JP2010247587A - 車両の制御装置およびその制御装置を搭載したハイブリッド車両 - Google Patents

車両の制御装置およびその制御装置を搭載したハイブリッド車両 Download PDF

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Abstract

【課題】機械式オイルポンプおよび電動オイルポンプといったような複数種類の油圧供給手段が備えられた車両に対し、車両が走行可能な状態に至るまでに要する時間の短縮化が可能な車両の制御装置およびその制御装置を搭載したハイブリッド車両を提供する。
【解決手段】ハイブリッドシステムの起動要求時、先ず電動オイルポンプを起動し、これにより得られる油圧がエンジン始動時に必要な第2ブレーキ係合油圧(油圧閾値A)に達した時点でエンジンのクランキングを開始する。エンジンが始動して機械式オイルポンプが駆動した後、電動オイルポンプを停止し、機械式オイルポンプのみからの供給油圧が、車両走行時に必要となる最大トルク容量が各ブレーキに得られる油圧(油圧閾値B)に達するとREADYON許可とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、車両の動力伝達機構にオイル(作動油など)を供給するための複数種類の油圧供給手段(オイルポンプ等)を備えた車両の制御装置に係る。また、この制御装置を搭載したハイブリッド車両にも係る。特に、本発明は、車両が走行可能な状態になったことが判定されるまでに要する時間の短縮化を図るための対策に関する。
車両用のハイブリッド駆動装置は、例えば下記の特許文献1や特許文献2に開示されているように、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関と、モータもしくはモータ・ジェネレータなどの電動装置とを動力源とするものが一般的である。また、これら内燃機関と電動装置との組合せの形態は多様であり、電動装置の使用数も一台に限らず、複数台使用するものもある。
特許文献1や特許文献2に開示されているハイブリッド駆動装置の概略構成について以下に説明する。
エンジンと第1モータ・ジェネレータとが、シングルピニオン型遊星歯車機構からなる動力分配機構を介して相互に連結されている。また、この動力分配機構から出力部材(以下、出力軸と呼ぶ場合もある)にトルク伝達可能な構成とし、更に、その出力部材に変速機構(リダクション機構)を介して第2モータ・ジェネレータが連結された構成となっている。これにより、第2モータ・ジェネレータの出力トルクを、所謂アシストトルクとして出力部材に付加する構成となっている。また、上記変速機構は、摩擦係合要素(ブレーキ)の係合・解放を切り換えることにより直結状態と減速状態とが選択できる遊星歯車機構によって構成されている。
この種のハイブリッド駆動装置を搭載した車両では、各種条件に基づいて、エンジンおよびモータ・ジェネレータの駆動・停止を制御することにより、エンジンのみを駆動するエンジン駆動モード、モータ・ジェネレータのみを使用し、このモータ・ジェネレータを電動モータとして駆動するモータ駆動モード、エンジンおよびモータ・ジェネレータを共に駆動するエンジン・モータ駆動モードでの走行が切り替え可能である。これにより、燃費の改善、騒音の低減、排気ガス排出量の削減等を図ることができる。また、上記第2モータ・ジェネレータを力行状態あるいは回生状態に制御することにより、正トルクを出力部材に付加し、あるいは負トルクを出力部材に付加することができる。更に、上記変速機構によって減速状態を設定できるので、第2モータ・ジェネレータを低トルク型化あるいは小型化することもできる。
また、この種のハイブリッド駆動装置では、エンジン停止状態において、エンジンを始動させる(クランキングさせる)条件が成立した場合は、第1モータ・ジェネレータに電力を供給して電動機として駆動させ、この第1モータ・ジェネレータのトルクを、動力分配機構を経由させてエンジンに伝達する。これにより、エンジン回転数を上昇させるとともに、燃料の供給に伴う気筒内での混合気の燃焼を行い、エンジン回転数が自律回転可能な回転数となった場合に、上記第1モータ・ジェネレータによるクランキングを終了するようにしている。
そして、この種のハイブリッド車にあっては、上記モータ駆動モードでの走行中や、信号待ちなどの停車中には、燃費の改善および排気ガス排出量の削減を図るためにエンジンを停止している。そして、このエンジン停止状態になると、このエンジンの駆動力によって作動していた機械式オイルポンプも停止され、この機械式オイルポンプからの油圧供給が停止してしまう。このため、電動モータによって駆動可能な電動オイルポンプを備えさせ、エンジン停止状態であっても、この電動オイルポンプの駆動により、上記変速機構等を含む動力伝達機構へオイル(ATF)を供給し、上記摩擦係合要素を係合させるための油圧を確保し、また、動力伝達機構の各部の潤滑や冷却が十分に行えるようにしている。
ところで、これまでのハイブリッド車における上記ハイブリッド駆動装置の起動時(以下、システム起動時と呼ぶ場合もある)には、エンジン始動と共に、車両走行時に必要となる最大トルク容量が摩擦係合要素に得られる油圧(エンジンの最大トルク発生時にそのトルク伝達を可能にする油圧)を確保することが必要である。
そして、システム起動要求がなされた場合のエンジン始動動作にあっては、上述した如く第1モータ・ジェネレータを電動機として駆動させてエンジンをクランキングさせる際に、第1モータ・ジェネレータからの回転力が動力分配機構を経由する。このため、この回転力の一部(エンジンをクランキングさせる際の反力)が出力軸に伝達され、この出力軸を逆転させる方向へのトルクとして作用することになる。このため、この出力軸の逆転を阻止して車両の停車状態を維持するべく、上記第2モータ・ジェネレータを駆動させ、上記第1モータ・ジェネレータから出力軸に付加されるトルク(逆転方向のトルク)とは反対方向のトルクを出力軸に付加し、これらトルクを相殺させる必要がある。この第2モータ・ジェネレータのトルクを出力軸に伝達するためには、上記変速機構の摩擦係合要素(ブレーキ)を係合させておく必要があるが、エンジン始動時は機械式オイルポンプからの油圧が確保できないため、電動オイルポンプを駆動させることで上記変速機構の摩擦係合要素を係合させるための油圧を確保せねばならない。
そして、このようなシステム起動要求時において、オイル(ATF)の温度が十分に高い場合には、オイルの粘度が低く、電動オイルポンプを駆動させるための駆動電流値が低いため、この電動オイルポンプの駆動に要する電力は小さくて済み、また、電動オイルポンプの発熱量も少ない。このため、この電動オイルポンプを比較的長期間に亘って駆動させることが可能(比較的長期間に亘る駆動を許可することが可能)であり、この電動オイルポンプの駆動のみで、車両走行時に必要となる最大トルク容量が摩擦係合要素に得られる油圧を確保でき、車両の走行が可能な状態(所謂、READYON)にすることができる。
しかしながら、エンジンの冷間始動時などのようにオイルの温度が低い場合には、オイルの粘度が高く、電動オイルポンプを駆動させるための駆動電流値が高いため、この電動オイルポンプの駆動に要する電力は大きくなり、また、電動オイルポンプの発熱量も大きくなって電動オイルポンプの寿命に悪影響を及ぼす可能性がある。このため、このような状況でのシステム起動時には、電動オイルポンプを長期間に亘って駆動することは避けなければならない。この点を考慮し、システム起動時には以下のような制御動作が行われている。
ドライバによるスタートボタンのON操作等によるシステム起動要求(所謂STON)がなされると、先ず、電動オイルポンプを駆動して、変速機構の油圧を上昇させ、十分な油圧が確保された時点で、第1モータ・ジェネレータを電動機として駆動させてエンジンをクランキングさせる。この場合、摩擦係合要素の係合が可能な十分な油圧が確保されているため、摩擦係合要素を係合させると共に第2モータ・ジェネレータを駆動させることにより車両の停車状態は維持される。そして、エンジン回転数が自律回転可能な回転数になると、機械式オイルポンプの駆動に伴って油圧が確保可能な状況となるので、この時点で電動オイルポンプを停止する。つまり、早期に電動オイルポンプを停止させることで、消費電力の削減を図ると共に電動オイルポンプの発熱量を少なく抑えるようにしている。このような過程を経た後、機械式オイルポンプの駆動に伴う油圧の上昇により、車両走行時に必要となる最大トルク容量が摩擦係合要素に得られる油圧が確保されると、車両の走行が可能な状態(READYON)になったとし、ドライバによるアクセルペダルの踏み込み操作に伴って車両の発進を可能にしていた。尚、このシステム起動においてエンジンをクランキングさせる際の油圧値と、上記READYON判定が行われる油圧値とは同一値として設定されている。
特開2005−206021号公報 特開2005−207304号公報
上述したように、これまでのハイブリッド車において、上記システム起動時には、「システム起動要求」→「電動オイルポンプの駆動による十分な油圧の確保」→「第1モータ・ジェネレータの駆動によるエンジンのクランキング」→「機械式オイルポンプによる油圧の確保および電動オイルポンプの停止」といった一連の動作を経た後でなければ車両のREADYON状態(車両の発進を可能にする状態)とはならず、特に、電動オイルポンプの駆動により十分な油圧を確保するための時間を長く要していた。例えば、システム起動要求からREADYON状態となるまでの時間のうちの半分以上が、この電動オイルポンプにより油圧を確保する時間に費やされていた。
このため、このREADYON状態となるまでの時間を長く要してしまい、ドライバからのシステム起動要求操作が行われた後、車両の走行が可能な状態となるまでの時間が長くなり(例えば7sec程度の時間を要し)、システム起動要求後に直ちに走行を開始したいといったドライバの要求に応えることが難しかった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、機械式オイルポンプおよび電動オイルポンプといったような複数種類の油圧供給手段が備えられた車両に対し、車両が走行可能な状態に至るまでに要する時間の短縮化が可能な車両の制御装置およびその制御装置を搭載したハイブリッド車両を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、システム起動時における内燃機関始動開始(クランキング開始)のための油圧閾値と、車両が走行可能になったと判定するための油圧閾値とを個別に設定しておくことで、内燃機関始動開始タイミングを早期に得ることができるようにし、これによって、車両が走行可能な状態に至るまでに要する時間の短縮化が図れるようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、駆動輪に駆動力を伝達するための動力伝達機構に対し、第1の油圧供給手段、および、内燃機関によって駆動される機械式オイルポンプで成る第2の油圧供給手段からのオイル供給が可能とされていると共に、車両停車状態での内燃機関の始動時、上記動力伝達機構に備えられた摩擦係合要素を上記第1の油圧供給手段から供給されたオイルの油圧により係合させながら内燃機関の始動動作を行うようにした車両の制御装置を前提とする。この車両の制御装置に対し、内燃機関始動油圧判定手段、内燃機関始動手段、車両走行可能状態判定手段を備えさせている。上記内燃機関始動油圧判定手段は、上記車両を走行可能な状態とするための車両起動要求に従って行われる車両起動時、上記第1の油圧供給手段から上記動力伝達機構に供給された油圧が上記内燃機関の始動動作に必要な第1の油圧閾値まで昇圧したことを判定する。上記内燃機関始動手段は、上記内燃機関始動油圧判定手段によって、上記動力伝達機構に供給された油圧が上記第1の油圧閾値まで昇圧したと判定された際、内燃機関の始動動作を行う。上記車両走行可能状態判定手段は、上記内燃機関始動手段による内燃機関の始動動作に伴って上記第2の油圧供給手段が駆動して、この第2の油圧供給手段から上記動力伝達機構に供給された油圧が車両を走行可能な状態とする第2の油圧閾値に達した時点で車両が走行可能な状態になったことを判定する。
ここで、第1の油圧供給手段は、内燃機関の駆動力を必要とすることなくオイル供給が可能な油圧供給手段であって、例えば電動機によって駆動される電動オイルポンプ等が挙げられる。また、上記内燃機関の始動動作としては、例えば電動機の駆動による内燃機関のクランキングに伴い気筒内に燃料を供給する動作が挙げられる。更に、上記車両を走行可能な状態とする油圧(第2の油圧閾値)とは、車両走行時に必要となる最大トルク容量が摩擦係合要素に得られる油圧(内燃機関の最大トルク発生時にそのトルク伝達を可能にする油圧)である。
上記特定事項により、ドライバによるスタートボタンのON操作等による車両起動要求がなされると、第1の油圧供給手段から動力伝達機構への油圧供給が開始され、その油圧が上記第1の油圧閾値まで昇圧した時点から内燃機関の始動動作が開始される。そして、この内燃機関の始動動作に伴って第2の油圧供給手段が駆動して、この第2の油圧供給手段から上記動力伝達機構に供給された油圧が第2の油圧閾値に達すると、車両が走行可能な状態になったと判定する。このように、内燃機関始動開始タイミングとしては、必要最低限の油圧が確保された時点に設定され、この判定がなされるタイミングを従来のもの(車両走行時に必要となる最大トルク容量が摩擦係合要素に得られる油圧となった時点から内燃機関の始動を開始するもの)よりも早めることができ、上記車両起動要求がなされてから車両が走行可能な状態になったと判定されるまでの時間を短縮化できる。
上記動力伝達機構に供給された油圧が各油圧閾値に達したか否かを判定するための構成として具体的には以下のものが挙げられる。つまり、上記第1の油圧供給手段から上記動力伝達機構への油圧供給ラインと上記第2の油圧供給手段から上記動力伝達機構への油圧供給ラインとが合流した共通ラインに油圧センサを設ける。そして、この油圧センサによる共通ラインの油圧検出値に基づいて、上記内燃機関始動油圧判定手段が、上記動力伝達機構に供給された油圧が上記第1の油圧閾値まで昇圧したか否かを判定し、上記車両走行可能状態判定手段が、上記動力伝達機構に供給された油圧が第2の油圧閾値に達したか否かを判定する構成としている。
これにより、1つの油圧センサを備えさせるのみで、動力伝達機構に供給された油圧が第1の油圧閾値まで昇圧したか否かの判定動作(内燃機関始動油圧判定手段による判定動作)と、動力伝達機構に供給された油圧が第2の油圧閾値まで昇圧したか否かの判定動作(車両走行可能状態判定手段による判定動作)とを行うことができ、構成の簡素化を図ることができる。
上述した如く共通ラインに油圧センサを設けた構成における上記車両走行可能状態判定手段による判定動作として、より具体的には以下のものが挙げられる。つまり、上記内燃機関の始動動作に伴って上記第2の油圧供給手段が駆動した後に、上記第1の油圧供給手段からのオイル供給動作を停止するようになっており、このオイル供給動作の停止後、この第1の油圧供給手段から供給されていたオイルによる共通ラインでの油圧が略「0」となる所定時間経過後に、上記動力伝達機構に供給された油圧が上記第2の油圧閾値に達したか否かを上記車両走行可能状態判定手段によって判定する構成としている。
これによれば、車両走行可能状態判定手段により判定される油圧(第2の油圧閾値に達したか否かが判定される油圧)は、内燃機関によって駆動される第2の油圧供給手段から供給されたオイルのみの油圧として検出されることになる。このため、この油圧が第2の油圧閾値に達したと判断された後には、第1の油圧供給手段が停止されたことに起因する油圧低下は生じず、上記第2の油圧閾値以上の油圧が動力伝達機構に継続的に維持されることになる。その結果、車両が走行可能な状態になったことが判定された後に再び油圧が第2の油圧閾値未満になって車両の走行が不可能とされるといった状況を招くことがなく、車両起動判定の信頼性を高く確保できる。
また、上記第1の油圧閾値および第2の油圧閾値としては、上記動力伝達機構に供給するためのオイルの温度が低いほど低い値として設定される。
これにより、温度の影響によってオイルの粘性が変化した場合であっても、上記車両起動要求がなされてから車両が走行可能な状態になったと判定されるまでの時間を短縮化できるといった上記効果を十分に確保することが可能になる。
尚、上述した各解決手段のうち何れか一つの車両の制御装置を搭載したハイブリッド車両も本発明の技術的思想の範疇である。以下、具体的に説明する。このハイブリッド車両は、上記内燃機関を始動させる際に、この内燃機関に付加する回転力を発生する第1の電動機と、駆動輪に接続される出力軸に向けて駆動力の出力が可能な第2の電動機と、この第2の電動機から駆動輪までの間の動力伝達経路に備えられ且つ摩擦係合要素の係合状態を変更することによって変速動作を行う変速機とを備えている。そして、上記第1の油圧閾値を、上記第1の電動機の回転力を内燃機関に付加する内燃機関の始動時において、上記出力軸に作用する第1の電動機からの回転力を第2の電動機の駆動力によって相殺可能とするための摩擦係合要素の係合力が得られる圧力に略一致する値に設定している。
このハイブリッド車両では、内燃機関の始動時には、第1の電動機の回転力を内燃機関に付加すると共に、変速機に備えられた摩擦係合要素を係合状態として第2の電動機を駆動させ、出力軸に作用する第1の電動機からの回転力を第2の電動機の駆動力によって相殺させて、車両の停車状態を維持しながら内燃機関を始動させる。この場合に、車両の停車状態を維持するための第2の電動機の駆動力が確実に出力軸に伝達できる摩擦係合要素の係合力が得られるように上記第1の油圧閾値が設定されている。このため、摩擦係合要素の係合力が不十分となって滑りが生じたりすることが回避でき、信頼性の高い内燃機関の始動動作を実現することができる。
本発明では、システム起動時における内燃機関始動開始のための油圧閾値と、車両が走行可能になったと判定するための油圧閾値とを個別に設定しておくことで、内燃機関始動開始タイミングを早期に得ることができるようにしている。これにより、車両が走行可能な状態に至るまでに要する時間の短縮化が図れる。
実施形態に係るハイブリッド車に搭載されたハイブリッドシステムの概略構成を示す図である。 ハイブリッドシステムのギヤトレインを模式的に示す図である。 図3(a)は動力分配機構についての共線図であり、図3(b)はリダクション機構についての共線図である。 油圧制御装置の制御系を示すブロック図である。 システム起動時の制御動作の手順を示すフローチャート図である。 システム起動時におけるライン圧指令、電動オイルポンプ回転数指令、エンジン回転数、第2ブレーキ係合油圧、第2モータ・ジェネレータのトルク、READYON許可フラグそれぞれの変化を示すタイミングチャート図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、2つのモータ・ジェネレータを備え、且つFR(フロントエンジン・リヤドライブ)車として構成されたハイブリッド車に対して本発明を適用した場合について説明する。
−ハイブリッドシステムの全体構成−
図1は、本実施形態に係るハイブリッド車に搭載されたハイブリッドシステムの概略構成を示す図である。また、図2は、ハイブリッドシステムのギヤトレイン(後述する動力伝達機構10)を模式的に示す図である。図1に示した車両HVは、F・R形式のハイブリッド車(以下、単に「車両」と呼ぶ)である。図1において、車両HVは、主駆動力源としてのエンジン(内燃機関)1を備えている。このエンジン1は燃料と空気との混合気を気筒内で燃焼させ、その熱エネルギを回転運動エネルギに変換して出力する周知の動力装置である。
このエンジン1として具体的には、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどが適用可能であり、スロットル開度(吸気量)、燃料噴射量、点火時期などによって運転状態を制御できるように構成されている。また、その制御は、マイクロコンピュータを主体とする電子制御装置(E−ECU)100によって行われる。
上記エンジン1の出力軸であるクランクシャフト11は、車両HVの前後方向を回転軸として回転可能である。また、クランクシャフト11の後端にはフライホイール12が配設されている。このフライホイール12には、ダンパ機構21を介してインプットシャフト2が連結されている。
また、ハイブリッドシステムを収容しているケーシング3の内部には、車両HVの前側から順に、主に発電機として機能する第1モータ・ジェネレータ(MG1:第1の電動機)4、動力分配機構5、主に電動機として機能する第2モータ・ジェネレータ(MG2:第2の電動機)6、2段変速式のリダクション機構(変速機)7が配置されている。
上記各モータ・ジェネレータ4,6としては、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを兼ね備えた同期電動機が用いられている。より具体的には、第1モータ・ジェネレータ4は、動力分配機構5を介してエンジン1の駆動力を受けて第2モータ・ジェネレータ6に給電するための発電を行ったり、エンジン始動時や車両発進時の駆動力発生源として機能する。一方、第2モータ・ジェネレータ6は、車両の走行駆動力のアシストを行ったり、制動時や減速時の回生動作によって発電を行うものとして機能する。これらモータ・ジェネレータ4,6は、ステータ41,61およびロータ42,62をそれぞれ有しており、ステータ41,61は上記ケーシング3の内壁に固定されている。また、各モータ・ジェネレータ4,6は、電力の授受を行うことが可能な蓄電装置8にインバータ81を介して接続されている。この蓄電装置8としては、二次電池、具体的にはバッテリ(ニッケル水素バッテリやリチウムイオンバッテリ等)、キャパシタなどを用いることが可能である。また、各モータ・ジェネレータ4,6は、マイクロコンピュータを主体とする電子制御装置(MG−ECU)101によってインバータ81を制御することにより、力行および回生並びにそれぞれの場合におけるトルクを制御するように構成されている。
上記動力分配機構5は、シングルピニオン形式の遊星歯車機構によって構成されている。即ち、この動力分配機構5は、中空シャフト51に形成されたサンギヤ52と、このサンギヤ52と同心状に配置されたリングギヤ53と、これらサンギヤ52およびリングギヤ53に噛合する複数のピニオンギヤ54と、これら複数のピニオンギヤ54を保持するキャリヤ55とを備えている。そして、上記インプットシャフト2とキャリヤ55とが回転一体に連結されている。また、インプットシャフト2は中空シャフト51内に配置され、このインプットシャフト2と中空シャフト51とは相対回転可能となっている。
上記クランクシャフト11、フライホイール12、インプットシャフト2、動力分配機構5は同軸上に配置されている。また、車両HVの前後方向(クランクシャフト11の軸線方向)において、フライホイール12およびダンパ機構21と、動力分配機構5との間に上記第1モータ・ジェネレータ4が配置され、この第1モータ・ジェネレータ4のロータ42の内部空間を通過するように、上記インプットシャフト2が配置されている。上述した如く、インプットシャフト2の後端に、上記キャリヤ55が連結されているため、このキャリヤ55が動力分配機構5における入力要素となっている。また、上記サンギヤ52に第1モータ・ジェネレータ4のロータ42が中空シャフト51を介して回転一体に連結されているため、このサンギヤ52が所謂反力要素となっている。更に、上記リングギヤ53は後述するアウトプットシャフト(駆動軸)9に回転一体に連結されている。
上記リダクション機構7は、ラビニオ式の遊星歯車機構によって構成されている。つまり、このリダクション機構7は、フロントサンギヤ71、このフロントサンギヤ71よりも大径のリアサンギヤ72、ロングピニオンギヤ73、ショートピニオンギヤ74、リングギヤ75、上記ロングピニオンギヤ73とショートピニオンギヤ74とを自転可能に保持するキャリヤ76を備えた構成となっている。
フロントサンギヤ71は、その回転を許可または規制する第1ブレーキ(摩擦係合要素)B1に連結されている。この第1ブレーキB1としては油圧制御式の摩擦係合装置が用いられている。
リアサンギヤ72は、中空シャフト77によって第2モータ・ジェネレータ6のロータ62に回転一体に連結されている。
ロングピニオンギヤ73は、ショートピニオンギヤ74を介してフロントサンギヤ71に噛み合っている。つまり、ショートピニオンギヤ74は、ロングピニオンギヤ73およびフロントサンギヤ71にそれぞれ噛み合っている。また、このロングピニオンギヤ73は、上記リアサンギヤ72およびリングギヤ75にそれぞれ噛み合っている。
リングギヤ75は、その内周側がロングピニオンギヤ73に噛み合っている一方、このリングギヤ75の回転を許可または規制する第2ブレーキ(摩擦係合要素)B2に連結されている。この第2ブレーキB2としても油圧制御式の摩擦係合装置が用いられている。
上記キャリヤ76にはアウトプットシャフト9が回転一体に連結されている。このアウトプットシャフト9は、上記インプットシャフト2と同軸上に配置されている。また、アウトプットシャフト9の前端は、動力分配機構5のリングギヤ53に回転一体に連結されている。アウトプットシャフト9の外側には上記中空シャフト77が配置されており、アウトプットシャフト9と中空シャフト77とは相対回転可能となっている。この中空シャフト77と第2モータ・ジェネレータ6のロータ62とは回転一体に連結されている。
従って、上記リダクション機構7は、リアサンギヤ72が所謂入力要素であり、またキャリヤ76が出力要素となっている。また、第1ブレーキB1を係合させることにより変速比が「1」より大きい高速段が設定され、第1ブレーキB1に代えて第2ブレーキB2を係合させることにより、高速段より変速比の大きい低速段が設定されるように構成されている。この各変速段の間での変速は、車速や要求駆動力(もしくはアクセル開度)などの走行状態に基づいて実行される。より具体的には、変速段領域を予めマップ(変速線図)として定めておき、検出された運転状態に応じて何れかの変速段を設定するように制御される。その制御を行うためのマイクロコンピュータを主体とした電子制御装置(T−ECU)102が設けられている。
また、上記アウトプットシャフト9にはパーキングギヤ93が回転一体に取り付けられており、このパーキングギヤ93に対向してパーキングロックポール94が配設されている。このパーキングロックポール94は、運転席近傍に配設された図示しないシフトレバーがパーキング位置に操作された場合に、上記パーキングギヤ93に係合することで、アウトプットシャフト9を回転不能に固定するものである。つまり、車両の移動を強制的に阻止するようになっている。
一方、アウトプットシャフト9と、ディファレンシャル91とが、図示しないプロペラシャフトにより連結されている。また、ディファレンシャル91は内部に収容された図示しない差動機構を介してドライブシャフト92,92に連結され、これらドライブシャフト92,92には車輪(駆動輪)T,Tが取り付けられている。
以下、各機構5,7の動作について説明する。
動力分配機構5の作動として、キャリヤ55に入力されるエンジン1の出力トルクに対して、第1モータ・ジェネレータ4による反力トルクをサンギヤ52に入力すると、出力要素となっているリングギヤ53には、エンジン1から入力されたトルクより大きいトルクが出力として得られる。その場合、第1モータ・ジェネレータ4は、発電機として機能する。また、リングギヤ53の回転数(出力回転数)を一定とした場合、第1モータ・ジェネレータ4の回転数を増減変化させることにより、エンジン1の回転数を連続的に(無段階に)変化させることができる。即ち、エンジン1の回転数を例えば燃費が最も良好な回転数に設定する制御を、第1モータ・ジェネレータ4を制御することによって行うことができる。
また、リダクション機構7の作動として、第1ブレーキB1を解放すると共に第2ブレーキB2を係合すれば、第2ブレーキB2によってリングギヤ75が固定される。これにより、低速段Lが設定され、第2モータ・ジェネレータ6の出力したトルクが変速比に応じて増幅されてアウトプットシャフト9に付加される。これに対して第1ブレーキB1を係合すると共に第2ブレーキB2を解放すれば、第1ブレーキB1によってフロントサンギヤ71が固定される。これにより、上記低速段Lより変速比の小さい高速段Hが設定される。この高速段Hにおける変速比は「1」より大きいので、第2モータ・ジェネレータ6の出力したトルクがその変速比に応じて増幅させられてアウトプットシャフト9に付加される。
尚、各変速段L,Hが定常的に設定されている状態では、アウトプットシャフト9に付加されるトルクは、第2モータ・ジェネレータ6の出力トルクを変速比に応じて増大させたトルクとなるが、変速過渡状態では各ブレーキB1,B2でのトルク容量や回転数変化に伴う慣性トルクなどの影響を受けたトルクとなる。また、アウトプットシャフト9に付加されるトルクは、第2モータ・ジェネレータ6の駆動状態では、正トルクとなり、被駆動状態では負トルクとなる。
上述したハイブリッドシステムは、エンジン1を可及的に効率の良い状態で運転して排ガス量を低減すると同時に燃費を改善させ、またエネルギ回生を行ってこの点でも燃費を改善することを主な目的としている。従って、大きな駆動力が要求されている場合には、エンジン1のトルクをアウトプットシャフト9に伝達している状態で、第2モータ・ジェネレータ6を駆動してそのトルクをアウトプットシャフト9に付加する。その場合、低車速の状態では、リダクション機構7を低速段Lに設定して付加するトルクを大きくし、その後、車速が増大した場合には、リダクション機構7を高速段Hに設定して、第2モータ・ジェネレータ6の回転数を低下させる。これは、第2モータ・ジェネレータ6の駆動効率を良好な状態に維持して燃費の悪化を防止するためである。
従って、このハイブリッドシステムでは、第2モータ・ジェネレータ6を動作させている走行中にリダクション機構7による変速動作を実行する場合がある。その変速動作は、上述した各ブレーキB1,B2の係合・解放状態を切り換えることにより実行される。例えば、低速段Lから高速段Hに切り換える場合には、第2ブレーキB2を係合させていた状態からこれを解放させ、同時に第1ブレーキB1を係合させることになる。また、高速段Hから低速段Lに切り換える場合には、第1ブレーキB1を係合させていた状態からこれを解放させ、同時に第2ブレーキB2を係合させることになる。
図3(a)は、上記動力分配機構5についての共線図を示している。この図3(a)に示すように、キャリヤ(C)55に入力されるエンジン(E/G)1からのトルクに対して、第1モータ・ジェネレータ(MG1)4による反力トルクをサンギヤ(S)52に入力すると、これらのトルクを加減算した大きさのトルクが、出力要素となっているリングギヤ(R)53に現れる。その場合、第1モータ・ジェネレータ4のロータ42がそのトルクによって回転し、第1モータ・ジェネレータ4は発電機として機能する。また、リングギヤ53の回転数(出力回転数)を一定とした場合、第1モータ・ジェネレータ4の回転数を変化させることにより、エンジン1の回転数を連続的に(無段階に)変化させることができる(図3(a)の各矢印を参照)。すなわち、エンジン1の回転数を例えば燃費が最も良い回転数に設定する制御を、第1モータ・ジェネレータ4を制御することによって行うことができる。
さらに、図3(a)に一点鎖線で示すように、走行中にエンジン1を停止させていれば、第1モータ・ジェネレータ4が逆回転しており、その状態から第1モータ・ジェネレータ4を電動機として機能させて正回転方向にトルクを出力させると、キャリヤ55に連結されているエンジン1にこれを正回転させる方向のトルクが作用し、したがって第1モータ・ジェネレータ4によってエンジン1を始動(モータリングもしくはクランキング)することができる(図3(a)の破線を参照)。その場合、アウトプットシャフト9にはその回転を止める方向のトルクが作用する。したがって走行のための駆動トルクは、第2モータ・ジェネレータ6の出力するトルクを制御することにより維持でき、同時にエンジン1の始動を円滑に行うことができる。なお、この種のハイブリッド形式は、機械分配式あるいはスプリットタイプと称されている。
また、図3(b)は、上記リダクション機構7についての共線図を示している。この図3(b)に示すように、第2ブレーキB2によってリングギヤ(R)75を固定すれば、低速段Lが設定され、第2モータ・ジェネレータ(MG2)6の出力したトルクが変速比に応じて増幅されてアウトプットシャフト(出力軸)9に付加される。これに対して第1ブレーキB1によってフロントサンギヤ(S1)71を固定すれば、低速段Lより変速比の小さい高速段Hが設定される。この高速段Hにおける変速比も「1」より大きいので、第2モータ・ジェネレータ6の出力したトルクがその変速比に応じて増大させられてアウトプットシャフト9に付加される。
なお、各変速段L,Hが定常的に設定されている状態では、アウトプットシャフト9に付加されるトルクは、第2モータ・ジェネレータ6の出力トルクを変速比に応じて増大させたトルクとなるが、変速過渡状態では各ブレーキB1,B2でのトルク容量や回転数変化に伴う慣性トルクなどの影響を受けたトルクとなる。また、アウトプットシャフト9に付加されるトルクは、第2モータ・ジェネレータ6の駆動状態では、正トルクとなり、被駆動状態では負トルクとなる。
−モード切り換え−
本実施形態に係るハイブリッドシステムの具体的なモードとしては、エンジン走行モード、電気自動車(EV)モード、ハイブリッドモードがあり、これらモードが切り換え可能となっている。
エンジン走行モードが選択された場合は、エンジン1に燃料が供給されて、エンジン1が自律回転する一方、第2モータ・ジェネレータ6への電力の供給が停止される。エンジン1が自律回転している場合、エンジントルクは、インプットシャフト2、キャリヤ55、リングギヤ53を経由してアウトプットシャフト9に伝達される。アウトプットシャフト9のトルクは、プロペラシャフト、ディファレンシャル91、ドライブシャフト92,92を経由して車輪T,Tに伝達されて、駆動力が発生する。
これに対し、電気自動車モードが選択された場合は、第2モータ・ジェネレータ6が電動機として起動され、この第2モータ・ジェネレータ6のトルクがリダクション機構7を経由し、アウトプットシャフト9、ディファレンシャル91、ドライブシャフト92,92を介して車輪T,Tに伝達される一方、エンジン1には燃料が供給されない。
また、ハイブリッドモードが選択された場合は、エンジン1が自律回転し、且つ第2モータ・ジェネレータ6に電力が供給され、エンジン1のトルクおよび第2モータ・ジェネレータ6のトルクが、共に車輪T,Tに伝達される。
このように、車両HVは、エンジントルクを、動力分配機構5を経由させて、車輪T,Tと第1モータ・ジェネレータ4とに機械的に分配できるとともに、エンジン1または第2モータ・ジェネレータ6のうちの少なくとも一方を駆動力源とすることのできる機械分配式のハイブリッド車である。更に、エンジントルクを動力分配機構5に伝達する場合、エンジントルクの一部が第1モータ・ジェネレータ4に伝達されるとともに、動力分配機構5のサンギヤ52とキャリヤ55とリングギヤ53との差動機能により、第1モータ・ジェネレータ4が反力要素として機能する。従って、上述した如く第1モータ・ジェネレータ4の回転速度を制御することにより、エンジン回転数を無段階に(連続的に)制御することが可能である。つまり、動力分配機構5は無段変速機としての機能をも有している。
上記電気自動車モードまたはハイブリッドモードが選択された場合は、リダクション機構7を制御するために、上述した如く2種類の変速モードを選択可能であり、この変速モードに基づいて、リダクション機構7の変速比が制御される。この変速モードは、車速、要求駆動力などに基づいて判断され、低速モードまたは高速モードのいずれかを選択できる。要求駆動力は、例えばアクセル開度センサ等の信号に基づいて判断される。例えば、車速が所定車速以下であり、且つアクセル開度が所定値以上である場合は、低速モードが選択される。これに対して、車速が所定車速を超え、且つアクセル開度が所定値未満である場合は、高速モードが選択される。
低速モードが選択された場合は、第1ブレーキB1が解放され、且つ第2ブレーキB2が係合される。この低速モードが選択され、且つ第2モータ・ジェネレータ6のトルクがリアサンギヤ72に伝達された場合は、リングギヤ75が反力要素となり、リアサンギヤ72のトルクが、キャリヤ76、アウトプットシャフト9、ディファレンシャル91を経由して車輪T,Tに伝達される。ここで、第2モータ・ジェネレータ6の回転速度よりも、アウトプットシャフト9の回転速度の方が低速となる。尚、低モードが選択された場合におけるリダクション機構7の変速比は、「ロー(最大変速比)」である。
一方、高速モードが選択された場合は、第2ブレーキB2が解放され、且つ第1ブレーキB1が係合される。また、第2モータ・ジェネレータ6が電動機として駆動され、フロントサンギヤ71が反力要素となり、リアサンギヤ72のトルクが、キャリヤ76、アウトプットシャフト9、ディファレンシャル91を経由して車輪T,Tに伝達される。尚、第2モータ・ジェネレータ6の回転速度よりも、アウトプットシャフト9の回転速度の方が低速となる。尚、高速モードが選択された場合におけるリダクション機構7の変速比は「ハイ(小変速比)」であり、上記低速モードが選択された場合に設定されるリダクション機構7の変速比よりも小さい。
更に、車両HVが惰力走行する場合は、車両HVの運動エネルギを、車輪T,Tから第2モータ・ジェネレータ6に伝達するとともに、この第2モータ・ジェネレータ6で発生した電力を蓄電装置8に充電することが可能である。
ところで、エンジン1への燃料の供給が停止している場合において、エンジン1を始動させる(クランキングさせる)条件が成立した場合は、上述した如く第1モータ・ジェネレータ4に電力を供給して、第1モータ・ジェネレータ4を電動機として駆動させ、この第1モータ・ジェネレータ4のトルクを、動力分配機構5、インプットシャフト2を経由させてエンジン1に伝達して、エンジン回転数を上昇させるとともに、燃料の供給および燃焼を行い、エンジン回転数が自律回転可能な回転数となった場合に、第1モータ・ジェネレータ4によるクランキングを終了する。
尚、車両の後退(リバース)時には、第2モータ・ジェネレータ6が逆回転することにより駆動力を得るようになっている。
上述したような第2モータ・ジェネレータ6のトルク制御や各ブレーキB1,B2の係合・解放タイミング制御は第2モータ・ジェネレータ6の回転数に基づいたフィードバック制御により実行される。例えば、第2モータ・ジェネレータ6の現在の回転数と、アウトプットシャフト9の回転数等に基づいて求められる変速後の適正な第2モータ・ジェネレータ6の回転数(目標回転数)とを比較し、変速後の回転数が目標回転数に一致するように第2モータ・ジェネレータ6に対する供給電流のフィードバック制御が行われる。また、アウトプットシャフト9の回転数に第2モータ・ジェネレータ6の回転数が同期したタイミングで各ブレーキB1,B2の係合・解放動作が行われるように、これら係合・解放タイミングのフィードバック制御も行われる。
−油圧制御装置−
本実施形態に係るハイブリッド車は、上記各ブレーキB1,B2に対して油圧を給排してその係合・解放の制御を行うための油圧制御装置200が設けられている。この油圧制御装置200は、図4に示すように、機械式オイルポンプ(第2の油圧供給手段)MOPおよび電動オイルポンプ(第1の油圧供給手段)EOPを備えたポンプユニットPUと、これらのオイルポンプMOP,EOPで発生させた油圧をライン圧に調圧するとともに、そのライン圧を元圧として調圧した油圧を上記各ブレーキB1,B2に対して給排し、かつ適宜の箇所に潤滑および冷却のためのオイルを供給する油圧回路201とを備えている。
上記機械式オイルポンプMOPは、エンジン1によって駆動されて油圧を発生するポンプであって、例えば上記ダンパ機構21の出力側に同軸上に配置され、エンジン1からトルクを受けて駆動するようになっている。
一方、電動オイルポンプEOPは、図示しないモータ(電動機)によって駆動されるポンプであって、ケーシング(図示せず)の外部などの適宜の箇所に取り付けられ、バッテリ204(補機用バッテリ)などの蓄電装置から電力を受けて駆動し、油圧を発生するようになっている。尚、この電動オイルポンプEOPとしては、専用のモータによって駆動するものに限らず、上記何れかのモータ・ジェネレータ4,6によって駆動されるようになっていてもよい。
また、上記油圧回路201は、複数のソレノイドバルブや切換バルブあるいは調圧バルブを備え、調圧や油圧の給排を電気的に制御できるように構成されている。尚、この油圧回路201の回路構成は従来より公知であるため、ここでの説明は省略する。
また、各オイルポンプMOP,EOPの吐出側には、それぞれのオイルポンプMOP,EOPの吐出圧が所定圧以上となった場合に開放する逆止弁202,203が設けられている。そして、上記油圧回路201に対して各オイルポンプMOP,EOPは互いに並列に接続されている。また、ライン圧を調圧するバルブ(図示せず)は、吐出量を増大させてライン圧を高くし、これとは反対に吐出量を減じてライン圧を低くする二つの状態にライン圧を制御するように構成されている。
−電動オイルポンプEOPの制御系−
次に、電動オイルポンプEOPの駆動を制御するための制御系の概略構成について説明する。図4に示すように、上記油圧制御装置200には電動オイルポンプEOPの駆動を制御するためのポンプ制御部300が接続されている。このポンプ制御部300は各種検知信号を受けて電動オイルポンプEOPに回転数指令信号を送信し、この電動オイルポンプEOPの回転数(オイル吐出量)を制御するようになっている。以下、具体的に説明する。
上記ポンプ制御部300は、車両の走行速度を検知する車速センサ301、アクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサ302、ポンプユニットPUに貯留されているオイルの温度を検出する油温センサ303、ポンプユニットPUから吐出されるオイルの圧力を検出する油圧センサ304、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ305、ハイブリッドシステムの起動要求時にドライバによってON操作されるスタートボタン306などが接続されており、これらの各センサ301〜305から検知信号やスタートボタン306からのシステム起動要求信号が入力されるようになっている。尚、上記油圧センサ304は、上記電動オイルポンプEOPのオイル吐出ライン(油圧供給ライン)EOLと、機械式オイルポンプMOPのオイル吐出ライン(油圧供給ライン)MOLとの合流部よりも下流側の共通ラインCOL上であって、上記油圧回路201の直上流側または直下流側に配設されている。
また、このポンプ制御部300は、上記ライン圧をHI(高圧側)とLO(低圧側)とに切り換え可能とするためのライン圧指令信号を油圧制御装置200に送信するようになっている。
−車両停車中のエンジン始動動作−
上述の如く構成された車両における停車中のエンジン始動動作としては、上述した如く第1モータ・ジェネレータ4を電動機として駆動させてエンジン1をクランキングさせる。この際、第1モータ・ジェネレータ4の回転力は動力分配機構5を経由するため、この回転力の一部が、アウトプットシャフト9に伝達され、このアウトプットシャフト9を逆転させる方向へのトルクとして作用することになる。言い換えると、第1モータ・ジェネレータ4を電動機として機能させ、そのトルクを動力分配機構5を介してエンジン1に伝達してクランキング(モータリング)することによりエンジン1の始動を行う際、第1モータ・ジェネレータ4によってサンギヤ52に、これを正回転させる方向にトルクを加えると、リングギヤ53には、これを逆回転させる方向にトルク(反力)が作用する。このリングギヤ53はアウトプットシャフト9に連結しているため、エンジン1の始動に伴うトルクが、車両を後退させる方向のトルクとして作用することになる。
このため、このアウトプットシャフト9の逆転を阻止して車両の停車状態を維持するべく、上記第2モータ・ジェネレータ6を駆動させ、上記第1モータ・ジェネレータ4からアウトプットシャフト9に付加されるトルク(逆転方向のトルク)とは反対方向のトルクをアウトプットシャフト9に付加し、これらトルクを相殺させるようにしている。この際、第2モータ・ジェネレータ6のトルクをアウトプットシャフト9に伝達するためには、上記リダクション機構7の第1ブレーキB1または第2ブレーキB2の少なくとも何れかを係合させておく必要がある。本実施形態では、第2ブレーキB2を係合させるようにしている。このため、第2ブレーキB2を係合状態にするための油圧(作動圧)が必要であるので、ポンプユニットPUの電動オイルポンプEOPを駆動させることでこの油圧を確保するようにしている。
−ハイブリッドシステムの起動動作−
本実施形態では、上述した車両停車中のエンジン始動動作が行われることを考慮し、このような車両停車中におけるハイブリッドシステムの起動動作に際し、上記エンジン始動動作のための電動オイルポンプEOPからの油圧として必要な油圧値(油圧閾値A;第1の油圧閾値)と、車両の走行を可能にするシステム起動(車両の走行を可能にするREADYON状態とする動作)のための機械式オイルポンプMOPからの油圧として必要な油圧値(油圧閾値B;第2の油圧閾値)とを互いに異なる値に設定している。つまり、上記油圧閾値Aを低く設定し、油圧閾値Bを高く設定することで、電動オイルポンプEOPの起動後、短時間のうちにエンジン始動動作(クランキング)が開始されるようにしている。
以下、この車両停車中におけるハイブリッドシステム起動時の具体的な制御動作の手順を図5のフローチャートに沿って説明する。この図5に示すシステム起動制御ルーチンは、ハイブリッドシステムの停止中において所定時間(例えば数msec)毎に繰り返して実行される。
先ず、ステップST1において、ドライバからの上記スタートボタン306のON操作等によるシステム起動要求(STON:車両起動要求)がなされたか否かの判定を行う。システム起動要求がなされておらず、このステップST1でNO判定された場合には、そのまま本ルーチンを終了する。
一方、ドライバからシステム起動要求がなされ、ステップST1でYES判定されると、ステップST2に移り、上記ポンプ制御部300から油圧制御装置200に対して、電動オイルポンプEOPの起動指令が発信され、また、上記共通ラインCOL上に配設された油圧センサ304によって検出される油圧値に基づく油圧(EOP油圧)立上り判定動作を開始する指令信号が発信される。
そして、ステップST3に移り、上記油圧立ち上がり判定動作によって、上記油圧センサ304によって検出される油圧値が、予め設定された上記「油圧閾値A」以上に上昇したか否かを判定する(内燃機関始動油圧判定手段による油圧判定動作)。ここで、上記「油圧閾値A」は、上記エンジン始動動作において第2ブレーキB2を係合状態にするための必要最低限の油圧(作動圧)として設定されている。つまり、この「油圧閾値A」は、車両走行時に必要となる最大トルク容量が第2ブレーキB2に得られる油圧(エンジン1の最大トルク発生時にそのトルク伝達を可能にする油圧;油圧閾値B)に比べて低い値として設定されている。
上記油圧センサ304によって検出される油圧値が、未だ「油圧閾値A」未満である場合には、ステップST3でNO判定され、この油圧値が「油圧閾値A」まで上昇するのを待つ。そして、上記油圧センサ304によって検出される油圧値が、「油圧閾値A」以上に上昇し、ステップST3でYES判定された場合にはステップST4に移る。このステップST4では、エンジン始動動作を開始する。つまり、エンジン1のクランキングを開始する(内燃機関始動手段による内燃機関始動動作)。即ち、第1モータ・ジェネレータ4を電動機として機能させ、そのトルクを動力分配機構5を介してエンジン1に伝達してクランキングを行う。また、このクランキングに伴って気筒内への燃料供給(インジェクタからの燃料噴射)を開始する。このエンジン1のクランキング時には、上述した如く、車両の停車状態を維持するべく、上記リダクション機構7の第2ブレーキB2を係合させると共に第2モータ・ジェネレータ6を駆動させ、上記第1モータ・ジェネレータ4からアウトプットシャフト9に付加されるトルク(逆転方向のトルク)とは反対方向のトルクをアウトプットシャフト9に付加して、これらトルクを相殺させる。また、このエンジン1のクランキングの開始と共に、電動オイルポンプEOPの回転数指令信号が上記ポンプ制御部300から油圧制御装置200に対して発信され、それに従って電動オイルポンプEOPの回転数が制御される。つまり、例えば、電動オイルポンプEOPの起動初期時には、その吐出油圧の上昇割合を大きくするために上記電動オイルポンプEOPの回転数指令信号としては高回転を指令する信号となる。これにより、上記油圧センサ304によって検出される油圧値が急速に「油圧閾値A」に達するような制御が行われる。そして、上記油圧センサ304によって検出される油圧値が、「油圧閾値A」まで上昇した後には、この「油圧閾値A」以上の油圧値が維持されるように、上記電動オイルポンプEOPの回転数指令信号としては低回転を指令する信号となる。
以上のようにして電動オイルポンプEOPの回転数を制御しながらエンジン1のクランキングを行っている状態でステップST5に移り、エンジン1が完爆状態となったか否かを判定する。この判定は、例えば、上記エンジン回転数センサ305からのエンジン回転数信号に基づきエンジン回転数が所定回転数(例えばアイドル回転数)まで上昇すると、エンジン1が完爆状態となったと判定するようにしている。
エンジン1が完爆状態となったと判定されると(ステップST5でYES判定されると)、ステップST6に移り、第2モータ・ジェネレータ6のトルクを所定勾配で減少させていく動作を行い、ステップST7で、この第2モータ・ジェネレータ6のトルクが「0」になったか否かを判定する。このようにして第2モータ・ジェネレータ6のトルクが「0」になった時点(ステップST7でYES判定された時点)で、ステップST8に移り、上記ポンプ制御部300から油圧制御装置200に対して電動オイルポンプEOPの停止指令信号が発信され、電動オイルポンプEOPを停止させる。
その後、ステップST9において、上記電動オイルポンプEOPが停止してから所定時間(例えば1sec)が経過したか否かを判定する。これは、電動オイルポンプEOPの停止後、それまで電動オイルポンプEOPが駆動していたことに起因する油圧の残圧が上記共通ラインCOLから完全に無くなるまでの時間として設定されている。つまり、この時間の経過後(ステップST9でYES判定された際)には、電動オイルポンプEOPが駆動していたことに起因する共通ラインCOL上の油圧は無くなっており、上記エンジン1の始動に伴って駆動する機械式オイルポンプMOPからの油圧のみが存在した状態となる。
ステップST9でYES判定されるとステップST10に移り、上記油圧センサ304によって検出される油圧値に基づく油圧立ち上がり判定動作を開始する指令信号が発信される。
そして、ステップST11に移り、上記油圧立ち上がり判定動作によって、上記油圧センサ304によって検出される油圧値が、予め設定された「油圧閾値B」以上に上昇したか否かを判定する。ここで、上記「油圧閾値B」は、車両HVの走行開始を可能にするシステム起動(READYON)を許可する値として設定され、動力伝達機構10に備えられた各油圧機器の作動に必要な十分な油圧が確保可能な油圧値として設定されている。例えば、車両HVの走行時に必要となる最大トルク容量が各ブレーキB1,B2に得られる油圧(エンジン1の最大トルク発生時にそのトルク伝達を可能にする油圧)を確保することが可能な値として設定されている。
上記油圧センサ304によって検出される油圧値が、未だ「油圧閾値B」未満である場合には、ステップST11でNO判定され、この油圧値が「油圧閾値B」まで上昇するのを待つ。そして、上記油圧センサによって検出される油圧値が、「油圧閾値B」以上に上昇し、ステップST11でYES判定された場合にはステップST12に移り、READYON許可と判定する(車両走行可能状態判定手段の判定動作)。これにより、システムが起動し、車両HVの走行が可能になる。
尚、本実施形態では、上記ステップST3において、電動オイルポンプEOPの駆動により上昇する油圧が上記「油圧閾値A」に達しない状態が所定時間(例えば8sec)継続した場合には、第2ブレーキB2を係合させるだけの油圧が確保できないと判断し、本制御を終了する。従って、この場合には、上記パーキングロックポール94がパーキングギヤ93に係合していることで、アウトプットシャフト9は回転不能に固定されているため、これにより車両の移動が強制的に阻止されることになる。この場合、第2モータ・ジェネレータ6への電力供給は停止され、この第2モータ・ジェネレータ6からアウトプットシャフト9へのトルクの付加は行われない。このように、第2ブレーキB2を係合させるだけの油圧が確保できない場合には、そのクランキング時の反力を、パーキングロックポール94がパーキングギヤ93に係合させることや、その他、フットブレーキ等の車両停止手段で受け止め、車両が動かないようにしている。
図6は、上述したシステム起動時におけるライン圧指令、電動オイルポンプEOPに対する回転数指令、エンジン1の回転数、第2ブレーキB2の係合油圧、第2モータ・ジェネレータ6のトルク、READYON許可フラグそれぞれの変化を示すタイミングチャート図である。
ここで、ライン圧指令は、上記ライン圧をHI(高圧側)とLO(低圧側)とに切り換え可能とするための信号であって、油圧制御装置200に送信される。このライン圧指令としては、電動オイルポンプEOPの駆動開始初期時には、油圧回路201に供給する油圧を急速に高めるべくHIに設定される。また、READYON許可フラグは、このフラグがOFFからONに切り換わった時点でREADYON状態(車両の走行が可能な状態)とされる。以下、各信号および値の変化状態について、上述したフローチャートでの制御手順に対応して説明する。
図6において、先ず、タイミングT1で、ドライバによるスタートボタン306のON操作によるシステム起動要求(STON)がなされると(上記フローチャートにおけるステップST1でYES判定されたタイミング)、電動オイルポンプEOPに通電を行うためのリレー切り換え動作その他の前処理動作の時間を経過した後、タイミングT2で、電動オイルポンプEOPの起動指令が発信されて電動オイルポンプEOPが駆動を開始し(上記ステップST2の動作)、それに従って第2ブレーキB2の係合油圧が上昇していく。
そして、この油圧値が上記油圧閾値Aに達したことが油圧センサ304によって検出された時点(タイミングT3;上記ステップST3でYES判定されたタイミング)でエンジン1のクランキングを開始する(上記ステップST4の動作)。つまり、上記第2ブレーキB2を係合させると共に第2モータ・ジェネレータ6を駆動させ、この第2モータ・ジェネレータ6のトルクを調整して上記反力との相殺動作を行う。この場合、第2ブレーキB2を係合させるための必要最小限の油圧が得られるように、電動オイルポンプEOPの回転数指令信号としては低回転を指令する信号に切り換えられる。
そして、エンジン1が完爆に至ると(タイミングT4;上記ステップST5でYES判定されたタイミング)、第2モータ・ジェネレータ6のトルクを所定勾配で減少させていき(上記ステップST6の動作)、このトルクが「0」になった時点(タイミングT5;上記ステップST7でYES判定されたタイミング)で、電動オイルポンプEOPを停止する(上記ステップST8の動作)。
その後、この電動オイルポンプEOPが駆動していたことに起因する油圧の残圧が上記共通ラインCOLから完全に無くなるまでの時間の経過後(タイミングT6;上記ステップST9でYES判定されたタイミング)、上記ライン圧指令信号をHIに切り換える。これにより、上記機械式オイルポンプMOPの駆動に伴って油圧が上昇していき、この油圧値が上記油圧閾値Bに達した時点(タイミングT7;上記ステップST11でYES判定されたタイミング)で、READYON状態(車両の走行が可能な状態)とされ(上記ステップST12)、READYON許可フラグがOFFからONに切り換わる。
従来のシステム起動制御にあっては、エンジン1のクランキングを開始するタイミングとしては、油圧値が上記油圧閾値Bに達した時点であった。このため、図6に一点鎖線で示す第2ブレーキB2の係合油圧のように、タイミングT3’で油圧値が油圧閾値Bに達するまでエンジン1のクランキングが開始されなかった。
これに対し、本実施形態では、図6中のタイミングT3でエンジン1のクランキングが開始されるため、従来のシステム起動制御に比べて図中のΔTだけ早期にエンジン1のクランキングが開始されることになり、その分だけREADYON状態を早期に得ることが可能である。
以上説明したように、本実施形態では、車両停車中のシステム起動時に、READYON状態となるタイミングを早めることができ、車両起動要求がなされてから車両が走行可能な状態になったと判定されるまでの時間を短縮化することができる。
−他の実施形態−
以上説明した実施形態は2つのモータ・ジェネレータ4,6を備えたハイブリッド車に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、3つ以上のモータ・ジェネレータを備え、そのうちの少なくとも一つが車両の走行駆動力のアシストを行うハイブリッド車に適用することも可能である。
また、ハイブリッド車に限らず、エンジンのみを駆動源とする車両であってアイドリングストップ制御を行う車両に対しても本発明は適用可能である。つまり、本発明は機械式オイルポンプMOPと電動オイルポンプEOPとを併用したオイルポンプユニットを備えた車両であれば適用が可能である。
また、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)ハイブリッド車ばかりでなく、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)ハイブリッド車、4WD(4ホイールドライブ)ハイブリッド車にも適用可能である。また、ハイブリッドシステムのギヤトレイン構成も上記実施形態のものに限定されることはない。
更に、本発明に係る第1の油圧供給手段としては電動オイルポンプEOPには限定されず、予め蓄圧しておいた油圧を所定タイミング(システム起動要求タイミング)で第2ブレーキB2に供給するアキュムレータ等を適用することも可能である。
加えて、上記実施形態では、共通ラインCOLに1個の油圧センサ304を備えさせることで動力伝達機構10に供給される油圧を検出するようにしていた。本発明はこれに限らず、上記電動オイルポンプEOPのオイル吐出ラインEOL、および、機械式オイルポンプMOPのオイル吐出ラインMOLのそれぞれに油圧センサや油圧スイッチを備えさせるようにしてもよい。
本発明は、機械式オイルポンプおよび電動オイルポンプを備えたハイブリッド車において、ハイブリッドシステムの起動要求時から車両が走行可能な状態に至るまでに要する時間の短縮化を図るための制御に適用することが可能である。
1 エンジン(内燃機関)
4 第1モータ・ジェネレータ(第1の電動機)
6 第2モータ・ジェネレータ(第2の電動機)
7 リダクション機構(変速機)
10 動力伝達機構
304 油圧センサ
HV ハイブリッド車(車両)
MOP 機械式オイルポンプ(第2の油圧供給手段)
EOP 電動オイルポンプ(第1の油圧供給手段)
T 車輪(駆動輪)
B1,B2 ブレーキ(摩擦係合要素)
MOL 機械式オイルポンプのオイル吐出ライン(油圧供給ライン)
EOL 電動オイルポンプのオイル吐出ライン(油圧供給ライン)
COL 共通ライン

Claims (6)

  1. 駆動輪に駆動力を伝達するための動力伝達機構に対し、第1の油圧供給手段、および、内燃機関によって駆動される機械式オイルポンプで成る第2の油圧供給手段からのオイル供給が可能とされていると共に、車両停車状態での内燃機関の始動時、上記動力伝達機構に備えられた摩擦係合要素を上記第1の油圧供給手段から供給されたオイルの油圧により係合させながら内燃機関の始動動作を行うようにした車両の制御装置において、
    上記車両を走行可能な状態とするための車両起動要求に従って行われる車両起動時、上記第1の油圧供給手段から上記動力伝達機構に供給された油圧が上記内燃機関の始動動作に必要な第1の油圧閾値まで昇圧したことを判定する内燃機関始動油圧判定手段と、
    上記内燃機関始動油圧判定手段によって、上記動力伝達機構に供給された油圧が上記第1の油圧閾値まで昇圧したと判定された際、内燃機関の始動動作を行う内燃機関始動手段と、
    上記内燃機関始動手段による内燃機関の始動動作に伴って上記第2の油圧供給手段が駆動して、この第2の油圧供給手段から上記動力伝達機構に供給された油圧が車両を走行可能な状態とする第2の油圧閾値に達した時点で車両が走行可能な状態になったことを判定する車両走行可能状態判定手段とを備えていることを特徴とする車両の制御装置。
  2. 上記請求項1記載の車両の制御装置において、
    上記第1の油圧供給手段は、電動機によって駆動される電動オイルポンプであることを特徴とする車両の制御装置。
  3. 上記請求項1または2記載の車両の制御装置において、
    上記第1の油圧供給手段から上記動力伝達機構への油圧供給ラインと上記第2の油圧供給手段から上記動力伝達機構への油圧供給ラインとが合流した共通ラインに油圧センサが設けられ、この油圧センサによる共通ラインの油圧検出値に基づいて、上記内燃機関始動油圧判定手段は、上記動力伝達機構に供給された油圧が上記第1の油圧閾値まで昇圧したか否かを判定し、上記車両走行可能状態判定手段は、上記動力伝達機構に供給された油圧が第2の油圧閾値に達したか否かを判定するよう構成されていることを特徴とする車両の制御装置。
  4. 上記請求項3記載の車両の制御装置において、
    上記内燃機関の始動動作に伴って上記第2の油圧供給手段が駆動した後に、上記第1の油圧供給手段からのオイル供給動作を停止するようになっており、このオイル供給動作の停止後、この第1の油圧供給手段から供給されていたオイルによる共通ラインでの油圧が略「0」となる所定時間経過後に、上記動力伝達機構に供給された油圧が上記第2の油圧閾値に達したか否かを上記車両走行可能状態判定手段によって判定するよう構成されていることを特徴とする車両の制御装置。
  5. 上記請求項1〜4のうち何れか一つに記載の車両の制御装置において、
    上記動力伝達機構に供給するためのオイルの温度が低いほど、上記第1の油圧閾値および第2の油圧閾値は低い値として設定されることを特徴とする車両の制御装置。
  6. 上記請求項1〜5のうち何れか一つに記載の車両の制御装置を搭載したハイブリッド車両であって、
    上記内燃機関を始動させる際に、この内燃機関に付加する回転力を発生する第1の電動機と、駆動輪に接続される出力軸に向けて駆動力の出力が可能な第2の電動機と、この第2の電動機から駆動輪までの間の動力伝達経路に備えられ且つ摩擦係合要素の係合状態を変更することによって変速動作を行う変速機とを備えており、
    上記第1の油圧閾値は、上記第1の電動機の回転力を内燃機関に付加する内燃機関の始動時において、上記出力軸に作用する第1の電動機からの回転力を第2の電動機の駆動力によって相殺可能とするための摩擦係合要素の係合力が得られる圧力に略一致する値に設定されていることを特徴とするハイブリッド車両。
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