JP2010236073A - 側材および熱交換器用クラッド材 - Google Patents
側材および熱交換器用クラッド材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010236073A JP2010236073A JP2009088405A JP2009088405A JP2010236073A JP 2010236073 A JP2010236073 A JP 2010236073A JP 2009088405 A JP2009088405 A JP 2009088405A JP 2009088405 A JP2009088405 A JP 2009088405A JP 2010236073 A JP2010236073 A JP 2010236073A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- side material
- clad
- less
- heat exchanger
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)
Abstract
【解決手段】熱交換器用クラッド材に、犠牲材または中間材として用いられる側材であって、前記側材は、Tiを0.10〜0.35質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるとともに、鋳造組織を有しており、前記鋳造組織中におけるTi濃度が0.10質量%以上の領域において、板厚方向の距離をa、クラッドされるときの圧延方向の距離をbとしたときに、a/b≧0.3を満たすことを特徴とする。
【選択図】図2
Description
(1)犠牲層、中間層用の側材は、Tiを添加することにより、犠牲層、中間層自体の耐食性を増大させることができる。その作用は、Tiが層状に分布することにより、腐食形態を層状化することにある。しかし、従来の製造方法で製造されるクラッド材の犠牲材、中間材等の側材は、熱間圧延によって製造するため、Tiの層状の分布の程度が不十分であり、腐食形態の層状化に対しても不十分な場合があった。
このような構成によれば、平坦度を所定値以下に制御することで、平坦性が向上し、芯材との密着性がより向上する。また、圧着性がより向上し、圧着パス数が減少する。
このような構成によれば、芯材と側材を重ね合わせる際に、芯材と側材、または側材と側材との間に隙間が形成されにくく、密着性および圧着性がさらに向上する。
このような構成によれば、側材の厚さを特定の範囲に規定することにより、クラッド材のクラッド率が適切に調整される。
請求項6に係る側材によれば、側材の表面粗度を規定したので、密着性および圧着性がより一層優れたクラッド材が得られる。
請求項7に係る側材によれば、側材の厚さを規定したので、適切なクラッド率を有するクラッド材が得られる。
側材は、芯材とその片面または両面に重ね合わされた1層以上の側材とからなる熱交換器用クラッド材に、犠牲材または中間材として使用されるものである。
まず、熱交換器用クラッド材の構成について説明する。
熱交換器用クラッド材の側材の層数は何ら限定されることはない。熱交換器用クラッド材としては、例えば、図1(a)に示すように、芯材2の片面に1つのろう材3をクラッドした2層の熱交換器用クラッド材1a、図1(b)に示すように、芯材2の両面にろう材3を1つずつクラッドした3層の熱交換器用クラッド材1b、図1(c)に示すように、芯材2の片面にろう材3と、芯材2の他面に犠牲材4を1つずつクラッドした3層の熱交換器用クラッド材1c、図1(d)に示すように、芯材2の片面に中間材5、ろう材3をクラッドした3層の熱交換器用クラッド材1d、図1(e)に示すように、芯材2の片面に中間材5、ろう材3と、芯材2の他面に犠牲材4をクラッドした4層の熱交換器用クラッド材1e、図1(f)に示すように、芯材2の両面に中間材5、ろう材3をクラッドした5層の熱交換器用クラッド材1f等を挙げることができる。
本発明に係る側材は、Tiを0.10〜0.35質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。さらに、側材は、鋳造組織を有しており、前記鋳造組織中におけるTi濃度が0.10質量%以上の領域を所定に規定したものである。
以下、各構成について説明する。
[Ti:0.10〜0.35質量%]
Tiは、鋳造組織中に層状に分布し、腐食形態を層状化させ、耐食性を向上させる効果がある。しかし、Ti含有量が0.10質量%未満では、Ti濃度の高い領域の形成が不十分となり、その結果、Tiの層状分布程度が小さくなるため、腐食層状化効果が小さくなる。一方、0.35質量%を超えると、Al−Ti化合物を生じ、クラッド材の成形時の割れの要因となる。したがって、Ti含有量は、0.10〜0.35質量%とする。
Znは、側材の電位自体を卑とし、犠牲防食効果を高める効果がある。しかし、Zn含有量が7質量%を超えると、電位差が大きすぎ、側材の自己腐食速度を増大させる。したがって、Znを添加する場合は、7質量%以下とする。なお、電位卑化効果を十分に得るため、Zn含有量は、1質量%以上とするのが好ましい。
Mgは、固溶硬化により側材自体の強度を高めるとともに、ろう付工程の加熱時にMgが芯材へ拡散することで、芯材中のSi、および、ろう材からの拡散Siによって、Mg2Siの析出強化を起こすことにより、強度を増大させる効果がある。しかし、Mg含有量が3.2質量%を超えると、フラックスとの反応が顕著となり、ろう付性を低下させる。したがって、Mgを添加する場合は、3.2質量%以下とする。なお、強度増大効果を十分に得るため、Mg含有量は、0.4質量%以上とするのが好ましい。
Siは、固溶硬化により、側材自体の強度を高める効果がある。しかし、Si含有量が1.3質量%を超えると、固相線温度を低下させるため、ろう付時に溶融を引き起こす。したがって、Siを添加する場合は、1.3質量%以下とする。なお、強度増大効果を十分に得るため、Si含有量は、0.05質量%以上とするのが好ましい。
Mnは、Al−Mn系の分散粒子を形成し、側材自体の強度を増大させる効果がある。しかし、Mn含有量が2質量%を超えると、Al6Mn等の金属間化合物が増大し、クラッド材成形時の割れの要因となる。したがって、Mnを添加する場合は、2質量%以下とする。なお、強度増大効果を十分に得るため、Mn含有量は、0.05質量%以上とするのが好ましい。
Cuは、固溶硬化により、側材自体の強度を高める効果がある。しかし、Cu含有量が1.3質量%を超えると、固相線温度を低下させるため、ろう付時に溶融を引き起こす。したがって、Cuを添加する場合は、1.3質量%以下とする。なお、強度増大効果を十分に得るため、Cu含有量は、0.05質量%以上とするのが好ましい。
Zrは、Al−Zr系の分散粒子を形成し、側材自体の強度を増大させる効果がある。しかし、Zr含有量が0.3質量%を超えると、Al3Zr等の金属間化合物が増大し、クラッド材成形時の割れの要因となる。したがって、Zrを添加する場合は、0.3質量%以下とする。なお、強度増大効果を十分に得るため、Zr含有量は、0.01質量%以上とするのが好ましい。
Crは、Al−Cr系の分散粒子を形成し、側材自体の強度を増大させる効果がある。しかし、Cr含有量が0.5質量%を超えると、Al3Cr等の金属間化合物が増大し、クラッド材成形時の割れの要因となる。したがって、Crを添加する場合は、0.5質量%以下とする。なお、強度増大効果を十分に得るため、Cr含有量は、0.01質量%以上とするのが好ましい。
Feは、Al−Fe系の分散粒子を形成し、側材自体の強度を増大させる効果がある。しかし、Fe含有量が1.5質量%を超えると、Al3Fe、Al6Fe等の金属間化合物が増大し、クラッド材成形時の割れの要因となる。したがって、Feを添加する場合は、1.5質量%以下とする。なお、強度増大効果を十分に得るため、Fe含有量は、0.01質量%以上とするのが好ましい。
Niは、Al−Ni系の分散粒子を形成し、側材自体の強度を増大させる効果がある。しかし、Ni含有量が1.5質量%を超えると、Al3Ni等の金属間化合物が増大し、クラッド材成形時の割れの要因となる。したがって、Niを添加する場合は、1.5質量%以下とする。なお、強度増大効果を十分に得るため、Ni含有量は、0.01質量%以上とするのが好ましい。
側材の成分は前記の他、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものである。なお、不可避的不純物としては、例えば、In、Sn等が挙げられるが、それぞれ0.1質量%以下の含有量であれば、本発明の効果を妨げず、側材に含有することは許容される。
クラッド材の製造において、芯材の片面または両面に側材を重ね合わせる際に、側材の少なくとも1層が、鋳造組織(図2(a)参照)を有する必要がある。なお、芯材は、図5に示された芯材用鋳塊25を所定長さに切断したものである。そして、側材の少なくとも1層が鋳造組織を有することによって、芯材と側材との密着性が向上する。そのため、両者の熱延工程(図7(b)参照)において、圧着性が向上し、圧着パス数が減るため、歩留まり、生産性が向上する。なお、芯材の片面または両面に複数層の側材を重ね合わせる場合には、鋳造組織を有する層(側材)は、芯材に隣接する層であっても、側材に隣接する層であってもよい。しかしながら、芯材と側材の密着性、圧着性を考慮すると、芯材に隣接する層が鋳造組織を有することが好ましい。
図2(a)に示すように、側材は、鋳造組織を有し、この鋳造組織中にTiが分布している。そして、鋳造組織中におけるTi濃度が0.10質量%以上の領域(例えば、実線内)において、板厚方向の距離をa、クラッドされるときの圧延方向の距離bとしたときに、a/b≧0.3を満足するものである。
≪側材の製造方法(側材製造工程)≫
側材の製造方法は、図4(a)、(b)に示すように、側材製造工程S1aにより、前記側材を製造するものである。
この側材製造工程S1aは、溶解工程と、鋳造工程と、スライス工程と、を備えるものである。なお、必要に応じて、鋳造工程の後に、後記する均質化熱処理工程により均質化熱処理(図4(a)、(b)では均熱と記載する)を行ってもよく、また、スライス工程の後に、後記する表面平滑化処理工程により表面平滑化処理(図4(a)、(b)では面削と記載する)を行ってもよい。
溶解工程は、芯材とは成分組成の異なる側材用金属(前記説明した組成を有する金属)を溶解する工程である。側材用金属については前記したとおりであるので、説明を省略する。
鋳造工程は、溶解工程で溶解された側材用金属を鋳造して側材用鋳塊を製造する工程である。
鋳造方法としては、半連続鋳造法を用いることができる。
半連続鋳造法は、図5に示すような鋳造装置10が用いられ、底部が開放された金属製の水冷鋳型11に、上方より金属(ここでは側材用金属)の溶湯Mを注入し、水冷鋳型11の底部より凝固した金属を連続的に取り出し、所定厚さT1の側材用鋳塊17を得るものである。このとき、溶湯Mは、桶12から、ノズル13、フロート14およびグラススクリーン15を介して、水冷鋳型11に供給される。水冷鋳型11に供給された溶湯Mは、冷却水Wで冷却された水冷鋳型11の内壁面に接することにより凝固し凝固殻16となる。さらに、水冷鋳型11の下部から冷却水Wが、直接、凝固殻16の表面に噴射され、連続的に側材用鋳塊17が製造される。
なお、半連続鋳造法は、縦向き、横向きのどちらで行ってもよい。
スライス工程は、側材用鋳塊を所定厚さにスライスする工程である。
スライス方法としては、図6(a)に示すように、前記した半連続鋳造法で製造した側材用鋳塊17を、図示しない帯鋸切断機等によってスライスすればよく、これにより、所定厚さT2の側材35が製造される。スライスにより側材35を製造することで、鋳造組織を得ることができる。ここで、側材35の厚さT2は、10〜250mmが好ましい。厚さT2が前記範囲外であると、クラッド材のクラッド率が不適切なものとなりやすい。
なお、スライスの方法としては、丸鋸切断機により切断してもよく、また、レーザーや水圧等により切断してもよい。
均質化熱処理工程は、鋳造された側材用鋳塊に、さらに均質化熱処理を行う工程である。
表面平滑化処理工程は、スライスされた所定厚さの側材(スライス材)の表面に、表面平滑化処理を行う工程である。
このように、側材用鋳塊17のスライスや表面平滑化処理を施すことにより、所定範囲の表面粗度、平坦度を得ることが可能となる。
熱交換器用クラッド材は、芯材とその片面または両面に重ね合わされた1層以上の側材とからなる熱交換器用クラッド材である。そして、側材の少なくとも1層に、前記説明した側材を用いたものである。
<熱交換器用クラッド材の製造方法>
熱交換器用クラッド材の製造方法は、芯材とその片面または両面に重ね合わされた1層以上の側材とからなる熱交換器用クラッド材の製造方法であって、図4(a)、(b)に示すように、側材製造工程S1aおよび芯材製造工程S1bからなる準備工程と、重ね合わせ工程S2と、均質化熱処理工程S3(図3では均熱工程と記載する)と、熱間圧延工程S4と、冷間圧延工程S5と、を含むものである。
なお、側材および芯材のどちらを先に製造して準備しておいてもよく、また、側材製造工程S1aおよび芯材製造工程S1bは同時に進行して準備してもよい。
準備工程は、側材と、この側材を重ね合わせるための芯材とを準備する工程である。
この準備工程では、側材製造工程S1aおよび芯材製造工程S1bにより、側材および芯材が製造される。
側材製造工程S1aは、前記したとおりであるので、ここでは説明を省略する。
なお、熱交換器用クラッド材は、側材の少なくとも1層が、前記製造方法(側材製造工程S1a)により製造され、他の層は、従来の製造方法により製造されていてもよい。
図4(a)に示すように、芯材製造工程S1bは、溶解工程と、鋳造工程と、を含むものである。なお、必要に応じて、表面平滑化処理工程(図4(a)では面削工程と記載する)および均質化熱処理工程(図4(a)では均熱工程と記載する)の少なくとも1つを備えてもよい。
溶解工程は、側材とは成分組成の異なる芯材用金属を溶解する工程である。
芯材用金属としては、例えば、2000系のAl−Cu系アルミニウム合金、3000系のAl−Mn系アルミニウム合金、5000系のAl−Mg系アルミニウム合金等を用いることができるが、これらに限定されるものではなく、芯材として用いられる合金であれば、全て適用することができる。
前記した芯材用金属の成分組成の調整は、用いるクラッド材の用途等に応じて適宜決めることができる。
鋳造工程は、溶解工程で溶解された芯材用金属を鋳造して芯材用鋳塊を製造する工程である。
鋳造方法としては、前記に説明した半連続鋳造法を用いることができる。
ここで、芯材用鋳塊25の厚さT1(図5参照)は、200〜700mmが好ましい。厚さT1が前記範囲外であると、クラッド材のクラッド率が不適切なものとなりやすい。また、芯材用鋳塊25の幅、長さは特に限定されるものではないが、生産性を考慮すると、幅1000〜2500mm、長さは3000〜10000mmが好ましい。
また、前記鋳造方法で鋳造された芯材用鋳塊25に、適宜必要に応じて、前記した側材35と重ね合わせる前に、表面に形成された晶出物や酸化物を除去するための表面平滑化処理および内部応力の除去のための均質化熱処理の少なくとも1つを行ってもよい。
表面平滑化処理工程は、鋳造工程で製造された芯材用鋳塊の表面に、表面平滑化処理を行う工程である。
表面平滑化処理を行うことにより、平坦性の評価において、長手方向1m当たりの平坦度を1mm以下、好ましくは0.5mm以下、表面粗度が算術平均粗さ(Ra)で0.05〜1.5μm、好ましくは0.1〜0.7μmとする芯材を得ることができる。平坦度が1mmを超えると、熱交換器用クラッド材に密着不良が発生しやすくなる。表面粗度が0.1μm未満では、疵の発生を招きやすく、また、加工が困難となりやすい。表面粗度が0.7μmを超えると、熱交換器用クラッド材に密着不良が発生しやすくなる。
均質化熱処理工程は、鋳造工程で鋳造された芯材用鋳塊に、均質化熱処理を行う工程である。
均質化熱処理を行うことにより、芯材用鋳塊25の内部応力が除去され、芯材の平坦性がより向上する。ここで、均質化熱処理の温度、時間は特に限定されるものではないが、処理温度は、350〜600℃、処理時間は1〜10時間とするのが好ましい。均質化熱処理の処理温度が350℃未満では、内部応力の除去量が小さく、鋳造中に偏析した溶質元素の均質化も不十分となり、敢えて熱処理を施した効果は小さい。一方、処理温度が600℃を超えると、鋳塊表面の一部が溶解するバーニングと呼ばれる現象が生じ、熱交換器用クラッド材の表面欠陥の原因になりやすい。また、処理時間が1時間未満では、内部応力の除去効果が小さく、また均質化も不十分となりやすい。なお、処理時間は、生産性を考慮すると10時間以下が好ましい。
重ね合わせ工程S2は、準備工程で準備された芯材および側材を所定配置に重ね合わせて重ね合わせ材とする工程である。
重ね合わせ工程S2では、図7(a)に示すように、前記工程で製造された芯材26の片面(図示せず)または両面に1つの側材35、または、複数の側材(図示せず)を所定配置に重ね合わせて重ね合わせ材40を製造する。ここで、所定配置とは、製品としての熱交換器用クラッド材、例えば、図1(a)〜(f)に示すようなクラッド材1a〜1fにおける芯材2、ろう材3、犠牲材4、中間材5の配置に対応することを意味する。なお、本発明の側材は、ろう材3には用いないため、ろう材3に対応する側材35は、本発明の側材35ではないが、図7では、便宜上、側材35と記している。また、重ね合わせ方法は、従来公知の、例えば、芯材26および側材35の両端部をバンド掛けする方法が用いられる。バンド掛けする方法以外に溶接止めする等の方法を用いても問題ない。なお、重ね合わせたときの各隙間は、最大で10mm以内、好ましくは、5mm以内とするのが好ましい。
均質化熱処理工程S3は、重ね合わせ工程S2で製造された重ね合わせ材に均質化熱処理を行う工程である。
重ね合わせ工程S2で製造した重ね合わせ材40は、内部組織を均一化するため、および、熱間圧延を行い易いように柔らかくするために均質化熱処理を施す。
熱間圧延工程S4は、均質化熱処理工程S3の後に熱間圧延を行う工程である。
熱間圧延工程S4では、図7(b)に示すように、前記重ね合わせ材40のバンドを切断し、重ね合わせ材40を熱間圧延してクラッド材(熱間圧延材)1Aを製造する。ここで、熱間圧延方法は、従来公知の圧延法で行う。そして使用する圧延機は、図7(b)では4段式圧延機50を記載したが、図示しない、2段圧延機または5段以上の圧延機を使用してもよい。また、図7(b)では1列のロールスタンドを備えた4段式圧延機50を記載したが、図示しない、複数列のロールスタンドを備えた圧延機を使用して、所定厚さの熱間圧延材1Aが得られるまで、熱間圧延を繰り返し行ってもよい。
冷間圧延工程S5は、熱間圧延工程S4の後に冷間圧延を行う工程である。
熱間圧延工程S4で製造された熱間圧延材1Aは、その後、冷間圧延処理を行う。冷間圧延処理としては、一例として、30〜99%の圧下率で行うことができる。
まず、JIS3003合金からなる芯材用アルミニウム合金を連続鋳造により溶解、鋳造し、均質化熱処理、面削(表面平滑化処理)して、芯材用鋳塊(芯材(芯材用部材))を得た。また、JIS4045合金からなるろう材用アルミニウム合金、および、表1、2に示す合金組成からなる犠牲材用アルミニウム合金を連続鋳造により溶解、鋳造し、均質化熱処理を施した後、それぞれ所定厚さにスライスし、面削(表面平滑化処理)して、ろう材(ろう材用部材)、犠牲材(犠牲材用部材)を得た。なお、圧延組織を有する側材を得るため、一部については、均質化熱処理を施した後、所定厚さに熱間圧延して、犠牲材(犠牲材用部材)を得た。
<ろう付性>
ろう付性は、竹本正ら著、「アルミニウムブレージングハンドブック(改訂版)」、軽金属溶接構造協会(2003年3月発行)の132〜136頁に記載されている評価方法により評価した。図8に示すように、水平に置いた下板(3003Al合金板(厚さ1.0mm×縦幅25mm×横幅60mm))と、この下板に対して垂直に立てて配置した上板(供試材(厚さ0.3mm×縦幅25mm×横幅55mm))との間に、φ2mmのステンレス製スペーサを挟んで、一定のクリアランスを設定した。なお、上板の供試材は、ろう材面にフラックス(森田化学工業株製FL−7)を5g/m2塗布した。
そして、窒素雰囲気下、600℃で3分間という条件の加熱処理を行った後、下板と上板のすき間が充填された長さ(すき間充填長さ)をノギスで測定してろう付性を数値化した。すき間充填長さが12mm以上のものをろう付性が非常に良好(◎)、12mm未満10mm以上のものを良好(○)、10mm未満のものを不良(×)とした。
ろう付後強度は、供試材を、窒素雰囲気下、600℃で3分間という条件で加熱処理した後、室温で7日間保持し、引張方向が圧延方向と平行となるように、JIS5号試験片に加工して、室温にて引張試験を実施することにより評価した。引張強さが130MPa以上のものをろう付強度が非常に良好(◎)、130MPa未満120MPa以上のものを良好(○)、120MPa未満のものを不良(×)とした。
耐食性は、供試材を窒素雰囲気下、600℃で3分間という条件で加熱処理した後、OY水浸漬試験(Na+:118ppm、Cl−:58ppm、SO4 2−:60ppm、Cu2+:1ppm、Fe3+:30ppm)を3ヶ月行い、腐食深さを測定することにより評価した。腐食深さが30μm以下のものを耐食性が非常に良好(◎)、30μmを超え40μm以下のものを良好(○)、40μmを超えるものを不良(×)とした。
成形性は、供試材を加熱処理せず、JISB7729、JISZ2247に規定されたエリクセン試験について、JISA法によりφ20mm球頭ポンチで行い、そのエリクセン値を測定することにより評価した。張り出し高さ(エリクセン値)が8mm以上のものを成形性が良好(○)、8mm未満のものを不良(×)とした。
なお、No.13は、Znの含有量が好ましい下限値未満のため、耐食性が非常に良好(◎)とはならず、良好(○)であった。No.14〜21は、それぞれ、Mg、Si、Mn、Cu、Zr、Cr、Fe、Niの含有量が好ましい下限値未満のため、ろう付後強度が非常に良好(◎)とはならず、良好(○)であった。
No.22、29、30は、Ti含有量が下限値未満のため、耐食性に劣った。No.23、31、32は、Ti含有量が上限値を超えるため、成形性に劣った。No.24〜28、44は、圧延組織のため、a/bの値が0.3未満となり、耐食性に劣った。
S1b 芯材製造工程
S2 重ね合わせ工程
S3 均質化熱処理工程
S4 熱間圧延工程
S5 冷間圧延工程
1a、1b、1c、1d、1e、1f クラッド材
2 芯材
3 ろう材
4 犠牲材
5 中間材
17 側材用鋳塊
25 芯材用鋳塊
26 芯材
35 側材
35a 設置面
40 重ね合わせ材
Claims (8)
- 熱交換器用クラッド材に、犠牲材または中間材として用いられる側材であって、
前記側材は、Tiを0.10〜0.35質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるとともに、鋳造組織を有しており、
前記鋳造組織中におけるTi濃度が0.10質量%以上の領域において、板厚方向の距離をa、クラッドされるときの圧延方向の距離をbとしたときに、a/b≧0.3を満たすことを特徴とする側材。 - さらに、Zn:7質量%以下、Mg:3.2質量%以下、Si:1.3質量%以下、Mn:2質量%以下、Cu:1.3質量%以下、Zr:0.3質量%以下、Cr:0.5質量%以下、Fe:1.5質量%以下、Ni:1.5質量%以下の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の側材。
- 前記Znが1〜7質量%、前記Mgが0.4〜3.2質量%、前記Siが0.05〜1.3質量%、前記Mnが0.05〜2質量%、前記Cuが0.05〜1.3質量%、前記Zrが0.01〜0.3質量%、前記Crが0.01〜0.5質量%、前記Feが0.01〜1.5質量%、前記Niが0.01〜1.5質量%であることを特徴とする請求項2に記載の側材。
- 前記側材が、1000系、3000系、4000系または7000系のアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の側材。
- 前記側材の長手方向1m当たりの平坦度が1mm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の側材。
- 前記側材の表面粗度が算術平均粗さ(Ra)で0.05〜1.0μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の側材。
- 前記側材の厚さが10〜250mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の側材。
- 芯材とその片面または両面に重ね合わされた1層以上の側材とからなる熱交換器用クラッド材であって、
前記側材の少なくとも1層が、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の側材であることを特徴とする熱交換器用クラッド材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009088405A JP5894354B2 (ja) | 2009-03-31 | 2009-03-31 | 側材、熱交換器用クラッド材およびそれらの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009088405A JP5894354B2 (ja) | 2009-03-31 | 2009-03-31 | 側材、熱交換器用クラッド材およびそれらの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010236073A true JP2010236073A (ja) | 2010-10-21 |
JP5894354B2 JP5894354B2 (ja) | 2016-03-30 |
Family
ID=43090672
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009088405A Expired - Fee Related JP5894354B2 (ja) | 2009-03-31 | 2009-03-31 | 側材、熱交換器用クラッド材およびそれらの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5894354B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015141193A1 (ja) * | 2014-03-19 | 2015-09-24 | 株式会社Uacj | アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金クラッド材を用いた熱交換器及びその製造方法 |
CN113201672A (zh) * | 2021-04-20 | 2021-08-03 | 北京科技大学 | 一种高烤漆硬化增量的Al-Mg-Si-Cu-Zn合金及制备方法 |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0436435A (ja) * | 1990-06-01 | 1992-02-06 | Sumitomo Light Metal Ind Ltd | A1熱交換器用高強度高耐食性クラッド材 |
JPH04289142A (ja) * | 1991-03-18 | 1992-10-14 | Nippon Light Metal Co Ltd | 自然発色用アルミニウム合金及びその製造方法 |
JPH05140684A (ja) * | 1991-11-15 | 1993-06-08 | Furukawa Alum Co Ltd | 耐食性Al合金ブレージングシート |
JPH05239579A (ja) * | 1992-02-25 | 1993-09-17 | Furukawa Alum Co Ltd | 耐食性アルミニウム合金ブレージングシート |
JPH05239581A (ja) * | 1992-02-27 | 1993-09-17 | Furukawa Alum Co Ltd | 耐食性アルミニウム合金ブレージングシート |
JP2007260770A (ja) * | 2006-02-28 | 2007-10-11 | Kobe Steel Ltd | 側材の製造方法、熱交換器用クラッド材の製造方法および熱交換器用クラッド材 |
JP2007262566A (ja) * | 2006-02-28 | 2007-10-11 | Kobe Steel Ltd | 側材の製造方法、熱交換器用クラッド材の製造方法および熱交換器用クラッド材 |
JP2007262565A (ja) * | 2006-02-28 | 2007-10-11 | Kobe Steel Ltd | クラッド材用側材およびクラッド材 |
-
2009
- 2009-03-31 JP JP2009088405A patent/JP5894354B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0436435A (ja) * | 1990-06-01 | 1992-02-06 | Sumitomo Light Metal Ind Ltd | A1熱交換器用高強度高耐食性クラッド材 |
JPH04289142A (ja) * | 1991-03-18 | 1992-10-14 | Nippon Light Metal Co Ltd | 自然発色用アルミニウム合金及びその製造方法 |
JPH05140684A (ja) * | 1991-11-15 | 1993-06-08 | Furukawa Alum Co Ltd | 耐食性Al合金ブレージングシート |
JPH05239579A (ja) * | 1992-02-25 | 1993-09-17 | Furukawa Alum Co Ltd | 耐食性アルミニウム合金ブレージングシート |
JPH05239581A (ja) * | 1992-02-27 | 1993-09-17 | Furukawa Alum Co Ltd | 耐食性アルミニウム合金ブレージングシート |
JP2007260770A (ja) * | 2006-02-28 | 2007-10-11 | Kobe Steel Ltd | 側材の製造方法、熱交換器用クラッド材の製造方法および熱交換器用クラッド材 |
JP2007262566A (ja) * | 2006-02-28 | 2007-10-11 | Kobe Steel Ltd | 側材の製造方法、熱交換器用クラッド材の製造方法および熱交換器用クラッド材 |
JP2007262565A (ja) * | 2006-02-28 | 2007-10-11 | Kobe Steel Ltd | クラッド材用側材およびクラッド材 |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015141193A1 (ja) * | 2014-03-19 | 2015-09-24 | 株式会社Uacj | アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金クラッド材を用いた熱交換器及びその製造方法 |
JPWO2015141193A1 (ja) * | 2014-03-19 | 2017-04-06 | 株式会社Uacj | アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金クラッド材を用いた熱交換器及びその製造方法 |
CN113201672A (zh) * | 2021-04-20 | 2021-08-03 | 北京科技大学 | 一种高烤漆硬化增量的Al-Mg-Si-Cu-Zn合金及制备方法 |
CN113201672B (zh) * | 2021-04-20 | 2022-06-14 | 北京科技大学 | 一种高烤漆硬化增量的Al-Mg-Si-Cu-Zn合金及制备方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5894354B2 (ja) | 2016-03-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2855063B2 (en) | Multilayer aluminium brazing sheet for fluxfree brazing in controlled atmosphere | |
JP6452627B2 (ja) | アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金クラッド材を用いた熱交換器及びその製造方法 | |
KR101016146B1 (ko) | 클래드재의 제조 방법 및 제조 설비 | |
TWI504460B (zh) | Welding method of aluminum alloy element | |
CN103906852A (zh) | 热交换器翅用铝合金材料及其制造方法、以及使用该铝合金材料的热交换器 | |
JP6418714B2 (ja) | アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金クラッド材を用いた熱交換器及びその製造方法 | |
JP5222197B2 (ja) | 側材およびその製造方法並びに熱交換器用クラッド材の製造方法 | |
US20180073118A1 (en) | Aluminum-alloy brazing sheet fin material for heat exchanger, and production process therefor | |
JP5894354B2 (ja) | 側材、熱交換器用クラッド材およびそれらの製造方法 | |
JP4077853B2 (ja) | 側材の製造方法、熱交換器用クラッド材の製造方法および熱交換器用クラッド材 | |
JPWO2020085488A1 (ja) | アルミニウム合金ブレージングシート及びその製造方法 | |
JP4077851B2 (ja) | クラッド材用側材 | |
JP4077852B2 (ja) | 側材の製造方法、熱交換器用クラッド材の製造方法および熱交換器用クラッド材 | |
JP4023751B2 (ja) | クラッド材の製造方法 | |
JP4077850B2 (ja) | 側材の製造方法および熱交換器用クラッド材の製造方法 | |
JP6227462B2 (ja) | アルミニウム合金クラッド材 | |
US20230166364A1 (en) | Aluminum alloy bare material for member to be brazed and aluminum alloy clad material for member to be brazed |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110901 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130513 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130521 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130717 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20140422 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140722 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140729 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20140818 |
|
A912 | Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20140905 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150709 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20151019 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160226 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5894354 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |