JP2010254122A - 軌道系交通車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】台枠の重量の増加を抑えつつ剛性を大幅に高めることができ、上部構体のFRP化を実現することができる軌道系交通車両を提供する。
【解決手段】前部と後部の下部に台車3が配置される台枠2の上部に上部構体4を取付けた軌道系交通車両1において、上記台枠2は、前後の端部梁2a,2a間の両側に側梁2b,2bを設けると共に、両側梁2b,2b間に複数の枕梁2cを設け、上記端部梁2aと最外側の枕梁2cの間に上記台車3を取付けるための台車取付梁2dを設けて構成されており、上記台枠2の長手方向中央領域に補強梁15を設けている。
【選択図】図4
【解決手段】前部と後部の下部に台車3が配置される台枠2の上部に上部構体4を取付けた軌道系交通車両1において、上記台枠2は、前後の端部梁2a,2a間の両側に側梁2b,2bを設けると共に、両側梁2b,2b間に複数の枕梁2cを設け、上記端部梁2aと最外側の枕梁2cの間に上記台車3を取付けるための台車取付梁2dを設けて構成されており、上記台枠2の長手方向中央領域に補強梁15を設けている。
【選択図】図4
Description
本発明は、軌道系交通車両に係り、特に重量の増加を抑えつつ台枠の剛性を高める技術に関するものである。
軌道系交通車両としては、鉄道車両の他に、軌道上をゴムタイヤからなる走行輪で走行し、無人で自動操舵される新交通システムの車両が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この新交通システムの車両は、通常、レール上を走行する鉄道車両と異なり、ゴムタイヤからなる走行輪を軌道に沿って転向ないし操舵するために、車両の両側に走行案内輪が設けられ、この走行案内輪が軌道の両側に沿って設けられた案内レールに接触して案内されることにより、車両が機械的に操舵されて走行するようになっている。
ところで、鉄道車両は、車輪及び駆動部を有する前後の台車(ボギー)の上に台枠(アンダーフレーム)を載置し、その台枠の上に上部構体(上部構造体、車体ともいう。)を取付けた構造を有している。台枠は、図7に示すように前後の端部梁2a間の両側に側梁2bを設けると共に、両側梁2b間に複数の枕梁2cを設け、上記端部梁2aと最外側の枕梁2cの間に上記台車3を取付けるための台車取付梁2dを設けて構成されている。このような鉄道車両においては、上部構体がステンレスやアルミニウム合金などの金属によって形成されていて高い剛性を有し、上部構体に車両全体の剛性の70%を持たせ、30%を台枠に持たせている。
一方、上記新交通システムの車両のように、ゴムタイヤで走行する車両においては、タイヤが支持可能な荷重が鉄道車両の車輪に比して小さいので、乗客数を増加させるためにも、上部構体の軽量化が望まれるが、金属製の上部構体では軽量化を図ることが困難であった。軽量で強度・剛性を有する材料としては、例えば繊維強化プラスチックないし繊維強化複合材料(以下、FRPともいう。)が考えられる。
ところで、車両の振動形態を見た場合、車両が走行すると、タイヤからの衝撃荷重が前後の台車を介して台枠に伝わり、台枠の前後方向中央部が弓状に撓むように振動する。上部構体を単にFRP製にしただけでは、上部構体の剛性が不足していて振動を抑制することが難しい。
そして、車両の軽量化を目的として上部構体をFRP製に変更することは、上部構体の剛性が十分に確保できず、車両全体の剛性が確保できないという理由でほとんど実現されていない。なお、従来の車両では、FRPは、上部構体の先頭部分(キャブマスク)や内装パネル(剛性を保持する構造材ではない)に使用されているに過ぎない。
FRP製の上部構体からなる車両を実現するためには、上部構体の剛性不足分を補うために台枠の剛性を既存のもの以上に高める必要がある。ただ、台枠の剛性を高めようと単に台枠を厚肉化するだけでは台枠の重量が増加してしまい、結果として上部構体をFRP製とすることによる軽量化のメリットを十分に出すことができなくなり、これが上部構体のFPR化が実現できない要因でもある。
本発明は、前記事情を考慮してなされたものであり、重量の増加を抑えつつ台枠の剛性を大幅に高めることができ、上部構体のFRP化を実現することができる軌道系交通車両を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、前部と後部の下部に台車が配置される台枠の上部に上部構体を取付けた軌道系交通車両において、上記台枠は、前後の端部梁間の両側に側梁を設けると共に、両側梁間に複数の枕梁を設け、上記端部梁と最外側の枕梁との間に上記台車を取付けるための台車取付梁を設けて構成されており、上記台枠の長手方向中央領域に補強梁を設けたことを特徴とする。
上記補強梁は、上記枕梁の下部に前後の上記台車取付梁の対向する端部同士を接続するように設けられていることが好ましい。上記補強梁は、上記側梁のそれぞれの下部に前後の上記台車取付梁の対向する端部と重なるように設けられていることが好ましい。上記上部構体は、繊維強化複合材料により形成されていることが好ましい。
本発明によれば、台枠の重量の増加を抑えつつ剛性を大幅に高めることができ、上部構体のFRP化を実現することができる。
以下に、本発明を実施するための形態を添付図面に基いて詳述する。
図1において、1は軌道系交通車両例えば新交通システムの車両で、この車両1は、台枠2と、この台枠2の前部と後部の下部にそれぞれ設けられる台車3と、上記台枠2上に設けられる上部構体4とを備えている。台車3は、左右一対のゴムタイヤからなる走行輪3aと、その走行輪を駆動する駆動部(図示省略)とを有している。走行輪3aを軌道に沿って転向ないし操舵するために、車両の両側に走行案内輪(図示省略)が設けられ、この走行案内輪が軌道の両側に沿って設けられた案内レール(図示省略)に接触して案内されることにより、車両1が機械的に操舵されて走行するようになっている。
上部構体4には、前部と後部に窓用の開口部5が設けられると共に、両側部に窓用の開口部6やドア用の開口部7が設けられる。上記上部構体4は、本実施形態では軽量化を図るために繊維強化プラスチック(FRP)の単層材(単層板)好ましくはその積層材8により形成されている。この場合、FRPの積層材8だけでは足りない剛性・強度の更なる向上を図るために、上部構体4の少なくとも天井部及び窓下側板部、本実施形態では、天井部4a、窓下側板部4b及び前後の窓下正面部4cは、芯材をFRPのスキンで挟んだサンドイッチ材9により形成され、少なくともドア用の開口部7の周囲には補強フレーム10が組み込まれていることが好ましい。
例えば、上部構体4は、サンドイッチ材9で構成される部分と、積層材8で構成される部分とからなることが好ましい。これらの部分は、FRPの成形法である例えばオートクレープ成形法或いはVaRTM成形法により形成される。サンドイッチ材9で構成される部分は、図2(a)に示すように先ず上部構体用の図示しない型にてFRPの外側スキン(外皮)11を形成し、型から外した上部構体用の外側スキン11の内側面に芯材13を接着剤(好ましくは構造用接着剤)14により貼り付け、この芯材13の内側面とその内方に配置した図示しない型の間にFRPの内側スキン12を形成することにより構成される。サンドイッチ材9は一度に成形(外側スキンと芯材と内側スキンを一体成形)してもよい。
積層材8で構成される部分は、図2(b)に示すように先ず上記と同様に外側スキン(外皮)11を形成し、この外側スキン11の内側面とその内方に配置した図示しない型の間にFRPを注入して外側スキン11の内側面に内側スキン12を形成することにより構成される。積層材8は一度に成形(外側スキンと内側スキンを一体成形)してもよい。芯材13の内側面又は外側スキン11の内側面に内側スキン12を積層形成する場合には、FRPの樹脂が接着力を有するため接着剤は不要である。なお、FRPの繊維材としては、炭素繊維でもよく、ガラス繊維でもよい。上記芯材13としては、アルミニウム合金製のハニカム材が好ましいが、発泡材やバルサ材であってもよい。
上記補強フレーム10は、図1に示すようにドア用の開口部7の両側位置に配置された垂直の主補強フレーム10aと、車両の側部の前部側及び後部側に配置された垂直で主補強フレーム10aよりも高さの低い副補強フレーム10bと、隣り合う主補強フレーム10a,10a間及び主補強フレーム10aと副補強フレーム10b間に跨って水平にそれぞれ配置された窓下補強フレーム10cと、天井部4aの両側に長手方向(車長方向)に沿って平行に配置された天井補強フレーム10dとから主に構成されている。そして、両側の天井補強フレーム10d,10dで囲まれる領域には上記サンドイッチ材9で構成される部分が配置され、窓下補強フレーム10cと両主補強フレーム10a,10aで囲まれる領域、窓下補強フレーム10cと主補強フレーム10a及び副補強フレーム10bで囲まれる領域にはサンドイッチ材9で構成される部分が配置される。
補強フレーム10は、図3(a)に示すように積層材8を構成する外側スキン11と内側スキン12の間に組み込まれる。この場合、外側スキン11の内側面に構造用接着剤14を介して補強フレーム10の主補強フレーム10aを貼り付け、その外側スキン11の内側面及び主補強フレーム10aの露出面を覆うように内側スキン12が一体的に設けられる。なお、サンドイッチ材9で構成される部分においては、図3(b)に示すように主補強フレーム10a及び芯材13が外側スキン11の内側面に構造用接着剤14を介して貼り付けられ、その外側スキン11の内側面及び主補強フレーム10a及び芯材13の露出面を覆うように内側スキン12が一体的に設けられる。なお、サンドイッチ材9は、内側スキンと芯材と外側スキンを一体成形したものであってもよく、その場合には構造用接着剤は不要となる。上記主補強フレーム10aは、上記台枠2に結合部材(例えばブラケット)を介して結合される。
一方、上記台枠2の一実施形態について説明すると、台枠2は、図4に示すように前部と後部の端部梁2a,2a間に掛け渡された両側の側梁2b,2bと、両側の側梁2b,2b間に掛け渡された複数の枕梁2cと、最外側の枕梁2cと端部梁2a間に掛け渡された台車取付梁2dとを備えた従来の鉄道車両の台枠とほぼ同じ基本的構成を有している。上記枕梁2cは、台枠2の長手方向の中央領域に所定の間隔で複数本(図示例では5本)配置されている。上記台車取付梁2dは、台枠2の幅方向中央領域に複数本(図示例では2本)ずつ平行に配置されている。台枠2を構成する端部梁2a、側梁2b、枕梁2c、台車取付梁2dの断面形状は、コ字状であってもよく、中空の方形状であってもよい。
上部構体4がFRP製の車両における台枠2の占める車両全体の強度(曲げ剛性)の割合を増加させて車両全体の強度の向上を図るために、具体的には重量の増加を抑えつつ台枠2の剛性(曲げ剛性)を大幅に高めるために、本実施形態では、上記台枠2の長手方向中央領域には補強梁として中梁15が設けられている。上記中梁(補強梁)15は、上記枕梁2cの下部に前後の上記台車取付梁2dの対向する端部同士を接続するように2本平行に設けられている。中梁15の断面形状は、図示例では、中空の方形状であるが、コ字状であってもよい。
上記枕梁2cの下面は、側梁2bの下面よりも下方に突出しており、また、台車取付梁2dの下面は枕梁2cの下面よりも下方に突出している。上記中梁15は、前後の台車取付梁2dの対向する端部間に収まる長さに形成されていると共に、中梁15の下面は、上記台車取付梁2dの下面よりも下方に突出している。そして、中梁15は、台車取付梁2dの端部及び枕梁2cに対して溶接で接合されている。また、中梁15の端部(台車取付梁の下面から下方に突出した部分)と台車取付梁2dの下面との間には、接合部への応力集中を防ぐための補強部材(ガセット継手)16が介設されていることが好ましい。
以上の構成からなる軌道系車両1によれば、前部と後部の下部に台車3が配置される台枠2の上部に上部構体4を取付けた軌道系交通車両において、上記台枠2は、前後の端部梁2a,2a間の両側に側梁2b,2bを設けると共に、両側梁2b間に複数の枕梁2cを設け、上記端部梁2aと最外側の枕梁2cとの間に上記台車3を取付けるための台車取付梁2dを設けて構成されており、上記台枠2の長手方向中央領域に中梁15を設けているため、台枠2の重量の増加を最小限に抑えつつ台枠2の剛性を大幅に高めることができる。これにより上部構体4がFRP製の車両である場合における台枠2の占める車両全体の強度(曲げ剛性)の割合(車両全体の曲げ剛性における台枠の剛性負担割合)を高めることができるため、上部構体4のFRP化を実現することができ、FRP製の上部構体4を採用した新交通システム車両や鉄道車両の実現が可能となる。また、車両全体の重量軽減が可能であるため、ゴムタイヤを採用する新交通システム車両においては、乗車定員の増加を実現することができる。
更に、上記実施形態の軌道系車両1によれば、上部構体4の少なくとも天井部4a及び窓下側板部4bが芯材13をFRPのスキン11,12で一体的に挟んでなるサンドイッチ材9により形成されると共に、少なくともドア用の開口部7の周囲に補強フレーム10が組み込まれているため、上部構体4の軽量化及び強度の向上が図れ、開口部周囲の変形を防止できる。上記上部構体4における上記サンドイッチ材9により形成された部分以外は、上記スキン11,12を積層した積層材8により形成されているため、上部構体全体のFRP化を容易に実現することが可能である。
図6は、上部構体を取り付けていない状態の台枠をシミュレーションした結果を示すグラフである。試験は、台枠の前後方向中央部に上向きに荷重を加え、その時の振動(モード)、固有振動数を検出するものである。ここで、固有振動数と剛性とには、剛性が高いほど固有振動数が高くなるという関係がある。そこで、固有振動数を測定、評価することで、剛性を評価した。図6は、断面コ字状で重量の異なる3種類の中梁を追加した場合と、断面中空方形状の中梁を追加した場合の効果(固有振動数の変化と重量の変化)を示しており、何れの場合も剛性が向上していることが分かる。
図5は台枠2の他の実施形態を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。図5に示すように本実施形態の台枠2は、図4に示した台枠と同様、前部と後部の端部梁2a,2a間に掛け渡された両側の側梁2b,2bと、両側の側梁2b,2b間に掛け渡された複数の枕梁2cと、外側の枕梁2cと端部梁2a間に掛け渡された台車取付梁2dとを備えた基本的構成を有している。そして、上記台枠2の長手方向中央領域には補強梁として補鋼梁17が設けられている。この場合、上記側梁2bのそれぞれの下部に補鋼梁(補強梁)17が側方から見て前後の上記台車取付梁2dの対向する端部と重なるように配置されて側梁2bの下面に溶接接合されている。
上記補鋼梁17は、側梁2bよりも長さが短く、前後の台車取付梁2dの対向する端部間の間隔よりも長さが長い。重量の増加を最小限に抑えつつ剛性を高くするために、補鋼梁17の断面形状は、コ字状であり、下のフランジ部17bの幅が上のフランジ部17aの幅よりも広く形成されている。本実施形態の台枠2を有する軌道系車両によっても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
1 車両
2 台枠
2a 端部梁
2b 側梁
2c 枕梁
2d 台車取付梁
3 台車
4 上部構体
5,6,7 開口部
8 積層材
9 サンドイッチ材
10 補強フレーム
11 外側スキン
12 内側スキン
13 芯材
14 接着剤
15 中梁(補強梁)
16 補強部材
17 補鋼梁(補強梁)
2 台枠
2a 端部梁
2b 側梁
2c 枕梁
2d 台車取付梁
3 台車
4 上部構体
5,6,7 開口部
8 積層材
9 サンドイッチ材
10 補強フレーム
11 外側スキン
12 内側スキン
13 芯材
14 接着剤
15 中梁(補強梁)
16 補強部材
17 補鋼梁(補強梁)
Claims (4)
- 前部と後部の下部に台車が配置される台枠の上部に上部構体を取付けた軌道系交通車両において、上記台枠は、前後の端部梁間の両側に側梁を設けると共に、両側梁間に複数の枕梁を設け、上記端部梁と最外側の枕梁との間に上記台車を取付けるための台車取付梁を設けて構成されており、上記台枠の長手方向中央領域に補強梁を設けたことを特徴とする軌道系車両。
- 上記補強梁は、上記枕梁の下部に前後の上記台車取付梁の内端部同士を接続するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の軌道系車両。
- 上記補強梁は、上記側梁のそれぞれの下部に前後の上記台車取付梁の対向する端部と重なるように設けられていることを特徴とする請求項1記載の軌道系車両。
- 上記上部構体は、繊維強化複合材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の軌道系車両。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009106377A JP2010254122A (ja) | 2009-04-24 | 2009-04-24 | 軌道系交通車両 |
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JP2009106377A JP2010254122A (ja) | 2009-04-24 | 2009-04-24 | 軌道系交通車両 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010254122A true JP2010254122A (ja) | 2010-11-11 |
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JP2009106377A Pending JP2010254122A (ja) | 2009-04-24 | 2009-04-24 | 軌道系交通車両 |
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JP (1) | JP2010254122A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2009
- 2009-04-24 JP JP2009106377A patent/JP2010254122A/ja active Pending
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