JP2010261132A - メタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む易染色性布帛 - Google Patents

メタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む易染色性布帛 Download PDF

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Abstract

【課題】染色性に優れ、且つ強度および染色時の寸法安定性に優れたメタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む布帛を提供すること。
【解決手段】布帛を構成する繊維として、可塑延伸および水洗工程を経た後、乾熱処理前に水蒸気弛緩熱処理を行ったメタ型全芳香族ポリアミド繊維を用いる。本発明は、具体的には、メタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む布帛であって、メタ型全芳香族ポリアミド繊維は、原繊維の破断強度が2.5cN/dtex以上、染色前後の300℃乾熱収縮率の比が2.5以下であり、染色布帛の明度指数L*値が30以下である易染色性布帛である。
【選択図】なし

Description

本発明は、メタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む易染色性布帛に関する。より詳しくは、機械的強度に優れ、且つ染色時の寸法安定性に優れた、メタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む易染色性布帛に関する。
ポリメタフェニレンテレフタルアミド繊維等のメタ型全芳香族ポリアミド繊維は、分子骨格のほとんどが芳香族環から構成されているため、優れた耐熱性と寸法安定性を発現する。これらの特性を活かして、メタ型全芳香族ポリアミド繊維は、布帛として、耐熱性、防炎性、耐炎性が重視される用途等に好適に使用されており、最近では、産業用途のみならず、寝具、衣料、インテリア等の審美性や視覚性の求められる分野への用途が、急速に広がりつつある。
しかしながら、メタ型全芳香族ポリアミド繊維布帛は、耐炎性や防炎性の面で優れた物性を有するものの、その剛直なポリマー分子鎖に起因して、通常の方法では染色が困難という問題があった。また、同時に、染色分野においては、より優れた繊維強度と染色時の熱寸法安定性が求められていた。
これらの要求特性に対して、各種提案がなされている。例えば、メタ型全芳香族ポリアミド繊維布帛の着色方法としては、特定の顔料を、繊維の製造工程において紡糸液に含有させる方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載された方法によっては、要求される任意の色相を得ることは困難であった。
また、例えば、メタ型全芳香族ポリアミド繊維の染色性を向上させる方法として、アルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩を紡糸液に添加し、カチオン染料に対して易染色性となるメタ型全芳香族ポリアミド繊維を得る方法が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2に記載の方法によれば、製糸時や後加工時等に当該オニウム塩が繊維から脱落しないよう、工程条件設定を厳しく管理しなければならないという問題があった。
したがって、製造工程において顔料や添加剤等を加えて着色性や染色性を改善する方法によれば、着色性や染色性を付与することはできるものの、色相制御の困難性や厳しい工程管理等、種々の問題が存在していた。
そこで、メタ型全芳香族ポリアミド繊維自体の微細構造を制御することで、繊維の製造工程中に添加剤等を用いることなく、メタ型全芳香族ポリアミド繊維布帛に良好な染色性を付与する方法も、種々提案されている。
例えば、アミド溶媒溶液を湿式紡糸した凝固糸を、溶媒および可溶化塩を含有する水性浴中で熱延伸し、次いで、水性浴中で延伸糸中に残存する溶剤および可溶化塩をすべて抽出洗浄し、さらに、実質的に張力をかけていない状態で蒸気処理した後に、実質的に張力をかけていない状態にて10〜150℃で乾燥する方法が提案されている(特許文献3参照)。
特許文献3に記載された方法によれば、寝具、衣料、インテリア等の分野において求められる特性のうち、良好な染色性のみならず、良好な熱収縮安定性を有するメタ型全芳香族ポリアミド繊維を得ることができる。しかしながら、当該繊維は径0.1μm程度のミクロボイドが多数形成された多孔性繊維となってしまうため、他の要求特性である強度については満足できるものではなかった。
また、例えば、細孔を有する非晶質の繊維を形成し、水で膨潤した当該繊維を蒸気加熱し、染料を繊維の当該細孔中に拡散させることにより繊維構造全体にわたって染料が含浸した繊維を得て、引き続き、当該繊維をガラス転移温度より高い温度にて十分な時間をかけて蒸気加熱を行うことにより当該細孔をつぶし、これにより染料を不可逆的に繊維内に閉じ込め、当該繊維を結晶化させる方法が提案されている(特許文献4参照)。
特許文献4に記載された方法によれば、染色性が良好であるとともに、洗濯収縮に対して安定な繊維を得ることができる。しかしながら、染色時の熱寸法安定性に乏しく、染色により繊維が収縮してしまう問題があった。このため、本手法においては、繊維構造体の設計において非常な困難性を伴っていた。
また、例えば、良好な染色性を有するとともに、繊維の強度、および、熱寸法安定性を兼ね備えたメタ型全芳香族ポリアミド繊維を製造する方法が提案されている(特許文献5参照)。特許文献5においては、無機塩を含む水性凝固浴中で凝固せしめ、得られた凝固糸を水性洗浄浴中にて水洗し、次いで温水浴中にて延伸し、さらに温水浴中にて繊維中の無機塩を取り除き、続いて特定条件の水蒸気中で弛緩熱処理し、さらに特定条件の水蒸気中で延伸する一連の工程が記載されている(特許文献5参照)。
しかしながら、特許文献5に記載された方法によって得られる繊維は、染色性および染色時の熱寸法安定性の面でいまだ十分に満足できるものではなく、さらなる向上が求められていた。
特開昭50−059522号公報 特開平08−081827号公報 特公昭50−013846号公報 特開昭62−184127号公報 特開2005−042262号公報
本発明は、かかる従来技術を背景になされたもので、染色性に優れ、且つ強度および染色時の寸法安定性に優れたメタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む布帛を提供することを目的とする。
本発明は次の手段を採るものである。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討を重ねた。その結果、可塑延伸および水洗工程を経た後、乾熱処理前に水蒸気弛緩熱処理を行った繊維を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、メタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む布帛であって、メタ型全芳香族ポリアミド繊維は、原繊維の破断強度が2.5cN/dtex以上、染色前後の300℃乾熱収縮率の比が2.5以下であり、染色布帛の明度指数L*値が30以下である易染色性布帛である。
本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む易染色性布帛は、メタ型全芳香族ポリアミド繊維が本来有する、優れた耐熱性、耐炎性、防炎性を維持しつつ、染色性に優れるとともに強度に優れ、且つ、染色時の熱による収縮が抑制された寸法安定性に優れた布帛となる。このため、従来の布帛に比べて繊維構造体の設計が極めて容易となる。また、染色後の布帛の形態としてほぼ平面形状を保持できることから、その後のカット工程等の加工工程において、工程通過性を向上せしめることが可能となる。
したがって、本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む易染色性布帛は、寝具、衣料、インテリア用途に特に好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<易染色性布帛>
[布帛の構成成分]
本発明の易染色性布帛は、後記する易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維を主成分として含むものである。布帛における易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維の含有量は、50質量%以上であり、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100%である。
なお、本発明の易染色性布帛において、後記する易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維以外に含まれる成分としては、特に限定されるものではない。例えば、繊維状、パルプ状成分等を挙げることができる。繊維としては、例えば、ポリオレフィン繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、セルロース系繊維、セルロース系パルプ、PVA系繊維、ポリエステル繊維、アリレート繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリエチレンナフタレート繊維等の有機繊維、ガラス繊維、ロックウール、アスベスト、ボロン繊維等の無機繊維ガラス繊維を挙げることができる。
[布帛の形態]
本発明の易染色性布帛の形態は特に限定されるものではなく、布帛に求められる目的、用途等により適宜選択すればよい。本発明においては、不織布、織物、および編物からなる群から選ばれるいずれかであることが好ましい。
布帛の形態を織物とする場合には、フィラメント糸、あるいは紡績糸等を、平織、綾織、朱子織等の織構成とすることが挙げられる。この際の織物の目付は、100〜700g/mが好ましく、さらに好ましくは200〜400g/mである。織物の目付が100g/m未満である場合には布帛としての強度が低くなり、一方、700g/mを超える場合には布帛の柔軟性が損なわれてしまう。
また、布帛の形態を不織布とする場合には、布帛の強度を向上させるために、基布を使用することも可能である。用いる基布としては、総繊度が200〜1,700dtex、さらに好ましくは275〜1,100dtexのヤーン(フィラメント糸または紡績糸)で構成される織物、例えば、平織、綾織、朱子織等の織物組織が好ましく、なかでも平織物、特にメッシュ状の平織物であるスクリムが好ましい。基布に、該繊維(短繊維)からなるフェルトを一体成形する方法は、特に限定される必要はなく、例えば、該基布の上下に該繊維からなるウェブを積層し、常法、例えば、両面からニードルパンチングする方法が挙げられる。
不織布とする場合の目付は、200〜1,500g/mが好ましく、さらに好ましくは400〜600g/mである。不織布の目付が200g/m未満である場合には布帛としての強度が低くなり、一方、1,500g/mを超える場合には布帛の柔軟性が損なわれてしまう。
[易染色性布帛の物性]
〔染色布帛の明度指数L*値〕
本発明の易染色性布帛は、下記の染色方法で染色した布帛の明度指数L*値が30以下である。明度指数L*値が30を超える場合には、十分な染色性が得られないため好ましくない。
染色布帛の明度指数L*値は、後記するメタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法における水蒸気弛緩熱処理工程において、弛緩倍率を適正化することにより制御することができる。布帛の明度指数L*値を30以下とするためには、弛緩倍率を0.65〜1.0倍の範囲とすればよい。
なお、本発明における「明度指数L*値」とは、上記の染色方法で染色した布帛に対して、以下の測定法で測定した値をいう。なお、L*は、数値が小さいほど濃染化されていることを示す。
(測定方法)
カラー測色装置(マスベク社製、商品名:マクベスカラーアイ モデルCE−3100)を用いて、以下の測定条件で測定する。
{測定条件}
視野 :10度
光源 :D65
波長 :360〜740nm
なお、本発明における「染色」とは、特に指定されない場合には、以下の染色方法による染色を意味する。
(染色方法)
カチオン染料(日本化薬社製、商品名:Kayacryl Blue GSL−ED(B−54))6%owf、酢酸0.3mL/L、硝酸ナトリウム20g/L、キャリア剤としてベンジルアルコール70g/L、分散剤として染色助剤(明成化学工業社製、商品名:ディスパーTL)0.5g/Lを含む染色液を用意する。引き続き、繊維または布帛と当該染色液の浴比を1:40として、120℃下60分間の染色処理を実施する。
〔染色布帛の染着率〕
本発明の易染色性布帛は、上記の染色方法で染色した布帛の染着率が90%以上であることが好ましい。染色布帛の染着率は、90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましい。染色布帛の染着率が90%未満の場合には、染色工程における染料のロス量が増えることから、染色工程でのコストが増加するため好ましくない。
染色布帛の染着率は、後記するメタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法における水蒸気弛緩熱処理工程において、弛緩倍率を適正化することにより制御することができる。染色繊維の染着率を90%以上とするためには、弛緩倍率を0.65〜1.0倍の範囲とすればよい。
なお、本発明における「染着率」とは、以下の方法によって得られる値をいう。
(染着率)
布帛を染色した染色残液に、この染色残液と同容積のジクロロメタンを加え、残染料を抽出する。引き続き、抽出液について、波長670nm、540nm、530nmの吸光度をそれぞれ測定し、あらかじめ染料濃度が既知のジクロロメタン溶液から作成した上記3波長の検量線から抽出液の染料濃度をそれぞれ求め、上記3波長における濃度の平均値を抽出液の染料濃度(C)とする。染色前の染料濃度(Co)を用いて、以下の式にて得られる値を染着率(U)とする。
染着率(U)=(Co−C)/Co×100
〔染色布帛の限界酸素指数(LOI)〕
本発明の易染色性布帛は、上記の染色方法で染色した布帛の限界酸素指数(LOI))が30以上であることが好ましい。染色布帛の限界酸素指数(LOI)は、30以上であることが好ましく、30.5以上がより好ましく、31.0以上が特に好ましい。限界酸素指数(LOI)が30未満の場合には、高温雰囲気下での使用時に、製品が高熱により着火する恐れがあるため好ましくない。
染色布帛の限界酸素指数(LOI)は、後に記載するメタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法において、残存溶媒量を低減することにより制御することができる。染色繊維の限界酸素指数(LOI))を30以上とするためには、残存溶媒量を0.1%以下とすればよい。
なお、本発明における「限界酸素指数(LOI)」とは、JIS K7201−2のLOI測定法に基づき、以下の測定条件で測定して得られる値をいう。
(測定条件)
試験片の形 :V
寸法 :140mm×52mm
点火手順 :B(伝ぱ点火)
酸素濃度間隔:0.2%
<易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維>
本発明に用いられる易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維は、以下の特定の物性を兼ね備える。本発明に用いられる易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維の物性、構成、および、製造方法等について以下に説明する。
[易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維の物性]
〔原繊維の破断強度〕
本発明に用いられる易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維の原繊維(染色前の繊維)の破断強度は、2.5cN/dtex以上である。2.5cN/dtex以上であることが必須であり、2.7cN/dtex以上であることが好ましく、2.9以上であることがさらに好ましい。破断強度が2.5cN/dtex未満である場合には、紡績・染色等の後加工工程の通過性が悪化するため好ましくない。
易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維の原繊維(染色前の繊維)の破断強度は、後記する製造方法における可塑延伸工程において、延伸倍率を適正化することにより制御することができる。2.5cN/dtex以上とするためには、延伸倍率を2.5〜10.0倍の範囲とすればよい。
なお、本発明における「破断強度」とは、JIS L 1015に基づき、以下の条件で測定して得られる値をいう。
(測定条件)
つかみ間隔 :20mm
初荷重 :0.044cN(1/20g)/dtex
引張速度 :20mm/分
〔染色前後の300℃乾熱収縮率の比〕
本発明に用いられる易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維は、上記の染色方法による染色前後の300℃乾熱収縮率(染色前300℃乾熱収縮率/染色後300℃乾熱収縮率)の比が2.5以下である。染色前後の300℃乾熱収縮率の比は、2.5以下であることが必須であり、2.3以下が好ましく、2.2以下がさらに好ましく、2.1以下が最も好ましい。一般に、収縮率の比が2.5を超えて変化する場合には、染色工程で繊維の収縮が起こることから、原繊維構造体の設計が困難となる。
易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維の染色前後の300℃乾熱収縮率の比は、後記する製造方法における蒸気処理工程において、弛緩倍率を適正化することにより制御することができる。比を2.5以下とするためには、弛緩倍率を0.65〜1.0倍の範囲とすればよい。
なお、本発明における「300℃乾熱収縮率」および「染色前後の300℃乾熱収縮率の比」とは、以下の方法で得られる値をいう。
(300℃乾熱収縮率)
約3300dtexのトウに98cN(100g)の荷重を吊るし、互いに30cm離れた箇所に印をつける。荷重を除去後、トウを300℃雰囲気下に15分間置いた後、印間の長さLを測定する。測定結果Lをもとに、下記式にて得られる値を300℃乾熱収縮率(%)とする。
300℃乾熱収縮率(%)=(30−L)/30×100
(染色前後の300℃乾熱収縮率の比)
上記の測定・算出法により、原繊維の300℃乾熱収縮率と上記の染色方法による染色繊維の300℃乾熱収縮率とをそれぞれ求める。染色前後の300℃乾熱収縮率の比は、得られた結果を用いて、下記式にて得られる値とする。
染色前後の300℃乾熱収縮率比=原繊維の300℃乾熱収縮率/染色繊維の300℃乾熱収縮率
〔原繊維の300℃乾熱収縮率〕
本発明に用いられる易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維は、原繊維(染色前の繊維)の300℃乾熱収縮率が3.0%以下であることが好ましい。原繊維の300℃乾熱収縮率は、3.0%以下であることが好ましく、2.9%以下がより好ましく、2.8%以下が特に好ましい。収縮率が3.0%を超える場合には、高温雰囲気下での使用時に製品寸法が変化し、製品の破損が生じる等の問題が発生するため好ましくない。
易染色性メタ全型芳香族ポリアミド繊維の原繊維の300℃乾熱収縮率は、後に記載する製造方法における水蒸気弛緩熱処理工程において、弛緩倍率を適正化することにより制御することができる。原繊維の300℃乾熱収縮率を3.0%以下とするためには、弛緩倍率を0.65〜1.0倍の範囲とすればよい。
なお、原繊維の300℃乾熱収縮率は、上記した300℃乾熱収縮率の測定方法によって測定する。
〔単糸繊度〕
本発明に用いられる易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維の単繊維繊度は、0.50〜6.0dtexであることが好ましく、さらに好ましくは0.8〜5.5dtexの範囲である。本発明においては、繊度が異なる2種以上の繊維を混合使用してもよい。
〔繊維長〕
本発明に用いられる易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維の繊維長は、目的とする易染色性布帛の形態に応じて適宜設定すればよく、長繊維、短繊維のいずれの場合であってもよい。布帛の形態を不織布とする場合には、予め捲縮が付与された短繊維を構成繊維として用いるが、当該短繊維の繊維長は31〜76mmの範囲とすることが好ましい。
<メタ型全芳香族ポリアミドの製造方法>
本発明に用いられる易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維の原料となるメタ型全芳香族ポリアミドの製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、メタ型芳香族ジアミン成分とメタ型芳香族ジカルボン酸成分とを原料とした溶液重合や界面重合等により製造することができる。また、本発明の目的を損なわない範囲内で、パラ型等の他の共重合成分が共重合されていてもよい。
〔メタ型全芳香族ポリアミドの原料〕
(メタ型芳香族ジアミン成分)
メタ型全芳香族ポリアミドの原料となるメタ型芳香族ジアミン成分としては、メタフェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン等、および、これらの芳香環にハロゲン、炭素数1〜3のアルキル基等の置換基を有する誘導体、例えば、2,4−トルイレンジアミン、2,6−トルイレンジアミン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、2,6−ジアミノクロロベンゼン等を例示することができる。なかでも、メタフェニレンジアミンのみ、または、メタフェニレンジアミンを85モル%以上、好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上含有する混合ジアミンであることが好ましい。
(メタ型芳香族ジカルボン酸成分)
メタ型全芳香族ポリアミドの原料となるメタ型芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、メタ型芳香族ジカルボン酸ハライドを挙げることができる。メタ型芳香族ジカルボン酸ハライドとしては、イソフタル酸クロライド、イソフタル酸ブロマイド等のイソフタル酸ハライド、および、これらの芳香環にハロゲン、炭素数1〜3のアルコキシ基等の置換基を有する誘導体、例えば3−クロロイソフタル酸クロライド等を例示することができる。なかでも、イソフタル酸クロライドそのもの、または、イソフタル酸クロライドを85モル%以上、好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上含有する混合カルボン酸ハライドであることが好ましい。
<易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法>
本発明に用いられる易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維は、上記の製造方法によって得られた芳香族ポリアミドを用いて、例えば、以下に説明する紡糸液調製工程、紡糸・凝固工程、可塑延伸浴延伸工程、洗浄工程、弛緩処理工程、熱処理工程を経て製造される。
なお、本発明において特に好ましく使用されるのは、力学特性、耐熱性、難燃性の観点から、メタフェニレンイソフタルアミド単位を主成分とするメタ型全芳香族ポリアミドである。全繰り返し単位の好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは100モル%がメタフェニレンイソフタルアミド単位から構成されるメタ型全芳香族ポリアミドであることが望ましい。
[紡糸液調製工程]
紡糸液調製工程においては、メタ型全芳香族ポリアミドをアミド系溶媒に溶解して、紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)を調製する。紡糸液の調製にあたっては、通常、アミド系溶媒を用い、使用されるアミド系溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等を例示することができる。これらのなかでは溶解性と取扱い安全性の観点から、NMPまたはDMAcを用いることが好ましい。
溶液濃度としては、次工程である紡糸・凝固工程での凝固速度および重合体の溶解性の観点から、適当な濃度を適宜選択すればよく、例えば、ポリマーがポリメタフェニレンイソフタルアミドで溶媒がNMPの場合には、通常は10〜30質量%の範囲とすることが好ましい。
[紡糸・凝固工程]
紡糸・凝固工程においては、上記で得られた紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)を紡出して凝固させる。
紡糸装置としては特に限定されるものではなく、従来公知の湿式紡糸装置を使用することができる。また、安定して湿式紡糸できるものであれば、紡糸口金の紡糸孔数、配列状態、孔形状等は特に制限する必要はなく、例えば、孔数が1000〜30000個、紡糸孔径が0.05〜0.2mmのスフ用の多ホール紡糸口金等を用いてもよい。
また、紡糸口金から紡出する際の紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)の温度は、20〜90℃の範囲が適当である。
凝固浴としても特に限定されるものではなく、従来公知の浴液を使用することができる。例えば、無機塩を含まない水性凝固浴を採用する場合には、NMP濃度40〜70質量%の水溶液を、浴液の温度20〜90℃の範囲として用いることができる。この場合の凝固浴中への繊維の浸漬時間は、0.1〜30秒の範囲が適当である。
本発明においては、凝固浴の成分あるいは条件を適宜調節することにより、繊維表面に形成されるスキンを薄くすることができ、その結果、染色性をより向上させることができる。
[可塑延伸浴延伸工程]
可塑延伸浴延伸工程においては、凝固浴にて凝固して得られた繊維が可塑状態にあるうちに、可塑延伸浴中にて繊維を延伸処理する。
可塑延伸浴液としては特に限定されるものではなく、従来公知のものを採用することができる。
延伸倍率は2.5〜10.0倍の範囲が好ましく、さらに好ましくは2.5〜6.0倍である。本発明においては、可塑延伸浴での延伸により分子鎖の配向を上げておくことが、最終的に得られる易染色性繊維の熱収縮安定性および強度のバランスを確保するのに重要である。
可塑延伸浴中での延伸倍率が2.5倍未満である場合には、2.5cN/dtex以上の破断強度であって十分な熱収縮安定性を有する繊維を得ることが困難となる。一方で、延伸倍率が10.0倍を越える場合には、単糸切れが発生するため、生産安定性が悪くなる。
可塑延伸浴の温度は、20〜90℃の範囲が好ましい。温度が20〜90℃の範囲にあると、工程調子が良いため好ましい。
[洗浄工程]
洗浄工程においては、可塑延伸浴にて延伸された繊維を、十分に洗浄する。洗浄は、得られる繊維の品質面に影響を及ぼすことから、多段にて実施することが好ましい。特に、洗浄工程における洗浄浴の温度および洗浄浴液中のアミド系溶媒の濃度は、繊維からのアミド系溶媒の抽出状態、および洗浄浴からの水の繊維中への浸入状態に影響を与える。このため、これらを最適な状態とする目的においても、洗浄工程を多段として、温度条件およびアミド系溶媒の濃度条件を制御することが好ましい。
温度条件およびアミド系溶媒の濃度条件については、最終的に得られる繊維の品質を満足できるものであれば特に限定されるものではないが、最初の洗浄浴を60℃以上の高温とすると、水の繊維中への浸入が一気に起こり、繊維中に巨大なボイドが生成して品質の劣化を招く。このため、最初の洗浄浴は、30℃以下の低温とすることが好ましい。
繊維中に溶媒が残っている場合には、高温での物性低下や収縮、限界酸素指数(LOI)の低下等が生じる。このため、繊維に含まれる溶媒量は、1%以下とすることが好ましく、0.1%以下とすることがより好ましい。
[水蒸気弛緩熱処理工程]
弛緩熱処理工程においては、洗浄工程において洗浄された繊維を、水蒸気中、好ましくは飽和水蒸気中で弛緩熱処理する。水蒸気中で弛緩熱処理することにより、繊維内部の非晶部分が著しく配向緩和し、染色性が向上するとともに、染色時等の熱による収縮を抑制することができる。
水蒸気弛緩熱処理工程における水蒸気圧力は、196〜392kPaの範囲とすることが好ましく、225〜363kPaの範囲とすることがさらに好ましい。弛緩熱処理の水蒸気圧力が196kPa未満の場合には、繊維内部の非晶部分の十分な配向緩和が起きず、目的とする熱収縮安定性を付与することが困難となる。一方で、392kPaを越える場合には、熱収縮安定性は付与できるものの、繊維の易染性が大きく低下してしまうため好ましくない。
また、水蒸気弛緩熱処理工程における弛緩倍率は、0.65〜1.0倍とすることが好ましく、0.65〜0.95倍の範囲とすることがさらに好ましい。弛緩倍率がこの範囲を超える場合には、繊維内部の非晶部分の十分な配向緩和が起こらず、目的とする熱収縮安定性を付与することが困難となる。さらに、繊維内部の非晶部分の配向緩和が不十分となるため、染色前後の300℃乾熱収縮率の比と、染色繊維の明度指数(L*値)が大きくなり、本発明の目的を達成することが困難となる。さらには、原繊維の300℃乾熱収縮率も大きくなり、その結果、染色繊維の染着率が低下する。このため、本発明においては、水蒸気弛緩熱処理工程における弛緩倍率の制御は、極めて重要である。
[乾熱処理工程]
乾熱処理工程においては、水蒸気弛緩熱処理工程を経た繊維を、乾燥・熱処理する。乾熱処理の方法は特に限定されるものではないが、例えば、熱ローラー、熱板等を用いる方法を挙げることができる。これにより、本発明に用いられる易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維を得ることができる。
[捲縮工程等]
乾熱処理が施された易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維には、必要に応じて、さらに捲縮加工を施してもよい。さらに、捲縮加工後は、適当な繊維長に切断し、次工程に提供してもよい。また、場合によっては、マルチフィラメントヤーンとして巻き取ってもよい。
以下、実施例等をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例等によって限定されるものではない。
<測定方法>
実施例および比較例における各物性値は、下記の方法で測定した。
[固有粘度(IV)]
ポリマーを97%濃硫酸に溶解し、オストワルド粘度計を用い30℃で測定した。
[繊度]
JIS−L−1015に基づき、正量繊度のA法に準拠した測定を実施し、見掛繊度を求めた。
[原繊維の破断強度、破断伸度]
JIS−L−1015に基づき、インストロン社製、型番5565を用いて、以下の条件で測定した。
(測定条件)
つかみ間隔 :20mm
初荷重 :0.044cN(1/20g)/dtex
引張速度 :20mm/分
[原繊維の残留溶媒量]
原繊維を約8.0g採取し、105℃で120分間乾燥させた後にデシケーター内で放冷し、繊維質量(M1)を秤量した。続いて、この繊維について、1.5時間、ソックスレー抽出器を用いて還流抽出を行い、繊維中に含まれるアミド化合物溶媒の抽出を行なった。出を終えた繊維を取り出して、150℃で60分間真空乾燥させた後にデシケーター内で放冷し、繊維質量(M2)を秤量した。繊維中に残存する溶媒量(アミド系溶媒質量)N(%)は、得られたM1およびM2を用いて、下記式により算出した。
N(%)=[(M1−M2)/M1]×100
[300℃乾熱収縮率]
約3300dtexのトウに98cN(100g)の荷重を吊るし、互いに30cm離れた箇所に印をつける。荷重を除去後、トウを300℃雰囲気下に15分間置いた後、印間の長さLを測定した。測定結果Lをもとに、下記式にて得られる値を300℃乾熱収縮率(%)とした。
300℃乾熱収縮率(%)=(30−L)/30×100
[染色前後の300℃乾熱収縮率の比]
上記の測定・算出法により、原繊維の300℃乾熱収縮率と染色繊維の300℃乾熱収縮率とをそれぞれ求めた。得られた結果を用いて、下記式にて得られる値を染色前後の300℃乾熱収縮率の比とした。
染色前後の300℃乾熱収縮率比=原繊維の300℃乾熱収縮率/染色繊維の300℃乾熱収縮率
[染着率]
布帛を染色した染色残液に、この染色残液と同容積のジクロロメタンを加え、残染料を抽出する。引き続き、抽出液について、波長670nm、540nm、530nmの吸光度をそれぞれ測定し、あらかじめ染料濃度が既知のジクロロメタン溶液から作成した上記3波長の検量線から抽出液の染料濃度をそれぞれ求め、上記3波長における濃度の平均値を抽出液の染料濃度(C)とした。染色前の染料濃度(Co)を用いて、以下の式にて得られる値を染着率(U)とした。
染着率(U)=(Co−C)/Co×100
[染色布帛の明度指数L*値]
得られた染色布帛について、カラー測色装置(マスベク社製、商品名:マクベスカラーアイ モデルCE−3100)を用いて、以下の測定条件で測定を実施した。なお、L*は、数値が小さいほど濃染化されていることを示す。
(測定条件)
視野 :10度
光源 :D65
波長 :360〜740nm
[染色布帛の限界酸素指数(LOI値)]
JIS K7201−2のLOI測定法に基づき、得られた染色布帛について、以下の測定条件で測定を実施した。
(測定条件)
試験片の形 :V
寸法 :140mm×52mm
点火手順 :B(伝ぱ点火)
酸素濃度間隔:0.2%
[布帛の引張強度]
JIS L1096の引張強さA法(ストリップ法:ラベルドストリップ法)に基づき、インストロン社製、型番1122を用いて、以下の測定条件にて染色前の布帛について測定を実施した。
(測定条件)
切断採取時の試験片の大きさ :幅5.5cm×長さ30cm
試験片の幅 :5.0cm
試験片の枚数 :3枚
測定回数 :各試験片につき、たて方向およびよこ方向それぞれ3回
つかみ間隔 :20cm
初荷重 :50g
引張速度 :20mm/分
[布帛の染色時収縮率]
布帛のタテ、ヨコのサイズにつき、染色前後にそれぞれ測定し(n=5)、染色前後の収縮率の平均値を求めた。
<実施例1>
[紡糸液調製工程]
特公昭47−10863号公報記載の方法に準じた界面重合法により製造した、固有粘度(IV)が1.9のポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末20.0質量部を、−10℃に冷却したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)80.0質量部中に懸濁させ、スラリー状にした。引き続き、懸濁液を60℃まで昇温して溶解させ、透明なポリマー溶液を得た。
[紡糸・凝固工程]
上記の紡糸液調製工程で調製した紡糸原液を、孔径0.07mm、孔数500の紡糸口金より、浴温度40℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。凝固浴の組成は、水/NMP=45/55(質量比)であり、浸漬長(有効凝固浴長)70cmにて糸速5m/分で凝固浴中を通過させた。なお、凝固浴上がりの多孔質の線状体(繊維状物)の密度は、0.71g/cmであった。
[可塑延伸浴延伸工程]
凝固浴から引き上げた繊維束について、引き続き、可塑延伸浴中にて3倍の延伸倍率で延伸を行った。このときの可塑延伸浴の組成は、水/NMP=40/60(質量比)であり、温度40℃であった。
[洗浄工程]
延伸後、20℃の水/NMP=70/30浴(浸漬長1.8m)、20℃の水浴(浸漬長3.6m)、さらに60℃の温水浴(浸漬長5.4m)に順次通して、十分に洗浄を行った。
[水蒸気弛緩熱処理工程]
洗浄した繊維に対して、飽和水蒸気圧力294kPa下、弛緩倍率0.80倍にて、約1.0秒間の水蒸気弛緩熱処理を実施した。
[乾熱処理工程]
弛緩熱処理実施後、表面温度360℃の熱板上にて延伸倍率1.0倍(定長)にて乾熱処理を施し、その後に巻き取ることにより、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維を得た。
[原繊維の物性]
得られたポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維は、十分に緻密化しており、その力学的特性は、繊度2.2dtex、密度1.33g/cm、破断強度2.92cN/dtex、破断伸度26.9%であり、良好な力学特性を示すとともに、品質もバラツキが無く、異常糸の発生は全く見られなかった。
また、繊維中の残存溶媒量は0.71%と極微量であり、300℃乾熱収縮率は2.5%であり、優れた熱収縮安定性を示した。原繊維の物性結果を表1に示す。
[布帛の作製]
得られたポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維を用いて紡績糸(番手:20/2)を作成し、当該紡績糸から綾織に織成した織物(目付け:230g/m、厚み:0.8mm)を作製した。
[布帛の染色]
カチオン染料(日本化薬社製、商品名:Kayacryl Blue GSL−ED(B−54))6%owf、酢酸0.3mL/L、硝酸ナトリウム20g/L、キャリア剤としてベンジルアルコール70g/L、分散剤として染色助剤(明成化学工業社製、商品名:ディスパーTL)0.5g/Lを含む染色液を用意した。上記で得られた布帛と当該染色液の浴比を1:40として、120℃下60分間の染色処理を実施した。
染色処理後、ハイドロサルファイト2.0g/L、アミラジンD(第一工業製薬社製、商品名:アミラジンD)2.0g/L、水酸化ナトリウム1.0g/Lの割合で含有する処理液を用いて、浴比1:20で80℃下20分間の還元洗浄を実施し、水洗後に乾燥することにより染色布帛を得た。
[布帛の物性]
染色前後の布帛および染色液を用いて、上記測定方法により、限界酸素指数(LOI値)、布帛の引張強度、布帛の染色時収縮率、布帛の明度指数L*値、および染着率を評価した。また、染色繊維を引き抜き、染色前後の300℃乾熱収縮率の比を評価した。
その結果、限界酸素指数(LOI値)は31、布帛の引張強度は1263N/5cm、布帛の染色時収縮率は0.5%、明度指数L*は28.9と良好な布帛物性を示した。また、染着率は93%、染色前後の300℃乾熱収縮率の比は2.1であった。結果を表1に示す。
<実施例2>
[原繊維の製造]
重合溶媒(アミド系溶媒)としてジメチルアセトアミド(以下「DMAc」と略称)を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維を得た。
[布帛の製造]
引き続き、実施例1と同様に、当該繊維から織物を作製し、その後に染色を実施した。
[各種物性]
得られた原繊維、織物等についての物性を、表1に示す。
<実施例3>
[原繊維の製造]
実施例1と同様の方法によりポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維を得た。
[布帛の製造]
得られたポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維に押込捲を付与した後、2インチにカットした。開綿後、針密度150本/cm、針深さ14mmの条件でニードルパンチ加工を行い、目付460g/m、厚み0.8mmのポリメタフェニレンイソフタルアミド短繊維のみからなる不織布を製作した。
[布帛の染色]
引き続き、得られた不織布につき、実施例1と同様に染色を実施した。
[各種物性]
得られた原繊維、不織布等についての物性を、表1に示す。
<実施例4>
[原繊維の製造]
重合溶媒(アミド系溶媒)としてジメチルアセトアミド(以下「DMAc」と略称)を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維を得た。
[布帛の製造]
引き続き、実施例3と同様に、当該繊維から不織布を作製し、その後に染色を実施した。
[各種物性]
得られた原繊維、不織布等についての物性を、表1に示す。
<比較例1>
実施例1と同じ重合体溶液を用いて、水蒸気弛緩熱処理工程を実施しなかった以外は、実施例1と同様の方法によりポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維を得た。引き続き、実施例1と同様に、当該繊維から織物を作製し、その後に染色を実施した。得られた原繊維、織物等についての物性を、表1に示す。
<比較例2>
実施例1と同じ重合体溶液を用いて、水蒸気弛緩熱処理工程を実施せず、かつ、乾熱処理時の延伸倍率を表1記載のように変更した以外は、実施例1と同様の方法によりポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維を得た。引き続き、実施例1と同様に、当該繊維から織物を作製し、その後に染色を実施した。得られた原繊維、織物等についての物性を、表1に示す。
<比較例3>
実施例1と同じ重合体溶液を用いて、水蒸気弛緩熱処理工程を実施しなかった以外は、実施例1と同様の方法によりポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維を得た。引き続き、実施例3と同様に、当該繊維から不織布を作製し、その後に染色を実施した。得られた原繊維、不織布等についての物性を、表1に示す。
<比較例4>
実施例1と同じ重合体溶液を用いて、水蒸気弛緩熱処理工程を実施せず、かつ、乾熱処理時の延伸倍率を表1記載のように変更した以外は、実施例1と同様の方法によりポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維を得た。引き続き、実施例3と同様に、当該繊維から不織布を作製し、その後に染色を実施した。得られた原繊維、不織布等についての物性を、表1に示す。
Figure 2010261132
本発明のメタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む易染色性布帛は、メタ型全芳香族ポリアミド繊維が本来有する、優れた耐熱性、耐炎性、防炎性を維持しつつ、染色性に優れるとともに強度にも優れ、同時に、染色時の寸法変化が小さい。このため、布帛設計が容易な繊維製品を提供することができ、特にインテリア用途として極めて有用である。

Claims (5)

  1. メタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む布帛であって、
    メタ型全芳香族ポリアミド繊維は、原繊維の破断強度が2.5cN/dtex以上、染色前後の300℃乾熱収縮率の比が2.5以下であり、
    染色布帛の明度指数L*値が30以下である易染色性布帛。
  2. 前記メタ型全芳香族ポリアミド繊維は、原繊維の300℃乾熱収縮率が3.0%以下である請求項1記載の易染色性布帛。
  3. 染色布帛の染着率が、90%以上である請求項1または2記載の易染色性布帛。
  4. 染色布帛の限界酸素指数(LOI)が30以上である請求項1から3いずれか記載の易染色性布帛。
  5. 布帛が、不織布、織物、および編物からなる群から選ばれるいずれかの形態である請求項1から4いずれか記載の易染色性布帛。
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