JP2010255570A - 圧力調整装置 - Google Patents

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Hiroshi Osaki
浩 大崎
Yasuhiro Hosoya
康弘 細谷
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Abstract

【課題】部品点数の増加、コスト増大を抑制しつつ、容易な手段の採用により作動中において調整圧力を変更可能である圧力調整装置を提供する。
【解決手段】プレッシャレギュレータ1にステッピングモータ6およびステッピングモータ6の回転軸61の回転を直線運動に変換するスリーブ7を設け、ステッピングモータ6へ印加するパルス信号を変えてスリーブ7の直線移動量を制御することによってバルブ3の閉弁時におけるコイルスプリング4の付勢力であるセット力を調節し、それによって、調整室21内の燃料圧力を切換えることを可能としている。たとえば、ステッピングモータ6を駆動してコイルスプリング4のセット力を増大することにより、プレッシャレギュレータ1の調整圧力を高めることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、流体の圧力による流体力と弾性部材による付勢力との差によって弁の開閉を行なわせることにより流体の圧力を所定圧力に調整する圧力調整装置に関するものである。
従来の圧力調整装置としては、たとえば、高圧側と連通している第1圧力室、および低圧側と連通している第2圧力室を有するハウジングと、このハウジングに収容され第1圧力室と第2圧力室を連通する流体通路と、流体通路の第1圧力室側に弁座を有する弁座部材と、この弁座に着座することにより第1圧力室と流体通路との連通を遮断し、弁座から離れることにより第1圧力室と流体通路とを連通させ、第1圧力室の圧力が弁座から離れる方向に作用する可動体と、この可動体を弁座に向けて付勢する付勢部材と、を備え、高圧側の燃料を第1圧力室から流体通路を経て低圧側へ流出させることにより高圧側の燃料圧力を調圧するように構成されたものがある(特許文献1参照)。
従来の圧力調整装置を、たとえば自動車においてエンジンへ供給される燃料の圧力調整用として用いた場合、圧力調整装置は、通常は燃料タンク内の燃料を吸入し加圧して送出する燃料ポンプの吐出口の下流側に配置される。そして、燃料ポンプにより加圧された燃料が圧力調整装置により所定圧力に調圧されてエンジンへ供給される。
特開2004−278393号公報
エンジンの運転中には、圧力調整装置によって調圧された燃料圧力を一時的に変更したい状況が発生することがある。ところが、従来の圧力調整装置をエンジンへ供給される燃料圧力調圧用に用いる場合、圧力調整装置により調圧された流体圧力は、可動体に作用する付勢部材の付勢力の大きさおよび流体力の大きさの大小関係で一義的に定まる。このため、従来の圧力調整装置では、圧力調整装置の作動中において調圧後の燃料圧力を変更することは非常に困難である。
燃料圧力を一時的に変更する方法として、たとえば、元々の燃料経路とは別に圧力調整装置をバイパスする燃料経路を新しく設け、切換弁により使用する燃料経路を選択するとともに、燃料ポンプの作動状態を変更して燃料圧力を変えることが考えられる。しかし、このような方法では、部品点数が増加しコストの増大を招くという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、その目的は、部品点数の増加、コスト増大を抑制しつつ、容易な手段の採用により搭載される装置の作動中において調整圧力を変更可能である圧力調整装置を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の圧力調整装置は、装置へ流体を供給するポンプの吐出口に連通して流体が導入される調整室と、一端が調整室の内側の空間である内部空間に開口し他端が調整室の外側の空間である外部空間に開口して内部空間と外部空間とを連通する流体通路と、流体通路の調整室側端部周縁に設けられた円環状の弁座および該弁座の全周に密着および離間自在に移動可能に調整室に保持される弁体と、を備え、弁体が弁座に密着した状態において内部空間と外部空間とが遮断され、弁体が弁座から離間した状態において内部空間と外部空間とが連通され、弁体は、弁座に密着する方向に弾性部材により付勢されるとともに、内部空間内の流体の圧力により弁座から離れる方向に付勢され、弁体は、弾性部材により弁座に密着する方向に付勢されると同時に流体の圧力が弁体に及ぼす力である流体力により弁座から離れる方向に付勢され、流体力の大きさが弾性部材が弁体に及ぼす力である付勢力の大きさを上回ると弁体が弁座から離れるように構成された圧力調整装置であって、付勢力を調節するための付勢力調節手段を備え、付勢力調節手段は装置の運転中において作動して付勢力を調節することを特徴としている。
まず、従来の圧力調整装置の作動、つまり圧力調整メカニズムについて説明する。調整室内の流体圧力が弁体に及ぼす開弁方向の力が弾性部材が弁体に及ぼす閉弁方向の力である付勢力を上回り弁体が弁座から離れると、調整室内と流体通路が連通する。また、調整室内の流体圧力は、流体通路内および外部空間の流体圧力よりも高いので、調整室内と流体通路が連通すると、調整室内から流体通路へ流体が流出する。同時に、弁体が弁座から離れると、弁体の移動量に比例して付勢力は増大する。調整室内から流体通路へ流体が流出すると、調整室内の流体圧力が低下し、弁体に作用する流体力が減少するので弁体は閉弁方向に動く。弁体が閉弁方向に動くと弾性部材による付勢力は減少する。弁体が閉弁方向に動くと、調整室内から流体通路へ流出する流体の流量が減少し、調整室内の流体圧力の低下が抑制される。このようにして、弁体は、弁座から離れ、且つ開弁方向に作用する流体力と閉弁方向に作用する弾性部材の付勢力とが均衡するような位置で停止する。これにより、調整室内の流体の圧力は、調整目標圧力である標準圧力に維持される。この状態から、調整室へ流入する流体の圧力が高くなると、弁体は更に弁座から離れる方向に移動し、調整室内から流体通路へ流出する流体の流量が増加して調整室内の流体圧力を目標圧力まで低下させ、その位置が弁体の新たな均衡位置となる。一方、調整室へ流入する流体の圧力が低くなると、弁体は弁座へ近づく方向に移動し、調整室内から流体通路へ流出する流体の流量が減少して調整室内の流体圧力を目標圧力まで高上させ、その位置が弁体の新たな均衡位置となる。すなわち、従来の圧力調整装置では、弁体および弁座間に形成される隙間が絞り、つまりオリフィスの役目を果たしており、調整室へ流入する流体の圧力に応じて弁体の移動方向における弁体と弁座との距離であるリフトを変化させてオリフィス面積を加減することで、調整室内の流体圧力を常に目標圧力に維持している。
ところで、従来の圧力調整装置では、弁体が弁座に密着した状態である閉弁時において弾性部材が弁体に及ぼす閉弁方向の付勢力の大きさは、弾性部材形状、弾性部材の諸特性、弾性部材が装着される部位の形状等から一義的に定まる。さらに、弁体が弁座から離れると、弁体の弁座に対する移動量、すなわちリフトに対応した弾性部材の付勢力の変化量も、リフトに応じて一義的に定まる。これにより、従来の圧力調整装置では、調整される圧力は一義的に定まるため、圧力調整装置の作動中において調整圧力を変化させることは困難である。
従来の圧力調整装置において、弁体が或るリフト位置で停止し弁座と弁体との隙間から流体が流出する状態で調整室内の流体圧力が安定して所定圧力に維持されているときには、弁体に対して閉弁方向に作用する弾性部材の弾性力と、弁体に対して開弁方向に作用する流体の圧力による力である流体力とが釣り合って弁体が停止している。この条件(以降、初期条件と表す)に対して、弾性部材の弾性力、つまり弁体に対して閉弁方向に作用する力が大きい場合を考える。詳しくは、弁体が閉弁しているとき、つまり弁体が弁座に密着しているときの弾性力(このときの弾性力を以降、セット力と表す)を初期条件よりも増大させた場合を考える。この場合、弾性力が増大したので弁体は閉弁方向に移動しリフト量が減少する。すると、調整室から流出する流体流量が減少し調整室内の流体圧力が上昇し、弁体に対して開弁方向に作用する流体力が増大する。それにより、リフト量が初期条件時よりも小さい位置で弁体は停止し、調整室内流体圧力が初期条件時よりも高い値で維持されることになる。すなわち、弾性部材の付勢力、つまりセット力を変える(大きくする)ことにより、調整室内流体圧力、言い換えると圧力調整装置により調節された流体圧力を変えることができる。
本発明の請求項1に記載の圧力調整装置は、付勢力を調節するための付勢力調節手段を備え、付勢力調節手段は圧力調装置の運転中において作動して付勢力を調節するようにしている。このような構成を採ることにより、本発明の請求項1に記載の圧力調整装置は、圧力調装置の運転中において上述したセット力を変えることができるので、それにより、圧力調整装置により調節される流体圧力を変えることができる。以上により、作動中において調整圧力を変更可能である圧力調整装置を提供することができる。
本発明の請求項2に記載の圧力調整装置は、弾性部材はコイルばねであり、該コイルばねは、その軸方向を弁体の移動方向と一致させて配置され、付勢力調節手段は、弁体の移動方向におけるコイルばねの長さを変化させることを特徴としている。
コイルばねは、素線径、コイル径、巻き数を適宜選定することにより容易且つ安価に所望の特性を得ることができる。さらに、上述したセット力を適宜選定することにより、圧力調整装置により調節される流体圧力の設定値を所望の圧力に容易に設定することができる。したがって、弾性部材としてコイルばねを用いることは、本発明の実施を容易且つ確実なものにできる。本発明の請求項2に記載の圧力調整装置では、コイルばねは、その軸方向を弁体の移動方向と一致させて配置され、付勢力調節手段は、弁体の移動方向におけるコイルばねの長さを変化させるように構成されているので、付勢力調節手段は、容易にコイルばねのセット力を加減することができ、それにより、圧力調整装置により調節される流体圧力を変えることができる。したがって、作動中において調整圧力を変更可能である圧力調整装置を提供することができる。
この場合、さらに、本発明の請求項3に記載の圧力調整装置のように、付勢力調節手段が、ステッピングモータと、該ステッピングモータの回転軸の回転を直線運動に変換して直線移動する直動部材と、を備え、直動部材はその移動方向をコイルばねの軸方向に一致させて配置され、直動部材はコイルばねを押圧可能に配置される構成としてもよい。
ステッピングモータにおいては、回転軸の回転駆動は所定角度を1ステップとしてステップ数指示により制御されているので、回転軸の回転角度精度および再現性が非常に高い。したがって、ステッピングモータの回転軸の回転を直線運動に変換して直線移動する直動部材の移動量に連動するコイルばねの長さの変化量、言い換えると調整圧力の変化量を高精度で制御することができる。これにより、作動中において調整圧力をより高い精度で変更可能な圧力調整装置を実現することができる。
本発明の請求項4に記載の圧力調整装置は、流体はエンジンに供給される燃料であり、エンジン始動時には付勢力を増大させるように付勢力調節手段を駆動し、エンジン始動後は付勢力を元にもどすように付勢力調節手段を駆動することを特徴としている。
エンジンの始動時においては、エンジンの始動性を良好にするために、噴射一回あたりの燃料噴射量を増加することが要求されている。一般に、エンジンにおける燃料噴射量は、燃料噴射弁であるインジェクタの開弁時間の長さにより調節されている。また、インジェクタからの燃料噴射量は、インジェクタへ供給される燃料圧力およびインジェクタの開弁時間により決まる。このため、インジェクタの開弁時間が同一であればインジェクタへ供給される燃料圧力が高いほど噴射量が増加する。そこで、本発明による圧力調整装置をエンジンへ供給される燃料の圧力調整用途に用いて、エンジン始動時に流体通路の流路抵抗を大きくすれば、圧力調整装置で調節された燃料圧力、すなわちエンジンへ供給される燃料圧力が高められるので、容易に燃料噴射量を増量することができる。さらに、エンジン始動後は付勢力を元にもどすように付勢力調節手段を駆動するので、通常運転時においてはエンジンへ供給される燃料圧力が正規圧力へ復帰されて燃料噴射量が正規状態となる。これにより、エンジンにおける燃焼条件、たとえば空燃比等を正規状態に維持して、エンジンのトルク・排出ガスを適正状態とすることができる。
本発明の一実施形態によるプレッシャレギュレータ1が装着されたポンプモジュール100の断面図である。 プレッシャレギュレータ1の断面図であり、図1中のII部拡大図である。 プレッシャレギュレータ1の断面図であり、図1中のIII−III線断面図である。 プレッシャレギュレータ1の断面図である。 (a)は、イグニッションスイッチの操作位置の時間推移を、(b)は、燃料ポンプ102へ印加される電圧の時間推移を、(c)は、コイルスプリング4の閉弁時コイル長さLの時間推移を、(d)は、プレッシャレギュレータ1の下流側における燃料圧力の時間推移をそれぞれ示すタイミングチャートである。
以下、本発明による圧力調整装置の一実施形態を、自動車の燃料タンク内に設置されて燃料タンク内の燃料を加圧してエンジンへ供給するためのポンプモジュールに取り付けられる圧力調整装置であるプレッシャレギュレータ1に適用した場合を例に、図面に基づいて説明する。
ポンプモジュール100は、図1に示すように、燃料ポンプ102および燃料フィルタ103をハウジング101内に一体的に保持して形成されている。燃料ポンプ102は、たとえば、電動機(図示せず)により回転駆動されるインペラにより燃料を圧送する遠心式電動ポンプとして形成されている。燃料ポンプ102は、図示しない外部の電気配線に接続されて電動機(図示せず)に電力を供給するためのリード102cを備えている。燃料ポンプ102の吸込み口102bには、図1に示すように、サクションフィルタ104が取り付けられている。サクションフィルタ104は、比較的大きい異物、つまり燃料ポンプ102の作動を阻害する可能性のある異物を除去するためのものである。一方、燃料フィルタ103は、より微細な異物、つまりエンジン側のインジェクタの作動を阻害する可能性のある異物を除去するためのものである。ハウジング101は、たとえば樹脂材料により形成されている。ハウジング101には、図1に示すように、供給管105が一体的に形成されている。供給管105には、図示しない燃料配管が接続され、ポンプモジュール100から送出された燃料をエンジン(図示せず)へ導いている。本発明の一実施形態による圧力調整装置としてのプレッシャレギュレータ1は、図1に示すように、この供給管105の途中に設置されている。サクションフィルタ104中を通過し濾過された燃料が吸込み口102bから燃料ポンプ102へ吸入され加圧される。そして燃料ポンプ102の吐出口102aから流出した燃料は、燃料フィルタ103中を通過し濾過されて、供給管105へ流入する。続いて、プレッシャレギュレータ1へ流入し、そこで所望の圧力に調節されて供給管105からエンジン(図示せず)へ送られる。プレッシャレギュレータ1は、流入した燃料の一部を燃料タンク(図示せず)内へ流出させることにより、プレッシャレギュレータ1の入り口における燃料圧力よりも低い所望の燃料圧力へ調整している。以下に、本発明の一実施形態によるプレッシャレギュレータ1の構成について説明する。
プレッシャレギュレータ1は、大きくは、図2に示すように、ケーシング2、バルブ3、コイルスプリング4、排出管24、ダイヤフラム34、ステッピングモータ6を有している。
ケーシング2は、略有底円筒状の第1ケース20Aおよび略円筒状の第2ケース20B
からなり、両者の開口端部同士を巻きがしめにより接合して一体化している。第1ケース20Aと第2ケース20Bとの接合部には、ゴム製のダイヤフラム34の外周縁が挟持されている。第2ケース20Bのダイヤフラム34と反対側の端部には、円筒状の排出管24が固定されている。第2ケース20Bの内部、つまりダイヤフラム34、第2ケース20B、および排出管24により囲まれる空間が調整室21を形成している。円筒状の排出管24の内側が、調整室21の内部空間と調整室21の外側の空間である外部空間とを連通する流体通路としてのリターン通路25を形成している。排出管24の調整室21側端面、つまりリターン通路25の調整室21側の開口の周縁部が円環状の弁座26を形成している。第2ケース20Bには、図2に示すように、供給管105に臨んで入り口22および出口23が設けられている。燃料ポンプ101から吐出された燃料は、燃料フィルタ103、供給管105を経て、入り口22からプレッシャレギュレータ1の調整室21へ流入する。
ダイヤフラム34の中央部には、図2に示すように、バルブ3が固定されている。バルブ3は、弁体としてのバルブシート31、ボール33を介してバルブシート31を保持しているバルブホルダ32を備えている。バルブホルダ32がダイヤフラム34に固定されているので、バルブ3は、ダイヤフラム34と一体的に変位することができる。バルブシート31は、排出管24の弁座26に密着可能である。バルブシート31とバルブホルダ32との間にボール33が介在しているため、バルブシート31はバルブホルダ32に対していくらか傾斜することができる。これにより、バルブホルダ32が変位する際に排出管24に対して傾斜しても、バルブシート31を確実に弁座26へ密着させることができる。第1ケース20Aのダイヤフラム34と対向する端部およびバルブホルダ32間には、図2に示すように、弾性部材としてのコイルスプリング4が圧縮状態で装着されている。コイルスプリング4と第1ケース20Aのダイヤフラム34と対向する端部との間には、図2に示すように、スプリングシート9が介在されている。コイルスプリング4が圧縮状態であるため、その弾性力によりバルブホルダ32が排出管24へ向けて付勢されてバルブホルダ32はダイヤフラム34とともに変位し、それにより、バルブシート31は弁座26に押圧され密着している。
排出管24は、調整室21と反対側端部に、図2に示すように出口孔27を備えている。出口孔27はリターン通路25の調整室21と反対側の開口であり、排出管24の出口孔27は、供給管105の外部空間である燃料タンク(図示せず)内空間と連通している。これにより、バルブシート31が弁座26から離れる、すなわちバルブ3が開弁すると、調整室21内から燃料がリターン通路25を通ってプレッシャレギュレータ1の外部空間である燃料タンク(図示せず)内空間へ流出する。
第1ケース20Aのダイヤフラム34と対向する端部には、図2に示すように、付勢力調節手段であるステッピングモータ6、直動部材であるスリーブ7、およびスリーブ7を回転させずに直動のみさせるように保持するガイド8が固定されている。ステッピングモータ6は、ガイド8を介して第1ケース20Aに固定されている。ステッピングモータ6の回転軸61は、コイルスプリング4と同軸上に配置されている。回転軸61の外周にはおねじ62が形成されている。直動部材であるスリーブ7は、たとえば金属材料から形成されている。スリーブ7は略円筒状に形成され、内周には、回転軸61に形成されているおねじ62と螺合可能なめねじ72が形成され、これにより、スリーブ7は、図2に示すように、ステッピングモータ6の回転軸61に螺合している。スリーブ7の外周には、図3に示すように、スリーブ7の軸方向に延びる壁状の突起71が、等角度間隔で2個設けられている。ガイド8は、たとえば金属材料等から形成されている。ガイド8は、スリーブ7と嵌合する貫通孔82を備えている。貫通孔82の内周には、図3に示すように、貫通孔82の軸方向に延びる溝81が、等角度間隔で2個設けられている。溝81は、スリーブ7の突起71と嵌合するように形成されている。これにより、スリーブ7がガイド8と嵌合した状態において、スリーブ7は、ガイド8の貫通孔82内を軸方向に移動可能である。しかし、突起71が溝81と嵌合しているため、スリーブ7は、ガイド8の貫通孔82内において回転運動はできない。さらに、スリーブ7はステッピングモータ6の回転軸61と螺合している。以上により、ステッピングモータ6が駆動されて回転軸61が回転すると、それに対応してスリーブ7が回転軸61の軸方向に直線運動する。具体的には、回転軸61の一回転(360度)当たり、スリーブ7は回転軸61と螺合しているネジの1ピッチ相当距離だけ直線移動する。すなわち、スリーブ7およびガイド8は、ステッピングモータ6の回転軸61スリーブ7の回転運動を直線運動へ変換する機能を果たしている。ステッピングモータ6と反対側の先端は、図2に示すように、第1ケース20Aに設けられた貫通孔を挿通してスプリングシート9に当接している。
ステッピングモータ6の回転軸61の回転制御は、360度を等分した所定角度を1ステップ角度とし、ステッピングモータ6に印加されたパルス信号のパルス数と同数ステップ角度だけ回転するものであり、回転軸の回転角度精度および再現性が非常に高い。このため、ステッピングモータ6の回転軸61の回転運動をスリーブ7の直線運動に変換することにより、スリーブ7の移動量もまた高精度で制御することができる。
次に、付勢力調節手段であるステッピングモータ6による、コイルスプリング4の付勢力調節動作について説明する。
先ず、スリーブ7がスプリングシート9に当接していないときは、コイルスプリング4はスプリングシート9を介して第1ケース20Aに当接している。この状態において、バルブ3の閉弁時におけるコイルスプリング4の長さであるコイル長さLは最大となっている、つまり最大値Lmaxとなっている。同時に、バルブ3の閉弁時におけるコイルスプリング4の付勢力であるセット力Fは最小となっている、つまり最小値Fminとなっている。
次に、ステッピングモータ6にパルス信号が印加されて回転軸61が回転すると、それに対応して、スリーブ7は、スプリングシート9に向かう方向、つまり図2中において下向き方向に直線移動してスプリングシート9に当接する。そこからさらに移動すると、コイルスプリング4はスリーブ7の移動にともなってコイル長さが短くなり圧縮される。やがて、パルス信号の印加停止により回転軸61が停止すると、スリーブ7も停止する。この状態において、コイルスプリング4のコイル長さは最大値Lmaxよりも短くなっており、コイルスプリング4のセット力は最小値Fminよりも大きくなっている。
以上をまとめると、本発明の一実施形態によるプレッシャレギュレータ1においては、ステッピングモータ6の回転軸61により駆動されるスリーブ7がスプリングシート9に当接せずに離れているときに、コイルスプリング4のセット力は最小値となっている。さらにステッピングモータ6を駆動してスリーブ7を直線移動させてスプリングシート9を介してコイルスプリング4を押し縮めることにより、コイルスプリング4のセット力を増大させることができる。
次に、本発明の一実施形態によるプレッシャレギュレータ1の作動について説明する。
先ず、エンジン(図示せず)の通常運転中について説明する。このとき、ステッピングモータ6の回転軸61の回転角度は、スリーブ7がスプリングシート9に当接せずに離れている。詳しくは、スリーブ7の先端とスプリングシート9との間にわずかの隙間がある位置に駆動されている。
燃料ポンプ102により加圧された燃料は、燃料フィルタ103を通過して供給管105を経てプレッシャレギュレータ1へ流入する。つまり、入り口22を介して調整室21内へ流入する。調整室21内においては、燃料の圧力が調整室21内の各部に作用する。バルブシート31およびバルブホルダ32に燃料圧力が作用すると、燃料圧力による力は、バルブシート31およびバルブホルダ32を図2中における上向き方向に作用する。一方、コイルスプリング4がバルブシート31およびバルブホルダ32に及ぼす付勢力は、図2中の下向き方向に作用している。通常、エンジンの運転中においては、バルブ3において、燃料圧力により開弁方向、つまり図2中の上向き方向、に作用する力の大きさは、コイルスプリング4により閉弁方向、つまり図2中の下向き方向、に作用する力の大きさを上回っている。このため、バルブホルダ32が図2中の上方へ移動しバルブシート31が弁座26から離れる。すると、バルブシート31と弁座26との隙間を通って燃料が調整室21からリターン通路25へ流出する。すると、調整室21内の燃料圧力が低下し、バルブシート31およびバルブホルダ32に対して開弁方向に作用する力が減少しコイルスプリング4の付勢力が上回りバルブシート31およびバルブホルダ32は閉弁方向に動く。そうすると、バルブシート31と弁座26との隙間が減少し、この隙間を通って流出する燃料流量が減少し、調整室21内の燃料圧力低下が緩和され、バルブシート31およびバルブホルダ32の閉弁方向の動きが抑制される。最終的には、バルブシート31と弁座26との隙間からの燃料流出中に生成される調整室21内の燃料圧力によりバルブシート31およびバルブホルダ32に対して開弁方向に作用する力と、その開弁位置においてバルブシート31およびバルブホルダ32に対して閉弁方向に作用するコイルスプリング4の付勢力とが釣り合った位置でバルブシート31およびバルブホルダ32が停止する。これにより、調整室21内の燃料圧力は、燃料ポンプ102の吐出口102aから吐出される燃料圧力よりも低い所望の圧力に安定して維持される。このように、プレッシャレギュレータ1により所望の圧力に調整された燃料が、調整室21の出口23から供給管105へ流出し、さらにエンジンへと送出される。
上述した状態、つまりスリーブ7がスプリングシート9に当接せずに離れている状態においては、言い換えると、従来のプレッシャレギュレータの構成と同等の状態においては、エンジンへ供給される燃料圧力、つまりプレッシャレギュレータにより調整される燃料圧力を必要に応じて変える、つまり高める、あるいは低くすることは困難である。
次に、本発明の一実施形態によるプレッシャレギュレータ1の特徴的構成であるステッピングモータ6を更に駆動し、スリーブ7を直線移動させてスプリングシート9を介してコイルスプリング4を押し縮めた状態におけるプレッシャレギュレータ1の作動について説明する。
スリーブ7によりコイルスプリング4を押し縮められると、図4に示すように、コイルスプリング4の閉弁時コイル長さが最大値LmaxよりもΔLだけ短くなり、それによりセット力が増大する。そのため、バルブシート31弁座26間の隙間から燃料が流出して、調整室21内の燃料圧力が一定圧力に維持されているときのバルブシート31弁座26間の隙間、すなわちバルブリフトは、上述した通常運転時と比べて小さくなり、バルブシート31弁座26間の隙間から流出する燃料流量が通常運転時よりも少なくなる。このため、調整室21内燃料圧力であるプレッシャレギュレータ1により調整される燃料圧力が通常運転時よりも高くなる。すなわち、本発明の一実施形態によるプレッシャレギュレータ1によれば、エンジンの運転中においても、ステッピングモータ6を駆動してバルブ3の閉弁時におけるコイルスプリング4の付勢力であるセット力を変えることにより、プレッシャレギュレータ1の調整圧力を変えることができる。
以上述べたことをまとめると、本発明の一実施形態によるプレッシャレギュレータ1によれば、ステッピングモータ6を設け、ステッピングモータ6へのパルス信号を変えてスリーブ7の直線移動量を制御することによってバルブ3の閉弁時におけるコイルスプリング4の付勢力であるセット力を調節し、それによって、調整室21内の燃料圧力を切換えることを可能としている。たとえば、ステッピングモータ6を駆動してコイルスプリング4のセット力を増大することにより、プレッシャレギュレータ1の調整圧力を高めることができる。
また、本発明の一実施形態によるプレッシャレギュレータ1においては、セット力を変えるための手段としてステッピングモータ6を用いているが、ステッピングモータ6の回転軸61の回転角度精度および再現性は非常に高い。このため、スリーブ7の移動量、すなわちコイルスプリング4のセット力もまた高精度で制御することができる。これにより、プレッシャレギュレータ1の調整圧力を高精度で制御することができる。
また、ステッピングモータ6は電気アクチュエータとして様々な製品分野で広く用いられており安価であるので、エンジンの作動中においてもエンジンへ供給される燃料圧力を高精度で変更可能なプレッシャレギュレータ1を、コスト上昇を抑制しつつ実現することができる。
次に、以上説明した本発明の一実施形態によるプレッシャレギュレータ1を実際にエンジンに搭載したときにおける、プレッシャレギュレータ1の作動について説明する。
本発明の一実施形態によるプレッシャレギュレータ1が搭載されたエンジンにおいては、イグニッションスイッチ(図示せず)がONされてから所定時間だけ、プレッシャレギュレータ1のステッピングモータ6を駆動してコイルスプリング4のセット力を通常作動時よりも増大させている。プレッシャレギュレータ1のステッピングモータ6の制御は、たとえば、エンジンの運転を制御しているエンジンECU(Electronic Control Unit)によって実行される。エンジンECUは、マイクロコンピュータ等から構成されている。以下に、エンジンの始動時におけるプレッシャレギュレータ1の作動について、図5のタイミングチャートに基づいて説明する。
時刻t0において、図5(a)に示すように、運転者の操作によりイグニッションスイッチがONされる。すると、エンジンECUはそれを検知して、図5(b)に示すように、燃料ポンプ102を駆動する。同時にエンジンECUは、ステッピングモータ6にパルス信号を印加して回転軸61を回転駆動してスリーブ7を図2の下方へ移動させ、図5(c)に示すように、コイルスプリング4の閉弁時コイル長さLが最大値LmaxよりもΔLだけ短いL1なるまでコイルスプリング4を押し縮める。これにより、コイルスプリング4のセット力が増大するので、バルブシート31弁座26間の隙間、すなわちバルブリフトは、通常運転時と比べて小さくなり、バルブシート31弁座26間の隙間から流出する燃料流量が通常運転時よりも少なくなる。このため、調整室21内燃料圧力であるプレッシャレギュレータ1により調整される燃料圧力が通常運転時よりも高くなり、エンジンへ供給される燃料の圧力は、図5(d)に示すように、P2となる。さらに、エンジンECUは、ステッピングモータ6へのパルス信号印加開始と同時に計時を開始する。
時刻t0に開始されたエンジンECUによる計時時間が所定時間T1に達した時刻t1において、エンジンECUは、計時時間が所定時間T1に達したことを検知して、図5(c)に示すように、ステッピングモータ6へ再度パルス信号を印加して回転軸61を回転駆動しスリーブ7を図2の上方へ移動させ、図5(c)に示すように、コイルスプリング4の閉弁時コイル長さLを最大値Lmaxへ戻す。すなわち、スリーブ7を、その先端がスプリングシート9に当接しない位置まで移動させる。これにより、コイルスプリング4のセット力が減少するので、バルブシート31弁座26間の隙間、すなわちバルブリフトが通常運転時の大きさへ増大し、バルブシート31弁座26間の隙間から流出する燃料流量が増加する。このため、調整室21内燃料圧力であるプレッシャレギュレータ1により調整される燃料圧力が通常運転時の圧力であるP1へ低下し、エンジンへ供給される燃料の圧力は、図5(d)に示すように、P1となる。
以上説明したように、本発明の一実施形態によるプレッシャレギュレータ1が搭載されたエンジンにおいては、始動時において、プレッシャレギュレータ1のステッピングモータ6を作動させてコイルスプリング4のセット力を高めることにより、エンジンへ供給される燃料圧力を、通常運転時における燃料圧力P1よりも高い燃料圧力P2とすることができる。エンジンに供給される燃料の圧力が高くなると、インジェクタ(図示せず)から噴射される燃料が増加し、より確実に着火するようになる。これにより、エンジンの始動性、つまりエンジンの掛かり具合を向上すること、具体的には、自動車のイグニッションスイッチ(図示せず)がONされてからエンジンが安定して着火運転できるまでの時間を短縮すること、ができる。また、所定時間T1経過後は、プレッシャレギュレータ1によって調整されエンジンへ供給される燃料の圧力は燃料圧力P1となり、エンジンの通常運転に適した空燃費が得られる。
ここで、ステッピングモータ6を作動させてコイルスプリング4のセット力を高める期間である所定時間T1は、たとえば、エンジンの回転が安定して運転できるようになる必要最小限度の時間として設定されている。
なお、以上説明した本発明の一実施形態によるプレッシャレギュレータ1においては、コイルスプリング4のセット力を調節する付勢力調節手段としてステッピングモータ6およびスリーブ7を用いているが、これに限定する必要はなく、他の種類の付勢力調節手段を用いても良い。たとえば、電磁力の作用で可動コアを直線移動させるリニアソレノイドを用いて、その可動コアの動きによりスプリングシート9を押してコイルスプリング4のコイル長さを変える構成としても良い。
また、上述した実施形態は、本発明による圧力調整装置を、自動車の燃料タンク内に設置されて燃料ポンプから吐出された燃料の圧力を調整するプレッシャレギュレータ1に適用したものであるが、適用対象流体を自動車用燃料に限定する必要はなく、他の種類の流体を扱う装置に適用してもよい。
1 プレッシャレギュレータ(圧力調整装置)
2 ケーシング
20A 第1ケース
20B 第2ケース
21 調整室
22 入り口
23 出口
24 排出管
25 流体通路
26 弁座
27 出口孔
3 バルブ
31 バルブシート(弁体)
32 バルブホルダ
33 ボール
34 ダイヤフラム
4 コイルスプリング(弾性部材)
6 ステッピングモータ(付勢力調節手段)
61 回転軸
62 おねじ
7 スリーブ(直動部材)
71 突起
72 めねじ
8 ガイド
81 溝
82 貫通孔
9 スプリングシート
100 ポンプモジュール
101 ハウジング
102 燃料ポンプ
102a 吐出口
102b 吸込み口
102c リード線
103 燃料フィルタ
104 サクションフィルタ
105 供給管

Claims (4)

  1. 装置へ流体を供給するポンプの吐出口に連通して前記流体が導入される調整室と、
    一端が前記調整室の内側の空間である内部空間に開口し他端が前記調整室の外側の空間である外部空間に開口して前記内部空間と前記外部空間とを連通する流体通路と、
    前記流体通路の前記調整室側端部周縁に設けられた円環状の弁座および該弁座の全周に密着および離間自在に移動可能に前記調整室に保持される弁体と、を備え、
    前記弁体が前記弁座に密着した状態において前記内部空間と前記外部空間とが遮断され、前記弁体が前記弁座から離間した状態において前記内部空間と前記外部空間とが連通され、
    前記弁体は、前記弁座に密着する方向に弾性部材により付勢されるとともに、前記内部空間内の前記流体の圧力により前記弁座から離れる方向に付勢され、
    前記弁体は、弾性部材により前記弁座に密着する方向に付勢されると同時に前記流体の圧力が前記弁体に及ぼす力である流体力により前記弁座から離れる方向に付勢され、前記流体力の大きさが前記弾性部材が前記弁体に及ぼす力である付勢力の大きさを上回ると前記弁体が前記弁座から離れるように構成された圧力調整装置であって、
    前記付勢力を調節するための付勢力調節手段を備え、
    前記付勢力調節手段は前記装置の運転中において作動して前記付勢力を調節することを特徴とする圧力調整装置。
  2. 前記弾性部材はコイルばねであり、該コイルばねは、その軸方向を前記弁体の移動方向と一致させて配置され、
    前記付勢力調節手段は、前記弁体の移動方向における前記コイルばねの長さを変化させることを特徴とする請求項1に記載の圧力調整装置。
  3. 前記付勢力調節手段は、ステッピングモータと、該ステッピングモータの回転軸の回転を直線運動に変換して直線移動する直動部材と、を備え、
    前記直動部材はその移動方向を前記コイルばねの軸方向に一致させて配置され、
    前記直動部材は前記コイルばねを押圧可能に配置されることを特徴とする請求項2に記載の圧力調整装置。
  4. 前記流体はエンジンへ供給される燃料であり、
    エンジン始動時には前記付勢力を増大させるように前記付勢力調節手段を駆動し、エンジン始動後は前記付勢力を元にもどすように前記付勢力調節手段を駆動することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の圧力調整装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109667966A (zh) * 2019-01-02 2019-04-23 中山市铧禧电子科技有限公司 一种自动调压机构

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