JP2010262132A - シリカ系被膜の形成方法、並びにシリカ系被膜を備える装置及び部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 層間絶縁膜として用いることのできるシリカ系被膜の形成が比較的容易であり、かつ透明性及び解像性に優れるシリカ系被膜の形成方法を提供すること。
【解決手段】 (a)成分:下記一般式(1)で表される化合物を含む第1のシラン化合物を加水分解縮合して得られる第1のシロキサン樹脂と、(b)成分:上記(a)成分が溶解する溶媒と、(c)成分:フェノール類又はアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステルと、を含有する感光性樹脂組成物を用いてシリカ系被膜を形成する方法であって、上記感光性樹脂組成物からなる塗膜を300℃未満の温度で加熱硬化する加熱工程を有する、シリカ系被膜の形成方法。
【化1】
[式(1)中、R1は有機基を示し、Aは2価の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよい。]
【選択図】 なし
【解決手段】 (a)成分:下記一般式(1)で表される化合物を含む第1のシラン化合物を加水分解縮合して得られる第1のシロキサン樹脂と、(b)成分:上記(a)成分が溶解する溶媒と、(c)成分:フェノール類又はアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステルと、を含有する感光性樹脂組成物を用いてシリカ系被膜を形成する方法であって、上記感光性樹脂組成物からなる塗膜を300℃未満の温度で加熱硬化する加熱工程を有する、シリカ系被膜の形成方法。
【化1】
[式(1)中、R1は有機基を示し、Aは2価の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよい。]
【選択図】 なし
Description
本発明は、シリカ系被膜の形成方法、並びに当該方法により形成されるシリカ系被膜を備える半導体装置、平面表示装置及び電子デバイス用部材に関する。
液晶表示装置等の平面表示装置や半導体装置の製作においては、層間絶縁膜が用いられている。一般に層間絶縁膜は、気相からの堆積又は塗布により形成した膜に対し、フォトレジストを介してエッチングすることによりパターン形成されている。そして、微細なパターンを形成する場合には、通常気相エッチングが用いられている。しかしながら、気相エッチングは装置コストが高く、かつ処理速度が遅いという問題がある。
そこで、コスト低減を目的として、層間絶縁膜用感光性材料の開発が行われるようになった。特に、近年の液晶表示装置においては、大型化に伴い、高精細化、高速応答性が求められ特許文献1に示すような新規なアクティブマトリクス型液晶表示装置が提案されており、画素電極とゲート/ドレイン配線との間の絶縁及びデバイス平坦化のために用いられる層間絶縁膜に、コンタクトホールを形成する必要があるため、ポジ型の感光特性を有する層間絶縁膜用感光性材料が求められている。さらに、液晶表示装置における層間絶縁膜には、透明性が求められる。また、パターン化された膜を層間絶縁膜として残留させて使用する場合には、誘電率の小さい膜であることが望まれる。
これらの要請に応えるために、例えば、特許文献2及び3に開示の層間絶縁膜の形成方法が提案されている。特許文献2には、ポリシラザンと光酸発生剤とを含む感光性ポリシラザン組成物の塗膜を形成する工程と、上記塗膜に光をパターン状に照射する工程と、上記塗膜の照射された部分を溶解除去する工程とを含んでなる、層間絶縁膜の形成方法が開示されている。また、特許文献3には、シロキサン樹脂と、キノンジアジド化合物とを含む組成物から形成された層間絶縁膜が開示されている。
しかしながら、上記特許文献2に記載の膜を層間絶縁膜として用いる場合には、ポリシラザンを加水分解して、ポリシラザン構造をポリシロキサン構造に転化させる必要がある。この際、膜中の水分が不足すると加水分解が十分に進行しないという問題がある。さらに、ポリシラザンの加水分解においては、揮発性が高いアンモニアが発生することから、製造装置の腐食等が問題となる。
また、特許文献3記載のシロキサン樹脂と、キノンジアジド化合物とを含む組成物から形成された層間絶縁膜は、耐熱性が十分でないという問題がある。また、透明性を上げるためにキノンジアジド化合物の添加量が少ないことから、感光性樹脂組成物の感度が十分でないという問題がある。また、波長400nmでの硬化膜の光透過率が95%であるとの記載があるが、硬化時の熱履歴によって硬化膜が着色しないという記載はない。
そこで本発明は、層間絶縁膜として用いることのできるシリカ系被膜の形成が比較的容易であり、かつ透明性及び解像性に優れるシリカ系被膜の形成方法を提供することを目的とする。ここで言う透明性に優れるシリカ系被膜とは、液晶表示装置に用いた場合、表示画面の色彩に影響を与えないような、高い透過率を有する(好ましくは、波長400nmでの透過率が97%以上である)被膜を意味する。さらに、本発明は、当該方法により形成されたシリカ系被膜を備える半導体装置、平面表示装置及び電子デバイス用部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、(a)成分:下記一般式(1)で表される化合物を含む第1のシラン化合物を加水分解縮合して得られる第1のシロキサン樹脂と、(b)成分:上記(a)成分が溶解する溶媒と、(c)成分:フェノール類又はアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステルと、を含有する感光性樹脂組成物を用いてシリカ系被膜を形成する方法であって、上記感光性樹脂組成物からなる塗膜を300℃未満の温度で加熱硬化する加熱工程を有する、シリカ系被膜の形成方法を提供する。
[式(1)中、R1は有機基を示し、Aは2価の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよい。]
[式(1)中、R1は有機基を示し、Aは2価の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよい。]
かかるシリカ系被膜の形成方法によれば、シロキサン樹脂を用いているため、特許文献2に記載の方法では必須のポリシラザン構造をポリシロキサン構造に転化させる工程を省略することができることから、比較的容易にシリカ系被膜を形成することができる。
また、かかるシリカ系被膜の形成方法によれば、上記(c)成分(ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル)の着色温度より低い温度である300℃未満の温度で塗膜を硬化する加熱工程を有していることにより、優れた透明性を有するシリカ系被膜を形成することができる。また特許文献3に記載の方法よりもナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの添加量を多くすることが可能であるため、感光特性及び解像性にも優れる。
さらに、かかるシリカ系被膜の形成方法によれば、耐熱性及び解像性に優れるシリカ系被膜を形成することができる。このような効果を得ることができる理由は必ずしも明らかでないが、本発明者らは次のように考えている。
すなわち、本発明のシリカ系被膜の形成方法においては、耐熱性に優れるシロキサン樹脂を用いているため、形成されるシリカ系被膜も耐熱性に優れると考えられる。さらに、上記一般式(1)で表される化合物は、アルカリ水溶液への溶解性が高いアシロキシ基を有していることから、それを加水分解することにより得られる第1のシロキサン樹脂もアルカリ水溶液への溶解性が高い。よって、シリカ系被膜を形成する際の露光後の現像時に、露光部をアルカリ水溶液により溶解させることが容易となるため、未露光部と露光部とのアルカリ水溶液に対する溶解性の差が大きくなり解像性が向上すると考えられる。
また、本発明のシリカ系被膜の形成方法では、用いる感光性樹脂組成物が(c)成分としてフェノール類又はアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステルを含有するため、良好なポジ型感光性を有する感光性樹脂組成物となり、シリカ系被膜を形成する際の露光後の現像時に、優れた現像性を得ることができる。
本発明のシリカ系被膜の形成方法は、上記加熱工程後の上記塗膜を、上記加熱工程における加熱温度よりも高い温度で加熱硬化する第2の加熱工程をさらに有することが好ましい。これにより、第1の加熱工程において充分に硬化されなかった塗膜部分を、十分に硬化することができる。
本発明のシリカ系被膜の形成方法では、用いる感光性樹脂組成物が上記(c)成分として、フェノール類又は1つ以上のアリール基を有するアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステルを含むことが好ましい。これにより、かかる感光性樹脂組成物からの感光特性が向上する。
また、本発明のシリカ系被膜の形成方法は、上記感光性樹脂組成物が、(d)成分:上記一般式(1)で表される化合物を含まず、下記一般式(2)で表される化合物を含む第2のシラン化合物を加水分解縮合して得られる第2のシロキサン樹脂、をさらに含有することが好ましい。
[式(2)中、R2はH原子又は有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜3の整数を示し、nが2以下であるとき、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよく、nが2又は3であるとき、同一分子内の複数のR2は同一でも異なっていてもよい。]
[式(2)中、R2はH原子又は有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜3の整数を示し、nが2以下であるとき、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよく、nが2又は3であるとき、同一分子内の複数のR2は同一でも異なっていてもよい。]
このように、本発明のシリカ系被膜の形成方法では、用いる感光性樹脂組成物が上記(a)第1のシロキサン樹脂とともに、該(a)第1のシロキサン樹脂とは異なる(d)第2のシロキサン化合物を組み合わせて用いることが好ましく、それによって、形成されるシリカ系被膜は基板に対する優れた接着性を得ることができるとともに、硬化後のパターン形状がだれることなく、良好な形状のシリカ系被膜を形成することができる。
本発明のシリカ系被膜の形成方法では、用いる感光性樹脂組成物中の上記第1のシラン化合物が、下記一般式(3)で表される化合物をさらに含むことが好ましい。これにより、形成されるシリカ系被膜の耐熱性がさらに向上する。
[式(3)中、R3は有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよい。]
[式(3)中、R3は有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよい。]
また、本発明のシリカ系被膜の形成方法は、用いる感光性樹脂組成物中の上記(b)成分が、エーテルアセテート系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種の溶媒を含むことが好ましい。これにより、上記塗布工程において塗布ムラやはじきを抑えることができる。
本発明はまた、上記加熱工程の前に、上記感光性樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥して塗膜を得る塗布工程と、上記塗膜の所定部分を露光する第1露光工程と、上記塗膜の露光された上記所定部分を除去する除去工程と、を有する、シリカ系被膜の形成方法を提供する。
本発明はまた、上記加熱工程の前に、上記感光性樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥して塗膜を得る塗布工程と、上記塗膜の所定部分を露光する第1露光工程と、上記塗膜の露光された上記所定部分を除去する除去工程と、上記所定部分が除去された塗膜を露光する第2露光工程と、を有する、シリカ系被膜の形成方法を提供する。
かかる形成方法によれば、上述の感光性樹脂組成物を用いているため、耐熱性及び解像性に優れるシリカ系被膜を得ることができる。さらに、可視光領域に光学吸収を有する(c)成分が第2露光工程で分解され、可視光領域における光学吸収が十分に小さい化合物が生成する。よって、得られるシリカ系被膜の透明性が更に向上する。
本発明はさらに、基板と、該基板上に上述した本発明の形成方法により形成されたシリカ系被膜とを備える、半導体装置、平面表示装置及び電子デバイス用部材を提供する。これらの半導体装置、平面表示装置及び電子デバイス用部材は、上述した本発明の感光性樹脂組成物から形成されるシリカ系被膜を層間絶縁膜として備えているため、優れた性能を発揮する。
本発明は、層間絶縁膜として用いることのできるシリカ系被膜の形成が比較的容易であり、かつ透明性及び解像性に優れるシリカ系被膜の形成方法を提供することができる。さらに、本発明は、当該方法により形成されたシリカ系被膜を備える半導体装置、平面表示装置及び電子デバイス用部材を提供することができる。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
また、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という。)により測定され、かつ標準ポリスチレンの検量線を使用して換算されたものである。
ここで、重量平均分子量(Mw)は、例えば、以下の条件で、GPCを用いて測定することができる。
(条件)
試料: 10μL
標準ポリスチレン: 東ソー株式会社製標準ポリスチレン(分子量;190000、17900、9100、2980、578、474、370、266)
検出器: 株式会社日立製作所社製RI−モニター、商品名「L−3000」
インテグレーター: 株式会社日立製作所社製GPCインテグレーター、商品名「D−2200」
ポンプ: 株式会社日立製作所社製、商品名「L−6000」
デガス装置: 昭和電工株式会社製、商品名「Shodex DEGAS」
カラム: 日立化成工業株式会社製、商品名「GL−R440」、「GL−R430」、「GL−R420」をこの順番で連結して使用
溶離液: テトラヒドロフラン(THF)
測定温度: 23℃
流速: 1.75mL/分
測定時間: 45分
(条件)
試料: 10μL
標準ポリスチレン: 東ソー株式会社製標準ポリスチレン(分子量;190000、17900、9100、2980、578、474、370、266)
検出器: 株式会社日立製作所社製RI−モニター、商品名「L−3000」
インテグレーター: 株式会社日立製作所社製GPCインテグレーター、商品名「D−2200」
ポンプ: 株式会社日立製作所社製、商品名「L−6000」
デガス装置: 昭和電工株式会社製、商品名「Shodex DEGAS」
カラム: 日立化成工業株式会社製、商品名「GL−R440」、「GL−R430」、「GL−R420」をこの順番で連結して使用
溶離液: テトラヒドロフラン(THF)
測定温度: 23℃
流速: 1.75mL/分
測定時間: 45分
(感光性樹脂組成物)
本発明のシラン系被膜の形成方法で用いる感光性樹脂組成物は、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有する。以下、各成分について説明する。
本発明のシラン系被膜の形成方法で用いる感光性樹脂組成物は、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有する。以下、各成分について説明する。
<(a)成分>
(a)成分は、下記一般式(1)で表される化合物を含むシラン化合物(第1のシラン化合物)を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂である。
(a)成分は、下記一般式(1)で表される化合物を含むシラン化合物(第1のシラン化合物)を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂である。
得られる感光性樹脂組成物の保存安定性をより一層向上する観点から、上記(a)成分は水洗してから使用することが好ましい。すなわち、上記(a)成分を疎水性有機溶媒に溶解した溶液を水と攪拌混合して洗浄することが好ましい。洗浄は、水相のpHが5.0〜7.0になるまで行うことが好ましい。
式(1)中、R1で示される有機基としては、例えば、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。これらの中で、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状又は環状の脂肪族炭化水素基が好ましい。炭素数1〜20の直鎖状の脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等の基が挙げられる。分枝状の脂肪族炭化水素基の具体例としては、イソプロピル基、イソブチル基等の基が挙げられる。また、環状の脂肪族炭化水素基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチレン基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の基が挙げられる。これらの中で、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5の直鎖状の炭化水素基がより好ましく、原料入手容易性の観点からメチル基が特に好ましい。
式(1)中、Aで示される2価の有機基としては、例えば、2価の芳香族炭化水素基及び2価の脂肪族炭化水素基が挙げられる。これらの中で、原料入手容易性等の観点から、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状又は環状の2価の炭化水素基が好ましい。
炭素数1〜20の直鎖状の2価の炭化水素基の好ましい具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等の基が挙げられる。炭素数1〜20の分枝状の2価の炭化水素基の好ましい具体例としては、イソプロピレン基、イソブチレン基等の基が挙げられる。炭素数1〜20の環状の2価の炭化水素基の好ましい具体例としては、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロヘプチレン基、ノルボルナン骨格を有する基、アダマンタン骨格を有する基等の基が挙げられる。これらの中で、メチレン基、エチレン基、プロピレン基のような炭素数1〜7の直鎖状の2価の炭化水素基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基のような炭素数3〜7の環状の2価の炭化水素基、ノルボルナン骨格を有する環状の2価の炭化水素基が特に好ましい。
式(1)中、Xで示される加水分解性基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、アセトキシ基、イソシアネート基及びヒドロキシル基が挙げられる。これらの中で、感光性樹脂組成物自体の液状安定性や塗布特性等の観点からアルコキシ基が好ましい。なお、後述する一般式(2)及び(3)でそれぞれ表される化合物についてもXで示される加水分解性基としては、一般式(1)で表される化合物におけるXと同様な基が具体例として挙げられる。
また、上記第1のシラン化合物は、下記一般式(3)で表される化合物をさらに含むことが好ましい。これにより、得られるシリカ系被膜の耐熱性がさらに向上する。
式(3)中、R3で示される有機基としては、例えば、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状又は環状の脂肪族炭化水素基が好ましい。炭素数1〜20の直鎖状の脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等の基が挙げられる。分枝状の脂肪族炭化水素基の具体例としては、イソプロピル基、イソブチル基等の基が挙げられる。また、環状の脂肪族炭化水素基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチレン基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の基が挙げられる。これらの中で、熱的安定性及び原料入手容易性の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、ノルボルニル基及びアダマンチル基がより好ましい。
また、芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20であるものが好ましい。その具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基等の基が挙げられる。これらの中で、熱的安定性及び原料入手容易性の観点から、フェニル基及びナフチル基がより好ましい。
なお、上記第1のシラン化合物が上記一般式(3)で表される化合物を含む場合、その含有割合は、上記第1のシラン化合物全体に対して、10〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましい。
さらに、上記第1のシラン化合物は、上述の一般式(1)及び(3)でそれぞれ表される化合物以外のシラン化合物を含んでいてもよい。このようなシラン化合物としては、例えば後述する一般式(2)で表され、nが0又は2である化合物が挙げられる。なお、上記第1のシラン化合物において、上記一般式(1)及び(3)でそれぞれ表される化合物以外のシラン化合物の含有割合は、上記第1のシラン化合物全体に対して、例えば0〜50質量%とすることができる。
上記第1のシラン化合物を加水分解縮合する際には、一般式(1)で表される化合物について、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。同様に、一般式(3)で表される化合物について、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。同様に、一般式(1)及び(3)でそれぞれ表される化合物以外のシラン化合物について、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述の一般式(1)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物とを含むシラン化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂(シルセスキオキサン)の構造の具体例を下記一般式(4)に示す。なお、この具体例は、1種の一般式(1)で表される化合物(R1はメチル基)と、2種の一般式(3)で表される化合物(R3はそれぞれフェニル基とメチル基)とを加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂の構造である。また、添え字の”3/2”は、1個のSi原子に対して3/2個の割合でO原子が結合していることを示す。
ここで、式(4)中、a、b、cは、それぞれ各部位に対応する原料のモル比(モル%)を示し、aは0.5〜99、bは0.5〜99、cは0.5〜99である。ただし、a、b及びcの合計は100である。また、式(4)中のAは、2価の有機基を示す。
上述の第1のシラン化合物の加水分解縮合は、例えば、次のような条件で行うことができる。
まず、加水分解縮合の際に用いる水の量は、一般式(1)で表される化合物1モル当たり0.01〜1000モルであることが好ましく、0.05〜100モルであることがより好ましい。この水の量が0.01モル以上であれば加水分解縮合反応が十分に進行する傾向にあり、水の量が1000モル以下であれば加水分解中又は縮合中にゲル化物を生じにくい傾向にある。
また、加水分解縮合の際には、触媒を使用してもよい。触媒としては、例えば、酸触媒、アルカリ触媒、金属キレート化合物を用いることができる。これらの中で、一般式(1)で表される化合物におけるアシロキシ基の加水分解を防止する観点から、酸触媒が好ましい。
酸触媒としては、例えば、有機酸及び無機酸が挙げられる。有機酸としては、例えば、蟻酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、燐酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、フッ酸等が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
このような触媒の使用量は、一般式(1)で表される化合物1モルに対して0.0001〜1モルの範囲であることが好ましい。この使用量が0.0001モル以上であれば反応が進行する傾向にあり、1モル以下であれば加水分解縮合時にゲル化が抑制される傾向にある。
なお、加水分解縮合において上述の触媒を用いたときには、得られる感光性樹脂組成物の安定性が悪化する可能性や、触媒を含むことにより他の材料への腐食等の影響が懸念される可能性がある。これらのような悪影響は、例えば、加水分解縮合後に、触媒を感光性樹脂組成物から取り除いたり、触媒を他の化合物と反応させて触媒としての機能を失活させたりすることにより解消することができる。これらの操作を実施するための方法としては、従来公知の方法を用いることができる。触媒を取り除く方法としては、例えば、蒸留法やイオンクロマトカラム法等が挙げられる。また、触媒を他の化合物と反応させて触媒としての機能を失活させる方法としては、例えば、触媒が酸触媒の場合、塩基を添加して酸塩基反応により中和する方法が挙げられる。
また、かかる加水分解縮合の際にはアルコールが副生する。このアルコールは、プロトン性溶媒であり、感光性樹脂組成物の物性に悪影響を与えるおそれがあることから、エバポレータ等を用いて除去することが好ましい。
このようにして得られる第1のシロキサン樹脂は、溶媒への溶解性や、成形性等の観点から、重量平均分子量が、500〜1000000であることが好ましく、500〜500000であることがより好ましく、500〜100000であることが更に好ましく、500〜50000であることが特に好ましい。この重量平均分子量が500以上であればシリカ系被膜の成膜性が充分得られる傾向にあり、この重量平均分子量が1000000以下であれば、溶媒と充分な相溶性を有する傾向にある。
上述の(a)成分の配合割合は、溶媒への溶解性、膜厚、成形性、溶液の安定性等の観点から、感光性樹脂組成物の固形分全体を基準として、5〜50質量%であることが好ましい。シリカ系被膜の成膜性の観点では、配合割合が多いことが好ましいため、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、15質量%以上が特に好ましい。また、溶液の安定性の観点では、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下が特に好ましい。
本発明のシリカ被膜の形成方法では、用いる感光性樹脂組成物が、上述の(a)成分を含有するため、形成されるシリカ系被膜が耐熱性及び解像性に優れる。さらに、かかる感光性樹脂組成物において、上述の(a)成分が柔軟性に優れるため、形成されるシリカ系被膜を加熱処理する際のクラックの発生が防止されることから、クラック耐性に優れる。さらにまた、形成されるシリカ系被膜がクラック耐性に優れることから、シリカ系被膜の厚膜化が可能となる。
<(d)成分>
(d)成分は、下記一般式(2)で表される化合物を含むシラン化合物(第2のシラン化合物)を加水分解縮合して得られる第2のシロキサン樹脂である。本発明のシリカ被膜の形成方法では、用いる感光性樹脂組成物が、上述した(a)第1のシロキサン樹脂と、該(a)第1のシロキサン樹脂とは異なる(d)第2のシロキサン樹脂とを組み合わせて用いることが好ましい。(a)成分と(d)成分とを組み合わせて用いることにより、形成されるシリカ系被膜の基板に対する接着性をより向上できるとともに、硬化後のパターン形状を保持させることができる。
(d)成分は、下記一般式(2)で表される化合物を含むシラン化合物(第2のシラン化合物)を加水分解縮合して得られる第2のシロキサン樹脂である。本発明のシリカ被膜の形成方法では、用いる感光性樹脂組成物が、上述した(a)第1のシロキサン樹脂と、該(a)第1のシロキサン樹脂とは異なる(d)第2のシロキサン樹脂とを組み合わせて用いることが好ましい。(a)成分と(d)成分とを組み合わせて用いることにより、形成されるシリカ系被膜の基板に対する接着性をより向上できるとともに、硬化後のパターン形状を保持させることができる。
[式(2)中、R2はH原子又は有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜3の整数を示し、nが2以下であるとき、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよく、nが2又は3であるとき、同一分子内の複数のR2は同一でも異なっていてもよい。
]
得られる感光性樹脂組成物の保存安定性をより一層向上する観点から、上記(d)成分についても、水洗してから使用することが好ましい。すなわち、上記(d)成分を疎水性有機溶媒に溶解した溶液を水と攪拌混合して洗浄することが好ましい。洗浄は、水相のpHが5.0〜7.0になるまで行うことが好ましい。
式(2)中、R2で示される有機基としては、例えば、アミノ基、芳香環、アミノ基又はエポキシ基を有する基、脂環式炭化水素基及び炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。これらの中で、接着性の観点から、アミノ基又はエポキシ基を有する基及びメチル基が好ましい。
式(2)中、Xで示される加水分解性基がアルコキシ基である上記一般式(2)で表される化合物(アルコキシシラン)としては、例えば、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン等が挙げられる。
テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等が挙げられる。
トリアルコキシシランとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリイソブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリイソブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリイソブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリ−n−プロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリ−n−ブトキシシラン、イソプロピルトリイソブトキシシラン、イソプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、イソプロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリイソプロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリイソブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチルトリイソプロポキシシラン、sec−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリイソブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、tert−ブチルトリイソプロポキシシラン、tert−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、tert−ブチルトリイソブトキシシラン、tert−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、tert−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリイソブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
ジオルガノジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジフェノキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジ−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジイソプロピルジフェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジフェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジフェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジフェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン等が挙げられる。
また、Xがアルコキシ基であり、R2が炭素数1〜20のアルキル基である上記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、上記のものの他、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリイソプロポキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、ビス(トリイソプロポキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリエトキシシリル)プロパン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)プロパン、ビス(トリイソプロポキシシリル)プロパン等のビスシリルアルカンが挙げられる。
Xがアルコキシ基であり、R2が芳香環を有する基である上記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、上記のものの他、ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、ビス(トリイソプロポキシシリル)ベンゼン等のビスシリルベンゼンが挙げられる。
Xがアルコキシ基であり、R2がアミノ基を有する基である上記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリエメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、6−アジドスルフォニルヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
Xがアルコキシ基であり、R2がエポキシ基を有する基である上記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン等が挙げられる。
これらのような一般式(2)で表される化合物の中でも、接着性の観点から、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシランが特に好ましい。また、同様の観点から、nが0である化合物が好ましく、テトラアルコキシシランが特に好ましい。
上記第2のシラン化合物を加水分解縮合する際には、一般式(2)で表される化合物について、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述の第2のシラン化合物の加水分解縮合は、例えば、次のような条件で行うことができる。
まず、加水分解縮合の際に用いる水の量は、一般式(2)で表される化合物1モル当たり0.01〜1000モルであることが好ましく、0.05〜100モルであることがより好ましい。この水の量が0.01モル以上であれば加水分解縮合反応が十分に進行する傾向にあり、水の量が1000モル以下であれば加水分解中又は縮合中にゲル化物を生じにくい傾向にある。
また、加水分解縮合の際には、触媒を使用してもよい。触媒としては、例えば、酸触媒、アルカリ触媒、金属キレート化合物を用いることができる。
酸触媒としては、例えば、有機酸及び無機酸などが挙げられる。有機酸としては、例えば、蟻酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トリエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸等が挙げられる。無機酸としては例えば、塩酸、燐酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、フッ酸等が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
アルカリ触媒としては、例えば、無機アルカリ及び有機アルカリなどが挙げられる。無機アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等が挙げられる。有機アルカリとしては、例えば、ピリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、アンモニア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘブチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデカシルアミン、ドデカシルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、N,N−ジペンチルアミン、N,N−ジヘキシルアミン、N,N−ジシクロペンチルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
金属キレート化合物としては、例えば、トリメトキシ・モノ(アセチルアセナート)チタン、トリエトキシ・モノ(アセチルアセナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセナート)チタン、トリ−iso−プロポキシ・モノ(アセチルアセナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセナート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセナート)チタン、ジメトキシ・モノ(アセチルアセナート)チタン、ジエトキシ・ジ(アセチルアセナート)チタン、ジn−プロポキシ・ジ(アセチルアセナート)チタン、ジiso−プロポキシ・ジ(アセチルアセナート)チタン、ジn−ブトキシ・ジ(アセチルアセナート)チタン、ジsec−ブトキシ・ジ(アセチルアセナート)チタン、ジtert−ブトキシ・ジ(アセチルアセナート)チタン、モノメトキシ・トリス(アセチルアセナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセナート)チタン、モノn−プロポキシ・トリス(アセチルアセナート)チタン、モノiso−プロポキシ・トリス(アセチルアセナート)チタン、モノn−ブトキシ・トリス(アセチルアセナート)チタン、モノsec−ブトキシ・トリス(アセチルアセナート)チタン、モノtert−ブトキシ・トリス(アセチルアセナート)チタン、テトラキス(アセチルアセナート)チタン、トリメトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−iso−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジメトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ジ(エチルアセトアセテート)チタン、ジn−プロポキシ・ジ(エチルアセトアセテート)チタン、ジiso−プロポキシ・ジ(エチルアセトアセテート)チタン、ジn−ブトキシ・ジ(エチルアセトアセテート)チタン、ジsec−ブトキシ・ジ(エチルアセトアセテート)チタン、ジtert−ブトキシ・ジ(エチルアセトアセテート)チタン、モノメトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノn−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノiso−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノn−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノsec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノtert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン等のチタンを有する金属キレート化合物、上記チタンを有する金属キレート化合物のチタンがジルコニウム、アルミニウム等に置換された化合物などが挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
このような触媒の使用量は、一般式(2)で表される化合物1モルに対して0.0001〜1モルの範囲であることが好ましい。この使用量が0.0001モル以上であれば反応が進行する傾向にあり、1モル以下であれば加水分解縮合時にゲル化が抑制される傾向にある。
なお、加水分解縮合において上述の触媒を用いたときには、得られる感光性樹脂組成物の安定性が悪化する可能性や、触媒を含むことにより他の材料への腐食等の影響が懸念される可能性がある。これらのような悪影響は、例えば、加水分解縮合後に、触媒を感光性樹脂組成物から取り除いたり、触媒を他の化合物と反応させて触媒としての機能を失活させたりすることにより解消することができる。これらの操作を実施するための方法としては、従来公知の方法を用いることができる。触媒を取り除く方法としては、例えば、蒸留法やイオンクロマトカラム法等が挙げられる。また、触媒を他の化合物と反応させて触媒としての機能を失活させる方法としては、例えば、触媒が酸触媒の場合、塩基を添加して酸塩基反応により中和する方法が挙げられる。
また、かかる加水分解縮合の際にはアルコールが副生する。このアルコールは、プロトン性溶媒であり、感光性樹脂組成物の物性に悪影響を与えるおそれがあることから、エバポレータ等を用いて除去することが好ましい。
このようにして得られる(d)第2のシロキサン樹脂は、溶媒への溶解性や、成形性等の観点から、重量平均分子量が、500〜1000000であることが好ましく、500〜500000であることがより好ましく、500〜100000であることが更に好ましく、500〜50000であることが特に好ましい。この重量平均分子量が500以上であればシリカ系被膜の成膜性が充分得られる傾向にあり、この重量平均分子量が1000000以下であれば、溶媒との充分な相溶性を有する傾向にある。
上述の(d)成分の配合割合は、感光性樹脂組成物の固形分全体を基準として、0.01〜80質量%であることが好ましく、0.01〜70質量%であることがより好ましく、0.01〜50質量%であることが更に好ましい。この配合割合が0.01質量%以上であれば、接着性の低下、及び硬化後のパターンがだれてしまうことが抑制される傾向にあり、80質量%以下であれば膜にクラックが入りにくくなる傾向にある。
上述の(a)第1のシロキサン樹脂、及び、それと組み合わせて用いることが可能である(d)第2のシロキサン樹脂は、感光性樹脂組成物の保存安定性をより一層向上する観点から、シロキサン樹脂を疎水性有機溶媒に溶解した溶液を水で抽出したときの水相のpHが、5.0〜7.0となるものであることが好ましく、6.0〜7.0となるものであることがより好ましい。上記pHは、これまで説明したように、(a)成分及び(d)成分をそれぞれ抽出や洗浄することにより酸性成分を除去することで調整することができる。(a)成分及び(d)成分における上記pHが酸性や塩基性に寄り過ぎない場合、例えば、上記pHが5.0〜7.0であると、シロキサン樹脂の縮合が進みにくいために、感光性樹脂組成物の保存安定性が向上する傾向がある。
(a)成分及び(d)成分における上記pHは、具体的には、(a)成分及び(d)成分の各成分に同量の疎水性有機溶媒(例えば、メチルイソブチルケトン)を加えて均一にした溶液を調製し、シロキサン樹脂100質量部に対して50質量部のイオン交換水を加え、抽出した際に生じる水相のpHを計測したものである。上記水相のpHは、(a)成分又は(d)成分を含む疎水性有機溶媒溶液中(有機相)のpHに相当するとみなす。また、本発明の感光性樹脂組成物の最終的なpHは、感光性樹脂組成物をpH測定用試料として用いて、直接測定した値である。なお、pHは、室温24℃、相対湿度50%の条件下で、横河電気(株)社製のModel PH81(商品名)を用いて測定することができる。
上記疎水性有機溶媒としては、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、キシレン、ジエチルエーテルなどを用いることができ、メチルイソブチルケトンが好ましい。
<(e)成分>
本発明のシリカ系被膜の形成方法で用いる感光性樹脂組成物は、形成されるシリカ系被膜の基板に対する接着性を調整するために、必要に応じて、上記一般式(2)で表される加水分解性基を有するシラン化合物(第3のシラン化合物)を(e)成分として含有していてもよい。
本発明のシリカ系被膜の形成方法で用いる感光性樹脂組成物は、形成されるシリカ系被膜の基板に対する接着性を調整するために、必要に応じて、上記一般式(2)で表される加水分解性基を有するシラン化合物(第3のシラン化合物)を(e)成分として含有していてもよい。
(e)第3のシラン化合物としては、(d)成分における第2のシラン化合物中の上記一般式(2)で表される化合物として説明したものと同様のものが挙げられ、同様のものが好ましく用いられる。また、(e)第3のシラン化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本発明の感光性樹脂組成物において、(d)成分及び(e)成分の両方を用いる場合、(d)成分における上記一般式(2)で表される化合物と、(e)第3のシラン化合物とは、同一でも異なっていてもよい。
上述の(e)成分を配合する場合、その配合割合は、接着性の観点から、感光性樹脂組成物の固形分全体を基準として、0.01〜50質量%であることが好ましく、0.05〜35質量%であることがより好ましく、0.1〜25質量%であることが更に好ましい。この配合割合が0.01質量%以上であれば接着性が充分得られる傾向にあり、50質量%以下であれば感光性樹脂組成物の安定性が向上する傾向にある。
<(b)成分>
(b)成分は、(a)成分が溶解する溶媒である。その具体例としては、非プロトン性溶媒及びプロトン性溶媒が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)成分は、(a)成分が溶解する溶媒である。その具体例としては、非プロトン性溶媒及びプロトン性溶媒が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非プロトン性溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−iso−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル等のエステル系溶媒;エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のエーテルアセテート系溶媒;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレンが挙げられる。これらの中で、形成されるシリカ系被膜の厚膜化が可能となり、かつ感光性樹脂組成物の溶液安定性が向上する観点から、エーテル系溶媒、エーテルアセテート系溶媒及びケトン系溶媒が好ましい。これらの中でも塗布ムラやはじきを抑える観点から、エーテルアセテート系溶媒が最も好ましく、エーテル系溶媒が次に好ましく、ケトン系溶媒がその次に好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
プロトン性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等のエステル系溶媒が挙げられる。これらの中で、保管安定性の観点から、アルコール系溶媒が好ましい。さらに、塗布ムラやはじきを抑える観点からは、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールプロピルエーテルが好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上述の(b)成分の種類は、(a)成分及び(c)成分の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、後述する(c)成分がナフトキノンジアジドスルホン酸とフェノール類とのエステルであり、脂肪族炭化水素系溶媒への溶解性が低い場合には、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒等を適宜選択することができる。
このような(b)成分の配合量は、(a)成分及び(c)成分の種類等に応じて適宜調節することができるが、例えば、感光性樹脂組成物の固形分全体100質量部に対して、0.1〜2000質量部用いることができる。
(b)成分を感光性樹脂組成物中に加える方法としては、従来公知の方法を用いることができる。その具体例としては、(a)成分を調製する際の溶媒として用いる方法、(a)成分を調製後、添加する方法、溶媒交換を行う方法、(a)成分を溶媒留去等で取り出した後に(b)成分を加える方法等が挙げられる。
<(c)成分>
(c)成分は、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルであって、フェノール類又はアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステルである。この成分は、感光性樹脂組成物にポジ型感光性を付与するためのものである。ポジ型感光性は、例えば次のようにして発現する。
(c)成分は、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルであって、フェノール類又はアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステルである。この成分は、感光性樹脂組成物にポジ型感光性を付与するためのものである。ポジ型感光性は、例えば次のようにして発現する。
すなわち、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルに含まれるナフトキノンジアジド基は、本来アルカリ現像液に対する溶解性を示さず、さらにシロキサン樹脂のアルカリ現像液への溶解を阻害する。しかし、紫外線又は可視光を照射することにより、ナフトキノンジアジド基は、インデンカルボン酸構造へと変化してアルカリ現像液に高い溶解性を示すようになる。よって、(c)成分を配合することにより、露光部がアルカリ現像液により除去されるポジ型感光性が発現する。
(c)成分としてのナフトキノンジアジドスルホン酸エステルは、ナフトキノンジアジドスルホン酸とフェノール類又はアルコール類とのエステルであり、上記(c)成分との相溶性、形成されるシリカ系被膜の透明(感度)性の観点から、フェノール類又は1つ以上のアリール基を有するアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステルを含むことが好ましい。
ナフトキノンジアジドスルホン酸としては、例えば、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸及びそれらの誘導体等が挙げられる。
アルコール類は、1価又は多価アルコール類であり、1つ以上のアリール基を有しているものが好ましい。
アリール基を3つ以上有するアルコール類としては、2価以上のアルコール類であることが好ましい。これは、アリール基を3つ以上有する場合には、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル分子中のナフトキノンジアジド部位の占める割合が小さいため、感光特性が低下する可能性があるからである。
フェノール類及びアリール基を有するアルコール類の具体例としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、o−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、メシトール、o−プロピルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、2,3,5トリメチルフェノール、2,3,6トリメチルフェノール、2,4,6トリメチルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、o−エトキシフェノール、m−エトキシフェノール、p−エトキシフェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、3−メトキシ−5−メチルフェノール、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸イソプロピル、サリチル酸イソブチル、4−ヒドロキシクマリン、7−ヒドロキシクマリン、ベンジルアルコール、o−メチルベンジルアルコール、m−メチルベンジルアルコール、p−メチルベンジルアルコール、o−メトキシベンジルアルコール、m−メトキシベンジルアルコール、フェネチルアルコール、2,5−ジメチルベンジルアルコール、3,5−ジメチルベンジルアルコール、1−(2−メチルフェニル)エタノール、1−(4−メチルフェニル)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−(4−メチルフェニル)エタノール、2−(p−トリル)エタノール、1−フェニル−1−プロパノール、2−フェニル−1−プロパノール、2−フェニル−2−プロパノール、3−フェニル−1−プロパノール、p−キシレン−α,α’−ジオール、o−tert−ブチルフェノール、m−tert−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、6−tert−ブチル−m−クレゾール、2−tert−ブチル−p−クレゾール、o−シクロヘキシルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、o−アリルフェノール、2,6−ジイソプロピルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、4−tert−ブチル−2−メチルフェノール、2−tert−ブチル−6−メチルフェノール、カテコール、レソシノール、ヒドロキノン、2,3−ジヒドロキシトルエン、2,6−ジヒドロキシトルエン、3,4−ジヒドロキシトルエン、3,5−ジヒドロキシトルエン、サリシルアルコール、o−ヒドロキシベンジルアルコール、m−ヒドロキシベンジルアルコール、p−ヒドロキシベンジルアルコール、1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、2,4−ビス(ヒドロキシメチル)−m−クレゾール、2,4,6−トリス(ヒドロキシメチル)フェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、(1,3)−ジヒドロキシナフタレン、(1,4)−ジヒドロキシナフタレン、(1,5)−ジヒドロキシナフタレン、(1,6)−ジヒドロキシナフタレン、(2,3)−ジヒドロキシナフタレン、(2,6)−ジヒドロキシナフタレン、(2,7)−ジヒドロキシナフタレン、1−ナフタレンメタノール、2−ナフタレンメタノール、7−メトキシ−2−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、1−(1−ナフチル)エタノール、1−(2−ナフチル)エタノール、2−(1−ナフチル)エタノール、1,4−ナフタレンジメタノール、2,3−ナフタレンジメタノール、2−(2−ナフトキシ)エタノール、2−ヒドロキシビフェニル、3−ヒドロキシビフェニル、4−ヒドロキシビフェニル、2−ビフェニルエタノール、4−ビフェニルメタノール、2−ベンジルフェノール、ベンズヒドロール、2−メチル−3−ビフェニルメタノール、1,1−ジフェニルエタノール、2,2−ジフェニルエタノール、1−(4−ビフェニリル)エタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシ)プロパン、1,3−ジフェノキシプロパン−2−オール、p−クミルフェノール、2−(4−ビフェニリル)−2−プロパノール、4−(4−ビフェニル)−2−ブタノール、(2,3)ビフェニルジオール、(2,2’)ビフェニルジオール、(4,4’)ビフェニルジオール、3−フェノキシベンジルアルコール、4−4’メチレンジフェノール、2−ベンジルオキシフェノール、4−ベンジルオキシフェノール、1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオール、4,4’−エチリデンジフェノール、4−ベンジルオキシベンジルアルコール、1,3−ジフェノキシ−2−プロパノール、4,4’−ジメトキシベンズヒドロール、1’−ヒドロキシ−2’−アセトナフトン、1−アセトナフトール、2,3,4−トリヒドロキシジフェニルメタン、4−ヒドロキシビフェニル、4−ヒドロキシ−4’−プロポキシビフェニル、4−ヒドロキシ−4’−ブトキシビフェニル、ジフェニルメタン−2,4−ジオール、4,4’,4’’−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’−(1−(p−(4−ヒドロキシ−α,α−ジメチルベンジル)フェニル)エチリデン)ジフェノール、4,4’−(2−ヒドロキシベンジリデン)ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)p−クレゾール、1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。
また、フェノール類としては、以下の化合物も挙げられる(いずれも本州化学工業(株)製、商品名)。
上述のナフトキノンジアジドスルホン酸エステルは従来公知の方法により得ることが可能であり、例えば、ナフトキノンジアジドスルホン酸塩化物とフェノール類又はアルコール類とを塩基存在下で反応させることにより得ることができる。
この反応に用いる塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等の第三級アルキルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、カリウム−tert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられる。
また、反応溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、THF、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセート等のエーテルアセテート系溶媒、アセトン、イソブチルケトン等のケトン系溶媒、ヘキサン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
上述のフェノール類又はアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステルは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上述の(c)成分の配合割合は、感光特性等の観点から、感光性樹脂組成物の固形分全体を基準として、1〜30質量%であることが好ましく、3〜25質量%であることがより好ましく、3〜20質量%であることが更に好ましい。(c)成分の配合割合が1質量%以上の場合には、アルカリ現像液への溶解阻害作用が向上し、感光性が向上する傾向にある。また、(c)成分の配合割合が30質量%以下の場合には、塗膜を形成する際に(c)成分が析出しにくく、塗膜が均一となる傾向にある。さらに、このような場合には、感光剤としての(c)成分の濃度が高すぎず、形成される塗膜の表面近傍でのみ光の吸収が起こるということがないので、塗膜の下部まで露光時の光が到達し感光特性が向上する傾向にある。
なお、上述の感光性樹脂組成物を電子部品等に使用する場合は、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含有しないことが望ましく、含まれる場合でも組成物中のそれらの金属イオン濃度が1000ppm以下であることが好ましく、1ppm以下であることがより好ましい。これらの金属イオン濃度が1000ppmを超えると、組成物から得られるシリカ系被膜を有する電子部品に金属イオンが流入し易くなって、電気性能そのものに悪影響を与えるおそれがある。したがって、必要に応じて、例えば、イオン交換フィルター等を使用してアルカリ金属やアルカリ土類金属を組成物中から除去することが有効である。しかし、光導波路や他の用途等に用いる際は、その目的を損なわないのであれば、この限りではない。
また、上述の感光性樹脂組成物は、必要に応じて水を含んでいてもよいが、目的とする特性を損なわない範囲であることが好ましい。
(シリカ系被膜の形成方法)
本発明のシリカ系被膜の形成方法は、上述の感光性樹脂組成物を用いてシリカ系被膜を形成する方法であって、上記感光性樹脂組成物からなる塗膜を300℃未満の温度で加熱硬化する加熱工程(以下、場合により「第1の加熱工程」という。)を有する方法である。より具体的には、本発明のシリカ系被膜の形成方法は、上述の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥して塗膜を得る塗布工程と、塗膜の所定部分を露光する第1露光工程と、塗膜の露光された所定部分を除去する除去工程と、所定部分が除去された塗膜を300℃未満の温度で加熱硬化する加熱工程(第1の加熱工程)とを有する方法である。
本発明のシリカ系被膜の形成方法は、上述の感光性樹脂組成物を用いてシリカ系被膜を形成する方法であって、上記感光性樹脂組成物からなる塗膜を300℃未満の温度で加熱硬化する加熱工程(以下、場合により「第1の加熱工程」という。)を有する方法である。より具体的には、本発明のシリカ系被膜の形成方法は、上述の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥して塗膜を得る塗布工程と、塗膜の所定部分を露光する第1露光工程と、塗膜の露光された所定部分を除去する除去工程と、所定部分が除去された塗膜を300℃未満の温度で加熱硬化する加熱工程(第1の加熱工程)とを有する方法である。
また、本発明のシリカ系被膜の形成方法は、上記除去工程の後に、所定部分が除去された塗膜を露光する第2露光工程を有することが好ましい。また、本発明のシリカ系被膜の形成方法は、上記第1の加熱工程後の上記塗膜を、上記第1の加熱工程における加熱温度よりも高い温度で加熱硬化する第2の加熱工程をさらに有することが好ましい。以下、各工程について説明する。
<塗布工程>
まず、感光性樹脂組成物を塗布するための基板を用意する。基板としては、表面が平坦なものであっても、電極等が形成され凹凸を有しているものであってもよい。これらの基板の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリル、ナイロン、ポリエーテルサルフォン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース等の有機高分子等が挙げられる。また、この有機高分子等がフィルム状になっているものを基板として用いることもできる。
まず、感光性樹脂組成物を塗布するための基板を用意する。基板としては、表面が平坦なものであっても、電極等が形成され凹凸を有しているものであってもよい。これらの基板の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリル、ナイロン、ポリエーテルサルフォン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース等の有機高分子等が挙げられる。また、この有機高分子等がフィルム状になっているものを基板として用いることもできる。
上述の感光性樹脂組成物は、このような基板上に従来公知の方法によって塗布することが可能である。塗布方法の具体例としては、スピンコート法、スプレー法、ロールコート法、回転法、スリット塗布法等が挙げられる。これらの中で、一般に成膜性及び膜均一性に優れるスピンコート法により感光性樹脂組成物を塗布することが好ましい。
スピンコート法を用いる場合には、好ましくは300〜3000回転/分、より好ましくは400〜2000回転/分で、基板上に上述の感光性樹脂組成物をスピンコートして塗膜を形成する。この回転数が300回転/分以上であれば膜均一性が向上する傾向があり、3000回転/分以下であれば成膜性が向上する傾向がある。
このようにして形成される塗膜の膜厚は、例えば次のようにして調整することができる。まず、スピンコートの際に、回転数と塗布回数を調整することにより塗膜の膜厚を調整することができる。すなわち、スピンコートの回転数を下げたり塗布回数を減らしたりすることにより、塗膜の膜厚を厚くすることができる。また、スピンコートの回転数を上げたり塗布回数を減らしたりすることにより、塗膜の膜厚を薄くすることができる。
さらに、上述の感光性樹脂組成物において、(a)成分の濃度を調整することにより、塗膜の膜厚を調整することもできる。例えば、(a)成分の濃度を高くすることにより、塗膜の膜厚を厚くすることができる。また、(a)成分の濃度を低くすることにより、塗膜の膜厚を薄くすることができる。
以上のようにして塗膜の膜厚を調整することにより、最終生成物であるシリカ系被膜の膜厚を調整することができる。シリカ系被膜の好適な膜厚は使用用途により異なる。例えば、シリカ系被膜の膜厚は、LSI等の層間絶縁膜に使用する際には0.01〜2μm;パッシベーション層に使用する際には2〜40μm;液晶用途に使用する際には0.1〜20μm;フォトレジストに使用する際には0.1〜2μm;光導波路に使用する際の膜厚は1〜50μm、であることが好ましい。一般的に、このシリカ系被膜の膜厚は、0.01〜10μmであることが好ましく、0.01〜5μmであることがより好ましく、0.01〜3μmであることが更に好ましく、0.05〜3μmであることが特に好ましく、0.1〜3μmであることが極めて好ましい。本発明の感光性樹脂組成物は、0.5〜3.0μmの膜厚のシリカ系被膜に好適に用いることができ、0.5〜2.5μmの膜厚のシリカ系被膜により好適に用いることができ、1.0〜2.5μmの膜厚のシリカ系被膜に特に好適に用いることができる。
上述のようにして基板上に塗膜を形成した後に、塗膜を乾燥して、塗膜中の有機溶媒を除去する。乾燥には従来公知の方法を用いることができ、例えばホットプレートを用いて乾燥することができる。乾燥温度は、50〜150℃であることが好ましく、70〜140℃がより好ましく、80℃〜130℃が更に好ましい。この乾燥温度が50℃以上であれば、有機溶媒の除去が十分に行われる傾向がある。また、乾燥温度が150℃以下であれば膜中の感光剤が分解して透過率が低下することや、塗膜の硬化が進行することにより現像液に対する溶解性が低下することが抑制されるため、露光感度や解像度が向上する傾向にある。
<減圧乾燥工程>
また、塗布工程により基板上に塗膜を形成した後で、ホットプレート等で膜中の溶媒を除去する前に減圧乾燥工程を行ってもよい。この減圧乾燥により、成膜したときの面内の膜厚ばらつきが小さくなる、現像後の膜厚ばらつきが小さくなる等の効果がある。また減圧乾燥により、樹脂中の残存溶媒量が低減され、その後の加熱処理における温度の影響が低減される傾向がある。このため、乾燥温度や乾燥時間の違いによってアルカリ水溶液に対する溶解性が変動することを抑制する効果もある。減圧乾燥工程の減圧度は150Pa以下が好ましく、100Pa以下がより好ましく、50Pa以下が更に好ましく、20Pa以下が極めて好ましい。また、減圧乾燥の温度は0℃〜100℃が好ましく、10℃〜50℃がより好ましく、20℃〜30℃が更に好ましい。減圧度が150Pa以下であれば溶媒を十分に除去できる傾向がある。また、温度が100℃以下であれば面内の膜厚ばらつきが小さくなる傾向があり、0℃以上であると溶媒の除去が十分になる傾向がある。
また、塗布工程により基板上に塗膜を形成した後で、ホットプレート等で膜中の溶媒を除去する前に減圧乾燥工程を行ってもよい。この減圧乾燥により、成膜したときの面内の膜厚ばらつきが小さくなる、現像後の膜厚ばらつきが小さくなる等の効果がある。また減圧乾燥により、樹脂中の残存溶媒量が低減され、その後の加熱処理における温度の影響が低減される傾向がある。このため、乾燥温度や乾燥時間の違いによってアルカリ水溶液に対する溶解性が変動することを抑制する効果もある。減圧乾燥工程の減圧度は150Pa以下が好ましく、100Pa以下がより好ましく、50Pa以下が更に好ましく、20Pa以下が極めて好ましい。また、減圧乾燥の温度は0℃〜100℃が好ましく、10℃〜50℃がより好ましく、20℃〜30℃が更に好ましい。減圧度が150Pa以下であれば溶媒を十分に除去できる傾向がある。また、温度が100℃以下であれば面内の膜厚ばらつきが小さくなる傾向があり、0℃以上であると溶媒の除去が十分になる傾向がある。
<第1露光工程>
次に、得られた塗膜の所定部分を露光する。塗膜の所定部分を露光する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、所定のパターンのマスクを介して塗膜に放射線を照射することにより、所定部分を露光することができる。ここで用いられる放射線としては、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)等の紫外線、KrFエキシマレーザー等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線が挙げられる。これらのうち、g線及びi線が好ましい。露光量としては、通常10〜2000mJ/cm2、好ましくは20〜200mJ/cm2である。
次に、得られた塗膜の所定部分を露光する。塗膜の所定部分を露光する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、所定のパターンのマスクを介して塗膜に放射線を照射することにより、所定部分を露光することができる。ここで用いられる放射線としては、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)等の紫外線、KrFエキシマレーザー等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線が挙げられる。これらのうち、g線及びi線が好ましい。露光量としては、通常10〜2000mJ/cm2、好ましくは20〜200mJ/cm2である。
<除去工程>
続いて、塗膜の露光された所定部分(以下、「露光部」ともいう。)を除去して、所定のパターンを有する塗膜を得る。塗膜の露光部を除去する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、現像液を用いて現像処理して露光部を除去することにより、所定のパターンを有する塗膜を得ることができる。ここで用いられる現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第二級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類、ジメチルエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩又はピロ−ル、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−(5.4.0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−(4.3.0)−5−ノナン等の環状アミン類を水に溶解したアルカリ水溶液が好ましく使用される。また該現像液には、水溶性有機溶媒、例えばメタノ−ル、エタノ−ル等のアルコ−ル類や界面活性剤を適量添加して使用することもできる。さらに本発明の感光性樹脂組成物を溶解する各種有機溶媒も現像液として使用することができる。
続いて、塗膜の露光された所定部分(以下、「露光部」ともいう。)を除去して、所定のパターンを有する塗膜を得る。塗膜の露光部を除去する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、現像液を用いて現像処理して露光部を除去することにより、所定のパターンを有する塗膜を得ることができる。ここで用いられる現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第二級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類、ジメチルエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩又はピロ−ル、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−(5.4.0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−(4.3.0)−5−ノナン等の環状アミン類を水に溶解したアルカリ水溶液が好ましく使用される。また該現像液には、水溶性有機溶媒、例えばメタノ−ル、エタノ−ル等のアルコ−ル類や界面活性剤を適量添加して使用することもできる。さらに本発明の感光性樹脂組成物を溶解する各種有機溶媒も現像液として使用することができる。
現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法等の適宜の方法を利用することができる。現像処理後に、パターニングされた膜に対し、例えば流水洗浄によるリンス処理を行ってもよい。
<第2露光工程>
さらに、必要な場合には、除去工程後に残った塗膜の全面を露光する。これにより、上述の可視光領域に光学吸収を有する(c)成分が分解して、可視光領域における光学吸収が十分に小さい化合物が生成する。よって、最終生成物であるシリカ系被膜の透明性が向上する。露光には、第1露光工程と同様の放射線を用いることができる。露光量としては、(c)成分を完全に分解する必要があるため、通常100〜3000mJ/cm2、好ましくは200〜2000mJ/cm2である。
さらに、必要な場合には、除去工程後に残った塗膜の全面を露光する。これにより、上述の可視光領域に光学吸収を有する(c)成分が分解して、可視光領域における光学吸収が十分に小さい化合物が生成する。よって、最終生成物であるシリカ系被膜の透明性が向上する。露光には、第1露光工程と同様の放射線を用いることができる。露光量としては、(c)成分を完全に分解する必要があるため、通常100〜3000mJ/cm2、好ましくは200〜2000mJ/cm2である。
<加熱工程>
最後に、除去工程後に残った塗膜を加熱して最終硬化を行う。この加熱工程により、最終生成物であるシリカ系被膜が得られる。第1の加熱工程において、塗膜の加熱は、300℃未満、すなわち(c)成分であるナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの着色温度よりも低い温度で行う。加熱温度は、100℃以上300℃未満であることが好ましく、200℃以上300℃未満であることがより好ましい。これによって感光性樹脂組成物膜硬化後の透明性を向上することができる。
最後に、除去工程後に残った塗膜を加熱して最終硬化を行う。この加熱工程により、最終生成物であるシリカ系被膜が得られる。第1の加熱工程において、塗膜の加熱は、300℃未満、すなわち(c)成分であるナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの着色温度よりも低い温度で行う。加熱温度は、100℃以上300℃未満であることが好ましく、200℃以上300℃未満であることがより好ましい。これによって感光性樹脂組成物膜硬化後の透明性を向上することができる。
また、第1の加熱工程の後、第1の加熱工程での加熱温度よりも高い温度で塗膜を加熱硬化する第2の加熱工程を行うことが好ましい。第2の加熱工程は、加熱温度を変えて2回以上行っても良い。このように、塗膜の加熱硬化は多段階で行うことができる。
第2の加熱工程では、加熱温度は、下限としては、十分に塗膜を硬化させる観点から、250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。これは第1の加熱工程の加熱温度が250℃未満の場合、十分に塗膜が硬化されない傾向にあり、第2の加熱工程で十分に硬化する必要があるためである。一方、加熱温度の上限としては、金属配線層がある場合に、入熱量が増大して配線金属の劣化が生じることを抑制する観点から、500℃以下であることが好ましく、450℃以下であることがより好ましく、400℃以下であることが特に好ましい。第1の加熱工程を300℃未満、すなわち(c)成分であるナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの着色温度よりも低い温度で行うことで、第2の加熱工程における加熱温度が300℃以上であっても感光性樹脂組成物膜の透明性を向上することができる。
第2の加熱工程では、加熱温度は、下限としては、十分に塗膜を硬化させる観点から、250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。これは第1の加熱工程の加熱温度が250℃未満の場合、十分に塗膜が硬化されない傾向にあり、第2の加熱工程で十分に硬化する必要があるためである。一方、加熱温度の上限としては、金属配線層がある場合に、入熱量が増大して配線金属の劣化が生じることを抑制する観点から、500℃以下であることが好ましく、450℃以下であることがより好ましく、400℃以下であることが特に好ましい。第1の加熱工程を300℃未満、すなわち(c)成分であるナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの着色温度よりも低い温度で行うことで、第2の加熱工程における加熱温度が300℃以上であっても感光性樹脂組成物膜の透明性を向上することができる。
なお、第1及び第2の加熱工程は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下で行うのが好ましく、この場合、酸素濃度が1000ppm以下であると好ましい。また、第1の加熱工程の加熱時間は2〜60分が好ましく、2〜30分であるとより好ましい。この加熱時間が2分以上であれば、十分に塗膜が硬化される傾向にあり、60分以下であれば、入熱量の過度な増大による配線金属の劣化が生じにくくなる傾向にある。第2の加熱工程の加熱時間は2〜30分が好ましく、2〜10分であるとより好ましい。この加熱時間が2分以上であれば、さらに塗膜の硬化が促進される傾向にあり、30分以下であれば、配線金属の劣化が生じにくくなる傾向にある。また、第1及び第2の加熱工程の合計の加熱時間は4〜120分が好ましく、5〜60分であるとより好ましい。この加熱時間が4分以上であれば、高い透過率を保持しながら十分に塗膜の硬化を促進できる傾向にあり、60分以下であれば、配線金属の劣化が生じにくくなる傾向にある。
さらに、加熱のための装置としては、石英チューブ炉その他の炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール(RTA)等の加熱処理装置又はEB、UVを併用した加熱処理装置を用いることが好ましい。
上述の工程を経て形成されたシリカ系被膜は、例えば最終温度350℃で加熱処理を行っても十分な高い耐熱性、高い透明性を有するとともに、耐溶剤性に優れる。なお、従来知られているノボラック樹脂等のフェノール系樹脂及びキノンジアジド系感光剤を含有する組成物、あるいはアクリル系樹脂及びキノンジアジド系感光剤材料を含有する組成物から形成される被膜は、一般的に230℃程度が耐熱温度の上限であり、この温度を超えて加熱処理を行うと黄色や褐色に着色し、透明性が著しく低下する。
上述の工程を経て形成されたシリカ系被膜は、液晶表示素子、プラズマディスプレイ、有機EL、フィールドエミッションディスプレイ等の平面表示装置の層間絶縁膜として好適に使用できる。また、かかるシリカ系被膜は、半導体素子などの層間絶縁膜としても好適に使用できる。さらに、かかるシリカ系被膜は、半導体素子のウエハコート材料(表面保護膜、バンプ保護膜、MCM(multi−chip module)層間保護膜、ジャンクションコート)、パッケージ材(封止材、ダイボンディング材)等の電子デバイス用部材としても好適に使用することができる。
上述のシリカ系被膜を備える本発明の電子部品の具体例としては、図1に示すメモリセルキャパシタが挙げられ、上述のシリカ系被膜を備える本発明の平面表示装置の具体例としては、図2及び3に示すアクティブマトリクス基板を有する平面表示装置が挙げられる。
図1は、本発明の電子部品の一実施形態としてのメモリセルキャパシタを示す模式断面図である。図1に示すメモリキャパシタ10は、その表面に拡散領域1A及び1Bが形成されたシリコンウェハ1(基板)と、シリコンウェハ1上の拡散領域1A及び1Bの間の位置に設けられたゲート絶縁膜2Bと、ゲート絶縁膜2B上に設けられたゲート電極3と、ゲート電極3の上方に設けられた対向電極8Cと、ゲート電極3と対向電極8Cとの間にシリコンウェハ1側から順に積層された層間絶縁膜5及び7(絶縁被膜)とを有する。
拡散領域1A上にはゲート絶縁膜2B及びゲート電極3の側壁と接する側壁酸化膜4Aが形成されている。拡散領域1B上にはゲート絶縁膜2B及びゲート電極3の側壁と接する側壁酸化膜4Bが形成されている。拡散領域1Bのゲート絶縁膜2Bとは反対側において、素子分離のためのフィールド酸化膜2Aがシリコンウェハ1と層間絶縁膜5の間に形成されている。
層間絶縁膜5は、ゲート電極3、シリコンウェハ1及びフィールド酸化膜2Aを覆って形成されている。層間絶縁膜5のシリコンウェハ1とは反対側の面は平坦化されている。層間絶縁膜5は拡散領域1A上に位置する側壁を有しており、この側壁と拡散領域1Aを覆うとともに、層間絶縁膜5のシリコンウェハ1とは反対側の面の一部を覆うように延在するビット線6が形成されている。層間絶縁膜5上に設けられた層間絶縁膜7はビット線6を覆うように延びて形成されている。層間絶縁膜5及び層間絶縁膜7によって、ビット線6が埋め込まれたコンタクトホール5Aが形成されている。
層間絶縁膜7のシリコンウェハ1とは反対側の面も平坦化されている。拡散領域1B上の位置において層間絶縁膜5及び層間絶縁膜7を貫通するコンタクトホール7Aが形成されている。コンタクトホール7A内には蓄積電極7Aが埋め込まれ、蓄積電極7Aはさらに、層間絶縁膜7のシリコンウェハ1とは反対側の面のうちコンタクトホール7A周囲の部分を覆うように延在している。対向電極8Cは蓄積電極8A及び層間絶縁膜7を覆って形成されており、対向電極8Cと蓄電電極8Aの間にはキャパシタ絶縁膜8Bが介在している。
層間絶縁膜5及び7は、上述の感光性樹脂組成物から形成されたシリカ系被膜である。層間絶縁膜5及び7は、例えば、感光性樹脂組成物をスピンコート法により塗布する工程を経て形成される。層間絶縁膜5及び7は同一の組成を有していても異なる組成を有していてもよい。
図2は、本発明の平面表示装置の一実施形態におけるアクティブマトリクス基板の1画素部分の構成を示す平面図である。図2において、アクティブマトリクス基板20には、複数の画素電極21がマトリクス状に設けられており、これらの画素電極21の周囲を通り、互いに直交するように、走査信号を供給するための各ゲート配線22と表示信号を供給するためのソース配線23が設けられている。これらのゲート配線22とソース配線23はその一部が画素電極21の外周部分とオーバーラップしている。また、これらのゲート配線22とソース配線23の交差部分において、画素電極21に接続されるスイッチング素子としてのTFT24が設けられている。このTFT24のゲート電極32にはゲート配線22が接続され、ゲート電極に入力される信号によってTFT24が駆動制御される。また、TFT24のソース電極にはソース配線23が接続され、TFT24のソース電極にデータ信号が入力される。さらに、TFT24のドレイン電極は、接続電極25さらにコンタクトホール26を介して画素電極21と接続されるとともに、接続電極25を介して付加容量の一方の電極である付加容量電極(図示せず)と接続されている。この付加容量の他方の電極である付加容量対向電極27は共通配線に接続されている。
図3は、図2のアクティブマトリクス基板におけるIII−III’断面図である。図3において、透明絶縁性基板31上に、ゲート配線22に接続されたゲート電極32が設けられ、その上を覆ってゲート絶縁膜33が設けられている。その上にはゲート電極32と重畳するように半導体層34が設けられ、その中央部上にチャネル保護層35が設けられている。このチャネル保護層35の両端部および半導体層34の一部を覆い、チャネル保護層35上で分断された状態で、ソース電極36aおよびドレイン電極36bとなるn+Si層が設けられている。一方のn+Si層であるソース電極36aの端部上には、透明導電膜37aと金属層38aとが設けられて2層構造のソース配線23となっている。
また、他方のn+Si層であるドレイン電極36bの端部上には、透明導電膜37bと金属層38bとが設けられ、透明導電膜37bは延長されて、ドレイン電極36bと画素電極21とを接続するとともに付加容量の一方の電極である付加容量電極(図示せず)に接続される接続電極25となっている。さらに、TFT24、ゲート配線22およびソース配線23、接続電極25の上部を覆うように層間絶縁膜39が設けられている。この層間絶縁膜39上には、画素電極21となる透明導電膜が設けられ、層間絶縁膜39を貫くコンタクトホール26を介して、接続電極25によりTFT24のドレイン電極36bと接続されている。
また、他方のn+Si層であるドレイン電極36bの端部上には、透明導電膜37bと金属層38bとが設けられ、透明導電膜37bは延長されて、ドレイン電極36bと画素電極21とを接続するとともに付加容量の一方の電極である付加容量電極(図示せず)に接続される接続電極25となっている。さらに、TFT24、ゲート配線22およびソース配線23、接続電極25の上部を覆うように層間絶縁膜39が設けられている。この層間絶縁膜39上には、画素電極21となる透明導電膜が設けられ、層間絶縁膜39を貫くコンタクトホール26を介して、接続電極25によりTFT24のドレイン電極36bと接続されている。
本実施形態のアクティブマトリクス基板は以上のように構成され、このアクティブマトリクス基板は、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、ガラス基板などの透明絶縁性基板31上に、ゲート電極32、ゲート絶縁膜33、半導体層34、チャネル保護層35、ソース電極36aおよびドレイン電極36bとなるn+Si層を順次成膜して形成する。ここまでの作製プロセスは、従来のアクティブマトリクス基板の製造方法と同様にして行うことができる。
次に、ソース配線23および接続電極25を構成する透明導電膜37a、37bおよび金属層38a、38bを、スパッタ法により順次成膜して所定形状にパターニングする。
さらに、その上に、層間絶縁膜39となる上述の感光性樹脂組成物をスピンコート法により例えば2μmの膜厚で形成する。形成された塗膜に対して、マスクを介して露光し、アルカリ性の溶液によって現像処理することにより、層間絶縁膜39が形成される。この際、露光された部分のみがアルカリ性の溶液によってエッチングされ、層間絶縁膜39を貫通するコンタクトホール26が形成されることになる。
その後、画素電極21となる透明導電膜をスパッタ法により形成し、パターニングする。これにより画素電極21は、層間絶縁膜39を貫くコンタクトホール26を介して、TFT24のドレイン電極36bと接続されている透明導電膜38bと接続されることになる。このようにして、上述のアクティブマトリクス基板を製造することができる。
したがって、このようにして得られたアクティブマトリクス基板は、ゲート配線22、ソース配線23およびTFT24と、画素電極21との間に厚い膜厚の層間絶縁膜39が形成されているので、各配線22、23およびTFT24に対して画素電極21をオーバーラップさせることができるとともにその表面を平坦化させることができる。このため、アクティブマトリクス基板と対向基板の間に液晶を介在させた平面表示装置の構成とした時に、開口率を向上させることができると共に、各配線22、23に起因する電界を画素電極21でシールドしてディスクリネーションを抑制することができる。
また、層間絶縁膜39となる、上述の感光性樹脂組成物は、比誘電率の値が3.0から3.8と無機膜(窒化シリコンの比誘電率8)の比誘電率に比べて低く、また、その透明度も高くスピン塗布法により容易に厚い膜厚にすることができる。このため、ゲート配線22と画素電極21との間の容量および、ソース配線23と画素電極21との間の容量を低くすることができて時定数が低くなり、各配線22、23と画素電極21との間の容量成分が表示に与えるクロストークなどの影響をより低減することができて良好で明るい表示を得ることができる。また、露光およびアルカリ現像によってパターニングを行うことにより、コンタクトホール26のテーパ形状を良好にすることができ、画素電極21と接続電極37bとの接続を良好にすることができる。さらに、上述の感光性樹脂組成物を用いることにより、スピンコート法を用いて薄膜が形成できるので、数μmという膜厚の薄膜を容易に形成でき、さらに、パターニングにフォトレジスト工程も不要であるので、生産性の点で有利である。ここで、層間絶縁膜39として用いた上述の感光性樹脂組成物は、塗布前に着色しているものであるが、パターニング後に全面露光処理を施してより透明化することができる。このように、樹脂の透明化処理は、光学的に行うことができるだけではなくて、化学的にも行うことが可能である。
本実施形態で層間絶縁膜39として用いた、上述の感光性樹脂組成物の露光には、i線(波長365nm)、h線(波長405nm)及びg線(波長436nm)の輝線を含む水銀灯の光線を用いるのが一般的である。感光性樹脂組成物としては、これらの輝線のなかで最もエネルギーの高い(波長の最も短い)i線に感放射線性(吸収ピーク)を有する感光性樹脂組成物を用いることが好ましい。コンタクトホールの加工精度を高くするとともに、感光剤に起因する着色を最小限に抑制することができる。また、エキシマレーザーからの短波長の紫外線を用いてもよい。
以下、本発明に係る具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(3−アセトキシプロピルトリメトキシシランの合成)
撹拌機、環流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、トルエン500g、3−クロロプロピルトリメトキシラン250.0g(1.258モル)と酢酸カリウム129.6g(1.321モル)を加えて撹拌し、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド5.84g(0.0181モル)を加えて90〜100℃で2時間反応させた。次に、冷却後生成した塩を吸引ろ過し黄色溶液を得た。得られた溶液中のトルエンをエバポレータで減圧留去し、さらに減圧蒸留を行い0.4kPaの減圧度で留出温度80〜81℃の無色透明の留分を162.8g(0.732モル)得た。得られた留分のGC分析の結果、GC純度99.0%であり、NMRとIR分析の結果、3−アセトキシプロピルトリメトキシシランであった。
撹拌機、環流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、トルエン500g、3−クロロプロピルトリメトキシラン250.0g(1.258モル)と酢酸カリウム129.6g(1.321モル)を加えて撹拌し、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド5.84g(0.0181モル)を加えて90〜100℃で2時間反応させた。次に、冷却後生成した塩を吸引ろ過し黄色溶液を得た。得られた溶液中のトルエンをエバポレータで減圧留去し、さらに減圧蒸留を行い0.4kPaの減圧度で留出温度80〜81℃の無色透明の留分を162.8g(0.732モル)得た。得られた留分のGC分析の結果、GC純度99.0%であり、NMRとIR分析の結果、3−アセトキシプロピルトリメトキシシランであった。
得られた化合物のスペクトルデータを下記に示す。
赤外線吸収スペクトル(IR)データ:
2841,2945cm-1 (-CH3)、1740cm-1(-COO-)、1086cm-1 (Si-O)
核磁気共鳴スペクトル(NMR)データ(1H-NMR溶媒:CDCl3):
0.644-0.686ppm (dd, 2H, -CH2-),1.703-1.779ppm(m, 2H, -CH2-),2.045ppm(s,3H, CH3CO-),3.575ppm(s, 9H, CH3O-),4.019-4.052ppm(t, 2H,-COO-CH2-).
赤外線吸収スペクトル(IR)データ:
2841,2945cm-1 (-CH3)、1740cm-1(-COO-)、1086cm-1 (Si-O)
核磁気共鳴スペクトル(NMR)データ(1H-NMR溶媒:CDCl3):
0.644-0.686ppm (dd, 2H, -CH2-),1.703-1.779ppm(m, 2H, -CH2-),2.045ppm(s,3H, CH3CO-),3.575ppm(s, 9H, CH3O-),4.019-4.052ppm(t, 2H,-COO-CH2-).
(シロキサン樹脂の作製)
(1)シロキサン樹脂A(下記式(10)で表される化合物;上記(a)成分に相当)の合成;
(1)シロキサン樹脂A(下記式(10)で表される化合物;上記(a)成分に相当)の合成;
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた500mLの4つ口フラスコに、トルエン55.8g及び水35.7gを仕込み、35%塩酸3.12g(0.03モル)を加えた。次に、上記3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン13.5g(0.0605モル)、フェニルトリメトキシシラン30.0g(0.151モル)及びメチルトリメトキシシラン12.4g(0.0908モル)をトルエン27.9gに溶解させた溶液を20〜30℃で滴下した。滴下終了後、同温度で2時間熟成させた。このときの反応溶液をGC(ガスクロマトグラフィー)で分析した結果、原料は残っていないことが確認された。次に、反応溶液にトルエンと水を加えて生成物を有機相に抽出し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後に、水で溶液が中性になるまで洗浄した。その後、有機相を回収し、トルエンを除去して、粘性液体状の目的のシロキサン樹脂A34.6gを得た。さらに、得られたシロキサン樹脂Aをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させ、固形分濃度が50質量%になるように調製されたシロキサン樹脂Aの溶液を得た。また、GPC法によりシロキサン樹脂Aの重量平均分子量を測定すると1050であった。
(2)シロキサン樹脂A’(上記シロキサン樹脂Aを精製したもの)の作製;
上記シロキサン樹脂Aの溶液69.2g(固形分34.6g)とメチルイソブチルケトン69.2gとを300mLの分液漏斗に仕込み、溶液を均一にした後に、イオン交換水34.6gを加えて水洗を3回行った。水洗した後、水相のpHが7.0となり、有機相を回収して濃縮することで粘性液体状の目的のシロキサン樹脂A’66.3gを得た。さらに、得られたシロキサン樹脂A’をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させ、固形分濃度が50質量%になるように調製されたシロキサン樹脂A’の溶液を得た。
上記シロキサン樹脂Aの溶液69.2g(固形分34.6g)とメチルイソブチルケトン69.2gとを300mLの分液漏斗に仕込み、溶液を均一にした後に、イオン交換水34.6gを加えて水洗を3回行った。水洗した後、水相のpHが7.0となり、有機相を回収して濃縮することで粘性液体状の目的のシロキサン樹脂A’66.3gを得た。さらに、得られたシロキサン樹脂A’をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させ、固形分濃度が50質量%になるように調製されたシロキサン樹脂A’の溶液を得た。
(ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの合成)
(1)ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルA(上記(c)成分に相当)の合成; 撹拌機、環流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1000mLの4つ口フラスコ中で、乾燥窒素気流下、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製、トリスフェノールノボラック)21.23g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)とを1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温(25℃)にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を、系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下終了後、30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入した。その後、析出した沈殿物を濾過で集めた。この沈殿物を真空乾燥機で乾燥させ、固体物(ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルA)48.36gを得た。
(1)ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルA(上記(c)成分に相当)の合成; 撹拌機、環流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1000mLの4つ口フラスコ中で、乾燥窒素気流下、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製、トリスフェノールノボラック)21.23g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)とを1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温(25℃)にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を、系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下終了後、30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入した。その後、析出した沈殿物を濾過で集めた。この沈殿物を真空乾燥機で乾燥させ、固体物(ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルA)48.36gを得た。
(感光性樹脂組成物の調製)
シロキサン樹脂A’の溶液5.0g(固形分2.5g)に、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルA0.19gとプロピレングリコールメチルエーテルアセテート5.56gとをそれぞれ添加して、室温(25℃)で30分間攪拌溶解し、感光性樹脂組成物を調製した。
シロキサン樹脂A’の溶液5.0g(固形分2.5g)に、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルA0.19gとプロピレングリコールメチルエーテルアセテート5.56gとをそれぞれ添加して、室温(25℃)で30分間攪拌溶解し、感光性樹脂組成物を調製した。
<シリカ系被膜の製造>
上述のようにして得られた感光性樹脂組成物をPTFE製のフィルターでろ過した。これをシリコンウェハ又はガラス基板上に、溶媒除去した後の膜厚が1.5μmになるような回転数で30秒間スピンコートした。ここで使用したガラス基板は、可視光領域に吸収がないものを使用した。その後、ホットプレートを用いて90℃で2分間乾燥させ、溶媒を除去した。得られた塗膜に対し、所定のパターンマスクを介してCanon社製PLA−600F投影露光機を用い、露光量100mJ/cm2にて露光を行った。続いて、2.38質量%もしくは1.50質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて、25℃で、90秒間揺動浸漬法で露光部分を溶解させて現像処理を行った。これを純水で流水洗浄し、乾燥してパターンを形成した。次いで、Canon社製PLA−600F投影露光機を用い、露光量1000mJ/cm2で膜全体を全面露光した。次いで、O2濃度が1000ppm未満にコントロールされている石英チューブ炉にて次に記載するような条件でパターンを最終硬化し、シリカ系被膜を得た。
上述のようにして得られた感光性樹脂組成物をPTFE製のフィルターでろ過した。これをシリコンウェハ又はガラス基板上に、溶媒除去した後の膜厚が1.5μmになるような回転数で30秒間スピンコートした。ここで使用したガラス基板は、可視光領域に吸収がないものを使用した。その後、ホットプレートを用いて90℃で2分間乾燥させ、溶媒を除去した。得られた塗膜に対し、所定のパターンマスクを介してCanon社製PLA−600F投影露光機を用い、露光量100mJ/cm2にて露光を行った。続いて、2.38質量%もしくは1.50質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて、25℃で、90秒間揺動浸漬法で露光部分を溶解させて現像処理を行った。これを純水で流水洗浄し、乾燥してパターンを形成した。次いで、Canon社製PLA−600F投影露光機を用い、露光量1000mJ/cm2で膜全体を全面露光した。次いで、O2濃度が1000ppm未満にコントロールされている石英チューブ炉にて次に記載するような条件でパターンを最終硬化し、シリカ系被膜を得た。
(実施例1)
上記パターンを、250℃で30分間加熱硬化した。
上記パターンを、250℃で30分間加熱硬化した。
(実施例2)
上記パターンを、250℃で30分間加熱硬化した後に300℃で10分間更に硬化させた。
上記パターンを、250℃で30分間加熱硬化した後に300℃で10分間更に硬化させた。
(実施例3)
上記パターンを、250℃で30分間加熱硬化した後に320℃で10分間更に硬化させた。
上記パターンを、250℃で30分間加熱硬化した後に320℃で10分間更に硬化させた。
(比較例1)
上記パターンを、320℃で30分間加熱硬化した。
上記パターンを、320℃で30分間加熱硬化した。
(比較例2)
上記パターンを、350℃で30分間加熱硬化した。
上記パターンを、350℃で30分間加熱硬化した。
<被膜評価>
上述の方法により形成された、実施例1〜3及び比較例1〜2のシリカ系被膜に対して、以下の方法で膜評価を行った。
上述の方法により形成された、実施例1〜3及び比較例1〜2のシリカ系被膜に対して、以下の方法で膜評価を行った。
[解像性の評価]
解像性の評価は、シリコンウェハ上に形成されたシリカ系被膜について、5μm角のスルーホールパターンが形成されているかどうかで評価した。すなわち、電子顕微鏡S−4200((株)日立計測器サービス社製)を用いて観察し、5μm角のスルーホールパターンがきれいに形成されている場合はA、スルーホール内部に樹脂残りがある等のスルーホールパターンがきれいに形成されていない場合をBと評価した。
解像性の評価は、シリコンウェハ上に形成されたシリカ系被膜について、5μm角のスルーホールパターンが形成されているかどうかで評価した。すなわち、電子顕微鏡S−4200((株)日立計測器サービス社製)を用いて観察し、5μm角のスルーホールパターンがきれいに形成されている場合はA、スルーホール内部に樹脂残りがある等のスルーホールパターンがきれいに形成されていない場合をBと評価した。
[透過率の測定]
ガラス基板上に塗布されたシリカ系被膜について、日立社製UV3310装置によって波長300nm〜800nmの透過率を測定し、波長400nmの値を透過率とした。
ガラス基板上に塗布されたシリカ系被膜について、日立社製UV3310装置によって波長300nm〜800nmの透過率を測定し、波長400nmの値を透過率とした。
<評価結果>
実施例1〜3及び比較例1〜2のシリカ系被膜の評価結果を下記の表1に示した。
実施例1〜3及び比較例1〜2のシリカ系被膜の評価結果を下記の表1に示した。
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜3のシリカ系被膜の形成方法によれば、解像性、透過率に優れたシリカ系被膜を得ることができることが確認された。
1…シリコンウェハ、1A,1B…拡散領域、2A…フィールド酸化膜、2B…ゲート絶縁膜、3…ゲート電極、4A,4B…側壁酸化膜、5,7…層間絶縁膜、5A、7A…コンタクトホール、6…ビット線、8A…蓄積電極、8B…キャパシタ絶縁膜、8C…対向電極、10…メモリセルキャパシタ、21…画素電極、22…ゲート配線、23…ソース配線、24…TFT、25…接続電極、26…コンタクトホール、31…透明絶縁性基板、32…ゲート電極、36a…ソース電極、36b…ドレイン電極、37a,37b…透明導電膜、38a、38b…金属層、39…層間絶縁膜。
Claims (11)
- 前記加熱工程後の前記塗膜を、前記加熱工程における加熱温度よりも高い温度で加熱硬化する第2の加熱工程をさらに有する、請求項1記載のシリカ系被膜の形成方法。
- 前記(c)成分が、フェノール類又は1つ以上のアリール基を有するアルコール類とナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステルを含む、請求項1又は2記載のシリカ系被膜の形成方法。
- 前記(b)成分が、エーテルアセテート系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種の溶媒を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリカ系被膜の形成方法。
- 前記加熱工程の前に、
前記感光性樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥して塗膜を得る塗布工程と、
前記塗膜の所定部分を露光する第1露光工程と、
前記塗膜の露光された前記所定部分を除去する除去工程と、
を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシリカ系被膜の形成方法。 - 前記加熱工程の前に、
前記感光性樹脂組成物を基板上に塗布し乾燥して塗膜を得る塗布工程と、
前記塗膜の所定部分を露光する第1露光工程と、
前記塗膜の露光された前記所定部分を除去する除去工程と、
前記所定部分が除去された塗膜を露光する第2露光工程と、
を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシリカ系被膜の形成方法。 - 基板と、該基板上に請求項1〜8のいずれか一項に記載の成方法により形成されたシリカ系被膜と、を備える半導体装置。
- 基板と、該基板上に請求項1〜8のいずれか一項に記載の形成方法により形成されたシリカ系被膜と、を備える平面表示装置。
- 基板と、該基板上に請求項1〜8のいずれか一項に記載の形成方法により形成されたシリカ系被膜と、を備える電子デバイス用部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009112735A JP2010262132A (ja) | 2009-05-07 | 2009-05-07 | シリカ系被膜の形成方法、並びにシリカ系被膜を備える装置及び部材 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020154276A (ja) * | 2019-03-15 | 2020-09-24 | メルク、パテント、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツングMerck Patent GmbH | ポジ型感光性ポリシロキサン組成物 |
CN113549398A (zh) * | 2020-04-23 | 2021-10-26 | 信越化学工业株式会社 | 高硬度覆膜形成用涂布剂组合物 |
-
2009
- 2009-05-07 JP JP2009112735A patent/JP2010262132A/ja active Pending
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CN113549398B (zh) * | 2020-04-23 | 2024-02-09 | 信越化学工业株式会社 | 高硬度覆膜形成用涂布剂组合物 |
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