JP2010234443A - 連続鋳造方法及び連続鋳造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】凝固均一度と摩擦拘束力の双方の制約を満足させつつ、連続鋳造の操業条件の変更に対応すること。
【解決手段】本発明の連続鋳造方法は、鋳造方向に相異なる2以上のテーパを有する一対の多段テーパ短辺鋳型板2と、前記多段テーパ短辺鋳型板2を幅方向両側から挟む一対の長辺鋳型板3とからなる鋳型1を用いた連続鋳造方法において、鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板2を鋳造方向に移動させることにより、前記多段テーパ短辺鋳型板2のテーパ変化点の位置を前記鋳型1内における溶融金属のメニスカス位置11に対して鋳造方向に相対移動させることを特徴とする。
【選択図】図9

Description

本発明は、操業条件に依存することなく、高品質の鋳片を安定的に鋳造するための連続鋳造方法及び連続鋳造装置に関する。
鋼をはじめとする溶融金属の連続鋳造において、鋳型内に溶融金属を注入すると、鋳型に接する溶融金属の外周部分が凝固して凝固シェルを形成し、鋳型の下方に引き抜かれ、鋳型下方の二次冷却帯で凝固が進行して最終的に連続鋳造鋳片が形成される。鋳型は、溶融金属に接する側が水冷銅板で形成される。スラブを鋳造する連続鋳造装置は、一対の長辺鋳型板で一対の短辺鋳型板を幅方向両側から挟むように組み立てた連続鋳造鋳型を備える。この連続鋳造鋳型では、短辺鋳型板はその幅が鋳造する鋳片の厚さにほぼ等しい。
該鋳型内で凝固シェルの凝固が進行しつつ、その凝固シェルを下方に移動する過程において、凝固シェルは凝固が進行するとともに凝固収縮する。従って、鋳型内溶融金属のメニスカス位置(湯面位置)で凝固を開始した凝固シェルは、鋳型の下端に到達したときには収縮しており、凝固中に鋳片の幅や厚さがメニスカス位置にあるときと比較して小さくなっていく。スラブ連続鋳造においては鋳片の厚さに比較して幅が広いので、鋳片幅方向の凝固収縮量が大きい。凝固シェルの凝固収縮に伴って鋳型の下方において鋳型と凝固シェルとの間に空隙が生じると、凝固シェルから鋳型への抜熱が阻害され、十分な鋳型冷却ができなくなるとともに、鋳型による支持を失った凝固シェルが外方に膨れるバルジングを起こすこととなる。
そこで、少なくとも鋳型短辺にテーパを設けることが行われている。テーパを設けるとは、対向する両短辺間の間隔について、鋳型上方のメニスカス位置における間隔に対し、鋳型下端の間隔を狭めることを意味する。
図1(c)に示すように、鋳造方向任意の位置に上方位置と下方位置を定め、両短辺間の距離を、上方位置においてW、下方位置においてWとし、上方位置から下方位置までの距離をΔLとおいたとき、テーパ量(%)、テーパ率(%/m)を
テーパ量(%)={(W−W)/ΔL}×100 (3)
テーパ率(%/m)={(W−W)/W/ΔL}×100 (4)
と定義し、このように呼ぶこととする。ここでWは、ある幅に応じて、決まった長さなら、どこでも良く、例えば、鋳型上端幅、鋳型下端幅等とすることができる。ここではW(m)をメニスカス幅(W)とするものとする。
短辺テーパ量が小さすぎる場合には、凝固シェルと短辺鋳型板との接触が不均一になり、冷却のアンバランスが発生し、凝固シェル成長の不均一、溶融金属静圧による鋳片表面の割れが発生する。特に、短辺テーパ量が適正量よりも小さい場合、鋳型下端付近における凝固シェルの厚み分布において、図2に示すように、凝固シェル10の長辺側のコーナー近傍に凝固厚みが特に薄い部位12が発生しやすくなり、この部位12に対応する鋳片表面に縦割れが発生しやすい。また短辺テーパ量が大きすぎる場合には、凝固シェル10と短辺鋳型板との接触が強くなり、凝固シェルに過大な応力(摩擦拘束力)が加わり、凝固シェル10の破断、およびシェル破断に伴うブレークアウトが発生する。あるいは凝固シェル10と鋳型の摩擦拘束力の増大に伴う鋳型寿命の低下を引き起こす場合もある。
適正な短辺テーパについて、例えば特許文献1においては、短辺テーパ率βnを0.7〜1.3%/mとして操業することが開示されている。
図1(c)に示すように、従来の短辺鋳型板2’の凝固シェル10に対面する面(以下「テーパ面6」ともいう。)は、上部から下部まで全体が単一平面となるように加工されている。しかし、凝固シェル10の凝固収縮速度は、鋳型内の鋳造方向の各位置において一定ではなく、メニスカス近傍では凝固収縮速度が速く、鋳型下端に近づくにつれ凝固収縮速度が遅くなる。従って、短辺鋳型板2’と接する凝固シェル10の面は、平面ではなく、鋳型の下方に行くに従って凝固シェル10のテーパ量が小さくなる曲面を形成していると考えられる。
特許文献2においては、鋳型短辺のテーパを湾曲面として制御するテーパ制御方法が開示されている。短辺鋳型を背面の少なくとも3地点で支持し、変形を加える。3点のうち少なくとも1箇所、例えば中央部に加圧装置を取り付け、短辺銅板表面と自由収縮プロフィールとを予めおよび操業中も一致させることにより、一層均一な抜熱が可能になるとしている。中心荷重点に2〜5トンの力を加えることにより、最大タワミ量は0.33〜0.83mmにまでなり、これは溶鋼の凝固収縮量から考えれば十分な量であるとしている。
特許文献3においては、最適な短辺テーパを理論解析により求めており、最適短辺テーパはメニスカスからの鋳込み方向に沿う距離Z及び鋳造速度Vに依存し、各距離Zにおける最適テーパ率(%/m)がZ−1/2に比例するとともに、(4−V)(m/min)に比例するとしている。同文献の実施例1及び第2図によると、断面寸法20.8cm×105cmの鋳型の短辺を3段階のテーパを有する形状とし、テーパ率が上から2%/m、0.7%/m、0.4%/mとなっている。また実施例2及び第3図によると、断面寸法22cm×124cmの鋳型の短辺を3段階のテーパを有する形状とし、テーパ率が上から4%/m、1.3%/m、0.8%/mとなっている。このように、鋳造方向に2段階、あるいは3段階以上のテーパを有する鋳型を「多段テーパ鋳型」と呼び、このようなテーパを有する短辺鋳型板を「多段テーパ短辺鋳型板」と呼ぶことにする(図1(a)及び図1(b)参照。)。例えば、図1(a)に示す2段テーパ短辺鋳型板2では、テーパ変化点Pにてテーパ面6と6のテーパ率が変化している。
ところで、連続鋳造においては、鋳造速度が速いほど、鋳片の生産性を向上することができる。スラブの連続鋳造においても、鋳造速度が2.0m/min前後から、最近は3.0m/min程度まで鋳造速度が上昇している。多段テーパ短辺鋳型板2を用いた連続鋳造において、鋳造速度が速くなるに従って多段テーパ短辺鋳型板2の最適形状が変化し、また多段テーパ短辺鋳型板2を用いた鋳造方法も変化する。特許文献4には、鋳造速度が速くなると、多段テーパ短辺鋳型板の湾曲の程度を緩めるとともに全体の傾斜を小さくすることが開示されている。
スラブの連続鋳造においては、鋳造する鋳片が向け先ごとに種々の幅を有するので、連続鋳造を続けながら鋳造する鋳片幅を変更することが行われる。例えば図3に示すように、連続鋳造鋳型1において、多段テーパ短辺鋳型板2(以下、「短辺鋳型板2」ともいう。)を長辺方向に水平移動するための短辺駆動機構4を設け、短辺鋳型板2を長辺鋳型板3で挟み込んだままで短辺鋳型板2の位置を変更することにより、鋳造中に鋳片幅を変更することができる。即ち、長辺鋳型板3と短辺鋳型板2をいずれも交換することなく、種々の幅を有する鋳片を同一の連続鋳造鋳型1を用いて鋳造することが可能である。
また、特許文献5、6には、鋳型内での鋳片の凝固挙動を計算により推定する方法が記載されている。鋳型の鋳造方向の傾き、あるいは鋳造速度を任意の値に設定した際に、鋳型四周各部位における凝固シェルの厚さが算出される。この結果に基づき、鋳型下端における凝固シェル厚の最大値と最小値の比、凝固シェルと鋳型間の拘束力、ギャップ量を求めることができる。さらに、特許文献7には、鋳型の短辺鋳型面を、鋳片の短辺コーナー部の凝固収縮量プロフィールに沿った曲面勾配又は多段勾配状に形成することが記載されている。
また、特許文献8には、溶鋼のメニスカス位置を上下に変位させることにより、初期凝固シェルの収縮外形と近似的に等しい内周長の鋳型部分を常に使用し、鋳型と凝固シェルとの接触状態を最適に保つようにすることが開示されている。さらに、当該特許文献8には、鋳型銅板と凝固シェルの接触状態を示す物理量として、鋳型内引き抜き抵抗値、銅板温度、鋳型冷却水の給水側と排水側の温度差の組み合わせを用い、当該物理量に基づきメニスカス位置を上下に変位させることが開示されている。
さらには、特許文献9には、パウダー流入促進を目的として、鋳型の長辺側テーパを2段テーパとし、そのテーパ変化点をメニスカス位置から80〜300mmとした鋳型が開示されている。
特開2005−211936号公報 特開平2−247059号公報 特開昭56−53849号公報 特開平3−210953号公報 特開2006−346735号公報 特開2006−346736号公報 特開昭57−79047号公報 特開平6−297101号公報 特開2003−305540号公報
ところで、多段テーパ鋳型を用いて連続鋳造を行う際に、表面割れ及び内部割れのない高品質の鋳片を安定して鋳造するためには、多段テーパ鋳型内における凝固シェルの凝固均一度を極力高くし、かつ、凝固シェルと多段テーパ短辺鋳型板との摩擦拘束力を極力低くすることが求められる。
一方、連続鋳造の操業においては上述した鋳片幅以外にも、生産性向上等の観点から鋳造速度などの他の操業条件を変更したい場合も多々存在する。かかる操業条件の中には、凝固シェルの凝固均一度と摩擦拘束力の双方に影響を及ぼすものがある。例えば、鋳造速度を上昇させると、凝固均一度は増加するので望ましいが、摩擦拘束力も増加してしまうので望ましくない。一方、鋳造速度を低下させると、摩擦拘束力は低下するので望ましいが、凝固均一度も低下してしまうので望ましくない。このように鋳造速度などの操業条件を変更すると、凝固均一度と摩擦拘束力とが、高品質の鋳片を鋳造する上で相反する関係になるため、操業中に操業条件を安易に変更することはできない。
また、上記のように鋳造速度等の操業条件によって多段テーパ短辺鋳型板の最適形状が変化するが、操業条件の変更に対応するために、各々の操業条件ごとに複数種類の鋳型を用意して交換使用することは、コスト面及び生産効率の観点から現実的ではない。
さらには、上記特許文献7のように、鋳型の短辺鋳型面を、鋳片の短辺コーナー部の凝固収縮量プロフィールに沿った形状に形成しようとしても、多段テーパの変化点位置の具体的値を適切に設定することは非常に困難である。
また、特許文献8のように鋳型内におけるメニスカス位置を変更する手法では、その変更作業の作業性が悪く、また、メニスカス位置を上昇させると、鋳型から溶融金属が溢れ出すなどといった操業トラブルが起こる可能性が増大する。このため、連続鋳造の操業中は、鋳型内におけるメニスカス位置を一定に保つことが好ましいので、特許文献8にお手法は採用しにくい。
また、特許文献9の技術は、長辺テーパの変化点位置をパウダー流入との関係で規定したものであり、上記鋳造速度等の操業条件に対する、短辺鋳型板テーパの変化点位置の依存性については何ら開示されていない。
以上述べたように、従来では、多段テーパ鋳型を用いた連続鋳造において、複数種類の鋳型を交換使用することなく、上記相反関係にある凝固均一度と摩擦拘束力の双方の制約を満足させつつ、鋳造速度等の操業条件の変更に対応可能な技術が存在しなかった。従って、かかる技術が強く希求されていた。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、相反関係にある凝固均一度と摩擦拘束力の双方の制約を満足させつつ、連続鋳造の操業条件の変更に対応することが可能な、新規かつ改良された連続鋳造方法及び連続鋳造装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、鋳造方向に相異なる2以上のテーパを有する一対の多段テーパ短辺鋳型板と、前記多段テーパ短辺鋳型板を幅方向両側から挟む一対の長辺鋳型板とからなる鋳型を用いた連続鋳造方法において、鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させることにより、前記多段テーパ短辺鋳型板のテーパ変化点の位置を前記鋳型内における溶融金属のメニスカス位置に対して鋳造方向に相対移動させることを特徴とする、連続鋳造方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、鋳造方向に相異なる2以上のテーパを有する一対の多段テーパ短辺鋳型板と、前記多段テーパ短辺鋳型板を幅方向両側から挟む一対の長辺鋳型板とからなる鋳型と、鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させることにより、前記多段テーパ短辺鋳型板のテーパ変化点の位置を前記鋳型内における溶融金属のメニスカス位置に対して鋳造方向に相対移動させる短辺駆動機構と、を備えることを特徴とする、連続鋳造装置が提供される。
また、連続鋳造の操業条件に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させるようにしてもよい。
さらに、前記連続鋳造の操業条件は、前記溶融金属が凝固した凝固シェルの凝固均一度、及び、前記凝固シェルと前記多段テーパ短辺鋳型板との間の摩擦拘束力の双方に影響を及ぼす操業条件であるようにしてもよい。
また、前記連続鋳造の操業条件は、鋳造速度を含み、前記鋳造速度に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させるようにしてもよい。
さらに、前記鋳造速度の増加に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向上方に移動させ、前記鋳造速度の減少に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向下方に移動させるようにしてもよい。
さらに、前記メニスカス位置から前記多段テーパ短辺鋳型板のテーパ変化点までの距離をx(mm)とし、前記鋳造速度をV(m/min)としたときに、鋳造速度V、変化点位置xで連続鋳造している状態から、前記鋳造速度をVからVに減少させる場合は下記(1)式を満たし、前記鋳造速度をVからVに増加させる場合は下記(2)式を満たすように、鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させるようにしてもよい。
<x≦−200(V−V)+x :V<V (1)
>x≧−200(V−V)+x :V>V (2)
また、前記連続鋳造の操業条件は、前記溶融金属の炭素濃度を含み、
前記溶融金属の炭素濃度に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させるようにしてもよい。
また、前記溶融金属の炭素濃度C(質量%)が0.05<C<0.2であるときは、C≦0.05又はC≧0.2であるときよりも、鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向下方に移動させるようにしてもよい。
また、前記連続鋳造の操業条件は、前記多段テーパ短辺鋳型板の面平均抜熱流束を含み、前記面平均抜熱流束に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させるようにしてもよい。
さらに、前記面平均抜熱流束の増加に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向上方に移動させ、前記面平均抜熱流束の減少に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向下方に移動させるようにしてもよい。
上記構成において、鋳造中に多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させることにより、多段テーパ短辺鋳型板のテーパ変化点の位置を、鋳型内における溶融金属のメニスカス位置に対して相対移動させる。これにより、鋳型内のメニスカス位置を固定位置としたままで、多段テーパ短辺鋳型板のテーパ変化点の位置を上下方向に移動させて、メニスカス位置に近づけたり遠ざけたりできる。従って、鋳造速度等の操業条件の変更に応じて、鋳造中に多段テーパ短辺鋳型板のテーパ変化点の位置を調整することで、該操業条件の変更前後で、相反関係にある凝固均一度及び摩擦拘束力の双方がほぼ一定値となるように制御できる。よって、相反関係にある凝固均一度と摩擦拘束力の双方の制約を満足させつつ、鋳造速度等の操業条件の変更に対応することができる。
以上説明したように本発明によれば、相反関係にある凝固均一度と摩擦拘束力の双方の制約を満足させつつ、連続鋳造の操業条件の変更に対応することができる。よって、鋳造速度等の操業条件が変更されても、表面割れ及び内部割れのない高品質の鋳片を安定して鋳造することができる。
一般的な多段テーパ短辺鋳型板のテーパ面を説明する図であり、(a)は2段テーパ短辺鋳型板、(b)は3段テーパ短辺鋳型板、(c)は1段テーパ短辺鋳型板を示す図である。 本発明の一実施形態に係る計算手法により求めた鋳型下端における凝固シェルの形状を示す横断面図である。 同実施形態に係る連続鋳造鋳型の基本構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は一部断面正面図である。 鋳片幅1100mmにおいて、上下テーパ比率と鋳造速度を変更したときの凝固均一度、摩擦拘束力の変化を示す図である。 鋳片幅2200mmにおいて、上下テーパ比率と鋳造速度を変更したときの凝固均一度、摩擦拘束力の変化を示す図である。 鋳片幅1100mmにおいて、変化点位置xと鋳造速度を変更したときの凝固均一度、摩擦拘束力の変化を示す図である。 鋳片幅2200mmにおいて、変化点位置xと鋳造速度を変更したときの凝固均一度、摩擦拘束力の変化を示す図である。 トータルテーパ率を変更したときの凝固均一度、摩擦拘束力の変化を示す図である。 鋳片幅1100mm、上下テーパ比率4.0、トータルテーパ率1.6%/mにおいて、変化点位置xと鋳造速度Vを変更したときの凝固均一度、摩擦拘束力の変化を示す図である。 同実施形態に係る連続鋳造方法において、鋳造速度Vを1.5m/minから変化させたときの変化点位置xの好適な範囲を示す図である。 鋳片幅1100mm、上下テーパ比率4.0、トータルテーパ率1.6%/mにおいて、変化点位置xと、溶融金属の炭素濃度Cを変更したときの凝固均一度、摩擦拘束力の変化を示す図である。 変化点位置xを200mmとしたときの凝固均一度と炭素濃度Cの関係を示す図である。 鋳片幅1100mm、上下テーパ比率4.0、トータルテーパ率1.6%/m、鋳造速度V=1.5m/minにおいて、変化点位置xと面平均抜熱流束qを変更したときの凝固均一度、摩擦拘束力の変化を示す図である。 同実施形態に係る連続鋳造装置の構成を示す図である。 同実施形態に係る連続鋳造装置の制御装置の構成を示す図である。 同実施形態の変更例に係る連続鋳造装置の構成を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
以下に、本発明の一実施形態に係る連続鋳造方法及び連続鋳造装置について詳細に説明する。なお、説明は以下の順で行うものとする。
1.用語の定義
2.連続鋳造方法の概要
3.鋳造速度と変化点位置との関係
4.鋳造速度に応じた連続鋳造方法
5.溶融金属の炭素濃度に応じた連続鋳造方法
6.連続鋳造装置の構成
7.効果
[1.用語の定義]
まず、本明細書で使用する用語を定義する。
メニスカス位置とは、鋳型内における溶融金属(例えば溶鋼)のメニスカス(湯面)の高さ位置である。
鋳造方向とは、鋳型から鋳片を引き抜く方向であり、例えば鉛直方向(上下方向)である。
多段テーパ短辺鋳型板とは、鋳造方向に相異なる2以上のテーパを有する短辺鋳型板である。2段テーパ短辺鋳型板とは、鋳造方向に相異なる2つのテーパを有する短辺鋳型板であり(図1(a)参照)、3段テーパ短辺鋳型板とは、鋳造方向に相異なる3つのテーパを有する短辺鋳型板である(図1(a)参照)。
テーパ変化点Pとは、多段テーパ短辺鋳型板においてテーパが変化する箇所である。図1(a)に示す2段テーパ短辺鋳型板2であれば、テーパ変化点Pは1点であり、図1(b)に示す3段以上のテーパ短辺鋳型板であれば、テーパ変化点P、Pは2点以上である。
変化点位置x(mm)とは、メニスカス位置から、多段テーパ短辺鋳型板の最初のテーパ変化点Pまでの距離(即ち、メニスカス位置とテーパ変化点の相対高さ)である。図1(a)に示す2段テーパ短辺鋳型板では、変化点位置xはメニスカス位置11からテーパ変化点Pまでの距離であり、図1(b)に示す3段テーパ短辺鋳型板では、変化点位置xはメニスカス位置11から上部テーパ変化点Pまでの距離である。また、連続鋳造における最高鋳造速度をV(m/min)とし、鋳造速度をV(m/min)とする。
凝固均一度とは、鋳型1内で溶融金属が凝固して形成される凝固シェルの凝固状態の均一度を表すパラメータである。例えば、図2に示すように、凝固シェル10の長辺側における厚さの最大値Aと最小値Bの比B/Aを、凝固均一度(無次元量)とすることができる。
摩擦拘束力とは、連続鋳造時に鋳型と凝固シェルとの間の摩擦により生じる拘束力の大きさを表すパラメータである。例えば、後述する計算により求めた鋳型の各幅における摩擦拘束力を、各幅での基準値(1段テーパでテーパ率1.0%/mの場合の摩擦拘束力)で正規化した値を、摩擦拘束力(無次元量)として使用できる。
溶鋼金属の炭素濃度は、溶融金属(例えば溶鋼)中に占める炭素の濃度(質量%)である。
「鋳造中」とは、連続鋳造装置において鋳型が設置されて、溶融金属を当該鋳型に注入可能となっている状態を意味する。例えば、一対の短辺鋳型板と一対の長辺鋳型板を組み立てることによって鋳型が設置された時点から、当該短辺鋳型板と長辺鋳型板を分解する時点までの期間は、「鋳造中」に含まれる。従って、「鋳造中」は、鋳型内に溶融金属が注入されて鋳片が鋳造されている実際の鋳造期間のみならず、当該実際の鋳造期間前に鋳型内に溶融金属を注入していない期間や、当該実際の鋳造期間後に鋳型内に溶融金属を注入していない期間も含む。一方、連続鋳造装置において鋳型を分解した後、短辺鋳型板と長辺鋳型板を再度組み立てて鋳型を再設置するまでの期間は、鋳型内に溶融金属を注入できないので、「鋳造中」に含まれない。
また、トータルテーパ率T、上テーパ率T、下テーパ率T、上下テーパ比率を以下のように定義する。
図1(a)及び(b)に示すように、両短辺間の距離を、メニスカス位置においてW(m)、鋳型下端においてW(m)、メニスカス位置から鋳型下端までの距離をL(m)とおいたとき、トータルテーパ率T(%/m)を
(%/m)={(W−W)/W/L}×100 (5)
と定義する。
多段テーパ短辺鋳型板2の鋳造方向最上部の上テーパ面6において、上方位置と下方位置を任意に定め、両短辺間の距離を、上方位置においてW(m)、下方位置においてW(m)、上方位置から下方位置までの距離をΔL(m)とおいたとき(図1(a)(b))、上テーパ率T(%/m)を
(%/m)={(W−W)/W/ΔL}×100 (6)
と定義する。
図1(a)及び(b)に示すように、多段テーパ短辺鋳型板2の鋳造方向最下部の下テーパ面6において、上方位置と下方位置を任意に定め、両短辺間の距離を、上方位置においてW(m)、下方位置においてW(m)、上方位置から下方位置までの距離をΔL(m)とおいたとき、下テーパ率T(%/m)を
(%/m)={(W−W)/W/ΔL}×100 (7)
と定義する。
上下テーパ比率は、
上下テーパ比率=上テーパ率/下テーパ率=T/T (8)
と定義する。
[2.連続鋳造方法の概要]
本実施形態に係る連続鋳造方法は、図3と同様に、鋳造方向に相異なる2以上のテーパを有する一対の多段テーパ短辺鋳型板2と、多段テーパ短辺鋳型板2を幅方向両側から挟む一対の長辺鋳型板3とからなる連続鋳造鋳型1を用いた連続鋳造方法である。そして、本実施形態に係る連続鋳造方法では、連続鋳造の操業条件に応じて鋳造中に多段テーパ短辺鋳型板2を鋳造方向に上下動させることにより、鋳型1内における溶融金属のメニスカス位置11に対して、多段テーパ短辺鋳型板2のテーパ変化点Pの位置(変化点位置x)を鋳造方向に相対移動させることを特徴としている。
この操業条件は、鋳型1内で溶融金属が凝固して形成された凝固シェルの凝固均一度、及び、凝固シェルと短辺鋳型板2との間の摩擦拘束力の双方に影響を及ぼす操業条件であり、例えば、鋳造速度や、溶融金属の種類(例えば鋼種)、短辺鋳型板2の面平均抜熱流束などである。溶融金属の種類は、例えば、溶融金属の炭素濃度Cなどである。
かかる操業条件に応じて、鋳造中に多段テーパ短辺鋳型板2を鋳造方向に上下動させることにより、メニスカス位置11に対して多段テーパ短辺鋳型板2のテーパ変化点Pを鋳造方向に相対移動させて、変化点位置xを操業条件に適した位置に調整することができる。例えば、鋳造速度の増加に応じて鋳造中に、短辺鋳型板2を鋳造方向上方に移動させることで、テーパ変化点Pをメニスカス位置11に近づけて、変化点位置xを小さくする。一方、鋳造速度の減少に応じて、鋳造中に短辺鋳型板2を鋳造方向下方に移動させることで、テーパ変化点Pをメニスカス位置11から遠ざけて、変化点位置xを大きくする。
これにより、多段テーパ短辺鋳型板2の変化点位置xを、操業条件に応じて鋳造中に適切な位置に制御できるので、操業条件の変更前後で、相反関係にある凝固均一度と摩擦拘束力をほぼ一定値に維持することができる。従って、凝固均一度と摩擦拘束力の双方の制約を満足させつつ、連続鋳造の操業条件の変更に対応することができる。よって、鋳造速度等の操業条件が変更されても、表面割れ及び内部割れのない高品質の鋳片を安定して鋳造することができるようになる。
このように本実施形態に係る連続鋳造方法では、操業条件に応じて鋳造中に多段テーパ短辺鋳型板2を鋳造方向に上下動させて、メニスカス位置11に対して変化点位置xを変化させることを特徴としている。
[3.鋳造速度と変化点位置との関係]
ここでは、本実施形態に係る連続鋳造方法の詳細説明に先立ち、まず、該連続鋳造方法の基礎となる鋳造速度と変化点位置xとの関係について詳述する。
特許文献5、6には、鋳型内での鋳片の凝固挙動を計算により推定する方法が記載されている。鋳型の鋳造方向の傾き、あるいは鋳造速度を任意の値に設定した際に、鋳型四周各部位における凝固シェル10の厚さが図2のように算出される。この結果に基づき、鋳型下端における凝固シェル厚の最大値Aと最小値Bの比B/A、凝固シェルと鋳型間の摩擦拘束力、ギャップ量を求めることができる。
上記特許文献5、6に記載の計算方法を用い、多段テーパ短辺鋳型板を使用する連続鋳造について、鋳型下端における凝固シェル10の形状、凝固シェル10と鋳型間の摩擦拘束力を求めた。鋳型下端における凝固シェル10の形状は、計算によって図2のように導出される。鋳片コーナー近傍における凝固シェル10の長辺側に、凝固シェル厚が薄い部位が形成されることがあり、この部位の凝固シェル厚をシェル厚の最小値Bとする。そして、本実施形態では、凝固シェル厚の最大値Aと最小値Bの比B/Aを、「凝固均一度」と称する。凝固均一度が良好な鋳造を行った場合には、コーナー近傍の長辺側におけるシェル厚の薄い部位のシェル厚みBが、その他の厚い部位のシェル厚Aに近づくこととなる。
実際に溶鋼の連続鋳造を行い、鋳造中に鋳型内溶鋼にSを添加し、凝固後鋳片のサルファープリントによって鋳型下端位置での凝固シェルの厚み分布を評価したところ、上記計算で求めた凝固均一度と、サルファープリントから求めた鋳型下端凝固シェル厚みの最大と最小の比とが、よく一致することがわかった。従って、計算で求めた凝固均一度を指標として、好適な連続鋳造方法を見出すことが可能である。
計算で求めた凝固均一度(B/A)の値が0.7以上であれば、実鋳造においても良好な凝固均一度を確保することができる。凝固均一度(B/A)の値が0.7未満となると、凝固シェルが破断してブレークアウトする恐れがある。また、計算で求めた摩擦拘束力(各幅での基準値(1段テーパでテーパ率1.0%/mの場合の摩擦拘束力で正規化した値))が2.0以下であれば、実鋳造においても拘束の少ない良好な鋳造を行うことができる。また、凝固均一度(B/A)及び摩擦拘束力を上記好ましい範囲とすることにより、連続鋳造を行ったときにブレークアウトが起こらないことを、実際の連続鋳造の結果によって確認している。
以下、上述の特許文献5、6に基づく計算方法(以下「本実施形態に係る計算方法」ともいう。)により、凝固均一度と摩擦拘束力を計算し、多段テーパ短辺鋳型板の最適な形状を検討することとする。
従来の多段テーパ短辺鋳型板、特に2段テーパ短辺鋳型板において、メニスカス位置から鋳型下端までの距離Lは概ね900mm程度であり、変化点位置xは300mm程度であった。そして、最高鋳造速度Vが2.5m/min程度までの鋳造速度を採用する場合、上下テーパ比率として4.0程度のテーパを採用し、凝固均一度及び摩擦拘束力の両方とも良好な鋳造を実現することができた。この点については、上記本実施形態に係る計算方法によって確認することができる。
鋳片幅Wを1100mm(狭幅)、トータルテーパ率を1.6%/m、2段テーパ短辺鋳型板の変化点位置xを300mm一定とし、鋳造速度を1.0〜3.0m/minで変化させ、2段テーパ短辺鋳型板の上下テーパ比率を変化させることによって短辺鋳型板の湾曲状況を変化させ、本実施形態に係る計算方法によって凝固均一度と摩擦拘束力を計算した。
図4に示すように、同じ上下テーパ比率であれば鋳造速度が速くなるに従って凝固均一度が改善するものの摩擦拘束力も増大する。凝固均一度と摩擦拘束力をともに良好範囲に保つためには、鋳造速度が速くなるに従って、上下テーパ比率を低くすることが好ましいことがわかる。凝固均一度と摩擦拘束力をともに良好に保持できる上下テーパ比率範囲を鋳造速度ごとに調べてみると、鋳造速度が2.0m/minでは上下テーパ比率の好適範囲が5.0以下、鋳造速度が2.5m/minでは上下テーパ比率の好適範囲が4.0以下、鋳造速度が3.0m/minでは上下テーパ比率の好適範囲が3.0以下という結果となった。
次に、鋳片幅W=1100mmで凝固均一度と摩擦拘束力が良好であった短辺鋳型板形状(鋳造速度が3.0m/minの範囲までで最適化した上下テーパ比率3.0の鋳型形状)を用い、鋳片幅Wを2200mmと広幅にした。鋳片幅Wを変更するに際し、トータルテーパ率を1.6%/mのまま保持したところ、鋳片幅W=2200mmで上下テーパ比率は1.7となった。
図5に示すように、鋳片幅W=2200mm(広幅)について本実施形態に係る計算方法によって凝固均一度と摩擦拘束力を計算したところ、トータルテーパ率を一定で保持したまま、鋳片幅Wを広げた場合は、鋳造速度が3.0m/minでは上下テーパ比率の好適範囲が低下して、1.7未満となり、凝固均一度も低下することがわかった。即ち、鋳片幅W=1100mmにおいて鋳造速度3.0m/minまでの高速鋳造について最適化した鋳型において、鋳片幅Wを2200mmの広幅とすると、最適範囲から外れることがわかった。
そこで、鋳片幅Wが1100mmにおいて鋳造速度ごとに多段テーパの最適化を図るに際し、変化点位置xを固定して上下テーパ比率を変化させるのではなく、上下テーパ比率を4.0一定に保持した上で変化点位置xを変更してみた。トータルテーパ率を1.6%/mとし、変化点位置xを変化させて本実施形態に係る計算方法で凝固均一度と摩擦拘束力を計算した。その結果を図6に示す。摩擦拘束力の上限閾値2.0を基準とすると、鋳造速度が2.5m/min以下では変化点位置xの好適範囲が300mm以下、鋳造速度が3.0m/minでは変化点位置xの好適範囲が200mm以下となった。
次に、鋳片幅W=1100mmで好適であった変化点位置xを有する短辺鋳型板(鋳造速度が3.0m/minの範囲までで最適化した変化点位置が200mmの鋳型形状)を用い、鋳片幅W=2200mmの鋳造での計算を行った。トータルテーパ率は1.6%/mで保持し、トータルテーパ率一定で鋳片幅Wを広げた場合、鋳片幅W=2200mmにおいて上下テーパ比率は2.5になった。そこで、鋳片幅W=2200mmにおいて、トータルテーパ率を1.6%/mとし、前記と同様に上下テーパ比率を2.5一定に保持した上で、変化点位置xを変化させて本実施形態に係る計算方法で凝固均一度と摩擦拘束力を計算した結果を図7に示す。図7から明らかなように、変化点位置xが200mm以下であれば、鋳片幅W=2200mmであっても、鋳造速度3.0m/min以下において良好範囲を確保できることがわかった。従って、最高鋳造速度が3.0m/minの鋳造を行うとき、変位点位置が200mm以下であれば、良好に連続鋳造を行うことができる。
同様に、鋳造速度3.75m/minにおいては、変化点位置xが50mm以下であれば、鋳片幅Wが1200mm(図6)、2200mm(図7)のいずれにおいても、良好な鋳造を行うことができる。従って、最高鋳造速度が3.75m/minの鋳造を行うとき、変位点位置が50mm以下であれば、良好に連続鋳造を行うことができる。
以上の通り、狭幅時の上下テーパ比率を鋳造速度ごとに変化させて最適化した鋳型を用いて広幅時に適用した場合の好適な上限テーパ比率と比較すると、変化点位置xを変化させて最適化した鋳型を用いて広幅時に適用した場合の方が、好適な上下テーパ比率を上げることができ、また変化点位置xを変化させると、狭幅時よりも広幅時の方が好適な上下テーパ比率が低下するものの、凝固均一度は逆に上昇することがわかった。
即ち、鋳造速度が高速になったときに多段テーパ短辺鋳型板の最適テーパ形状を決定するに際し、図6および図7に示すように、鋳造速度が速くなるほど変化点位置xを上方に上げることにより、上下テーパ比率を変化させる場合よりも、鋳片幅Wが広幅のときにも良好な凝固均一度と摩擦拘束力を維持することが可能であることがわかった。
ちなみに、図6および図7の関係は、工業的な観点で想定される鋳片幅Wである600mm〜2500mmの範囲で、同様の関係を示すことも、計算および実機試験により、確認している。
図6および図7の関係から、前記の凝固均一度が0.7以上、摩擦拘束力が2.0以下とする好適範囲になる条件を最高鋳造速度Vの変数として式に表すと、下記(9)及び(10)式のように導出される。
50≦x≦300 :V≦2.5 (9)
50≦x≦300−200(V−2.5) :2.5<V≦3.75 (10)
xの下限を50mmとしているのは、これ以上変化点位置xが鋳型の上方にあると、多段テーパの効果が十分得られず、通常の1段テーパとほとんどかわらなくなるからである。上記(10)式から、Vが3.75m/minを超えると解がなくなる。即ち、本実施形態においてVの上限は3.75m/minである。また、xの上限を300mmとしているのは、上下テーパ比率をある一定値以上確保しようとした場合に、上部強テーパ領域が長くなると下部テーパ部のテーパ率が小さくなり、トータルテーパ率一定で鋳片幅Wを変更して狭幅鋳造した場合に、下テーパ率が極端に小さくなり逆テーパ(テーパが下にいくほど広がる)になりやすく、鋳型下部で鋳片がバルジングするトラブルが発生しやすくなるためである。
上記のような本実施形態に係る変化点位置xの制御は、最高鋳造速度Vが高くなるほどその効果が顕著である。最高鋳造速度Vが2.5m/min超の高速鋳造において特に顕著な効果を発揮することができる。
次に、上記と同じ2段テーパ短辺鋳型板(変化点位置が200mmの鋳型)を用い、鋳造速度を1.5m/min、鋳片幅Wを1100mmで固定し、トータルテーパ率を変化させて凝固均一度と摩擦拘束力を計算で求めた。鋳片厚みは240mmとした。結果を図8に示す。図8から明らかなように、トータルテーパ率を0.5%/m以上とすれば、凝固均一度を良好な値(0.7以上)に保持することができる。またトータルテーパ率を2.0%/m以下とすれば、摩擦拘束力が小さく(2.0以下)、良好に保持することができる。
本実施形態に係る多段テーパ短辺鋳型板としては、3段以上のテーパを有する鋳型板を用いてもよいが、変化点位置xを上方に設定した結果として、2段テーパ短辺鋳型板で十分にその効果を発揮することができる。
本実施形態において、鋳造する鋳片厚みは、好ましくは220mm〜300mm、より好ましくは240mm〜300mmである。鋳片厚みが300mmを超える場合は、鋳造中に鋳片幅Wを変更する連続鋳造鋳型としては過大な設備を必要とし、実質的に実現困難である。また、鋳造厚みが240mm未満であると、タンディッシュから溶融金属を注入するための浸漬ノズルの直径を小さくしなければならなくなるので、均一な溶融金属の注入が困難になる。鋳造厚みが220mm未満になるとより均一な注入が一層困難になる。
以上の説明によれば、鋳造速度に応じて短辺鋳型板2の最適なテーパ形状が変化するために、鋳造速度等の操業条件の変更に対応するためには、操業条件に応じて、短辺鋳型板2のテーパ変化点Pの位置(変化点位置x)を鋳造方向の最適な高さ位置に位置づければよいことが分かる。ところが、従来では、短辺鋳型板2を上下動させることにより、メニスカス位置11に対して変化点位置xを鋳造方向に移動させる短辺駆動機構を備えた連続鋳造装置は知られていない。
そこで、以下に詳述するように、本実施形態に係る連続鋳造方法は、新規な短辺駆動機構を用いて、操業条件の変動に応じて鋳造中に短辺鋳型板2を鋳造方向に上下動させることにより、メニスカス位置11に対して短辺鋳型板2の変化点位置xを、変更後の操業条件に適した最適な高さ位置に位置づけて、高品質の鋳片を安定的に鋳造しようとするものである。
[4.鋳造速度に応じた連続鋳造方法]
次に、図9を参照して、本実施形態に係る鋳造速度に応じて鋳造中に短辺鋳型板2を上下動させる連続鋳造方法について詳細に説明する。図9は、鋳片幅W=1100mm、上下テーパ比率4.0、トータルテーパ率1.6%/mにおいて、変化点位置xと鋳造速度Vを変更したときの凝固均一度、摩擦拘束力の変化を示す図である。なお、この図9のデータは、上記図6のデータに対応している。
図9に示すように、鋳造速度Vに応じて、摩擦拘束力及び凝固均一度は変化する。従って、鋳造速度Vは、連続鋳造における凝固シェル10(図2参照。)の摩擦拘束力及び凝固均一度の双方に影響を及ぼす操業条件であることが分かる。しかも、この鋳造速度Vは、高品質の鋳片を安定鋳造する観点からは、摩擦拘束力と凝固均一度とに相反する影響を及ぼす操業条件である。
即ち、例えば、図9の波線楕円で示すように、変化点位置xを例えば200mmに固定した鋳型で操業したときに、鋳造速度Vを増加させると、凝固均一度は増加するが、摩擦拘束力も増加してしまうので、高品質の鋳片を安定鋳造する観点からは、望ましくない。一方、同様な条件で、鋳造速度Vを低下させると、摩擦拘束力は低下するが、凝固均一度も低下してしまうので、高品質の鋳片を安定鋳造する観点からは、望ましくない。このように鋳造速度Vを変更すると、凝固均一度と摩擦拘束力とが、高品質の鋳片を安定鋳造する上で相反する関係になるため、操業中に鋳造速度Vを安易に変更することはできない。
そこで、本件発明者が鋭意研究したところ、上記鋳造速度Vの増減にかかわらず、上記相反する関係にある摩擦拘束力及び凝固均一度を、極力一定になるように制御することができれば、過度に優れた摩擦拘束力又は凝固均一度は得られないものの、摩擦拘束力及び凝固均一度のいずれもが悪い値にならないため、凝固シェル10の割れやブレークアウト等を防止でき、高品質の鋳片を安定鋳造できることを見出した。そのためには、鋳造速度Vに応じて鋳造中に、短辺鋳型板2を鋳造方向に昇降させることで、メニスカス位置11に対してテーパ変化点Pを上下させて、変化点位置xを適切な位置に位置づければ、十分に高品質の鋳片を鋳造できることが判明した。
例えば、図9に示すように、変化点位置x=200(mm)、鋳造速度V=1.5(m/min)の条件で連続鋳造を操業しているときは、摩擦拘束力は1.7、凝固均一度は0.9025である。かかる操業中に、鋳造速度Vを1.5から2.0(m/min)に増加させたときには、図9の実線楕円で示すように、変化点位置xを200から100(mm)に変更すれば、摩擦拘束力は1.7のままで低レベルを維持できるとともに、凝固均一度は、0.9025から0.905に微増して高レベルを維持できる。また、これとは逆に、上記条件での操業中に、鋳造速度Vを1.5から1.0(m/min)に減少させたときには、図9の実線楕円で示すように、変化点位置xを200から300mmに変更すれば、摩擦拘束力は1.7のままで低レベルを維持できるとともに、凝固均一度は、0.9025から0.90に微減する程度であり、依然として高レベルを維持できる。
このように、鋳造速度Vを変更した場合であっても、その鋳造速度Vに応じて鋳造中に変化点位置xを増減させることで、摩擦拘束力及び凝固均一度をほぼ一定に維持できることが分かる。そこで、本実施形態に係る連続鋳造方法では、鋳造速度Vが増加したときには、鋳造中に短辺鋳型板2を鋳造方向上方に移動させて、短辺鋳型板2のテーパ変化点Pの位置を上昇させて、メニスカス位置11に近づける(つまり、変化点位置xを小さくする)。これによって、摩擦拘束力の増加を抑えつつ、凝固均一度を上げるか或いは同程度に維持することができる。一方、鋳造速度Vが減少したときには、鋳造中に短辺鋳型板2を鋳造方向下方に移動させて、短辺鋳型板2のテーパ変化点Pの位置を下降させて、メニスカス位置11から遠ざける(つまり、変化点位置xを大きくする)。これによって、摩擦拘束力を下げるか或いは同程度に維持しつつ、凝固均一度の低下を抑えることができる。
ここで、鋳造速度Vの変動に応じて鋳造中に、短辺鋳型板2のテーパ変化点Pの位置を好適な高さ位置に制御するときのxの制御量について説明する。図9の結果から分かるように、鋳造速度Vが0.5(m/min)増減に対して、変化点位置を最大で100mm減増させればよく、このときの鋳造速度Vの単位変化当たりの変化点位置xの変化量は、x/V=100/0.5=200(mm・min/m)以下となる。つまり、鋳造速度V、変化点位置xで連続鋳造している状態から、鋳造速度Vを減少させる場合は下記(1)式を満たし、鋳造速度Vを増加させる場合は下記(2)式を満たすように、短辺鋳型板2を鋳造中に鋳造方向に上下動させればよい。
<x≦−200(V−V)+x :V<V (1)
>x≧−200(V−V)+x :V>V (2)
さらに、設備面を考慮した短辺鋳型板2の現実的な上下移動量としては、例えば、鋳造速度Vの0.5(m/min)増減に対して、移動量±20mmが妥当である。このときの鋳造速度Vの単位変化当たりの変化点位置xの変化量は、x/V=20/0.5=40(mm・min/m)となる。従って、鋳造速度V、変化点位置xで連続鋳造している状態から、鋳造速度Vを増加又は減少させる場合は、下記(11)式を満たすように短辺鋳型板2を鋳造中に鋳造方向に上下動させればよい。
x=−40(V−V)+x (11)
例えば、図9に示したように、変化点位置x=200(mm)、鋳造速度V=1.5(m/min)で連続鋳造している状態から、鋳造速度をVからVに増加又は減少させる場合は、上記(1)及び(2)式にx=200、V=1.5を代入すると、それぞれ以下の(12)及び(13)式が得られる。ただし、上述した理由から、以下の(14)式のように、変化点位置xの最大値は300mm、最小値50mmとすることが好ましい。
200<x≦500−200V :V<1.5 (12)
200>x≧500−200V :V>1.5 (13)
50≦x≦300 (14)
図10は、上記(12)、(13)及び(14)式に従った変化点位置xと鋳造速度Vの関係を示す図である。図10に示すように、変化点位置x=200(mm)、鋳造速度V=1.5(m/min)で連続鋳造している状態から、鋳造速度Vを増加又は減少させる場合には、図10の斜線範囲内に含まれるように変化点位置xを減少又は増加させる。これにより、変化点位置xを変化させない場合よりも、摩擦拘束力、凝固均一度の変動幅を抑えることができる。特に、変更後の鋳造速度Vに応じて鋳造中に、変化点位置xを、図10の直線(x=500−200V)上若しくはその近傍の値に変更することで、鋳造速度V変更前と比べてほぼ一定の摩擦拘束力、凝固均一度を得ることが可能になる。なお、図10においても、変化点位置xの最大値及び最小値に関し、上述した理由から、(14)式に従い、V<1.0の範囲では、変化点位置xの最大値を300mmとし、V>2.25の範囲では変化点位置xの最小値を50mmとしている。
また、図10には、上記(11)式にx=200、V=1.5を代入して得られた下記(15)式の直線も示してある。この(15)式の表す直線に従って、鋳造速度Vに応じて鋳造中に変化点位置xを上下させることで、設備的にも無理することなく、鋳造速度V変更の前後で摩擦拘束力及び凝固均一度を好適な範囲内に維持できる。
x=260−40V (15)
また、上記のように鋳造速度Vに応じて短辺鋳型板2を鋳造方向に移動(即ち、上下移動)させるタイミングは、次の通りである。本実施形態では、鋳造速度Vに応じた短辺鋳型板2の上下移動は、鋳型1内への溶鋼の注入中断中でも、再注入後に鋳造速度Vが定常速度になったときでも実行可能である。
例えば、まず、短辺鋳型板2と長辺鋳型板3を組み立てて鋳型1を設置した後、当該鋳型1内に溶鋼を注入開始する前に、該当チャージで予定されている平均鋳造速度に適した最適位置に短辺鋳型板2を上下移動させる。次いで、鋳型1内への溶鋼の注入開始後に、鋳型1を用いて実際に鋳片を鋳造する鋳造期間において、鋳型1を用いた実際の鋳造速度Vに応じて、短辺鋳型板2を上下移動させて、テーパ変化点Pの高さ位置(変化点位置x)を微調整する。これにより、鋳造速度Vが定常速度になってから、鋳造速度Vの変動に追従して、変化点位置xをリアルタイムで適正値に変更できる。従って、鋳造速度Vの変動に柔軟に対応できるので、実際の鋳造期間において、意図した或いは不測の鋳造速度Vの変動が生じても、変化点位置xを最適化して、高品質の鋳片を鋳造できる。
以上のように、鋳造速度Vを変更した場合であっても、その鋳造速度Vに応じて鋳造中に変化点位置xを増減させることで、摩擦拘束力及び凝固均一度をほぼ一定に維持することができる。従って、鋳造速度Vの変動にかかわらず、摩擦拘束力及び凝固均一度の双方を適正範囲内に維持することができるので、鋳造中に凝固シェル100の割れやブレークアウトを発生させることなく、高品質の鋳片を安定して鋳造できる。
なお、上記図9及び図10を用いた説明では、鋳片幅W1100mm、上下テーパ比率4.0、トータルテーパ率1.6%/mの例を挙げて説明したが、変化点位置xと摩擦拘束力や凝固均一度との関係は、他の条件(例えば、鋳片幅2200mm、上下テーパ比率2.5で例示可能)でもほぼ同一である。
[5.溶融金属の炭素濃度に応じた連続鋳造方法]
次に、図11を参照して、本実施形態に係る溶融金属の炭素濃度に応じて鋳造中に短辺鋳型板2を上下動させる連続鋳造方法について詳細に説明する。図11は、鋳片幅W1100mm、上下テーパ比率4.0、トータルテーパ率1.6%/mにおいて、変化点位置xと、溶融金属の炭素濃度Cを変更したときの凝固均一度、摩擦拘束力の変化を示す図である。
図11に示すように、鋳造される溶鋼の種別、例えば、溶鋼中の炭素濃度Cに応じて、摩擦拘束力及び凝固均一度は変化する。従って、炭素濃度Cは、連続鋳造における凝固シェル10(図2参照)の摩擦拘束力及び凝固均一度の双方に影響を及ぼす操業条件であることが分かる。しかも、上記鋳造速度Vと同様に、この炭素濃度Cは、高品質の鋳片を安定鋳造する観点からは、摩擦拘束力と凝固均一度に相反する影響を及ぼす操業条件である。
即ち、例えば、図11の波線楕円で示すように、変化点位置xを例えば200mmに固定した鋳型で操業したときに、炭素濃度Cが0.12(質量%)であるときには、摩擦拘束力及び凝固均一度は最低値となり、炭素濃度Cが0.05及び0.2で摩擦拘束力及び凝固均一度が最大値となる。
図12に、変化点位置xを200mmとしたときの凝固均一度と炭素濃度Cの関係を示す。図12に示すように、炭素濃度Cが0.12(質量%)近傍で、凝固均一度が最小値(例えば0.8925)となる。これは、炭素濃度Cが0.12のときに、溶鋼のδ→γ変態による収縮量が最も多いからと考えられる。また、炭素濃度Cが0.12から離れるにつれて凝固均一度は徐々に増加し、炭素濃度Cが0.05以下又は0.2以上となると、摩擦拘束力及び凝固均一度が最大値(例えば0.9025)でほぼ一定となる。
以上のように、溶鋼中の炭素濃度Cに応じて、摩擦拘束力及び凝固均一度はともに増減する。このため炭素濃度Cを変更すると、凝固均一度と摩擦拘束力とが、高品質の鋳片を安定鋳造する上で相反する関係になるため、操業中に炭素濃度Cを安易に変更することはできない。
そこで、本実施形態では、上記鋳造速度Vと同様に、鋳造される溶鋼の炭素濃度Cに応じて鋳造中に、短辺鋳型板2を鋳造方向に上下動させることで、メニスカス位置11に対してテーパ変化点Pを上下させて、変化点位置xを適切な位置に位置づける。これにより、上記相反する関係にある摩擦拘束力及び凝固均一度の双方を、極力一定になるように制御することができるので、十分に高品質の鋳片を鋳造できることが判明した。
例えば、図11に示すように、変化点位置x=200(mm)で、炭素濃度C=0.05(質量%)の溶鋼を連続鋳造中に、供給される溶鋼の炭素濃度Cが0.05から0.12に増加する場合、図11の実線楕円で示すように、変化点位置xを200から300(mm)に変更すれば、変更前後で摩擦拘束力及び凝固均一度をほぼ同一レベルに維持することができる。また、これとは逆に、変化点位置x=300(mm)で、炭素濃度C=0.12(質量%)の溶鋼を連続鋳造中に、供給される溶鋼の炭素濃度Cが0.12から0.05に減少する場合、又は、Cが0.12から0.2に増加する場合、図11の実線楕円で示すように、変化点位置xを300から200(mm)に変更すれば、変更前後で摩擦拘束力及び凝固均一度をほぼ同一レベルに維持することができる。
このように、炭素濃度Cを変更した場合であっても、その炭素濃度Cに応じて鋳造中に変化点位置xを増減させることで、摩擦拘束力及び凝固均一度をほぼ一定に維持することができる。このために、本実施形態に係る連続鋳造方法では、炭素濃度Cの増減に応じて鋳造中に、短辺鋳型板2を鋳造方向に上下動させることで、短辺鋳型板2のテーパ変化点Pを上昇又は下降させて、メニスカス位置11に近づける又は遠ざける(つまり、変化点位置xを小さく又は大きくする)。
具体的には、例えば、炭素濃度Cが0.05質量%超〜0.2質量%未満の範囲内であるときに、C=0.12をピークとして、鋳造中に短辺鋳型板2を鋳造方向下方に移動させることで、短辺鋳型板2のテーパ変化点Pを下方に移動させて、変化点位置xを低い位置に位置づける。このとき、炭素濃度Cが0.12質量%の時に、短辺鋳型板2のテーパ変化点Pを最大で100mm下方に移動させる(x=300mm)。また、炭素濃度Cが0.09、0.15質量%の時に、短辺鋳型板2のテーパ変化点Pを例えば50mm程度下方に移動させる(x=250mm)。一方、炭素濃度Cが0.05質量%以下、又は、0.2質量%以上であるときには、短辺鋳型板2のテーパ変化点Pを下方に移動させず、高い位置に維持する(x=200mm)。
また、上記のように鋼種(例えば溶鋼の炭素濃度C)に応じて短辺鋳型板2を鋳造方向に移動(即ち、上下移動)させるタイミングは、次の通りである。一般に、鋳型1内へ溶鋼を注入しながら当該鋳型1を用いて実際に鋳片を鋳造する鋳造期間に、注入される鋼種が突然変更されることはない。そこで本実施形態では、鋼種に応じた短辺鋳型板2の上下移動は、鋳型1内への溶鋼の注入開始前、又は、注入中断中に実行される。
例えば、まず、短辺鋳型板2と長辺鋳型板3を組み立てて鋳型1を設置した後、当該鋳型1内に溶鋼を注入開始する前に、該当チャージの鋼種に適した最適位置に短辺鋳型板2を上下移動させる。次いで、短辺鋳型板2を当該最適位置に固定した状態で、該当チャージを連続鋳造する。その後、次のチャージを連続鋳造するに際し、当該次のチャージの鋼種が前回の鋼種から変更される場合、一旦、鋳型1内への溶鋼の注入を中断し、成分の異なる溶鋼が混合しないようにするための処置を実施する。この注入中断時に、次のチャージの鋼種に適した最適位置に短辺鋳型板2を上下移動させる。その後、変更後の鋼種の溶鋼を鋳型1に再注入開始して、当該次のチャージを連続鋳造する。
このように鋼種に応じた短辺鋳型板2の上下移動は、上記「鋳造中」のうち溶鋼を鋳型1内に注入しない期間(即ち、実際の鋳造期間以外の期間)に実行される。なお、以上のように溶鋼の鋼種を変更する場合、溶鋼の注入中断中であっても、再注入後に鋳造速度Vが定常速度になった後でも、上述した鋳造速度Vに応じた短辺鋳型板2の上下移動を実行することは可能である。
以上のように、溶鋼の炭素濃度Cが変化する場合であっても、その炭素濃度Cに応じて鋳造中に、短辺鋳型板2のテーパ変化点Pを上下動、即ち、変化点位置xを増減させることで、摩擦拘束力及び凝固均一度をほぼ一定に維持することができる。従って、炭素濃度Cの変動にかかわらず、摩擦拘束力及び凝固均一度の双方を適正範囲内に維持することができるので、鋳造中に凝固シェル100の割れやブレークアウトを発生させることなく、高品質の鋳片を安定して鋳造できる。
[6.短辺鋳型板の面平均抜熱流束に応じた連続鋳造方法]
次に、図13を参照して、本実施形態に係る短辺鋳型板2の面平均抜熱流束に応じて鋳造中に短辺鋳型板2を上下動させる連続鋳造方法について詳細に説明する。図13は、鋳片幅W=1100mm、上下テーパ比率4.0、トータルテーパ率1.6%/m、鋳造速度V=1.5m/minにおいて、変化点位置xと面平均抜熱流束qを変更したときの凝固均一度、摩擦拘束力の変化を示す図である。
なお、短辺鋳型板2の面平均抜熱流束qは、連続鋳造中に鋳型1内の溶融金属及び凝固シェル10から、短辺鋳型板2を通じて、鋳型1を冷却する冷却水に抜熱される熱量を、短辺鋳型板2のメニスカス位置から鋳型1下端までの面積Aで除した値を意味する。当該面平均抜熱流束qは、冷却水が鋳型1に入る時の温度Tinと出る時の温度Toutの差と、該冷却水の流量Qwから、下記の式(16)で計算することができる。
q=ρ×(Tout−Tin)×Qw×Cp/A (16)
q:短辺鋳型板の面平均抜熱流束(W/m
ρ:冷却水の密度(kg/m
Tin:冷却水の入側温度(K)
Tout:冷却水の出側温度(K)
Qw:冷却水流量(鋳型短辺)(m/s)
Cp:冷却水の比熱(J/kg/K)
A:短辺鋳型板のメニスカス位置から鋳型下端までの面積(m
A=鋳片厚みD(m)×メニスカス位置から鋳型下端までの距離L(m)
なお、鋳片厚みDは短辺鋳型板2の幅に相当する。
図13に示すように、短辺鋳型板2の面平均抜熱流束qに応じて、摩擦拘束力及び凝固均一度は変化する。従って、面平均抜熱流束qは、連続鋳造における凝固シェル10(図2参照。)の摩擦拘束力及び凝固均一度の双方に影響を及ぼす操業条件であることが分かる。しかも、この面平均抜熱流束qは、高品質の鋳片を安定鋳造する観点からは、摩擦拘束力と凝固均一度とに相反する影響を及ぼす操業条件である。
即ち、例えば、図13の波線楕円で示すように、変化点位置xを例えば200mmに固定した鋳型で操業したときに、面平均抜熱流束qが増加すると、凝固均一度は増加するが、摩擦拘束力も増加してしまうので、高品質の鋳片を安定鋳造する観点からは、望ましくない。一方、同様な条件で、面平均抜熱流束qが低下すると、摩擦拘束力は低下するが、凝固均一度も低下してしまうので、高品質の鋳片を安定鋳造する観点からは、望ましくない。このように面平均抜熱流束qが変化すると、凝固均一度と摩擦拘束力とが、高品質の鋳片を安定鋳造する上で相反する関係になるため、操業中に面平均抜熱流束qの変化に応じて対策を講じることが好ましい。
そこで、本件発明者が鋭意研究したところ、上記面平均抜熱流束qの増減にかかわらず、上記相反する関係にある摩擦拘束力及び凝固均一度を、極力一定になるように制御することができれば、過度に優れた摩擦拘束力又は凝固均一度は得られないものの、摩擦拘束力及び凝固均一度のいずれもが悪い値にならないため、凝固シェル10の割れやブレークアウト等を防止でき、高品質の鋳片を安定鋳造できることを見出した。そのためには、面平均抜熱流束qに応じて鋳造中に、短辺鋳型板2を鋳造方向に昇降させることで、メニスカス位置11に対してテーパ変化点Pを上下させて、変化点位置xを適切な位置に位置づければ、十分に高品質の鋳片を鋳造できることが判明した。
例えば、図13に示すように、変化点位置x=200(mm)、面平均抜熱流束qが基準値q(例えば、q=1.2×10(W/m))の条件で連続鋳造を操業しているときは、摩擦拘束力は1.7、凝固均一度は0.9025である。ここで、メニスカス位置から鋳型1下端までの距離L=0.8m、鋳造速度V=1.5m/minのときは、面平均抜熱流束qの基準値qは、下記(17)式により、概略次の値になる。
=1.0×10×(0.8/1.5)−0.344=1.2×10(W/m
かかる操業中に、面平均抜熱流束qがqからqに増加したときには(例えば、q=1.3×10(W/m)、q/q=1.1)、図13の実線楕円で示すように、変化点位置xを200から100(mm)に変更すれば、摩擦拘束力は1.7のままで低レベルを維持できるとともに、凝固均一度は、0.9025から0.905に微増して高レベルを維持できる。また、これとは逆に、上記条件での操業中に、面平均抜熱流束qがqからqに減少したときには(例えば、q=1.0×10(W/m)、q/q=0.87)、図13の実線楕円で示すように、変化点位置xを200から300mmに変更すれば、摩擦拘束力は1.7のままで低レベルを維持できるとともに、凝固均一度は、0.9025から0.90に微減する程度であり、依然として高レベルを維持できる。
このように、短辺鋳型板2の面平均抜熱流束qが変化した場合であっても、その面平均抜熱流束qに応じて鋳造中に変化点位置xを増減させることで、摩擦拘束力及び凝固均一度をほぼ一定に維持できることが分かる。そこで、本実施形態に係る連続鋳造方法では、面平均抜熱流束qが増加したときには、鋳造中に短辺鋳型板2を鋳造方向上方に移動させて、短辺鋳型板2のテーパ変化点Pの位置を上昇させ、メニスカス位置11に近づける(つまり、変化点位置xを小さくする)。これによって、摩擦拘束力の増加を抑えつつ、凝固均一度を上げるか或いは同程度に維持することができる。一方、面平均抜熱流束qが減少したときには、鋳造中に短辺鋳型板2を鋳造方向下方に移動させて、短辺鋳型板2のテーパ変化点Pの位置を下降させ、メニスカス位置11から遠ざける(つまり、変化点位置xを大きくする)。これによって、摩擦拘束力を下げるか或いは同程度に維持しつつ、凝固均一度の低下を抑えることができる。
ここで、短辺鋳型板2の面平均抜熱流束qの変動に応じて、鋳造中に短辺鋳型板2のテーパ変化点Pの位置を好適な高さ位置に制御するときのxの制御量について説明する。図13の結果から分かるように、例えば、面平均抜熱流束qが基準値qに対して10%増減に対して、変化点位置を最大で100mm減増させればよい。ただし、上述した理由から、変化点位置xの最大値は300mm、最小値50mmとすることが好ましい。
また、短辺鋳型板2を通じた面平均抜熱流束q(W/m)は、短辺鋳型板2を冷却するための冷却水の入側と出側の温度差、又は、短辺鋳型板2に設けられた温度差センサ(例えば熱電対)の検出値から計算することができる。また、面平均抜熱流束q(W/m)は、鋼種や鋳造条件によっても異なるが、例えば、鋳造速度V(m/min)と、メニスカス位置から鋳型下端までの距離L(m)をパラメータとして以下の式(17)で求められる。
q=1.0*10*(L/V)−0.344 (17)
さらに、面平均抜熱流束qは鋳造速度Vに応じて増減し、例えば、鋳造速度Vが減少すれば、面平均抜熱流束qは減少する。しかし、鋳造速度Vが一定である定常状態においても、面平均抜熱流束qが変化するときがある。例えば、鋳型1と凝固シェル10(鋳片)との間の潤滑のために投入されるパウダーの流入状態が変わると、パウダーの厚みによって面平均抜熱流束qが変動する。また、鋳型1の短辺鋳型板2と凝固シェル10(鋳片)との間の接触状態によっても、面平均抜熱流束qが変動する。このように、非定常的な要因によって、鋳造速度Vが一定であっても、面平均抜熱流束qが変動することがある。かかる場合に、上述したように面平均抜熱流束qの増減に応じて鋳造中に変化点位置xを制御すれば、摩擦拘束力を増加させることなく、凝固均一度を維持できる。
また、上記のように面平均抜熱流束qに応じて短辺鋳型板2を鋳造方向に移動(即ち、上下移動)させるタイミングは、次の通りである。本実施形態では、面平均抜熱流束qに応じた変化点位置xの変更は、鋳型1内への溶鋼の注入中断中でも、再注入後に面平均抜熱流束qが定常状態になったときでも実行可能である。
まず、連続鋳造装置において、それぞれの鋼種、鋳造条件ごとに、鋳造中の冷却水の温度差、熱電対の検出値等を測定して、短辺鋳型板2の面平均抜熱流束qの基準値qを予め設定しておく。次いで、短辺鋳型板2と長辺鋳型板3を組み立てて鋳型1を設置した後、当該鋳型1内に溶鋼を注入開始する前に、該当チャージで予定されている鋼種や鋳造条件に応じて、最適な面平均抜熱流束qを求め、当該面平均抜熱流束qに適した高さとなるように短辺鋳型板2を配置する。次いで、鋳型1内への溶鋼の注入開始後、鋳型1を用いて実際に鋳片を鋳造する鋳造期間において、実際に短辺鋳型板2の面平均抜熱流束qを測定しながら、該測定された面平均抜熱流束qに応じて、短辺鋳型板2を上下移動させて、テーパ変化点Pの高さ位置(変化点位置x)を微調整する。これにより、鋳造速度Vが定常速度になってから、面平均抜熱流束qの変動に追従して、変化点位置xをリアルタイムで適正値に変更できる。従って、面平均抜熱流束qの変動に柔軟に対応できるので、実際の鋳造期間において、上記非定常要因による面平均抜熱流束qの変動が生じても、変化点位置xを最適化して、高品質の鋳片を鋳造できる。
以上のように、面平均抜熱流束qが変動した場合であっても、その面平均抜熱流束qに応じて鋳造中に変化点位置xを増減させることで、摩擦拘束力及び凝固均一度をほぼ一定に維持することができる。従って、面平均抜熱流束qの変動にかかわらず、摩擦拘束力及び凝固均一度の双方を適正範囲内に維持することができるので、鋳造中に凝固シェル100の割れやブレークアウトを発生させることなく、高品質の鋳片を安定して鋳造できる。
なお、上記図13を用いた説明では、鋳片幅W1100mm、上下テーパ比率4.0、トータルテーパ率1.6%/m、鋳造速度V=1.5m/minの例を挙げて説明したが、変化点位置xと摩擦拘束力や凝固均一度との関係は、他の条件(例えば、鋳片幅2200mm、上下テーパ比率2.5で例示可能)でもほぼ同一である。
[7.連続鋳造装置の構成]
次に、上述した本実施形態に係る連続鋳造方法を実行する連続鋳造装置について説明する。図14は、本実施形態に係る連続鋳造装置の構成を示す図である。なお、図14では、説明の便宜上、連続鋳造装置の一側の短辺鋳型板2周辺の構成のみを示しているが、他側にも対称な構成を具備しているものとする。
図14に示すように、本実施形態に係る連続鋳造装置は、連続鋳造鋳型1(以下「鋳型1」ともいう。)と、短辺駆動機構4とを備える。鋳型1は、鋳造方向に相異なる2以上の短辺テーパ率(単位:%/m)を有する一対の多段テーパ短辺鋳型板2と、当該一対の短辺鋳型板2をその幅方向両側から挟み込む一対の長辺鋳型板3(図14では図示せず。図3参照。)とからなる。長辺鋳型板3及び短辺鋳型板2は、それぞれ2枚で1組を構成し、凝固シェル10に面する側が水冷銅板2a、その反対面を鋼製のバックフレーム2bとすると良い。短辺鋳型板2の幅が鋳造する鋳片の厚みにほぼ等しく、一対の短辺鋳型板2の下端部の間隔が鋳造する鋳片の幅(鋳片幅)にほぼ等しい。短辺鋳型板2のテーパ面6は、テーパ率が大きい上テーパ面6と、テーパ率が小さい下テーパ面6とからなり(上テーパ率T>下テーパ率T)、上テーパ面6と下テーパ面6の境界がテーパ変化点Pとなる。かかる一対の短辺鋳型板2を対向配置して一対の長辺鋳型板3で挟み込むことにより、矩形の鋳造空間を有する鋳型1が形成される。
短辺駆動機構4は、例えば、短辺鋳型板2を水平移動又は傾動させるための2つのアクチュエータ7、8と、短辺鋳型板2を鋳造方向に移動(即ち、上下方向に昇降)させるための1つのアクチュエータ9と、これらアクチュエータ7、8、9を制御する制御装置5と、を備える。アクチュエータ7、8、9は、例えば図示のように、電動シリンダ、油圧シリンダなどを用いることができるが、かかる例に限定されず、短辺駆動機構は電動モータ等の任意の駆動装置を用いてもよい。
水平移動及び傾動用の2つのアクチュエータ7、8はそれぞれ、可動基台20の上面、下面にほぼ水平姿勢で設置される。該アクチュエータ7、8の先端はそれぞれ、短辺鋳型板2のバックフレーム2bの上部側、下部側に対して、ヒンジ部21、22により回動可能に連結される。かかる上下二段のアクチュエータ7、8は、短辺鋳型板2をバックフレーム2b側から支持する。可動基台20は、これらのアクチュエータ7、8を支持し、該可動基台20の後端には連結部材23が固定されている。連結部材23は、水平部23aと垂直部23bとからなり、L字形の断面形状を有する。
アクチュエータ9は、この連結部材23と固定基台24との間に、ほぼ垂直姿勢で配設される。アクチュエータ9の上端は連結部材23の水平部23a下面側に対して、ヒンジ部25により回動可能に連結され、アクチュエータ9の下端は固定基台24の上面に対して、ヒンジ部26により回動可能に連結される。このアクチュエータ9の上端と下端のヒンジ連結は、機構学的には必要条件ではなく、例えば、連結部材23やガイド板27、昇降ガイド部28に十分な剛性があれば、図示のようなヒンジ連結を用いずに、アクチュエータ9の上端、下端を連結部材23、固定基台24に固定連結してもよい。
また、固定基台24の前面側には、ガイド板27が起立配置されている。ガイド板27は、上記連結部材23の垂直部23bの垂直方向の移動をガイドする機能を有する。かかるガイド板27と、連結部材23は、短辺鋳型板2の昇降をガイドするための昇降ガイド部28として機能する。
制御装置5は、図15に示すように、入力部31と、最適値演算部32と、駆動制御部33とを備える。入力部31は、オペレータが操作するコンピュータ装置などで構成され、オペレータや各種のセンサから、連続鋳造に関する各種の操業条件の設定値が入力される。入力部31は、上記入力された操業条件の設定値を最適値演算部32に送る。最適値演算部32は、入力部31からの操業条件の設定値に基づいて、上記操業条件に応じた短辺鋳型板2の配置に関する最適値(例えば、2つの短辺鋳型板2間の幅、短辺鋳型板2の高さ位置、傾斜量など)を計算する。最適値演算部32は、計算した最適値を駆動制御部33に送る。駆動制御部33は、最適値演算部32からの最適値に基づいて、アクチュエータ7、8、9を駆動させるための制御量を計算し、その制御量をアクチュエータ7、8、9に出力する。アクチュエータ7、8、9は、制御装置5からの制御量に基づいて駆動する。
次に、上記構成の短辺駆動機構4の動作について説明する。短辺駆動機構4の制御装置5は、上記入力された操業条件に基づいて短辺鋳型板2が適切な配置(短辺間の幅、高さ、傾き)となるように、アクチュエータ7、8、9を駆動させる。
例えば、制御装置5は、アクチュエータ7、8を適切な量だけ駆動させることで、短辺鋳型板2を水平方向に移動させて、2つの短辺鋳型板2間の幅を制御したり、短辺鋳型板2を傾動させて、短辺鋳型板2の傾き(トータルテーパ率)を制御したりできる。上下2段のアクチュエータ7、8それぞれの運動によって短辺鋳型板2の位置を定めることにより、設定された鋳片幅W毎に、短辺鋳型板2のトータルテーパ率を所定の値に定めることができる。本実施形態では、現実的な操業形態の観点からは、鋳造中いずれの鋳片幅Wにおいても同一のトータルテーパ率とし、いずれの鋳片幅Wにおいても上下テーパ比率は、4以下となるように、短辺鋳型板2の水平位置及び傾きを制御することが好ましい。
また、本実施形態に係る短辺駆動機構4は、上記のように短辺鋳型板2の水平駆動機構、傾斜駆動機構のみならず、短辺鋳型板2の昇降機構を備えていることを特徴としいている。即ち、短辺駆動機構4の制御装置5は、アクチュエータ9を操業条件に応じた適切な量だけ駆動させることで、短辺鋳型板2を鋳造方向に移動(つまり、上下方向に昇降)させて、短辺鋳型板2のテーパ変化点Pの高さ、即ち、変化点位置xを制御することができる。
詳細には、短辺駆動機構4の制御装置5は、上述した鋳造速度Vや溶鋼の種類(例えば炭素濃度C)、短辺鋳型板2の面平均抜熱流束q等の操業条件に応じて、メニスカス位置に対する変化点位置xの適正値を計算し、変化点位置xが当該適正値となるような短辺鋳型板2の高さ位置を求め、さらに、短辺鋳型板2が当該高さ位置となるように、アクチュエータ9を駆動制御する。この結果、アクチュエータ9の駆動により、可動基台23がガイド板27によりガイドされながら上下動し、該可動基台23にアクチュエータ7、8を介して連結された短辺鋳型板2が昇降して、上記高さ位置に位置づけられる。
このようにして、短辺駆動機構4は、鋳造速度Vや溶鋼の種類、短辺鋳型板2の面平均抜熱流束qなどといった連続鋳造の操業条件に応じて鋳造中に短辺鋳型板2を鋳造方向の好適な位置に移動させることができる。よって、上述した本実施形態に係る連続鋳造方法を好適に実現できる。
次に、図16を参照して、上記連続鋳造装置の変更例について説明する。図16は、本実施形態の変更例に係る連続鋳造装置の構成を示す図である。なお、図16では、説明の便宜上、連続鋳造装置の一側の短辺鋳型板2周辺の構成のみを示しているが、他側にも対称な構成を具備しているものとする。
図16に示すように、本実施形態の変更例に係る連続鋳造装置も、図14と同様に、一対の短辺鋳型板2と一対の長辺鋳型板3とからなる鋳型1と、短辺駆動機構40とを具備する。短辺駆動機構40は、例えば、短辺鋳型板2を水平移動又は傾動させるための2つのアクチュエータ47、48と、短辺鋳型板2を鋳造方向に移動(即ち、上下方向に昇降)させるための1つのアクチュエータ49と、これらアクチュエータ47、48、49を制御する制御装置5と、を備える。アクチュエータ47、48、49は、例えば図示のように、電動シリンダ、油圧シリンダなどを用いることができるが、かかる例に限定されず、短辺駆動機構は電動モータ等の任意の駆動装置を用いてもよい。また、制御装置5の構成は図15に示したものと同様である。
水平移動及び傾動用の2つのアクチュエータ47、48はそれぞれ、固定基台50上に支持フレーム51により支持される。可動基台52は、背面部52aと底部52bと前面部52cからなり、略コの字形の断面形状を有する。上記アクチュエータ47、48の先端はそれぞれ、可動基台52の背面部52aの上部側、下部側に対して、ヒンジ部53、54により回動可能に連結される。一方、短辺鋳型板2の背面側には、連結部55が取り付けられている。連結部材55は、水平部55aと垂直部55bとからなり、L字形の断面形状を有する。
アクチュエータ49は、連結部材55と可動基台52との間に、ほぼ垂直姿勢で配設される。アクチュエータ49の上端は連結部材55の水平部55a下面側に対して、ヒンジ部56により回動可能に連結され、アクチュエータ49の下端は可動基台52の底面部52bの上面に対して、ヒンジ部57により回動可能に連結される。なお、このアクチュエータ49の上端及び下端のヒンジ連結についても、上述した図14のアクチュエータ9と同様に、固定連結することも可能である。また、可動基台52の前面側に起立配置された前面部52cは、上記連結部材55の垂直部55bの垂直方向の移動をガイドするガイド板として機能する。かかる可動基台52と、連結部材23は、短辺鋳型板2の昇降をガイドするための昇降ガイド部58として機能する。
次に、上記構成の短辺駆動機構40の動作について説明する。短辺駆動機構40の制御装置5は、上記入力された操業条件に基づいて短辺鋳型板2が適切な配置(短辺間の幅、高さ、傾き)となるように、アクチュエータ47、48、49を駆動させる。
例えば、制御装置5は、アクチュエータ47、48を適切な量だけ駆動させることで、短辺鋳型板2を水平方向に移動させて、2つの短辺鋳型板2間の幅を制御したり、短辺鋳型板2を傾動させて、短辺鋳型板2の傾き(トータルテーパ率)を制御したりできる。また、図16に示す短辺駆動機構40も、図14に示した短辺駆動機構4と同様、上記短辺鋳型板2の水平駆動機構、傾斜駆動機構のみならず、短辺鋳型板2の昇降機構を備えていることを特徴としいている。即ち、短辺駆動機構40の制御装置5は、アクチュエータ49を適切な量だけ駆動させることで、短辺鋳型板2を鋳造方向に移動(つまり、上下方向に昇降)させて、短辺鋳型板2のテーパ変化点Pの高さ、即ち、変化点位置xを制御することができる。
詳細には、短辺駆動機構40の制御装置5は、上述した鋳造速度Vや溶鋼の種類(例えば炭素濃度C)、短辺鋳型板2の面平均抜熱流束q等の操業条件に応じて、メニスカス位置に対する変化点位置xの適正値を計算し、変化点位置xが当該適正値となるような短辺鋳型板2の高さ位置を求め、さらに、短辺鋳型板2が当該高さ位置となるように、アクチュエータ49を駆動制御する。この結果、アクチュエータ49の駆動により、連結部材55が固定基台52の前面部52bによりガイドされながら上下動し、該連結部材55に連結された短辺鋳型板2が昇降して、上記高さ位置に位置づけられる。
以上のようにして、図16に示す短辺駆動機構40も、図14に示した短辺駆動機構40と同様に、鋳造速度Vや溶鋼の種類、短辺鋳型板2の面平均抜熱流束qなどといった連続鋳造の操業条件に応じて鋳造中に短辺鋳型板2を鋳造方向の好適な位置に移動させることができる。よって、上述した本実施形態に係る連続鋳造方法を好適に実現できる。
なお、連続鋳造中に鋳片幅Wを変更するに際しては、正常な鋳造を行いつつ鋳片幅Wを連続的に変更することが要請される。このような幅変更を実施している最中には、トータルテーパ率を変更して円滑な幅変更を実施することが必要となり、トータルテーパ率を一定に保持することはできない。
上記本実施形態に係る連続鋳造装置は、鋳造可能最小鋳片幅が1100mm以下から、鋳造可能最大鋳片幅が2200mm以上まで、広範囲の幅を有する鋳片を鋳造することができる。例えば、鋳造可能最小鋳片幅が800mmあるいはそれ以下であると好ましく、例えば600mmが現実的である。鋳造可能最大鋳片幅は例えば2500mmが現実的である。
[8.効果]
以上、本実施形態に係る連続鋳造方法とそれを実現する連続鋳造装置について説明した。本実施形態によれば、鋳造速度V又は溶融金属の種類(例えば炭素濃度C)、短辺鋳型板2の面平均抜熱流束q等の操業条件に応じて、鋳造中に短辺鋳型板2を鋳造方向に移動(上下方向に昇降)させることにより、メニスカス位置11に対して短辺鋳型板2のテーパ変化点Pの位置を上下動させ、変化点位置xを増減させる。これにより、鋳型1内のメニスカス位置11を固定位置としたままで、短辺鋳型板2のテーパ変化点Pの位置を上下動させて、鋳造速度V等の操業条件の変動に対応した適切な変化点位置xに位置づけることができる。
従って、当該操業条件の変更前後で、相反関係にある凝固均一度及び摩擦拘束力の双方がほぼ一定値となるように制御できるので、上述した相反関係にある凝固均一度と摩擦拘束力の双方の制約を満足させつつ、鋳造速度等の操業条件の変更に対応することができる。よって、鋳造速度V等の鋳造条件にかかわらず、鋳片の凝固不均一を解消して、凝固シェル厚をブレークアウトの限界厚み以上に確保しつつ、表面割れ、内部割れのない高品質の鋳片を安定して鋳造することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、多段テーパ短辺鋳型板として、2段テーパ短辺鋳型板の例を挙げて説明したが、3段テーパ以上の短辺鋳型板にも適用できる。
また、上記実施形態では、凝固シェル10の凝固均一度及び摩擦拘束力の双方に影響を及ぼす操業条件として、鋳造速度Vと溶鋼金属の炭素濃度C、短辺鋳型板2の面平均抜熱流束qの例を挙げ、鋳造速度V、炭素濃度C又は面平均抜熱流束qに応じて鋳造中に、短辺鋳型板2のテーパ変化点Pを上下させる例について説明したが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、当該操業条件として、スーパーヒート(溶鋼の加熱温度)、鋳片幅Wなどに応じて鋳造中に、短辺鋳型板のテーパ変化点を上下させてもよい。スーパーヒートが高いと、連続鋳造時の凝固シェルのシェル厚が薄くなる。そこで、スーパーヒートに応じて鋳造中に短辺鋳型板のテーパ変化点を上下させることで、鋳造限界の溶融金属の温度を上昇させることも可能となる。
1 連続鋳造鋳型
2 多段テーパ短辺鋳型板
3 長辺鋳型板
4、40 短辺駆動機構
5 制御装置
6 テーパ面
上テーパ面
下テーパ面
7、8、9、47、48、49 アクチュエータ
10 凝固シェル
11 メニスカス位置
P テーパ変化点

Claims (20)

  1. 鋳造方向に相異なる2以上のテーパを有する一対の多段テーパ短辺鋳型板と、前記多段テーパ短辺鋳型板を幅方向両側から挟む一対の長辺鋳型板とからなる鋳型を用いた連続鋳造方法において、
    鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させることにより、前記多段テーパ短辺鋳型板のテーパ変化点の位置を前記鋳型内における溶融金属のメニスカス位置に対して鋳造方向に相対移動させることを特徴とする、連続鋳造方法。
  2. 連続鋳造の操業条件に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造方法。
  3. 前記連続鋳造の操業条件は、前記溶融金属が凝固した凝固シェルの凝固均一度、及び、前記凝固シェルと前記多段テーパ短辺鋳型板との間の摩擦拘束力の双方に影響を及ぼす操業条件であることを特徴とする、請求項2に記載の連続鋳造方法。
  4. 前記連続鋳造の操業条件は、鋳造速度を含み、
    前記鋳造速度に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させることを特徴とする、請求項2又は3に記載の連続鋳造方法。
  5. 前記鋳造速度の増加に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向上方に移動させ、前記鋳造速度の減少に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向下方に移動させることを特徴とする、請求項4に記載の連続鋳造方法。
  6. 前記メニスカス位置から前記多段テーパ短辺鋳型板のテーパ変化点までの距離をx(mm)とし、前記鋳造速度をV(m/min)としたときに、
    鋳造速度V、変化点位置xで連続鋳造している状態から、前記鋳造速度をVからVに減少させる場合は下記(1)式を満たし、前記鋳造速度をVからVに増加させる場合は下記(2)式を満たすように、鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させることを特徴とする、請求項4又は5に記載の連続鋳造方法。
    <x≦−200(V−V)+x :V<V (1)
    >x≧−200(V−V)+x :V>V (2)
  7. 前記連続鋳造の操業条件は、前記溶融金属の炭素濃度を含み、
    前記溶融金属の炭素濃度に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか一項に記載の連続鋳造方法。
  8. 前記溶融金属の炭素濃度C(質量%)が0.05<C<0.2であるときは、C≦0.05又はC≧0.2であるときよりも、鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向下方に移動させることを特徴とする、請求項7に記載の連続鋳造方法。
  9. 前記連続鋳造の操業条件は、前記多段テーパ短辺鋳型板の面平均抜熱流束を含み、
    前記面平均抜熱流束に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させることを特徴とする、請求項2〜8のいずれか一項に記載の連続鋳造方法。
  10. 前記面平均抜熱流束の増加に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向上方に移動させ、前記面平均抜熱流束の減少に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向下方に移動させることを特徴とする、請求項9に記載の連続鋳造方法。
  11. 鋳造方向に相異なる2以上のテーパを有する一対の多段テーパ短辺鋳型板と、前記多段テーパ短辺鋳型板を幅方向両側から挟む一対の長辺鋳型板とからなる鋳型と、
    鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させることにより、前記多段テーパ短辺鋳型板のテーパ変化点の位置を前記鋳型内における溶融金属のメニスカス位置に対して鋳造方向に相対移動させる短辺駆動機構と、
    を備えることを特徴とする、連続鋳造装置。
  12. 前記短辺駆動機構は、連続鋳造の操業条件に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させることを特徴とする、請求項11に記載の連続鋳造装置。
  13. 前記連続鋳造の操業条件は、前記溶融金属が凝固した凝固セルの凝固均一度、及び、前記凝固シェルと前記多段テーパ短辺鋳型板との間の摩擦拘束力の双方に影響を及ぼす操業条件であることを特徴とする、請求項12に記載の連続鋳造装置。
  14. 前記連続鋳造の操業条件は、鋳造速度を含み、
    前記短辺駆動機構は、前記鋳造速度に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させることを特徴とする、請求項12又は13に記載の連続鋳造装置。
  15. 前記短辺駆動機構は、前記鋳造速度の増加に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向上方に移動させ、前記鋳造速度の減少に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向下方に移動させることを特徴とする、請求項14に記載の連続鋳造装置。
  16. 前記メニスカス位置から前記多段テーパ短辺鋳型板のテーパ変化点までの距離をx(mm)とし、前記鋳造速度をV(m/min)としたときに、
    鋳造速度V、変化点位置xで連続鋳造している状態から、前記鋳造速度をVからVに減少させる場合は下記(1)式を満たし、前記鋳造速度をVからVに増加させる場合は下記(2)式を満たすように、鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させることを特徴とする、請求項14又は15に記載の連続鋳造装置。
    <x≦−200(V−V)+x :V<V (1)
    >x≧−200(V−V)+x :V>V (2)
  17. 前記連続鋳造の操業条件は、前記溶融金属の炭素濃度を含み、
    前記短辺駆動機構は、前記溶融金属の炭素濃度に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させることを特徴とする、請求項12〜16のいずれか一項に記載の連続鋳造装置。
  18. 前記短辺駆動機構は、前記溶融金属の炭素濃度C(質量%)が0.05<C<0.2であるときは、C≦0.05又はC≧0.2であるときよりも、鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向下方に移動させることを特徴とする、請求項17に記載の連続鋳造装置。
  19. 前記連続鋳造の操業条件は、前記多段テーパ短辺鋳型板の面平均抜熱流束を含み、
    前記短辺駆動機構は、前記面平均抜熱流束に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向に移動させることを特徴とする、請求項12〜18のいずれか一項に記載の連続鋳造装置。
  20. 前記短辺駆動機構は、前記面平均抜熱流束の増加に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向上方に移動させ、前記面平均抜熱流束の減少に応じて鋳造中に前記多段テーパ短辺鋳型板を鋳造方向下方に移動させることを特徴とする、請求項19に記載の連続鋳造装置。
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