JP2010249699A - モーメント印加装置及びモーメント計測方法 - Google Patents

モーメント印加装置及びモーメント計測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】試料表面に印加したモーメントを容易に検知することが可能なモーメント印加装置を提供する。
【解決手段】モーメント印加装置を、外力Fが加えられる操作部と、外力Fに起因するモーメントMを試料表面に印加するための試料接触部と、操作部と試料接触部とを連結し、外力Fによって弾性的に曲げ変形を行う連結部と、モーメントMを検知するための曲げモーメント検知手段(モーメント検知手段)と、試料接触部が試料表面に対して摺り動かないように試料接触部を試料表面に対して吸着させるとともに、その吸着力を瞬時に遮断できる吸着手段とを備えたものとし、試料表面に試料接触部を吸着させて操作部に外力Fを加えている状態で前記吸着力を遮断することにより、前記吸着力が遮断される直前のモーメントMを検知することができるものとした。
【選択図】図2

Description

本発明は、試料に印加したモーメントを検知することができるモーメント印加装置と、該モーメント印加装置を用いたモーメント計測方法に関する。
近年の機械設計においては、製品の重量をいかに抑えるかが重要視されるようになってきている。例えば、自動車の設計においては、車体を軽量化することで燃費が向上し、環境負荷を軽減できるようになるため、各自動車メーカーは、ドアパネル、屋根、ボンネット又はトランクリッドといった自動車のボデーパーツに、高張力鋼板や繊維強化プラスチック(FRP)を使用するなど、車体の軽量化を意識した開発を行うようになってきている。
ところが、これらの製品は、軽くすればするほど振動しやすくなり、静寂性や遮音性が低下するため、その設計段階においては、製品の振動特性を十分に評価しておく必要がある。しかし、自動車などは、多くの部品を接続して作られており、モデル化が困難な複雑な形状を有していることが多く、その振動特性を評価することは難しい。このため、自動車のボデーパーツなどの設計段階においては、試作品(試料)を製造し、該試作品の振動特性を実験的に評価することが一般的となっている。
試料の振動特性を実験的に評価する方法は様々であるが、なかでも、インパルスハンマ或いはインパクトハンマと呼ばれる加振装置で試料表面に打撃力を加え、その際の打撃力と試料表面の加速度から試料の周波数応答関数(FRF)を求め、試料の固有振動数と対応する振動モードを確認する方法が一般的となっている(例えば、非特許文献1)。インパルスハンマのヘッド部分には、ロードセルなど、加えた打撃力を電圧などに変換して出力することが可能な力センサが設けられている(例えば、特許文献1)。試料表面の加速度は、試料表面に取り付けた加速度ピックアップなどの加速度センサによって計測される。
しかし、このような方法では、並進力に対する試料の振動特性しか測定できないという問題がある。つまり、実際の試料に印加される力には、並進力とモーメントの2種類があり、試料の振動特性は、この両者に対する振動応答によって決定される。したがって、並進力に対する振動特性の評価のみでは不十分であり、このことが振動特性の予測精度の低下を招いていた。
このような実状に鑑みてか、図11に示すように、2台のインパルスハンマで試料の表裏における対称な位置に同時に打撃力を加えることにより、モーメント入力想定点(通常、打撃力を加えた2点を結ぶ線分の中点)におけるモーメントを算出し、該モーメントに対する周波数応答関数を求める方法(同時打撃法)も行われている。
しかし、同時打撃法では、2台のインパルスハンマで打撃力を加えるタイミングを完全に同期させる必要があったため、インパルスハンマをモーターでコンピュータ制御する必要があるなど、装置が大掛かりなものとなっていた。また、試料表面におけるインパルスハンマで打撃力を加えることのできる位置が限られるという欠点もあった。
また、図12に示すように、試料表面に取り付けた加速度センサ付きの剛体ブロックをハンマ(インパクトハンマでなくてもよい)で打撃し、その際に加速度センサによって検知された剛体ブロック各部の加速度と、剛体ブロックの寸法形状とから、試料表面に加えられたモーメントを算出し、該モーメントに対する周波数応答関数を求める方法(剛体ブロック法)も行われている(例えば、非特許文献2の第30頁〜第32頁を参照。)。
この剛体ブロック法では、ハンマ(正確には剛体ブロック)から試料表面に加えられたモーメントを比較的正確に知ることができるため、試料の振動を高い精度で予測することも可能である。しかし、剛体ブロック法は、試料表面に取り付けた剛体ブロックによって試料の見掛けの重量が増加し、試料の振動特性が変化してしまうため、得られた実験データに補正処理を行う必要があった。また、剛体ブロックを試料表面に取り付ける分、実験作業が煩雑になるという欠点もあった。
さらに、図13に示すように、
(a) 2箇所にスリットを形成したスリット形成ブロックと、前記スリットに磁界を発生するための複数の永久磁石とからなる磁界発生器と、
(b) 前記スリットにそれぞれ挿入される電磁コイルと、試料表面に接触させる試料接触部とからなるモーメント印加体と、
で構成され、電磁コイルに電流を流して磁化させることにより、モーメント印加体によって試料表面にモーメントを印加するとともに、電磁コイルに流した電流値を測定することによって、試料表面に印加したモーメントを検知することができるようにしたモーメント印加装置も提案されている。(例えば、非特許文献2の第24頁〜第29頁を参照。)。
このモーメント印加装置は、モーメント印加体と磁界発生器とが分離した構造となっており、試料表面には僅かな重量のモーメント印加体のみを貼り付ければよいので、試料の振動特性に影響を及ぼし得る重量の増加を最小限に留めることができる。しかし、このモーメント印加装置は、試料表面にモーメント印加体を貼り付けたり加工したりする必要がある、モーメント印加体を貼り付ける場所を変更する度に磁界発生器を設置しなおす必要があるなど、操作性に難があるものとなっていた。
これまでには、上記のもの以外にも、様々なモーメント印加装置が提案されているものの(例えば、特許文献2)、自動車のドアパネルのように、パネル状の試料表面に印加したモーメントを容易に検知することのできるモーメント印加装置は見当たらなかった。
特開平09-133622号公報 特開平06-160210号公報
成澤哲也、岩田章兵、"積層複合材料を用いた扁平パネルの構造設計(実験モード解析法による積層パラメータ同定)"、釧路工業高等専門学校紀要[online]、平成19年12月21日、第41号、p.7-12、インターネット<URL:http://www.kushiro-ct.ac.jp/library/kiyo/kiyo41/narisawa41.pdf> "Guidelines for Experimental Techniques"、[online]、[平成21年4月2日検索]、インターネット<URL:http://www.dem.ist.utl.pt/~QUATTRO/d15_www.pdf>
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、試料表面に印加したモーメントを容易に検知することが可能なモーメント印加装置を提供するものである。具体的には、(1)複雑な形状の試料に対しても使用できる、(2)試料表面における打撃力を加える位置が限定されない、(3)試料に剛体ブロックなどの他の部材を取り付ける必要がない、(4)モーターなどの駆動装置を用いる必要がない、(5)操作性に優れ取り扱いが容易である、などの特徴を有するモーメント印加装置を提供することを目的としている。また、このモーメント印加装置を用いたモーメント計測方法を提供することも本発明の目的である。
上記課題は、
(a)外力Fが加えられる操作部と、
(b)外力Fに起因するモーメントMを試料表面に印加するための試料接触部と、
(c)操作部と試料接触部とを連結し、外力Fによって弾性的に曲げ変形を行う連結部と、
(d)モーメントMを検知するためのモーメント検知手段と、
(e)試料接触部が試料表面に対して摺り動かないように試料接触部を試料表面に対して吸着させるとともに、その吸着力を瞬時に遮断できる吸着手段と、
を備え、
試料表面に試料接触部を吸着させて操作部に外力Fを加えている状態で前記吸着力を遮断することにより、前記吸着力が遮断される直前のモーメントMを検知することができるようにしたことを特徴とするモーメント印加装置
を提供することによって解決される。
このモーメント印加装置は、吸着手段の吸着力が遮断される直前の試料表面に印加されていたモーメントMを正確に検知することが可能なものとなっている。ここで、「吸着手段の吸着力が遮断される直前」とは、吸着手段の吸着力を遮断するために吸着手段に対して行った何らかの操作(例えば、スイッチをオフにするなど)が前記吸着力に反映される瞬間(前記吸着力が減少し始める瞬間)から、前記吸着力がゼロになって完全に遮断されるまでの間におけるいずれかの時点又は時間区間をいう。また、このモーメント印加装置は、試料表面に試料接触部を直接当てて使用することができるので、操作性に優れているだけでなく、試料に剛体ブロックなどを取り付ける必要がないものとなっている。また、モーメント印加装置を複数台用意しなくても、モーメントMを印加することができるので、モーターなどの駆動装置を必要としない。さらに、試料の形状や打撃力を加える位置の自由度も高いという利点も有している。
本発明のモーメント印加装置において、吸着手段は、試料接触部を試料表面に対して吸着させるとともに、その吸着力を瞬時に遮断できる(吸着力を連続的に減少させてゼロにするのではなく、吸着力をある値からゼロにまで急激(ステップ状)に減少させることができるという意味。)ものであれば特に限定されない。吸着手段としては、電磁石や真空ポンプを利用したものが例示される。電磁石を利用した吸着手段としては、電磁コイルと、電磁コイルに直流電流を流すための遮断スイッチ付き電源とで構成されたものが例示される。また、真空ポンプを利用したものとしては、ノズルと、ノズルから空気を吸引するための遮断スイッチ付き真空ポンプとで構成されたものが例示される。前者の吸着手段には、吸着力を遮断する際に、試料表面に印加するモーメントMを綺麗なステップ状に変化させることができるという利点があり、後者の吸着手段には、試料の素材を選ばずに使用することができるという利点がある。
ここで、「モーメントMを検知するためのモーメント検知手段」は、モーメントMを直接的に検知するものに限定されず、モーメントMを間接的に検知するものであってもよい。具体的には、連結部などに発生する曲げモーメントや、操作部や試料接触部などに作用する力などを検知することにより、モーメントMを検知するものであってもよい。連結部に発生する曲げモーメントや、操作部や試料接触部などに作用する力は、典型的には、該当箇所におけるひずみを計測することにより、知ることができる。本発明のモーメント印加装置には、様々な実施態様がある。
例えば、モーメント検知手段が、試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L1の位置にある連結部断面S1での曲げモーメントM1を検知するための曲げモーメント検知手段α1と、試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L2(>L1)の位置にある連結部断面S2での曲げモーメントM2を検知するための曲げモーメント検知手段α2と、曲げモーメントM1,M2及び距離L1,L2に基づいてモーメントMを算出する演算手段と、で構成されたものが挙げられる。以下においては、このモーメント印加装置を「第一実施態様のモーメント印加装置」と呼ぶことがある。第一実施態様のモーメント印加装置におけるモーメントMの検知原理については後述する。
また、操作部が、試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L4の位置でのみ連結部と接続され、モーメント検知手段が、試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L1(<L4)の位置にある連結部断面S1での曲げモーメントM1を検知するための曲げモーメント検知手段α1と、曲げモーメントM1及び距離L1,L4に基づいて、モーメントMを算出する演算手段と、で構成されたものも挙げられる。以下においては、このモーメント印加装置を「第二実施態様のモーメント印加装置」と呼ぶことがある。第二実施態様のモーメント印加装置におけるモーメントMの検知原理については後述する。
さらに、操作部が、試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L4の位置でのみ連結部と接続され、モーメント検知手段が、操作部に外力Fを加えた際に操作部と連結部との接続部分に作用する力fを検知するための力検知手段βと、力f及び距離Lに基づいてモーメントMを算出する演算手段と、で構成されたものも挙げられる。以下においては、このモーメント印加装置を「第三実施態様のモーメント印加装置」と呼ぶことがある。第三実施態様のモーメント印加装置におけるモーメントMの検知原理については後述する。
第一実施態様と第二実施態様のモーメント印加装置における曲げモーメント検知手段α1,α2は、曲げモーメントM1,M2を直接的又は間接的に検知できるものであれば特に限定されないが、曲げモーメント検知手段αn(nは1又は2)が、連結部の外周面における連結部断面Snとの交線に重なる位置に取り付けられたひずみゲージGnであると好ましい。これにより、曲げモーメントM1,M2を容易かつ正確に検知することが可能になる。このとき、ひずみゲージGnが、連結部の外周面における外力Fによって連結部が曲げ変形した際に引っ張られる引張側に取り付けられたひずみゲージGn,1と、連結部の外周面における外力Fによって連結部が曲げ変形した際に圧縮される圧縮側に取り付けられたひずみゲージGn,2とで構成されると好ましい。これにより、連結部の中心軸方向での引張又は圧縮による影響を打ち消すことが可能になり、モーメントMをより正確に検知することが可能になる。
第三実施態様のモーメント印加装置における力検知手段βは、操作部と連結部との接続部分に作用する力fを直接的又は間接的に検知できるものであれば特に限定されないが、操作部と連結部との接続部分の外周面に取り付けられたひずみゲージG’であると好ましい。これにより、力fを容易かつ正確に検知することが可能になる。このとき、ひずみゲージG’が、操作部と連結部との接続部分の外周面における該接続部分の中心軸に対して対称な位置に取り付けられた一対のひずみゲージG1’,G2’で構成されると好ましい。これにより、操作部と連結部との接続部分の曲げによる影響を打ち消すことが可能になり、該接続部分に作用する力fをより高い精度で検知することができるようになる。
また、上記課題は、上記のモーメント印加装置を用いて試料表面に印加したモーメントMを計測するモーメント計測方法を提供することによっても解決される。さらに、上記のモーメント印加装置を用いて試料の振動特性を求める振動解析方法を提供することによっても解決される。
以上のように本発明によって、試料表面に印加したモーメントを容易に検知することができるモーメント印加装置を提供することが可能になる。具体的には、(1)複雑な形状の試料に対しても使用できる、(2)試料表面における打撃力を加える位置が限定されない、(3)試料に剛体ブロックなどの他の部材を取り付ける必要がない、(4)モーターなどの駆動装置を用いる必要がない、(5)操作性に優れ取り扱いが容易である、などの特徴を有するモーメント印加装置を提供することが可能になる。また、このモーメント印加装置を用いたモーメント計測方法と振動解析方法を提供することも可能になる。
本発明のモーメント印加装置における試料接触部を試料表面に吸着させた状態(モーメント印加前)を示した図である。 本発明のモーメント印加装置における試料接触部を試料表面に吸着させて操作部に外力Fを加えた状態(モーメント印加時)を示した図である。 本発明のモーメント印加装置における試料接触部を試料表面に吸着させて操作部に外力Fを加えているときに吸着手段の吸着力を遮断した状態(モーメント印加後)を示した図である。 第一実施態様のモーメント印加装置におけるモーメントMの計測原理を説明する図である。 第二実施態様のモーメント印加装置におけるモーメントMの計測原理を説明する図である。 第三実施態様のモーメント印加装置におけるモーメントMの計測原理を説明する図である。 本発明のモーメント印加装置を用いて試料の周波数応答関数(FRF)を測定する際に用いた実験システムを示した図である。 図7の実験システムで測定された、周波数(横軸)と印加したモーメントM(縦軸)との関係を示したグラフである。 図7の実験システムで測定された、試料の周波数(横軸)と、試料の加速度(縦軸)との関係を示したグラフである。 図8と図9の結果から求められた試料の周波数応答関数(FRF)を示したグラフである。 試料の振動解析を行う際に従来用いられている同時打撃法を説明する図である。 試料の振動解析を行う際に従来用いられている剛体ブロック法を説明する図である。 試料の振動解析を行う際に従来用いられている、モーメント印加体及び磁界発生器を利用する方法を説明する図である。
1.0 モーメント印加装置の概要
本発明のモーメント印加装置の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、本発明のモーメント印加装置における試料接触部を試料表面に吸着させた状態(モーメント印加前)を示した図である。図2は、本発明のモーメント印加装置における試料接触部を試料表面に吸着させて操作部に外力Fを加えた状態(モーメント印加時)を示した図である。図3は、本発明のモーメント印加装置における試料接触部を試料表面に吸着させて操作部に外力Fを加えているときに吸着手段の吸着力を遮断した状態(モーメント印加後)を示した図である。
本発明のモーメント印加装置は、図1〜3に示すように、
(a)外力Fが加えられる操作部と、
(b)外力Fに起因するモーメントMを試料表面に印加するための試料接触部と、
(c)操作部と試料接触部とを連結し、外力Fによって弾性的に曲げ変形を行う連結部と、
(d)モーメントMを検知するためのモーメント検知手段と、
(e)試料接触部が試料表面に対して摺り動かないように試料接触部を試料表面に対して吸着させるとともに、その吸着力を瞬時に遮断できる吸着手段と、
(f) モーメント検知手段の測定値(ひずみや力など)からモーメントMを算出するための演算手段と、
を備えたものとなっており、試料表面に試料接触部を吸着させて操作部に外力Fを加えている状態で前記吸着力を遮断することにより、前記吸着力が遮断される直前のモーメントMを検知することができるものとなっている。
1.1 操作部
操作部の寸法形状は、外力Fを加える方法によって適宜変更されるため、特に限定されない。外力Fは、人力によって加えられる場合と、機械によって加えられる場合とがある。外力Fを人力によって加える場合には、操作部は、人体における所定部位(通常は手である。)で操作しやすい寸法形状に形成される。また、外力Fを機械によって加える場合には、操作部は、所望の機械のアクチュエータに応じた寸法形状に形成される。外力Fを人の手によって操作する場合には、操作部の外面に指の形状に沿った凹凸を形成し、握りやすくしてもよい。
1.2 連結部
連結部の素材は、外力Fによって弾性的に曲げ変形するものであれば特に限定されない。しかし、連結部をヤング率の低い素材で形成すると、連結部を太く形成しなければならなくなり、モーメント印加装置を取り扱いにくくなるおそれがある。一方、連結部をヤング率の高い素材で形成すると、連結部が変形しにくくなり、得られるモーメントMの測定精度を高く維持できなくなる(後述するひずみゲージで連結部のひずみを検知しにくくなる)おそれがある。このため、連結部の素材は、通常、そのヤング率が0.1〜500GPaとなる範囲で選択される。連結部を形成する素材のヤング率は、1〜400GPaであると好ましく、50〜300GPaであるとより好ましい。このような素材としては、アルミニウム(ヤング率70GPa)や、銅(ヤング率110〜130GPa)や、鉄(ヤング率150〜210GPa)などの金属が例示される。
連結部の中心軸に沿った全体の長さX(図4〜6を参照)は、想定される外力Fの大きさや、連結部を形成する素材のヤング率などによっても異なり、特に限定されない。しかし、連結部の長さXを短くしすぎると、得られるモーメントMの測定精度を高く維持できなくなるおそれがある。このため、連結部の長さXは、通常、5mm以上とされる。一方、連結部の長さXを長くしすぎると、モーメント印加装置が取り扱いにくくなるおそれがある。このため、連結部を形成する素材のヤング率を上記の範囲とし、外力Fを人力によって加える場合には、連結部の長さXは、通常、50cm以下とされる。連結部の長さXは、30cm以下であると好ましく、20cm以下であるとより好ましい。
連結部の中心軸に垂直な連結部断面の寸法形状は、想定される外力Fの大きさや、連結部を形成する素材のヤング率や、連結部の長さXなどを考慮して適宜決定される。しかし、連結部断面の寸法形状を、断面係数が小さなものとすると、連結部の強度を維持するのが困難になり、連結部が破損しやすくなるおそれがある。一方、連結部断面の寸法形状を、断面係数が大きなものとすると、連結部が変形しにくくなり、得られるモーメントMの測定精度が高く維持できなくなるおそれがある。このため、連結部断面の寸法形状は、通常、その断面係数が1〜10000mm3となる範囲で選択される。連結部断面の断面係数は、5〜3000mm3であると好ましく、10〜1000mm3であるとより好ましい。連結部断面の寸法形状は、場所によって変化させてもよいが、この場合には、連結部が複雑な形状となり、連結部の製造が困難になるおそれがある。また、モーメントMの算出方法が複雑になるおそれがある。このため、連結部断面の寸法形状は、操作部に外力Fを加えた際に連結部がその中心軸に沿って一様に曲げ変形するように、その中心軸に沿って一様にすると好ましい。連結部は、四角柱や円柱など、できるだけ単純な形状とすると好ましい。
1.3 モーメント検知手段
モーメント検知手段としては、連結部の所定箇所に発生する曲げモーメントを検知可能な曲げモーメント検知手段(図4,5におけるモーメント検知手段α1,α2を参照。)や、操作部や連結部、あるいは操作部と連結部の接続部分などの所定箇所に作用する力を検知可能な力検知手段(図6における力検知手段βを参照。)などが例示される。後述するように、曲げモーメント検知手段を取り付けた場所や、力検知手段を取り付けた場所が既知であるならば、曲げモーメント検知手段によって検知された曲げモーメントや、力検知手段によって検知された力から、試料表面に作用するモーメントMを計算によって求めることができる。
曲げモーメント検知手段や力検知手段としては、従来用いられている各種のセンサを用いることができる。なかでも、モーメント印加装置の連結部や操作部、あるいは連結部と操作部の接続部分などにおける所定箇所(検知対象箇所)に追従して変形する検知部を備え、該検知部が前記検知対象箇所に追従して変形する際に生じ得る該検知部の電気抵抗や磁束密度の変化により、前記検知対象箇所のひずみを検知するひずみゲージと呼ばれるものが一般的である。モーメント印加装置における前記検知対象箇所のヤング率や断面係数が既知であるならば、ひずみゲージによって検知されたひずみから、前記検知対象箇所に発生した曲げモーメントや、前記検知対象箇所に作用する力を、計算によって求めることができる。
1.4 吸着手段
吸着手段は、試料接触部を試料表面に対して吸着させるとともに、その吸着力を瞬時に遮断できるものが使用される。吸着手段としては、電磁石や真空ポンプを利用したものが例示される。図1〜3におけるモーメント印加装置では、吸着手段として、電磁石を利用したもの(電磁コイルと、電磁コイルに直流電流を流すための遮断スイッチ付き電源とで構成したもの)を使用している。この吸着手段は、遮断スイッチ付き電源のスイッチを「ON」にすることにより、電磁コイルに電磁力(吸着力)を発生させて試料接触部を試料表面に吸着させ、遮断スイッチ付き電源のスイッチを「OFF」にすることにより、電磁コイルで発生する電磁力をゼロにして試料接触部を試料表面から剥がすことができるものとなっている。電磁コイル(吸着手段)による吸着力は、想定される外力Fの大きさや、試料の素材などによっても異なり、特に限定されない。吸着手段の吸着力は、試料接触部を試料表面に吸着させて操作部に外力Fを加えた際に、試料接触部が試料表面から剥がれたり、試料接触部が試料表面上で動いたりしない程度に設定する。
1.5 演算手段
演算手段は、モーメント検知手段の測定値からモーメントMを算出できるものであれば特に限定されない。演算手段としては、FFTアナライザなどが例示される。図1〜3の例では、試料表面に加速度センサを取り付けており、試料の周波数応答関数(FRF)を求めることができるようにしているが、この加速度センサも演算手段と接続されている。
2.0 モーメント印加装置の実施態様
本発明のモーメント印加装置は、試料表面に印加したモーメントMの計測原理などに応じて、様々な実施態様がある。以下においては、モーメントMの計測原理の異なる代表的な3つの実施態様(第一実施態様、第二実施態様及び第三実施態様)のモーメント印加装置について順番に説明する。
2.1 第一実施態様のモーメント印加装置
まず、第一実施態様のモーメント印加装置について説明する。図4は、第一実施態様のモーメント印加装置におけるモーメントMの計測原理を説明する図である。第一実施態様のモーメント印加装置は、図4に示すように、試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L1の位置にある連結部断面S1での曲げモーメントM1を検知するための曲げモーメント検知手段α1(モーメント検知手段の下位概念)と、試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L2(>L1)の位置にある連結部断面S2での曲げモーメントM2を検知するための曲げモーメント検知手段α2(モーメント検知手段の下位概念)とを備えたものとなっており、外力Fに起因して試料表面に印加されるモーメントMを、その連結部に取り付けた曲げモーメント検知手段α1,α2によって検知することができるものとなっている。
曲げモーメント検知手段α1は、連結部の外周面における連結部断面S1との交線に重なる位置Q1,1,Q1,2に取り付けられたひずみゲージG1,1,G1,2によって構成されており、曲げモーメント検知手段α2は、連結部の外周面における連結部断面S2との交線に重なる位置Q2,1,Q2,2に取り付けられたひずみゲージG2,1,G2,2によって構成されている。このうち、ひずみゲージG1,1,G2,1は、連結部の外周面における外力Fによって連結部が曲げ変形した際に引っ張られる引張側に取り付けられており、ひずみゲージG1,2,G2,2は、連結部の外周面における外力Fによって連結部が曲げ変形した際に圧縮される圧縮側に取り付けられている。これにより、連結部の中心軸方向での引張又は圧縮による影響を打ち消すことができるので、モーメントM1,M2をより正確に検知することが可能となっている。
ひずみゲージG1,1,G1,2,G2,1,G2,2によって検知された連結部のひずみは、演算手段(図1〜3を参照)に電圧として入力され、曲げモーメントM1,M2に換算される。演算手段は、このようにして得られた曲げモーメントM1,M2と、演算手段に予め記憶されていた距離L1,L2に基づいてモーメントMを算出する。第一実施態様のモーメント印加装置において、モーメントMは、具体的には、以下の原理により算出される。
図4に示すように、試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L3の位置にある操作部外面に加えられた外力Fに起因して、試料接触部の先端から試料表面に印加されるモーメントMは、下記式1によって表される。また、外力Fに起因して、試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L1,L2の位置にある連結部断面S1,S2に生じる曲げモーメントM1,M2は、それぞれ下記式2,3によって表される。
Figure 2010249699
Figure 2010249699
Figure 2010249699
上記式1〜3から、外力Fと距離L3を消去すると、モーメントMは、下記式4によって表される。下記式4は、距離L1,L2が既知であれば、曲げモーメントM1,M2を測定することにより、モーメント印加装置の試料接触部先端から試料表面に印加されるモーメントMを算出できることを表している。
Figure 2010249699
以上のように、第一実施態様のモーメント印加装置は、曲げモーメントM1,M2及び距離L1,L2に基づいてモーメントMを算出するものとなっている。
ところで、第一実施態様のモーメント印加装置において、距離L1,L2の具体的な値は、連結部の中心軸に沿った全体の長さXや、連結部の断面係数(連結部の中心軸に垂直な断面の断面係数)や、連結部を形成する素材のヤング率などによっても異なるため、特に限定されない。しかし、距離L1と距離L2とを近い値に設定し、曲げモーメント検知手段α1(ひずみゲージG1,1,G1,2)と曲げモーメント検知手段α2(ひずみゲージG2,1,G2,2)とを近くに配すると、得られるモーメントMの精度が悪くなるおそれがある。このため、距離L1,L2は、通常、連結部の全体の長さXに対する、距離L2と距離L1との差L2-L1の比(L2-L1)/Xが、0.05以上となるように設定される。比(L2-L1)/Xは、0.1以上であると好ましく、0.15以上であるとより好ましく、0.2以上であるとさらに好ましい。
また、第一実施態様のモーメント印加装置において、曲げモーメント検知手段α2(ひずみゲージG2,1,G2,2)を操作部の近くに配すると、曲げモーメントM2が小さくなるため、曲げモーメントM2を正確に検知しにくくなるおそれがある。このため、連結部の全体の長さXに対する、連結部の基端(操作部に接続される側の端部)から曲げモーメント検知手段α2の取付位置までの連結部の中心軸に沿った距離X2の比X2/Xは、通常、0.05以上となるように設定される。比X2/Xは、0.1以上であると好ましく、0.15以上であるとより好ましく、0.2以上であるとさらに好ましい。
2.2 第二実施態様のモーメント印加装置
次に、第二実施態様のモーメント印加装置について説明する。図5は、第二実施態様のモーメント印加装置におけるモーメントMの計測原理を説明する図である。第二実施態様のモーメント印加装置は、図5に示すように、操作部が試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L4の位置でのみ連結部と接続されるとともに、試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L1(<L4)の位置にある連結部断面S1での曲げモーメントM1を検知するための曲げモーメント検知手段α1(モーメント検知手段の下位概念)を備えたものとなっており、外力Fに起因して試料表面に印加されるモーメントMを、モーメント検知手段α1によって検知することができるものとなっている。
曲げモーメント検知手段α1は、第一実施態様のモーメント印加装置と同様、連結部の外周面における連結部断面S1との交線に重なる位置Q1,1,Q1,2に取り付けられたひずみゲージG1,1,G1,2によって構成されている。このうち、ひずみゲージG1,1は、連結部の外周面における外力Fによって連結部が曲げ変形した際に引っ張られる引張側に取り付けられており、ひずみゲージG1,2は、連結部の外周面における外力Fによって連結部が曲げ変形した際に圧縮される圧縮側に取り付けられている。これにより、連結部の中心軸方向での引張又は圧縮による影響を打ち消すことができるので、モーメントM1をより正確に検知することが可能となっている。
ひずみゲージG1,1,G1,2によって検知された連結部のひずみは、演算手段(図1〜3を参照)に電圧として入力され、曲げモーメントM1に換算される。演算手段は、このようにして得られた曲げモーメントM1と、演算手段に予め記憶されていた距離L4に基づいてモーメントMを算出する。第二実施態様のモーメント印加装置において、モーメントMは、具体的には、以下の原理により算出される。
図5に示すように、操作部外面に加えられた外力Fに起因して、試料接触部の先端から試料表面に印加されるモーメントMは、試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L4の位置で操作部と連結部とを接続する接続部分に作用する力をfとすると下記式5によって表される。また、外力Fに起因して、試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L1の位置にある連結部断面S1に生じる曲げモーメントM1は、下記式6によって表される。
Figure 2010249699
Figure 2010249699
上記式5,6から、力fを消去すると、モーメントMは、下記式7によって表される。下記式7は、距離L1,L4が既知であれば、曲げモーメントM1を測定することにより、モーメント印加装置の試料接触部先端から試料表面に印加されるモーメントMを算出できることを表している。
Figure 2010249699
以上のように、第二実施態様のモーメント印加装置は、曲げモーメントM1及び距離L1,L4に基づいてモーメントMを算出するものとなっている。
ところで、第二実施態様のモーメント印加装置において、距離L1,L4の具体的な値は、連結部の中心軸に沿った全体の長さXや、連結部の断面係数(連結部の中心軸に垂直な断面の断面係数)や、連結部を形成する素材のヤング率などによっても異なるため、特に限定されない。しかし、距離L1と距離L4とを近い値に設定し、曲げモーメント検知手段α1(ひずみゲージG1,1,G1,2)を操作部と連結部との接続部分に近い場所に配すると、得られるモーメントMの精度が悪くなるおそれがある。このため、距離L1,L4は、通常、連結部の全体の長さXに対する、距離L4と距離L1との差L4-L1の比(L4-L1)/Xが、0.05以上となるように設定される。比(L4-L1)/Xは、0.1以上であると好ましく、0.15以上であるとより好ましく、0.2以上であるとさらに好ましい。操作部と連結部の接続部分は、連結部の基端に近い場所に設けると好ましい。
また、第二実施態様のモーメント印加装置においても、曲げモーメント検知手段α1(ひずみゲージG1,1,G1,2)を試料接触部の近くに配すると、曲げモーメントM1を正確に検知しにくくなるおそれがある。このため、連結部の全体の長さXに対する、連結部の先端(試料接触部に接続される側の端部)から曲げモーメント検知手段α1の取付位置までの連結部の中心軸に沿った距離X1の比X1/Xは、通常、0.05以上となるように設定される。比X1/Xは、0.1以上であると好ましく、0.15以上であるとより好ましく、0.2以上であるとさらに好ましい。曲げモーメント検知手段α1は、連結部の先端と操作部に接続される前記接続部分との中間位置近傍に配すると好ましい。
2.3 第三実施態様のモーメント印加装置
最後に、第三実施態様のモーメント印加装置について説明する。図6は、第三実施態様のモーメント印加装置におけるモーメントMの計測原理を説明する図である。第三実施態様のモーメント印加装置は、図6に示すように、操作部が試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L4の位置でのみ連結部と接続されるとともに、操作部に外力Fを加えた際に操作部と連結部との接続部分に作用する力fを検知するための力検知手段β(モーメント検知手段の下位概念)を備えたものとなっており、外力Fに起因して試料表面に印加されるモーメントMを、力検知手段βによって検知することができるものとなっている。
力検知手段βは、操作部と連結部とを接続する接続部分の外周面における対称な位置(該接続部分の中心軸に垂直な断面と、該接続部分の外周面との交線上の点であって、該接続部分の中心軸に対して回転対称な位置関係にある2点)に取り付けられた一対のひずみゲージG1’,G2’によって構成されている。このように、一対のひずみゲージG1’,G2’を使用することにより、操作部と連結部との接続部分の曲げによる影響を打ち消すことが可能になり、該接続部分に作用する力fをより高い精度で検知することができるようになる。
ひずみゲージG1’,G2’によって検知された前記接続部分のひずみは、演算手段(図1〜3を参照)に電圧として入力され、前記接続部分に作用する力fに換算される。力fは、通常、操作部に加えられる外力Fと等しくなる。演算手段は、このようにして得られた力fと、演算手段に予め記憶されていた距離L4に基づいてモーメントMを算出する。第三実施態様のモーメント印加装置において、モーメントMは、具体的には、以下の原理により算出される。
図6に示すように、操作部外面に加えられた外力Fに起因して、試料接触部の先端から試料表面に印加されるモーメントMは、試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L4の位置で操作部と連結部とを接続する接続部分に作用する力をfとすると上記式5によって表される。上記式5は、距離L4が既知であれば、前記接続部分に作用する力fを測定することにより、モーメント印加装置の試料接触部先端から試料表面に印加されるモーメントMを算出できることを表している。
以上のように、第三実施態様のモーメント印加装置は、力f及び距離L4に基づいてモーメントMを算出するものとなっている。
ところで、第三実施態様のモーメント印加装置において、距離L4の具体的な値は、連結部の中心軸に沿った全体の長さXや、連結部の断面係数(連結部の中心軸に垂直な断面の断面係数)や、連結部を形成する素材のヤング率などによっても異なるため、特に限定されない。しかし、距離L4を短く設定して操作部と連結部とを試料接触部に近い場所で接続すると、得られるモーメントMの精度が悪くなるおそれがある。このため、距離L4は、通常、連結部の全体の長さXに対する、連結部の先端から前記接続部分までの連結部の中心軸に沿った距離X1の比X1/Xが、0.05以上となるように設定される。比X1/Xは、0.3以上であると好ましく、0.5以上であるとより好ましい。操作部と連結部の接続部分は、連結部の基端に近い場所に設けると好ましい。
3.0 モーメント印加装置の用途
本発明のモーメント印加装置は、試料表面に印加したモーメントを正確に検知できるだけでなく、取り扱いが容易で操作性に優れているために、幅広い用途に使用することができる。なかでも、試料の振動特性を実験的に評価する場合に好適に使用することができる。本発明のモーメント印加装置を用いて振動解析を行うのに適した試料(製品)としては、静寂性や低振動性などを重視される各種工業製品が例示される。特に、ドアパネル、屋根、ボンネット又はトランクリッドといった自動車のボデーパーツなどは、その振動特性を理論的に評価することが困難な複雑な形状をしていることが多いことに加えて、近年、それらの静寂性に対する要求も強まっているが、本発明のモーメント印加装置は、これらの自動車のボデーパーツの振動解析にも好適に使用することができる。図1〜3に示すように、試料表面に加速度ピックアップなどの加速度センサを取り付けると、試料の周波数応答関数(FRF)を求めることもできる。
4.0 実験
実際に、本発明のモーメント印加装置を用いて試料の周波数応答関数(FRF)を測定してみた。図7は、本発明のモーメント印加装置を用いて試料の周波数応答関数を測定する際に用いた実験システムを示した図である。試料には、長辺の長さが160mmで短辺の長さが30mmの長方形の鉄板(厚さ0.8mm)を用いた。試料の中心には、図7に示すように、加速度センサを取り付けた。モーメント印加装置は、上記の第一実施態様のものを用いた。ただし、モーメント印加装置の連結部は、鋼材によって形成し、その中心軸に沿った全体の長さX(図4を参照)は150mmとした。連結部の中心軸に垂直な断面は、一辺5mmの正方形とした。試料接触部には、直径20mm、長さ15mmの電磁コイル(図示省略。図4を参照)を取り付けた。ひずみゲージG1,1,G1,2は、図4に示す距離X1が50mmとなる位置に取り付け、ひずみゲージG2,1,G2,2は、図4に示す距離X2が50mmとなる位置に取り付けた。モーメント印加装置の試料接触部は、試料の中心から70mm離れた箇所に吸着させた。ひずみゲージG1,1,G1,2,G2,1,G2,2は、ブリッジボックスとひずみアンプとハイパスフィルタを介してFFTアナライザ(演算手段)に接続した。また、加速度センサもFFTアナライザに接続した。
ところで、図7に示す実験システムにおいて、ハイパスフィルタを設けていないと、ひずみアンプから出力されるモーメントMについての信号がステップ状となり、この信号に対してそのままフーリエ変換を行うと、窓関数の影響によって得られる波形が乱れてしまうが、図7に示すように、ひずみアンプから出力される信号に対してハイパスフィルタを適用することで、得られる波形の乱れを抑えることが可能となっている。
以上の実験システムにおいて、モーメント印加装置の試料接触部を試料表面に吸着させ、モーメント印加装置の操作部に外力Fを加え、操作部に外力Fを加えている状態で前記吸着力を遮断すると、図8〜9に示す結果が得られた。図8は、図7の実験システムで測定された、周波数(横軸)と印加したモーメントM(縦軸)との関係を示したグラフである。図9は、図7の実験システムで測定された、試料の周波数(横軸)と、試料の加速度(縦軸)との関係を示したグラフである。図10は、図8と図9の結果から求められた試料の周波数応答関数(FRF)を示したグラフである。以上のことから、本発明のモーメント印加装置は、試料の振動特性を実験的に評価する際に、好適に用いることができるということが分かった。
F 操作部に加えられた外力
f 外力Fに起因して操作部と連結部との接続部分に作用する力
G1 ひずみゲージ(曲げモーメント検知手段α1
G1,1 連結部の引張側に取り付けられたひずみゲージG1
G1,2 連結部の圧縮側に取り付けられたひずみゲージG1
G2 ひずみゲージ(曲げモーメント検知手段α2
G2,1 連結部の引張側に取り付けられたひずみゲージG2
G2,2 連結部の圧縮側に取り付けられたひずみゲージG2
G’ ひずみゲージ(力検知手段β)
G1’ 操作部と連結部との接続部分の外面に取り付けられたひずみゲージG’
G2’ 操作部と連結部との接続部分の外面におけるひずみゲージG1’と対称な位置に取り付けられたひずみゲージG’
L1 モーメント印加装置における試料接触部の先端から曲げモーメント検知手段α1が設けられた場所までの連結部の中心軸に沿った距離
L2 モーメント印加装置における試料接触部の先端から曲げモーメント検知手段α2が設けられた場所での連結部の中心軸に沿った距離
L3 モーメント印加装置における試料接触部の先端から外力Fが加えられた場所までの連結部の中心軸に沿った距離
L4 モーメント印加装置における試料接触部の先端から力fが加えられた場所(操作部と連結部との接続部分)までの連結部の中心軸に沿った距離
M モーメント印加装置における試料接触部の先端から試料表面に印加されるモーメント
M1 操作部に加えられた外力Fに起因して試料接触部の先端から距離L1の位置にある連結部断面S1に生じる曲げモーメント
M2 操作部に加えられた外力Fに起因して試料接触部の先端から距離L2の位置にある連結部断面S2に生じる曲げモーメント
P0 試料接触部における試料接触面の中心
P1 連結部の中心軸と連結部断面S1との交点
P2 連結部の中心軸と連結部断面S2との交点
P3 操作部の中心軸と、操作部外面における外力Fが加えられた点を含む操作部の中心軸に垂直な操作部断面との交点
P4 連結部の中心軸と、連結部外面における操作部と接続される点を含む連結部の中心軸に垂直な連結部断面との交点
Q1,1 連結部外面におけるひずみゲージG1,1の取付場所
Q1,2 連結部外面におけるひずみゲージG1,2の取付場所
Q2,1 連結部外面におけるひずみゲージG2,1の取付場所
Q2,2 連結部外面におけるひずみゲージG2,2の取付場所
S1 試料接触部の先端から距離L1の位置にある連結部断面
S2 試料接触部の先端から距離L2の位置にある連結部断面
X 連結部のその中心軸に沿った全体の長さ
X1 連結部の先端から曲げモーメント検知手段α1が設けられた場所までの連結部の中心軸に沿った距離
X2 連結部の先端から曲げモーメント検知手段α2が設けられた場所までの連結部の中心軸に沿った距離
α1 曲げモーメント検知手段(モーメント検知手段)
α2 曲げモーメント検知手段(モーメント検知手段)
β 力検知手段(モーメント検知手段)

Claims (10)

  1. (a)外力Fが加えられる操作部と、
    (b)外力Fに起因するモーメントMを試料表面に印加するための試料接触部と、
    (c)操作部と試料接触部とを連結し、外力Fによって弾性的に曲げ変形を行う連結部と、
    (d)モーメントMを検知するためのモーメント検知手段と、
    (e)試料接触部が試料表面に対して摺り動かないように試料接触部を試料表面に対して吸着させるとともに、その吸着力を瞬時に遮断できる吸着手段と、
    を備え、
    試料表面に試料接触部を吸着させて操作部に外力Fを加えている状態で前記吸着力を遮断することにより、前記吸着力が遮断される直前のモーメントMを検知することができるようにしたことを特徴とするモーメント印加装置。
  2. 吸着手段が、電磁石又は真空ポンプを利用したものである請求項1記載のモーメント印加装置。
  3. モーメント検知手段が、
    試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L1の位置にある連結部断面S1での曲げモーメントM1を検知するための曲げモーメント検知手段α1と、
    試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L2(>L1)の位置にある連結部断面S2での曲げモーメントM2を検知するための曲げモーメント検知手段α2と、
    曲げモーメントM1,M2及び距離L1,L2に基づいてモーメントMを算出する演算手段と、
    で構成された請求項1又は2記載のモーメント印加装置。
  4. 操作部が、試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L4の位置でのみ連結部と接続され、
    モーメント検知手段が、
    試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L1(<L4)の位置にある連結部断面S1での曲げモーメントM1を検知するための曲げモーメント検知手段α1と、
    曲げモーメントM1及び距離L1,L4に基づいて、モーメントMを算出する演算手段と、
    で構成された請求項1又は2記載のモーメント印加装置。
  5. 曲げモーメント検知手段αn(nは1又は2)が、連結部の外周面における連結部断面Snとの交線に重なる位置に取り付けられたひずみゲージGnである請求項3又は4記載のモーメント印加装置。
  6. ひずみゲージGnが、連結部の外周面における外力Fによって連結部が曲げ変形した際に引っ張られる引張側に取り付けられたひずみゲージGn,1と、連結部の外周面における外力Fによって連結部が曲げ変形した際に圧縮される圧縮側に取り付けられたひずみゲージGn,2とで構成された請求項5記載のモーメント印加装置。
  7. 操作部が、試料接触部の先端から連結部の中心軸に沿って距離L4の位置でのみ連結部と接続され、
    モーメント検知手段が、
    操作部に外力Fを加えた際に操作部と連結部との接続部分に作用する力fを検知するための力検知手段βと、
    力f及び距離L4に基づいてモーメントMを算出する演算手段と、
    で構成された請求項1又は2記載のモーメント印加装置。
  8. 力検知手段βが、操作部と連結部との接続部分の外周面に取り付けられたひずみゲージG’である請求項7記載のモーメント印加装置。
  9. ひずみゲージG’が、操作部と連結部との接続部分の外周面における該接続部分の中心軸に対して対称な位置に取り付けられた一対のひずみゲージG1’,G2’で構成された請求項8記載のモーメント印加装置。
  10. 請求項1〜9いずれか記載のモーメント印加装置を用いて試料表面に印加したモーメントMを計測するモーメント計測方法。
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