JP2010246509A - 水蒸気プラズマを用いた抗酸化処理方法 - Google Patents

水蒸気プラズマを用いた抗酸化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】油性成分含有物質に対する新たな抗酸化処理の方法を提供することを課題とする。
【解決手段】水蒸気プラズマを油性成分含有物質に照射することで、課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は水蒸気プラズマを用いた油性成分含有物質の抗酸化処理方法に関し、該抗酸化処理をする工程を含む、食品、サプリメント、医薬、医薬部外品、化粧料及び飼料の製造方法に関する。
食用油脂、不飽和脂肪酸、リン脂質、脂溶性ビタミン等の油性成分を含む加工食品、サプリメント、医薬、医薬部外品、化粧料、飼料等の分野においては、油性成分の酸化を制御するために、種々の抗酸化物質を使用する、製造過程や包装などでの酸化防止策が検討されている。これらの抗酸化の手法としては、例えば、オキシ酸を添加する方法(特許文献1参照)、しょうゆ醸造の過程において副産物として生ずるしょう油を添加する方法(特許文献2参照)、α−リポ酸の添加により抗酸化性を付与する方法(特許文献3参照)などが検討されている。
一方プラズマについては、酸素ガスを用いたプラズマを食品素材の殺菌に用いることが検討され(特許文献4参照)、水蒸気プラズマについては医療器具などの殺菌に用いることが検討されているものの(特許文献5参照)、油性成分の抗酸化という観点から用いることについてはこれまでには提案されていない。
特開平07−258682号公報 特開平11−012592号公報 特開2008−013630号公報 特開2006−333824号公報 特開2008−188032号公報
本発明の課題は、油性成分含有物質の新たな抗酸化処理の方法を提供することであり、非常に短時間で大量の抗酸化処理を簡易に行うことができ、しかも低コストを達成できる抗酸化処理方法を提供するものである。
本発明者らは、プラズマが有する非常に活性の高い原子や分子に着目して研究を重ね、水蒸気プラズマを用いて食品を処理することで、短時間の処理で滅菌、殺菌効果を得ることを見出し、特許出願を行った(特願2009−034635)。さらに、このような水蒸気プラズマを用いて油性成分を含有する食品等を処理した場合に、空気中で酸化しやすい不飽和脂肪酸等の酸化が防止できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下に示す通りである。
(1)水蒸気プラズマを油性成分含有物質に照射する工程を含む、油性成分の抗酸化処理方法。
(2)前記水蒸気プラズマが、30kW以上の出力で供給された高周波誘導加熱により発生したものであることを特徴とする、(1)に記載の抗酸化処理方法。
(3)前記水蒸気プラズマが、250℃〜850℃の低温プラズマであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の抗酸化処理方法。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の処理方法により油性成分含有物質を抗酸化処理する工程を含む、食品の製造方法。
(5)(1)〜(3)のいずれかに記載の処理方法により油性成分含有物質を抗酸化処理する工程を含む、サプリメントの製造方法。
(6)(1)〜(3)のいずれかに記載の処理方法により油性成分含有物質を抗酸化処理する工程を含む、医薬の製造方法。
(7)(1)〜(3)のいずれかに記載の処理方法により油性成分含有物質を抗酸化処理する工程を含む、医薬部外品の製造方法。
(8)(1)〜(3)のいずれかに記載の処理方法により油性成分含有物質を抗酸化処理する工程を含む、化粧料の製造方法。
(9)(1)〜(3)のいずれかに記載の処理方法により油性成分含有物質を抗酸化処理する工程を含む、飼料の製造方法。
本発明の抗酸化処理方法により、非常に短時間で簡易な方法により、大量の抗酸化処理を行うことができ、油性成分を含む食品やサプリメント、医薬等の保存期間を大幅に伸ばすことができる。また、抗酸化処理がうまくいかず上市が難しい食品などについても、簡易な方法で上市することができる。
本発明に用いるプラズマ水蒸気発生装置の例 (A)は蒸気ボイラから水蒸気が流入する側の一番端に位置する被加熱円盤部材の一例の側面図であり、(B)は図2(A)に示した被加熱円盤部材の正面図である。 (A)は水蒸気プラズマを流出させる側の一番端に位置する被加熱円盤部材の一例の側面図であり、(B)は図3(A)に示した被加熱円盤部材の正面図である。
本発明の抗酸化処理方法は、水蒸気プラズマを油性成分含有物質に照射する工程を含む。本発明において油性成分含有物質とは、食用油脂、不飽和脂肪酸、カロテノイド、リン脂質及び油溶性ビタミンなどの油性成分を含有する食品、サプリメント、医薬、医薬部外品、化粧料、飼料等の油性成分含有物質を表し、加えて、油性成分を含有する組成物など、製品の製造過程において油性成分を含んでいる状態の物質も含む概念である。
プラズマとは気体が電離した状態をいい、本発明の水蒸気プラズマ中では正と負の荷電粒子が高速で飛び回っており、且つ荷電粒子の間に大きなクーロン力が働くために加熱水蒸気のような中性気体よりも粒子の持つ運動エネルギーは大きくなる。このため、高エネルギーの粒子によって結合を切られた原子や分子の存在により、プラズマ化した水蒸気は非常に強い酸化力や還元力を有する。
このような水蒸気プラズマは、その発生手法や発生装置などにより限定されるものではないが、高周波誘導加熱により生じた水蒸気プラズマであることが好ましく、上記高周波の出力が30kW以上〜500kWであることが、安定した水蒸気プラズマの供給には好ましい。また、周波数は10〜20kHzとすることが好ましい。
また、上記水蒸気プラズマの温度は処理の汎用性の観点とエネルギーコストの観点から、下限値で250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましく、350℃以上であることが更に好ましい。一方上限値は、850℃以下であることが好ましく、700℃以下であることがより好ましく、600℃以下であることが更に好ましい。一般に250℃〜850℃程度のプラズマは低温プラズマと呼ばれており、電子のみが高いエネルギーを有している状態であると考えられている。本発明においては、このような低温水蒸気プラズマを用いることが好ましい。
本発明の処理方法では、上記発生した水蒸気プラズマを油性成分含有物質に照射する。本発明の方法は、非常に短時間の処理で抗酸化処理効果を発揮するものであり、その処理時間は油性成分含有物質の種別により最適な時間を設定することができるが、通常30秒以内の照射、場合によっては10秒以内、5秒以内の照射で抗酸化作用を発揮する。処理時間の下限値は、油性成分含有物質の種別によるが、ほとんどの場合油性成分含有物質がプラズマに一瞬でも照射されることで本発明の効果を奏するため、特段限定されない。好ましくは0.01秒以上、より好ましくは0.1秒以上の照射時間である。本発明では、このような極めて短い処理時間であっても、抗酸化効果を発揮する。また、このような短い処理時間であることから、油性成分含有物質に含まれる油性成分以外の成分等の変性・分解を抑えることができるという極めて優れた効果を奏する。
例えば、食用油の原料である菜種やアマニなどであれば、1〜5秒程度の照射で本発明の抗酸化効果を発揮する。
本発明で処理する油性成分含有物質は、油性成分を含有しているものであれば特段限定されるものではないが、食品、サプリメント、医薬、医薬部外品、化粧料、飼料等が挙げられる。また、油性成分が含まれる組成物等のそのものも含まれ、製品の製造過程において油性成分を含んでいる状態の物質も含む。
これらに含有される油性成分は、食用油脂、不飽和脂肪酸、カロテノイド、リン脂質及び油溶性ビタミンなどである。
本発明の油性成分含有物質の抗酸化処理は、食品であれば、原料に水蒸気プラズマを照射することでも良く、加工品とした後に水蒸気プラズマを照射することでも良い。例えば食品である植物油を例にあげると、その原料である菜種やアマニを生の状態で水蒸気プラズマ照射を行い、その後搾油しても良く、先に搾油してその後水蒸気プラズマを照射しても良い。また、先にローストした原料を用いることもできる。動物油の場合には、牛や豚などの肉片に直接水蒸気プラズマを照射し油を溶解して油を調製することもできるし、煮取り法などにより調製された油について水蒸気プラズマを照射することもできる。
サプリメントや医薬、医薬部外品、化粧料であれば、油性成分を含有する組成物のみ先に水蒸気プラズマを照射した後に目的物を調製することもでき、目的物を調製した後に水蒸気プラズマを照射することもできる。
食用油脂としては、例えば、植物油(小麦胚芽油、しその実油、月見草油、アボガド油、アーモンド油、アマニ油、エゴマ油、キョウニン油、クルミ油、精製オリーブ油、ゴマ油、精製ツバキ油、茶実油、はと麦油、ホホバ油、ボラージシード油、ユズ種子油、ユチャ油、ローズヒップ油、馬油、ヤツメウナギ油、スッポン油、カカオ脂、コメヌカ油、玄米胚芽油、大豆油、綿実油、菜種油、パーム油、パーム核油、やし油、とうもろこし油、落花生油、ベニバナ油、ひまし油、きり油、等)、動物油(例、牛脂、豚脂、鶏脂、乳脂、卵黄油など)、魚油(例、イワシ油、さば油、肝油、鯨油など)、またはこれらの加工油(例えば、分別油、水素添加油、エステル交換油等)等が挙げられる。
不飽和脂肪酸としては、分子中に1つ以上の不飽和結合を有するものが挙げられ、炭素数は特に限定するのもではなく、例えば、リノレン酸、リノール酸、ドコサヘキサエン酸(以下、DHAと略す)、エイコペンタエン酸(以下、EPAと略す)、アラキドン酸およびこれらの誘導体、異性体等が挙げられる。
カロテノイドとしては、例えば、α−、β−、γ−等のカロテン、カプサキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン、リコピン、クロシン、アナトーの成分およびこれらの成分を含む藻類、微生物、植物、動物等の抽出物等が挙げられる。
リン脂質としては、例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン、ホスファチジルコリン、スフィンゴシン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルクリセロール、酵素処理レシチン、分画レシチン等が挙げられる。
油溶性ビタミンとしては、ビタミンA、例えば、ビタミンAアセテート、ビタミンAパルミテート等の脂肪酸エステルやビタミンA油等が挙げられる。
本発明において、抗酸化がされたとの効果は、例えばAV(酸価)値やPOV(過酸化物価)値を測定することにより判断できる。具体的には、食品であればAV値2以上、POV値20以上となると酸化が進みかけていると判断することができる。また、油成分が酸化すると、「戻り臭」や「変敗臭」と呼ばれる臭いが発生するため、臭いを確認することでも抗酸化の効果を判断することは可能である。
上記の水蒸気プラズマの照射を行うためには、例えば以下のような水蒸気プラズマ処理装置を用いることができる。以下図1〜3に基づき説明する。
図1に示す水蒸気プラズマ処理装置1は、水蒸気プラズマ生成装置10と、処理室20と、インバータ30と、蒸気ボイラ40と、冷却水タンク50とを備えている。
水蒸気プラズマ生成装置10は、被処理体に照射する水蒸気プラズマを生成する装置である。水蒸気プラズマ生成装置10は、被加熱体11と、被加熱体11を電磁誘導加熱するためのコイル12と、被加熱体11を覆って保温する断熱材13と、被加熱体11に蒸気ボイラ40で生成した水蒸気を流入するための水蒸気流入部71と、被加熱体11から生成した水蒸気プラズマを流出するための水蒸気プラズマ流出部72と、水蒸気プラズマを処理室20へと噴射するための噴射ノズル73とを備えている。なお、水蒸気プラズマ生成装置10は、図示しないプラスチック製の絶縁カバーで保護されている。
被加熱体11は、インバータ30からの高周波電流が供給されたコイル12により電磁誘導加熱される。被加熱体11は、導電性を有する複数の被加熱円盤部材11aにより構成される。被加熱円盤部材11aには、導電性材料が用いられ、例えば鉄、ステンレス鋼、ニッケル、チタン等の金属やカーボンセラミック等の導電性セラミック材料等が用いられる。複数の被加熱円盤部材11aは、図1に示すように、蒸気ボイラ40から水蒸気を流入させる側から水蒸気プラズマを流出させる側に向かって、一連に連設される。
被加熱円盤部材11aには、図2及び図3に示すように、複数の貫通孔111aが形成され、被加熱円盤部材11aの表面、裏面にはそれぞれ複数の溝112aが形成されている。図2は蒸気ボイラ40から水蒸気を流入させる側の一番端に位置する被加熱円盤部材11aを示し、図3は水蒸気プラズマを流出させる側の一番端に位置する被加熱円盤部材11aを示す。
被加熱円盤部材11aに形成される貫通孔111aは、蒸気ボイラ40から水蒸気を流入させる側から水蒸気プラズマを流出させる側に向かうにつれて、その数が徐々に減るように形成されている。また、被加熱円盤部材11aの水112aは不規則に形成されているので、複数の被加熱円盤部材11aには空間113aが形成される。
被加熱体11に流入した水蒸気は、電磁誘導加熱された被加熱体11により温度が上昇し、流出側に向かって徐々に数が減っていく貫通孔111a、および空間113a内のみを通過し、流出側に向かって通過域が徐々に制限される。このため、水蒸気は、被加熱円盤部材11aにぶつかりながら徐々に膨張するとともに貫通孔111aを通り抜け出る力が徐々に増していき、その結果、電離した状態となり、水蒸気プラズマとして流出される。
インバータ30は、コイル12を介して被加熱体11に高周波誘導加熱を施す装置である。インバータ30は、高周波インバータが用いられ、高周波の出力は30〜500kW程度であり、周波数は10〜20kHzである。
蒸気ボイラ40は、導管60により水蒸気流入部71を介して水蒸気プラズマ生成装置10に接続されている。なお、導管60には、蒸気ボイラ40により発生させた水蒸気の開閉弁61と逆止弁62が設けられている。
冷却水タンク50は、冷却水をコイル12の一端に流入させるとともにインバータ30内部を除熱するための流入ホース51と、冷却水をコイル12の他端から流出させるための流出ホース52とを有する。
処理室20は、円筒状の本体21と、本体の上方に配置された被処理物投入口22と、被処理物投入調整部23と、本体21の側壁に形成された水蒸気プラズマ照射開口部24と、本体21を指示する設置台25とを備えている。水蒸気プラズマ照射開口部24には、水蒸気プラズマ導入管74が接続されている。
水蒸気プラズマ生成装置10の噴射ノズル73から噴射された水蒸気プラズマを、水蒸気プラズマ導入管74を介して、水蒸気プラズマ照射開口部24から噴射させた状態で、被処理物を被処理物投入口22から投入すると、被処理物に水蒸気プラズマが照射される。
処理室20は、油性成分含有物質の種類に応じて適宜設計変更することが可能である。図1は処理室の上方から投入し、重力により落下する途中で瞬時に水蒸気プラズマが照射される構造になっているが、処理室を水平方向に長く設計し、ベルトコンベアなどを用いることで比較的長い時間プラズマを照射することができる設計とすることも可能である。また、動物油などの場合には、処理室中のプラズマ投入口部分に肉片を保持するための網などを用い、下方部分に溶解した油の受け皿を設置するなど、適宜その設計を変更することが可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみに限定されないことは言うまでもない。
<実施例1>
図1に示す水蒸気プラズマ処理装置を用いて、高周波の出力を30kW、周波数を20kHz、プラズマの温度を300℃に設定し、生の菜種30kgを被処理物投入口22から投入し、水蒸気プラズマ照射開口部24からのプラズマが照射される位置で5秒間保持し、抗酸化処理を行った。
次に抗酸化処理を行った菜種を搾油し、菜種油約20Lを得た。その後、得られた菜種油を透明のポリプロピレン容器に封入し、そのまま36ヶ月間常温で冷暗所に保管した。
<試験例1>
(1)容器を目視にて色の変化を確認したところ、色の変化はなかった。
(2)容器の蓋を開け、油の臭いを確認したところ、戻り臭や変敗臭はなかった。
(3)油の酸化の程度を測定するために、AV(酸価)テスト及びPOV(過酸化物価)テストを行った。AVテストは、AV−CHECH紙(東洋濾紙株式会社製)を用いて測定し、POVテストは、POV試験紙(柴田科学株式会社製)を用いて測定した。AVテストの結果、0.5〜1.0の間のAV値を示した。また、POVテストの結果、0〜10の間のPOV値を示した。なお、AV値による測定では、2以下の値であれば油の酸化は殆どみられないと判断できる。また、POV値による測定では、20以下の値であれば油の酸化は殆どみられないと判断できる。
これらの結果から、本発明の抗酸化処理を施した菜種油は、36月経過しても酸化していないことがわかる。
<実施例2>
図1に示す水蒸気プラズマ処理装置の処理室20中に鉄製の網を設置することで、水蒸気プラズマ照射開口部24に鶏肉、牛肉、豚肉を保持し、300℃の水蒸気プラズマを照射して鶏肉、牛肉、豚肉を溶解させて油を調製した。水蒸気プラズマが照射された肉片は瞬時に溶解し油となって落下し、図示されていない受容器に生成した油が溜まる。このように生成した鶏油を試料1、牛油を試料3、豚油を試料5とした。
<比較例1>
通常の動物性油の調製に用いられる煮取り法により鶏肉、牛肉、豚肉から油を調製した。このように生成した鶏油を試料2、牛油を試料4、豚油を試料6とした。
<試験例2>
上記実施例2で得られた油と、比較例1で得られた油のそれぞれについて、40℃暗所保管でのAV値及びPOV値の経時変化の測定を実施した。
上記試料1〜6を100gバイアル瓶に各20gづつ、6本に小分けして密閉し、40℃暗所で保存した。保存を始めた開始時を0週とし、1〜4週のAV値及びPOV値を測定した。結果を表1及び2に示す。
Figure 2010246509
Figure 2010246509
水蒸気プラズマを照射し調製した油は、通常の方法により調製した油よりも酸化していないことがわかる。
<試験例3>
実施例1で得られた菜種油(36ヶ月保管後)を用いて、天ぷらを揚げた。揚げた天ぷらを透明なポリプロピレン製食品用封入袋に入れ、袋内に空気が入った状態で密閉保管した。保管は40℃にて直射日光があたる明所にて保管した。
23日経過したところで、目視にて色の変化を確認したところ、色の変化はなく、カビなども全く見られなかった。また、袋を開封し、天ぷらの臭いを確認したところ、戻り臭や変敗臭はなかった。
本発明の抗酸化処理方法により、新たな簡便な抗酸化処理方法が提供される。本発明は、酸化し易い油成分に対し適用できるため、そのような油成分を含む食品、サプリメント、医薬、医薬部外品、化粧料及び飼料など、様々な産業分野に適用が可能である。また、酸化の進行が原因で消費の期限が短く設定してある製品については、消費の期限が著しく伸びることとなり、産業上の有用性は極めて大きい。
1 水蒸気プラズマ処理装置
10 水蒸気生成装置
11 被加熱体
11a 被加熱円盤部材
12 コイル
13 断熱材
20 処理室
21 処理室本体
22 被処理物投入口
23 被処理物投入量調整部
24 水蒸気プラズマ照射開口部
25 設置台
30 インバータ
31 導電線
40 蒸気ボイラ
50 冷却水タンク
51 流入ホース
52 流出ホース
60 導管
61 開閉弁
62 逆止弁
71 水蒸気流入部
72 水蒸気プラズマ排出部
73 噴射ノズル
74 水蒸気プラズマ導入管
111a 貫通孔
112a 溝
113a 空間

Claims (9)

  1. 水蒸気プラズマを油性成分含有物質に照射する工程を含む、油性成分の抗酸化処理方法。
  2. 前記水蒸気プラズマが、30kW以上の出力で供給された高周波誘導加熱により発生したものであることを特徴とする、請求項1に記載の抗酸化処理方法。
  3. 前記水蒸気プラズマが、250℃〜850℃の低温プラズマであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の抗酸化処理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の処理方法により油性成分含有物質を抗酸化処理する工程を含む、食品の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の処理方法により油性成分含有物質を抗酸化処理する工程を含む、サプリメントの製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の処理方法により油性成分含有物質を抗酸化処理する工程を含む、医薬の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の処理方法により油性成分含有物質を抗酸化処理する工程を含む、医薬部外品の製造方法。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載の処理方法により油性成分含有物質を抗酸化処理する工程を含む、化粧料の製造方法。
  9. 請求項1〜3のいずれかに記載の処理方法により油性成分含有物質を抗酸化処理する工程を含む、飼料の製造方法。
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