JP2010241815A - グルタミン酸誘導体の有機アミン塩及びその利用 - Google Patents

グルタミン酸誘導体の有機アミン塩及びその利用 Download PDF

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【課題】 甘味剤として期待されるモナティンの有機アミンとの新規塩およびその結晶を提供する。 モナティンの立体異性体を分割する新規な方法を提供する。
【解決手段】 モナティンの新規塩として、アミノ酸、アミノアルコール、ジペプチドエステルなどの有機アミン成分との塩を提供する。アミノ酸、ジペプチドエステルなどとの塩は甘味物質として使用可能であり、この結晶は安定であり、高甘味度を呈し、甘味剤又はその成分として、更には飲食品等への甘味付与成分としての使用が期待できる。
モナティンの立体異性体混合物と有機アミンとの塩の結晶を形成し、結晶性や溶解性の差を利用してモナティンの立体異性体を得る方法を提供する。
モナティンの各立体異性体を高純度で得る方法を提供することによって、モナティンを使用する甘味剤や、甘味が付与された飲食品等の製品を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、モナティンの有機アミンとの塩とその使用及びその塩を形成することによりモナティンの立体異性体を分割する方法に関し、更に詳しくは甘味剤又はその有効成分(甘味料)として優れている、モナティン(Monatin)とアルキルアミン、アミノアルコール、アミノ酸、ペプチドエステル等との塩、並びにこれら塩の甘味剤としての使用、及びモナティンの立体異性体と有機アミンとの塩において、結晶性或は溶解性の違いを利用してモナティンの特定の立体異性体と有機アミンとの塩を得る方法に関する。塩の使用としては、有機アミンをナトリウム、カリウム等の金属と置換しモナティンの金属塩を得る方
法が含まれる。この塩にはモナティンの(2S,4S)体、(2S,4R)体、(2R,4R)体及び(2R,4S)体塩の単独品又はその複数混合物が含まれる。
近年、食生活の高度化に伴い、特に糖分の摂取過多による肥満及びこれに伴う各種疾病が問題となっており、砂糖に代わる低カロリー甘味剤の開発が強く望まれている。求められる甘味剤には甘味強度以外に、低カロリー、安全性、熱や酸に対する安定性、甘味質、コスト等、多くの諸特性、要件が求められる。
現在、各種の甘味剤が使用又は提案されている。例えば、甘味強度(甘味度)が強く工業的に大量生産可能な甘味剤として実用化され、広範に使用されているものとして、安全性と甘味質の面で優れているアスパルテームが存在する。更に、アスパルテームの誘導体研究も盛んに行われている。これら以外にも、甘味剤として各種の特性を有する甘味物質が提案され、実用化に向けた検討がなされている。また、天然に存在し大量に採取できる植物由来のソーマチン、グリチルリチン、ステビオシド等が天然甘味剤として現在使用されている。このような情況下に、甘味剤としての実用化が期待でき、甘味度が強い甘味物
質の開発が求められている。
モナティンは南アフリカの北部トランスバール(northern Transvaal)地方に自生する植物シュレロチトン イリシホリアス(Schlerochiton ilicifolius)の根皮から単離された天然由来のアミノ酸誘導体であり、R. Vleggaar等により、その構造に関し、(2S,4S)-2-amino-4-carboxy-4-hydroxy-5-(3-indolyl)-pentanoic acid((2S,4S)-4-hydroxy -4-(3-indolylmethyl)-glutamic acid;後述の構造式(1)参照。)と報告されている(非特許文献1参照。)。また、この天然植物由来の(2S,4S)体(天然型モナティン)の甘味強度は、同文献等によると、ショ糖の800倍〜1400倍と報告されている。モナティンの合成法については、幾つかの方法が報告されているものの、それらの多くは立体異性体混合物の合成法に関するものであり、モナティンの4種の異性体を純品として合成、単離して報告した例は殆ど無い。(その合成例については、特許文献1、特許文献2、特許文献3、非特許文献2、非特許文献3 K. Nakamura et. al., Organic Letters, 2, 2967-2970 (2000)等を参照することができる)。
南アフリカ共和国特許出願第87/4288号明細書(P. J. van Wyk et. al., ZA 87/4288.) 南アフリカ共和国特許出願第88/4220号明細書(P. J. van Wyk et. al., ZA 88/4220.) 米国特許第5,994,559号明細書(E. Abushanab et. al., US 5,994,559 (1999).)
R. Vleggaar et. Al., J. Chem. Soc. Perkin Trans., 3095-3098, (1992). Holzapfel et. al., Synthetic Communications, 24(22), 3197-3211 (1994). K. Nakamura et. al., Organic Letters, 2, 2967-2970 (2000).
モナティンの各種立体異性体を高純度に分離する方法として、先ず結晶化の方法が考えられる。そこで、モナティンの結晶(遊離体、塩等の形態を含む。)について従来知られていることは以下の通りである。
前述の非特許文献1(R. Vleggaar等の文献)にモナティン((2S,4S)体)の遊離体の結晶を水、酢酸及びエタノール(1:1:5)の混合溶媒から得たと報告されており、その融点は216℃〜220℃と記載されている。また、特許文献1(P. J. van Wyk等の特許)には、モナティン((2S,4S)体)の遊離体(crystalline solid)の融点は247℃〜265℃(分解)であると記載されているが、各種塩に関してはアモルファス状固体(amorphous solid)であると報告されている。前述の非特許文献2(C. W. Holzapfel等の文献)には合成モナティンの(2S,4S)体と(2R,4R)体混合物の遊離体の結晶を水及び酢酸(10:1)の混合溶媒から2度の晶析により得て、その融点が212℃〜214℃であると報告されている。従ってモナティンの結晶としてはモナティンの(2S,4S)体及び(2S,4S)体と(2R,4R)体の混合物の遊離体の結晶が知られているのみであり、塩としてはアンモニウム塩、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の存在が示唆されているものの、これら各種塩に関しては結晶状態で単離されたことは無く、従って光学異性体の分離に応用されたこともない。即ち、モナティンを結晶として精製分離する方法としてはその遊離体の結晶を利用する方法がわずかに知られているのみであり、塩としてはアンモニウム塩及び各種金属塩の存在が示唆されているのみである。一方、モナティンの有機アミン類との塩は全く知られておらず、結晶が得られるか否かも不明である。従って、モナティンの有機アミン塩の結晶を形成せしめることによりモナティンの立体異性体を分離したり、或はこれを甘味剤として利用する試みは無い。このような状況下に、モナティンと有機アミン類との塩を、更には塩の結晶を調整し、これによって、モナティンの各立体異性体の分割法を開発したり、或はモナティンを甘味剤として実用化する観点から、その利用を検討することが求められている。
本発明が解決しようとする課題は甘味剤として期待されるモナティンの新規有機アミン塩を単離・精製に有効な結晶の形態として調製し、諸物性を始めとする特徴を明らかにするとともに、結晶の物性面からの実用性として、結晶とすることにより、結晶性の違いや溶解性の違いを利用してモナティンの各立体異性体を分離する方法を確立することである。更に、これら有機アミン類との塩の甘味剤としての有用性を明らかにすることも重要な課題である。また、得られたモナティンの有機アミンとの塩を他の塩基との塩、例えばナトリウム、カリウム等との塩に変換する簡便な方法を提供することも本発明の課題である。
尚、前述の通り、天然型モナティンはその立体構造において(2S,4S)体と報告されているが、本発明においては、それと同一の化学構造式を有する化合物を全て「モナティン」と総称し、従って、モナティンの立体異性体を、「モナティンの(2S,4R)体」、「モナティンの(2R,4S)体」、或いは「モナティンの(2R,4R)体」等と称する。また、これらの立体異性体に、モナティン((2S,4S)体)を加えて、これらを「4種の立体異性体」と称する。
また、有機アミンにはアルキルアミンの他にアミノ基を持つ化合物として、アミノアルコール、アミノ酸、ペプチドエステル等が含まれる。
本発明者等は上記課題を解決すべくモナティンと有機アミンとの塩について鋭意検討を行った。既存の合成法などによって合成したモナティンの立体異性体混合物およびこれらを光学分割したモナティンの各立体異性体の各種有機アミンとの塩の結晶を調整する方法を開発し、これらの物理的諸性質を調べた。
モナティンの立体異性体混合物、各立体異性体及び光学活性有機アミン、光学不活性有機アミンについて種々の組み合わせの塩について、溶剤の種類、基質の濃度、温度、pH、共存塩基など、詳細な結晶化(晶析)条件を検討した結果、モナティンの種々の組み合わせの立体異性体をその有機アミン塩として晶析することにより、各立体異性体に分割する方法を見出した。また、これ等の塩を甘味料として実用性のあるモナティンの遊離体や各種金属の塩に変換する方法を見出した。特に、通常の晶析によっては困難なモナティンの鏡像体の分割が、光学活性な有機アミンを塩基として用いることによって達成できる点で、本分割法は優れている。
更に、このモナティンを飲食可能な有機アミン(アミノ酸、ジペプチドエステルなど)との塩の結晶を使用して、甘味剤或いは飲食品等を提供できることを見出した。
以上のような各種の知見に基づいて本発明が完成されるに到った。
即ち、本発明には、(1)モナティンと有機アミン類との新規塩、(2)モナティンと有機アミン類との新規塩の結晶を利用することによるモナティンの立体異性体の新規分割する方法 (3)モナティンと有機アミン類との塩を他の金属塩などに変換する方法、(4)モナティンと有機アミン類との新規塩の甘味剤としての使用 が含まれる。
当該塩の結晶は、水和物、溶媒和物等の形態でもよい。
本発明の塩の形態等には、特に制限は無い。最終的製品としての食品用として使用される場合には当然食品用に使用可能な塩が採用される。その他、モナティンを単離、精製或は分割する目的に適した塩(結晶の形態であるもの)も有用である。
上記塩の形成方法及びその結晶の形成方法については、本発明についての説明(実施例等)に基いて、必要により慣用され又は公知の造塩方法を利用して、目的とする塩を調製することができる。
本発明の結晶には、下記の内容[1]−[21]が含まれる。
尚、天然型モナティンである(2S,4S)体、並びに非天然型モナティンである(2S,4R)体、(2R,4R)体及び(2R,4S)体は下記の構造式(4)、(5)、(6)及び(7)で示される。
Figure 2010241815
Figure 2010241815
Figure 2010241815
Figure 2010241815
[1]
当該モナティンの立体異性体塩として、モナティンの(2S,4S)体塩、(2S,4R)体塩、(2R,4R)体塩、(2R,4S)体塩及び立体異性体塩の中から選択される、少なくとも2種の混合物を挙げることができる。当該塩の結晶としては水和物及び溶媒和物等の形態でもよい。
これら立体異性体塩の中では、モナティンの(2R,4S)体及び(2R,4R)体がより好ましく、更にモナティンの(2R,4R)体が最も好ましい。このような本発明に含まれる塩の結晶は、単離精製の容易さの点から好ましい。
[2]
上記本発明の非天然型立体異性体塩の結晶は、当該立体異性体の塩(水和物、溶媒和物等の形態を含む。)を、好ましくは少なくとも95%程度、より好ましくは少なくとも97%程度の化学純度で有することができる。
[3]
また、上記本発明の非天然型立体異性体塩の結晶は、好ましくは少なくとも90%程度、より好ましくは少なくとも94%程度、更に好ましくは少なくとも98%程度 の光学純度を有することができる。例えば、モナティンの(2R,4R)体の塩(水和物、溶媒和物、それら塩混合物の形態等を含む。)の高光学純度品を挙げることができる。
[4]
上記発明のモナティンの塩を形成する有機アミンとして下記一般式(1)で表される有機アミンを挙げることができる。
Figure 2010241815
上記式(1)中、R及びRは、水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から12のアラルキル基から選ばれる置換基を表す。
、R及びRはそれぞれ、水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から12のアリールアルキル基、炭素数1から10のアルコキシアルキル基、炭素数1から10のヒドロキシアルキル基、炭素数1から10のアミノアルキル基、カルボキシル基、炭素数1から10のアルコキシカルボニル基、炭素数1から10のカルボキシアルキル基、炭素数1から10のアルコキシカルボニルアルキル基及び炭素数1から10のアミノアルキル基から選ばれる置換基を表す。ここで、アリールアルキル基のアリール基にはヘテロ環或は任意の数の水酸基、炭素数1から3のアルコキシ基及び炭素数1から3のアルキル基を置換基として持つベンゼン環が含まれる。
または、RからRの中の任意の2つ以上の置換基は、アルキレン基(メチレン基、エチレン基など)、ヘテロ原子(窒素原子、酸素原子など)、芳香族置換基を介して環状構造を形成しても良い。
上記式(1)中「C」表された炭素原子が不斉炭素である場合、その立体配置はR、SまたはRSのいずれでも良い。
[5]
上記発明のモナティンの塩を形成する有機アミンとして下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2010241815
上記式(2)中、Rは炭素数1から12のアルキル基及びアリールアルキル基から選ばれる置換基を表す。ここで、アリールアルキル基のアリール基にはヘテロ環或は任意の数の水酸基、炭素数1から3のアルコキシ基及び炭素数1から3のアルキル基を置換基として持つベンゼン環が含まれる。
は炭素数1から4のアルキル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、フェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、2−フリル基、ベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、シクロヘキシルメチル基及びt−ブチルチオメチル基から選ばれる置換基を表す。
は炭素数1から3のアルコキシ基、炭素数1から15のアルキルアミノ基、炭素数1から15のシクロアルキルアミノ基及び炭素数1から12のアリールアルキルアミノ基から選ばれる置換基を表す。ここでアルキルアミノ基及びシクロアルキルアミノ基はエーテル結合またはチオエーテル結合を含んでも良く、水酸基を置換基として有していても良い。また、アリールアルキルアミノ基のアリール基にはヘテロ環或は任意の数の水酸基、炭素数1から3のアルコキシ基及び炭素数1から3のアルキル基を置換基として持つベンゼン環が含まれる。
上記式(2)中「C」及び「C」で表された炭素原子の立体配置はR、SまたはRSのいずれでも良い。
[6]
上記発明のモナティンの塩を形成する有機アミンとしてアルキルアミン、アルキルジアミン、アルカロイド、アミノアルコール、アミノ酸、アミノ酸エステル、アミノ酸アミド、ペプチド、ペプチドエステル及びペプチドアミドから選択される化合物を挙げることができる。
[7]
上記発明のモナティンの塩を形成する有機アミンとしてベンジルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ネオペンチルアミン、α−フェニルエチルアミン、α−フェニルプロピルアミン及びα−メトキシメチルベンジルアミンなどのアルキルアミン、キニン、キニジン、シンコニン、シンコニジン及びブルシンなどのアルカロイド、アラニノール、フェニルグリシノール、ロイシノール、イソロイシノール、t−ロイシノール、バリノール、フェニルアラニノール及びエフェドリンなどのアミノアルコール、リジン、オルニチン及びアルギニンなどのアミノ酸、アラニンアミド、バリンアミド及びフェ
ニルグリシンアミドなどのアミノ酸アミド、アラニンメチルエステル及びバリンエチルエステルなどのアミノ酸エステル、及びアスパルテーム、ネオテーム及びアリテームなどのペプチドエステル或はペプチドアミドから選択される化合物を挙げることができる。
[8]
モナティンの立体異性体の分割方法として、特定の溶媒中、少なくとも2種類を含むモナティンの立体異性体混合物と特定の有機アミンの1種とを混合し、生成するモナティンの各立体異性体と有機アミンとの塩の結晶の生成の容易さ或は溶解性の違いを利用して、モナティンの特定の立体異性体の有機アミン塩を選択的に得る分割方法を挙げることができる。
[9]
モナティンの立体異性体の分割方法として、特定の溶媒中、少なくとも任意の2種類のモナティンの立体異性体混合物と特定の有機アミンのうち光学活性な有機アミン1種とを混合し、ジアステレオマー塩を形成せしめ、これらの結晶生成の容易さ或は溶解性の違いを利用して、モナティンの特定の立体異性体と有機アミンとの塩を選択的に得る分割方法を挙げることができる(ジアステレオマー法)。
[10]
モナティンの立体異性体の分割方法として、特定の溶媒中、少なくとも任意の2種類を含むモナティンの立体異性体混合物と特定の有機アミンのうち光学的に非活性な有機アミン1種とを混合し、塩を形成せしめ、これらの結晶生成の容易さ或は溶解性の違いを利用して、モナティンの特定の立体異性体と有機アミンとの塩を選択的に得る分割方法を挙げることができる(優先晶析法)。
[11]
上記発明のモナティンの立体異性体の分割に用いられる有機アミンとして下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2010241815
上記式(1)中、R及びRは、水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から12のアラルキル基から選ばれる置換基を表す。
、R及びRはそれぞれ、水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から12のアリールアルキル基、炭素数1から10のアルコキシアルキル基、炭素数1から10のヒドロキシアルキル基、炭素数1から10のアミノアルキル基、カルボキシル基、炭素数1から10のアルコキシカルボニル基、炭素数1から10のカルボキシアルキル基、炭素数1から10のアルコキシカルボニルアルキル基及び炭素数1から10のアミノアルキル基から選ばれる置換基を表す。ここで、アリールアルキル基のアリール基にはヘテロ環或は任意の数の水酸基、炭素数1から3のアルコキシ基及び炭素数1から3のアルキル基を置換基として持つベンゼン環が含まれる。
または、RからRの中の任意の2つ以上の置換基は、アルキレン基(メチレン基、エチレン基など)、ヘテロ原子(窒素原子、酸素原子など)、芳香族置換基を介して環状構造を形成しても良い。
上記式(1)中「C」表された炭素原子が不斉炭素である場合、その立体配置はR、SまたはRSのいずれでも良い。
[12]
上記発明のモナティンの立体異性体の分割に用いられる有機アミンとして下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2010241815
上記式(2)中、Rは炭素数1から12のアルキル基及びアリールアルキル基から選ばれる置換基を表す。ここで、アリールアルキル基のアリール基にはヘテロ環或は任意の数の水酸基、炭素数1から3のアルコキシ基及び炭素数1から3のアルキル基を置換基として持つベンゼン環が含まれる。
は炭素数1から4のアルキル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、フェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、2−フリル基、ベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、シクロヘキシルメチル基及びt−ブチルチオメチル基から選ばれる置換基を表す。
は炭素数1から3のアルコキシ基、炭素数1から15のアルキルアミノ基、炭素数1から15のシクロアルキルアミノ基及び炭素数1から12のアリールアルキルアミノ基から選ばれる置換基を表す。ここでアルキルアミノ基及びシクロアルキルアミノ基はエーテル結合またはチオエーテル結合を含んでも良く、水酸基を置換基として有していても良い。また、アリールアルキルアミノ基のアリール基にはヘテロ環或は任意の数の水酸基、炭素数1から3のアルコキシ基及び炭素数1から3のアルキル基を置換基として持つベンゼン環が含まれる。
上記式(2)中「C」及び「C」で表された炭素原子の立体配置はR、SまたはRSのいずれでも良い。
[13]
上記発明のモナティンの立体異性体の分割に用いられる溶媒として、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル及びジメチルホルムアミド(DMF)或はこれらの混合溶媒から選ばれる溶媒を挙げることが出来る。
[14]
上記発明のモナティンの立体異性体の分割に用いられる有機アミンとしてアルキルアミン、アルキルジアミン、アルカロイド、アミノアルコール、アミノ酸、アミノ酸エステル、アミノ酸アミド、ペプチド、ペプチドエステル及びペプチドアミドから選ばれる化合物を挙げることができる。
[15]
上記発明のモナティンの立体異性体の分割に用いられる有機アミンとして、ベンジルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ネオペンチルアミン、α−フェニルエチルアミン、α−フェニルプロピルアミン及びα−メトキシメチルベンジルアミンなどのアルキルアミン、キニン、キニジン、シンコニン、シンコニジン及びブルシンなどのアルカロイド、アラニノール、フェニルグリシノール、ロイシノール、イソロイシノール、t−ロイシノール、バリノール、フェニルアラニノール及びエフェドリンなどのアミノアルコール、リジン、オルニチン及びアルギニンなどのアミノ酸、アラニンアミド、バリンアミド及びフェニルグリシンアミドなどのアミノ酸アミド、アラニンメチルエステル及びバリンエチルエステルなどのアミノ酸エステル、及びアスパルテーム、ネオテーム及びアリテームなどのペプチドエステル或はペプチドアミドから選ばれる化合物を挙げることができる。
[16]
当該モナティンの有機アミン塩をモナティンのアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩に変換する方法として、モナティンの有機アミン塩の溶液に該当するアルカリ溶液を加えて塩交換を行い、該当するモナティンの金属塩を結晶として得る方法を挙げることができる。
変換されるアルカリ金属塩としては、カリウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等を挙げることができる。
塩交換の際に用いる溶剤としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル及びジメチルホルムアミド(DMF)或はこれらの混合溶媒を挙げることができる。
[17]
当該モナティンの有機アミン塩をモナティンの遊離体または金属塩に変換する方法として、モナティンの有機アミン塩の溶液にアルカリ溶液を加え塩基性にした後に、有機溶剤で該当有機アミンを抽出除去するか或は強酸性イオン交換樹脂で該当有機アミンを吸着除去した後に、遊離体または該当するモナティンの金属塩を結晶として得る方法を挙げることができる。
遊離化或は塩交換の溶媒として、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル及びジメチルホルムアミド(DMF)或はこれらの混合溶媒を挙げることができる。
有機アミンを抽出する溶媒としては、酢酸エチル、酢酸磯イソプロピル、エーテル、トルエン、イソプロパノール、ジクロロメタン及びクロロホルム或はこれらの混合溶媒を挙げることができる。
[18]
本発明は、別の形態として、上記本発明(前記[1]から[7]を含む。)のモナティンの塩を含有することに特徴を有する甘味剤にも存する。
[19]
上記モナティンの塩を甘味剤として使用する場合、モナティン及び有機アミンのモル比は理論当量である必要はなく、モナティン或は有機アミンの何れかが過剰に存在していても良い。
[20]
当該甘味剤には、甘味剤用の担体及び/又は増量剤等を含んでいてもよく、例えば従来から知られ、又は使用されている甘味剤用の担体、増量剤等を使用することができる。
[21]
甘味剤用に使用できることが知られ、また今後そのために開発される担体や、増量剤を含んでいてもよい。更に、甘味剤のために使用され得る添加剤を含むことも当然できる。
甘味剤は動物用、例えば哺乳動物用、特にヒト用に使用される。
[22]
本発明は、更に別の形態として、上記本発明(前記[1]から[7]を含む。)のモナティンの塩のを含有することに特徴を有する甘味が付与された飲食品等の製品にも存する。
[23]
甘味が求められる動物用製品、特にヒト用の飲食品で甘味が求められる菓子、チューインガム等に甘味剤の少なくとも一部として使用することができる。その他、歯磨き、薬品等口内の衛生目的で、或いは薬品等の経口的に使用される製品で甘味を付与すべき製品に使用される。更に、本発明のモナティンの塩を含有し甘味が付与された製品の形態として、また甘味の付与を必要とする当該製品に対する甘味付与方法において本発明のモナティンの塩を使用することができ、その使用方法等については、甘味剤の使用方法として慣用されている従来法その他公知の方法に従うことができる。
[24]
前記甘味剤及び飲食品等の製品には、更に他の甘味剤成分(甘味料)、特に糖類、並びに他の人工甘味料及び天然の甘味料の少なくとも1種を含有することができる。例えば、ショ糖、アセスルフェーム、スクラロース、サッカリン、ステビオサイド、キシロース、トレハロース、ソルビトール、マルチトール等を併用することができる。
本発明により、新規甘味物質モナティンの新規塩として、アミノ酸、アミノアルコール、ジペプチドエステルなどの有機アミン成分との塩を提供することが出来る。アミノ酸、ジペプチドエステルなどとの塩は甘味物質として使用可能であり、この塩及びその結晶は安定であり、高甘味度を呈し、甘味剤又はその成分として、更には飲食品等への甘味付与成分としての使用が期待できる。
更に、モナティンの立体異性体混合物と有機アミンとの塩の結晶を形成し、結晶性や溶解性の差を利用してモナティンの立体異性体を得る方法を提供することが出来る。モナティンの各立体異性体を高純度で得る方法を提供することによって、モナティンを使用する甘味剤や、甘味が付与された飲食品等の製品を提供することができる。
故に、本発明は工業的に、特に食品分野において極めて有用である。
以下、本発明の実施の形態について実施例等により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本発明に用いたモナティンの立体異性体の混合物は特許文献4に記載の方法に従って合成することができ、これより各立体異性体を分離するには、特許文献4或は特許文献5記載の方法によれば良いが、各種の立体異性体を含むモナティンの合成法・分割法は、これ等の方法に限るものではない。
国際特許出願第2003059865 A1号(S.Kawahara et.al., WO2003059865 A1.) 国際特許出願第2003045914A1号(Y.Amino et.al., WO2003045914 A1.)
H−NMRスペクトルについては、Bruker AVANCE400(400MHz)により、MSスペクトルについては、Thermo Quest TSQ700により、それぞれ測定した。旋光度については、日本分光社製Jasco DPI−1000で測定した。陽イオン交換樹脂として、AMBERLITE IR120B H AGを使用した。粉末X線解析については、Phillips社製 PW3050で測定した。融点については、Yanaco社 MICRO MELTING POINT APPARATUSで測定した。
塩の高速液体クロマトグラフィーによる分析は以下の条件で行った。
(分析条件1)
カラム:Inertsil ODS−80A 6×150 mm
溶離液:12% CH3CNaq 0.05%TFA
流速:1.5ml/min
検出:UV 210nm
カラム温度:室温
(分析条件2)
カラム:CROWNPAK CR(+) 4×150mm
溶離液:HClO4aq(pH2.0)/MeOH=90/10
流速:1.2ml/min
検出:UV 210nm
カラム温度:室温
モナティン(2R,4R)体と(2S,4S)体の光学分割及びモナティン(2R,4R)・(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol塩の調製(その1)
モナティンの(2R,4R)体と(2S,4S)体の1:1混合物のアンモニウム塩3.00g(9.52ミリモル)と、(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol0.656g(4.76ミリモル)を、2.5%アンモニア水100mlに溶解し、溶液を減圧下に10mlまで濃縮した。得られた溶液を、室温で攪拌すると結晶が析出した。結晶を濾取し、水10mlを用いて洗浄した。得られた結晶を水200mlに溶解し、溶液を減圧下に10mlまで濃縮した。室温で析出した結晶をろ過して集め、モナティン(2R,4R)・(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol塩0.994g(2.31ミリモル、光学純度99.9%)を収率48
.5%(対モナティン(2R,4R))で得た。
NMR (400MHz、DO)δ: 1.76−1.83(m,1H),2.42−2.46(m,1H),2.97−3.01(m,1H),3.16−3.20(m,1H),3.36−3.39(m,1H),3.57−3.67(m,2H),3.89−3.93(m,1H),7.05−7.09(m,1H),7.12−7.16(m,2H),7.28−7.42(m,6H),7.64−7.66(m,1H).
融点:161.1−177.8℃.
図1には、モナティンの[(2S,4S)+(2R,4R)]体アンモニウム塩結晶の乾燥後の粉末X線回折図を示す。
モナティン(2R,4R)体と(2S,4S)体の光学分割及びモナティン(2R,4R)体・(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinolとの塩の調製(その2)
モナティンの(2R,4R)体と(2S,4S)体の1:1混合物のアンモニウム塩300mg(0.970ミリモル)、(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol66.5mg(0.485ミリモル)及び2N 水酸化ナトリウム水溶液0.24ml(0.485ミリモル)を水30mlに溶解し、溶液を減圧下に3mlまで濃縮した。得られた溶液を室温で攪拌すると結晶が析出した。室温にて一晩清置した後、結晶をろ取し水3mlで洗いモナティン(2R,4R)・(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol塩132mg(0.306ミリモル、光学純度99.9%)を収率63.1%(対モナティン(2R,4R))で得た。
モナティン(2R,4R)体と(2S,4S)体の光学分割及びモナティン(2R,4R)体・(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol塩の調製(その3)
モナティンの(2R,4R)体と(2S,4S)体の1:1混合物のアンモニウム塩300mg(0.970ミリモル)と、(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol 133mg(0.970ミリモル)を水30mlに溶解し、溶液を減圧下に3mlまで濃縮した。得られた溶液を室温で攪拌すると結晶が析出した。室温にて一晩攪拌後、結晶をろ取し水3mlで洗浄しモナティン(2R,4R)・(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol154mg(0.359ミリモル 光学純度99.9%)を収率74.0%(対モナティン(2R,4R))で得た。
モナティン(2R,4R)体と(2S,4R)体の光学分割及びモナティン(2R,4R)体・(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol塩の調製(その3)
モナティンの(2R,4R)体と(2S,4R)体の52:42の混合物のナトリウム塩300mg(0.952ミリモル)と(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol塩131mg(0.952ミリモル)を水30mlに溶解し、溶液を減圧下で3mlまで濃縮した。得られた溶液を室温にて攪拌すると結晶が析出した。室温で一晩清置した後、結晶をろ取して水3mlで洗い、モナティン(2R,4R)・(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol塩135mg(0.314ミリモル 光学純度85.0%)を収率66.0%(対モナティン(2R,4R)で得た。
モナティン(2R,4R)・(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol塩のモナティン(2R,4R)・アンモニウム塩への変換
モナティン(2R,4R)・(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol塩 275mg(0.640ミリモル)5%アンモニア水20mlに溶解し、トルエン30mlで3回抽出した。水層を更に酢酸エチル30mlで3回抽出した後に、水層を減圧下に濃縮し、エタノール40mlを加えた。析出した結晶をろ過して集め、モナティン(2R,4R)・アンモニウム塩 100mg(0.323ミリモル)を収率50.5%で得た。
モナティン(2R,4S)体と(2S,4R)体の光学分割及びモナティン(2R,4S)体・(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol塩の調製
((R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol塩 1.0当量 Monatin SRRS体)
モナティンの(2R,4S)体と(2S,4R)体の1:1混合物のアンモニウム塩3.00g(9.70ミリモル)と、(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol1.33(9.70ミリモル)を水50mlに溶解した後に、溶液を減圧下に5mlまで濃縮した。室温で攪拌すると結晶が析出したのでこれにイソプロパノール50mlを加え結晶をろ取した。結晶を再び水50ml溶解した後に、溶液を5mlまで濃縮すると結晶が析出した。結晶をろ過して集め水5mlで洗い、モナティン(2R,4S)・Phenylglycinol塩 0.937g(2.18ミリモル、光学純度99.9%)を、収率44.9%(対モナティン(2R,4S))で得た。
NMR (400MHz、DO)δ: 2.09−2.16(m,1H),2.36−2.41(m,1H),3.14(s,2H),3.65−3.76(m,2H),3.86−3.90(m,1H),4.06−4.09(m,1H),7.05−7.10(m,1H),7.13−7.17(m,2H),7.32−7.42(m,6H),7.65−7.67(m,1H).
融点 96.8−105.3℃.
モナティン(2R,4S)・(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol塩のモナティン(2R,4S)・ナトリウム塩への変換
モナティン(2R,4S)・(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol塩 215mg(0.50ミリモル)を5%アンモニア水20mlに溶解し、酢酸エチル30mlで7回抽出した。水層を減圧下に濃縮し、エタノール40mlを加えた。析出した結晶をろ過して集め、モナティン(2R,4S)・ナトリウム塩 121mg(0.38ミリモル)を収率76.0%で得た。
モナティン4立体異性体混合物の光学分割
モナティンの立体異性体混合物((2R,4R):(2S,4S):(2R,4S):(2S,4R)=3:3:2:2)・アンモニウム塩600mg(1.94ミリモル)と、(R)‐(−)‐2‐Phenylglycinol160mg(1.16ミリモル)を水30mlに溶解し、溶液を減圧下に5mlまで濃縮した。得られた溶液を、室温で攪拌すると結晶が析出した。結晶をろ取して水5mlで洗った。母液と洗浄液を5mlまで減圧濃縮し、約1時間攪拌して第二晶を得た。これらの結晶を再度水50mlに溶解し、溶液を減圧下で10mlにまで濃縮した。析出した結晶をろ取してモナティン(2R,4R)体とモナティン(2R,4S)体の9:1混合物178.8mgを得た。
モナティン(2R,4R)体と(2S,4S)体の光学分割及びモナティン(2R,4R)・L‐Valinol塩の調製
モナティン(2R,4R)体と(2S,4S)体の1:1混合物のアンモニウム塩600mg(1.94ミリモル)と、(S)‐(+)‐2‐アミノ‐3‐メチル‐1‐ブタノール200mg(1.94ミリモル)を水50mlに溶解し、溶液を減圧下に2mlまで濃縮した後、イソプロパノール60mlを滴下した。析出した結晶をろ取し、再度水20mlに溶解した。反応液を減圧下に2mlまで濃縮し、イソプロパノール50mlを加えて結晶化し、ろ取してモナティン(2R,4R)・L-Valinol塩・0.6イソプロパノール和物310mg(0.718ミリモル、光学純度99.9%)を収率74.0%で得た。
NMR (400MHz、DO)δ: 0.91−0.95(m,6H),[1.08−1.10(d,3.6H)],1.85−1.91(m,1H),1.94−2.02(m,1H),2.57−2.61(m,1H),2.99−3.04(m,2H),3.19−3.24(m,1H),3.54−3.62(m,2H),3.77−3.81(m,1H),[3.92−3.96(m,0.6H)],7.05−7.10(m,1H),7.13−7.17(m,2H),7.40−7.43(m,1H),7.64−7.67(m,1H),[ ]内はイソプロパノールのシグナル.
融点 114.5−122.7℃.
モナティン(2R,4R)・L-Valinol塩のモナティン(2R,4R)・アンモニウム塩への変換
モナティン(2R,4R)・L-Valinol塩(1.2イソプロパノール和物)2.00g(4.28ミリモル)を水100mlに溶解し、溶液を減圧下に濃縮する操作を2回行い、含有イソプロパノールを除去した。残渣を水50mlに溶解し、イオン交換樹脂(AMBERLITE IR120B H AG)を加えて弱酸性にして攪拌した。反応液を5%アンモニア水で中性に調整した。イオン交換樹脂をろ過して除き、更にイオン交換樹脂を5%アンモニア水で洗った。得られた溶液を合わせて減圧下に濃縮した後にエタノール50mlを加えて結晶化した。ろ取した結晶を再度5%アンモニア水に溶解し、溶液を減圧下に濃縮し、エタノールを加えて結晶化し、モナティン(2R,4R)・アンモニウム塩492mg(1.59ミリモル)を収率37.1%で得た。
モナティン(2R,4R)・L-Valinol塩のモナティン(2R,4R)・ナトリウム塩への変換
モナティン(2R,4R)・L-Valinol塩(0.6イソプロパノール和物)3.78g(8.97ミリモル)と、2N水酸化ナトリウム水溶液4.49ml(8.97ミリモル)を水70mlに溶解し、溶液を減圧下に5mlまで濃縮した後、エタノール200mlを加えて結晶化した。得られた結晶を、再度水100mlに溶解し、溶液を減圧下に5mlまで濃縮後、エタノール200mlを加えて結晶化して、モナティン(2R,4R)・Na塩・0.5エタノール和物2.60g(7.69ミリモル)を収率85.7%で得た。
モナティン(2R,4R)体と(2S,4S)体の光学分割及びモナティン(2R,4R)・(S)‐(+)‐Isoleucinol塩の調製
モナティン(2R,4R)体と(2S,4S)体の1:1混合物のアンモニウム塩300mg(0.970ミリモル)と、(S)‐(+)‐Isoleucinol113mg(0.970ミリモル)を、水30mlに溶解し、溶液を減圧下に1mlまで濃縮した。得られた溶液をしばらく攪拌すると結晶が析出した。この結晶をろ取して50%エタノール水溶液で洗い、モナティン(2R,4R)・(S)‐(+)‐Isoleucinol塩28.3mg(0.069ミリモル 光学純度99.9%)を収率7.1%で得た。母液を減圧下に濃縮し、残渣を水10mlに溶解
した後、溶液を減圧下に5mlまで濃縮した。得られた反応水溶液に、エタノール:イソプロパノール=1:1の溶液50mlを攪拌しながら滴下しすると結晶が析出した。析出した結晶をろ取して、モナティン(2R,4R)・(S)‐(+)‐Isoleucinol塩の第二晶83.4mg(0.204ミリモル、光学純度69%)を収率21.0%で得た。
モナティン(2R,4R)・ナトリウム塩のモナティン(2R,4R)・アンモニウム塩への変換
モナティン(2R,4R)・Nナトリウム塩・0.1エタノール和物640mg(2.00ミリモル)を、水20mlに溶解し、溶液を減圧下に濃縮する操作を2回行いエタノールを除去した。得られた残渣を水4mlに溶解し、攪拌しながら1N塩酸水溶液2ml(2.00ミリモル)を滴下すると結晶が析出した。溶液を20分攪拌し、結晶をろ取して冷水3mlで洗った。更に結晶を冷水4mlにてスラリー洗浄した後にろ取した。得られた結晶を5%アンモニア水に溶解し、溶液を減圧下にて濃縮した。残渣にエタノール30mlを加えて結晶化し、モナティン(2R,4R)・アンモニウム塩502mg(1.62ミリモル)を収率81.0%で得た。
モナティン(2R,4R)・アンモニウム塩のモナティン(2R,4R)・Valinol塩への変換
モナティン(2R,4R)・アンモニウム塩473mg(1.53ミリモル)と、(S)‐(+)‐2‐アミノ‐3‐メチル‐1‐ブタノール158mg(1.53ミリモル)を水10mlに溶解し、溶液を減圧下に濃縮した。得られた残渣にイソプロパノール30mlを加えて結晶化し、モナティン(2R,4R)・Valinol塩540mg(1.37ミリモル)を収率101%で得た。
NMR (400MHz、DO)δ: 0.91−0.96(m,6H),1.86−1.92(m,1H),1.95−2.02(m,1H),2.58−2.62(m,1H),3.00−3.05(m,2H),3.20−3.24(m,1H),3.54−3.63(m,2H),3.77−3.82(m,1H),7.06−7.10(m,1H),7.13−7.17(m,2H),7.41−7.43(m,1H),7.64−7.67(m,1H).
融点 168.4−170.9℃.
モナティン(2R,4R)・アンモニウム塩のモナティン(2R,4R)・アルギニン塩への変換
モナティン(2R,4R)・アンモニウム塩472mg(1.53ミリモル)とL−アルギニン267mg(1.53ミリモル)を、水20mlに溶解し、溶液を減圧下に濃縮した。得られた残渣にイソプロパノール30mlを加えて結晶化し、スラリーを30分攪拌した。結晶をろ取して、モナティン(2R,4R)・アルギニン塩・0.8イソプロパノール和物660mg(1.28ミリモル)を収率83.7%で得た。
NMR (400MHz、DO)δ: [1.08−1.10(m,4.8H)],1.54−1.66(m,2H),1.76−1.80(m,2H),1.94−2.02(m,1H),2.57−2.62(m,1H),2.99−3.03(m,1H),3.10−3.14(m,2H),3.19−3.23(m,1H),3.54−3.58(m,1H),3.62−3.65(m,1H)
,[3.90−3.97(m,0.8H)],7.05−7.09(m,1H),7.13−7.17(m,2H),7.40−7.43(m,1H),7.64−7.66(m,1H),[ ]内はイソプロパノールのシグナル.
融点 129.3−141.5℃.
モナティン(2R,4R)・アンモニウム塩のモナティン(2R,4R)・リジン塩への変換
モナティン(2R,4R)・アンモニウム塩502mg(1.62ミリモル)と、L−リジン237mg(1.62ミリモル)を、水10mlに溶解し、溶液を減圧下に濃縮した。得られた残渣にエタノール20mlを加えて結晶化し、モナティン(2R,4R)・リジン塩・0.5エタノール和物643mg(1.39ミリモル)を、収率85.8%で得た。
NMR (400MHz、DO)δ: [1.08−1.12(m,1.5H)],1.30−1.47(m,2H),1.59−1.66(m,2H),1.78−185(m,2H),1.95−2.01(m,1H),2.57−2.62(m,1H),2.91−2.95(m,2H),2.99−3.04(m,1H),3.19−3.23(m,1H),[3.54−3.55(m,0.5H)],3.56−3.60(m,1H),3.64−3.68(m,1H),7.05−7.10(m,1H),7.13−7.17(m,2H),7.40−7.43(m,1H),7.64−7.67(m,1H),[ ]内はエタノールのシグナル.
融点 168.4−170.9℃.
モナティン(2R,4R)・Valinol塩のモナティン(2R,4R)・カルシウム塩への変換
モナティン(2R,4R)・Valinol塩・1.2イソプロパノール和物・500mg(1.07ミリモル)と水酸化カルシウム79.3mg(1.07ミリモル)を水200mlに溶解し、溶液を減圧下に3mlまで濃縮した。得られた反応溶液にエタノール50mlを加えると結晶が析出した。結晶をろ取し、再度水200mlに溶解し、溶液を減圧濃縮した。残渣にエタノールを加えて結晶化し、結晶をろ取した。得られた結晶に水3mlを加えてスラリー減圧濃縮して水と含有エタノールを除去し、モナティン(2R,4R)・カルシウム塩294mg(0.885ミリモル)を収率82.7%で得た。
融点 229.8−243.3℃.
モナティン(2R,4R)・Valinol塩のモナティン(2R,4R)・カリウム塩への変換
モナティン(2R,4R)・Valinol塩・1.2イソプロパノール和物500mg(1.07ミリモル)と水酸化カリウム(純度85%)90mg(1.36ミリモル)を水50mlに溶解し、溶液を減圧下に濃縮した。得られた残渣にエタノール50mlを加えて結晶化し、モナティン(2R,4R)・カリウム塩262mg(0.792ミリモル)を収率73.9%で得た。
モナティン(2R,4R)・ナトリウム塩のモナティン(2R,4R)とアスパルテームとの混晶(塩)への変換(その1)
(Monatin RR・Aspartame HCl 1.0当量)
モナティン(2R,4R)・ナトリウム塩・0.1エタノール和物160mg(0.5ミリモル)とアスパルテーム147mg(0.5ミリモル)を水1mlに加えたスラリー状態の溶液を50℃で加熱した。溶液に1N塩酸水溶液0.5ml(1.0当量)を20分かけて滴下し、滴下終了後10分攪拌した。30分間0℃で冷却した後に結晶を濾取し、モナティン(2R,4R)・アスパルテーム混晶(塩)221mg[モナティン(2R,4R):アスパルテーム=1:0.7(モル比)、0.435ミリモル]を、収率87.2%で得た。
モナティン(2R,4R)・ナトリウム塩のモナティン(2R,4R)とアスパルテームとの混晶(塩)への変換(その2)
1N塩酸水溶液0.45ml(0.9当量)を使用すること以外は実施例19と同様にして、モナティン(2R,4R)・アスパルテーム混晶(塩)235mg[モナティン(2R,4R):アスパルテーム=1:0.8(モル比)、0.448ミリモル]を、収率89.4%で得た。
モナティン(2R,4R)・ナトリウム塩のモナティン(2R,4R)とアスパルテームとの混晶(塩)への変換(その3)
1N塩酸水溶液0.55ml(1.1当量)を使用すること以外は実施例21と同様にして、モナティン(2R,4R)・アスパルテーム混晶(塩)187mg[モナティン(2R,4R):アスパルテーム=1:0.6(モル比)、0.396ミリモル]を、収率79.3%で得た。
モナティン(2R,4R)・ナトリウム塩のモナティン(2R,4R)とアスパルテームとの混晶(塩)への変換(その4)
モナティン(2R,4R)・ナトリウム塩・0.1エタノール和物0.85g(2.70ミリモル)とアスパルテーム0.87g(2.97ミリモル)を水200mlに溶解し、溶液を1N塩酸でpH4.44に調整した。溶液を50mlまで減圧濃縮すると結晶が析出した。スラリー状のまま50℃で一時間加熱した後に結晶をろ取し、モナティン(2R,4R)・アスパルテーム混晶(塩)0.985g[モナティン(2R,4R):アスパルテーム=100:105(モル比)、1.64ミリモル]を収率60.7%で得た。
NMR (400MHz、DO)δ: 2.00−2.06(m,1H),2.61−2.78(m,3H),2.97−3.08(m,2H),3.16−3.28(m,2H),3.59−3.63(m,1H),3.67(s,3H),4.11−4.14(m,1H),7.06−7.10(m,1H),7.13−7.33(m,7H),7.41−7.43(m,1H),7.63−7.66(m,1H).
融点 157.7−159.2℃.
モナティンの種々の組み合わせの立体異性体をその有機アミン塩として晶析することにより、各立体異性体に分割でき、これ等の塩を甘味料として実用性のあるモナティンの遊離体や各種金属の塩に変換できる。特に、通常の晶析によっては困難なモナティンの鏡像体の分割が、光学活性な有機アミンを塩基として用いることによって達成できる。更に、このモナティンを飲食可能な有機アミン(アミノ酸、ジペプチドエステルなど)との塩の結晶を使用して、甘味剤或いは飲食品等に配合して提供できる。
図1は、実施例1におけるモナティン(2R,4R)・(R)-(−)-2-Phenylglycinol塩結晶の乾燥後の粉末X線回折図である。 図2は、実施例6におけるモナティン(2R,4S)・(R)-(−)-2-Phenylglycinol塩結晶の乾燥後の粉末X線回折図である。 図3は、実施例14におけるモナティン(2R,4R)・L-Valinol塩結晶の乾燥後の粉末X線回折図である。 図4は、実施例22におけるモナティン(2R,4R)・アスパルテーム混晶(塩)の乾燥後の粉末X線回折図である。

Claims (25)

  1. モナティンの有機アミン塩(結晶の形態を含む。)。
  2. モナティンが(2S,4S)体、(2S,4R)体、(2R,4R)体又は(2R,4S)体である請求項1記載の塩(結晶の形態を含む。)。
  3. モナティンが(2R,4R)体である請求項2記載の塩(結晶の形態を含む。)。
  4. モナティンの(2S,4S)体、(2S,4R)体、(2R,4R)体及び(2R,4S)体から成る立体異性体の中から選択される、少なくとも2種異性体混合物である請求項1記載の塩(結晶の形態を含む。)。
  5. 当該有機アミンが下記一般式(1)で表わされる有機アミンから選択される請求項1から請求項4のいずれかに記載の塩(結晶の形態を含む。)。
    Figure 2010241815
    上記式(1)中、R及びRは、水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から12のアラルキル基から選ばれる置換基を表す。
    、R及びRはそれぞれ、水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から12のアリールアルキル基、炭素数1から10のアルコキシアルキル基、炭素数1から10のヒドロキシアルキル基、炭素数1から10のアミノアルキル基、カルボキシル基、炭素数1から10のアルコキシカルボニル基、炭素数1から10のカルボキシアルキル基、炭素数1から10のアルコキシカルボニルアルキル基及び炭素数1から10のアミノアルキル基から選ばれる置換基を表す。ここで、アリールアルキル基のアリール基にはヘテロ環或は任意の数の水酸基、炭素数1から3のアルコキシ基及び炭素数1から3のアル
    キル基を置換基として持つベンゼン環が含まれる。
    または、RからRの中の任意の2つ以上の置換基は、アルキレン基(メチレン基、エチレン基など)、ヘテロ原子(窒素原子、酸素原子など)、芳香族置換基を介して環状構造を形成しても良い。
    上記式(1)中「C」表された炭素原子が不斉炭素である場合、その立体配置はR、SまたはRSのいずれでも良い。
  6. 当該有機アミンが下記一般式(2)で表されるペプチド或はペプチド誘導体から選択される請求項1から請求項4のいずれかに記載の塩(結晶の形態を含む。)。
    Figure 2010241815
    上記式(2)中、Rは炭素数1から12のアルキル基及びアリールアルキル基から選ばれる置換基を表す。ここで、アリールアルキル基のアリール基にはヘテロ環或は任意の数の水酸基、炭素数1から3のアルコキシ基及び炭素数1から3のアルキル基を置換基として持つベンゼン環が含まれる。
    は炭素数1から4のアルキル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、フェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、2−フリル基、ベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、シクロヘキシルメチル基及びt−ブチルチオメチル基から選ばれる置換基を表す。
    は炭素数1から3のアルコキシ基、炭素数1から15のアルキルアミノ基、炭素数1から15のシクロアルキルアミノ基及び炭素数1から12のアリールアルキルアミノ基から選ばれる置換基を表す。ここでアルキルアミノ基及びシクロアルキルアミノ基はエーテル結合またはチオエーテル結合を含んでも良く、水酸基を置換基として有していても良い。また、アリールアルキルアミノ基のアリール基にはヘテロ環或は任意の数の水酸基、炭素数1から3のアルコキシ基及び炭素数1から3のアルキル基を置換基として持つベンゼン環が含まれる。
    上記式(2)中「C」及び「C」で表された炭素原子の立体配置はR、SまたはRSのいずれでも良い。
  7. 当該有機アミン塩を、少なくとも95%の化学純度で有する請求項1から請求項6のいずれかに記載の塩(結晶の形態を含む。)。
  8. 少なくとも95%の光学純度を有する請求項1から請求項6のいずれかに記載の塩(結晶の形態を含む。)。
  9. 当該有機アミンがアルキルアミン、アルキルジアミン、アルカロイド、アミノアルコール、アミノ酸、アミノ酸エステル、アミノ酸アミド、ペプチド、ペプチドエステル及びペプチドアミドから選択される請求項1記載の塩(結晶の形態を含む。)。
  10. 有機アミンが、ベンジルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ネオペンチルアミン、α−フェニルエチルアミン、α−フェニルプロピルアミン及びα−メトキシメチルベンジルアミンなどのアルキルアミン、キニン、キニジン、シンコニン、シンコニジン及びブルシンなどのアルカロイド、アラニノール、フェニルグリシノール、ロイシノール、イソロイシノール、t−ロイシノール、バリノール、フェニルアラニノール及びエフェドリンなどのアミノアルコール、リジン、オルニチン及びアルギニンなどのアミノ酸、アラニンアミド、バリンアミド及びフェニルグリシンアミドなどのアミノ酸アミ
    ド、アラニンメチルエステル及びバリンエチルエステルなどのアミノ酸エステル、及びアスパルテーム、ネオテーム及びアリテームなどのペプチドエステル或はペプチドアミドから選ばれる化合物である、請求項1記載の塩(結晶の形態を含む。)。
  11. 特定の溶媒中、少なくとも2種類を含むモナティンの立体異性体混合物と特定の有機アミンの1種とを混合し、生成するモナティンの各立体異性体と有機アミンとの塩の結晶の生成の容易さ或は溶解性の違いを利用して、モナティンの特定の立体異性体の有機アミン塩を選択的に得る、モナティンの立体異性体の分割方法。
  12. 特定の溶媒中、少なくとも任意の2種類のモナティンの立体異性体混合物と特定の有機アミンのうち光学活性な有機アミン1種とを混合し、ジアステレオマー塩を形成せしめ、これらの結晶生成の容易さ或は溶解性の違いを利用して、モナティンの特定の立体異性体と有機アミンとの塩を選択的に得る、請求項11記載のモナティンの立体異性体の分割方法(ジアステレオマー法)。
  13. 特定の溶媒中、少なくとも任意の2種類を含むモナティンの立体異性体混合物と特定の有機アミンのうち光学的に非活性な有機アミン1種とを混合し、塩を形成せしめ、これらの結晶生成の容易さ或は溶解性の違いを利用して、モナティンの特定の立体異性体と有機アミンとの塩を選択的に得る、請求項11記載のモナティンの立体異性体の分割方法(優先晶析法)。
  14. 当該有機アミンが下記一般式(1)で表わされる有機アミンから選択される請求項11 から請求項13のいずれかに記載のモナティンの立体異性体の分割方法。
    Figure 2010241815
    上記式(1)中、R及びRは、水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から12のアラルキル基から選ばれる置換基を表す。
    、R及びRはそれぞれ、水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から12のアリールアルキル基、炭素数1から10のアルコキシアルキル基、炭素数1から10のヒドロキシアルキル基、炭素数1から10のアミノアルキル基、カルボキシル基、炭素数1から10のアルコキシカルボニル基、炭素数1から10のカルボキシアルキル基、炭素数1から10のアルコキシカルボニルアルキル基及び炭素数1から10のアミノアルキル基から選ばれる置換基を表す。ここで、アリールアルキル基のアリール基にはヘテロ環或は任意の数の水酸基、炭素数1から3のアルコキシ基及び炭素数1から3のアルキル基を置換基として持つベンゼン環が含まれる。
    または、RからRの中の任意の2つ以上の置換基は、アルキレン基(メチレン基、エチレン基など)、ヘテロ原子(窒素原子、酸素原子など)、芳香族置換基を介して環状構造を形成しても良い。
    上記式(1)中「C」表された炭素原子が不斉炭素である場合、その立体配置はR、SまたはRSのいずれでも良い。
  15. 当該有機アミンが下記一般式(2)で表わされる有機アミンから選択される請求項11から請求項13のいずれかに記載のモナティンの立体異性体の分割方法。
    Figure 2010241815
    上記式(2)中、Rは炭素数1から12のアルキル基及びアリールアルキル基から選ばれる置換基を表す。ここで、アリールアルキル基のアリール基にはヘテロ環或は任意の数の水酸基、炭素数1から3のアルコキシ基及び炭素数1から3のアルキル基を置換基として持つベンゼン環が含まれる。
    は炭素数1から4のアルキル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、フェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、2−フリル基、ベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、シクロヘキシルメチル基及びt−ブチルチオメチル基から選ばれる置換基を表す。
    は炭素数1から3のアルコキシ基、炭素数1から15のアルキルアミノ基、炭素数1から15のシクロアルキルアミノ基及び炭素数1から12のアリールアルキルアミノ基から選ばれる置換基を表す。ここでアルキルアミノ基及びシクロアルキルアミノ基はエーテル結合またはチオエーテル結合を含んでも良く、水酸基を置換基として有していても良い。また、アリールアルキルアミノ基のアリール基にはヘテロ環或は任意の数の水酸基、炭素数1から3のアルコキシ基及び炭素数1から3のアルキル基を置換基として持つベンゼン環が含まれる。
    上記式(2)中「C」及び「C」で表された炭素原子の立体配置はR、SまたはRSのいずれでも良い。
  16. 溶媒として、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル及びジメチルホルムアミド(DMF)或はこれらの混合溶媒を用いる請求項10から請求項12のいずれかに記載のモナティンの立体異性体の分割方法。
  17. 当該有機アミンがアルキルアミン、アルキルジアミン、アルカロイド、アミノアルコール、アミノ酸、アミノ酸エステル、アミノ酸アミド、ペプチド、ペプチドエステル及びペプチドアミドから選ばれる化合物である請求項11から請求項13のいずれかに記載のモナティンの立体異性体の分割方法。
  18. 当該有機アミンが、ベンジルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ネオペンチルアミン、α−フェニルエチルアミン、α−フェニルプロピルアミン及びα−メトキシメチルベンジルアミンなどのアルキルアミン、キニン、キニジン、シンコニン、シンコニジン及びブルシンなどのアルカロイド、アラニノール、フェニルグリシノール、ロイシノール、イソロイシノール、t−ロイシノール、バリノール、フェニルアラニノール及びエフェドリンなどのアミノアルコール、リジン、オルニチン及びアルギニンなどのアミノ酸、アラニンアミド、バリンアミド及びフェニルグリシンアミドなどのアミノ酸アミド、アラニンメチルエステル及びバリンエチルエステルなどのアミノ酸エステル、及びアスパルテーム、ネオテーム及びアリテームなどのペプチドエステル或はペプチドアミドから選ばれる化合物である、請求項11から請求項13のいずれかに記載のモナティンの立体異性体の分割方法。
  19. モナティンの有機アミン塩をアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩に変換する方法として、モナティンの有機アミン塩の溶液に該当するアルカリ溶液を加えて塩交換を行い、該当するモナティンの金属塩を結晶として得る方法。
  20. モナティンの有機アミン塩を遊離体または金属塩に変換する方法として、モナティンの有機アミン塩の溶液にアルカリ溶液を加え塩基性にした後に、有機溶剤で該当する有機アミンを抽出除去するか或は強酸性イオン交換樹脂で該当する有機アミンを吸着除去した後に、遊離体または金属塩を結晶として得る方法。
  21. 溶媒として、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル及びジメチルホルムアミド(DMF)或はこれらの混合溶媒を用いる請求項19又は請求項20記載のモナティンの塩交換方法。
  22. 請求項1から請求項10のいずれかに記載の塩(結晶の形態を含む。)を含有することを特徴とする甘味剤。
  23. 甘味剤用の担体及び/又は増量剤を含む請求項22に記載の甘味剤。
  24. 請求項1から請求項10のいずれかに記載の塩(結晶の形態を含む。)を含有し、又は使用して得られたことを特徴とする甘味が付与された飲食品等の製品。
  25. 糖類、並びに他の人工甘味料及び天然甘味料の少なくとも1種を含有する請求項22から請求項24のいずれかに記載の甘味剤又は飲食品等の製品。
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