JP2010261522A - 通電軸受および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低トルク、耐グリース漏洩性、耐ダスト性、および省スペースを同時にかつ低コストで達成することができる通電軸受および画像形成装置を提供する。
【解決手段】 内輪2と外輪3の間に、保持器5の各ポケット11に保持された玉4を介在させ、導電グリースを封入した転がり軸受からなる通電軸受1において、上記保持器5が、環状体の一側面に一部が開放されて内部に玉4を保持するポケット11を、前記環状体の円周方向複数箇所に有する冠形状であり、前記各ポケット11の内面に、保持器内径側のポケット開口縁から保持器外径側へ延びる凹み部を設けることにより、玉4に付着しているグリースが保持器5の内径面で掻き取られる量を減少させ、内輪2の外径部へのグリース付着を防止する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、通電軸受および画像形成装置に関し、例えば、印刷機等の感光ドラムやヒートローラに使用される軸受のグリース漏れを解決する技術に関する。
印刷機等の感光ドラムやヒートローラに使用される軸受には、長寿命、低トルク、耐グリース漏洩性等が要求される。事務機器や情報機器には、グリースや油分により劣化が促進されやすい樹脂部品が多く、グリース漏れが生じない方が良い。また、感光ドラム用軸受からグリースが漏れると、印刷物にグリースが付着してしまうため、特に耐グリース漏洩性が要求される。事務機器等の通電グリースとして用いられるカーボングリースは、増ちょう剤にカーボンを用いているため、ちょう度が高く油が分離し易い。そのためグリースが軸受外部に漏れやすい。
軸受からのグリース漏れは、通常、シール形状にて対策するのが一般的である。シール形式を非接触とすると低トルクとなるが、耐グリース漏洩性、耐ダスト性が問題となる。シール形式を接触とすれば、耐ダスト性は高くなるが、高トルクとなる。また、シールリップ部分にグリースが存在した状態で軸受温度が上昇すれば、次のような現象が起きる。すなわち軸受内部の空気の膨張によって軸受内部の圧力が上昇し、軸受外部と圧力差が生じ、シールリップ部分を開いてグリースや空気が軸受外部へ漏洩する現象(以下、この現象を「呼吸現象」と称す)が起きる。このような温度サイクルによる呼吸現象により、グリース漏洩も起こる。特に、印刷機における感光ドラムやヒートローラ部は、印字のために加熱しなければならず、稼動時と停止時の温度差が大きいため、呼吸現象を生じ易い。
例えば、グリースの構成により、グリース組成物の漏洩を防ぐ方法がある(特許文献1)。これは、グリースの構成によって、離油度を低くしている。同様に、グリースのちょう度により漏洩性を高めているものもある(特許文献2)。
特開2007−32608号公報 特開2005−97532号公報 特開2002−53890号公報
上記特許文献1または2に開示のものでは、シールリップにグリースが存在すれば呼吸現象により軸受からグリースが容易に漏洩することとなる。軸受の軸方向にスリンガ等を設けてグリース漏れの防止を図るものでは、前記軸方向にスリンガ等を設けるためのスペースが必要であり、部品点数が増えて製造コストが高くなる。
この発明の目的は、低トルク、耐グリース漏洩性、耐ダスト性、および省スペースを同時にかつ低コストで達成することができる通電軸受および画像形成装置を提供することである。
この発明の通電軸受は、内輪と外輪の間に、保持器の各ポケットに保持された転動体を介在させ、導電グリースを封入した転がり軸受からなる通電軸受において、上記保持器が、環状体の一側面に一部が開放されて内部に玉を保持するポケットを、前記環状体の円周方向複数箇所に有する冠形状であり、前記各ポケットの内面に、保持器内径側のポケット開口縁から保持器外径側へ延びる凹み部を設けたことを特徴とする。
この構成によると、冠形状の玉軸受用保持器を適用し、このポケットの内面に、保持器内径側のポケット開口縁から保持器外径側へ延びる凹み部を設けたため、玉に付着している導電グリースを保持器の内径面で掻き取る量が減少する。これにより、保持器ポケット背面側からのグリース漏洩を抑制し、内輪外径部へのグリース付着を防止することができる。それ故、内輪のシール溝への導電グリースの流動を防止でき、よって軸受からのグリース漏れを防止できる。
前記シール溝への導電グリースの流動を防止できるため、前記呼吸現象すなわち軸受内部の空気の膨張によって軸受内部の圧力が上昇し、軸受外部と圧力差が生じ、シールリップ部分を開いてグリースや空気が軸受外部へ漏洩する現象があったとしても、軸受からの導電グリースの漏れを防ぐことができる。この通電軸受を事務機器や情報機器に適用した場合に、グリース漏れが生じないため、機器に用いられる樹脂部品であってグリースや油分に弱い樹脂部品の劣化を未然に防止することができる。印刷物等へのグリース付着をも防止することが可能となる。また、シールを非接触とすることができるため、低トルク化も図れ、製品の省電力化となる。さらに、軸受からグリースが漏れにくいため、軸受のグリース封入量を増やすことができ、軸受が長寿命となる。
また、導電性のよいグリース(特許文献3)は混和ちょう度が高いため、従来の保持器では、グリースが漏洩しやすいが、前記保持器を用いることで、グリースを軸受外部に漏洩させず、かつ導電性の良好な軸受とすることができる。
前記保持器により、グリース漏洩を防ぐことができるため、内輪のシール溝の形状を設計変形する必要がなく、また通電軸受の軸方向に、スリンガ等を設ける必要もない。したがって、部品点数を増やす必要がなく、省スペース化を達成することができる。従来のものより、部品点数低減による製造コストの低減を図ることができる。
上記ポケットの凹み部の軸方向位置が、内輪の軌道面の肩部と略一致する位置であっても良い。保持器の内径面に堆積する通電グリースが多量となるのは、転動体と内輪の軌道面との接触により、この軌道面の肩部と一致する軸方向位置の近傍となる。したがって、凹み部の軸方向位置を、前記肩部と略一致する位置とすることで、保持器の内径面と前記肩部との径方向隙間を大きくしたものと同様の作用効果を得る。よって、転動体に付着している通電グリースを、保持器の内径面で掻き取る量が効果的に減少し、通電グリースが保持器の内径面に多量に堆積することがない。
上記凹み部が、上記ポケットの開口縁における保持器円周方向の中心の両側に位置して複数箇所に設けられても良い。
このように、保持器円周方向の中心の両側の位置に凹み部が複数箇所に設けられていることで、軸受の回転方向によらず、転動体の表面のグリース掻き取り量を減少させることができる。
上記凹み部が、上記ポケットの開口縁における保持器円周方向の中心から両側に広がって1箇所に設けられても良い。この場合、1箇所の凹み部により、転動体の表面のグリース掻き取り量を減少させ得るため、保持器構造を簡単化することができる。よって、この凹み部を形成するための金型構造を簡単化すると共に、保持器内径面に溜まるグリース量を減少させることが可能となる。各ポケットの内面に凹み部を砥石等により後加工する場合、複数箇所の凹み部を形成する場合に比べて工数低減を図ることができる。それ故、製造コストの低減を図ることが可能となる。
上記各ポケットの背面における保持器内径縁から保持器外径側へ延びる凹み部を設けても良い。これにより、ポケットでの内径面の面積を低減できて、グリース漏れ防止の効果を上げることができる。
凹み部は、保持器内径側の開口縁から玉配列ピッチ円の付近まで延びていて、保持器内径縁から玉配列ピッチ円に近づくに従って徐々に浅くかつ幅狭となる形状であっても良い。
前記各ポケットにおける保持器外径側での軸方向厚さを、保持器内径側での軸方向厚さよりも厚くしても良い。
前記各ポケットの開放側先端部における保持器外径側先端部の軸方向への突出長を、保持器内径側先端部の軸方向への突出長よりも短くしても良い。この場合、軸受運転時に外輪からの導電グリースは、保持器外径側先端部で掻き取られ、導電グリースが内輪に付着しない。内輪からの導電グリースも、保持器外径側先端部で掻き取られ、転動体に付着する導電グリース量が少なくなり、導電グリースが転動体の回転の極に堆積することが抑制される。
複写機またはプリンタ等の事務機における画像形成装置の感光ドラムの支持用に使用される通電軸受であっても良い。この場合、事務機の樹脂部品に導電グリースが付着することを防止し、グリースや油分に弱い樹脂部品の劣化を未然に防止できる。印刷物等へのグリース付着をも防止できる。
請求項9記載の通電軸受を感光ドラムの支持に用いた画像形成装置であっても良い。
上記導電グリースは、体積抵抗率が5×10Ω・cm以下であり、かつ混和ちょう度(JIS K2220)が250以上350以下となるように、導電性カーボンを20重量%以上40重量%以下配合してなる導電性潤滑グリースを封入した通電軸受であっても良い。
導電性カーボンの分散助剤として、リチウム石鹸を2重量%以上10重量%以下配合してなる前記導電性潤滑グリースを封入した通電軸受であっても良い。
導電性カーボンが、粒子径300Å以上800Å以下であり、フタル酸ジブチルの吸油量50〜300ml/100gの導電性カーボンである前記導電性潤滑グリースを封入した通電軸受であっても良い。
この発明の通電軸受は、内輪と外輪の間に、保持器の各ポケットに保持された転動体を介在させ、導電グリースを封入した転がり軸受からなる通電軸受において、上記保持器が、環状体の一側面に一部が開放されて内部に玉を保持するポケットを、前記環状体の円周方向複数箇所に有する冠形状であり、前記各ポケットの内面に、保持器内径側のポケット開口縁から保持器外径側へ延びる凹み部を設けたため、低トルク、耐グリース漏洩性、耐ダスト性、および省スペースを同時にかつ低コストで達成することができる。
(a)は、この発明の一実施形態に係る通電軸受の部分拡大断面図、(b)は同軸受のシール部材付近の拡大断面図である。 同玉軸受用保持器の斜視図である。 (A)は同保持器の一例の部分拡大斜視図、(B)は同斜視図に仮想円筒を加えた状態を示す斜視図である。 (A)は同保持器の他の一例の部分拡大斜視図、(B)は同斜視図に仮想多角柱を加えた状態を示す斜視図である。 (A)は同保持器のさらに他の一例の部分拡大斜視図、(B)は同斜視図に仮想リングを加えた状態を示す斜視図である。 同保持器のポケットと仮想リングの関係を断面で示す説明図である。 この発明の他の実施形態にかかる玉軸受用保持器の斜視図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかる玉軸受用保持器の斜視図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかる玉軸受用保持器の部分拡大斜視図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかる玉軸受用保持器の部分拡大斜視図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかる玉軸受用保持器の部分拡大斜視図である。 玉軸受用保持器のポケットと内輪軌道面の間での軸方向位置の関係の説明図である。 (A)は図3に示す構造の保持器を組み込んだ玉軸受のグリース漏れ試験の結果の説明図、(B)は(A)の部分拡大図である。 (A)は一般的な冠形状の保持器を組み込んだ玉軸受のグリース漏れ試験の結果の説明図、(B)は(A)の部分拡大図である。 (A)はこの発明のさらに他の実施形態にかかる玉軸受用保持器の部分拡大斜視図、(B)は同斜視図に仮想円筒を加えた状態を示す斜視図である。 この発明の他の実施形態の玉軸受用保持器の斜視図である。 同玉軸受用保持器の製造方法の説明図である。 同玉軸受用保持器の他の製造方法の説明図である。 同玉軸受用保持器の爪先端のポケット中心からの角度の説明図である。 同玉軸受用保持器の爪の幅の説明図である。 玉軸受用保持器の爪の他の形状例を示す側面図である。 玉軸受用保持器の爪のさらに他の形状例を示す側面図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかるアンギュラ玉軸受の要部拡大断面図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかるアンギュラ玉軸受の要部拡大断面図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかるアンギュラ玉軸受の要部拡大断面図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかる複列アンギュラ玉軸受の要部拡大断面図である。 この発明の一実施形態に係る通電軸受を、画像形成装置の感光ドラムの支持用に使用した例を概略表す断面図である。
この発明の一実施形態を図面1ないし図3と共に説明する。この実施形態に係る通電軸受は、例えば、印刷機等の感光ドラムやヒートローラに使用される。ただし、感光ドラムやヒートローラに限定されるものではい。
この通電軸受1は、内外輪2,3と、複数の転動体としての玉4と、保持器5と、シール部材6,6とを有するシール付きの深溝玉軸受である。内輪2と外輪3の軌道面2a,3aの間に、複数の玉4を介在させ、前記保持器5は、これら玉4を保持する。玉4は例えば鋼球からなる。シール部材6,6は、軸受両側面の軸受空間を密封する非接触形のものである。軸受空間に後述する導電グリースが封入される。
前記各シール部材6は、環状の芯金7とこの芯金7に一体に固着されるゴム状部材8とで構成され、外輪3の内周面に形成されたシール取付溝9に外周部が嵌合状態に固定される。このシール部材6の代替手段として、鋼板からなるシールドを用いても良い。内輪2はシール部材6の内径部に対応する位置に、円周溝からなるシール溝10が形成され、シール部材6の内径側端と内輪2のシール溝10との間にラビリンスシール隙間δが形成される。
保持器5は、図2に示すように、内部に玉4(図1(a))を保持するポケット11を、環状体12の円周方向の複数箇所に有する冠形状のものである。各ポケット11は、環状体12の一側面に一部が開放されている。各ポケット11の内面は、玉4の外面に沿った凹球面状の曲面形状とされている。環状体12の隣合うポケット11,11間の部分は連結部13となる。各ポケット11の開放側には、保持器円周方向に対面する一対の爪14,14が軸方向に突出して設けられている。なお、この明細書において、軸受軸方向のポケット開放側をポケット側と呼び、その反対側を背面側と呼ぶ。
保持器5のポケット11の内面には、図2、図3に示すように、保持器内径側のポケット開口縁から保持器外径側へ延びる複数の凹み部16が設けられている。この凹み部16を設けることにより、玉4に付着している導電グリースが保持器5の内径面で掻き取られる量を減少させ、内輪2の外径部へのグリース付着を防止する。この例では、凹み部16を、ポケット11の開口縁における保持器円周方向の中心OW11の両側に位置する2箇所としている。各凹み部16の内面形状は、保持器円周方向に沿う断面形状(すなわち保持器中心軸に垂直な平面で断面した断面形状)が、ポケット11の内面となる凹球面の曲率半径Raよりも小さな曲率半径Rbの円弧状であり、詳しくは図3(B)に示すように、保持器5の半径方向の直線Lを中心とする各仮想円筒Vの表面に略沿う円筒面状の形状である。この凹み部16は、保持器半径方向につき、保持器内径側のポケット開口縁から玉配列ピッチ円PCDの付近まで延びていて、保持器内径縁から玉配列ピッチ円PCDに近づくに従って徐々に小さく、つまり徐々に浅くかつ幅狭となる形状である。なお、玉配列ピッチ円PCDはポケットPCDとも呼ぶ。
2個の凹み部16の位置は、例えば、ポケット11の開口縁における保持器円周方向の中心OW11に対する周方向の配向角度を40°±15°とした対称な2箇所である。凹み部16の深さは、ポケット内面の凹球面の中心O11から凹み部16の最深位置までの距離Rcが、玉4の半径の1.05倍以上となる深さであることが好ましい(丁度1.05倍であって良い)。
なお、この実施形態では凹み部16を2箇所としたが、3箇所以上としても良い。
図4のポケットの内面のさらに他の例は、凹み部16の断面形状(保持器円周方向に沿う断面形状)を、多角形状としたものである。詳しくは、同図(B)に示すように、保持器5の半径方向の直線LAを中心とする各多角形柱(図示の例では正10角形柱)VAの表面に略沿う多角形状である。この凹み部16は、保持器半径方向につき、保持器内径側の開口縁から玉配列ピッチ円PCDの付近まで延びていて、保持器内径縁から玉配列ピッチ円PCDに近づくに従って徐々に小さく、つまり徐々に浅くかつ幅狭となる形状である。この図4の実施形態におけるその他の構成は、図3の例と同様である。
図5のさらに他の例は、ポケット11の内面に設けられる凹み部16が、ポケット11の開口縁における保持器円周方向の中心OW11の両側に位置して2箇所に設けられ、かつ、各凹み部16が保持器外径縁付近まで延びている。これら凹み部16の内面の保持器円周方向に沿う断面形状は、ポケット11の内面となる凹球面の曲率半径Raよりも小さな曲率半径RBbの円弧状であり、詳しくは同図(B)に示すように、一つの仮想リングVBの表面に略沿った形状である。この仮想リングVBは、凹み部16を加工する砥石の外周面であっても良い。前記仮想リングVBは、ポケット11内に収まるリング外径であって、任意周方向位置の断面形状が円形となるドーナツ状であり、図6のように、リング中心OVBが保持器中心軸Oに対して傾きを持つ。
なお、この発明において、凹み部16の保持器円周方向に沿う断面形状は、図3〜図5の各例の形状に限らず、部分楕円状や、矩形溝状、台形溝状や、その他任意の断面形状としても良い。凹み部16の上記断面形状は、凹み部中心に対して非対称の形状であっても良い。
ポケット11における内面形状は、球面状に限らず、玉配列ピッチ円PCDよりも内径側の部分が、保持器内径側開口縁に近づくに従って小径となる形状であれば良く、例えば玉配列ピッチ円PCDよりも外径側の部分が円筒面状、内径側の部分が円すい面状であっても良い。
図7の例の玉軸受用保持器5は、図3〜図5に示す実施形態において、連結部13の内径面の背面側を削除したものである。これにより、ポケット11では、その背面側が円弧状の殻部11aで囲まれた形状となる。
図3〜図5の例では、前記凹み部16により、玉4に付着したグリースを保持器5の内径面で掻き取る量を減らすことができるものの、わずかに付着する場合には、その堆積量が増加するとグリース漏れに繋がってしまう。つまり、この場合、連結部13の内径面にもグリースが付着し、この部分のグリースが軸方向にしか移動できない。この連結部13の軸方向の範囲が、内輪2の外径部の存在領域と重なる場合、すなわち連結部13の内径面が内輪2の軌道面2aよりも軸受端面側に位置する場合には、連結部13の内径面からグリースが軸受外に漏れてしまうことになる。そこで、図7のように、連結部13の内径面の背面側を削除すると、連結部13の内径面からグリースが軸受外に漏れるのを防ぐことができる。
図7の例では、連結部13の背面側において、内径面から外径面にわたって削除した例を示しているが、保持器5の強度を考えた場合は、その削除量は少ないことが望ましい。内輪2の外径部へのグリース付着の抑制には、内輪2の外径面と保持器5の内径面との距離を長くすることも有効であることから、連結部13の内径側のみを一部削除し、外径側に従来のような壁面を残すようにしても良い。すなわち、隣合うポケット11,11間の連結部13の円周方向中央位置における断面において、連結部13の削除されずに残された内径面の背面側の軸方向位置を、内輪2の軌道面2aの肩部よりも軌道面2a中央側に位置させることが、グリース漏れ防止の上で重要である。このことを、図7の保持器5に仮想線で示す内輪2の断面図を重ねて、軸方向Yの位置関係の模式図として図12に示す。つまり、同図において、連結部13の軸方向位置Ybが、内輪2の軌道面2aの肩部の軸方向位置Yaよりも軌道面2aの中央側(Yb<Ya)であれば良い。
また、同図におけるYbの位置は、連結部13の内径面が存在してよい背面側の位置であり、その外径側にポケット11の中央部の背面側の軸方向位置と同じ位置まで延びる外壁面が存在しても良い。同様に、Ybの位置から外径側に向けて連結部13の軸方向厚さが、背面側へと徐々に、あるいは段階的に厚くなるような形状としても良い。
図8の例の玉軸受用保持器5は、図7の実施形態において、ポケット11の殻部11aの厚さを比較的厚くした例を示す。この場合の殻部11aの厚みの増加は、保持器5の内径面の面積増加を招くため、グリース漏れを助長する傾向になる。とりわけ、保持器5の内径面において、堆積するグリースが多量になる位置は、図12における内輪2の軌道面2aの肩部と一致する軸方向位置の近傍(符号Pで示す)となるので、この軸方向位置の近傍での保持器5の内径面の面積低減が重要である。そこで、この実施形態では、そのポケット11の殻部11aの外面にも凹み部26を設け、ポケット11の内径面の面積を低減している。これにより、保持器5の内径面へのグリース堆積量の減少と、保持器単体の強度向上とを両立させることができる。
保持器5の内径面の面積を低減するには、図9に部分拡大斜視図で示すように、ポケット11の内面に設ける凹み部16を大きくしても良い。
図10に部分拡大斜視図で示すように、保持器5を構成する環状体12を、内径側の軸方向厚さが薄く、外径側に向かって徐々に厚くなる形状とすることで、保持器5の内径面の面積を低減するようにしても良い。同様に、環状体12の軸方向厚さを、内径側から外径側へと段階的に増加させるようにしても良い。
図11の例の玉軸受用保持器5は、図8の実施形態において、ポケット11の開放側に突出する一対の先端部14の一部を削除して、軽量化を図ったものである。玉軸受1を高速回転で使用する場合、保持器5に作用する遠心力の影響が大きくなる。この遠心力による保持器5の応力を低減するためには、保持器5の軽量化が有効である。そこで、この実施形態では、先端部14の外径側を一部削除した形状としている。高速回転時に、保持器5の先端部14では、ポケット11の中央部に対して外径側に傾くように変形するため、先端部14の内径側で玉4を案内することになる。したがって、この実施形態のように、先端部14の外径側を一部削除しても、軸受機能上の悪影響は生じない。
図13および図14は、グリース付着状態の確認を行なった試験結果を示す。この試験では、図7の例の保持器5を組み込んだ玉軸受と、一般的な冠形状の保持器とを組み込んだ玉軸受とを、同一条件で運転して比較した。図13は、図7の例の保持器5を用いた玉軸受のグリース付着状態を示し、図14は一般的な冠形状の保持器を用いた玉軸受のグリース付着状態を示す。
この試験結果から、一般的な冠形状の保持器を組み込んだ玉軸受(図14)では、保持器内径面と内輪の外径部との間にグリースが多量存在し、紙面手前方向の内輪シール溝に向かってグリースが漏れてきている。玉軸受にシールが装着されていれば、シール溝とシール先端との間にグリースが流動し、軸受内部の温度上昇とともに軸受外部へ漏洩することになる。実施形態の保持器5を組み込んだ玉軸受(図13)では、保持器5の内径部に極微量のグリース付着が認められるものの、内輪外径部には認められないことが分かる。
試験結果からわかるように、この実施形態の玉軸受用保持器5では、各ポケット11の内面に、保持器内径側のポケット開口縁から保持器外径側へ延びる凹み部16を設けたことにより、玉4に付着しているグリースを保持器5の内径面で掻き取る量が減少する。これにより、内輪2の外径部へのグリース付着を防止することができる。内輪2の外径部へのグリース付着がなければ、内輪2のシール溝10(図1)へのグリースの流動を防止でき、結果として通電軸受1からのグリース漏れを防止できる。
前記各実施形態において、ポケット11の内面の凹み部16の好ましい位置は、図12に符号Pで示す位置である。つまり、凹み部16の軸受軸方向位置が、保持器5を玉軸受1に組み込んだ際の内輪軌道面2aの肩部と概ね一致する場所である。なぜなら、保持器5の内径面に堆積するグリースが多量となるのは、玉4と内輪軌道面2aの接触により、軌道面肩部と一致する軸方向位置の近傍となるからである。
図15の例の玉軸受用保持器5は、図3〜図5の実施形態において、ポケット11の内面に設ける2つの凹み部16を、1つの凹み部16に置き換えたものである。この凹み部16の場合も、保持器内径側の開口縁から保持器外径側に延びるものとし、この凹み部16の内面の保持器円周方向に沿う断面形状(すなわち保持器中心軸に垂直な平面で断面した断面形状)を、ポケット11の内面となる凹球面の曲率半径Raよりも小さな曲率半径RCbの円弧状としている。
この凹み部16は、ポケット11の開口縁における保持器円周方向の中心OW11から両側に広がって1箇所に設けられ、凹み部16の幅W16は、ポケット11の保持器円周方向の幅W11の略全体にわたる幅としている。凹み部13の幅W16は、ポケット11の幅W11の半分よりも大きいことが好ましく、2/3以上、あるいは3/4以上であることがより好ましい。
凹み部16の内面形状は、同図15(B)に示すように、保持器5の半径方向の直線LCを中心とする仮想円筒VCの表面に略沿う円筒面状の形状である。上記仮想円筒VCは、凹み部16を加工する砥石の表面であっても良い。この凹み部16は、保持器半径方向につき、保持器内径側の開口縁から玉配列ピッチ円PCDまで延びていて、保持器内径縁から玉配列ピッチ円PCDに至るに従って、徐々に小さく、つまり徐々に浅くかつ幅が狭くなる形状とされている。凹み部16は、この実施形態では、丁度、玉配列ピッチ円PCDまで延びているが、玉配列ピッチ円PCDよりも保持器外径側まで若干延びていても、また玉配列ピッチ円PCDに若干達しないものであっても良い。
凹み部16の深さは、ポケット内面の凹球面の中心O11から凹み部16の最深位置までの距離RCcが、玉4の半径の1.05倍以上となる深さ(丁度1.05倍であって良い)であることが好ましい。ポケット11の内面となる凹球面の曲率半径Raは、玉4の半径よりも僅かに大きくし、玉4の半径の1.05未満としている。
図16の例の玉軸受用保持器5は、各ポケット11の開放側に、円周方向に対面する一対の爪14,14が軸方向に突出して設けられた冠形状の玉軸受用保持器において、各ポケット11のうち保持器内径側の爪部14a,14aの先端間の間隔よりも、保持器外径側の爪部14b,14bの先端間の間隔が広く設定されている。さらに、各ポケット11の内面に、凹み部16を設けている。
爪部14aの突出長は、一般的な冠形状の保持器における爪の突出長と同じにされ、爪部14bの突出長は爪部14aよりも長くされている。すなわち各ポケット11の開放側先端部における保持器内径側先端部つまり爪部14aの軸方向への突出長が、保持器外径側先端部つまり爪部14bの軸方向への突出長よりも短くされている。爪14の保持器円周方向に沿う断面(玉配列のピッチ円PCDに沿う断面)を示す図19のように、ポケット中心O11から爪部14a先端および爪部14b先端を臨む保持器円周方向に対する角度θa ,θb を、爪部14b先端を臨む角度θb が、爪部14a先端を臨む角度θa の1.5倍以上(θb ≧1.5θa )に設定するのが好ましい。
保持器外径側の爪部14bの保持器径方向の幅は、図20に示すように、ポケット11における保持器円周方向の中心を通る保持器半径方向の直線Nに投影した爪14の全幅(ポケット幅)をIt としたとき、前記直線Nに投影した爪部14bの幅Ie が、前記全幅It の2/3以下(Ie ≦2/3It )に設定するのが好ましい。
この実施形態では、図17や図18に示す工程で玉軸受用保持器5を製造する。図17(A)に示すように、保持器外径側の爪部14bの、保持器内径側の爪部14aよりも突出する爪先端部分からなる爪部品14baを、保持器本体5Aと別体に形成する。そして、内外輪2,3(図1(a))および玉4に前記保持器本体5Aを組み込んだ後に、図17(B)のように、爪部品14baを保持器本体5Aに、接着、あるいはホットプレス等による溶着、あるいは嵌合する。これにより、保持器組み込み時に、爪14の付け根で白化や破損が生じるのを避け得る。爪部品14baは、保持器内径側の爪部14aよりも突出する爪先端部分だけでなく、保持器外径側の爪部14bの大部分あるいは全体であってもよい。
図18の製造方法は、図18(A)のように、爪部14bの、爪部14aよりも突出する爪先端部分14baを、完成時よりもポケット中心O11から離反する開放姿勢とした保持器半製品5Bを製作する。そして、内外輪2,3(図1(a))および玉4に保持器半製品5Bを組み込んだ後に、図18(B)のように、爪先端部分14baを玉4の表面に沿う閉鎖姿勢に、熱を加えながら折り曲げて熱変形させたり、あるいは二次加工する。これにより、保持器組み込み時に、爪14の付け根で白化や破損が生じるのを回避し得る。
図16の例の玉軸受用保持器5では、外輪3(図1(a))からのグリースは、保持器外径側の爪部14bの外径部分で掻き取られ、グリースが内輪2に付着しない。内輪2からのグリースも、保持器内径側の爪部14bの内径部分で掻き取られ、玉4に付着するグリース量が少なくなり、転動体の回転の極にグリースが堆積することを抑制する。掻き取られたグリースは、内輪2の外径面から遠い位置にあるため、掻き取られたグリースが内輪2の外径面に付着することはない。さらに、各ポケット11の内面に、凹み部16を設けたことにより、玉4に付着しているグリースを保持器5の内径面で掻き取る量が減少する。これにより、内輪2の外径部へのグリース付着をより確実に防止し得る。
他の例の玉軸受用保持器として、保持器内径側の爪先端よりも保持器外径側の爪先端の突出長が長ければ、爪の形状は、爪14の形状は、内外輪2,3や非接触シール6(図1)に非接触である限り、どのような形状でも良い。
図21の他の例では、各ポケット11の一対の爪14,14の先端間の間隔を、保持器外径側から保持器内径側に向けて無段階に狭くしている。さらに、各ポケット11の内面に、凹み部16(図3〜図5等)を設けている。
図22の他の例では、各ポケット11の一対の爪14,14の保持器内径側の先端間を開放し、保持器外径側の先端間を連結している。さらに、各ポケット11の内面に、凹み部16(図3〜図5等)を設けている。
導電グリースについて説明する。
本発明に用いられる導電性潤滑グリースは、体積低効率が5×10Ω・cm以下であり、かつ混和ちょう度(JIS K2220)が250〜350となるように、導電性カーボンを20〜40重量%配合してなる導電性潤滑グリースが好ましい。
前記グリースに用いる基油は、特に限定することなく周知の潤滑油を1種または2種以上混合して使用することができ、例えば鉱油、合成炭化水素油、エステル油、エーテル油、グリコール系油またはアルキルシクロペンタン油などが挙げられる。また、近年の複写機等の事務用機器には、ポリカーボネート樹脂などの樹脂部品が多用されているから、これらの樹脂を損傷しない基油として、鉱油、合成炭化水素油、またはグリコール系油を使用することが好ましい。
このような基油に配合する増ちょう剤は、特に限定することなく、金属石鹸などを採用することもできるが、できれば増ちょう剤としてカーボンブラックを採用することが導電性を充分に高めるために好ましい。
グリースに所要の導電性を付与するために添加される導電性カーボンは、粒子径300〜800Åのものが好ましく、フタル酸ジブチル(DBP)の吸油量50〜300ml/100gの導電性カーボンを採用することが好ましい。導電性グリースの導電性を向上させるためには、できるだけ多量の導電性カーボンを添加することが好ましい。また、粒子径が所定粒径の範囲より小粒径で、吸油性が所定の値よりも大きい導電性カーボンは、増ちょう性が高く、すなわち軸受内でせん断を受けた際に増ちょう性を高くしやすく、凝集したグリースが転走面に広がり難くなって所要の導電性が得られ難い。このような傾向から、より好ましい導電性カーボンは、粒子径400〜600Åであり、フタル酸ジブチル(DBP)の吸油量50〜200ml/100gの導電性カーボンであり、好ましい配合量は20〜40重量%程度である。
導電性カーボンの分散助剤として、リチウム石鹸を2〜10重量%配合すると、カーボンをよく分散させて凝集を防ぎ、その導電性が充分に発揮される。リチウム石鹸の添加量が2重量%未満では、カーボンの凝集抑制効果がなく、10重量%を超えて多量に配合すると、リチウム石鹸が増ちょう剤として機能するようになり、グリースを硬化させて流動性を悪くするために好ましくない。
これらの導電性グリースの効果を阻害しない限り、上記導電性潤滑グリースには、酸化防止剤、極圧剤、磨耗抑制剤、防錆剤、洗浄分解剤などの周知の潤滑油用添加剤を添加してもよい。
以上説明した実施形態におけるいずれかの玉軸受用保持器5の背面側を、グリース対策を施したい側に向けて組み込めば、最終製品のグリース密封機能が保たれる。
特に、この実施形態に係る通電軸受1に冠形状の保持器5を適用し、このポケット11の内面に、保持器内径側のポケット開口縁から保持器外径側へ延びる凹み部16を設けたため、玉4に付着している導電グリースを保持器5の内径面で掻き取る量が減少する。これにより、保持器ポケット背面側からのグリース漏洩を抑制し、内輪外径部へのグリース付着を防止することができる。それ故、内輪2のシール溝10への導電グリースの流動を防止でき、よって通電軸受1からのグリース漏れを防止できる。
シール溝10への導電グリースの流動を防止できるため、前述の呼吸現象があったとしても、通電軸受1からの導電グリースの漏れを防ぐことができる。この通電軸受1を事務機器や情報機器に適用した場合に、グリース漏れが生じないため、機器に用いられる樹脂部品であってグリースや油分に弱い樹脂部品の劣化を未然に防止することができる。印刷物等へのグリース付着をも防止することが可能となる。また、シール部材6を非接触とすることができるため、低トルク化も図れ、製品の省電力化となる。さらに、通電軸受1からグリースが漏れにくいため、軸受のグリース封入量を増やすことができ、軸受が長寿命となる。前記保持器により、グリース漏洩を防ぐことができるため、内輪2のシール溝10の形状を設計変形する必要がなく、また通電軸受1の軸方向に、スリンガ等を設ける必要もない。したがって、部品点数を増やす必要がなく、省スペース化を達成することができる。従来のものより、部品点数低減による製造コストの低減を図ることができる。
上記ポケット11の凹み部16の軸方向位置が、内輪2の軌道面2aの肩部2aa(図1(a))と略一致する位置であっても良い。保持器5の内径面に堆積する通電グリースが多量となるのは、玉4と内輪2の軌道面2aとの接触により、この軌道面2aの肩部2aaと一致する軸方向位置の近傍となる。したがって、凹み部16の軸方向位置を、前記肩部2aaと略一致する位置とすることで、保持器5の内径面と前記肩部2aaとの径方向隙間を大きくしたものと同様の作用効果を得る。よって、玉4に付着している通電グリースを、保持器5の内径面で掻き取る量が効果的に減少し、通電グリースが保持器5の内径面に多量に堆積することがない。
図3〜図5に示すように、ポケット11の凹み部16が、上記ポケット11の開口縁における保持器円周方向の中心OW11の両側に位置して複数箇所に設けられている場合、軸受の回転方向によらず、玉4の表面のグリース掻き取り量を減少させることができる。
図15に示すように、凹み部16が、ポケット11の開口縁における保持器円周方向の中心OW11から両側に広がって1箇所に設けられている場合、この1箇所の凹み部16により、玉4の表面のグリース掻き取り量を減少させ得るため、保持器構造を簡単化することができる。よって、この凹み部16を形成するための金型構造を簡単化すると共に、保持器内径面に溜まるグリース量を減少させることが可能となる。各ポケット11の内面に凹み部16を砥石等により後加工する場合、複数箇所の凹み部16を形成する場合に比べて工数低減を図ることができる。それ故、製造コストの低減を図ることが可能となる。
図5に示すように、各ポケット11の背面における保持器内径縁から保持器外径側へ延びる凹み部16を設けた場合、ポケット11の内径面の面積を低減できて、グリース漏れ防止の効果を上げることができる。
図16に示すように、各ポケット11の開放側先端部における保持器外径側先端部の軸方向への突出長を、保持器内径側先端部の軸方向への突出長よりも長くしても良い。この場合、軸受運転時に外輪3からの導電グリースは、保持器外径側先端部つまり爪部14bで掻き取られ、導電グリースが内輪2に付着しない。内輪2からの導電グリースも、保持器外径側先端部つまり爪部14bで掻き取られ、玉4に付着する導電グリース量が少なくなり、導電グリースが転動体の回転の極に堆積することを抑制する。
本実施形態に係る保持器5をアンギュラ玉軸受に適用しても良い。
図23に示す単列アンギュラ玉軸受においては、内輪2の右側にシール溝10が形成され、図1と同様の非接触形のシール部材6は右端にのみ設けられる。右側のシール溝10に対応して外輪内径面の右側端にシール部材固定溝9が形成されている。図23左側の内輪外径面を成すカウンターボア部CBは、同図右側の外径部2Dより小径に形成される。これにより、外輪3および玉4に対し、内輪2をこの左側のカウンターボア部CBから容易に組み込むことができる。さらに、ポケット背面側における保持器5の内径面と、前記カウンターボア部CBとの距離δ2を長くし得る。この場合、保持器の凹み部16により、玉4に付着しているグリースを保持器5の内径面で掻き取る量が減少する相乗効果により、左側のカウンターボア部CBへのグリース付着防止を図ることが可能となる。
図24に示す他の例では、軌道面2a等から同図左側に押し出されるグリースについて、凹み部16により、玉4付着のグリースを保持器5の内径面5dで掻き取る量が減少する。これにより、内輪2の外径部2Dへのグリース付着を防止でき、シール溝10へのグリース流動を防止し得る。
図25の他の例のように、内外輪両側にシール部材6,6が設けられていても良い。軌道面2a等から同図右側に押し出されるグリースは、右側のシール部材6によりグリース漏れを防止し得る。軌道面2a等から同図左側に押し出されるグリースについて、保持器5の凹み部16により、玉4に付着しているグリースを内径面5dで掻き取る量が減少する。
図26に示す複列アンギュラ玉軸受においては、軌道面2a,3a間に複列の玉4を介在させ、各列の保持器5が各列における複数の玉4を保持している。各列の保持器5のポケット開放側を軸方向内方に向け、ポケット背面側がシール部材6にやや離隔して対向する。換言すれば、2個の保持器5,5のポケット面が向かい合うように配置される。軸受空間には前述の導電グリースが封入される。これらアンギュラ玉軸受においても、前述の深溝玉軸受と同様の作用効果を奏する。
なお、図23乃至図26のアンギュラ玉軸受では、非接触形のシール部材6を適用したが、各アンギュラ玉軸受において、接触形のシール部材を適用することも可能である。この場合、グリース漏れ防止効果をさらに高めることができる。
図27に示すように、複写機またはプリンタ等の事務機における画像形成装置GKの感光ドラムKDの支持用に使用される通電軸受1であっても良い。この画像形成装置GKのケーシングKSの一側壁部および他側壁部に、二個の通電軸受1,1の各外輪3が嵌合され、外輪端面が図示外の手段により抜け止めされる。これら通電軸受1の内輪2,2に、感光ドラムKDの主軸KDjの両端部が嵌合される。感光ドラムKDを伝わって内輪2に流入した静電気は、内輪2→導電グリース→外輪3という経路、および内輪2→玉4→外輪3という経路で外輪3に流入し、外輪3から放電され得る。
この場合、複写機または事務機の樹脂部品に導電グリースが付着することを防止し、グリースや油分に弱い樹脂部品の劣化を未然に防止できる。印刷物等へのグリース付着をも防止できる。
通電軸受1が搬送装置の搬送ローラとして用いられる場合、例えば、搬送面を伝わって外輪に流入した電気を、外輪3→導電グリース→内輪2という経路、および外輪3→玉4→内輪2という経路で内輪に流入させ、この内輪2に嵌合した軸に導電させるようにしても良い。
1…通電軸受
2…内輪
3…外輪
4…玉
5…玉軸受用保持器
11…ポケット
12…環状体
16…凹み部

Claims (13)

  1. 内輪と外輪の間に、保持器の各ポケットに保持された転動体を介在させ、導電グリースを封入した転がり軸受からなる通電軸受において、
    上記保持器が、環状体の一側面に一部が開放されて内部に玉を保持するポケットを、前記環状体の円周方向複数箇所に有する冠形状であり、前記各ポケットの内面に、保持器内径側のポケット開口縁から保持器外径側へ延びる凹み部を設けたことを特徴とする通電軸受。
  2. 請求項1において、上記ポケットの凹み部の軸方向位置が、内輪の軌道面の肩部と略一致する位置である通電軸受。
  3. 請求項1または請求項2において、上記凹み部が、上記ポケットの開口縁における保持器円周方向の中心の両側に位置して複数箇所に設けられた通電軸受。
  4. 請求項1または請求項2において、上記凹み部が、上記ポケットの開口縁における保持器円周方向の中心から両側に広がって1箇所に設けられた通電軸受。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、上記各ポケットの背面における保持器内径縁から保持器外径側へ延びる凹み部を設けた通電軸受。
  6. 請求項4または請求項5において、上記凹み部は、保持器内径側の開口縁から玉配列ピッチ円の付近まで延びていて、保持器内径縁から玉配列ピッチ円に近づくに従って徐々に浅くかつ幅狭となる形状である通電軸受。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記各ポケットにおける保持器外径側での軸方向厚さを、保持器内径側での軸方向厚さよりも厚くした通電軸受。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記各ポケットの開放側先端部における保持器外径側先端部の軸方向への突出長を、保持器内径側先端部の軸方向への突出長よりも短くした通電軸受。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、複写機またはプリンタ等の事務機における画像形成装置の感光ドラムの支持用に使用される通電軸受。
  10. 請求項9記載の通電軸受を感光ドラムの支持に用いた画像形成装置。
  11. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、上記導電グリースは、体積抵抗率が5×10Ω・cm以下であり、かつ混和ちょう度が250以上350以下となるように、導電性カーボンを20重量%以上40重量%以下配合してなる導電性潤滑グリースを封入した通電軸受。
  12. 請求項11において、導電性カーボンの分散助剤として、リチウム石鹸を2重量%以上10重量%以下配合してなる前記導電性潤滑グリースを封入した通電軸受。
  13. 請求項11または請求項12において、導電性カーボンが、粒子径300Å以上800Å以下であり、フタル酸ジブチルの吸油量50〜300ml/100gの導電性カーボンである前記導電性潤滑グリースを封入した通電軸受。
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