本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の圧縮および復元を説明するための図である。
図1に示す構成例は、データ信号を符号化する符号化部1,符号化信号を圧縮して圧縮データを形成する圧縮部2、圧縮データを復元して符号化信号に戻す復元部3、および復元した符号化信号を復号化してデータ信号に戻す復号化部4を備える。
符号化部1は、データ信号を例えば、MIMO−OFDM方式やOSDM方式によりデータ信号を符号化する。なお、本発明の圧縮・復元では、この符号化部での符号化方式に制限されず、任意の符号化方式を適用することができる。
符号化部1は、データ用系列とデータ信号とのクロネッカ積の演算により複数の仮想チャネル用の符号化信号を作成する。データ用系列は、例えば、N次元のDFT行列の行ベクトル若しくは列ベクトルである系列、又は、ZCCZ系列セットの系列を用いることができ、仮想チャネル生成用データは、2相信号、4相信号又は複素信号から構成されるデータ列を用いることができる。
圧縮部2は、仮想的に設けた複数の仮想チャネル2a,2b,…,2cと、仮想チャネルによって形成された仮想チャネル信号を加算して圧縮データを形成する加算器2dを備える。符号化信号を仮想チャネル2a,2b,…,2cに通すことによって仮想チャネル信号を形成し、加算器2dでこれらの仮想チャネル信号を加算することで圧縮データを形成する。
圧縮部2の仮想チャネルでは、複数の仮想チャネル生成用データを用意し、仮想チャネル信号を仮想チャネル生成用データの内のそれぞれ異なる一つを用いてたたみ込み演算を行い、たたみ込み演算で得られた複数の仮想チャネル信号を加算する。
復元部3は、仮想的に設けた複数の仮想チャネル3a,3b,…,3cを備え、圧縮データをこれらの仮想チャネルに通すことによって各符号化信号に戻す。
復号化部4は、符号化部1に対応して復号化してデータ信号に戻す。
ここで、仮想チャネルは、データ信号にそれぞれ異なるチャネル特性を付与するものであって、各データ信号に異なるチャネル特性を付与することによって、加算してチャネル数を減少させた際に、復元部で元に戻すことができる状態で圧縮する。
仮想チャネルは、具体的には、符号化信号と仮想チャネル生成用データとのたたみ込み演算により実現される。各符号化信号に対してそれぞれ異なる仮想チャネル生成用データを用いてたたみ込み演算を行うことで、各データ信号に異なるチャネル特性を付与することができる。
図2は本発明の圧縮・復元を送受信装置に適用した例を示し、図3は本発明の圧縮・復元をデータ記録装置に適用した例を示し、図4は本発明の圧縮・復元を送受信装置およびデータ記録装置に適用した例を示している。
図2において、送受信装置は送信部100と受信部120とを備える。送信部100は送信信号を通信路110に送信し、受信部120は通信路110を経て受信信号を受信する。
送信部100は、データ信号を符号化する符号化部101と、符号化信号を圧縮する圧縮部102と、圧縮部102で圧縮して形成した仮想チャネル信号をRFの送信信号に変換する送信部と、送信信号を通信路110に送信する送信アンテナ104と備える。
符号化部101は、圧縮部102において仮想チャネルを形成するための仮想チャネル用の符号化信号を形成する。符号化部101は、入力したデータ信号をデータ系列によって周期相互相関が全てのシフトで0(ゼロ)となる符号化信号を形成する。この符号化信号の形成は、データ用系列とデータ信号とのクロネッカ積の演算によって行う。
圧縮部102は、仮想チャネル用符号化部101から仮想チャネル用に生成した符号化信号を入力し、入力した符号化信号から仮想チャネル信号を形成する。この仮想チャネル信号の形成は、複数の仮想チャネル生成用データを用意しておき、たたみ込み部において演算仮想チャネル用信号を仮想チャネル生成用データの一つでたたみ込み演算を行い、加算部においてたたみ込み演算で得られた複数の仮想チャネル信号を加算することによって行う。
仮想チャネル信号は、仮想チャネル生成用データによってたたみ込み演算を行うことによって、復元部において復元可能な状態で、データ信号数よりも少ないチャネル数のデータ信号に圧縮することができる。
受信部120は、送信信号を受信する受信アンテナ121、受信信号をRFからベースバンドの信号に変換する受信部122、受信信号を復元して符号化信号に戻す復元部123,符号化信号をデータ信号に復号する復号化部124によって構成することができる。
復元部123は、圧縮部102のたたみ込み演算および加算演算によって圧縮された仮想チャネル信号を復元して各仮想チャネルに対応した符号化信号に戻す。この復元は、たたみ込み演算で行う他、データ信号のピッチ間隔よりも短い間隔でサンプリングするオーバサンプリングによって行うことができる。
復号化部124では、信号分離部において、符号化部101のクロネッカ積の演算に用いたデータ用系列に対応したマッチドフィルタ(整合フィルタ)によって、データ信号とデータ用系列と分離し、分離したデータ信号の連立方程式を解くことによって、時間軸上あるいは周波数上のチャネル特性の影響を排除したデータ信号を求める。
図3において、記録装置は、信号を記録する記録部210と、記録部210にデータ信号を書き込んで記録する書き込み部200と、記録部210に記録したデータ信号を読み出す読み出し部220とを備える。
書き込み部200は、符号化部101と圧縮部102を備える。
符号化部201はデータ信号を符号化する。符号化信号は、圧縮部202において仮想チャネルを形成するための仮想チャネル用信号となる。符号化部201は、入力したデータ信号をデータ系列によって周期相互相関が全てのシフトで0(ゼロ)となる仮想チャネル用信号を形成する。この仮想チャネル用信号の形成は、データ用系列とデータ信号とのクロネッカ積の演算によって行う。
圧縮部202は、符号化部201から符号化信号を入力し、入力した符号化信号から仮想チャネル信号を形成する。この仮想チャネル信号の形成は、複数の仮想チャネル生成用データを用意しておき、たたみ込み部において符号化信号を仮想チャネル生成用データの一つでたたみ込み演算を行い、加算部において、たたみ込み演算で得られた複数の仮想チャネル信号を加算することによって行う。
仮想チャネル信号は、仮想チャネル生成用データによってたたみ込み演算を行うことによって、復元部223において復元可能な状態で、データ信号数よりも少ないチャネル数のデータ信号に圧縮することができる。
記録部210は、圧縮部202から入力した仮想チャネル信号をデジタル信号に変換するA/D変換部211と、デジタル信号に変換した仮想チャネル信号を記録する記録装置212と、記録装置212に記録される仮想チャネルをアナログ信号に変換するD/A変換部213とを備える。A/D変換部211は、サンプリング回路および量子化回路(共に図示していない)によって構成することができる。
読み出し部220は、復元部223と信号分離部(図示していない)と復号化部224とを備える。
復元部223は、圧縮部202で行うたたみ込み演算および加算演算によって圧縮された仮想チャネル信号を復元して各符号化信号に戻す。この復元は、たたみ込み演算で行うことができる。
信号分離部は、符号化部201のクロネッカ積の演算に用いたデータ用系列に対応したマッチドフィルタ(整合フィルタ)によって、データ信号とデータ用系列と分離する。
復号化部224は、分離したデータ信号の連立方程式を解くことによって、時間軸上あるいは周波数上のチャネル特性の影響を排除したデータ信号を求める。
図4は、図2で説明した送受信装置と図3で説明した記録装置とを備える構成例である。
図4において、圧縮部2で形成された仮想チャネル信号は記録部210および/又は通信路110に送られる。復元部3は記録部210から読み出した信号あるいは通信路110を介して受信した受信信号を復元する。
通信路110および記録部210には、同じ仮想チャネル信号を送る他に、それぞれ異なる仮想チャネル信号を送る構成としてもよい。
したがって、圧縮部2および復元部3は、送受信装置および記録装置に対して独立して設ける構成の他に、併設して設ける構成とすることができる。
本発明のデータ記憶装置は、データ送信およびデータ受信に適用することができる。図4はデータ送受信に適用した例を説明するための図である。図4において、データの送受信を行う構成は、前記したデータ記憶装置に加えて送受信部を備える。送受信部は、送信部(RF部)103と送信アンテナ104と受信アンテナ121と受信部122とを備える。
送信部103は、圧縮部2から圧縮したデータ信号を入力して送信周波数の高周波信号に変換して送信信号を形成する。送信アンテナ104は送信信号を送信する。
受信アンテナ121は、送信アンテナ104から送信された送信信号を受信する。送信信号には、複数の仮想チャネルによるデータ信号がたたみ込まれている。受信回路122は受信信号を受信し、復元部3に送られる。
データ送受信に適用した場合には、仮想チャネルのチャネルと共に、送信アンテナと受信アンテナとの間を伝送する際の実空間のチャネル特性が加わるため、データ信号と共にパイロット信号を送信し、チャネル特性検出部6によってパイロット信号からチャネル特性を検出する。復号化部4は信号分離部5で分離したデータ信号とチャネル特性検出部6で検出したチャネル特性によって形成した連立方程式を解いて、伝送されたデータ信号を求めることができる。
なお、本発明のデータ記録装置では、送信アンテナと受信アンテナとの間の実空間は記録装置に対応しており、この記録装置のチャネル特性が既知である場合には、パイロット信号を用いたチャネル特性の検出は不要である。
次に、圧縮部2による圧縮の効果を図5,図6を用いて説明する。図5,図6において、振り分け部8は、入力したデータ信号のデータ列#0〜#k-1を、各データ信号#0,…,#k-1に振り分ける。このデータ信号#0,…,#k-1は遅延時間τで振り分けられる。例えば、データ信号#0はデータ列が入力されてからτ後に仮想チャネル用の符号化部1に送られ、データ信号#2はデータ列が入力されてから2τ後に符号化部1に送られ、データ信号#k-1はデータ列が入力されてからkτ後に符号化部1に送られる。
なお、振り分け部8は、入力されるデータ信号が連続したデータ列である場合に設けられる構成要素であり、入力されるデータ信号が符号化部1に対して並列信号の形態である場合には振り分け部8は不要とすることができる。
圧縮部2は、仮想チャネル生成用データによるたたみ込み演算によって仮想チャネル信号を形成し、加算演算によって#0データ〜#k-1データがたたみ込まれたデータ信号#(0〜k-1)を出力する。
振り分け部8で振り分けられる各データ信号#0,…,#k-1は時間間隔τで出力される。各データ信号#0,…,#k-1のサンプリング数をα点とすると、単位時間当たりのサンプリング数はα/τとなる。一方、圧縮部2で形成されるデータ信号#(0〜k-1)は時間間隔kτで出力される。データ信号#(0〜k-1)のサンプリング数をα点とすると、単位時間当たりのサンプリング数はα/kτとなる。単位時間当たりのサンプリング数を1/kとすることは、データを1/kに圧縮することを意味している。
図6(a)はデータ記録装置の記録素子212Aへのデータ信号の記録状態、および送信状態を示している。圧縮部2によって複数の仮想チャネルによって仮想チャネル信号を形成し、これらの仮想チャネル信号を加算したデータ信号#(0〜k-1)を記録素子22Aに記録する。この記録素子212Aは、データ信号#(0〜k-1)を、データ信号#0,…,#k-1の個数よりも少ないチャネル数(例えば一チャネル)に対応させて記録する。また、送信部103Aおよび送信アンテナ104Aは、データ信号#(0〜k-1)を、データ信号#0,…,#k-1の個数よりも少ないアンテナで送信する。
図6(b)は、データ信号#0,…,#k-1を各記録素子212-0、212-1、…、212-(k-1)に記録する構成例、およびデータ信号#0,…,#k-1を各送信部103-0、103-1、…、103-(k-1)および送信アンテナ104-0、104-1、…、104-(k-1)によって送信する構成例を示している。この構成例では、データ信号と同数の記録素子および送信素子を要することになる。したがって、本発明の図6(a)の構成によれば素子個数を低減させることができる。
以下、図7〜図10を用いて、符号化信号の作成について説明する。なお、ここでは、符号化信号の作成について、伝送方法におけるOSDM(Orthogonal Signal Division Multiplex)方式に対応する例を示す。
ここでは、N次元のDFT行列のN個(Nは、3以上の自然数)の行ベクトルのそれぞれと長さM(Mは、2以上の自然数)のデータとのクロネッカ積をとることによって生成された長さM×Nの信号を作成する場合について説明する。
(DFT行列とデータ信号)
先ず、N次のDFT(Discrete Fourier Transform)行列について説明する。
N次のDFT行列FNを、
FN=[fN(i、j)] ・・・(1)
とする。なお、N次逆DFT行列FN −1は、DFT行列FNの複素共役である。
ここで、iは、行番号で、0≦i≦N−1であり、jは、列番号で、0≦j≦N−1である。
また、fN(i、j)=exp(2π√−1ij/N)/√N ・・・(2)
である。
また、単位円をN分割した点に相当する変数WNを、図7に示すように、次のように定義する。
WN≡exp(2π√−1)/N ・・・(3)
この変数WNを用いると、DFT行列FNは、図8に示すようになる。
なお、図8において、WNは回転子であり、以下の関係が成立する。
WN N=ej2π=1 ・・・(4)
WN N−k=WN 2N−k=・・・=WN −k ・・・(5)
図8に示すように、N次のDFT行列FNは、ベクトルfN、0、ベクトルfN,1・・・ベクトルfN,N−1のN個の行ベクトルを有している。この行ベクトル同士は、周期相互相関が全てのシフトにおいてゼロである。
次に、この行ベクトルを用いたデータの記録について説明する。図9に示すように、データ信号#0、データ信号#1、・・・、データ信号#(N−1)のN個の長さMのデータ信号は、それぞれデータXO(x00、x01、・・・、x0(M−1))、データX1(x10、x11、・・・、x1(M−1))・・・データX(N−1)(x(N−1)0、x(N−1)1、・・・、x(N−1)(M−1))を有している。このデータXO、データX1、・・・、データX(N−1)に対して、それぞれ、行ベクトルfN,0、行ベクトルfN,1、・・・、行ベクトルfN,N−1を用いてクロネッカ積の演算を行い、信号S0、S1・・・SN−1を形成する。
生成された信号S0、S1・・・SN−1を記録することにより、複数のデータ信号を相関なく記録することができる。なお、記録される信号の長さは、N×Mの長さとなる。
つまり、信号S0、S1・・・SN−1の中で任意の二つの信号の周期相互相関が全てのシフトで0(ゼロ)となるので、適切なマッチドフィルタ(整合フィルタ)を設計すれば、これらの信号を足し合わせて送信あるいは記録しても、受信時あるいは読み出し時にそれぞれのデータ列を分離することが可能になる。
(マッチドフィルタ)
長さMのベクトルIM(1、0、・・・・、0)を定義する。
ここで、以下の式(7)で表されるベクトルf
k(0≦k≦N−1)とI
Mのクロネッカ積の演算
を整合する信号とするマッチドフィルタを用意する。
このマッチドフィルタに信号Sk(0≦k≦N−1)を入力すると、出力の中央のM個の部分は、データXkになる。
また、(g≠k, 0 ≦ k ≦ N − 1, 0 ≦ g ≦ N − 1)としたときの信号S
gを
のマッチドフィルタへ入力すると、出力信号の中央のM個の部分は常に0となる。
これは、つまり信号S0から信号SN−1までを足し合わせても、f(×)IMのマッチドフィルタを通せばXkのみが得られることを意味している。なお、クロネッカ積は本文中では“(×)”の記号で表すものとする。
(擬周期信号)
信号S0から信号SN−1までを足し合わせた信号をSSUMとする。信号SSUMは長さMNの有限長系列であるため、マルチパスチャネル通過の際に、DFT行列によって得られた周期性を失ってしまう。すると、マッチドフィルタ出力からデータXk(0≦k≦N−1)を得ることができなくなる。
周期的な無限長の信号である場合、マルチパスチャネルは信号の周期性に影響を与えない。しかし、無限長の系列を生成することは実用的ではない。そこで、無限長の周期系列から必要な長さを切り出す擬周期信号を導入する。
まず、想定されるマルチパス遅延時間よりも大きな値L2を与える。また、直接経路信号が存在しなかったり、極めて小さな電力レベルである場合、最大振幅信号に対する遅延時間がマイナスであることがある。その時間を考慮した値をL1とする。このL1,L2を使って図10のような擬周期信号を作る。
ここでL2にあたる部分をサイクリックプレフィックス、L1にあたる部分をサイクリックポストフィックスと呼ぶ。読み出し時にはマッチドフィルタ入力前に両者を取り除く必要がある。
(パイロット信号)
データ列X0を長さをMとして以下のように決める。
X0=(1,0,0,0,...,0) ・・・・(9)
これを用いて「fk(×)IM」を計算し、直接fk(×)IMへ入力すると、出力の中心部分は、
X0=(1,0,0,0,...,0) ・・・・(10)
となる。なお、(×)はクロネッカ積を示している。
次に、S0を擬周期化した後にマルチパスチャネルを通過させる。サイクリック(プレ/ポスト)フィックスを取り除き、fk(×)IMのマッチドフィルタへ入力すると、出力の中央部分のM個の部分は以下にようになる。
X0=(p0,p1,p2,p3,...,p(L2−1), 0, 0, ..., 0) ・・・・(11)
ただし、(p0,p1,p2,p3,...,pk,...,p(L2−1))は、時間kだけ遅れて到達したパスに乗算される複素係数であり、記録装置内のチャネル特性であり、時間軸上のチャネル特性を表している。なお、ここでは、チャネル特性は時間軸上で表しているが、周波数上のチャネル特性についても同様とすることができる。
このpkは一般に、振幅係数rkと位相回転θkを用いて、
pk=rk・ejθk ・・・・(12)
と表される。
なお、パイロット信号として、ZACZ(Zero Auto Correlation Zone Sequence)系列の信号、ZCCZ(Zero Cross correlation Zone Sequence)系列の信号、PN系列の信号を用いることが出来る。
この場合、上記fk(×)IMのマッチドフィルタの出力を、これらのパイロット信号を整合するマッチドフィルタに入力する必要がある。なお、(×)はクロネッカ積を示している。
パイロット信号として、ZACZ等を用いても、マルチパス特性を含む時間軸上のチャネル特性を検出することができる。
(連立方程式)
パイロット信号の挿入によってマルチパス特性を含む時間軸上のチャネル特性を知ることができることを示した。
パイロット信号以外のデータ信号部分Xk(1<k<N−1)の、それぞれのマッチドフィルタ出力の中心のM個の部分(dk0〜dk(M−1))は、データとマルチパス特性が以下の式のような関係を示す。
(p0,p1,...,pL2−2,pL2−1,0,...,0,0,0)・xk0
+(0,p0,p1,...,pL2−2,pL2−1,0,...,0,0)・xk1
+(0,0,p0,p1,...,pL2−2,pL2−1,0,...,0)・xk2
・
・
・
+(0,0,0,...,0,0,0,0,p0,p1)・xk(M−2)
+(0,0,0,0,...,0,0,0,0,p0)・xk(M−1)
=(dk0,dk1,dk2,...,dk(M−2),dk(M−1) ) ・・・・(13)
上記式(13)を、行列を用いて表現すると次の式(14)で表される。
ここで、
とすると、
D
k=P
tX
k ・・・・(17)
となる。
式(17)をXkについて解くことで、受信側あるいは読み出し側において、送信側および書き込み側のチャネル特性、通信路あるいは記録素子のチャネル特性を含む時間軸上のチャネル特性を補償したデータ信号を得ることができる。
この連立方程式を簡単に解くためには、例えば、式(17)の両辺左からPの逆行列を掛ければよい。
P−1Dk=P−1PtXk
=tXk ・・・・(18)
本発明による方法の一形態において、N次元のDFT行列のN個(Nは、3以上の自然数)の行ベクトル若しくは列ベクトルである系列のそれぞれと、又は、ZCCZ系列セットのN個の系列のそれぞれと、パイロット信号及び長さM(Mは、2以上の自然数)のデータ信号とのクロネッカ積の演算を行うことによって複数の仮想チャネル用信号を形成する際に、N個の系列をf0、f1、f2、・・・fN−1としたとき、このN個の系列の内、P個(Pは、2以上の自然数)の系列をパイロット信号のためのパイロット用系列とし、N−P個の系列をデータ信号のためのデータ用系列とし、2相信号、4相信号又は複素信号から構成されるQ個(但し、Qは、2以上、P以下の自然数)の仮想チャネル生成用データを用意し、パイロット用系列の一つとパイロット信号とのクロネッカ積と、データ用系列とデータ信号とのクロネッカ積との信号とからなるR個(但し、Rは、1以上、Q以下の自然数)の仮想チャネル用信号を生成する。生成されたR個の信号を異なる仮想チャネル生成用データの一つでたたみ込んで仮想チャネル信号を形成する。
なお、DFT行列の行ベクトルの線形結合およびDFT行列の列ベクトルの線形結合であっても、DFT行列の行ベクトルおよびDFT行列の列ベクトルと同等の機能を有するので、DFT行列の行ベクトルおよびDFT行列の列ベクトルは、それぞれ、DFT行列の行ベクトルの線形結合およびDFT行列の列ベクトルの線形結合を含むものである。
また、本発明の装置の一形態において、N次元のDFT行列のN個(Nは、3以上の自然数)の行ベクトル若しくは列ベクトルである系列のそれぞれと、又は、ZCCZ系列セットのN個の系列のそれぞれと、長さM(Mは、2以上の自然数)のパイロット信号および長さMのデータ信号とのクロネッカ積の演算を行う仮想チャネル用信号生成部と、仮想チャネル用信号生成部で生成されたR個の信号を仮想チャネル生成用データでたたみ込むたたみ込み部を含む圧縮部と、データたたみ込み部でたたみ込んだ信号を記録する復元部とを有する。
また、圧縮した信号を送受信する場合には、データ信号の復元において、圧縮されたデータ信号に対して、U(但し、U≧Rである。)倍のオーバサンプリングを行うオーバサンプリング工程と、P×U個のチャネルに係る時間軸上のチャネル特性を検出するチャネル特性検出工程と、M×U個の受信信号を検出する信号検出工程と、P×U個のチャネルに係る時間軸上のチャネル特性と、M×U個の受信信号に基づいて、M×R個の連立方程式を生成する連立方程式生成工程と、連立方程式生成ステップで生成された連立方程式を解く復号工程とによってデータ信号を取得することができる。
また、本発明の送受信装置の受信部において、受信した受信信号に対してU(但し、U≧Rである。)倍のオーバサンプリングを行うオーバサンプリング部を含む復元部と、P×U個のチャネルに係る時間軸上のチャネル特性を検出するチャネル特性検出部と、M×U個の受信信号を検出する信号検出部と、P×U個のチャネルに係る時間軸上のチャネル特性と、M×U個の受信信号に基づいて、M×R個の連立方程式を生成する連立方程式生成部と、連立方程式生成ステップで生成された連立方程式を解く復号化部とを有する構成とすることができる。
(信号構成)
データ信号を、図11〜図13の信号構成例を用いて説明する。
図11〜図13の信号構成において、N次元のDFT行列のN個の行ベクトル(N個の系列)をfN,0、fN,1、fN,2、・・・fN,N−1とする。また、このN個の行ベクトル内、P個の行ベクトルfN,0〜fN,P−1は、パイロット信号のためのパイロット信号用行ベクトルとして用い、N−P個の行ベクトルfN,P〜fN,N−1は、データのデータ信号用行ベクトルとして用いる。
図11の信号構成は、パイロット用行ベクトルとして1個の行ベクトルfN,0を用い、データ用行ベクトルとして、N−P個の行ベクトルfN,P〜fN,N−1を用いた場合である。
また、行ベクトルfN,0、fN,1、fN,2、・・・fN,N−1は、N次元のDFT行列のN個の列ベクトルであってもよい。
また、ベクトルfN,0、fN,1、fN,2、・・・fN,N−1は、N次元のDFT行列のN個の行ベクトルでなく、ZCCZ系列セットを構成するN個の系列であってもよい。
例えば、ZCCZ系列セットとして、次に定義するZCCZ行列の行ベクトルを用いることができる。
ここで言うZCCZ行列は、N行K列の行列であって、任意の二つの行ベクトルの間の、Kを周期とする周期相互相関関数にゼロクロスコリレーションゾーンが存在する。
なお、二つの行ベクトルの組合せによっては、Kと異なるK'(K'≠K)を周期とする周期相互相関関数にゼロクロスコリレーションゾーンが存在してもよい。
パイロット信号X0(x00、x01、・・・、x0(M−1))は、X0(1,0,0,0,…,0)であっても良いし、長さMのZCZ系列の信号、長さMのZCCZ系列の信号等を用いることができる。
N−P個のデータ信号X0,P(x0,P,0、x0,P,1、・・・、x0,P,(M−1))・・・X0,N−1(x0,(N−1),0、x0,(N−1),1、・・・、x0,(N−1),(M−1))は、それぞれ、N−P個の行ベクトルfN,P〜fN,N−1とクロネッカ積の演算が行われる。
したがって、図11に示されている「符号化信号0(仮想チャネル用信号0)」は、次の信号である。
ベクトルfN,0(×)パイロット信号X0+ベクトルfN,P(×)データ信号X0,P…+ベクトルfN,N−2(×)データ信号X0,N−2+ベクトルfN,N−1(×)データ信号X0,N−1 ・・・・(19)
図12の信号構成は、パイロット用行ベクトルとして1個の行ベクトルfN,1を用い、データ用行ベクトルとして、N−P個の行ベクトルfN,P〜fN,N−1を用いた場合である。
図10に示されている「符号化信号1(仮想チャネル用信号1)」は、次の信号である。
ベクトルfN,1(×)パイロット信号X1+ベクトルfN,P(×)データ信号X1,P…+ベクトルfN,N−2(×)データ信号X1,N−2+ベクトルfN,N−1(×)データ信号X1,N−1 ・・・・(20)
同様にして、図13の信号構成は、パイロット用行ベクトルとして1個の行ベクトルfN,P−1を用い、データ用行ベクトルとして、N−P個の行ベクトルfN,P〜fN,N−1を用いる。
図11に示されている「符号化信号N(仮想チャネル用信号N)」は、次の信号である。
ベクトルfN,P−1(×)パイロット信号XP−1+ベクトルfN,P(×)データ信号XN−1,P…+ベクトルfN,N−2(×)データ信号XN−1,N−2+ベクトルfN,N−1(×)データ信号XN−1,N−1 ・・・・(21)
(仮想チャネル用データ)
なお、仮想チャネル生成用データの一例として、図14のデータを用いることができる。
また、仮想チャネル生成用データとして、相関の小さい系列又は乱数を用いることができる。
なお、異なる仮想チャネル生成用データの一つでデータ信号をたたみ込むことにより仮想チャネルが生成される。なお、この仮想的なチャネルは送信側および書き込み側で生成されるので、送信側仮想チャネルないし書き込み側仮想チャネルとも言える。
(圧縮部)
ここで、図11〜図13において、実アンテナあるいは記録部が1つで、Pが「3」の場合(パイロット信号が3個の場合であって、仮想チャネルが3つの場合である。)の送信装置および記録装置について、図15を用いて説明する。
図15の圧縮部では、N次元のDFT行列のN個の行ベクトル(N個の系列)をfN,0、fN,1、fN,2、・・・fN,N−1とし、このN個の行ベクトルの内、3個の行ベクトルfN,0〜fN,2をパイロット用行ベクトルとして用い、N−P(N−3)個の行ベクトルfN,3〜fN,N−1は、データ信号を送信あるいは記録するためのデータ用行ベクトルとして用いる。
図15の符号化部1は、仮想チャネル0用の符号化部1a、仮想チャネル1用の符号化部1b、仮想チャネル2用の符号化部1cを備え、圧縮部2は、仮想チャネル生成用データの記憶部22、たたみ込み部21、加算部23を備える。記録装置は、A/D変換部21でデジタル化した後に記録部22に記録される。また、送信装置では、RF信号に変換する送信部103および送信アンテナ104を備える。
圧縮部2は、たたみ込み演算を行うたたみ込み部21,たたみ込み演算に用いる仮想チャネル生成用データを格納する仮想チャネル生成用データ記憶部22、たたみ込み部21の演算結果を加算する加算部23を備える。
仮想チャネル0用の符号化部1aは、パイロット用行ベクトルfN,0とパイロット信号X0(x00、x01、・・・、x0(M−1))とのクロネッカ積と、N−3個のデータ用ベクトルfN,3〜fN,N−1のそれぞれとN−3個のデータ信号X0,3(x0,3,0、x0,3,1、・・・、x0,3,(M−1))・・・X0,N−1(x0,(N−1),0、x0,(N−1),1、・・・、x0,(N−1),(M−1))とのクロネッカ積の演算を行って、仮想チャネル0用信号KS0を作成する。
最終的に、仮想チャネル0用の符号化部1aは、次の信号を作成する。
仮想チャネル0用信号KS0:
ベクトルfN,0(×)パイロット信号X0+ベクトルfN,3(×)データ信号X0,3…+ベクトルfN,N−2(×)データ信号X0,N−2+ベクトルfN,N−1(×)データ信号X0,N−1 ・・・・(22)
なお、仮想チャネル0用信号KS0は、長さNMの信号の(N−2)個の信号の和である。
同様に、仮想チャネル1用の符号化部1bは、パイロット用行ベクトルfN,1とパイロット信号X1(x10、x11、・・・、x1(M−1))とのクロネッカ積と、N−3個のデータ用ベクトルfN,3〜fN,N−1のそれぞれとN−3個のデータ信号X1,3(x1,3,0、x1,3,1、・・・、x1,3,(M−1))・・・X1,N−1(x1,(N−1),0、x1,(N−1),1、・・・、x1,(N−1),(M−1))とのクロネッカ積の演算を行うことにより仮想チャネル1用信号KS1を作成する。
最終的に、仮想チャネル1用の符号化部1bは、次の信号を作成する。
仮想チャネル1用信号KS1:
ベクトルfN,1(×)パイロット信号X1+ベクトルfN,3(×)データ信号X1,3…+ベクトルfN,N−2(×)データ信号X1,N−2+ベクトルfN,N−1(×)データ信号X1,N−1 ・・・・(23)
同様に、仮想チャネル2用の符号化部1cは、パイロット用行ベクトルfN,2とパイロット信号X2(x20、x21、・・・、x2(M−1))とのクロネッカ積と、N−3個のデータ用ベクトルfN,3〜fN,N−1のそれぞれとN−3個のデータ信号X2,3(x2,3,0、x2,3,1、・・・、x2,3,(M−1))・・・X2,N−1(x2,(N−1),0、x2,(N−1),1、・・・、x2,(N−1),(M−1))とのクロネッカ積の演算を行って、仮想チャネル2用信号KS2を作成する。
最終的に、仮想チャネル2用の符号化部1cは、次の信号を作成する。
仮想チャネル2用信号KS2:
ベクトルfN,2(×)パイロット信号X2+ベクトルfN,3(×)データ信号X2,3…+ベクトルfN,N−2(×)データ信号X2,N−2+ベクトルfN,N−1(×)データ信号X2,N−1 ・・・・(24)
圧縮部2は、仮想チャネル0用信号KS0、仮想チャネル1用信号KS1および仮想チャネル2用信号KS2に対して、それぞれ、たたみ込み部21で異なる仮想チャネル用データとのたたみ込み演算を行い、得られた信号を加算部23で加算する。
圧縮2の一構成例を図16に示す。図16に示す圧縮部2は、たたみ込み演算を行うたたみ込み部21a〜21c、たたみ込み演算によって仮想チャネルを生成するための仮想チャネル生成用データを格納する仮想チャネル生成用データ記憶部22、およびたたみ込み部21a〜21cで得られた各信号を加算する加算部23から構成されている。
たたみ込み部21aは仮想チャネル0用信号KS0と仮想チャネル生成用データD0とのたたみ込みを行い、たたみ込み部21bは仮想チャネル1用信号KS1と仮想チャネル生成用データD1とのたたみ込みを行い、たたみ込み部21cは、仮想チャネル2用信号KS2と仮想チャネル生成用データD2とのたたみ込みを行う。
加算部23は、たたみ込み部21a〜21cからの信号を加算し、A/D変換部21を介して記録部22、あるいは送信部103を介してアンテナ104に出力する。
たたみ込み部の意義:加算部23で加算された仮想チャネル0用信号KS0、仮想チャネル1用信号KS1、および仮想チャネル2用信号KS2は記録部20あるいは受信部120に送られる。仮想チャネル0用信号KS0、仮想チャネル1用信号KS1、および仮想チャネル2用KS2は、同一の伝送経路を経て記録部20あるいは受信部120に送られるので、この伝送系におけるチャネル特性は同じであるが、仮想チャネル0用信号KS0、仮想チャネル1用信号KS1、および仮想チャネル2用KS2は、それぞれ異なる仮想チャネル用データ(D0、D1,D2)とたたみ込み演算が行われているので、記録部20側あるいは受信部120から見ると、仮想チャネル0用信号KS0、仮想チャネル1用信号KS1、および仮想チャネル2用KS2は、それぞれ、異なる回線を経由して入力されたものと等価である。
したがって、記録部側あるいは受信部側で、それぞれの回線のチャネル特性を検出して、連立方程式を生成し、この連立方程式を解くことにより、正確に、仮想チャネル0用信号KS0、仮想チャネル1用信号KS1、および仮想チャネル2用KS2を得ることができる。
図17に基づいて、たたみ込み部21によるたたみ込み演算を説明する。
ここで、仮想チャネル0用信号KS0を(KS00、KS01、KS02、KS03、・・・KS0NM−1)とし、仮想チャネル0用信号KS0に対する仮想チャネル用生成データD0を( 1 j 1 −j)とする。
図17に示されているように、仮想チャネル0用信号KS0:(KS00、KS01、KS02、KS03、・・・KS0NM−1)と、KS0にjを乗じたjKS0:j(KS00、KS01、KS02、KS03、・・・KS0NM−1)を1タイムスロット分遅らせた信号と、KS0:(KS00、KS01、KS02、KS03、・・・KS0NM−1)を更に1タイムスロット分遅らせた信号と、KS0に(−j)を乗じた−jKS0:−j(KS00、KS01、KS02、KS03、・・・KS0NM−1)を更に1タイムスロット分遅らせた信号が各タイムスロットについて加算され、加算信号がたたみ込み部21aの出力となる。
同様に、たたみ込み部21bからは、仮想チャネル1用信号KS1に対する仮想チャネル用生成データD1を( j 1 1 j)とすると、j(KS10、KS11、KS12、KS13、・・・KS1NM−1)と、1タイムスロット分遅らせた(KS10、KS11、KS12、KS13、・・・KS1NM−1)と、更に、1タイムスロット分遅らせた(KS10、KS11、KS12、KS13、・・・KS1NM−1)と、更に、1タイムスロット分遅らせたj(KS10、KS11、KS12、KS13、・・・KS1NM−1)の信号が各タイムスロットについて加算され、加算信号がたたみ込み部21bの出力となる。
同様に、たたみ込み部21cからは、仮想チャネル2用信号KS2に対する仮想チャネル生成用データD2を( 1 j j 1)とすると、(KS20、KS21、KS22、KS23、・・・KS2NM−1)と、1タイムスロット分遅らせたj(KS20、KS21、KS22、KS23、・・・KS2NM−1)と、更に1タイムスロット分遅らせたj(KS20、KS21、KS22、KS23、・・・KS2NM−1)と、更に1タイムスロット分遅らせた(KS20、KS21、KS22、KS23、・・・KS2NM−1)の信号が各タイムスロットについて加算され、加算信号がたたみ込み部21cの出力となる。
(復元部)
以下、復元部3について説明する。図15で示した圧縮部1で生成した信号のデータ量は、仮想チャネルによって(N−P)倍となる。
図15で示した仮想チャネルを有した圧縮1で生成される信号を一般化した信号ものを図18に示す。
図18に示す信号構成は、パイロット信号がP個、仮想チャネル数がP個、DFT行列の行ベクトルが、図10のように定義された行ベクトルfN,0、行ベクトルfN,1・・・行ベクトルfN,N−1(以下、「行ベクトルf0、行ベクトルf1・・・行ベクトルfN−1」又は「f0、f1・・・fN−1」とも言う。)」を用いた場合である。
また、パイロット信号と共に(N−P)×M個のデータ信号を仮想チャネル毎に生成する場合である。
仮想チャネル#0では、行ベクトルf0とのクロネッカ積の演算によってパイロット信号(#0)が生成される。同時に、仮想チャネル#0では、N−P個のデータ信号(X00、X01、・・・、X0(N−P))が、行ベクトルf0、行ベクトルf1・・・行ベクトルfN−1のそれぞれとクロネッカ積の演算が行われたデータ信号(#0)が生成される。
なお、N−P個のデータ信号はそれぞれ長さMのデータであるので、仮想チャネル#0ではM×(N−P)のデータが生成される。
同様に、仮想チャネル#1では、行ベクトルf1とのクロネッカ積の演算によってパイロット信号(#1)が生成される。同時に、仮想チャネル#1では、N−P個のデータ信号(X10、X11、・・・、X1(N−P))が、行ベクトルf0、行ベクトルf1・・・行ベクトルfN−1のそれぞれとのクロネッカ積の演算によってデータ信号(#1)が生成される。
同様に、仮想チャネル#P−1では、行ベクトルfP−1とのクロネッカ積の演算によってパイロット信号(#P−1)が生成される。同時に、仮想チャネル#P−1では、N−P個のデータ信号(XP−10、XP−11、・・・、XP−1(N−P))が、行ベクトルf0、行ベクトルf1・・・行ベクトルfN−1のそれぞれとのクロネッカ積の演算によってデータ信号(#N−1)が生成される。
各仮想チャネルのパイロット信号は、クロネッカ積の演算に用いる行ベクトルが異なるため、他のパイロット信号及びデータ信号と干渉を回避し、受信あるいは記録することができる。
しかしながら、各仮想チャネルのデータ信号は、クロネッカ積の演算に用いるN−P個の行ベクトルfP〜fN−1を共有している。
そのため、同一の行ベクトルで生成されたMP個のデータ信号は、受信側あるいは読み出し側で何らかの信号処理を行わない場合には混信されることになる。
そこで、本発明は、受信側あるいは読み出し側においてU(U≧P)個の仮想チャネルを生成し、受信側信号あるいは読み出し信号を、このU個の仮想チャネルに分岐し、分岐されたU個の信号を処理することにより連立一次方程式を生成し、この連立一次方程式を解くことによってデータ信号を混信することなく復号するようにしたものである。
つまり、本発明は、
(1)送信側あるいは書き込み側で、別々のP通りの送信側仮想チャネルあるいは書き込み側仮想チャネルを通した後に、加算して得た信号を実際の伝送チャネルに送信、あるいは記録部に記録し、受信側あるいは読み出し側で、受信した信号あるいは記録部から読み出した信号をU(U≧P)通りの別々の仮想チャネルを通す。
(2)送信側あるいは書き込み側でP通りの仮想チャネル、受信側あるいは読み出し側でU通りの仮想チャネルが存在するため、通過する仮想チャネルの個数はPU通りとなる。このPU通りの全ての仮想チャネル特性を検出する。
このPU通りの全ての仮想チャネル特性のうち、少なくともP2個の仮想チャネルを検出する。
(3)受信側あるいは読み出し側で得たPU通りのチャネル特性と、送信側で送信されたデータ信号あるいは書き込み側で書き込まれたデータ信号が別々の受信側仮想チャネルあるいは読み出し側仮想チャネルを通った出力とを用いて連立一次方程式を生成し、この連立一次方程式を解くことによってデータ信号を混信なく読み出すようにしたものである。
なお、送受信では、受信側でU(U≧P)通りの別々の仮想チャネルを通す方法として、オーバサンプリングによる方法と、送信側と同じようにU個の仮想チャネル生成用データでたたみ込む方法とがある。
また、記録では、読み出し側でU(U≧P)通りの別々の仮想チャネルを通す方法として、書き込み側と同じようにU個の仮想チャネル生成用データでたたみ込む方法がある。
図19は、復元部側の構成例を示している。復元部側は、受信アンテナ121で受信し、受信部122でRF信号からベースバンド信号に変換したデータ信号、あるいは、記録装置212からD/A変換部223でアナログ信号に変換したデータ信号を復元部3に入力する。
復元部3は仮想チャネル(Uチャネル)を有しており、入力したデータ信号を仮想チャネルに通して仮想チャネル信号を生成する。信号分離部5は、復元部3からUチャネル分の仮想チャネル信号を入力し、符号化部で用いたデータ用系列に対応するマッチドフィルタを通すことによって、パイロット信号(PU)とデータ信号(UM)とを分離する。
チャネル特性検出部6はパイロット信号(PU)からチャネル特性を検出する。連立方程式生成部7は、チャネル特性検出部6で検出したチャネル特性と、信号分離部5で分離したデータ信号(UM)とを用いて連立方程式(RM個)を生成し、復号化部4はこの連立方程式を解くことによってデータ信号(RM個)を出力する。なお、復号化部4は連立方程式生成部7を含む構成としてもよい。
図20は、オーバサンプリングによる方法であり、図21は、仮想チャネル生成用データを用いたたたみ込み処理を行う方法である。
(受信部(第1の形態例))
図15の圧縮部2で生成され送信アンテナ104で送信され、受信側の受信アンテナ121で受信されたデータ信号について、オーバサンプリングによって復元する形態について、図20を用いて説明する。なお、図20では、R(P)=3でなく、一般的に図示している。
図20に示す受信側は、受信アンテナ121と、受信アンテナ121で受信したRF信号をベースバンド信号に変換する受信部122と、受信信号を復元する復元部3Aと、復元部3Aの出力からパイロット信号とデータ信号とを分離する信号分離部5と、時間軸上のチャネル特性を検出するチャネル特性検出部6と、連立方程式生成部7と、復号化部4とを有している。
復元部3Aは、ベースバンド信号に変換された信号についてU倍のオーバサンプリングを行って復元する。
信号分離部5は、復元部3Aのオーバサンプリング部から出力されたサンプリング系列(後述する)毎に、ベクトルfN,0、ベクトルfN,1・・・ベクトルfN,N−1のN個の行ベクトルのそれぞれとベクトルIMとのクロネッカ積に整合するマッチドフィルタから構成される。
チャネル特性検出部6は、送信装置側の伝送特性、伝搬空間の伝送特性、受信装置側の伝送特性を含む、送信側から受信側にかけての全ての伝送路の時間軸上のチャネル特性を検出する。なお、ここでは、チャネル特性として時間軸上について説明しているが、周波数軸上のチャネル特性についても同様とすることができる。
(オーバサンプリング)
復元部3Aのオーバサンプリング部は、ベースバンド信号に変換されたデータ信号について、元のデータ信号に対してU倍のサンプリング周波数でオーバサンプリングを行う。U倍のサンプリング周波数によるサンプリングでは、サンプリング間隔は1/Uとなる。
ここで、信号P(1、−1、1、1)のオーバサンプリングについて、図21を用いて模式的に説明する。なお、オーバサンプリング部におけるオーバサンプリングは、図21に示されているような、明瞭な「0」、「1」から構成されているような信号ではなく、回線雑音、熱雑音、他のチャネルからの漏洩信号等を含む明瞭さに欠ける信号である。
信号Pは、図21(a)に示すようにピッチ間隔をτ(ピッチ周波数1/τ)としたときには
信号P(1、−1、1、1)となる。
一方、ピッチ周波数の4倍の周波数(τ/4の間隔)でオーバサンプリングを行うと、信号Bは図21(b)に示すように、
信号B(1、1、1、1、−1、−1、−1、−1、1、1、1、1、1、1、1、1)となる。
なお、オーバサンプリングのタイミングが固定されていれば、オーバサンプリングの間隔は同一でなくてもよく、τの期間内で所定個のサンプリング点が得られればよい。
つまり、後述する#を用いれば、同一の#におけるサンプリング間隔はどの#の場合であっても、固定(図の場合は、τ/4である。)であるが、#間の間隔は、一定である必要はない。
また、オーバサンプリングは、ベースバンドでなく、高周波段階又は中間周波数の段階で行ってもよい。
図22は、信号(a0、a1、・・・、a(M−1))をオーバサンプリングする例を示している。このとき、信号a0に対するオーバサンプリング#0の信号をa0−0とし、信号a0に対するオーバサンプリング#1の信号をa0−1とし、・・・信号a0に対するオーバサンプリング#(U−1)の信号をa0−(U−1)とする。
また、信号a1に対するオーバサンプリング#0の信号をa1−0とし、信号a1に対するオーバサンプリング#1の信号をa1−1とし、・・・信号a1に対するオーバサンプリング#(U−1)の信号をa1−(U−1)とする。
同様に、信号a(M−1)に対するオーバサンプリング#0の信号をa(M−1)−0とし、信号a(M−1)に対するオーバサンプリング#1の信号をa(M−1)−1とし、・・・信号a(M−1)に対するオーバサンプリング#(U−1)の信号をa(M−1)−(U−1)とする。
これを、サンプリング点での信号の系列で見ると図23のように表すことができる。
サンプリング#0の系列 a0―0 a1―0 ・・・・a(M−1)―0
サンプリング#1の系列 a0―1 a1―1 ・・・・a(M−1)―1
・・・・
サンプリング#U−1の系列 a0―(U−1) a1―(U−1) ・・・ a(M−1)−(U−1)
これによれば、サンプリングの系列毎に、データ信号に対応する信号系列が存在している。換言すれば、サンプリングの系列毎に、仮想的なチャネルが存在していると言える。なお、この仮想的なチャネルは受信側で生成される。
ところで、パイロット信号では、仮想チャネル毎に異なる行ベクトルを使用しているので、全パイロット信号は混信することなく受信側で受信することができる。しかしながら、受信したデータ信号は、仮想チャネル毎に異なる行ベクトルを用いていないので、同じ行ベクトルを用いた他のデータ信号と混信する。
本願発明では、受信側でオーバサンプリングすることにより、データ信号を復号できるに十分な個数の連立一次方程式を生成し、この連立一次方程式を解くことによってチャネル特性の影響を排除して、データ信号を推測することを可能としている。
なお、この場合、オーバサンプリングのUは、U≧R である。
(信号の分離)
信号分離部5は、復元部3Aのオーバサンプリング部から出力されたサンプリング系列毎に、ベクトルfN,0、ベクトルfN,1・・・ベクトルfN,N−1のN個の行ベクトルのそれぞれとベクトルIMとのクロネッカ積に整合するマッチドフィルタを通す。信号分離部32は、ベクトルfN,0、ベクトルfN,1・・・ベクトルfN,N−1のN個の行ベクトルのそれぞれとベクトルIMとのクロネッカ積に整合するマッチドフィルタ毎に信号を分離する。
分離された信号は、サンプリング系列毎の、P個のパイロット信号とN−P個のデータ信号である。
次に、あるサンプリング系列#i(0≦i≦U−1)のパイロット信号の分離について説明する。
仮想チャネル0用信号KS0には、パイロット信号X0が、ベクトルfN,0(×)パイロット信号X0として挿入されているので、ベクトルfN,0とベクトルIMとのクロネッカ積の整合フィルタを通過させることにより、パイロット信号X0を得ることができる。
また、同様にして、信号分離部5は、仮想チャネル1および仮想チャネル2の信号KS1および信号KS2を、ベクトルfN,1とベクトルIMとのクロネッカ積の整合フィルタ及びベクトルfN,2とベクトルIMとのクロネッカ積の整合フィルタに入力させることにより、仮想チャネル1および仮想チャネル2のパイロット信号X1およびパイロット信号X2を得ることができる。
また、信号分離部5は、パイロット信号の抽出と同様にしてN−P個のデータ信号を得ることができる。
つまり、仮想チャネル0用信号KS0を、N−P(ここでは、P=3)個の行ベクトルfN,P〜fN,N−1のそれぞれとベクトルIMとのクロネッカ積に整合フィルタを通過させることにより、N−P個のデータ信号X0,P(x0,P,0、x0,P,1、・・・、x0,P,(M−1))・・・X0,N−1(x0,((N−1),0、x0,(N−1),1、・・・、x0,(N−1),(M−1))を得ることができる。
また、同様にして、信号分離部5は、仮想チャネル1用信号KS1および仮想チャネル2用信号KS2をN−P個の行ベクトルfN,P〜fN,N−1のそれぞれとベクトルIMとのクロネッカ積に整合フィルタを通過させることにより、N−P個のデータ信号X1,P得ることができる。
ここで、パイロット信号は、送信側の仮想チャネル毎に異なる行ベクトルを使用しているので、全パイロット信号は混信することなく受信側で読み出すことができる。しかしながら、データ信号は、送信側の仮想チャネル毎に異なる行ベクトルを用いていないので、何もしなければ同じ行ベクトルを用いた他のデータ信号と混信する。
本願発明は、送信側の各仮想チャネル上に、それぞれ、異なるパイロット信号を生成しており、受信側でこのパイロット信号を抽出することにより、全仮想チャネルのチャネル特性を含むチャネル特性を検出できるようになっているため、このチャネル特性を用いて混信することなくデータ信号を検出することができる。
(チャネル特性検出)
本発明は、次に示すように、送信側の仮想チャネル毎に1つのパイロット信号が挿入されている。
仮想チャネル0用信号KSOには、パイロット信号X0がベクトルfN,0(×)パイロット信号x0として挿入され、ベクトルfN,1およびベクトルfN,2には、何らの信号も乗せられていない。
同様に、仮想チャネル1用信号KS1には、パイロット信号X1がベクトルfN,1(×)パイロット信号x1として挿入され、ベクトルfN,0およびベクトルfN,2には、何らの信号も乗せられていない。
同様に、仮想チャネル2用信号KS2には、パイロット信号X2がベクトルfN,2(×)パイロット信号x2として挿入され、ベクトルfN,0およびベクトルfN,21は、何らの信号も乗せられていない。
したがって、#j(0≦j≦N−1)パイロット信号を検出することにより、#jの仮想チャネル(仮想送信アンテナ)のチャネル特性を得ることができる。
また、本発明では、サンプリングの系列毎に、
ベクトルf0とベクトルIMとのクロネッカ積の為の整合フィルタ、
ベクトルf1とベクトルIMとのクロネッカ積の為の整合フィルタ、
・
・
ベクトルfP−1とベクトルIMとのクロネッカ積の為の整合フィルタ、
を持っている。
換言すれば、
仮想受信アンテナ#0〜#(U−1)のそれぞれが
ベクトルf0とベクトルIMとのクロネッカ積の為の整合フィルタ、
ベクトルf1とベクトルIMとのクロネッカ積の為の整合フィルタ、
・
・
ベクトルfP−1とベクトルIMとのクロネッカ積の為の整合フィルタ、
を持っている。
ところで、仮想受信アンテナ#i(0≦i≦U−1)の信号を、ベクトルfj(0≦j≦P−1)とベクトルIMとのクロネッカ積の為の整合フィルタに入力したときの出力は、仮想送信アンテナjから仮想受信アンテナiへの仮想チャネルの特性である。
したがって、仮想受信アンテナ#i(0≦i≦U−1)(つまり、オーバサンプリングの#iの系列)において、全仮想送信アンテナと仮想受信アンテナ#i間の仮想チャネル特性を得ることができる。
また、これを全ての圧縮側の仮想チャネルで行うことにより、チャネル特性検出部6は、全仮想送信アンテナと全仮想受信アンテナ間の仮想チャネル特性を得ることができる。
また、本願発明では、時間軸でチャネル特性を検出しているので、チャネル特性検出部6は、送信装置側の伝送特性、伝搬空間の伝送特性および受信装置側の伝送特性を含む送信側から受信側にかけての全伝送路の時間軸上のチャネル特性を検出することができる。
ここで、時間軸上のチャネル特性の検出は、デルタ信号による時間応答を検出する。なお、周波数軸上のチャネル特性の検出は、デルタ信号による周波数特性を検出する。
時間軸上のチャネル特性は、マルチパス応答を含む、送信装置側の伝送特性、伝搬空間の伝送特性および受信送信側の伝送特性を含む送信側から受信側にかけての全伝送路のチャネル特性である。
なお、時間軸上のチャネル特性は、マルチパス特性と同様の形式で表現される。
(連立方程式の生成)
連立方程式生成部7は、オーバサンプリングで生成されたデータ信号と、チャネル特性検出部6で検出された時間軸上のチャネル特性とに基づいて、式(17)のような連立方程式を生成する。
実際には、図24に示すように、対応する行ベクトルに係るデータ信号を加算してT0、T1、T2を生成し、T0、T1、T2毎に連立方程式を生成する。
(復号)
連立方程式生成部7は、信号分離部3で分離された3個の仮想チャネルのデータ信号と、チャネル特性検出部6で検出された時間軸上のチャネル特性とに基づいて、式(17)のような連立方程式を生成する。
復号化部4は、連立方程式生成部7で生成された連立方程式を解く。なお、連立方程式生成部7で生成された連立方程式には、送信装置側の伝送特性、伝搬空間の伝送特性、および受信側の伝送特性を含む送信側から受信側にかけての全伝送路の時間軸上のチャネル特性が反映されている。そのため、連立方程式の解は送信装置側の伝送特性、伝搬空間の伝送特性および受信装置側の伝送特性に影響されていないデータ信号を復号することができる。
換言すれば、式(17)の連立方程式を解くことによって、伝送路の時間軸上のチャネル特性の影響を排除した信号を得ることができる。
上述したように仮想チャネルとして、送信側において仮想チャネル生成用データによって生成される仮想チャネルと、受信側においてオーバサンプリングの系列毎に生成される仮想チャネルが得られる。送信側で生成される仮想チャネルと受信側で生成されるは互いに独立に生成される。
仮想チャネル生成用データで生成された仮想チャネルが3(P=3)つで、オーバサンプリングの系列毎に生成された仮想的なチャネルがUであれば、全経路の仮想チャネルのチャネル数は3・Uである。
従って、チャネル特性検出部6は、3・U個の仮想チャネルについて、送信装置側の伝送特性、伝搬空間の伝送特性および受信装置側の伝送特性を含む送信側から受信側にかけての全伝送路の時間軸上のチャネル特性を検出する。
(受信部および読み出し側(第2の形態例))
(受信側および読み出し側でたたみ込みにより仮想チャネルを生成する方法)
次いで、受信側および読み出し側で仮想チャネルを生成する方法として、受信信号および読み出した信号を仮想チャネル生成用データでたたみ込む方法について、図25を用いて説明する。
図25に示す受信側および読み出し側は、記録装置212からの出力信号をアナログ信号に変換するD/A変換部213、あるいは受信アンテナ121およびRFをベースバンド信号に変換する受信部122を通して、圧縮された信号を入力する。また、入力した信号を復元する復元部3Bと、復元部3Bの出力からパイロット信号とデータ信号とを分離する信号分離部5と、時間軸上のチャネル特性を検出するチャネル特性検出部6と、連立方程式生成部7と、復号化部4とを有している。
復元部3Bは、仮想チャネル生成用データを仮想チャネル生成用データ記憶部32に備え、ベースバンド信号に変換された信号にU1個の仮想チャネル生成用データをたたみ込むたたみ込み演算によって復元する。
信号分離部5は、復元部3Bのたたみ込み演算によって得られたU1個の仮想チャネル毎に、ベクトルfN,0、ベクトルfN,1・・・ベクトルfN,N−1のN個の行ベクトルのそれぞれとベクトルIMとのクロネッカ積に整合するマッチドフィルタから構成される。
チャネル特性検出部6は、送信側あるいは書き込み側の伝送特性、伝搬空間あるいは記録部の伝搬特性および受信側あるいは読み出し側の伝送特性を含む、送信側あるいは書き込み側から受信側あるいは読み出し側にかけての全ての伝送路の時間軸上のチャネル特性を検出する。なお、ここでは、チャネル特性として時間軸上について説明しているが、周波数軸上のチャネル特性についても同様とすることができる。
また、図25に示す構成例において、仮想チャネルのチャネル特性が既知である場合を示している。記録装置のように仮想チャネルのチャネル特性が既知である場合には、チャネル特性検出部6に代えてチャネル特性記憶部(図示していない)に用意し、このチャネル特性記憶部にチャネル特性を格納しておき、このチャネル特性を読み出すようにしてもよい。
図25において、仮想チャネル用たたみ込みを行う復元部3B以外の、各部は、図20と同じ構成とすることができる。
復元部3Bの仮想チャネル用たたみ込み部は、仮想チャネル生成用データ記憶部32を有し(仮想チャネル生成用データ記憶部32を有していなくてもよい。)、ベースバンドに変換された信号を、仮想チャネル生成用データ記憶部32に記憶されている仮想チャネル生成用データの一つでたたみ込みを行う。
信号をRSとし、仮想チャネル生成用データをE1〜EUとしたとき、仮想チャネル用たたみ込み部は、受信信号あるいは読み出し信号をRSと仮想チャネル生成用データE1〜EUとのたたみ込み演算を行う。
仮想チャネル用たたみ込み部の出力として、
信号RSと仮想チャネル生成用データE1とがたたみ込まれた信号#1、
受信RSと仮想チャネル生成用データE2とがたたみ込まれた信号#2、
・
・
信号RSと仮想チャネル生成用データEUとがたたみ込まれた信号#U
とが別々に出力される。
信号分離部5は、U個の受信側あるいは読み出し側仮想チャネル用たたみ込み部の出力に対して、それぞれ、ベクトルfN,0、ベクトルfN,1・・・ベクトルfN,N−1のN個の行ベクトルのそれぞれとベクトルIMとのクロネッカ積に整合するマッチドフィルタを通して、マッチドフィルタ毎に信号を分離する。
チャネル特性検出部6、連立方程式生成部7および復号化部4は、図20と同じであるので説明を省略する。
(端子数、アンテナ数)
なお、上記説明では、送信側のアンテナあるいは書き込み側端子が一つ、受信側のアンテナあるいは読み出し側端子が一つの場合であって、仮想チャネルの送信アンテナ数あるいは書き込み側の端子数R、仮想チャネルの受信アンテナ数あるいは読み出し側の端子数Uの場合について説明した。
仮想チャネルの個数をRとし、仮想チャネルの送信アンテナ数あるいは端子数をT、仮想チャネルの受信アンテナ数あるいは端子数をVとし、更に、現実の送信アンテナ数あるいは端子数をTA、現実の受信アンテナ数あるいは端子数をRAとすると、
典型的システムでは、
仮想チャネル数R=仮想チャネルの端子数U
であり、
現実の送信アンテナ数(端子数)TA=現実の受信アンテナ数(端子数)RA=1
の場合である。
本願発明は、この場合に限らず実施することができる。
例えば、次のケース1〜ケース4の場合である。
(1)ケース1
送信側(書き込み側):現実の送信アンテナ数(端子数)R
受信側(読み出し側):現実の受信アンテナ数(端子数)1で、仮想チャネルの受信アンテナ数(端子数)R
の場合
(2)ケース2
送信側(書き込み側):現実の送信アンテナ数(端子数)1で、仮想チャネルの受信アンテナ数(端子数)R
受信側(読み出し側):現実の受信アンテナ数(端子数)R
の場合
(3)ケース3
送信側(書き込み側):現実の送信アンテナ数(端子数)R
受信側(読み出し側):現実の受信アンテナ数(端子数)R
の場合
(4)ケース4
送信側(書き込み側):現実の送信アンテナ数(端子数)TA
仮想チャネルの送信アンテナ側(端子数)(R−TA)
受信側(読み出し側):現実の受信アンテナ数(端子数)RA
仮想チャネルの受信アンテナ数(端子数)(R−RA)
上記実施の形態では、送信側の仮想送信アンテナ数あるいは書き込み側の仮想の端子数Rが「3」の場合について説明する。
図26は、送信側の現実の送信アンテナ数あるいは書き込み側の現実の端子数Rが、仮想チャネル数あるいは仮想端子数Rに等しい場合である。
図26の送信側あるいは書き込み部は、仮想チャネル0用の符号化部1a、仮想チャネル1用の符号化部1b、仮想チャネル2用の符号化部1c、仮想チャネル生成用データ記録部22、たたみ込み部21a〜21cから構成されている。
たたみ込み部21aは仮想チャネル0用信号KS0と仮想チャネル生成用データD0とのたたみ込みを行い、たたみ込み部21bは仮想チャネル1用信号KS1と仮想チャネル生成用データD1とのたたみ込みを行い、たたみ込み部21cは仮想チャネル2用信号KS2と仮想チャネル生成用データD2とのたたみ込みを行う。
A/D変換部211は、たたみ込み部21a〜21cからの信号(仮想チャネル0用信号、仮想チャネル1用信号、仮想チャネル2用信信号)を、デジタル変換して、各端子から記録装置212に出力する。
また、送信部103は、たたみ込み部21a〜21cからの信号(仮想チャネル0用信号、仮想チャネル1用信号、仮想チャネル2用信信号)をベースバンドからRFに変換して、送信アンテナ104から送信する。
なお、A/D部211あるいは送信部103は、端子毎あるいはアンテナ毎に設けるようにしてもよい。この場合、3ユーザが別々の端子あるいはアンテナを利用するようにしてもよい。
図27は、送信側の現実のアンテナ数あるいは書き込み部の現実の端子数Rが、仮想チャネル数Rより少ない場合で、現実のアンテナ数あるいは端子数をTAとしたとき、仮想チャネルの端子数がR−TAの場合である。
なお、この構成例に対応する送信側あるいは書き込み部において、送信やA/D部は3つのアンテナ毎あるいは端子毎に設けても良い。この場合、3ユーザがそれぞれ異なるアンテナあるいは端子を利用してもよい。
図27の送信側あるいは書き込み側において、仮想チャネル0用符号化部1a、仮想チャネル1用符号化部1b、仮想チャネル2用符号化部1c、仮想チャネル生成用データ記録部22、たたみ込み部21a〜21c、加算部23から構成されている。
たたみ込み部21aは仮想チャネル0用信号KS0と仮想チャネル生成用データD0とのたたみ込みを行い、たたみ込み部21bは仮想チャネル1用信号KS1と仮想チャネル生成用データD1とのたたみ込みを行い、たたみ込み部21cは仮想チャネル2用信号KS2と仮想チャネル生成用データD2とのたたみ込みを行う。
加算部23は、たたみ込み部21b,21cからの仮想チャネル信号を加算して、A/D変換部211に出力する。
なお、たたみ込み部21aの仮想チャネルは、直接、A/D変換部211あるいは送信部103に出力される。
A/D変換部211は、たたみ込み部21aからの信号(仮想チャネル0用信号)および加算部23からの信号(仮想チャネル1用信号、仮想チャネル2用信号)をデジタル信号に変換して記録装置212に送る。また、送信部103は、たたみ込み部21aからの信号(仮想チャネル0用信号)および加算部23からの信号(仮想チャネル1用信号、仮想チャネル2用信号)をRF信号に変換して送信アンテナ104に送る。
なお、仮想チャネル0用信号と、仮想チャネル1用信号および仮想チャネル2用信号は異なる端子あるいはアンテナから出力される。
図28は、受信側の現実のアンテナ数および読み出し側の現実の端子数Rが、仮想チャネル数Rに等しい場合である。
図28は、図14、図26及び図27の送信側で送信された信号を、受信アンテナ121a〜121cで受信するものである。
図28の受信装置は、受信アンテナ121a〜121cと、受信アンテナ121a〜121cで受信した受信信号をオーバサンプリングするオーバサンプリング部を備える復元部3Aと、ベクトルfN,0、ベクトルfN,1・・・ベクトルfN,N−1のN個の行ベクトルに整合するマッチドフィルタから構成され、オーバサンプリング部の出力をオーバサンプリング系列毎に信号を分離する信号分離部5と、送信装置側の伝送特性、伝搬空間の伝送特性および受信装置側の伝送特性を含む送信側から受信側にかけての全伝送路の時間軸上のチャネル特性を検出するチャネル特性検出部6と、連立方程式生成部7と、復号化部4とを有している。
なお、オーバサンプリング部を備える復元部3Aは、各受信部122a〜122cのそれぞれに設けるようにしてもよい。
受信部122a〜122cが異なるユーザの場合は、ユーザ毎にオーバサンプリング部を備える復元部3Aを有する構成にする。
図29は、受信側の現実のアンテナ数Rが、仮想チャネル数R未満の場合である。
図29は、図16、図28及び図29の送信装置から送信された信号を、アンテナ121a,121bおよび受信部122a,122bで受信するものである。
図29の受信装置は、アンテナ121a,121bとアンテナ121a、121bで受信した受信信号をベースバンド信号に変換する受信部122a,112bと、オーバサンプリング部を含む復元部3Aと、ベクトルfN,0、ベクトルfN,1・・・ベクトルfN,N−1のN個の行ベクトルに整合するマッチドフィルタから構成され、オーバサンプリングの系列毎に信号を分離する信号分離部5と、送信装置側の伝送特性、伝搬空間の伝送特性および受信装置側の伝送特性を含む送信側から受信側にかけての全伝送路の時間軸上のチャネル特性を検出するチャネル特性検出部6と、連立方程式生成部7と、復号化部4とを有している。
これによれば、上記ケース1は、送信側が図26、受信側が図20の場合であり、上記ケース2は、送信側が図15、受信側が図28の場合であり、上記ケース3は、送信側が図26、受信側が図28の場合であり、上記ケース4は、送信側が図27、受信側が図29の場合である。
なお、仮想チャネルの送信アンテナ数(端子数)T=仮想チャネルの受信アンテナ数(端子数)Uの場合は、受信側で、式(17)と同様の連立方程式が一つ生成することになる。
しかしながら、仮想チャネルの送信アンテナ数(端子数)T<仮想チャネルの受信アンテナ数(端子数)Vの場合は、受信側の全仮想アンテナ(全端子)VからT個を選んで連立方程式を形成することができる。
このとき、V個からT個を選んで連立方程式を形成する際には、連立方程式の選び方としてVCT種類ある。
その結果、読み出し側で、式(17)と同様の連立方程式を複数生成することができる。
連立方程式の個数が解の個数よりも多い場合には、同一データ信号に対して複数の推定結果が得られる。この場合には、多数決論理その他の方法によって、確からしいデータ信号を推定し、ビット誤り率を減らすことができる。
また、仮想チャネルの送信アンテナ数(端子数)T<仮想チャネルの受信アンテナ数(端子数)Vの場合でなくても、送信側のいくつかの仮想アンテナ(端子)に情報を乗せないことにより、仮想チャネルの送信アンテナ数(端子数)T<仮想チャネルの受信アンテナ数(端子数)Vの場合と同様に、連立方程式を複数生成することができる。
(パイロット信号)
パイロット信号XK(xK0、xK1、xK2、…、xK(M−1))とし、該パイロット信号が、N次元のDFT行列のK番目の行ベクトル(W0 N、WK N、W2K N、…、W(N−1)K N)とした場合、パイロット信号は、
SK=fK(×)XK
=(W0 NxK0、W0 NxK1、W0 NxK2、…、W0 NxK(M−1)、
WK NxK0、WK NxK1、WK NxK2、…、WK NxK(M−1)、
…、
W(N−1)K NxK0、W(N−1)K NxK1、W(N−1)K NxK2、…、
W(N−1)K NxK(M−1))
(なお、(×)はクロネッカ積を表している。)
となり、図30に示されているように、rejθ1の乗じ具合が問題となる。
この問題を解決するために、パイロット信号XK(xK0、xK1、xK2、…、xK(M−1))の代わりに、パイロット信号XK′(xK0、W1 MNxK1、W2 MNxK2、…、W2(M−1) MNxK(M−1))を用いる。
これによれば、
SK′=fK(×)XK′
=(W0 NxK0、W1 MNxK1、W2 MNxK2、…、W0(M−1) MNxK(M−1)、
WM MNxK0、WM+1 MNxK1、WM+2 MNxK2、…、W(2M−1) MNxK(M−1)、
…、
WM(N−1)K MNxK0、WM(N−1)K MNxK1、WM(N−1)K MNxK2、…、
WM(N−1)K MNxK(M−1))
(なお、(×)はクロネッカ積を表している。)
となり、図30に示されているようなrejθ1の乗じ具合が問題とならなくなる。
また、パイロット信号XK′(xK0、W1 MNxK1、W2 MNxK2、…、W2(M−1) MNxK(M−1))の代わりに、パイロット信号XK″(xK0、Wu MNxK1、W2u MNxK2、…、W(M−1)u MNxK(M−1))を用いてもよい。
ところで、行ベクトルf0(W0 N、W0 N、…、W0 N)は、全ての成分が、1/√Nで等しいので、このような問題は起きない。
したがって、パイロット信号を用いたチャネル推定を各仮想チャネルについて毎回行う必要がない場合、各仮想チャネルにおいて、交代でf0を割り当てることにより、パイロット信号XK′、パイロット信号XK″を用いないで、チャネル推定を行うことができる。
但し、この場合は、それぞれの仮想チャネルにおいて、パイロット信号を検出した仮想チャネルのチャネル特性を、パイロット信号を用いないときの仮想チャネル特性として用いることになる。
図31は、仮想チャネルR=3の場合である。
フェーズ1では、仮想チャネル0においてパイロット信号f0を用い、仮想チャネル1、2はパイロット信号を用いない。
フェーズ2では、仮想チャネル1においてパイロット信号f0を用い、仮想チャネル0、2はパイロット信号を用いない。
このとき、仮想チャネル0のチャネル特性として、フェーズ1で検出したチャネル特性を用いる。
フェーズ3では、仮想チャネル2においてパイロット信号f0を用い、仮想チャネル0、1はパイロット信号を用いない。
このとき、仮想チャネル0のチャネル特性としてフェーズ1で検出したチャネル特性を用い、仮想チャネル1のチャネル特性としてフェーズ2で検出したチャネル特性を用いる。
フェーズ3の次はフェーズ1となり、フェーズ1、フェーズ2、フェーズ3が巡回される。
次のフェーズ1では、仮想チャネル0のチャネル特性としてこのフェーズ1で検出したチャネル特性を用い、仮想チャネル1のチャネル特性として先のフェーズ2で検出したチャネル特性を用い、仮想チャネル2のチャネル特性として先のフェーズ3で検出したチャネル特性を用いる。
なお、送信側あるいは書き込み側、P個のパイロット系列のそれぞれは、例えば、櫛の歯状のスペクトラムで互いに干渉しないようになっていて、データ信号とも干渉しないようになっていればよい。
データ信号は、同じ仮想チャネルを通るデータ同士が、櫛の歯状のスペクトラムで干渉しないようになっていればよい。つまり、データから仮想チャネル用信号を作るのにDFT行ベクトル以外でもよい。
受信側あるいは読み出し側において、P個のパイロット信号のそれぞれは、同期スペクトラムが櫛の歯状のスペクトラムになる系列の整合フィルタを用いればよい。
データ信号も、周期スペクトラムが櫛の歯状のスペクトラムになる系列の整合フィルタなら何でもよく、DFT行ベクトル以外であってもよい。
(データ信号)
図11〜図13の信号構成は、仮想チャネル0において、N−P個のデータ信号X0,P(x0,P,0、x0,P,1、・・・、x0,P,(M−1))・・・X0,N−1(x0,(N−1),0、x0,(N−1),1、・・・、x0,(N−1),(M−1)が生成され、仮想チャネル1において、N−P個のデータ信号X1,P(x1,P,0、x1,P,1、・・・、x1,P,(M−1))・・・X1,N−1(x1,(N−1),0、x1,(N−1),1、・・・、x1,(N−1),(M−1)が生成され、
仮想チャネル2において、N−P個のデータ信号X2,P(x2,P,0、x2,P,1、・・・、x2,P,(M−1))・・・X2,N−1(x2,(N−1),0、x2,(N−1),1、・・・、x2,(N−1),(M−1)が生成される。
仮想チャネル0ではデータ信号X0,P・・・X0,N−1が生成され、仮想チャネル1ではデータX1,P・・・X1,N−1が生成され、仮想チャネル2ではデータX2,P・・・X2,N−1が生成される。
各仮想チャネルで生成されるデータ信号は、同一であってもよいが、異なるデータであってもよい。
これは、上記ケース1、ケース2、ケース3及びケース4についても言える。
この場合、記録装置毎に異なるユーザとすることができる。
これによれば、送信ユーザ(書き込み側ユーザ)が複数で受信ユーザ(読み出し側ユーザ)が単数の場合、送信ユーザ(書き込み側ユーザ)が単数で受信ユーザ(読み出し側ユーザ)が複数の場合であってもよい。
N=1024の場合、複数ユーザの全仮想チャネル分に相当する個数のパイロット信号の為のベクトル(パイロット用系列)を確保すれば、残りのデータ用のベクトル(データ用系列)は、複数の仮想チャネル(複数ユーザが割当られていても)を共用することができる。
つまり、複数ユーザでも帯域を余分に必要とするのはパイロット信号の分だけであるため、周波数利用効率は更に向上する。
なお、パイロット信号以外にも、振幅分布を調整する信号など、いくらかはユーザ毎に異なるものある。しかしながら、この調整用信号は、ユーザ毎に共用することができる。
このようなことができるのは、仮想チャネル毎に異なるデータを利用するからであり、例えば、従来使用される通信系のMIMO−OFDMでは、実チャネルに対応する全アンテナが同じ信号(又は情報)を利用するため、本発明のような使用方法を適応することはできない。
(振幅分布の改善)
データ信号をデータ用系列とのクロネッカ積演算によって仮想チャネル用信号を作成する場合、作成される信号の振幅分布は正規分布となり、振幅について大きなダイナミックレンジが必要となる。ダイナミックレンジが大きくなると、装置コストやエネルギー消費が増大するという問題が生じる。
本発明は、このダイナミックレンジの問題に対して、作成した仮想チャネル用信号から最大振幅および次の大きさの振幅を算出し、この振幅に基づいて振幅補正量を算出し、算出した振幅補正量に基づいて振幅改善用データを生成する。
ここで、3つのデータ信号を4次の逆DFT行列のベクトル成分とクロネッカ積演算を行う例について説明する。
3つのデータ信号として、
データ信号a
0=(2 1 j −1 j)
データ信号a
1=(1 2 −j −j 1)
データ信号a
2=(−j 1 1 2 −1)
を用い、
4次の逆DFT行列として
を用いるものとする。
仮想チャネル用信号b0,b1,b2は、クロネッカ積(×)の演算によって、
ベクトルf0(×)(2 1 j −1 j)
ベクトルf1(×)(1 2 −j −j 1)
ベクトルf2(×)(−j 1 1 2 −1)
となる。
これらの3つの信号は同時に記録される。
上記式の演算結果は、それぞれ、
1/2(2 1 j -1 j 2 1 j -1 j 2 1 j -1 j 2 1 j -1 j)
1/2(1 2-j -j 1 j 2j 1 1 j -1 -2 j j -1 -j -2j -1 -1 -j)
1/2(-j 1 1 2 -1 j -1 -1 -2 1 -j 1 1 2 -1 j -1 -1 -2 1)
となる。
上記3つの式のが信号が同時に記録されるため、仮想チャネル用信号は、3−j,4,1,1−j,j,2+2j,2j,j,−2,1+2j,1−j,0,1+2j,1+j,−2+j,2,−2j,−2+j,−4,1となる。
これによれば、最大振幅は「4」であり、最小振幅は「−4」である。したがって、ダイナミックレンジは、「4」〜「−4」となる。
このダイナミックレンジを小さくする処理を行う。ここでは、「−4+1/3=−11/3」〜「4−1/3=11/3」のダイナミックレンジとする。なお、この補正後のダイナミックレンジは一例であって、これに限られるものではない。
以下、ダイナミックレンジを「4」〜「−4」から「−11/3」〜「11/3」に補正する例について説明する。
ここでは、長さ5の補正データを、3つのデータ信号と同様に演算する。このとき、演算された長さ5の補正データがダイナミックレンジを小さくするように設定する。
4次の逆DFT行列の内、ベクトルf0、ベクトルf1、ベクトルf2は、仮想チャネル用信号に生成に使用しているので、補正データの生成のために残ったベクトルf3を(1 −j −1 j)を使用する。
補正データC=(C0 C1 C2 C3 C4)とすると、この補正データCは、
ベクトルf3(×)(C0 C1 C2 C3 C4)
の演算がなされて、長さ20の振幅分布改善用データに変換される。
上記演算結果は、
C0 C1 C2 C3 C4 −jC0 −jC1 −jC2 −jC3 −jC4 −C0 −C1 −C2 −C3 −C4 jC0 jC1 jC2 jC3 jC4
となる。
上記演算結果と仮想チャネル用信号と同時に記録すると、
3−j+C0,4+C1,1+C2,1−j+C3,j+C4,2+2j−jC0,2j−jC1,j−jC2,−2−jC3,1+2j−jC4,1−j−C0,0−C1,1+2j−C2,1+j−C3,−2+j−C4,2+jC0,−2j+jC1,−2+j+jC2,−4+jC3,1+jC4
となる。
この場合には、ダイナミックレンジは「4」〜「−4」は、「−4+jC3」〜「4+C1」となる。
この例では、「−4+jC3」〜「4+C1」を「−11/3」〜「11/3」とする。
ここで、「−4+jC3」を「−11/3」とするにはC3を「−j/3」とし、「4+C1」を「11/3」とするにはC1を「−1/3」とする。
なお、C0、C2およびC4に係る部分は「−4」を越え、「4」未満であり、ダイナミックレンジに影響を与えないので補正は行わない。
その結果、補正データCは
C=(C0 C1C2 C3 C4)=(0 −1/3 0 −j/3 0)
となる。
この補正データによれば、仮想チャネル用信号は
3−j,11/3,1,1−4j/3,j,2+2j,7j/3,j,−7/3,1+2j,1−j,1/3,1+2j,1+4j/3,−2+j,2,−7j/3,−2+j,−11/3,1となる。
これによれば、ダイナミックレンジは「−11/3」〜「11/3」となり、振幅を抑制することができる。
(振幅分布の改善構成例)
図32は、本発明のデータ記録装置における振幅分布の改善構成例を説明するためのブロック図であり、振幅補正部のみを示している。
振幅補正部10は、データ信号の変換手段12,振幅算出手段13,補正量算出手段14,補正データ算出手段15,補正データ変換手段16、遅延手段17,加算手段18から構成される。
データ信号の変換手段12は、長さMのN個のデータ11を入力し、異なるN個の系列の演算によって、長さMのN個のデータ信号を長さL(ただし、L>M)のN個のデータ信号に変換する。
振幅算出手段13は、データ信号の変換手段12の出力である「長さLのN個のデータ信号」から最大の振幅およびその次の大きさの振幅を算出する。
次に、補正量算出手段14は、振幅算出手段13で算出した最大の振幅およびその次の大きさの振幅に基づいて振幅補正量を算出する。
補正量算出手段14は、振幅算出手段13で算出した最大の振幅MAX0と次の大きさの振幅MAX1から、例えば、補正量として(MAX0−MAX1)又は(MAX0−MAX1)/2を算出する。
補正データ変換手段16は、補正データ算出手段15で算出した補正データに対して補正データの変換を行う。
補正データの変換は、データ信号の変換手段12と同じ種類の系列であって、その内のデータ信号のために用いられていない系列を用いて変換する。
遅延手段17は、データ信号の変換手段12の出力と、補正データの変換手段16の出力とのタイミングを合わせるために、データ信号の変換手段12の出力を遅延させるものである。
加算手段18は、データ信号の変換手段12の出力と、補正データの変換手段16の出力を加算する。
上記補正において、補正量を大きくすると、補正前のダイナミックレンジを決定している信号の振幅は小さくなる。しかしながら、補正前のダイナミックレンジを決定しない信号も影響を受け、補正の結果、場合によっては、補正前のダイナミックレンジを越えることがある。
このように、補正によって、補正前のダイナミックレンジを越えないようにするために、補正前のデータ信号において最大振幅MAX0と次の大きさの振幅MAX1を算出し、補正量を(MAX0−MAX1)以下とする必要がある。
なお、補正量を(MAX0−MAX1)/2とすれば、ダイナミックレンジは減少する。
モバイル通信などの無線通信においては、無線周波数資源の逼迫が深刻な問題となっている。この問題に対処するために、送信側・受信側ともに複数のアンテナを用いる方法(MIMO−OFDM)や、本発明者らによる複数のアンテナを直交信号分割多重方式(OSDM)が研究されている。複数アンテナOSDMは、MIMO−OFDMより遙かに大きな無線周波数利用効率を与えるが、携帯通信機器には複数のアンテナを用いること自体が、携帯通信機器には複数のアンテナを用いることが過剰な負担となりかねない。また、記録においても記録素子数に低減が求められている。
本発明の圧縮・復元によれば、携帯通信機器に適用することによって、送信側・受信側ともに単数のアンテナを用いるにも拘わらず、恰も送信側・受信側ともに複数のアンテナを用いたかのような高い無線周波数利用効率の実現を可能にすることができ、また、記録装置に適用することによって素子数を低減することができる。
以下、仮想チャネルの仮想アンテナについて説明する。
(送信側の仮想アンテナ)
図33のように仮想送信アンテナ#0、仮想送信アンテナ#1、・・・、仮想送信アンテナ#(K−1)を仮想し、仮想チャネル特性#0、仮想チャネル特性#1、・・・、仮想チャネル特性#(K−1)をチャネル特性が互いになるべく異なるように設定する。
仮想送信アンテナ#0に信号#0を入力し、・・・、仮想送信アンテナ#(K−1)に信号#(K−1)を入力し、仮想チャネルを通した後に加算して得られた信号を、実の送信アンテナに入力する。
実の送信アンテナから送信された電波を実の受信アンテナで受信すると、信号#0は、仮想チャネル#0と実の送受信アンテナ間のチャネルを通るので、信号#0は、仮想チャネル特性#0と実の送受信アンテナ間のチャネル特性をたたみ込んだチャネル特性の影響を受けることになる。信号#1、・・・、信号#(K−1)も同様である。
仮想送信アンテナの仮想チャネル特性と実の送受信アンテナのチャネル特性をたたみ込んで得られるチャネル特性が仮想送信アンテナ毎に十分に異なれば、このような仮想送信アンテナを仮定した信号設計を行うことにより、信号#0、・・、信号#(K―1)は、恰もK個の送信アンテナと1個の受信アンテナを用いたと同様のチャネル特性を受けることになる。
(受信側の仮想アンテナ)
図34のように、各タイムスロットにK個ずつのサンプル点を設定し、各タイムスロットのサンプル点#0は等間隔に、各タイムスロットのサンプル点#1も等間隔に、・・、各タイムスロットのサンプル点#(K−1)も等間隔になるようにする。
すると、サンプル点列#0、サンプル点列#1、・・・、サンプル点列#(K―1)より得られるK個の離散信号はそれぞれ異なるチャネル特性の影響を受けることになり、恰も、K個のアンテナを用いて、各アンテナ毎に各タイムスロットに1個のサンプル点を設定したかのように、それぞれ異なるチャネル特性の影響を受けることになる。すなわち、1個の受信アンテナを用いて、K個の仮想受信アンテナを仮想することができる。
ここで、本発明により、有限の帯域幅を用いて大きな情報伝送速度を実現する方法を以下に説明する。
送信側で、複数(K個)の仮想送信アンテナを用意し、それぞれの仮想送信アンテナに別々のデータを、OSDM方式、MIMO方式等、任意の符号化方式によって信号生成を行い入力する。次いで、仮想送信アンテナ毎に別々の仮想チャネルを通し(時間特性をたたみ込む)た後、加算して、実の送信アンテナから送信する。
受信側では、実の受信アンテナで受信した信号を分岐して、別々の仮想チャネルの時間特性をたたみ込み、それぞれの仮想チャネルに対応する仮想受信アンテナに出力する。仮想受信アンテナの数はK個とする。
仮想送信アンテナの数がK個、仮想受信アンテナの数もK個であれば、実の送信アンテナが1個、実の受信アンテナが1個であるにも拘わらず、情報伝送速度を単一アンテナOSDM(単一アンテナOFDMの約2倍の無線周波数利用効率を有する。)の約K倍にすることができる。
計算量と時間遅れをいとわなければ、Kはいくらでも大きくすることができるので、有限の帯域幅を用いても、有限の誤り率を許容すればいくらでも大きな情報伝送速度を実現することができる。
また、OSDMにおいては、送信アンテナにおける振幅分布の改善(時間、又は周波数領域において、所定の大きさの送信電力を超えないようにする。)を容易に行うことができる。
以上、発明を実施するための最良の形態について説明を行ったが、本発明は、この最良の形態で述べた実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能である。