“ポリペプチドECSM4”によって、我々は以下のポリペプチドを含める、その配列が図4または5または7または12または13に与えられたアミノ酸配列を構成する、あるいはそれから構成されるもの、またはその配列が図4のヌクレオチド1と1395の間、あるいは図5、または図7のヌクレオチド2と948の間、あるいは図12のヌクレオチド71と3442の間、あるいは図13のヌクレオチド6と3050の間、およびそれらの天然の異型において与えられたヌクレオチド配列によってコードされるものである。好ましくは、ECSM4ポリペプチドは、そのアミノ酸配列が図4または図12において与えられた配列を含むものである。
“ポリペプチドECSM4”によって、我々は次のSEQ IDによって表される、あるポリペプチドを含む、SEQ ID EP 1074617のNo 18085、SEQ ID WO 00/53756またはWO 99/46281のNo 211、SEQ ID WO 01/23523のNos 24−27、29、30、33、34、38または39、SEQ ID WO 99/11293のNo 86、または以下のSEQ IDによって表されるポリペプチドを含む、 SEQ ID EP 1074617のNo18084または5096、SEQ ID WO 00/53756またはWO 99/46281のNo 210、またはSEQ ID WO 01/23523のNos 23、24、96、またはSEQ ID WO 99/11293のNo 31。
“ポリペプチドECSM4”によって、我々は任意の天然に生じるポリペプチドをも含み、そのポリペプチドは、図4または5または7または12または13において与えられたポリペプチド配列の連続した50アミノ酸残基部分、またはそれらの天然の異型を含む。好ましくは、そのポリペプチドはヒト由来のポリペプチドである。
本発明の本特徴点の実施態様および骨子は、以下により詳細に述べられるようなことである。
本発明の第二の特徴点は、(i)ポリペプチドECSM1に選択的に結合する一部分、および(ii)さらなる部分を構成する化合物を与えることである。
好ましくは、本発明の第一および第二の特徴点において、結合部分およびさらなる部分は、共有結合による。
“ポリペプチドECSM1”によって、我々は、そのアミノ酸配列が図2、およびその天然の異型に与えられた配列から構成される、あるいは含むような、ポリペプチドを含める。
“ポリペプチドECSM1”によって、我々は任意の天然に生じるポリペプチドをも含み、そのポリペプチドは、図2において与えられたポリペプチド配列の連続した50アミノ酸残基部分、またはそれらの天然の異型を含む。好ましくは、そのポリペプチドはヒト由来のポリペプチドである。
好ましくは、ポリペプチドECSM1アミノ酸配列は、図2に与えられた配列を含むが、WO 99/06423の意図による1997年7月17日になされたATCC寄託No 209145によってコードされたアミノ酸配列は含まない。
“天然の異型”によって、我々は、例えば対立異型を含む。一般的に、これらは1または2または3アミノ酸残基のみによって、与えられた配列と異なるが、通常10または20アミノ酸残基以上によってではない。一般的に、異型における置換は保存されている。
本発明の、第一または第二の特徴の好ましい実施態様において、特異的なポリペプチドへ選択的に結合することが可能な分子は、抗体である。
好ましくは、抗体はECSM1またはその天然の異型に選択的に結合し、WO 99/06423のSEQ ID No 32によってコードされた、またはWO 99/06423の意図による1997年7月17日になされたATCC寄託No 209145の核酸によってコードされたポリペプチドに結合するものではない。
好ましくは、ECSM1に選択的に結合する抗体は、そのアミノ酸配列が図2またはその天然の異型において与えられた配列を含むポリペプチド、1997年7月17日になされたATCC寄託No 209145によってコードされたアミノ酸配列を含まないポリペプチドに結合するものである。
好ましくは、ECSM4に選択的に結合する抗体は、配列GGDSLLGGRGSL、LLQPPARGHAHDGQALSTDL、EPQDYTEPVE、TAPGGQGAPWAEEまたはERATQEPSEHGP、あるいはECSM4の細胞外部分に位置する任意の配列をもつポリペプチドに選択的に結合するものである。下により詳細に述べるように、これらの配列は、ヒトECSM4においてのみ見られ、マウスECSM4ポリペプチド配列においては見られないアミノ酸配列を表している。
好ましくは、ECSM4に選択的に結合する部分は、抗体のように、そのアミノ酸配列が図4、5、7、12、13の任意の一つ、あるいはその天然の異型において与えられた配列を含むような、ポリペプチドに結合するが、SEQ ID EP 1074617のNo 18085、SEQ ID WO 00/53756またはWO 99/46281のNo 211、SEQ ID WO 01/23523のNos 24−27、29、30、33、34、38または39、SEQ ID WO 99/11293のNo 86、の任意の一つによって表されたポリペプチド、あるいはSEQ ID EP 1074617のNo18084または5096、SEQ ID WO 00/53756またはWO 99/46281のNo 210、あるいはSEQ ID WO 01/23523のNos 22、23、24、96、または98、あるいはSEQ ID WO 99/11293のNo 31以下のSEQ IDによって表されたヌクレオチド配列の任意の一つによってコードされたポリペプチドには結合しないものである。
“抗体”によって、我々は全体のイムノグロブリン分子だけでなく、Fab、F(ab’)2、Fv、のような、その断片、および抗原結合部位を残した、その他の断片もまた含める。同様に、”抗体”という語は、単鎖Fv分子(scFv)やドメイン抗体(dAbs)のような遺伝学的に加工された抗体の派生物を含む。その語は、また抗体様の分子を含み、これはECSM1またはECSM4に結合する分子のためのファージディスプレイ技術または他のランダム選択技術を利用して生産されるかも知れない。
抗体の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)は抗原認識に関わっているが、これは初期のプロテアーゼ消化実験によって最初に認識された事実である。さらなる確認は、げっ歯類の抗体の”ヒト化”によってなされた。げっ歯類起源の可変領域が、ヒト起源の不変領域に融合されるが、結果生じた抗体は、げっ歯類のもとの抗体の抗原特異性を残すようなものだった(Morrison et al (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81, 6851−6855)。
抗原特異性は、可変領域によって与えられ、不変領域とは独立していることは、抗体断片、すべて一つまたはそれ以上の可変領域を含む、のバクテリアによる発現を行った実験によって知られる。これらの分子は、Fab様分子(Better et al (1988) Science 240, 1041); Fv分子(Skerra et al (1988) Science 240, 1038); 単鎖Fv (ScFv)分子、そこではVHおよびVLパートナー領域がフレキシブルなオリゴペプチドを介して連結している(Bird et al (1988) Science 242,423; Huston et al (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 5879)、および単離されたV領域を含む単領域抗体(dAbs)(Ward et al (1989) Nature 341, 544)を含む。特異的な結合部位を残した抗体断片の合成に関する技術の一般的な総説は、Winter & Milstein (1991) Nature 349, 293−299においてみられるものである。
“ScFv 分子”によって、我々はVHおよびVLパートナー領域が、フレキシブルなオリゴペプチドを介して連結したような分子を意味する。
抗体全体より、むしろ抗体断片を使用することの優位性は、数倍である。断片のより小さなサイズは、標的部位へのよりよい浸透のような、改良された薬理的な性質に導くかもしれない。補体結合のような、抗体全体のエフェクター機能は除かれる。Fab、Fv、ScFvおよびdAb抗体断片をすべて、大腸菌において発現し、大腸菌から分泌することが可能であり、このように上記の断片の大容量を容易に生産することが可能である。
全体の抗体、およびF(ab’)2断片は、”二価”である。”二価”によって、我々は、上記の抗体およびF(ab’)2断片が、二つの抗原結合部位をもつことを意味する。対照的に、Fab、Fv、ScFvおよびdAb抗体断片は一価であり、抗原結合部位を一つのみもつ。
抗体は、ポリクローナル抗体であるかも知れないけれども、それがモノクローナル抗体であれば、好ましい。ある状況では、抗体がヒトの患者に繰り返し投与されるものであれば、特に、モノクローナル抗体は、ヒトのモノクローナル抗体またはヒト化されたモノクローナル抗体であれば、好ましい。
適したモノクローナル抗体は、上記の様に、反応性の高く、既知の技術によって調製されるかも知れない、例えば、”Monoclonal Antibodies; A manual of techniques”, H Zola (CRC Press, 1988)および”Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Application”, SGR Hurrell (CRC Press, 1982)に述べられている技術によって。生成されるかもしれないポリクローナル抗体は、多価または一価特異的である。ポリクローナル抗体は、一価特異的であることが好ましい。
キメラ抗体は、Neuberger et al (1998, 8th International Biotechnology Symposium Part 2, 792−799)によって議論されている。
適切に調製された非−ヒト抗体は、既知の方法、例えばマウス抗体のCDR領域をヒト抗体の枠組みへ挿入することで”ヒト化”されうる。
抗体は、それらが、ヒト抗ECSM1またはECSM4抗体のアミノ酸配列をもつという意味において、ヒト抗体であるかも知れないが、それらは技術的にヒトの免疫を必要としない方法を使用して調製されるかも知れない。例えば、トランスジェニックマウスは、実質的に、ヒトイムノグロブリン遺伝子を含むものはどちらでも利用可能である(参照Vaughan et al (1998) Nature Biotechnol. 16, 535−539)。
他の実施例において、ポリペプチドに選択的に結合できる分子は、ペプチドである。ECSM4/magec roundaboutポリぺプチドは、ショウジョウバエ、マウス、ヒトroundabout蛋白質、分泌されたSlit蛋白質の細胞表層受容体、にホモロジーを示す(Li et al (1996) Cell 96: 807−818)。ECSM4/magec roundaboutの任意の同起源のリガンドは、細胞外に位置するポリペプチドの領域に選択的に結合することができ、効果的であるかも知れない。ECSM4の細胞外領域は、図12に与えられたECSM4ポリペプチド配列の残基1−467の中に位置しているようだ。ある種のペプチドはECSM4の同起源のリガンドである可能性が考えられている。そのようなペプチドは、ECSM4/magic roundaboutに選択的に結合するための適切な分子であるであろう。ECSM4に結合するペプチドは、スクリーンによって同定されうる。選択的にECSM4に結合するペプチド、または他の分子を同定するのに適した方法あるいはスクリーンは、結合が生じるような条件で、試験ペプチドまたは他の分子とECSM4ポリペプチドを接触させること、およびそうして、試験分子またはペプチドがECSM4に結合するかどうか決定することを含むかもしれない。二つの分子間の結合を検出する方法は、生化学の技術としてよく知られている。好ましくは、ファージディスプレイの既知の技術は、ECSM4に結合するペプチド、または他のリガンド分子を同定するために使用される。他の方法は、酵母two hybrid systemを含める。
ECSM4に選択的に結合するペプチドまたは他の因子は、ECSM4の機能を調節あるいは阻害するものを含める。
適切なペプチドは、下により詳細に述べたように合成されるかも知れない。
さらなる部分は、化合物に疾患、または他の状況、または望ましくない新生血管系の形成を伴う状態の治療、またはイメージング、または診断に関して、有益な性質を与える、任意の分子であるかも知れない。そのような疾患、または他の状況、または状態について、以下により詳細に述べる。特に、さらなる部分は、腫瘍の成長と関連した新生血管系を除去、またはイメージングすることにおいて、有益であるものである。好ましくは、さらなる部分は、上皮細胞を殺すことができるものであり、そこに化合物は標的にされる。
本発明の好ましい実施態様において、さらなる部分は、直接あるいは間接的に細胞毒性をもつ。特に、さらなる部分は、新生血管系における細胞、あるいは新生血管系に非常に近接、および関連した細胞にとって、直接あるいは間接的に毒であることが望ましい。
“直接細胞毒性”によって、我々は、その分子がそれ自身、細胞毒性をもつと言う意味を含める。“間接細胞毒性”によって、我々は、分子がそれ自身は細胞毒性は示さないけれども、細胞毒性を誘導しうるという意味を含める。例えば、さらなる部分におけるその作用によって、または、それにおけるさらなる作用によって。
ある実施態様において、細胞毒性を示す分子は、細胞毒性化学療法剤である。細胞毒性化学療法剤は技術的に良く知られている。
抗癌剤のような細胞毒性化学療法剤は、メクロレタミン(H2N)、シクロフォスファミド、イフォスファミド、メルファラン(L−サルコリシン)およびクロラムブシルのようなニトロジェンマスタードを含めるアルキル化剤; ヘキサメチルメラミン、チオテパのようなエチレンイミンおよびメチルメラミン; ブスルファンのようなアルキルスルフォネート; カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(methyl−CCNU)およびストレプトゾシン (ストレプトゾトシン)のようなニトロソウレア; およびデカルバジン(DTIC; ジメチルトリアゼノイミダゾール−カルボキサミド)のようなトリアゼン; メトトレキセート(アメトプテリン)のような葉酸類似体; フルオロウラシル(5−フルオロウラシル; 5−FU)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン; FUdR)およびシタラビン(シトシンアラビノシド)のようなピリミジン類似体; およびメルカプトプリン(6−メルカプトプリン;6−MP)、チオグアニン(6−チオグアニン; TG)およびペントスタチン(2’−デオキシコフォルマイシン)を含める抗代謝産物を含む。ビンブラスチン(VLB)およびビンクリスチンのようなビンカアルカノイド; エトポシドおよびテニポシドのようなエピポドフィロトキシン; ダクチノマイシン(アクチノマイシン D)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミスラマイシン)およびマイトマイシン(マイトマイシン C)のような抗生物質; L−アスパルギナーゼのような酵素; およびインターフェロンアルフェノムのような生物反応修飾物質を含める天然産物。シスプラチン(cis−DOP)およびカルボプラチンのようなプラチナムコーディネーアホン複合体; ミトキサントローネおよびアンスラサイクリンのようなアンスラセンジオン; ヒドロキシウレアのような置換された尿素; プロカルバジン(N−メチルヒドラジン, MIH)のようなメチルヒドラジン誘導体; およびミトターン(o,p’−DDD)およびアミノグルテチミドのようなアドレノコーティカル抑制剤; タキソールおよびその類似体/派生物; およびフルタミドおよびタモキシフェンのようなホルモンアゴニスト/アンタゴニストを含める種々雑多な薬剤。
これらの薬剤の多くは、以前に抗体および他の標的部位−配送薬剤に添付されており、これらの薬剤を含む本発明の化合物は、技術的に習熟した人物によって容易に製造されるかも知れない。例えばcarbodiimide conjugation (Bauminger & Wilchek (1980) Methods Enzymol. 70, 151−159; 参考のためにここに示す)は、ドキソルビシンを含めた様々な薬剤を抗体あるいはペプチドに共役するために使用されるかもしれない。
Carbodiimideは、一般式R−N=C=N−R’をもつ一群の化合物を含む。ここで、RおよびR’は、脂肪族化合物または芳香族化合物であり得、そしてペプチド結合の合成に使用される。調製手順は簡単、比較的はやく、穏やかな条件下行われる。カルボジイミド化合物は、カルボキシル基を攻撃して、それらを遊離のアミノ酸にとって反応性の高い部位に変化させる。
水溶性のカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)は、特に結合する分子に機能的な分子を結合させることにおいて、有効であり、腫瘍ホーミングペプチドにドキソルビシンを結合させるために使用されるかも知れない。ドキソルビシンと結合分子の結合は、ドキソルビシンによって供与される、アミノ基と抗体またはペプチドのような結合分子によって供与される、カルボキシル基の存在を必要とする。
ペプチド結合の直接の形成にカルボジイミドを使用することに加え、EDCもまたN−ヒドロキシスクシニイミド(NHS)エステルのような活性を有するエステルを調製するために使用される。NHSエステルは、アミノ基にのみ結合し、そうしてドキソルビシンの一つのアミノ基でアミド結合の形成を誘導するために使用される。EDCおよびNHSの同時の使用は、一般的に共役形成の収率を高めるために、共役に用いられる(Bauminger & Wilchek, supra, 1980)。
結合分子に機能的分子を共役させる他の方法もまた使用される。例えば、過ヨウ素酸ナトリウム酸化後の、適切な反応物の還元的アルキル化が、グルタルアルデヒド架橋をすることができる様に、使用される。しかしながら、本発明の共役を生成するために、どの方法が選択されるかには関わらず、決定は、結合分子がそのターゲティング能力を維持し、機能的分子がその関連する機能を維持するように行わなければならない。
本発明のさらなる実施態様において、細胞毒性を有する分子は、細胞毒性ペプチド、あるいは細胞死を導く任意の分子が含まれるようなポリペプチド分子である。細胞毒性を有するペプチドおよびポリペプチドッ分しは技術的によく知られ、例えばリシン、アブリン、Pseudomonas エキソトキシン、組織因子およびその同等物を含む。それらを抗体のようなターゲティング分子に結合させる方法もまた、技術的によく知られている。細胞毒性薬剤としてリシンを使用することは、Burrows & Thorpe (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 8996−9000、参考のためここに示す、に述べられており、組織因子の使用は、局所的な血液凝固および腫瘍の梗塞を生じるが、Ran et al (1998) Cancer Res. 58, 4646−4653およびHuang et al (1997) Science 275, 547−550によって述べられている。Tsai et al (1995) Dis. Colon Rectum 38, 1067−1074は、モノクローナル抗体に共役されたアブリン A鎖について述べており、参考のためここに示す。他のリボソーム不活化蛋白質は、細胞毒性薬剤としてWO 96/06641に述べられている。Pseudomonas エキソトキシンもまた、細胞毒性を有するポリペプチド分子として使用されるかも知れない(例えば、Aiello et al (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92, 10457−10461参照; 参考のためここに示す)。
TNFaおよびIL−2のようなある種のサイトカインもまた、細胞毒性薬剤として有効であるかも知れない。
ある種の放射性原子もまた、十分量投与されれば細胞毒であるかもしれない。このように、細胞毒分子は、使用すると細胞毒であるように標的部位に十分な量の放射活性を配送する、放射性原子を含むかも知れない。適切な放射性原子は、リン−32、ヨウ素−125、ヨウ素−131、レニウム−186、レニウム−188、またはイットリウム−90あるいは隣接する細胞、オルガネラ、または核酸を破壊するに十分なエネルギーを発する他の任意の同位体を含む。好ましくは、本発明の化合物における同位体および放射性元素の密度は、4000 cGy (好ましくは、少なくとも6000、8000あるいは10000 cGy)以上の投与量が標的部位、および好ましくは標的部位における細胞およびそれらのオルガネラ、特に核へ運ばれるようなものである。
放射性原子は、既知の方法で結合分子に添付されるかも知れない。例えばEDTAあるいは他のキレート化試薬は結合分子に添付され、111Inまたは90Yを添付するのに使用されるかも知れない。チロシン残基は、125Iまたは131Iで標識されるかも知れない。
細胞毒分子は、間接的に適した細胞毒ポリペプチドであるかも知れない。特に好ましい実施態様において、間接的に細胞毒性を有するポリペプチドは、酵素活性をもつ、および比較的毒性の無いプロドラッグを細胞毒ドラッグに変換することのできる、ポリペプチドである。ターゲティング分子が抗体であるとき、この種のシステムはよくADEPT (Antibody−Directed Enzyme Prodrug Therapy)と呼ばれる。このシステムは、ターゲティング分子が酵素部分を患者の体内の目標の部位(例えば、腫瘍と関連する新たな血管組織のような、ECSM1またはECSM4を発現している部位)へ位置付けることを必要とする。そして酵素が特異的な部位に局在化する時間をとった後に、酵素の基質であるプロドラッグを投与する、触媒反応の終産物は細胞毒化合物である。アプローチの目的は、目標の部位での薬剤濃度を最大にし、正常組織における薬剤濃度を最小にすることである(参照Senter, P. D. et al (1988) ”Anti−tumor effects of antibody−alkaline phosphatase conjugates in combination with etoposide phosphate” Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 4842−4846; Bagshawe (1987) Br. J. Cancer 56, 531−2; and Bagshawe, K. D. et al (1988) ”A cytotoxic agent can be generated selectively at cancer sites” Br. J. Cancer. 58, 700−703.)。
明らかに、任意のECSM1またはECSM4結合分子は、この種の指向性酵素プロドラッグ療法システムにおいて、抗ECSM1または抗ECSM4抗体に代わって使用されているかも知れない。
ここに述べたように、ECSM1またはECSM4を標的とした酵素を使用するシステムの酵素およびプロドラッグは、以前に提案されたもののうち任意のものであるかも知れない。細胞毒物質は、アルキル化剤; DNAに挿入される薬剤; ジヒドロフォレートレダクターゼ、チミジンシンテターゼ、リボヌクレオチドレダクターゼ、ヌクレオチドキナーゼまたはトポイソメラーゼのような任意の鍵酵素を阻害する薬剤; あるいは任意の他の細胞構成物と相互作用することによって細胞死を引き起こす薬剤、のような任意の既に存在する抗癌剤であるかもしれない。エトポシドは、トポイソメラーゼ阻害剤の例である。
報告されたプロドラッグシステムは、次のものを含む: E. coli b−グルクロニダーゼによって活性化されたフェノールマスタードプロドラッグ(Wang et al, 1992 and Roffer et al, 1991); ヒトb−グルクロニダーゼによって活性化されたドクソルビシンプロドラッグ(Bosslet et al, 1994); さらにコーヒー豆a−ガラクトシダーゼによって活性化されたドクソルビシンプロドラッグ(Azoulay et al, 1995); コーヒー豆a−D−ガラクトシダーゼによって活性化されたダウノルビシンプロドラッグ(Gesson et al, 1994); E. coli b−D−ガラクトシダーゼによって活性化された5−フルオロウリジンプロドラッグ(Abraham et al, 1994); およびカルボキシペプチダーゼAによって活性化されたメトトレキセートプロドラッグ(例えば、メトトレキセート−アラニン)(Kuefner er al, 1990, Vitols et al, 1992 and Vitols et al, 1995)。これらおよび他のものは次の表に記載した。
(この表は、Bagshawe (1995) Drug Dev. Res. 34, 220−230, から書き換えられた。ここから、これらの様々なシステムについての完全な参考文献が得られるかもしれない;タクソール誘導体はRodrigues, M. L. et al (1995) Chemistry & Biology 2, 223)。
本発明の酵素の部分に適した酵素は、以下のものを含む: カルボキシペプチダーゼG、G1およびG2 (グルタミン酸化したマスタードプロドラッグにおいて)、カルボキシペプチダーゼAおよびB (MTXを基にしたプロドラッグにおいて)、およびアミノペプチダーゼ (2−a−アミノシルMTCプロドラッグにおいて)のようなエキソペプチダーゼ; 例えばトロンボリシン(トロンビンプロドラッグにおいて)のようなエンドペプチダーゼ; フォスファターゼ(例えばアルカリフォスファターゼ)またはスルファターゼ(例えばアリルスルファターゼ)(リン酸化または硫酸化されたプロドラッグにおいて)のような加水分解酵素; ペニシリンアミダーゼおよびアリルアシルアミダーゼのようなアミダーゼ; b−ラクタマーゼのようなラクタマーゼ; b−グルクロニダーゼ(b−グルクロノミドアントラサイクリンにおいて)、a−ガラクトシダーゼ(アミグダリンにおいて)、およびb−ガラクトシダーゼ(b−ガラクトースアントラサイクリンにおいて)のようなグリコシダーゼ; シトシンデアミナーゼ(5FCにおいて)のようなデアミナーゼ; ウロキナーゼおよびチミジンキナーゼ(ガンシクロビルにおいて)のようなキナーゼ; ニトロレダクターゼ(CB1954およびアナログにおいて)、アゾレダクターゼ(アゾベンゼンマスタードにおいて)およびDT−ジアホラーゼ(CB1954において)のようなレダクターゼ; グルコースオキシダーゼ(グルコースにおいて)、キサンチンオキシダーゼ(キサンチンにおいて)、およびラクトペルオキシダーゼのようなオキシダーゼ; DL−ラセマーゼ、触媒抗体およびシクロデキストリン。
プロドラッグは、細胞毒にくらべて比較的、毒性は弱い。一般的に、適切なin vitro細胞毒性試験において検定したときに、毒性は10%以下、好ましくは1%以下である。
プロドラッグを細胞毒性薬剤に変換することのできる分子は、化合物の残りから単離するときに活性型であるが、(a)化合物の残りと一緒に存在するとき、および(b)化合物が標的細胞に、付着、隣接、取り込まれるとき、にのみ活性型である必要がある。
化合物のそれぞれ分子がポリペプチドであるとき、二つの部分がポリペプチドを架橋するための従来の方法、O’Sullivan et al (1979) Anal. Biochem. 100, 100−108に一般的に述べられている方法のような、のどれかによって、一緒に結合されるかも知れない。例えば、ECSM1またはECSM4結合分子は、チオール基で濃縮されるかも知れず、さらなる部分はそれらのチオール基と反応性をもつ二価性の薬剤と反応した、例えばヨード酢酸(NHIA)またはN−サクシニミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)のN−ヒドロキシスクシニミドエステルである。アミドおよびチオエステル結合は、例えばm−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシニミドエステルでなされた、一般的にジスルフィド結合よりもin vivoでは安定である。
または、化合物は組み換えDNA技術によって、融合化合物として生産されるかも知れない。そこでは、DNAの長さは、お互い隣り合う、または化合物の望ましい性質を壊さないような、リンカーペプチドをコードする領域によって分けられた、本発明の二つの分子をコードするそれぞれの領域を含む。考えうるところでは、化合物の二つの部分は全体的に、または部分的に、重なっているかも知れない。
DNAは、こうして本発明の化合物を含むポリペプチドを生じる様に、適切な宿主において発現される。
本発明はまた、(1)本発明の化合物、その中で、さらなる部分は、比較的毒性の低いプロドラッグを細胞毒性薬剤に変換することのできるものであり、および(2)比較的毒性の低いプロドラッグ、を含むパーツの一式(あるいは療法システム)を供給する。
本発明はまた、(1)本発明の化合物、その中でさらなる部分は、直接的または間接的に細胞毒性を示す分子、あるいは容易に検出できる分子に選択的に結合することができ、(2)化合物のさらなる部分が結合することのできる、直接的または間接的に細胞毒性を示す、あるいは容易に検出できる分子の任意の一つを含むパーツの一式(あるいは療法システム)を供給する。
細胞毒性を示す分子は、放射線感受性増強物質であるかもしれない。放射線感受性増強物質は、フルオロピリミジン、チミジン類似体、ヒドロキシウレア、ジェンシタビン、フルダラビン、ニコチンアミド、ハロゲン化ピリミジン、3−アミノベンザミド、3−アミノベンゾジアミド、エタニキサドール、ピモニダゾール、およびミソニダゾール(参照、例えば、McGinn et al (1996) J. Natl. Cancer Inst. 88, 1193−11203; Shewach & Lawrence (1996) Invest. New Drugs 14, 257−263; Horsman (1995) Acta Oncol. 34, 571−587; Shenoy & Singh (1992) Clin. Invest. 10, 533−551; Mitc,hell et al (1989) Int. J. Radiat. Biol. 56, 827−836; Iliakis & Kurtzman (1989) Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 16, 1235−1241; Brown 1989) Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 16, 987−993; Brown (1985) Cancer 55, 2222−2228)を含む。
細胞内への遺伝子の運輸もまた、それらの放射線感受性を増強しうる、例えば、p53遺伝子またはサイクリンDの搬送(Lang et al (1998) J. Neurosurg. 89, 125−132; Coco Martin et al (1999) Cancer Res. 59, 1134−1140)。
さらなる部分は、放射線照射により細胞毒になる、または細胞毒分子を放出するものであるかも知れない。例えば、ボロン−10放射性同位体は、適切に照射されると、細胞毒であるa粒子を放出する(参照、例えば、US4,348,376 to Goldenberg; Primus et al (1996) Bioconjug. Chem. 7, 532−535)。
同様に、細胞毒分子はフォトフリンのような、光力学的療法において有効なものであるかも知れない(参照、例えば、Dougherty et al (1998) J. Natl. Cancer Inst. 90, 889−905)。
さらなる部分は、直接または間接的に細胞毒性を示す核酸分子を含むかもしれない。例えば、核酸分子は、標的部位での局在化により細胞の中に入り、細胞死に導くアンチセンスオリゴヌクレオチドであるかも知れない。それゆえに、オリゴヌクレオチドは、必須遺伝子の発現を妨げ、あるいはアポトーシスを引き起こす遺伝子発現させるようなものであるかもしれない。
適切なオリゴヌクレオチドの例は、bcl−2に向けたもの(Ziegler er al (1997) J. Natl. Cancer Inst. 89, 1027−1036)およびDNAポリメラーゼaおよびトポイソメラーゼIIa(Lee et al (1996) Anticancer Res. 16, 1805−1811)を含める。
ペプチド核酸は、慣習的に用いられてきた核酸の代わりに有用であるかも知れない(参照Knudsen & Nielsen (1997) Anticancer Drugs 8, 113−118)。
さらなる実施態様において、結合分子は、標的へ核酸を運ぶためのdelivery vehicleに含まれるかも知れない。Delivery vehicleは、任意の適切なdelivery vehicleであるかも知れない。例えば、それは、核酸を含むリポソームかも知れない、またはそれは、核酸を運ぶことの可能なウイルスあるいはウイルス様の粒子であるかも知れない。これらの場合において、選択的にECSM1またはECSM4に選択的に結合する部分は、適切な抗体断片のように、リポソームの外側表面に存在しているかも知れない。そして、運ばれる核酸は、リポソームの内側に存在しているかも知れない。他の例のように、ウイルスベクター、レトロウイルスまたはアデノウイルスベクターのような、は加工されて、ECSM1またはECSM4に選択的に結合する部分は、ウイルス粒子の表面に付着、あるいは位置し、こうしてウイルス粒子を目標の部位へ選択的に運ぶことが可能になる。標的配送システムはまた、WO 94/10323に述べられている、改変されたアデノウイルスシステムのように、知られている。Michael et al (1995) Gene Therapy 2, 660−668は、細胞選択のための分子を線維蛋白質に加えるための、アデノウイルスの改変について述べている。標的にされたレトロウイルスもまた、本発明において使用可能である; 例えば、特異的な結合親和性を与える配列が、既に存在しているウイルスenv遺伝子中に挿入されるように、加工されるかも知れない(参照Miller & Ville (1995) Faseb J. 9, 190−199、遺伝子療法のための、この、および他の標的ベクターの総説として)。
イムノリポソーム(抗体に向けたリポソーム)が使用されるかもしれない、そこでは、ECSM1またはECSM4に選択的に結合する部分は、抗体である。イムノリポソームの調製には、MPB−PE(N−[4−(p−マレイミドフェニル)ブチリル]−フォスファチジルエタノールアミン) が、Martin & Papahadjopoulos (1982) J. Biol. Chem. 257, 286−288. の方法に従って、合成される。MPB−PEをリポソーム二重層に取り込ませ、リポソーム表面に抗ECSM1またはECSM4抗体、またはその断片を共有結合させる。リポソームは、DNAまたは他の遺伝子構築物を装填して標的細胞へ運ばせるのに便利であり、この装填は、例えば、DNAまたは他の遺伝子構築物の溶液中で上記のリポソームを形成させ、0.8MPaまでの窒素圧下、0.6μmおよび0.2μm孔径のポリカーボネートメンブレンフィルターを連続的に通すことによって、行う。通過後、捕捉されたDNA構築物は、80000×gで45分間の超遠心によって、遊離しているDNA構築物から分離される。脱酸素処理したバッファー中で、新しく調製したMPB−PEリポソームを新たに調製した抗体(またはその断片)と混合し、共役反応をくるくると一定の回転数で窒素大気中、一晩回転させて行う。イムノリポソームは、80000×gで45分間の超遠心によって、結合していない抗体から分離する。イムノリポソームは、腹膜腔内に、あるいは直接腫瘍に注入されるかもしれない。
標的部位に運ばれた核酸は、直接または間接的に細胞毒性を生じる任意の、適切なDNAかもしれない。例えば、核酸は、細胞に毒性を示すリボソームをコードしているかもしれない、あるいは、実質的に無毒なプロドラッグを細胞毒ドラッグに変換することのできる酵素をコードしているかもしれない(この後者のシステムは、時折、GDEPT: Gene Directed Enzyme Prodrug Therapy)と呼ばれる。
目標へ運ばれる核酸にコードされるかもしれないリボソームは、Cech and Herschlag “Site−specific cleavage of single stranded DNA” US 5,180,818; Altman et al “Cleavage of targeted RNA by RNAse P” US 5,163,053, Cantin et al “Ribozyme cleavage of HIV−1 RNA” US 5,149,796; Cech et al “RNA ribozyme restriction endoribonucleases and methods”, US 5,116,742; Been et al “RNA ribozyme polymerases, dephosphorylases, restriction endonucleases and methods” US 5,093,246;およびBeen et al “RNA ribozyme polymerases, dephosphorylases, restriction endoribonucleases and methods; cleaves single−stranded RNA at specific site by transesterification”, US 4,987,071,に述べられている。すべて参考のためここに示す。リボザイムにとって適した標的は、c−fosやc−myc、およびbcl−2のような転写因子を含む。Durai et al (1997)は、Anticancer Res. 17, 3307−3312の中で、bcl−2に対するhammerheadリボザイムを述べている。
EP 0 415 731は、GDEPTシステムについて述べている。酵素とプロドラッグの選択に関する同様の考察が、上述したADEPTシステムにおけるように、GDEPTシステムに当てはまる。
標的部位に運ばれた核酸は、直接細胞毒性を示すポリペプチドをコードするかもしれない。
または、さらなる部分は、ポリペプチドまたは、直接あるいは間接的に細胞毒性を示さず、療法に効果を示すポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドを含むかもしれない。そのようなポリペプチドの例は、動脈硬化に効果を示しうる抗増殖あるいは抗炎症サイトカインを含み、免疫調節あるいは血栓に効果のある因子は、癌の治療に効果を示すかもしれない。
更なる分子は、役に立つように、ペプチドアンギオスタチンまたはエンドスタチンのような血管新生の阻害剤であるかもしれない。更なる分子は、また、役に立つように、前躯体ポリペプチドをアンギオスタチンまたはエンドスタチンに変換する酵素であるかもしれない。マクロファージエラスターゼ、ゲラチナーゼ、およびソトロモリシンのようなヒトマトリックスメタロプロテアーゼは、プラスミノーゲンをアンギオスタチンに変換する(Cornelius et al (1998) J. Immunol. 161, 6845−6852)。プラスミノーゲンはアンギオスタチンの前躯体である。
本発明のさらなる実施態様において、本発明の化合物に含まれるさらなる部分は、容易に検出できる分子である。
“容易に検出できる分子”によって、我々は、分子が本発明の化合物の患者への投与によって、標的部位に存在するとき、体外または標的の位置する部位の外から検出されるかもしれない、という意味を含める。このように、本発明の本実施態様の化合物は、イメージングおよび診断に有用である。
一般的に、容易に検出可能な分子は、イメージングに有効な放射性原子であり、あるいはそれを含む。適当な放射性原子は、シンチグラフィーの研究のためのテクネチウム−99mまたはヨウ素−123を含む。他の容易に検出できる分子は、例えば再びヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フルオリン−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガン、または鉄のような核磁気共鳴イメージング(MRI)のためのスピンラベルを含む。明らかに、本発明の化合物は、分子が容易に検出されるために、十分な量の適切な同位体元素を持たなければならない。
放射性あるいは他のラベルは、本発明の化合物に既知の方法で取り込まれる。例えば、結合分子がポリペプチドであれば、それは生合成されるかも知れない、あるいは関係する、適切なアミノ酸前駆体を使用して、例えば、水素の代わりにフルオリン−19のように、化学アミノ酸合成によって合成されるかも知れない。99mTc、123I、186Rh、188Rh、および111Inのようなラベルは、例えば、結合分子のシステイン残基を介して結合する。イットリウム−90はリジン残基を介して結合する。IODOGEN法(Franker et al (1978) Biochem. Biophys. Res. Comm. 80, 49−57)は、ヨウ素−123を取り込むために使用されうる。参考文献(”Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy”, J−F Chantal, CRC Press, 1989)は、他の方法について詳細に記載している。
本発明の更に好ましい実施態様において、さらなる部分は、直接または間接的に細胞毒性を示す分子に、あるいは容易に検出可能な分子に選択的に結合することができる。このように、本実施態様において、さらなる部分は、細胞毒あるいは容易に検出可能なさらなる化合物、または構成要素に結合する、任意の分子であるかもしれない。
さらなる部分は、それゆえに、さらなる化合物または構成要素に選択的に結合する抗体であるかもしれない、あるいは、それはストレプトアビジンまたはビオチンまたは同様のもののように、ある他の結合分子であるかもしれない。次の例は、本発明に含まれる分子の種類を説明する; 他のそのような分子はこの説明から明らかである。
二重特異性抗体において、ある結合部位はECSM1またはECSM4に選択的に結合する部分を含み、第二の結合部位は、例えば実質的に無毒なプロドラッグを、細胞毒性を有するドラッグに変換することのできる酵素に結合する分子を含む。
抗体のような化合物は、ビオチンを結合したECSM1またはECSM4に選択的に結合する。アビジンまたはストレプトアビジンは、容易に検出されるラベルで標識されており、二層イメージングシステムにおいて、ビオチンラベルされた抗体とともに使用されるかもしれない。そこでは、ビオチンラベルされた抗体は、まず患者の標的部位に局在し、そうしてラベルされたアビジンまたはストレプトアビジンが患者に投与される。二重特異性抗体およびビオチン/ストレプトアビジン(アビジン)システムは、Rosebrough (1996)Q J Nucl. Med. 40, 234−251.によって批評されている。
本発明の好ましい実施態様において、ECSM1またはECSM4に選択的に結合する部分、およびさらなる部分は、融合されたポリペプチドである。
本発明の第一、および第二の特徴点を持つ化合物は、治療、イメージング、あるいは疾患、特に以下に詳細に述べるような望ましくない新生血管形成を生じるような疾患を診断することにおいて有益である。
本発明の第一、および第二の特徴点の好ましい実施態様において、化合物は医療薬での使用に適している。
本発明の第三の特徴点は、本発明の第一、または第二の性質の化合物をコードする核酸を供給する。ここで、選択的に結合する部分、およびさらなる部分は融合されたポリペプチドである。
ポリヌクレオチドを連結する方法を以下に詳細に述べる。
本発明の第四の特徴点は、本発明に従う化合物と調剤において許容可能なキャリアーを含む、調剤の組成を与える。本発明の化合物は、第一、第二、および第三の特徴点で述べられたものを含む。本発明はまた、任意の抗体、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、発現ベクター、あるいは以下に述べるように患者に運ばれるかもしれない他の薬剤、および調剤に許容可能なキャリアーから構成される調剤組成を含む。
“調剤において許容可能”によっては、その剤形が、無菌的および発熱物質無しであることを含む。適切な調剤上のキャリアーは、調剤の技術においてよく知られている。
キャリアーは、本発明の化合物と適合している、およびその受容者にとって無害であるという意味において、”許容可能”でなければならない。一般的に、キャリアーは、無菌的および発熱物質無しの水、または生理食塩水である; しかしながら他の許容可能なキャリアーも使用されるかもしれない。
一般的に本発明の調剤上の組成あるいは剤形は、非経口的投与,特に静脈内投与のためのものである。
非経口投与に適した剤形は、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、および剤形を対象の受容者の血液と等張にする溶質を含有するかも知れない、水性または非水性の滅菌された注入液を含む; そして水性および非水性の滅菌された懸濁液は、懸濁する薬剤および濃縮する薬剤を含む。
本発明の第五の特徴点は、患者の体内の血管内皮をイメージングする方法を与えることである。その方法は、本発明の第一または第二の特徴点どちらかに従い、化合物の効果的な量を患者に投与することを含む。その中で、さらなる部分は、容易に検出可能な分子である。
一般的に、血管内皮は血管新生に関係している。
本発明の第一、および第二の特徴点に関して上に論じたように、ECSM1またはECSM4に選択的に結合する化合物の分子は、抗体であるかもしれない。好ましい抗体は上に、概説した通りである。
本発明のこの特徴点の好ましい実施態様において、患者の血管内皮をイメージングする方法は、さらに患者体内の化合物の位置を検出する工程を含む。
化合物または抗体の検出は、臨床イメージングおよび診断において技術的によく知られた方法を使用することによってなされる。必要とされる特異的な方法は、化合物または抗体に結合した検出可能なラベルの種類に依存している。例えば、放射性原子は、オートラジオグラフィーを使用することによって、またはある場合においては、上述したように核磁気共鳴イメージングによって検出されるかも知れない。
体内の血管内皮をイメージングすることは、有効である。なぜなら、健康についての情報が得られる可能性があるからである。血管内皮に疾患を抱えるとき、癌性の生育のために血管内皮が増殖するときに、特に有効である。患者の癌をイメージングすることは、特に有用であり、それは腫瘍の大きさおよび治療が効果的であるかを決定するために使用できるからである。転移性疾患は、新しい血管の形成を伴うため、転移が生じたかを評価するのに有効である。
このように、本発明の第五の特徴点の好ましい実施態様において、血管内皮は、癌において生じるような新生血管である。
本発明の第六の特徴点は、患者の血管内皮に関する状態を診断、予後診断する方法を与える。その方法は、本発明の第一または第二の特徴点のいずれかに従って、患者に化合物の効果的な量を投与することを含む。ここで、さらなる部分は、容易に検出可能な分子である。
状態とは、癌、動脈硬化、再狭窄、糖尿病性網膜症、関節炎、乾癬、子宮内膜症、月経過多、血管腫、および静脈奇形のような、血管内皮の異常なまたは過剰な成長を伴うものであるかも知れない。
本発明の第一および第二の特徴点に関して論じたように、本化合物は抗体を含むかもしれない。抗体は、必要とされるようにポリペプチドECSM1またはECSM4に選択的に結合する、任意の抗体であるかも知れない。ポリペプチドECSM4に結合する好ましい抗体は、上に概説したようなものである。
本方法は、診療の補助となるものかもしれない。
本発明の本特徴点の好ましい実施態様において、患者において血管内皮に関連する状態を診断する、あるいは診断を補助する方法は、さらに患者における化合物の位置を検出する工程を含む。好ましくは、内皮は新生血管系; 例えば血管由来の脈管構造、において存在する。
ECSM1またはECSM4の機能は、血管内皮細胞の増殖を促進することではないかも知れない。それゆえに、内皮細胞中のこれらのポリペプチドの発現レベルは、血管内皮の健康状態について、情報を与えないかもしれない。しかしながら、そのポリペプチドの発現場所は、それらが血管成長を表しているため、情報を得ることができるかもしれない。異常な細胞増殖、癌のような、は、新たに形成された脈管構造を検出することによって診断されるかも知れない。
本発明の第七の特徴点は、治療を必要とする患者を治療する方法を提供する。その方法とは、本発明の第一または第二の特徴点にしたがって、患者に化合物の効果的な量を投与する方法を含む。ここで、さらなる部分は、細胞毒性をもつもの、あるいは療法分子である。
本特徴点の実施態様において、治療を必要とする患者は、増殖性疾患または血管内皮に関連する状態にある。
多くの疾患と状態は、望ましくない新生血管形成を伴う。新生血管形成は、癌、乾癬、動脈硬化、月経過多、再狭窄、関節炎(炎症性およびリウマチ性の両方)、黄斑変性症、パジェット疾患、糖尿病性網膜症、およびその血管系合併症(増殖性および未熟児の、および糖尿病患者を含む)、良性血管増殖、および線維漿膜性と関連している。
癌によって、は、カポジ肉腫、白血病、リンパ腫、骨髄腫、固形細胞癌(プライマリー、および第二の(転移)、血管腫(毛細血管の、および若年性(小児の)両方の)を含む血管の腫瘍、血管腫症、血管芽種が含まれる。
このように、本発明は患者の治療法を含む。その患者においては、血管新生が病理に方法を与える。そしてその方法は、患者に本発明の第一または第二の特徴点の化合物を、効果的な量投与するステップを含む。このなかで、化合物のさらなる部分は、直接あるいは間接的に、患者に療法の恩恵をもたらすものである。
一般的に、疾患は、望ましくない新生血管形成に関連し、その治療は、これを問題のない程度に減少させる。
本発明の方法によって治療されるかもしれない腫瘍は、新たな血管の産生と関連する、任意の腫瘍を含む。
語”腫瘍”は、neoplasticな細胞成長のあらゆる形態に関連することとして理解されるものであり、肺、肝臓、血液細胞、肌、すい臓、胃、大腸、前立腺、子宮、乳房、リンパ腺、および膀胱の腫瘍を含む。固形腫瘍は、特にふさわしい。しかしながら、白血病およびリンパ癌を含む血液の癌はまた、現在新たな血管形成を伴うと考えられており、本発明の方法によって治療されるかもしれない。
一般的に、上に述べた治療法において、更なる分子は、新生血管の成長を破壊または遅らせる、または逆行させるものである。
容易に認識されるのは、イメージング、診断、または治療において使用される特別な化合物に依存して、投与のタイミングは変わり、ここに発表した療法システムにおいて使用される多くの他の化合物は、変化するかもしれない。
例えば、本発明の化合物が、容易に検出可能な分子、または直接細胞毒性を示す分子である場合に、その化合物のみが、適切な剤形で患者に投与されるものであるかもしれない。当然、免疫抑制剤のような他の薬剤、およびその同様の薬剤が、投与されるかもしれない。
検出可能なようにラベルされた化合物に関して、化合物が標的部位にひとたび局在するとイメージングが、行われる。
しかしながら、化合物が治療、イメージング、あるいは診断に有用な更なる化合物を必要とするものであれば、本発明の化合物は、投与され、標的部位に局在化するようにされるかも知れず、そうしてその後適当な時間に、更なる化合物が、投与される。
例えば、上記ADEPTおよびADEPT様システムに関して、結合部分−酵素部分からなる化合物が投与され、標的部位に局在する。ひとたびこれを実行すると、プロドラッグが投与される。
同様に、例えば、化合物に含まれる更なる分子が、更なる化合物に結合するものであるような化合物に関して、化合物がまず投与され、標的部位へ局在化するようにされ、続いて更なる化合物が投与される。
このように、ある実施態様において、ビオチンラベルされた抗ECSM1またはECSM4抗体が、患者に投与され、適当な時間の後に、検出可能なようにラベルされたストレプトアビジンが投与される。ストレプトアビジンがひとたび抗体が局在する部位(標的部位)に到達すると、イメージングが行われる。
選択的に結合する化合物の分子は、抗体であり、そこでは抗体は、要求されるように、ポリペプチドECSM1またはECSM4に選択的に結合する任意の抗体である。好ましい抗体は、本発明の第一および第二の特徴点において概説されたようなものである。
本発明の化合物は、その更なる分子が容易に検出可能な分子であり、腫瘍の新生血管形成状態、あるいは新生血管形成が、病理に与える他の病態において有効であるかもしれないと考えられている。これは、将来的に療法の性質および成果に影響を与える重要な因子であるかもしれない。
本発明の第八の特徴点は、血管内皮細胞に選択的に遺伝的物質を導入する方法を提供する。その方法は、更なる分子が核酸であるような、上述した本発明の第一または第二の特徴点に従う化合物と細胞を接触させることを含む。
血管内皮細胞は、組織培養あるいは生体におけるもののような任意の血管内皮細胞である。細胞は、生体中のものであれば好ましい。生物はヒトであればさらに好ましい。血管内皮細胞は、新生血管系のものであれば、なお好ましい。例えば、それらは、血管由来の内皮細胞である。
好ましくは、結合分子は抗体である。その抗体は、必要とされるようにポリペプチドECSM1またはECSM4に選択的に結合する任意の抗体であるかもしれない。好ましくは、その抗体は、本発明の第一または第二の特徴点に関連して上述したようなものである。一般的に、結合分子は、配送媒体に含まれ、好ましくは、配送媒体は、上にさらに詳細にのべたように、リポソームである。本実施態様において、更なる分子は核酸であり、同様に上述したように、リポソーム中に含まれる。一般的に、本方法は遺伝子療法に使用され、遺伝的物質は療法的に有効である。療法に有効な遺伝的物質は、療法蛋白質をコードするものを含む。
本発明の第九の特徴点は、本発明の第一または第二の特徴点にしたがった化合物の使用法を提供する。そのなかで、更なる分子は、血管内皮に伴う状態のための診断または予後診断薬製品において容易に検出可能なラベルである。
上に論じたように、化合物は、その分子が選択的に結合するような抗体を含むかもしれない。その抗体は、必要とされるように、ポリペプチドECSM1またはECSM4に選択的に結合する任意の抗体であるかもしれない。
本発明の第十の特徴点は、本発明の第一または第二の特徴点にしたがった化合物の使用法を提供する。そのなかで、更なる分子は、血管内皮を伴う状態を治療するための薬の製造において、細胞毒性を示すあるいは療法に有効な分子である。
血管内皮を伴う状態は、上述した。
上述したように、化合物は、その分子が選択的に結合するような抗体を含むかもしれない。その抗体は、必要とされるように、ポリペプチドECSM1またはECSM4に選択的に結合する任意の抗体であるかもしれない。
本発明の第十一の実施態様は、ECSM4ポリペプチドの断片、または異形、または融合体、または上記の断片、または図4の残基49および466の間で与えられたアミノ酸配列からなるポリペプチドではない、異形の融合体を含む、あるいは、から構成される、ポリペプチドを供給する。
ECSM4ポリペプチドは、図4、または図5、または図7、または図12、または図13、において与えられたアミノ酸配列を含む、あるいは、から構成されるポリペプチドを含み、あるいは図4位置1と1395の間、または図5位置2と948の間、または図7、または図12、または図13のいずれかのヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチドは、ECSM4ポリペプチドのものである。好ましくは、本発明のECSM4ポリペプチドは、図4に与えられたアミノ酸配列を含むが、から構成されない。
好ましくは、本発明のECSM4ポリペプチドは、EP 1074617のSEQ ID No 18085、WO 00/53756またはWO 99/46281のSEQ ID No 211、WO 01/23523のNos 24−27、29、30、33、34、38、または39、またはWO 99/11293のNo 86、またはEP 1074617のSEQ ID No 18084あるいは5096、WO 00/53756またはWO 99/46281のSEQ ID No 210、WO 01/23523のSEQ ID Nos 22、23、96、または98、またはWO 99/11293のSEQ ID No 31、によってコードされる任意のアミノ酸配列によって表される任意のアミノ酸配列からは構成されない。
本発明の第十二の特徴点は、ECSM1ポリペプチドまたは断片、または異形、またはそれらの融合体、または上記の断片あるいは異形の融合体を含む、または、から構成されるポリペプチドを与える。
ECSM1ポリペプチドは、図2に与えられるアミノ酸配列を含む、から構成されるポリペプチドを含む。好ましくは、ECSM1のポリペプチドまたは断片は、WO 99/06423のSEQ ID No 120に与えられる配列をもつポリペプチド、WO 99/06423のSEQ ID No 32によってコードされる、またはWO 99/06423の目的において1997年7月17日に作製されたATCC寄託No 209145の核酸によってコードされる、ポリペプチドではない。
本発明は、ECSM4またはECSM1由来のペプチドを含む。これらのペプチドは、ECSM4またはECSM1ポリペプチドの“断片”と考えられるかも知れないが、de novoの合成、あるいはポリペプチドの断片化によって生産されるかも知れない。
ECSM4またはECSM1ポリペプチドの“断片”は、少なくともECSM4またはECSM1ポリペプチドの5残基の連続するアミノ酸を含むポリペプチドを含む。好ましくは、ポリペプチドの断片は、有用なアミノ酸は配列を含み、例えば、ポリペプチドの活性を残している断片、あるいは結合アッセイでの使用のための断片、あるいはECSM4またはECSM1ポリペプチドに特異的な抗体を産生するためのペプチドとして有用である。ECSM4ポリペプチドの活性は、内皮細胞反射誘導において存在するかも知れない。反射誘導は、適切な遺伝子組み換えあるいはノックアウト動物モデル、例えばマウスまたはゼブラフィッシュ、を構築することによってin vivoで検定されるかも知れない。それはまた、Boyden chamberまたはビデオ顕微鏡のような細胞移動アッセイで、in vivo検定されるかも知れない。一般的に、断片は、少なくとも8個の連続するアミノ酸、より好ましくは、ECSM4またはECSM1ポリペプチドの少なくとも12または15または20または30または40または50個の連続するアミノ酸を有する。好ましくは、ECSM4ポリペプチドの断片は、図4または図5または図7または図12または図13に与えられたアミノ酸配列を含むが、それらからは構成されない。好ましくは、ECSM4ポリペプチドの断片は、EP 1074617のSEQ ID No 18085、WO 00/53756あるいはWO 99/46281のSEQ ID No 211、WO 01/23523のNos 24−27、29、30、33、34、38、または39、あるいはWO 99/11293のNo 86、によって表される任意のアミノ酸配列、あるいはEP 1074617のSEQ ID No 18084または5096、WO 00/53756またはWO 99/46281のSEQ ID No 210、あるいはWO 01/23523のSEQ ID Nos 22、23、96、または98、あるいはWO 99/11293のSEQ ID No 31、によってコードされる任意のアミノ酸配列を含むが、それらからは構成されない。
一般的に、ECSM4ポリペプチドの断片は、図4または図12に示されたアミノ酸配列の部分配列をもつものである。
一般的に、ECSM1ポリペプチドの断片は、図2に示されたアミノ酸配列の部分配列をもつものである。
本発明の第十三の好ましい実施態様において、ECSM4ポリペプチドの断片は、以下の配列、LSQSPGAVPQALVAWRA、DSVLTPEEVALCLEL、TYGYISVPTA、KGGVLLCPPRPCLTPT、WLADTW、WLADTWRSTSGSRD、SPPTTYGYIS、GSLANGWGSASEDNAASARASLVSSSDGSFLADまたはFARALAVAVDを持つ、あるいは任意のこれらの配列の少なくとも5または8または10残基の配列を持つ断片である。これらのペプチドは、図4に示した、ヒトECSM4ポリペプチドのそれぞれ、アミノ酸165−181、274−288、311−320、336−351、8−13、8−21、307−316、355−387、および390−399番目の残基に対応している。ペプチドWLADTW、WLADTWRSTSGSRD、SPPTTYGYIS、GSLANGWGSASEDNAASARASLVSSSDGSFLAD、およびFARALAVAVDは、ECSM4ポリペプチドのマウスおよびヒトホモログとの間の、およびECSM4ポリペプチドおよびマウスdutt1蛋白質との間の保存された領域を表す。ペプチドLSQSPGAVPQALVAWRA、DSVLTPEEVALCLEL、TYGYISVPTA、およびKGGVLLCPPRPCLTPTは、抗体を産生するのに有効であるかも知れない。
好ましいペプチドは、これらの保存された配列の少なくとも5または8または10または12または15または20の連続するアミノ酸残基からなるペプチドである。ECSM4のペプチドは、細胞移動、および/または生育、および/または血管の発達に影響を与えるようなものが特に好ましい。それらは、適切なスクリーニング系において同定されうる。
本発明のこの特徴点の好ましい実施態様において、ECSM4ポリペプチドの断片は、配列GGDSLLGGRGSL、LLQPPARGHAHDGQALSTDL、EPQDYTEPVE、TAPGGQGAPWAEE、またはERATQEPSEHGPをもち、あるいは、これらの任意の配列の少なくとも5または8または10残基の配列を持つ断片である。これらのペプチドは、ヒトECSM4ポリペプチドの領域(図12に与えられた配列の、それぞれ残基4−16、91−109、227−236、288−300および444−455に位置する)に対応する。そしてそれらは、マウスホモログでは保存されていない、あるいは不十分にしか保存されていない(参照図14)。下に述べる様に、そのようなペプチドは、ヒトECSM4ポリペプチドに対する抗体を産生するときに、非常に有効であるかも知れない。
膜貫通領域予想ソフトウェアプログラム、PRED−TMR(インターネットサイト、http://www.biophys.biol.uoa.grで利用可能)、およびヒト蛋白質Robo1(その膜貫通領域は既知である。)とのアミノ酸配列アライメントに従って、図12に示した残基1−467が細胞外であり、加えて細胞外に露出しているようであり、天然のリガンドの結合部位を含んでいるかも知れない。このようにECSM4の断片は、図12の残基1−467の細胞外領域中の配列を含み、あるいは、それから構成されており、表面にECSM4を発現する細胞に選択的な抗体を産生させるために、有効な断片であることを表しているかも知れない。および、ポリペプチドECSM4の活性を調節することに、有効であるかも知れない。
このように、ECSM4ポリペプチドの好ましい断片は、マウスECSM4(図13に示したように)と比較したときに、保存されていない、少なくとも1、3、または5アミノ酸残基を含む、図12のポリペプチド配列の断片である。より好ましくは、断片中の少なくとも7、9、11、13アミノ酸残基は、ヒトECSM4とマウスECSM4との間で保存されておらず、さらに好ましくは、断片中の少なくとも15、17、19、または21残基がヒトECSM4およびマウスECSM4との間で保存されていない。そのような断片配列は、図14に示したヒトおよびマウスアミノ酸配列のアライメントから決定されるかも知れない。
本発明のECSM4またはECSM1ポリペプチド断片は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、緑色蛍光蛋白質(GFP)、水疱性口内炎ウイルス糖蛋白質(VSVG)、またはキーホールリンペットへマシアニン(KLH)のような他のポリペプチドに融合したときに、特に有効であると認識される。ポリペプチドの融合、または断片の融合、または本発明のポリペプチドの異形は、本発明の目的に含まれる。
ECSM4の他の有効な断片は、ECSM4に選択的なリガンドに結合することのできるものである。ECSM4に結合するペプチドまたは他の分子のような、リガンドの同定に合った方法を、上に詳細に論じた。そのようなペプチドまたは他のECSM4結合分子は、リガンド結合を担うECSM4中のアミノ酸配列を同定するために使用されうる。分子の残りから単離されたても、なおECSM4に結合することができるECSM4の断片の同定は、スクリーンによってなされうる。一般的に、そのようなスクリーンは、ECSM4のリガンドをECSM4ポリペプチドの検定する断片と接触させ、その検定断片が、リガンドに結合するかどうかを決定することを含む。ECSM4の断片は、本発明の目的の範囲内であり、医療に特に有用であるかもしれない。天然のECSM4のリガンドに結合するECSM4の断片は、リガンドの効果を中和し、それによって内皮細胞の移動、生育、および/または血管発達に影響するかもしれない。このように、ECSM4の断片の投与は、内皮細胞の移動、生育、および/または血管発達が調整される必要のある疾患または状態の治療に、有用であるかもしれない。そのような疾患の例は、癌および動脈硬化を含む。
ECSM4またはECSM1ポリペプチド、それらの断片または異形の“融合”は、本発明のポリペプチドおよびさらなる部分を含む分子を与える。上記のさらなる部分は、上記の分子; 例えば、その部分が分子を検出、単離すること、あるいは分子の細胞への取り込みを促進することに有用であるかもしれないもの、に望ましい性質を与えることが好ましい。その部分は、例えば、ビオチン分子、放射性分子、蛍光分子、例えば技術的に熟練した者にはよく知られている、小さい傾向発色団または緑色蛍光蛋白質(GFP)蛍光発色団、であるかもしれない。その分子は、免疫抗原性タグ例えばMycタグ、であるかもしれない、あるいは、その分子またはポリペプチドの細胞への取り込みを促進することのできる、技術的に熟練した者にはよく知られている親油性の分子またはポリペプチド領域であるかもしれない。
ECSM4またはECSM1ポリペプチドの“異形”は、allelicな異形および天然に生じた変異型を含む天然の異形を含み、そのような変化が、実質的に上記のポリペプチドの活性を変えることのない、保存されたまたは非保存の挿入、欠失、および置換をもつ異形をも含む。ECSM4ポリペプチドの場合、ヒトroundabout 1の内皮特異的なホモログのように、内皮細胞反発性誘導によく関連しているかもしれない。さらに、挿入の結果伸張した、あるいは領域の欠失のために短縮したポリペプチドは、本発明の目的の範囲内に含まれる。例えば、細胞質側の領域の欠失は、ポリペプチドの“ドミナントネガティブ”または“ドミナントポジティブ”型の作製に有効であるかもしれない。同様に、ポリペプチドの膜貫通領域の欠失は、そのような型を生じるかもしれない。
“保存された置換”によっては、Gly、Ala; Val、Ile、Leu; Asp、Glu; Asn、Gln; Ser、Thr; Lys、Arg;およびPhe、Tyrのような意図された組み合わせである。
“非保存の置換”によって、われわれは、他の置換、置換された残基が置き換えられた残基の特別な修飾を模倣するもののようなものであり、例えば、リン酸化されたチロシンまたはセリンは、アスパラギン酸またはグルタミン酸によって置き換えられるかもしれないが、これはアスパラギン酸またはグルタミン酸の側鎖がリン酸化された残基に類似しているためである(例えば、それらは中性pHで負電荷をもつ)。
さらに、語“異形”に含まれる非保存の置換は、一つ、時々二つ、および通常は三つは超えないアミノ酸を変える点変異である。そのような変異は、生化学の技術においてよく知られており、通常ポリペプチドの定義された性質を挿入または除去することが意図される。他の種類の非保存の変異は、システインまたはリジン残基への残基の改変または追加であり、システインまたはリジン残基は、ポリペプチドを他の分子に共有結合させるために、マレイミドまたはスクシニミド架橋剤ともに使用されうる。糖鎖付加されない蛋白質は、N−糖鎖付加の認識モチーフにアスパラギンを変換するように変異を導入されるかもしれない。そのような変化は、カンカナバリンAビーズを使用して、ポリペプチドを精製するためのタグの創出に有効であるかもしれない。
そのような異形は、技術的によく知られた、蛋白質工学および部位特異的変異導入の方法によって作製されるかもしれない。
ECSM4の異形は、図4または図7または図12または図13に与えられたアミノ酸配列に少なくとも65%の相同性、好ましくは、上記の配列に少なくとも70%または80%または85%または90%の相同性、さらに好ましくは、上記のアミノ酸配列に少なくとも95%または98%の相同性を示す配列を含むポリペプチドを含む。
ECSM1ポリペプチドの異形は、図2に与えられたアミノ酸配列に少なくとも65%の相同性、好ましくは、上記の配列に少なくとも70%または80%または85%または90%の相同性、さらに好ましくは、上記のアミノ酸配列に少なくとも95%または98%の相同性を示す配列を含むポリペプチドを含む。
相同性の割合は、例えばExpasy facilityサイト(http://www.ch.embnet.org/software/LALIGN form.html)で、変数として、グローバルアライメントオプション、スコアリングマトリックスBLOSUM62、オープニングギャップペナルティ−14、エクステンディングペナルティ−4を使用して、LALIGNプログラム(Huang and Miller, Adv. Appl. Math. (1991) 12: 337−357)によって決定されうる。
本発明の第十三の特徴点は、本発明のECSM4ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはその相補鎖、またはGenBank Accession No AK000805に対応する任意のクローンではないポリヌクレオチド、またはGenBank Accession Nosが表11または表12に与えられるEST、のいずれかに選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドを与える。
GenBank Accession No AK000805は、ベクターpME18SFL3にクローンされたcDNA配列に対応する。表11にリストされたESTsは、図5に示されるcontig sequenceにアセンブルされうるヌクレオチド配列を表す。表12にリストされたESTsは、図7に示されるマウスヌクレオチドクラスター配列(Mm.27782)にアセンブルされうるヌクレオチド配列を表す。
好ましくは、本発明のこの特徴点のポリヌクレオチドは、EP 1074617のSEQ ID No 18085、または5096、WO 00/53756あるいはWO 99/46281のSEQ ID No 210、WO 01/23523のNos 22、23、96、または98、あるいはWO 99/11293のSEQ ID No 31、あるいはその相補鎖によって表されるヌクレオチド配列の任意の一つからは構成されない。
また好ましくは、本発明のこの特徴点のポリヌクレオチドは、EP 1074617のSEQ ID No 18085、WO 00/53756あるいはWO 99/46281のSEQ ID No 211、WO 01/23523のNos 24−27、29、30、33、34、38、または39、あるいはWO 99/11293のSEQ ID No 86、の任意の一つによって表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドではない。
本発明の第十三の特徴点のポリヌクレオチドは、以下により詳細に述べられる。
本発明の第十四の特徴点は、ECSM1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはその相補鎖、あるいはポリヌクレオチドが、ATCC deposit No 209145に存在するもの、あるいはGenBank Accession No AC011526に対応するクローン、またはGenBank Accession Nosが表10に与えられるESTに対応するクローン、ではないことが与えられた本発明の第十二の特徴点にしたがう、これらのいずれかに選択的にハイブリダイズする、ポリヌクレオチドを与える。
“本発明の第十二の特徴点にしたがうポリペプチドをコードする”によって、われわれは、そのポリヌクレオチドは、本発明のECSM1ポリペプチドをコードするものであり、その配列がWO 99/06423のSEQ ID No 120に与えられるポリペプチド、あるいはSEQ ID No 32によって、または1997年7月17日に作製されたAmerican Type Culture Collection (ATCC) No. 209145に対応する微生物学寄託に含まれる核酸によってコードされるポリペプチド、をコードするものではないことを意味する。
ATCC deposit No. 209145は、765 baseの塩基配列を含むpSport1ベクターを含む。
WO 99/05423のSEQ ID No 32に与えられるポリヌクレオチド配列は、図2に示されたヌクレオチド配列に同一である。WO 99/05423のSEQ ID No 32の配列は、本発明のECSM1ポリペプチドの一部をコードすることができるかもしれない。しかしながら、遺伝コードの退化により、ポリヌクレオチド配列は、WO 99/06423のSEQ ID No 32に与えられるヌクレオチド配列をもつことなく、本発明のECSM1ポリペプチドをコードするかもしれない。同様に、ポリヌクレオチド配列は、図4、または図5、または図12に与えられるものと同じ配列を持つことなく、本発明の(完全長)ECSM4ポリペプチドをコードするかもしれない。そのようなポリヌクレオチドは、本発明の目的の範囲内である。
このように、本発明の第十三の特徴点のポリヌクレオチドは、好ましくは、そのヌクレオチド配列が図4に与えられるものではなく、また本発明の第十四の特徴点のポリヌクレオチドは、好ましくは、その中に発表されたSEQ ID No 32、あるいはその相補鎖または異形、あるいはATCCでAccession No 209145下に寄託された、その対応するcDNA配列、あるいはそのアミノ酸配列がWO 99/06423のSEQ ID No 120に与えられた配列を含むポリペプチドをコードすることが可能なポリヌクレオチド断片、のような、WO 99/06423に発表されているポリヌクレオチドではないことが認識される。
本発明の第十三または第十四の特徴点のポリヌクレオチドは、上述したように、ECSM4またはECSM1ポリペプチドの異形をコードするかもしれない。さらに、ECSM4またはECSM1ポリペプチド中の挿入および/または欠失は、短縮された(または伸長された)ポリペプチド産物をコードするかもしれないフレームシフト変異に導くかもしれない。そして挿入、欠失、または他の変異は、短縮したポリペプチド産物をコードする停止コドンの導入に導くかもしれない。
本発明のポリヌクレオチドは、DNAまたはRNAであるかもしれない。それがDNAであれば、好ましい。
ポリヌクレオチドは、イントロンを含んでいるかもしれないし、含んでいないかもしれない。それがイントロンを含まなければ、好ましい。
ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖または両方の混合物であるかもしれない。
本発明のポリヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド、好ましくは、少なくとも15ヌクレオチド、より好ましくは、少なくとも30ヌクレオチドを持つ。さらに好ましくは、ポリヌクレオチドは50ヌクレオチド以上であり、より好ましくは少なくとも100ヌクレオチドであり、さらに好ましければ、ポリヌクレオチドは、少なくとも500ヌクレオチドである。ポリヌクレオチドは、1キロ塩基対以上であるかもしれなく、また5キロ塩基対以上をふくむかもしれない。
本発明はまた、ECSM4またはECSM1ポリペプチドあるいはその断片、または異形、または融合体、あるいは上記の異形または断片の融合体をコードする、ポリヌクレオチドに選択的にハイブリッドを形成することができる、ポリヌクレオチドを含む。好ましくは、上記のポリヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチドであり、より好ましくは、少なくとも15ヌクレオチド、さらに好ましくは、少なくとも30ヌクレオチドの長さである。上記のポリヌクレオチドは、100ヌクレオチドおよび200ヌクレオチドより長いかもしれないが、好ましくは、上記のポリヌクレオチドは、250ヌクレオチドより長くない。そのようなポリヌクレオチドは、サンプル中のポリヌクレオチドの存在を示すための手順において、検出ツールとして有用である。そのようなサンプルは、メンブレンまたはフィルター上に固定された、細菌コロニーようなDNAのサンプルであるかもしれない。
好ましくは、上記のように選択的にハイブリッドを形成可能なポリヌクレオチドは、EP 1074617のSEQ ID No 18084、または5096、WO 00/53756あるいはWO 99/46281のSEQ ID No 210、WO 01/23523のNos 22、23、96、または98、あるいはWO 99/11293のSEQ ID No 31、によって表されるヌクレオチド配列の任意の一つではない。
“選択的にハイブリッドを形成する”によって、われわれは、ポリヌクレオチドが、非常に厳しい条件下、ハイブリッドを形成することをさす。DNA−DNA、DNA−RNA、およびRNA−RNAハイブリッド形成は、0.1x SSCと6x SSCの間でSSCを含む、水溶液中、55℃と70℃の間の温度で行われる。高温またはSSCの低濃度が、より厳しいハイブリッド形成条件であることが、技術的によく知れらている。“非常に厳しい”によってわれわれは、2x SSCおよび65℃をさす。1x SSCは、0.15M NaCl/0.015M クエン酸ナトリウムである。非常に厳しい条件下ハイブリッドを形成するポリヌクレオチドは、本発明の目的の範囲内に含まれる。
他の実施態様において、ポリヌクレオチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)におけるプライマーとして使用されうる。この場合に、ポリヌクレオチドは15と30ヌクレオチドの間であることが、好ましい。断片が変異導入用のPCRプライマーとして使用されるときは、20と100ヌクレオチドの間のポリヌクレオチドが好ましい。PCRプライマー(核酸に変異を導入するために使用されるのではない場合)が、図4、または図7、または図12、または図13、または図2に与えられたヌクレオチド配列から約15から30の連続するヌクレオチド(例えば、完全に一致する)を含んでいれば、特に好ましい。明らかに、PCRプライマーが変異導入に使用される場合、配列に比較すると差異が存在する。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR; Saiki et al (1988) Science 239, 487−491)での使用に適したプライマーが好ましい。適切なPCRプライマーは、次の性質を備えているかもしれない:
オリゴヌクレオチドの5’末端の配列は、増幅されるべき標的配列に一致する必要がないことがよく知られている。
PCRプライマーは通常、特にその3’末端に、お互い2塩基より長い、任意の相補的な構造を含まない。この性質は、“プライマーダイマー”と呼ばれる人工的な産物の形成を促進するかもしれないためである。二つのプライマーの3’末端同士がハイブリッドを形成したとき、それらは、“プライムドテンプレート”複合体を形成し、プライマーの伸長は、“プライマーダイマー”と呼ばれる短い二重鎖産物の生成になる。
内部の二次構造は、プライマーには避けるべきである。対称的PCRにおいて、40−60% G+C含量が、任意の一塩基の長いストレッチを持たない、両方のプライマーに、よく推奨される。古典的な融解温度計算は、DNAプローブハイブリッド形成の研究と関連しているが、たいてい、与えられたプライマーは、特異的な温度でアニールするはずであり、または72℃の伸長温度は、プライマー/テンプレートのハイブリッドを不十分に解離させると予測する。実際には、ハイブリッドは単純なTm計算によって一般的に予測されるよりも、PCR過程においては、より効果的に形成される。
最適アニーリング温度は、経験的に決定されるかも知れず、予測されるよりも高いかもしれない。Taq DNAポリメラーゼは、37−55℃領域で活性を示すので、プライマー伸長は、アニーリングステップ中に起こり、ハイブリッドは安定化される。プライマーの濃度は、通常の(対称的)PCRでは同じにし、一般的には、0.1−から1nMの範囲内である。
本発明の適切な一対の核酸が、PCRに使用されるとき、便利なのは、産物をゲル電気泳動およびエチジウムブロマイド染色によって検出することである。DNA増幅の産物を、アガロースゲル電気泳動およびDNAのエチジウムブロマイド染色を使用して検出する代わりに、便利なのはプローブとして、増幅したDNAとハイブリッドを形成できる、標識されたオリゴヌクレオチドを使用することである。増幅がPCRによる場合、オリゴヌクレオチドプローブは、二つのプライマーによって定義される、プライマー間の配列にハイブリッドを形成する。プローブは、標準的な技術を使用して32P、33P、および35Sのような放射性ヌクリドで標識されるかもしれなく、あるいは蛍光染料で標識されるかもしれない。オリゴヌクレオチドプローブが、蛍光標識される場合、増幅されたDNA産物は、溶液中で(参照、例えばBalaguer et al (1991) “Quantification of DNA sequences obtained by polymerase chain reaction using a bioluminescence adsorbent” Anal. Biochem. 195, 105−110およびDilesare et al (1993) “A high−sensitivity electrochemiluminescence−based detection system for automated PCR product quantification” BioTechniques 15, 152−157)検出されるかもしれない。
PCR産物はまた、蛍光発色団−消光剤一対をもつかもしれない、または固形支持体に結合されているかもしれない、またはビオチンタグをもつかもしれないプローブを使用して、検出されうる、あるいは捕捉プローブと検出プローブの組み合わせを使用して検出されるかもしれない。
蛍光発色団−消光剤の一対は、特にPCR反応の定量的計測(例えばRT−PCR)に適している。適切なプローブを使用して蛍光極性化が、PCR産物を検出するためにも使用されるかもしれない。
オリゴヌクレオチドプライマーは、技術的によく知られた方法を使用して、例えば、固相フォスフォラミジミダイト化学を使用して、合成されうる。
本発明のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドは、一つまたはそれ以上の改変された塩基を含むかもしれない、あるいは安定性の目的で、または他の理由で、改変された骨格を含むかもしれない。改変することによって、われわれは、例えば、3H標識された塩基やイノシンのような通常用いられない塩基を含めた。様々な修飾は、DNAおよびRNAになされ、これらは、本発明の目的に含まれる。
好ましい実施態様において、本発明のポリヌクレオチドは検出可能なように標識される。適切な検出可能なラベルは、上に詳細に述べられる。
本発明の第十五の特徴点は、上述したようなポリヌクレオチドを含む、発現ベクターを与える。一般的に、ポリヌクレオチドはポリペプチドECSM1またはECSM4あるいはその断片、異形、または融合体をコードするものである。
“発現ベクター”によって、われわれは、適切な宿主において、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを発現することの可能なものを指す。
そのようなベクターは、ポリペプチドの有効な量を生産するための宿主細胞において、コードされたポリペプチドを発現することに有用であるかもしれない。遺伝子療法での使用に適している、本発明の第十三または第十四の特徴点に従うポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、本発明の目的の範囲内である。ECSM4を発現することのできる遺伝子療法ベクターの投与は、血管新生を調整または阻害することに有効であるかもしれない。なぜならば、このポリペプチドは、反発性誘導受容体の可能性があるからである。同様に、細胞表面にECSM4の断片または変異体を発現することができる遺伝子療法ベクターは、患者における血管新生を調整することにも有用であるかもしれない。そこでは、断片または変異体は、ECSM4本来のリガンドと結合することができるが、正常な下流のシグナルを伝達することができない(例えば、ポリペプチドの必要な細胞質側部分が、欠失または変異導入され、機能的でなくなったり、または通常相互作用する細胞内蛋白質と結合することができなったりするため)。
このように、好ましい実施態様において、ベクターは、遺伝子療法での使用に適したものである。適切なベクターとその細胞内への導入法の例は、下により詳細に与えられる。特に、ECSM4のプロモーターの使用に関連した遺伝子療法の方法とベクターはまた、遺伝子療法におけるECSM4コード配列またはアンチセンスの使用に関連して使用されるかもしれない。
本発明のこの特徴点の発現ベクター中に含まれるポリヌクレオチドは、ポリペプチドECSM4またはECSM1あるいはその断片または異形をコードするものであり、あるいはポリヌクレオチドは、ECSM4またはECSM1コード領域に選択的にハイブリッドを形成できるものであるかもしれないと認識される。ECSM4またはECSM1コード領域にハイブリッドを形成することのできるポリヌクレオチドは、標的細胞中のECSM4またはECSM1の発現レベルを減少させるかもしれない、アンチセンスポリヌクレオチドとして、有用である。適切で効果的なアンチセンスポリヌクレオチドの設計は、既知のコード配列に基づき、遺伝子療法の技術において知られる。
好ましくは、本発明のこの特徴点の発現ベクターは、EP 1074617のSEQ ID No 18085、WO 00/53756あるいはWO 99/46281のSEQ ID No 211、WO 01/23523のNos 24−27、29、30、33、34、38、または39、あるいはWO 99/11293のSEQ ID No 86、あるいはその相補鎖の任意の一つによって表されるポリヌクレオチド配列を含まないものである。
また好ましくは、上記のベクターは、そのアミノ酸配列がEP 1074617のSEQ ID No 18085、WO 00/53756あるいはWO 99/46281のSEQ ID No 211、WO 01/23523のNos 24−27、29、30、33、34、38、または39、あるいはWO 99/11293のSEQ ID No 86、の任意の一つによって表されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含まないものである。
生産された療法蛋白質または療法ポリヌクレオチドの量と生産の継続の両者は、遺伝子療法における重要な問題である。それに一致して、細胞内遺伝子組み込み可能なウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター)の使用は、繰り返しの療法が免疫原生の理由で望ましくない場合、非組み込み代替物(例えば、アデノウイルス由来のベクター)よりも有益であるかもしれない。
“療法ポリヌクレオチド”または“療法蛋白質”によって、我々は、ECSM4およびECSM1をコードする配列、上記のコードする配列によってコードされるポリペプチド産物、およびECSM4アンチセンスポリヌクレオチドを含める。上記のポリヌクレオチドまたは蛋白質の療法上の効果は、投与された正確な療法薬剤に依存した、前血管新生または抗血管新生効果を含むかもしれない。例えば、ECSM4コード領域の少なくとも一部に対するアンチセンスである、ポリヌクレオチドを含む遺伝子療法に適した発現ベクターは、宿主細胞または患者において発現させたとき、血管新生に必要とされる分子の発現を抑制するならば、抗血管新生活性を持つかもしれない。発現ベクターに含まれたポリヌクレオチドが、血管新生の阻害に必要なポリペプチドをコードする場合(例えば、上記のポリペプチドは内皮細胞反発性誘導活性をもつため)、アンチセンスの発現もまた、抗血管新生であるかもしれない。
逆に、上記の発現ベクターが、本発明のポリヌクレオチドを含み、そのポリヌクレオチドが、その活性が血管成長を減少させるために必要である分子の発現を抑制し(例えば、上記の分子が内皮細胞反発性誘導活性をもつため)、あるいはその活性が血管新生に必要であるポリペプチドをコードする場合、上記のベクターの投与は前血管新生であるかもしれない。
療法遺伝子が染色体外に維持される場合に、高レベルの発現は、ウイルス由来のプロモーター、例えば、Rous sarcoma virus long terminal repeat (Ragot et al (1993) Nature 361, 647−650; Hyde et al (1993) Nature, 250−255)およびadenovirus major late promoter、を使用することによって実現されるようである。後者は、肺上皮におけるcystic fibrosis transmembrane conductance regulator (CFTR)遺伝子の発現に使用され、成功している(Rosenfeld et al (1992) Cell 68, 143−155)。これらのプロモーターは、広範な組織において機能するので、それらは配送法が特異性を与えられるように最適化されない限り、細胞種特異的な発現には適さない。しかしながら、体細胞エンハンサー配列は、染色体外から細胞種特異的発現を行うために使用されうる。
以下により詳細に述べるように、ECSM4調節/プロモーター領域は、内皮細胞選択的に発現可能な調節領域の例であり、好ましくは制御可能なコード領域について新生血管の内皮細胞に選択的であることである。上に概説したようにそのようなコード領域は、アンチセンスポリヌクレオチドをコードするかもしれない。
遺伝子−ベクター構築の回収が不可能な場合に、毒性反応を急速に止めるためのシステムに自殺遺伝子を加えることが、必要であるかもしれない。単純性疱疹ウイルスチミジンキナーゼ遺伝子は、細胞に導入されると、薬剤ガンシクロビルに細胞を感受性にし、細胞を即座に殺傷するオプションを生み出す。
種特異的な外来性のウイルスの使用は、遺伝子療法において、ベクターとしてamphotropicなウイルスの使用に代わる安全な方法を与えるかもしれない。このアプローチでは、ヒト以外の外来性ウイルス受容体のヒトホモログが、ウイルスによって認識されるような方法で改変される。改変された受容体は、そうして、分子を構築することによって、細胞に配送され、その前面は、標的細胞に特異的になり、後部は改変した受容体になる。その標的への受容体の配送に続いて、遺伝的に加工された外来性ウイルスは、療法遺伝子ををもち、注入され、そして標的細胞のみへ組み込まれる。
ウイルス由来の遺伝子伝達ベクターは、特異的な細胞にのみ認識されるように最適化され、腫瘍中の内皮細胞のような内皮細胞を目標とすることが可能になるかもしれない。同様に、ECSM4またはECSM1遺伝子のもののような、内皮細胞特異的なプロモーターを用いて、内皮細胞を標的とした療法遺伝子の発現が可能になる。
ECSM遺伝子の一つ、または遺伝子の一部、または遺伝子に対するアンチセンスを含むポリヌクレオチドは、遺伝子が染色体外に留まるようなベクターで細胞に導入されるかもしれない。そのような状況において、遺伝子は染色体外から細胞によって発現される。組み替え、および染色体外維持両者のための遺伝子導入用ベクターは、技術的に知られ、任意の適当なベクターが使用されるかもしれない。エレクトロポレーション、カルシウムリン酸共沈、およびウイルス形質導入のような細胞内にDNAを導入する方法は、技術的に知られ、その方法の選択は、通常熟練した者の能力による。野生型新規遺伝子で形質転換された細胞は、癌緩和、およびそのような緩和を促進する薬剤治療を研究するためのモデルシステムとして使用できる。
様々な方法が、ポリヌクレオチド、特にDNAをベクターに連結し、操作可能にするために開発されてきた。例えば、相補的に結合可能な末端を介して。例えば、相補的なホモポリマーtractは、ベクターDNAに挿入されるように、DNA部分に加えられうる。ベクターおよびDNA部分は、そうして相補的ホモポリマー末端間の水素結合により、組み換えDNA分子を形成するように結合される。
ひとつまたはそれ以上の制限部位を含む合成リンカーは、DNA部分をベクターに結合させるための他の方法をあたえる。そのDNA部分は、初期に述べられているように、エンドヌクレアーゼ制限消化によって生じ、バクテリオファージT4ポリメラ―ゼ、または突出3’一本鎖末端を自身の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性によって除去し、陥没3’末端を自身のポリメラーゼ活性で埋める酵素、大腸菌DNAポリメラーゼI、で処理される。
それゆえに、これらの活性の組み合わせは、平滑末端DNA部分を生じる。そうして、平滑末端部分は、バクテリオファージT4ポリメラ―ゼのような、平滑末端DNA分子の結合を触媒することのできる酵素の存在下、過剰モルのリンカー分子とインキュベーションされる。このように、反応産物は、自身の末端にリンカー配列ポリマーをもつDNA部分である。これらのDNA部分は、次に適切な制限酵素で切断され、DNA部分の末端と一致する末端を生じる酵素であらかじめ切断された、発現ベクターに結合される。
様々な制限エンドヌクレアーゼ部位を含む合成リンカーは、International Biotechnologies Inc., New Haven, CN, USAを含む、多くの供給元から商品として利用可能である。
本発明のポリペプチドをコードするDNAを改変するための望ましい方法は、PCRを使用することである。この方法は、例えば、適切な制限部位を加工することによって、DNAを適切なベクターに導入するために使用されるかもしれない、あるいは、技術的に知られた他の有効な方法でDNAを改変するために使用されるかもしれない。
この方法では、酵素的に増幅されるべきDNAは、二つの特異的なプライマーによって並べられ、これらのプライマー自身は、増幅したDNAに取り込まれるようになる。上記の特異的なプライマーは、技術的に知られた方法を使って発現ベクターにクローニングする際に使用される、制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含むかもしれない。
そのDNA(またはレトロウイルスベクターの場合にはRNA)は、そうして、適切な宿主において発現され、本発明のポリペプチドを含むポリペプチドを生産する。このように、本発明のポリペプチドを構成するポリペプチドをコードするDNAは、既知の技術に従って使用され、ここに含まれる説明を考慮して、発現ベクターを構築するために、適切に改変されるかもしれない。そうして、それは、本発明のポリペプチドの発現および生産のために、適切な宿主を形質転換するために使用される。そのような技術は、US Patent Nos. 1984年4月3日、Rutter et alに発行された4,440,859、1985年7月23日、Weissmanに発行された4,530,901、1986年4月15日、Crowlに発行された4,582,800、1987年7月7日、Mark et alに発行された4,677,063、1987年6月30日、Goeddelに発行された4,678,751、1987年11月3日、Itakura et alに発行された4,704,362、1987年12月1日、Murrayに発行された4,710,453、1988年7月12日、Toole, Jr et alに発行された4,757,006、1988年8月23日、Goeddel et alに発行された4,766,075、および1989年3月7日、Stalkerに発行された4,810,648、に発表されたものを含む。この全てが、ここに参考として示される。
DNA(またはレトロウイルスの場合は、RNA)は、本発明のポリペプチドを構成するポリペプチドをコードし、適切な宿主に導入するために、広範な他のDNA配列に結合されるかもしれない。対のDNAは、宿主の性質、宿主へのDNAの導入法に依存し、外来的な維持または組み込みのどちらかが望ましい。
一般的に、DNAは、プラスミドのように、発現のために適切な向き、および正しい読み枠で発現ベクターに挿入される。必要ならば、DNAは、望ましい宿主によって認識される、適切な転写および翻訳調節制御ヌクレオチド配列に結合されるが、そのような制御は、発現ベクターでは一般的に利用可能である。そうしてベクターは、標準的な技術を通じて宿主に導入される。一般的に、宿主の全てが、ベクターによって形質転換されるわけではない。それゆえに、形質転換された宿主細胞を選択する必要がある。ある選択方法は、発現ベクターにあるDNA配列を取り込ませることを伴う。そのDNA配列は、抗生物質耐性のような、形質転換された細胞に選択可能な特性をコードする、任意の必要な制御要素を持つものである。または、そのような選択可能な特性のための遺伝子は、望ましい宿主細胞を共形質転換するために使用される、他のベクター上に存在することもありうる。
本発明の発現ベクターによって形質転換される宿主細胞は、十分な時間、およびポリペプチドを発現させるように、ここに発表した説明を考慮して、技術的に熟練した者に知られた、適切な条件下培養される。そうして、ポリペプチドは回収されうる。
多くの発現システムが知られており、細菌(例えば、E. coliおよびBacillus subtilis)、酵母(例えば、Saccharomyces cerevisiae)、filamentous真菌(例えば、Aspergillus)、植物細胞、動物細胞、および昆虫細胞を含む。
ベクターは、一般的に、たとえベクターが、発現のために他の原核でない細胞種において使用される場合においても原核生物での増幅のための、ColE1 oriのような、原核複製開始点を含む。ベクターはまた、それで形質転換された大腸菌のような、細菌宿主細胞において、遺伝子を発現(転写および翻訳)可能にする原核由来のプロモーターのような、適切なプロモーターを含む。
プロモーターは、RNAポリメラーゼの結合および転写が起こるようにするDNA配列によって形成される、発現制御要素である。代表的な細菌宿主に適したプロモーター配列は、一般的に、本発明のDNA部分を挿入するために、便利な制限部位を含むプラスミドベクターに与えられている。
一般的な原核ベクタープラスミドは、Biorad Laboratories,(Richmond, CA, USA)から購入できるpUC18、pUC19、pBR322、およびpBR329、およびPharmacia, Piscataway, NJ, USAから購入できるpTrc99A、およびpKK223−3である。
一般的な哺乳動物細胞ベクタープラスミドは、Pharmacia, Piscataway, NJ, USAから購入できるpSVLである。このベクターは、クローンした遺伝子を発現させるために、SV40 lateプロモーターを使用しており、高レベルの発現が、COS−1細胞のようなT抗原産生細胞において見られている。
誘導可能な哺乳動物発現ベクターは、Pharmaciaからまた購入できるpMSGである。このベクターは、クローンした遺伝子を発現させるために、マウス乳房腫瘍ウイルスlong terminal repeatのグルココルチコイド誘導性のプロモーターを使用する。
有用な酵母プラスミドベクターは、pRS403−406およびpRS413−416であり、一般的にStratagene Cloning Systems, La Jolla, CA 92037, USAから購入できる。プラスミドpRS403、pRS404、pRS405、およびpRS406は、酵母組み込みプラスミド(Yips)であり、酵母選択マーカーHIS3、TRP1、LEU2、およびURA3を組み入れている。プラスミドpRS413−416は、酵母セントロメアプラスミド(YCps)である。
他のベクターおよび発現システムは、様々な宿主細胞での使用のために技術的によく知られている。
本発明の第十六の特徴点は、本発明のポリヌクレオチドまたはベクターを含む組み換え宿主細胞を与える。
本発明のポリヌクレオチドは、本発明の第三の特徴点の化合物をコードするポリヌクレオチド(そこでは、選択的に結合する部分と更なる分子の両者は、融合されたポリペプチドである)、あるいは本発明のECSM4またはECSM1ポリペプチド、あるいは上述したように、その断片、または融合体、または異形を含む。
宿主細胞は、原核または真核のどちらかでありうる。細菌細胞は、原核宿主細胞が好ましく、一般的に大腸菌の株であり、例えば、大腸菌株DH5がBethesda Research Laboratories Inc., Bethesda, MD, USAから購入でき、RR1が、Rockville, MD, USAのAmerican Type Culture Collection (ATCC)から購入できる(No. ATCC 31343)。好ましい真核宿主細胞は、酵母、昆虫、および哺乳動物細胞を含み、好ましくは、マウス、ラット、サル、またはヒト線維芽細胞および肝臓細胞系統のような脊椎動物細胞である。酵母宿主細胞は、YPH499、YPH500、およびYPH501を含み、これらは、一般的にStratagene Cloning Systems, La Jolla, CA 92037, USAから購入できる。好ましい哺乳動物宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞であり、
ATCCからCRL 1658として購入でき、またヒト胎生肝臓細胞である293細胞である。好ましい昆虫細胞は、バキュロウイルス発現ベクターでトランスフェクションされうるSf9細胞である。
本発明のDNA構築での適切な細胞宿主の形質転換は、一般的に、使用するベクターの種類に応じた、よく知られた方法によって行われる。原核宿主細胞の形質転換に関しては、以下を参照のこと。例えば、Cohen et al (1972) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69, 2110およびSambrook et al (1989) Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY。酵母細胞の形質転換は、Sherman et al (1986) Methods In Yeast Genetics, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NYに述べられている。Beggs (1978) Nature 275, 104−109の方法もまた、有用である。脊椎動物に関しては、そのような細胞をトランスフェクトするために有用な試薬、例えば、リン酸カルシウムおよびDEAE−dextranまたはリポソーム剤形、がStratagene Cloning Systems、またはLife Technologies Inc., Gaithersburg, MD 20877, USAから購入できる。
エレクトロポレーションもまた、細胞を形質転換および/またはトランスフェクトするために有効であり、酵母細胞、細菌細胞、昆虫細胞、および脊椎動物細胞を形質転換するために、技術的によく知られている。
例えば、多くの細菌種は、ここに参考として示すLuchansky et al (1988) Mol. Microbiol. 2, 637−646に述べられている方法によって、形質転換されるかもしれない。非常に多くの形質転換体が、2.5 PEB中に懸濁したDNA−細胞混合物を、6250V per cm、25mFDでエレクトロポレーションすることで、一貫して得られる。
エレクトロポレーションによる酵母細胞の形質転換法は、Becker & Guarente (1990) Methods Enzymol. 194, 182に発表されている。
形質転換された細胞は、つまり、本発明のDNA構築物を含む細胞、よく知られた技術によってうまく同定されうる。例えば、本発明の発現構築物が導入された細胞は、本発明のポリペプチドを生産するために生育されうる。細胞は、集菌、溶菌され、そのDNA内容物は、Southern (1975) J. Mol. Biol. 98, 503またはBerent et al (1985) Biotech. 3, 208によってのべられているような方法を使用して、DNAの存在を調べられる。または、上清に存在する蛋白質は、下に述べるように抗体を使用して検出されうる。
組み換えDNAの存在を直接検定することに加え、形質転換の成功は、組み換えDNAが、蛋白質を発現させることができる場合に、よく知られた免疫学的な方法によって確認されうる。例えば、発現ベクターでの形質転換に成功した細胞は、適切な抗原性を示す蛋白質を生産する。
形質転換されたと推定される細胞サンプルは、集菌され、適切な抗体でその蛋白質をアッセイされる。
宿主細胞は、動物体内の宿主細胞であるかもしれない。このように組み換え動物は、本発明の第一または第三の特徴点のポリペプチドを、組み換え遺伝子の存在によって、発現するものが含まれる。好ましくは、組み換え動物は、マウスのようなげっ歯類である。組み換え動物は、技術的によく知られて方法を使用して作製されうる。
ポリペプチドECSM4をコードするポリヌクレオチドは、ヒトではない組み換え哺乳動物を作製するために有効であるかもしれない。そのなかで、ECSM4は、ある方法で変異を導入される。例えば、マウスECSM4のゲノム上のコード領域は、マウスにおいて変異導入され、その天然のリガンドに結合できない、または細胞内要素と正しく相互作用できないECSM4ポリペプチドを生産する。そのような変異ECSM4ポリペプチドは、マウスに、ヒトにおける異常血管新生を伴う疾患に、非常に類似する疾患を生じさせるかもしれない。
このように、ヒトではない哺乳動物、特にマウスおよびラットのようなげっ歯類は、異常血管新生を伴う疾患のモデルとして有用である。
または、ECSM4遺伝子を欠失した (“ノックアウト”)、あるいは転写、またはECSM4ポリペプチドを発現することのできるECSM4ゲノムコード領域を欠く哺乳動物は、ヒトECSM4ポリペプチドに選択的な抗体を生産する方法を与えることに、有用である。そのような哺乳動物、特にマウスは、特に有用であるようである。なぜなら、ヒトとマウスECSM4ポリペプチド間のホモロジーの高さは、ECSM4ポリペプチドを発現するマウスにおいて、ヒトECSM4ポリペプチドの抗原性を妨げるかもしれないからである。
異常血管新生を伴う疾患の、潜在的により正確な動物モデルは、上に述べたように、組み換え動物のゲノムへの添加、あるいは動物のゲノム上のECSM4を変異導入されたヒトECSM4に置換することによってなされるかもしれない。適切には、挿入されたヒトECSM4は、内皮選択的なプロモーターおよび調節領域の制御下にある。好ましくは、プロモーターおよび調節領域は、宿主動物ECSM4遺伝子のものである。この方法によってゲノムが改変された動物は、機能障害をもつヒトECSM4を発現し、それゆえにヒトにおける異常血管新生を伴う疾患の診断、予後診断、および治療での薬剤および抗体の効果を試験することに有用である。
そのようなノックアウトまたは組み換え哺乳動物は、本発明の目的の範囲内に含まれ、そのような哺乳動物を使って産生された抗体、およびそれを含む化合物もまた、本発明の目的の範囲内である。
本発明の第十七の特徴点は、本発明のポリペプチドの生産方法、上述したようなポリヌクレオチドを発現させること、またはこの中に述べたように宿主細胞を培養することを含む方法、を与える。
ECSM1ポリペプチドを生産するために、宿主細胞は、そのアミノ酸配列が図2に与えられるポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドを含むかも知れなく、ECSM4ポリペプチドを生産するために、宿主細胞は、そのアミノ酸配列が図4または図7または図12に与えられるポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドを含むかも知れないことが認識される。
好ましくは、発現されたポリヌクレオチドは、EP 1074617のSEQ ID No 18084、または5096、WO 00/53756あるいはWO 99/46281のSEQ ID No 210、WO 01/23523のNos 22、23、96、または98、あるいはWO 99/11293のSEQ ID No 31、によって表されるヌクレオチド配列の任意の一つからは構成されない。
また好ましくは、生産されたポリペプチドは、EP 1074617のSEQ ID No 18085、WO 00/53756あるいはWO 99/46281のSEQ ID No 211、WO 01/23523のNos 24−27、29、30、33、34、38または39、あるいはWO 99/11293のSEQ ID No 86、の任意の一つによって表される配列から構成される、アミノ酸配列をもつものではない。
宿主細胞の培養法、および組み換え蛋白質の分離法は、技術的によく知られている。宿主細胞に依存して、生産されたECSM1またはECSM4ポリペプチドは、天然に分離されうるものとは異なっているかも知れないと認識される。例えば、酵母または細菌細胞のような、ある種の宿主細胞は、翻訳後修飾システムをもっていないか、異なるものを持っている。そのシステムは、結果、天然に分離されるECSM1またはECSM4とは、異なる翻訳後修飾を受けるかも知れない、ECSM1またはECSM4の型を生じるかもしれない。ヒトECSM1またはECSM4とは、異なる翻訳後修飾を受けるECSM1またはECSM4を得るために、宿主細胞は、ヒト以外の宿主細胞であれば好ましく;哺乳動物細胞でなければ、より好ましい。
ECSM1またはECSM4ポリペプチドは、昆虫細胞のような、真核システムにおいて生産されることが好ましい。
あまり好ましくない実施態様にしたがって、ECSM1またはECSM4ポリペプチドは、ウサギ赤血球細胞ライセートまたはコムギ胚芽ライセートのような、商品として利用できるin vitro翻訳システム(Promegaから購入できる)を使用して、in vitro生産される。好ましくは、翻訳システムは、ウサギ赤血球ライセートである。便利なことに、翻訳システムは、TNT転写−翻訳システム(Promega)のような転写システムに共役されているかも知れない。このシステムは、翻訳と同様の反応においてコードするDNAポリヌクレオチドから、適切なmRNA転写物を生産できる利点がある。便利なことに、そこで発現されたポリペプチドは、一つかそれ以上の膜貫通領域を含む場合に、翻訳システムは、イヌ膵臓マイクロソームのような、小胞体由来の膜、およびフォールディングシャペロンの供給源が添付されているかもしれなく、天然のコンフォメーションでのポリペプチドの合成を可能にする。
好ましくは、本発明のこの特徴点の生産方法は、宿主細胞、またはin vitro翻訳混合物から、生産されたECSM1またはECSM4を単離するさらなるステップを含む。好ましくは、単離は、本発明の発現したポリペプチドに選択的に結合する抗体を使用する。
本発明は、ECSM1またはECSM4ポリペプチド、あるいは、それらの異形、または断片、または融合体、あるいは上記の異形または断片の融合体を含む。それらのペプチドは、ここに発表された方法によって、ECSM4ポリペプチドは図4に与えられたアミノ酸配列からなるものではないと与えられた方法によって、得ることができる。好ましくは、ポリペプチドは、EP 1074617のSEQ ID No 18085、WO 00/53756あるいはWO 99/46281のSEQ ID No 211、WO 01/23523のNos 24−27、29、30、33、34、38または39、あるいはWO 99/11293のSEQ ID No 86、の任意の一つによって表されるアミノ酸配列から構成されるものではない。このましくは、ECSM1ポリペプチドは、ここに発表された方法によって生産されるが、WO 99/06423のSEQ ID No 32によってコードされるもの、WO 99/06423の目的のために、1997年7月17日になされたATCC deposit No. 209145の核酸によってコードされたものではない。
本発明の第十八の特徴点は、上述したように、ECSM4またはECSM1に選択的に結合することのできる抗体をあたえる。
好ましくは、ECSM1に選択的に結合する抗体は、WO 99/06423のSEQ ID No 32によってコードされた、あるいは国際特許出願PCT/US98/15949の目的で、1997年7月17日になされたATCC deposit No. 209145の核酸によってコードされたポリペプチドに結合するものではない。
好ましくは、ECSM1に選択的に結合する抗体は、そのアミノ酸配列が、図2に与えられた配列、あるいはそれらの天然の異形、を含むポリペプチドに結合するものであるが、1997年7月17日になされたATCC deposit No. 209145の核酸によってコードされたポリペプチドに結合するものではない。
好ましくは、ECSM1に選択的に結合する抗体は、そのアミノ酸配列が、図4、5、7、12、または13の任意の一つによって与えられた配列、あるいはそれらの天然の異形、を含むポリペプチドに結合するものであるが、EP 1074617のSEQ ID No 18085、WO 00/53756あるいはWO 99/46281のSEQ ID No 211、WO 01/23523のNos 24−27、29、30、33、34、38または39、あるいはWO 99/11293のSEQ ID No 86、の任意の一つによって表されるポリペプチド、あるいはEP 1074617のSEQ ID No 18084、または5096、WO 00/53756あるいはWO 99/46281のSEQ ID No 210、WO 01/23523のNos 22、23、96、または98、あるいはWO 99/11293のSEQ ID No 31、によって表されるヌクレオチド配列の任意の一つによってコードされるポリペプチドには結合しない。
“選択的に結合する”によって、我々は、他のポリペプチドに比べ、本発明のポリペプチド(ECSM4またはECSM1のような)に少なくとも10倍強く結合する抗体を含める;好ましくは、少なくとも50倍強く、またより好ましくは、少なくとも100倍強く。そのような抗体は、ECSM4またはECSM1および本発明のポリペプチドではない、他のポリペプチドのアミノ酸配列の違いに関する情報から、技術的に良く知られた方法によって作製される。
ECSM4に選択的に結合する抗体はまた、ECSM4ポリペプチドの機能を調整するかもしれない。ECSM4を刺激すること、または活性化することによって、固有のリガンドの結合の効果を模倣する、あるいは結合し、それによって後に続く、本来のリガンドによるECSM4の結合、および活性化または刺激を妨げる抗体とそのような機能調節型の抗体が、本発明の目的の範囲内に含まれる。機能を調節する抗体は、研究において、例えば、ECSM4刺激、または活性化の効果、あるいはそのような刺激によって引き起こされる下流のプロセスを研究することにおいて、ツールとして有用であると認識されるだろう。そのような抗体はまた、医薬においても、例えば、患者の血管新生を調節することにおいて、有用である。特に、そのような抗体の投与によって血管新生を調節することは、癌においてのように血管新生の調節が恩恵をもたらす、患者の疾患の治療において有用である。
次のペプチドは、ウサギポリクローナル血清のような抗体の生成に、イムノゲンとして有用である:LSQSPGAVPQALVAWRA、DSVLTPEEVALCLEL、TYGYISVPTAおよびKGGVLLCPPRPCLTPT。
本発明の好ましい実施態様において、本発明の抗体は、次の配列をもつアミノ酸配列に結合する、GGDSLLGGRGSL、LLQPPARGHAHDGQALSTDL、EPQDYTEPVE、TAPGGQGAPWAEE、またはERATQEPSEHGP。これらの配列は、ヒトおよびマウスECSM4ポリペプチド配列の間で異なるアミノ酸配列を表している。一般的に、ヒトおよびマウスECSM4ポリペプチドは、高度の相同性を示し、マウスに対してヒトECSM4配列の大部分の免疫抗原性が欠如しているために、ヒトECSM4に対するマウス抗体の産生が特に困難となっている。マウスECSM4にはないアミノ酸配列は、マウスECSM4(ヒトおよびマウスECSM4アミノ酸配列のアライメントは、図14に示される。)に存在する配列にくらべ、マウスに対してより免疫抗原性を示すようである。このように、上述の様に、ヒトECSM4に固有な配列を含むポリペプチド断片は、その配列がヒトおよびマウスECSM4の両者において見られるECSM4ポリペプチドよりも、ヒトECSM4ポリペプチドに選択的に結合する抗体の産生において、有用である。
ECSM4ポリペプチドの細胞外部分にあるアミノ酸配列使用の結果、生じた抗体は、内皮細胞標的分子として有用である可能性がある。それゆえに、本発明の抗体がヒトECSM4に固有なアミノ酸配列に対して、作られ、好ましく、選択的に結合するならば特に好ましい。そこでは、配列はポリペプチドのN末端側にあり、図12に与えられるアミノ酸配列の残基1から467の間に存在する細胞外部分において見られる。ECSM4細胞外領域に選択的な抗体分子を作製するために適したアミノ酸配列の例は、図12に与えられる。
ヒトECSM4に固有なアミノ酸配列は、ポリクローナル抗体を産生するために使用されるかもしれないが、それらがモノクローナル抗体を生産するためにしようされるのは、好ましい。
一つまたはそれ以上のアミノ酸残基が化学的に修飾されたペプチドは、それが合成される前または後で、ペプチドの機能、つまり抗体の生産が実質的に変わらないことを規定するために使用されるかも知れない。そのような修飾は、酸または塩基と塩を形成させること、特に生理的に許容可能な有機または無機酸および塩基、末端カルボキシル基のエステルまたはアミドを形成させること、およびN−t−ブトキシカルボニルのようなアミノ酸保護基を結合させることを含める。そのような修飾は、ペプチドをin vivoの代謝から保護するかも知れない。ペプチドは、単コピーとして、あるいは多コピー、例えばタンデムリピート、として存在するかも知れない。そのようなタンデム、または多重繰返しは、それ自身十分抗原性を示し、キャリアーの使用を妨げるかもしれない。ペプチドにとって有利であるかもしれないのは、N末端とC末端を一緒に結合してループを形成させること、あるいは一つまたはそれ以上のシステイン残基を追加して、抗原性を高める、および/またはジスルフィド結合が形成されるようにすることである。ペプチドが、キャリアーに、好ましくはポリペプチドに共有結合すれば、本発明のペプチドがループを形成するように、配置される。
現在の免疫学的理論に従って、キャリアーは、免疫システムを刺激し、またはその刺激を高めるために、任意の免疫原性を示す剤形に存在しなければならない。けれども最適なキャリアーは、(または抗原とともに、創出する)T細胞エピトープを具体化したものである。ペプチドは、例えば架橋剤によって、血清アルブミン、ミオグロビン、細菌トキソイド、および鍵穴リンペットヘモシアニンのような、別個のキャリアーとともに結合されるかもしれない。より最近、開発されたキャリアーは、免疫応答においてT−細胞の援助を誘導するが、ヘパティティス−Bコア抗原(ヌクレオキャプシド蛋白質とも呼ばれる)、予測されるT−細胞エピトープは、Thr−Ala−Ser−Gly−Val−Ala−Glu−Thr−Thr−Asn−Cys、b−ガラクトシダーゼ、およびインターロイキン−1の163−171ペプチドである、を含む。後者の化合物は、キャリアーとして、またはアジュバントとして、またはその両方として様々に考えられている。または、本発明の同じ、または異なるペプチドの数コピーは、お互い架橋され;この状況では、そのような別個のキャリアーはないが、キャリアーの機能は、そのような架橋によって与えられるかも知れない。適切に架橋する薬剤は、SigmaおよびPierceのカタログにおいてリストにされたもの、例えばグルタルデヒド、カルボジイミド、およびスクシニミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレートを含み、後者の薬剤は、(もしあれば)C末のシステイン残基における−SH基を探索するのに用いられる。
ペプチドが、適切な宿主において、適切なヌクレオチド配列の発現によって調製される場合、ペプチドをキャリアーとして機能するペプチド配列との融合産物として発現させるのが有効であるかも知れない。Kabigen’s ”Ecosec”システムは、そのような配置の例である。
ペプチドは、Lu et al (1981) J. Org. Chem. 46, 3433によって発表されたように、固相ペプチド合成のFmoc−ポリアミド様式によって合成されるかも知れない。一時的なN−アミノ基保護は、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基によってなされる。この非常に塩基に弱い保護基の繰り返しの切断は、N,N−ジメチルホルムアミド中20%ピペリジンを使用して行われる。側鎖の機能性は、それらのブチルエーテル(セリン、トレオニン、およびチロシンの場合)、ブチルエステル(グルタミン酸、およびアスパラギン酸の場合)、ブチロキシカルボニル誘導体(リジン、およびヒスチジンの場合)、トリチル誘導体(システインの場合)、および4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルフォニル誘導体(アルギニンの場合)として保護されるかも知れない。グルタミンまたはアスパラギンがC末残基である場合に、使用の際は4,4’−ジメトキシベンジドリル基で側鎖アミドの機能性を保護する。固相支持体は、三種類の単量体、ジメチルアクリルアミド(骨格−単量体)、ビスアクリロイルエチレンジアミン(架橋剤)、およびアクリロイルサルコシンメチルエステル(機能賦与剤)から構成されるポリジメチル−アクリルアミドポリマーに固定される。使用されるペプチド−レジン間の切断可能な連結剤は、酸感受性の4−ヒドロキシメチル−フェノキシ酢酸誘導体である。全てのアミノ酸誘導体は、逆相N,N−ジシクロヘキシル−カルボジイミド/1−ヒドロキシベンゾトリアゾールによる共役法を使用して加えられる、アスパラギンおよびグルタミンの場合は例外だが、それらの対称無水誘導体として加えられる。全ての共役および脱保護反応は、ニンヒドリン、トリニトロベンゼンスルホン酸、またはイソチン検定法を使用して、モニターされる。合成完了に際し、ペプチドは、50%のスカベンジャーミックスを含む、95%トリフルオロ酢酸での処理により、側鎖保護基の除去と同時に、レジン支持体から切断される。一般的に使用されるスカベンジャーは、エタンジチオール、フェノール、アニソール、および水であり、正しい選択は、合成されるペプチドの構成アミノ酸に依存している。トリフルオロ酢酸は、in vacuo気化によって除去される。存在する任意のスカベンジャーは、水層の凍結乾燥で、スカベンジャーの無い粗ペプチドを与える、単純な抽出方法によって除去される。ペプチド合成の試薬は、一般的にCalbiochem−Novabiochem (UK) Ltd, Nottingham NG7 2QJ, UKから購入可能である。精製は、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、および(原則的に)逆相高速液体クロマトグラフィーのような技術の任意の一つ、あるいはその組み合わせによって行われるかも知れない。ペプチドの分析は、薄層クロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、酸加水分解後のアミノ酸分析、および高速原子衝撃法(FAB)質量スペクトル分析によって行われるかも知れない。
本発明のペプチドは、二重の効果をもつように他の抗原に結合されるかも知れない。
本発明の目的に含まれるのは、本発明のこの特徴点に従って抗体を生産する方法である。
抗体は、適切なペプチドで免疫することで動物により生産される。適切なペプチドは、ここに述べられる。または、今日の技術により、ここに定義するように、動物を使用すること無く抗体を作ることが可能になった。そのような技術は、技術的によく知られるような、例えば抗体ファージディスプレイ技術を含む。適切なペプチドは、ここに述べるように、この方法で生産された抗体を選択するために使用されるかも知れない。
抗体技術における進歩で、抗体を生産するために、動物を免疫することは必要で無いかも知れないと認識されている。ファージディスプレイライブラリーのような合成システムが使用されるかも知れない。そのようなシステムの利用は、本発明の方法に含まれ、そのようなシステムの産物は、本発明の目的のための“抗体”である。
ECSM1またはECSM4およびその異形、または断片を認識するそのような抗体は、有用な研究試薬および療法薬であり、特に、上述したように本発明の化合物として調製されたときに、有用であると認識される。適切に、本発明の抗体が、検出できるようにラベルされ、例えばそれらは、直接または間接的に検出されるような方法でラベルされるかも知れない。便利なことには、抗体は、放射性分子、または有色分子、または蛍光分子でラベルされ、あるいは、それらは酵素に結合されるかも知れない。一般的に、酵素は無色の(または非蛍光の)基質を有色の(または蛍光の)産物に変換することのできるものである。抗体は、ビオチン(またはストレプトアビジン)によってラベルされ、放射性分子、または有色分子、または蛍光分子、または同様のものでラベルされた、ストレプトアビジン(またはビオチン)を使用して間接的に検出される。あるいは、それらは、上述した種類の任意の酵素に結合されるかもしれない。
本発明の第十九の特徴点は、患者から液体サンプルを取得することを含む、患者における内皮の損傷または活性化の検出法、およびサンプル中に存在するECSM1またはECSM4の検出法を与える。
好ましくは、液体サンプルとは、血液である。一般的に、ECSM1またはECSM4由来のペプチド断片の存在が検出される。
この特徴点の好ましい実施態様において、ECSM1またはECSM4ポリペプチドのペプチド断片の存在は、そのアミノ酸配列が図2または図4または図12またはそれらの断片のどれか一つに与えられた配列を含む、ポリペプチドに選択的な抗体を使用することによって検出される。好ましくは、抗体は、本発明の第十八の特徴点に従う抗体である。
患者において内皮細胞の損傷を検出すること、または診断することは、そのような患者における癌の診断、または心臓疾患、子宮内膜症、または動脈硬化の診断の補助に、有用である。検出された内皮細胞の損傷量を、癌、心疾患、子宮内膜症、または動脈硬化であることが知られている患者において観察される量またはレベルと、癌、心疾患、子宮内膜症、または動脈硬化ではない患者におけるみかけの損傷の“正常な”レベルと比較することが必要であるかも知れない。
このように、患者における内皮の損傷または活性化の検出は、そうした患者における腫瘍の存在、または程度、または成長速度を検出する手段として有用であるかも知れない。血管損傷の検出は、腫瘍による新生血管の形成の間接的な調査報告である。この方法では、ECSM4またはECSM1は、血管新生の代わりのマーカーであるかも知れない。患者のサンプル中のECSM4またはECSM1の存在、または癌ではない患者におけるよりもECSM4またはECSM1ペプチド断片が多いことは、そういった患者における癌、または既にある癌の成長を検出する方法であるかも知れない。
さらに、患者のサンプル中のECSM4またはECSM1の存在、またはあるレベルを検出する方法によって、新生血管の検出が、そうした患者における治療が効果的であるか、および/または治療がどの程度効果的なのか、決定することに有用であるかも知れない。好ましくは、療法は患者における腫瘍、または癌を治療することである。
このように、本発明の特徴点は、患者から液体サンプルを取得することを含む、患者における腫瘍または腫瘍による新生血管、または心疾患、または子宮内膜症、または動脈硬化の検出法、およびサンプル中に存在するECSM1またはECSM4断片の検出法を与える。
内皮細胞の損傷を検出すること、または診断することに関して上述したように、患者のサンプル中のECSM4またはECSM1の存在、またはそのあるレベルの検出法による疾患(腫瘍、または心疾患等のような)の検出は、そうした患者における治療の効能を決定することに有用であるかも知れない。
ある実施態様において、療法は遺伝子療法である。
好ましくは、患者における治療の効能は、患者の液体サンプル中に見られるECSM1またはECSM4の断片の量を使うことによって、およびそれを癌、心疾患、子宮内膜症、または動脈硬化ではない患者のサンプルに含まれるECSM1またはECSM4の量、および/または上記の治療の開始前の患者からのサンプル中の量、どちらかに比較することによって決定される。その比較は、患者の治療の効能を示し、そのなかで、治療前、および治療中/後に決定された断片の量に変化がなければ、これは治療の効能がほとんどないことを示している。治療が開始される前に見られた断片の量に比較して、治療中、または治療後の断片の量に減少が見られれば、治療が、患者の状態の改善にいくらか効能があることを示している。
現在、様々な抗血管新生療法の効能を評価する方法は、臨床試験中であり、侵略的である。血管新生部位の血管の内皮細胞でのECSM4の選択的な発現は、療法を受けている患者におけるECSM1またはECSM4のレベルの存在、ないこと、増加、または減少を検出することが、侵略的な生体組織検査、スキャン、および同等のようなものを必要としない、または少しは必要とするそのような患者における療法の効能を決定する方法である。
このように、抗血管新生療法(癌療法のような)をうける患者の血液中におけるECSM1またはECSM4レベルの決定が、“血管新生の代用マーカー”として働くかもしれない。
“ECSM1またはECSM4由来のペプチド断片”によって、われわれは、ECSM4またはECSM1ポリペプチドの少なくとも連続する5アミノ酸をもつペプチドを指す。一般的に、断片はECSM4またはECSM1ポリペプチドの少なくとも連続する8アミノ酸をもち、好ましくは、少なくとも10、より好ましくは、少なくとも12、または15、または20、または30、または40、または50の連続するアミノ酸をもつ。
大きいポリペプチド由来のペプチド断片の存在を検出する方法は、技術的に知られている。
本発明のさらなる特徴点は、患者における血管新生を調節する方法、ECSM4、またはECSM4のペプチド断片、またはECSM4のリガンド、またはECSM4またはECSM1に選択的に結合する抗体を患者に投与することを含む方法を与える。
好ましくは、ペプチド断片、またはリガンド、または抗体は、患者のECSM4ポリペプチドの活性、または機能を直接、または間接的に調節するものである。
好ましい抗体は、上により詳細に述べられたようなものである。
細胞表層に提示されたポリペプチドの機能を調節する抗体の生産は、技術的に知られ、上により詳細に論じる。そのような抗体は、天然のリガンドの機能を模倣することによって、および活性を示し、または機能するようにポリペプチドを刺激することによって、機能を調節するかもしれない、あるいはリガンド結合部位を立体的に隠すことによって、リガンドによるポリペプチドの刺激を妨げ、それによって天然のリガンドの結合を妨げることによって、ポリペプチドの機能を調節するかもしれない。
magic roundaboutへのリガンドの配送は、高−血管新生を伴う癌、または他の疾患の療法において有効な血管新生阻害剤であるかもしれなかった。また、ECSM4をコードするポリヌクレオチドを使用する遺伝子療法によって、内皮細胞にECSM4ポリペプチドを導入することは、成長と移動を変化させるかもしれなかった。
本発明のまたさらなる特徴点は、患者のポリヌクレオチドを含むサンプルを取得すること、およびECSM4ポリペプチド、またはECSM1ポリペプチド、または断片、またはそれらの天然の異形をコードする核酸に選択的にハイブリッドを形成する、上記サンプルをポリヌクレオチドと接触させることを含む、患者における血管内皮の異常、または過剰な成長を伴う状態の診断方法を与える。
その方法は、診断の補助に使用されるかもしれない。
癌、動脈硬化、再狭窄、糖尿病性白内障、関節炎、乾癬、子宮内膜症、過多月経、血管種、および静脈奇形は、ECSM1またはECSM4ポリペプチドをコードする核酸における変異によって生じるかもしれない。
“選択的にハイブリッドを形成すること”によっては、核酸が、上記のヒトDNAまたはcDNAと十分なヌクレオチド配列の類似性をもち、それが適度な、または高度に厳密な条件下でハイブリッドを形成できるということを示す。技術的によく知られているように、核酸のハイブリッド形成の厳密さは、ハイブリッド形成が生じる部分の核酸の長さ、ハイブリッド形成する配列の相同性の程度、および温度、イオン強度、および配列中のCGまたはAT含量のような因子に依存する。このように、上記のように選択的にハイブリッド形成できる任意の核酸は、本発明の実施において有用である。
上記のヒトDNAまたはcDNAに選択的にハイブリッド形成できる核酸は、上記のヒトDNAまたはcDNAと核酸の一部に、少なくとも>95%配列相同性を持つ核酸、好ましくは>98%をもつもの、より好ましくは>99%の配列相同性を持つものを含む。よく知られているように、ヒト遺伝子は、通常イントロンを含み、例えば、上記のヒトDNA内の遺伝子由来のmRNAまたはcDNAが、上記のヒトDNAと全長に渡り完全に一致しないが、それでも上記のヒトDNAに選択的にハイブリッド形成することができる核酸である。このように、本発明は、ECSM4またはECSM1 cDNAに選択的にハイブリッドを形成するが、ECSM4またはECSM1遺伝子に対してはハイブリッドを形成しないかもしれない、または逆もまた同様の核酸を、特異的に含む。例えば、ECSM4またはECSM1遺伝子のイントロン−エクソン境界にわたる核酸は、ECSM4またはECSM1 cDNAには選択的にハイブリッドを形成することができないかもしれない。
一般的な、適度または高度に厳密なハイブリッド形成条件は、選択的なハイブリッドを形成し、技術的に知られる。例えば、Molecular Cloning, a laboratory manual, 2nd edition, Sambrook et al (eds), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, USAに述べられているものであり、参考にここに示す。
核酸がナイロンメンブレン上に固定され、プローブの核酸が500塩基または塩基対以上であるとき、一般的なハイブリッド形成溶液の例は;
6xSSC(saline sodium citrate)
0.5% sodium dodecyl phosphate(SDS)
100mg/ml 変性、断片化したサケ精子DNA
ハイブリッド形成は、68℃で行われる。核酸を固定化したナイロンメンブレンは、68℃において1xSSCで、あるいは厳密性を高めるために0.1xSSCで洗浄されるかもしれない。
20xSSCは次の方法で調製されるかも知れない。NaCl 175.3gおよびクエン酸ナトリウム88.2gを水800mlに溶解する。10N NaOH数滴で、pH 7.0に調整する。水で体積を1リットルにあわせる。等分し、オートクレーブによって滅菌する。
核酸がナイロンメンブレン上に固定化され、プローブが、15から50塩基の間のオリゴヌクレオチドである場合に、一般的なハイブリッド形成溶液の例は:
3.0 M塩化トリメチルアンモニウム(TMACl)
0.01 Mリン酸ナトリウム(pH6.8)
1mM EDTA(pH 7.6)
0. 5% SDS
100mg/ml変性、断片化されたサケ精子DNA
0.1% 脱脂粉乳
ハイブリッド形成に最適な温度は、通常用いる鎖長のTiの5℃下になるように選ばれる。Tiは、プローブと標的配列間に形成されるハイブリッドの不可逆的な融解温度である。Jacobs et al (1988) Nucl. Acids Res. 16, 4637は、Tiの決定法について論じている。3M TMACl中、17merの核酸を用いる場合に、推奨されるハイブリッド形成温度は、48−50℃;19merのとき、55−57℃;および20merのとき、58−66℃である。
“選択的にハイブリッドを形成する核酸”によって、下により詳細に述べたもののような、任意の良く知られた増幅システム、特に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、のヒトDNAの上記の領域かたDNAを増幅する核酸もまた含まれる。PCR増幅の適切な条件は、適切な1x増幅バッファーにおける増幅を含む。
10 x増幅バッファーの組成は、500mM KCl; 100mM Tris.Cl (室温でpH 8.3); 15mM MgCl2; 0.1% ゼラチン。
適切な変性剤または方法(95℃で加熱することのように)が、二本鎖DNAのストランドを分離するために、使用される。
適切には、増幅のアニーリングの部分は、37℃と60℃の間であり、好ましくは50℃である。
本発明の方法において有用な核酸は、RNAまたはDNAであるかも知れないが、DNAが好ましい。本発明の方法において有用な核酸は、二本鎖または一本鎖であるかもしれないが、核酸増幅反応のような、ある条件下では一本鎖の核酸が好ましい。
サンプルは、直接患者から採取されたものであるかも知れない、例えば異常血管発達と関連する可能性のある組織の生体組織検査によって、あるいは、組織からははなれた部位で、患者から採取されるかも知れない、例えば、組織由来の細胞が、体の他の部分の組織から移動したからという理由で。または、サンプルが、例えば、患者からの組織または細胞がin vitro培養され、あるいは異種移植のモデルにおいて培養されるかも知れない、という意味で間接的に患者由来であるかもしれない。あるいは、核酸サンプルは、患者の供給源の核酸から(in vitroまたはin vivo)に複製されるものであるかも知れない。このように、患者由来の核酸は、物理的に患者体内にあり、その代わりに患者体内にある核酸から複製される。異常な血管発達は、腫瘍と関連していると考えられ、腫瘍組織は、初期の腫瘍から、または転移から採取されるかも知れない。
本発明の有用な方法は、任意の適切なサンプルにおけるECSM4またはECSM1遺伝子における変異の解析、またはその存在の有無の検出を含む。サンプルは、患者から新たに採取したサンプルであるのが適切かもしれない、あるいはサンプルは、例えば、サンプルのライブラリーにおいて保管されたサンプルのように、過去のサンプルであるかも知れない。
便利なことに、上記のヒトDNAに選択的にハイブリッド形成能をもつ、および本発明の方法において使用される核酸はさらに、検出できるレベルを含む。
“検出可能なレベル”によって、32P、33P、または35Sのような任意の便利な放射性ラベルが含まれ、それらは、良く知られた方法を使用して、核酸中に容易に取り込まれうる;核酸中に容易に取り込まれうる任意の便利な蛍光または化学発光ラベルもまた含まれる。さらに“検出可能なレベル”という語は、他の分子に結合することによって検出されうる分子もまた含む(ストレプトアビジンに結合することによって検出可能なビオチンのように);および無色の化合物を有色の化合物に変換することによって検出されうる酵素のような分子もまた含む(例えば、アルカリフォスファターゼは、無色の0−ニトロフェニルフォスフェートを有色の0−ニトロフェノールに変換しうる。)、または逆もまた同様。便利なことに、核酸プローブは、固定したアッセイにおいてある位置を占めるかもしれない、および核酸がヒトDNAの上記の領域にハイブリッドを形成するかどうかは、固定されたアッセイにおけるハイブリッド形成の位置を参照することによって決定されるかも知れない。検出可能なラベルは、Tyagi & Kramer (1996) Nature Biothechnology 14, 303−308に述べられているように、蛍光発色団−消光剤の一対でもあるかもしれない。
便利なことに、血管発達が異常を示す状態の本診断法法において、上記の選択的なハイブリッドを形成できる核酸は(検出可能なラベルで標識され、または標識されず)ハイブリッド形成条件下、患者由来の核酸に接触される。適切なハイブリッド形成条件は、上述されたものを含む。
血管発達が異常を示す状態を診断する本方法は、関連領域中の一つまたはそれ以上の関連する位置でのDNAのシークエンシングを伴うかも知れない。それは、ダイレクトシークエンシングを含む;PCRで増幅したエキソンのダイレクトシークエンシング;関連領域中の一つまたはそれ以上の関連する位置でのハイブリッド形成を意図したオリゴヌクレオチドプローブの、様々なハイブリッド形成(便利なことに、これは、技術的によく知られる“チップ”システムと呼ばれる固定化したオリゴヌクレオチドを使用する。);適当な制限酵素での切断後の変性ゲル電気泳動、好ましくは、関連するDNA領域の増幅後;S1ヌクレアーゼ配列分析;非変性ゲル電気泳動、好ましくは、関連するDNA領域の増幅後;慣習的なRFLP (制限断片長多型)アッセイ;ヘテロデュプレックス分析;オリゴヌクレオチドを使用して選択的なDNAの増幅;間期染色体の蛍光in−situハイブリッド形成(FISH);特異的な変異のためにARMS−PCR(増幅refractory mutation system−PCR);ハイブリッドを形成した核酸におけるミスマッチ部位での切断(化学的または酵素的な切断);SSCP一本鎖立体構造多型またはDGGE(不連続または変性グラジエントゲル電気泳動);PCRで増幅した正常/変異型DNAにおけるミスマッチを検出するための分析;および蛋白質短縮アッセイ(エキソンの翻訳および転写−もし変異が停止コドンを挿入した場合、短縮蛋白質産物が生じる)。他の方法は、第一次配列における変化に起因する一本鎖王してDNAの二次構造における変化を検出することのようなことに使われるかも知れない、例えば、クリバーゼ I酵素を使用して。このシステムはGibcoBRL,Life Technologies, 3Fountain Drive, Inchinnan Business Park, Paisley PA49RF, Scotlandから購入可能である。
本発明の方法は、”DNAチップ”上で行われることが認識される。そのような”チップ”は、US 5,445,934 (Affymetrix; probe array)、WO 96/31622 (Oxford; probe array plus ligase or polymerase extension)、およびWO 95/22058 (Affymetrix; fluorescently marked targets bind to oligomer substrate, and location in array detected)に述べられている; これら全て参考としてここに示す。
変異検出の詳細な方法は、”Laboratory Protocols for Mutation Detection” 1996, ed. Landegren, Oxford University Press on behalf of HUGO (Human Genome Organisaton)に述べられている。
RFLPが、かなり大きい(>500塩基)欠失または挿入の検出に使用されれば、好ましい。サザンブロットは、本発明のこの方法に使用されるかもしれない。
小さい領域(最大300塩基)のPCRによる増幅は、3−4塩基対の挿入または欠失より大きいが、小さな変化を検出するために、好ましいかもしれない。増幅した配列は、シークエンシングゲルで分析され、小さな変化(最小で3−4塩基対)が可視化されうる。適切なプライマーは、ここに述べられるように設計される。
さらに、サザンブロット分析、またはPCRのどちらかを使用して、制限酵素異形部位が検出されるかもしれない。例えば、ゲノムDNAにおける異形部位を分析するために、制限酵素消化、ゲル電気泳動、サザンブロッティング、およびハイブリッド形成特異的プローブ(例えば、ECSM4またはECSM1 cDNAあるいは遺伝子由来の任意の適切なプローブ)。
例えば、PCRを使用して異形部位を分析するために、DNA増幅、制限酵素消化、エチジウムブロマイド、銀染色、または放射性ヌクレオチドの取り込みによるゲル検出、あるいはPCRにおける蛍光プライマー。
他の適切な方法は、特異的な変異イベントのための形質特異的オリゴヌクレオチド(ASOs)の開発を含む。同様の方法が、適切な問題にあたってRNAおよびcDNAに使用される。
ECSM4またはECSM1遺伝子の任意の部分における変異を検出することが、有用である一方で、変異が遺伝子のエクソンで検出されれば好ましく、変異がコードする鎖を変えるものであればさらに好ましい。これらの変異の検出は、本発明の好ましい特徴点である。
本発明の方法はまた、ヘテロ接合性の欠失(LOH;一コピーの欠失を示す)を確認することを含む。LOHは、診断の十分なマーカーである;第二の形質の変異/欠失を探索する必要はないかもしれない。遺伝子のLOHは、遺伝子のコード配列、およびイントロンにおける多形性を使って検出されるかもしれない。
本発明の前述の方法において使用される特に好ましい核酸は、核酸を増幅するために適した一群のプライマーから選択されるものである。
適切には、プライマーは、ECSM4またはECSM1遺伝子またはcDNA配列を示す、任意の図に示されたヌクレオチド配列にハイブリッドを形成する、一群のプライマーから選択される。プライマーがECSM4またはECSM1遺伝子のイントロンにハイブリッド形成すれば、あるいはプライマーがECSM4またはECSM1遺伝子またはcDNA由来のDNAの合成を開始するが、他の遺伝子またはcDNAからは開始しないものであれば、特に好ましい。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR; Saiki et al (1988) Science 239, 487−491)における使用に適したプライマーが、好ましい。適切なプライマーおよびPCR反応産物の検出法は、上に詳細に述べる。
任意の核酸増幅プロトコルが、ポリメラーゼ連鎖反応、QBレプリカーゼ、およびリガーゼを含む、本発明の方法において使用されうる。また、NASBA (核酸配列に基づく増幅)は、Compton (1991) Nature 350, 91−92 およびAIDS (1993), Vol 7 (Suppl 2), S108に述べられるように使用されうる、あるいはSDA (ストランド置換増幅)は、Walker et al (1992) Nucl. Acids Res. 20, 1691−1696に述べられるように使用されうる。ポリメラーゼ連鎖反応が、その単純性のために、特に好ましい。
本発明は、実施例1の表8に述べられたゲノムクローンのヒト由来DNA、またはECSM4またはECSM1遺伝子、またはそれらの変異体形質、あるいは血管発達が異常である状態の診断法において、またはこれらの方法を実施するための薬剤の製造において、ECSM4またはECSM1 cDNA、またはそれらの変異体形質、またはそれらの相補鎖に選択的にハイブリッド形成する核酸の使用を与える。
好ましいポリヌクレオチドは、ECSM4遺伝子またはcDNAに選択的にハイブリッド形成し、診断法に関して上述したようなものである。
また、本発明は、上記のECSM4またはECSM1遺伝子の存在の有無、またはそれにおける変異を決定する方法を与える。好ましくは、その方法は、患者由来の適切なサンプルを使用する。
本発明の方法は、ECSM4またはECSM1遺伝子における変異の検出を含む。
本発明の方法は、変異によって生じた制限酵素切断部位における差異を利用させるかもしれない。非変性ゲルが、適切な制限酵素での消化で生じた断片の長さの差を検出するために利用されるかもしれない。
“適切な制限酵素”は、野生型配列を認識、切断するが、変異型配列を認識、切断しないものであり、あるいはその逆もまた同様である。制限酵素によって認識、切断される(またはされない、場合による)配列は、変異の結果として生じ、あるいは変異は、PCR反応において、ミスマッチオリゴヌクレオチドを使用することにより、正常または変異体形質に挿入されうる。酵素が、DNAをまれにのみ切断するような場合、言い換えれば酵素の配列認識が、まれにのみ起こる場合、便利である。
他の方法において、一対のPCRプライマーが使用され、それは野生型遺伝型または変異体遺伝型のどちらかに、一致するが、両方には一致しない。増幅されたDNAが生じるかどうかは、野生型または変異体遺伝型(こうして表現型)を示している。しかしながら、この方法は、技術的な失敗でありうる否定的な結果(例えば、増幅したDNAがない)に部分的に基づいている。それゆえに、あまり信頼性がなく、および/または追加の対照実験を必要とする。
好ましい方法は、同様だが、野生型または変異体配列の一つのみにハイブリッドを形成するPCRプライマーを使用し、それらは、野生型または変異型配列の他には存在しない制限部位を導入する。
ECSM4またはECSM1遺伝子またはcDNAに選択的にハイブリッドを形成する、あるいは実施例1の表8にリストにされたようなECSM4またはECSM1を含む、ゲノムクローンに選択的にハイブリッドを形成する、核酸は、多くの目的に有用である。それらは、ゲノムDNAに対するサザンハイブリダイゼーションに、およびすでに上述した点変異を検出するためのRNase保護法に使用されうる。プローブは、PCR増幅産物を検出するために使用されうる。それらはまた、他の技術を使ったサンプルにおいて、ECSM4またはECSM1遺伝子あるいはmRNAとのミスマッチを検出するために使用されうる。ミスマッチは、酵素(例えば、S1ヌクレアーゼ、またはリゾルベース)、化学物質(例えば、ヒドロキシルアミン、またはオスミウムテトロキシドおよびピペリジン)、あるいは完全に一致したハイブリッドに比較して、ミスマッチのハイブリッドの電気泳動度における変化のどれかを用いて、検出されうる。これらの技術は、技術的によく知られている。一般的に、プローブは、ECSM4またはECSM1遺伝子コード配列に相補的であるが、ある種のイントロンに対するプローブもまた、考慮される。一組の核酸プローブは、野生型ECSM4またはECSM1遺伝子における欠失または変異の検出用キットを構成するために使用されるかもしれない。そのキットは、ECSM4またはECSM1遺伝子全長へのハイブリッド形成を可能にする。プローブは、お互い重複し、または連続しているかもしれない。
リボプローブがmRNAとのミスマッチを検出するために使用される場合、それは、ヒトECSM4またはECSM1遺伝子のmRNAに相補的である。このように、リボプローブは、ECSM4またはECSM1遺伝子によってコードされる蛋白質をコードしない、アンチセンスプローブである。なぜなら、それはセンスストランドに対して反対の極性を持つためである。一般的にリボプローブは、ラベルされ、例えば放射性ラベルされ、それは技術的に知られた任意の方法によって行われうる。リボプローブが、DNAとのミスマッチを検出するために使用される場合、それはセンスまたはアンチセンスどちらかの極性を持ちうる。同様に、DNAプローブはまた、ミスマッチを検出するために使用されるかもしれない。
核酸プローブはまた、ECSM4またはECSM1遺伝子の変異体形質に相補的であるかもしれない。これらは、ミスマッチよりむしろハイブリッド形成の根拠で、他の患者における同様の変異を検出するために有用である。上述したように、ECSM4またはECSM1遺伝子プローブはまた、欠失や挿入のような著しい染色体上の変化を検出するための、ゲノムDNAに対するサザンハイブリダイゼーションにおいて使用されうる。
ECSM4またはECSM1遺伝子における変異を検出する、特に有効な方法は、DNAチップ、およびシークエンシングを使用した、1本鎖構造多形性(SSCP)、ヘテロデュプレックス分析、ポリメラーゼ連鎖反応、を含む。
患者由来の核酸を含む任意のサンプルは、本発明の方法において有用である。サンプル中の核酸がDNAであれば好ましい。このように、細胞からのサンプルは、技術的によく知られているように、例えば、血液サンプル、または頬の細胞、またはその同様のものから、採取されるかもしれない。方法が、胎内の子供に変異が存在するや否やを決定するために使用されている場合、サンプルが、胎内の子供の核酸を含む母親のサンプルであれば、好ましい。適切な母親のサンプルは、胎児の細胞を単離できる、母親の羊水、絨毛膜絨毛サンプル、および血液サンプルを含む。
本発明のさらなる特徴点は、選択的にECSM4またはECSM1の発現を妨げる薬剤を患者に投与することを含む、患者におけるECSM4またはECSM1ポリヌクレオチドの発現を減少させる方法を含む。
好ましい実施態様において、選択的にECSM4またはECSM1の発現を妨げる薬剤は、アンチセンス核酸である。
好ましくは、アンチセンス核酸は、配列が、EP 1074617のSEQ ID No 18084、または5096、WO 00/53756あるいはWO 99/46281のSEQ ID No 210、WO 01/23523のNos 22、23、96、または98、あるいはWO 99/11293のSEQ ID No 31、あるいはその相補鎖、あるいはアミノ酸配列が、EP 1074617のSEQ ID No 18085、WO 00/53756あるいはWO 99/46281のSEQ ID No 211、WO 01/23523のNos 24−27、29、30、33、34、38または39、あるいはWO 99/11293のSEQ ID No 86、の任意の一つによって表されるポリペプチド、をコードする核酸配列によって表される配列から構成されるもの(または、に対するアンチセンスではない)ではない。
それらのさらなる特徴点は、ECSM4またはECSM1の発現を妨げるために、アンチセンスを細胞に投与することを含む。一般的に、細胞はECSM4またはECSM1の発現を妨げる必要のある患者のものである。
アンチセンス分子が結合するECSM4またはECSM1ポリヌクレオチドは、DNAまたはRNAであるかもしれない。
好ましいアンチセンス分子は、上述したようなものである。
ECSM4またはECSM1の発現を減少させることによって治療されるかもしれない疾患は、上述したように、異常な、または過剰な血管新生を伴う疾患を含む。
アンチセンス核酸は、技術的によく知られ、一般的に相補的な核酸配列に特異的に結合することのできる、一本鎖の核酸である。適当な標的配列に結合することによって、RNA−RNA、DNA−DNA、またはRNA−DNA二重鎖が形成される。これらの核酸が、しばしば”アンチセンス”と名づけられるのは、それらが遺伝子のセンスまたはコードストランドに相補的であるからである。最近、三重へリックスの形成が、オリゴヌクレオチドがDNA二重鎖に結合することで、可能なことが証明されている。オリゴヌクレオチドは、DNA二重鎖の主要な溝で配列を認識しうることが明らかになった。それによって、三重へリックスが形成された。これは、二重鎖DNAに、主要な溝の水素結合部位の認識をつうじて特異的に結合する、配列特異的な分子を合成することが可能であることを示唆している。
標的核酸に結合することによって、上のオリゴヌクレオチドは、標的核酸の機能を阻害することができる。これは、例えば、転写、プロセシング、ポリ(A)付加、複製、翻訳、を阻害すること、あるいは細胞の阻害機構を促進することの結果でありうる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、研究室内で調製され、そうして細胞へ導入される。例えば、マイクロインジェクションまたは細胞培養培地から細胞への取り込みによって。あるいは、それらはアンチセンス遺伝子をもつプラスミド、またはレトロウイルス、または他のベクターでの形質導入後、細胞において発現される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ラウス肉腫ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、1型単純ヘルペスウイルス、シミアンウイルス、およびインフルエンザウイルスの細胞培養においてウイルス複製、または発現を阻害することが初めて発見された。そうしてアンチセンスオリゴヌクレオチドによるmRNA翻訳阻害が、ウサギ赤血球ライセートおよびコムギ胚抽出物を含む、無細胞系において、広く研究されている。アンチセンスオリゴヌクレオチドによるウイルス機能の阻害は、AIDS HIV レトロウイルスRNAに相補的であるオリゴヌクレオチドを使用して、in vitro示された(Goodchild, J. 1988 “Inhibition of Human Immunodeficiency Virus Replication by Antisense Oligodeoxynucleotides”, Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85(15), 5507−11)。Goodchildの研究は、最も効果的なオリゴヌクレオチドは、ポリ(A)シグナルに相補的であり;また効果的なものは、RNAの5’末端を、標的としたものであり、特にキャップ、および5’非翻訳領域が、プライマー結合部位に隣接し、およびプライマー結合部位である場合である。キャップ、5’非翻訳領域、およびポリ(A)シグナルは、レトロウイルスRNAの末端(領域)に反復される配列中に存在し、これらに相補的なオリゴヌクレオチドは、RNAに二倍に結合するかもしれない。
一般的に、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、15から35塩基の長さをもつ。例えば、20merのオリゴヌクレオチドは、表皮成長因子受容体mRNAの発現を阻害することが示されており(Witters et al, Breast Cancer Res Treat 53: 41−50 (1999))、25merのオリゴヌクレオチドは、副腎皮質ホルモンの発現を90%以上、減少させることが示されている(Frankel et al, J Neurosurg 91: 261−7(1999))。しかしながら、この範囲外の長さのオリゴヌクレオチド、例えば、10、11、12、13、または14塩基、あるいは36、37、38、39、または40塩基、を使用するのが望ましいかもしれないことが認識されている。
オリゴヌクレオチドは、細胞の内生のヌクレアーゼによって分解、または不活性化されることを仮定している。この問題に立ち向かうために、改変されたオリゴヌクレオチド、例えば変化したヌクレオチド間の結合を持つもの、を使用することが可能である。そこでは、本来形成されているフォスフォジエステル結合が他の結合に置き換えられている。例えば、Agrawal et al (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 7079−7083は、オリゴヌクレオチドフォスフォアミデートおよびフォスフォロチオエートを使用して、HIV−1の組織培養における阻害の増加を示した。Sarin et al (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 7448−7451は、オリゴヌクレオチドメチルフォスフォネートを使用して、HIV−1の阻害の増加を示した。Agrawal et al (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86, 7790−7794は、ヌクレオチド配列特異的オリゴヌクレオチドフォスフォロチオエートを使用して、感染初期および慢性的感染状態、両者の細胞培養において、HIV−1複製の阻害を示した。Leither et al (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 3430−3434は、オリゴヌクレオチドフォスフォロチオエートによる、インフルエンザウイルスの組織培養において、複製の阻害を報告している。
人工的な結合を持つオリゴヌクレオチドは、in vivo、分解に体制であることが示されている。例えば、Shaw et al (1991)は、Nucleic Acid Res. 19, 747−750において、他に改変していないオリゴヌクレオチドが、ある種のキャッピング構造による3’末端でブロックされたときに、ヌクレアーゼにより耐性になること、およびキャップされていないオリゴヌクレオチドフォスフォロチオエートが、in vivo分解されないことを報告している。
オリゴヌクレオチドフォスフォロチオエートを合成するための、H−フォスフォネートアプローチの詳細な記述は、Agrawal and Tang (1990) Tetrahedron Letters 31, 7541−7544に与えられ、その説明は、参考にここに示される。オリゴヌクレオシドメチルフォスフォネート、フォスフォロヂチオエート、フォスフォラミデート、リン酸エステル、架橋フォスフォラミデート、および架橋フォスフォロチオエートの合成は、技術的に知られる。参照、例えば、Agrawl and Goodchild (1987) Tetrahedron Letters 29, 2911; Jager et al (1988) Biochemistry 27, 7237; Uznanski et al (1987) Tetrahedron Letters 28, 3401; Bannwarth (1988) Helv. Chim. Acta. 71, 1517; Crosstick and Vyle (1989) Tetrahedron Letters 30, 4693; Agrawl et al (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 1401−1405,その説明は、参考にここに示される。合成または生産の他の方法もまた可能である。好ましい実施態様において、オリゴヌクレオチドはデオキシリボ核酸(DNA)であるが、リボ核酸(RNA)配列もまた合成および適用されるかもしれない。
本発明に有用なオリゴヌクレオチドは、好ましくは、内生の核酸分解酵素による分解に耐性を示すように設計される。オリゴヌクレオチドのin vivo分解は、長さの減少したオリゴヌクレオチド分解産物を生じる。そのような分解産物は、非特異的なハイブリッドの形成の原因となる可能性が高く、その完全長のものに比較してあまり効果的でない。このように、体内での分解に耐性であり、標的細胞へ到達できるオリゴヌクレオチドを使用することが望ましい。本発明のオリゴヌクレオチドは、天然のホスホジエステル結合に対して一つ以上の内部人工的ヌクレオチド間結合を置換することによって、例えば結合中の硫黄でリン酸を置換することによって、分解に対してより耐性とすることができる。使用可能な結合の例は、ホスホロチオアート、メチルホスホナート、スルホン、スルファート、ケチル、ホスホロジチオアート、各種のホスホルアミダート、ホスファートエステル、架橋化ホスホロチオアート、及び架橋化ホスホルアミダイトを含む。他のヌクレオチド間結合は当該技術分野で知られているので、上記の例は制限的というよりはむしろ説明的である。例えば、Cohen, (1990) Trends in Biotechnologyを参照。ホスホジエステルヌクレオチド間結合に対して置換される一つ以上のこれらの結合を有するオリゴヌクレオチドの合成は、当該技術分野で知られており、混在ヌクレオチド間結合を有するオリゴヌクレオチドを生産するための合成経路を含む。
オリゴヌクレオチドは、キャっピングによって、あるいは、5’、または3’末端のヌクレオチド上に同様の基を取り込むことによって、内生の酵素による伸長に耐性になりうる。キャッピングのための試薬は、Amino−LinkIITMとしてApplied BioSystems Inc, Foster City, CAから購入できる。キャッピングの方法は、例えば、Shaw et al (1991) Nucleic Acids Res. 19, 747−750およびAgrawl et al (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88 (17), 7595−7599によって述べられている。その説明は、これによって参考としてここに示される。
ヌクレアーゼの作用に耐性のオリゴヌクレオチドを作製する更なる方法は、それらにとって、ここに参考として示されるTang et al (1993) Nucl. Acid. Res. 21, 2729−2735、によって述べられているように、“自己−安定化”である。自己安定化されたオリゴヌクレオチドは、その3’末にヘアピンループ構造をもち、蛇毒フォスフォヂエステラーゼ、DNAポリメラーゼI、およびウシ胎児血清による分解への耐性が増加する。オリゴヌクレオチドの自己安定化された領域は、相補的な核酸とのハイブリッド形成を阻害せず、マウスにおける薬理動力学、および安定性の研究は、線状のオリゴヌクレオチドに比べ、自己安定化されたもののin vivo持続性が増すことが示している。
本発明と一致して、アンチセンス化合物は、規則正しく投与されるかもしれない。または、塩基対形成といった、アンチセンスオリゴヌクレオチドの特徴的な固有の結合特異性は、in vivoその目的の部位にアンチセンス化合物の利用を制限することで、高められ、使用される投与量を低く抑えたり、全身の効果を最小にしたりすることを可能にする。このように、オリゴヌクレオチドは、望ましい効果をうるために、局所的に適用されるかもしれない。目的の部位でのオリゴヌクレオチドの濃度は、オリゴヌクレオチドが全身に投与される場合、および療法効果が全体量を有意に低く抑えることによって実行される場合よりも高くなる。局所的に高いオリゴヌクレオチドの濃度は、標的細胞への浸透を高め、標的の核酸配列の翻訳を効果的に阻害する。
オリゴヌクレオチドは、局所に薬剤の投与を局所的にするために適した任意の方法によって運ばれうる。例えば、オリゴヌクレオチドの溶液は、直接その部位に注入されうる、あるいは浸出液ポンプによるインフュージョンによって運ばれうる。オリゴヌクレオチドはまた、目的の部位に設置されたときに、オリゴヌクレオチドを周りの部位への放出を可能にする、埋め込むことが可能な装置に入れられうる。
オリゴヌクレオチドは、ヒドロゲル物質によって投与されるかもしれない。Hydorogelは、非炎症性かつ生分解性である。多くのそのような物質が知られ、天然および合成のポリマーから製造されたものを含む。好ましい実施態様において、本方法は、体温より低い温度で液体であるが、体温、あるいは体温近くでは、形を残す半固形のヒドロゲルを形成するゲルである、ヒドロゲルを利用する。好ましいヒドロゲルは、エチレンオキシド−プロピレンオキシドを繰り返し単位とするポリマーである。ポリマーの性質は、ポリマーの分子量、およびポリマー中のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの相対的な割合に依存する。好ましいヒドロゲルは、重量で約10%から約80%のエチレンオキシドと重量で約20%から約90%のプロピレンオキシドを含む。使用可能なヒドロゲルは、例えば、tradename PluronicRのもとBASF Corp., Parsippany, NJ,から購入できる。
本実施態様において、ヒドロゲルは液状に冷やされ、オリゴヌクレオチドは、ヒドロゲル 1グラムあたり約1mgのオリゴヌクレオチドの濃度で液体に混ぜられる。生じた混合液は、そうして治療されるべき表面に塗られる。例えば、手術中にスプレー塗布、または塗ることによって、あるいはカテーテル、または内視鏡の方法を使用することによって。ポリマーが温まると、ゲルを形成するように固化し、オリゴヌクレオチドは、ゲルの正確な組成によって決まる時間にわたって、ゲルから周りの細胞へ拡散する。
オリゴヌクレオチドまたは他の薬剤は、腫瘍の外科的な除去後に投与されるかも知れず、腫瘍が除去された範囲、および周りの組織に、例えばオリゴヌクレオチドまたは他の薬剤を適切に塗布するためにcytoscopyを使用して、投与されるかもしれない。
オリゴヌクレオチドは、購入可能な、あるいは科学的な文献に述べられている、リポソーム、マイクロカプセル、および移植可能な装置、を含む他の移植片によって投与されうる。例えばポリアンヒドリド、ポリオルソエステル、ポリ酪酸、およびポリグリコリック酸、およびそれらの共重合物、のような生分解性の物質で製造された移植片、コラーゲン、および蛋白質ポリマー、あるいはエチレンビニル酢酸(EVAc)、ポリビニル酢酸、エチレンビニルアルコール、およびその誘導体のような非生分解性の物質が、オリゴヌクレオチドを局所的に配送するために使用されうる。オリゴヌクレオチドは、融解または溶媒気化の技術を使用して、ポリマー化、あるいは固形化され、または物質と機械的に混合されて、その物質内に取り込まれうる。ある実施態様において、オリゴヌクレオチドは、デキストランコートしたビーズ、stentsまたはカテーテルのような移植できないコーティングに混ぜられ、あるいはその上に塗布される。
オリゴヌクレオチドの投与量は、オリゴヌクレオチドのサイズとそれが投与される目的に依存する。一般的に、その幅は、治療されるべき組織の表面領域に基づいて計算される。オリゴヌクレオチドの効果的な投与量は、オリゴヌクレオチドの長さ、および化学的組成にいくらか依存するが、一般的に組織表面領域の平方センチメートルあたり約30から3000mgである。
オリゴヌクレオチドは、療法および予防の目的で、患者全身に投与されるかもしれない。オリゴヌクレオチドは、任意の効果的な方法、例えば、非経口的に(例えば、静脈内、皮下に、筋肉内に)あるいは口腔、鼻腔、またはオリゴヌクレオチドが患者の血流に到達および循環することを可能にするほかの手段によって、投与されるかもしれない。全身に好ましく投与されたオリゴヌクレオチドは、局所的に投与されるオリゴヌクレオチドに加え、与えられ、また局所的な投与を行わない場合にも有用である。投与量の幅は、成人ヒトへの投与に対して、約0.1から約10グラムであり、この目的には効果的であろう。
アンチセンス薬剤はまた、上記のECSM4またはECSM1 mRNA、または遺伝子に結合する、および上記のECSM4またはECSM1 mRNA、または遺伝子の発現を実質的に阻害する、および上記のECSM4またはECSM1 蛋白質の発現を実質的に妨げる大きな分子を含むことが認識される。このように、上記のECSM4またはECSM1 mRNAに実質的に相補的であるアンチセンス分子の発現は、本発明の一部として把握される。
上記の大分子は、下に述べられるように、そして患者に配送されるような任意の遺伝子構築物から発現されるかもしれない。一般的に、アンチセンス分子を発現する遺伝子構築物は、少なくとも上記のECSM4またはECSM1 cDNAまたは遺伝子の一部を含む。そしてこれらのcDNAまたは遺伝子は、細胞内でアンチセンス分子を発現することのできるプロモーターに、操作可能なように連結される。内皮細胞で活性を持つかもしれないプロモーターは、下に述べられる。
遺伝子構築物は、DNAまたはRNAでありうるが、DNAであれば好ましい。
好ましくは、遺伝子構築物はヒト細胞への配送に適している。
遺伝子構築物を動物体内の細胞へ導入する意味および方法は、技術的に知られる。例えば、本発明の構築は、増殖する内皮細胞へ、任意の便利な方法、例えばレトロウイルスを伴う方法、によって導入されるかも知れず、構築は、内皮細胞ゲノムに挿入される。例えば、Kuriyama et al (1991) Cell Struc. And Func. 16, 503−510において、精製レトロウイルスが投与されている。レトロウイルスは、増殖する内皮細胞を選択的に感染させる潜在的な方法を与える。なぜなら、ウイルスは分裂する細胞のゲノムにのみ組み込まれることが可能であり;多くの内皮細胞が細胞成長の休止中、非受容性の状態にあり、少なくとも新生血管細胞ほど急速に分裂することはないためである。レトロウイルスDNA構築は、上記のアンチセンス薬剤をコードし、技術的によく知られた方法を使用して、調製されるかもしれない。そのような構築から活性的なレトロウイルスを生産するために、通常10%ウシ胎児血清(FCS)を含むDulbecco’s改変Eagle’s培地(DMEM)で生育したecotropic psi2 packaging細胞系統が使用される。細胞系統の形質導入は、カルシウムリン酸共沈降によって簡便に行われ、安定な形質転換体は、G418を終濃度1mg/ml(neoR遺伝子を含むレトロウイルス構築をもつ)での添加により選択される。独立なコロニーが単離され、増幅され、培養上清が取り除かれ、0.45mm孔フィルターを通してろ過され、−70℃で保存される。腫瘍細胞へのレトロウイルスの導入には、10mg/mlのポリブレンが添加されたレトロウイルス上清を直接注入する、間便なものである。直径で10mmを超える腫瘍には、0.1mlから1mlの間のレトロウイルス上清;好ましくは0.5ml、を注入することが適している。
または、Culver et al (1992) Science 256, 1550−1552に述べられているように、レトロウイルスを産生する細胞が、特異的な組織に注入される。そうして導入されたレトロウイルス産生細胞は、ベクターの生産が、腫瘍塊でin situに連続的に生じるように、レトロウイルスベクター粒子を高い活性で生産するように加工される。このように増殖する内皮細胞は、レトロウイルスベクター産生細胞と混合されれば、in vivo成功裡に導入されうる。
標的に導入されたレトロウイルスはまた、本発明の使用に適している;例えば、配列の与える特異的な結合特異性は、すでに存在するウイルス由来env遺伝子内に加工されるかもしれない(参照Miller & Vile (1995) Faseb J, 9, 190−199遺伝子療法のための、本および他の標的ベクターの評価として)
他の方法は、制限したときに、その中で発現するように、細胞内への構築の簡単な配送、つづいて長時間を経てゲノム内への組み込みを伴う。後者のアプローチの例は、(好ましくは、内皮細胞標的の)リポソームである(Nassander et al (1992) Cancer Res. 52, 646−653)。
イムノリポソーム(抗体を配向したリポソーム)は、抗体が結合可能な細胞表層蛋白質を発現する内皮細胞種を標的とするのに、特に有効である。
配送の他の方法は、キャリアーとして抗体−ポリリジン架橋(参照Curiel Prog. Med. Virol. 40, 1−18)、およびトランスフェリン−ポリカチオン結合(Wagner et al (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 3410−3414)を介して外来のDNAを保持するアデノウイルスを含む。これらの最初の方法において、ポリカチオン−抗体複合体が本発明のDNA構築、または他の遺伝子構築物とともに形成され、そのなかで抗体は、野生型アデノウイルスまたは異形アデノウイルスのどちらかに特異的であり、それに導入された新たなエピトープが抗体に結合する。ポリカチオン部分は、リン酸骨格との静電的な相互作用を介してDNAに結合する。アデノウイルスは、改変されていない繊維およびペントン蛋白質を含むので、細胞内に取り込まれ、それを取り込んだ細胞に、本発明のDNA構築を運び込む。ポリカチオンはポリリジンであれば好ましい。
DNAはまた、アデノウイルスによって配送され、その中で例えば、下に述べるように、アデノウイルス粒子内に存在する。
これらの二番目の方法において、DNA巨大分子を細胞内へ運び込むために、エンドサイトーシスを利用する、高効率核酸配送システムが使用される。これは、鉄輸送蛋白質トランスフェリンを核酸に結合するポリカチオンに結合することによって、実施される。ヒトトランスフェリン、またはニワトリホモログ、コナルバミンまたはそれらの組み合わせが、小DNA結合蛋白質プロタミンまたはジスルフィド結合による多様なサイズを有するポリリジンに共有結合される。これらの改変されたトランスフェリン分子は、それらの本来の受容体への結合活性、および細胞内への効果的な鉄輸送活性を維持している。トランスフェリン−ポリカチオン分子は、核酸の長さに独立な(短いオリゴヌクレオチドから21キロ塩基対のDNAまで)、本発明のDNA構築または他の遺伝子構築物と、電気泳動的に安定な複合体を形成する。トランスフェリン−ポリカチオン分子と本発明のDNA構築または他の遺伝子構築物の複合体が、内皮細胞に供給されると、細胞において構築からの高レベルの発現が期待される。
Cotton et al (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 6094−6098の方法によって調製された、欠損を持つまたは化学的に不活化されたアデノウイルス粒子のエンドソーム破壊活性を利用した、本発明のDNA構築または他の遺伝子構築物の受容体を介する高効率の配送もまた、使用される。このアプローチは、アデノウイルスがリソソームに到達することなく、エンドソームでのDNA放出が可能なように最適化されるという事実にもとづいているようであり、例えば本発明のDNA構築または他の遺伝子構築物を結合したトランスフェリンの存在下、構築は、アデノウイルスと同様の経路をによって細胞に取り込まれる。
このアプローチは、複合体レトロウイルス構築の使用を必要としない利点をもつ;レトロウイルス感染を起こすためのゲノムの透過性を上昇させる改変を必要とせず;標的発現システムが、標的配送システムに共役され、他の細胞種への毒性を減少させる。
定期的に、遺伝子構築物を含む、適切な配送vehicleで腫瘍を局所的に還流することが望ましいかもしれない;さらに、あるいはまたは、配送vehicleおよび遺伝子構築物は、到達可能な腫瘍に直接注入されうる。
“むきだしのDNA”および陽性電荷をもつ、および中性脂質と複合体形成したDNAはまた、本発明のDNAを治療されるべき患者の細胞へ導入することに有効であるかもしれない。遺伝子療法への非ウイルス的アプローチは、Ledley (1995) Human Gene Therapy 6, 1129−1144に述べられている。
代わりの標的配送システムもまた、WO 94/10323に述べられている改変アデノウイルスシステムのように知られている。そのなかで、DNAは一般的に、アデノウイルス、またはアデノウイルス様粒子内に保持される。Michael et al (1995) Gene Therapy 2, 660−668は、繊維蛋白質に細胞選択的な分子を加えるためのアデノウイルスの改変を述べている。変異体アデノウイルスは、Bischoff et al (1996) Science 274, 373−376に述べられているもののように、p53欠損ヒト腫瘍細胞において選択的に複製し、細胞内への本発明の遺伝子構築物を運び込むことにも有用である。このように、本発明の更なる特徴点は、本発明の遺伝子構築物を含むウイルス、またはウイルス様粒子を与えることが認識される。他の適切なウイルス、またはウイルス様粒子は、HSV、AAV、vaccinia、およびパルボウイルスを含む。
さらなる実施態様において、ECSM4またはECSM1の機能を選択的に阻害する薬剤は、標的配送されたECSM4またはECSM1 RNAまたはDNAを切断するリボザイムである。上記のリボザイムを発現する遺伝子は、アンチセンス分子のためのvehicleと実質的に同じものにおいて、および使用して投与されるかもしれない。
ここに発表されたウイルス、またはウイルス様粒子のゲノムにコードされるかもしれないリボザイムは、Cech and Herschlag “Site−specific cleavage of single stranded DNA” US 5,180,818、Altman et al “Cleavage of targeted RNA by RNAse P” US 5,168,053、Cantin et al “RNA ribozyme restriction endoribonucleases and methods” US 5,116,742; Been et al “RNA ribozyme polymerases, dephosphorylases, restriction endonucleases and methods”、US 5,093,246;およびBeen et al “RNA ribozyme polymerases, dephosphorylases, restriction endoribonucleases and methods; cleaves single−stranded RNA at specific site by transesterification” US 4,987,071、すべて参考としてここに示す、に述べられている。
アンチセンス分子またはリボザイムは細胞特異的なプロモーター要素から発現されるのが望ましいかもしれないことが、認識されている。
本発明の遺伝子構築物は、技術的によく知られた方法を使用して調製することが可能である。
本発明のさらなる特徴点は、ECSM4、または適切な異形、その断片または融合体、または上記の化合物の融合体、またはその融合体に結合する分子のスクリーニング法であり、1)a)ECSM4ポリペプチドをb)試験分子と接触させること、2)ECSM4ポリペプチドおよび試験分子を含む複合体の存在を検出すること、および任意に3)ECSM4ポリペプチドに結合した任意の試験分子を検出すること、を含む方法である。
好ましくは、ECSM4ポリペプチドは、本発明の第十一の特徴点に関して上述されたようなものである。
好ましい実施態様において、試験分子はポリペプチドである。
さらなる実施態様において、方法は、ECSM4の天然のリガンドを同定するために使用される。このように本実施態様において、試験分子は、ECSM4の天然のリガンドを含む。ポリペプチド分子の天然のリガンドを同定するための、特に有用な技術は、酵母two−hybrid技術である。この技術は、よく知られ、結合するとレポーター遺伝子の転写を促進する転写複合体の二つの部分(一方を問題の分子に、他方を試験リガンドに融合させる)を一緒にさせる、分子とその本来のリガンドとの間の結合に基づいている。
このように、本発明のこの特徴点の好ましい実施態様は、スクリーニング法、好ましくは酵母two−hybrid system、をECSM4ポリペプチドの天然のリガンドを同定するために使用することを含む。
ECSM4ポリペプチドへの結合として同定できる分子は、本発明のさらなる特徴点である。
ECSM4に結合する分子は、ECSM4の活性化を調整するかもしれないことが認識される。
ECSM4に結合する適切なペプチドリガンドは、技術的に知られた方法を使用して同定されるかもしれない。
Scott and Smith (1990) Science 249, 386−390およびCwirla et al (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 6378−6382によって発表された、一つの方法は、線状バクテリオファージ、M13またはfdのような、の広大なライブラリーのスクリーニングを伴う。ライブラリーの各構成要素は、バクテリオファージ表面上の蛋白質に融合された、様々な蛋白質をもつ。ECSM4に結合するライブラリーのこれら構成要素が、反復結合プロトコルを使用して選択され、いったん強固に結合するファージは精製され、ペプチドリガンドの配列は、表面蛋白質融合体をコードするDNAをシークエンシングすることによって簡単に決定されるかもしれない。使用されうる他の方法は、Novagen, Inc., 597 Science Drive, Madison, WI 53711から購入可能な、NovaTopeTM systemである。この方法は、バクテリアクローンのライブラリーの作製に基づいており、それらの各々は、リガンドが含まれると考えられる候補蛋白質由来の小ペプチドを安定に発現する。ライブラリーは、抗体または他の結合因子をプローブとして用いる、標準的なリフト法によってスクリーニングされる。陽性のクローンは、リガンドの正確なアミノ酸配列を決定するために、DNAシークエンシングによって直接分析することが可能である。
Lam et al (1991) Nature 354, 82−84によって発表されたような、個々のペプチド種を結合させたビーズ、あるいはUS 5143854におけるPirrung et alによって発表されたような、固体支持体上の個々の合成ペプチド配列のマトリックスのライブラリーを使用する、更なる方法もまたペプチドリガンドを同定するために使用されるかもしれない。
ハイスルースプット操作が可能なスクリーニングアッセイが、特に好ましいと認識される。例は、細胞を使用したアッセイおよび蛋白質−蛋白質結合アッセイを含むかもしれない。SPA(Scintillation Proximity Assay; Amersham International)をベースにしたシステムが、使用されるかもしれない。例えば、プロテインキナーゼの活性を調節することのできる化合物を同定するアッセイは、次のように行われるかもしれない。シンチランとリン酸化されるかもしれないポリペプチドを含むビーズが調製されるかもしれない。ビーズは、プロテインキナーゼと32P−ATPまたは33P−ATPを含むサンプル、および試験化合物と混合されるかもしれない。便利なことに、これは96wellフォーマットにおいて行われる。そうしてプレートは、適切なシンチレーションカウンターを使用して、32Pまたは33P SPAアッセイの知られた変数によって計測される。Scintillantに近接して存在する32Pまたは33Pのみ、例えばポリペプチドに結合したもののみ、が検出される。そのようなアッセイの変法、例えばポリペプチドが、抗体への結合を介してscintillantビーズ上に固定化されるような方法、が使用されるかもしれない。
ポリペプチド/ポリペプチド相互作用を検出する他の方法は、イオンスプレイ質量分析装置/HPLC法での限外濾過、あるいは他の物理的、および分析方法を含む。蛍光エネルギー共鳴転移(FRET)法は、例えば、技術的に熟練した者によく知れらており、使用されるかもしれない。そこでは、二種類の蛍光標識された物質間の結合が、お互い近接したときの蛍光標識の相互作用を計測することによって、測られるかもしれない。
ポリペプチドの巨大分子、例えばDNA、RNA、蛋白質、およびリン脂質、への結合を検出する、他の方法は、例えばPlant et al (1995) Analyt Biochem 226(2), 342−348に述べられているように、表面プラズモン共鳴アッセイを含む。方法は、例えば放射性、または蛍光標識で標識された、ポリペプチドを使用させるかもしれない。
ECSM4ポリペプチドに結合可能な化合物を同定する更なる方法は、ポリペプチドが化合物にさらされ、上記のポリペプチドへの化合物の結合が検出および/または計測されるような方法である。ポリペプチドへの化合物の結合における結合定数が、決定されるかもしれない。ポリペプチドへの化合物の結合を検出および/または計測(定量)する適切な方法は、技術的に熟練した者によく知られ、例えばハイスルースプット操作が可能な方法、例えばチップに基づく方法、を使用して実施されるかもしれない。新技術、VLSIPSTMと呼ばれる、は非常に多くの様々な分子プローブを含む、極小チップの生産を可能にする。これらの生物学的チップまたはアレイは、揃えて整列されたプローブをもち、それぞれのプローブが特異的な位置を割り当てられている。生物学的チップは、それぞれの位置が例えば10ミクロンの規模で製造されている。チップは、標的分子がチップ上の任意のプローブと相互作用するかを決定するために使用することができる。選択された試験条件下、アレイは標的分子にさらされた後、スキャン装置がアレイ上の各位置を調べることができ、標的分子が、その位置でプローブと相互作用するか決定することができる。
生物学的チップまたはアレイは、プローブまたは標的分子についての情報を得るために、様々なスキャン技術において有用である。例えば、ペプチドライブラリーは、薬剤をスクリーンするためのプローブとして使用されうる。ペプチドは受容体にさらされ、受容体に結合するプローブが同定されうる。参照1999年2月23日にRava et alに交付されたUS Patent No. 5,874,219。
ECSM4の活性を調整する標的蛋白質のほかの方法は、酵母two−hybrid systemであり、本発明のポリペプチドは、ECSM4蛋白質に結合する蛋白質を”捕捉する”ために使用することができる。酵母two−hybrid systemは、Fields & Song, Nature 340: 245−246 (1989)に述べられている。
in vivoポリペプチドの活性を調整するかもしれない化合物を同定することが望ましいと理解されている。このように、本方法において使用される試薬と条件は、上記および相互作用するポリペプチド間の相互作用が、上記の天然に生じるポリペプチドとin vivo天然に生じる相互作用ポリペプチド間のものと、実質的に同じであるように選択されるかもしれない。
ここに述べた方法において、リガンドは薬剤様化合物または薬剤様化合物の開発のためのリード化合物であるかもしれないと認識される。
語“薬剤用化合物”は、技術的に熟練した者によく知られ、医療における使用に適したものにする特徴、例えば薬中の有効成分のような、を有する化合物の意味を含む。このように、例えば薬剤様化合物は、有機化学の技術によって、さほど好ましくないが分子生物学または生化学の技術によって合成されるかもしれない分子であり、好ましくは、5000ダルトン以下、水溶性の小分子であるかもしれない。薬剤様化合物は、さらにある特別な蛋白質、または蛋白質群と選択的に相互作用する性質を示し、生物学的利用可能および/または標的細胞の膜に浸透可能であるが、これらの性質は必須でないことが認識される。
語”リード化合物”は同様に、技術的に熟練した者によく知られ、それ自身は薬剤として適していないが(例えば、意図する標的に対し潜在性が弱い、その作用の非選択性、不安定、難溶性、合成困難、または生物学的利用能の低さのため)、その化合物はより望ましい性質を有するかもしれない他の化合物の設計のための開始点を与える。
または、本方法は、”ライブラリースクリーニング”法、技術的に熟練した者によく知られる語として使用されるかもしれない。このように、例えば、本発明の方法は、ECSM4のポリペプチドアクチベーターを発現することが可能なポリヌクレオチドを検出する(および任意に同定する)ために使用されるかもしれない。
このように、本発明のこの特徴点の実施態様は、薬剤様化合物またはポリペプチドECSM4の活性を調整する、薬剤様化合物の開発のためのリード化合物を同定する方法、化合物をポリペプチド、またはその適切な異形、断片、誘導体、または融合体、あるいはその異形、断片、誘導体の融合体、またはそのと接触させること、および、例えば上記のポリペプチドの酵素活性が、上記の化合物のない場合に、上記のポリペプチド、あるいは上記のその異形、断片、誘導体、または融合体、あるいはその異形、断片、または誘導体の融合体の活性に比較して、変化するかどうか決定する方法を与える。
好ましくは、ECSM4ポリペプチドは、本発明の第十一の特徴点に関する上述したようなものである。
in vivoポリペプチドの活性を調整するかもしれない化合物を同定することが望ましいと理解される。このように、本方法に使用される試薬および条件は、上記のポリペプチドとその基質との間の相互作用が、実質的にin vivoと同じであるような中から選択されるかもしれないと理解される。
ある実施態様において、化合物は上記のポリペプチドの活性を減少させる。例えば、化合物は上記の化合物の活性部位に、実質的に可逆的に、あるいは実質的に不可逆的に結合するかもしれない。さらなる例において、化合物は上記の化合物の、そのリガンドへの結合を阻害するように、活性部位ではない上記の化合物の部分に結合するかもしれない。またさらなる例において、化合物は、アロステリック効果によって上記のポリペプチドの活性を減少させるように、上記のポリペプチドの部分に結合するかもしれない。このアロステリック効果は、上記のポリペプチドの活性の本来の調節、例えば、“上流の活性化因子”による上記のポリペプチドの活性化に関わるアロステリック効果であるかもしれない。
本発明のまた更なる特徴点は、ECSM1またはECSM4遺伝子の任意の一つのプロモーターおよび/または調節部分を含むポリヌクレオチドを与える。
“ECSM1またはECSM4遺伝子”によって、われわれは、ここに定義されるように、転写されたとき、ECSM1またはECSM4ポリペプチドを含む、ポリペプチドをコードする天然のゲノム配列をさす。ECSM1またはECSM4遺伝子の天然のゲノム配列は、イントロンを含むかもしれない。
本発明のこの特徴点のポリヌクレオチドは、好ましくは、転写プロモーター活性を有するものである。プロモーターは、RNAポリメラーゼを結合させ、転写が起きるようにするDNA配列によって形成される、発現制御要素である。好ましくは、転写プロモーター活性は、哺乳動物細胞において存在し、より好ましくは、ポリヌクレオチドは内皮細胞において転写プロモーター活性を有する。
好ましくは、プロモーターおよび/または調節部分は、内皮細胞選択的発現を可能にするものである。
好ましくは、ECSM4遺伝子のプロモーターまたは調節領域は、低酸素状態に応じて、操作的に結合させたコード配列の転写を促進させることが可能なものである。より好ましくは、コード配列の転写レベルは、低酸素状態にないときの転写レベルに比べ、低酸素状態において上昇する。“低酸素状態”によって、われわれは不適切な細胞増殖が、周囲の組織の酸素を奪う癌、例えば血管閉塞がある組織へ酸素の配送を制限するかもしれない心疾患、および血管組織細胞の破壊が周りの組織への酸素の供給を減少させ、結果、周りの組織の死につながる組織壊死の生理的な状態を含む。低酸素は、Hockel and Vaupel (2001) J. Nat. Can. Inst. 93: 266−276により詳細に述べられている。
このように、好ましい実施態様において、ECSM4プロモーターまたは調節領域は、低酸素状態を治療するための療法遺伝子を発現させる、遺伝子療法の使用に適したベクターに含まれる。好ましくは、低酸素状態は、癌または心疾患である。“療法遺伝子”は、望ましい療法効果をあたえる任意の遺伝子である。
低酸素状態を治療するための上記のECSM4プロモーターの使用は、例えば遺伝子療法によって、本発明の目的の範囲内に含まれる。
遺伝子のプロモーター領域の配列の決定は、技術的によく知られている。
プロモーター領域の存在は、既知のモチーフの同定によって決定され、同定された配列の変異解析によって確認される。好ましくは、プロモーター配列は、ECSM1またはECSM4のゲノムコード領域の5キロ塩基対上流域に位置する。より好ましくは、それは3キロ塩基対、または2キロ塩基対、または1キロ塩基対、または500塩基対上流域に位置し、さらに好ましくは、転写開始部位の210塩基対中に位置する。
エンハンサーのような調節領域、または転写要素は、プロモーターよりも遺伝子との相対的な位置を予測しにくい。しかしながら、調節領域を示す多くの領域がよく特徴付けられ、関連する遺伝子の転写レベルに影響するそのような領域は、通常これらのモチーフに基づいて同定されうる。そのような領域の機能は、変異解析およびDNAフットプリンティングやゲル泳動度シフトアッセイを含む、in vitro DNA結合アッセイのような、よく知られた方法によって示されうる。
ECSM1またはECSM4遺伝子の転写に影響を及ぼす調節領域は、関連するゲノムコード領域の上流、20キロ塩基対、10キロ塩基対、7キロ塩基対、5キロ塩基対、3キロ塩基対、より好ましくは1キロ塩基対の領域中に位置する可能性が高い。
配列にタグした部位、およびマッピングの間隔は、プロモーター領域、調節領域、および物理的なクローンを位置づけることを助ける。
さらなる実施態様において、プロモーターおよび/または調節部分を含むポリヌクレオチドは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに操作的に連結される。プロモーターポリヌクレオチドをポリペプチドコード配列に連結する方法は、技術的によく知られている。
好ましくは、ポリペプチドは療法ペプチドである。療法ポリペプチドは、内皮細胞において選択的に発現するために、医薬的に有用である、任意のポリペプチドであるかもしれない。そのような療法ペプチドの例は、抗増殖、または免疫調節、または血液凝固影響因子、あるいは抗増殖、または抗炎症サイトカインを含む。それらはまた、抗癌ポリペプチドを含むかもしれない。
本発明のこの特徴点のある実施態様において、そのポリヌクレオチドは薬における使用に適したものである。このように、本発明は、薬への使用に包装され、示されたポリヌクレオチドを含む。そのようなポリヌクレオチドは、遺伝子療法に、特に内皮細胞選択的に療法ポリペプチドを発現させることが望ましい場合に、特に有用であると認識される。ポリヌクレオチドは遺伝子療法における使用に適したものであれば、好ましい。
遺伝子療法は、一般的に許容されている方法、例えば、Friedman, 1991によって述べられているような、に従って行われる。ウイルスまたはプラスミドベクターは、上述したようにECSM1またはECSM4の転写に影響を及ぼすプロモーターや他の調節要素のような、発現調節要素に連結して発現される、および内皮細胞内部で複製可能な、一コピーの遺伝子を含み、調製される。適切なベクターがUS Patent 5,252,479およびWO 93/07282に発表されているように知らている。そうしてベクターは、局所的にあるいは全身に注入される。形質導入した遺伝子が標的の内皮細胞のそれぞれのゲノムに永続的に取り込まれない場合に、治療は周期的に繰り返し行われなければならないかもしれない。
技術的に知られる遺伝子転移システムは、本発明の遺伝子療法の実行において有用であるかもしれない。これらは、ウイルスおよび非ウイルス転移方法を含む。多くのウイルスが遺伝子転移ベクター、パポバウイルスを含み、例えばSV40 (Madzak et al, 1992)、アデノウイルス(Berkner, 1992; Berkner et al, 1988; Gorziglia and Kapikian, 1992; Quantin et al, 1992; Rosenfeld et al, 1992; Wilkinson et al, 1992; Stratford−Perricaudet et al, 1990)、vaccinia ウイルス(Moss, 1992)、アデノ関連ウイルス(Muzyczka, 1992; Ohi et al, 1990)、HSVおよびEBVを含むヘルペスウイルス(Margolskee, 1992; Johnson et al, 1992; Fink et al, 1992; Breakfield and Geller, 1987; Freese et al, 1990)、および鳥類(Brandyopadhyay and Temin, 1984; Petropoulos et al, 1992)、マウス(Miller, 1992; Miller et al, 1985; Sorge et al, 1984; Mann and Baltimore, 1985; Miller et al, 1988)、およびヒト起源(Shimada et al, 1991; Helseth et al, 1990; Page et al, 1990; Buchschacher and Panganiban, 1992)のレトロウイルス、として使用されている。現在まで、多くのヒト遺伝子療法プロトコルは、能力のないマウスレトロウイルスに基づいていた。
技術的に知られる非ウイルス遺伝子転移方法は、カルシウムリン酸共沈降(Graham and van der Eb, 1973; Pellicer et al, 1980)のような化学的な技術;機械的な技術、例えばマイクロインジェクション(Anderson et al, 1980; Gordon et al, 1980; Brinster et al, 1981; Constantini and Lacy, 1981);リポソームを介した膜融合による転移(Felgner et al, 1987; Wang and Huang, 1989; Kaneda et al, 1989; Stewart et al, 1992; Nabel et al, 1990; Lim et al, 1992);およびDNAの直接取り込み、および受容体を介したDNA転移(Wolff et al, 1990; Wu et al, 1991; Zenke et al, 1990; Wu et al, 1989b; Wolff et al, 1991; Wagner et al, 1990; Wagner et al, 1991; Cotten et al, 1990; Curiel et al. 1991a; Curiel et al, 1991b)を含む。
他の適したシステムは、Feng et al (1997) Nature Biotechnology 15, 866−870によって述べられている、レトロウイルス−アデノウイルスハイブリッドシステム、または適切な一本鎖Fv断片のような標的リガンドをもつウイルスシステムを含む。
生物学的および物理学的遺伝子転移法を併せるアプローチにおいて、任意のサイズのプラスミドDNAは、アデノウイルスヘクソン蛋白質に特異的なポリリジン結合抗体と結合し、その複合体はアデノウイルスベクターに連結される。この3分子複合体は細胞を感染させるために使用される。アデノウイルスベクターは、効果的な結合、取り込み、および共役したDNAが分解される前にエンドソームの分解を可能にする。
リポソーム/DNA複合体は、in vivo遺伝子転移を直接仲介できることが示されている。標準的なリポソーム調製において、遺伝子転移過程が非特異的であるのに対し、局在化したin vivo取り込みと発現は、腫瘍の位置において報告され、例えば直接のin situ投与に続けられる(Nobel, 1992)。
組織、例えば内皮細胞に直接DNAを標的させる遺伝子転移技術が好ましい。例えば受容体を介した遺伝子転移は、DNA(通常、共有結合で閉じたスーパーコイルドプラスミドの形で)のポリリジンを介した蛋白質リガンドへの結合によって行われる。リガンドは、標的細胞/組織種の細胞表面上に対応するリガンド受容体の存在に基づいて選択される。内皮細胞の場合には、適切な受容体はECSM4である。これらのリガンド−DNA結合は、望ましければ直接血液中に注入され、受容体結合とDNA−蛋白質複合体の取り込みが起こる標的組織に向けられる。DNAの細胞内破壊の問題を克服するために、アデノウイルスとの共感染がエンドソームの機能を破壊するために含まれうる。
機能的に野生型遺伝子を使用する置換遺伝子療法が使用される場合において、体内の様々な部位、内皮細胞、血流、および分泌/排泄例えば尿において、置換遺伝子mRNAまたはコードする置換ポリペプチド、あるいは機能的遺伝子産物の存在を検出することによって、治療を監視するのは有効であるかもしれない。
本発明のさらなる特徴点は、癌、心疾患、低酸素状態、子宮内膜症、または動脈硬化である患者を治療する方法、本発明に従う、ポリヌクレオチドを患者に投与することを含む、方法を与える。そこでは、ポリヌクレオチドは、療法ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに、操作的に連結されたプロモーターまたは調節領域を含む。
本発明のまたさらなる特徴点は、患者の血管新生を調整する方法、本発明に従うポリヌクレオチドを患者に投与することを含む、方法を与える。そこではポリヌクレオチドは、療法ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはECSM4あるいはその断片または異形を発現させることのできる、あるいはECSM4アンチセンス核酸を含む、ポリヌクレオチドに操作的に連結された、本発明のプロモーターまたは調節領域を含む。
療法ペプチドは、患者の治療に有用な任意の療法ポリペプチドであるかもしれない。好ましくは、療法ポリペプチドは、任意の一つまたはそれ以上の免疫調整性、抗癌、血液凝固影響因子あるいは抗増殖または抗炎症サイトカインであるかもしれない。
アンチセンス核酸は、上により詳細に論じられている。つまり、アンチセンス核酸の機能は、特異的なmRNAの翻訳を阻害することであり、そのアンチセンス核酸は、相補的であり、少なくとも部分的に細胞内でハイブリッド形成ができるものである。最適なアンチセンス核酸分子の設計は、分子生物学の技術においてしられている。
本発明はまた、本発明に従うポリヌクレオチドの使用を与え、そのポリヌクレオチドは、癌、心疾患、低酸素状態、子宮内膜症、または動脈硬化を治療するための薬の製造において、療法ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに操作的に連結された、本発明のプロモーターまたは調節領域を含む。
本発明は、現在次の例および図中に参考として、より詳細に述べられている。
実施例1
新規内皮特異的遺伝子のin slicioクローニング
われわれは、血管内皮において特異的にまたは優先的に発現する遺伝子を同定するために、実験的な証明と併せた様々な発現分析の二つの独立する方針の使用を述べる。
最初の方針は、ヒトUniGene遺伝子インデックス(Schuler et al, 1997)におけるESTクラスター発現分析に基づいた。Recurrent gapped BLAST検索(Altschul et al, 1997)は、二種類のプールにグループ化された発現配列タグ(EST)に対して非常に高い厳密性で行われた。これらの二種類のプールは、dbEST(Boguski et al, 1995)由来の内皮細胞および非内皮細胞ライブラリーを含む。第二の方針は、二次データマイニングツール:SAGEmap xProfilerを使用した。xProfilerは、無償で利用できるオンラインツールであり、NCBI’s Cancer Genome Anatomy Project (CGAP)(Strausberg et al, 1997, Cole et al, 1995)の一部である。これらの二種類のアプローチどちらかのみでは、がっかりするほど、非常に多くの偽陽性を生じていたが、両方の方針が合わさると、予測は例外的に信頼性あるものと証明され、二種類の新規内皮特異的遺伝子の候補が同定された。完全長cDNAは、配列データベースにおいて同定された。他の遺伝子(ESTクラスター)は、大規模cDNAシークエンシング計画から、部分的cDNAに対応し、ヒトroundaboutホモログ1(ROBO1)の細胞内領域に類似性を示す領域を含んでいる。
UniGene/EST遺伝子インデックススクリーン
内皮および非内皮配列のプールは、dbESTの配列回復システム(SRS)バージョン5を使用して抽出された。内皮プールは、9種類のヒト内皮ライブラリー(表1)からの11,117 ESTsから構成された。非内皮プールは、108のヒト細胞系統および微小切開された腫瘍ライブラリー(表2)からの173,137 ESTsを含んでいた。dbESTsから抽出されたESTsは、2000年4月に公開する。多様なFASTAファイルは、pressdbプログラムを使用して、BLAST検索可能なデータベースに変換された。表3は、これら2種類のプールに存在する、5種類の既知の内皮細胞特異的遺伝子の発現状態を示す。
続いて、各UniGeneクラスター(UniGene Build #111 2000年5月,
multiple FASTA file hs.seq.uniq)における最も長い、代表的な配列が、これらの2種類のプールに対して、非常に高い厳密性でBLAST検索された。そのような報告された代表的な配列は、ヒットしなければ、クラスター(UniGene multiple−FASTA file hs.uniq)に属する配列の残りが、BLAST queriesとして使用された。結局、非内皮プールにおいてヒットしなかったクラスターと内皮プールにおいて少なくとも一つのヒットが選択された。
BLAST E−valueを最適化することは、BLAST同一性レベル検索を成功させるために重要であった。あまりに高いE−valueは、報告されている遺伝子パラログの同定になるし、あまりに低い(厳しい)E−パラメーターは、多くの偽陽性の同定になる、例えば真陽性は、ESTデータにおけるシークエンシングエラーのため、報告されていない:ESTsは、大規模低予算一回限りのシークエンシングに因り、高いエラー頻度を生じている(Aaronson et al, 1996)。本研究では、10e−20のE−valueが、非内皮ESTプールに対しての検索に使用され、より厳しい10e−30の値が、より小さい内皮プールに対する検索に使用された。これらの値は、一連の試験BLAST検索後、最適であると判断された。
SAGEデータおよびSAGEmap xProfiler differential analysis
ウェブに公開されているSAGEライブラリーサブトラクション(SAGEmap xProfiler: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SAGE/sagexpsetup.cgi)が、新規の内皮特異的または優先的遺伝子を同定するための、第二のデータマイニング方針として利用された。二種類の内皮SAGEライブラリー(110,790配列総数をもつSAGE_Duke_HMVEC and SAGE_Duke_HMVEC+VEGF)が、24の非内皮細胞系統ライブラリー(表4に完全なリスト、総733,461配列)に比較された。表5は、5種類の既知の内皮特異的遺伝子の発現状態を示している:これらの2種類のSAGEプールにおいて、von Willebrand’s factor(vWF)、二種類の血管内皮成長因子受容体:fms様チロシンキナーゼ 1(flt1)およびキナーゼ挿入領域受容体(KDR)、チロシンキナーゼ受容体型tie(TIE1)およびチロシンキナーゼ受容体型tek(TIE2/TEK)。
併せたデータは、非常に正確な予測を与える。
20の既知の遺伝子が、UniGene/ESTスクリーンにおいて選択された(表6)。これらの遺伝子は、非内皮プールにおいてヒットせず、内皮プールにおいて少なくとも一つヒットした。このリストは、少なくとも4種類の内皮特異的な遺伝子を含んでいた:TIE1、TIE2/TEK、LYVE1およびマルチマリン、予測の ̄20%の正確さを示している。リスト上の他の遺伝子は、内皮細胞において確実に優先的に発現する一方で、内皮特異的ではないかもしれない。予測の正確さを改良するために、われわれは、UniGene/ESTスクリーンをxProfiler SAGE分析と併せることにした。xProfilerアウトプットは、予測の確実性に従ってソートされた、非内皮プールにおけるよりも内皮において10倍高い数のタグを持つ遺伝子のリストから構成される。90%確実性の閾値が、このリストに適用された。表7は、二種類のアプローチからのデータがどのように合わされたかを示す。同一性レベルBLAST検索は、mRNA(既知の遺伝子)またはphrap computed contig(ESTクラスターの表す新規の遺伝子)について、内皮および非内皮プールにおいて、これらの遺伝子がどのように代表されるかを調べるために、行われた。つづいてRT−PCRによる実験的な証明が、併せたアプローチは100%正しい、例えばxProfilerリスト上の遺伝子は、非内皮ESTプールとは一致せず、実際に内皮特異的であった内皮プールにおいて、少なくとも一つ一致した、ことを証明した。
ディスカッション
組織トランスクリプトームのコンピューター解析についていくつか報告があった。通常、与えられた遺伝子、またはある種類の遺伝子に割り当てられたタグの数に基づいて、発現プロフィールが構築される(Bernstein et al, 1996, Welle et al, 1999, Bortoluzzi et al, 2000)。試みは、組織特異的な転写物を同定するためになされる。例えば、Vasmatzis et al, (1997)はdbESTコレクションからライブラリーのin slicioサブトラクションによって、前立腺において独占的に発現する3種類の新規遺伝子について述べている。cDNAを作製した目的もまた使用されるかもしれない。10種類の顆粒球特異的遺伝子候補が、顆粒球および11種類の他の組織サンプル、つまりhepatocyte細胞系統、胎児肝臓、幼児肝臓、成人肝臓、皮下脂肪、内臓脂肪、肺、大腸粘膜、ケラチノサイト、角膜、および網膜、由来のcDNAライブラリーの広範な配列分析によって同定されている(Itoh et al, 1998)。
Vasmatzis et alによってとられたdbESTに基づくアプローチに類似の分析は、内皮細胞が体のすべての組織に存在し、内皮−ESTsはすべての大きな組織のライブラリーで汚染されているという事実によって複雑化される。これを確認するために、われわれは、3種類のよく知られた内皮特異的な遺伝子を使用した:dbESTに対するBLAST検索の検索遺伝子としてKDR、FLT1、およびTIE−2。転写物は、広範な組織に存在し、よく血管新生した組織(例えば、骨盤、網膜)、胚の(肝臓、脾臓)または幼児(脳)組織において多数回のヒットがあった。さらに、われわれは、内皮ESTライブラリーを他のすべてのdbESTライブラリーに対して単純なサブトラクションをおこなったが、任意の特異的遺伝子は、同定できなかった(データ示さず)ことがわかった。
2種類の非常に異なる発現データ源が、われわれのデータマイニングに使用された。UniGene/ESTスクリーンは、dbESTからの発現タグライブラリーに基づいて行った。比較的総数の小さい: ̄11,117 ESTsをもつdbESTの現在の公開データにおいて9種類のヒト内皮ライブラリーがある。いくつかのよく知られた内皮特異的遺伝子は、このデータセットには含まれていない(表3)。この制限は、発現レベルの低い遺伝子は、われわれの分析では見落とす可能性があると関心を引いた。それゆえに、われわれは、他の型のコンピューター発現データ:CGAP SAGEライブラリー、を利用した。
SAGEタグは、時おり小さいESTs(通常長さ10−11塩基対)と呼ばれる。その主要な優位性は、それらがcDNA内に明確に位置しうることである:それらは、多くの3’ NlaIII制限部位に隣接してすぐに存在する。同時に利用可能なただ2種類の内皮CGAP SAGEライブラリーもあるけれども、それらは、強い印象を与える総数、約111,000タグを含み、内皮ESTプールにおける11,117配列にくらべ約10倍大きいデータセットを含む。併せたアプローチは、RT−PCRによって実証したとき、非常に正確である(表8)と証明した。
われわれは、ここに2種類の新規内皮特異的遺伝子の同定を報告する:内皮細胞特異的分子1(ECSM1−UniGene entry Hs. 13957)およびmagic roundabout(UniGene entry Hs. 111518)である。これらの遺伝子について利用可能なデータの包括的な要約は、参照表8。
実験的実証と併せたわれわれのデータマイニングアプローチは、パワフルな機能的ゲノミクスツールである。この種の分析は、内皮細胞だけでなく、多くの細胞種に適用できる。発見した遺伝子の機能を同定する試みは残っているが、構造ゲノミクス、またはホモロジーのようなバイオインフォマティクスおよびモチーフ検索は、実験的に実証されうる洞察を与えることができる。
要約として、このスクリーニングアプローチは、新規の内皮細胞特異的遺伝子と発現が内皮細胞特異的であることが知られていなかった既知の遺伝子の同定を可能にした。この同定は、内皮細胞生物学のわれわれの理解を進めるとともに、内皮を伴う医学的状態をイメージング、診断、および治療するために、新たな薬理学上の標的を与える。
方法
PERL scripts
PERL scriptsの多くは、大規模配列回復、BLAST検索提出、および自動的BLASTアウトプット分析を容易にするために作られた。
Database sequence retrieval
局所的に保存されたUniGeneファイル(Build#111、2000年5月に公開される)は、この報告の準備に使用された。UniGeneウェブサイトは、URL: www.ncbi.nlm.nih.gov/UniGene/でアクセス可能であり、UniGeneファイルは、ftp貯蔵庫: ftp://ncbi.nlm.nih.gov/repository/unigene/からダウンロード可能である。UniGeneのヒトセットの代表する配列(クラスター中の最も長いEST)は、ファイルHs.seq.uniqに保存されており、一方クラスターに属する、すべてのESTsは、Hs.seqと呼ばれる別のファイルに保存されている。
dbESTデータベースから抽出された配列は、HGMPセンターで、Sequence Retrieval System(SRS version5) getzコマンドを使用して、部分的にアクセスした。これは、内皮および非内皮サブセットにおけるすべてのライブラリーに、PERL scriptsを使用して繰り返し行われ、配列は、二種類のmultiple−FASTAファイルに合併された。
非内皮ESTライブラリーでの選択基準
108種類の非内皮dbESTライブラリーの選択は、ほとんどマニュアルで行われた。すべての利用可能なdbESTライブラリーのリスト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/dbEST/libs_byorg.html)は、キーワード“細胞”およびフレーズ“細胞系統”を使用して検索された。検索する一方でライブラリーの多くを同定した。さらなるキーワードは、リストを完全にするために加えられた:“メラノサイト”、“マクロファージ”、“HeLa”、“繊維芽細胞”。ある場合には、詳細なライブラリー解説が、ライブラリーが細胞系統/一次培養由来であることを確認するために、調べられた。われわれはまた、多くのCGAP微小砕片にされた腫瘍ライブラリーを加えた。そのために、ライブラリーブラウザ(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/CGAP/hTGI/lbrow/cgaplb.cgiで利用可能)が、キーワード“微小砕片にされた”での検索を行うために加えられた。
UniGene遺伝子インデックススクリーン
UniGene遺伝子転写インデックスは、GeneBank、dbESTのEST区分に対してスクリーンされた。UniGeneおよびdbESTの両者とも国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)で開発された。UniGeneは、推定の唯一の遺伝子に対応するESTクラスターである。現在、それは4種類のデータセット:ヒト、マウス、ラット、およびゼブラフィッシュ、から構成される。ヒトデータセットは、約90,000クラスター(UniGene Build#111 2000年5月)から構成される。非常に高度な厳密性に基づいたBLAST同一性検索によって、われわれは、内皮において転写物があるが、非内皮細胞種dbESTにおいては存在しないUniGene遺伝子を同定しようとした。プロジェクトを通じて、ワシントン大学blast2は、ギャップのあるバージョンであり、BLAST実行として使用された。E−valueは、非内皮ESTプールにおける検索には10e−20に設定され、小さい内皮プールにおける検索には10e−30に設定された。
UniGeneは、そのクラスターに共通配列を与えないのに対し、クラスター中の最も長い配列が同定された。このように、この最も長い代表的な配列(multiple FASTAファイル Hs.seq.uniq)が、内皮および非内皮ESTプールに対して非常に高度な厳密性に基づくBLASTを使用して検索された。そのような代表的な配列が、どんな一致も示さない場合、クラスター(UniGene multiple FASTAファイル Hs.seq)に属する配列の残りが、BLAST検索対象として続けられた。結局、非内皮プールにおいてまったく一致しないクラスター、および内皮プールにおいて少なくとも一つ一致したクラスターが、BLAST textual outputを分析するPERL scriptsを使用して選択された。
xProfiler SAGE サブトラクション
xProfilerは、on−lineユーザーが、専用の統計アルゴリズム(Chen et al, 1998)を使用して、総数約2,300,000 SAGEタグをもつ47の遺伝子発現の連続的分析(SAGE)ライブラリーの任意の組み合わせの、様々な比較を可能にする。xProfilerは、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SAGE/sagexpsetup.cgiでアクセス可能である。SAGEそれ自身は、量的な発現技術であり、そこでは遺伝子は、一般的にcDNAの多くの3’NlaIII制限部位に隣接した10または11塩基対によって同定される(Velculescu et al, 1995)。
二種類の利用可能な内皮細胞ライブラリー(SAGE_Duke_HMVECおよびSAGE_Duke_HMVEC+VEGF)がプールAを定義し、24種類の非内皮ライブラリーはともに、プールBを築いた。アプローチは、Gene to Tag Mapping (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SAGE/SAGEcid.cgi)を使用して、二種類のSAGEプール(表5)における5種類の参考内皮特異的遺伝子の発現状態を、確立することによって実証された。つづいて、xProfilerが、プールAとBの間で異なる発現を示す遺伝子を選択するために使用された。xProfilerアウトプットは、予測の確実性に従ってソートされた非内皮プールに比較して、内皮において10倍高い数のタグを持つ遺伝子のリストから構成される。90%確実性の閾値が、このリストに適用された。
他のCGAPのオンライン発現格差分析ツール、デジタルディファレンシャルディスプレイ(DDD)は、SAGEタグを使用する代わりに、EST発現データ(供給源ライブラリー情報)に基づいている。われわれは、このツールのSAGEmap xProfilerへの類似性を利用することにしたが、有用な結果は得られなかった。BLAST指向のアプローチに使用した9種類の内皮細胞ライブラリーの5種類、108種類の非内皮細胞ライブラリーのうち64種類は、DDDを使用したオンライン解析で利用可能である(http://www.ncbi.nim.nih.gov/CGAP/info/ddd.cgi)。そのような解析が行われた場合に、次の15種類がトップのスコアを記録した遺伝子であった:アネキシンA2、アクチンガンマ1、リボソーム蛋白質P40、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビターI型、チモシンベータ4、ペプチジロプロピルイソメラーゼA、リボソーム蛋白質L13a、ラミニン受容体1(リボソーム蛋白質SA)、真核翻訳伸長因子1アルファ1、ビメンチン、フェリチンヘビーポリペプチド、リボソーム蛋白質L3、リボソーム蛋白質S18、リボソーム蛋白質L19、腫瘍蛋白質translationally−controled1。このリストは、むしろ驚くべきものであり、任意のよく知られた内皮特異的な遺伝子を含まず、文献では至る所で発現が確認されている(リボソーム蛋白質、アクチン、ビメンチン、フェリチン)多くの遺伝子を含んでいた。われわれのUniGene/ESTスクリーンの主要な優位点は、供給源のライブラリーデータおよび誤りやすいESTクラスタリングアルゴリズムに基づく代わりに、それは実際に遺伝子に対応する転写物の検索において、同一性レベルBLAST比較を行うということである。
UniGeneクラスター上のデータをマイニングすること
UniGeneエントリー(例えば、参考文献、STSサイト、ホモログ、機能についての参考)について、情報にすばやくアクセスするために、オンライン供給源が、機械的に使用された:NCBI’s UniGeneおよびLocusLinkインターフェース、およびヒトにおけるオンラインメンデリアンインターフェース)。
UniGeneクラスターにおけるESTsは、contigへとアセンブルされておらず、そのため任意の配列分析の前に、contigがphrapアセンブラー(phrapについての説明のために、参照http://bozeman.mbt.washington.edu/phrap.doc/phrap.html)を使用して、作成された。
ECSM1を含むゲノムcontig AC005795(44,399塩基対)を分析するために、大きい未知のヌクレオチド配列のマルチアプリケーション分析のためのNIX インターネットインターフェースが、使用された。NIXについてのさらなる情報は、参照http://www.hgmp.mrc.ac.uk/NIX/。AC005795に対するECSM1のアライメントは、Human Genome InterfaceへのNCBIインターフェース:NCBI Map Viewerを使用して得られた。NCBI Map Viewerについてのさらなる情報は、参照http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genome/guide/。
翻訳されたヌクレオチド配列中の可能な膜貫通領域およびシグナル配列の検索のために、3種類のインターネットベースのアプリケーションが使用された:DAS http://www.biokemi.su.se/ ̄server/DAS/ (Cserzo et al, 1997)、TopPred2 http://www.biokemi.su.se/ ̄server/toppred2/ (Heijne 1992)、およびSignalP http://www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/ (Nielsen et al, 1997)。
PERL scripts
PERL scriptsの多くは、大規模配列回復、BLAST検索提出、および自動的BLASTアウトプット分析を容易にするために作られた。
実験的実証
発現の特異性を実験的に実証するために、われわれは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を使用した。RNAが3種類の内皮細胞種培養、および7種類の非内皮からin vitro抽出された。内皮培養は、次のとおり:HMVEC(human microvascukar endothelial cells)、HUVEC(human umbilical vein endothelial cells)全面培養、およびHUVEC増殖培養。非内皮培養は次のとおり: 正常酸素状態で培養した正常子宮内膜スロトマ(NES)細胞、および低酸素状態で培養したNES、MDA453およびMDA468乳がん細胞系統、HeLa、正常酸素状態で培養したFEK4繊維芽細胞および低酸素状態で培養したFEK4繊維芽細胞、およびSW480、HCT116−二種類の大腸上皮細胞系統。
配列タグサイト(STS)が利用可能であれば、dbSTS PCRプライマーが使用され、dbSTSエントリーにおいて示唆されたサイクル条件が後に続いた。さもなければ、プライマーは、Primer3プログラムを使用して、設計された。プライマーは表9にリストにされている。
組織培養培地、RNA抽出およびcDNA合成
細胞系統は、標準的な組織培養プロトコルに従ってin vitro培養された。特に、内皮用培地は、ECGS(内皮細胞生育追加−Sigma)および生育を促進するためにヘパリン(Sigma)が添加された。
全体のRNAは、Rneasy Minikit (Qiagen)を使用して抽出され、cDNAはReverse−IT 1st Strand Synthesis Kit (Abgene)を使用して合成された。
[参考文献]
表1
dbESTからの9種類のヒト内皮ライブラリー
ヒト大静脈内皮、20配列、in vitro培養
ヒト内皮細胞、346配列、一次分離
ヒト内皮細胞(Y.Mitsui)、3配列、in vitro培養
Stratagene内皮細胞937223、7171配列、一次分離
大静脈内皮細胞、1245配列、一次分離
大静脈内皮細胞、TNF処理、1908配列、一次分離
臍静脈内皮細胞I、9配列
HDMEC cDNAライブラリー、11配列、in vitro培養
臍静脈内皮細胞II、404配列
表3
dbESTプールにおける内皮特異的遺伝子であることが既知の5遺伝子
内皮プールにおけるESTsの数は、比較的小さく(〜11,117)、既知の内皮遺伝子すべてが示されているわけではない。
表5
CGAP SAGEプールにおける5種類の既知内皮特異的遺伝子TIE1およびTIE2/TEKは、非内皮プール(卵巣由来の正常またはがん細胞系統におけるものがほとんど)において複数回ヒットする。vWFは、最も内皮特異的であり、内皮プールにおいて80回にヒットし、非内皮プールにおいては1回のみである。
表6
UniGene/ESTスクリーンの結果
20種類の既知遺伝子が、UniGene/ESTスクリーンにおいて選択された(非内皮プールにおいてヒットがなく、内皮プールにおいて少なくとも1回ヒットがある)。少なくともこれらの遺伝子の4種類が、既知の内皮特異的遺伝子である:TIE1、TIE2/TEK、LYVE1、およびマルチマリンで、〜20%の予測正確性を示している。他の遺伝子は、内皮細胞で確実に優先的に発現しているが、内皮特異的ではないかもしれない。
表7
xProfiler differential analysisは、UniGene/ESTスクリーンからのデータと併せられ、予測の100%の確実性を達成した。xProfilerのアウトプットは、SAGE−CGAPライブラリーの非内皮プールにおけるものに比べ、内皮において10倍高い数のタグを持つ遺伝子をリストにする。内皮および非内皮ESTプールに対応するヒットは、mRNA(既知遺伝子)またはphrap computed contig配列(新規遺伝子を代表するESTクラスター)に対する同一性レベルBLAST検索によって同定された。遺伝子は、非内皮ESTプールにおけるヒットの数に従って、並べられた。既知および推定の新規内皮特異的遺伝子は太字で示す。
表8
magic roundaboutについての利用可能な情報のまとめ
表9
RT−PCRに使用したプライマーのリスト dbSTSプライマーが、UniGeneエントリーが配列タグ部位(STS)を含んでいる場合、使用された。さもなければ、プライマーは、Primer3プログラムを用いて設計された。
表10
ECSM1 contig配列に属するESTsは次のとおり:
実施例2
ECSM4発現は、内皮細胞に限られる。
腫瘍および正常組織のin situハイブリダイゼーション(ISH)は、ECSM4の発現が成人血管新生中の血管のみにおける、血管内皮細胞に限られることを示した。正常組織の分析は、ECSM4の発現はヒト骨盤および臍帯胎児組織10.8週月経年齢時に検出されることを示した。図16に示すように、ECSM4の発現は、骨盤における血管の血管内皮細胞に高度に特異的である。さらに、発現は、分析された多くのほかの正常組織、成人肝臓、大脳、および大血管、前立腺、大腸、小腸、心臓、眼(脈絡膜およびきょう膜)、卵巣、胃、乳房、および胎児膀胱、精巣、腎臓(15.8週)、および胎児心臓、腎臓、副腎、腸(11.3週)、胎児脳(10.6週)、および胎児眼(16.5週)には見られなかった(データ示さず)。
大腸肝臓転移生体組織検査のISH分析は、ECSM4の発現は、腫瘍血管の血管内皮細胞に限られることを示した(図17および18)。発現は、周りの正常組織ではまったく検出されなかった。さらに、壊死組織の近傍では発現の上昇が示され(図18、壊死組織は*で標識された明るいシグナルによって示される。)、低酸素状態によるECSM4発現の誘導と一致する。そのように、ECSM4は、新規の低酸素状態によって調節を受ける遺伝子であるかもしれない。
成人の正常および腫瘍組織における新生血管へのECSM4の高度に限定された発現様式は、実施例1において述べられたin slicio分析によって決定された、内皮細胞選択的発現様式と完全に一致する。
方法
ホルマリン固定した、パラフィンに埋め込まれた組織および腫瘍の塊は、帝国癌研究基金胸部病理学グループ、Guys病院、ロンドン、UKの記録保管所から得られた。ECSM4 cDNAに対するアンチセンスリボプローブは、in situハイブリダイゼーションによるECSM4 mRNAの特異的な局在を調べるために調製された。オートラジオグラフィーのためのIlford K5におけるスライドの前処理、ハイブリダイゼーション、洗浄、および浸透染色の方法は、以前に述べられている(Poulsom, R., Longcroft, J. M., Jeffrey, R. E., Rogers, L., and Steel, J. H. (1998) Eur. J. Histochem. 42, 121−132)。フィルムは、Kodak D19での現像、およびギムザでのカウンター染色の前に、7日から15日露光させた。切片は、通常のあるいは反射された光暗視野条件(Olympus BH2上部照明装備)、暗背景上に明るい対象物として見られるように、個々のオートラジオグラフィー銀粒子となった対象物をx5、x10、またはx20で調べられた。
実施例3
ECSM4ポリペプチドは、内皮細胞においてのみ検出される。
ECSM4ポリペプチドに選択的に結合可能な抗体が作成され、広範な細胞種におけるECSM4ポリペプチドの存在を示すための免疫組織化学に使用された(図21から26)。組織サンプルは、免疫組織化学の技術における、標準的な技術によって調製された。
ECSM4を認識する抗体の作製。
ペプチドMR 165、MR 311、およびMR 336は、ポリクローナル抗体の産生のためのウサギのを免疫にする前に、鍵穴リンペットヘモシアニン(KLH)に融合された。抗体MGO−5は、ペプチドMR 165で免疫にされたウサギ由来であり、一方MGO−7は、MR 311およびMR 336の混合物で免疫にしたウサギ由来であった。ポリクローナル抗体を作製するために使用されたペプチドの配列は、図12に示したように、ヒトECSM4の全長アミノ酸配列中の位置を参考に、下に示される。
MR 165 = LSQSPGAVPQALVAWRA(681−697)
MR 274 = DSVLTPEEVALCLEL(790−804)
MR 311 = TYGYISVPTA(827−836)
MR 336 = KGGVLLCPPRPCLTPT(852−867)
実施例4
内皮特異的転写物の生物情報検索において同定されたmagic roundabout EST配列は、ヒト心臓cDNAライブラリーから、3800塩基対の長さのcDNAを単離するために使用された。遺伝子特異的なプライマーを使用したスクリーンは、心臓、成人および胎児脳、肝臓、肺、腎臓、筋肉、骨盤、および小腸には存在するが、抹消血管白血球、副腎、および精巣には存在しない遺伝子を示した。最も高い発現は、骨盤由来のライブラリーにおいて見られた。Magic roundabout配列のroundaboutのものへの比較は、その至る所にホモロジーを示す膜貫通蛋白質であること、しかし細胞外領域にはホモロジーを示さないことを明らかにした。このように、MRは、神経特異的roundaboutの細胞外領域における、五つのイムノグロブリンおよび二つのフィブロネクチン領域に比較して、二つのイムノグロブリンおよび二つのフィブロネクチン領域を細胞外領域にもつ。膜貫通領域は、(i)膜貫通部位予測ソフトウェアPRED−TMRを使用して、および(ii)ヒトMRおよびヒトROBO1ペプチド配列との間のアライメントを使用して、同定された。両方の方法は、ヒトMRの膜貫通領域として、アミノ酸468−490と同じ残基を同定した。このように、1−467アミノ酸は細胞外、および491−1007アミノ酸は細胞内である。細胞内領域は、c−ablに結合すると考えられる(Bashaw et al (2000) Cell 101: 703−715)、roundabout内の配列のホモログである、推定のプロリンリッチ領域を含む。
ヒトSHGC−11739(GenBank acc. G14646)配列タグ部位(STS)は、BLAST dbSTS検索において、magic roundabout mRNAにマップされた。このSTSmapsは、Stanford G3 Physical map上の染色体11に存在する(領域5647.00cR10000 LOD 1.09 bin 129)。しかしながら、大部分の配列は失われており、ゲノム構造は知られていない。RIKENデータベースの検索は、マウスmagic roundaboutを同定した。ヒトMRのペプチドコアの推定分子量は、107,457ダルトンであった。これは、in vitro翻訳によって確認された(図3)。
実施例5
ECSM4の発現は、腫瘍において検出される。
In situハイブリダイゼーションは、in vivoにおけるECSM4の発現を特徴付けるために使用された。ECSM4の発現は、非常に制限され(表13)、神経組織を含む多くの組織において、シグナルは検出されなかった。対照的に、強度の発現が、骨盤および広範な腫瘍、脳、膀胱、および肝臓への大腸転移の腫瘍をを含む、において検出された(図27)。腫瘍内での発現は、腫瘍血管構造に限られた。骨盤の免疫組織化学染色は、この蛋白質の内皮特異的な発現を確認した。
ECSM4のCGAP SAGEライブラリーに対する検索は、内皮および腫瘍ライブラリーにおいてのみそれを検出した(表14)。このことは、発現が腫瘍血管に限られたことを示す(肝臓への大腸がん転移、ガングリオグリオーマ、膀胱、および乳がん)、成人におけるin situハイブリダイゼーションの結果と一致した。
表13
in vivoヒト組織におけるmagic roundaboutの発現
発現が検出されたもの
骨盤および臍帯胎児組織(10.8週月経年齢)
大腸肝臓転移、ガングリオグリオーマ、膀胱、および乳がんにおける血管
発現が検出されなかったもの
成人肝臓、大脳、および大血管、前立腺、大腸、小腸、心臓、眼脈絡膜およびきょう膜、卵巣、胃、乳房
表14
magic roundaboutがgene to tag mappingに基づいて見出されたCGAP SAGEライブラリー
実施例6
低酸素状態の内皮細胞におけるECSM4の誘導
最初のRT−PCRは、内皮においてECSM4の発現を検出したが、繊維芽細胞(正常内皮およびFEK4)、大腸癌(SW480およびHCT116)、乳がん(MDA453およびMDA468)、およびHeLa細胞のような他の細胞系統では、検出しなかった。リボヌクレアーゼ保護分析は、これを確認し、拡大した(図11a)。ECSM4発現は、内皮(3種類の異なる分離体)に限られることが見られ、繊維芽細胞、癌、および神経細胞では見られなかった。内皮(非内皮ではみられない)の低酸素状態におけるECSM4の誘導は、ECSM4の発現が2種類の異なるRNase保護プローブを使用して解析されたときに、見られた。発現は、低酸素状態のHUVEC、およびHDMECそれぞれにおいて平均5.5, 2.6倍高かった。ウエスタン解析は、ヒト皮膚微小血管内皮細胞(HDMEC)において110キロダルトンの弱いバンドを同定したが、非内皮細胞種では見られなかった(図11b)。バンドは、HDMEC細胞が18時間の低酸素状態にさらされたときに、より強く検出され、ECSM4が低酸素によって調節を受ける遺伝子であることと一致した。