JP2010248539A - 微細配線に適した銀ナノ粒子の製造方法および該方法により得られる粉末ならびに分散液 - Google Patents

微細配線に適した銀ナノ粒子の製造方法および該方法により得られる粉末ならびに分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】 塗布した際に塗膜欠陥の生じにくい性質を有する銀ナノ粒子の製造方法を提供し、さらには該方法を用いて得られる銀ナノ粒子とその粒子の分散液を提供すること。
【解決手段】 凝固点が15℃以上を呈し、分子量が100〜1000であるアミン化合物を添加し、沸点80〜200℃のアルコール中で銀イオンを還元し、上記アミン化合物で銀表面を被覆することで銀粒子粉末を製造する。更に好ましくは、該アミン化合物のヨウ素価は83以下の値を示すものを用いる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、微細配線に適した銀ナノ粒子の製造方法にかかり、外報法を用いて形成された微細配線用銀ナノ粒子集合体、ならびに該粒子の分散液に関する。
固体物質の大きさがナノ(10−9)メートルオーダーになると、視認することができる程度の大きさを有する物体に比較し、性状が大きく変化することが知られている。特に、金属粒子粉末の場合は、融点がバルク状態のものに比べ劇的に低下することが知られている。そのため、通常に視認することのできる程度の大きさを有した粒子では高温でしか溶融しなかったようなものでも、それほど造作なく作り出すことのできる温度(〜500℃程度)による加熱であっても金属配線を形成することができるようになるとともに、粒子が細かいことでより微細な配線の描画が可能になるなど、利点を多く有することが知られている。特に、金属粒子粉末の中でも銀ナノ粒子は、低抵抗でかつ高い耐候性をもち、金属の価格も他の貴金属と比較して安価であることから、微細な配線幅をもつ次世代の配線材料として特に期待されている。
かようなサイズを有する銀ナノ粒子の製造方法としては、大別して気相法と液相法が知られている。気相法ではガス中での蒸着法が普通であるが、一般的に大量合成には向かない。液相法に関しては、特許文献1では水相で銀イオンをアミンで還元し、得られた銀の析出相を有機溶媒相(高分子量の分散剤)に移動して銀のコロイドを得る方法を開示している。特許文献2では、溶媒中でハロゲン化銀を還元剤(アルカリ金属水素化ホウ酸塩またはアンモニウム水素化ホウ酸塩)を用いてチオール系の保護剤の存在下で還元する方法が記載されている。特許文献3には、アルコール中で銀塩を還元することにより、微細な配線形成用途に適した銀粒子粉末の合成方法が記載されている。また、本願出願人らもオレイルアミン等の不飽和結合を有する1級アミンの存在下において、硝酸銀を初めとした銀塩を還元することで、極めて分散性と独立性を有する銀ナノ粒子が得られることを見いだし、特許文献4の形で開示した。
特開平11−319538号公報 特開2003−253311号公報 特開2007−39718号公報 特開2007−039718号公報
発明者らの検討によると、先行文献に記載の方法では、微細な金属粒子を得ることができるだが、以下に示すような問題点があるのではないかと考えられた。
はじめに、特許文献1に記載の技術では、液相法により0.2〜0.6mol/Lの高い金属イオン濃度と、高い原料仕込み濃度で安定して分散した銀ナノ粒子を合成しているが、凝集を抑制するために数平均分子量が数万の高分子量の分散剤を用いている。高分子量の分散剤を用いたものでは、これを色剤として用いる場合は問題ないが、回路形成用途に用いる場合には高分子分散剤が燃焼し難いために焼成時に残存しやすいこと、さらには焼成後も配線にポアが発生しやすいこと等から抵抗が高くなったり断線が生じたりするので、低温焼成により微細な配線を形成するには問題がある。また高分子量の分散剤を使用している関係上、微粒子銀の分散液の粘度が高くなることも問題となる。
つぎに、特許文献2に記載の技術では、液相法により、仕込み濃度も0.1mol/L以上の比較的高い濃度で反応させ、得られた10nm以下の銀粒子を有機分散媒に分散させているが、特許文献2では分散剤としてチオール系の分散剤が提案されている。チオール系の分散剤は分子量が200程度と低いことから、配線形成時に低温焼成で容易に除去させることができるが、硫黄(S)が含まれており、この硫黄分は、配線やその他電子部品を腐食させる原因となるために配線形成用途には好ましくはない。
第三に、特許文献3に記載の技術では、液相法により、仕込み濃度も0.05mol/L以上の比較的高い濃度で反応させており、分散剤として配線や電子部品を腐食させることのない、オレイルアミンを使用しているため、配線形成用途に適していることが考えられる。しかしながら、配線形成時に数十μm程度の大きさの凝集塊が発生してしまう。そのため、数十μmの微細配線を描画する際に断線の原因となってしまうため、好適とはいい難い。
また、本願出願人による開示である特許文献4に記載の方法で得られる銀ナノ粒子は、反応時に周囲に存在する1級アミンで被覆されたものになっている。この1級アミン(以降有機保護剤という)は比較的大きな分子量を有するため、ほどよい距離を保ち、銀ナノ粒子の液中における焼結を抑制し、独立性を保つ働きを有する。さらに、かような比較的大きな分子量を有する保護基が表面に存在していながらも、従来知られている高分子により被覆された粒子よりも低温で金属間焼結を生じさせることができた。これは、保護剤の構成として不飽和結合を持つようにしたことで、保護剤の反応や分解作用が促進されることになり、金属ナノ粒子からの脱離が容易に進んでいるためと考えている。
しかし、本発明者らが検討を行ってきたところ、かような製造方法で粒子の合成を行った場合において、まれに粒子の物性面では大きな違いが見られなくとも、たとえばスピンコーターにより大面積の塗膜とした場合、塗布直後あるいは塗布膜の焼成後の段階において、塗膜表面に視認できる程度に大きな塗膜欠陥が生じることがあることがわかってきた。かような塗膜欠陥は、特に微細配線を形成するような場合には断線の原因となってしまうので好ましくはない。
以上の通り、今までに知られているような製造方法のみでは、今後利用が促進すると考えられるニーズを必ずしも満足できない可能性がある。そこで、本発明の解決すべき技術的課題としては、塗布した際に塗膜欠陥の生じにくい性質を有する銀ナノ粒子の製造方法を提供し、さらには該方法を用いて得られる銀ナノ粒子とその粒子の分散液の提供すること、とした。
上記目的を達成するには、まずアルコールによる還元法を用いた場合において、粒子表面を構成する有機物として凝固点が15℃以上を呈し、分子量が100〜1000であるアミン化合物を選択すればよい。
つぎに、該環境下において、該還元反応は該アルコールの沸点±20℃近傍で行い、アルコールは還流されている状態で反応を行わせる。さらに、表面を構成するアミンのヨウ素価が83以下の値を示すものを選択すると良く、なかでもアミンは不飽和結合を有するアミン、とりわけオレイルアミンであることがよい。
以上のような特徴のある反応により得られる銀粒子を分散液中の銀濃度が5〜90質量%になるようにし、25℃での比誘電率が15以下の液状有機媒体であって、銀粒子を含む粘度が50mPa・s以下、表面張力が80mN/m以下でとなるような分散媒を用いれば、塗布後の欠陥が極めて抑制された金属ナノ粒子塗膜を形成することができるようになり、本発明の目的を達成することができる。
また、上記の条件を満たす分散液を両面研磨したガラス基板に塗布したときの塗膜不良において、直径が30μm以下の塗膜欠陥の面積割合が0.2%以下になり、微細配線に特に適したものになっていることがわかる。なお、直径がこの程度以上の欠陥が生じるともはや微細配線用途としては不適であるので、この直径以上を有するような場合はもちろん本発明の技術的範囲には含まれない。
また、本願明細書において、「保護剤により被覆された」とは、個々の金属ナノ粒子が結合しない状態で独立して存在し、その独立性の担保として粒子同士が接触しない程度に十分な有機物質からなる保護物質が金属粒子の表面に被覆して存在している状態を言う。
本発明に開示した製造方法によれば、従来実施されてきたアルコールによる還元法を用いた銀ナノ粒子の製造方法と比較し、塗膜の表面欠陥を低減することができるようになる。また、従来には利用できなかったようなものにも配線を形成できるようになるため、電子機器をより小さく、より軽く、より薄くできるようになると推定でき、フィルム態に分散させるような場合を想定すると、透明フィルムヒーターなどの面状発熱体、電磁波遮蔽フィルム、太陽電池、透明電極や、プラズマディスプレイテレビなどの電磁波遮蔽フィルムといった分野にも広く利用することもできるようになると考えられる。
合成された銀粒子の構成を測定する際のTG−DTA装置によるヒートパターンを模式的に示した図である。 実施例4にかかる塗膜のデジタルマイクロスコープによる写真である。 比較例1にかかる塗膜のデジタルマイクロスコープによる写真である。
本発明に開示した製造方法の特徴は、金属ナノ粒子の表面に製造時に形成されたアミンを特定の性質のものを使用することにある。より具体的には表面を構成するアミンの凝固点が15℃以上、好ましくは16℃以上、より好ましくは17℃以上であるのがよい。かような性質のものを使用することで、塗膜化した際に欠陥が生じにくくなる。
かような効果が得られる理由については、必ずしも明らかではないが、次のようなことが考えられる。例えばオレイルアミンの場合、中心組成は決まっているが単一でない炭素鎖がある程度混在した混合物として市販されている。こうした混合度合いは、ある程度全体としての物理的性質、とりわけ凝固点等に影響を及ぼしている。通常使用される場合におけるこの違いは工業的に生産されているものであるため比較的軽微であるが、金属ナノ粒子の表面を構成する場合にはこのわずかな違いであってもダイレクトに作用し、上記のような違いに結びついていた。ところが、本願発明者が見いだしたような凝固点範囲にあるアミンを用いる場合には、金属ナノ粒子とのなじみが改善して塗膜の欠陥が生じにくくなったのではないかと思われる。
また、上述の性質は凝固点に加えて、ヨウ素価も影響していることがわかった。特に本発明者らの知見によると、ヨウ素価は83以下、このましくは82以下であるのがよい。このような構成することにより、より塗膜の欠陥が生じるのを抑制することができるので好ましい。
このナノ銀粒子は具体的には下記のようにして得ることができる。この反応が適用できるのはアルコールを用いた銀ナノ粒子の製造方法であり、今まで知られている製造方法について、下記に示す手法を取り入れることにより得られる。
〔銀粒子の合成〕
本発明で使用する銀ナノ粒子原料は、粒度分布等の粒子性状が安定しており、かつ液状媒体中で凝集・沈降しにくい性質を有していることが重要である。そのような銀粒子の合成法として、ここでは従来から検討している合成法を簡単に説明する。すなわち、この合成法は、アルコールまたはポリオール中で、アルコールまたはポリオールを還元剤として、銀化合物を還元処理することにより銀粒子を析出させるものである。この場合、アルコールまたはポリオールは溶媒であるとともに還元剤でもある。還元反応は溶媒液を昇温して、好ましくは還流状態とすることによって進行させることができる。こうした手法をとることにより、不純物の混入を防ぎ、例えば配線材料として使用とした時には抵抗値を小さくすることが可能になる。
その還元反応を進行させる際には、溶媒中に保護材として機能する有機化合物を共存させておくことが肝要である。その有機化合物として、ここでは不飽和結合を持つ分子量100〜1000の1級アミンを用いるのが好ましいが、とりわけオレイルアミンを使用する。不飽和結合を持たないものでは、表面がそのアミンで保護された銀ナノ粒子を合成することは困難である。発明者らの知見では、このときの不飽和結合の数は1分子中に少なくとも1個あれば足りる。分子量が小さいものでは還元時の液状媒体中において凝集・沈降が生じやすく、均一な還元反応の妨げになる場合がある。そうなると粒径分布を均一化するなどの品質管理面のコントロールが難しくなる。また液状有機媒体中に銀粒子が単分散した状況を作ることが難しくなる。
還元反応時に溶媒中に共存させる1級アミンの量は、銀に対し0.1〜20当量とすることができ、1.0〜15当量とすることがより好ましく、2.0〜10当量が一層好ましい。本願明細書における1当量とは、銀1モルに対して対応するアミンが1モルを存在することを指す。1級アミンの使用量が少なすぎると銀粒子表面の保護材の量が不足して、液中での単分散が実現できなくなる。
還元剤としては、溶媒であるアルコールまたはポリオールを使用する。反応に際しては還流操作を行うことが効率的である。このため、アルコールまたはポリオールの沸点は低い方が好ましく、具体的には80〜300℃、好ましくは80〜200℃、より好ましくは80〜150℃であるのがよい。とりわけ、イソブタノール、n−ブタノールが好適である。
還元反応を促進させるためには還元補助剤を添加しても構わない。とくにかような性質を持つものとして、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンを用いるのが特に好ましい。
このとき還流させながら行うときの還元温度はアルコールの沸点を基準にして±20℃程度の温度で行うことが好ましい。温度を高くしても、反応は行えるが熱効率が悪くなるので好ましくない。逆に低すぎると還元が進行せず、反応の収率が低くなるので好ましくない。
銀の供給源である銀化合物としては、上記溶媒に溶解し得るものであれば種々のものが適用でき、塩化銀、硝酸銀、酸化銀、炭酸銀などが挙げられるが、工業的観点から硝酸銀が好ましい。還元反応時の液中のAgイオン濃度は0.05モル/L以上、好ましくは0.05〜5.0モル/Lとすることができる。アミン/Agのモル比については0.05〜5.0の範囲とすることができる。還元補助剤/Agのモル比については0.1〜20の範囲とすることができる。
以上の条件下で、具体的な粒子の合成工程は次の通りとした。
まず初めに、粒子合成工程について述べる。
原料となるアルコールもしくはポリオール、有機保護剤、銀塩を秤量し、窒素雰囲気などの不活性の雰囲気下において、室温〜60℃、好ましくは30〜50℃に調整した液中で攪拌を行いながら溶解する。溶解後、還流器のついた容器に移し、緩やかに攪拌させつつ、0.5〜5.0℃/分の昇温速度で溶媒の沸点±20℃の温度まで昇温する。
還元反応の温度は、溶媒の沸点±20℃の温度であり、かつ、50〜200℃の範囲内とすることが望ましい。50〜150℃とすることがより好ましく、60〜140℃の範囲が一層好ましい。アミンに覆われた銀粒子(上記還元により合成されたもの)は、銀粒子とアミンの合計に対するアミンの存在割合(以下、単に「アミン割合」という)が0.05〜25質量%に調整されていることが望ましい。アミン割合が低すぎると粒子の凝集が生じやすくなる。
昇温させた後、1時間以上、好ましくは2〜10時間、より好ましくは4〜8時間温度を維持する。維持時間中に必要に応じてエタノールアミンなどの還元補助剤を添加し、更に0.5時間以上、好ましくは1時間以上、先の反応温度で保持を行う。反応終了後、室温まで高温操作を加えた後、粒子が沈降するまで、詳しくは半日から数日間静置を行い、上澄みを除去して次工程に回す(以降は反応スラリーという)。
次に、洗浄工程について述べると、前記粒子合成工程で得られた反応スラリーに、反応時に設定した銀に対するモル比で10〜30倍、好ましくは15〜20倍量のアルコール、好ましくは一価の炭素鎖の短いもの、具体的にはメタノールやエタノールなどを添加し、緩やかに15〜50℃、好ましくは20〜40℃で1時間以上撹拌を行う。
攪拌が完了した後、先の洗浄温度詳しくは15〜50℃、好ましくは20〜40℃で攪拌を止めた状態で0.5時間以上静置したのち、デカンテーションにより上澄みを除去する。アルコールを添加して、デカンテーションで上澄みを除去する工程を一サイクルとして、少なくともこの操作を二サイクル以上行うことで、粒子に付着している余剰のアミン類を除去する。この工程を経ることで、ナノ銀粒子の凝集体を得た。また、最初の段階の洗浄が最も余剰のアミンが存在している状態であるので、洗浄に供するアルコールは必要に応じて減らすこともできる。
こうして得られた洗浄後の粒子は、適宜選択される分散媒に分散させる。金属微粒子は先に述べたとおり活性が高いので、不活性雰囲気好ましくは窒素流通下において行うのがよい。先の工程において得られたナノ銀粒子の凝集体に、分散用の有機溶媒を添加する。このとき、分散用の有機溶媒添加量を調整し、液中の銀濃度を調整することができる。
有機媒体としては、アミンに覆われた銀粒子が良好に分散する物質を選ぶ。例えば、炭化水素系が好適に使用できる。例えば、イソオクタン、n−デカン、イソドデカン、イソヘキサン、n−ウンデカン、n−テトラデカン、n−ドデカン、トリデカン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素が使用できる。ケロシンなどの石油系溶媒を使用しても構わない。これらの物質を1種以上使用して液状有機媒体とすれば良い。
有機溶媒を添加すると、洗浄時に用いたアルコールが浮遊してくるので、適宜の方法で除去する。その後、金属粒子が浮遊している分散液に対して脱泡処理を施してから、日立工機(株)製の遠心分離機CF7D2を用いて、良分散成分(遠心分離に供しても沈降しない成分であり、粒子の持つ浮力が粒子の重力と少なくとも均衡している粒子)と凝集沈降している部分を分離する。その後、凝集沈降している部分を濾過により除去する。このとき濾過にはメンブランフィルターを用いて行った。上記のうち、濾過により除かれる部分を除いた上澄み成分が、本願発明にかかる銀ナノ粒子の分散液である。
得られる粒子の分散液は以下に示す方法を用いて評価した。
[銀濃度の算出]
銀濃度は、TG−DTA装置を用いて、銀粒子とその表面を覆っているアミンの存在割合(以下「アミン被覆量」という)を求めた。アミン被覆量を算出するには、図1に示すヒートパターンを採用する。なお、図1において網掛けになっている部分は温度の保持を表し、点線部は昇温(具体的に下記に示すように10℃/分)を表す。具体的に図1の説明を加えると、はじめに、温度は室温から200℃まで10℃/分で昇温し(ステージI)、200℃で60分維持して(ステージII)、銀粒子分散液に含まれる有機媒体(例えばテトラデカン)を揮発させる。次いで200℃から700℃まで10℃/分で昇温し(ステージIII)、700℃で再度60分維持する(ステージIV)。ステージI〜IIにおいて有機媒体が全部揮発するとともに保護材であるアミンは残留し、ステージIII〜IVにおいてアミンは全部揮発するとみなすことができる。図1のヒートパターンでTG−DTA装置により測定される重量変化をモニターし、ステージIIが終了するまでに重量変化はほぼゼロになるので、この時点までに減じた重量分Wを有機媒体(分散媒)の重量とする。そして、ステージIII開始後、再び重量減少が生じ、ステージIVが終了するまでに重量変化はほぼゼロになるので、ステージIII〜IVの間に新たに減じた重量分Wをアミンの重量とする。残りの重量Wを銀の正味の重量とする。従って、銀濃度は、(銀濃度(%))=W/全体の分散液量×100で算出することができる。
[凝固点の測定]
アミンの凝固点は、日本油化学協会制定の凝固点測定法(JOCS法)、JISK−0065(化学製品の凝固点測定法)、日本薬局方に記載のある油脂試験法の凝固点測定法を用いて測定することができる。
[ヨウ素価の測定]
ヨウ素価は、JISK−0070(化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不ケン化物の試験方法)に記載のある方法、日本薬局方に記載のある油脂試験法のうちヨウ素価の測定法を用い、測定することができる。
[分散液の粘度]
本発明の分散液の粘度は、HAAKE社製のレオストレスを用いて測定する。測定時の条件は25℃の気温条件下、回転速度50rpm、コーン種類は60/lで行った。
[表面張力]
本発明の分散液における表面張力は、協和界面科学社製のCBVP−Zを用いて測定する。測定の条件としては、25℃の恒温条件下で実施した。
[塗膜欠陥程度測定]
本発明に従う分散液をガラス基板に塗布し、下記のような方法で形成される塗膜の欠陥を定量化して比較した。詳細な方法としては下記の通りである。
まず、26mm角のガラス基板(例えば、コーニング社製ガラス1737等)を両面研磨し試料片を準備する。次に超音波洗浄を初めにフルウチ化学社製のセミコクリーン23に浸漬し10分間洗浄処理、その後超純水で10分間の洗浄処理を2回繰り返すことで表面を清浄なものとした。その後、近紫外光(波長:172nm)を3分間照射した後、スピンコーター(回転数:2000〜5000rpm)、バーコーターを用いて、塗布膜厚を0.3μm程度になるよう、分散液を塗布した。その状態の塗布膜をKEYENCE社製デジタルマイクロスコープVHX−900型を用い、光を上面から照射した状態で基板表面の撮影を行う。この際塗膜欠陥が生じている部分は光の照射により白くなるため、欠陥が生じているか否かはそれで判断することが可能になる。上記の塗膜欠陥の面積を旭化成ケミカル社製の画像解析ソフトA像くんを用いて解析する。このとき、白く見られている部分の面積を算出することで、塗膜の欠陥面積を算出した。その後、視野全体における銀膜の面積に占める欠陥面積の割合から、欠陥面積率を算出した。
[実施例1]
反応媒体兼還元剤としてイソブタノール(和光純薬社製の特級試薬)200mL、アミンとしてオレイルアミン(花王社製ファーミンO)(凝固点17.1℃、ヨウ素価81.8)27mL、銀化合物としての硝酸銀結晶(東洋化学社製)13.7gを用意し、これらを混合してマグネットスターラーにて撹拌し、硝酸銀を溶解させた。この溶液を還流器のついた容器に移してオイルバスに載せ、容器内に不活性ガスとして窒素ガスを400mL/minの流量で吹込みながら、該溶液をマグネットスターラーにより撹拌しながら115℃まで昇温した。115℃の温度で4時間の還流を行なった。反応終了後のスラリーを遠心分離機で固液分離し、分離された液を廃棄して固体成分を回収した。その後、「固体成分をメタノールと混合したのち遠心分離機で固液分離し、分離された液を廃棄して固体成分を回収する」という洗浄操作を2回行った。
その後、上述の方法により、銀濃度が70質量%程度となるようにデカン(東京化成社製)を加えることで、本発明に従う銀ナノ粒子分散液を形成した。その後、塗膜欠陥割合を算出したところ、0.10%であり、欠陥の極めて少ない表面平滑性に優れた塗膜を得ることができた。
[実施例2]
実施例1において、使用するアミンを凝固点15.6℃、ヨウ素価82.9のオレイルアミンとした以外は同様にして、塗膜を形成させた。得られた塗膜の塗膜欠陥割合を算出したところ、0.06%であり、欠陥の極めて少ない表面平滑性に優れた塗膜を得ることができた。
[実施例3]
実施例1において、使用するアミンを凝固点17.1℃、ヨウ素価81.7のオレイルアミンとした以外は同様にして、塗膜を形成させた。得られた塗膜の塗膜欠陥割合を算出したところ、0.05%であり、欠陥の極めて少ない表面平滑性に優れた塗膜を得ることができた。本例によって得られた塗布膜を光を上面から照射した状態で基板表面の撮影をした写真を図2に示す。図を見てわかるように、写真が黒くなっているのは、視認できるような塗膜欠陥が生じていないことによる。
[実施例4]
実施例1において、反応温度を115℃であったものを105℃とし、反応時間4時間のうち、3時間経過時点で還元補助剤として2級アミンのジエタノールアミン(和光純薬株式会社製、分子量=106)を対Agモル比1.0となるように8.5g添加した。その後、105℃で1時間還流操作を継続し、反応を完結させた。その後、「固体成分をメタノールと混合したのち遠心分離機で固液分離し、分離された液を廃棄して固体成分を回収する」という洗浄操作を2回行った後、実施例1と同じ条件で分散液を形成し評価したところ、塗膜の欠陥割合は0.13%であり、実施例1と同様、欠陥の極めて少ない表面平滑性に優れた塗膜を得ることができた。
[比較例1]
実施例1において、使用するアミンを凝固点13.7℃、ヨウ素価84.3のオレイルアミン(日油社製アミンOB)とした以外は同様にして、分析評価した。得られた塗膜の欠陥面積は0.36%であり、実施例のものと比較して塗膜欠陥の大きい塗膜となった。
本例によって得られた塗布膜を光を上面から照射した状態で基板表面の撮影をした写真を図3に示す。図を見てわかるように、ところどころ斑点状に白い点が存在している。これが塗膜欠陥であり、これが多いことは塗膜として適当ではないことを表す。
[比較例2]
実施例4において、使用するアミンを凝固点13.7℃、ヨウ素価84.3のオレイルアミン(日油社製アミンOB)とした以外は同様にして、分析評価した。得られた塗膜の欠陥面積は0.72%であり、実施例のものと比較して塗膜欠陥の大きい塗膜となった。
[比較例3]
比較例2において、使用するアミンを凝固点12.1℃、ヨウ素価84.7のオレイルアミン(日油社製アミンOB)とした以外は同様にして、分析評価した。得られた塗膜の欠陥面積は0.46%であり、実施例のものと比較して塗膜欠陥の大きい塗膜となった。
[比較例4]
比較例2において、使用するアミンを凝固点12.8℃、ヨウ素価86.6のオレイルアミン(日油社製アミンOB)とした以外は同様にして、分析評価した。得られた塗膜の欠陥面積は1.04%であり、実施例のものと比較して塗膜欠陥の大きい塗膜となった。
以上のことより、本願発明に示した条件に従い得られる銀ナノ粒子を分散した分散液は塗布液として塗布した際に生じる欠陥が少なく、塗膜形成時に断線する危険性の少ない塗膜の得られる、微細配線に適した分散液とすることができる。
この理由については、詳細はわからないが、実施例の反応を経て得られた粒子と比較例の反応を経て得られる粒子について、粒子表面を構成する有機物成分をGC−MSを用いて比較したところ、比較例のものでは、1,13−テトラデカンジエンなる不純物質が確認された。生成や作用機構についても明確には不明な点が多いが、かような不純物の存在が、塗膜とした際に欠陥の起点になりやすくなると考えられる。不純物の形成は、先に述べたような種々の炭素鎖が混在していることに原因があると考えられるので、本願発明に従うような原料を特に使用することで、不純成分の生成が抑制され、もっと塗膜の欠陥を減ずる働きを有していると考えられる。

Claims (9)

  1. 凝固点が15℃以上を呈し、分子量が100〜1000であるアミン化合物を添加し、沸点80〜200℃のアルコール中で銀イオンを還元し、上記アミン化合物で銀表面を被覆する銀粒子粉末の製造方法。
  2. 該還元反応は該アルコールの沸点±20℃で行い、アルコールは還流されている、請求項1に記載の銀粒子粉末の製造方法。
  3. 前記アミンのヨウ素価が83以下である、請求項1または2に記載の銀粒子粉末の製造方法。
  4. 粒子表面に凝固点が15℃以上で、分子量100〜1000のアミン化合物、あるいはアミン化合物誘導体からなる物質が被着している銀粒子粉末。
  5. 前記アミンのヨウ素価が83以下である、請求項4に記載の銀粒子粉末。
  6. 銀粒子は、TEM観察による粒径測定において、平均粒子径が1〜30nmである、請求項4または5に記載の銀粒子粉末。
  7. 該アミンはオレイルアミンである、請求項4から6のいずれかに記載の銀粒子粉末。
  8. 請求項4ないし7のいずれかに記載の銀粒子粉末を、25℃での比誘電率が15以下である液状有機媒体に分散させた銀粒子の分散液であって、分散液中の銀濃度が5〜90質量%、粘度が50mPa・s以下、表面張力が80mN/m以下の性質を備える銀粒子の分散液。
  9. 請求項4ないし8のいずれかに記載の銀粒子粉末を、25℃での比誘電率が15以下である液状有機媒体に分散させた銀粒子の分散液であって、ガラス基板に塗膜した際に直径が30μm以下の塗膜欠陥の面積割合が0.2%以下となる、銀粒子の分散液。



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