標語がAランク)
・長時間運転 :(運転継続時間が長い)
・ランクアップ :(安全運転標語があとすこしでランクアップする)
以上の発話候補選択条件に該当する場合、ステップS32へ進み、条件に該当する語句群を、図7に示すような発話語句テーブルから選択し、発話候補群として登録する。発話語句テーブルは、予めシステムに登録済みの複数の発話語句のそれぞれに対して、各発話候補選択条件毎に、非選択、選択、削除等の属性情報を記録した関係表である。尚、ここでの発話語句とは、音声のみならず通常の警報音も含むものとする。
続くステップS33では、発話候補として登録された語句群の中から、状況の変化によって適切でなくなった語句があるか否かを判断し、発話候補群の更新処理を行う。この発話候補群に対する更新は、現在の運転状態に対して適切でなくなった語句を除去したり、前回発話候補群を選定してから一定時間経過後若しくは一定距離走行後に候補から外すといった処理を行い、更に、状況に応じて新たな語句を発話候補群に追加する。
尚、本実施の形態においては、図7の発話語句テーブルに対して更新を行うものとするが、発話候補として選択された複数の語句を登録する発話候補リストを別途作成し、この発話候補リストから状況に合わなくなった語句を削除したり、追加登録するようにしても良い。
図7に示す発話語句テーブルは、各行の項目として音声合成ファイルに対応する複数の発話語句WDi(i=0,1,2,…)が登録され、各列の項目として発話候補選択条件Dj(j=0,1,2,…)が登録されている。発話語句WDiと発話候補選択条件Djとによって特定される各セルには、非選択、選択、削除等の属性情報が記録される。例えば、セルが非選択の状態では、”0”の数値、発話候補として選択された場合には、”1”の数値、選択された後の状況の変化によって適切ではなくなったと判断された場合には、削除を示す”−1”の数値が書き込まれる。
例えば、リスク余裕ゼロの選択条件、すなわち、シーンリスクとドライバ把握リスクとの対応が取れており、ドライバが正しく外部環境を認識して運転している好ましい状況である場合には、属性が”1”にセットされている番号iの語句、例えばNo29〜35の語句が発話語句候補群として選択される。
No29(良いハンドル操作ですね。)
No30(適切なアクセル操作ですね。)
No31(ブレーキ操作、良いですね。)
No32(すごく安心できる運転です。)
No33(ゆとりのある運転ですね。)
No34(乗っていて心地よい運転です。)
No35(周囲に合った良い運転です。)
No36(集中した運転でよいですね。)
No29(良いハンドル操作ですね。)
No30(適切なアクセル操作ですね。)
No31(ブレーキ操作、良いですね。)
No32(すごく安心できる運転です。)
No33(ゆとりのある運転ですね。)
No34(乗っていて心地よい運転です。)
No35(周囲に合った良い運転です。)
No36(集中した運転でよいですね。)
<発話タイミングトリガ処理>
発話候補が選択されると、タイミングトリガ部6bは、ドライバの運転操作、車両状態等の状況に適した語句を発話候補群の中から選択し、対応する音声合成ファイルによる音声再生で発話語句を出力する。
発話候補が選択されると、タイミングトリガ部6bは、ドライバの運転操作、車両状態等の状況に適した語句を発話候補群の中から選択し、対応する音声合成ファイルによる音声再生で発話語句を出力する。
この発話タイミングトリガのプログラム処理は、図8のフローチャートに示される。この発話タイミングトリガ処理では、最初のステップS41において、発話タイミング判定を行う。この発話タイミング判定は、ドライバに対する適切な発話タイミングを判定するものであり、本実施の形態においては、或る程度明確な運転操作が行われたときを発話出力のトリガ条件として設定しておく。これは、ドライバが発話とそのときの操作とを結び付け、内容を理解し易いようにするためである。
例えば、現在のドライバの運転操作・状況が、以下に示すようなトリガ条件に合致するか否かを判定し、トリガ条件に合致するとき、図9に示すタイミングトリガテーブルを参照して、発話対象となる語句に対してタイミングトリガを発行する。
◇トリガ条件
・車両停止 :(車両が停止したとき)
・Pレンジ投入:(シフトがパーキングレンジに入ったとき)
・右操舵 :(右折等の右操舵時)
・左操舵 :(左折等の左操舵時)
・回避操舵 :(駐車車両等をよける操舵をしたとき)
・アクセルON
・アクセル踏み込み
・アクセルOFF
・ブレーキON
・ブレーキ踏み込み
・ブレーキOFF
・アクセル・ブレーキ踏み変え
・車両停止 :(車両が停止したとき)
・Pレンジ投入:(シフトがパーキングレンジに入ったとき)
・右操舵 :(右折等の右操舵時)
・左操舵 :(左折等の左操舵時)
・回避操舵 :(駐車車両等をよける操舵をしたとき)
・アクセルON
・アクセル踏み込み
・アクセルOFF
・ブレーキON
・ブレーキ踏み込み
・ブレーキOFF
・アクセル・ブレーキ踏み変え
タイミングトリガテーブルは、発話語句テーブルの各発話語句に対して、トリガ条件毎に、トリガの発行と非発行とを記録した関係表である。すなわち、図9に示すように、テーブルの各行の発話語句WDi(i=0,1,2,…)と、各列のトリガ条件Tj(j=0,1,2,…)とによって特定される各セルに、トリガの非発行を示す”0”のデータ、或いはトリガの発行を示す”1”のデータが書き込まれている。
そして、ステップS42で、タイミングトリガを発行した語句が、発話語句テーブルで”1”の属性がセットされている発話候補群の中の語句であるとき、その語句を実際に発話出力する語句として決定し、該当する音声合成ファイルを用いて音声再生を行い、スピーカ等から出力する。
例えば、前述したように、リスク余裕ゼロの選択条件で、発話語句候補群としてNO29〜No36の語句が選択されているとき、ドライバが右操舵又は左操舵すると、右操舵又は左操舵をトリガ条件として、No29の(良いハンドル操作ですね。)に対してタイミングトリガが発行され、発話される。
No29(良いハンドル操作ですね。)→タイミングトリガ発行→発話
No30(適切なアクセル操作ですね。)→タイミングトリガ非発行
No31(ブレーキ操作、良いですね。)→タイミングトリガ非発行
No32(すごく安心できる運転です。)→タイミングトリガ非発行
No33(ゆとりのある運転ですね。)→タイミングトリガ非発行
No34(乗っていて心地よい運転です。)→タイミングトリガ非発行
No35(周囲に合った良い運転です。)→タイミングトリガ非発行
No36(集中した運転でよいですね。)→タイミングトリガ非発行
No29(良いハンドル操作ですね。)→タイミングトリガ発行→発話
No30(適切なアクセル操作ですね。)→タイミングトリガ非発行
No31(ブレーキ操作、良いですね。)→タイミングトリガ非発行
No32(すごく安心できる運転です。)→タイミングトリガ非発行
No33(ゆとりのある運転ですね。)→タイミングトリガ非発行
No34(乗っていて心地よい運転です。)→タイミングトリガ非発行
No35(周囲に合った良い運転です。)→タイミングトリガ非発行
No36(集中した運転でよいですね。)→タイミングトリガ非発行
また、ドライバがアクセルON、またはアクセル踏み込みしたときには、No30の(適切なアクセル操作ですね。)に対してタイミングトリガが発行され、発話出力される。この場合、他のブレーキON、ブレーキOFF、アクセル・ブレーキ踏み変えにおいても、その操作に関係した音声が出力される。
<誘導パラメータの更新>
以上の処理で選択・出力される発話語句は、ドライバの安全運転度情報に基づいて誘導パラメータ更新部6cにて評価される。誘導パラメータ更新部6cは、効果的に安全運転に誘導できるよう、テキスト等の発話の種類・内容、音量等の発話の強度、音程や発話速度等の発話の質、イントネーション等の発話のパターン、発話の出力タイミング等を決定する誘導パラメータを更新する。
以上の処理で選択・出力される発話語句は、ドライバの安全運転度情報に基づいて誘導パラメータ更新部6cにて評価される。誘導パラメータ更新部6cは、効果的に安全運転に誘導できるよう、テキスト等の発話の種類・内容、音量等の発話の強度、音程や発話速度等の発話の質、イントネーション等の発話のパターン、発話の出力タイミング等を決定する誘導パラメータを更新する。
例えば、リスク余裕ゼロの選択条件で、発話語句候補群としてNO29〜No36の語句が選択されているとき、ドライバが回避操作すると、以下に示すように、NO29,No32〜No36の語句に対してタイミングトリガが発行される。このとき、NO29,No32〜No36の語句のうち、ランダムで何れかが発話されるか、これまでの発話履歴を考慮して前回の発話語句と異なるものを優先して発話する等の選択を、誘導パラメータ更新部6cでの評価結果によって決定する。
No29(良いハンドル操作ですね。)
No32(すごく安心できる運転です。)
No33(ゆとりのある運転ですね。)
No34(乗っていて心地よい運転です。)
No35(周囲に合った良い運転です。)
No36(集中した運転でよいですね。)
No29(良いハンドル操作ですね。)
No32(すごく安心できる運転です。)
No33(ゆとりのある運転ですね。)
No34(乗っていて心地よい運転です。)
No35(周囲に合った良い運転です。)
No36(集中した運転でよいですね。)
このような誘導パラメータの評価は、図10に示すように、発話語のそれぞれについて、発話前後の一定区間(例えば、30sec〜5min)におけるドライバの安全運転度を計算し、発話前後の安全運転度を比較して評価する。そして、評価値の向上が観測された場合には、その発話語の選択頻度を高くするように誘導パラメータを更新する。
誘導パラメータ更新のプログラム処理は、図11のフローチャートに示される。最初のステップS101は発話出力を検知する検知ループとして構成される。ステップS101で発話出力が検知されると、ステップS102へ進み、発話前の一定区間の安全運転度を計算した安全運転度情報を運転評価部4から取得する。
次に、ステップS103へ進み、発話後に一定時間が経過したか否かを調べる。そして、一定時間が経過するまでの待ちループを経て一定時間が経過すると、ステップS103からステップS104へ進み、発話後の一定区間の安全運転度を計算した安全運転度情報を運転評価部4から取得する。
続くステップS105では、発話前の一定区間における安全運転度と発話後の一定区間における安全運転度とを比較する。例えば両者の比を評価値として算出する。そして、この評価値から安全運転度が向上しているか否かを調べる。その結果、安全運転度が向上している場合には、ステップS106で該当発話語の選択優先度を増加させる。安全運転度が向上していない場合、ステップS107で該当発話語の選択優先度を低下させる。
これは、ある発話語が出力されたことによってその後の安全運転度が向上した場合には、その発話語がその運転者にとって有効な語句(例えば、聞き取りやすい、理解しやすい、説得力がある)であるとみなして、以降の発話出力においてより頻度が高く選択されるようにすることに相当し、また逆に、ある発話語の出力後に運転者の安全運転度が向上していない場合は、その語句はその運転者にとって適切でない語句(例えば、聞き取りにくい、理解しがたい、納得しがたい)であるとみなして、以降の発話出力でより選択頻度が低下するようにすることに相当する。
但し、実際には、発話語句以外の外部の影響や、図10に示すように複数の語の影響によってドライバの安全運転度は変化する事が考えられるため、あくまでも選択度を上下させることに留め、一回の比較で発話の禁止や毎回発話するようにする直接的な変更は避けている。
ステップS106,S107で発話語の選択優先度を変更した後は、ステップS101へ戻り、上述の処理を繰り返す。これにより、学習が進行し、安全運転への誘導効果を向上することができる。
尚、語が接近して発話された場合には、複数の語の影響が安全運転度に反映されると考えられる。この場合、安全運転度の比較、評価に影響を与える虞がある。ただし、長期で見れば、同じ語が接近して繰り返し発話される機会は少ないと考えられることから、長時間の学習により、その影響を小さくすることができる。
<発話出力例>
図12は、以上の運転行動誘導システム1による発話誘導の出力例を示すものである。図12からは、ドライバはブレーキを踏んでおり、何らかのリスクを把握したと推定される。しかしながら、ブレーキの踏み込みが弱いため、把握リスクの値が変化するほどではなく、図中に示すように、走行環境リスクとの乖離が生じ、リスクの見落とし状態が発生している。このとき、「安全確認が大切です」という発話語句が候補に追加され、その後、ドライバがアクセルを踏み込む操作を行った時点でトリガがかかり(三角形の記号で示すタイミング)、「安全確認が大切です」と音声出力されている。結果として、発話開始を境にドライバがアクセルを戻し始め、車速が低下する等の安全側に推移していることがわかる。
図12は、以上の運転行動誘導システム1による発話誘導の出力例を示すものである。図12からは、ドライバはブレーキを踏んでおり、何らかのリスクを把握したと推定される。しかしながら、ブレーキの踏み込みが弱いため、把握リスクの値が変化するほどではなく、図中に示すように、走行環境リスクとの乖離が生じ、リスクの見落とし状態が発生している。このとき、「安全確認が大切です」という発話語句が候補に追加され、その後、ドライバがアクセルを踏み込む操作を行った時点でトリガがかかり(三角形の記号で示すタイミング)、「安全確認が大切です」と音声出力されている。結果として、発話開始を境にドライバがアクセルを戻し始め、車速が低下する等の安全側に推移していることがわかる。
このように、本実施の形態における運転行動誘導システム1は、安全運転誘導システムとして適用した場合、安全運転への誘導刺激となる発話語句の音声出力を、ドライバの普段の運転を基準としてドライバが現在把握しているリスクを推定した上で、ドライバ個人個人の運転個性を加味した安全運転度を評価している。これにより、万人共通の画一的な運転行動を規範とする技術と比較して、より個々のドライバに適合した違和感の無い効果的な誘導とすることができる。
安全運転度の評価は、外部環境リスクとドライバ把握リスクの対応状態を基にして評価する。このため、常にドライバに完全な覚醒状態を求めるような手法と異なり、あくまでも外部環境のリスクを正しく把握することを安全運転の指標とした現実的な安全運転誘導システムを実現することができる。
また、本運転行動誘導システム1による安全運転への誘導は、先ず、発話語句の候補群を選定し、選定した候補群の中から現在の運転状態に合致した発話語句を特定して音声出力するため、何についての発話なのか、なぜ今のタイミングなのかが分からずにドライバが混乱するといったことがない。しかも、ドライバは或る程度明確な運転操作をしたときに、その操作に関係した発話を聞くことができるため、その操作を控える(好ましくない操作のとき)、或いはその操作を意識して行う(好ましい操作のとき)ようになり、ドライバへの働きかけ効果が大きくなる。
更に、本運転行動誘導システム1による安全運転への誘導は、誘導刺激の種類・内容・強度・質・出力タイミング、パターン等を決定するための誘導パラメータを、安全運転度情報を元に更新するため、個々のドライバにとってより安全運転へ効果的に誘導するシステムへと変化させることができる。
また、以上の運転行動誘導システムは、安全運転への誘導のみに限定されるものではない。運転行動誘導システムは、その他、ドライバの燃料消費率(燃費)の向上を目指す運転行動への誘導や、ドライバのスキル向上への誘導を行うこともできる。「燃費」を動機として誘導する場合は、例えば、図13に示すような発話語句のリストを、発話語句テーブル及びタイミングトリガテーブルに保持し、非効率に燃料を消費することをリスクと捉えて、そのリスクを小さくするように発話誘導を行う。
同様に、「速さ」や「踏破性」を動機として、ドライバのスキル向上への誘導を行うことも可能である。従来、このような場合には、直接車両制御を介入させ、ある程度物理的な最適解に達するよう制御する例が多い。しかしながら、強制的な車両制御の介入は、ドライバの運転個性を考慮していないことからドライバに違和感を与え、必ずしも有効ではない。これに対して、本運転行動誘導システムは、ドライバそれぞれの個人特性に応じた最適な運転行動へと誘導を行うことができ、ドライバの能力を効果的に向上させることが可能となる。
このように、本運転行動誘導システムは、安全運転、燃費向上、ドライバのスキル向上等の各種運転行動へ効果的な誘導が可能である。このため、図14に示すように、ある程度汎用的な用途を想定した発話語句のリストを、発話語句テーブル及びタイミングトリガテーブルに保持するようしても良い。
この汎用的な発話語句のリストでは、ドライバの運転行動を「ランク」付けし、対応する発話語を格納している。具体的に安全運転や燃費向上への誘導として適用する場合には、「ランク」を、「安全」、「燃費」等に置き換えて出力することが可能である。これにより、一つのシステムで複数の誘導システムとして機能させる場合に、複数のリストを保持する必要がなく、メモリ容量を低減することができる。
1 運転行動誘導システム
2 外部環境認識部
3 ドライバ状態推定部
4 運転評価部
6 ドライバ誘導部
6a 誘導刺激候補群選定部
6b タイミングトリガ部
6c 誘導パラメータ更新部
7 誘導刺激提示装置
2 外部環境認識部
3 ドライバ状態推定部
4 運転評価部
6 ドライバ誘導部
6a 誘導刺激候補群選定部
6b タイミングトリガ部
6c 誘導パラメータ更新部
7 誘導刺激提示装置
Claims (8)
- 移動体を運転するドライバの状態を推定して該ドライバの運転行動に対する誘導を行う運転行動誘導システムであって、
上記移動体の外部環境をセンシングして外部環境を認識する外部環境認識部と、
ドライバの外部環境認識状態をドライバの内部状態として推定するドライバ状態推定部と、
上記ドライバの内部状態の推定結果と上記外部環境の認識結果と上記移動体の運転操作情報とに基づいて、ドライバに与える誘導刺激の候補群を選定する誘導刺激候補群選定部と、
上記誘導刺激の候補群の中から、上記移動体の運転状態をトリガとしてドライバに提示すべき誘導刺激を選択的に出力するタイミングトリガ部と
を備えることを特徴とする運転行動誘導システム。 - 上記誘導刺激を、ドライバの運転行動がより安全方向に変化するような発話語句として音声出力することを特徴とする請求項1記載の運転行動誘導システム。
- 上記誘導刺激を、ドライバの運転行動がより燃料消費率の少ない運転に変化するような発話語句として音声出力することを特徴とする請求項1記載の運転行動誘導システム。
- 上記誘導刺激の候補群を、運転状態の変化に応じて随時更新することを特徴とする請求項1〜3の何れか一に記載の運転行動誘導システム。
- 上記候補群の更新を、一定時間経過後若しくは一定距離走行後に行うことを特徴とする請求項4記載の運転行動誘導システム。
- 上記トリガによる発話語句を、発話履歴に応じて選択的に音声出力することを特徴とする請求項2又は3記載の運転行動誘導システム。
- 上記ドライバの内部状態の推定結果と上記外部環境の認識結果とに基づいて、ドライバの運転を評価する運転評価部と、
上記ドライバの運転の評価結果に基づいて、上記誘導刺激を決定するための誘導パラメータを更新する誘導パラメータ更新部と
を更に備えることを特徴とする請求項1記載の運転行動誘導システム。 - 上記ドライバ状態推定部は、上記外部環境の認識結果とドライバの運転特性との対応関係を学習することにより、上記ドライバの内部状態を推定することを特徴とする請求項1記載の運転行動誘導システム。
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