[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る発光装置100を図1〜図19に基づいて説明する。図1に示すように、発光装置100は、プラズマ生成装置500と、プラズマ生成装置500に対して粉体を供給する粉体供給装置10と、プラズマ生成装置500に供給された粉体の重量を計量するための計量器300とを備えている。
粉体供給装置10は粉体を収容した供給ドラム11を備え、供給ドラム11は密閉ケース400内に収容されている。密閉ケース400は、外部から隔離された内部空間を有した箱形構造をなしており、上下方向の中間部に備えた内部仕切壁410によって第1ケース451と第2ケース452とに仕切られている(図2参照)。供給ドラム11は、内部仕切壁410より上側の第1ケース451に収容されており、内部仕切壁410より下側の第2ケース452にはプラズマ生成装置500が収容されている。
第1ケース451及び第2ケース451,452は、一側面に開口部を備え、各開口部の一側縁にはそれぞれ透明扉402,403が備えられている(図1参照)。密閉ケース400一側壁には図示しないガス供給源に接続されて第1ケース451の内部空間に連通したガス供給管404が設けられ、密閉ケース400の一側壁と対向した他側壁には第2ケース452の内部空間に連通したガス排出管405が設けられている。
さらに、密閉ケース400には、粉体供給装置10(供給ドラム11)から排出された粉体及びガス供給管404から第1ケース451の内部空間に供給されたガスを第2ケース452の内部空間に導入するための導入管411が備えられている。図2に示すように、導入管411は、内部仕切壁410を貫通して上下方向に延びており、第1ケース451と第2ケース452の内部空間同士を常時連通している。
図1に示すように、密閉ケース400の天井壁408(以下、「ケース天井壁408」という)の上面には、固定ベース310が固定載置されている。固定ベース310は、水平な天板311の両側縁部からケース天井壁408に向かって1対の側板が垂下したテーブル形をなしており、天板311の上面に、計量器300(例えば、電子天秤又は台秤)が載置されている(図3参照)。
密閉ケース400の外部上方には、ケース天井壁408から離間した状態で上下動可能な可動ベース320が備えられている。可動ベース320は、縦長の枠形構造をなしている。詳細には、可動ベース320は、鉛直方向に延びた1対の側板321,321の上端部同士を水平方向に延びた上水平板322Aにて連結すると共に、1対の側板321,321の下端部同士を水平方向に延びた下水平板322Bにて連結した構造になっている。
上水平板322Aのうち水平方向のちょうど中央部は計量器300上面に備えた計量台301に載置されており、1対の側板321,321は、天板311を非接触で貫通している(図3参照)。また、下水平板322Bは、ケース天井壁408との間に隙間を空けて上方から対向しかつケース天井壁408と平行に配置されている。
粉体供給装置10の供給ドラム11は、第1ケース451に収容された状態でケース天井壁408から吊り下げられている。
供給ドラム11は、粉体を収容可能な容器構造をなし、下面から下方に排出可能となっている。図5に示すように、供給ドラム11は、大径筒部12と小径筒部13とを備え、大径筒部12の下端部と小径筒部13の上端部との間が中間段差壁14によって連結されている。小径筒部13は中間段差壁14の中心から鉛直下方に突出しており、大径筒部12に収容された(中間段差壁14に堆積した)粉体は、小径筒部13の内側を通って小径筒部13の下端面から排出される。ここで、供給ドラム11と内部仕切壁410を貫通した導入管411とは同軸線上に配置され、供給ドラム11の下端部と前記導入管411の上端部とは、常時隙間が形成されて非接触状態となっている。
図5に示すように、大径筒部12の上端は開放しており大径キャップ15にて閉じられている。即ち、大径キャップ15は大径筒部12の上端外周面に螺合されている。
大径キャップ15には、後述する粉体補給装置200から供給ドラム11に粉体を補給するための補給口15Aが形成されている。補給口15Aは、大径キャップ15の中心からずれた位置に偏在しており、上方を向いて常時開放となっている。
大径キャップ15の中心には中心孔15Bが貫通形成されている。中心孔15Bには、軸受け16が回転不能に嵌合されており、その軸受け16によって容器内回転シャフト20が回転可能に軸支されている。軸受け16は、例えば、「滑り軸受け」であって、軸心部を容器内回転シャフト20が摺接可能に貫通した筒形構造をなしており、上端部から側方に張り出したフランジが中心孔15Bの開口縁に係止されている。なお、軸受け16は、全体又は容器内回転シャフト20との摺動面が摩擦抵抗の小さい樹脂(具体的には、PTFE樹脂)で構成されている。また、軸受け16は、スラストベアリングでもよい。
大径キャップ15の上面で中心孔15Bの側方位置からは筒形螺合壁15Cが起立している。筒形螺合壁15Cの外周面には雄螺旋が形成されており、後述するキャップ形ジョイント170が螺合結合している。キャップ形ジョイント170の構成については後に詳説する。
図5に示すように、容器内回転シャフト20は大径筒部12の中心軸に沿って延びている。容器内回転シャフト20の上端部は大径キャップ15を貫通してキャップ形ジョイント170内に突出しており、容器内回転シャフト20の下端部には、大径筒部12内に収容された供給回転部材21が固定されている。
大径筒部12の内部には、供給回転部材21の他に、容器内円板30及び上面待ち受けガイド31が収容されている。容器内円板30は、大径筒部12の下端部中央に配置されて大径筒部12の内側に遊嵌している。即ち、容器内円板30は大径筒部12の内径よりも小径でかつ、小径筒部13の内径よりも大径な平らな円板であり、中間段差壁14及び供給回転部材21の上方に僅かに離して水平に取り付けられている。容器内円板30は容器内回転シャフト20に固定されており、大径筒部12内で供給回転部材21と一体回転する。
上面待ち受けガイド31は、容器内円板30上に堆積した粉体を、容器内円板30と大径筒部12の側壁との間に形成された環状空間38(図5参照)に掻き出すために設けられている。上面待ち受けガイド31は、全体としてL字形状をなしている。即ち、大径キャップ15の上端壁から中間段差壁14に向かって垂下した垂直板31Aと、垂直板31Aの下端部から大径筒部12の中心に向かって延びて容器内円板30の上面に隣接して配置された水平板31Bとから構成されている。
図8に示すように、水平板31Bを容器内回転シャフト20の側面に当接させて取り付けることで、容器内円板30の回転方向(図8の実線矢印の方向)に対して水平板31Bが傾斜し、容器内円板30に乗った粉体が水平板31Bに案内されて容器内円板30の縁部に向けて押し出される。また、水平板31Bは、大径筒部12の側壁に隣接する位置まで延びており、押し出された粉体を環状空間38から中間段差壁14上に流下させる。さらに、容器内円板30と上面待ち受けガイド31とが協働して大径筒部12内の粉体を撹拌するので、大径筒部12内で粉体が固まったり、詰まったりすることを防ぐことができる。
中間段差壁14に堆積した粉体は、容器内円板30の外縁部と中間段差壁14との間で所定の安息角の斜面を形成して静止する。これにより、供給回転部材21が停止した状態では、中間段差壁14から小径筒部13に粉体が供給されないようになっている。
供給回転部材21が回転すると、中間段差壁14に堆積した粉体のうち、前記所定の安息角を有した斜面の部分が削り取られて小径筒部13内へと送り込まれる。
供給回転部材21は、図9及び図10に示すように容器内回転シャフト20が貫通した中央板部25から側方に片持ち梁状の集粉羽23と散粉羽24とが延びている。これら集粉羽23と散粉羽24とが中間段差壁14の上面に摺接しつつ水平面内で回転する。
図9に示すように集粉羽23は、供給回転部材21の回転方向(図9の実線矢印の方向)とは逆側に膨らむように複数の平板をつなげた屈曲構造をなす一方、散粉羽24は、供給回転部材21の回転方向に対して傾斜した状態で中央板部25から大径筒部12の側壁に向かって真っ直ぐ延びている。また、集粉羽23は、その先端が大径筒部12の側壁と隣接した位置まで延びており、散粉羽24はそれより短くなっている。
供給回転部材21が回転すると、中間段差壁14に堆積した粉体が集粉羽23によって中間段差壁14の中心側に誘導されて小径筒部13へと送り込まれる。また、小径筒部13に入らなかった粉体は、散粉羽24により中間段差壁14の外側に押し戻されて、次に集粉羽23が通過したときに小径筒部13内に取り込まれる。
供給回転部材21の中央板部25のうち集粉羽23の付け根部分25Aには、補助ガイド壁22が形成されている。補助ガイド壁22は、中央板部25から斜めに切り起こされており、集粉羽23による粉体の誘導方向(図9の点線矢印の方向)に向かって徐々に下るように傾斜している。そして、集粉羽23に誘導されてその基端部に達した粉体は、補助ガイド壁22によって小径筒部13へと強制的に落とされる。
図5に示すように、供給ドラム11のうち、小径筒部13の下端部には、スクリーン板33が着脱可能に取り付けられている。スクリーン板33は、図11及び図12に示すように薄肉の円板に、供給回転部材21の旋回方向と交差する方向に延びた複数の粉体通過孔33Aを貫通形成した構造をなす。詳細には、各粉体通過孔33Aは、スクリーン板33の中心から外側に向かうに従って、供給回転部材21の回転方向(図12の実線矢印の方向)の後方に向かうように湾曲して延びている。
各粉体通過孔33Aは、小径筒部13内に送り込まれた粉体同士が付着(架橋)して形成された粉体アーチにより閉塞されると共に、その粉体アーチが崩れた状態で粉体が通過可能な大きさになっている。
即ち、通常は、スクリーン板33上に粉体が堆積しても通常は粉体同士が付着して粉体通過孔33Aを閉塞する粉体アーチを形成するため粉体が粉体通過孔33Aを通過することはない。なお、図示しないが、粉体通過孔33Aの形状が異なる複数種類のスクリーン板33が用意されており、発光装置100を使用する前に、粉体に適したスクリーン板33を任意に選択して取り付けることができるようになっている。なお、粉体通過孔33Aを有するスクリーン板33に替えて、多数の孔を有するパンチングメタル、エキスパンドメタル、織網を用いてもよい。
図5に示すようにスクリーン板33は、小径筒部13の外周面に螺合された支持ナット34によって小径筒部13の下端部に固定されている。図11に示すように、支持ナット34は、小径筒部13に螺合した螺合筒部34Aの下端部から中心に向かって鍔壁34Bが張り出した構造をなし、その鍔壁34Bと、小径筒部13の下端内周縁に形成された段差部13Aとの間で、スクリーン板33の外縁部が板厚方向で挟まれている。また、支持ナット34の外周面には有底の排出口キャップ35が螺合可能となっており、その排出口キャップ35によりスクリーン板33の下方(小径筒部13の下端開口)を封止可能となっている。
図10に示すように供給回転部材21には、集粉羽23及び散粉羽24の他に、中央板部25から下方に向かって延びた第1〜第3の旋回脚部26,27,28が一体に設けられている。図5に示すように、第1〜第3の旋回脚部26,27,28は、何れも小径筒部13の内側で旋回可能となっている。
図10に示すように、第1の旋回脚部26は対をなしており、間隔を空けて横並びに設けられている。第1の旋回脚部26は、中央板部25のうち散粉羽24の付け根部分25Bから延設されて、互いに平行な帯板状をなしている。第2の旋回脚部27は、中央板部25のうち集粉羽23の付け根部分25Aから延設されており、旋回方向の前方から見た幅が、第1の旋回脚部26より幅広の帯板状をなしている(図5参照)。これら第1及び第2の旋回脚部26,27は、互いに180度離れた位置に設けられており、図13及び図14に示すように、下方に向かうに従って供給回転部材21の旋回方向の後方へ向かうように斜めに延びている。なお、第1及び第2の旋回脚部26,27の傾斜は、鉛直方向に対して約30度が基本であるが、粉体特性に応じて変更してもよい。
図10に示すように、第3の旋回脚部28は、中央板部25のうち散粉羽24の付け根部分25Bから垂下しており、第1の旋回脚部26とほぼ同じ幅の帯板状をなしている。
図13に示すように、第1の旋回脚部26と第2の旋回脚部27は、長さが互いに異ならせてある。供給回転部材21の回転時には、第1の旋回脚部26の下端部がスクリーン板33の上面近傍(スクリーン板33の上面に接触しないすれすれ)を旋回する。これに対し、第2の旋回脚部27の下端部は、第1の旋回脚部26の下端部よりスクリーン板33の上方部分を旋回する。これら第1及び第2の旋回脚部26,27がスクリーン板33の上方を旋回することにより、スクリーン板33の粉体通過孔33Aを塞いだ粉体アーチが崩されて、粉体通過孔33Aから粉体が排出される。また、第3の旋回脚部28も第1の旋回脚部26と同様に下端部がスクリーン板33の上面近傍を旋回し、粉体アーチを崩して粉体通過孔33Aから粉体を排出させる。なお、粉体アーチを構成していた粉体が粉体通過孔33Aを通過してスクリーン板33の下方に落下すると、すぐに新たな粉体アーチが形成されて粉体通過孔33Aが閉塞される。
例えば、供給回転部材21の回転速度が比較的低速の場合には、第2の旋回脚部27の移動に伴って粉体を斜め下方に押す力が、粉体アーチまで伝播せず、第1の旋回脚部26と第3の旋回脚部28だけが粉体アーチを崩す(図13に示す状態)。
これに対し、供給回転部材21の回転速度が比較的高速の場合には、第2の旋回脚部27の移動に伴って粉体を斜め下方に押す力が粉体アーチまで伝播して粉体アーチが崩される。即ち、第1及び第2の旋回脚部26,27の両方と第3の旋回脚部28とが粉体アーチを崩す(図14の状態)。
このように、粉体供給装置10は、供給回転部材21の回転速度を大きくすることで、供給回転部材21の一回転当たりの排出量を増やすことができる。また、供給回転部材21の回転速度を大きくすることで、単位時間当たりの排出量を急激に増大させることができる。
また、供給回転部材21が回転すると第3の旋回脚部28は、小径筒部13の内周面の近傍を旋回する。これにより、小径筒部13の内周面に静電気等で付着した粉体を削ぎ落とすことができる。
さらに、一旦粉体アーチが崩れて再度粉体アーチが形成されるまでに粉体通過孔33Aから流出する粉体の量は極微量であるので、供給回転部材21を一定速度で旋回させている間は一定微少量ずつ粉体を排出することができる。
ここで、上記したように、粉体供給装置10(供給ドラム11)から下方に排出された粉体は、導入管411内を降下して第2ケース452へと導入される。導入管411のうち第1ケース451内に位置する上端部は、粉体供給装置10から下方に排出された粉体を残らず受け入れるために漏斗形状をなしており、粉体供給装置10の下端部に非接触状態で近接配置されている。そして、粉体は、ガス供給管404から第1ケース451内に供給されたガスと共に、導入管411内を降下して第2ケース452内(プラズマ生成装置500)へと導入される。なお、導入管411は、本発明の「粉体導入接続部」、「粉体導入部」に相当する。
ところで、供給回転部材21が固定された容器内回転シャフト20は、密閉ケース400の外側に備えられたモータ50からトルクを受けて回転する。図1に示すように、モータ50は、可動ベース320に固定されてケース天井壁408の上方に離間した状態に保持されている。詳細には、可動ベース320の下水平板322Bのうち、水平方向の中央部上面には、門形構造のモータ支持台330が設けられており、そのモータ支持台330のうち、下水平板322Bに上方から対向したモータ固定板330Aの上面にモータ50が固定されている。
図6に示すようにモータ50の下面からは出力シャフト52が突出しており、モータ固定板330Aを遊嵌状態で貫通している。
モータ50の出力シャフト52と容器内回転シャフト20との間は、ケース天井壁408を間に挟んで磁気結合したマグネットカップリングMC3によって連結されている。このマグネットカップリングMC3は、トルクと軸力とを伝達可能な構成となっている。
具体的には、容器内回転シャフト20のうち、大径キャップ15の上面から突出した上端部には、雌形カプラ610が一体回転可能に固定されている。雌形カプラ610は、円柱部611と円筒壁612とを一体に備えた構造となっており、円柱部611の軸心を貫通した嵌合孔611Aに容器内回転シャフト20の上端部が回転不能に嵌合している。また、円筒壁612の一部がインナーマグネット71によって構成されている。
インナーマグネット71は、図7に示すように周方向にS磁極とN磁極とが交互に並んだ複数のマグネットリング71M,71Mを同軸上に重ねると共に、その軸方向で異なる磁極が隣り合うように(図6参照)マグネットリング71M同士の位相を固定してなる。インナーマグネット71の外周面は円筒壁72Aの外周面に露出している。
雌形カプラ610は、大径キャップ15の筒形螺合壁15Cに螺合されたキャップ形ジョイント170の内側に収容されている。キャップ形ジョイント170は、雌形カプラ610の軸方向(上下方向)への移動を禁止すると共に相対回転を許容している。また、キャップ形ジョイント170は、雌形カプラ610に対応した形状をなしている。
詳細には、キャップ形ジョイント170は、同心上に配置された内筒壁170Aと外筒壁170Bとを備えて、外筒壁170Bと内筒壁170Aの上端部同士をドーナッツ形の円環壁170Cで接合しかつ、内筒壁170Aの下端部を円板壁170Dで閉塞した構造になっている。そして、内筒壁170Aと外筒壁170Bとの間に形成された筒形空間に、雌形カプラ610の円筒壁612(インナーマグネット71)が相対回転可能な遊嵌状態で収容されている。
キャップ形ジョイント170の外周面に形成された段差部のうち周方向に互いに180度離れた位置からは、ピン17P,17Pが起立している。これに対し、ケース天井壁408の内面には、各ピン17P,17Pに対応して1対のピン孔408P,408Pが形成されており、それらピン17Pとピン孔408Pとが上下方向で凹凸係合している。これにより、ケース天井壁408に対する供給ドラム11の上下動を許容した状態でケース天井壁408に対する供給ドラム11の相対回転と水平移動とが禁止されている。なお、1対のピン17P,17Pと1対のピン孔408P,408Pとを凹凸係合させることにより、後述する粉体補給装置200に備えた補給パイプ213と大径キャップ15の補給口15Aとを同軸線上に位置決めすることができる。
ケース天井壁408のうち、モータ50の鉛直下方部分には、中空突部420が形成されている。図6に示すように、中空突部420は、密閉ケース400の上面から突出して、可動ベース320の下水平板322Bを遊嵌状態(非接触状態)で貫通している。
中空突部420は、雌形カプラ610及びキャップ形ジョイント170に対応した形状をなしている。詳細には、図4に示すように、同心上に配置された内筒壁420Aと外筒壁420Bとを備え、外筒壁420Bと内筒壁420Aの上端部同士をドーナッツ形の円環壁420Cで接合すると共に、内筒壁420Aの下端部を円板壁420Dで閉塞した構造となっている。そして、この中空突部420の内側空間に、キャップ形ジョイント170が上下方向に直動可能かつ回転不能な状態で遊嵌している。
モータ50の出力シャフト52には雄形カプラ615が一体回転可能かつ直動不能に固定されている。雄形カプラ615は、出力シャフト52と嵌合した上端部が、その下側部分に比べて段付き状に大径となった円柱状をなしており、モータ50から鉛直下方に向かって延びている。また、雄形カプラ615の下端部はアウターマグネット73によって構成されている。
アウターマグネット73は、図7に示すように周方向にS磁極とN磁極とが交互に並んだ複数のマグネット円盤73M,73Mを同軸上に重ねると共に、その軸方向で異なる磁極が隣り合うように(図6参照)マグネット円盤73M同士の位相を固定してなる。アウターマグネット73の外周面は、雄形カプラ74の外周面に露出している。
そして、雄形カプラ615が、中空突部420の内筒壁420Aの内側で上下方向に直動可能に遊嵌され、インナーマグネット71とアウターマグネット73とが中空突部420の内筒壁420Aと、キャップ形ジョイント170の内筒壁170Aとを間に挟んで磁気結合している。詳細には、図7に示すようにインナーマグネット71の各マグネットリング71Mの内側に、アウターマグネット73の各マグネット円盤73Mがそれぞれ配置されて磁気結合させてある。これら、インナーマグネット71とアウターマグネット73とで、マグネットカップリングMC3が構成され、このマグネットカップリングMC3により、雄形カプラ615と雌形カプラ610が一体回転可能に連結され、密閉ケース400の外部上方に配置されたモータ50のトルクを、供給ドラム11内の容器内回転シャフト20に伝達することが可能になっている。
また、このマグネットカップリングMC3により、供給ドラム11を重力に抗して密閉ケース400の天井壁408から吊り下げた状態に保持する。そして、供給ドラム11の収容物(粉体や供給回転部材21など)を含む供給ドラム11全体の重量の変化が、インナーマグネット71からアウターマグネット73へと伝達され、アウターマグネット73に付与される供給ドラム11全体の重量の変化が、モータ50、モータ支持台330、可動ベース320を介して計量器300に伝達される。従って、計量器300により計量された重量の減少量を、供給ドラム11から排出された(プラズマ生成装置500へと供給された)粉体の重量として計量することが可能になっている。
なお、容器内回転シャフト20の回転時には、雌形カプラ610が筒形ジョイント17及び軸受け16に対して相対回転するので、それらの間の摩擦抵抗を軽減するために、キャップ形ジョイント170及び軸受け16を摩擦抵抗の小さい樹脂(例えば、PTFE)で構成したり、互いの摺接面間に摩擦抵抗を軽減する摺接部材を挟んでもよい。また、雌形カプラ610の外周面とキャップ形ジョイント170の外筒壁170Bとの間及び、雌形カプラ610の円筒壁612とキャップ形ジョイント170の内筒壁170Aとの間は、隙間を設けてもよい。以上が、粉体供給装置10の構成に関する説明である。
次に、粉体補給装置200について説明する。図1に示すように、粉体補給装置200は、粉体を収容可能な補給ドラム211と、補給ドラム211の真上位置に離して設けられたモータ250とを備えている。これら補給ドラム211とモータ250は、固定ベース310の天板311に固定されたブラケット312によって同軸上に位置決めされている。
図4に示すように、ブラケット312は、天板311の下面から垂下した1対の側板313,313の下端部にスリーブ314を固定した構造になっている。スリーブ314は、上下両端が開放しており軸方向の中間に設けられた隔壁315によって内部が上下に仕切られている。
スリーブ314の上端面には、モータ250(ステータ)の下端部が相対回転不能に係止されている。モータ250のロータ(図示せず)には出力シャフト252が連結され、その出力シャフト252が下方に向かって延びている。出力シャフト252には上カプラ253が一体回転可能に固定されている。図15に示すように、上カプラ253は円柱形をなし、下端部には複数のカップリング磁石254が周方向に並んで埋設されている。これらカップリング磁石254は、上カプラ253の下端面と面一になって下方に露出している。また、複数のカップリング磁石254は、その露出面の磁極が上カプラ253の周方向で交互に反転するように並べられている。さらに、上カプラ253はスリーブ314の内周面及び隔壁315と常時非接触になっている。
補給ドラム211は、有底筒部212の上端開口を大径キャップ215で閉塞した内部空間に粉体を収容可能となっており、大径キャップ215の上面から突出した筒形螺合壁215Cの外周面に小径キャップ217が螺合されている。小径キャップ217は、筒形螺合壁215Cに螺合した下側半分が、上側半分より段付き状に大径になっており、上端壁217Aの内面中央からはボス部217Bが突出している。
小径キャップ217の段差部より上側部分は、スリーブ314の下端開口から挿入されかつ挿抜可能となっている。スリーブ314の下端面と小径キャップ217の外周面の段差部との間には凹凸係合部260,260が設けられている。凹凸係合部260,260は、小径キャップ217及びスリーブ314の周方向で互いに180度離れた2箇所に設けられており、上下方向で挿抜可能に凹凸係合している。
これにより、モータ250の出力シャフト252と、補給ドラム211の内側で軸受け216を介して軸支された容器内回転シャフト220とが同軸上に位置決めされかつ、ブラケット312に対する補給ドラム211の相対回転が禁止されている。
容器内回転シャフト220は、補給ドラム211の内部でその中心軸に沿って延びている。容器内回転シャフト220の上端部は、大径キャップ215を貫通して小径キャップ217の内側に延びており、下端部には容器内回転部材221が取り付けられている。
図15に示すように、容器内回転シャフト220のうち、大径キャップ215から上方に突出した部分(小径キャップ217の内側部分)には、下カプラ240が一体回転可能に固定されている。下カプラ240は円筒形をなし、その中心には、下端側から容器内回転シャフト220が挿入嵌合され、上端側から小径キャップ217のボス部217Bが挿入されている。また、下カプラ240は、小径キャップ217の上端壁217Aと軸受け216との間に挟まれて軸方向(上下方向)への移動が禁止されている。
下カプラ240の上端部には、上カプラ253に備えたカップリング磁石254と同数の複数のカップリング磁石241が周方向に並んで埋設されている。これらカップリング磁石241は、下カプラ240の上端面と面一になって上方に露出している。また、複数のカップリング磁石241は、その露出面の磁極が下カプラ240の周方向で交互に反転するように並べられている。
下カプラ240のカップリング磁石241は、上カプラ253のカップリング磁石254と、小径キャップ217の上端壁217A及びスリーブ314の隔壁315を挟んで吸引し合い磁気連結している。これにより、補給ドラム211を重力に抗してブラケット312から吊り下げた状態で、モータ250(出力シャフト52)のトルクを容器内回転シャフト220に非接触で伝達することが可能となっている。
補給ドラム211の内部には、供給ドラム11の内部に備えたものと同一形状の容器内円板230及び上面待ち受けガイド231が備えられている。また、補給ドラム211の底壁214の中心からは、補給パイプ213が垂下している。補給パイプ213は密閉ケース400の天井壁408を貫通しており、その下端部が供給ドラム11の補給口15Aに非接触な状態で挿入されている(図6参照)。ここで、密閉ケース400の天井壁408のうち補給パイプ213が貫通した部分は、シール部材218によって気密状態にシールされている。
図15に示すように、補給ドラム211の底壁214の外縁に堆積した粉体は、容器内円板230と底壁214との間で旋回する容器内回転部材221によって底壁214の中心側に誘導され、補給パイプ213の上端開口に送り込まれる。
図2に示すように、補給パイプ213の下端開口は、供給ドラム11内の容器内円板30より上方に位置しており、補給パイプ213の下端開口から排出された粉体が、供給ドラム11の中間段差壁14及び容器内円板30に流下する。
図16に示すように、補給パイプ213の下端部には受止板219が一体に設けられている。受止板219は、補給パイプ213の下端開口との間に隙間を開けて対向配置されており、受止板219と補給パイプ213の下端部との間が側方に開放している。
図15に示すように、容器内回転シャフト20の下端部からは流下補助板222が延びている。流下補助板222は、平板をクランク状に切り出して形成されており、補給パイプ213内に挿通されている。流下補助板222は、モータ250によって補給パイプ213内を回転し、補給パイプ213内の粉体を撹拌しつつ流下させる。
流下補助板222の下端部には回転翼片222Hが一体に設けられている。図16(A)に示すように、回転翼片222Hは、補給パイプ213の下端開口から突出して側方に張り出しており、受止板219の上面で回転する。
補給パイプ213を流下した粉体は、一旦、受止板219に受け止められると共に、回転翼片222Hによって側方に押し出されて受止板219から落下する。
モータ250の回転が停止した状態で補給パイプ213を流下した粉体は受止板219に受け止められる。これにより、供給ドラム11から排出された粉体の重量を計量している最中に、振動等により補給パイプ213中を粉体が流下した場合に、その粉体の重量が計測結果に加算され計測誤差を生じるという事態を防ぐことができる。
また、モータ250の回転が停止した状態で多量の粉体が補給パイプ213を流下した場合には、補給パイプ213の下端部と受止板219との間に所定の安息角を有した粉体山が形成され、補給パイプ213の下端部が閉塞状態になり得る。この場合でも、回転翼片222Hの回転によって粉体山を崩して、閉塞状態を解消することができる。
図15に示すように、粉体補給装置200は、ホッパー270とその下端部から延びた筒状のシュート271とを備えている。ホッパー270は、上端開放の円錐状をなし固定ベース310の天板311より上方位置に配置されている(図3参照)。一方、シュート271の下端部は、補給ドラム211の大径キャップ215を貫通して補給ドラム211の内部に挿入されている。ここで、大径キャップ215のうち、シュート271が貫通した部分は、シール部材273によって気密状態にシールされている。
シュート271のうち、上下方向の中間位置と下端寄り位置には、それぞれバルブ272,272が備えられている。バルブ272,272は、レバーを手動操作することで開放状態と閉鎖状態とに切り換え可能となっている。
なお、シュート271のうち、1対のバルブ272,272の中間位置には、シュート271を内外に貫通した接続管274が設けられている。接続管274には、例えば、ポンプ等が接続される。
図17に示すように、シュート271の内部で、1対のバルブ272,272の中間位置には、下方に向かって窄んだ円錐形のスロート部275が備えられている。下側のバルブ272が閉鎖状態で上側のバルブ272が開放状態になると、ホッパー270内の粉体がシュート271内を流下し、スロート部275を通って下側のバルブ272の上方に堆積する。そして、図17に示すように、スロート部275の下方に所定の安息角を有した粉体山が形成されると、シュート271内での粉体の流下が止まる。このとき、シュート271の内部には、環状空間276が形成され、接続管274に粉体が入ったり詰まったりしないようになっている。以上が、粉体補給装置200の構成に関する説明である。
次に、上述した粉体供給装置10及び粉体補給装置200の動作について説明する。粉体を収容した供給ドラム11を、マグネットカップリングMC3の磁気結合により、第1ケース451の内側でケース天井壁408から吊り下がった状態に保持させておき、粉体供給装置10のモータ50をオンすると、容器内回転シャフト20が回転して、供給ドラム11の内部で供給回転部材21が回転する。
供給回転部材21が回転すると、供給ドラム11の大径筒部12に収容された粉体が小径筒部13に掻き込まれ、スクリーン板33の粉体通過孔33Aを通って供給ドラム11の下方に排出される。また、供給ドラム11から排出された粉体は、導入管411内を降下して第2ケース452内の後述するプラズマ生成装置500へと供給される。
供給ドラム11から粉体が排出されるに従い、供給ドラム11全体の重量は減少し、その重量の変化が、インナーマグネット71、アウターマグネット73及び可動ベース320を介して計量器300に伝達される。そして、計量器300にて計量された供給ドラム11全体の重量の減少量が、供給ドラム11からの粉体の排出量(即ち、プラズマ生成装置500への供給量)として制御装置90に取り込まれる。
ここで、制御装置90は、計量器300による検出結果(供給ドラム11全体の重量の減少量)に基づいてモータ50の回転速度をフィードバック制御する。これにより、粉体を正確に一定微少量ずつ供給することができる。
供給ドラム11に粉体を補給する際には、粉体供給装置10のモータ50を一旦停止して供給ドラム11からの粉体の排出を中断し、その状態で、粉体補給装置200のモータ250をオンして、粉体補給装置200から供給ドラム11に粉体を流下させる。モータ250がオンすると、カップリング磁石241,254によって非接触状態で結合した出力シャフト252と容器内回転シャフト220とが一体回転し、補給ドラム211の内部で容器内回転部材221が回転する。そして、粉体が補給パイプ213内を流下して、供給ドラム11に粉体が補給される。このように、供給ドラム11に粉体を補給する際に、第1ケース451内から供給ドラム11を取り出す必要は無く、マグネットカップリングMC3(インナーマグネット71とアウターマグネット73)の磁気連結及び第1ケース451内の雰囲気状態を維持したまま粉体の補給を行うことができる。
また、補給ドラム211に粉体を補給する場合には、ホッパー270に粉体を投入する。ここで、ホッパー270は大気開放となっているので、密閉ケース400の内部空間の雰囲気状態を維持するために、1対のバルブ272,272を以下のように開閉操作する。即ち、下側のバルブ272を閉鎖状態にして上側のバルブ272を開放状態にすることで、シュート271のうち下側のバルブ272より上側部分に粉体を蓄積させ、次いで、上側のバルブ272を閉鎖状態にして下側のバルブ272を開放状態にすることで、シュート271のうち1対のバルブ272,272の間に蓄積された粉体を、補給ドラム211へと流下させる。これにより、密閉ケース400内の雰囲気状態を維持したまま、補給ドラム211に粉体を補給することが可能になる。以上が、粉体供給装置10及び粉体補給装置200に関する説明である。
次に、プラズマ生成装置500について説明する。図2に示すように、プラズマ生成装置500は1対の電極Ea,Ebと、筒形の放電容器510とを備え、全体が密閉ケース400の第2ケース452に収容されている。
放電容器510は、例えば、円筒状のガラス製であり、密閉ケース400の底壁409と内部仕切壁410との中間位置に設けられている。放電容器510は、密閉ケース400の内部仕切壁410から垂下した垂れ壁520と、密閉ケース400の底壁409から起立した起立壁530との間でその中心軸が水平になるように挟持されている。また、放電容器510は、その軸方向の一端部(図2及び図18における右端部)が閉塞され、他端部(図2及び図18における左端部)が第2ケース452の内部空間に開放している。
図18に示すように、垂れ壁520には鉛直方向に延びた上縦孔部521が貫通形成され、起立壁530には上縦孔部521と同軸線上に延びた下縦孔部531が形成されている。放電容器510の一端部寄り位置には、上縦孔部521の下端開口に連絡した貫通孔511と、下縦孔部531の上端開口に連絡した貫通孔512とが形成されている。このうち、上縦孔部521と貫通孔511とには内部仕切壁410を上下方向に貫通した導入管411が挿入嵌合されており、導入管411の内部空間と放電容器510の内部空間とが常時連通状態になっている。
1対の電極Ea,Ebは上下に離して配置されている。下側の電極Eb(以下、適宜「下部電極Eb」という)は、導入管411の下端開口411Aの鉛直下方位置に配置されている。図19に示すように下部電極Ebは、放電容器510の一端部を閉塞した壁部内面から水平方向に突出した片持梁部Eb1と、片持梁部Eb1の先端部上面から突出した突起部Eb2とから構成されている。突起部Eb2は、例えば、円錐形状をなしており導入管411と同軸線上に配置されている。
一方、上側の電極Ea(以下、適宜「上部電極Ea」という)は、導入管411の下端開口411Aから放電容器510の端部開口510A側にオフセットした位置で、放電容器510の内側面から下方に突出している。つまり、1対の電極Ea,Ebは、導入管411の軸方向に対して斜めに交差する方向で対向配置されている。なお、上部電極Eaのうち、放電容器510の内側面に突出した部分は段付き状に先細りとなっている。
次に、本実施形態の発光装置100を使用して粉体を励起発光させる場合の動作を説明する。励起発光させる場合には、まず、ガス供給源(図示せず)から密閉ケース400の第1ケース451内にプラズマ生成用の所定のガス(例えば、比較的電離し易いガス、具体的には、アルゴンガス、ネオンガス、窒素ガス等)を供給する。このガスは、導入管411内を降下して放電容器510内に流れ込み、放電容器510の端部開口510Aから第2ケース452内を経て、ガス排出管405から密閉ケース400の外部に排出される。
放電容器510の内部空間が前記ガスで満たされている状態で、1対の電極Ea,Eb間に所定の電圧(プラズマ生成用のガスの電離電圧以上の電圧)を印加すると、1対の電極Ea,Eb間で放電が起き(アークが発生し)、その放電領域の近傍部分(本実施形態では、導入管411の下端開口411A近傍)で、前記ガスが電離してプラズマ雰囲気が生成される。なお、第2ケース452の内部空間より狭い放電容器510内でプラズマ雰囲気を生成することで、プラズマ雰囲気の拡散が抑えられプラズマ密度(電子密度、イオン密度)を高めることができる。プラズマ雰囲気が生成するメカニズムは公知(例えば、長田義仁編著、「低温プラズマ材料化学」、第2版、産業図書株式会社、2002年3月15日、p.5)であるので、詳細な説明は省略する。
放電容器510内にプラズマ雰囲気が生成された状態で、粉体供給装置10を作動させて上述の如く供給ドラム11から所定粒径以下の粉体(具体的には、例えば、木粉又は石松子又はガラスビーズ)を一定微少量ずつ排出させると、その粉体は、ガスと共に導入管411内を降下して放電容器510内に流れ込み、放電容器510内に生成したプラズマ雰囲気中に供給される。そして、ガス供給量、ガス供給圧、粉体供給量、電極Ea,Eb間の印加電圧等の諸条件が合致すると、プラズマ雰囲気が有するエネルギーによって粉体の粒子の全部又は一部が溶融気化(さらにはプラズマ化)し、粉体の構成元素による励起発光が起きる。そして、この励起発光が起きる諸条件を維持して粉体供給装置10から粉体を連続供給することで、励起発光を安定的に連続して起こさせることが可能となる。プラズマ雰囲気が有するエネルギーによって励起発光が起きるメカニズムは、ICP発光分光分析装置の原理と同一である。
なお、本実施形態の発光装置100では、以下のようなメカニズムにより励起発光が起きるものと考えられる。まず、1対の電極Ea,Eb間への電圧の印加により、不連続な火花放電が発生する。火花が発生する際には、1対の電極Ea,Eb間で局部的に大電流が流れる現象、即ち、プラズマ状態が発生する。火花放電が発生する際の電界は尖った部分に集中する傾向があるので、各電極Ea,Ebの先端の角部には電子やイオンが衝突して高温となる。
不連続な火花放電から連続したアーク放電に移行すると、1対の電極Ea,Eb間の放電領域の近傍に強い磁界及び電界が発生する。
各電極Ea,Ebの先端部や放電領域の近傍に発生した強い電界は、周囲に漂うプラズマの荷電粒子(電子やイオン)や粉体供給装置10から供給された粉体を引き寄せる。また、引き寄せられた粉体は、プラズマのエネルギー(例えば、アークの熱)によって溶融気化(さらにはプラズマ化)する。このとき、粉体の構成元素による励起発光が起きる。また、粉体の供給を定量的に継続することで、粉体の粒子1粒1粒が順次電界に引き寄せられて溶融気化(さらにはプラズマ化)し、プラズマのエネルギーが徐々に増大すると共に、粉体に起因する励起発光が継続して起きる。
そして、各電極Ea,Ebの先端部や各電極Ea,Eb間の放電領域に広く分散して存在していたプラズマが、1対の電極Ea,Ebの先端部と放電領域の全体を包含する一塊のプラズマとして存在するようになる。以後、粉体供給装置10から供給された粉体は、一塊のプラズマのエネルギーによって順次、溶融気化(さらにはプラズマ化)される。
ここで、本実施形態では、放電容器510内に生成したプラズマ雰囲気のパラメータ、具体的には、プラズマ雰囲気の電子密度やイオン密度を検出するためのプラズマセンサ540,540(本発明の「プラズマ測定器」に相当する)を備えている。プラズマセンサ540,540は、例えば、1対の電極Ea,Ebを挟んでガスの流れの上流側と下流側とに配置されている。これらプラズマセンサ540,540の検出結果は制御装置90に取り込まれ、制御装置90は、プラズマセンサ540,540の検出結果に応じて、電極Ea,Eb間の印加電圧、ガス供給量、ガス供給圧等を調節する。これにより、プラズマ雰囲気の状態を安定化させることができる。
また、励起発光しなかった粉体、具体的には、プラズマ雰囲気を通過して残った粉体や、プラズマ雰囲気に供給されなかった粉体は、起立壁530に形成された下縦孔部531に受容される。これにより、放電容器510の内壁面に粉体が堆積したり溶融固着する等して、プラズマ雰囲気に供給された粉体による励起発光の妨げにならないようにすることができる。なお、下縦孔部531は、本発明の「残粉受容部」に相当する。また、残粉受容部は、上部電極Eaの下方に設けてもよい。
このように、本実施形態の発光装置100によれば、プラズマ生成装置500にて生成されたプラズマ雰囲気中に粉体供給装置10から粉体を連続供給して励起発光を連続して起こさせることで、従来より長時間に亘って励起発光を持続させることができる。また、粉体供給装置10から排出された粉体の周囲を、プラズマ雰囲気を生成するガスで包囲した状態で1対の電極Ea,Eb間に供給することができるので、プラズマのエネルギーを効率よく粉体に付与して励起発光させることができる。ここで、励起発光の光は電気又は熱に変換してエネルギーとして利用してもよいし、以下に説明するように化学分析に利用してもよい。
図20には、本発明に係る発光分光分析装置700のブロック構成図が示されている。同図に示すように、発光分光分析装置700は、上述した発光装置100と、分光測光部701と、データ処理部702とを備えている。分光測光部701は、発光装置100から発生した光を集光して分光器に導き、分光器で分離したスペクトル線を検出すると共にスペクトル線の波長と強度を電気信号に変換する。データ処理部702は、分光測光部701から得られた電気信号を増幅、補正してスペクトル線の波長と強度から、粉体の構成元素の定性及び定量を行う。この発光分光分析装置700によれば、粉体の試料を酸等に溶解することなく、粉体のまま直接、定性分析及び定量分析にかけることができる。なお、上述した発光分光分析装置700の構成は一例であって、本発明に係る発光装置100を備えた構成であれば、その他の構成(例えば、「JIS K0116 発光分光分析通則」を参照)でもよい。また、発光装置100は、粉体供給装置10とプラズマ生成装置500を備えていればよく、粉体補給装置200や計量器300については必須ではない。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、マグネットカップリングMC3でトルクと軸力の両方を伝達可能としていたが、モータ50の出力シャフト52と容器内回転シャフト20とを一体回転可能に密閉ケース400の壁部を介して磁気結合するトルク伝達用のマグネットカップリングと、可動ベース320と容器内回転シャフト20とを一体直動可能に密閉ケース400の壁部を介して磁気結合する軸力伝達用のマグネットカップリングとを別々に備えていてもよい。
具体的には、図21に示すように、容器内回転シャフト20の上端部には円柱形の第1カプラ620が相対回転不能に嵌合固定されている。第1カプラ620の一部は、複数のマグネット円盤76Mを同軸上に重ねてなるインナーマグネット76で構成されている。
ケース天井壁408から上方に突出しかつキャップ形ジョイント171の外側に遊嵌した円筒形の中空突部421の外側には、複数のマグネットリング77Mを同軸上に重ねてなるアウターマグネット77が遊嵌状態で備えられている。アウターマグネット77は、可動ベース320の下水平板322B上に固定載置されている。
インナーマグネット76の各マグネット円盤76Mの内側に、アウターマグネット77の各マグネットリング77Mがそれぞれ配置されて磁気結合しており、これらインナーマグネット76とアウターマグネット77とで軸力伝達用のマグネットカップリングが構成されている。
そして、粉体を含む供給ドラム11全体の重量の変化が、インナーマグネット76からアウターマグネット77に伝達され、更に、アウターマグネット77に付与される供給ドラム11全体の重量の変化が、可動ベース320を介して計量器300に伝達される。これにより、供給ドラム11からプラズマ生成装置500に排出された粉体の重量を計量することが可能になる。
トルク伝達用のマグネットカップリングは、第1カプラ620と、出力シャフト52に一体回転可能に固定された第2カプラ616との間で磁気結合している。第1カプラ620の上端部には、複数のカップリング磁石78が周方向に並んで埋設されている。これら複数のカップリング磁石78は、第1カプラ620の上端面と面一になって露出しており、その露出面の磁極が周方向で交互に反転するように配置されている。
一方、第2カプラ616は円板形をなし、その下面には第1カプラ620に備えたカップリング磁石78と同数の複数のカップリング磁石79が周方向に並んで埋設されている。これら複数のカップリング磁石79は、第2カプラ616の下面と面一になって露出しており、その露出面の磁極が周方向で交互に反転するように配置されている。また、第2カプラ616の下面と中空突部421の上端面との間は、常時離間して隙間が形成されている。
そして、第1カプラ620のカップリング磁石78は、第2カプラ616のカップリング磁石79と、キャップ形ジョイント171の上端壁及び中空突部421の上端壁を挟んで吸引し合い磁気連結している。これにより、モータ50(出力シャフト52)のトルクを容器内回転シャフト20に非接触で伝達することが可能となっている。その他の構成は、上記第1実施形態と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態によっても、上記第1実施形態と同等の効果を奏する。
[第3実施形態]
本実施形態は、プラズマ生成装置500の構成が上記第1実施形態とは異なる。以下、第1実施形態との相違部分についてのみ説明し、同じ構成については、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図22に示すように、本実施形態のプラズマ生成装置500は、放電容器510の替わりに、上下方向に延びたパイプ状の縦筒部550を備えている。縦筒部550は、導入管411の下端部から鉛直下方に向かって延設されており、縦筒部550の下端部は開放して、第2ケース452の内部空間と常時連通状態になっている。ガスは、導入管411の上端部から縦筒部550内を降下して、縦筒部550の下端部から排出される。縦筒部550の内部空間は、放電容器510の内部空間よりも狭くなっており、プラズマ密度をさらに高めることが可能となっている。また、縦筒部550は、全体が絶縁材料(例えば、石英ガラス)で構成されている。
なお、本実施形態では、縦筒部550と導入管411とで、本発明に係る「プラズマ生成容器」が構成されている。また、導入管411の上端部(図18参照)が本発明の「ガス導入部」に相当し、縦筒部550の下端部が本発明の「ガス排出部」に相当する。
1対の電極Ea,Ebは、縦筒部550を側方から貫通した状態で固定されている。各電極Ea,Ebは、縦筒部550の内側で直角に曲がった導電性の線材で構成されており、先端が円錐状に尖っている。各電極Ea,Ebは、縦筒部550の中心からオフセットした位置で縦筒部550の軸方向と平行な方向で対向配置されている。導入管411から縦筒部550にガスを供給した状態で1対の電極Ea,Eb間で放電を行うことで縦筒部550内にプラズマ雰囲気が生成され、導入管411を経て縦筒部550内を降下する粉体がそのプラズマ雰囲気に供給される。本実施形態によっても、上記第1実施形態と同等の効果を奏する。
ここで、図23に示すように、1対の電極Ea,Ebを縦筒部550の軸方向と斜めに交差する方向で対向配置してもよい。こうすることで、電極Ea,Eb間で発生するアークに粉体が接触しやすくなる。
また、図24に示すように、縦筒部550を外側から挟むように1対の磁石551,551を配置して、1対の電極Ea,Ebの先端部間を結ぶ先端連絡線及び縦筒部550の中心線と交差する磁界Hを発生させてもよい。こうすることで、磁界の作用でプラズマ雰囲気中の電子の移動を制限することができる。そして、プラズマの密度を高めて、1対の電極Ea,Eb間で放電を行うのに必要なエネルギーを抑えることが可能になる。なお、磁石551,551は永久磁石でもよいし、電磁石でもよい。
[第4実施形態]
上記第3実施形態では、電極Ea,Ebを1対だけ備えた構成であったが、本実施形態では、複数対の電極を備えている。例えば、図25(B)に示すように、複数対の電極は、縦筒部550を側方から貫通して内面から突出すると共に、各対の電極の先端間を連絡する架空の先端連絡線同士が互いに交差しないように(同図(A)参照)縦筒部550の軸方向及び軸回り方向にずらされかつ、縦筒部550を軸方向から見たときに複数の先端連絡線からなる網が縦筒部550内に張られた状態になるように配置されている。
より具体的には、縦筒部550には10個(5対)の電極が縦筒部550の軸方向で互いにずらして配置されかつ、縦筒部550の軸回りで一定角度ずつ位相をずらして配置されている。以下、10個の電極を区別するために、縦筒部550の下部に固定されたものから順に、第一電極E1、第二電極E2、第三電極E3、・・・第十電極E10とすると、第一電極E1は、図示しない電源に一接続され、第二電極E2は、第一電極E1から軸回りに180度離れた位置に配置されている。第三電極E3は、縦筒部550の軸方向上方から見たときに(図25(B)参照)、第二電極E2から時計回り方向に45度離れた位置に配置され、第四電極E4は、第三電極E3から180度離れた位置に配置されている。第五電極E5は、縦筒部550の軸方向上方から見たときに第四電極E4から時計回り方向に45度離れた位置に配置され、第六電極E6は、第五電極E5から180度離れた位置に配置されている。第七電極E7は、縦筒部550の軸方向上方から見たときに第六電極E6から時計回り方向に45度離れた位置に配置され、第八電極E8は、第七電極E7から180度離れた位置に配置されている。そして、第九電極E9は、縦筒部550の軸方向上方から見たときに第八電極E8から時計回り方向に45度離れた位置に配置され、第十電極E10は、第九電極E9から180度離れた位置に配置されて、図示しない電源に接続されている。また、第二、第三電極E2,E3と、第四、第五電極E4,E5と、第六、第七電極E6,E7と、第八、第九電極E8,E9は、それぞれ1つの線材を略門形に曲げ加工して形成されている。そして、縦筒部550を軸方向から見たときに、対をなす電極間に延びた複数の先端連絡線からなる網が、縦筒部550の中心から放射状に延びた状態になっている。その他の構成は、上記第3実施形態と同じであるので、重複する説明は省略する。
第一電極E1と第十電極E10との間に電圧を印加すると、縦筒部550の内部空間を挟んで対向した複数対の電極間、即ち、第一、第二電極E1,E2間と、第三、第四電極E3,E4間と、第五、第六電極E5,E6間と、第七、第八電極E7,E8間と、第九、第十電極E9,E10間においてそれぞれアークが発生し、各対の電極間で延びた複数のアーク(放電路)の網が縦筒部550の中心から放射状に延びた状態になる。これにより、縦筒部550を降下する粉体が、縦筒部550内で飛び交う複数本のアークの何れかと接触し易くなる。本実施形態によっても、上記第1実施形態と同等の効果を奏する。
[第5実施形態]
本実施形態は、図26に示されており、電極E1〜E10の配置が上記第4実施形態とは異なる。具体的には、第一電極E1は、図示しない電源に接続され、第二電極E2は、縦筒部550の軸方向上方から見たときに(図26(B)参照)、第一電極E1から時計回り方向に144度離れた位置に配置されている。第三電極E3は、縦筒部550の軸回りで第二電極E2と同一位相位置に配置され、第四電極E4は、縦筒部550の軸方向上方から見たときに第三電極E3から時計回り方向に144度離れた位置に配置されている。第五電極E5は、第四電極E4と同一位相位置に配置され、第六電極E6は、縦筒部550の軸方向上方から見たときに第五電極E5から時計回り方向に144度離れた位置に配置されている。第七電極E7は、第六電極E6と同一位相位置に配置され、第八電極E8は、縦筒部550の軸方向上方から見たときに第七電極E7から時計回り方向に144度離れた位置に配置されている。そして、第九電極E9は、第八電極E8と同一位相位置に配置され、第十電極E10は、縦筒部550の軸方向上方から見たときに第九電極E9から時計回り方向に144度離れた位置に配置されて、図示しない電源に接続されている。また、第二、第三電極E2,E3と、第四、第五電極E4,E5と、第六、第七電極E6,E7と、第八、第九電極E8,E9は、1つの線材を門形に曲げ加工して形成されている。そして、縦筒部550を軸方向から見たときに、対をなす電極間に延びた複数の先端連絡線からなる網がちょうど星形になっている。なお、その他の構成は、上記第3実施形態と同じであるので、重複する説明は省略する。
第一電極E1と第十電極E10との間に電圧を印加すると、縦筒部550の内部空間を挟んで対峙した複数対の電極間、即ち、第一、第二電極E1,E2間と、第三、第四電極E3,E4間と、第五、第六電極E5,E6間と、第七、第八電極E7,E8間と、第九、第十電極E9,E10間においてそれぞれアークが発生し、各対の電極間で延びた複数のアーク(放電路)の網が星形を描いた状態になる。これにより、縦筒部550を降下する粉体が縦筒部550内で飛び交う複数本のアークの何れかと接触し易くなる。
[第6実施形態]
本実施形態は、図27に示されており、1対の電極Ea,Ebとは別に中継電極Efを備えかつ、縦筒部550から側方に向かって横筒部560が分岐している点が上記第3実施形態とは異なる。以下、第3実施形態と相違する構成に関してのみ説明し、第3実施形態と同一の構成に関しては同一符号を付して重複した説明は省略する。
1対の電極Ea,Ebのうち上部電極Eaは、縦筒部550のうち横筒部560から水平方向で離れた側の内側部でかつ横筒部560と交差した部分より上側位置に固定されている。下部電極Ebは、横筒部560のうち、上部電極Eaから離れた側の内側部に固定されている。中継電極Efは、縦筒部550における横筒部560から水平方向で離れた側の内側部のうち横筒部560との対向位置に固定されている。
上部電極Eaは縦筒部550を内外に貫通した状態で固定されると共に、縦筒部550内で電極先端が下方を向くように直角に曲がっている。下部電極Ebは横筒部560を内外に貫通した状態で固定されると共に、電極先端が縦筒部550の方を向くように横筒部560内で直角に曲がっている。中継電極Efは、上部電極Eaより下方位置で縦筒部550を側方から貫通した状態で固定されると共に、電極先端が縦筒部550の内部で直角に分岐している。それら分岐端Ef1,Ef2のうちの一方の分岐端Ef1が、縦筒部550の軸方向と平行な方向で上部電極Eaと対向配置され、他方の分岐端Ef2が横筒部560の軸方向と平行な方向で下部電極Ebと対向配置されている。なお、導入管411、縦筒部550、横筒部560で本発明の「プラズマ生成容器」が構成されている。
プラズマ雰囲気を生成する場合には、まず、上部電極Eaと中継電極Efとの間に第1電圧を印加する。すると、上部電極Eaと分岐端Ef1との間にアークが発生して縦筒部550内にプラズマ雰囲気が生成する。縦筒部550内のプラズマ雰囲気の状態が安定したら、中継電極Ef及び下部電極Ebに接続されたスイッチを切り換えて第1電圧の印加を停止すると共に、上部電極Eaと下部電極Ebとの間に第2電圧を印加する。すると、中継電極Efを介して上部電極Eaと下部電極Ebとの間で放電が行われる。即ち、上部電極Eaと中継電極Efの分岐端Ef1との間でアークが発生すると共に、中継電極Efの分岐端Ef2と下部電極Ebとの間でアークが発生する。これにより、横筒部560内にもプラズマ雰囲気が生成して、プラズマの存在領域が拡大する。粉体供給装置10から排出された粉体は、導入管411及び縦筒部550内を降下してプラズマ雰囲気に供給され、励起発光が起きる。
この構成によれば、上記第1実施形態と同等の効果を奏すると共に、中継電極Efを用いずに上部電極Eaと下部電極Ebとの間で直接放電を行った場合に比べて、放電を発生させるのに要するエネルギーを小さく抑えることが可能になる。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、密閉ケース400の第2ケース452内に備えた放電容器510内にプラズマ雰囲気を生成していたが、放電容器510を備えていなくてもよい。例えば、図28に示すように、絶縁性の導入管411の下端部に導入管411と同心の環状電極Ecを設けると共に、導入管411の鉛直下方位置に、図29に示すように片持梁部Ed1の先端上面にピン形突起Ed2を備えた電極Edを配置した構成としてもよい。なお、この構成でも、まず、片持梁部Ed1の先端上面に載った粉体が溶融気化及び励起発光し、これが起因となって1対の電極Ea,Edに供給された粉体が溶融気化及び励起発光するものと考えられる。
(2)また、図30に示すように、水平方向に延びた絶縁性のガス送給管580の途中部分に導入管411の下端部を直角に交差させてそれらを連通させ、ガス送給管580の一端から他端に向けて流れるガスの途中に導入管411を流下した粉体が合流するように構成しておき、ガスが放出されるガス送給管580の他端部にガス送給管580と同心の環状電極Ecを設け、環状電極Ecから離れたガス送給管580の側方延長線上にもう1つの電極Eeを配置した構成でもよい。
(3)また、励起発光が起きている部分で粉体がプラズマ化している場合には、図31に示すように、1対の電極Ec,Eeに挟まれた領域の外側でかつ励起発光が起きている部分(例えば、ガス送給管580によるガス送給方向の前方延長線上)に、粉体追加供給装置800から粉体を追加供給するようにしてもよい。この構成によれば、粉体追加供給装置800から追加供給された粉体がプラズマのエネルギーを受けて連鎖的に励起発光し、発光する領域を拡大することが可能になる。なお、図31では、粉体追加供給装置800を1つだけ備えた構成となっているが、粉体追加供給装置800から追加供給された粉体も励起発光の際にプラズマ化する場合には、図32に示すように、複数の粉体追加供給装置800からガス送給方向の前方延長線上の複数位置に粉体を追加供給することで、励起発光を連鎖的に起こさせて発光領域をさらに拡大することが可能になる。
(4)さらに、図33に示すように、ガス送給管580から供給するガスとは異なる種類のガス(例えば、ガス送給管580によってアルゴンガス等の不活性ガスを供給した場合に、空気又は可燃性ガス)をプラズマ雰囲気が生成される空間(第2ケース452)に直接供給してもよい。なお、可燃性ガスを供給する場合には、第2ケース452内の酸素(空気)を全て不活性ガスで置換するか、可燃性ガスの濃度が、常に、爆発限界範囲の外になるようにしておく。
(5)上記第1実施形態では、上側の電極Eaを導入管411の下端開口411Aからオフセットした位置に配置して、1対の電極Ea,Eb同士を、導入管411の軸方向と斜めに交差する方向で対向させていたが、図34に示すように、上部電極Eaを放電容器510の内側で直角に曲げて導入管411の下方位置まで延ばし、1対の電極Ea,Ebの先端部同士を結ぶ架空の先端連絡線(1対の電極Ea,Eb間に発生するアーク)が、導入管411の軸方向と平行な方向(詳細には、同軸線上)で延びるように配置してもよい。
(6)上記第1実施形態において下部電極Ebは、片持梁部Eb1の先端部上面から円錐形の突起部Eb2が突出した構造をなしていたが、図35に示すように、針状にしてもよい。例えば、同図(A)に示すように、導電性の線材L1を直角(L字形)に曲げて、その屈曲部分より先端側を縦筒部550と平行にして電極としてもよい。または、同図(B)及び同図(C)に示すように、導電性の線材L1を巻回してコイル部Lcを形成しそのコイル部Lcの一端末Leをコイル部Lcの巻回軸と同軸線上に配置して電極としてもよい。線材L1に電流Iが流れると磁界が発生し、その磁界によってプラズマ雰囲気中の電子の移動を制限することが可能になる。なお、下部電極Ebのみならず、上部電極Eaを上記構造にしてもよい。
(7)図36に示すように、1対の電極Eg,Egを共にノズル構造とし、各電極Eg,Egの先端部からガスを噴射可能とすると共に、噴射されたガス流が直角に交差するように各電極Eg,Egを配置してもよい。この構成では、ガス流を噴射させた状態で電極Eg,Eg間に電圧を印加すると、直角に交差したガス流の流れに沿って屈曲した放電路が形成される。そして、1対の電極Eg,Egのうち、少なくとも一方の電極Egは、粉体供給装置10に接続されてガス流と共に粉体を噴射するようになっており、この粉体が、放電によって生成したプラズマ雰囲気に供給されて励起発光が起きる。
なお、本構成の変形例として、図37に示すように、ノズル構造をなした電極Egと同心筒状の外筒体T1で電極Egの周囲を包囲して、外筒体T1と電極Egの外周面との間に環状流路R1を形成し、その環状流路R1に冷却水が流れるように構成してもよい。これにより、電極Eg,Egの溶損を防止することが可能になる。
また、他の変形例として、図38に示すように、1対の電極Eg,Egからはガス流だけを噴射させて、粉体は、粉体供給装置10に接続された粉体供給管570から自重落下によりプラズマ雰囲気中(詳細には、放電路の屈曲部分)に供給するようにしてもよい。このとき、プラズマ雰囲気に近い粉体供給管570の先端部分を、上記電極Egと同様に外筒体T1にて包囲して、外筒体T1と粉体供給管570の外周面との間に形成された環状流路R1に冷却水が流れるように構成してもよい。これにより粉体供給管570の溶損を防止することが可能になる。
さらに他の変形例として、図39に示すように、パイプを斜めにカットして尖らせた先端部を内側に曲げさらに、その折り曲げた先端部分を鋸歯状の先割れ構造にした1対の電極Eg,Egを、その軸線が鉛直方向又は水平方向と平行になるように配置して、水平方向に配置した方の電極Egの全体を透明な絶縁管590(ガラス管)で覆った構造にしてもよい。そして、1対の電極Eg,Eg間に電圧を印加しながら各電極Eg,Egの先端部からガスを噴出させることで、1対の電極Eg,Eg間にプラズマ雰囲気を生成すると共に、鉛直方向に配置した方の電極Eg先端からプラズマ雰囲気に向けて粉体を供給するようにしてもよい。
(8)図40に示すように、透明な絶縁管590(ガラス管)の一端開口からパイプ形の電極Ehを挿入すると共に、絶縁管590の他端開口から棒状(針状)の電極Ekを挿入して、それら電極Eh,Ek同士を絶縁管590の内部で対峙させ、パイプ形の電極Ehからはガスと共に粉体を噴出可能な構成としてもよい。ここで、パイプ形の電極Ehの先端部は鋸歯(先割れ)形状とし、棒状の電極Ekの先端部表面は凹凸面(ローレット状)にしておくとよい。電極Ehの先端から絶縁管590内にガスを供給した状態で1対の電極Eh、Ek間に電圧を印加すると、鋸歯状の電極Ehの先端部と電極Ekの凹凸面との間でスパーク(火花)放電が発生して絶縁管590内にプラズマ雰囲気が生成し、そのプラズマ雰囲気に供給された粉体が絶縁管590内で励起発光する。
図40では、絶縁管590の中心軸が水平になるように配置されていたが、中心軸が鉛直になるように配置して、上記第1実施形態のプラズマ生成装置500(図1参照)の代わりに第2ケース452内に固定し、パイプ形の電極Eh及び絶縁管590内を、粉体供給装置10から排出された粉体がガスと共に降下するようにしてもよい。このような構成の発光装置を用いて発光実験を行い、発光状態を目視によって確認した。実験に使用した発光装置のうち、電極Eh,Ek及び絶縁管590(ガラス管)の仕様は以下の通りである。即ち、電極Eh,Ekは銅製であって、電極Ehは外径4mm、内径3mm、電極Ekは直径1mm、絶縁管590は内径4.5mmである。そして、ガスとしてのアルゴンガスを毎分約300mlで供給しかつ、粉体としての石松子を毎秒約1mgで供給した結果、粉体に起因した発光を6〜7秒間に亘って連続して起こさせることができることが確認できた。
なお、棒状の電極Ekの代わりに、内周面が鋸歯状になったリング状の電極をパイプ形の電極Ehの軸線と同軸になるように対向配置して、それらの間でスパーク(火花)放電を発生させてもよい。
(9)図41に示すように、粉体補給装置200の補給パイプ213内に挿入された流下補助板222に替えて、螺旋状の線材で構成されたスクリュー部材223を設けてもよい。