JP2010255430A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子状物質の堆積量を正確に推定でき、フィルタの溶損・破損、出力の低下、及び燃費の悪化を抑制できる内燃機関の排気浄化装置を提供すること。
【解決手段】DPF9の細孔内に粒子状物質が捕捉されて堆積する深層濾過形態から、DPF9の表層に粒子状物質が堆積する表層濾過形態に推移したと判断されるまでは、DPF9の細孔内に捕捉されて堆積した粒子状物質を触媒の作用により燃焼させる触媒燃焼処理の実行を禁止する内燃機関の排気浄化装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。詳しくは、内燃機関から排出される排気中の粒子状物質を捕捉するフィルタを備えた内燃機関の排気浄化装置に関する。
自動車などに搭載される内燃機関、とりわけ圧縮着火式(以下、「ディーゼル」という)内燃機関においては、排出される排気中に多量の粒子状物質が含まれる。この粒子状物質は人体に有害であり、またエミッション規制対象物質である。このため、粒子状物質を除去するためのフィルタが、上記内燃機関の排気通路に設けられているのが一般的である。
上記フィルタでは、粒子状物質が堆積すると、フィルタの上流側と下流側との間の差圧(以下、「圧損」という)が大きくなり、出力の低下や燃費の悪化を招く。このため、ある程度粒子状物質が堆積した段階で、堆積した粒子状物質を燃焼させるフィルタ再生処理を実行する必要がある。これにより、フィルタに堆積した粒子状物質を燃焼除去でき、フィルタを継続使用できる。
ここで、フィルタ再生処理時に、フィルタに堆積した粒子状物質の量が過大であると、粒子状物質の燃焼熱でフィルタが過昇温され、フィルタの溶損・破損を招く。また、フィルタ再生処理時に、フィルタに堆積した粒子状物質の量が過小であると、フィルタ再生処理頻度が増加する。その結果、例えば膨張行程・排気工程にて燃料を噴射し、その燃料の発熱エネルギーを利用してフィルタ再生処理を実行する場合にあっては、燃費の悪化を招く。
従って、上記のような不具合を回避するためには、粒子状物質の堆積量を正確に把握することが望まれる。例えば、フィルタにおける粒子状物質の堆積量を精度良く推定する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−63965号公報
ところで、フィルタ再生処理前においても、フィルタの圧損の上昇は、出力の低下や燃費の悪化を防止する観点から回避することが望ましい。しかしながら、特許文献1の方法では、粒子状物質の堆積量の推定をいずれの時期に行うかについての開示はない。また、特許文献1の方法では、必要に応じてフィルタに堆積した粒子状物質を触媒の作用により触媒燃焼させているが、触媒燃焼処理の時期を誤ると却って、粒子状物質の堆積量の推定精度が低下する。ひいては、フィルタの溶損・破損、出力の低下、及び燃費の悪化を招く。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、粒子状物質の堆積量を正確に推定でき、フィルタの溶損・破損、出力の低下、及び燃費の悪化を抑制できる内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
上記目的を達成するため請求項1記載の発明は、内燃機関の排気通路に設けられ、前記内燃機関の排気中の粒子状物質を捕捉するフィルタ(9)を備えた内燃機関の排気浄化装置において、前記フィルタに担持され、当該フィルタの細孔内に捕捉されて堆積した粒子状物質を自己着火温度未満の温度で燃焼させる触媒と、前記フィルタの温度を昇温させる昇温手段と、前記昇温手段により前記フィルタの温度を前記自己着火温度未満の所定温度まで昇温させ、前記フィルタの細孔内に捕捉されて堆積した粒子状物質を前記触媒の作用により燃焼させる触媒燃焼処理を実行する触媒燃焼手段(22)と、前記フィルタの細孔内に粒子状物質が捕捉されて堆積する形態を深層濾過形態とし、粒子状物質の堆積度合に応じて前記深層濾過形態から推移し且つ前記フィルタの表層に粒子状物質が堆積する形態を表層濾過形態としたときに、前記フィルタにおける粒子状物質の堆積形態が前記表層濾過形態に推移したか否かを判断する堆積形態判断手段(22)と、前記堆積形態判断手段により前記フィルタにおける粒子状物質の堆積形態が前記表層濾過形態に推移したと判断されるまでは、前記触媒燃焼処理の実行を禁止する触媒燃焼制御手段(22)と、を備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記堆積形態判断手段は、前記フィルタの上流側と下流側との間の差圧に基づいて、当該フィルタにおける粒子状物質の堆積形態が前記表層濾過形態に推移したか否かを判断することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記昇温手段により前記フィルタの温度を前記自己着火温度以上の所定温度まで昇温させ、前記フィルタの表層に堆積した粒子状物質を自己着火燃焼させる再生処理を、粒子状物質の堆積量に基づいて実行する再生手段(22)をさらに備え、前記触媒燃焼制御手段は、前記堆積形態判断手段により前記フィルタにおける粒子状物質の堆積形態が前記表層濾過形態に推移したと判断された場合には、前記再生処理の実行前に前記触媒燃焼処理を実行することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記フィルタの細孔内に捕捉されて堆積していた粒子状物質の触媒燃焼が完了したか否かを判断する触媒燃焼完了判断手段(22)をさらに備え、前記触媒燃焼制御手段は、前記触媒燃焼完了判断手段により前記フィルタの細孔内に捕捉されて堆積していた粒子状物質の触媒燃焼が完了したと判断された場合には、前記再生処理の実行まで前記触媒燃焼処理の実行を禁止することを特徴とする。
請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置によれば、フィルタにおける粒子状物質の堆積形態が表層濾過形態に推移したと判断されるまでは、フィルタの細孔内に捕捉されて堆積した粒子状物質を触媒の作用により燃焼させる触媒燃焼処理の実行を禁止した。
これにより、フィルタにおける粒子状物質の堆積形態が表層濾過形態に推移するまでは、フィルタの細孔内に捕捉されて堆積した粒子状物質が触媒燃焼することがないため、表層濾過形態に推移するまで粒子状物質が迅速に堆積する。即ち、粒子状物質の堆積形態が表層濾過形態に推移するまでの時間を短縮することができ、より早期に粒子状物質の堆積形態を表層濾過形態に推移させることができる。一旦、表層濾過形態に推移した後は、フィルタの細孔内に捕捉されて堆積した粒子状物質を触媒燃焼させた場合であっても、フィルタ表層に堆積した粒子状物質は触媒燃焼されないため、表層濾過形態が維持される。
以下、早期に表層濾過形態に推移できる本発明の効果について説明する。
表層濾過形態に推移した後、フィルタの細孔内に捕捉されて堆積した粒子状物質を触媒燃焼により除去すると、その後堆積する粒子状物質の堆積量と圧損との間に極めて良好な相関性が得られるようになる。これは、フィルタ細孔内に捕捉されて堆積している粒子状物質が、内燃機関の運転状態によっては触媒燃焼するため、堆積量と圧損との相関性を悪化させる原因とされているからである。従って、上記の良好な相関性に基づいて、粒子状物質の堆積量を正確に推定できるため、フィルタ再生を適切な時期に実行することが可能となる。このため、粒子状物質の堆積量が過大となってフィルタ再生時に粒子状物質の燃焼熱でフィルタが過昇温されてしまうことがなくなり、フィルタの溶損・破損を回避できる。また、堆積量が過小であるにも関わらずフィルタ再生を実行してしまうことがなくなり、燃費の悪化を抑制できる。さらには、フィルタの堆積限界量ぎりぎりまで粒子状物質を堆積させることができるようになり、フィルタ再生頻度を低減することができるため、この点からも燃費の悪化を抑制できる。
請求項2記載の内燃機関の排気浄化装置によれば、フィルタの上流側と下流側との間の差圧、即ち圧損に基づいて、フィルタにおける粒子状物質の堆積形態が表層濾過形態に推移したか否かを判断した。
フィルタの圧損は、粒子状物質の堆積形態と相関関係があり、差圧センサにより直接的に検出できる。このため、例えば、内燃機関の運転状態から粒子状物質の堆積量を推定し、推定した堆積量から粒子状物質の堆積形態を推定するよりも、圧損に基づいて粒子状物質の堆積形態を推定する方がより精度が高い。従って、本発明によれば、粒子状物質の堆積形態が表層濾過形態に推移したか否かの判断を精度良く行うことができるため、請求項1記載の発明の効果がより発揮される。
請求項3記載の内燃機関の排気浄化装置によれば、フィルタにおける粒子状物質の堆積形態が表層濾過形態に推移したと判断された場合には、粒子状物質の堆積量に基づいて実行されるフィルタの再生処理前に触媒燃焼処理を実行した。
上述したように、フィルタにおける粒子状物質の堆積形態が一旦表層濾過形態に推移した後は、フィルタの細孔内に捕捉されて堆積した粒子状物質を触媒燃焼させた場合であっても、表層濾過形態は維持される。そして、フィルタの細孔内に捕捉されて堆積した粒子状物質は、粒子状物質の堆積量と圧損との相関性を悪化させる要因とされている。これに対して、表層濾過形態に推移した後、フィルタの細孔内に捕捉されて堆積した粒子状物質を触媒燃焼により除去すると、その後堆積する粒子状物質の堆積量と圧損との間に極めて良好な相関性が得られ、粒子状物質の堆積量をより正確に推定できる。従って、粒子状物質の堆積量に基づいて実行されるフィルタの再生処理前に、かかる触媒燃焼処理を実行することにより、より適切な時期にフィルタの再生処理を実行することができる。ひいては、フィルタの溶損・破損、出力の低下、及び燃費の悪化をより抑制できる。
請求項4記載の内燃機関の排気浄化装置によれば、フィルタの細孔内に捕捉されて堆積していた粒子状物質の触媒燃焼が完了したと判断された場合には、再生処理の実行まで触媒燃焼処理の実行を禁止した。
上述したように、フィルタにおける粒子状物質の堆積形態が一旦表層濾過形態に推移した後に、フィルタの細孔内に堆積した粒子状物質が触媒燃焼により除去されると、その後に堆積する粒子状物質の堆積量とフィルタの圧損との間に極めて良好な相関性が得られるようになるが、この高い相関関係はその後も維持される。これは、フィルタ表層に堆積している粒子状物質の近傍には触媒は存在しないため、触媒燃焼処理を実行しても該粒子状物質の触媒燃焼はほとんど進行しないためである。従って、フィルタの細孔内に捕捉されて堆積した粒子状物質が触媒燃焼により除去された後は、無駄な触媒燃焼処理を禁止することにより、燃費の悪化をさらに抑制できる。
ところで、深層濾過形態では、フィルタの細孔内に粒子状物質が捕捉されて堆積するため、排気の通過が粒子状物質により大きく妨害される結果、フィルタの圧損が急激に上昇する。これに対して、表層濾過形態では、表層に堆積した粒子状物質自身がフィルタの役割を担うため、細孔内に捕捉された粒子状物質の堆積量に応じてフィルタの圧損が急激に上昇することはないものの、細孔内に捕捉されて堆積した粒子状物質がフィルタの圧損上昇の主要因となっていることに変わりはない。
従って、本発明によれば、粒子状物質の堆積形態が表層濾過形態に推移したと判断された後、可及的速やかにフィルタの圧損上昇の主要因である細孔内に堆積した粒子状物質を触媒燃焼により除去するとともに、触媒燃焼による除去が完了した後は無駄な触媒燃焼処理を禁止することにより、出力の低下や燃費の悪化を特に効果的に抑制できる。
本実施形態の内燃機関の排気浄化装置の構成を示す図である。 本実施形態で用いられるDPFの構造を示す図である。 PM実堆積量と圧損との関係を示す図である。 従来のPM堆積量の推定におけるばらつき範囲を示す図である。 DPFに捕捉されたPMを説明するための図である。 深層濾過形態でDPF細孔内のPMを燃焼除去したときの挙動を示す図である。 表層濾過形態でDPF細孔内のPMを燃焼除去したときの挙動を示す図である。 表層濾過形態に推移した後可及的速やかにDPF細孔内のPMを燃焼除去したときの挙動を示す図である。 第1実施形態の触媒燃焼処理の手順を示すフローチャートである。 PM触媒燃焼速度と温度との関係を示す図である。 第2実施形態の触媒燃焼処理の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と共通する構成については同様の符号を用い、共通する構成、作用効果の説明については、適宜その説明を省略化又は簡略化する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る内燃機関及びその排気浄化装置の構成を示す図である。本実施形態の内燃機関(以下、「エンジン」という)は、ディーゼルエンジンである。
先ず、本実施形態の全体構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態では、エアクリーナ1、コンプレッサ2、インタークーラ3、新気量調整のためのスロットル4、インテークマニホールド5が備えられており、新気がこの順に導入される。スロットル4は、後述するECU22からの制御信号により、弁開度が決定される。
また、本実施形態では、エギゾーストマニホールド6、ターボチャージャ7、少なくとも還元性ガスを酸化する機能を有する触媒(以下、「酸化触媒」という)8、ディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、「DPF」という)9、サイレンサ10が備えられており、排気がこの順に排出されて車外に放出される。
また、排気の一部はEGRクーラ11を通じてインテークマニホールド5に戻され、再びエンジン本体17の燃焼室18内に送り込まれる。EGR流量は、後述するECU22からの制御信号によりその弁開度が決定されるEGRバルブ12にて調整される。
タンク13から供給された燃料は、燃料ポンプ14にて加圧され、コモンレール15を経由してインジェクタ16から燃焼室18内に送り込まれる。インジェクタ16は、後述するECU22からの制御信号により、燃料噴射量、噴射タイミングが決定される。
また、本実施形態では、新気量を検出するエアフローセンサ19、DPF9の上流側と下流側との間の差圧を検出する差圧センサ20,20、DPF9前段の排気の温度を検出する温度センサ21が備えられている。これらセンサは、ECU22と電気的に接続されており、これらセンサの検出信号がECU22に供給される。
ECU22は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定のレベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換するなどの機能を有する入力回路と、中央演算処理ユニット(以下、CPUという)とを備える。この他、ECU22は、CPUで実行される各種演算プログラムおよび演算結果などを記憶する記憶回路と、インジェクタ16、スロットル4、EGRバルブ12などに制御信号を出力する出力回路と、を備える。
以上のようなハードウェア構成により、ECU22には、触媒燃焼部、堆積形態判断部、触媒燃焼制御部、再生部、及び触媒燃焼完了判断部の各モジュールが構成される。
次に、本実施形態のDPF9について、詳細に説明する。
図2は、DPF9の側面断面図の一部である。DPF9は、ウォールフロー型のハニカム構造体をなしており、フィルタ壁33により各セルに区画されている。また、隣接するセルの入口側又は出口側が、交互に栓31又は32により閉塞されている。このような構造のため、DPF9内に導入された排気は、全てフィルタ壁33を通過する。排気中に含まれる粒子状物質(以下、「PM」という)は、排気がフィルタ壁33を通過する際に、フィルタ壁33の細孔内やフィルタ壁33の表層に捕捉される。
ところで、DPF9に捕捉されたPMの燃焼速度は、通常のディーゼルエンジンの低い排気温度下では著しく遅い。このため、機関運転中に徐々に、フィルタ壁33の細孔内やフィルタ壁33の表層にPMが堆積していく。このPMの堆積により、DPF9の圧損が上昇し、排気温度の上昇、機関出力の低下、及び燃費の悪化などの問題が生じる。
このため、DPF9に堆積しているPM量を推定し、推定されたPM量が予め設定された所定の堆積限界量を超えた場合に、PMの自己着火温度以上の所定温度までDPF9を昇温させ、DPF9に堆積したPMを自己着火燃焼させる再生処理が実行される。この再生処理は、ECU22の再生部により実行される。これにより、DPF9に捕捉されて堆積していたPMが燃焼除去され、DPF9が再生される。
ここで、「自己着火温度」とは、PMの温度を昇温させた場合に、外部から引火されることなく着火(発火)するときの温度をいう。従って、自己着火温度未満の温度でPMを燃焼させたい場合には、燃焼させたいPMの近傍に、後述する触媒を配置することが必要となる。
また、「堆積限界量」は、PMの自己着火温度以上の所定温度までDPF9を昇温させた場合であっても、DPF9に堆積していたPMによる燃焼熱でDPF9の破損・溶損が生じることがなく、またDPF9内に担持された触媒の急激な劣化が生じることがない範囲で設定される。通常は、その範囲内で最大のPM堆積量が設定される。
DPF9の再生処理では、DPF9を昇温させる昇温処理が実行され、DPF9の温度がPMの自己着火温度以上の所定温度に維持される。具体的には、先ず、温度センサ21によりDPF9前段の排気温度が検出され、その検出信号がECU22に供給されることにより、DPF9の温度が推定される。そして、推定されたDPF9の温度がPMの自己着火温度以上の所定温度になるように、フィードバック制御が実行される。
本実施形態では、再生処理に伴う昇温処理及び後述する触媒燃焼処理に伴う昇温処理の方法として、例えば以下の2つの方法が実行可能である。
第1の昇温処理方法は、DPF9の前段に設けられた酸化触媒8で発熱反応である酸化反応を生じさせ、高温の排気をDPF9に流入させる方法である。具体的には、酸化触媒8が活性状態にある場合において、エンジンが排気行程又は膨張行程にあるときに燃焼室18内に燃料をポスト噴射する。ここで噴射された燃料は、機関出力にほとんど寄与することなくそのまま排気通路内を流通し、酸化触媒8で酸化される。その結果、酸化触媒8の後段の排気温度が上昇し、高温化された排気がDPF9に供給される。これにより、DPF9の昇温が可能となる。
なお、酸化触媒8が活性状態にあるか否かは、温度センサ21により検出される排気温度により判断する。
第2の昇温処理方法は、エンジンから排出される排気の温度自体を上昇させ、高温の排気をDPF9に流入させる方法である。具体的には、スロットルバルブ4を調整して吸入空気量を低減したり、エンジンの燃焼室18内に噴射する主噴射の噴射タイミングを遅らせたり、主噴射後さらに少量の燃料を噴射することにより、排気温度が上昇し、高温の排気がDPF9に供給される。これにより、DPF9の昇温が可能となる。
ところで本実施形態では、上記のDPF9の再生処理は、DPF9のPM堆積量に基づいて実行される。このため、DPF9のPM堆積量を正確に推定することが望まれる。これは、PMの実際の堆積量(以下、「実堆積量」という)が推定堆積量よりも多い場合に、再生処理によってDPF9が溶損・破損することを防止し、またDPF9に担持されている触媒が急激に劣化することを防止するためである。また、通常、再生処理は燃費の悪化やNOx排出量の増加という不利益をもたらすところ、PMの実堆積量が推定堆積量よりも少ない場合に、DPF9の再生頻度が増加してしまうのを防止するためである。
即ち、PM堆積量を正確に推定し、DPF9のPM堆積限界量ぎりぎりまでPMを堆積させた後、再生処理を実行するのが最も望ましい。
本実施形態では、DPF9のPM堆積量の推定は、DPF9の圧損に基づいて行われる。これは、DPF9のPM実堆積量とDPF9の圧損との間には相関性があるためである。
図3に、PM実堆積量と圧損との関係を示す。図3の曲線(a)は、フィルタ壁33の細孔内に捕捉されて堆積しているPM(以下、「細孔内PM」という)が触媒燃焼により除去されることなく、さらにPMがDPF9に堆積していく場合のPM実堆積量と圧損との関係を示している。PMのDPF9への堆積初期段階においては、PMがフィルタ壁33の細孔内に捕捉されて堆積する深層濾過形態にあるため、急激に圧損が上昇する(図3の深層濾過領域に相当)。その後、PMの堆積が進行すると、堆積度合に応じてDPF9の表層にPMが堆積する表層濾過形態へと推移するため、圧損の上昇率は緩やかになる(図3の表層濾過領域に相当)。この表層濾過領域では、PM自身がフィルタとして機能するため、その後に堆積するPM実堆積量と圧損とは、ほぼ比例する関係となる。
ここで、「細孔内PM」は、具体的には図5の細孔内PMを表し、この細孔内PMが堆積していくと、排気流路(細孔)が閉塞して急激に圧損が上昇することとなる。また、DPF9の表層に堆積したPMを「表層PM(細孔外PM)」という。
次に、本実施形態のDPF9に担持されている触媒について説明する。
本実施形態では、DPF9に担持され、PMを触媒燃焼させる触媒を備える。このため、ECU22の触媒燃焼部によって、DPF9の温度をPMの自己着火温度未満の温度まで昇温させる触媒燃焼処理が実行されることにより、触媒近傍に存在するPM、即ち細孔内PMを触媒燃焼させることができる。触媒としては、従来公知の酸化触媒が使用される。
触媒燃焼の形態としては、触媒自体がPMと酸素との反応を促進してPMの自己着火温度を下げる形態と、触媒が排気中のNOをNOに酸化し、そのNOが下記式(1)の反応を起こすことによりPMを燃焼させる形態と、がある。
[化1]

2NO+C→2NO+CO ・・・式(1)

従って、細孔内PMはその近傍に触媒が存在するため、触媒燃焼されて除去される結果、DPF9の圧損が低下する。一方、表層PMは、その近傍に触媒が存在しないため、触媒燃焼されない。このため、細孔内PMのみが触媒燃焼により除去された後は、表層PMはフィルタ機能を発揮し、この表層PMのフィルタ機能によりPMが新たに捕捉されて堆積していく。即ち、表層濾過形態が維持される。
ここで、上記の触媒燃焼処理の実行時期を誤ると、PM堆積量の推定精度が低下する。以下、その理由について図4を参照しながら説明する。図4は、図3と同様に、PM実堆積量と圧損との関係を示す図である。
DPF9の再生処理を、DPF9の圧損がある一定値(図4のP1)に達したときに実行する場合、DPF9には触媒が担持されているため、エンジンの運転状態によっては細孔内PMが触媒燃焼により除去されることがある。このため、DPF9の圧損が、再生トリガーである圧損P1に達したときに、実際にDPF9に堆積しているPM実堆積量は、A1(細孔内PMが全く触媒燃焼されていない状態)からA2(細孔内PM全てが触媒燃焼されて除去された状態)の間の何れかの値であることは確かであるが、正確に特定するのは困難である。
従って、エンジンの運転状態に関わらず、DPF9のPM堆積量を精度良く推定するためには、細孔内PMを触媒燃焼により除去する必要がある。ところが、その触媒燃焼処理の実行時期を誤ると、DPF9の圧損とPM堆積量の相関性が悪化する。具体的には、DPF9の堆積形態が深層濾過形態から表層濾過形態に推移する前に、触媒燃焼処理を実行してしまうと、DPF9の圧損とPM堆積量の相関性が悪化する。
以下、相関性が悪化する理由について、図6を参照しながら詳しく説明する。
図6は、DPF9のPM堆積形態が深層濾過形態のときに、細孔内PMを触媒燃焼により除去したときの、DPF9のPM堆積量と圧損の挙動を示す図である。図6に示すように、PM捕捉時(図6のI)は、PM捕捉量が増加するにつれて急激にDPF9の圧損が上昇する。この圧損の上昇途中、即ち深層濾過形態のときに、細孔内PMを触媒燃焼させた場合(図6のII)は、圧損上昇の原因である細孔内PMが触媒燃焼するため圧損が低下するが、その後、新たに堆積するPMは、再び深層濾過形態により捕捉されて堆積することとなる。このため、DPF9のPM堆積形態が表層濾過形態に推移した(図6のIII)後も、細孔内PMの触媒燃焼による影響を受け、DPF9の圧損とPM堆積量の良好な相関性が得られないため、精度良くPM堆積量を推定することができない(図6のIV)。
これに対して本実施形態の触媒燃焼制御部では、後述する堆積形態判断部により、PMの堆積形態が表層濾過形態に推移したと判断されるまでは、細孔内PMを触媒燃焼する触媒燃焼処理の実行を禁止する。これにより、早期にDPF9のPM堆積形態を表層濾過形態に推移させることができ、その後、触媒燃焼処理を実行することにより、精度良くPM堆積量を推定することができる。
以下、精度良くPM堆積量を推定することができる理由について、図7を参照しながら説明する。
図7は、PMの堆積形態が表層濾過形態に推移した後に、細孔内PMを触媒燃焼させたときの、DPF9のPM堆積量と圧損の挙動を示す図である。図7に示すように、DPF9のPM堆積形態が表層濾過形態に推移した(図7のI)後、細孔内PMの一部が触媒燃焼すると、細孔の閉塞が開放されて圧損が低下する(図7のII)。その後、新たにPMがDPF9に堆積する場合、該PMは表層濾過形態をとるため、急激な圧損の上昇は生じない(図7のIII)。そして、細孔内PMの触媒燃焼を継続し(図7のIV)、最終的に細孔内PMが焼失した後(図7のV)は、PM堆積量と圧損との間に良好な相関性が得られる。
以上より、DPF9のPM堆積形態が表層濾過形態に推移した後に、細孔内PMを触媒燃焼により除去することで、DPF9のPM堆積量と圧損との関係が図7の(b)に示すような比例関係を示すようになる。このため、本実施形態では、DPF9の圧損を差圧センサ20,20で検出することにより、DPF9のPM堆積量を精度良く推定することができる。
上述の堆積形態判断部について、詳しく説明する。
本実施形態の堆積形態判断部では、DPF9におけるPMの堆積形態が表層濾過形態に推移したか否かを判断する。
図6に示したように、DPF9のPM堆積形態が深層濾過形態であるときは、PM堆積量が増加するにつれてDPF9の圧損は急激に上昇する関係にある。また、圧損の上昇中に細孔内PMが触媒燃焼されても、この関係は変わらず維持される。
これに対して、DPF9におけるPM堆積形態が表層濾過形態に推移した後は、DPF9に触媒が担持されていなければ、図6の(a)のようにPM堆積量とDPF9の圧損との間に良好な比例関係が認められるはずである。しかしながら、本実施形態ではDPF9に触媒が担持されており、運転状態によっては細孔内PMが触媒燃焼する。その結果、PM堆積量とDPF9の圧損との間の比例関係が崩れ、正確なPM堆積量を推定するのが困難な状態となる。
従って、上記のような深層濾過形態と表層濾過形態の相違点を利用して、深層濾過形態から表層濾過形態に推移するときの圧損P0は、所定の実験を行うことにより予め求めておくことが可能である。このため、本実施形態の触媒燃焼制御部では、予め求めた圧損P0をECU22に格納し、差圧センサ20,20により検出される圧損がP0に達したときに、深層濾過形態から表層濾過形態に推移したと判断する。
なお、表層濾過形態に推移した後、細孔内PMの触媒燃焼度合によっては、DPF9の圧損がP0未満となることがある。この場合であっても、フィルタ再生の実行前までは表層濾過形態が維持されるため、フィルタ再生が実行されない限り、圧損が再度P0に達しても、深層濾過形態から表層濾過形態に推移したとの判断を禁止する。
ところで、DPF9の圧損が大きいと、機関出力の低下や燃費の低下を招き、また、高負荷領域においてNOx排出量が増加する。このため、DPF9の再生処理実行前においても、できる限り圧損は小さいことが望ましい。従って、本実施形態の触媒燃焼制御部では、DPF9のPM堆積形態が表層濾過形態に推移したと判断された後、可及的速やかに触媒燃焼処理を実行する。
また、本実施形態では、細孔内PMが触媒燃焼により除去された後は、既にPM堆積量と圧損との相関性は十分高く、DPF9の再生処理を実行するまでは、これ以上触媒燃焼処理を実行する必要性は無い。逆に、触媒燃焼処理を実行すると、燃費の悪化を招く。このため、本実施形態の触媒燃焼制御部では、後述する触媒燃焼完了判断部により、細孔内PMの触媒燃焼が完了したと判断された場合には、DPF9の再生処理の実行まで触媒燃焼処理の実行を禁止する。
上述の触媒燃焼完了判断部について、図8を参照しながら詳しく説明する。
本実施形態の触媒燃焼完了判断部では、細孔内PMの触媒燃焼が完了したか否かを判断する。
図8に示すように、先ず、DPF9におけるPM堆積形態を表層濾過形態に推移させた後(図8のI)、DPF9の細孔内PMが触媒燃焼可能な温度までDPF9を昇温させ、その状態を一定期間保持する。このとき、細孔内PMが堆積している場合には、該PMが触媒燃焼する結果、DPF9の圧損が低下する(図8のII)。逆に、DPF9の細孔内PMが全て触媒燃焼により除去された後は、圧損は低下せず、その後はPM堆積量と圧損との間に比例関係が認められるようになる(図8のIII)。
従って、DPF9の細孔内PMが触媒燃焼可能な温度までDPF9を昇温させ、その状態を一定期間保持したときの保持前と保持後の圧損差を求め、該圧損差が所定の閾値以下となった場合に、DPF9の細孔内PMが焼失し、触媒燃焼が完了したと判断する。なお、上記閾値については、好ましくは0に設定される。
次に、本実施形態の触媒燃焼処理の手順について説明する。図9は、ECU22による触媒燃焼処理の手順を示すフローチャートである。
ステップS11では、DPF9のPM堆積形態が表層濾過形態に推移したか否かを判断する。この判断がYESの場合にはステップS12に移り、NOの場合にはステップS11に戻る。
具体的には、表層濾過形態に推移したか否かは、DPF9の上流側と下流側との間の差圧、即ち圧損に基づいて判断する。圧損は、差圧センサ20,20により、直接計測される。
ステップS12では、後述するステップS13において実行されるDPF9の触媒燃焼のための昇温処理に先立って、昇温処理前のDPF9の圧損Paを計測する。計測後はステップS13に移る。
具体的には、差圧センサ20,20により、圧損Paは直接計測される。
ステップS13では、DPF9の温度をPMの自己着火温度未満の所定温度まで昇温させる昇温処理を実行する。昇温処理を実行後、ステップS14に移る。
具体的には、ポスト噴射により燃料成分を酸化触媒8に供給して酸化させ、DPF9に流入する排気を高温化させる。その際には、温度センサ21の検出信号に基づいてDPF9の温度を推定し、推定したDPF9の温度が、PMの自己着火温度未満の所定温度に所定時間の間保持されるように、フィードバック制御を実行する。これにより、DPF9の細孔内PMが、触媒燃焼により除去される。
ステップS14では、上述のステップS13において実行した昇温処理後のDPF9の圧損Pbを計測する。計測後はステップS15に移る。
具体的には、圧損Pbは圧損Paと同様に、差圧センサ20,20により直接計測される。
ステップS15では、ステップS12で計測された圧損Paから、ステップS14で計測された圧損Pbを減算して昇温処理前後の圧損差を算出し、算出された圧損差が所定の閾値Px以下であるか否かを判断する。この判断がYESの場合には、DPF9の細孔内のPMが焼失し、触媒燃焼が完了したと判断して触媒燃焼処理を終了する。この判断がNOの場合には、触媒燃焼が完了していないと判断し、ステップS12に戻る。
以下、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、DPF9におけるPMの堆積形態が表層濾過形態に推移したと判断されるまでは、DPF9の細孔内PMを触媒の作用により燃焼させる触媒燃焼処理の実行を禁止した。
これにより、DPF9におけるPMの堆積形態が表層濾過形態に推移するまでは、DPF9の細孔内に捕捉されて堆積したPMが触媒燃焼することがないため、表層濾過形態に推移するまでPMが迅速に堆積する。即ち、PMの堆積形態が表層濾過形態に推移するまでの時間を短縮することができ、より早期にPMの堆積形態を表層濾過形態に推移させることができる。一旦、表層濾過形態に推移した後は、DPF9の細孔内PMを触媒燃焼させた場合であっても、DPF9の表層PMは触媒燃焼されないため、表層濾過形態が維持される。
表層濾過形態に推移した後、DPF9の細孔内PMを触媒燃焼により除去すると、その後堆積するPMの堆積量と圧損との間に極めて良好な相関性が得られるようになる。これは、細孔内PMが、エンジンの運転状態によっては触媒燃焼するため、堆積量と圧損との相関性を悪化させる原因とされているからである。従って、上記の良好な相関性に基づいて、PMの堆積量を正確に推定できるため、DPF9の再生処理を適切な時期に実行することが可能となる。このため、PMの堆積量が過大となってDPF9の再生処理時にPMの燃焼熱でDPF9が過昇温されてしまうことがなくなり、DPF9の溶損・破損を回避できる。また、堆積量が過小であるにも関わらずDPF9の再生処理を実行してしまうことがなくなり、燃費の悪化を抑制できる。さらには、DPF9の堆積限界量ぎりぎりまでPMを堆積させることができるようになり、DPF9の再生処理頻度を低減することができるため、この点からも燃費の悪化を抑制できる。
また、本実施形態によれば、DPF9の上流側と下流側との間の差圧、即ち圧損に基づいて、DPF9におけるPMの堆積形態が表層濾過形態に推移したか否かを判断した。
DPF9の圧損は、PMの堆積形態と相関関係があり、差圧センサ20,20により直接的に検出できる。このため、例えば、エンジンの運転状態からPMの堆積量を推定し、推定した堆積量からPMの堆積形態を推定するよりも、圧損に基づいてPMの堆積形態を推定する方がより精度が高い。従って、本実施形態によれば、PMの堆積形態が表層濾過形態に推移したか否かの判断を精度良く行うことができるため、上記効果がより発揮される。
また、本実施形態によれば、DPF9におけるPMの堆積形態が表層濾過形態に推移したと判断された場合には、PMの堆積量に基づいて実行されるDPF9の再生処理前に触媒燃焼処理を実行した。
上述したように、DPF9におけるPMの堆積形態が一旦表層濾過形態に推移した後は、DPF9の細孔内PMを触媒燃焼させた場合であっても、表層濾過形態は維持される。そして、細孔内PMは、PMの堆積量と圧損との相関性を悪化させる要因とされている。これに対して、表層濾過形態に推移した後、細孔内PMを触媒燃焼により除去すると、その後堆積するPMの堆積量と圧損との間に極めて良好な相関性が得られ、PMの堆積量をより正確に推定できる。従って、PMの堆積量に基づいて実行されるDPF9の再生処理前に、かかる触媒燃焼処理を実行することにより、より適切な時期にDPF9の再生処理を実行することができる。ひいては、DPF9の溶損・破損、出力の低下、及び燃費の悪化をより抑制できる。
また、本実施形態によれば、DPF9の細孔内PMの触媒燃焼が完了したと判断された場合には、再生処理の実行まで触媒燃焼処理の実行を禁止した。
上述したように、DPF9におけるPMの堆積形態が一旦表層濾過形態に推移した後に、細孔内PMが触媒燃焼により除去すると、その後に堆積するPMの堆積量とDPF9の圧損との間に極めて良好な相関性が得られるようになるが、この高い相関関係はその後も維持される。これは、DPF9の表層PMの近傍には触媒は存在しないため、触媒燃焼処理を実行しても該PMの触媒燃焼はほとんど進行しないためである。従って、細孔内PMが触媒燃焼により除去された後は、無駄な触媒燃焼処理を禁止することにより、燃費の悪化をさらに抑制できる。
ところで、深層濾過形態では、DPF9の細孔内にPMが捕捉されて堆積するため、排気の通過がPMにより大きく妨害される結果、DPF9の圧損が急激に上昇する。これに対して、表層濾過形態では、表層に堆積したPM自身がDPF9の役割を担うため、細孔内PMの堆積量に応じてDPF9の圧損が急激に上昇することはないものの、細孔内PMがDPF9の圧損上昇の主要因となっていることに変わりはない。
従って、本実施形態によれば、PMの堆積形態が表層濾過形態に推移したと判断された後、可及的速やかにDPF9の圧損上昇の主要因である細孔内PMを触媒燃焼により除去するとともに、触媒燃焼による除去が完了した後は無駄な触媒燃焼処理を禁止することにより、出力の低下や燃費の悪化を特に効果的に抑制できる。
本実施形態では、ECU22が、触媒燃焼手段、堆積形態判断手段、触媒燃焼制御手段、再生手段、触媒燃焼完了判断手段を構成する。また、図9のステップS11の実行に係る手段が堆積形態判断手段及び触媒燃焼制御手段に相当し、ステップS13の実行に係る手段が触媒燃焼手段に相当し、ステップS12、14の実行に係る手段が触媒燃焼完了判断手段に相当し、ステップS15の実行に係る手段が触媒燃焼完了判断手段及び触媒燃焼制御手段に相当する。
[第2実施形態]
本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置は、触媒燃焼完了判断部の構成が第1実施形態と異なる以外は、第1実施形態と同様の構成である。
本実施形態の触媒燃焼完了判断部について詳しく説明する。
先ず、触媒の作用によりPMが触媒燃焼する速度Vp(g/秒)を、所定の実験により予め求めておく。一例として、温度とPM燃焼速度との関係について、所定の実験により求めた結果を図10に示す。図10に示すように、低温下は触媒不活性領域であり、PMは触媒燃焼されないが、触媒燃焼可能温度を超えると触媒燃焼が開始され、PM燃焼速度が急激に増大する。そして、さらに高温化されて自己着火温度に達すると、DPF9の表層PM(細孔外PM)が自己着火燃焼する。
また、図3に戻って、図3のA0を所定の実験により予め求めておく。A0は、DPF9におけるPMの堆積形態が表層濾過形態に推移したときに、DPF9の細孔内に捕捉されているPMの堆積量であり、DPF9の細孔内に捕捉され得る最大のPM堆積量を表している。
実際に、DPF9を昇温させてDPF9の温度を触媒燃焼可能温度以上の所定温度に制御し、図11を参照して、その温度に対応したPM触媒燃焼速度Vp(g/秒)を求める。そして、該温度になっていた時間tを乗じることにより、PM触媒燃焼量を算出する。
次いで、DPF9の細孔内のPM堆積量Aiの前回値(初期値は上記A0)から、上記で算出したPM触媒燃焼量を減算する。この操作を繰り返し、最終的にPM堆積量Aiが閾値Ak(例えば、0)以下となったときに、DPF9の細孔内のPMが焼失し、触媒燃焼が完了したと判断する。
次に、本実施形態の触媒燃焼処理の手順について説明する。図11は、ECUによる触媒燃焼処理の手順を示すフローチャートである。
ステップS21では、DPF9のPM堆積形態が表層濾過形態に推移したか否かを判断する。この判断がYESの場合にはステップS22に移り、NOの場合にはステップS21に戻る。
具体的には、表層濾過形態に推移したか否かは、DPF9の上流側と下流側との間の差圧、即ち圧損に基づいて判断する。圧損は、差圧センサ20,20により直接計測される。
ステップS22では、DPF9の細孔内のPM堆積量Ai値の初期値として、A0を読み込み、ステップS23に移る。
上述したように、A0は、DPF9におけるPMの堆積形態が表層濾過形態に推移したときのDPF9の細孔内に捕捉されているPMの堆積量であり、所定の実験により予め設定され、ECUに格納されている。
ステップS23では、DPF9の温度をPMの自己着火温度未満の所定温度まで昇温させる昇温処理を実行する。昇温処理を実行後、ステップS24に移る。
具体的には、第1実施形態の触媒燃焼処理手順のステップS13と同様の昇温処理を実行する。
ステップS24では、ステップS23で実行した昇温処理時のDPF9の温度に対応したPM燃焼速度Vp(g/秒)を算出し、ステップS25に移る。
具体的には、所定の実験により予めECUに格納されているPM触媒燃焼速度Vp(g/秒)とDPF9の温度との関係から、昇温処理時のDPF9の温度に対応したPM燃焼速度Vp(g/秒)を算出する。
ステップS25では、先ず、ステップS24で算出されたPM触媒燃焼速度Vp(g/秒)に、該温度になっていた時間tを乗じてPM触媒燃焼量(Vp・t)を算出する。次いで、DPF9の細孔内のPM堆積量Aiの前回値(初期値はA0)から、上記PM触媒燃焼量(Vp・t)を減算することにより、DPF9の細孔内のPM堆積量Aiを算出する。PM堆積量Aiを算出後、ステップS26に移る。
ステップS26では、ステップS25で算出されたPM堆積量Aiが、所定の閾値Ak以下であるか否かを判断する。この判断がYESの場合には、DPF9の細孔内のPMが焼失し、触媒燃焼が完了したと判断して触媒燃焼処理を終了する。この判断がNOの場合には、触媒燃焼が完了していないと判断し、ステップS22に戻る。
本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置によれば、第1実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置と同様の作用効果が奏される。
本実施形態では、図11のステップS21の実行に係る手段が堆積形態判断手段及び触媒燃焼制御手段に相当し、ステップS23の実行に係る手段が触媒燃焼手段に相当し、ステップS22、24、25の実行に係る手段が触媒燃焼完了判断手段に相当し、ステップS26の実行に係る手段が触媒燃焼完了判断手段及び触媒燃焼制御手段に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれる。
例えば、エンジンはディーゼルエンジンに限られず、火花点火式内燃機関にも本発明を適用することができる。特に、ガソリンを筒内に直接噴射する火花点火式内燃機関は、運転状態によりPMが発生する場合があるため、本発明の適用は有用である。
また、本実施形態では、DPF9の圧損は、DPF9におけるPM堆積量のみに基づくものとして、差圧センサ20,20から直接求めた実際の差圧を用いているが、これに限られない。実際には、DPF9の圧損は、PM堆積量以外にも排気流量や排気温度などにより変化する。従って、例えば、差圧センサから直接求められる差圧と、排気流量や排気温度との関係を所定の実験により予め求めておき、一定温度、一定流量のときの差圧を算出し、それを排圧として用いてもよい。
8…酸化触媒
9…DPF
16…インジェクタ
19…エアフローセンサ
20…差圧センサ
21…温度センサ
22…ECU(触媒燃焼手段、堆積形態判断手段、触媒燃焼制御手段、再生手段、触媒燃焼完了判断手段)
33…フィルタ壁

Claims (4)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられ、前記内燃機関の排気中の粒子状物質を捕捉するフィルタを備えた内燃機関の排気浄化装置において、
    前記フィルタに担持され、当該フィルタの細孔内に捕捉されて堆積した粒子状物質を自己着火温度未満の温度で燃焼させる触媒と、
    前記フィルタの温度を昇温させる昇温手段と、
    前記昇温手段により前記フィルタの温度を前記自己着火温度未満の所定温度まで昇温させ、前記フィルタの細孔内に捕捉されて堆積した粒子状物質を前記触媒の作用により燃焼させる触媒燃焼処理を実行する触媒燃焼手段と、
    前記フィルタの細孔内に粒子状物質が捕捉されて堆積する形態を深層濾過形態とし、粒子状物質の堆積度合に応じて前記深層濾過形態から推移し且つ前記フィルタの表層に粒子状物質が堆積する形態を表層濾過形態としたときに、前記フィルタにおける粒子状物質の堆積形態が前記表層濾過形態に推移したか否かを判断する堆積形態判断手段と、
    前記堆積形態判断手段により前記フィルタにおける粒子状物質の堆積形態が前記表層濾過形態に推移したと判断されるまでは、前記触媒燃焼処理の実行を禁止する触媒燃焼制御手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記堆積形態判断手段は、前記フィルタの上流側と下流側との間の差圧に基づいて、当該フィルタにおける粒子状物質の堆積形態が前記表層濾過形態に推移したか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記昇温手段により前記フィルタの温度を前記自己着火温度以上の所定温度まで昇温させ、前記フィルタの表層に堆積した粒子状物質を自己着火燃焼させる再生処理を、粒子状物質の堆積量に基づいて実行する再生手段をさらに備え、
    前記触媒燃焼制御手段は、前記堆積形態判断手段により前記フィルタにおける粒子状物質の堆積形態が前記表層濾過形態に推移したと判断された場合には、前記再生処理の実行前に前記触媒燃焼処理を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記フィルタの細孔内に捕捉されて堆積していた粒子状物質の触媒燃焼が完了したか否かを判断する触媒燃焼完了判断手段をさらに備え、
    前記触媒燃焼制御手段は、前記触媒燃焼完了判断手段により前記フィルタの細孔内に捕捉されて堆積していた粒子状物質の触媒燃焼が完了したと判断された場合には、前記再生処理の実行まで前記触媒燃焼処理の実行を禁止することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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