JP2010246360A - 圧電発電ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】圧電素子としては、破損しやすい圧電バイモルフを組みこんだ発電ユニットについて、耐水性があり堅牢でかつ発電性能が高く、振動や圧力を鋭敏に検知して発電作用を行うことが出来る発電ユニットを提供する。
【解決手段】矩形状の弾性板1−3上の一部に片面もしくは両面に圧電セラミックス板1−2を貼り付け、前記弾性板1−3の長手方向の一方の端に近いほうに一定厚みのスペーサ1−4を介して平板上に弧状に湾曲するように両端を固定し、圧電セラミックス板1−2の貼り付け位置は、弧状になった弾性板の湾曲点から離れ、ほぼ平面になった部分とし、この領域を主にして有機材料で被覆することにより発電効率の改善と耐久性が改善された圧電発電ユニットを得る。
【選択図】図3

Description

本発明は断続的に得られる機械的荷重や振動などを圧電材料の歪みに変換し、これから電気エネルギーを取り出す圧電発電ユニットに関するものである。
本発明は、圧電材料が外力によって変形や、振動を生じたときに発生する電気エネルギーを活用する発電装置に関するもので、その特徴は振動等の機械的入力さえあれば発電装置として作用し、その電力を直接あるいはコンデンサ、二次電池などに備蓄しておき必要に応じて電気エネルギーを取り出す事が出来る。
圧電材料に歪みを発生させたとき生ずる電気エネルギーを活用しようとする試みが広く行われている。圧電素子から電気エネルギーを得る手段としては通常、圧電素子に金属球、セラミック球などの衝撃体を衝突させたり、圧電素子の一端を固定してこの反対の端を押圧し変形させたりして、圧電素子の歪みによって発電させている。このとき発電した電力を発光ダイオードの発光に利用したり、二次電池に充電して必要に応じて取り出し信号処理装置の駆動などに利用したりされている。
引用文献1には片持ち梁構造の圧電バイモルフをユニットに組み込み歩行時の振動を受けて発電する振り子式の発電装置が提案されている。
引用文献2には圧電セラミックを組み込みこんで発電機能を持たせた建築用床板素材が提案されている。
引用文献3には階段の踏み板および昇降口周辺の床に押圧発電素子を配置して階段部の照明に利用する提案がなされている。
引用文献4には、複数の圧電素子を立体的に組み合わせて発電能力を改善し、これを組み込んだ路面プレートによって車両または歩行者の通過による圧力変化によって発電する発電システムが提案されている。
引用文献5にも路面に施設するブロック内に圧電素子を組み込んで発光ダイオードを点滅させる発電ブロックが提案されている。
特開2005−319013 特開平5−39661 特願平10−163095 特開2006−32935 特開2008190267
前述のとおり、屋外の施設に圧電素子を組み込み、人や車両の通行時の圧力変化を発電に利用する提案が多くなされている。屋外施設の内部に圧電素子を装着して人の歩行時の圧力を受けて発光ダイオードを点滅することで路面案内などに応用するシステムの発電ユニット部に対して主に要求される点は、
・機械的に作用する衝撃力や圧力を充分に吸収して発電効率が高いこと
・機械的に堅牢な構成で破損しにくいこと
・耐水性に充分配慮された構造
・作りやすいシンプルな構造
等が実用面で重要である
引用文献2では、床板として施設するブロック状のプレートの間に複数の円柱状の圧電素子を並べて軸方向に圧電素子が圧力を受ける構成が紹介されているが、圧電セラミックの弾性係数の大きさからすると荷重を受けて発生する歪み量が少なく発電効率は必ずしもよくない。人や車両の通行時の圧力変化を発電に利用する圧電発電においては、比較的少ない力で歪みが取りやすい、即ちコンプライアンスの小さな圧電バイモルフや圧電ユニモルフが主に利用される。ここで圧電バイモルフと圧電ユニモルフの違いは圧電素子を弾性材料の片面に貼り付けるか両面に貼り付けるかの違いであり、目的に応じて適宜選択すれば良く、以降の説明では圧電バイモルフという場合は圧電ユニモルフも含んでいるものとする。
一方でコンプライアンスの小さな圧電バイモルフは、機械的に弱く壊れやすい圧電素子の部類に入る。従って、これらを活用するシステムでは堅牢で扱いやすいユニットとして提供されることが望ましい。破損対策の配慮として、引用文献4と引用文献5では外力を受けた圧電バイモルフの変形は一定値以内に抑えられるようにストッパーの役割を構成部材が担うように設計されている。
圧電バイモルフを発電に応用する場合、荷重を受けて変位を生ずる為の一定の空隙の確保も構成上の要件である。引用文献5ではブロックを形成する筐体の側面壁に圧電バイモルフの一端を固定して中央に位置する他端にて荷重を受ける片持ち梁型のバイモルフ構成が紹介されているが、このように側面壁にユニットを装着する場合、立体的な配置になり組み立て工数の増大になりやすい。特に、この種の用途では発電量の確保から複数のバイモルフ素子を組み込む場合が多く、その場合この問題はさらに現実的になってくる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、圧電素子としては、破損しやすい
圧電バイモルフを組みこんだ発電ユニットについて、耐水性があり堅牢でかつ発電性能が高く、振動や圧力を鋭敏に検知して発電作用を行うことが出来る発電ユニットを提供することを目的としている。
本発明の第一の観点によれば、矩形状の弾性板の一部分について、片面もしくはその両面に圧電セラミックス板を貼り付け、前記弾性板の長手方向の一方の端に近い部分には一定厚みを有するスペーサを介することで前記矩形状の弾性板が弧状に湾曲するように両端をベース材に固定したことを特徴とする圧電発電ユニットが提供される。
本発明の第二の観点によれば、圧電セラミックス板の貼り付け位置は、弧状になった弾性板の湾曲点から離れ、ほぼ平坦になった部分としたことを特徴とする請求項1の圧電発電ユニットが提供される。
本発明の第三の観点によれば、圧電セラミックスを含む領域について、樹脂で全面を被覆したことを特徴とする請求項1,2の圧電発電ユニットが提供される。
作用
圧電バイモルフによる発電作用は最初に荷重を受けて破断の限界点以内の変形の進行に伴う圧電素子が発生する歪みで行い、次に荷重が取り去られた後に圧電バイモルフを含む弾性系が蓄えたエネルギーが開放される過程で生じた衝撃振動で圧電素子が再び刺激されて歪みを発生することで行われる。
人の歩行や車両通行による荷重、振動もしくは衝撃の力学的な量は比較的大きく圧電素子に対して確実に一定の変位量を確保できるシステムをつくることは容易である。
弾性系に蓄えられるエネルギーの大きさEは荷重を受ける系のバネ定数をK、変位をδとしたとき
Figure 2010246360
前述の式(1)から分かるように、外部荷重を用いて常に一定量の変位δを確保できるという前提であれば、設計の可能な範囲でなるべくバネ定数Kを大きくしておけば蓄積エネルギーEを大きくすることができ発電ユニットには有利である。前述のようにバイモルフ素子はコンプライアンスの小さいことが発電に有利と説明したが、外力が大きく変位δが充分に確保出来るなら可能な範囲でコンプライアンスを大きく調整すれば蓄積エネルギーEが大きく効率の良い発電ユニットになる。
バイモルフ素子の支持方法で
片持ち梁型は原理的に最もコンプライアンスが小さく弱い力でも反応しやすいが、このコンプライアンスを大きく調整する為には、バイモルフ素子の厚みを大きくするか、素子の有効長を短くすることで達成できる。しかしながら固定部近辺に発生する歪みが大きくなりセラミックが破損しやすく耐久性に劣ることが確認された。
また、バイモルフ素子を両面支持梁型にする場合もコンプライアンスを大きくできるがこの場合には固定上の不安定さは免れず結果的に安定した発電性能が得られないことが判明した。
さらにバイモルフ素子の両端固定型については、コンプライアンスを最も大きくできるが荷重を受けた場合に梁(圧電バイモルフ)上に正負の曲げモーメントが発生し、電荷がキャンセルし発電量が減少するためこの目的には好ましく無いことが判明した。
発明者らは鋭意検討した結果、圧電素子を矩形状の弾性板上の一部に片面もしくは両面に圧電セラミックス板を貼り付け、前記弾性板の長手方向の一方の端に近い部分に一定厚みのスペーサを介して弧状に湾曲するようにベース板に両端を固定した構成を発明するに至った。
この構成の有利な点は、図1に示すように偏った位置にあるスペーサとの接点よりも少し中心側に一番盛り上がった部分(以下最高点と呼ぶ)ができることで、固定時の盛り上がりによってこの部分が可動スペースを形成し上からの荷重を受ける作用点となり弾性変形し弾性エネルギーの蓄積に利用出来る点である。なお図では縦軸は数倍に誇張して表現している。
さらに、この最高点は荷重の増大と共にスペーサとの接点位置の方向に移動することを見いだした。
これを利用すると一定以上の荷重で荷重点の真下にスペーサが来るように調整が可能であり、この状態に達すると弾性変形が進行しないため圧電素子の保護機構として機能する。この様子を図2に模式的に示す。
また、弧状に湾曲させた弾性体の最高点を押しつける場合のバネ定数は、湾曲させないで単なる両端固定梁とした場合の対応する位置を押した場合のバネ定数の数十倍になるため、前述の(1)式で示すとおり蓄積できる弾性エネルギーを大きくする利点もある。
次に、圧電素子を貼り付ける位置について検討した結果、このスペーサを用いて弧状に湾曲させて取りつけたとき、曲がりの最高点から離れて曲率が減少し平坦になる領域が存在することを見いだした。この領域を圧電素子の貼り付け位置に用いた場合、取り付け作業時にも屈曲が比較的少なくセラミック素子の剥離が生じないことを確認した。
さらに、湾曲の最高点を加圧した場合には、このセラミック素子の貼り付け部分は図2に示すように、最初の固定によって出来た上に凸の曲げモーメントから加圧の変形に伴い下に凸になるような曲げモーメントに変わってゆく為に、このモーメント変化は発電に有効に利用できる事を確認した。
最後に、耐湿性の改善を目的にセラミック部分を主に耐水性のあるエポキシ系の樹脂で塗布厚み0.5mm以内でコーティングした。この被覆処理で耐水性の大幅な改善が出来たが、発電の性能にはほとんど劣化は認められなかった。これは、圧電セラミックと弾性基板で構成する複合梁の曲げ弾性係数が、被覆する樹脂の曲げ弾性係数に比べて3桁以上の差があるため影響を受けない為だと考えられる。
発電効率が高く、堅牢な構成で組み立てやすく、耐水性を備え振動や圧力を鋭敏に検知て発電作用を行うことが出来る圧電発電ユニットが提供できるようになった。
実施例1
次に請求項に基づく実施の形態について詳細に説明する。
図3に本発明に係わる圧電発電ユニットの圧電発電素子部について斜視図を示す。
圧電素子1−1は矩形の圧電セラミックス板(35x18x0.6)1−2の表裏面に銀電極が形成され厚み方向に分極処理してある。圧電材料は電気機械結合係数k31が30%以上で比誘電率εrが1800,機械的品質係数Qmは1000程度の材料を用いている。なお圧電素子はこの形状に限定されるモノではなく設計に応じて必要に応じて縦横比を変えても良いし、複数の層に積層されていても良い。
弾性体基板(130x30x1.6)1−3はガラスエポキシFR−4を用いた。
この弾性体基板としてはステンレスのような金属板でも良い。スペーサ(30x15x2t)1−4は材質として特に限定する必要はなく一定の厚み木片、樹脂、金属等一定の硬度と強度を持つ材質で構成することが可能である。
弾性基板上の一部に圧電素子を接着するが、弾性基板が金属などの導体である場合は圧電素子の片側の電極と接着により導通可能であり、一方の端子のリード線は基板面から取り出すことが可能である。実施例では銅被膜が形成された回路用のガラスエポキシ基板を用いて図4に示すように二つのリード線1−7a,1−7bを結線している。
圧電発電ユニットの組み立ては、基板に形成された二カ所の取り付け穴を用いて両端をボルト1−6a、1−6bで片方の取り付け穴に近い方にスペーサ1−4(30x15x2t mm)を介してアルミニューム製ベース材(100x35x3t m)1−5の上に強固に固定する。このときスペーサの角と基板の接する位置は端面より20mmに調整した。基板1−3はなだらかに湾曲してベース材に固定される。ベース材が水平の時、基板の最も盛り上がった位置(最高点)1−8は基板の中心から10mmほど離れスペーサ側に寄った部分にあり、ベース材の表面からの高さは5mmである。圧電素子は最高点から10mm以上離れ湾曲が少ないほぼ平面になった部分になるよう接着している。
この最高点に加えた荷重量と変位量から算出した最高点におけるバネ定数Kは333、000(N/m)であった。一方、このベース材についてスペーサなしで湾曲を与えずに単に両端固定の梁として荷重を加えて変位量から算出したバネ定数K’は56,800(N/m)であるので本発明の構成により5.9倍にバネ定数が上げられていることが分かる。人の踏みつける荷重からすれば適度のバネ性であり、充分に変位を与えることが出来る。実験によると人の荷重で100V〜200Vの電圧出力を確認した。
図4に示すように圧電セラミック素子を貼り付けた部分を主に表面全体をエポキシ系接着剤(コニシ製ボンドクイック5)2−1で厚み0.5mm程度に塗布して常温硬化させた。この被覆による効果は圧電セラミック素子に対して耐湿性の改善、電極間絶縁の保護さらに機械的保護らがある。この有機材料の被覆により、曲げ弾性係数は更に増大するが、本体の構成材料の曲げ弾性係数に比べると充分に小さく、荷重による変形やその過程ならびに荷重開放時の発電性能にはほとんど影響は認められなかった。
また、この最高点に加えた荷重量と変位量から算出した最高点におけるバネ定数Kは125、800(N/m)で、被覆前に比べて実用上無視できるレベルの変化であった。
ここで被覆に実施した材料に限定する必要はなく、必要に応じてフェノール系樹脂、ポリアミド系樹脂など適宜選択することが出来ることは言うまでもない。また、被覆方法もウレタンゴムによるモールドやホットメルトモールディングらの利用も可能であり、被覆材料の材質を選定すればユニット全体の被覆も前述の耐湿性の改善、電極間絶縁の保護さらに機械的保護に対して有効である。
産業上の利用の可能性
本発明は、屋内外の施設に組み込むことによって、人や車両の通行時の圧力変化を電気エネルギーに変換することにより、この電力で発光ダイオードを点滅させて路面標示などに活用できるほか、発生する電気エネルギーをコンデンサに蓄積することにより信号処理系などの予備電源として活用できる。
本発明の原理に係わる説明図1 本発明の原理に係わる説明図2 本発明および実施例の基本構成の斜視図(被覆なし) 本発明および実施例の基本構成の斜視図(被覆あり)
1−1;圧電セラミック素子
1−2;電極
1−3;弾性体基板
1−4;スペーサ
1−5;ベース材
1−6a,1−6b;取り付け穴と取りつけネジ
1−7a,1−7b;リード線
1−8;湾曲の最高点
2−1;被覆部

Claims (3)

  1. 矩形状の弾性板の一部分について、片面もしくはその両面に圧電セラミックス板を貼り付け、前記弾性板の長手方向の一方の端に近い部分には一定厚みを有するスペーサを介することで前記矩形状の弾性板が弧状に湾曲するように両端をベース材に固定したことを特徴とする圧電発電ユニット
  2. 圧電セラミックス板の貼り付け位置は、弧状になった弾性板の湾曲点から離れ、ほぼ平坦になった部分としたことを特徴とする請求項1の圧電発電ユニット
  3. 圧電セラミックスを含む領域について、ゴムやエラストマーなどの有機材料で全面を被覆したことを特徴とする請求項1、請求項2の圧電発電ユニット
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