JP2010266564A - 電気光学装置、電気光学装置の製造方法、および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】銀または銀の合金を材料とする反射膜のエッチング処理中は反射面が常に保護層によって保護されている状態であることが必要である。エッチング処理後においても反射面および端面が常に保護層によって保護されている状態であることが必要である。
【解決手段】(a)に示すように、銀または銀の合金を材料として形成された反射膜を、島状に形成された感光性を有する透明な樹脂材料で形成された保護層120をマスクとしてエッチング液でエッチングする。このエッチング処理において、(b)に示したように、保護層120が反射層110の端面部分から飛び出した庇部分を形成する。続いて、(c)に示したように保護層を加熱処理し、保護層120を融解した状態にする。こうすることによって、(d)に示したように、融解した保護層120は、庇部分の樹脂材料が反射層110側に垂れて反射層110の端面を覆うことになる。
【選択図】図6
【解決手段】(a)に示すように、銀または銀の合金を材料として形成された反射膜を、島状に形成された感光性を有する透明な樹脂材料で形成された保護層120をマスクとしてエッチング液でエッチングする。このエッチング処理において、(b)に示したように、保護層120が反射層110の端面部分から飛び出した庇部分を形成する。続いて、(c)に示したように保護層を加熱処理し、保護層120を融解した状態にする。こうすることによって、(d)に示したように、融解した保護層120は、庇部分の樹脂材料が反射層110側に垂れて反射層110の端面を覆うことになる。
【選択図】図6
Description
本発明は、電気光学装置、電気光学装置の製造方法、および電子機器に関する。
近年、基板上に有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を発光素子として形成し、発光素子の発光光を基板と反対側に取り出すトップエミッション方式の有機EL装置が、電気光学装置の一つとして実用化されている。トップエミッション方式は、発光素子を挟み基板側に形成された一方の電極である陽極と基板との間に反射層を形成し、発光素子を挟むもう一方の電極である陰極側から光を取り出す方式であって、光の利用効率が高い方式である。
さらに、トップエミッション方式において、陰極からの光の取り出し効率を高めるために、反射層を形成する材料として、通常使用されるアルミニウムに替えて、光の反射率が高い銀(Ag)または銀の合金を用いた有機EL装置が提案されている(例えば特許文献1)。
ところで、通常反射層は、以下のようにして形成される。すなわち、基板上に反射金属材料膜(反射膜と称す)を形成した後、現像・露光処理を行うフォトリソグラフィー法を用いた工程つまりフォトリソ工程によって形成したレジストをマスクとし、この反射膜をエッチング処理する。このエッチング処理によって、反射膜を凡そレジストの形状にパターニングする。その後、レジスト剥離液を用いてマスクとして用いたレジストを除去することで、反射層を形成するのである。
しかしながら、反射膜が銀または銀の合金を材料として形成されている場合、レジストの除去処理において、レジスト剥離液が反射面に接触すると反射面を荒らすなどダメージを与えることが起こり得る。なぜなら、銀または銀の合金は、酸化、硫化、凝集、拡散という現象が生じ易く、レジスト剥離液の成分によって反射面にマイグレーションを伴う荒れを生じ、反射率が低下してしまうからである。このため、反射膜のエッチング処理中は反射面が常にエッチング剥離液と接触しないように保護層によって保護されている状態であることが必要である。
また、エッチング処理後においても反射面が常に保護層によって保護されている状態であることが必要である。なぜなら、有機EL装置のその後の製造工程に存在する熱処理やエッチング処理、あるいはスパッタ処理やCVD処理などによって、反射面にマイグレーションを伴う荒れを生じ、反射率が低下してしまうからである。このため、反射層の形成後に、少なくとも反射層の反射面を覆うように、反射層に対して保護層を例えばフォトリソ工程によって積層形成する必要がある。このような場合、反射層の形成のためのフォトリソ工程と保護層の形成のためのフォトリソ工程との少なくとも2回のフォトリソ工程が必要であった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]基板上に、光を反射する反射層と、前記反射層に対して前記基板と反対側に積層形成され、平面視で、前記反射層を覆うように形成された保護層とを備えた電気光学装置であって、前記反射層は、銀または銀の合金を材料として形成され、前記保護層は、感光性を有する透明な樹脂を材料として形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、感光性を有する透明な樹脂材料である保護層が銀または銀の合金を材料とする反射層上に形成されるので、反射機能を損なうことなく、銀または銀の合金を材料とする反射層の表面を保護する。従って、例えば、保護層をエッチング用のマスクとして機能させ、エッチング処理によって反射層を形成することが可能であり、フォトリソ工程は保護層の形成の一回で済む。もとより、エッチング処理中反射面をエッチング液から保護するので、反射面が荒らされず、反射機能にダメージを与えることなく光を反射する反射層が得られる。
[適用例2]上記電気光学装置であって、前記保護層は、前記反射層が前記基板上において露出しないように、前記反射層の端面を含めて、前記反射層を総て覆うように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、反射層の端面を含めて反射層の表面を総て保護するので、反射層がその端面を含めてエッチング液から保護される。従って、反射機能にダメージを与えることなく光を反射する反射層が得られる。
[適用例3]基板上に、光を反射する反射層と、前記反射層に対して前記基板と反対側に積層形成され、平面視で、前記反射層を覆うように形成された保護層とを備えた電気光学装置の製造方法であって、前記基板上に、銀または銀の合金を材料とする反射膜を形成する工程と、前記反射膜上に感光性を有する透明な樹脂材料からなる保護膜を形成する工程と、前記保護膜をフォトリソグラフィー法を用いて所定の形状に形成することによって前記保護層を形成する工程と、前記保護層をマスクとして前記反射膜をエッチング処理することによって前記反射層を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
この方法によれば、感光性を有する透明な樹脂材料である保護層が銀または銀の合金を材料とする反射層上に形成されるので、反射機能を損なうことなく、銀または銀の合金を材料とする反射層の表面を保護する。そして、保護層をエッチング用のマスクとして機能させ、エッチング処理によって反射層を形成することから、フォトリソ工程は保護層の形成の一回で済む。この結果、エッチング用のマスクである保護層が、エッチング処理中反射面をエッチング液から保護するので反射面が荒らされず、反射機能にダメージを与えることなく光を反射する反射層が得られる。
[適用例4]上記電気光学装置の製造方法であって、前記反射膜をエッチングすることによって前記反射層を形成する工程において、平面視で、前記反射層の端面が、前記保護層の領域端から領域内部に所定の距離入り込んだ位置までオーバーエッチングされることを特徴とする。
この方法によれば、反射層の端面が保護層の領域内に入り込んだ状態となるので、保護膜が反射層の端面を庇のように覆うことになる。従って、保護膜が反射層の端面を保護する確率が高くなる。この結果、反射機能にダメージを与えることなく光を反射する反射層が得られる。
[適用例5]上記電気光学装置の製造方法であって、前記所定の距離は、前記反射膜の膜厚より大きな値であることを特徴とする。
この方法によれば、反射層の端面から保護層の端面までの距離が反射層の厚さよりも大きいので、保護膜が反射層の端面を保護する確率が更に高くなる。この結果、反射機能にダメージを与えることなく光を反射する反射層が得られる。
[適用例6]上記電気光学装置の製造方法であって、前記反射層の形成後、前記保護層を形成する感光性を有する透明な樹脂材料を加熱して融解する工程を備えたことを特徴とする。
この方法によれば、融解した保護膜で反射層の端面を覆うことができるので、他の保護層を形成して反射層の端面覆う必要がない。また、反射層の端面を含めて反射層の総ての表面を保護するので、反射機能にダメージを与えることなく光を反射する反射層が得られる。
[適用例7]上記電気光学装置を備えた電子機器。
1回のフォトリソ工程で反射層を形成する電気光学装置を備えたことで、製造工程が少なくコスト上昇を抑制した電子機器を提供することができる。また、反射機能にダメージを与えることなく光を反射する反射層を備えた電子機器が得られる。
[適用例8]上記電気光学装置の製造方法によって製造された電気光学装置を備えた電子機器。
1回のフォトリソ工程で反射層を形成する電気光学装置を備えたことで、製造工程が少なくコスト上昇を抑制した電子機器を提供することができる。また、反射機能にダメージを与えることなく光を反射する反射層を備えた電子機器が得られる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本実施例の説明に際して用いる図面は、説明のために必要に応じて誇張して図示している場合もあり、必ずしも実際の大きさや長さを示すものでないことは言うまでもない。
図1は、本発明の一実施例となる電気光学装置としての有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネル100を、電子機器としての一実施例である携帯電話1に表示装置として備えた形態を示した説明図である。本実施例の有機ELパネル100は、自発光素子である有機EL素子を発光素子として備えたものであり、バックライトが不要で薄型化が可能であることから、画像や文字を表示する薄型の電子機器には好適な表示装置である。従って、本実施例の有機ELパネル100は、携帯電話1に搭載する表示装置として有効である。
有機ELパネル100には、本実施例では、R(赤)、G(緑)、B(青)の色に相当する波長光のうちいずれか1色の光を発光可能な画素がそれぞれ複数形成され、画像や文字などの所定のカラー画像を表示するように構成されている。なお、本実施例では、以降の説明を簡単にするために、図1に示すように、有機ELパネル100は、列方向(図面縦方向)に4画素、行方向(図面横方向)に6画素の計24個の画素が形成されているものとする。もとより、実際には、行列それぞれの方向に数百画素ないし数千画素といった多くの画素が形成されていることは言うまでもない。
次に、本実施例の有機ELパネル100について、その具体的な構成について図2を用い、また発光素子となる有機EL素子の構成について図3を用いて、それぞれ順次説明する。
図2は、有機ELパネル100の全体のレイアウトを、回路構成とともに示した模式図である。有機ELパネル100は、基板10上に形成され略矩形形状を有する陽極130の領域を凡そ発光領域とする画素(不図示)が形成されている。画素は、陽極130の配列に応じて、基板10上の所定の領域に行方向および列方向に規則正しく配列されている。なお、陽極130の形状は矩形形状以外の形状であってもよい。また陽極130の配列、すなわち画素の配列も不規則であってもよいことは勿論である。
また、有機ELパネル100は、画素ごとに発光駆動されるアクティブマトリックス型の装置である。すなわち、各画素には、有機EL素子と、有機EL素子を発光駆動するための駆動素子とが形成されている。駆動素子は、図2に示すように、TFT(薄膜トランジスター)14,15と保持容量16とから構成されている。本実施例では、有機ELパネル100はトップエミッション構造を有しているものとする。従って、駆動素子は、後述する反射層と平面的に重なる位置であって、反射層に対して基板10側に形成されている。
基板10の端部には、走査線駆動回路11とデータ線駆動回路12、および給電端子13とが形成されている。走査線駆動回路11からは走査線Gateが、データ線駆動回路12からはデータ線Sigが、また、給電端子13からはこれに接続された電源供給線Comが、それぞれ各画素に形成された駆動素子に対して図示したように配線され、有機EL素子を発光駆動する。
まず、走査線Gateは、TFT14のゲートに接続され、走査線Gateを介して供給される電圧信号または電流信号に応じて、TFT14をオン/オフ制御する。そしてTFT14がオンすると、TFT14のソースに接続されたデータ線Sigから供給される画像信号に応じた電圧が、電源供給線Comから供給される電源によって保持容量16に保持される。すると、保持容量16に保持された電圧は、TFT15のゲートに印加され、TFT15をオン状態にする。TFT15のドレインおよびソースは、それぞれ電源供給線Comと陽極130に接続され、保持容量16に保持された電圧に応じた、つまり画像信号に応じた電流が、電源供給線Comを介して陽極130に印加される。
各画素に形成される有機EL素子は、陽極130と、総ての画素(発光領域)の表面に渡って形成された陰極170(図中二点鎖線)との間に電流を流すことによって発光する。従って、陽極130に印加された電流が陰極170に流れることによって、有機EL素子は画像信号に応じた明るさで発光する。つまり、陽極130と有機EL素子と陰極170とが重なって積層形成された平面領域が電流の流れる発光領域となる。この結果、この発光領域は、前述したように凡そ陽極130の領域となるのである。なお、陰極170は、外周端部において接地されている。
次に、有機ELパネル100における具体的な画素構成について、図3を用いて説明する。図3は、有機ELパネル100に形成されたR、G、Bの各画素についての構成を示す模式図である。図3(a)は、図2に示した各画素のうち、行方向(図面横方向)にR画素、G画素、B画素の発光領域が並んだ部分を示した平面図であり、図3(b)は、図3(a)におけるA−A断面を模式的に示した模式断面図である。
図3(a)に示したように、各画素は隔壁(図中ハッチング部分)によって区画された画素領域内に発光領域を有している。発光領域は、前述したように凡そ陽極130の領域であり略矩形形状を呈している。そして各画素の画素領域には、図3(b)に示したように、R、G、Bの各色フィルターが所定の配列で並んだカラーフィルターが、各発光領域に重なるように配置されている。
カラーフィルターは、ガラス板上に遮光領域BMによって区分されたRフィルター、Gフィルター、Bフィルターが形成されたもので、発光領域から射出された白色光を、このRフィルター、Gフィルター、Bフィルターによって、それぞれR光、G光、B光に変換する。こうして、各発光領域の明るさに応じた色の光がカラーフィルターから射出されることによって、それぞれR画素、G画素、B画素を形成し、有機ELパネル100はカラー画像を表示する。
なお、既に周知構造であることから具体的な説明は省略するが、カラーフィルターは、有機EL素子が形成される基板10に対して所定の間隔を保ちながら、その外周部分において樹脂等を介して封止接着されている。また、図示しないが、各色フィルターや遮光領域BMからのガスの流出を防止する保護膜が必要に応じて形成される。
次に、発光領域について説明する。発光領域は、図3(b)に示したように、陽極130と陰極170と有機EL素子140とによって構成される。すなわち、陽極130と陰極170とに挟まれた有機EL素子140に電流が流れることによって、有機EL素子140が発光する発光領域が形成される。
有機EL素子140は、陽極130側から図示しない正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各機能層が順に積層され、R画素、G画素、B画素とも総て同じ層厚で形成されたものである。各機能層は、例えば、アミン系有機材料などといった有機材料によって形成されている。また、発光層は、青色発光機能層と黄色発光機能層が積層され、発光領域から白色光を射出するように構成されている。
また、有機ELパネル100は、トップエミッション構造を有していることから、有機EL素子140の発光光が陰極170側から射出するように、陽極130に対して基板10と対向する面側には、反射層110が形成されている。さらに、反射層110に対して基板10と反対側には、反射層110の反射面を保護する目的のために形成された保護層120が積層形成されている。
本実施例の有機ELパネル100においては、反射層110は、陽極130と平面的に凡そ重なる領域形状を有し、銀または銀を主成分とする銀の合金(例えば、銀とパラジウムの合金、銀と銅の合金など)を材料として形成されている。銀は光の反射率が高い材料であり、有機EL素子140の発光光のうち陽極130を透過して基板10側に射出される光束を反射して、陰極170側から射出される光束を多くすることができる。
なお、陽極130は、ITO(インジウムスズ酸化物)またはIZO(インジウム亜鉛酸化物)のように光透過性のある材料で形成された導電層である。同じく陰極170はITOまたはIZOなどの光透過性を有する材料で形成された導電層である。なお、ITOまたはIZOなどの光透過性を有する材料以外の金属材料であっても、光が透過する程度に薄く形成されたものであれば陰極材料として使用することは可能である。
有機EL素子140を発光駆動するための駆動素子は、前述したように反射層110と平面的に重なる位置に形成されている。具体的には、図3(b)に示したように、反射層110と基板10との間に位置し、表面全体が図示しない平坦化膜で平坦化されたデバイス層20の内部に、駆動素子であるTFT14,15や保持容量16が形成されている。そして、TFT15のソース電極は、デバイス層20において形成された図示しないコンタクトホールによって陽極130と結線されている。
さて、本実施例では、図3(b)に示したように、銀または銀の合金を材料として形成された反射層110において、その反射面および端面の総てを覆うように、感光性を有する透明な樹脂を材料とする保護層120を反射層110上に積層形成する。
この構成によれば、感光性を有する透明な樹脂材料である保護層120が銀または銀の合金を材料とする反射層110上に形成されるので、反射機能を損なうことなく、銀または銀の合金を材料とする反射層110の表面を保護する。従って、例えば、保護層120をエッチング用のマスクとして機能させ、エッチング処理によって反射層110を形成することが可能であり、フォトリソ工程は保護層120の形成の一回で済む。もとより、エッチング処理中反射面をエッチング液から保護するので反射面が荒らされず、反射機能にダメージを与えることなく光を反射する反射層110が得られる。
それでは、上述する効果を奏する反射層110の製造方法について、図5および図6を参照しつつ、図4に示した工程フローチャートに基づいて説明する。なお、図5および図6は、図4における工程の状態を適宜示す模式図である。
図4に示すように、まず、ステップS101にて反射膜の形成処理を行う。具体的には、図5(a)に示すように、銀または銀の合金を材料とする反射膜を、デバイス層20に形成された平坦化膜上に、スパッタリング法や真空蒸着法、CVD法などによって堆積形成する。
次に、ステップS102にて保護膜の形成処理を行う。具体的には、図5(b)に示すように、感光性を有する透明な樹脂材料を、形成された反射膜上に、印刷法やコート法、あるいはインクジェット法などによって塗布し、所定の膜厚に形成する。なお、本実施例では、感光性を有する樹脂材料は、銀または銀の合金と化学的な反応を生じ易いヨウ素や硫黄などの成分を含まないことが好ましい。また、原理的に感光に供する波長域の光が吸収されて色づきが生ずることから、膜厚は透明性を確保できる程度に薄くすることが好ましい。ちなみに本実施例では、保護膜は200nm前後の膜厚で形成する。
次に、ステップS103にて保護層の形成処理を行う。具体的には、図5(c)に示すように、形成された保護膜(感光性を有する樹脂材料)のうち、後述するエッチング処理(ステップS104)によって最終的に形成される反射層110の平面領域形状に相当する領域以外を露光マスクを用いて露光し、露光した部分を現像除去することによって保護層120を形成する。
保護層120の形成状態を図5(d)に示した。図示するように、R画素、G画素、B画素に対応する位置に所定のパターン形状を有する島状の保護層120が形成される。なお、この現像処理において、保護膜が完全に除去されるまで現像することによって、現像液が反射膜と接触することが起こり得るが、平面的に露光された保護膜の領域部分に平面的に位置する反射膜については、その後の工程で除去されるため特に問題は生じない。
次に、ステップS104にて反射膜のエッチング処理を行う。ここでは、図6(a)に示すように、島状に形成された保護層120と平面的に重なる領域以外の反射膜を、エッチング液でエッチングする。つまり、島状に形成された保護層120をマスクとして、反射膜をエッチング液でエッチングするのである。
ここで本実施例では、このエッチング処理において平面視で、反射層110の端面が、保護層120の領域端から領域内部に所定の距離入り込んだ位置までオーバーエッチングされることが好ましい。こうすれば、反射層110の端面が保護層120の領域内に入り込んだ状態となるので、図6(b)に示したように、保護層120が反射層110の端面部分から飛び出した庇部分を形成することになる。従って、反射層110平面領域がオーバーエッチングされた状態で陽極130と凡そ重なるようにすることが好ましい。すなわち、保護層120の平面領域は予め陽極130よりも一回り大きな領域形状で形成されていることが好ましい。
続いて、ステップS105にて保護層を加熱処理する。具体的には、図6(c)に示したように、保護層120を形成する感光性を有する樹脂材料が融解(メルト)した状態になるように所定の温度と加熱時間によって加熱する。なお、本実施例では加熱温度は150℃〜200℃程度の温度を用いて加熱する。
続いて、ステップS106にて反射層端面をカバー処理する。処理後の状態を図6(d)に示した。本実施例では、保護層120を形成する感光性を有する樹脂材料の加熱を所定の時間継続し、保護層120を融解した状態にする。このとき、保護層120が平坦化膜に対して反重力方向に位置するようにしておく。こうすることによって、図6(d)に示したように、融解した保護層120は、庇部分が重力方向である反射層110側に垂れて反射層110の端面を覆うことになる。
ここで、保護層120の庇部分が反射層110の端面を覆う様子について、図7の模式図を用いて補足説明する。図7は、デバイス層20の平坦化膜上に形成された反射層110と保護層120の一端部を拡大して表示した断面図である。そして、図7(a)は、平坦化膜面の法線方向から見た平面視で、保護層120の端部から反射層110の端面までの距離Wが、反射層110の厚さHよりも大きな値である場合を示している。図7(b)は、平坦化膜面の法線方向から見た平面視で、保護層120の端部から反射層110の端面までの距離Wが、反射層110の厚さHよりも小さな値である場合を示している。また、図7(c)は、反射層110の端面が逆テーパー、つまり、平坦化膜方向に平面積が小さくなるように反射層110が形成されている場合を示している。
まず、本実施例では、反射層110の端面部分から飛び出す保護層120の庇部分について、図7(a)に示したように、保護層120の端部から反射層110の端面までの距離Wが、反射層110の厚さHよりも大きな値になるように、反射膜をオーバーエッチングする。この結果、加熱処理によって融解した庇部分の長さが、反射層110の端面の厚さ(長さ)よりも長くなるため、図示するように反射層110の端面を確実に覆うことができる。また、このとき、保護層120の端部は、融解した樹脂材料が重力方向に流れることから、平坦化膜に近づくにつれてその平面積が大きくなる順テーパー形状になる確率が高くなる。従って、以降この保護層120上に積層形成さる上層膜のカバレッジ不良を引き起こす確率も低くなる。
もとより、反射膜のオーバーエッチングによって反射層110の端面部分から飛び出す保護層120の庇部分について、図7(b)に示したように、保護層120の端部から反射層110の端面までの距離Wが、反射層110の厚さHよりも小さい値であっても差し支えない。なお、この場合、距離Wは、加熱処理によって融解した庇部分の樹脂材料が反射層110の端面に沿って流れ、図示するように、樹脂層の厚さが薄くなっても反射層110の端面を覆うことができる距離以上が好ましいことは勿論である。
あるいは、反射膜のオーバーエッチングによって形成される反射層110の端面が、図7(c)に示したように、平坦化膜方向に近づくにつれて反射層110の平面積が小さくなる逆テーパー形状が形成されている場合であってもよい。この場合、図示するように、加熱処理によって融解した庇部分の樹脂材料は、反射層110の端面に沿って重力方向に流れることによって、樹脂材料が逆テーパー部分を埋めながら反射層110の端面を覆うことができる。この結果、図示するように保護層120の端部は、平坦化膜に近づくにつれてその平面積が大きくなる順テーパー形状になる確率が高くなる。従って、以降この保護層120上に積層形成される上層膜のカバレッジ不良を引き起こす確率も低くなる。
なお、本実施例では、保護層120の加熱を、減圧下で行うことが好ましい。融解した保護層120と反射層110の端面との間に空気が閉じ込められると、閉じ込められた空気がその後膨張して保護層120を破壊することになってしまう。そこで、このように保護層120の加熱を、減圧下で行うことによって、融解した保護層120と反射層110の端面との間に空気が閉じ込められないように抑制することができる。
その後、基板10において、陽極130、隔壁、有機EL素子140、陰極170が順に形成され、基板10上に、有機ELパネル100を構成する各機能層が形成される。なお、各機能層の形成については、既に周知な製造方法を用いることができる。従って、ここではこれらの製造方法の説明を省略する。
上述したように、本実施例の反射層110の形成方法によれば、感光性を有する透明な樹脂材料である保護層120が銀または銀の合金を材料とする反射層110上に形成されるので、反射機能を損なうことなく、銀または銀の合金を材料とする反射層110の表面を保護する。従って、例えば、保護層120をエッチング用のマスクとして機能させ、エッチング処理によって反射層110を形成することが可能であり、フォトリソ工程は保護層120の形成の一回で済む。この結果、従来のように、保護層形成と反射層形成とで別々にフォトリソ工程を実施する場合に比べて、製造工程が少なくコスト上昇を抑制することができる。また、エッチング処理中反射面をエッチング液から保護するので反射面が荒らされず、反射機能にダメージを与えることなく光を反射する反射層110が得られる。
以上、本発明について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。以下変形例を挙げて説明する。
(第1変形例)
上記実施例は、有機EL素子は発光光が白色光であり、カラーフィルターにてR、G、Bの各色に変換して射出する有機ELパネル100について実施することとして説明したが、これに限るものでないことは勿論である。例えば、有機EL素子が、それぞれR、G、Bの異なる色を発光する有機ELパネルであっても実施することが可能である。この変形例について図8を用いて説明する。図8は、本変形例の有機EL素子の構造を示す模式図である。なお、基板10上に形成されるデバイス層20は図示を省略している。
上記実施例は、有機EL素子は発光光が白色光であり、カラーフィルターにてR、G、Bの各色に変換して射出する有機ELパネル100について実施することとして説明したが、これに限るものでないことは勿論である。例えば、有機EL素子が、それぞれR、G、Bの異なる色を発光する有機ELパネルであっても実施することが可能である。この変形例について図8を用いて説明する。図8は、本変形例の有機EL素子の構造を示す模式図である。なお、基板10上に形成されるデバイス層20は図示を省略している。
図示するように、基板10上に形成された陽極130の周囲には導電性を有しない有機材料からなる隔壁が形成され、この隔壁によって囲まれた領域に、発光色が異なるR発光層、G発光層、B発光層を含む有機EL素子140が形成されている。そして、隔壁を含めて各発光層全体を覆うように陰極170が形成され、陽極130と陰極170との間に有機EL素子140が挟まれるように構成されている。従って、陽極130と陰極170との間に所定の電流を流すことによって、それぞれの有機EL素子140は、発光層に応じたR、G、Bの発光色を射出して、それぞれR画素、G画素、B画素となる。
本変形例では、発光層は、R、G、Bの各色を示す蛍光材料を溶質とする機能液など、有機EL素子140を構成する機能層を形成するための機能液を、隔壁で囲まれた領域に噴射し、真空乾燥などの熱処理を行って、所定の厚さの膜を形成したものである。
一方、陽極130の基板10側には、順に、保護層120と反射層110が、上記実施例と同様な製造方法で形成されている。すなわち、反射層110は、R画素、G画素、B画素の各画素の発光領域と凡そ同じ平面領域を有し、この反射層110を端面を含めて総て覆うように、保護層120が形成されている。
本変形例によれば、保護層120は、保護層120の端部が順テーパの状態で、反射層110の端面を含め反射層110全体を覆うことができる。この結果、上層膜のカバレッジ不良が発生してしまう確率が低くなる。また、有機EL素子の形成時など、その後の製造工程における熱処理やエッチング処理、あるいはスパッタ、CVD処理などによって、反射層110の反射面が荒れることもない。従って、高い反射率を維持することが可能である。
(第2変形例)
上記実施例では、電気光学装置として有機ELパネル100を用いて説明したが、特にこれに限るものでないことは勿論である。反射層を備えた電気光学装置であれば、本発明を適用することが可能である。例えば、電気光学装置として液晶パネルとしてもよい。本変形例について、図9を用いて説明する。
上記実施例では、電気光学装置として有機ELパネル100を用いて説明したが、特にこれに限るものでないことは勿論である。反射層を備えた電気光学装置であれば、本発明を適用することが可能である。例えば、電気光学装置として液晶パネルとしてもよい。本変形例について、図9を用いて説明する。
図9は、画素領域が総て反射表示領域である液晶パネル200の断面を示した模式図である。図示するように、液晶パネル200は、素子基板210と対向基板230とによって液晶層240を挟持した構成を有している。また、液晶層240は、素子基板210の基板面に沿う横方向に印加される電界によって液晶分子の配向制御が行われるFFS(Fringe-Field Switching)方式と呼ばれる横電界方式の液晶パネルである。
対向基板230は、ガラス材料からなる平板231に対して、液晶層240と反対側の面に偏光板245が、また液晶層240側の面に、遮光層232、フィルター層233、オーバーコート層234、配向膜236が順次形成されたものである。一方、素子基板210は、ガラス材料からなる平板214に対して、液晶層240と反対側の面に偏光板244が、液晶層240側の面に、ゲート電極220gおよび電源供給線Com、ゲート絶縁層215、半導体層220a、ソース電極220sおよびドレイン電極220d、層間絶縁層216、平坦化層217、共通電極213、絶縁層218、第2絶縁層218s、画素電極211、配向膜219が順次形成されたものである。
図示するように、ドレイン電極220d、ゲート電極220g、ソース電極220sおよび半導体層220aによってトランジスター220が形成される。また、ドレイン電極220dはデータ線Sigと電気的に接続され、ゲート電極220gは走査線Gateと電気的に接続されている。なお、本変形例において、走査線Gateおよび電源供給線Com、データ線Sigは、上記実施例と同様な機能を司るものであり、従って上記実施例と同符号を付し、これらについての説明は省略する。
画素電極211には、コンタクトホールCH1を介してソース電極220sと接続され、データ線Sigから供給される電圧が印加される。一方、共通電極213には、コンタクトホールCH2を介して電源供給線Comと接続され、この電源供給線Comから供給される共通電圧(接地電位)が印加されるように電気的な回路が形成されている。この結果、画素電極211と共通電極213との間で電圧が発生し、液晶層240に横方向の電界を印加して液晶分子を駆動する。
さて、本変形例では、共通電極213が反射層として機能するように構成されている。すなわち、共通電極213は、銀あるいは銀の合金(例えば、APC(銀−パラジウム−銅の合金)など)を材料として形成されている。そして、共通電極213上には、平面領域および端面を覆うように保護層213aが積層形成されている。
従って、本変形例の液晶パネル200によれば、保護層213aを覆うように形成される絶縁層218(さらには第2絶縁層218s)は、反射層である共通電極213の端面を確実にカバーすることができる。この結果、画素電極211の形成時など、その後の製造工程におけるスパッタ処理やCVD処理などによって、共通電極213の反射面が荒れることなく、高い反射率を維持することが可能である。
(その他の変形例)
上記実施例では、反射膜をエッチング処理後、保護層120を加熱処理して融解することしたが、必ずしも加熱処理を行わなくてもよい。例えば、保護層120に形成された庇部分が、自重や減圧処理などによって反射層110の端面を覆うことができる場合は、必ずしも加熱処理を行う必要はない。
上記実施例では、反射膜をエッチング処理後、保護層120を加熱処理して融解することしたが、必ずしも加熱処理を行わなくてもよい。例えば、保護層120に形成された庇部分が、自重や減圧処理などによって反射層110の端面を覆うことができる場合は、必ずしも加熱処理を行う必要はない。
また、上記実施例では、画素がR光、G光、B光をそれぞれ射出することとしたが、これに限らず、他の色の光(例えば黄色など)を射出することとしてもよい。あるいは、単色光のみを射出することとしてもよい。また各画素において各色光が共振する共振構造を形成するため、導電層(陽極)の層数を異ならせることとしたが、これに限らず、形成する導電層の層数を同じ数(例えば1層)としてもよい。
また、上記実施例では、電子機器として携帯電話を例示したが、これに限るものでないことは勿論である。例えば、プロジェクター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、テレビジョン、モバイルコンピューター、オーディオ機器などであってもよい。なお、電子機器をプロジェクターとした場合は、組み込む電気光学装置は、上記変形例のごとく、外光を用いて表示を行う液晶パネル200とすることが好ましい。
1…携帯電話、10…基板、11…走査線駆動回路、12…データ線駆動回路、13…給電端子、14,15…TFT、16…保持容量、20…デバイス層、110…反射層、120…保護層、130…陽極、140…有機EL素子、170…陰極、200…液晶パネル、210…素子基板、211…画素電極、213…共通電極、213a…保護層、214…平板、215…ゲート絶縁層、216…層間絶縁層、217…平坦化層、218…絶縁層、218s…第2絶縁層、219…配向膜、220…トランジスター、220a…半導体層、220d…ドレイン電極、220g…ゲート電極、220s…ソース電極、230…対向基板、231…平板、232…遮光層、233…フィルター層、234…オーバーコート層、236…配向膜、240…液晶層、244,245…偏光板。
Claims (8)
- 基板上に、
光を反射する反射層と、
前記反射層に対して前記基板と反対側に積層形成され、平面視で、前記反射層を覆うように形成された保護層とを備えた電気光学装置であって、
前記反射層は、銀または銀の合金を材料として形成され、
前記保護層は、感光性を有する透明な樹脂を材料として形成され
ていることを特徴とする電気光学装置。 - 請求項1に記載の電気光学装置であって、
前記保護層は、前記反射層が前記基板上において露出しないように、前記反射層の端面を含めて、前記反射層を総て覆うように形成されていることを特徴とする電気光学装置。 - 基板上に、
光を反射する反射層と、
前記反射層に対して前記基板と反対側に積層形成され、平面視で、前記反射層を覆うように形成された保護層と
を備えた電気光学装置の製造方法であって、
前記基板上に、銀または銀の合金を材料とする反射膜を形成する工程と、
前記反射膜上に感光性を有する透明な樹脂材料からなる保護膜を形成する工程と、
前記保護膜をフォトリソグラフィー法を用いて所定の形状に形成することによって前記保護層を形成する工程と、
前記保護層をマスクとして前記反射膜をエッチング処理することによって前記反射層を形成する工程と
を備えたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 請求項3に記載の電気光学装置の製造方法であって、
前記反射膜をエッチングすることによって前記反射層を形成する工程において、平面視で、前記反射層の端面が、前記保護層の領域端から領域内部に所定の距離入り込んだ位置までオーバーエッチングされることを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 請求項4に記載の電気光学装置の製造方法であって、
前記所定の距離は、前記反射膜の膜厚より大きな値であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 請求項3または5に記載の電気光学装置の製造方法であって、
前記反射層の形成後、前記保護層を形成する感光性を有する透明な樹脂材料を加熱して融解する工程を備えたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 請求項1または2に記載の電気光学装置を備えた電子機器。
- 請求項3ないし6のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法によって製造された電気光学装置を備えた電子機器。
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JP2009116220A JP2010266564A (ja) | 2009-05-13 | 2009-05-13 | 電気光学装置、電気光学装置の製造方法、および電子機器 |
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