JP2010250900A - ヘッド・スライダとディスクとの接触を検知するディスク装置及びヘッド・スライダとディスクとの接触を検知する方法 - Google Patents

ヘッド・スライダとディスクとの接触を検知するディスク装置及びヘッド・スライダとディスクとの接触を検知する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010250900A
JP2010250900A JP2009099444A JP2009099444A JP2010250900A JP 2010250900 A JP2010250900 A JP 2010250900A JP 2009099444 A JP2009099444 A JP 2009099444A JP 2009099444 A JP2009099444 A JP 2009099444A JP 2010250900 A JP2010250900 A JP 2010250900A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
disk
slider
contact
head slider
magnetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009099444A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroki Shimizu
裕樹 清水
Kinkoku Jo
鈞国 徐
Hidekazu Kodaira
英一 小平
Kenji Kuroki
賢二 黒木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HGST Netherlands BV
Original Assignee
Hitachi Global Storage Technologies Netherlands BV
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Global Storage Technologies Netherlands BV filed Critical Hitachi Global Storage Technologies Netherlands BV
Priority to JP2009099444A priority Critical patent/JP2010250900A/ja
Publication of JP2010250900A publication Critical patent/JP2010250900A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Supporting Of Heads In Record-Carrier Devices (AREA)

Abstract

【課題】接触発生時に発生するスライダ振動が小さく、磁気ディスク装置内でのヘッド・スライダとディスクの接触発生を検知できない場合がある。
【解決手段】スライダ13をスライダ浮上高さ方向に及び/もしくはオフトラック方向に微小振動させてヘッド・ジンバル・アセンブリ27の共振を引き起こす。この状態でスライダ13および磁気ディスク2の接触検知動作を実施することで、スライダ13および磁気ディスク2の表面に塗布された潤滑剤層31の接触を、感度良く、確実に検知することができる。スライダ13および磁気ディスク2の固体接触開始前に接触検知が可能であり、かつオフトラック方向の振動を検知するため、ヘッド・ディスク・インターフェイスの信頼性を損ねることなく、精度良くスライダ13および磁気ディスク2の接触検知を実施することが可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヘッド・スライダとディスクとの接触を検知するディスク装置及びヘッド・スライダとディスクとの接触を検知する方法に関し、特に、素子の浮上高さを調整するアクチュエータを有するディスク装置におけるヘッド・スライダとディスクとの接触検知に関する。
磁気ディスク装置や光ディスク装置、光磁気ディスク装置といったディスク装置において、ディスクの記録層とヘッド・スライダの記録再生素子との間隔が小さいほど、情報記録密度を向上できる。そのため、ディスク装置の情報記録密度向上に伴い、ヘッド・スライダの低浮上化が進んでいる。
例えば、磁気ディスク装置の情報記録密度向上のためには、磁気ヘッド・スライダに搭載された記録素子/再生素子と、磁気ディスク表面にスパッタリング等によって構成される磁性膜との間隔、いわゆる磁気スペーシングを狭小化する必要がある。現在の磁気ディスク装置においては、磁性膜上にはDLC(Diamond Like Carbon)保護膜が構成され、さらにそのDLC保護膜上に潤滑剤が塗布されている。また磁気ヘッド・スライダ浮上面のレール面にもDLC保護膜が構成されている。そして、磁気ディスク上における磁気ヘッド・スライダの浮上高さ、すなわち磁気ディスクのDLC保護膜から浮上時の磁気ヘッド・スライダの浮上最下点までの距離は、設計値で10nmを割り込むまでに低下してきている。
この様に、ヘッド・スライダが極低浮上するディスク装置では、ディスク装置内もしくはディスク装置周辺の温度や気圧の変化などに伴い、ヘッド・スライダの浮上高さが変動する。また、ヘッド・スライダ浮上面の形状加工誤差、サスペンションへのヘッド・スライダ貼り付け時のアセンブリ誤差等により、ヘッド・スライダの浮上高さにはスライダ個々毎にばらつきが生じる。これら様々な要因によりヘッド・スライダの浮上高さはばらつきを有するが、磁気記録再生の観点からは、記録/再生動作時のヘッド・スライダ毎の磁気スペーシングばらつきが、ある一定範囲内に収まっていることが重要となる。
また、ヘッド・スライダ毎の浮上高さばらつきは、磁気ディスク装置の動作環境によっては、装置内でのディスク・ヘッド・スライダ接触を引き起こす。ディスク・ヘッド・スライダ接触は、磁気ディスク上に塗布された潤滑剤や、磁気ディスクとヘッド・スライダの摩擦により発生するコンタミネーションの、ヘッド・スライダの浮上面への付着を誘発する。これは、スライダの浮上を不安定化し、ひいては磁気ディスクとヘッド・スライダの接触を誘起し物理的破壊(クラッシュ)を誘発する可能性がある。
このように、ヘッド・スライダの浮上高さばらつきは、磁気ディスク装置の信頼性を著しく低下する要因となりうる。したがって、磁気ディスク装置においては、その動作環境等によるヘッド・スライダ浮上高さのばらつきを考慮し、磁気ディスクとヘッド・スライダ間に、所定のクリアランスを確保する必要がある。
これらの課題に対し、特許文献1や特許文献2に、ヘッド・スライダに浮上調整用のアクチュエータを搭載し、動作環境等に応じてスライダ浮上高さを調整することで、磁気ディスクとヘッド・スライダとの間のクリアランスを確保する技術が開示されている。また、特許文献3に、浮上調整用のアクチュエータを用いてヘッド・スライダの浮上高さを下げていき、磁気ディスクとごく短い時間だけ接触させて、その接触を検知することでそのヘッド・スライダの現状でのクリアランス量を確認する技術が開示されている。また、磁気ディスク装置内における、ヘッド・スライダと磁気ディスクの接触検知手法として、例えば特許文献4に、再生素子からの磁気抵抗(MR)信号の振幅を監視する技術が開示されている。
特開昭62−250570号公報 特開平5−20635号公報 特開2002−150735号公報 特開2007−250170号公報
上記従来技術のように、ヘッド・スライダ浮上高さ調整機能を用い、さらにヘッド・スライダ・ディスク接触検知機能を用いてヘッド・スライダの浮上クリアランス量を検出することで、磁気ディスク装置内での磁気スペーシングばらつきを抑制し、磁気ディスク装置の更なる高記録密度化および高信頼性確保を達成することができる。
しかし、上記従来技術によって浮上クリアランスを確保する場合には、磁気ディスクとヘッド・スライダとの接触を、精度良く確実に検知する必要がある。但し、ヘッド・スライダの浮上面形状や磁気ディスク表面の接触箇所の状態等によっては、接触発生時に発生するスライダ振動が小さく、磁気ディスク装置内でのヘッド・スライダと磁気ディスクとの接触発生を検知できない場合がある。
したがって、ヘッド・スライダの浮上面形状、接触箇所の磁気ディスク表面の状態等に関わらず、ヘッド・スライダと磁気ディスクとの接触を、感度良く、確実に検知する技術が望まれる。
本発明の一態様のディスク装置は、スライダ及びそのスライダ上に形成されている素子を有するヘッド・スライダと、前記ヘッド・スライダを支持するサスペンションと、前記サスペンションをディスクの半径方向に移動する第1アクチュエータと、前記素子の位置でのヘッド・スライダの浮上高さを調整するアクチュエータと、前記素子を振動させた状態で前記素子と前記ディスクとの接触を検知するコントローラとを有する。これにより、スライダ・ディスク接触を感度良く確実に検知することができ、その接触検知におけるヘッド・ディスク・インターフェイスの信頼性への影響を小さくすることができる。
好ましくは、前記ヘッド・スライダは、前記ヘッド・スライダと前記サスペンションとからなるアセンブリが共振を起こす周波数で、振動している。これにより、スライダ・ディスク接触をより感度良く確実に検知することができる。さらに、前記共振のモードは、スウェイ・モードあるいはヨー・モードであることが好ましい。これにより、接触おいてより大きな振動を誘起することができる。あるいは、前記コントローラは、前記サスペンションを複数周波数で前記ディスクの半径方向に振動させた前記アセンブリの振動振幅を参照して、前記アセンブリの共振を起こす前記周波数を特定することが好ましい。これにより、装置毎に異なる共振周波数を正確に特定することができる。
好ましい例において、前記コントローラは、前記素子をオフトラック方向に振動させた状態で前記ディスクとの接触を検知する。さらに、前記コントローラは、前記素子を浮上高さ方向及びオフトラック方向に振動させた状態で前記ディスクとの接触を検知することが好ましい。これらにより、スライダ・ディスク接触をより感度良く確実に検知することができる。
好ましい例において、前記コントローラは、前記素子を浮上高さ方向に振動させた状態で前記ディスクとの接触を検知する。これらにより、スライダ・ディスク接触をより感度良く確実に検知することができる。
好ましくは、前記ヘッド・スライダと前記ディスクとの間の電位差を振動することで、前記素子を振動させる、ディスク装置。これにより、容易かつ正確に素子を振動させることができる。
好ましくは、前記第1アクチュエータよりも小さい範囲で前記素子を前記ディスクの半径方向に移動する第2アクチュエータをさらに有し、前記コントローラは、前記第2アクチュエータにより前記素子を振動させる。第2アクチュエータを実装する装置において、容易かつ正確に素子を振動させることができる。
好ましくは、前記コントローラは、前記素子の前記接触によるオフトラック方向におけるずれをモニタすることで、前記接触を検知する。これにより、ヘッド・スライダと磁気ディスクとの弱い接触を高感度に検知することができる。
本発明の他の態様は、ヘッド・スライダとディスクとの接触を検知する方法である。この方法は、前記ヘッド・スライダの素子位置での浮上高さを調整するアクチュエータによって、前記素子位置の浮上高さを低くし、前記浮上高さを低くした状態において前記素子を振動させ、前記振動している素子と前記ディスクとの接触を検知する。これにより、スライダ・ディスク接触を感度良く確実に検知することができ、その接触検知におけるヘッド・ディスク・インターフェイスの信頼性への影響を小さくすることができる。
本願発明によれば、スライダ・ディスク接触を感度良く確実に検知することができ、その接触検知におけるヘッド・ディスク・インターフェイスの信頼性への影響を小さくすることができる。
本発明の実施例1による磁気ディスク装置の構成概略を示した図である。 レーザドップラ変位計で、ヘッド・ジンバル・アセンブリのオフトラック方向振動の周波数特性を測定した結果である。 浮上高さ方向にスライダをヘッド・ジンバル・アセンブリの共振周波数で微小振動させた状態で、浮上量調整用アクチュエータによってスライダ浮上を低下させ、スライダ・ディスクの接触を検知するシーケンスにおいて、スライダとディスク潤滑剤層との干渉によって浮上高さ方向の微小振動がオフトラック方向振動に変換される原理を説明した図である。 浮上高さ方向にスライダをヘッド・ジンバル・アセンブリの共振周波数で微小振動させた状態で、浮上量調整用アクチュエータによってスライダ浮上を低下させ、スライダ・ディスクの接触を検知した際の、アームに取り付けたAEセンサ出力と、レーザドップラ変位計で測定したスライダのオフトラック方向振動のうち、浮上方向への微小振動の周波数の成分を抽出したものを比較した図である。 本発明の実施例1による磁気ディスク装置において接触検知動作を実施する際のフローチャートである。 本発明の実施例2による磁気ディスク装置の構成概略を示した図である。 オフトラック方向にヘッド・ジンバル・アセンブリをヘッド・ジンバル・アセンブリの共振周波数で微小振動させた状態で、浮上量調整用アクチュエータによってスライダ浮上を低下させ、スライダ・ディスクの接触を検知するシーケンスにおいて、スライダとディスク潤滑剤層との干渉によってオフトラック方向の微小振動が影響を受ける原理を説明した図である。 本発明の実施例2による磁気ディスク装置において接触検知動作を実施する際のフローチャートである。
以下に、本発明を適用した実施の形態を説明する。説明の明確化のため以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。本形態の磁気ディスク装置の構成を、図面を参照して以下に説明する。図1は本形態の磁気ディスク装置内における構成要素を示す模式図である。
磁気ディスク装置は、磁気ヘッド・スライダ1、磁気ディスク2、磁気ヘッド・スライダ1を保持するサスペンション3、サスペンション3を保持するアーム4、アーム4を駆動し磁気ヘッド・スライダ1を位置決めするボイス・コイル・モータ(VCM)5、磁気ディスク2を回転するスピンドル・モータ6、上記構成要素を固定するベース7、および上記構成要素を制御する制御部8を有している。
スピンドル・モータ6は、スピンドル・コントローラ35から供給される制御信号によって制御されたスピンドル・ドライバ36からの供給電流で回転する。また、アーム4を駆動するVCM5は、典型的には、VCM用永久磁石41によって発生した固定磁界の中で移動可能なコイルを備える回転式のものであり、コイルの移動の方向および速度は、ハードディスク・コントローラ9の一つの機能である位置決めコントローラ37から供給されるモータ制御信号によって、デジタル・アナログ変換器(DAC1)11およびVCMドライバ12を介して制御される。
典型的には、ハードディスク・コントローラ9は、ファームウェアに従って動作するプロセッサとハードウェアである電子回路とを有している。図1において、ハードディスク・コントローラ9内の各ブロック(構成要素)は、ハードディスク・コントローラ9の機能を示している。ハードディスク・コントローラ9において、プロセッサ及び/もしくは電子回路が動作することで、各機能が実現される。例えば、プロセッサと電子回路の一部が動作することで、ハードディスク・コントローラ9は、位置決めコントローラ37として機能することができる。
磁気ヘッド・スライダ1は、スライダ13と、スライダ13の空気流出端に形成された薄膜磁気ヘッド部14とで構成されている。磁気ヘッド・スライダ1には、磁気ディスク2と対向する面に空気軸受を構成する浮上面が形成されており、この浮上面で発生する浮力とサスペンション3からの押し付け力の釣り合いで、回転する磁気ディスク4上で所定の隙間を保ちつつ浮上する。
薄膜磁気ヘッド部14の中には、記録素子15、再生素子(変換素子)16および浮上高さ調整用アクチュエータ17が形成されており、スライダ浮上面の空気流出端中央付近に位置している。典型的には、記録素子15は記録コイル、再生素子16は磁気抵抗効果素子、そして浮上高さ調整用アクチュエータ17はヒータである。ヒータの発熱により薄膜磁気ヘッド部14が膨張し、記録素子15及び再生素子16と磁気ディスク11との間の距離及び磁気スペーシングを小さくする。このヒータへの電力量を調整することで、上記距離及び磁気スペーシングを調整することができる。
本明細書において、ヒータの熱による浮上高さ制御を、TFC(Thermal Fly-height Control)と呼ぶ。薄膜磁気ヘッド部14における浮上高さ制御はTFCによることが好ましい。しかし、微動アクチュエータようのように他の機構により上記浮上高さを調整する磁気ディスク装置に本発明を適用することができる。また、本発明を再生素子のみを有するディスク装置に適用することができる。
ハードディスク・コントローラ9は、制御信号により浮上高さ調整アクチュエータ17を制御する。具体的には、ハードディスク・コントローラ9からの制御信号はTFCチャネル18を介してプリアンプ19に出力される。プリアンプ19内の浮上高さ調整アクチュエータ用アンプ20は、制御信号を増幅した後に浮上高さ調整アクチュエータ17に供給する。
磁気ディスク2表面からのデータは、再生素子16で読み取られる。再生素子16からの再生信号は、プリアンプ19内のリード・アンプ21によって増幅される。リード・アンプ21からの出力はリード・チャネル22に送られ、そこで、再生素子16からのアナログ信号が、磁気ディスク2表面の磁気記録層に記録されるデータを表すデジタル信号へと処理される。
リード・アンプ21および他の読取り信号処理回路群、ならびに再生素子16に対してセンス電流またはバイアス電流を生成する回路群は、リード・チャネル22の中に構成される。また、リード・チャネル22は、典型的には、自動ゲイン制御、アナログ/デジタル変換、およびデジタルデータ検出のための回路群を包含する。また、データは、ライト・チャネル23およびライト・アンプ24を介して記録素子15に送られた書込み信号によって、磁気ディスク2表面の磁気記録層に書き込まれる。
磁気ディスク2上における磁気ヘッド・スライダ1のトラック・フォローイングおよびシーク制御信号は、入力ヘッド位置誤差信号(PES)に応じてサーボ制御アルゴリズムを実行するハードディスク・コントローラ9によって生成される。再生素子16は、典型的には、データ・セクタ間に埋め込まれた均等な角度を成して離間したサーボ・セクタにおいて、磁気ディスクに記録されたヘッド位置サーボ情報を読取る。リード・アンプ21からのこのアナログサーボ出力は、復調器25によって復調され、アナログ/デジタル(A/D)変換器26によってデジタル位置誤差信号(PES)に変換される。
トラック・フォローイングおよびシーク制御信号は、デジタル・アナログ変換器(DAC)11に送られ、そこでアナログ電圧信号に変換され、VCMドライバ12に出力される。次に、VCMドライバ12は、対応する電流パルスをVCMアクチュエータ5のコイルに送る。VCMアクチュエータ5は、アーム4を半径方向内向きおよび外向きに旋回させ、磁気ヘッド・スライダ1を磁気ディスク2表面の所望のデータ・トラックまで移動させ、そこに位置決めする。ヘッド位置決め後、記録/再生動作が実施される。この記録/再生動作の際に、浮上高さ調整用アクチュエータ17によって、薄膜磁気ヘッド部14(再生素子16及び記録素子15)の位置における浮上高さが調整される。
本形態の磁気ディスク装置は、特徴の一つとして、磁気ヘッド・スライダ1およびサスペンション3から構成されるヘッド・ジンバル・アセンブリ27の共振周波数Frを検出する共振周波数検出器28を有している。さらに、本形態の磁気ディスク装置は、他の特徴の一つとして、磁気ヘッド・スライダ1を微小振動させるための微小振動信号発生器29を有している。磁気ディスク装置は、微小振動信号発生器29から信号により、磁気ヘッド・スライダ1を微小振動させる機能を有している。具体的には、本形態の磁気ディスク装置は、磁気ディスク2上で浮上中の磁気ヘッド・スライダ1をクーロン力により浮上高さ方向に微小駆動する(微小振動させる)。
本形態の磁気ディスク装置は、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との接触を検知する際に、この微小駆動機能を用いる。具体的には、本形態の磁気ディスク装置は、上記の微小駆動機能により、磁気ヘッド・スライダ1を振動させる。そして、磁気ヘッド・スライダ1が振動している状態において、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との接触検出を行う。これにより、スライダ・ディスク接触を感度良く確実に検知することがでる。また、小さい接触を感度よく検知することができるので、その接触検知におけるヘッド・ディスク・インターフェイスの信頼性への影響を小さくすることができる。
図2から図4を用い、本実施形態の原理及び効果について説明する。図2は、浮上高さ調整用アクチュエータ17を用いて磁気ヘッド・スライダ1の記録素子15、再生素子16をディスク表面に接触する直前まで接近させた状態で、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2の間に周波数Fで変動する電位差を与えて静電力で磁気ヘッド・スライダ1を加振し、この周波数Fをスイープすることで、磁気ヘッド・スライダ1のオフトラック振動振幅の周波数特性曲線30を測定した結果である。
磁気ヘッド・スライダ1のオフトラック方向振動は、レーザドップラ振動計を用いて非接触で測定した。磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との間の電位差変動はFFTアナライザを用いて与えた。また、併せて、レーザドップラ計出力をFFTアナライザに入力し、磁気ヘッド・スライダ1のオフトラック振動のうち、周波数Fの成分の振幅を評価した。
周波数Fを変化させながら逐次この測定を繰り返すことで、図2に示すような振動の周波数特性を得ることができる。なお、図2の振動測定実験においては、図1のアーム4に取り付けたAE(Acoustic Emission)センサ出力をもとに、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との固体接触を判定し、浮上高さ調整用アクチュエータ17を用いて接触直前まで接近させた。固体接触は、磁気ディスク2の潤滑剤31下の固体層と磁気ヘッド・スライダ1との接触である。
図2の横軸は振動の周波数Fを示し、縦軸は磁気ヘッド・スライダ1のオフトラック振動振幅を示す。周波数特性曲線30は、ある周波数の加振力に対して磁気ヘッド・スライダ1がどの程度揺れやすいかを示すものであるといえる。図2中には、比較のため、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との間に電位差変動を与えなかった場合のスライダ振動特性曲線38も一緒にプロットしてある。ヘッド・ジンバル・アセンブリ27の共振周波数Fr1、Fr2において、周波数特性曲線30は極大値を示している。図2において、共振周波数Fr1はサスペンション3のスウェイ・モードにおける共振周波数であり、共振周波数Fr2はサスペンション3のヨー・モードにおける共振周波数である。このように、与えた電位変動がヘッド・ジンバル・アセンブリ27の共振周波数Fr1、Fr2に一致すると、オフトラック方向に特に大きな振動が発生することが明らかとなった。
スライダ13は、外力が働かない場合には基本的には安定浮上するよう設計されている。実際には磁気ディスク2が回転することで発生する空気流などによってオフトラック方向に若干の振動が生じるが、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2とが非接触の状態では、振動が抑制されるようサスペンション3等の機構系が設計されている。
ここで、例えば浮上高さ調整用アクチュエータ17によって、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2とを接触させた場合には、オフトラック方向についてはヘッド・ジンバル・アセンブリ27の固有振動数Fr1、Fr2に応じた振動が発生し、浮上高さ方向には磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2表面との間に生じる空気膜の固有振動数Fに応じた振動が発生する。ただしこのとき、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との接触発生時に生じる摩擦力がスライダ振動の加振源であるため、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との接触開始直後は摩擦力が小さく、浮上高さ方向およびオフトラック方向のスライダ振動はほとんど検知できないほど小さい。
しかしながら、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との間に一定周波数で変動する電位差を与えてその周波数で磁気ヘッド・スライダ1(ヘッド・ジンバル・アセンブリ27)を微小振動させると、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との小さい接触により、オフトラック方向に磁気ヘッド・スライダ1(ヘッド・ジンバル・アセンブリ27)のより大きな振動が発生する。
特に、図2に示すように、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との間に、ヘッド・ジンバル・アセンブリ27の共振周波数Fr1、Fr2もしくはそれらの近傍の周波数で変動する電位差を与えると、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との固体接触開始前に、オフトラック方向に特に大きな振動が発生する。つまり、磁気ヘッド・スライダ1が磁気ディスク2の潤滑剤31と接触することで、磁気ヘッド・スライダ1(ヘッド・ジンバル・アセンブリ27)のオフトラック方向に大きな振動が発生する。
磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との間の電圧変動によって磁気ヘッド・スライダ1の大きなオフトラック方向振動が発生する原理を、図3を用いて説明する。図3は、磁気ディスク2上で浮上中の磁気ヘッド・スライダ1を流出端から見た場合の模式図である。例えばヒータによる熱変形を利用する浮上量調整用アクチュエータ17においては、記録素子15と再生素子16の近傍(薄膜磁気ヘッド部14)がヒータで発生した熱による膨張で変形し、熱膨張変形の頂点が磁気ヘッド・スライダ1の浮上最下点となる。
ここで、図3(a)に示すように、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との間に所定周波数で変動する電位差を与えることで、磁気ヘッド・スライダ1が浮上高さ方向に微小に振動した状態で、浮上量調整用アクチュエータ17を用いて記録素子15及び再生素子16の近傍を磁気ディスク2に近づけていく。所定周波数は、好ましくは、共振周波数Fr1、Fr2のいずれか一方である。
磁気ヘッド・スライダ1の浮上最下点が磁気ディスク2の表面に塗布されている潤滑剤層31に接触し始める地点まで低下すると、浮上高さ方向の微小振動の周波数Fr1もしくはFr2でスライダ13と潤滑剤層31の接触が起こり始め、スライダ13に対しオフトラック方向に潤滑剤層31との干渉によって摩擦力が発生し始め、ヘッド・ジンバル・アセンブリ27の共振周波数Fr1もしくはFr2でのスライダ振動が発生し始める。
更に、図3(c)に示すように浮上量調整用アクチュエータ17で磁気ヘッド・スライダ1の浮上最下点を低下させると、浮上高さ方向の微小振動の周波数Fr1もしくはFr2での磁気ヘッド・スライダ1と潤滑剤層31の接触頻度が増大し、これに伴い共振周波数Fr1もしくはFr2でのスライダ振動も増大する。ここで、磁気ヘッド・スライダ1と潤滑剤層31との干渉による摩擦力が小さくとも、この摩擦力がヘッド・ジンバル・アセンブリ27での共振周波数で発生するため、大きなオフトラック振動が発生することになる。
本実施形態では、磁気ヘッド・スライダ1のオフトラック方向振動の周波数特性を利用し、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との間にヘッド・ジンバル・アセンブリ27の共振周波数Fr1もしくはFr2で変動する電位を与え、浮上高さに微小振動させた状態で、スライダ13を磁気ディスク2表面に近づけていき、スライダ13とディスク潤滑剤層31との接触時に発生するオフトラック振動を検出することで、接触検知を実施する。
本実施形態の効果を更に確認するために実施した実験の結果を、図4を用いて説明する。図4は、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との間にヘッド・ジンバル・アセンブリ27の共振周波数Fr1を与えた状態で、スライダ13と磁気ディスク2とを接触させた際の、AEセンサ出力39と磁気ヘッド・スライダ1のオフトラック振動40を比較した結果である。浮上量調整用アクチュエータ17であるヒータに印加する電力を増加して磁気ヘッド・スライダ1の浮上量を低下させ、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との接触を発生させた。
図4(a)、(b)の横軸はヒータに印加した電力である。図4(a)の縦軸は図1内のアーム4に取り付けたAEセンサは出力で、図4(b)はレーザドップラ変位計出力のうち、浮上方向へのスライダ微小振動周波数Fr1の成分を抽出した出力である。これらの結果から、AEセンサ出力によるスライダ13と磁気ディスク2との固体接触検知の前に、磁気ヘッド・スライダ1のオフトラック振動が発生し始めていることが確認できる。
一般に、磁気ディスク装置中にはAEセンサのような接触検知機構は具備されていないが、ハードディスク・コントローラ9は、いくつかの知られている手法により、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との接触によって発生する磁気ヘッド・スライダ1の振動を検知することができる。好ましい方法の一つにおいて、ハードディスク・コントローラ9は、位置誤差信号(PES)をモニタすることで、接触を検知することができる。
例えば、ハードディスク・コントローラ9は、PESのターゲット値からの差あるいはPESの変化が閾値を超える場合に、スライダ・ディスク接触が起きていると判定する。あるいは、サーボVGAやデータVGAの値や、VCMアクチュエータ5の制御信号を参照することでスライダ・ディスク接触を検知することができる。これらの手法は広く知られたものであり、ここでは詳細の説明を省略する。
磁気ヘッド・スライダ1を浮上高さ方向に微小振動する手法としては、上述のように、磁気ディスク2と磁気ヘッド・スライダ1との間に電位変動を与える手法が好適である。スライダ13への変動電位印加は、例えばサスペンション3を介して磁気ヘッド・スライダ1全体に電位を与える、あるいは記録素子15または再生素子16に電位を与えることで実現可能である。
例えば、ハードディスク・コントローラ9は、微小振動信号発生器29からの信号をD/A変換及び増幅した信号を、サスペンション3を介して磁気ヘッド・スライダ1全体に与える。あるいは、微小振動信号発生器29からの信号をライト・チャネル23やリード・チャネル22を介してプリアンプ19により増幅して、記録素子15/再生素子16の両端に与える。
磁気ヘッド・スライダ1を浮上高さ方向に振動する他の手法としては、あるいは、ハードディスク・コントローラ9は、ライト動作時に発生する熱による記録素子15近傍の熱膨張、または浮上量調整用アクチュエータ17による熱膨張を利用することでも、磁気ヘッド・スライダ1を浮上高さ方向に所定周波数Fで振動することが可能である。微小振動する熱膨張及び熱収縮により磁気ヘッド・スライダ1の重心が上下方向に振動し、磁気ヘッド・スライダ1(サスペンション3)を微小振動させることができる。
磁気ヘッド・スライダ1の上下方向の振動振幅は、好ましくは、ディスク潤滑剤31の流動層の厚み以下である。ディスク潤滑剤31は、下層である固定層と、その上層である流動層とを有している。この振動振幅を流動層よりも小さくすることで、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との接触衝撃をより小さくすることができる。また、TFCにおける素子位置での浮上高さとの関係において、振動振幅は、記録及び再生における薄膜磁気ヘッド部14の最低浮上高さ(磁気ヘッド・スライダ1のそれに一致する)の1/10以下が好ましい。
上述のように、磁気ヘッド・スライダ1の微小振動の周波数は、接触によりヘッド・ジンバル・アセンブリ27の共振を引き起こす周波数であることが好ましい。具体的には、スウェイ・モードとヨー・モードの共振周波数Fr1、Fr2の一方、あるいは、それらの近傍値である。好ましくは、周波数の小さい方の共振を利用する。低い周波数の共振は、その振幅がより大きいからである。一般にスウェイ・モードの共振周波数はヨー・モードよりも低い。しかし、ヘッド・ジンバル・アセンブリ27の設計により共振周波数は変化することから、対象のヘッド・ジンバル・アセンブリ27に応じて適切な周波数を選択する。
接触における磁気ヘッド・スライダ1のより大きなオフトラック方向の動きを得るためには、上記共振周波数Fr1、Fr2と一致していることが好ましいが、これらの定数倍の周波数あるいはその近傍値を使用することもできる。典型的には、共振周波数Fr1、Fr2の2倍の周波数の微小振動により、接触検知の感度を十分に大きくすることができる。
接触検知において、ハードディスク・コントローラ9は、微小振動の周波数を変化させてもよいが、制御の容易性と接触検知感度の向上の点から、典型的には、磁気ヘッド・スライダ1を所定の一定周波数で微小振動させる。
以上のように、本実施形態によれば、ヘッド・ジンバル・アセンブリ27にその共振を起こす周波数の微小振動を(浮上高さ方向及び/またはオフトラック方向に)与えた状態でスライダ・ディスク間の接触検知を実施することで、磁気ヘッド・スライダ1が磁気ディスク2に接触した際に発生する摩擦力で増幅されたオフトラック方向振動(その変化を含む)を検知することで、結果としてスライダ・ディスク接触を、感度良く確実に検知することができる。
また、原理的には、本手法は、ディスク潤滑剤31と磁気ヘッド・スライダ1の接触を検知し、しかも浮上高さ方向にはスライダ振動があまり発生しない。このため、好ましい態様においてディスクとヘッド・スライダの固体接触は発生せず、結果としてヘッド・ディスク・インターフェイスの信頼性に影響を実質的に及ぼすことなく接触検知を実施することが可能である)。
図5に、本実施形態における接触検知の好ましい処理の流れを示すフローチャートを示す。磁気ヘッド・スライダ1をヘッド・ジンバル・アセンブリ27の共振周波数Fで上下方向に微小振動させる例を説明する。ヘッド・ジンバル・アセンブリ27の共振周波数は、個々のヘッド・ジンバル・アセンブリによって変化する。そのため、ハードディスク・コントローラ9が、共振周波数Fを特定することが好ましい。典型的には、ハードディスク・コントローラ9は、磁気ディスク装置のテスト工程において、共振周波数Fを特定する。なお、共振周波数Fのばらつきが小さい場合、同一設計の磁気ディスク装置に対して同一の微小振動周波数を適用してもよい。
図5に示すように、まず、ハードディスク・コントローラ9の位置決めコントローラ37は、接触検知開始にあたり、接触検知を実施するトラックに磁気ヘッド・スライダ1を移動し、フォロイング状態に入る(S11)。この状態で、ハードディスク・コントローラ9は、共振周波数検出器28を用いて共振周波数検出動作を実施する(S12)。具体的には、ハードディスク・コントローラ9は、VCMアクチュエータ5によりオフトラック方向においてヘッド・ジンバル・アセンブリ27を振動させ、その振動周波数を連続的に変化させる。このヘッド・ジンバル・アセンブリ27の周波数スイープ加振により、ハードディスク・コントローラ9は、ヘッド・ジンバル・アセンブリ27の振動特性を得ることができる。
ヘッド・ジンバル・アセンブリ27の振動特性を示すグラフは、一つもしくは複数の周波数においてピーク(極大値)を示す。それらのいずれかの周波数が、共振周波数Fである。ハードディスク・コントローラ9は、検出動作実施後、実際に検出された周波数Fが妥当な値であるかどうかを判断する(S13)。
具体的には、ハードディスク・コントローラ9は、設計により予想される共振周波数Fとヘッド・ジンバル・アセンブリ27の振動特性とから検出された周波数Fが妥当性を判断する。予想値は、予め磁気ディスク装置に登録されている。例えば、この予想値から基準範囲内にピーク値が存在する場合、ハードディスク・コントローラ9は、そのピーク値の周波数を共振周波数Fと判定する。予想値から基準範囲内にピーク値が存在しない場合、妥当な共振周波数Fを検出できなかったものと判定する。
妥当でないと判断される場合(S13におけるNo)には、ハードディスク・コントローラ9は、検出(S12)を再度繰り返す。妥当であると判断した場合(S13におけるYes)、ハードディスク・コントローラ9は、この周波数Fを、磁気ヘッド・スライダ1を浮上高さ方向に微小振動する際の周波数として設定し、微小振動を開始する(S14)。
この状態で、ハードディスク・コントローラ9は、浮上高さ調整用アクチュエータ17への供給電力を?Pずつ上げていく(S15)。磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2の接触検知は、たとえば位置決め誤差信号(PES)やVCM−DACなどのパラメータ変動から検知する(S16)。ハードディスク・コントローラ9は、接触を検知したところで(S17におけるYes)、浮上高さ方向へのスライダ微小振動を止め(S18)、接触検知を終了する(S19)。接触を検知しない場合(S17におけるNo)、工程S15に戻る。
以上の説明のとおり、本実施形態によれば、磁気ヘッド・スライダ1をヘッド・ジンバル・アセンブリ27の共振を起こす周波数で微小振動した状態でスライダ・ディスク間の接触検知を実施することで、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2上に塗布された潤滑剤層31との接触を、感度良く確実に、ヘッド・ディスク・インターフェイスの信頼性を損ねることなく検知することができる。磁気ヘッド・スライダ1と潤滑剤層31との接触を検知することで、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との固体接触発生前の接触検知が可能であり、ヘッド・ディスク・インターフェイスの信頼性向上の観点からも有効である。
以下において、他の好ましい実施形態の磁気ディスク装置の構成を、図面を参照して以下に説明する。図6はこの磁気ディスク装置内における各構成要素の模式的に示すブロック図である。基本的な構成は図1を参照して説明した構成と同じであるが、本形態の磁気ディスク装置は、磁気ヘッド・スライダ1をディスク半径方向に微動させる第2のアクチュエータ32を有している。また、本形態の磁気ディスク装置は、ヘッド・ジンバル・アセンブリ27をオフトラック方向に微小振動した状態において接触検知を行う。
上述のように、サスペンション3にはディスク半径方向に微小駆動し位置決めをする第2の位置決め用アクチュエータ32を有する。第2の位置決め用アクチュエータ32は、ハードディスク・コントローラ9から供給される制御信号によって、デジタル・アナログ変換器(DAC2)33および第2のアクチュエータドライバ34を介して制御される。
磁気ディスク2上における磁気ヘッド・スライダ1のトラック・フォローイングおよびシーク制御信号は、入力ヘッド位置誤差信号(PES)に応じてサーボ制御アルゴリズムを実行するハードディスク・コントローラ9によって生成される。再生素子16は、典型的にはデータ・セクタ間に埋め込まれた均等な角度を成して離間したサーボ・セクタにおいて、ディスクに記録されたヘッド位置サーボ情報を読取る。リード・アンプ21からのこのアナログサーボ出力は、復調器25によって復調され、アナログ/デジタル(A/D)変換器26によってデジタル位置誤差信号(PES)に変換される。
トラック・フォローイングおよびシーク制御信号は、デジタル・アナログ変換器(DAC)11および33に送られ、そこでアナログ電圧信号に変換され、VCMドライバ12および第2のアクチュエータドライバ34に出力される。次に、VCMドライバ12および第2のアクチュエータドライバ34は、対応する電流パルスをVCMアクチュエータ5のコイルおよび第2のアクチュエータ32に送る。
VCMアクチュエータ5は、アーム4を半径方向内向きおよび外向きに旋回させ、第2のアクチュエータ32はサスペンション3をディスク半径方向内向き及び外向きに微小駆動し、磁気ヘッド・スライダ1をディスク2表面の所望のデータ・トラックまで移動させ、そこに位置決めする。ヘッド位置決め後、記録・再生動作が実施される。この記録・再生動作の際に、浮上高さ調整用アクチュエータ17によって再生素子16および記録素子15の位置における浮上高さが調整される。
なお、第2のアクチュエータ32の構成は、本例に限定されるものではない。例えば、サスペンション3上に固定され、磁気ヘッド・スライダ1を直接に微動させる第2のアクチュエータ32を有する磁気ディスク装置にも本発明を適用することができる。また、スライダ13と薄膜磁気ヘッド部14との間にピエゾ素子(あるいはヒータ素子)を配置して、薄膜磁気ヘッド部14を左右に微動させるアクチュエータを、第2のアクチュエータ32として実装してもよいし、薄膜磁気ヘッド部14内に素子をトラック幅方向に移動させるヒータ素子を備えて第2のアクチュエータ32として実装してもよい。
本形態の磁気ディスク装置は、ヘッド・ジンバル・アセンブリ27をオフトラック方向に微小振動しながら接触検知動作を実施することで、磁気ディスク2に塗布された潤滑剤層31とスライダ13の接触を検知する。好ましくは、オフトラック方向の振動の周波数は、ヘッド・ジンバル・アセンブリ27の共振を起こす周波数である。上記他の実施形態と同様に、そのよう周波数において好ましいのは、ヘッド・ジンバル・アセンブリ27のいずれかの共振周波数Fである。オフトラック方向における微小振動周波数については、上記他の実施形態における説明を適用することができる。例えば、低周波の共振周波数がより好ましい。あるいは、共振周波数の近傍値あるいはその定数倍の周波数を使用することができる。
ヘッド・ジンバル・アセンブリ27をオフトラック方向に微小振動した状態での接触検知する原理を、図7を用いて説明する。図7は、磁気ディスク2上で浮上中の磁気ヘッド・スライダ1を流出端から見た場合の模式図である。例えばヒータによる熱変形を利用する浮上量調整用アクチュエータ17においては、記録・再生素子近傍がヒータで発生した熱による膨張で変形し、熱膨張変形の頂点が磁気ヘッド・スライダ1の浮上最下点となる。
本実施形態においては、図7(a)に示すように、ヘッド・ジンバル・アセンブリ27を、オフトラック方向に微小振動した状態で浮上高さ調整用アクチュエータ17を用いて記録・再生素子近傍(薄膜磁気ヘッド部14)を磁気ディスク2に近づけていく。図7(b)に示すように、磁気ヘッド・スライダ1の浮上最下点が磁気ディスク2の表面に塗布されている潤滑剤層31に接触し始める地点まで低下すると、磁気ヘッド・スライダ1と潤滑剤層30の接触によって干渉が発生し始める。
更に、図7(c)に示すように浮上量調整用アクチュエータ17で磁気ヘッド・スライダ1の浮上最下点を低下させると、磁気ヘッド・スライダ1と潤滑剤層31の接触による干渉が更に強まり、オフトラック方向の微小振動振幅に変化が起こる。ディスク上の潤滑剤31の状態によっては振動振幅が小さくなり、あるいは、振動振幅が大きくなる。いずれにおいても、ハードディスク・コントローラ9は、オフトラック振幅変動をモニタリングすることで、磁気ヘッド・スライダ1と潤滑剤層31との接触を検知することが可能である。
図8に、本実施形態における接触検知の好ましい処理の流れを示すフローチャートを示す。工程S21〜S23は、図5のフローチャートにおける工程S11〜S13と同様であり、説明を省略する。工程S23において妥当であると判断した場合、ハードディスク・コントローラ9は、この周波数Fを、ヘッド・ジンバル・アセンブリ27をオフトラック方向に微小振動する際の周波数として設定し、微小振動を開始する(S24)。
ハードディスク・コントローラ9は、ヘッド・ジンバル・アセンブリ27(磁気ヘッド・スライダ1)が微小振動した状態で、浮上量調整用アクチュエータ17への供給電力を?Pずつ上げていく(S25)。本手法では磁気ヘッド・スライダ1と潤滑剤層31の接触が始まるとオフトラック方向への微小振動が変化する。従って、ハードディスク・コントローラ9は、例えば、位置決め誤差信号(PES)などのパラメータ変動から接触を検知することが可能である(S26)。ハードディスク・コントローラ9は、接触を検知したところで(S27におけるYes)、浮上高さ方向へのスライダ微小振動を止め(S28)、接触検知を終了する(S29)。接触を検知しない場合(S27におけるNo)、工程S25に戻る。
本構成において、ヘッド・ジンバル・アセンブリ27をオフトラック方向に振動する手段としては、微動駆動が可能な第2のアクチュエータ32を用いる手法が有効である。しかし、構成上可能であれば、VCMアクチュエータ5を用いて微小振動を実現しても構わない。また、本手法においては基本的には磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2の接触箇所は記録・再生素子近傍に限定される。そのため例えば浮上量調整用の熱アクチュエータの原理を応用し、記録・再生素子近傍のみをオフトラック方向に駆動する機構で微小振動を実現しても構わない。
オフトラック方向における微小振動の振幅は、好ましくは、ライト・インヒビット値の1/2あるいは1/3以下であることが好ましい。ハードディスク・コントローラ9は、ライト動作において、PESにおけるターゲットからの距離がライト・インヒビット値を超えると、ライト動作を停止する。このような値を基準とすることで、微小振動を行っても、適切なフォロイングを維持することができる。
磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2とのより小さい接触において検知するためには、上下方向における振動よりも、オフトラック方向に磁気ヘッド・スライダ1を振動させながら接触検知を行うことが好ましい。しかし、第2のアクチュエータ32が実装されていない、あるいは、VCMアクチュエータ5により微小振動制御が設計上困難である場合などには、上下方向における微小振動、特に、磁気ヘッド・スライダ1と磁気ディスク2との間の振動電位差による微小振動制御が好ましい。
ハードディスク・コントローラ9は、接触検知において、磁気ヘッド・スライダ1の上下方向の微小振動とオフトラック方向の微小振動を同時に実施してもよい。上下方向と左右方向の双方において磁気ヘッド・スライダ1を振動させることで、接触時における磁気ヘッド・スライダ1のオフトラック方向の動きが大きくなる場合がある。従って、磁気ヘッド・スライダ1の微小振動制御と接触検知との観点から、好適な方法を選択する。なお、上下方向とオフトラック方向の双方において磁気ヘッド・スライダ1を微小振動させる場合、制御の容易性及び接触感度向上の観点から、それらの周波数は同一であることが好ましい。
以上、本発明を好ましい実施形態を例として説明したが、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することができる。例えば、本発明を磁気ディスク装置以外のディスク装置に適用することができる。また、ピエゾ素子を使用した浮上高さアクチュエータのように、TFC以外の浮上高さ制御を行うディスク装置に本発明を適用することができる。ヘッド・スライダとディスクとの接触検知をより確かなものにするため、複数回の接触検知を、それぞれ異なる周波数の振動状態において実施しても良い。
1…磁気ヘッド・スライダ
2…磁気ディスク
3…サスペンション
4…アーム
5…ボイス・コイル・モータ(VCM)
6…スピンドル・モータ
7…ベース
8…制御部
9…ハードディスク・コントローラ
10…スピンドル・コントローラ
11…デジタル・アナログ変換器(DAC1)
12…VCMドライバ
13…スライダ
14…薄膜磁気ヘッド部
15…記録素子
16…再生素子
17…浮上高さ調整用アクチュエータ
18…TFCチャネル
19…プリアンプ
20…浮上高さ調整アクチュエータ用アンプ
21…リード・アンプ
22…リード・チャネル
23…ライト・チャネル
24…ライト・アンプ
25…復調器
26…アナログ・デジタル(A/D)変換器
27…ヘッド・ジンバル・アセンブリ
28…共振周波数検出器
29…微小振動信号発生器
30…スライダのオフトラック方向振動の周波数特性曲線
31…ディスク潤滑剤層
32…第2の位置決め用アクチュエータ
33…デジタル・アナログ変換器(DAC2)
34…第2のアクチュエータドライバ
35…スピンドル・コントローラ
36…スピンドル・ドライバ
37…位置決めコントローラ
38…磁気ヘッド・スライダと磁気ディスクの間に電位変動を与えなかった場合のスライダ振動特性曲線
39…接触検知時のAEセンサ出力曲線
40…スライダのオフトラック振動振幅曲線
41…ボイス・コイル・モータ用永久磁石

Claims (17)

  1. スライダ及びそのスライダ上に形成されている素子を有するヘッド・スライダと、
    前記ヘッド・スライダを支持するサスペンションと、
    前記サスペンションをディスクの半径方向に移動する第1アクチュエータと、
    前記素子の位置でのヘッド・スライダの浮上高さを調整するアクチュエータと、
    前記素子を振動させた状態で前記素子と前記ディスクとの接触を検知するコントローラと、
    を有するディスク装置。
  2. 前記ヘッド・スライダは、前記ヘッド・スライダと前記サスペンションとからなるアセンブリが共振を起こす周波数で、振動している、
    請求項1に記載のディスク装置。
  3. 前記共振のモードは、スウェイ・モードあるいはヨー・モードである、
    請求項2に記載のディスク装置。
  4. 前記コントローラは、前記素子をオフトラック方向に振動させた状態で前記ディスクとの接触を検知する、
    請求項1に記載のディスク装置。
  5. 前記コントローラは、前記素子を浮上高さ方向に振動させた状態で前記ディスクとの接触を検知する、
    請求項1に記載のディスク装置。
  6. 前記コントローラは、前記素子を浮上高さ方向及びオフトラック方向に振動させた状態で前記ディスクとの接触を検知する、
    請求項4に記載のディスク装置。
  7. 前記ヘッド・スライダと前記ディスクとの間の電位差を振動することで、前記素子を振動させる、
    請求項1に記載のディスク装置。
  8. 前記第1アクチュエータよりも小さい範囲で前記素子を前記ディスクの半径方向に移動する第2アクチュエータをさらに有し、
    前記コントローラは、前記第2アクチュエータにより前記素子を振動させる、
    請求項1に記載のディスク装置。
  9. 前記コントローラは、前記サスペンションを複数周波数で前記ディスクの半径方向に振動させた前記アセンブリの振動振幅を参照して、前記アセンブリの共振を起こす前記周波数を特定する、
    請求項2に記載のディスク装置。
  10. 前記コントローラは、前記素子の前記接触によるオフトラック方向におけるずれをモニタすることで、前記接触を検知する、
    請求項1に記載のディスク装置。
  11. ヘッド・スライダとディスクとの接触を検知する方法であって、
    前記ヘッド・スライダの素子位置での浮上高さを調整するアクチュエータによって、前記素子位置の浮上高さを低くし、
    前記浮上高さを低くした状態において前記素子を振動させ、
    前記振動している素子と前記ディスクとの接触を検知する、
    方法。
  12. 前記素子は、前記ヘッド・スライダと前記サスペンションとからなるアセンブリの共振を起こす周波数で振動している、
    請求項11に記載の方法。
  13. 前記共振のモードは、スウェイ・モードあるいはヨー・モードである、
    請求項2に記載の方法。
  14. 前記素子をオフトラック方向に振動させた状態で前記ディスクとの接触を検知する、
    請求項1に記載の方法。
  15. 前記素子を浮上高さ方向に振動させた状態で前記ディスクとの接触を検知する、
    請求項1に記載の方法。
  16. 前記素子を浮上高さ方向及びオフトラック方向に振動させた状態で前記ディスクとの接触を検知する、
    請求項14に記載の方法。
  17. 前記サスペンションを複数周波数で前記ディスクの半径方向に振動させた前記アセンブリの振動振幅を参照して、前記アセンブリの共振を起こす前記周波数を特定する、
    請求項12に記載の方法。
JP2009099444A 2009-04-15 2009-04-15 ヘッド・スライダとディスクとの接触を検知するディスク装置及びヘッド・スライダとディスクとの接触を検知する方法 Pending JP2010250900A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009099444A JP2010250900A (ja) 2009-04-15 2009-04-15 ヘッド・スライダとディスクとの接触を検知するディスク装置及びヘッド・スライダとディスクとの接触を検知する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009099444A JP2010250900A (ja) 2009-04-15 2009-04-15 ヘッド・スライダとディスクとの接触を検知するディスク装置及びヘッド・スライダとディスクとの接触を検知する方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010250900A true JP2010250900A (ja) 2010-11-04

Family

ID=43313060

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009099444A Pending JP2010250900A (ja) 2009-04-15 2009-04-15 ヘッド・スライダとディスクとの接触を検知するディスク装置及びヘッド・スライダとディスクとの接触を検知する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010250900A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8797671B2 (en) 2012-05-17 2014-08-05 HGST Netherlands B.V. Excitation of airbearing oscillation with tar nearfield device for touchdown detection

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8797671B2 (en) 2012-05-17 2014-08-05 HGST Netherlands B.V. Excitation of airbearing oscillation with tar nearfield device for touchdown detection

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6757124B2 (en) Actuator system for a disc drive using a piezoelectric assembly
US20070291401A1 (en) Contact detection using calibrated seeks
US6359746B1 (en) Magnetic disk drive
JP4714073B2 (ja) 情報記録再生装置、ヘッド−媒体の間隔検出方法
US9437234B1 (en) Head-medium contact detection using high frequency heater oscillation
JP2006309822A (ja) 磁気ディスク装置及び記録方法
KR20010113689A (ko) 압전 마이크로액추에이터의 진동 제어
JP5080411B2 (ja) ディスク・ドライブ及びヘッド・スライダ上の素子のコモン電位調整方法
JP2008204561A (ja) 情報記録装置
WO2001018557A1 (en) Method and apparatus for testing disk drive read/write heads
US8274751B2 (en) Electrical current as probe for modulation at head-disk interface
US9202495B2 (en) Method and apparatus for detecting proximity contact between a transducer and a medium
US6977793B2 (en) Magnetic recording disk drive with dual-stage actuator and control system with multiple controllers
JP2009151890A (ja) 磁気ディスク装置及び磁気ヘッドスライダの接触検知方法
JP2002015537A (ja) 浮上ヘッドを用いたディスク装置のためのセンサーシステム
JP2010250900A (ja) ヘッド・スライダとディスクとの接触を検知するディスク装置及びヘッド・スライダとディスクとの接触を検知する方法
JP4897049B2 (ja) 記録媒体駆動装置および摩擦特性測定方法
JP2005004909A (ja) 磁気ディスク装置および磁気ヘッドスライダの浮上制御方法
US20020036858A1 (en) Writing servo sectors to a disc drive using offset heads
JP2011113573A (ja) ディスク・ドライブ及びヘッド・スライダとディスクとの間のクリアランスを測定する方法
JP2009020969A (ja) 磁気ディスク装置およびその制御方法
JP4279272B2 (ja) 2段アクチュエータ制御装置
JPH09259556A (ja) 磁気記録再生装置
US10839843B1 (en) TD detection with enhanced HDIs signal
JP2009140560A (ja) 記憶装置および変位制御回路