JP2010269045A - 歯科補綴物の加工方法と、それを用いた歯科補綴物の加工装置と、それを用いて加工した歯科補綴物。 - Google Patents

歯科補綴物の加工方法と、それを用いた歯科補綴物の加工装置と、それを用いて加工した歯科補綴物。 Download PDF

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【課題】本発明は、歯科補綴物の加工方法と、それを用いた歯科補綴物の加工装置と、それを用いて加工した歯科補綴物に関するもので、適切な歯科補綴物の加工を行うことを目的とするものである。
【解決手段】そしてこの目的を達成するために本発明は、ワーク2に、工具7Bで、支台歯に被せるための凹部4を荒彫り形成し、その後、この荒彫り形成した凹部4内を工具7Cで、仕上げ加工を行う歯科補綴物の加工方法であって、前記工具7Bとして、その先端面に平坦面が形成された研削刃を用いる構成とした。
【選択図】図5

Description

本発明は、歯科補綴物の加工方法と、それを用いた歯科補綴物の加工装置と、それを用いて加工した歯科補綴物に関するものである。
近年、歯科医療においては、歯が持つ機能を回復させると共に、審美性を高めたいという要求が高まってきており、従来の金属製の歯科補綴物に変わり、セラミックを材料とした歯科補綴物に注目が集まっている。
このセラミックを材料とした歯科補綴物は、耐久性と強度に優れ、より天然歯に近い色調を再現できるので、歯科補綴物としての強度を保ちながら審美性を高めることができる。さらに、金属ではないので、金属アレルギーの発生を抑制することができ、歯科補綴物の材料としては好適な物である。
そして、このセラミックを加工する方法が、例えば下記特許文献1に提案されている。
特開平7−138123号公報
上記従来例における課題は、所望の形状の歯科補綴物を適切に製作することが極めて困難であるということであった。
すなわち、上記従来例による方法では、一般的に、ワークに対して第1の工具で支台歯に被せるための凹部を荒彫り形成し、その後、この荒彫り形成した凹部内を、第2の工具で仕上げ加工するようになっているが、前記凹部形成時において、工具が摩耗することが原因で、適切な加工が行えないという課題があった。
すなわち、この種の凹部を荒彫り形成する際には、先端が半球形状の工具を使用するのであるが、削り出そうとするワークの硬度が非常に高いため、加工していくうちに工具が摩耗してしまい、工具の先端形状が変形する。つまり、最初は半球形状であった工具の先端形状が平面になってくる。すると、それに伴って先端面での削り代が増えてくるので、歯科補綴物に対して削りすぎが発生してしまい、その結果として歯科補綴物が薄くなってしまう。そして、一旦薄くなった部分は、次の仕上げ加工においても修正ができず、結論として、歯科補綴物の適切な加工が行えなかった。
そこで本発明は、適切な歯科補綴物の加工を行うことを目的とするものである。
そしてこの目的を達成するために、本発明の歯科補綴物の加工方法は、ワークに、第1の工具で、支台歯に被せるための凹部を荒彫り形成し、その後、この荒彫り形成した凹部内を第2の工具で、仕上げ加工を行う歯科補綴物の加工方法であって、前記第1の工具として、その先端面に平坦面が形成された研削刃を用いることを特徴とするものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
以上のように、本発明の歯科補綴物の加工方法は、ワークに、第1の工具で、支台歯に被せるための凹部を荒彫り形成し、その後、この荒彫り形成した凹部内を第2の工具で、仕上げ加工を行う歯科補綴物の加工方法であって、前記第1の工具として、その先端面に平坦面が形成された研削刃を用いることを特徴とするものであるので、適切な歯科補綴物の加工を行うことができる。
すなわち、本発明においては、ワークに、第1の工具を用いて、支台歯に被せるための凹部を荒彫り形成する際に、第1の工具の先端面に平坦面が形成された研削刃を用いるようにしたものである。つまり、第1の工具の先端面に、最初から平坦面を形成しているので、第1の工具の先端形状は、その平坦面の外周部が、歯科補綴物を削らない方向(つまり上方に湾曲する方向)に摩耗が進み、その後、その状態で先端形状が安定し、結果として、歯科補綴物の削りすぎが発生しなくなり、適切な歯科補綴物の加工ができるものとなる。
本発明の一実施形態におけるワークの斜視図 そのブロック図 その側面図 そのA1−A2断面図 その側面図 その義歯の凹部の断面斜視図 その側面図 (a)その工具の側面および先端から見た図(b)その工具の側面図および先端から見た図(c)その工具の側面および先端から見た図 (a)その工具を重ね合わせた側面図(b)その工具を重ね合わせた側面図 (a)その義歯の凹部の内壁面の拡大断面図(b)その義歯の凹部の内壁面の拡大断面図 (a)その義歯の断面の斜視図(b)その義歯の断面の斜視図(c)その義歯の断面の側面図 (a)その義歯の断面の斜視図(b)その義歯の断面の斜視図(c)その義歯上面図
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を用いて説明する。
図1は、上顎の歯科補綴物(以下義歯と称す)1が、柱状のセラミック体であるワーク2から削り出された状態を示すものである。この義歯1は、ワーク2の未加工部とスプルー3を介して連結されている。
そして、義歯1は、ワーク2から削り出された後、ワークのスプルー3の位置でワーク2から切り離され、歯科技工士により陶材が盛られ、整形されていくことになる。
さて、この義歯1は、歯を削って作成した支台歯(図示せず)に被せるために、その内部を彫りこんでおり、そのため、義歯1の内部は中空の凹部4となっている。
まず、上述の義歯1を加工するための本実施形態における加工装置の構成を、図2を用いて説明する。
図2において、ワーク2は、支持部5によって回転自在に支持されており、モータ6により回転が伝えられる。
そして、ワーク2を加工する工具7は、ダイヤモンド粒子を金属によって保持した工具であり、支持部8によって回転自在に支持されており、モータ9により回転が伝えられる。また、工具7、支持部8、モータ9は、一体となって、X軸、Y軸、Z軸方向に移動できる構成となっており、ワーク2に対して、通常の3軸加工が可能な構成となっている。
さらに、前記モータ6、9は、電源部10、制御部11にそれぞれ接続されており、電源部10から電力の供給を受け、制御部11により回転が制御される。
なお、この制御部11には、加工データ入力部12から入力された加工データを記憶する記憶部13と、ユーザーが操作を行う操作部14が接続されている。
そして、この制御部11は、操作部14からの加工開始命令を受け取ると、記憶部13に記憶された加工データを読み出し、その加工データに基づいて、モータ6および支持部5を介してワーク2の回転および停止を制御し、モータ9および支持部8を介して工具8を回転させ、この工具7をX軸、Y軸、Z軸方向に動かすことでワーク2に対して加工を行っていく。
さて、この加工においては、工具7を、加工に適した大きさの工具に取り替える必要があり、ツールチェンジャー15には、先端形状あるいは、径の違う工具が準備されている。そして、記憶部13に記憶された加工データに基づいて、制御部11が工具7をツールチェンジャー15まで移動させ、工具を交換した後、さらに加工を続けていく。
なお、工具7はダイヤモンド粒子を金属によって保持した工具であるため、加工を続けると、加工の摩擦により、徐々に工具が摩耗していき、工具7の長さが短くなっていく。この工具7の摩耗度合いを測定するために、測長器16が設けられている。
この測長器16は、接触式の測長器であり、工具を測長する時には、まず、制御部11が加工を一時中断し、工具7を測長器16に移動させ、工具7を測長器16に直接当てる。つぎに、測長器16に接続された測長部17が、工具7を測長する。
以上のように構成された、義歯の加工装置において、本実施形態における加工動作について、図3から図7を用いて説明する。
本実施形態では、柱状のワーク2の材料として、特許第2945935号公報に記載される方法により、酸化ジルコニウム65.9〜69.9重量%、酸化セリウム10.1〜11.1重量% 、酸化アルミニウム19.5〜23.5重量%、酸化チタン0.01〜0.03重量% 、及び酸化マグネシウム0.04〜0.08重量% を含む原料配合物による整形加工体を緻密焼結したセラミックスを使用する。
そして、このワーク2に対して、荒加工と、中荒加工と、仕上げ加工を行い、義歯1を削り出していく。
まず、荒加工について、図3、図4を用いて説明する。図3は、ワーク2を側面から見た図である。この荒加工では、まず荒加工代を設定し、その荒加工代まで研削加工を実施する。具体的には、荒加工代線18まで、研削を行うことになる。なお、荒加工代は、連続歯1に仕上げ代(例えば150μm)を加えた以上の大きさに設定される。
本荒加工においては、まず、ワーク2を、回転軸19を中心に軸回転させる。つぎに、先端面が半球形状の工具7Aを回転させながらワーク2の先端面20に当て、その後、工具7Aの先端球面21と側面21Aとを使用して、ワーク2の後方に向けて加工を行い、加工終端面22まで加工していく。
この時の荒加工は、ワーク2の先端方向から見て、義歯1のもっとも投影面積が大きくなるところまでは、荒加工代を残して削り、この義歯1の最大投影面積を超えた後は、この最大投影面積で、後方に向けて加工していく。
なお、図4は、ワーク2の先端から見たA1−A2断面を示している。ここで、図4の断面線23は、ワーク2の先端から見た荒加工代線を示しており、義歯1の最大投影面積に仕上げ代を加えた物を示している。そして、この義歯1の最大投影面積を超えた後は、断面線23を荒加工代として、図2の加工終端面22まで加工していくのである。
なお、荒加工が終了すると、図5に示すごとく荒加工代線18まで研削加工が終了した状態となる。
つぎに、中荒加工を、図5を用いて説明する。中荒加工では、荒加工代線18から、仕上げ代線24までを研削加工する。
この中荒加工においては、まず、ワーク2の回転を止める。つぎに、加工する場所に適した工具7Bを、図2のツールチェンジャー15から取り出し、支持部8にセットする。そして、この変更した工具7Bを用いて、図5の仕上げ代線24までを研削加工していく。この加工は、通常の3軸加工で行われ、義歯1の凹部4を加工するときは等高線加工を用い、その他の部分を加工するときは、走査線加工を用いて3軸加工する。
なお、中荒加工の過程において、工具7Bは、ツールチェンジャー15を用いて適宜交換される。
さてここで、図6は、義歯1の凹部4を加工形成するときの等高線加工を示す図である。中荒加工では、工具7Bの先端面に平坦面を形成した研削刃を用いて等高線加工を行っていく。この工具7Bの平坦面については、後で詳細に説明する。
また、前記等高線加工は、従来の加工方法と同じであるので、詳細な説明は省略するが、工具7Bを、図6に示すように、まず凹部4の加工開始面25の中央付近に規定量彫りこませて(例えば20μm)穴を掘り、つぎに、この穴を中心に工具7Bを周回させながら、凹部4の外周に向かって、凹部4の仕上げ代線24まで穴を広げていく。そして、凹部4の深さ方向に向かって、この動作を繰り返しつつ、徐々に凹部4を形成していくのである。
そして、中荒加工が終了すると、図7に示すごとく仕上げ代線24まで研削加工が終了した状態となる。
最後に、仕上げ加工を、図7を用いて説明する。
仕上げ加工では、仕上げ代線24を研削加工し、義歯1を仕上げていく。この仕上げ加工では、まず、ワーク2の回転を止めたまま、加工する場所に適した工具7Cを、ツールチェンジャー15から取り出し、支持部8にセットする。
つぎに、この変更した工具7Cを用いて、仕上げ代を研削加工する。この加工は、通常の3軸加工で行われ、中荒加工と同じく、義歯1の凹部4を加工形成するときは等高線加工を用い、その他の部分を加工するときは、走査線加工を用いて3軸加工する。なお、工具7Cは仕上げ加工の過程においてツールチェンジャー15を用いて適宜交換する。
そして、仕上げ代線24を全て研削すると、義歯1がワーク2から削り出されるのである。
なお、本実施形態では、上述のごとく、荒加工、中荒加工、仕上げ加工を順次実施するが、工具7の摩耗量を加工にフィードバックするために、適時、工具7の測長を行っている。
上記説明により、本実施形態の基本的な構成及び作用が明確になった所で、以下本実施形態における特徴点について説明する。
すなわち、本実施形態の特徴点は、中荒加工において、義歯1の凹部4を加工形成する際に、先端面の中心部分に平坦面を設けた研削刃を、工具として用いるということである。まず、この工具の形状を図8を用いて説明する。
図8(a)は、本実施形態の中荒加工で使用する工具26の初期状態(未使用状態)を示した側面図と、それを先端方向からみた図である。この初期工具26の研削刃は、円柱状で、その先端面の中心部分に平坦面27が形成された構成となっており、平坦面27の外周には円環28が形成され、この円環28から外周に向かって湾曲部29が形成されている。なお、円環28の直径30(例えば1.8mm)は、円柱状の研削刃の先端面の直径31(たとえば3mm)に対して、3/5以上の大きさとしている。
この初期工具26を用い、図6に示した等高線加工を用いて、義歯1の凹部4を研削加工していくと、硬いワーク2を研削していくうちに初期工具26が摩耗し、最終的には、図8(c)に示す研削加工を行った後の工具32の形状に落ち着き、この状態で形状が安定する。
ここで、この研削後工具32では、初期工具26と同じく、その先端面の中心部分に平坦面27aが形成された構成となっており、平坦面27aの外周には円環28aが形成され、この円環28aから外周に向かって湾曲部29aが形成されている。なお、研削後工具32の平坦面27aの面積は、図8(a)、(c)からも明らかなように、初期工具26の平坦面27に比べ、その面積が小さくなっている。そして、研削加工後に形成された円環28aの直径30a(たとえば1.4mm)は、円柱状の研削刃の先端面の直径31a(たとえば3mm)に対して、7/15以上の大きさとなる。
さて、本実施形態の中荒加工は、上記初期工具26を用いて実施するが、研削加工を行っていくうちに、初期工具26の先端面が摩耗し、工具26の長さが短くなっていく。そのため、図3の測長器16を用いて工具の長さを実測し、長さの変化量を求め、この長さの変化量分を補正しながら研削加工を行っていく。
そしてこの時には、初期工具26の先端面が摩耗して、研削後工具32の形状となり、この形状で安定しているのである。なお、この時の研削後工具32の先端に形成される平坦面27aは、初期工具26の平坦面27に比べ小さくなっているが、小さくなったといえども平坦面が残っているので、長さの管理は常に安定した状態で実施できるものである。
ここで、初期工具26と研削後工具の先端形状を比較するために、先端を基準にして重ね合わせたものを図9(a)に示す。図9(a)からも理解されるとおり、初期工具26と研削後工具32の形状は、ほぼ同じである。
そして、初期工具26の円環28の直径30を、研削後工具32の円環28aの直径30aよりも大きく形成しているために、初期工具26の先端外周部33は、研削後工具32よりもわずかに大きくなっている。
つまり、初期工具26を使用して、中荒加工をしていくと、摩耗により、徐々に研削後工具32の形状へと変化していくのであるが、初期工具26の先端外周部33が小さくなり、すなわち、工具先端の研削刃の部分がわずかながら小さくなり、その結果として、わずかな削り残しが発生する。しかし、この削り残しは、次の仕上げ加工で十分に修正が可能なものである。
すなわち、中荒加工においては、図8に示すごとく、初期工具26の研削刃の先端面に、研削後工具32にできる平坦面27aよりも、大きな平坦面27を予め設けておくことにより、義歯1に対する削りすぎは発生せず、結果として安定した義歯1の加工が実現できるのである。
これに対して、従来実施していたように、図8(b)に示すような先端面が半球形状の工具34を使用して、中荒加工を行うと、義歯1に対して削りすぎが発生し、この削りすぎは次の仕上げ加工においても修復不可能な状態となるのである。これを、図8と図9を用いて説明する。
図8(b)は、従来使用していた、先端面が半球形状の工具34であり、この半球形状工具34を用いて中荒加工を行うと、摩耗により徐々に図8(c)に示す研削後工具32の形状へと変化していく。なおこの時、摩耗量33aが示すように、半球形状工具34の先端面は、半径の1/3ほど摩耗した後、その先端形状が安定する。
ここで、半球形状工具34と研削後工具32の先端形状を比較するために、先端を基準にして重ね合わせたものを図9(b)に示す。ここで、半球形状工具34の先端外周部35は、研削後工具32の先端外周部36よりも内側となっており、つまり、半球形状工具34を用いて中荒加工を行うと、摩耗により工具先端面の研削刃部分が、外周部35から外周部36まで大きくなっていき、その結果として、先端形状の変化分37だけ、義歯1を削りすぎてしまうのである。
すなわち、どうしてこのような状態が発生するかというと、従来の半球形状工具34を用いて中荒加工を開始する時には、この半球形状を意識して、加工プロセスが設定されている。しかし、ワーク2が非常に硬いために、少し削るうちに摩耗により、工具先端面の平坦面27aが大きくなっていき、先端の研削刃部分は先端外周部36まで大きくなっていく。
この状態で、引き続き研削加工を行うと、工具34の先端が半球形状の状態として加工プロセスが設定されているために、結果として、先端形状の変化分37だけ、義歯1を削りすぎてしまい、義歯1が薄くなってしまうのである。これは、義歯1に対して、局部的に強度の不足が発生したことを意味し、つまり、この義歯1は義歯として不適切なものとなる。
また、このようにして加工された義歯1に対して、たとえ次の工程である仕上げ加工を行ったとしても、図10(b)に示すごとく、義歯1の凹部4の内壁面(仕上げ面)38には、削りすぎの箇所39が発生しており、この削りすぎの箇所39には、仕上げ加工用の工具7cが届かず、このため、一旦削りすぎた箇所39は修正が出来ないものとなる。その結果として、図11(b)に示すごとく、研削痕による等高線40が不連続な箇所41、あるいは等高線が抜け落ちた箇所42が発生するのである。
これに対して、本実施形態の初期工具26のように、その先端面に平坦面が形成された研削刃を用いて中荒加工すると、削りすぎは発生しないので、この状態で仕上げ加工を行うと、図10(a)に示すごとく、工具7cを用いて、義歯1の内壁面38を、きちんと仕上げ加工することがきるものとなる。
その結果として、本実施形態においては、図11(a)に示すように、義歯1の内壁面38で、工具7cの研削痕による等高線40は、連続したものとなる。また、この義歯1を真横から見ると、図11(c)に示すごとく、等高線加工を行ったことにより、研削痕による等高線40が連続した状態で、一定間隔に平行に並び、この状態で義歯1が適切に加工形成されるのである。
なお、本実施形態においては、仕上げ加工は、等高線加工を用いて行ったが、走査線加工を用いて凹部4を仕上げ加工する方が良い場合もある。この走査線加工は、従来と同様の方法であるので詳細な説明は省略するが、義歯1の上方から仕上げ加工用の工具7cを差し込み、図12(a)に示すように、凹部4の内壁面38をZX軸方向に走査するように加工しながら、Y軸方向に順次移動して仕上げ加工をしていくものである。
そして、この時の仕上げ加工においても、中荒加工における削りすぎの有無により、義歯1の凹部4の内壁面38に残る研削痕が異なってくる。ここで、図12(b)は、従来の方法で中荒加工を行った後に、走査線加工を用いて仕上げ加工を行ったものを示す図であるが、走査線加工により、研削痕による走査線43が現れてくる。
そして、内壁面38には、中荒加工で削りすぎた箇所44が帯状に現れ、その結果として、研削痕による走査線43は、不連続な状態となる。
これに対して、本実施形態のように、その先端面に平坦面が形成された研削刃を用いて中荒加工した後に、走査線加工を用いて仕上げ加工を行うと、削りすぎは発生しない。そのため、内壁面38に残る研削痕による走査線43は、図12(a)に示すごとく、連続した状態となる。また、この時の義歯1を真上から見ると、図12(c)に示すごとく、走査線加工を行ったことにより、研削痕による走査線43が連続した状態で、一定間隔に平行に並び、この状態で義歯1が適切に加工形成されるのである。
なお、従来の方法においては、先端面が半球形状の工具34を用いるときには、この様な削りすぎ状態を防止しようとすると、半球形状工具34の先端形状の変化を早めに検知する必要があり、そのため、頻繁に測長を実施して、先端形状の変化をケアする必要があった。つまり、半球形状工具34の先端形状の変化が大きくなる前に加工を中断して、先端形状をもう一度半球形状に再研磨した後、加工を続けるという方法がとられていた。
しかし、硬いセラミックを削るための半球形状工具34自体も硬いため、再研磨するにしても、それは非常に時間のかかる物であり、その結果として、加工時間が長くなるものとなっていた。
それに対して、本実施形態の初期工具26のように、先端面に初めから平坦面を設けているものは、たとえ工具が摩耗するといえども、削りすぎは発生せず、また、工具の先端形状の変化もほとんど無いため、工具の長さ管理にのみ着目して測長を行えば良く、しかも、工具26の再研磨の必要もないために、加工時間も節約できるものとなる。
さらにまた、加工途中で工具が短くなり、新しい工具に付け替えた後に加工を再開するときにおいても、この新しい工具は、初期工具26のように、その先端面に初めから平坦面を設けているものである。つまり、この新しい工具の先端面の形状は、上述したごとく、加工を行っていくに従って形成される先端面の形状と、ほぼ同じ形状にしているため、工具を交換したときにおいても、適切な義歯1の加工ができるものとなっている。
以上のように、本発明の歯科補綴物の加工方法は、ワークに、第1の工具で、支台歯に被せるための凹部を荒彫り形成し、その後、この荒彫り形成した凹部内を第2の工具で、仕上げ加工を行う歯科補綴物の加工方法であって、前記第1の工具として、その先端面に平坦面が形成された研削刃を用いることを特徴とするものであるので、適切な歯科補綴物の加工を行うことができる。
すなわち、本発明においては、ワークに、第1の工具を用いて、支台歯に被せるための凹部を荒彫り形成する際に、第1の工具の先端面に平坦面が形成された研削刃を用いるようにしたものである。つまり、第1の工具の先端面に、最初から平坦面を形成しているので、第1の工具の先端形状は、その平坦面の外周部が、歯科補綴物を削らない方向(つまり上方に湾曲する方向)に摩耗が進み、その後、その状態で先端形状が安定し、結果として、歯科補綴物の削りすぎが発生しなくなり、適切な歯科補綴物の加工ができるものとなる。
したがって、歯科補綴物の加工方法と、それを用いた歯科補綴物の加工装置と、それを用いて加工した歯科補綴物として、広く活用が期待されるものである。
1 義歯
2 ワーク
3 スプルー
4 凹部
5 支持部
6 モータ
7 工具
7B 工具
7C 工具
8 支持部
9 モータ
10 電源部
11 制御部
12 加工データ入力部
13 記憶部
14 操作部
15 ツールチェンジャー
16 測長器
17 測長部
18 荒加工代線
19 回転軸
20 先端面
21 先端球面
21A 側面
22 加工終端面
23 断面線
24 仕上げ代線
25 加工開始面
26 初期状態の工具
27 平坦面
27a 平坦面
28 円環28
28a 円環28
29 湾曲部
29a 湾曲部
30 円環の直径
30a 円環の直径
31 先端面の直径
31a 先端面の直径
32 研削加工後の工具
33 先端外周部
33a 摩耗量
34 半球形状の工具
35 半球形状の工具の先端外周部
36 研削加工後の工具の先端外周部
37 先端形状の変化分
38 内壁面
39 削りすぎの箇所
40 等高線
41 等高線が不連続な箇所
42 等高線が抜け落ちた箇所
43 走査線
44 削りすぎた箇所

Claims (10)

  1. ワークに、第1の工具で、支台歯に被せるための凹部を荒彫り形成し、その後、この荒彫り形成した凹部内を第2の工具で、仕上げ加工を行う歯科補綴物の加工方法であって、前記第1の工具として、その先端面に平坦面が形成された研削刃を用いる歯科補綴物加工方法。
  2. 第1の工具として用いる研削刃は、円柱状で、その先端面の中心部分に平坦面が形成された構成とした請求項1に記載の歯科補綴物加工方法
  3. 研削加工を開始する前の平坦面を構成する円環の直径は、円柱状の研削刃の先端面の直径の3/5以上とした請求項1または2に記載の歯科補綴物加工方法。
  4. 研削加工を行った後の平坦面を構成する円環の直径は、円柱状の研削刃の先端面の直径の7/15以上とした請求項3に記載の歯科補綴物加工方法。
  5. ワークの支持部材と、この支持部材に支持されたワークに、支台歯に被せるための凹部を荒彫り形成する第1の工具と、この第1の工具で荒彫り形成された凹部に仕上げ加工を行う第2の工具とを備え、
    前記第1の工具は、その先端面に平坦面が形成された研削刃で構成した歯科補綴物加工装置。
  6. 第1の工具として用いる研削刃は、円柱状で、その先端面の中心部分に平坦面が形成された構成とした請求項5に記載の歯科補綴物加工装置。
  7. 研削加工を開始する前の平坦面を構成する円環の直径は、円柱状の研削刃の先端面の直径の3/5以上の直径とした請求項5または6に記載の歯科補綴物加工装置。
  8. 研削加工を行った後の平坦面を構成する円環の直径は、円柱状の研削刃の先端面の直径の7/15以上の直径とした請求項7に記載の歯科補綴物加工装置。
  9. 支台歯に被せるための凹部を有する歯科補綴物であって、前記凹部は、第1の工具で荒彫り加工した凹部内壁面に、第2の工具で研削痕による連続した等高線を残した仕上げ加工面を有する歯科補綴物。
  10. 支台歯に被せるための凹部を有する歯科補綴物であって、前記凹部は、第1の工具で荒彫り加工した凹部内壁面に、第2の工具で研削痕による連続した走査線を残した仕上げ加工面を有する歯科補綴物。
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