JP2009237531A - 感光性樹脂組成物の製造方法、シリカ系被膜の形成方法、並びにシリカ系被膜を備える装置及び部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】膜厚の減少及びクラックの発生を抑制しながら、パターニングされたシリカ系被膜を優れた解像性で比較的容易に形成することを可能にする感光性樹脂組成物を製造する方法の提供。
【解決手段】(a)成分:下記一般式(1)で表される1種以上のシラン化合物を加水分解縮合して得られる縮合体であるシロキサン樹脂と、(b)成分:前記シロキサン樹脂を溶解する溶媒と、(c)成分:ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとを含有する溶液を、30℃〜140℃に加熱する工程を備える、感光性樹脂組成物の製造方法。
R1 nSiX4−n(1)[式(1)中、nは0〜2の整数を示し、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基等を示し、Xは加水分解性基を示す。]
【選択図】なし
【解決手段】(a)成分:下記一般式(1)で表される1種以上のシラン化合物を加水分解縮合して得られる縮合体であるシロキサン樹脂と、(b)成分:前記シロキサン樹脂を溶解する溶媒と、(c)成分:ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとを含有する溶液を、30℃〜140℃に加熱する工程を備える、感光性樹脂組成物の製造方法。
R1 nSiX4−n(1)[式(1)中、nは0〜2の整数を示し、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基等を示し、Xは加水分解性基を示す。]
【選択図】なし
Description
本発明は、感光性樹脂組成物の製造方法、シリカ系被膜の形成方法、並びに、当該方法により形成することのできるシリカ系被膜を備える半導体装置、平面表示装置及び電子デバイス用部材に関する。
液晶表示装置等の平面表示装置や半導体装置の多くは層間絶縁膜を有している。一般に層間絶縁膜は、気相からの堆積又は塗布により形成した絶縁膜を、フォトレジストをマスクとして用いたエッチングによりパターニングする方法により形成される。微細なパターンを形成する場合には、通常気相エッチングが用いられている。しかしながら、気相エッチングは装置のコストが高く、かつ処理速度が遅いという問題がある。
そこで、コスト低減を目的として、層間絶縁膜用感光性材料の開発が行われるようになった。特に、液晶表示装置においては、画素電極とゲート/ドレイン配線との間の絶縁及びデバイス平坦化のために用いられる層間絶縁膜にコンタクトホールを形成する必要があるため、ポジ型の感光特性を有する層間絶縁膜用感光性材料が求められている。さらに、液晶表示装置の層間絶縁膜は、透明性を有することも求められる。また、層間絶縁膜として残留させるパターニングされた膜は、誘電率が小さいことが望まれる。
これらの要請に応えるために、例えば、特許文献1及び2に開示の層間絶縁膜の形成方法が提案されている。特許文献1には、ポリシラザンと光酸発生剤とを含む感光性ポリシラザン組成物の塗膜を形成する工程と、上記塗膜に光をパターン状に照射する工程と、上記塗膜の照射された部分を溶解除去する工程とを含んでなる、層間絶縁膜の形成方法が開示されている。また、特許文献2には、シロキサン樹脂と、放射線の照射を受けて酸又は塩基を発生する化合物とを含む組成物から形成された層間絶縁膜が開示されている。
特開2000−181069号公報
特開2004−107562号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の膜を層間絶縁膜として用いる場合には、ポリシラザンを加水分解して、ポリシラザン構造をポリシロキサンに転化させる必要がある。この際、膜中の水分が不足すると加水分解が十分に進行しないという問題がある。さらに、ポリシラザンの加水分解においては、揮発性が高いアンモニアが発生することから、製造装置の腐食等が問題となる。
特許文献2記載のシロキサン樹脂と、放射線の照射を受けて酸又は塩基を発生する化合物とを含む組成物は、層間絶縁膜を形成する際に膜厚減少が大きくなったり、クラックが多く発生したりする場合がある。また、解像性が必ずしも十分でないという問題もある。
そこで本発明は、膜厚の減少及びクラックの発生を抑制しながら、パターニングされたシリカ系被膜を優れた解像性で比較的容易に形成することを可能にする感光性樹脂組成物を製造する方法を提供することを主な目的とする。
一つの側面において、本発明は感光性樹脂組成物の製造方法に関する。本発明に係る製造方法は、(a)成分:下記一般式(1)で表される1種以上のシラン化合物を加水分解縮合して得られる縮合体であるシロキサン樹脂と、(b)成分:シロキサン樹脂を溶解する溶媒と、(c)成分:ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとを含有する溶液を、30℃〜140℃で加熱する工程を備える。
R1 nSiX4−n (1)
R1 nSiX4−n (1)
式(1)中、nは0〜2の整数を示し、R1はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子及びTi原子から選ばれる少なくとも1種であって式(1)中のSi原子に直接結合する原子を含み置換基を有していてもよい基、H原子、F原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、nが2であるとき同一分子内の複数のR1は同一でも異なっていてもよく、Xは、加水分解性基を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよい。
上記本発明に係る製造方法よれば、膜厚の減少及びクラックの発生を抑制しながら、パターニングされたシリカ系被膜を優れた解像性で比較的容易に形成することが可能な感光性樹脂組成物を製造することができる。
当該感光性樹脂組成物を基板に塗布して形成された塗膜を110℃に加熱して溶媒を除去することにより形成される感光性樹脂被膜の2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する未露光部の溶解速度は、1.0nm/秒未満であることが好ましい。
110℃の加熱により形成される感光性樹脂被膜の未露光部の溶解速度が1.0nm/秒未満であることにより、露光部と未露光部とのコントラストがより明確になる。
(a)成分のシロキサン樹脂は、下記一般式(2)で表される化合物を含む1種以上のシラン化合物を加水分解縮合して得られる縮合体を含むことが好ましい。式(2)中、R2は有機基を示し、Aは2価の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよい。
(b)成分は、エーテルアセテート系溶媒、エーテル系溶媒、アセテート系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒であることが好ましい。
(c)成分は、1価又は多価アルコールとナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステルであることが好ましい。
別の側面において、本発明はシリカ系被膜の形成方法に関する。本発明に係る形成方法は、上記本発明に係る製造方法により得ることのできる感光性樹脂組成物を基板に塗布して形成された塗膜から溶媒を除去して感光性樹脂被膜を形成する工程と、感光性樹脂被膜の所定部分を露光する工程と、感光性樹脂被膜の露光された所定部分を除去して感光性樹脂被膜をパターニングする工程と、パターニングされた感光性樹脂被膜を加熱してシリカ系被膜を形成する工程とを備える。
上記方法によれば、膜厚の減少及びクラックの発生を抑制しながら、パターニングされたシリカ系被膜を優れた解像性で比較的容易に形成することが可能である。
本発明に係るシリカ系被膜の形成方法は、パターニングされた塗膜を露光する工程を更に備えていてもよい。
更に別の側面において、本発明はシリカ系被膜を備える半導体装置、平面表示装置及び電子デバイス用部材に関する。本発明に係る半導体装置、平面表示装置及び電子デバイス用部材は、それぞれ、基板と、該基板上に設けられた、上記本発明に係るシリカ系被膜の形成方法により形成することのできるシリカ系被膜とを備える。
本発明によれば、膜厚の減少及びクラックの発生を抑制しながら、パターニングされたシリカ系被膜を優れた解像性で比較的容易に形成することを可能にする感光性樹脂組成物を製造する方法が提供される。本発明に係る製造方法によって得ることのできる感光性樹脂組成物を用いることにより、溶媒を除去する際の温度が比較的低い場合であっても、未露光部の被膜のアルカリ現像液への溶解性を十分に小さくすることができる。
本発明に係る方法によって形成することにできるシリカ系被膜は、絶縁特性、低誘電性及び場合により透明性の点でも優れる。更に、シリカ系被膜の厚膜化も容易である。本発明に係る製造方法によって得ることのできる感光性樹脂組成物によって形成されるシリカ系被膜は、半導体装置、平面表示装置及び電子デバイス用部材の層間絶縁膜として好適に用いることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という。)により測定され、かつ標準ポリスチレンの検量線を使用して換算された値を意味する。重量平均分子量(Mw)は、例えば、以下の条件のGPCによって測定することができる。
(GPC条件)
試料: 10μL
標準ポリスチレン: 東ソー株式会社製標準ポリスチレン(分子量;190000、17900、9100、2980、578、474、370、266)
検出器: 株式会社日立製作所社製RI−モニター、商品名「L−3000」
インテグレーター: 株式会社日立製作所社製GPCインテグレーター、商品名「D−2200」
ポンプ: 株式会社日立製作所社製、商品名「L−6000」
デガス装置: 昭和電工株式会社製、商品名「Shodex DEGAS」
カラム: 日立化成工業株式会社製、商品名「GL−R440」、「GL−R430」、「GL−R420」をこの順番で連結して使用
溶離液: テトラヒドロフラン(THF)
測定温度: 23℃
流速: 1.75mL/分
測定時間: 45分
(GPC条件)
試料: 10μL
標準ポリスチレン: 東ソー株式会社製標準ポリスチレン(分子量;190000、17900、9100、2980、578、474、370、266)
検出器: 株式会社日立製作所社製RI−モニター、商品名「L−3000」
インテグレーター: 株式会社日立製作所社製GPCインテグレーター、商品名「D−2200」
ポンプ: 株式会社日立製作所社製、商品名「L−6000」
デガス装置: 昭和電工株式会社製、商品名「Shodex DEGAS」
カラム: 日立化成工業株式会社製、商品名「GL−R440」、「GL−R430」、「GL−R420」をこの順番で連結して使用
溶離液: テトラヒドロフラン(THF)
測定温度: 23℃
流速: 1.75mL/分
測定時間: 45分
(感光性樹脂組成物の製造方法)
本実施形態に係る感光性樹脂組成物の製造方法は、(a)成分:シロキサン樹脂、(b)成分:溶媒及び(c)成分:ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルを含有する溶液を30〜140℃に加熱する工程を備える。係る方法により、シロキサン樹脂及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルから構成される感光性成分の溶液として感光性樹脂組成物を得ることができる。該溶液から溶媒を除去することにより、固形の感光性成分から構成される感光性樹脂被膜を形成することができる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物の製造方法は、(a)成分:シロキサン樹脂、(b)成分:溶媒及び(c)成分:ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルを含有する溶液を30〜140℃に加熱する工程を備える。係る方法により、シロキサン樹脂及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルから構成される感光性成分の溶液として感光性樹脂組成物を得ることができる。該溶液から溶媒を除去することにより、固形の感光性成分から構成される感光性樹脂被膜を形成することができる。
上記感光性樹脂組成物は、シロキサン樹脂を用いているため、特許文献1に記載の方法では必須のポリシラザン構造をポリシロキサン構造に転化させる工程を省略することができる。そのため、比較的容易にシリカ系被膜を形成することができる。
上記感光性樹脂組成物を30℃〜140℃で加熱することにより、当該感光性樹脂組成物から溶媒を除去して形成される塗膜を、未露光部と露光部とでアルカリ水溶液への溶解速度差が大きいものとすることができる。また、係る感光性樹脂組成物を用いて高い解像性で耐熱性に優れたシリカ系被膜を形成することができる。係る効果を得ることができる理由は必ずしも明らかでないが、本発明者らは次のように考えている。
感光性樹脂組成物が(a)成分として耐熱性に優れるシロキサン樹脂を含有しているため、形成されるシリカ系被膜の耐熱性が優れると考えられる。また、シラン化合物の加水分解縮合により得られるシロキサン樹脂は、加水分解したシラノール基の作用に起因してアルカリ水溶液への高い溶解性を有する。
パターニングされたシリカ系被膜を形成するためには、被膜の未露光部と露光部とのアルカリ水溶液に対する溶解度の差が大きいことが必要であり、その差が大きいほど解像性が優れたものとなる。感光性樹脂組成物を溶液の状態で加熱することにより、シロキサン樹脂中のシラノール基と感光剤のナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物との相互作用が促進されるため、未露光部のアルカリ水溶液性が著しく低下する。これはアルカリ水溶液に溶解するシラノール基がナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物に保護されるためにアルカリ水溶液の溶解性が低下するためであると考えられる。一方、露光部は、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物の光反応によって、現像時にアルカリ水溶液に容易に溶解する。その結果、未露光部と露光部とのアルカリ水溶液に対する溶解度の差が大きくなり解像性が向上すると考えられる。そして、上述した効果が有効に発現し、解像性及び耐熱性に特に優れたシリカ系被膜を形成することができる。
感光性樹脂組成物の加熱は、シロキサン樹脂、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル及び溶媒を含有する混合溶液を加熱する方法によって行うことができる。
混合溶液は、例えば、シロキサン樹脂を(b)成分としての溶媒に室温で溶解し、そこにナフトキノンジアジドスルホン酸エステルを添加してこれを溶解する方法で調製される。ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルを添加する方法は特に限定されず、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルを直接添加してもよいし、予め(b)成分の溶媒に溶解した溶液の状態で添加してもよい。ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルを添加した後の溶液は、赤色の透明液体である。
得られた混合溶液を必要により攪拌しながら30℃〜140℃に加熱する。30〜140℃の範囲で感光性樹脂組成物を加熱することにより、未露光部のアルカリ水溶液に対する溶解性が十分に小さくなり、また、加熱によるナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの分解が抑制される。同様の観点から、加熱温度は50〜120℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。
加熱手段は特に限定されない。例えば、混合溶液をフラスコ中に入れて、温浴又はオイルバスで加熱する。加熱時間は好ましくは10分〜48時間である。
加熱温度と加熱時間は被膜の未露光部の溶解速度を考慮して決定することができる。例えば、(c)成分(感光剤)の種類によってはシロキサン樹脂との相互作用が小さく、未露光部の溶解速度が比較的大きい場合、50〜120℃で12時間〜48時間の加熱を行うことが好ましい。一方、感光剤のシロキサン樹脂との相互作用が大きい場合は、50〜120℃で10分〜12時間の加熱を行うことが好ましい。
例えば、100℃での加熱を行う場合、室温から5〜10℃/min程度の昇温速度で加熱し、100℃で10分〜48時間維持することで加熱工程を行うことができる。
加熱は窒素などの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。これにより感光剤の加熱による酸化分解を防止することができる。上記不活性ガスの導入方法としては、フラスコに不活性ガス導入管を付け、加熱処理容器内を不活性ガス雰囲気にする方法が用いられる。流量としては、加熱処理容器内の溶媒が容易に揮発しない程度の流量で十分であり、例えば、1mL/min〜1L/minの流量で導入することができる。
感光性樹脂組成物を基板に塗布して形成された塗膜を110℃に加熱して溶媒を除去することにより形成される感光性樹脂被膜の2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する未露光部の溶解速度は、好ましくは1.0nm/秒未満、より好ましくは0.5nm/秒以下である。
<(a)成分>
感光性樹脂組成物に含まれるシロキサン樹脂は、下記一般式(1)で表される1種以上のシラン化合物を加水分解縮合して得られる縮合体である。(a)成分のシロキサン樹脂は、モノマー単位の構成が異なる2種以上の縮合体から構成されていてもよい。
R1 nSiX4−n (1)
感光性樹脂組成物に含まれるシロキサン樹脂は、下記一般式(1)で表される1種以上のシラン化合物を加水分解縮合して得られる縮合体である。(a)成分のシロキサン樹脂は、モノマー単位の構成が異なる2種以上の縮合体から構成されていてもよい。
R1 nSiX4−n (1)
nは0〜2の整数を示す。R1はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子及びTi原子から選ばれる少なくとも1種であって式(1)中のSi原子に直接結合する原子を含み置換基を有していてもよい基、H原子、F原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示す。nが2であるとき同一分子内の複数のR1は同一でも異なっていてもよい。
R1で表される炭素数1〜20の炭化水素基は、例えば、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。これらの中で、R1は、F原子によって置換されていてもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、又はフェニル基であることが好ましい。
Xで表される加水分解性基は、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、アセトキシ基、イソシアネート基、又はヒドロキシル基である。これらの中では、組成物自体の液状安定性や塗布特性等の観点からアルコキシ基が好ましい。
加水分解性基Xがアルコキシ基である一般式(1)の化合物(アルコキシシラン)としては、例えば、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン及びジオルガノジアルコキシシランが挙げられる。
テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン及びテトラフェノキシシランが挙げられる。
トリアルコキシシランとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−iso−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−iso−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−iso−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−iso−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、iso−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−iso−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン及び3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
ジオルガノジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジ−iso−プロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジ−iso−プロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジフェノキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジフェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジフェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジフェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジフェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン及びメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシランが挙げられる。
R1として炭素数1〜20の炭化水素基は、加水分解性のシリル基で置換されていてもよい。すなわち、式(1)の化合物は、ビスシリルアルカン又はビスシリルベンゼンであってもよい。ビスシリルアルカン及びビスシリルベンゼンの具体例としては、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリエトキシシリル)プロパン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)プロパン、ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン及びビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼンが挙げられる。
Xがアルコキシ基であり、R1がSi原子を含む基である式(1)のシラン化合物としては、例えば、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサ−n−プロポキシジシラン及びヘキサ−iso−プロポキシジシラン等のヘキサアルコキシジシラン、1,2−ジメチルテトラメトキシジシラン、1,2−ジメチルテトラエトキシジシラン及び1,2−ジメチルテトラプロポキシジシラン等のジアルキルテトラアルコキシジシランが挙げられる。
これら一般式(1)で表されるシラン化合物は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて加水分解縮合される。
シロキサン樹脂の一部又は全部は、下記一般式(2)で表される化合物を含む1種以上のシラン化合物を加水分解縮合して得られる縮合体であってもよい。これにより、柔軟性が向上して、シリカ系被膜のクラック耐性が更に向上する。
式(2)中、R2は有機基を示し、Aは2価の有機基を示し、Xは加水分解性基を示す。同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよい。
式(2)の化合物を用いることによって、アシロキシ基を有するシロキサン樹脂が生成する。そのため、感光特性と絶縁被膜特性の双方の点でより優れた被膜を得ることができる。アシロキシ基はアルカリ水溶液に溶解しやすいことから、露光後の現像時に使用されるアルカリ水溶液に対して溶解性が増加し、未露光部と露光部とのコントラストが大きくなる。その結果、解像性が更に向上する。更には、式(2)の化合物に由来する構造は比較的柔軟であることから、加熱処理後の被膜中にクラックが入りにくくなる。すなわち、感光性樹脂組成物から形成されるシリカ系被膜のクラック耐性を向上させることができる。クラック耐性が大きいと厚膜化が容易になる。
式(2)のR2で示される有機基としては、例えば、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。これらの中で、直鎖状、分枝状又は環状の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基が好ましい。直鎖状の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基及びn−ペンチル基が挙げられる。分枝状の脂肪族炭化水素基の具体例としては、イソプロピル基及びイソブチル基が挙げられる。環状の脂肪族炭化水素基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチレン基、ノルボルニル基及びアダマンチル基が挙げられる。これらの中で、メチル基、エチル基及びプロピル基等の直鎖状の炭素数1〜5の炭化水素基が好ましく、原料入手容易性の観点からメチル基が特に好ましい。
式(2)中、Aで示される2価の有機基としては、例えば、2価の芳香族炭化水素基及び2価の脂肪族炭化水素基が挙げられる。これらの中で、原料入手容易性等の観点から、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状又は環状の2価の炭化水素基が好ましい。
炭素数1〜20の直鎖状の2価の炭化水素基の好ましい具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基及びペンチレン基が挙げられる。炭素数1〜20の分枝状の2価の炭化水素基の好ましい具体例としては、イソプロピレン基及びイソブチレン基が挙げられる。炭素数1〜20の環状の2価の炭化水素基の好ましい具体例としては、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロヘプチレン基、ノルボルナン骨格を有する基及びアダマンタン骨格を有する基が挙げられる。これらの中で、メチレン基、エチレン基及びプロピレン基のような炭素数1〜7の直鎖状の2価の炭化水素基、シクロペンチレン基及びシクロヘキシレン基のような環状の2価の炭化水素基、並びに、ノルボルナン骨格を有する環状の2価の炭化水素基が特に好ましい。
式(2)中、Xで示される加水分解性基は、その好ましい態様も含めて式(1)のXと同様である。
式(2)の化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて加水分解縮合される。式(2)の化合物と、式(1)で表される式(2)以外のシラン化合物とを組み合わせて加水分解縮合してもよい。シロキサン樹脂は、好ましくは、R1が炭素数1〜6のF原子によって置換されていてもよい直鎖状若しくは分岐状の脂肪族炭化水素基又はフェニル基である式(1)で表される1種以上のシラン化合物を加水分解縮合させて得られる縮合体と、式(2)で表される化合物を含む式(1)で表される1種以上のシラン化合物を加水分解縮合させて得られる縮合体とを含むことが好ましい。
式(2)の化合物を含むシラン化合物を加水分解縮合して得られる縮合体(シロキサン樹脂)は、例えば、下記一般式(3)で表される。式(3)の縮合体は、R1がフェニル基又はメチル基である2種の式(1)のシラン化合物と、R2がメチル基である式(2)の化合物とを加水分解縮合して得られる。また、簡略化のため構造を平面的に示したが、当業者には理解されるように、実際のシロキサン樹脂は3次元網目構造を有する。さらに、添え字の”3/2”は、1個のSi原子に対して3/2個の割合でO原子が結合していることを示す。
式(3)中、a、b及びcは、それぞれ各構成単位に対応するモノマー(シラン化合物)のモル比(モル%)を示す。aは1〜98、bは1〜98、cは1〜98である。ただし、a、b及びcの合計は100である。式(3)中のAは、式(2)のAと同義である。
式(1)のシラン化合物の加水分解縮合の際に用いる水の量は、式(1)のシラン化合物1モル当たり0.1〜1000モルであることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜100モルである。この水の量が0.1モル未満では加水分解縮合反応が進行しにくくなる傾向にあり、水の量が1000モルを超えると加水分解中又は縮合中にゲル化物を生じ易い傾向にある。
シラン化合物として式(2)の化合物を用いる場合、加水分解縮合の際に用いる水の量はシラン化合物1モル当たり0.01〜1000モルであることが好ましく、0.05〜100モルであることがより好ましい。この水の量が0.01モル未満では加水分解縮合反応が十分に進行しない場合があり、水の量が1000モルを超えると加水分解中又は縮合中にゲル化物を生じ易い傾向にある。
加水分解縮合の際には、触媒を使用してもよい。触媒としては、例えば、酸触媒、アルカリ触媒、金属キレート化合物を用いることができる。これらの中で、一般式(1)で表される化合物のゲル化を防止する観点から、酸触媒が好ましい。また、一般式(2)で表される化合物のアシロキシ基の加水分解を防止する観点からも、酸触媒が好ましい。
酸触媒としては、例えば、有機酸及び無機酸が挙げられる。有機酸としては、例えば、蟻酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、燐酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、フッ酸が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。さらに、加水分解縮合後の触媒は、上述の場合と同様に取り除いたり失活させたりしてもよい。
触媒の使用量は、式(1)の化合物1モルに対して0.0001〜1モルの範囲であることが好ましい。この使用量が0.0001モル未満では実質的に反応が進行しない場合があり、1モルを超えると加水分解縮合時にゲル化が促進される傾向にある。
加水分解縮合において上述の触媒を用いたときには、得られる感光性樹脂組成物の安定性が低下する可能性や、触媒を含むことにより他の材料への腐食等の影響が懸念される可能性がある。そのため、例えば、加水分解縮合後に、触媒をシロキサン樹脂又は感光性樹脂組成物から取り除いたり、触媒を他の化合物と反応させて触媒としての機能を失活させたりしてもよい。これらの操作を実施するための方法としては、従来公知の方法を用いることができる。触媒を取り除く方法としては、例えば、蒸留法やイオンクロマトカラム法等が挙げられる。また、触媒を他の化合物と反応させて触媒としての機能を失活させる方法としては、例えば、触媒が酸触媒の場合、塩基を添加して酸塩基反応により中和する方法が挙げられる。
加水分解縮合の際にはアルコールが副生する。このアルコールは、プロトン性溶媒であり、感光性樹脂組成物の物性に影響を与えるおそれがあることから、エバポレータ等を用いて除去することが好ましい。
加水分解縮合によって生成するシロキサン樹脂は、溶媒への溶解性、機械特性、成形性等の観点から、重量平均分子量が、500〜1000000であることが好ましい。シロキサン樹脂の重量平均分子量が係る範囲内にあることにより、シリカ系被膜の製膜性が特に優れたものとなり、また、シロキサン樹脂の溶媒への良好な溶解性が維持される。同様の観点から、シロキサン樹脂の重量平均分子量の上限は、500000、100000、50000、10000又は5000であることがより好ましい。
感光性樹脂組成物中のシロキサン樹脂の配合割合は、感光性樹脂組成物の固形分(溶媒を除いた部分)の全体量を基準として5〜90質量%であることが好ましい。また、式(2)の化合物を含むシラン化合物の加水分解縮合により得られる縮合体の感光性樹脂組成物における配合割合は、溶媒への溶解性、膜厚、成形性、感光特性、溶液の安定性等の観点から、感光性樹脂組成物の固形分の全体量を基準として、5〜80質量%であることが好ましく、10〜75質量%であることがより好ましく、20〜70質量%であることが更に好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましい。この配合割合が5質量%未満ではシリカ系被膜の成膜性、感光特性が低下する傾向にあり、80質量%を超えると、溶液の安定性が低下する傾向にある。
感光性樹脂組成物がシロキサン樹脂を上記配合割合で含有することにより、形成されるシリカ系被膜の解像性がより一層優れたものとなる。さらに、かかる感光性樹脂組成物において、式(2)の化合物に由来する構造が柔軟性に優れるため、形成されるシリカ系被膜を加熱処理する際のクラックの発生が特に効果的に防止される。すなわち、特に優れたクラック耐性が得られる。さらにまた、形成されるシリカ系被膜がクラック耐性に優れることから、シリカ系被膜の厚膜化が容易となる。
<(b)成分>
(b)成分は、シロキサン樹脂が溶解する溶媒である。その具体例としては、非プロトン性溶媒及びプロトン性溶媒が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)成分は、シロキサン樹脂が溶解する溶媒である。その具体例としては、非プロトン性溶媒及びプロトン性溶媒が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非プロトン性溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−iso−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル等のエステル系溶媒;エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のエーテルアセテート系溶媒;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレンが挙げられる。これらの中で、形成されるシリカ系被膜の厚膜化が可能となり、かつ感光性樹脂組成物の溶液安定性が向上する観点から、エーテル系溶媒、エーテルアセテート系溶媒及びケトン系溶媒が好ましい。これらの中でも塗布ムラやはじきを抑える観点から、エーテルアセテート系溶媒が最も好ましく、エーテル系溶媒が次に好ましく、ケトン系溶媒がその次に好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
プロトン性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等のエステル系溶媒が挙げられる。これらの中で、保管安定性の観点から、アルコール系溶媒が好ましい。さらに、塗布ムラやはじきを抑える観点からは、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールプロピルエーテルが好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒の種類は、(a)成分及び(c)成分の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、後述する(c)成分がナフトキノンジアジドスルホン酸とフェノール類とのエステルであり、脂肪族炭化水素系溶媒への溶解性が低い場合には、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒等を適宜選択することができる。
(b)成分の配合量は、(a)成分及び(c)成分の種類等に応じて適宜調節することができるが、例えば、感光性樹脂組成物の固形分全体100質量部に対して、0.1〜90質量部である。
(b)成分を感光性樹脂組成物中に加える方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、(a)成分のシロキサン樹脂を合成する際の溶媒を(b)成分として用いてもよい。また、シロキサン樹脂を合成した後に別の溶媒を添加する方法、溶媒交換を行う方法、又は合成後に溶媒留去により取り出したシロキサン樹脂に溶媒を加える方法により、(b)成分としての溶媒を感光性樹脂組成物に加えることができる。
(b)成分は、エーテル系溶媒、アセテート系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種の溶媒であることが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物を基板に塗布する際の塗布ムラやはじきを抑えることができる。
<(c)成分>
(c)成分は、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルである。この成分により、感光性樹脂組成物にポジ型感光性が付与される。ポジ型感光性は、例えば次のようにして発現する。
(c)成分は、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルである。この成分により、感光性樹脂組成物にポジ型感光性が付与される。ポジ型感光性は、例えば次のようにして発現する。
ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルに含まれるナフトキノンジアジド基は、本来アルカリ現像液に対する溶解性を示さず、さらにシロキサン樹脂のアルカリ現像液への溶解を阻害する。しかし、紫外線又は可視光を照射することにより、ナフトキノンジアジド基は、インデンカルボン酸構造へと変化する。インデンカルボン酸カルボン酸構造はアルカリ現像液に高い溶解性を示す。よって、(c)成分を配合することにより、露光部がアルカリ現像液により除去されるポジ型感光性が発現する。
ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとしては、例えば、ナフトキノンジアジドスルホン酸とフェノール類又はアルコール類とのエステルが挙げられる。この中で、上記(a)成分との相溶性、形成されるシリカ系被膜の透明性の観点から、ナフトキノンジアジドスルホン酸と1価又は多価アルコールとのエステルが好ましい。ナフトキノンジアジドスルホン酸としては、例えば、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸及びそれらの誘導体等が挙げられる。
1価又は多価アルコール類は、炭素数3〜20であることが好ましい。1価又は多価アルコール類の炭素数が1又は2である場合、対応するスルホン酸エステルにはナフトキノンジアジドスルホン酸メチルエステル、ナフトキノンジアジドスルホン酸エチルエステル等を挙げることができるが、これらの化合物は、アルキル基部分が小さく、結晶性が高いため、感光性樹脂組成物溶液中で析出しやすく、また、(a)成分との相溶性が小さく十分な濃度で混合できない場合がある。また、1価又は多価アルコール類の炭素数が20を超える場合には、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル分子中のナフトキノンジアジド部位の占める割合が小さいため、感光特性が低下する傾向にある。
炭素数3〜20の1価アルコールの具体例としては、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、ベンジルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘキサンメタノール、シクロヘキサンエタノール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−アダマンタノール、2−アダマンタノール、アダマンタンメタノール、ノルボルナン−2−メタノール、テトラフルフリルアルコール、2−メトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、重合度2〜10のポリエチレングリコールモノメチルエーテル、重合度2〜10のポリエチレングリコールモノエチルエーテル、重合度1〜10のポリプロレングリコールモノメチルエーテル、重合度1〜10のポリプロレングリコールモノエチルエーテル、さらにアルキル基がプロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソアミル、ヘキシル、シクロヘキシル等である重合度1〜10のポリプロレングリコールモノアルキルエーテルが挙げられる。
炭素数3〜20の2価アルコールの具体例としては、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、p−キシリレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2−ジイソアミル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジイソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−オクチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
炭素数3〜20の価数が3以上のアルコールの具体例としては、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、糖類、これらの多価アルコールのエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール付加体等が挙げられる。
これら1価又は多価アルコールの中でも、形成されるシリカ系被膜の透明性の観点から、エチレングリコール、プロピレングリコール及びそれらの重合度が2〜10である重合体の中から選ばれた化合物を用いることが好ましい。
ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルは従来公知の方法により得ることが可能であり、例えば、ナフトキノンジアジドスルホン酸塩化物とアルコールとを塩基存在下で反応させることにより得ることができる。
この反応に用いる塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等の第三級アルキルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、カリウム−tert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられる。
反応溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、THF、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセート等のエーテルアセテート系溶媒、アセトン、イソブチルケトン等のケトン系溶媒、ヘキサン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
通常、(c)成分のナフトキノンジアジドスルホン酸エステルは、(a)成分のシロキサン樹脂とともに、(b)成分として用いられる溶媒に溶解される。
感光性樹脂組成物中の(c)成分の配合割合は、感光特性等の観点から、感光性樹脂組成物中に含まれるシロキサン樹脂の固形分全体を基準として、3〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であるとより好ましく、5〜25質量%であることが更に好ましい。(c)成分の配合割合が3質量%未満の場合には、アルカリ現像液への溶解阻害作用が低下し、感光性が低下する傾向がある。また、(c)成分の配合割合が40質量%を超える場合には、塗膜を形成する際に(c)成分が析出し、塗膜が不均一となる傾向にある。さらに、このような場合には、感光剤としての(c)成分の濃度が高く、形成される塗膜の表面近傍でのみ光の吸収が起こり、塗膜の下部まで露光時の光が到達せずに感光特性が低下する傾向にある。
電子部品等に使用する場合は、感光性樹脂組成物はアルカリ金属やアルカリ土類金属を含有しないことが望ましい。含まれる場合でも組成物中のそれらの金属イオン濃度が1000ppm以下であることが好ましく、1ppm以下であることがより好ましい。これらの金属イオン濃度が1000ppmを超えると、組成物から得られるシリカ系被膜を有する電子部品に金属イオンが流入し易くなって、電気性能そのものに悪影響を与えるおそれがある。したがって、必要に応じて、例えば、イオン交換フィルター等を使用してアルカリ金属やアルカリ土類金属を組成物中から除去することが有効である。しかし、光導波路や他の用途に用いる際は、その目的を損なわないのであれば、この限りではない。
感光性樹脂組成物は、必要に応じて水を含んでいてもよいが、その量は目的とする特性を損なわない範囲であることが好ましい。
(シリカ系被膜の形成方法)
本実施形態に係るリカ系被膜の形成方法は、上述の実施形態に係る製造方法により得られた感光性樹脂組成物を基板に塗布して形成された塗膜から溶媒を除去して感光性樹脂被膜を形成する工程(塗布工程)と、感光性樹脂被膜の所定部分を露光する工程(第1露光工程)と、感光性樹脂被膜の露光された所定部分を除去して、感光性樹脂被膜をパターニングする工程(除去工程)と、パターニングされた感光性樹脂被膜を露光する工程(第2露光工程)と、パターニングされた感光性樹脂被膜を加熱してシリカ系被膜を形成する工程(加熱工程)と、をこの順に備える。以下、各工程について説明する。
本実施形態に係るリカ系被膜の形成方法は、上述の実施形態に係る製造方法により得られた感光性樹脂組成物を基板に塗布して形成された塗膜から溶媒を除去して感光性樹脂被膜を形成する工程(塗布工程)と、感光性樹脂被膜の所定部分を露光する工程(第1露光工程)と、感光性樹脂被膜の露光された所定部分を除去して、感光性樹脂被膜をパターニングする工程(除去工程)と、パターニングされた感光性樹脂被膜を露光する工程(第2露光工程)と、パターニングされた感光性樹脂被膜を加熱してシリカ系被膜を形成する工程(加熱工程)と、をこの順に備える。以下、各工程について説明する。
<塗布工程>
まず、感光性樹脂組成物を塗布するための基板を用意する。基板は、表面が平坦なものであっても、電極等が形成され凹凸を有しているものであってもよい。これらの基板の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリル、ナイロン、ポリエーテルサルフォン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース等の有機高分子等が挙げられる。また、この有機高分子等がフィルム状になっているものを基板として用いることもできる。
まず、感光性樹脂組成物を塗布するための基板を用意する。基板は、表面が平坦なものであっても、電極等が形成され凹凸を有しているものであってもよい。これらの基板の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリル、ナイロン、ポリエーテルサルフォン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース等の有機高分子等が挙げられる。また、この有機高分子等がフィルム状になっているものを基板として用いることもできる。
上述の感光性樹脂組成物は、このような基板上に従来公知の方法によって塗布することが可能である。塗布方法の具体例としては、スピンコート法、スプレー法、ロールコート法、回転法、スリット塗布法等が挙げられる。これらの中で、一般に成膜性及び膜均一性に優れるスピンコート法により感光性樹脂組成物を塗布することが好ましい。
スピンコート法を用いる場合には、好ましくは300〜3000回転/分、より好ましくは400〜2000回転/分で、基板上に上述の感光性樹脂組成物をスピンコートして塗膜を形成する。この回転数が300回転/分未満では膜均一性が悪化する傾向があり、3000回転/分を超えると成膜性が低下するおそれがある。
塗膜の膜厚は、例えば次のようにして調整することができる。まず、スピンコートの際に、回転数と塗布回数を調整することにより塗膜の膜厚を調整することができる。すなわち、スピンコートの回転数を下げたり塗布回数を減らしたりすることにより、塗膜の膜厚を厚くすることができる。また、スピンコートの回転数を上げたり塗布回数を減らしたりすることにより、塗膜の膜厚を薄くすることができる。
感光性樹脂組成物において、(a)成分の濃度を調整することにより、塗膜の膜厚を調整することもできる。例えば、(a)成分の濃度を高くすることにより、塗膜の膜厚を厚くすることができる。また、(a)成分の濃度を低くすることにより、塗膜の膜厚を薄くすることができる。
以上のようにして塗膜の膜厚を調整することにより、最終生成物であるシリカ系被膜の膜厚を調整することができる。シリカ系被膜の好適な膜厚は使用用途により異なる。例えば、シリカ系被膜の膜厚は、LSI等の層間絶縁膜に使用する際には0.01〜2μm;パッシベーション層に使用する際には2〜40μm;液晶用途に使用する際には0.1〜20μm;フォトレジストに使用する際には0.1〜2μm;光導波路に使用する際の膜厚は1〜50μm、であることが好ましい。一般的に、このシリカ系被膜の膜厚は、0.01〜10μmであることが好ましく、0.01〜5μmであることがより好ましく、0.01〜3μmであることが更に好ましく、0.05〜3μmであることが特に好ましく、0.1〜3μmであることが極めて好ましい。本発明の感光性樹脂組成物は、0.5〜3.0μmの膜厚のシリカ系被膜に好適に用いることができ、0.5〜2.5μmの膜厚のシリカ系被膜により好適に用いることができ、1.0〜2.5μmの膜厚のシリカ系被膜に特に好適に用いることができる。
上述のようにして基板上に塗膜を形成した後に、塗膜を乾燥して、塗膜中の溶媒(有機溶媒等)を除去する。乾燥には従来公知の方法を用いることができ、例えばホットプレートを用いて乾燥することができる。乾燥温度は、50〜200℃であることが好ましく、80〜180℃がより好ましい。この乾燥温度が50℃未満では、有機溶媒の除去が十分に行われない傾向がある。また、乾燥温度が200℃を超えると塗膜の硬化が進行し、現像液に対する溶解性が低下するため、露光感度低下、解像度低下を伴う傾向がある。
<第1露光工程>
次に、乾燥後の塗膜(感光性樹脂被膜)の所定部分を露光する。露光する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、所定のパターンのマスクを介して被膜に放射線を照射することにより、所定部分を露光することができる。ここで用いられる放射線としては、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)等の紫外線、KrFエキシマレーザー等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線が挙げられる。これらのうち、g線及びi線が好ましい。露光量としては、通常10〜2000mJ/cm2、好ましくは20〜200mJ/cm2である。
次に、乾燥後の塗膜(感光性樹脂被膜)の所定部分を露光する。露光する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、所定のパターンのマスクを介して被膜に放射線を照射することにより、所定部分を露光することができる。ここで用いられる放射線としては、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)等の紫外線、KrFエキシマレーザー等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線が挙げられる。これらのうち、g線及びi線が好ましい。露光量としては、通常10〜2000mJ/cm2、好ましくは20〜200mJ/cm2である。
<除去工程>
続いて、被膜の露光された所定部分(以下、「露光部」ともいう。)を除去して、所定のパターンを有する被膜を得る。被膜の露光部を除去する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、現像液を用いて現像処理して露光部を除去することにより、所定のパターンを有する被膜を得ることができる。ここで用いられる現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第二級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類、ジメチルエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩又はピロ−ル、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−(5.4.0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−(4.3.0)−5−ノナン等の環状アミン類を水に溶解したアルカリ水溶液が好ましく使用される。また該現像液には、水溶性有機溶媒、例えばメタノ−ル、エタノ−ル等のアルコ−ル類や界面活性剤を適量添加して使用することもできる。さらに感光性成分を溶解する各種有機溶媒も現像液として使用することができる。
続いて、被膜の露光された所定部分(以下、「露光部」ともいう。)を除去して、所定のパターンを有する被膜を得る。被膜の露光部を除去する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、現像液を用いて現像処理して露光部を除去することにより、所定のパターンを有する被膜を得ることができる。ここで用いられる現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第二級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類、ジメチルエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩又はピロ−ル、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−(5.4.0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−(4.3.0)−5−ノナン等の環状アミン類を水に溶解したアルカリ水溶液が好ましく使用される。また該現像液には、水溶性有機溶媒、例えばメタノ−ル、エタノ−ル等のアルコ−ル類や界面活性剤を適量添加して使用することもできる。さらに感光性成分を溶解する各種有機溶媒も現像液として使用することができる。
現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法等の適宜の方法を利用することができる。現像処理後に、パターニングされた膜に対し、例えば流水洗浄によるリンス処理を行ってもよい。
<第2露光工程>
さらに、必要な場合には、除去工程後に残った被膜の全面を露光する。これにより、上述の可視光領域に光学吸収を有する(c)成分が分解して、可視光領域における光学吸収が十分に小さい化合物が生成する。その結果、最終生成物であるシリカ系被膜の透明性が向上する。露光には、第1露光工程と同様の放射線を用いることができる。露光量としては、(c)成分を完全に分解する必要があるため、通常100〜3000mJ/cm2、好ましくは200〜2000mJ/cm2である。
さらに、必要な場合には、除去工程後に残った被膜の全面を露光する。これにより、上述の可視光領域に光学吸収を有する(c)成分が分解して、可視光領域における光学吸収が十分に小さい化合物が生成する。その結果、最終生成物であるシリカ系被膜の透明性が向上する。露光には、第1露光工程と同様の放射線を用いることができる。露光量としては、(c)成分を完全に分解する必要があるため、通常100〜3000mJ/cm2、好ましくは200〜2000mJ/cm2である。
<加熱工程>
最後に、除去工程後に残った被膜を加熱して最終硬化を行う。この加熱工程により、最終生成物であるシリカ系被膜が得られる。加熱温度は、例えば、250〜500℃であることが好ましく、250〜400℃であることがより好ましい。この加熱温度が250℃未満では、十分に塗膜が硬化されない傾向にあり、500℃を超えると、金属配線層がある場合に、入熱量が増大して配線金属の劣化が生じるおそれがある。
最後に、除去工程後に残った被膜を加熱して最終硬化を行う。この加熱工程により、最終生成物であるシリカ系被膜が得られる。加熱温度は、例えば、250〜500℃であることが好ましく、250〜400℃であることがより好ましい。この加熱温度が250℃未満では、十分に塗膜が硬化されない傾向にあり、500℃を超えると、金属配線層がある場合に、入熱量が増大して配線金属の劣化が生じるおそれがある。
加熱工程は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下で行うのが好ましく、この場合、酸素濃度が1000ppm以下であると好ましい。また、加熱時間は2〜60分が好ましく、2〜30分であるとより好ましい。この加熱時間が2分未満では、十分に被膜が硬化されない傾向にあり、60分を超えると、入熱量が過度に増大して配線金属の劣化が生じるおそれがある。
加熱のための装置としては、石英チューブ炉その他の炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール(RTA)等の加熱処理装置又はEB、UVを併用した加熱処理装置を用いることが好ましい。
上述の工程を経て形成されたシリカ系被膜は、例えば350℃の加熱処理を行っても十分な高い耐熱性、高い透明性を有するとともに、耐溶剤性に優れる。なお、従来知られているノボラック樹脂等のフェノール系樹脂及びキノンジアジド系感光剤を含有する組成物、あるいはアクリル系樹脂及びキノンジアジド系感光剤材料を含有する組成物から形成される被膜は、一般的に230℃程度が耐熱温度の上限であり、この温度を超えて加熱処理を行うと黄色や褐色に着色し、透明性が著しく低下する。
上述の工程を経て形成されたシリカ系被膜は、液晶表示素子、プラズマディスプレイ、有機EL、フィールドエミッションディスプレイ等の平面表示装置の層間絶縁膜として好適に使用できる。また、かかるシリカ系被膜は、半導体素子の層間絶縁膜としても好適に使用できる。さらに、かかるシリカ系被膜は、半導体素子のウエハコート材料(表面保護膜、バンプ保護膜、MCM(multi−chip module)層間保護膜、ジャンクションコート)、パッケージ材(封止材、ダイボンディング材)等の電子デバイス用部材としても好適に使用することができる。
上述のシリカ系被膜を備える半導体装置(電子部品)の具体例としては、メモリセルキャパシタが挙げられる。上述のシリカ系被膜を備える本発明の平面表示装置の具体例としては、アクティブマトリクス基板を有する平面表示装置が挙げられる。
(メモリキャパシタ)
メモリキャパシタは、その表面に拡散領域が形成されたシリコンウェハ(基板)と、シリコンウェハ上の拡散領域の位置に設けられたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、ゲート電極の上方に設けられた対向電極と、ゲート電極と対向電極との間にシリコンウェハ側から順に積層された層間絶縁膜及び絶縁被膜とを有する。
メモリキャパシタは、その表面に拡散領域が形成されたシリコンウェハ(基板)と、シリコンウェハ上の拡散領域の位置に設けられたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、ゲート電極の上方に設けられた対向電極と、ゲート電極と対向電極との間にシリコンウェハ側から順に積層された層間絶縁膜及び絶縁被膜とを有する。
拡散領域上にはゲート絶縁膜及びゲート電極の側壁と接する側壁酸化膜が形成されている。拡散領域上にはゲート絶縁膜及びゲート電極の側壁と接する側壁酸化膜が形成されている。拡散領域のゲート絶縁膜とは反対側において、素子分離のためのフィールド酸化膜がシリコンウェハと層間絶縁膜の間に形成されている。
層間絶縁膜は、ゲート電極、シリコンウェハ及びフィールド酸化膜を覆って形成されている。層間絶縁膜のシリコンウェハとは反対側の面は平坦化されている。層間絶縁膜は拡散領域上に位置する側壁を有しており、この側壁と拡散領域を覆うとともに、層間絶縁膜のシリコンウェハとは反対側の面の一部を覆うように延在するビット線が形成されている。層間絶縁膜上に設けられた層間絶縁膜はビット線を覆うように延びて形成されている。層間絶縁膜及び層間絶縁膜によって、ビット線が埋め込まれたコンタクトホールが形成されている。
層間絶縁膜のシリコンウェハとは反対側の面も平坦化されている。拡散領域上の位置において層間絶縁膜及び層間絶縁膜を貫通するコンタクトホールが形成されている。コンタクトホール内には蓄積電極が埋め込まれ、蓄積電極はさらに、層間絶縁膜のシリコンウェハとは反対側の面のうちコンタクトホール周囲の部分を覆うように延在している。対向電極は蓄積電極及び層間絶縁膜を覆って形成されており、対向電極と蓄電電極の間にはキャパシタ絶縁膜が介在している。
層間絶縁膜は、上述の感光性樹脂組成物から形成されたシリカ系被膜である。層間絶縁膜は、例えば、感光性樹脂組成物をスピンコート法により塗布する工程を経て形成される。層間絶縁膜は、それぞれ同一の組成を有していても異なる組成を有していてもよい。
(アクティブマトリクス基板)
アクティブマトリクス基板には、複数の画素電極がマトリクス状に設けられており、これらの画素電極の周囲を通り、互いに直交するように、走査信号を供給するための各ゲート配線と表示信号を供給するためのソース配線が設けられている。これらのゲート配線とソース配線はその一部が画素電極の外周部分とオーバーラップしている。また、これらのゲート配線とソース配線の交差部分において、画素電極に接続されるスイッチング素子としてのTFTが設けられている。このTFTのゲート電極にはゲート配線が接続され、ゲート電極に入力される信号によってTFTが駆動制御される。また、TFTのソース電極にはソース配線が接続され、TFTのソース電極にデータ信号が入力される。さらに、TFTのドレイン電極は、接続電極さらにコンタクトホールを介して画素電極と接続されるとともに、接続電極を介して付加容量の一方の電極である付加容量電極と接続されている。この付加容量の他方の電極である付加容量対向電極は共通配線に接続されている。
アクティブマトリクス基板には、複数の画素電極がマトリクス状に設けられており、これらの画素電極の周囲を通り、互いに直交するように、走査信号を供給するための各ゲート配線と表示信号を供給するためのソース配線が設けられている。これらのゲート配線とソース配線はその一部が画素電極の外周部分とオーバーラップしている。また、これらのゲート配線とソース配線の交差部分において、画素電極に接続されるスイッチング素子としてのTFTが設けられている。このTFTのゲート電極にはゲート配線が接続され、ゲート電極に入力される信号によってTFTが駆動制御される。また、TFTのソース電極にはソース配線が接続され、TFTのソース電極にデータ信号が入力される。さらに、TFTのドレイン電極は、接続電極さらにコンタクトホールを介して画素電極と接続されるとともに、接続電極を介して付加容量の一方の電極である付加容量電極と接続されている。この付加容量の他方の電極である付加容量対向電極は共通配線に接続されている。
アクティブマトリクス基板において、透明絶縁性基板上に、ゲート配線に接続されたゲート電極が設けられ、その上を覆ってゲート絶縁膜が設けられている。その上にはゲート電極と重畳するように半導体層が設けられ、その中央部上にチャネル保護層が設けられている。このチャネル保護層の両端部および半導体層の一部を覆い、チャネル保護層上で分断された状態で、ソース電極およびドレイン電極となるn+Si層が設けられている。一方のn+Si層であるソース電極の端部上には、透明導電膜と金属層とが設けられて2層構造のソース配線となっている。また、他方のn+Si層であるドレイン電極の端部上には、透明導電膜と金属層とが設けられ、透明導電膜は延長されて、ドレイン電極と画素電極とを接続するとともに付加容量の一方の電極である付加容量電極に接続される接続電極となっている。さらに、TFT、ゲート配線およびソース配線、接続電極の上部を覆うように層間絶縁膜が設けられている。この層間絶縁膜上には、画素電極となる透明導電膜が設けられ、層間絶縁膜を貫くコンタクトホールを介して、接続電極によりTFTのドレイン電極と接続されている。
本実施形態のアクティブマトリクス基板は以上のように構成され、このアクティブマトリクス基板は、例えば以下のようにして製造することができる。
(アクティブマトリクス基板の製造)
まず、ガラス基板などの透明絶縁性基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体層、チャネル保護層、ソース電極およびドレイン電極となるn+Si層を順次成膜して形成する。ここまでの作製プロセスは、従来のアクティブマトリクス基板の製造方法と同様にして行うことができる。
まず、ガラス基板などの透明絶縁性基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体層、チャネル保護層、ソース電極およびドレイン電極となるn+Si層を順次成膜して形成する。ここまでの作製プロセスは、従来のアクティブマトリクス基板の製造方法と同様にして行うことができる。
次に、ソース配線および接続電極を構成する透明導電膜および金属層を、スパッタ法により順次成膜して所定形状にパターニングする。
さらに、その上に、層間絶縁膜となる上述の感光性樹脂組成物をスピンコート法により例えば2μmの膜厚で形成する。形成された塗膜に対して、マスクを介して露光し、アルカリ性の溶液によって現像処理することにより、層間絶縁膜が形成される。この際、露光された部分のみがアルカリ性の溶液によってエッチングされ、層間絶縁膜を貫通するコンタクトホールが形成されることになる。
その後、画素電極となる透明導電膜をスパッタ法により形成し、パターニングする。これにより画素電極は、層間絶縁膜を貫くコンタクトホールを介して、TFTのドレイン電極と接続されている透明導電膜と接続されることになる。このようにして、上述のアクティブマトリクス基板を製造することができる。
したがって、このようにして得られたアクティブマトリクス基板は、ゲート配線、ソース配線およびTFTと、画素電極との間に厚い膜厚の層間絶縁膜が形成されているので、各配線およびTFTに対して画素電極をオーバーラップさせることができるとともにその表面を平坦化させることができる。このため、アクティブマトリクス基板と対向基板の間に液晶を介在させた平面表示装置の構成とした時に、開口率を向上させることができると共に、各配線に起因する電界を画素電極でシールドしてディスクリネーションを抑制することができる。
また、層間絶縁膜を形成する上述の感光性樹脂組成物は、比誘電率の値が3.0から3.8と無機膜(窒化シリコンの比誘電率8)の比誘電率に比べて低く、また、その透明度も高くスピン塗布法により容易に厚い膜厚にすることができる。このため、ゲート配線と画素電極との間の容量および、ソース配線と画素電極との間の容量を低くすることができて時定数が低くなり、各配線と画素電極との間の容量成分が表示に与えるクロストークなどの影響をより低減することができて良好で明るい表示を得ることができる。また、露光およびアルカリ現像によってパターニングを行うことにより、コンタクトホールのテーパ形状を良好にすることができ、画素電極と接続電極との接続を良好にすることができる。さらに、上述の感光性樹脂組成物を用いることにより、スピンコート法を用いて薄膜が形成できるので、数μmという膜厚の薄膜を容易に形成でき、さらに、パターニングにフォトレジスト工程も不要であるので、生産性の点で有利である。ここで、層間絶縁膜として用いた上述の感光性樹脂組成物は、塗布前に着色しているものであるが、パターニング後に全面露光処理を施してより透明化することができる。このように、樹脂の透明化処理は、光学的に行うことができるだけではなくて、化学的にも行うことが可能である。
本実施形態で層間絶縁膜として用いた、上述の感光性樹脂組成物の露光には、i線(波長365nm)、h線(波長405nm)及びg線(波長436nm)の輝線を含む水銀灯の光線を用いるのが一般的である。感光性樹脂組成物としては、これらの輝線のなかで最もエネルギーの高い(波長の最も短い)i線に感放射線性(吸収ピーク)を有する感光性樹脂組成物を用いることが好ましい。コンタクトホールの加工精度を高くするとともに、感光剤に起因する着色を最小限に抑制することができる。また、エキシマレーザーからの短波長の紫外線を用いてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
シロキサン樹脂((a)成分)の合成
(1)シロキサン樹脂A
撹拌機、環流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた2000mL4つ口フラスコ内で、テトラエトキシシラン317.9gとメチルトリエトキシシラン247.9gとをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1116.7gに溶解させた溶液に対して、0.644重量%に調製した硝酸167.5gを、攪拌下で30分間かけて滴下した。滴下終了後3時間反応を進行させてから、生成したエタノール及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの一部を減圧下、温浴中で留去して、固形分濃度25質量%に調整されたシロキサン樹脂Aの溶液740.0gを得た。GPC法によりポリシロキサン樹脂Aの重量平均分子量を測定したところ、870であった。
(1)シロキサン樹脂A
撹拌機、環流冷却器、滴下ろう斗及び温度計を備えた2000mL4つ口フラスコ内で、テトラエトキシシラン317.9gとメチルトリエトキシシラン247.9gとをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1116.7gに溶解させた溶液に対して、0.644重量%に調製した硝酸167.5gを、攪拌下で30分間かけて滴下した。滴下終了後3時間反応を進行させてから、生成したエタノール及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの一部を減圧下、温浴中で留去して、固形分濃度25質量%に調整されたシロキサン樹脂Aの溶液740.0gを得た。GPC法によりポリシロキサン樹脂Aの重量平均分子量を測定したところ、870であった。
(2)シロキサン樹脂B:3−アセトキシプロピルシルセスキオキサン・フェニルシルセスキオキサン・メチルシルセスキオキサン共重合体(下記式(4)で表される縮合体)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた500mL4つ口フラスコに、トルエン55.8g及び水35.7gを仕込み、35%塩酸3.12g(0.03モル)を加えた。そこに、3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン13.5g(0.0605モル)、フェニルトリメトキシシラン30.0g(0.151モル)及びメチルトリメトキシシラン12.4g(0.0908モル)をトルエン27.9gに溶解した溶液を20〜30℃かけて滴下した。滴下終了後、同温度で2時間熟成させた。この時点での反応溶液をGC(ガスクロマトグラフ)で分析した結果、原料は残っていないことが確認された。次に、反応溶液にトルエンと水を加えて生成物を有機相に抽出した。有機相を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、更に、中性になるまで水で洗浄した。その後、有機相を回収し、トルエンを除去して、粘性液体状の目的のシロキサン樹脂B34.6gを得た。得られたシロキサン樹脂Bをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させ、固形分濃度が50質量%になるように調整されたシロキサン樹脂Bの溶液を得た。GPC法によりシロキサン樹脂Bの重量平均分子量を測定したところ、1050であった。
(ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの合成)
ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルA(上記(c)成分に相当)の合成
撹拌機、環流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた200mL4つ口フラスコに、ジプロピレングリコール2.68g及びテトラヒドロフラン50gを仕込み、さらに室温(25℃)にて1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホニルクロリド10.75g、トリエチルアミン4.45g及びジメチルアミノピリジン0.5gを加え、50℃で4時間反応を行った。反応終了後、析出した固形分をろ別し、減圧下、温浴中で溶媒を除去した。その後、固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解し、得られた溶液をイオン交換水50gを用いて2回洗浄した。洗浄された溶液を減圧下、温浴中で濃縮して、固形分濃度48質量%に調整されたナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液16.4gを得た。
ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルA(上記(c)成分に相当)の合成
撹拌機、環流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた200mL4つ口フラスコに、ジプロピレングリコール2.68g及びテトラヒドロフラン50gを仕込み、さらに室温(25℃)にて1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホニルクロリド10.75g、トリエチルアミン4.45g及びジメチルアミノピリジン0.5gを加え、50℃で4時間反応を行った。反応終了後、析出した固形分をろ別し、減圧下、温浴中で溶媒を除去した。その後、固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解し、得られた溶液をイオン交換水50gを用いて2回洗浄した。洗浄された溶液を減圧下、温浴中で濃縮して、固形分濃度48質量%に調整されたナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液16.4gを得た。
ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルB((c)成分)の合成
撹拌機、環流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた200mL4つ口フラスコに、ジプロピレングリコール2.68g及びテトラヒドロフラン50gを仕込み、さらに室温(25℃)にて1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホニルクロリド10.75g、トリエチルアミン4.45g及びジメチルアミノピリジン0.5gを加え、50℃で4時間反応を行った。反応終了後、析出した固形分をろ別し、減圧下、温浴中で溶媒を除去した。その後、固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解し、得られた溶液をイオン交換水50gを用いて2回洗浄した。洗浄された溶液を減圧下、温浴中で濃縮して、オイル状のナフトキノンジアジドスルホン酸エステル10.2gを得た。このうち7.3gを撹拌機付の容器内に仕込み、さらに3,4−ジヒドロ−2H−ピラン7.7g、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート50g及び5%HNO3水溶液2.9gを加え、室温(25℃)で72時間反応を行った。反応終了後、メチルイソブチルケトン70gを添加し、さらに0.5質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液70gで洗浄し、次いで、イオン交換水70gで2回水洗した後に有機相を分取した。有機相を減圧下、温浴中で濃縮し、固形分濃度48質量%に調整されたナフトキノンジアジドスルホン酸エステルBの溶液9.6gを得た。
撹拌機、環流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた200mL4つ口フラスコに、ジプロピレングリコール2.68g及びテトラヒドロフラン50gを仕込み、さらに室温(25℃)にて1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホニルクロリド10.75g、トリエチルアミン4.45g及びジメチルアミノピリジン0.5gを加え、50℃で4時間反応を行った。反応終了後、析出した固形分をろ別し、減圧下、温浴中で溶媒を除去した。その後、固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解し、得られた溶液をイオン交換水50gを用いて2回洗浄した。洗浄された溶液を減圧下、温浴中で濃縮して、オイル状のナフトキノンジアジドスルホン酸エステル10.2gを得た。このうち7.3gを撹拌機付の容器内に仕込み、さらに3,4−ジヒドロ−2H−ピラン7.7g、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート50g及び5%HNO3水溶液2.9gを加え、室温(25℃)で72時間反応を行った。反応終了後、メチルイソブチルケトン70gを添加し、さらに0.5質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液70gで洗浄し、次いで、イオン交換水70gで2回水洗した後に有機相を分取した。有機相を減圧下、温浴中で濃縮し、固形分濃度48質量%に調整されたナフトキノンジアジドスルホン酸エステルBの溶液9.6gを得た。
(感光性樹脂組成物の調製)
実施例1
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液10.0g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.52gを添加し、温浴中80℃で3時間攪拌して、実施例1のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
実施例1
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液10.0g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.52gを添加し、温浴中80℃で3時間攪拌して、実施例1のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
実施例2
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液10.0g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルBの溶液0.52gを添加し、温浴中80℃で3時間攪拌して、実施例2のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液10.0g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルBの溶液0.52gを添加し、温浴中80℃で3時間攪拌して、実施例2のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
実施例3
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液5.0g、シロキサン樹脂Bの溶液1.2g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.18gを添加し、温浴中80℃で3時間攪拌して、実施例3のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液5.0g、シロキサン樹脂Bの溶液1.2g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.18gを添加し、温浴中80℃で3時間攪拌して、実施例3のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
実施例4
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液5.0g、シロキサン樹脂Bの溶液2.5g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.32gを添加し、温浴中80℃で3時間攪拌して、実施例4のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液5.0g、シロキサン樹脂Bの溶液2.5g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.32gを添加し、温浴中80℃で3時間攪拌して、実施例4のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
実施例5
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液10.0g、シロキサン樹脂Bの溶液1.5g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.68gを添加し、温浴中80℃で3時間攪拌して、実施例5のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液10.0g、シロキサン樹脂Bの溶液1.5g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.68gを添加し、温浴中80℃で3時間攪拌して、実施例5のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
実施例6
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液10.0g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.52gを添加し、温浴中30℃で48時間攪拌して、実施例6のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液10.0g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.52gを添加し、温浴中30℃で48時間攪拌して、実施例6のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
実施例7
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液10.0g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.52gを添加し、温浴中135℃で30分攪拌して、実施例7のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液10.0g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.52gを添加し、温浴中135℃で30分攪拌して、実施例7のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
実施例8
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液10.0g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルBの溶液0.52gを添加し、温浴中30℃で48時間攪拌して、実施例8のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液10.0g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルBの溶液0.52gを添加し、温浴中30℃で48時間攪拌して、実施例8のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
実施例9
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液10.0g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルBの溶液0.52gを添加し、温浴中135℃で30分攪拌して、実施例9のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
撹拌機、還流冷却器、及び温度計を備えた50mL4つ口フラスコに、シロキサン樹脂Aの溶液10.0g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルBの溶液0.52gを添加し、温浴中135℃で30分攪拌して、実施例9のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
比較例1
シロキサン樹脂Aの溶液10.0gに、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.52gを添加し、室温(24℃)で1時間攪拌して、比較例1のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
シロキサン樹脂Aの溶液10.0gに、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.52gを添加し、室温(24℃)で1時間攪拌して、比較例1のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
比較例2
シロキサン樹脂Aの溶液10.0gに、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルBの溶液0.52gを添加し、室温(24℃)で1時間攪拌して、比較例2のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
シロキサン樹脂Aの溶液10.0gに、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルBの溶液0.52gを添加し、室温(24℃)で1時間攪拌して、比較例2のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
比較例3
シロキサン樹脂Aの溶液5.0gに、シロキサン樹脂Bの溶液1.2g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.18gを添加し、室温(24℃)で1時間攪拌して、比較例3のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
シロキサン樹脂Aの溶液5.0gに、シロキサン樹脂Bの溶液1.2g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.18gを添加し、室温(24℃)で1時間攪拌して、比較例3のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
比較例4
シロキサン樹脂Aの溶液5.0gに、シロキサン樹脂Bの溶液2.5g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.32gを添加し、室温(24℃)で1時間攪拌して、比較例4のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
シロキサン樹脂Aの溶液5.0gに、シロキサン樹脂Bの溶液2.5g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.32gを添加し、室温(24℃)で1時間攪拌して、比較例4のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
比較例5
シロキサン樹脂Aの溶液10.0gに、シロキサン樹脂Bの溶液1.5g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.68gを添加し、室温(24℃)で1時間攪拌して、比較例5のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
シロキサン樹脂Aの溶液10.0gに、シロキサン樹脂Bの溶液1.5g及びナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.68gを添加し、室温(24℃)で1時間攪拌して、比較例5のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
比較例6
シロキサン樹脂Aの溶液10.0gに、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.52gを添加し、室温(24℃)で1時間攪拌して、比較例6のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
シロキサン樹脂Aの溶液10.0gに、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルAの溶液0.52gを添加し、室温(24℃)で1時間攪拌して、比較例6のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
比較例7
シロキサン樹脂Aの溶液10.0gに、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルBの溶液0.52gを添加し、室温(24℃)で1時間攪拌して、比較例7のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
シロキサン樹脂Aの溶液10.0gに、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルBの溶液0.52gを添加し、室温(24℃)で1時間攪拌して、比較例7のシリカ系ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
(シリカ系被膜の製造)
実施例1〜9及び比較例1〜7で得られた感光性樹脂組成物溶液をPTFE製のフィルターでろ過した。ろ過された溶液を、シリコンウェハ又はガラス基板上に、溶媒除去した後の膜厚が2.0μmになるような回転数で30秒間スピンコートした。その後、120℃で150秒間かけて溶媒を除去した。ただし、後述する未露光部溶解速度の評価に際しては、溶媒を除去する温度が異なる数種の被膜を作製した。得られた塗膜に対し、Canon社製PLA−600F投影露光機を用いて、所定のパターンマスクを介して露光量30mJ/cm2にて露光を行った。
実施例1〜9及び比較例1〜7で得られた感光性樹脂組成物溶液をPTFE製のフィルターでろ過した。ろ過された溶液を、シリコンウェハ又はガラス基板上に、溶媒除去した後の膜厚が2.0μmになるような回転数で30秒間スピンコートした。その後、120℃で150秒間かけて溶媒を除去した。ただし、後述する未露光部溶解速度の評価に際しては、溶媒を除去する温度が異なる数種の被膜を作製した。得られた塗膜に対し、Canon社製PLA−600F投影露光機を用いて、所定のパターンマスクを介して露光量30mJ/cm2にて露光を行った。
続いて、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、25℃で1分間の揺動浸漬法によって現像処理を行った。現像によりパターンを形成した被膜を純水で流水洗浄し、乾燥した。次いで、パターンを形成した部分をCanon社製PLA−600F投影露光機を用い、露光量1000mJ/cm2で全面露光した。露光後、O2濃度1000ppm未満にコントロールされた石英チューブ炉にて350℃で30分間かけて被膜を最終硬化し、パターニングされたシリカ系被膜を得た。
(シリカ系被膜の評価)
上述の方法により、実施例1〜9及び比較例1〜7の感光性樹脂組成物から形成されたシリカ系被膜の評価を以下の方法で行った。評価結果を下記の表1に示した。
上述の方法により、実施例1〜9及び比較例1〜7の感光性樹脂組成物から形成されたシリカ系被膜の評価を以下の方法で行った。評価結果を下記の表1に示した。
未露光部溶解速度
シリコンウェハ上に形成された感光性樹脂被膜を2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に浸漬し、浸漬前後の膜厚減少量を時間で割り算した数値に基づいて、未露光部の溶解速度を評価した。110℃、120℃、130℃の各温度で150秒間の加熱によりスピンコート後の塗膜から溶媒を除去し、乾燥後の被膜を2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に25℃で1分間浸漬した。なお、被膜が1分間以内に溶解する場合は、被膜が消失するまでの時間浸漬した。浸漬後の被膜を、イオン交換水でリンスしてから窒素ガスで乾燥した。浸漬前の膜厚から浸漬後の膜厚を差し引いた膜厚減少量(単位:nm)を60秒(ただし、膜が1分間以内に溶解した場合は、膜が消失した時点までの時間)で割り算した値(単位:nm/秒)を未露光部溶解速度とした。
シリコンウェハ上に形成された感光性樹脂被膜を2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に浸漬し、浸漬前後の膜厚減少量を時間で割り算した数値に基づいて、未露光部の溶解速度を評価した。110℃、120℃、130℃の各温度で150秒間の加熱によりスピンコート後の塗膜から溶媒を除去し、乾燥後の被膜を2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に25℃で1分間浸漬した。なお、被膜が1分間以内に溶解する場合は、被膜が消失するまでの時間浸漬した。浸漬後の被膜を、イオン交換水でリンスしてから窒素ガスで乾燥した。浸漬前の膜厚から浸漬後の膜厚を差し引いた膜厚減少量(単位:nm)を60秒(ただし、膜が1分間以内に溶解した場合は、膜が消失した時点までの時間)で割り算した値(単位:nm/秒)を未露光部溶解速度とした。
未露光部溶解速度が1nm/秒請求項では0.5nm/秒以下未満の場合は「A」、1nm/秒以上〜100nm/秒未満の場合は「B」、100nm/秒以上の場合は「C」、と判定した。
解像性
シリコンウェハ上に形成されたシリカ系被膜における5μm角のスルーホールパターンの形成状態に基づいて、感光性樹脂組成物の解像性を評価した。すなわち、電子顕微鏡S−4200(株式会社日立計測器サービス社製)を用いて、パターニングされたシリカ系被膜を観察し、5μm角のスルーホールパターンが形成されている場合は「A」、形成されていない場合を「B」、未露光部が溶解して被膜が消失した場合を「C」、と判定した。
シリコンウェハ上に形成されたシリカ系被膜における5μm角のスルーホールパターンの形成状態に基づいて、感光性樹脂組成物の解像性を評価した。すなわち、電子顕微鏡S−4200(株式会社日立計測器サービス社製)を用いて、パターニングされたシリカ系被膜を観察し、5μm角のスルーホールパターンが形成されている場合は「A」、形成されていない場合を「B」、未露光部が溶解して被膜が消失した場合を「C」、と判定した。
透過率の測定
可視光領域に吸収がないガラス基板上に塗布されたシリカ系被膜の透過率を、株式会社日立製作所製UV3310装置を用いて波長300nm〜800nmの範囲で測定した。波長400nmの値を表に示す。
可視光領域に吸収がないガラス基板上に塗布されたシリカ系被膜の透過率を、株式会社日立製作所製UV3310装置を用いて波長300nm〜800nmの範囲で測定した。波長400nmの値を表に示す。
耐熱性
シリコンウェハ上に形成されたシリカ系被膜について、溶媒除去した後の膜厚に対する最終硬化後の膜厚の減少率が10%未満の場合を「A」、10%以上の場合を「B」と判定した。膜厚は、ガートナー社製のエリプソメータL116Bを用い、被膜上にHe−Neレーザーを照射し、照射により生じた位相差から求めた。
シリコンウェハ上に形成されたシリカ系被膜について、溶媒除去した後の膜厚に対する最終硬化後の膜厚の減少率が10%未満の場合を「A」、10%以上の場合を「B」と判定した。膜厚は、ガートナー社製のエリプソメータL116Bを用い、被膜上にHe−Neレーザーを照射し、照射により生じた位相差から求めた。
シリコンウェハ上に形成されたシリカ系被膜について、金属顕微鏡により10倍〜100倍の倍率で面内のクラックの有無を確認した。クラックの発生がない場合は「A」、クラックが見られた場合を「B」と判定した。
表1に示されるように、30〜140℃に加熱する工程を経て調製された実施例1〜9の感光性樹脂組成物によれば、塗布後の溶媒除去の温度が110℃、120℃及び130℃のいずれの場合においても、感光性樹脂被膜の未露光部溶解速度が十分に小さかった。加えて、実施例の感光性樹脂組成物は解像性、耐熱性、クラック耐性及び透明性の点で十分に優れたシリカ系被膜を得ることができることが明らかとなった。一方、室温で攪拌した比較例の感光性樹脂組成物によれば、未露光部溶解速度及び解像性のいずれかの点で十分な性能を発揮しなかった。なお、これらの実施例では、透過率の高いシリカ系被膜が得られる感光性樹脂組成物のみを示したが、用途によっては透過率の低い被膜を提供することも可能である。
Claims (10)
- (a)成分:下記一般式(1)で表される1種以上のシラン化合物を加水分解縮合して得られる縮合体であるシロキサン樹脂と、(b)成分:前記シロキサン樹脂を溶解する溶媒と、(c)成分:ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとを含有する溶液を、30℃〜140℃に加熱する工程を備える、前記シロキサン樹脂、前記溶媒及び前記ナフトキノンジアジドスルホン酸を含有する感光性樹脂組成物の製造方法。
R1 nSiX4−n (1)
[式(1)中、
nは0〜2の整数を示し、
R1はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子及びTi原子から選ばれる少なくとも1種であって式(1)中のSi原子に直接結合する原子を含み置換基を有していてもよい基、H原子、F原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、nが2であるとき同一分子内の複数のR1は同一でも異なっていてもよく、
Xは加水分解性基を示し、同一分子内の複数のXは同一でも異なっていてもよい。] - 当該感光性樹脂組成物を基板に塗布して形成された塗膜を110℃に加熱して溶媒を除去することにより形成される感光性樹脂被膜の2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する未露光部の溶解速度が1.0nm/秒未満である、請求項1記載の製造方法。
- 前記(b)成分が、エーテルアセテート系溶媒、エーテル系溶媒、アセテート系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記(c)成分が、1価又は多価アルコールとナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の製造方法により得ることのできる感光性樹脂組成物を基板に塗布して形成された塗膜から溶媒を除去して感光性樹脂被膜を形成する工程と、
前記感光性樹脂被膜の所定部分を露光する工程と、
前記感光性樹脂被膜の露光された前記所定部分を除去して前記感光性樹脂被膜をパターニングする工程と、
パターニングされた前記感光性樹脂被膜を加熱してシリカ系被膜を形成する工程と、
を備える、シリカ系被膜の形成方法。 - パターニングされた前記シリカ系被膜を露光する工程を更に備える、請求項6記載のシリカ系被膜の形成方法。
- 基板と、該基板上に設けられた、請求項6又は7記載のシリカ系被膜の形成方法により形成することのできるシリカ系被膜と、を備える半導体装置。
- 基板と、該基板上に設けられた、請求項6又は7記載のシリカ系被膜の形成方法により形成することのできるシリカ系被膜と、を備える平面表示装置。
- 基板と、該基板上に設けられた、請求項6又は7記載のシリカ系被膜の形成方法により形成することのできるシリカ系被膜と、を備える電子デバイス用部材。
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